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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】泡吐出器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/34 20060101AFI20221207BHJP
   B05B 1/02 20060101ALI20221207BHJP
   B65D 47/06 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
B65D47/34 100
B05B1/02 101
B65D47/06 200
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018213761
(22)【出願日】2018-11-14
(65)【公開番号】P2020079110
(43)【公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】酒寄 直子
(72)【発明者】
【氏名】八島 昇
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-083637(JP,A)
【文献】中国実用新案第203997360(CN,U)
【文献】特開2015-143128(JP,A)
【文献】特開2016-088584(JP,A)
【文献】特開2012-110799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/34
B05B 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体から泡を生成する泡生成部と、
前記泡生成部により生成された前記泡が通過する泡流路と、
前記泡流路を通過した泡を吐出する吐出口と、
を備え、
前記泡流路は、
上流側流路と、
前記上流側流路の下流側に隣接して配置されていて前記上流側流路よりも流路面積が小さい細流路と、
前記細流路の下流側に隣接して配置されていて前記細流路よりも流路面積が大きい下流側流路と、
を含み、
前記泡生成部は、前記上流側流路に向けてそれぞれ開口している複数の泡出口を有し、
前記上流側流路の長さ寸法よりも、前記細流路の長さ寸法が大きい泡吐出器。
【請求項2】
前記細流路の上流端における軸心方向に視たときに、前記上流側流路の中央部に前記細流路が配置されている請求項1に記載の泡吐出器。
【請求項3】
前記軸心方向に視たときに、前記複数の泡出口の配置領域よりも中心寄りの位置に前記細流路が配置されている請求項2に記載の泡吐出器。
【請求項4】
前記上流側流路の下流端と前記細流路の上流端との境界において流路面積が不連続に変化している請求項1からのいずれか一項に記載の泡吐出器。
【請求項5】
前記細流路の上流端の流路面積が、前記上流側流路の下流端の流路面積の1%以上40%以下である請求項に記載の泡吐出器。
【請求項6】
前記液体を貯留する貯留容器と、
前記貯留容器に装着される装着部と、
を備え、
前記泡生成部、前記泡流路及び前記吐出口は、前記装着部に保持されている請求項1からのいずれか一項に記載の泡吐出器。
【請求項7】
請求項に記載の泡吐出器と、
前記貯留容器に充填された前記液体と、
を備える液体詰め泡吐出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、泡吐出器、及び、液体詰め泡吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
泡を液体から生成して吐出する泡吐出器としては、例えば、特許文献1に記載されたスクイズフォーマーが挙げられる。
特許文献1のスクイズフォーマーは、液体と空気とを混合させて泡を生成する混合部と、混合部から泡を吐出する吐出孔と、を備えており、吐出口の内面には、ねじ山状又は蛇腹状の凹凸部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-290365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者等の検討によれば、特許文献1の技術では、必ずしも十分にきめ細かな泡を吐出することはできない。
【0005】
本発明は、より確実にきめ細かな泡を吐出することが可能な構造の泡吐出器、及び、液体詰め泡吐出器に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、液体から泡を生成する泡生成部と、前記泡生成部により生成された前記泡が通過する泡流路と、前記泡流路を通過した泡を吐出する吐出口と、を備え、前記泡流路は、上流側流路と、前記上流側流路の下流側に隣接して配置されていて前記上流側流路よりも流路面積が小さい細流路と、前記細流路の下流側に隣接して配置されていて前記細流路よりも流路面積が大きい下流側流路と、を含み、前記泡生成部は、前記上流側流路に向けてそれぞれ開口している複数の泡出口を有し、前記上流側流路の長さ寸法よりも、前記細流路の長さ寸法が大きい泡吐出器に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、より確実にきめ細かな泡を吐出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る泡吐出器の正面断面図である。
図2図1の部分拡大図である。
図3】泡流路の各部、及び、泡生成部からの泡出口の、平面的な位置関係を示す図である。
図4図4(a)、図4(b)、図4(c)及び図4(d)の各々は実施形態に係る泡吐出器により吐出された泡を撮像した画像を示す図である。
図5図5(a)及び図5(b)の各々は細流路の縦断面形状の変形例を示す図である。
図6図6(a)、図6(b)、図6(c)及び図6(d)の各々は比較形態に係る泡吐出器により吐出された泡を撮像した画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図1から図3を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜に省略する。
図1から図3における下方向が下方、上方向が上方である。すなわち、本実施形態の場合、下方向(下方)は、泡吐出器100の底部14が水平な載置面に載置されて泡吐出器100が自立する状態での重力方向である。
図1では泡吐出器100が備える泡吐出キャップ200(後述)の構成において、曲線Hよりも下側の部分については、外形線のみを示している。
図3においては、泡流路700の各部と、泡生成部20からの泡出口710の平面形状が示されている。より詳細には、図3には、細流路730の上流端731及び下流端732の外形線(本実施形態では、これら2つの外形線は互いに一致している)、上流側流路720の外形線、複数の泡出口710、及び、下流側流路740の一部分を構成する連通流路32dが示されている。
【0010】
図1から図3のいずれかに示すように、本実施形態に係る泡吐出器100は、液体101から泡を生成する泡生成部20(図1)と、泡生成部20により生成された泡が通過する泡流路700と、泡流路700を通過した泡を吐出する吐出口41と、を備えている。
図2に示すように、泡流路700は、上流側流路720と、上流側流路720の下流側に隣接して配置されていて上流側流路720よりも流路面積が小さい細流路730と、細流路730の下流側に隣接して配置されていて細流路730よりも流路面積が大きい下流側流路740と、を含む。
泡生成部20は、上流側流路720に向けてそれぞれ開口している複数の泡出口710(図2図3)を有する。泡出口710の数は複数であれば特に限定されないが、本実施形態の場合は、図3に示すように、泡出口710の数は8である。
泡流路700が有する細流路730の数は、1つでも複数でもよいが、1つであることが好ましい。
上流側流路720の長さ寸法L1(図2)よりも、細流路730の長さ寸法L2(図2)が大きい。
【0011】
本実施形態によれば、泡生成部20により生成された泡が細流路730を通過する際に、細流路730の内周面と泡との粘性抵抗に起因するせん断力が泡に加わることによって、泡が微細化する。より詳細には、泡が細流路730を通過する際に、泡が細流路730の長手方向において引き伸ばされて泡が分裂する動作が繰り返し行われることで、泡が微細化すると考えられる。
しかも、上流側流路720の長さ寸法L1よりも細流路730の長さ寸法L2が大きいので、せん断による泡の微細化をより十分に行うことができる。
よって、より確実に泡をきめ細かくして吐出口41から吐出することが可能となる。
加えて、泡流路700は、細流路730の下流側に隣接して配置されていて細流路730よりも流路面積が大きい下流側流路740を有するので、細流路730を通過した泡の流速が、下流側流路740において十分に緩められてから吐出口41から吐出されるようにできる。よって、吐出口41から吐出された泡を手などの吐出対象物において容易に受け止めることができるとともに、泡が吐出対象物に衝突することによる破泡も抑制できる。
また、本発明者等の検討によれば、泡流路700を通過する泡の流速によらず、泡を微細化して吐出することができる(後述)。
【0012】
泡流路700の長手方向に対して直交する細流路730の直交断面形状は、特に限定されない。本実施形態の場合、この直交断面形状は円形である。
ただし、本発明は、この例に限らず、直交断面形状は、多角形状、角丸の多角形状など、その他の形状であってもよい。
また、本実施形態の場合、細流路730の上流端731と下流端732の形状も、円形である。
本実施形態では、上流端731と下流端732とが互いに同形状であるとともに、平面視において、上流端731と下流端732とが一致している。ただし、本発明は、この例に限らず、上流端731と下流端732とが互いに異なる形状であってもよいし、平面視において、上流端731と下流端732とが互いにずれた位置に配置されていてもよい。
より詳細には、本実施形態の場合、細径流路730の内部空間は円柱状の形状となっている。
細流路730の内径D(図2)又は円相当径は、特に限定されないが、0.5mm以上6.0mm以下であることが好ましく、1.0mm以上4.0mm以下であることが更に好ましく、2.0mm以上であることが一層好ましい。細流路730の内径D又は円相当径を0.5mm以上6.0mm以下とすることによって、泡をより確実にきめ細かくすることができる。
【0013】
細流路730の上流端731における軸心方向(図2に示す軸心AX11の方向)に視たときに、上流側流路720の中央部に細流路730が配置されている。
このため、上流側流路720から細流路730に泡が流入する段階で泡の流速が適度に減速されるので、泡が細流路730を素通りすることが抑制され、細流路730における泡のせん断が一層確実に行われることとなる。
本実施形態の場合、細流路730の上流端731における軸心方向は、上下方向である。したがって、図3に示すように、細流路730及び上流側流路720を平面視したときの上流側流路720及び細流路730の配置が、細流路730の上流端731における軸心方向に視たときの細流路730及び上流側流路720の配置である。
上流側流路720の中央部とは、上流側流路720の周縁部を避けた領域である。上流側流路720の周縁部とは、例えば、図3に示すように、細流路730の上流端731における軸心方向に視たときの上流側流路720の半径(又は円相当半径)をrとすると、上流側流路720の外周からr/10の領域とすることができる。つまり、泡流路700は、細流路730の上流端731における軸心方向に視たときに、上流側流路720の中心Cを基準として半径が9r/10の円形領域に、細流路730を有することが好ましい。なお、本発明は、上流側流路720の外周からr/10の領域に配置された細流路730を泡流路700が有することを排除するものではなく、泡流路700は、上流側流路720の中央部に配置された細流路730とは別に、上流側流路720の周縁部に配置された細流路730を有していてもよい。
細流路730の数が1つの場合、細流路730の上流端731における軸心方向に視たときに、上流側流路720の中心Cが細流路730の外形線の内側に位置していることが好ましい。細流路730の数が複数の場合でも、細流路730の上流端731における軸心方向に視たときに、上流側流路720の中心Cが複数の細流路730のうちの1つの細流路730の外形線の内側に位置していることが好ましい。
【0014】
図3に示すように、細流路730の上流端731における軸心方向に視たときに、複数の泡出口710の配置領域よりも中心寄りの位置に細流路730が配置されていることが好ましい。すなわち、細流路730の上流端731における軸心方向に視たときに、各泡出口710の中心が、細流路730の外形線の外側に配置されていることが好ましい。
これにより、上流側流路720と細流路730との境界には泡の流動を阻害する部分(例えば、後述する上側部材830の下端面831)が存在することとなり、上流側流路720と細流路730との境界において泡を十分に減速させることができる。
【0015】
細流路730の長さ寸法L2(図2)は3mm以上であることが好ましい。このような構成とすることによって、細流路730における泡のせん断をより十分に行うことができるため、泡をより確実にきめ細かくすることができる。
長さ寸法L2は、5mm以上であることが更に好ましい。長さ寸法L2は、40mm以下であることが好ましく、20mm以下であることが更に好ましい。
【0016】
上流側流路720の長さ寸法L1(図2)は1mm以上であることが好ましい。このような構成とすることによって、上流側流路720において個々の泡が独立した泡として形成される(個々の泡が画定する)とともに、個々の泡における全体の膜厚が平均化した後で、泡が細流路730に流入してせん断を受けるようにできる。換言すれば、泡の生成直後は動的表面張力が大きく膜厚に偏りがある(配向している)のに対し、泡が十分な長さの上流側流路720を通過する過程で泡の膜厚が平均化してから泡が細流路730に流入するようにできる。よって、泡をより確実にきめ細かくすることができる。
長さ寸法L1は2mm以上であることが更に好ましい。長さ寸法L1は、10mm以下であることが好ましい。
【0017】
上流側流路720の下流端722と細流路730の上流端731との境界において流路面積が不連続に変化していることが好ましい。このような構成とすることによって、上流側流路720から細流路730に泡が流入する段階で泡の流速をより確実に減速することができるため、細流路730における泡のせん断が一層確実に行われるようにできる。また、上流側流路720において泡が十分に画定するためのスペースを確保することができる。
より詳細には、細流路730の上流端731の流路面積が、上流側流路720の下流端722の流路面積の1%以上40%以下であることが好ましく、15%以上35%以下であることが更に好ましい。
【0018】
上流側流路720における流路面積は、複数の泡出口710の合計開口面積よりも大きい。
細流路730の上流端731における流路面積は、複数の泡出口710の合計開口面積以上であることが好ましい。これにより、泡出口710から吐出された泡がスムーズに(過度の圧力を受けずに)細流路730に流入するようにできる。よって、上流側流路720から細流路730に泡が流入する際における破泡を抑制できる。
【0019】
図1に示すように、泡吐出器100は、液体101を貯留する貯留容器10と、貯留容器10に対して着脱可能に装着される泡吐出キャップ200と、を備えて構成されている。
貯留容器10の形状は特に限定されないが、例えば、貯留容器10は、胴部11と、胴部11の上側に連接されている円筒状の口頸部13と、胴部11の下端を閉塞している底部14と、を有する形状となっている。口頸部13の上端には開口が形成されている。
本実施形態に係る液体詰め泡吐出器500は、泡吐出器100と、貯留容器10に充填された液体101と、を備えて構成されている。
【0020】
本実施形態では、液体101としては、ハンドソープを代表例として挙げることができるが、これに限られず、洗顔料、クレンジング剤、食器用洗剤、整髪料、ボディソープ、髭剃り用クリーム、ファンデーションや美容液等の肌用化粧料、染毛剤、消毒薬など、泡状で用いられる種々のものを例示することができる。
泡となる前の液体101の粘度は、特に限定されないが、例えば、20℃において1mPa・s以上20mPa・s以下とすることができる。粘度測定にはB型粘度計を使用し、測定される粘度域に適したローター及び回転数を選択することができる。
【0021】
本実施形態の場合、泡吐出器100は、貯留容器10に常圧で貯留された液体101を泡生成部20にて気体と接触させることにより、液体101を泡状に変化させる。泡吐出器100は、例えば、手押し操作により泡を吐出するポンプ容器である。
ただし、本発明は、この例に限らず、泡吐出器は、貯留容器が圧搾されることにより泡を吐出するように構成された、いわゆるスクイズボトルであってもよいし、モータ等を備える電動式の泡ディスペンサであってもよい。また、泡吐出器は、液体が圧縮ガスとともに貯留容器に充填されたエアロゾル容器であってもよい。
【0022】
泡吐出キャップ200は、貯留容器10に着脱可能に設けられているキャップ部材110と、キャップ部材110に設けられているポンプ部600と、貯留容器10内の液体101をポンプ部600に吸い上げるためのディップチューブ128と、ポンプ部600に保持されているヘッド部材30と、ヘッド部材30に設けられている泡生成部20と、を備えている。
【0023】
キャップ部材110は、貯留容器10の口頸部13に対して螺合等の止着方法により着脱可能に装着される装着部111と、装着部111の上端を塞いでいる環状閉塞部112と、環状閉塞部112の中央部から上方に起立している起立筒部113と、を備えている。
ヘッド部材30は、使用者による押下操作を受け付ける操作受部31と、操作受部31から下方に延びている内筒部32と、内筒部32の周囲に配置されている外筒部33と、ノズル部40と、を備えている。内筒部32の下部は、起立筒部113内に挿入されている。内筒部32の内部空間とノズル部40の内部空間であるノズル内泡流路90とは、内筒部32の上端に形成された連通流路32dを介して相互に連通している。ノズル内泡流路90の下流端には吐出口41が形成されている。連通流路32dとノズル内泡流路90とにより、泡流路700の下流側流路740が構成されている。
内筒部32の内部空間であって連通流路32dの下側の空間は、保持部32cである。保持部32cには、それぞれ後述する上側部材830及び下側部材820が収容されている。これら下側部材820及び上側部材830によって、泡生成部20の泡出口710、泡流路700の上流側流路720及び細流路730が構成されている。
ポンプ部600は、操作受部31に対する押下操作によりヘッド部材30が押し下げられることによって貯留容器10内の液体101を泡生成部20に供給する液体供給ポンプと、ヘッド部材30が押し下げられることにより貯留容器10内の気体を泡生成部20に供給する気体供給ポンプとを含んで構成されている。ポンプ部600の構造はよく知られており、本明細書では詳細な説明を省略する。
泡生成部20は、液体供給ポンプから供給される液体101と気体供給ポンプから供給される気体とが相互に接触する気液接触部(不図示)を有する。気液接触部にて液体101と気体とが混合されて、泡が生成される。本実施形態の場合、上述のように、泡生成部20は、上流側流路720に向けてそれぞれ開口している複数の泡出口710を有する。一例として、泡生成部20は、各泡出口710と対応する複数の気液接触部を有する。
このように、泡吐出器100は、液体101を貯留する貯留容器10と、貯留容器10に装着される装着部111と、を備え、泡生成部20、泡流路700及び吐出口41は、装着部111に保持されている。
泡吐出キャップ200が貯留容器10に装着されることにより、泡吐出キャップ200によって口頸部13の上端の開口が閉塞されている。
なお、ここで説明した泡吐出キャップ200(ポンプ部600を含む)の構造は一例であり、泡吐出キャップ200の構造としては、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、その他の広く知られている構造のものを適用しても構わない。
【0024】
使用者がヘッド部材30の操作受部31に対して1回の押下操作(ヘッド部材30を上死点から下死点まで押し下げる操作)、すなわち泡の吐出操作を行うことによって、泡吐出器100から一定量の泡が吐出されるようになっている。なお、厳密には、長時間間隔を空けてから吐出操作が行われた場合には、吐出操作を続けて行われた場合と比べて、吐出される泡の量が少なくなる。
細流路730において泡流路700が細くなっているため、泡出口710から吐出口41までの部分に残留する泡の量を低減できる。よって、吐出操作に応じて泡生成部20において生成された泡のより多くの割合を吐出口41から吐出することができる。
【0025】
図2に示すように、下側部材820は、例えば、上向きに開口した円柱形状の凹部821を有する円筒状部分を含んで構成されている。凹部821の底面に複数の泡出口710が開口している。本実施形態の場合、図3に示すように、8つの泡出口710が、凹部821の底面の周縁部に等角度間隔で配置されている。
【0026】
図2に示すように、上側部材830は、上下に長尺な柱状に形成されている。上側部材830の中央部には、上側部材830を上下に貫通する孔が形成されている。この孔の内部空間により、細流路730が構成されている。
上側部材830の下部は、下側部材820の凹部821の上部に嵌入固定されている嵌入部832である。
上側部材830の下端面831は、凹部821の底面から上方に離間した位置に配置されている。
凹部821の下部、すなわち上側部材830の下端面831と凹部821との対向間隔に位置する空間は、上流側流路720を構成している。
図3に示すように、細流路730の上流端731における軸心方向に視たときに、複数の泡出口710は、上流側流路720の外形線よりも内側に配置されていることが好ましい。
【0027】
連通流路32dの流路面積、及び、ノズル内泡流路90の流路面積は、細流路730の流路面積よりも大きい。すなわち、下流側流路740は、細流路730の下流側に隣接して配置されていて、細流路730よりも流路面積が大きい。
【0028】
本実施形態の場合、泡吐出器100は、生成した泡を微細化するメッシュを備えていない。このため、液体101がスクラブ剤を含有している場合であっても、好適に泡を生成して吐出することができる。
ただし、本発明は、この例に限らず、泡吐出器100は、生成した泡を微細化するメッシュを備えていてもよい。例えば、泡生成部20と上流側流路720との境界にメッシュを配置することができ、その場合、メッシュの格子状の各開口が、泡出口710となる。
【0029】
図4(a)、図4(b)、図4(c)及び図4(d)の各々は、本実施形態に係る泡吐出器100により吐出された泡を撮像した画像を示す図である。より詳細には、図4(a)~図4(d)に示す画像は、長さ寸法L1を5.7mm、長さ寸法L2を18mm、細流路730の内径Dを3.2mm、泡出口710の内径を1.0mm、上流側流路720の内径を7.0mmとしたときの泡の画像である。
一方、図6(a)、図6(b)、図6(c)及び図6(d)の各々は、比較形態に係る泡吐出器(不図示)により吐出された泡を撮像した画像を示す図である。
比較形態に係る泡吐出器は、上側部材830を有していない点(つまり細流路730を有していない点)で、本実施形態に係る泡吐出器100と相違しており、その他の点では、本実施形態に係る泡吐出器100と同様に構成されている。
図4(a)及び図6(a)は、ヘッド部材30を押し下げる速度(押下げ速度)を10mm/秒として吐出した泡の画像である。図4(b)及び図6(b)は押下げ速度を30mm/秒として吐出した泡の画像であり、図4(c)及び図6(c)は押下げ速度を50mm/秒として吐出した泡の画像であり、図4(d)及び図6(d)は押下げ速度を70mm/秒として吐出した泡の画像である。
本実施形態に係る泡吐出器100により吐出された泡は、比較形態に係る泡吐出器により吐出された泡と比べて、押下げ速度によらず、きめ細かく均一となった。つまり、泡流路700を通過する泡の流速によらず、泡を微細化して吐出することができた。
【0030】
図4(a)~図4(d)に泡の画像が示される例と比べて、内径Dを4.0mmとした点で異なる例でも、押下げ速度によらず、泡がきめ細かく均一となった。
図5(a)に示す例(後述)であって、内径Dを3.2mmとした例、及び、内径Dを4.0mmとした例でも、それぞれ、押下げ速度によらず、泡がきめ細かく均一となった。
【0031】
<細流路の縦断面形状の変形例>
次に、細流路730の長手方向に沿った断面形状の変形例を説明する。
図5(a)及び図5(b)に示す例では、細流路730の流路面積が、上流側から下流側に向けて拡縮を繰り返している。このような構成とすることにより、泡を更に微細化することができる。
細流路730の流路面積が拡縮を繰り返していることによって泡を微細化できる理由は明らかではないが、泡が細流路730を通過する際に流路面積の変化に応じて泡の流速も増減を繰り返すことで泡の分裂が促進されることが、泡の微細化に寄与していると考えられる。
細流路730の流路面積が拡縮する回数は、1回でもよい。
図5(a)に示すように、細流路730の上流端部734は、上流端731から下流側に向けて流路面積が拡がっていてもよい。また、細流路730の下流端部735は、下流端732から上流側に向けて流路面積が拡がっていてもよい。
図5(b)に示すように、細流路730の上流端部734は、上流端731から下流側に向けて流路面積が狭まっていてもよい。また、細流路730の下流端部735は、下流端732から上流側に向けて流路面積が狭まっていてもよい。
細流路730の長手方向に沿った断面において、長手方向に対して直交する方向における両端側の細流路730の外形線733は、図5(a)及び図5(b)に示すように、波線状の曲線形状であってもよいし、図示はしないが直線状の折れ線形状であってもよい。
図5(a)及び図5(b)の例では、細径流路730は蛇腹状の形状となっている。
【0032】
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
【0033】
例えば、細流路730の軸心は必ずしも直線状に延在していなくてもよく、曲線状に延在していてもよい。例えば、細流路730の軸心が弧状に屈曲していてもよい。一例として、ゴム製の上側部材830を屈曲した管状部に押し込まれることで、屈曲した形状の細流路730が形成されていてもよい。このようにすれば、例えば、細流路730における上流側部分は鉛直に延在し、細流路730における下流側部分はノズル内泡流路90に沿って水平又は略水平に延在する構成も実現できる。
【0034】
また、上側部材830は、細流路730の長手方向における1箇所又は複数箇所で分断された分割構造となっていてもよい。このようにすることによって、細流路730が上流側から下流側向けて拡縮を繰り返す構造も容易に実現することができる。
【0035】
また、上記の泡吐出器100の各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。
【0036】
上記実施形態は、以下の技術思想を包含する。
<1>液体から泡を生成する泡生成部と、前記泡生成部により生成された前記泡が通過する泡流路と、前記泡流路を通過した泡を吐出する吐出口と、を備え、前記泡流路は、上流側流路と、前記上流側流路の下流側に隣接して配置されていて前記上流側流路よりも流路面積が小さい細流路と、前記細流路の下流側に隣接して配置されていて前記細流路よりも流路面積が大きい下流側流路と、を含み、前記泡生成部は、前記上流側流路に向けてそれぞれ開口している複数の泡出口を有し、前記上流側流路の長さ寸法よりも、前記細流路の長さ寸法が大きい泡吐出器。
<2>前記細流路の上流端における軸心方向に視たときに、前記上流側流路の中央部に前記細流路が配置されている<1>に記載の泡吐出器。
<3>前記軸心方向に視たときに、前記複数の泡出口の配置領域よりも中心寄りの位置に前記細流路が配置されている<2>に記載の泡吐出器。
<4>前記細流路の長さ寸法L2が3mm以上である<1>から<3>のいずれか一項に記載の泡吐出器。
<5>前記細流路の長さ寸法L2は、5mm以上であることが好ましく、長さ寸法L2は、40mm以下であることが好ましく、20mm以下であることが更に好ましい<1>から<4>のいずれか一項に記載の泡吐出器。
<6>前記上流側流路の長さ寸法L1が1mm以上である<1>から<5>のいずれか一項に記載の泡吐出器。
<7>前記上流側流路の長さ寸法L1は2mm以上であることが好ましく、長さ寸法L1は、10mm以下であることが好ましい<1>から<6>のいずれか一項に記載の泡吐出器。
<8>前記上流側流路の下流端と前記細流路の上流端との境界において流路面積が不連続に変化している<1>から<7>のいずれか一項に記載の泡吐出器。
<9>前記細流路の上流端の流路面積が、前記上流側流路の下流端の流路面積の1%以上40%以下である<8>に記載の泡吐出器。
<10>前記細流路の上流端の流路面積が、前記上流側流路の下流端の流路面積の15%以上35%以下である<8>又は<9>に記載の泡吐出器。
<11>前記細流路の内径又は円相当径は、0.5mm以上6.0mm以下であることが好ましく、1.0mm以上4.0mm以下であることが更に好ましく、2.0mm以上であることが一層好ましい<1>から<10>のいずれか一項に記載の泡吐出器。
<12>前記細流路の流路面積が、上流側から下流側に向けて拡縮を繰り返している<1>から<11>のいずれか一項に記載の泡吐出器。
<13>前記細流路の長手方向に沿った断面において、当該長手方向に対して直交する方向における両端側の前記細流路の外形線は、波線状の曲線形状である<12>に記載の泡吐出器。
<14>前記液体を貯留する貯留容器と、前記貯留容器に装着される装着部と、を備え、前記泡生成部、前記泡流路及び前記吐出口は、前記装着部に保持されている<1>から<13>のいずれか一項に記載の泡吐出器。
<15><14>に記載の泡吐出器と、前記貯留容器に充填された前記液体と、を備える液体詰め泡吐出器。
【符号の説明】
【0037】
10 貯留容器
11 胴部
13 口頸部
20 泡生成部
30 ヘッド部材
31 操作受部
32 内筒部
32c 保持部
32d 連通流路
33 外筒部
40 ノズル部
41 吐出口
90 ノズル内泡流路
100 泡吐出器
101 液体
110 キャップ部材
111 装着部
112 環状閉塞部
113 起立筒部
128 ディップチューブ
200 泡吐出キャップ
500 液体詰め泡吐出器
600 ポンプ部
700 泡流路
710 泡出口
720 上流側流路
722 下流端
730 細流路
731 上流端
732 下流端
733 外形線
734 上流端部
735 下流端部
740 下流側流路
820 下側部材
821 凹部
830 上側部材
831 下端面
832 嵌入部
図1
図2
図3
図4
図5
図6