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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】天井の下地構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/24 20060101AFI20221207BHJP
   E04B 9/18 20060101ALI20221207BHJP
   E04B 9/30 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
E04B9/24 B
E04B9/18 H
E04B9/30 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018202242
(22)【出願日】2018-10-26
(65)【公開番号】P2020066977
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000177139
【氏名又は名称】三洋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金井 貴浩
【審査官】沖原 有里奈
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-526547(JP,A)
【文献】特開2007-291761(JP,A)
【文献】特開2012-047010(JP,A)
【文献】特開2015-098761(JP,A)
【文献】特開平08-189131(JP,A)
【文献】特開2005-214004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/00-9/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井の下地材として、天井部に並べて配置された下地棒材、及び当該下地棒材の下側に配置された天井板材を有する天井の下地構造において、
開口部が横向きに形成された断面コの字状かつ長尺状の保持部材を具備し、
天井際の壁部に、上記保持部材を横向き且つ上記開口部を内側に向けて配置し、これを上記壁部に固定し、
上記下地棒材と交差する上記保持部材の開口部に、上記下地棒材の長尺方向の端部を差し込み、
上記保持部材の上記開口部を形成する上板部に、当該上板部の長尺方向に沿って形成され、且つ短尺方向に長い複数の長孔部を設け、
止着具を上記長孔部から挿通させ、その一部を上記上板部の上部から突出させた状態で上記下地棒材の上部に固定し、
上記下地棒材とともに移動し、かつ上記長孔部の範囲内を移動する上記止着具により、上記下地棒材の移動範囲を制限し、
天井部の揺れ時には、上記下地棒材の端部が上記保持部材の内部を動することを特徴とする天井の下地構造。
【請求項2】
天井の下地材として、天井部に並べて配置された下地棒材、及び当該下地棒材の下側に配置された天井板材を有する天井の下地構造において、
開口部が横向きに形成された断面コの字状かつ長尺状の保持部材と、背面板部の下端部から横向きに横板部が形成された長尺状の受け部材と、を具備し、
天井際の壁部に、上記保持部材を横向き且つ上記開口部を内側に向けて配置し、また上記保持部材の下側に上記横板部が位置するよう上記受け部材を配置し、これらを上記壁部に固定し、
上記下地棒材と交差する上記保持部材の開口部に、上記下地棒材の長尺方向の端部を差し込み、併せて上記天井板材の端部を、上記受け部材の横板部の上部に配置し、
上記保持部材の上記開口部を形成する上板部に、当該上板部の長尺方向に沿って形成され、且つ短尺方向に長い複数の長孔部を設け、
止着具を上記長孔部から挿通させ、その一部を上記上板部の上部から突出させた状態で上記下地棒材の上部に固定し、
上記下地棒材とともに移動し、かつ上記長孔部の範囲内を移動する上記止着具により、上記下地棒材の移動範囲を制限し、
天井部の揺れ時には、上記下地棒材の端部が上記保持部材の内部を動することを特徴とする天井の下地構造。
【請求項3】
天井の下地材として、天井部に並べて配置された下地棒材、及び当該下地棒材の下側に配置された天井板材を有する天井の下地構造において、
上板部、縦板部及び下板部からなり、開口部が横向きに形成された断面コの字状かつ長尺状の保持部材と、
上下向きの背面板部、当該背面板部の下端部から横向きに形成された横板部、及び当該横板部の先端部を上向きに屈曲した板受け部からなる断面L字状かつ長尺状の受け部材と、を具備し、
天井際の壁部に、上記保持部材を横向き且つ上記開口部を内側に向けて配置し、また上記保持部材の下側に上記横板部が位置するように上記受け部材を配置し、上記保持部材の縦板部及び上記受け部材の背面板部を重ねて上記壁部に固定し、
上記下地棒材と交差する上記保持部材の開口部に、上記下地棒材の長尺方向の端部を差し込み、併せて上記天井板材の端部近傍の下部を上記受け部材の板受け部で保持し、
上記保持部材の上記開口部を形成する上記上板部に、当該上板部の長尺方向に沿って形成され、且つ短尺方向に長い複数の長孔部を設け、
止着具を上記長孔部から挿通させ、その一部を上記上板部の上部から突出させた状態で上記下地棒材の上部に固定し、
上記下地棒材とともに移動し、かつ上記長孔部の範囲内を移動する上記止着具により、上記下地棒材の移動範囲を制限し、
天井部の揺れ時には、上記下地棒材の端部が上記保持部材の内部を動し、同時に上記天井板材の端部近傍が上記板受け部に保持された状態で移動することを特徴とする天井の下地構造。
【請求項4】
上記下地棒材を、上記保持部材の開口部から、その奥行きの半分程度突入させたことを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の天井の下地構造。
【請求項5】
上記下地棒材を、上記天井板材が取り付けられる野縁材、又は当該野縁材を支持する野縁受け材としたことを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の天井の下地構造。
【請求項6】
上記天井の下地材は、天井基礎部から吊り下げた吊り具により支持される吊り天井を形成することを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の天井の下地構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井部の野縁材等の揺れを保護する天井の下地構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地震時等による建物の天井部の揺れに対し、これに対処するための天井構造が知られている。
【0003】
例えば、図7に示すように、特許文献1に記載の吊り天井の回り縁構造は、天井下地材と天井板材60の各側端部をそれぞれ被覆する第1見切材62、及びその上端との係合により側壁と天井板材60の間の空間を覆って側壁に沿って延在する第1目隠部材64等を備え、仮に、吊り天井が横揺れして天井板材60が側壁W方向に動いたときには、第1見切り材62が第1目隠部材64の下面に沿って側壁Wに向けて移動し、天井板材60が側壁Wから離れる方向に動いたときには、爪部66が鉤部68に係合し第1見切材62が傾斜するとともに後方に移動する。これにより、地震によって吊り天井が揺れたとき、天井下地材と天井板材60が当該建造物の側壁に衝突して破損し、落下するのを防止するというものである。
【0004】
また、特許文献2の野縁構造は、対向する壁部にそれぞれ長尺状の下地材が水平方向に取り付けられ、対向して配された該下地材の室内側に長尺状の壁際野縁が取り付けられ、対向して配された該壁際野縁間に複数の野縁を架設し、これら野縁の端面等に防振パッキンを介在させたことから、下地材からの振動(水平方向)を野縁等の天井部に伝えないようにした天井構造を実現するというものである。
【0005】
特許文献3に記載の天井構造は、吊りボルトによって支持された天井下地に天井板材が取り付けられた第1天井構造部と、上記天井板材よりも質量が軽くされた軽量天井板材を、上記吊りボルトよりも短い短吊りボルトに支持されている変形可能なワイヤーで吊るした第2天井構造部とを備えることで、地震時の揺れなどで天井が脱落するのを抑制でき、また異なる構造の第1天井構造部と第2天井構造部との天井高さを等しくすることができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-108249号公報
【文献】特開平10-96292号公報
【文献】特開2016-108752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
さて、上記特許文献1の吊り天井の回り縁構造は、構造等が複雑で施工も容易でなく、また天井周囲の際部に第1見切材と第1目隠部材による溝が形成されているため、天井の美観にも欠けるという問題がある。
【0008】
特許文献2の野縁構造では、防振パッキンにより水平方向の振動が吸収されるものの、天井板材に対する配慮がないため振動により天井板材が破損する虞れも考えられ、また特許文献3の天井構造では、天井下地に第1及び第2構造部を備えているため構造が複雑で、施工にも手間取るという問題がある。
【0009】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、天井部の揺れに対して、天井の下地材等を揺れから免震保護し、また簡単な構造で施工性にも優れた天井の下地構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の技術的課題を解決するため、本発明は、天井の下地材として、天井部に並べて配置された下地棒材4(2)、及び当該下地棒材の下側に配置された天井板材6を有する天井の下地構造において、開口部9が横向きに形成された断面コの字状かつ長尺状の保持部材8を具備し、天井際の壁部12に、上記保持部材8を横向き且つ上記開口部9を内側に向けて配置し、これを上記壁部に固定し、上記下地棒材と交差する上記保持部材8の開口部9に、上記下地棒材の長尺方向の端部を差し込み、天井部の揺れ時には、上記下地棒材の端部が上記保持部材8の内部を自在に移動する構成である。
【0011】
また、本発明は、天井の下地材として、天井部に並べて配置された下地棒材4(2)、及び当該下地棒材の下側に配置された天井板材6を有する天井の下地構造において、開口部9が横向きに形成された断面コの字状かつ長尺状の保持部材8と、背面板部の下端部から横向きに横板部28が形成された長尺状の受け部材10と、を具備し、天井際の壁部12に、上記保持部材8を横向き且つ上記開口部9を内側に向けて配置し、また上記保持部材8の下側に上記横板部28が位置するよう上記受け部材10を配置し、これらを上記壁部に固定し、上記下地棒材と交差する上記保持部材8の開口部9に、上記下地棒材の長尺方向の端部を差し込み、併せて上記天井板材6の端部を、上記受け部材10の横板部28の上部に配置し、天井部の揺れ時には、上記下地棒材の端部が上記保持部材8の内部を自在に移動する構成である。
【0012】
また、本発明は、天井の下地材として、天井部に並べて配置された下地棒材4(2)、及び当該下地棒材の下側に配置された天井板材6を有する天井の下地構造において、上板部、縦板部16及び下板部からなり、開口部9が横向きに形成された断面コの字状かつ長尺状の保持部材8と、上下向きの背面板部26、当該背面板部の下端部から横向きに形成された横板部28、及び当該横板部の先端部を上向きに屈曲した板受け部30からなる断面L字状かつ長尺状の受け部材10と、を具備し、天井際の壁部12に、上記保持部材8を横向き且つ上記開口部9を内側に向けて配置し、また上記保持部材8の下側に上記横板部28が位置するように上記受け部材10を配置し、上記保持部材8の縦板部16及び上記受け部材10の背面板部26をそれぞれ上記壁部に固定し、上記下地棒材と交差する上記保持部材8の開口部9に、上記下地棒材の長尺方向の端部を差し込み、併せて上記天井板材6の端部近傍の下部を上記受け部材10の板受け部30で保持し、天井部の揺れ時には、上記下地棒材の端部が上記保持部材8の内部を自在に移動し、同時に上記天井板材6の端部近傍が上記板受け部30に保持された状態で移動する構成である。
【0013】
また、本発明に係る天井の下地構造は、上記保持部材8の上記開口部9を形成する上板部14に、当該上板部の長尺方向に沿って形成され、且つ短尺方向に長い複数の長孔部20を設け、止着具を上記長孔部20から挿通させ、その一部を上記上板部の上部から突出させた状態で上記下地棒材の上部に固定し、上記下地棒材とともに移動し、かつ上記長孔部20の範囲内を移動する上記止着具により、上記下地棒材の移動範囲を制限する構成である。
【0014】
本発明に係る天井の下地構造は、上記下地棒材を、上記保持部材8の開口部9から、その奥行きの半分程度突入させた構成である。
本発明に係る天井の下地構造は、上記下地棒材を、上記天井板材6が取り付けられる野縁材4、又は当該野縁材4を支持する野縁受け材2とした構成である。
上記天井の下地材は、天井基礎部から吊り下げた吊り具により支持される吊り天井を形成する構成である。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る天井の下地構造によれば、天井際の壁部に、保持部材を横向き且つ開口部を内側に向けて配置し、これを壁部に固定し、保持部材の開口部に下地棒材の長尺方向の端部を差し込み、天井部の揺れ時には、下地棒材の端部が保持部材の内部を自在に移動する構成としたから、地震時等による揺れに対して、天井の下地材等を揺れから保護し、下地材等の破損、落下等が防止でき、また構成が簡単で施工性にも優れるという効果を奏する。
【0016】
本発明に係る天井の下地構造によれば、天井際の壁部に、保持部材を横向き且つ開口部を内側に向けて配置し、また保持部材の下側に横板部が位置するよう受け部材を配置し、これらを壁部に固定し、保持部材の開口部に下地棒材の長尺方向の端部を差し込み、併せて天井板材の端部を、受け部材の横板部の上部に配置し、天井部の揺れ時には、下地棒材の端部が保持部材の内部を自在に移動する構成としたから、地震時等による揺れに対して、天井の下地材等を揺れから保護し、下地材等の破損、落下等が防止でき、また天井部の美観も維持されるという効果を奏する。
【0017】
本発明に係る天井の下地構造によれば、天井際の壁部に、保持部材を横向き且つ開口部を内側に向けて配置し、また保持部材の下側に横板部が位置するように受け部材を配置し、保持部材の縦板部及び受け部材の背面板部をそれぞれ壁部に固定し、保持部材の開口部に下地棒材の長尺方向の端部を差し込み、併せて天井板材を受け部材の板受け部で保持し、天井部の揺れ時には、下地棒材の端部が保持部材の内部を自在に移動し、同時に天井板材が板受け部に保持された状態で移動する構成としたから、地震時等による揺れに対して、天井の下地材等を揺れから保護し、下地材等の破損、落下等が防止でき、また天井部の美観も維持されるという効果を奏する。
【0018】
本発明に係る天井の下地構造によれば、保持部材の上板部に長孔部を設け、止着具を長孔部から挿通させて下地棒材に固定し、下地棒材の移動範囲を制限する構成としたから、下地棒材の移動が適切に制限され安全性が高まるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第一の実施の形態に係る天井の下地構造を示す部分図である。
図2】保持部材を示す図であり、(a)は側面図、(b)は斜視図をそれぞれ示す。
図3】受け部材を示す図であり、(a)は側面図、(b)は斜視図をそれぞれ示す。
図4】実施の形態に係る天井の下地構造として、長孔部に止着具を取り付けた状態を示す部分図である。
図5】実施の形態に係る天井の下地構造として、天井板材を二枚重ねた例を示す部分図である。
図6】第二の実施の形態に係る天井の下地構造を示す部分図である。
図7】従来例に係る吊り天井の回り縁構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、第一の実施の形態に係る天井の下地構造(一部)を示したものである。
天井の下地構造は、例えば、下地棒材(野縁受け材2、野縁材4)及び天井板材6等を、ハンガーなどで吊るした吊り天井が適用できる。この場合、天井基礎部から吊るしたハンガーに野縁受け材2を支持させ、また野縁材4は、野縁受け材2と交差(直交)する状態に配置し、クリップ3等を用いて野縁受け材2の下部に固定する。
【0021】
さらに、この天井の下地構造では、下地棒材としての野縁材4を保持する保持部材8、及び天井板材6を受けこれを保持する受け部材10等を用いる。これら保持部材8及び受け部材10は、建物の壁部12等に取り付けて使用され、また受け部材10は保持部材8の下側に配置される。
【0022】
図2(a)(b)に示すように、上記保持部材8は、上板部14、縦板部16及び下板部18からなり、開口部9が横向きに形成された断面コの字状の長尺材である。また、保持部材8の上板部14の先端部付近には、斜め上方に屈曲したガイド片部22が設けられている。さらに、保持部材8の上板部14には、上板部14の長尺方向に向け、短尺方向に長い長孔部20が所定間隔をおいて複数形成されている。この長孔部20には、ビス52等の止着具が挿通される。
ここで、保持部材8の上板部14の幅(L)は55mm、ガイド片部22の幅(M)は10mmとしている。保持部材8の縦板部16の高さ幅(内部側)(H)は40.5mm、下板部18の幅(N)は60mmとしている。また、保持部材8の板厚は0.6mmである。このように、保持部材8の上板部14の幅は下板部18の幅と同程度としている。
【0023】
上記保持部材8の上板部14及び下板部18の幅(L、N)は、地震時等の振動(揺れ)により、予測される天井部の野縁材4及び天井板材6の移動(水平方向)範囲等、を考慮して決定する。
なお、地震時等では建物の躯体(天井基礎部、壁部12等)が揺れ、これに伴い天井の下地材(野縁受け材2、野縁材4、天井板材6等)が揺れる場合、また建物内部の機械振動、風圧等により天井下地の構造物が揺れる場合等がある。また、地震時等には横揺れが多いが、震源により縦揺れが加わる場合がある。これら何れの場合も、建物の躯体と天井の下地材等とが相対的に変位し、振動、移動することが考えられる。
保持部材8の開口部9に先端部5を突入させた野縁材4は、保持部材8の内部を移動するが、これは壁部12の振動、移動による場合、野縁材4自体の移動、振動による場合があり、このため野縁材4と保持部材8間は変位し、野縁材4は保持部材8に対して相対的に移動する。
【0024】
また、保持部材8の縦板部16の高さ幅(H)は、この保持部材8の開口部9内を移動する野縁材4の縦幅に基づいて定める。この場合、保持部材8の上板部14と野縁材4の上面部46、また下板部18と野縁材4の下面部50との間に、保持部材8に対する野縁材4の相対移動を妨げないよう、隙間(遊び)をもたせておく。
【0025】
これにより、地震時等の横揺れに対しては、保持部材8は野縁材4の横(水平)方向の移動(振動)を自由に行わせ、また縦揺れに対しては、上下方向の移動(振動)を抑制する。なお、縦揺れの場合、建物の躯体と天井の下地材との相対的な変位は比較的少ないため、上下振動は抑制するのがむしろ有効である。
また、上記隙間(遊び)を少し広く設け、野縁材4の上部又は/及び下部と保持部材8(上板部14、下板部18)との間に弾性材を介在させ、野縁材4の上下移動を弾性吸収し、また軋み音等を防止するようにしてもよい。
【0026】
上記受け部材10は、図3(a)(b)に示すように、上下向きの背面板部26、この背面板部26の下端部から横向きに形成される横板部28、及び当該横板部28の先端部を上向きに屈曲した板受け部30からなる断面L字状の長尺材である。
上記板受け部30は、上向きの立上板部32、及びこの上部から壁部12方向(反壁部12方向の形状も可能)に向けて屈曲した受け片部34を有している。
【0027】
また、ここでは受け部材10の背面板部26の高さ幅(P)は100mm、横板部28の幅(Q)は60mm、立上板部32の高さ幅(R)は7.5mm、及び受け片部34の幅(S)は7mmとしている。ここで、受け部材10の横板部28の幅(Q)と、保持部材の下板部18の幅(N)とは、同じ大きさ(60mm)としており、野縁材4と天井板材6との移動の許容範囲を同じに合わせている。
上記保持部材8及び受け部材10は、何れも軽量鋼板をプレス加工等により屈曲成形したものであり、また何れも鋼板の板厚は0.6mmである。
【0028】
上記野縁受け材2は、鋼板を屈曲成形したものであり、上片部40、縦片部42及び下片部44からなる断面コの字状の長尺材である。また、上記野縁材4は、軽量鋼板を屈曲成形したもので、上面部46、左右の側面部48,48、及び下面部50からなる断面ロの字状の長尺材である。
図1に示すように、野縁材4は、通常クリップ3等を用いて野縁受け材2の下部に固定され、クリップ3の断面U字状の野縁受け部56で野縁材4を載置保持し、クリップ3の上部の係止部57を野縁受け材2の上片部40に係止させ、野縁材4を固定する。また、野縁受け材2等の天井の下地材は、天井基礎部から吊るしたハンガー等の吊り具によって支持する。
【0029】
さて、上記保持部材8及び受け部材10は、天井際の壁部12に配置固定する。具体的には、保持部材8及び受け部材10は、天井部に配置される各野縁材4の長尺方向の先端部側に配置する。これら野縁材4は、平行且つ所定の間隔をおいて並設される。
【0030】
ここで、上記保持部材8及び受け部材10を配置する天井の下地構造について説明する。
上記保持部材8及び受け部材10の配置形態については、矩形状の天井部の向い合う二辺の各部位に配置する形態、又は天井部の一辺の部位のみに配置する形態がある。なお、上記何れの配置形態についても、各辺の部位に配置する基本的な下地構造は同じである。
【0031】
保持部材8は、天井際の壁部12に、横向きに且つその開口部9を内側に向けて配置する。これと同時に、保持部材8の下側に受け部材10の横板部28が位置するよう、受け部材10を配置する。このとき、受け部材10の背面板部26を、保持部材8の縦板部16と壁部12との間に配置し、背面板部26と縦板部16とを重ねる。そして、ビス38を用い、縦板部16から背面板部26を貫通させ、これらを壁部12に螺設し固定する。
【0032】
上記壁部12の内部には、所定間隔でスタッド材15が骨組み材として一定間隔をおいて配置されている。これら上下向きのスタッド材15の上部に、保持部材8をビス38により螺設する。上記保持部材8のビス38による固定は、天井際の一辺部位の全体(端から端)にわたって行い、例えばスタッド材15毎に行う。天井際の一辺部位に配置されるスタッド材15は、複数本、例えば3本以上配置する。
通常、断面コの字状のスタッド材15の上部側及び下部側にはランナー材(断面コの字状)が配置され、これらランナー材の溝部にスタッド材の上端部及び下端部を嵌めて固定する。なお、保持部材8は上記ランナー材に取り付けることも可能である。
【0033】
次に、吊るされたハンガーに野縁受け材2を支持させ、所定間隔をおいて平行に配置された野縁受け材2の下部に、クリップ3を用いて野縁材4を取り付ける。野縁材4は、野縁受け材2の下部に野縁受け材2とは交差(直交)する方向に配置し、互いに所定の間隔を置き、各野縁材4同士を平行に並べて取り付ける。
そして、各野縁材4の長尺方向の先端部5と、天井際の壁部12との間は、地震時等により野縁材4或いは壁部12等が水平方向に揺れ移動(相対移動)することが予測される。
【0034】
このため、予測される範囲の移動(相対移動)を確保吸収し得るよう、野縁材4の先端部5と保持部材8の縦板部16との間に空間部11を設ける。この空間部11は、野縁材4の先端部5と壁部12との間の空間部に略相当する。また、野縁材4の長尺方向の両側の壁部12につき、これら両壁部12同士の間隔が変位することが予測される場合がある。
このように、上記移動(相対移動)が発生した場合、野縁材4の先端部5が保持部材8の内部を自由に移動できることが望ましい。このため、空間部11の空間幅(W)の寸法、および保持部材8の上板部14及び下板部18の幅を、適切な大きさに設定する。
【0035】
そして、部屋の壁部12に向けて配置される野縁材4の先端部5を、保持部材8の開口部9から内部に差し込む。このとき、野縁材4の先端部5が保持部材8のガイド片部22に案内され、野縁材4の差し込みが容易且つ迅速に行える。
【0036】
ここでは、壁部12と向き合う野縁材4の長尺方向の先端部5と、保持部材8の縦板部26との間の空間部11の空間幅(W)を30mmとしている。この場合、保持部材8の下板部18の幅(N)は60mmであるから、この奥行きの半分程度、野縁材4の先端部5が突入した状態である。このため、野縁材4は上記保持部材8に半分突入した位置を基準に、左右に±30mmの移動(振動)が可能となる。
また、野縁材4の下部に取り付けられる天井板材6は、その端部7を野縁材4の先端部5と同じ(同一垂直面)に揃えて配置し、天井板材6の端部7と壁部12との間も、上記空間幅(W)と同程度の幅の空間部(隙間部13)を確保する。
【0037】
そして、野縁材4の長尺方向の先端部5を、上記保持部材8の開口部9内に差し込む。このとき、野縁材4の先端部5と保持部材8の縦板部16との間(これは野縁材4の先端部5と壁部12との間の距離と略同じ)には、振動等により野縁材4が移動可能な余地として上記空間部11を設けておく。
【0038】
上記保持部材8に差し込まれた野縁材4は、野縁材4の長尺方向の移動が可能であるが、野縁材4が壁部12に沿う方向に移動することも可能であり、このため交差する二方向の揺れに対して振動を吸収することができる。
また、天井の下地材として、野縁材4等の揺れが必要以上にならないよう所定範囲に制限し、天井の下地材を保護することも考えられる。このため、ここでは保持部材8の上板部14に、壁部12に向けて長い長孔部20を設け、この長孔部20の長孔の範囲内に野縁材4の移動(相対)を制限することとした。
【0039】
上記上板部14の長尺方向に所定間隔をおいて設けられた長孔部20は、野縁材4の上面部46の幅寸法よりも狭い間隔で設けられており、野縁材4の上面部46には、常に何れかの長孔部20が位置するようにしている。この長孔部20は、上板部14の短尺方向の端部近傍から中央部にかけて長い孔状に形成されている。
【0040】
そして、図4に示すように、保持部材8の長孔部20の内、野縁材4の上面部46が下部に配置される箇所の長孔部20から、ビス52等の止着具を螺入する。また、ビス52と長孔部20(短尺側)との間、及びビス52の頭部53と保持部材8の上板部14との間にそれぞれ隙間を設け、保持部材8に対する野縁材4の相対移動の自由を妨げないようにする。このように、ビス51等の止着具はその一部(頭部等)を上板部14から突出させておく。なお、ビス52の他、長孔部20から挿通可能で野縁材4に固定できる棒状片の止着具であれば使用可能である。
【0041】
他の野縁材4についても、同様に、保持部材8の長孔部20から野縁材4の上部として上面部46にビス52を螺入し取り付ける。上記保持部材8の長孔部20からのビス52の取付けは、天井部の向い合う二辺の部位の内、野縁材4の一方側の端部が向かう部位のみ、或いは野縁材4の一方側及び他方側の両端部が向かう部位について行う。
地震時等の揺れにより、保持部材8に対して野縁材4が相対移動した場合、当該野縁材4の移動に伴い上記ビス52が長孔部20内を移動する。
【0042】
これにより野縁材4の移動、つまりこれと連動するビス52の移動は長孔部20の長孔の範囲に制限され、ビス52は野縁材4の移動の範囲を制限するストッパーの役割を果たす。なお、上記長孔部20及びビス52を用いた野縁材4の移動の制限手段は、予測される野縁材4等の揺れの大きさ、或いは保持部材8からの野縁材4の外れ防止等、必要に応じて採用する。
なお、野縁材4の揺れが、野縁材4の長尺方向のみならずこれと交差(直交)する方向にも発生し、この揺れを許容し吸収する必要がある場合には、上記長孔部20による制限機能は用いないでフリーな状態とすることもできる。
【0043】
上記野縁材4の下部には、天井板材6を取り付ける。ここでは、天井板材6の下面からビス54を捩じ込み、さらにこのビス54を野縁材4の下面部50に螺設し、天井板材6を野縁材4の下部に固定する。
【0044】
また、野縁材4の先端部5と天井板材6の壁部12に面する端部7とは、これらを揃えて(同一垂直面)配置する。天井板材6は野縁材4に固定されているため、野縁材4と天井板材6とは一体的に振動し移動する。このため、野縁材4の先端部5と天井板材6の端部7とを上記揃えることで、両材料が保持部材8及び受け部材10と関わる移動範囲を有効にかつ広く確保できる。
【0045】
保持部材8の下板部18は、野縁材4と天井板材6との間の隙間(G)に挟まれ、差し込まれる状態で取り付ける。このため、上記天井板材6をビス54で固定する際、保持部材8に近い位置のビス54については、少し緩めに天井板材6と野縁材4との間を締結する。
これにより、野縁材4の下面部50と天井板材6の上面部7との間に、保持部材8の下板部18が差し込める程度の隙間(G)を形成する。この隙間(G)により、野縁材4と天井板材6とが一体的に揺れた場合、野縁材4と天井板材6との間に保持部材8の下板部18を挟んだ状態で、この下板部18の上下面を両材料が摺動しながら移動する。
【0046】
一方、上記天井板材6の取り付けの際には、天井板材6の壁部12に面する端部7近傍を、受け部材10の板受け部30に載せる状態で配置する。
これにより、天井板材6の端部7近傍が受け部材10の板受け部30で支持され、また天井板材6の端部7近傍、及び天井板材6の端部7と壁部12との間の隙間部13の下側を受け部材10の横板部28が被い、目隠しの効果が得られ天井の際部の美観が図れる。
【0047】
上記保持部材8は、主に野縁材4(及び天井板材6)を保持し、その移動(所定範囲内)を許容し、また受け部材10は、天井板材6の移動を許容し、天井板材6の端部7近傍の下部を被う。このように、保持部材8及び受け部材10等により、野縁材4及び天井板材6の自由な移動(振動)を許容し、地震等の揺れに対して免震保護し、また天井の際部の美観も図れる天井の下地構造が形成される。
【0048】
天井部の向い合う二辺の各部位に、上記下地構造を配置する形態を採用することも可能である。この場合、上記天井部の一辺の部位に配置する形態と同様な形態の下地構造を、天井部の他の辺の部位に配置する。そして、この他の辺に係る下地構造についても、壁部12と向き合う野縁材4の長尺方向の先端部5と、保持部材8の縦板部26との間の空間部11の空間幅(W)を例えば30mmとする。
この場合、野縁材4(及び天井板材6)は、その先端部5を保持部材8の開口部9から内部へ差し込んだ状態(下板部18の幅(N)の半分)を基準に、野縁材4の長尺方向に±30mmの移動(振動)が可能となる。
【0049】
また、上記天井部の一辺部位のみに上記天井の下地構造を配置する形態を採用することも可能である。この場合、他方の辺の部位については、例えば野縁材4及び天井板材6は、ともに壁部12に当接した状態で配置する。このとき、野縁材4等は当接した壁部12方向へは移動できないが、これと向い合う他方の辺の部位の下地構造により、反壁部12方向の所定範囲については、振動による野縁材4の移動は自在に行える。
また、上記壁部12に当接させた野縁材4等を壁部12に固定することも可能であり、この場合、野縁材4は壁部12とともに移動し、他方の辺の部位については上記と同様、上記下地構造により野縁材4の自由な移動が可能である。
この天井の下地構造を採用した場合においても、保持部材8及び受け部材10を設けた側において、野縁材4の左右の移動が自由に行え、このため野縁材4の揺れを吸収することは可能であり、免震及び緩衝効果が発揮され天井の下地材等の保護が可能である。
【0050】
図5は、天井板材6を二枚重ねて使用した場合の例である。ここでは、野縁材4の下部に天井板材6を二枚重ねて配置し、下側の天井板材6の下面からビス54を捩じ込み、さらにこのビス54を野縁材4の下面部50に螺設し、二枚の天井板材6を野縁材4の下部に固定する。
この場合、天井板材6の下面の位置が天井板材6の一枚分下がる。このため、これに応じて受け部材10の取付け位置を下げ、受け部材10の板受け部30により下側の天井板材6の下面を保持できる位置に設定する。このように、天井板材6の下面の上下位置が変わる場合は、これに応じて受け部材10の上下位置を調整する。その他の構成、作用等は、天井板材6が一枚の場合と同様である。
【0051】
さて、地震時等には、建物の躯体(壁部12等)及び天井部の下地材(野縁受け材2、野縁材4、天井板材6等)は激しく揺れ、また野縁材4及び天井板材6等は保持部材8及び受け部材10に対して相対移動(振動)する。通常、壁部12等と天井部の野縁材4等との間の相対移動により、両者間に歪み、衝突等が発生することが予測される。
【0052】
この場合、上記天井の下地構造によれば、野縁材4が保持部材8の開口部9内を自由に移動し、併せて天井板材6の端部近傍が板受け部30に保持された状態で、野縁材4と一体に移動する。このため、地震時等の揺れに対して、野縁材4の先端部5が保持部材8内を自在に移動して緩衝効果が発揮され、壁部12等と天井下地材としての野縁材4等との間の歪み、衝突等が軽減され緩和される。
【0053】
このように、上記天井の下地構造では、壁部12等と野縁材4及び天井板材6等との間の振動(相対的変位)を吸収緩和する免震効果が発揮され、天井の下地材等が有効に保護される。特に、天井下地材(野縁受け材2、野縁材4、天井板材6等)をハンガー等で吊るした吊り天井の場合、上記相対的な変位が大きくなることが予測され、上記天井の下地構造が有効に適用できる。
【0054】
従って、地震時等による揺れを上記天井の下地構造の機構が吸収し、壁部12に追従して野縁材4等が強制的に移動振動することが軽減され、天井の下地構造に係る下地材(野縁材4、天井板材6等)の破損或いは落下等が防止できる。また、保持部材8の上板部14及び下板部18により、野縁材4の上下振動(揺れ)が抑制され、天井の下地構造に係る材料の破損或いは落下等が防止でき、また受け部材10についても同様な効果が期待できる。
【0055】
よって、第一の実施の形態に係る天井の下地構造によれば、地震時等による揺れに対して、天井の下地材等を揺れから保護して免震、耐震効果が発揮され、下地材等の破損、落下等の防止に寄与し、また天井部の美観も維持され、加えて構成が簡単であり施工性にも優れるという効果がある。
【0056】
次に、図6に示す第二の実施の形態について説明する。この実施の形態に係る天井の下地構造では、下地棒材としての野縁受け材2と天井板材6等に対して、保持部材8及び受け部材10を適用する形態について説明する。
ここでは、保持部材8及び受け部材10の形状等、及び野縁受け材2と天井板材6等の揺れの形態等は、上記実施の形態と同様であり、また同一のものについては同一の符号を用いてここでの詳細な説明は省略する。
【0057】
さて、保持部材8及び受け部材10等は、天井部に配置される各野縁受け材2の長尺方向の先端部側に配置、固定する。各野縁受け材2は、天井部に平行且つ所定の間隔をおいて配置され、各野縁受け材2の下部には野縁材4及び天井板材6が取り付けられ、これら各材料の形状、取り付け形態等は上記実施の形態と同様である。
【0058】
ここで、例えば平面矩形状の天井部の4辺の部位の内、向かい合う二辺の各部位の天井際の上記壁部12に対して、これら壁部12とは直交する関係に天井際の壁部12が配置される場合を想定する。
上記保持部材8は、上記壁部12に横向きに且つその開口部9を内側に向けて配置し、同時に受け部材10を配置し、その横板部28を保持部材8の下側に設ける。そして、ビス38を用い、保持部材8の縦板部16を壁部12(スタッド材15)に螺設、併せて受け部材10の背面板部26を壁部12に螺設し、これらを同時に固定する。
【0059】
次に、天井基礎部等に取り付けたハンガーに野縁受け材2を取り付けて支持させ、所定間隔をおいて野縁受け材2を互いに平行に配置する。各野縁受け材2の長尺方向の先端部17と、天井際の保持部材8の縦板部16(壁部12に相当)との間は、振動等による移動のための空間部11を設けておく。
【0060】
そして、部屋の一方の壁部12及びこれと向かい合う他方の壁部12に向け、野縁受け材2を配置し、上記保持部材8の開口部9から、上記各野縁受け材2の長尺方向の先端部17を差し込む。ここで、野縁受け材2と保持部材8の縦板部26との間の空間部11の空間幅(W)は例えば30mmとする。
続いて、野縁受け材2の下部に、クリップ3を用いて野縁材4を取り付ける。野縁材4は野縁受け材2とは交差(直交)する状態に配置し、各野縁材4同士を平行に並べて取り付ける。
【0061】
また、必要により保持部材8の上板部14の長孔部20から、ビス52を野縁受け材2の上部としての上片部40に螺入し取り付ける。他の野縁受け材2についても同様に、ビス52を螺入する。なお、上記長孔部20は、野縁受け材2の上片部40の幅寸法よりも狭い間隔で設ける。揺れにより、野縁受け材2が移動した場合、上記ビス52が長孔部20内を移動し、野縁受け材2の移動は、長孔部20の長孔の範囲に制限される。
【0062】
野縁材4の下部には、天井板材6を取り付ける。この場合、天井板材6の下部からビス54を捩じ込み、このビス54を野縁材4の下面部50に螺設し、天井板材6を野縁材4の下部に取り付け固定する。
そして、天井板材6の端部7を、受け部材10の板受け部30に載せる状態で配置する。これにより、天井板材6の端部7近傍は、受け部材10の板受け部30で支持され、また受け部材10の横板部28により、天井板材7と壁部12との間の隙間部13が被われ、目隠しの効果が得られる。
【0063】
またこの実施の形態においても、矩形状の天井部の一辺の部位又は向い合う二辺の各部位にこの天井の下地構造を配置する形態が可能である。
天井部の向い合う二辺の各部位に、この天井の下地構造を構築する場合、各保持部材8に野縁受け材2の先端部17をそれぞれ突入(奥行きの半分)させ、野縁受け材2及び天井板材6は、上記半分突入した状態を基準に、野縁受け材2の長尺方向に±30mmの移動(振動)が可能となる。
また、天井板材6と壁部12との間に、両者間の隙間部13を下から被う状態で受け部材10が配置され、このため天井の際部の美観が図れる。
【0064】
従って、地震時等による揺れを上記天井の下地構造の機構が吸収し、壁部12に追従して野縁受け材2等が移動振動することが軽減され、天井の下地構造に係る下地材(野縁受け材2、天井板材6等)の破損或いは落下等が防止できる。また、保持部材8により野縁受け材2の上下振動(揺れ)が抑制され、天井の下地構造に係る材料の破損或いは落下等が防止でき、また受け部材10についても同様な効果が期待できる。
【0065】
よって、第二の実施の形態に係る天井の下地構造によれば、地震時等による揺れに対して、天井の下地材等を揺れから保護して免震、耐震効果が発揮され、下地材等の破損、落下等が防止でき、また天井部の美観も維持され、施工性にも優れるという効果がある。
【0066】
尚、上記第一の実施の形態と第二の実施の形態とを組み合わせた実施の形態として、野縁材4と天井板材6に対して、また野縁受け材2と天井板材6に対して、それぞれ保持部材8及び受け部材10を適応する形態を同時に使用することも可能である。
【0067】
この場合、部屋の一方側の向き合う壁部12の一方又は双方に、野縁材4を受ける保持部材8及び受け部材10を配置し、他方側の向き合う壁部12の一方又は双方に、野縁受け材2を受ける保持部材8及び受け部材10を配置する。
この実施の形態についても、上記実施の形態と同様の効果が得られ、さらに天井部の複数方向、例えば一方向及びこれと交差する他の方向等からの揺れにも対処可能である。
【符号の説明】
【0068】
2 下地棒材(野縁受け材)
4 下地棒材(野縁材)
6 天井板材
8 保持部材
9 開口部
10 受け部材
12 壁部
14 上板部
16 縦板部
18 下板部
20 長孔部
26 背面板部
28 横板部
30 板受け部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7