(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】撮像レンズ
(51)【国際特許分類】
G02B 13/00 20060101AFI20221207BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B13/18
(21)【出願番号】P 2018195773
(22)【出願日】2018-10-17
【審査請求日】2021-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】521351719
【氏名又は名称】東京晨美光学電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112520
【氏名又は名称】林 茂則
(72)【発明者】
【氏名】深谷 尚生
【審査官】瀬戸 息吹
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第206930824(CN,U)
【文献】中国実用新案第207181799(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0227734(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側に向かって順に、
第1レンズと、
開口絞りと、
光軸近傍で正の屈折力を有する第2レンズと、
光軸近傍で負の屈折力を有する第3レンズと、
第4レンズと、
光軸近傍で正の屈折力を有する第5レンズと、
両面に非球面が形成された第6レンズと、
光軸近傍で負の屈折力を有し、像側の面が光軸近傍で像側に凹面を向けているとともに光軸上以外の位置に極点を有する非球面が形成された第7レンズと、から構成され、
前記第1レンズは、光軸近傍で負の屈折力を有しており、
前記第3レンズの物体側の面は、光軸近傍で物体側に凸面を向けており、
前記第6レンズは、光軸近傍で正の屈折力を有し、かつ光軸近傍で像側に凹面を向けて
おり、以下の条件式(8)を満足することを特徴とする撮像レンズ。
(8)-8.00<f1/f<-2.30
ただし、
f1:第1レンズの焦点距離
f:撮像レンズ全系の焦点距離
【請求項2】
前記第1レンズは、光軸近傍で物体側に凸面を向けたメニスカス形状であることを特徴
とする請求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項3】
前記第5レンズは、光軸近傍で像側に凸面を向けていることを特徴とする請求項1に記
載の撮像レンズ。
【請求項4】
前記第6レンズの物体側の面は、光軸上以外の位置に極点を有することを特徴とする請
求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項5】
前記第7レンズの物体側の面は、光軸上以外の位置に極点を有する非球面が形成されて
いることを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項6】
以下の条件式(2)を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
(2)TTL/ih<2.0
ただし、
TTL:光学全長
(バックフォーカスは空気換算長)
ih:最大像高
【請求項7】
物体側から像側に向かって順に、
第1レンズと、
開口絞りと、
光軸近傍で正の屈折力を有する第2レンズと、
光軸近傍で負の屈折力を有する第3レンズと、
第4レンズと、
光軸近傍で正の屈折力を有する第5レンズと、
両面に非球面が形成された第6レンズと、
光軸近傍で負の屈折力を有し、像側の面が光軸近傍で像側に凹面を向けているとともに光軸上以外の位置に極点を有する非球面が形成された第7レンズと、から構成され、
前記第1レンズは、光軸近傍で正の屈折力を有しており、
前記第2レンズは、光軸近傍で物体側、および像側に凸面を向けた両凸形状であり、
前記第5レンズの物体側の面は、光軸近傍で物体側に凹面を向けており、
前記第6レンズの物体側の面は、光軸近傍で物体側に凸面を向けており、
前記第7レンズの物体側の面は、光軸近傍で物体側に凸面を向けており、
以下の条件式(1)
、及び(9)を満足することを特徴とする撮像レンズ。
(1)40<νd7<70
(9)1.00<f1/f<2.20
ただし、
νd7:第7レンズのd線に対するアッベ数
f1:第1レンズの焦点距離
f:撮像レンズ全系の焦点距離
【請求項8】
前記第1レンズは、光軸近傍で物体側に凸面を向けたメニスカス形状であることを特徴
とする請求項7に記載の撮像レンズ。
【請求項9】
前記第3レンズは、光軸近傍で物体側に凸面を向けていることを特徴とする請求項7に
記載の撮像レンズ。
【請求項10】
前記第6レンズの物体側の面は、光軸上以外の位置に極点を有することを特徴とする請
求項7に記載の撮像レンズ。
【請求項11】
前記第7レンズの物体側の面は、光軸上以外の位置に極点を有する非球面が形成されて
いることを特徴とする請求項7に記載の撮像レンズ。
【請求項12】
以下の条件式(2)を満足することを特徴とする請求項7に記載の撮像レンズ。
(2)TTL/ih<2.0
ただし、
TTL:光学全長
(バックフォーカスは空気換算長)
ih:最大像高
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に使用されるCCDセンサやC-MOSセンサの固体撮像素子上に被写体の像を結像させる撮像レンズに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、情報端末機器、家電製品、自動車等、様々な製品にカメラ機能が搭載されるようになった。今後も、カメラ機能を融合させた様々な商品開発が進んでいくものと考えられる。
【0003】
このような機器に搭載される撮像レンズは、小型でありながらも高い解像性能が求められる。
【0004】
従来の高性能化を目指した撮像レンズとしては、例えば、以下の特許文献1のような撮像レンズが知られている。
【0005】
特許文献1には、物体側から順に、第1レンズ、第2レンズ、第3レンズ、第4レンズ、第5レンズ、第6レンズ、第7レンズを含み、前記第1レンズは正の屈折力を有し、物体側面が近軸で凸、前記第2レンズは負の屈折力を有し、前記第6レンズは物体側、および像側の少なくとも1つが変曲点を有する非球面であり、前記第7レンズは物体側、および像側の両面が非球面である撮像レンズが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許出願公開第2017/0227734号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のレンズ構成で、広角化と低背化、および低Fナンバー化を図ろうとした場合、周辺部における収差補正が非常に困難であり、良好な光学性能を得ることはできない。
【0008】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、広角化と低背化、および低Fナンバー化の要求をバランスよく満足するとともに、諸収差が良好に補正された高い解像力を備える撮像レンズを提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明において使用する用語に関し、レンズの面の凸面、凹面、平面とは光軸近傍(近軸 における形状を指すものと定義する。屈折力とは、光軸近傍(近軸)における屈折力を指すものと定義する。極点とは、接平面が光軸と垂直に交わる光軸上以外における非球面上の点として定義する。光学全長(TTL)とは、最も物体側に位置する光学素子の物体側の面から撮像面までの光軸上の距離として定義する。なお、光学全長やバックフォーカスは、撮像レンズと撮像面との間に配置されるIRカットフィルタやカバーガラス等の厚みを空気換算して得られる距離とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の撮像レンズは、物体側から像側に向かって順に、第1レンズと、開口絞りと、光軸近傍で正の屈折力を有する第2レンズと、光軸近傍で負の屈折力を有する第3レンズと、第4レンズと、光軸近傍で正の屈折力を有する第5レンズと、両面に非球面が形成された第6レンズと、光軸近傍で負の屈折力を有し、像側の面が光軸近傍で像側に凹面を向けているとともに光軸上以外の位置に極点を有する非球面が形成された第7レンズと、から構成される。
【0011】
上記構成の撮像レンズは、第1レンズから第3レンズまでの前群と、第4レンズから第7レンズまでの後群とから構成される。前群は、正の合成屈折力を有し、撮像レンズの低背化を図るとともに、球面収差と軸上色収差の補正を担う。また、後群は、軸外収差や撮像素子への光線入射角度の制御を担う。
【0012】
第1レンズは、第2レンズへ入射する周辺部の光線の角度を制御し、第2レンズで発生する球面収差を抑制する。
【0013】
第2レンズは、正の屈折力によって撮像レンズの低背化を図る。
【0014】
第3レンズは、第2レンズで発生した球面収差や色収差を補正する。
【0015】
第4レンズは、コマ収差や非点収差をバランスよく補正する。
【0016】
第5レンズは、正の屈折力によって撮像レンズの低背化を図るとともに、非点収差や歪曲収差を補正する。
【0017】
第6レンズは、両面に形成した非球面によって非点収差、歪曲収差を補正する。
【0018】
第7レンズの像側の面を、光軸近傍で像側に凹面を向けているとともに光軸上以外の位置に極点を有する非球面形状とすることで、歪曲収差の補正、および撮像素子への光線入射角度を制御する。
【0019】
開口絞りは、第1レンズと第2レンズの間に配置することで、低Fナンバー化、および横収差の良好な補正を両立する。
【0020】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、第1レンズは、光軸近傍で物体側に凸面を向けたメニスカス形状とすることが望ましい。
【0021】
第1レンズを光軸近傍で物体側に凸面を向けたメニスカス形状とすることで、第2レンズで発生する球面収差の抑制が可能になる。
【0022】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、第2レンズは、光軸近傍で物体側、および像側に凸面を向けた両凸形状とすることが望ましい。
【0023】
第2レンズを光軸近傍で両凸形状とすることで、正の屈折力が強まり、撮像レンズの低背化がより容易になる。また、物体側、および像側の面が強い曲率になることを抑え、製造誤差感度を低減できる。
【0024】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、第3レンズは、光軸近傍で物体側に凸面を向けた形状とすることが望ましい。
【0025】
第3レンズの物体側の面を光軸近傍で物体側に凸面を向けた形状とすることで、第2レンズで発生した球面収差や色収差の良好な補正が可能になる。
【0026】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、第4レンズは、物体側の面、および像側の面を非球面とすることが望ましい。
【0027】
第4レンズの物体側の面、および像側の面を非球面とすることで、非点収差やコマ収差の良好な補正が可能になる。
【0028】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、第5レンズの光軸近傍における形状は、物体側の面が物体側に凹面を向け、像側の面が像側に凸面を向けていることが望ましく、さらに両面に非球面が形成されていることが望ましい。
【0029】
第5レンズの物体側の面を光軸近傍で物体側に凹面を向けた形状とし、非球面を形成することで、第5レンズの物体側の面に入射する光線の入射角度が小さく抑制され、像面湾曲の良好な補正が可能になる。また、像側の面を光軸近傍で像側に凸面を向けた形状とし、非球面を形成することで、コマ収差、非点収差、および歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0030】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、第6レンズは、光軸近傍で正の屈折力を有することが望ましい。さらに、第6レンズの光軸近傍における形状は、物体側の面が物体側に凸面を向けているとともに、像側の面が像側に凹面を向けていることが望ましい。
【0031】
第6レンズの屈折力を、光軸近傍で正とすることで、撮像レンズの低背化が容易になる。
【0032】
第6レンズの物体側の面を、光軸近傍で物体側に凸面を向けた形状とすることで、コマ収差、および像側の面で発生する非点収差、歪曲収差の良好な補正が可能になる。また、像側の面を光軸近傍で像側に凹面を向けた形状とすることで、非点収差、および歪曲収差の過剰な発生を抑制できる。
【0033】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、第6レンズの物体側の面に形成された非球面は、光軸上以外の位置に極点を有する形状が望ましい。
【0034】
第6レンズの物体側の面を、光軸上以外の位置に極点を有する非球面形状とすることで、非点収差、歪曲収差の補正をより良好に行うことができる。
【0035】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、第7レンズの物体側の面は、光軸近傍で物体側に凸面を向けており、光軸上以外の位置に極点を有する非球面形状とすることが望ましい。
【0036】
第7レンズの物体側の面を光軸近傍で物体側に凸面を向けた形状とし、かつ、光軸上以外の位置に極点を有する非球面を形成することで、歪曲収差の補正、および撮像素子への光線入射角度の制御をより良好に行うことができる。
【0037】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(1)を満足することが望ましい。
(1)40<νd7<70
ただし、第7レンズのd線に対するアッベ数である。
【0038】
条件式(1)は、第7レンズのアッベ数を規定するものである。条件式(1)の範囲を満足する材料を採用することで、倍率色収差の良好な補正が可能になる。
【0039】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(2)を満足することが望ましい。
(2)TTL/ih<2.0
ただし、TTLは光学全長、ihは最大像高である。
【0040】
条件式(2)は、最大像高に対する光学全長の比を適切な範囲に規定するものである。条件式(2)の範囲を満足することで、十分に低背化された撮像レンズが得られる。
【0041】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(3)を満足することが望ましい。
(3)1.50<νd5/νd6<3.50
ただし、νd5は第5レンズのd線に対するアッベ数、νd6は第6レンズのd線に対するアッベ数である。
【0042】
条件式(3)は、第5レンズ、および第6レンズのd線に対するアッベ数の関係を規定するものである。条件式(3)の範囲を満足する材料を採用することで、色収差の良好な補正が可能になる。
【0043】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(4)を満足することが望ましい。
(4)0.30<r2/f<4.00
ただし、r2は第1レンズの像側の面の近軸曲率半径、fは撮像レンズ全系の焦点距離である。
【0044】
条件式(4)は、第1レンズの像側の面の光軸近傍の形状を規定するものである。条件式(4)の範囲を満足することで、球面収差の良好な補正が可能になる。
【0045】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(5)を満足することが望ましい。
(5)-0.90<r9/f<0
ただし、r9は第5レンズの物体側の面の近軸曲率半径、fは撮像レンズ全系の焦点距離である。
【0046】
条件式(5)は、第5レンズの物体側の面の光軸近傍の形状を規定するものである。条件式(5)の範囲を満足することで、非点収差、およびコマ収差の良好な補正が可能になる。
【0047】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(6)を満足することが望ましい。
(6)0.20<r14/f<0.60
ただし、r14は第7レンズの像側の面の近軸曲率半径、fは撮像レンズ全系の焦点距離である。
【0048】
条件式(6)は、第7レンズの像側の面の光軸近傍の形状を規定するものである。条件式(6)の範囲を満足することで、光学全長を短く維持しながら、非点収差の良好な補正が可能になる。
【0049】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(7)を満足することが望ましい。
(7)0.50<(T1/TTL)×100<1.20
ただし、T1は第1レンズの像側の面から第2レンズの物体側の面までの光軸上の距離、TTLは光学全長である。
【0050】
条件式(7)は、第1レンズと第2レンズの光軸上の間隔を適切な範囲に規定するための条件である。条件式(7)の範囲を満足することで、撮像レンズの低背化を図りながら、諸収差をバランスよく補正することができる。
【0051】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、第1レンズは、光軸近傍で負、または正の屈折力を有するレンズになっている。
【0052】
第1レンズの屈折力を負にする場合、以下の条件式(8)を満足することが望ましい。
(8)-8.00<f1/f<-2.30
ただし、f1は第1レンズの焦点距離、fは撮像レンズ全系の焦点距離である。
【0053】
条件式(8)は、第1レンズの負の屈折力を適切な範囲に規定するものである。条件式(8)の範囲を満足することで、第2レンズで発生する球面収差を抑制する効果が高まり、良好な光学性能を維持することができる。
【0054】
第1レンズの屈折力を正にする場合、以下の条件式(9)を満足することが望ましい。
(9)1.00<f1/f<2.20
ただし、f1は第1レンズの焦点距離、fは撮像レンズ全系の焦点距離である。
【0055】
条件式(9)は、第1レンズの正の屈折力を適切な範囲に規定するものである。条件式(9)の範囲を満足することで、第2レンズで発生する球面収差を補正しながら、撮像レンズの低背化が容易になる。
【0056】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(10)を満足することが望ましい。
(10)0.50<f2/f<1.90
ただし、f2は第2レンズの焦点距離、fは撮像レンズ全系の焦点距離である。
【0057】
条件式(10)は、第2レンズの屈折力を適切な範囲に規定するものである。条件式(10)の上限値を下回ることで、光学全長を短くでき、低背化が容易になる。一方、条件式(10)の下限値を上回ることで、球面収差の発生を抑え、良好な光学性能を維持することができる。
【0058】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(11)を満足することが望ましい。
(11)-5.30<f3/f<-1.30
ただし、f3は第3レンズの焦点距離、fは撮像レンズ全系の焦点距離である。
【0059】
条件式(11)は、第3レンズの屈折力を適切な範囲に規定するものである。条件式(11)の範囲を満足することで、球面収差、および軸上色収差の良好な補正が可能になる。
【0060】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(12)を満足することが望ましい。
(12)0.70<f5/f<2.50
ただし、f5は第5レンズの焦点距離、fは撮像レンズ全系の焦点距離である。
【0061】
条件式(12)は、第5レンズの屈折力を適切な範囲に規定するものである。条件式(12)の範囲を満足することで、光学全長を短くでき、低背化が容易になる。また、第5レンズのコバ部の厚みが薄くなり過ぎることを防ぎ、レンズの成型性を良好にする。
【0062】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(13)を満足することが望ましい。
(13)-2.00<f7/f<-0.70
ただし、f7は第7レンズの焦点距離、fは撮像レンズ全系の焦点距離である。
【0063】
条件式(13)は、第7レンズの屈折力を適切な範囲に規定するものである。条件式(13)の範囲を満足することで、低背化を維持しながら、バックフォーカスを適切に確保することが可能になる。また、撮像素子への光線入射角度を適切に制御することができる。
【0064】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(14)を満足することが望ましい。
(14)-1.00<r3/r4<0.20
ただし、r3は第2レンズの物体側の面の近軸曲率半径、r4は第2レンズの像側の面の近軸曲率半径である。
【0065】
条件式(14)は、第2レンズの物体側、および像側の面の近軸曲率半径を適切な範囲に規定するものである。条件式(14)の範囲を満足することにより、製造誤差感度の低減と、球面収差の抑制を両立できる。
【0066】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(15)を満足することが望ましい。
(15)1.10<r5/r6<2.50
ただし、r5は第3レンズの物体側の面の近軸曲率半径、r6は第3レンズの像側の面の近軸曲率半径である。
【0067】
条件式(15)は、第3レンズの物体側、および像側の面の近軸曲率半径を適切な範囲に規定するものである。条件式(15)の範囲を満足することにより、球面収差、および軸上色収差の補正が容易になり、良好な光学性能を維持することができる。
【0068】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(16)を満足することが望ましい。
(16)1.00<r9/r10<2.40
ただし、r9は第5レンズの物体側の面の近軸曲率半径、r10は第5レンズの像側の面の近軸曲率半径である。
【0069】
条件式(16)は、第5レンズの物体側、および像側の面の近軸曲率半径を適切な範囲に規定するものである。条件式(16)の範囲を満足することにより、非点収差の補正が容易になり、良好な光学性能を維持することができる。また、第5レンズのコバ部の厚みの確保が容易となる。
【0070】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(17)を満足することが望ましい。
(17)-0.50<r11/r12<5.00
ただし、r11は第6レンズの物体側の面の近軸曲率半径、r12は第6レンズの像側の面の近軸曲率半径である。
【0071】
条件式(17)は、第6レンズの物体側、および像側の面の近軸曲率半径を適切な範囲に規定するものである。条件式(17)の範囲を満足することにより、歪曲収差、および非点収差の補正が容易になり、良好な光学性能を維持することができる。
【0072】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(18)を満足することが望ましい。
(18)1.5<T3/T4<3.3
ただし、T3は第3レンズの像側の面から第4レンズの物体側の面までの光軸上の距離、T4は第4レンズの像側の面から第5レンズの物体側の面までの光軸上の距離である。
【0073】
条件式(18)は、第3レンズと第4レンズとの間隔、および第4レンズと第5レンズとの間隔を適切な範囲に規定するための条件である。条件式(18)の範囲を満足することにより、コマ収差、および非点収差等の良好な補正が可能になる。
【0074】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(19)を満足することが望ましい。
(19)0.04<D1/f<0.08
ただし、D1は第1レンズの光軸上の厚み、fは撮像レンズ全系の焦点距離である。
【0075】
条件式(19)は、第1レンズの光軸上の厚みを適切な範囲に規定するものである。条件式(19)の上限値を下回ることで、第1レンズの光軸上の厚みが厚くなり過ぎることを防ぎ、低背化をより容易なものとする。一方、条件式(19)の下限値を上回ることで、第1レンズの光軸上の厚みが薄くなり過ぎることを防ぎ、レンズの成型性を良好にする。
【0076】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(20)を満足することが望ましい。
(20)0.06<D5/f<0.18
ただし、D5は第5レンズの光軸上の厚み、fは撮像レンズ全系の焦点距離である。
【0077】
条件式(20)は、第5レンズの光軸上の厚みを適切な範囲に規定するものである。条件式(20)の上限値を下回ることで、第5レンズの光軸上の厚みが厚くなり過ぎることを防ぎ、低背化をより容易なものとする。一方、条件式(20)の下限値を上回ることで、第5レンズの光軸上の厚みが薄くなり過ぎることを防ぎ、レンズの成型性を良好にする。
【0078】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(21)を満足することが望ましい。
(21)0.07<D6/f<0.15
ただし、D6は第6レンズの光軸上の厚み、fは撮像レンズ全系の焦点距離である。
【0079】
条件式(21)は、第6レンズの光軸上の厚みを適切な範囲に規定するものである。条件式(21)の上限値を下回ることで、第6レンズの光軸上の厚みが厚くなり過ぎることを防ぎ、低背化をより容易なものとする。一方、条件式(21)の下限値を上回ることで、第6レンズの光軸上の厚みが薄くなり過ぎることを防ぎ、レンズの成型性を良好にする。
【0080】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(22)を満足することが望ましい。
(22)0.11<(Sag2F+Sag3R-Sag4F)/f<0.30
ただし、Sag2Fは第2レンズの物体側の面の有効径端部におけるサグ量、Sag3Rは第3レンズの像側の面の有効径端部におけるサグ量、Sag4Fは第4レンズの物体側の面の有効径端部におけるサグ量、fは撮像レンズ全系の焦点距離である。
【0081】
条件式(22)は、第2レンズの物体側の面、第3レンズの像側の面、および第4レンズの物体側の面の有効径端部におけるサグ量の関係を規定するものである。条件式(22)の範囲を満足することにより、球面収差の補正が容易になり、良好な光学性能を維持することができる。
【0082】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(23)を満足することが望ましい。
(23)TTL/EPD≦2.6
ただし、TTLは光学全長、EPDは入射瞳直径である。
【0083】
条件式(23)は、光学全長と入射瞳直径の関係を規定するものである。条件式(23)の範囲を満足することにより、光学全長を短くしながら、周辺光量の低下を抑制し、画面中心から周辺まで十分に明るい画像が得られる。
【0084】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(24)を満足することが望ましい。
(24)0.12<Bf/TTL<0.28
ただし、Bfはバックフォーカス、TTLは光学全長である。
【0085】
条件式(24)は、光学全長とバックフォーカスの関係を規定するものである。条件式(24)の範囲を満足することにより、適切なバックフォーカスを確保しながら低背化が可能となる。
【0086】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(25)を満足することが望ましい。
(25)0.04<(T1+T2)/Σ13d<0.12
ただし、T1は第1レンズの像側の面から第2レンズの物体側の面までの光軸上の距離、T2は第2レンズの像側の面から第3レンズの物体側の面までの光軸上の距離、Σ13dは第1レンズの物体側の面から第3レンズの像側の面までの光軸上の距離である。
【0087】
条件式(25)は、第1レンズから第3レンズまでの光軸上の間隔の関係を規定するものである。条件式(25)の範囲を満足することにより、光学全長を短くしながら、周辺光量の低下を抑制し、画面中心から周辺まで十分に明るい画像が得られる。
【0088】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、第1レンズ、第2レンズ、および第3レンズの合成屈折力は、正であることが望ましく、さらには以下の条件式(26)を満足することが望ましい。
(26)0.80<f123/f<1.50
ただし、f123は、第1レンズ、第2レンズ、および第3レンズの合成焦点距離、fは撮像レンズ全系の焦点距離である。
【0089】
第1レンズ、第2レンズ、および第3レンズの合成屈折力を正にすることで、撮像レンズの低背化、および球面収差と軸上色収差の良好な補正が可能になる。
【0090】
条件式(26)は、第1レンズ、第2レンズ、および第3レンズの合成屈折力を適切な範囲に規定するものである。条件式(26)の範囲を満足することにより、撮像レンズの低背化を図りながら、球面収差、および軸上色収差のより良好な補正が可能になる。
【発明の効果】
【0091】
本発明により、広角化、低背化、低Fナンバー化の要求をバランスよく満足するとともに、諸収差が良好に補正された解像力の高い撮像レンズを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【
図1】本発明の実施例1の撮像レンズの概略構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施例1の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
【
図3】本発明の実施例2の撮像レンズの概略構成を示す図である。
【
図4】本発明の実施例2の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
【
図5】本発明の実施例3の撮像レンズの概略構成を示す図である。
【
図6】本発明の実施例3の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
【
図7】本発明の実施例4の撮像レンズの概略構成を示す図である。
【
図8】本発明の実施例4の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
【
図9】本発明の実施例5の撮像レンズの概略構成を示す図である。
【
図10】本発明の実施例5の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
【
図11】本発明の実施例6の撮像レンズの概略構成を示す図である。
【
図12】本発明の実施例6の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
【
図13】本発明の実施例7の撮像レンズの概略構成を示す図である。
【
図14】本発明の実施例7の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
【
図15】本発明の実施例に係る撮像レンズについて、第2レンズの物体側の面の有効径端部におけるサグ量Sag2F、第3レンズの像側の面の有効径端部におけるサグ量Sag3R、および第4レンズの物体側の面の有効径端部におけるサグ量Sag4Fを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0093】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0094】
【0095】
図1に示すように、本実施形態の撮像レンズは、物体側から像側に向かって順に、第1レンズL1と、開口絞りSTと、光軸Xの近傍で正の屈折力を有する第2レンズL2と、光軸Xの近傍で負の屈折力を有する第3レンズL3と、第4レンズL4と、光軸Xの近傍で正の屈折力を有する第5レンズL5と、両面に非球面が形成された第6レンズL6と、光軸Xの近傍で負の屈折力を有し、像側の面が光軸Xの近傍で像側に凹面を向けているとともに光軸X上以外の位置に極点を有する非球面が形成されている第7レンズL7と、から構成されている。
【0096】
また、第7レンズL7と撮像面IMG(すなわち、撮像素子の撮像面)との間には赤外線カットフィルタやカバーガラス等のフィルタIRが配置されている。なお、このフィルタIRは省略することが可能である。
【0097】
開口絞りSTは、第1レンズL1と第2レンズL2の間に配置しているため、低Fナンバー化、および横収差の良好な補正の両立が図られている。
【0098】
第1レンズL1は、光軸Xの近傍で負の屈折力を有している。また、光軸Xの近傍における形状は、物体側の面が物体側に凸面を向け、像側の面が像側に凹面を向けたメニスカス形状になっている。そのため、第2レンズL2で発生する球面収差を抑制している。
【0099】
また、第1レンズL1の物体側の面は、光軸X上以外の位置に極点を有する非球面を形成している。これにより、第2レンズL2への周辺部に入射する光線の入射角度が制御され、球面収差の抑制をより容易なものとしている。
【0100】
なお、第1レンズL1の屈折力は、実施例1、実施例2、実施例3、および実施例4が負の屈折力に設定した例であり、実施例5、実施例6、および実施例7は、正に設定した例である。
【0101】
第1レンズL1の屈折力を負に設定すれば、第2レンズL2で発生する球面収差を抑制する効果が高まり、正に設定すれば、第2レンズL2で発生する球面収差を抑制しながら低背化を容易にする。
【0102】
第2レンズL2は、光軸Xの近傍で正の屈折力を有している。また、光軸Xの近傍における形状は、物体側、および像側に凸面を向けた両凸形状になっている。そのため、製造誤差感度を低減しながら、低背化が図られている。
【0103】
なお、第2レンズL2の像側の面は、光軸Xの近傍で像側に凹面を向けた形状であってもよい。この場合、製造誤差感度をさらに低減でき、量産性を高めることができる。
【0104】
第3レンズL3は、光軸Xの近傍で負の屈折力を有している。また、光軸Xの近傍における形状は、物体側の面が物体側に凸面を向け、像側の面が像側に凹面を向けている。そのため、第2レンズL2で発生した球面収差、色収差が良好に補正されている。
【0105】
また、第3レンズL3の像側の面は、全体が像側に向かって凹形状に形成されている。これにより、第4レンズL4に入射する周辺部の光線は、小さな入射角度になるよう導かれる。
【0106】
第4レンズL4は、光軸Xの近傍で負の屈折力を有している。また、光軸Xの近傍における形状は、物体側の面が物体側に凸面を向け、像側の面が像側に凹面を向けている。また、第4レンズL4の屈折力は、撮像レンズを構成する7枚のレンズのうち最も弱く設定されている。そのため、低背化を維持しながら、コマ収差、非点収差がバランスよく補正されている。
【0107】
また、第4レンズL4は、両面に非球面が形成されている。物体側の面は、光軸Xの近傍で物体側に凸面を向けていたものが、周辺部では物体側に凹面を向けるよう変化し、像側の面は、光軸Xの近傍で像側に凹面を向けていたものが、周辺部では像側に凸面を向けるよう変化している。すなわち光軸Xの近傍では物体側に凸面を向けたメニスカス形状であったものが、周辺部では物体側に凹面を向けたメニスカス形状に反転する。これにより、第5レンズL5に入射する周辺部の光線が、小さな入射角度になるよう導かれる。
【0108】
第5レンズL5は、光軸Xの近傍で正の屈折力を有している。また、光軸Xの近傍における形状は、物体側の面が物体側に凹面を向け、像側の面が像側に凸面を向けているとともに、両面に非球面が形成されている。そのため、低背化を図りながら、非点収差、歪曲収差が良好に補正されている。
【0109】
第6レンズL6は、光軸Xの近傍で正の屈折力を有している。また、光軸Xの近傍における形状は、物体側の面が物体側に凸面を向け、像側の面が像側に凹面を向けている。また、両面に非球面が形成されており、物体側の面は極点を有する非球面形状になっている。そのため、非点収差、歪曲収差が良好に補正されている。
【0110】
なお、第6レンズL6の屈折力は、実施例6のように、光軸Xの近傍で負であってもよい。また、実施例5、および実施例7のように、第6レンズL6の像側の面は、光軸Xの近傍で像側に凸面を向けた形状であってもよい。光軸Xの近傍で両面を凸面にすれば、強い曲率になることが抑制され、製造誤差感度が低減する。
【0111】
第7レンズL7は、光軸Xの近傍で負の屈折力を有している。また、光軸Xの近傍における形状は、物体側の面が物体側に凸面を向け、像側の面が像側に凹面を向けている。さらに、両面に非球面が形成されており、両面ともに極点を有する非球面形状になっている。そのため、歪曲収差の補正と、撮像素子への光線入射角度の制御がより良好に行われている。
【0112】
本実施の形態に係る撮像レンズは、第1レンズL1から第7レンズL7のすべてが、それぞれ単レンズで構成されていることが望ましい。単レンズのみの構成は、非球面を多用することができる。本実施形態においては、すべてのレンズ面に適切な非球面を形成することで、良好な諸収差の補正が行われている。また、接合レンズを採用する場合に比較して工数を削減できるため、低コストで製作することが可能である。
【0113】
また、本実施の形態に係る撮像レンズは、すべてのレンズにプラスチック材料を採用することで製造を容易にし、低コストでの大量生産を可能にしている。
【0114】
なお、採用するレンズ材料はプラスチック材料に限定されるものではない。ガラス材料を採用することで、さらなる高性能化を目指すことも可能である。また、すべてのレンズ面を非球面で形成することが望ましいが、要求される性能によっては、製造が容易な球面を採用してもよい。
【0115】
さらに、本実施形態に係る撮像レンズは、開口絞りST以外に、遮光絞りSHを、レンズ間に配置してもよい。低Fナンバー化を図る場合、軸外の諸収差、特にコマ収差の補正が困難になる。この課題を解決するため、開口絞りST以外に遮光絞りSHを配置し、最大像高付近の光線の一部を遮断することで、コマ収差を抑制することができる。実施例3、および実施例4は、第3レンズL3と第4レンズL4との間に遮光絞りSHを配置した例であり、1.5程度の低Fナンバーでありながらも良好な光学性能を得ている。
【0116】
本実施形態における撮像レンズは、以下の条件式(1)から(26)を満足することにより、好ましい効果を奏するものである。
(1)40<νd7<70
(2)TTL/ih<2.0
(3)1.5<νd5/νd6<3.5
(4)0.30<r2/f<4.00
(5)-0.90<r9/f<0
(6)0.20<r14/f<0.60
(7)0.50<(T1/TTL)×100<1.20
(8)-8.00<f1/f<-2.30
(9)1.00<f1/f<2.20
(10)0.50<f2/f<1.90
(11)-5.30<f3/f<-1.30
(12)0.70<f5/f<2.50
(13)-2.00<f7/f<-0.70
(14)-1.00<r3/r4<0.20
(15)1.10<r5/r6<2.50
(16)1.00<r9/r10<2.40
(17)-0.50<r11/r12<5.00
(18)1.5<T3/T4<3.3
(19)0.04<D1/f<0.08
(20)0.06<D5/f<0.18
(21)0.07<D6/f<0.15
(22)0.11<(Sag2F+Sag3R-Sag4F)/f<0.30
(23)TTL/EPD≦2.6
(24)0.12<Bf/TTL<0.28
(25)0.04<(T1+T2)/Σ13d<0.12
(26)0.80<f123/f<1.50
ただし、
TTL:光学全長
f:撮像レンズ全系の焦点距離
f1:第1レンズL1の焦点距離
f2:第2レンズL2の焦点距離
f3:第3レンズL3の焦点距離
f5:第5レンズL5の焦点距離
f7:第7レンズL7の焦点距離
f123:第1レンズL1、第2レンズL2、および第3レンズL3の合成焦点距離
r2:第1レンズL1の像側の面の近軸曲率半径
r3:第2レンズL2の物体側の面の近軸曲率半径
r4:第2レンズL2の像側の面の近軸曲率半径
r5:第3レンズL3の物体側の面の近軸曲率半径
r6:第3レンズL3の像側の面の近軸曲率半径
r9:第5レンズL5の物体側の面の近軸曲率半径
r10:第5レンズL5の像側の面の近軸曲率半径
r11:第6レンズL6の物体側の面の近軸曲率半径
r12:第6レンズL6の像側の面の近軸曲率半径
r14:第7レンズL7の像側の面の近軸曲率半径
D1:第1レンズL1の光軸X上の厚み
D5:第5レンズL5の光軸X上の厚み
D6:第6レンズL6の光軸X上の厚み
T1:第1レンズL1の像側の面から第2レンズL2の物体側の面までの光軸X上の距離
T2:第2レンズL2の像側の面から第3レンズL3の物体側の面までの光軸X上の距離
T3:第3レンズL3の像側の面から第4レンズL4の物体側の面までの光軸X上の距離
T4:第4レンズL4の像側の面から第5レンズL5の物体側の面までの光軸X上の距離
Σ13d:第1レンズL1の物体側の面から第3レンズL3の像側の面までの光軸X上の距離
νd5:第5レンズL5のd線に対するアッベ数
νd6:第6レンズL6のd線に対するアッベ数
νd7:第7レンズL7のd線に対するアッベ数
Sag2F:第2レンズL2の物体側の面の有効径端部におけるサグ量
Sag3R:第3レンズL3の像側の面の有効径端部におけるサグ量
Sag4F:第4レンズL4の物体側の面の有効径端部におけるサグ量
Bf:バックフォーカス
EPD:入射瞳直径
ih:最大像高
【0117】
なお、上記の各条件式をすべて満足する必要はなく、それぞれの条件式を単独に満たすことで、各条件式に対応した作用効果を得ることができる。
【0118】
また、本実施形態における撮像レンズは、以下の条件式(1a)から(26a)を満足することにより、より好ましい効果を奏するものである。
(1a)40<νd7<60
(2a)TTL/ih<1.75
(3a)1.8<νd5/νd6<2.8
(4a)0.30<r2/f<3.7
(5a)-0.75<r9/f<0
(6a)0.25<r14/f<0.53
(7a)0.55<(T1/TTL)×100<1.00
(8a)-5.00<f1/f<-2.80
(9a)1.20<f1/f<2.00
(10a)0.63<f2/f<1.70
(11a)-4.90<f3/f<-1.55
(12a)0.85<f5/f<2.20
(13a)-1.80<f7/f<-0.80
(14a)-0.85<r3/r4<0.10
(15a)1.50<r5/r6<2.40
(16a)1.30<r9/r10<2.20
(17a)-0.32<r11/r12<4.50
(18a)1.8<T3/T4<3.0
(19a)0.04<D1/f<0.07
(20a)0.08<D5/f<0.17
(21a)0.07<D6/f<0.13
(22a)0.12<(Sag2F+Sag3R-Sag4F)/f<0.27
(23a)TTL/EPD≦2.40
(24a)0.14<Bf/TTL<0.26
(25a)0.05<(T1+T2)/Σ13d<0.11
(26a)1.00<f123/f<1.35
ただし、各条件式の符号は前の段落での説明と同様である。
【0119】
本実施形態において、レンズ面の非球面に採用する非球面形状は、光軸方向の軸をZ、光軸に直交する方向の高さをH、近軸曲率半径をR、円錐係数をk、非球面係数をA4、A6、A8、A10、A12、A14、A16としたとき数式1により表わされる。
【0120】
【0121】
次に、本実施形態に係る撮像レンズの実施例を示す。各実施例において、fは撮像レンズ全系の焦点距離を、FnoはFナンバーを、ωは半画角を、ihは最大像高を、TTLは光学全長をそれぞれ示す。また、iは物体側から数えた面番号、rは近軸曲率半径、dは光軸上のレンズ面間の距離(面間隔)、Ndはd線(基準波長)の屈折率、νdはd線に対するアッベ数をそれぞれ示す。なお、非球面に関しては、面番号iの後に*(アスタリスク)の符号を付加して示す。
【0122】
(実施例1)
【0123】
基本的なレンズデータを以下の表1に示す。
【0124】
【0125】
実施例1は、表8に示すように条件式(1)から(8)、および条件式(10)から(26)を満たしている。
【0126】
図2は実施例1の撮像レンズについて、球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)を示したものである。球面収差図は、F線(486nm)、d線(588nm)、C線(656nm)の各波長に対する収差量を示している。また、非点収差図にはサジタル像面Sにおけるd線の収差量(実線)、タンジェンシャル像面Tにおけるd線の収差量(破線)をそれぞれ示している(
図4、
図6、
図8、
図10、
図12、
図14においても同じ)。
図2に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
【0127】
(実施例2)
【0128】
基本的なレンズデータを以下の表2に示す。
【0129】
【0130】
実施例2は、表8に示すように条件式(2)から(8)、および条件式(10)から(26)を満たしている。
【0131】
図4は実施例2の撮像レンズについて、球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)を示したものである。
図4に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
【0132】
(実施例3)
【0133】
基本的なレンズデータを以下の表3に示す。
【0134】
【0135】
実施例3は、表8に示すように条件式(2)から(8)、および条件式(10)から(26)を満たしている。
【0136】
図6は実施例3の撮像レンズについて、球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)を示したものである。
図6に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
【0137】
(実施例4)
【0138】
基本的なレンズデータを以下の表4に示す。
【0139】
【0140】
実施例4は、表8に示すように条件式(1)から(8)、および条件式(10)から(26)を満たしている。
【0141】
図8は実施例4の撮像レンズについて、球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)を示したものである。
図8に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
【0142】
(実施例5)
【0143】
基本的なレンズデータを以下の表5に示す。
【0144】
【0145】
実施例5は、表8に示すように条件式(1)から(7)、および条件式(9)から(26)を満たしている。
【0146】
図10は実施例5の撮像レンズについて、球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)を示したものである。
図10に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
【0147】
(実施例6)
【0148】
基本的なレンズデータを以下の表6に示す。
【0149】
【0150】
実施例6は、表8に示すように条件式(1)から(7)、および条件式(9)から(26)を満たしている。
【0151】
図12は実施例6の撮像レンズについて、球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)を示したものである。
図12に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
【0152】
(実施例7)
【0153】
基本的なレンズデータを以下の表7に示す。
【0154】
【0155】
実施例7は、表8に示すように条件式(1)から(7)、および条件式(9)から(26)を満たしている。
【0156】
図14は実施例7の撮像レンズについて、球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)を示したものである。
図14に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
【0157】
表8に実施例1から実施例7に係る条件式(1)から(26)の値を示す。
【0158】
【産業上の利用可能性】
【0159】
本発明に係る撮像レンズを、カメラ機能を備える製品へ適用した場合、当該カメラの広角化、低背化、および低Fナンバー化への寄与とともに、高性能化を図ることができる。
【符号の説明】
【0160】
ST 開口絞り
L1 第1レンズ
L2 第2レンズ
L3 第3レンズ
L4 第4レンズ
L5 第5レンズ
L6 第6レンズ
L7 第7レンズ
ih 最大像高
IR フィルタ
IMG 撮像面
SH 遮光絞り