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特許7189743測定結果受信装置および測定装置ならびにこれらの方法、プログラムおよび記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】測定結果受信装置および測定装置ならびにこれらの方法、プログラムおよび記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G01D 9/00 20060101AFI20221207BHJP
   G08C 15/00 20060101ALI20221207BHJP
   G08C 17/00 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
G01D9/00 A
G08C15/00 E
G08C17/00 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018218001
(22)【出願日】2018-11-21
(65)【公開番号】P2020085579
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】390005175
【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
(74)【代理人】
【識別番号】100097490
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 益稔
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 貴志
(72)【発明者】
【氏名】芝野 和宏
(72)【発明者】
【氏名】西川 健司
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-242583(JP,A)
【文献】特開2007-206848(JP,A)
【文献】特開2012-47585(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0198545(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 9/00 - 9/42
G01D 21/00 - 21/02
G08C 13/00 - 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々の基準クロックに従って所定のサンプリング間隔で測定を行い、測定結果を送信する複数の測定器から該測定結果を受信する測定結果受信装置であって、
前記複数の測定器から前記測定結果を受信する受信部と、
前記測定結果を、共通のサンプリング間隔に対応づけられた測定値に変換するサンプリング間隔変換部と、
前記複数の測定器へ、測定開始を示す測定開始信号と、該測定開始から所定時間経過したことを示す所定時間経過信号とを送信する送信部と、
を備えた測定結果受信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の測定結果受信装置であって、
前記受信部が、前記送信部よりも、高速な通信を行う測定結果受信装置。
【請求項3】
請求項1に記載の測定結果受信装置であって、
前記サンプリング間隔変換部が、
前記所定時間と、前記複数の測定器の各々から受信した前記測定結果の個数とに基づき、前記複数の測定器の各々におけるサンプリング間隔を導出するサンプリング間隔導出部と、
前記測定結果と導出されたサンプリング間隔とに基づき、前記測定値を導出する測定値導出部とを有する測定結果受信装置。
【請求項4】
請求項3に記載の測定結果受信装置であって、
前記測定値導出部が、前記測定結果を補間することにより、前記測定値を導出する測定結果受信装置。
【請求項5】
請求項1に記載の測定結果受信装置であって、
前記測定結果が、温度、湿度、電圧、電流、抵抗、歪み、速度、加速度、回転、磁界、位置、高度、圧力、照度のいずれか2つ以上を含む、
測定結果受信装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の測定結果受信装置を備えた無線データロガー。
【請求項7】
基準クロックと、
該基準クロックに従って所定のサンプリング間隔で測定を行う測定部と、
該測定部による測定結果を送信する測定結果送信部と、
測定開始を示す測定開始信号と、該測定開始から所定時間経過したことを示す所定時間経過信号とを受信する制御信号受信部と、
を備え、
前記測定結果送信部が、前記制御信号受信部よりも、高速な通信を行う測定装置。
【請求項8】
請求項7に記載の測定装置であって、
前記測定結果が、温度、湿度、電圧、電流、抵抗、歪み、速度、加速度、回転、磁界、位置、高度、圧力、照度のいずれか2つ以上を含む、
測定装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載の測定装置を備えた無線データロガー。
【請求項10】
各々の基準クロックに従って所定のサンプリング間隔で測定を行い、測定結果を送信する複数の測定器から該測定結果を受信する測定結果受信方法であって、
前記複数の測定器から前記測定結果を受信する受信工程と、
前記測定結果を、共通のサンプリング間隔に対応づけられた測定値に変換するサンプリング間隔変換工程と、
前記複数の測定器へ、測定開始を示す測定開始信号と、該測定開始から所定時間経過したことを示す所定時間経過信号とを送信する送信工程と、
を備えた測定結果受信方法。
【請求項11】
各々の基準クロックに従って所定のサンプリング間隔で測定を行い、測定結果を送信する複数の測定器から該測定結果を受信する測定結果受信処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記測定結果受信処理が、
前記複数の測定器から前記測定結果を受信する受信工程と、
前記測定結果を、共通のサンプリング間隔に対応づけられた測定値に変換するサンプリング間隔変換工程と、
前記複数の測定器へ、測定開始を示す測定開始信号と、該測定開始から所定時間経過したことを示す所定時間経過信号とを送信する送信工程と、
を備えたプログラム。
【請求項12】
各々の基準クロックに従って所定のサンプリング間隔で測定を行い、測定結果を送信する複数の測定器から該測定結果を受信する測定結果受信処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータによって読み取り可能な記録媒体であって、
前記測定結果受信処理が、
前記複数の測定器から前記測定結果を受信する受信工程と、
前記測定結果を、共通のサンプリング間隔に対応づけられた測定値に変換するサンプリング間隔変換工程と、
前記複数の測定器へ、測定開始を示す測定開始信号と、該測定開始から所定時間経過したことを示す所定時間経過信号とを送信する送信工程と、
を備えた記録媒体。
【請求項13】
基準クロックを生成する基準クロック生成工程と、
該基準クロックに従って所定のサンプリング間隔で測定を行う測定工程と、
該測定工程による測定結果を送信する測定結果送信工程と、
測定開始を示す測定開始信号と、該測定開始から所定時間経過したことを示す所定時間経過信号とを受信する制御信号受信工程と、
を備え、
前記測定結果送信工程が、前記制御信号受信工程よりも、高速な通信を行う測定方法。
【請求項14】
基準クロックを生成する基準クロック生成工程と、
該基準クロックに従って所定のサンプリング間隔で測定を行う測定工程と、
該測定工程による測定結果を送信する測定結果送信工程と、
測定開始を示す測定開始信号と、該測定開始から所定時間経過したことを示す所定時間経過信号とを受信する制御信号受信工程と、
を備え、
前記測定結果送信工程が、前記制御信号受信工程よりも、高速な通信を行う測定処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項15】
基準クロックを生成する基準クロック生成工程と、
該基準クロックに従って所定のサンプリング間隔で測定を行う測定工程と、
該測定工程による測定結果を送信する測定結果送信工程と、
測定開始を示す測定開始信号と、該測定開始から所定時間経過したことを示す所定時間経過信号とを受信する制御信号受信工程と、
を備え、
前記測定結果送信工程が、前記制御信号受信工程よりも、高速な通信を行う測定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータによって読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の測定器から受信した測定結果の処理に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の測定器から測定結果を無線により受信して処理することが知られている(例えば、特許文献1の要約を参照)。複数の測定器は各々が有する基準クロックにしたがい所定のサンプリング間隔ごとに測定を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-48024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来技術によれば、測定器の各々が有する基準クロックの周波数に誤差が生じた場合、測定器の各々の測定結果の同期をとることができない。
【0005】
そこで、本発明は、測定器の各々が有する基準クロックの周波数に誤差が生じた場合であっても、測定器の各々の測定結果の同期をとることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる測定結果受信装置は、各々の基準クロックに従って所定のサンプリング間隔で測定を行い、測定結果を送信する複数の測定器から該測定結果を受信する測定結果受信装置であって、前記複数の測定器から前記測定結果を受信する受信部と、前記測定結果を、共通のサンプリング間隔に対応づけられた測定値に変換するサンプリング間隔変換部とを備えるように構成される。
【0007】
上記のように構成された測定結果受信装置は、各々の基準クロックに従って所定のサンプリング間隔で測定を行い、測定結果を送信する複数の測定器から該測定結果を受信する。受信部が、前記複数の測定器から前記測定結果を受信する。サンプリング間隔変換部が、前記測定結果を、共通のサンプリング間隔に対応づけられた測定値に変換する。
【0008】
なお、本発明にかかる測定結果受信装置は、前記複数の測定器へ、測定開始を示す測定開始信号と、該測定開始から所定時間経過したことを示す所定時間経過信号とを送信する送信部を備えるようにしてもよい。
【0009】
なお、本発明にかかる測定結果受信装置は、前記受信部が、前記送信部よりも、高速な通信を行うようにしてもよい。
【0010】
なお、本発明にかかる測定結果受信装置は、前記サンプリング間隔変換部が、前記所定時間と、前記複数の測定器の各々から受信した前記測定結果の個数とに基づき、前記複数の測定器の各々におけるサンプリング間隔を導出するサンプリング間隔導出部と、前記測定結果と導出されたサンプリング間隔とに基づき、前記測定値を導出する測定値導出部とを有するようにしてもよい。
【0011】
なお、本発明にかかる測定結果受信装置は、前記測定値導出部が、前記測定結果を補間することにより、前記測定値を導出するようにしてもよい。
【0012】
なお、本発明にかかる測定結果受信装置は、前記測定結果が、温度、湿度、電圧、電流、抵抗、歪み、速度、加速度、回転、磁界、位置、高度、圧力、照度のいずれか2つ以上を含むようにしてもよい。
【0013】
なお、本発明にかかる測定結果受信装置を無線データロガーが備えるようにしてもよい。
【0014】
本発明にかかる測定装置は、基準クロックと、該基準クロックに従って所定のサンプリング間隔で測定を行う測定部と、該測定部による測定結果を送信する測定結果送信部と、測定開始を示す測定開始信号と、該測定開始から所定時間経過したことを示す所定時間経過信号とを受信する制御信号受信部とを備え、前記測定結果送信部が、前記制御信号受信部よりも、高速な通信を行うように構成される。
【0015】
上記のように構成された測定装置によれば、基準クロックがある。測定部が、該基準クロックに従って所定のサンプリング間隔で測定を行う。測定結果送信部が、該測定部による測定結果を送信する。制御信号受信部が、測定開始を示す測定開始信号と、該測定開始から所定時間経過したことを示す所定時間経過信号とを受信する。前記測定結果送信部が、前記制御信号受信部よりも、高速な通信を行う。
【0016】
なお、本発明にかかる測定装置は、前記測定結果が、温度、湿度、電圧、電流、抵抗、歪み、速度、加速度、回転、磁界、位置、高度、圧力、照度のいずれか2つ以上を含むようにしてもよい。
【0017】
なお、本発明にかかる測定装置を無線データロガーが備えるようにしてもよい。
【0018】
本発明は、各々の基準クロックに従って所定のサンプリング間隔で測定を行い、測定結果を送信する複数の測定器から該測定結果を受信する測定結果受信方法であって、前記複数の測定器から前記測定結果を受信する受信工程と、前記測定結果を、共通のサンプリング間隔に対応づけられた測定値に変換するサンプリング間隔変換工程とを備えた測定結果受信方法である。
【0019】
本発明は、各々の基準クロックに従って所定のサンプリング間隔で測定を行い、測定結果を送信する複数の測定器から該測定結果を受信する測定結果受信処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記測定結果受信処理が、前記複数の測定器から前記測定結果を受信する受信工程と、前記測定結果を、共通のサンプリング間隔に対応づけられた測定値に変換するサンプリング間隔変換工程とを備えたプログラムである。
【0020】
本発明は、各々の基準クロックに従って所定のサンプリング間隔で測定を行い、測定結果を送信する複数の測定器から該測定結果を受信する測定結果受信処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータによって読み取り可能な記録媒体であって、前記測定結果受信処理が、前記複数の測定器から前記測定結果を受信する受信工程と、前記測定結果を、共通のサンプリング間隔に対応づけられた測定値に変換するサンプリング間隔変換工程とを備えた記録媒体である。
【0021】
本発明は、基準クロックを生成する基準クロック生成工程と、該基準クロックに従って所定のサンプリング間隔で測定を行う測定工程と、該測定工程による測定結果を送信する測定結果送信工程と、測定開始を示す測定開始信号と、該測定開始から所定時間経過したことを示す所定時間経過信号とを受信する制御信号受信工程とを備え、前記測定結果送信工程が、前記制御信号受信工程よりも、高速な通信を行う測定方法である。
【0022】
本発明は、基準クロックを生成する基準クロック生成工程と、該基準クロックに従って所定のサンプリング間隔で測定を行う測定工程と、該測定工程による測定結果を送信する測定結果送信工程と、測定開始を示す測定開始信号と、該測定開始から所定時間経過したことを示す所定時間経過信号とを受信する制御信号受信工程とを備え、前記測定結果送信工程が、前記制御信号受信工程よりも、高速な通信を行う測定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0023】
本発明は、基準クロックを生成する基準クロック生成工程と、該基準クロックに従って所定のサンプリング間隔で測定を行う測定工程と、該測定工程による測定結果を送信する測定結果送信工程と、測定開始を示す測定開始信号と、該測定開始から所定時間経過したことを示す所定時間経過信号とを受信する制御信号受信工程とを備え、前記測定結果送信工程が、前記制御信号受信工程よりも、高速な通信を行う測定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータによって読み取り可能な記録媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態にかかる無線通信システムの構成を示す図である。
図2】本発明の実施形態にかかる測定器2の構成を示す機能ブロック図である。
図3】本発明の実施形態にかかる測定結果受信装置1の構成を示す機能ブロック図である。
図4】本発明の実施形態にかかる測定結果処理部1fの構成を示す機能ブロック図である。
図5】測定開始から所定時間Tまでの測定対象量を、測定器2の各々の基準クロック2dに従って所定のサンプリング間隔で測定を行った場合の測定結果を示すグラフであり、サンプリング間隔が正しい場合(図5(a))、サンプリング間隔が短すぎる場合(図5(b))、サンプリング間隔が長すぎる場合(図5(c))を示す。
図6】測定結果の、共通のサンプリング間隔に対応づけられた測定値への変換を説明するためのグラフであり、サンプリング間隔が正しい場合(図6(a))、サンプリング間隔が短すぎる場合(図6(b))、サンプリング間隔が長すぎる場合(図6(c))を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施形態にかかる無線通信システムの構成を示す図である。本発明の実施形態にかかる無線通信システムは、測定結果受信装置1および複数の測定器2を備える。
【0027】
測定器2は、測定対象(例えば、自動車または半導体であるが、それに限定されない)の電圧、温度または歪み(他にも、湿度、電流、抵抗、速度、加速度、回転、磁界、位置、高度、圧力、照度でもよい)を測定し、その測定結果を測定結果受信装置1に無線により送信する。なお、測定結果は、電圧、温度、歪み、湿度、電流、抵抗、速度、加速度、回転、磁界、位置、高度、圧力、照度のいずれか2つ以上であってもよい。複数の測定器2は、各々の基準クロック(例えば、1kHz)に従って所定のサンプリング間隔(例えば、1ms)で測定を行う。
【0028】
測定結果受信装置1は、測定器2から送信された測定結果を無線により受信する。また、測定結果受信装置1は、測定器2へ、測定を制御するための制御信号を無線により送信する。制御信号は、例えば、測定開始を示す測定開始信号と、測定の開始から所定時間T(例えば、2秒)経過したことを示す所定時間経過信号と、測定器2に測定結果の送信を指示する送信指示信号を含む。
【0029】
なお、測定結果受信装置1は、例えば、通常のパーソナルコンピュータに無線通信用のルータ(高速通信用)を有線により接続し、さらに、その通常のパーソナルコンピュータのUSBポートに無線LANユニット(低速通信用)を接続したものである。
【0030】
なお、測定結果の送受信は、制御信号の送受信よりも、高速である。測定結果の送受信は、例えば、WiFiにより行われる。
【0031】
図2は、本発明の実施形態にかかる測定器2の構成を示す機能ブロック図である。本発明の実施形態にかかる測定器2は、低速受信部(制御信号受信部)2a、制御信号抽出部2b、測定部2c、基準クロック2d、測定結果伝達部2e、高速送信部(測定結果送信部)2fを備える。
【0032】
低速受信部(制御信号受信部)2aは、制御信号(例えば、上述の測定開始信号、所定時間経過信号および所定時間経過信号)を受信する。
【0033】
制御信号抽出部2bは、低速受信部2aから、制御信号を抽出して、測定部2cへ伝達する。
【0034】
測定部2cは、制御信号に即して、測定を行う。例えば、測定部2cは、測定開始信号を受けると、測定を開始する。測定部2cは、所定時間経過信号を受けると、測定開始から所定時間経過信号を受けるまでの測定結果を、送信可能な状態にまとめる。測定部2cは、送信指示信号を受けると、測定開始から所定時間経過信号を受けるまでの測定結果を、測定結果伝達部2eに与える。
【0035】
基準クロック2dは、測定部2cに基準クロック信号を与える。この基準クロック信号に従って、測定部2cが所定のサンプリング間隔で測定を行う。なお、基準クロック信号の周波数は、本来、いずれの測定器2においても同じであるべきものであるが(例えば、1kHz)、微妙に誤差が生じる。
【0036】
測定結果伝達部2eは、測定部2cから受けた測定結果を、高速送信部2fに与える。
【0037】
高速送信部(測定結果送信部)2fは、測定部2cによる測定結果を、測定結果受信装置1へ送信する。高速送信部2fは、低速受信部2aよりも、高速な通信を行う。高速送信部2fの送信は、例えば、WiFiにより行われる。
【0038】
なお、高速送信部2fは、測定結果に関する情報を、測定結果受信装置1から受信するようにしてもよい。また、低速受信部2aは、制御信号に関する情報を、測定結果受信装置1へ送信するようにしてもよい。
【0039】
図3は、本発明の実施形態にかかる測定結果受信装置1の構成を示す機能ブロック図である。
【0040】
本発明の実施形態にかかる測定結果受信装置1は、制御信号源1a、制御信号伝達部1b、低速送信部1c、高速受信部1d、測定結果抽出部1e、測定結果処理部1fを備える。
【0041】
制御信号源1aは、制御信号(例えば、上述の測定開始信号、所定時間経過信号および所定時間経過信号)を出力する。
【0042】
制御信号伝達部1bは、制御信号源1aから制御信号を受けて、低速送信部1cに伝達する。
【0043】
低速送信部1cは、複数の測定器2へ、制御信号を送信する。
【0044】
高速受信部1dは、複数の測定器2から、測定結果を受信する。なお、高速受信部1dは、低速送信部1cよりも、高速な通信を行う。高速受信部1dの受信は、例えば、WiFiにより行われる。
【0045】
測定結果抽出部1eは、高速受信部1dの受信内容から、測定結果を抽出する。
【0046】
測定結果処理部1fは、測定結果抽出部1eから測定結果を受け、測定結果を処理する。
【0047】
なお、高速受信部1dは、測定結果に関する情報を、測定器2へ送信するようにしてもよい。また、低速送信部1cは、制御信号に関する情報を、測定器2から受信するようにしてもよい。
【0048】
図4は、本発明の実施形態にかかる測定結果処理部1fの構成を示す機能ブロック図である。本発明の実施形態にかかる測定結果処理部1fは、測定回数抽出部1f-1、サンプリング間隔導出部1f-2、時間特性抽出部1f-4、同期部(測定値導出部)1f-6を有する。なお、サンプリング間隔導出部1f-2および同期部(測定値導出部)1f-6が、サンプリング間隔変換部に相当する。
【0049】
時間特性抽出部1f-4は、測定結果から、時間に対する測定結果の特性(すなわち、時間特性)を抽出し、同期部1f-6に与える。
【0050】
測定回数抽出部1f-1は、測定結果から、測定開始から所定時間経過信号を受けるまでの測定結果において測定が行われた回数を抽出し、サンプリング間隔導出部1f-2に与える。例えば、所定時間Tが2秒かつ基準クロックの周波数の本来の値が1kHzの場合、サンプリング間隔が正しい測定器2(測定回数Na=2000回)(サンプリング間隔=1ms)、サンプリング間隔が短すぎる測定器2(測定回数Nb>Na、例えばNb=2010回)、サンプリング間隔が長すぎる測定器2(測定回数Nc<Na、例えばNc=1995回)から測定結果を受信した場合、Na、Nb、Ncを、測定結果から抽出し、サンプリング間隔導出部1f-2に与える。
【0051】
サンプリング間隔導出部1f-2および同期部1f-6は、測定結果を、共通のサンプリング間隔に対応づけられた測定値に変換する。
【0052】
サンプリング間隔導出部1f-2は、所定時間Tと、複数の測定器2の各々から受信した測定結果の個数Na、Nb、Nc(測定回数抽出部1f-1から受ける)とに基づき、複数の測定器2の各々におけるサンプリング間隔を導出する。
【0053】
例えば、サンプリング間隔導出部1f-2によれば、サンプリング間隔が正しい測定器2(測定回数Na)についてはT/Na(=ta=1ms)、サンプリング間隔が短すぎる測定器2(測定回数Nb)についてはT/Nb(=tb)、サンプリング間隔が長すぎる測定器2(測定回数Nc)についてはT/Nc(=tc)がサンプリング間隔として導出される。
【0054】
同期部(測定値導出部)1f-6は、測定結果(から抽出された時間特性)と、サンプリング間隔導出部1f-2により導出されたサンプリング間隔T/Na(=ta=1ms)、T/Nb(=tb)、T/Nc(=tc)とに基づき、共通のサンプリング間隔に対応づけられた測定値を導出する。なお、測定結果を補間することにより、測定値を導出することができる。
【0055】
測定結果の補間による測定値の導出法を以下に説明する。
【0056】
図5は、測定開始から所定時間Tまでの測定対象量を、測定器2の各々の基準クロック2dに従って所定のサンプリング間隔で測定を行った場合の測定結果を示すグラフであり、サンプリング間隔が正しい場合(図5(a))、サンプリング間隔が短すぎる場合(図5(b))、サンプリング間隔が長すぎる場合(図5(c))を示す。なお、図5においては、測定器2の各々が、共通の測定対象を測定しているものと仮定している。
【0057】
まず、図5(a)を参照して、サンプリング間隔が正しい場合、そのサンプリング間隔をta(=1ms)とする。すると、測定結果は、時間ta、2ta、3ta、…(すなわち、1、2、3、…ms)について得られる。
【0058】
次に、図5(b)を参照して、サンプリング間隔が短すぎる場合、そのサンプリング間隔をtbとする。すると、測定結果は、時間tb、2tb、3tb、…について得られ、サンプリング間隔が正しい場合よりも、測定結果が得られる時間が前にずれる。もし、このような状況で、時間1、2、3、…msについて、測定結果が得られたとみなせば、それは誤った測定となる。そこで、時間tb、2tb、3tb、…について得られた測定結果を、時間ta、2ta、3ta、…(すなわち、1、2、3、…ms)ついて得られた測定結果にあわせる必要がある。
【0059】
次に、図5(c)を参照して、サンプリング間隔が長すぎる場合、そのサンプリング間隔をtcとする。すると、測定結果は、時間tc、2tc、3tc、…について得られ、サンプリング間隔が正しい場合よりも、測定結果が得られる時間が後にずれる。もし、このような状況で、時間1、2、3、…msについて、測定結果が得られたとみなせば、それは誤った測定となる。そこで、時間tc、2tc、3tc、…について得られた測定結果を、時間ta、2ta、3ta、…(すなわち、1、2、3、…ms)ついて得られた測定結果にあわせる必要がある。
【0060】
図6は、測定結果の、共通のサンプリング間隔に対応づけられた測定値への変換を説明するためのグラフであり、サンプリング間隔が正しい場合(図6(a))、サンプリング間隔が短すぎる場合(図6(b))、サンプリング間隔が長すぎる場合(図6(c))を示す。ただし、図6におけるNは、1以上T/ta(=2000)以下の整数である。
【0061】
共通のサンプリング間隔としては、正しいサンプリング間隔(1ms)を使用する。
【0062】
まず、サンプリング間隔が正しい場合(図6(a)参照)は、測定結果がそのまま測定値となる。
【0063】
次に、サンプリング間隔が短すぎる場合(図6(b)参照)は、時間Ntbと時間(N+1)tbとの間に時間Ntaがある。よって、時間Ntbのときの測定結果と、時間(N+1)tbのときの測定結果との間で直線補間を行えば、時間Ntaのときの測定値(黒丸印●で図示)を得ることができる。なお、サンプリング間隔導出部1f-2により、tbは、T/Nbとして求めることができる。同様に、時間(N+1)tbのときの測定結果と、時間(N+2)tbのときの測定結果との間で直線補間を行えば、時間(N+1)taのときの測定値(●で図示)を得ることができる。
【0064】
次に、サンプリング間隔が長すぎる場合(図6(c)参照)は、時間Ntcと時間(N+1)tcとの間に時間(N+1)taがある。よって、時間Ntcのときの測定結果と、時間(N+1)tcのときの測定結果との間で直線補間を行えば、時間(N+1)taのときの測定値(●で図示)を得ることができる。なお、サンプリング間隔導出部1f-2により、tcは、T/Ncとして求めることができる。同様に、時間(N+1)tcのときの測定結果と、時間(N+2)tcのときの測定結果との間で直線補間を行えば、時間(N+2)taのときの測定値(●で図示)を得ることができる。
【0065】
ただし、補間は、直線補間に限らず、他の補間(例えば、最小二乗法など)を用いてもかまわない。
【0066】
次に、本発明の実施形態の動作を説明する。
【0067】
まず、測定結果受信装置1の制御信号源1aが測定開始信号を出力する。測定開始信号は、低速送信部1cから、複数の測定器2へ送信される。測定器2は、低速受信部2aにより、測定開始信号を受信する。そして、測定部2cが測定を開始する。測定は、基準クロック2dの出力する基準クロック信号に従って、所定のサンプリング間隔で行われる。ただし、各々の基準クロック2dには微妙に誤差が生じ、サンプリング間隔が短すぎたり(図5(b)参照)、長すぎたりするもの(図5(c)参照)が生じる。
【0068】
次に、測定結果受信装置1の制御信号源1aが所定時間経過信号を出力する。所定時間経過信号は、低速送信部1cから、複数の測定器2へ送信される。測定器2の測定部2cは、所定時間経過信号を受けると、測定開始から所定時間経過信号を受けるまでの測定結果(時間0~Tの測定結果:図5参照)を、送信可能な状態にまとめる。
【0069】
さらに、測定結果受信装置1の制御信号源1aが送信指示信号を出力する。送信指示信号は、低速送信部1cから、複数の測定器2へ送信される。測定器2の測定部2cは、送信指示信号を受けると、測定開始から所定時間経過信号を受けるまでの測定結果(時間0~Tの測定結果:図5参照)を、測定結果伝達部2eに与える。この測定結果は、高速送信部2fから測定結果受信装置1へ送信される。
【0070】
各々の測定器2の測定結果は、高速受信部1dにより受信され、測定結果処理部1fにより処理される。
【0071】
まず、測定回数抽出部1f-1が、測定結果から、測定結果(時間0~Tの測定結果)において測定が行われた回数(Na、Nb、Nc)を抽出する。サンプリング間隔導出部1f-2が、これらの回数(Na、Nb、Nc)および所定時間Tから、測定器2の各々におけるサンプリング間隔T/Na(=ta=1ms)、T/Nb(=tb)、T/Nc(=tc)を導出する。同期部1f-6は、サンプリング間隔導出部1f-2からサンプリング間隔ta、tb、tcを受け、時間特性抽出部1f-4から時間特性を受け、共通のサンプリング間隔taに対応づけられた測定値を導出する(図6参照)。
【0072】
例えば、図6(b)を参照して、時間Ntbのときの測定結果と、時間(N+1)tbのときの測定結果との間で直線補間を行うことにより、時間Ntaのときの測定値(●で図示)を導出する。
【0073】
例えば、図6(c)を参照して、時間Ntcのときの測定結果と、時間(N+1)tcのときの測定結果との間で直線補間を行うことにより、時間(N+1)taのときの測定値(●で図示)を導出する。
【0074】
本発明の実施形態によれば、測定器2の各々が有する基準クロック2dの周波数に誤差が生じた場合であっても、測定器2の各々の測定結果を、サンプリング間隔taでの測定値にそろえることにより、測定器2の各々の測定結果の同期をとることができる。
【0075】
さらに、本発明の実施形態によれば、測定結果の送受信は、制御信号の送受信よりも、高速である。よって、大容量の測定結果も、測定結果受信装置1により受信および処理することができる。
【0076】
なお、測定結果受信装置1および測定装置2が、無線データロガーを構成する。
【0077】
また、上記の実施形態は、以下のようにして実現できる。CPU、ハードディスク、メディア(USBメモリ、CD-ROMなど)読み取り装置を備えたコンピュータに、上記の各部分、例えば測定結果受信装置1の各部分または測定器2の各部分を実現するプログラムを記録したメディアを読み取らせて、ハードディスクにインストールする。このような方法でも、上記の機能を実現できる。
【符号の説明】
【0078】
1 測定結果受信装置
1a 制御信号源
1b 制御信号伝達部
1c 低速送信部
1d 高速受信部
1e 測定結果抽出部
1f 測定結果処理部
1f-1 測定回数抽出部
1f-2 サンプリング間隔導出部
1f-4 時間特性抽出部
1f-6 同期部(測定値導出部)
2 測定器
2a 低速受信部(制御信号受信部)
2b 制御信号抽出部
2c 測定部
2d 基準クロック
2e 測定結果伝達部
2f 高速送信部(測定結果送信部)
Na、Nb、Nc 測定回数
ta、tb、tc サンプリング間隔
T 所定時間
図1
図2
図3
図4
図5
図6