(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】重合体組成物および当該重合体組成物から形成される制振材
(51)【国際特許分類】
C08L 21/00 20060101AFI20221207BHJP
C08L 23/16 20060101ALI20221207BHJP
C08L 23/20 20060101ALI20221207BHJP
C08L 77/10 20060101ALI20221207BHJP
C08L 91/08 20060101ALI20221207BHJP
C08K 7/02 20060101ALI20221207BHJP
F16F 15/02 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
C08L21/00
C08L23/16
C08L23/20
C08L77/10
C08L91/08
C08K7/02
F16F15/02 Q
(21)【出願番号】P 2018208015
(22)【出願日】2018-11-05
【審査請求日】2021-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 友則
(72)【発明者】
【氏名】竹内 文人
【審査官】櫛引 智子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/143599(WO,A1)
【文献】特開平05-149331(JP,A)
【文献】特開2009-154732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L,C08K,F16F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動的粘弾性測定により求められる損失正接tanδのピークが-60℃以上0℃未満の温度範囲に存在する重合体(B)、当該重合体(B)100質量部に対し、動的粘弾性測定により求められる損失正接tanδのピークが0℃以上60℃以下の温度範囲に存在するオレフィン系共重合体(A)を50~500質量部、および平均繊維長が0.1mm以上12mm以下の範囲にある有機短繊維(C)を0.5~100質量部含むことを特徴とする重合体組成物。
【請求項2】
前記有機短繊維(C)が、アラミド短繊維である請求項1に記載の重合体組成物。
【請求項3】
前記有機短繊維(C)が、ポリパラフェニレンテレフタラミド短繊維またはコポリパラフェニレン・3,4'オキシジフェニレン・テレフタラミド短繊維である請求項1または2に記載の重合体組成物。
【請求項4】
前記オレフィン系重合体(A)が、4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位(i)の含有比率が16~95モル%、炭素原子数2~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンから導かれる構成単位(ii)の含有比率が5~84モル%、非共役ポリエンから導かれる構成単位(iii)の含有比率が0~10モル%〔(ただし、構成単位(i)、(ii)および(iii)の合計を100モル%とする。))である4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(A-1)を含む、請求項1~3のいずれかに記載の重合体組成物。
【請求項5】
前記オレフィン系重合体(A)のα-オレフィンから導かれる構成単位(ii)が、プロピレンから導かれる構成単位である請求項1~4のいずれかに記載の重合体組成物。
【請求項6】
前記重合体(B)がエチレン系ゴム、ジエン系ゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、エチレンアクリルゴム、シリコーンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、およびクロロスルフォン化ポリエチレンから選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1~5のいずれかに記載の重合体組成物。
【請求項7】
前記重合体(B)がエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(B-2)を含む、請求項1~6のいずれかに記載の重合体組成物。
【請求項8】
前記重合体組成物が、軟化剤を含有し、前記当該軟化剤の含有量が、前記重合体(B)100質量部に対し5~300質量部である請求項1~7のいずれかに記載の重合体組成物。
【請求項9】
前記軟化剤がパラフィンオイルである、請求項8に記載の重合体組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載の重合体組成物から形成される制振材。
【請求項11】
請求項1~9のいずれかに記載の重合体組成物を架橋して得られる架橋体。
【請求項12】
請求項11に記載の架橋体からなる制振材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制振性に優れる制振材を得るに好適は重合体組成物および当該重合体組成物からなる制振材に係る。
【背景技術】
【0002】
従来から、船舶、車両、自動車部品、家庭電化製品、各種機械、建築材料、音響機器等の構造部材の振動を防止し、それに伴う騒音を防止する目的で、構造部材の表面や内部に制振、防振性を有する材料を塗布したり、張り付けたりすることが行われてきた。制振、防振性を有する材料としては、従来より、ゴム,アスファルト、各種の合成樹脂エマルジョンおよびラテックス、あるいは合成樹脂等、更にはこれらにグラファイト、マイカ、カーボンブラック、ヒル石、炭酸カルシウム、タルク、クレー等の粉体あるいは天然または合成繊維を配合したものなどが用いられてきた。
【0003】
しかしながら、上記従来の制振材料の多くは、常温付近では制振性を有していても、制振性を示す温度範囲が極めて狭かったり、密度が高いため重量増となってしまう(軽量性に劣る)、耐熱性が劣るために高温下において力学特性が極端に低下したり、耐候性が劣るために使用範囲が限定される等の欠点を有していた。
【0004】
制振性を改良する方法として、例えば、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体に、100℃での動粘度が30mm2/s以下である、炭素数6~20のα‐オレフィンの少なくとも1種以上の重合体および/またはその水添物、およびエチレン含有量40~90モル%、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.15-0.6dl/gであるエチレン・α‐オレフィン共重合体を配合する方法(特許文献1)、100rad/secで測定した損失正接(tanδ)のピークを、-60~-30℃の範囲に少なくとも1つ、0~40℃の範囲に少なくとも1つ有するゴム組成物であって、α,β-不飽和ニトリル単量体が共重合されたアクリル系共重合体、および-60~-30℃の範囲に前記tanδのピークを有するエチレン・α-オレフィン系共重合体を含むゴム組成物(特許文献2)、あるいは、動的粘弾性測定により求められたtanδのピークが-50~-30℃の温度範囲に一つ以上存在するエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体に、動的粘弾性測定により求められたtanδのピークが0~40℃の温度範囲に一つ以上存在するオレフィン系共重合体、軟化材、補強性充填材、および、加硫剤等を配合した組成物(特許文献3)などが提案されている。
しかしながら、かかる提案されている組成物はそれなりに改善された制振性を示すものの、軽量性を保ったまま、さらに制振性を高めることが求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-029654号公報
【文献】特開2007-023258号公報
【文献】再表2016/143599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、軽量でありながら制振性が非常に高い制振材用の組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、動的粘弾性測定により求められる損失正接tanδのピークが-60℃以上0℃未満の温度範囲に存在する重合体(B)、当該重合体(B)100質量部に対し、動的粘弾性測定により求められる損失正接tanδのピークが0℃以上60℃以下の温度範囲に存在するオレフィン系共重合体(A)を50~500質量部、および平均繊維長が0.1mm以上12mm以下の範囲にある有機短繊維(C)を0.5~100質量部含むことを特徴とする重合体組成物に係る。
【発明の効果】
【0008】
本発明の重合体組成物は、軽量でありながら制振性が非常に高い制振材用の組成物を提供することにある。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<重合体(B)>
本発明の重合体組成物を構成する成分の一つである重合体(B)は、動的粘弾性測定により求められた損失正接tanδのピークを好ましくは-60~0℃、より好ましくは-55~-5℃、特に好ましくは-50~-10℃の温度範囲に有する重合体(B)である。
【0010】
本発明に係わる重合体(B)および後述のオレフィン系共重合体(A)が備える動的粘弾性測定により求められたtanδについて説明する。重合体あるいは共重合体からなる試料を、雰囲気温度を連続的に変化させながら動的粘弾性測定を行い、貯蔵弾性率G’、損失弾性率G”を測定し、G”/ G’で与えられる損失正接tanδを求める。温度と損失正接tanδとの関係をみると、損失正接tanδは一般に特定の温度においてピークを有する。そのピークが現れる温度は一般にガラス転移温度(以下、tanδ―Tgとも記す)と呼ばれる。損失正接tanδのピークが現れる温度は、実施例において記した動的粘弾性測定に基づき求めることができる。
【0011】
重合体にtanδのピークが複数存在する場合は、最大強度を示すピークが上記温度範囲にある重合体を本発明の重合体(B)とする。
本発明に係わる重合体(B)は、動的粘弾性測定により求められた損失正接tanδのピークを-60~0℃の範囲に有する重合体であれば、その種類に特に制限はない。
【0012】
本発明に係わる重合体(B)としては、具体的には、例えば、エチレン系ゴム、ジエン系ゴム、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム(ACM)、エチレンアクリルゴム(AEM)、シリコーンゴム(Q)、エピクロロヒドリンゴム(CO、ECO)、ウレタンゴム(Q)、クロロスルフォン化ポリエチレン(CSM)等の一般的に原料ゴム、あるいはエラストマーと呼称されている重合体を挙げることができる。
【0013】
上記、ジエン系ゴムとしては、たとえば、イソプレンゴム(IR)、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、ブチルゴム(IIR)等を挙げることができる。
【0014】
これら重合体(B)の中でも、エチレン・α-オレフィン共重合体(B-1)、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(B-2)などエチレン系ゴムが好ましい。
【0015】
《エチレン・α-オレフィン共重合体(B-1)》
本発明に係わるエチレン・α-オレフィン共重合体(B-1)としては、エチレンと炭素数3~20のα-オレフィンとの共重合体を挙げることができる。α-オレフィンとしては、たとえば、プロピレン、1-ブテン,4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン-1、9-メチル-1-デセン、11-メチル-1-ドデセン、12-エチル-1-テトラデセンなどが挙げられる。これらのα-オレフィンは、単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0016】
《エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(B-2)》
本発明に係わるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(B-2)におけるα-オレフィンについては、前記エチレン・α-オレフィン共重合体(B-1)におけるα-オレフィンと同様である。
【0017】
本発明に係わるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(B-2)における非共役ポリエンとしては、たとえば、炭素原子数が5~20、好ましくは5~10であり、1,4-ペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン、1,4-オクタジエン、1,5-オクタジエン、1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、2-メチル-1,5-ヘキサジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン、4,8-ジメチル-1,4,8-デカトリエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、5-ビニルノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-ビニリデン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、6-クロロメチル-5-イソプロペニル-2-ノルボルネン、2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-プロペニル-2,2-ノルボルナジエン等を挙げることができる。
【0018】
本発明に係わる重合体(B)は、耐熱老化性、耐候性、耐オゾン性の点で、特にエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を含むことが好ましい。重合体(B)におけるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の含有量は、好ましくは50~100質量%、より好ましくは70~100質量%である。
【0019】
本発明に係わるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(B-2)において、柔軟性の観点から、エチレンから導かれる構成単位の含有量は好ましくは40~72質量%、より好ましくは42~66質量%、さらに好ましくは44~62質量%であり、非共役ポリエンから導かれる構成単位の含有量は好ましくは2~15質量%、より好ましくは5~14質量%、さらに好ましくは7~12質量%である。
【0020】
本発明に係わるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(B-2)においては、前述のα-オレフィンのうち炭素数3~10のα-オレフィンが好ましく、特にプロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン等が特に好ましい。
【0021】
本発明に係わるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(B-2)においては、前述の非共役ポリエンのうち好ましい非共役ポリエンとしては、ジシクロペンタジエン、5-ビニリデン-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン等が挙げられる。
本発明に係わる重合体(B)が、結晶化ポリオレフィンを含む場合は、その含有量は10質量%未満であることが好ましい。
【0022】
<オレフィン系共重合体(A)>
本発明の重合体組成物を構成する成分の一つであるオレフィン系共重合体(A)は、動的粘弾性測定により求められた損失正接tanδのピークが0℃~60℃の温度範囲、好ましくは5℃~50℃、より好ましくは10℃~40℃の範囲に存在する共重合体である。
【0023】
共重合体にtanδのピークが複数存在する場合は、最大強度を示すピークが上記温度範囲にある重合体を本発明のオレフィン系共重合体(A)とする。
本発明に係わるオレフィン系共重合体(A)の極限粘度[η]は、加工性の観点から0.5~5.0dL/gの範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.6~4.0dL/g、特に好ましくは0.7~3.5dL/gである。
【0024】
極限粘度[η]の調整方法は特に制限されないが、重合中に水素分子を併用し重合体の分子量を調整することで、極限粘度[η]を調整することができる。
本発明に係わるオレフィン系共重合体(A)は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が、得られる制振材の機械特性、加工性の観点から、好ましくは1.0~3.5、より好ましくは1.2~3.0、特に好ましくは1.5~2.5である。
【0025】
本発明に係わるオレフィン系共重合体(A)は単独種であっても、複数種を併用しても良い。
本発明に係わるオレフィン系共重合体(A)は、耐候性、耐オゾン性の点で、4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(A-1)を含むことが好ましい。
【0026】
《4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(A-1)》
本発明に係わる4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(A-1)におけるα-オレフィンは、たとえば炭素原子数2~20のα-オレフィンであり、4-メチル-1-ペンテンを除き、直鎖状または分岐状のα-オレフィン、環状オレフィン、芳香族ビニル化合物、共役ジエン、官能基化ビニル化合物、水酸基含有オレフィン、ハロゲン化オレフィン等を挙げることができる。
【0027】
直鎖状α-オレフィンとしては、炭素原子数が2~20、好ましくは2~15、より好ましくは2~10であり、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン等が挙げられ、好ましくはエチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテンである。
【0028】
分岐状のα-オレフィンとしては、好ましくは炭素原子数5~20、より好ましくは5~15であり、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセンなどが挙げられる。
【0029】
環状オレフィンとしては、炭素原子数3~20、好ましくは5~15であり、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロへプテン、ノルボルネン、5-メチル-2-ノルボルネン、テトラシクロドデセン、ビニルシクロヘキサンなどが挙げられる。
【0030】
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、o,p-ジメチルスチレン、o-エチルスチレン、m-エチルスチレン、p-エチルスチレン等のモノまたはポリアルキルスチレンなどが挙げられる。
【0031】
共役ジエンとしては、炭素原子数4~20、好ましくは4~10であり、1,3-ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチルブタジエン、4-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-オクタジエンなどが挙げられる。
【0032】
官能基化ビニル化合物としては、水酸基含有オレフィン、ハロゲン化オレフィン、(メタ)アクリル酸、プロピオン酸、3-ブテン酸、4-ペンテン酸、5-ヘキセン酸、6-ヘプテン酸、7-オクテン酸、8-ノネン酸、9-デセン酸、10-ウンデセン酸などの不飽和カルボン酸、アリルアミン、5-ヘキセンアミン、6-ヘプテンアミンなどの不飽和アミン、(2,7-オクタジエニル) コハク酸無水物、ペンタプロペニルコハク酸無水物、上記不飽和カルボン酸から得られた無水物などの不飽和カルボン酸無水物、上記不飽和カルボン酸から得られたハロゲン化物などの不飽和カルボン酸ハライド、4-エポキシ-1-ブテン、5-エポキシ-1-ペンテン、6-エポキシ-1-ヘキセン、7-エポキシ-1-ヘプテン、8-エポキシ-1-オクテン、9-エポキシ-1-ノネン、10-エポキシ-1-デセン、11-エポキシ-1-ウンデセン等の不飽和エポキシ化合物、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3-アクロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのエチレン性不飽和シラン化合物等が挙げられる。
【0033】
上記水酸基含有オレフィンとしては、水酸基含有のオレフィン系化合物であれば特に制限されないが、例えば末端水酸基化オレフィン系化合物が挙げられる。末端水酸基化オレフィン系化合物としては、ビニルアルコール、アリルアルコール、水酸化-1-ブテン、水酸化-1-ペンテン、水酸化-1-ヘキセン、水酸化-1-オクテン、水酸化-1-デセン、水酸化-1-ウンデセン、水酸化-1-ドデセン、水酸化-1-テトラデセン、水酸化-1-ヘキサデセン、水酸化-1-オクタデセン、水酸化-1-エイコセン等の炭素原子数2~20、好ましくは2~15の直鎖状の水酸化-α-オレフィン、水酸化-3-メチル-1-ブテン、水酸化-3-メチル-1-ペンテン、水酸化-4-メチル-1-ペンテン、水酸化-3-エチル-1-ペンテン、水酸化-4,4-ジメチル-1-ペンテン、水酸化-4-メチル-1-ヘキセン、水酸化-4,4-ジメチル-1-ヘキセン、水酸化-4-エチル-1-ヘキセン、水酸化-3-エチル-1-ヘキセンなどの好ましくは炭素数5~20、より好ましくは炭素数5~15の分岐状の水酸化-α-オレフィンが挙げられる。
【0034】
上記ハロゲン化オレフィンとしては、塩素、臭素、ヨウ素等の周期表第17族原子を有するハロゲン化-α-オレフィンが挙げられ、具体的には、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化-1-ブテン、ハロゲン化-1-ペンテン、ハロゲン化-1-ヘキセン、ハロゲン化-1-オクテン、ハロゲン化-1-デセン、ハロゲン化-1-ドデセン、ハロゲン化-1-ウンデセン、ハロゲン化-1-テトラデセン、ハロゲン化-1-ヘキサデセン、ハロゲン化-1-オクタデセン、ハロゲン化-1-エイコセン等の炭素原子数が2~20、好ましくは2-15の直鎖状のハロゲン化-α-オレフィン、ハロゲン化-3-メチル-1-ブテン、ハロゲン化-4-メチル-1-ペンテン、ハロゲン化-3-メチル-1-ペンテン、ハロゲン化-3-エチル-1-ペンテン、ハロゲン化-4,4-ジメチル-1-ペンテン、ハロゲン化-4-メチル-1-ヘキセン、ハロゲン化-4,4-ジメチル-1-ヘキセン、ハロゲン化-4-エチル-1-ヘキセン、ハロゲン化-3-エチル-1-ヘキセンなどの好ましくは炭素数5~20、より好ましくは炭素数5~15の分岐状のハロゲン化-α-オレフィンが挙げられる。
【0035】
前記4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(A-1)におけるα-オレフィンは1種類単独であってもよく、2種以上の組み合せであってもよい。
4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(A-1)におけるα-オレフィンとしては、特に、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、ノルボルネン、5-メチル-2-ノルボルネン、テトラシクロドデセン、水酸化-1-ウンデセンが好適である。さらに、柔軟性、軽量性、制振性などの点から、炭素原子数が2~10の直鎖状のα-オレフィンが好ましく、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセンおよび1-オクテンがより好ましく、エチレンおよびプロピレンが好ましく、プロピレンが特に好ましい。
【0036】
本発明に係わる4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(A-1)は、必要に応じて、非共役ポリエンから導かれる構成単位を有していてもよい。非共役ポリエンとしては、たとえば、炭素原子数が5~20、好ましくは5~10であり、1,4-ペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン、1,4-オクタジエン、1,5-オクタジエン、1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、2-メチル-1,5-ヘキサジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン、4,8-ジメチル-1,4,8-デカトリエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、5-ビニルノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-ビニリデン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、6-クロロメチル-5-イソプロペニル-2-ノルボルネン、2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-プロペニル-2,2-ノルボルナジエン等を挙げることができる。
【0037】
本発明に係わる4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(A-1)は、本発明の目的を損なわない範囲で、その他の共重合成分を含んでいてもよい。
本発明に係わる4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(A-1)としては、4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位(i)、4-メチル-1-ペンテンを除く炭素原子数2~20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種以上のα-オレフィンから導かれる構成単位(ii)および任意に非共役ポリエンから導かれる構成単位(iii)を有する4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体が好ましい。構成単位(i)、構成単位(ii)および構成単位(iii)の含有比率としては、構成単位(i)、(ii)および(iii)の合計を100モル%として、好ましくは構成単位(i)16~95モル%、構成単位(ii)5~84モル%、構成単位(iii)0~10モル%であり、より好ましくは構成単位(i)26~90モル%、構成単位(ii)10~74モル%、構成単位(iii)0~7モル%であり、さらに好ましくは構成単位(i)61~85モル%、構成単位(ii)15~39モル%、構成単位(iii)0~5モル%である。
【0038】
本発明に係わる4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(A-1)は、構成単位(i)の含有比率が16~95モル%、構成単位(ii)の含有比率が5~84モル%、構成単位(iii)の含有比率が0~10モル%(ただし、構成単位(i)、(ii)および(iii)の合計を100モル%とする)の範囲であることが好ましい。
【0039】
<有機短繊維(C)>
本発明の重合体組成物を構成する有機短繊維(C)としては、平均繊維長が0.1~12mmの範囲にある繊維状の有機材料であればよく特に限定されない。なお、有機短繊維(C)の平均繊維長は、たとえば、光学顕微鏡により写真撮影を行い、得られた写真において無作為に選んだ100個の短繊維の長さを測定し、これを算術平均することにより求めることができる。平均繊維長が短すぎると、制振性が不十分となるおそれがある。一方、平均繊維長が長すぎると、重合体組成物としての混練時の加工性が悪化するおそれがある。有機短繊維(C)の平均繊維長は、好ましくは0.3~10mmであり、より好ましくは0.5~6mmである。
【0040】
また、有機短繊維(C)の平均繊維径は、特に限定されないが、本発明の効果がより一層顕著になることから、好ましくは0.5~100μm、より好ましくは1~50μm、さらに好ましくは2~20μmである。なお、有機短繊維(b)の平均繊維径は、たとえば、光学顕微鏡により写真撮影を行い、得られた写真において無作為に選んだ100個の短繊維の最も太い部分の径(直径)を測定し、これを算術平均することにより求めることができる。また、有機短繊維(b)のアスペクト比(「有機短繊維の平均繊維長」/「有機短繊維の平均繊維径」)は、特に限定されないが、好ましくは5~1000、より好ましくは50~800である。
【0041】
本発明に係わる有機短繊維(C)としては、綿、木材セルロース繊維等の天然繊維;ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、レーヨン、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、フッ素系ポリマー等の合成樹脂からなる繊維;等が例示される。これらの中でも、本発明の効果がより一層顕著になることから、合成樹脂からなる短繊維を用いることが好ましく、ポリアミドからなる短繊維を用いることがより好ましい。
【0042】
ポリアミドとしては、ポリカプラミド、ポリ-ω-アミノヘプタン酸、ポリ-ω-アミノノナン酸、ポリウンデカンアミド、ポリエチレンジアミンアジパミド、ポリテトラメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリヘキサメチレンドデカミド、ポリオクタメチレンアジパミド、ポリデカメチレンアジパミドなどの脂肪族ポリアミド;ポリパラフェニレンテレフタラミド(例えば、(商品名「ケブラー」、東レ・デュポン(株)社製、商品名「トワロン」、帝人(株)社製)など)、ポリメタフェニレンイソフタラミド(例えば、(商品名「コーネックス」、帝人(株)社製)など)、コポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミド(例えば、(商品名「テクノーラ」、帝人(株)社製)など)、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリメタキシリレンピメラミド、ポリメタキシリレンアゼラミド、ポリパラキシリレンアゼラミド、ポリパラキシリレンデカナミドなどの芳香族ポリアミド(アラミド);などが挙げられる。これらのなかでも、制振性をより一層向上させることができるという点より、芳香族ポリアミド、すなわち、アラミドが好ましく、ポリパラフェニレンテレフタラミド、ポリメタフェニレンイソフタラミドおよびコポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミドがより好ましく、コポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミドが特に好ましい。
【0043】
すなわち、ポリアミドからなる短繊維としては、アラミド短繊維が好ましく、ポリパラフェニレンテレフタラミド短繊維、ポリメタフェニレンイソフタラミド短繊維およびコポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミド短繊維がより好ましく、コポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミド短繊維が特に好ましい。
【0044】
なお、有機短繊維(C)としては、チョップドファイバー(カットファイバー)状でも、フィブリルを有するパルプ状のものでもよく、さらに、エポキシ系接着剤、イソシアネート系接着剤、レゾルシン-ホルムアルデヒド樹脂/ラテックス等により各種処理を施したものであってもよい。
【0045】
<重合体組成物>
本発明の重合体組成物は、上記重合体(B)、当該重合体(B)100質量部に対して、上記オレフィン系共重合体(A)を25~500質量部、好ましくは50~400質量部、より好ましくは100~300質量部、上記有機短繊維(C)を0.5~100質量部、好ましくは1~60質量部、より好ましくは3~30質量部の範囲で含む。
【0046】
本発明の重合体組成物が、重合体(B)、オレフィン系共重合体(A)および有機短繊維(C)を上記範囲で含むことにより、軽量でありながら制振性が非常に高い制振材を得ることができる。
本発明の重合体組成物には、重合体(B)、オレフィン系共重合体(A)および有機短繊維(C)に加え、軟化剤を含有することが好ましい。
【0047】
《軟化材》
本発明に係わる軟化材は、その用途により適宜選択でき、単独でも複数種併用して用いても良い。軟化材の具体例としては、パラフィンオイル等のプロセスオイル(例えば、「ダイアナプロセスオイル PS-430」(商品名:出光興産株式会社製)など)、潤滑油、流動パラフィン、石油アスファルト、およびワセリン等の石油系軟化材;コールタール、およびコールタールピッチ等のコールタール系軟化材;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、およびヤシ油等の脂肪油系軟化材;蜜ロウ、カルナウバロウ、およびラノリン等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、およびラウリン酸亜鉛等の脂肪酸またはその塩;ナフテン酸、パイン油、およびロジンまたはその誘導体;テルペン樹脂、石油樹脂、アタクチックポリプロピレン、およびクマロンインデン樹脂等の合成高分子物質;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、およびジオクチルセバケート等のエステル系軟化材;その他、マイクロクリスタリンワックス、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、液状チオコール、炭化水素系合成潤滑油、トール油、およびサブ(ファクチス)などが挙げられる。なかでも、石油系軟化材が好ましく、特にプロセスオイル、その中でもパラフィンオイルが好ましい。
【0048】
本発明の重合体組成物が、軟化材を含む場合は、その配合量は、重合体(B)100質量部に対して5~500質量部、好ましくは10~400質量部、より好ましくは15~300質量部である。
【0049】
重合体組成物に含まれる軟化剤の配合量を上記範囲とすることで、得られる制振材の制振性をより向上させることができる。軟化剤が少なすぎると、制振性の改良効果が小さくなる可能性がある。一方で、軟化剤が多すぎると、加工性、汚染性が悪化する恐れがある。
【0050】
《架橋剤(加硫剤)》
重合体(B)、オレフィン系共重合体(A)および有機短繊維(C)に加え、架橋剤(加硫剤)を含有することが好ましい。架橋剤(加硫剤)としては、イオウ、イオウ系化合物、有機過酸化物、フェノール樹脂、オキシム化合物等を用いることができる。
【0051】
イオウ系化合物としては、塩化イオウ、二塩化イオウ、モルフォリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジチオカルバミン酸セレン等を例示できる。イオウおよびイオウ系化合物の中では、イオウ、テトラメチルチウラムジスルフィドが好ましい。
【0052】
上記有機過酸化物としては、ジクミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジエチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、ジ-t-ブチルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、t-ジブチルヒドロペルオキシド等を例示できる。
【0053】
架橋剤(加硫剤)の含有量は、重合体(B)100質量部に対して、0.1~10質量部であり、好ましくは0.3~9.0質量部、より好ましくは0.5~8.0質量部である。
【0054】
本発明の重合体組成物が架橋剤(加硫剤)としてイオウ系化合物を含有する場合には、加硫促進剤の併用が好ましい。加硫促進剤としては、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N'-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、2-メルカプトベンゾチアゾール(例えば、「サンセラーM」(商品名:三新化学工業株式会社製)など)、2-(4-モルホリノジチオ)ペンゾチアゾール(例えば、「ノクセラーMDB-P」(商品名:三新化学工業株式会社製)など)、2-(2,4-ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2-(2,6-ジエチル-4-モルフォリノチオ)ベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系;ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニジン、ジオルソトリルグアニジン等のグアニジン系;アセトアルデヒド-アニリン縮合物、ブチルアルデヒド-アニリン縮合物、アルデヒドアミン系;2-メルカプトイミダゾリン等のイミダゾリン系;ジエチルチオウレア、ジブチルチオウレア等のチオウレア系;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等のチウラム系;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(例えば、「サンセラーPZ」(商品名:三新化学工業株式会社製)、「サンセラーBZ」(商品名:三新化学工業株式会社製)など)、ジエチルジチオカルバミン酸テルル等のジチオ酸塩系;エチレンチオ尿素(例えば、「サンセラーBUR」(商品名:三新化学工業株式会社製)、「サンセラー22-C」(商品名:三新化学工業株式会社製)など)、N,N’-ジエチルチオ尿素等のチオウレア系;ジブチルキサトゲン酸亜鉛等のザンテート系;酸化亜鉛(亜鉛華)、活性亜鉛華等が挙げられる。
【0055】
これらの加硫促進剤の含有量は、重合体(B)100質量部に対して、0.1~20質量部、好ましくは0.2~15質量部、さらに好ましくは0.5~10質量部である。
さらに架橋助剤(加硫助剤)を含有することができる。架橋助剤(加硫助剤)の具体的例としては、酸化マグネシウム、酸化亜鉛(亜鉛華)、活性亜鉛華、p-キノンジオキシム等のキノンジオキシム系;エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等のアクリル系;ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート等のアリル系;その他マレイミド系;ジビニルベンゼン等が挙げられる。架橋助剤(加硫助剤)は、単独でも2種以上を混合しても用いることができる。加硫助剤の含有量は、通常、重合体(B)100質量部に対して1~20質量部である。
【0056】
《補強材》
本発明の重合体組成物は、さらに、補強材および、または、充填剤を含有していても良い。
本発明に係わる補強材としては、カーボンブラック、シリカなどが挙げられる。
カーボンブラックとしては、SAF-HS、SAF、ISAF-HS、ISAF、ISAF-LS、I-ISAF-HS、HAF-HS、HAF、HAF-LS、T-HS、T-NS、MAF、FEF、FEF-HS、GPF、SRF-HS-HM、SRF-LM、ECF等のファーネスブラック、FT、MTなどのサーマルブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、オースチンブラックなどが挙げられる。またこれらカーボンブラックはシランカップリング剤等で表面処理されたものであってもよい。
【0057】
シリカとしては、石英粉末、珪石粉末等の天然シリカ;無水珪酸(シリカゲル、アエロジル等)、含水珪酸等の合成シリカ;等が挙げられ、これらの中でも、合成シリカが好ましい。またこれらシリカはカップリング剤等で表面処理されたものであってもよい。
【0058】
充填剤としては、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、ゼオライト、カオリナイト、スメクタイト、モンモリロナイト、セリサイト、イライト、グローコナイト、クロライト、有機ベントナイト(モンモリロナイトを第4級アンモニウム塩などの有機カチオンで表面処理された疎水性化合物)、珪藻土、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、アルミニウムシリケート、二硫化モリブデン、グラファイト、エボナイト粉末、木粉、コルク粉末、セルロースパウダー、金属粉、樹脂紛、ガラス粉などが挙げられる。
【0059】
本発明の重合体組成物が、補強材等を含む場合は、その配合量は、重合体(B)100質量部に対して、通常10~500質量部、好ましくは20~400質量部、特に好ましくは30~300質量部である。補強材等は単独または複数種併せて用いても良い。
【0060】
《加工助剤》
本発明の重合体組成物は、さらに加工助剤を含有していても良い。本発明に係わる加工助剤としては、リシノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムまたはエステル類等が挙げられる。
【0061】
本発明の重合体組成物が、加工助剤を含む場合は、その量は、重合体(B)100質量部に対して、20質量部以下、好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下の量で適宜配合することができる。
【0062】
本発明の重合体組成物は、上記以外に、本発明の効果を阻害しない範囲で、活性剤、架橋遅延剤、吸湿剤、酸化防止剤、粘着付与剤、防カビ剤、潤滑剤、難燃剤、受酸剤、シランカップリング剤、帯電防止剤、発泡剤、磁性紛、樹脂などを配合してもよい。これらの配合剤は、配合目的に応じた量を適宜採用することができる。
【0063】
本発明の重合体組成物は、上記成分を混合することにより得ることができる。本発明に係わる重合体組成物を調整する方法は特に限定されないが、バンバリーミキサ、インターミキサ、ニーダーなどの密閉式混練機、一軸押出機、二軸押出機などの押出機、オープンロールなどで混練することで調整できる。混練においては単独の装置を使用しても、複数種の装置を併用してもよい。
【0064】
<重合体組成物の架橋体の製造方法>
本発明の重合体組成物を用いて制振材を製造する際には、当該重合体組成物を架橋してもよい。
【0065】
本発明の重合体組成物の架橋体は、本発明の重合体組成物を用い、たとえば、所望の形状に対応した成形機、たとえば、押出機、射出成形機、プレス成形機、ロール、カレンダー成形機などにより成形を行い、加熱することにより架橋反応を行い、架橋物として形状を固定化することにより製造することができる。この場合においては、予め成形した後に架橋しても、成形と同時に架橋を行ってもよい。成形温度は、通常、10~200℃、好ましくは25~120℃である。架橋温度は、通常、100~200℃、好ましくは130~190℃であり、架橋時間は、通常、1分~24時間、好ましくは2分~12時間、特に好ましくは3分~6時間である。
【0066】
また、架橋体の形状、大きさなどによっては、表面が架橋していても内部まで十分に架橋していない場合があるので、さらに加熱して二次架橋を行ってもよい。
架橋方法としては、プレス架橋、スチーム架橋、オーブン架橋などのゴムの架橋に用いられる一般的な方法を適宜選択することができる。
【0067】
<制振材の製造方法>
本発明の制振材は、上記重合体組成物から形成される。また、本発明の上記重合体組成物から形成される制振材は、重合体組成物を架橋させたものであっても良い。本発明の制振材はシート状であることが好ましい。シート状であることで、振動対象(各種部品、筐体など)に例えば、圧着、熱圧着(焼き付け)または接着剤等を用いた接着などにより、貼着して使用することができる。
シート状の制振材の厚さは、0.1~10.0mm、好ましくは0.2~7.5mm、特に好ましくは0.3~5.0mmである。
【0068】
本発明における重合体組成物を用いた制振材は、種々公知の製造方法によりシート状に成形することができる。具体的には、例えば、前記共重合体組成物をプレス成形やカレンダー成形や押出成形により所望の厚さのシート状とする方法、前記重合体組成物をオープンロールで混練後、厚さを調整して分出しすることで所望の厚さのシート状とする方法、一軸押出機や二軸押出機などの押出機を用いて混練して重合体組成物を得ながら押出ことで所望の厚さのシート状とする方法などが挙げられる。本発明における重合体組成物を用いた制振材において、重合体組成物を架橋させる場合は、上記各種製造方法においてシート形状とすると同時に架橋する方法や、あらかじめ上記各種製造方法においてシート状とした後に架橋させる方法などが挙げられる。
【0069】
<制振材>
本発明における重合体組成物を用いた制振材は、重合体組成物または重合体組成物からなる架橋体からなる層と拘束層が積層されてなる拘束型制振材としても使用することもできる。
【0070】
拘束型制振材を構成する共重合体組成物からなる層は、その厚さが好ましくは0.1mm~6.0mm、より好ましくは0.5mm~3.0mm、特に好ましくは1.0~2.0mmの範囲にある。
【0071】
拘束型制振材を構成する拘束層としては、例えば、金属箔、金属メッシュ、樹脂、繊維強化樹脂、ガラスクロスなどが挙げられる。
また、本発明の制振材を構成する拘束層は、その厚さが、好ましくは0.05~10.0mm、より好ましくは0.08~5.0mmの範囲にある。
【0072】
《制振材の用途》
本発明における重合体組成物を用いた制振材は、振動対象となる各種部品や筐体に貼着して、または振動対象となる各種部品や筐体で挟みこんだ状態として、その各種部品、筐体を制振する。
本発明の制振材は、上述した範囲の重合体組成物を用いることで、軽量でありながら制振性に極めて優れるものである。
【0073】
このため、本発明の制振材は自動車、船舶、鉄道車両、航空機、家庭電化機器、OA機器、AV機器、事務機器、建築、住宅設備、工作機械、産業機械などの振動が発生する様々な用途に使用することができる。
【実施例】
【0074】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下において「部」は、特に断りのない限り質量基準である。
【0075】
(測定方法および評価方法)
以下の実施例および比較例において、物性等の測定および評価は以下の方法で行った。
[組成]
オレフィン系共重合体(A)中の4-メチル-1-ペンテン及びα-オレフィンの含有率(モル%)は、13C-NMRによる測定値により求めた。13C-NMRにより測定した。 測定値は、ECP500型核磁気共鳴装置(日本電子(株)製)を用いて、測定温度:120℃、測定溶媒:オルトジクロロベンゼン、積算回数:1万回以上にて、共重合体の13C-NMRのスペクトルを測定して得た。
【0076】
重合体(B)としてのエチレン・プロピレン・非共役ポリエン共重合体(B-2)の、各構成単位の重量分率(重量%)は、13C-NMRによる測定値により求めた。測定値は、ECX400P型核磁気共鳴装置(日本電子製)を用いて、測定温度:120℃、測定溶媒:オルトジクロロベンゼン/重水素化ベンゼン=4/1、積算回数:8000回にて、共重合体の13CC -NMRのスペクトルを測定して得た。
【0077】
[極限粘度]
極限粘度[η]は、温度:135℃、測定溶媒:デカリンにて測定した。
[重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)]
オレフィン系共重合体(A)の極限重量平均分子量(Mw)、及び重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表わされる分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、標準ポリスチレン換算法により算出した。測定条件は、下記の通りである。
測定装置:GPC(ALC/GPC 150-C plus型、示差屈折計検出器一体型、Waters製)
カラム:GMH6-HT(東ソー(株))2本、及びGMH-HTL(東ソー(株))製)2本を直列に接続
溶離液:o-ジクロロベンゼン
カラム温度:140℃
流量:1.0mL/min
【0078】
[動的粘弾性測定]
オレフィン系共重合体(A)および重合体(B)を厚さ2mmのプレスシートに成型し、試験片有効サイズを、長さ20mm×幅10mm×厚さ2mmで測定するため短冊片を切り出した。粘弾性測定装置ARES(TA Instrumens JAPAN Inc.社製)を用いて、下記測定条件でオレフィン系共重合体の動的粘弾性の温度依存性を測定した。当該測定で得られた、貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G”)との比(G”/G’:損失正接)をtanδとした。tanδを温度に対してプロットすると、上に凸の曲線すなわちピークが得られ、そのピークの頂点の温度をガラス転移温度、すなわちtanδとし、その温度における極大値を測定し、ピークとした。
(測定条件)
Frequency :1.0Hz
Temperature :-70~100℃
Ramp Rate :4.0℃/分
Strain :0.5%
【0079】
[ムーニー粘度]
重合体(B)のムーニー粘度はJIS K6300に準じ、125℃でML1+4(125℃)を測定した。
【0080】
[損失係数測定]
損失係数測定装置((株)小野測器製)を用いて、23℃にてJIS K7391に準拠し、片持ちはり法によって測定した。プレスシートから幅10mm×長さ160mmに裁断した重合体組成物の架橋体を、幅10mm×長さ200mm×厚さ1.0mmのSUS430製の基材層に貼り付けて、試験片とし、測定した。この際、試験片の有効長は160mm、固定部は200mmである。得られた周波数応答関数(モビリティ:V/F)の共振周波数において、共振周波数から3dB低減した点を使用して、半値幅法にて損失係数を求め、1000Hzにおける損失係数を得た。損失係数の値が高いほど制振性に優れる。
【0081】
[密度]
厚さ2mmのプレスシートを用いて、JIS K6268に準じ、密度を測定した。
【0082】
〔エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(B-2)の製造〕
[製造例1]
本発明に係わる重合体(B)としての、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(B-2)として、エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体(b-2)を以下の重合方法で製造した。
【0083】
攪拌翼を備えた容積300Lの重合器を用いて連続的に、エチレン、プロピレン、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)からなる三元共重合反応を95℃にて行った。重合溶媒としてヘキサン(最終濃度:90.8重量%)を用いて、エチレン濃度を3.3重量%、プロピレン濃度を2.5重量%、およびENB濃度を0.3重量%として連続供給した。重合圧力を0.8MPaに保ちながら主触媒として、メタロセン系触媒である[N-(1,1-ジメチルエチル)-1,1-ジメチル-1-[(1,2,3,3A,8A-η)-1,5,6,7-テトラヒドロ-2-メチル-S-インダセン-1-yl]シランアミネート(2-)-κN][(1,2,3,4-η)-1,3-ペンタジエン]-チタニウムを用いて、0.0025mmol/Lとなるよう連続的に供給した。また、共触媒として(C6H5)3CB(C6F5)4を0.0145mmol/L、有機アルミニウム化合物としてトリイソブチルアルミニウム(TIBA)を0.010mmol/Lとなるように、それぞれ連続的に供給した。なお、上記メタロセン系触媒は、国際公開第98/49212号パンフレットに記載されている方法に準じて合成して得た。
【0084】
このようにして、エチレン・プロピレン・ENBからなる共重合体が、10.8重量%の溶液状態で得られた。重合器下部から抜き出した重合反応液中に少量のメタノールを添加して重合反応を停止させ、スチームストリッピング処理にて共重合体を溶媒から分離した後、80℃で一昼夜減圧乾燥し、エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体(b-2)を得た。この重合体(b-2)におけるエチレンから導かれる構造単位含有量は57質量%、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)から導かれる合計の構造単位含有量は4.9質量%であった。またこの重合体(b-2)のムーニー粘度[ML1+4(125℃)]は79であり、tanδ最大値である1.8を示すピークは-32℃であった。
【0085】
〔4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(A-1)の製造〕
[製造例2]
本発明に係わるオレフィン系重合体(A)としての、4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(A-1)として、4-メチル-1-ペンテン・プロピレン共重合体(a-1)を以下の重合方法で製造した。
【0086】
充分窒素置換した容量1.5リットルの攪拌翼付SUS製オートクレーブに、23℃でノルマルヘキサン300ml(乾燥窒素雰囲気、活性アルミナ上で乾燥したもの)、4-メチル-1-ペンテン450mlを装入した。このオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)の1.0mmol/mlトルエン溶液を0.75ml装入し、攪拌機を回した。
【0087】
次に、オートクレーブを内温60℃まで加熱し、全圧が0.40MPa(ゲージ圧)となるようにプロピレンで加圧した。続いて、予め調製しておいた、メチルアルミノキサンをAl換算で1mmol、ジフェニルメチレン(1-エチル-3-t-ブチル-シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチル-フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを0.01mmolを含むトルエン溶液0.34mlを窒素でオートクレーブに圧入し、重合を開始した。重合反応中、オートクレーブ内温が60℃になるように温度調整した。重合開始60分後、オートクレーブにメタノール5mlを窒素で圧入して重合を停止し、オートクレーブを大気圧まで脱圧した。反応溶液にアセトンを攪拌しながら注いだ。
【0088】
得られた溶媒を含む重合体を100℃、減圧下で12時間乾燥することで4-メチル-1-ペンテン・プロピレン共重合体(a-1)を得た。共重合体(a-1)中の4-メチル-1-ペンテンから導かれる構造単位含量は72mol%、プロピレンから導かれる構造単位含量は28mol%であった。また共重合体(a-1)の極限粘度[η]は1.5であり、重量平均分子量(Mw)は337,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.1、tanδの最大値である2.8を示すピークは28℃であった。
【0089】
[実施例1]
バンバリー型ミキサーを用いて、充填率70%、ローター回転数50rpmにて、重合例1で得られた重合体(b-2)100部、重合例2で得られた共重合体(a-1)250部、カーボンブラック(商品名:旭#60G(旭カーボン(株)製))195部、パラフィンオイル(商品名:ダイアナプロセスオイル PS-430(出光興産(株)製))165部、炭酸カルシウム(商品名:Silver-W(白石カルシウム(株)製)、ステアリン酸(商品名:粉末ステアリン酸さくら(日油(株)製))2部、脂肪酸エステル(商品名:ストラクトールWB212(エスアンドエスジャパン(株)製))2部、ポリエチレングリコール(商品名:PEG#4000(ライオン(株)製))1部、を混練し、配合物を排出した。次いで、上記配合物を、オープンロールを用いて、コポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミド短繊維(平均繊維長3mm、繊維径12μmのアラミド短繊維)(商品名:テクノーラ短繊維3mm(帝人(株)社製)10部、スルフェンアミド系加硫促進剤:N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(商品名:サンセラーCM(三新化学工業(株)製))1.5部、ジチオカルバメート系加硫促進剤:ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(商品名:サンセラーBZ)1.0質量部、チウラム系加硫促進剤:テトラメチルチウラムジスルフィド(商品名:サンセラーTT)0.5質量部、チウラム系加硫促進剤:ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(商品名:サンセラーTRA(三新化学工業(株)製))0.5部、硫黄(商品名:アルファグランS-50EN(東知(株)製))0.8部を添加して混練することで重合体組成物を得た。加熱プレスを用いて、重合体組成物を160℃で10分間プレス架橋(加硫)を行うことで、厚さ2mmのシート状の制振材としての、重合体組成物からなる架橋体(プレスシート)を得た。
得られた重合体組成物からなる架橋体を用いて、上記各方法に従い、評価を行った。結果を表1に示す。
【0090】
[実施例2]
共重合体(a-1)250部を350部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
【0091】
[実施例3]
コポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミドの短繊維(平均繊維長3mm、繊維径12μmのチョップドファイバー状のアラミド短繊維)(商品名:テクノーラ チョップドファイバー3mm(帝人(株)社製))10部を、ポリパラフェニレンテレフタルアミドの短繊維(平均繊維長3.5mm、繊維径12μmのチョップドファイバー状の短繊維)(商品名:ケブラー カットファイバー3.5mm(東レ・デュポン(株)社製))10部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
【0092】
[実施例4]
共重合体(a-1)250部を100部に、カーボンブラック(商品名:旭#60G(旭カーボン(株)製))195部を100部に、パラフィンオイル(商品名:ダイアナプロセスオイル PS-430(出光興産(株)製))165部を55部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
【0093】
[実施例5]
カーボンブラック(商品名:旭#60G(旭カーボン(株)製))195部を100部に、パラフィンオイル(商品名:ダイアナプロセスオイル PS-430(出光興産(株)製))165部を55部に、コポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミドの短繊維(平均繊維長3mm、繊維径12μmのチョップドファイバー状のアラミド短繊維)(商品名:テクノーラ チョップドファイバー3mm(帝人(株)社製))10部を、ポリパラフェニレンテレフタルアミドの短繊維(平均繊維長3.5mm、繊維径12μmのチョップドファイバー状の短繊維)(商品名:ケブラー カットファイバー3.5mm(東レ・デュポン(株)社製))5部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
【0094】
[比較例1]
コポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミドの短繊維(平均繊維長3mm、繊維径12μmのチョップドファイバー状のアラミド短繊維)(商品名:テクノーラ チョップドファイバー3mm(帝人(株)社製))を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
【0095】
[比較例2]
共重合体(a-1)を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
【0096】
[比較例3]
共重合体(a-1)およびコポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミドの短繊維(平均繊維長3mm、繊維径12μmのチョップドファイバー状のアラミド短繊維)(商品名:テクノーラ チョップドファイバー3mm(帝人(株)社製))を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
【0097】
[比較例4]
コポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミドの短繊維(平均繊維長3mm、繊維径12μmのチョップドファイバー状のアラミド短繊維)(商品名:テクノーラ チョップドファイバー3mm(帝人(株)社製))10部を、タルク(商品名:ハイトロンA(竹原化学工業(株)社製))を10部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
【0098】
[比較例5]
コポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミドの短繊維(平均繊維長3mm、繊維径12μmのチョップドファイバー状のアラミド短繊維)(商品名:テクノーラ チョップドファイバー3mm(帝人(株)社製)10部を、タルク(商品名:ハイトロンA(竹原化学工業(株)社製)を200部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
【0099】
【0100】
表1からわかるように、本発明に係る特定要件を満たす重合体組成物を用いた架橋体からなる制振材は、損失係数が非常に高く制振性に優れ且つ、密度が低く軽量化が可能であり、優れた制振材とすることができることがわかる(実施例1~5)。
【0101】
一方、有機短繊維(C)を含まない場合(比較例2)の重合体組成物を用いた架橋体からなる制振材は、損失係数が低く、制振性に劣る(比較例1)。また、オレフィン系共重合体(A)を含まない場合の重合体組成物を用いた架橋体からなる制振材は、損失係数が非常に低く、制振性に劣り、密度も高く軽量性に劣る(比較例2)。
【0102】
また、オレフィン系共重合体(A)と有機短繊維(C)のどちらも含まない場合の重合体組成物を用いた架橋体からなる制振材は、損失係数が非常に低く、制振性に劣り、密度も高く軽量性に劣る(比較例3)。
【0103】
さらに、有機短繊維(C)を使用せず、従来技術である板状フィラーとしてのタルクを10部使用した場合も、損失係数が非常に低く、制振性に劣る(比較例4)。また、同様に有機短繊維(C)を使用せず、板状フィラーとしてのタルクを200部した場合も損失係数に若干の向上は見られるが、決して高い結果ではなく、また密度が高く、軽量性に劣る(比較例5)。