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特許7189748熱供給設備の運転制御装置、運転制御方法、および、運転制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】熱供給設備の運転制御装置、運転制御方法、および、運転制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/156 20220101AFI20221207BHJP
   F24H 15/262 20220101ALI20221207BHJP
【FI】
F24H15/156
F24H15/262
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018225257
(22)【出願日】2018-11-30
(65)【公開番号】P2020085416
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503063168
【氏名又は名称】東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今枝 大和
(72)【発明者】
【氏名】柳瀬 伸行
(72)【発明者】
【氏名】松井 駿
(72)【発明者】
【氏名】香取 遼
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-174412(JP,A)
【文献】特開2004-093101(JP,A)
【文献】特開2015-135571(JP,A)
【文献】特開2010-237745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00-15/493
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源機の過去のエネルギー消費量と、気象データとに基づいて、施設の熱需要の予測を行う熱需要予測部と、
前記熱需要予測部により予測した熱需要に応じた熱を前記施設に供給する場合に前記熱源機の稼働に要する熱源機稼働要求量が最小になる前記熱源機の運転スケジュールを生成する熱源機運転スケジュール生成部と、
前記熱源機の運転スケジュールを生成した後、前記熱源機が前記施設に供給可能な熱の上限値より前記予測した熱需要に応じた熱が小さい場合であっても、前記予測した熱需要に応じた熱が所定の閾値以上である場合、前記所定の閾値以上となる熱を蓄熱槽が許容する範囲で蓄熱し前記施設に供給可能な蓄熱槽の運転スケジュールを生成する蓄熱槽運転スケジュール生成部と、
を備え、
前記熱源機運転スケジュール生成部は、
前記蓄熱槽の運転スケジュールを生成した後、前記熱源機および前記蓄熱槽により前記予測した熱需要に応じた熱を前記施設に供給する場合に前記熱源機稼働要求量が最小になる前記熱源機の運転スケジュールを再生成する
熱供給設備の運転制御装置。
【請求項2】
前記蓄熱槽運転スケジュール生成部は、
前記予測した熱需要に応じた熱が所定の閾値未満である場合、前記熱源機稼働要求量が最小となる値より大きい値に転換する直前まで、前記蓄熱槽から前記施設に熱を供給する熱供給時間を所定時間毎に増加するように前記蓄熱槽の運転スケジュールを生成する
請求項1に記載の熱供給設備の運転制御装置。
【請求項3】
前記熱源機運転スケジュール生成部は、
前記蓄熱槽の運転スケジュールにおける蓄熱開始時間を異ならせた複数の蓄熱開始時間それぞれについて導出される前記熱源機稼働要求量が最小になる前記熱源機の運転スケジュールを再生成する
請求項1または2に記載の熱供給設備の運転制御装置。
【請求項4】
前記熱源機運転スケジュール生成部は、
前記熱源機の運転スケジュールを再生成した後、前記熱源機が消費する燃料消費量が予め計画した燃料消費条件を満たしていない場合、前記燃料消費条件を満たすように前記熱源機の運転スケジュールを再生成する
請求項1からのいずれか1項に記載の熱供給設備の運転制御装置。
【請求項5】
熱源機の過去のエネルギー消費量と、気象データとに基づいて、施設の熱需要を予測するステップと、
予測した熱需要に応じた熱を前記施設に供給する場合に前記熱源機の稼働に要する熱源機稼働要求量が最小になる前記熱源機の運転スケジュールを生成するステップと、
前記熱源機の運転スケジュールを生成した後、前記熱源機が前記施設に供給可能な熱の上限値より前記予測した熱需要に応じた熱が小さい場合であっても、前記予測した熱需要に応じた熱が所定の閾値以上である場合、前記所定の閾値以上となる熱を蓄熱槽が許容する範囲で蓄熱し前記施設に供給可能な蓄熱槽の運転スケジュールを生成するステップと、
前記蓄熱槽の運転スケジュールを生成した後、前記熱源機および前記蓄熱槽により前記予測した熱需要に応じた熱を前記施設に供給する場合に前記熱源機稼働要求量が最小になる前記熱源機の運転スケジュールを再生成するステップと、
を備える熱供給設備の運転制御方法。
【請求項6】
コンピュータに、
熱源機の過去のエネルギー消費量と、気象データとに基づいて、施設の熱需要を予測するステップと、
予測した熱需要に応じた熱を前記施設に供給する場合に前記熱源機の稼働に要する熱源機稼働要求量が最小になる前記熱源機の運転スケジュールを生成するステップと、
前記熱源機の運転スケジュールを生成した後、前記熱源機が前記施設に供給可能な熱の上限値より前記予測した熱需要に応じた熱が小さい場合であっても、前記予測した熱需要に応じた熱が所定の閾値以上である場合、前記所定の閾値以上となる熱を蓄熱槽が許容する範囲で蓄熱し前記施設に供給可能な蓄熱槽の運転スケジュールを生成するステップと、
前記蓄熱槽の運転スケジュールを生成した後、前記熱源機および前記蓄熱槽により前記予測した熱需要に応じた熱を前記施設に供給する場合に前記熱源機稼働要求量が最小になる前記熱源機の運転スケジュールを再生成するステップと、
を実行させる熱供給設備の運転制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物に熱を供給する熱供給設備の運転制御装置、運転制御方法、および、運転制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、熱供給設備の過去のプロセスデータおよび過去の気象データに基づいて、建物における熱需要の予測を行い、予測した熱需要に応じた熱を供給するための熱供給設備の運転スケジュールを生成することについて開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-113079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、エネルギーコストを小さくするように熱供給設備の運転スケジュールを生成することについて開示がある。しかしながら、蓄熱槽を考慮した熱供給設備の運転スケジュールを最適化することについては言及されておらず、熱供給設備の最適化制御に改善の余地があった。
【0005】
本発明は、熱供給設備を最適化制御することが可能な熱供給設備の運転制御装置、運転制御方法、および、運転制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の熱供給設備の運転制御装置は、熱源機の過去のエネルギー消費量と、気象データとに基づいて、施設の熱需要の予測を行う熱需要予測部と、熱需要予測部により予測した熱需要に応じた熱を施設に供給する場合に熱源機の稼働に要する熱源機稼働要求量が最小になる熱源機の運転スケジュールを生成する熱源機運転スケジュール生成部と、熱源機の運転スケジュールを生成した後、熱源機が施設に供給可能な熱の上限値より予測した熱需要に応じた熱が小さい場合であっても、予測した熱需要に応じた熱が所定の閾値以上である場合、所定の閾値以上となる熱を蓄熱槽が許容する範囲で蓄熱し施設に供給可能な蓄熱槽の運転スケジュールを生成する蓄熱槽運転スケジュール生成部と、を備え、熱源機運転スケジュール生成部は、蓄熱槽の運転スケジュールを生成した後、熱源機および蓄熱槽により予測した熱需要に応じた熱を施設に供給する場合に熱源機稼働要求量が最小になる熱源機の運転スケジュールを再生成する。
【0008】
蓄熱槽運転スケジュール生成部は、予測した熱需要に応じた熱が所定の閾値未満である場合、熱源機稼働要求量が最小となる値より大きい値に転換する直前まで、蓄熱槽から施設に熱を供給する熱供給時間を所定時間毎に増加するように蓄熱槽の運転スケジュールを生成してもよい。
【0009】
熱源機運転スケジュール生成部は、蓄熱槽の運転スケジュールにおける蓄熱開始時間を異ならせた複数の蓄熱開始時間それぞれについて導出される熱源機稼働要求量が最小になる熱源機の運転スケジュールを再生成してもよい。
【0010】
熱源機運転スケジュール生成部は、熱源機の運転スケジュールを再生成した後、熱源機が消費する燃料消費量が予め計画した燃料消費条件を満たしていない場合、燃料消費条件を満たすように熱源機の運転スケジュールを再生成してもよい。
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の熱供給設備の運転制御方法は、熱源機の過去のエネルギー消費量と、気象データとに基づいて、施設の熱需要を予測するステップと、予測した熱需要に応じた熱を施設に供給する場合に熱源機の稼働に要する熱源機稼働要求量が最小になる熱源機の運転スケジュールを生成するステップと、熱源機の運転スケジュールを生成した後、熱源機が施設に供給可能な熱の上限値より予測した熱需要に応じた熱が小さい場合であっても、予測した熱需要に応じた熱が所定の閾値以上である場合、所定の閾値以上となる熱を蓄熱槽が許容する範囲で蓄熱し施設に供給可能な蓄熱槽の運転スケジュールを生成するステップと、蓄熱槽の運転スケジュールを生成した後、熱源機および蓄熱槽により予測した熱需要に応じた熱を施設に供給する場合に熱源機稼働要求量が最小になる熱源機の運転スケジュールを再生成するステップと、を備える。
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の熱供給設備の運転制御プログラムは、コンピュータに、熱源機の過去のエネルギー消費量と、気象データとに基づいて、施設の熱需要を予測するステップと、予測した熱需要に応じた熱を施設に供給する場合に熱源機の稼働に要する熱源機稼働要求量が最小になる熱源機の運転スケジュールを生成するステップと、熱源機の運転スケジュールを生成した後、熱源機が施設に供給可能な熱の上限値より予測した熱需要に応じた熱が小さい場合であっても、予測した熱需要に応じた熱が所定の閾値以上である場合、所定の閾値以上となる熱を蓄熱槽が許容する範囲で蓄熱し施設に供給可能な蓄熱槽の運転スケジュールを生成するステップと、蓄熱槽の運転スケジュールを生成した後、熱源機および蓄熱槽により予測した熱需要に応じた熱を施設に供給する場合に熱源機稼働要求量が最小になる熱源機の運転スケジュールを再生成するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、熱供給設備を最適化制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】エネルギー供給システムの構成を説明するための図である。
図2】設備制御方法の処理の流れを説明するためのフローチャートである。
図3】運転スケジュール生成処理を説明するフローチャートである。
図4】ランニングコストを導出する処理の流れを説明する図である。
図5】エネルギー需要予測部により予測された未来の施設エネルギー推移量のうち熱負荷量(熱需要)の推移の一例を示す図である。
図6】蓄熱運転最適化処理を説明する第1のフローチャートである。
図7】蓄熱運転最適化処理を説明する第2のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0016】
図1は、エネルギー供給システム1の構成を説明するための図である。図1に示すように、エネルギー供給システム1は、建物3と、エネルギー供給設備5と、設備制御ユニット7と、管理サーバ(運転制御装置)9とを備える。建物3、エネルギー供給設備5および設備制御ユニット7は、施設11に配される。
【0017】
エネルギー供給設備5は、建物3の負荷(例えば、電力負荷および熱負荷)に対し電力、冷熱、温熱などのエネルギーを供給する。エネルギー供給設備5は、電力供給設備5aと、熱供給設備5bとを備える。電力供給設備5aは、発電機5c(例えば、CGS(Co-Generation System))を含んで構成される。発電機5cは、電力を生成するとともに、電力の生成に伴って生じた熱で蒸気または温水を生成する。発電機5cは、建物3の電力負荷(電力需要)に対し電力を供給する。熱供給設備5bは、熱源機5d(例えば、吸収式冷凍機、空冷ヒートポンプチラー、ターボ冷凍機など)と、蓄熱槽5eとを含んで構成される。熱源機5dは、熱媒体を冷却または加熱する。蓄熱槽5eは、蓄熱のための熱媒体を貯留する。熱源機5dおよび蓄熱槽5eは、建物3の熱負荷(熱需要)に対し熱媒体(熱)を供給する。
【0018】
設備制御ユニット7は、設備通信部7aと、計測部7bと、設備制御部7cとを備える。設備通信部7aは、ネットワークNWを介して管理サーバ9と通信する。ネットワークNWは、無線ネットワークまたは有線ネットワークである。ネットワークNWは、例えば、インターネット、携帯電話網、PHS(Personal Handy-phone System)網、LAN(Local Area Network)などによって構成される情報通信ネットワークである。計測部7bは、エネルギー供給設備5のエネルギー消費量データと、設備稼働データと、建物二次側データ(熱媒体の温度、流量、熱量)とを、例えば、1分ごとに計測する。
【0019】
設備制御部7cは、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路で構成される。設備制御部7cは、計測部7bによって計測された計測値を、設備通信部7aを介して管理サーバ9に送信する。また、設備制御部7cは、エネルギー供給設備5を制御する。
【0020】
管理サーバ9は、施設11から離隔して設けられる。管理サーバ9は、管理通信部9aと、記憶部9bと、管理制御部9cとを備える。管理通信部9aは、ネットワークNWを介してさまざまな情報を送受信する。
【0021】
管理通信部9aは、ネットワークNWを介して設備通信部7aと通信可能である。管理通信部9aは、設備通信部7aを介して、計測部7bが計測したエネルギー供給設備5のエネルギー消費量データと、設備稼働データと、建物二次側データとを受信(取得)する。
【0022】
管理通信部9aは、ネットワークNWを介して気象情報サーバ13と通信可能である。気象情報サーバ13には、過去の気象についての気象データと、未来の気象についての気象データ(気象予測データ)とが記憶されている。管理通信部9aは、気象情報サーバ13から過去の気象データおよび未来の気象データを取得する。
【0023】
管理通信部9aは、ネットワークNWを介して料金単価データベースサーバ15と通信可能である。料金単価データベースサーバ15には、ガス等の燃料の日時毎の単価データと、電力の日時毎の単価データと、原燃料費調整単価データと、再生可能エネルギー発電促進賦課金単価データとが記憶されている。管理通信部9aは、料金単価データベースサーバ15から燃料の日時毎の単価データと、電力の日時毎の単価データと、原燃料費調整単価データと、再生可能エネルギー発電促進賦課金単価データとを取得する。
【0024】
記憶部9bは、RAM、フラッシュメモリ、HDD等で構成される。記憶部9bは、管理通信部9aにより取得した情報(データ)を記憶する。記憶部9bは、管理制御部9cの各機能部の処理に必要な様々な情報を保持する。本実施形態において、記憶部9bは、例えば、物件情報および設備情報を施設11に関連付けて保持する。ここで、物件情報は、施設11の住所、契約電力供給事業者、電気料金契約、契約ガス供給事業者、ガス料金契約等を示す情報である。設備情報は、施設11に設けられたエネルギー供給設備5それぞれの定格発電出力、定格熱出力、定格電力(ガス)消費量を示す情報である。
【0025】
管理制御部9cは、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路で構成される。管理制御部9cは、プログラムを動作させることで、エネルギー需要予測部(熱需要予測部)9dと、熱源機運転スケジュール生成部9eと、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fとして機能する。蓄熱槽運転スケジュール生成部9fについては、後程詳述する。
【0026】
エネルギー需要予測部9dは、エネルギー供給設備5の過去のエネルギー消費量データと、過去の気象データと、未来の気象データとに基づいて、施設11のエネルギー需要の予測を行う。エネルギー需要予測部9dは、例えば、ある1日分の気象予報(未来の気象データ)に基づいて、施設11の1日のエネルギー需要の時間変化を予測する。
【0027】
熱源機運転スケジュール生成部9eは、エネルギー需要予測部9dにより予測されたエネルギー需要に応じたエネルギー量を建物3に供給するためのエネルギー供給設備5(電力供給設備5aおよび熱供給設備5b)の運転スケジュールを生成する。熱源機運転スケジュール生成部9eにより生成された運転スケジュールは、管理通信部9aにより設備通信部7aに送信される。
【0028】
設備通信部7aは、管理通信部9aからエネルギー供給設備5の運転スケジュールを受信すると、受信した運転スケジュールを設備制御部7cに送信する。設備制御部7cは、設備通信部7aから受信した運転スケジュールに基づいて、エネルギー供給設備5を制御する。
【0029】
(設備制御方法)
図2は、設備制御方法の処理の流れを説明するためのフローチャートである。設備制御方法は、計測値送信処理(S200)、蓄積判定処理(S202)、施設エネルギー推移導出処理(S204)、施設エネルギー推移推定処理(S206)、運転スケジュール生成処理(S208)、設備駆動処理(S210)の順で処理が遂行される。
【0030】
(計測値送信処理S200)
設備通信部7aは、計測部7bが計測した計測値を管理サーバ9に送信する。
【0031】
(蓄積判定処理S202)
エネルギー需要予測部9dは、計測値送信処理S200において送信された計測値を記憶部9bに蓄積させる。そして、エネルギー需要予測部9dは、記憶部9bに所定時間分(例えば複数日分)の計測値が蓄積されたか否かを判定する。その結果、所定時間分蓄積されたと判定した場合には施設エネルギー推移導出処理S204に処理を移し、所定時間分蓄積されていないと判定した場合には計測値送信処理S200に処理を移す。
【0032】
(施設エネルギー推移導出処理S204)
エネルギー需要予測部9dは、記憶部9bに保持されたエネルギー供給設備5の過去のエネルギー消費量データに基づいて、施設11における過去の施設エネルギー推移量(エネルギー需要)を導出する。具体的に、エネルギー需要予測部9dは、エネルギー供給設備5のエネルギー消費量の1日分の推移や、建物3の電力負荷量および熱負荷量の1日分の推移などを導出する。また、エネルギー需要予測部9dは、気象情報サーバ13から取得した気象データ(例えば、最高気温と最低気温または平均外気温度)と、施設エネルギー推移量の相関をとり、施設エネルギー推移量に気象データを関連付ける。そして、エネルギー需要予測部9dは、気象データが関連付けられた施設エネルギー推移量を記憶部9bに保持させる。
【0033】
(施設エネルギー推移推定処理S206)
エネルギー需要予測部9dは、過去の施設エネルギー推移量、および、未来の気象データ(例えば、予想最高気温と予想最低気温または予想平均外気温度)に基づいて、未来の施設エネルギー推移量(エネルギー需要)を推定する。
【0034】
具体的に、エネルギー需要予測部9dは、記憶部9bに保持された過去の複数(複数日分)の施設エネルギー推移量と、推定対象となる未来の気象データとから、未来(例えば、翌日)の施設エネルギー推移量を推定する。エネルギー需要予測部9dは、過去の複数の施設エネルギー推移量に関連付けられた気象データと、未来(翌日)の気象データとを比較し、気象データの推移が一番近似している過去の施設エネルギー推移量を、未来の施設エネルギー推移量とする。ここで、参照する過去の施設エネルギー推移量は、現在から所定日数(例えば7日間)以内の施設エネルギー推移量としてもよいし、昨年またはそれ以前における同時期の施設エネルギー推移量としてもよい。
【0035】
なお、推定対象となる未来は、翌日に限らず、気象データを取得できる翌日以降の所定の日でもよい。かかる施設エネルギー推移量の導出手法は、特開2015-90639号公報のエネルギー消費量予測方法等、既存の様々な手法を利用できるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
【0036】
(運転スケジュール生成処理S208)
熱源機運転スケジュール生成部9eは、施設エネルギー推移推定処理S206で推定された未来の施設エネルギー推移量に基づいて、エネルギー供給設備5の運転スケジュールを生成する。運転スケジュールを生成するにあたり、本実施形態では、3つのモード(省コストモード、省エネモード、省COモード)が設けられており、熱源機運転スケジュール生成部9eは、ユーザによる操作入力に応じて決定された1のモードに従って、運転スケジュールを生成する。かかる運転スケジュール生成処理S208は後程詳述する。
【0037】
(設備駆動処理S210)
設備制御部7cは、熱源機運転スケジュール生成部9eにより生成された運転スケジュールに従い、エネルギー供給設備5の駆動を制御する。なお、設備制御部7cは、後述するように運転スケジュール生成処理S208中にエラー処理が行われた場合、予め定められた所定の運転スケジュールに従い、エネルギー供給設備5の駆動を制御してもよい。また、設備制御部7cは、運転スケジュール生成処理S208中にエラー処理が行われた場合、ユーザの指示に従い、エネルギー供給設備5の駆動を制御してもよい。
【0038】
図3は、運転スケジュール生成処理S208を説明するフローチャートである。
【0039】
(省コストモード判定処理S301)
熱源機運転スケジュール生成部9eは、ユーザによって選択されたモードが省コストモードであるか否かを判定する。その結果、省コストモードであると判定した場合にはコスト導出処理S303に処理を移し、省コストモードではないと判定した場合には省エネモード判定処理S311に処理を移す。
【0040】
(コスト導出処理S303)
熱源機運転スケジュール生成部9eは、未来の施設エネルギー推移量に基づいて、施設11全体のランニングコスト(施設11が要する電力および燃料の料金の合計)を所定時間(例えば、30分)毎に導出する。
【0041】
図4は、ランニングコストを導出する処理の流れを説明する図である。図4に示すように、例えば、未来の施設エネルギー推移量におけるt時台の電力負荷量(電力需要)をDe(t)(kWh/h)とし、未来の施設エネルギー推移量におけるt時台の熱負荷量(熱需要)をDh(t)(MJ/h)とする。t時台の電気料金単価(買電価格)をpe、t時台のガス料金(燃料料金)単価をpg、電力消費量に応じてt時台に課される電力料金をPe(t)、ガス消費量に応じてt時台に課されるガス料金をPg(t)とする。
【0042】
また、発電機(例えば、CGS)の発電出力をE(kW)、発電機の熱出力をH(MJ/h)、発電機のガス消費量(燃料消費量)をG(MJ/h)とする。また、熱源機A(例えば、吸収式冷凍機)の熱出力をH1(MJ/h)、熱源機Aの電力消費量をE1(MW/h)、熱源機Aのガス消費量(燃料消費量)をG1(MJ/h)とする。熱源機B(例えば、空冷ヒートポンプチラー)の熱出力をH2(MJ/h)、熱源機Bの電力消費量をE2(MW/h)、熱源機Bのガス消費量(燃料消費量)をG2(MJ/h)とする。
【0043】
図4では、一例として、発電機の定格発電出力をE(kW)、発電機の定格熱出力をH(MJ/h)、発電機の定格ガス消費量(定格燃料消費量)をG(MJ/h)として表している。また、熱源機Aの定格熱出力をH1(MJ/h)、熱源機Aの定格電力消費量をE1(MW/h)、熱源機Aの定格ガス消費量(定格燃料消費量)をG1(MJ/h)として表している。熱源機Bの定格熱出力をH2(MJ/h)、熱源機Bの定格電力消費量をE2(MW/h)、熱源機Bの定格ガス消費量(定格燃料消費量)をG2(MJ/h)として表している。
【0044】
このように、図4では、発電機の発電出力E、熱出力H、燃料消費量G、および、熱源機A(熱源機B)の熱出力H1(H2)、電力消費量E1(E2)、燃料消費量G1(G2)を簡易的に表している。しかし、実際には、発電機の発電出力E、熱出力H、燃料消費量G、および、熱源機A(熱源機B)の熱出力H1(H2)、電力消費量E1(E2)、燃料消費量G1(G2)は、機器(発電機や熱源機)の部分負荷特性などを考慮して計算される。
【0045】
熱源機運転スケジュール生成部9eは、熱源機Aのみを運転する場合(以下、「ケース1」とする)、熱源機Bのみを運転する場合(以下、「ケース2」とする)、熱源機A、Bの両方を運転する場合(以下、「ケース3」とする)のランニングコストP(t)を導出する。以下、各ケースのランニングコストP(t)の導出を具体的に説明する。
【0046】
(ケース1)
ケース1の場合、ランニングコストP(t)は、以下の式(1)~式(3)から導出することができる。
Pe(t)=(De(t)-E+E1)×pe
…式(1)
ただし、売電を想定する場合、De(t)-E+E1<0のときは、上記式(1)のpeに代えて、売電価格pfを(De(t)-E+E1)に乗じる。
Pg(t)=(G1+G)×pg
…式(2)
ただし、Dh(t)>H1のときは、本ケース1は、運転スケジュールを生成する際に除外される。
P(t)=Pe(t)+Pg(t)
…式(3)
【0047】
(ケース2)
ケース2の場合、ランニングコストP(t)は、以下の式(4)~式(6)から導出することができる。
Pe(t)=(De(t)-E+E2)×pe
…式(4)
ただし、売電を想定する場合、De(t)-E+E2<0のときは、上記式(4)のpeに代えて、売電価格pfを(De(t)-E+E2)に乗じる。
Pg(t)=(G2+G)×pg
…式(5)
ただし、Dh(t)>H2のときは、本ケース2は、運転スケジュールを生成する際に除外される。
P(t)=Pe(t)+Pg(t)
…式(6)
【0048】
(ケース3)
ケース3の場合、ランニングコストP(t)は、以下の式(7)~式(9)から導出することができる。
Pe(t)=(De(t)-E+E1+E2)×pe
…式(7)
ただし、売電を想定する場合、De(t)-E+E1+E2<0のときは、上記式(7)のpeに代えて、売電価格pfを(De(t)-E+E1+E2)に乗じる。
Pg(t)=(G1+G2+G)×pg
…式(8)
P(t)=Pe(t)+Pg(t)
…式(9)
【0049】
なお、ランニングコストP(t)を導出する際に用いられる上記の料金(電気料金、ガス料金)は、固定的に決定されたり、所定時間毎に更新されたりする(変動したりする)。熱源機運転スケジュール生成部9eは、ランニングコストP(t)の導出時に、対象となる期間(例えば翌日)の料金を参照し、その更新された料金を反映してランニングコストP(t)を導出するとしてもよい。
【0050】
(精算金契約判定処理S305)
熱源機運転スケジュール生成部9eは、記憶部9bに保持された物件情報を参照し、ガスの精算金についての契約を結んでいるか否かを判定する。その結果、ガスの精算金についての契約を結んでいないと判定した場合には第1運転スケジュール決定処理S307に処理を移し、ガスの精算金についての契約を結んでいると判定した場合には第2運転スケジュール決定処理S309に処理を移す。なお、詳しくは後述するが、ガスの精算金は、予め計画したガス消費条件(燃料消費条件)を履行しない場合に契約者がガス供給事業者に支払うものである。
【0051】
(第1運転スケジュール決定処理S307)
熱源機運転スケジュール生成部9eは、コスト導出処理S303において導出されたランニングコストP(t)を参照し、施設11が要する電力および燃料の合計料金が最小となる発電機5cおよび熱源機5dの運転スケジュールを生成する。具体的に説明すると、熱源機運転スケジュール生成部9eは、上記ケース1~ケース3のランニングコストP(t)を比較し、最も小さくなったケースをt時台の熱源機5dの運転台数および運転条件とする。熱源機運転スケジュール生成部9eは、対象となる期間(例えば翌日)における、30分ごとに、熱源機5dの運転台数および運転条件を決定する。つまり、熱源機運転スケジュール生成部9eは、0時台~23時台まで、熱源機5dの運転台数および運転条件を決定する処理を行い(48回行い)、各時刻の熱源機5dの運転スケジュールを作成する。熱源機運転スケジュール生成部9eは、運転スケジュールを生成した後、蓄熱システム判定処理S321に処理を移す。
【0052】
(第2運転スケジュール決定処理S309)
熱源機運転スケジュール生成部9eは、上記第1運転スケジュール決定処理S307と同様に運転スケジュールを生成した後、精算金の発生を回避するべく運転スケジュールを変更する。また、熱源機運転スケジュール生成部9eは、運転スケジュールを変更した後、蓄熱システム判定処理S321に処理を移す。
【0053】
上記したように、ガスの精算金は、予め計画したガス消費条件を履行しない場合に契約者がガス供給事業者に支払うものである。ガスの精算金は、例えば、契約年間負荷率未達、契約最大時間流量倍率未達、契約年間引取量未達、契約最大需要月使用量超過、契約最大需要期使用量超過のいずれか1または複数の条件を満たした場合に発生する。したがって、熱源機運転スケジュール生成部9eは、ガスの精算金についての契約を結んでいる場合に、精算金の発生を回避するように運転スケジュールを変更する。以下、契約年間負荷率未達、契約最大時間流量倍率未達、契約年間引取量未達、契約最大需要月使用量超過、契約最大需要期使用量超過それぞれの場合について説明する。
【0054】
(契約年間負荷率未達)
下記式(10)で定義される年間負荷率の数値が契約値を下回ると、精算金が発生する。
年間負荷率=契約期間の月平均使用量÷最大需要期の月平均使用量
=(調整前年間ガス使用量÷12)÷(調整前最大需要期ガス使用量÷4)
…式(10)
ここで、最大需要期は、ガスの消費量が相対的に多くなる期間であり、例えば、12月、1月、2月、3月の4ヶ月である。
【0055】
こうして導出された年間負荷率が契約値を下回ると判断される場合には、熱源機運転スケジュール生成部9eは、判断された月が最大需要期以外であるか、または最大需要期であるかに応じて、運転スケジュールを変更する。
【0056】
(最大需要期以外の場合)
最大需要期以外の場合、発電機5cおよび熱源機5dのいずれか一方または双方の運転時間を相対的に長くして、ガス消費量を増加させることで、年間負荷率を改善する。ここで、調整前年間ガス使用量は、実績使用量と契約残期間の計画ガス使用量の合計であり、最大需要期ガス使用量は、最大需要期(12月~3月)の実績使用量と契約残期間の計画ガス使用量である。
【0057】
調整前年間ガス使用量は、下記式(11)から導出することができる。ここでは、都市ガスの契約期間が7月1日から翌年の6月30日であった場合の、9月14日時点の調整前年間ガス使用量の導出を例に挙げる。
調整前年間ガス使用量=実績量+残期間の計画ガス使用量
=実績量+当該月使用量見通し+翌月以降の計画ガス使用量
…式(11)
ここで、実績量は、7月1日~9月13日(前日)までのガス使用量である。当該月使用量見通しは、9月の計画ガス使用量×(30日-13日)÷30日(なお、30日は、該当月に合わせて31日や28日となることもある)である。翌月以降の計画ガス使用量は、契約時に定めた10月から翌年の6月までの計画ガス使用量である。
【0058】
そして、上記式(10)の年間負荷率に契約値(例えば、80%)を代入することで、ガス調整量は、下記式(12)~式(14)から導出することができる。ここで、ガス調整量は、年間負荷率の値を契約値まで改善するために必要なガス使用量(増量分)であり、ガス調整量>0となる。
年間負荷率=契約期間の月平均使用量÷最大需要期の月平均使用量
…式(12)
契約年間負荷率={(調整前年間ガス使用量+ガス調整量)÷12}÷(最大需要期ガス使用量÷4)
…式(13)
ガス調整量=契約年間負荷率×(最大需要期ガス使用量÷4)×12-調整前年間ガス使用量
…式(14)
【0059】
そして、熱源機運転スケジュール生成部9eは、下記式(15)に基づいて、発電機5cおよび熱源機5dの一方または双方の運転調整時間を導出する。
運転調整時間=ガス調整量÷発電機(熱源機)の定格燃料消費量
…式(15)
こうして導出された運転調整時間分、運転させる発電機5c(熱源機5d)の台数、および、発電機5c(熱源機5d)の運転時間のいずれか一方または双方を増加させた運転スケジュールに変更する。
【0060】
(最大需要期の場合)
最大需要期の場合、発電機5cおよび熱源機5dのいずれか一方または双方の運転時間を相対的に短縮して、ガス消費量を減少させることで、年間負荷率の値を改善する。ここで、調整前最大需要期ガス使用量は、最大需要期実績量と最大需要期残期間の計画ガス使用量の合計である。
【0061】
なお、ここでは、都市ガスの契約期間が7月1日から翌年の6月30日であった場合の、1月14日時点の調整前年間ガス使用量、調整前最大需要期ガス使用量の導出を例に挙げる。調整前年間ガス使用量は、下記式(16)から導出することができ、調整前最大需要期ガス使用量は、下記式(17)から導出することができる。
調整前年間ガス使用量=実績量+残期間の計画ガス使用量
=実績量+当該月使用量見通し+翌月以降の計画ガス使用量
…式(16)
調整前最大需要期ガス使用量=最大需要期実績量+最大需要期残期間の計画ガス使用量
=最大需要期実績量+当該月使用量見通し+翌月以降の最大需要期計画ガス使用量
…式(17)
ここで、実績量は、7月1日~1月13日(前日)までのガス使用量である。当該月使用量見通しは、1月の計画ガス使用量×(31日-13日)÷31日(なお、31日は、該当月に合わせて30日や28日となることもある)である。翌月以降の計画ガス使用量は、契約時に定めた2月から6月までの計画ガス使用量である。最大需要期実績量は、12月1日~1月13日(前日)までのガス使用量である。翌月以降の最大需要期計画ガス使用量は、契約時に定めた2月から3月までの計画ガス使用量である。
【0062】
そして、上記式(10)の年間負荷率に契約値(例えば、80%)を代入することで、ガス調整量は、下記式(18)~式(20)から導出することができる。ここで、ガス調整量は、年間負荷率の値を契約値まで改善するために必要なガス使用量(減量分)であり、ガス調整量<0となる。
年間負荷率=契約期間の月平均使用量÷最大需要期の月平均使用量
…式(18)
契約年間負荷率={(調整前年間ガス使用量+ガス調整量)÷12}÷{(調整前最大需要期ガス使用量+ガス調整量)÷4}
…式(19)
ガス調整量={調整前年間ガス使用量-3×年間負荷率×調整前最大需要期ガス使用量}÷(3×年間負荷率-1)
…式(20)
【0063】
そして、熱源機運転スケジュール生成部9eは、上記式(15)に基づいて、発電機5cおよび熱源機5dのいずれか一方または双方の運転調整時間を導出する。熱源機運転スケジュール生成部9eは、導出した運転調整時間分、運転させる発電機5c(熱源機5d)の台数、および、発電機5c(熱源機5d)の運転時間のいずれか一方または双方を減少させた運転スケジュールに変更する。
【0064】
(契約最大時間流量倍率未達)
以下の式(21)で定義される最大時間流量倍率の数値が契約値を下回ると、精算金が発生する。
最大時間流量倍率=年間ガス使用量÷契約最大時間流量
=調整前年間ガス使用量÷契約最大時間流量
…式(21)
ここで、契約最大時間流量は、契約時に定めた1時間当りの最大予定ガス使用量(固定値)である。
【0065】
熱源機運転スケジュール生成部9eは、最大時間流量倍率が契約値を下回ると判断される場合には、運転スケジュールを変更する。
【0066】
調整前年間ガス使用量は、下記式(22)から導出することができる。ここでは、都市ガスの契約期間が7月1日から翌年の6月30日であった場合の、11月14日時点の調整前年間ガス使用量の導出を例に挙げる。
調整前年間ガス使用量=実績量+残期間の計画ガス使用量
=実績量+当該月使用量見通し+翌月以降の計画ガス使用量
…式(22)
ここで、実績量は、7月1日~11月13日(前日)までのガス使用量である。当該月使用量見通しは、11月の計画ガス使用量×(30日-13日)÷30日(なお、30日は、該当月に合わせて31日や28日となることもある)である。翌月以降の計画ガス使用量は、契約時に定めた12月から翌年の6月までの計画ガス使用量である。
【0067】
そして、上記式(21)の最大時間流量倍率に契約値(例えば、1800)を代入することで、ガス調整量は、下記式(23)~式(25)から導出することができる。ここで、ガス調整量は、最大時間流量倍率の値を契約値まで改善するために必要なガス使用量(増量分)であり、ガス調整量>0となる。
最大時間流量倍率=年間ガス使用量÷契約最大時間流量
…式(23)
契約最大時間流量倍率=(調整前年間ガス使用量+ガス調整量)÷契約最大時間流量
…式(24)
ガス調整量=契約最大時間流量倍率×契約最大時間流量-調整前年間ガス使用量
…式(25)
【0068】
そして、熱源機運転スケジュール生成部9eは、上記式(15)に基づいて、発電機5cおよび熱源機5dのいずれか一方または双方の運転調整時間を導出する。熱源機運転スケジュール生成部9eは、導出した運転調整時間分、運転させる発電機5c(熱源機5d)の台数、および、発電機5c(熱源機5d)の運転時間のいずれか一方または双方を増加させた運転スケジュールに変更する。
【0069】
(契約年間引取量未達)
年間引取量の見通しは、下記式(26)から導出することができる。ここでは、都市ガスの契約期間が7月1日から翌年の6月30日であった場合の、4月14日時点の調整前年間ガス使用量の導出を例に挙げる。
年間引取量の見通し=調整前年間ガス使用量
=実績量+残期間の計画ガス使用量
=実績量+当該月使用量見通し+翌月以降の計画ガス使用量
…式(26)
ここで、実績量は、7月1日~4月13日(前日)までのガス使用量である。当該月使用量見通しは、4月の計画ガス使用量×(30日-13日)÷30日(なお、30日は、該当月に合わせて31日や28日となることもある)である。翌月以降の計画ガス使用量は、契約時に定めた5月から6月までの計画ガス使用量である。
【0070】
そして、年間引取量の見通しの数値が、契約年間使用量×引取量係数を下回ると(年間引取量の見通し<契約年間使用量×引取量係数)、精算金が発生する。ここで、契約年間使用量は、契約時に定めた12ヶ月分の計画ガス使用量の合計である。引取量係数は、契約時に定めた係数(例えば、65%)である。
【0071】
そして、年間引取量の見通しを改善するために必要なガス調整量は、下記式(27)~式(29)から導出することができる。ここで、ガス調整量は、年間引取量の見通しの値を精算金が発生しない値にするために必要なガス使用量(増量分)であり、ガス調整量>0となる。
年間引取量の見通し<契約年間使用量×引取量係数
…式(27)
調整前年間ガス使用量+ガス調整量=契約年間使用量×引取量係数
…式(28)
ガス調整量=契約年間使用量×引取量係数-調整前年間ガス使用量
…式(29)
【0072】
そして、熱源機運転スケジュール生成部9eは、上記式(15)に基づいて、発電機5cおよび熱源機5dのいずれか一方または双方の運転調整時間を導出する。熱源機運転スケジュール生成部9eは、導出した運転調整時間分、運転させる発電機5c(熱源機5d)の台数、および、発電機5c(熱源機5d)の運転時間のいずれか一方または双方を増加させた運転スケジュールに変更する。
【0073】
(契約最大需要月使用量超過)
最大需要期に該当する各月の使用量の見通しは、下記式(30)から導出することができる。ここでは、1月14日時点の1月の調整前ガス使用量の導出を例に挙げる。
最大需要期の調整前各月ガス使用量=実績量+残日数の計画ガス使用量
…式(30)
ここで、最大需要期の調整前各月ガス使用量は、該当月の実績使用量と残期間の計画ガス使用量の合計である。実績量は、1月1日~1月13日(前日)までのガス使用量である。残日数の計画ガス使用量は、1月の計画ガス使用量×(31日-13日)÷31日(なお、31日は、該当月に合わせて30日や28日となることもある)である。
【0074】
そして、最大需要期の調整前各月ガス使用量の数値が、契約最大需要月使用量×超過係数を上回ると(最大需要期の調整前各月ガス使用量>契約最大需要月使用量×超過係数)、精算金が発生する。ここで、契約最大需要月使用量は、契約期間における最大需要期の契約月別使用量のうち最も大きいものである。超過係数は、契約時に定めた係数(例えば、105%)である。
【0075】
そして、最大需要期に該当する各月の使用量の見通しを改善するために必要なガス調整量は、下記式(31)~式(33)から導出することができる。ここで、ガス調整量は、最大需要期に該当する各月の使用量を精算金が発生しない値にするために必要なガス使用量(減量分)であり、ガス調整量<0となる。
最大需要期の調整前各月ガス使用量>契約最大需要月使用量×超過係数
…式(31)
最大需要期の調整前各月ガス使用量+ガス調整量=契約最大需要月使用量×超過係数
…式(32)
ガス調整量=契約最大需要月使用量×超過係数-最大需要期の調整前各月ガス使用量
…式(33)
【0076】
そして、熱源機運転スケジュール生成部9eは、上記式(15)に基づいて、発電機5cおよび熱源機5dのいずれか一方または双方の運転調整時間を導出する。熱源機運転スケジュール生成部9eは、導出した運転調整時間分、運転させる発電機5c(熱源機5d)の台数、および、発電機5c(熱源機5d)の運転時間のいずれか一方または双方を減少させた運転スケジュールに変更する。
【0077】
(契約最大需要期使用量超過)
最大需要期の使用量の見通しは、下記式(34)から導出することができる。ここでは、1月14日時点の最大需要期の調整前ガス使用量の導出を例に挙げる。
最大需要期の調整前ガス使用量=実績量+残期間の計画ガス使用量
=実績量+当該月使用量見通し+翌月以降の最大需要期計画ガス使用量
…式(34)
ここで、最大需要期の調整前ガス使用量は、最大需要期の実績使用量と残期間の計画ガス使用量の合計である。実績量は、12月1日~1月13日(前日)までのガス使用量である。当該月使用量見通しは、1月の計画ガス使用量×(31日-13日)÷31日(なお、31日は、該当月に合わせて30日や28日となることもある)である。翌月以降の最大需要期計画ガス使用量は、契約時に定めた2月~3月までの計画ガス使用量である。
【0078】
そして、最大需要期の調整前ガス使用量の数値が、契約最大需要期使用量×超過係数を上回ると(最大需要期の調整前ガス使用量>契約最大需要期使用量×超過係数)、精算金が発生する。ここで、契約最大需要期使用量は、契約時に定めた最大需要期の月使用量の合計である。超過係数は、契約時に定めた係数(例えば、105%)である。
【0079】
そして、最大需要期の使用量の見通しを改善するために必要なガス調整量は、下記式(35)~式(37)から導出することができる。ここで、ガス調整量は、最大需要期の使用量を、精算金が発生しない値にするために必要なガス使用量(減量分)であり、ガス調整量<0となる。
最大需要期の調整前ガス使用量>契約最大需要期使用量×超過係数
…式(35)
最大需要期の調整前ガス使用量+ガス調整量=契約最大需要期使用量×超過係数
…式(36)
ガス調整量=契約最大需要期使用量×超過係数-最大需要期の調整前ガス使用量
…式(37)
【0080】
そして、熱源機運転スケジュール生成部9eは、上記式(15)に基づいて、発電機5cおよび熱源機5dのいずれか一方または双方の運転調整時間を導出する。熱源機運転スケジュール生成部9eは、導出した運転調整時間分、運転させる発電機5c(熱源機5d)の台数、および、発電機5c(熱源機5d)の運転時間のいずれか一方または双方を減少させた運転スケジュールに変更する。
【0081】
以上説明したように、第2運転スケジュール決定処理S309では、精算金の発生を回避するべく運転スケジュールを変更する。なお、発電機5cおよび熱源機5dの一方または双方の運転台数や運転時間を変更する場合、熱源機運転スケジュール生成部9eは、変更前の運転スケジュールでのランニングコストP(t)からの増加分が小さくなるようにするとよい。熱源機運転スケジュール生成部9eは、ランニングコストP(t)の増加分(以下、「運転コスト」と称する)が最小となるように運転台数を増加させたり、運転コストが最小となる時間帯の運転時間を増加させたりするとよい。また、熱源機運転スケジュール生成部9eは、ランニングコストの増加分(以下、「停止コスト」と称する)が最小となるように運転台数を減少させたり、停止コストが最小となる時間帯の運転時間を減少させたりするとよい。
【0082】
(省エネモード判定処理S311)
熱源機運転スケジュール生成部9eは、ユーザによって選択されたモードが省エネモードであるか否かを判定する。その結果、省エネモードであると判定した場合にはエネルギー導出処理S313に処理を移し、省エネモードではないと判定した場合にはCO排出量導出処理S317に処理を移す。
【0083】
(エネルギー導出処理S313)
熱源機運転スケジュール生成部9eは、記憶部9bに保持された物件情報と、省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)等におけるエネルギー単位熱量の係数一覧とを参照する。そして、熱源機運転スケジュール生成部9eは、上述した未来の電力需要De(t)および熱需要Dh(t)に基づいて、施設11全体のエネルギー消費量の推移であるエネルギー推移を導出する。
【0084】
エネルギー推移の導出は、上記式(1)~式(9)における電気料金単価peおよびガス料金単価pgを各エネルギー種別のエネルギー単位熱量に置き換えることで導出できるので、ここでは、詳細な説明を省略する。
【0085】
(第3運転スケジュール決定処理S315)
熱源機運転スケジュール生成部9eは、エネルギー導出処理S313において導出されたエネルギー推移を参照し、施設11が要する電力と燃料(ガス)とを合わせた一次エネルギー換算消費量が最小となる運転スケジュールを生成する。熱源機運転スケジュール生成部9eは、対象となる期間(例えば翌日)における、30分ごとに、施設11が要する電力と燃料(ガス)の一次エネルギー換算消費量の合計が最小となる発電機5cおよび熱源機5dの運転スケジュールを生成する。熱源機運転スケジュール生成部9eは、運転スケジュールを生成した後、蓄熱システム判定処理S321に処理を移す。
【0086】
(CO排出量導出処理S317)
熱源機運転スケジュール生成部9eは、記憶部9bに保持された物件情報と、温対法(地球温暖化対策の推進に関する法律)等におけるCO排出係数一覧とを参照する。そして、熱源機運転スケジュール生成部9eは、上述した未来の電力需要De(t)および熱需要Dh(t)に基づいて、施設11全体のCO排出量の推移であるCO推移を導出する。
【0087】
CO推移の導出は、上記式(1)~式(9)における電気料金単価peおよびガス料金単価pgを各エネルギー種別の排出係数に置き換えることで導出できるので、ここでは、詳細な説明を省略する。
【0088】
(第4運転スケジュール決定処理S319)
熱源機運転スケジュール生成部9eは、CO排出量導出処理S317において導出されたCO推移を参照し、施設11が要する電力と燃料(ガス)とを合わせたCO排出量が最小となる運転スケジュールを生成する。熱源機運転スケジュール生成部9eは、対象となる期間(例えば翌日)における、30分ごとに、CO排出量の合計が最小となる発電機5cおよび熱源機5dの運転スケジュールを生成する。熱源機運転スケジュール生成部9eは、運転スケジュールを生成した後、蓄熱システム判定処理S321に処理を移す。
【0089】
(蓄熱システム判定処理S321)
熱源機運転スケジュール生成部9eは、エネルギー供給設備5において、熱供給設備5bが蓄熱槽5eを備えているか否か判定する。熱源機運転スケジュール生成部9eは、蓄熱槽5eを備えていると判定した場合、蓄熱運転最適化処理S323に処理を移す。熱源機運転スケジュール生成部9eは、蓄熱槽5eを備えていないと判定した場合、生成した運転スケジュールを管理通信部9aを介して施設11の設備通信部7aに送信し、運転スケジュール生成処理S208を終了する。
【0090】
(蓄熱運転最適化処理S323)
熱供給設備5bが蓄熱槽5eを備えている場合、熱源機運転スケジュール生成部9eは、蓄熱槽5eの運転スケジュールを踏まえて、熱源機5dの運転スケジュールを再生成する蓄熱運転最適化処理S323を実行する。
【0091】
蓄熱運転最適化処理S323が実行されると、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、エネルギー需要予測部9dにより予測された未来の施設エネルギー推移量(熱負荷量、熱需要)に基づいて、蓄熱槽5eの運転スケジュールを生成する。蓄熱槽5eは、予測した熱需要に応じた熱の少なくとも一部を建物3に供給することができる。
【0092】
蓄熱槽5eの運転スケジュールが生成されると、熱源機運転スケジュール生成部9eは、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fにより生成された蓄熱槽5eの運転スケジュールと、エネルギー需要予測部9dにより予測された熱需要とに基づいて、熱源機5dの運転スケジュールを再生成する。
【0093】
ここで、熱源機運転スケジュール生成部9eは、ユーザによる操作入力に応じて決定された1のモード(上述した省コストモード、省エネモード、または、省COモード)に従って、蓄熱槽5eを踏まえた熱源機5dの最適な運転スケジュールを再生成する。
【0094】
具体的に、熱源機運転スケジュール生成部9eは、熱源機5dの稼働に要するランニングコスト、一次エネルギー換算消費量、または、CO排出量(以下、これらをまとめて熱源機稼働要求量という)が最小となる熱源機5dの運転スケジュールを再生成する。これは、上記第1運転スケジュール決定処理S307、第2運転スケジュール決定処理S309、第3運転スケジュール決定処理S315、第4運転スケジュール決定処理S319で説明した内容と同様の処理を行うことで生成できる。熱源機5dの運転スケジュールを再生成した後、熱源機運転スケジュール生成部9eは、熱源機5dが消費する燃料消費量が予め計画した燃料消費条件を満たしていない場合、燃料消費条件を満たすように熱源機5dの運転スケジュールを再生成してもよい。
【0095】
図5は、エネルギー需要予測部9dにより予測された未来の施設エネルギー推移量のうち熱負荷量(熱需要)の推移の一例を示す図である。図5では、熱源機5dが建物3に供給可能な熱の上限値(最大値)を閾値S1で表している。
【0096】
図5に示す時間帯Aは、熱源機5dが建物3に供給可能な最大の熱(すなわち、閾値S1)よりも予測した熱需要が大きい時間帯である。そのため、時間帯Aには、熱源機5dに加え、蓄熱槽5eから建物3に熱を供給する必要がある。
【0097】
時間帯Bは、熱源機5dが建物3に供給可能な最大の熱(閾値S1)よりも予測した熱需要が小さい時間帯である。しかし、予測した熱需要は、過去の施設エネルギー推移量から推定された値であるため、実際の熱需要と異なる(ずれる)場合がある。したがって、予測した熱需要が所定の閾値S2以上となる範囲においては、熱源機5dが建物3に供給可能な最大の熱(閾値S1)よりも実際の熱需要が大きくなる可能性がある。ここで、閾値S2は、ユーザ(例えば、エネルギー供給設備5の管理者)が設定可能な任意の値である。
【0098】
つまり、時間帯B(予測した熱需要が閾値S1よりも小さい時間帯、かつ、予測した熱需要が閾値S2以上となる時間帯)は、熱源機5dのみでは建物3に十分な熱を供給できないおそれがある。そのため、時間帯Bには、熱源機5dに加え、蓄熱槽5eから建物3に熱を供給できるようにする必要がある。
【0099】
時間帯Cは、予測した熱需要が閾値S2未満であり、熱源機5dのみで建物3に十分な熱を供給可能な時間帯である。ただし、熱源機5dに加え、蓄熱槽5eから建物3に熱を供給することで、熱源機5dの稼働に要する熱源機稼働要求量を低減できる場合に限り、熱源機5dと蓄熱槽5eを併用してもよい。
【0100】
このように、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、図5に示される時間帯A、時間帯B、時間帯Cに基づいて、蓄熱槽5eの運転スケジュールを生成する。
【0101】
つぎに、図3の蓄熱運転最適化処理S323の詳細な処理について説明する。図6は、蓄熱運転最適化処理S323を説明する第1のフローチャートである。図7は、蓄熱運転最適化処理S323を説明する第2のフローチャートである。
【0102】
(時間帯A蓄熱設定処理S401)
蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、予測した熱需要の時間帯Aにおいて、蓄熱槽5eから建物3に熱を供給可能なように蓄熱槽5eの運転スケジュール(蓄熱開始時間、蓄熱時間、蓄熱終了時間、放熱開始時間、放熱時間、放熱終了時間)を生成する。蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、時間帯Aを放熱開始時間、放熱時間、放熱終了時間として設定する。また、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、予測した熱需要のうち時間帯Aにおいて閾値S1を超える熱量を、蓄熱槽5eが蓄熱する目標蓄熱量として設定する。さらに、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、蓄熱槽5eが時間帯A(すなわち、放熱開始時間)までに目標蓄熱量を蓄熱できるように、蓄熱開始時間、蓄熱時間、蓄熱終了時間を設定する。このようにして、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、時間帯Aにおける蓄熱槽5eの運転スケジュールを生成する。
【0103】
(時間帯A蓄熱最適化処理S403)
熱源機運転スケジュール生成部9eは、蓄熱槽5eの運転スケジュールの生成後、熱源機5dおよび蓄熱槽5eにより予測した熱需要に応じた熱を建物3に供給する場合に熱源機稼働要求量が最小になる熱源機5dの運転スケジュールを再生成する。
【0104】
具体的に、熱源機運転スケジュール生成部9eは、予測した熱需要と、蓄熱槽5eに蓄熱させる蓄熱開始時間、蓄熱時間(目標蓄熱量)、蓄熱終了時間とに基づいて、熱源機5dの運転スケジュールを再生成する。すなわち、熱源機運転スケジュール生成部9eは、蓄熱開始時間から蓄熱終了時間まで蓄熱槽5eに熱を供給するように、熱源機5dの運転スケジュールを再生成する。ここで、熱源機運転スケジュール生成部9eは、蓄熱開始時間を変更することで、熱源機稼働要求量が最小になる熱源機5dの運転スケジュールを導出する。例えば、熱源機運転スケジュール生成部9eは、蓄熱開始時間を所定時間(30分)毎ずらしながら、熱源機稼働要求量が最小になる熱源機5dの運転スケジュールを導出する。なお、蓄熱槽5eに蓄熱された熱は、時間経過とともに放熱により減少する。そのため、熱源機運転スケジュール生成部9eは、蓄熱開始時間を変更した際に、蓄熱槽5eの放熱ロスを考慮して蓄熱時間(目標蓄熱量)を変更する。熱源機運転スケジュール生成部9eは、蓄熱開始時間を変更するなかで、熱源機稼働要求量が最小になる熱源機5dおよび蓄熱槽5eの運転スケジュールを、熱源機5dおよび蓄熱槽5eに最適な運転スケジュールとして決定(生成)する。
【0105】
(時間帯A蓄熱運転可能判定処理S405)
蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、時間帯A蓄熱最適化処理S403で最適化された運転スケジュールで蓄熱槽5eを運転させた場合に蓄熱量が上限を超えるか否か判定する。蓄熱量が上限を超える場合、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、エラー処理S407に移る。蓄熱量が上限を超えない場合、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、蓄熱槽5eの蓄熱時間帯において、予測した熱需要に応じた熱を熱源機5dが供給可能か否か判定する。具体的に、熱源機5dは、複数の熱源機を備え、蓄熱槽5eの蓄熱時間帯において、複数の熱源機のうち一部は、蓄熱槽5eに熱(すなわち、目標蓄熱量に応じた熱)を供給し、複数の熱源機のうち他の一部は、建物3の熱負荷に熱(すなわち、予測した熱需要に応じた熱)を供給する。このとき、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、蓄熱槽5eの蓄熱時間帯において、予測した熱需要に応じた熱の全てを、複数の熱源機のうち他の一部が建物3の熱負荷に供給可能か否か判定する。つまり、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、蓄熱槽5eの蓄熱時間帯において、複数の熱源機のうち他の一部が建物3の熱負荷に供給可能な最大の熱よりも予測した熱需要が大きいか否かを判定する。複数の熱源機のうち他の一部が建物3の熱負荷に供給可能な最大の熱よりも予測した熱需要が大きい場合、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、エラー処理S407に移る。また、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、蓄熱量が上限を超えない、かつ、複数の熱源機のうち他の一部が建物3の熱負荷に供給可能な最大の熱よりも予測した熱需要が小さい場合には時間帯B設定判定処理S409に移る。
【0106】
(エラー処理S407)
蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、蓄熱量が上限を超える、または、複数の熱源機のうち他の一部が建物3の熱負荷に供給可能な最大の熱よりも予測した熱需要が大きい場合、エラー処理を行い、蓄熱運転最適化処理S323を終了する。ここで、エラー処理は、例えば、蓄熱槽5eに目標蓄熱量が蓄熱不能、または、予測した熱需要に応じた熱を熱源機5dが供給不能である旨をユーザに通知する処理である。
【0107】
(時間帯B設定判定処理S409)
蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、時間帯Bのすべてが蓄熱槽5eの放熱時間として設定されているか否か判定する。その結果、時間帯Bのすべてが放熱時間として設定されていると判定した場合には、時間帯C設定判定処理S419(図7参照)に移る。一方、時間帯Bのすべてが放熱時間として設定されていないと判定した場合には、時間帯B蓄熱設定処理S411に移る。
【0108】
(時間帯B蓄熱設定処理S411)
蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、予測した熱需要の時間帯Bにおいて、蓄熱槽5eから建物3に熱を供給可能なように蓄熱槽5eの運転スケジュールを生成する。蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、例えば図5に示すように、時間帯Bのうち時間帯Aに最も近接する側(熱需要が高い側)に放熱時間を1コマDb(例えば30分)割り当てる。蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、割り当てられた1コマDb分の時間帯を放熱時間(熱供給時間)として、放熱開始時間および放熱終了時間を設定する。また、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、割り当てた1コマDb分の時間帯において予測した熱需要のうち閾値S2を超える熱量を、蓄熱槽5eが蓄熱する目標蓄熱量として設定する。さらに、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、蓄熱槽5eが1コマDb(すなわち、放熱開始時間)までに目標蓄熱量を蓄熱できるように、蓄熱開始時間、蓄熱時間、蓄熱終了時間を設定する。このようにして、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、時間帯Bにおける1コマDb分の蓄熱槽5eの運転スケジュールを生成する。
【0109】
(時間帯B蓄熱最適化処理S413)
熱源機運転スケジュール生成部9eは、蓄熱槽5eの運転スケジュールの生成後、熱源機5dおよび蓄熱槽5eにより予測した熱需要に応じた熱を建物3に供給する場合に熱源機稼働要求量が最小になる熱源機5dの運転スケジュールを再生成する。
【0110】
具体的に、熱源機運転スケジュール生成部9eは、予測した熱需要と、蓄熱槽5eに蓄熱させる蓄熱開始時間、蓄熱時間(目標蓄熱量)、蓄熱終了時間とに基づいて、熱源機5dの運転スケジュールを再生成する。すなわち、熱源機運転スケジュール生成部9eは、蓄熱開始時間から蓄熱終了時間まで蓄熱槽5eに熱を供給するように、熱源機5dの運転スケジュールを再生成する。ここで、熱源機運転スケジュール生成部9eは、蓄熱開始時間を変更することで、熱源機稼働要求量が最小になる熱源機5dの運転スケジュールを導出する。例えば、熱源機運転スケジュール生成部9eは、蓄熱開始時間を所定時間(30分)毎ずらしながら、熱源機稼働要求量が最小になる熱源機5dの運転スケジュールを導出する。換言すれば、熱源機運転スケジュール生成部9eは、蓄熱槽5eの運転スケジュールにおける蓄熱開始時間を異ならせた複数の蓄熱開始時間それぞれについて導出される熱源機稼働要求量が最小になる熱源機5dの運転スケジュールを再生成する。なお、蓄熱槽5eに蓄熱された熱は、時間経過とともに放熱により減少する。そのため、熱源機運転スケジュール生成部9eは、蓄熱開始時間を変更した際に、蓄熱槽5eの放熱ロスを考慮して蓄熱時間(目標蓄熱量)を変更する。熱源機運転スケジュール生成部9eは、蓄熱開始時間を変更するなかで、熱源機稼働要求量が最小になる熱源機5dおよび蓄熱槽5eの運転スケジュールを、熱源機5dおよび蓄熱槽5eに最適な運転スケジュールとして決定(生成)する。
【0111】
(時間帯B蓄熱運転可能判定処理S415)
蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、時間帯B蓄熱最適化処理S413で最適化された運転スケジュールで蓄熱槽5eを運転させた場合に蓄熱量が上限を超えるか否か判定する。蓄熱量が上限を超える場合、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、設定キャンセル処理S417に移る。蓄熱量が上限を超えない場合、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、蓄熱槽5eの蓄熱時間帯において、予測した熱需要に応じた熱を熱源機5dが供給可能か否か判定する。具体的に、熱源機5dは、複数の熱源機を備え、蓄熱槽5eの蓄熱時間帯において、複数の熱源機のうち一部は、蓄熱槽5eに熱(すなわち、目標蓄熱量に応じた熱)を供給し、複数の熱源機のうち他の一部は、建物3の熱負荷に熱(すなわち、予測した熱需要に応じた熱)を供給する。このとき、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、蓄熱槽5eの蓄熱時間帯において、予測した熱需要に応じた熱の全てを、複数の熱源機のうち他の一部が建物3の熱負荷に供給可能か否か判定する。つまり、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、蓄熱槽5eの蓄熱時間帯において、複数の熱源機のうち他の一部が建物3の熱負荷に供給可能な最大の熱よりも予測した熱需要が大きいか否かを判定する。複数の熱源機のうち他の一部が建物3の熱負荷に供給可能な最大の熱よりも予測した熱需要が大きい場合、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、設定キャンセル処理S417に移る。
【0112】
(設定キャンセル処理S417)
蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、直前の時間帯B蓄熱設定処理S411で設定した1コマDb分の時間帯(放熱時間)をキャンセルする。ここで、熱源機運転スケジュール生成部9eは、直前の時間帯B蓄熱設定処理S411で設定した放熱時間(1コマDb)が1コマ目(1つ目)である場合、時間帯A蓄熱最適化処理S403で最適化された運転スケジュールを、熱源機5dおよび蓄熱槽5eの運転スケジュールとして決定する。また、直前の時間帯B蓄熱設定処理S411で設定した放熱時間(1コマDb)が2コマ目(2つ目)である場合、1コマ前の1コマ目(1つ目)の時間帯B蓄熱最適化処理S413で最適化された運転スケジュールを、熱源機5dおよび蓄熱槽5eの運転スケジュールとして決定する。なお、3コマ目(3つ目)以降は、2コマ目と同様の処理が行われる。その後、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、蓄熱運転最適化処理S323を終了する。
【0113】
一方、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、蓄熱量が上限を超えない、かつ、複数の熱源機のうち他の一部が建物3の熱負荷に供給可能な最大の熱よりも予測した熱需要が小さい場合、時間帯B設定判定処理S409に移る。そして、時間帯B設定判定処理S409、時間帯B蓄熱設定処理S411、時間帯B蓄熱最適化処理S413および時間帯B蓄熱運転可能判定処理S415を繰り返し遂行する。このとき、時間帯B蓄熱設定処理S411において、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、図5に示すように時間帯Bに1コマDbが割り当てられている場合、時間帯Aに近接する側(熱需要が高い側)から順に新たな1コマDbを割り当てる。例えば、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、時間帯Bのうち前回割り当てられた1コマDb分の時間帯に対し、時間帯Aから離隔する側に隣接する新たな1コマDb分の時間帯を割り当てる。蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、蓄熱槽5eが許容する範囲で新たな1コマDb分の時間帯を割り当てる(蓄熱させる)。
【0114】
このように、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、時間帯Bのうち時間帯Aに近接する側(熱需要が高い側)から順に放熱時間を1コマDb(例えば30分)ずつ割り当てる。蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、蓄熱槽5eの蓄熱量が上限を超えるまで、あるいは、時間帯Bすべてに放熱時間が割り当てられるまで、蓄熱槽5eの運転スケジュールを再生成する(放熱時間を1コマDb分ずつ増加させる)。また、熱源機運転スケジュール生成部9eは、蓄熱槽5eの運転スケジュールが再生成される度、熱源機稼働要求量が最小になる熱源機5dおよび蓄熱槽5eの運転スケジュールを再生成する。
【0115】
(時間帯C設定判定処理S419)
図7に移り、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、時間帯Cのすべてが蓄熱槽5eの放熱時間として設定されているか否か判定する。その結果、時間帯Cのすべてが放熱時間として設定されていると判定した場合には、蓄熱運転最適化処理S323を終了する。一方、時間帯Cのすべてが放熱時間として設定されていないと判定した場合には、時間帯C蓄熱設定処理S421に移る。
【0116】
(時間帯C蓄熱設定処理S421)
蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、予測した熱需要の時間帯Cにおいて、蓄熱槽5eから建物3に熱を供給可能なように蓄熱槽5eの運転スケジュールを生成する。蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、例えば図5に示すように時間帯Cのうち時間帯Bに最も近接する側(熱需要が高い側)に順に放熱時間を1コマDc(例えば30分)割り当てる。蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、割り当てられた1コマDc分の時間帯を放熱時間(熱供給時間)として、放熱開始時間および放熱終了時間を設定する。また、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、予測した熱需要のうち割り当てた1コマDc分の時間帯の熱量(所定の閾値S2未満の熱量)を、蓄熱槽5eが蓄熱する目標蓄熱量として設定する。さらに、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、蓄熱槽5eが1コマDc(すなわち、放熱開始時間)までに目標蓄熱量を蓄熱できるように、蓄熱開始時間、蓄熱時間、蓄熱終了時間を設定する。このようにして、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、時間帯Cにおける1コマDc分の蓄熱槽5eの運転スケジュールを生成する。
【0117】
(時間帯C蓄熱最適化処理S423)
熱源機運転スケジュール生成部9eは、蓄熱槽5eの運転スケジュールの生成後、熱源機5dおよび蓄熱槽5eにより予測した熱需要に応じた熱を建物3に供給する場合に熱源機稼働要求量が最小になる熱源機5dの運転スケジュールを再生成する。
【0118】
具体的に、熱源機運転スケジュール生成部9eは、予測した熱需要と、蓄熱槽5eに蓄熱させる蓄熱開始時間、蓄熱時間(目標蓄熱量)、蓄熱終了時間とに基づいて、熱源機5dの運転スケジュールを再生成する。すなわち、熱源機運転スケジュール生成部9eは、蓄熱開始時間から蓄熱終了時間まで蓄熱槽5eに熱を供給するように、熱源機5dの運転スケジュールを再生成する。ここで、熱源機運転スケジュール生成部9eは、蓄熱開始時間を変更することで、熱源機稼働要求量が最小になる熱源機5dの運転スケジュールを導出する。例えば、熱源機運転スケジュール生成部9eは、蓄熱開始時間を所定時間(30分)毎ずらしながら、熱源機稼働要求量が最小になる熱源機5dの運転スケジュールを導出する。なお、蓄熱槽5eに蓄熱された熱は、時間経過とともに放熱により減少する。そのため、熱源機運転スケジュール生成部9eは、蓄熱開始時間を変更した際に、蓄熱槽5eの放熱ロスを考慮して蓄熱時間(目標蓄熱量)を変更する。熱源機運転スケジュール生成部9eは、蓄熱開始時間を変更するなかで、熱源機稼働要求量が最小になる熱源機5dおよび蓄熱槽5eの運転スケジュールを、熱源機5dおよび蓄熱槽5eに最適な運転スケジュールとして決定(生成)する。
【0119】
(時間帯C蓄熱運転可能判定処理S425)
蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、時間帯C蓄熱最適化処理S423で最適化された運転スケジュールで蓄熱槽5eを運転させた場合に蓄熱量が上限を超えるか否か判定する。蓄熱量が上限を超える場合、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、設定キャンセル処理S429に移る。蓄熱量が上限を超えない場合、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、蓄熱槽5eの蓄熱時間帯において、予測した熱需要に応じた熱を熱源機5dが供給可能か否か判定する。具体的に、熱源機5dは、複数の熱源機を備え、蓄熱槽5eの蓄熱時間帯において、複数の熱源機のうち一部は、蓄熱槽5eに熱(すなわち、目標蓄熱量に応じた熱)を供給し、複数の熱源機のうち他の一部は、建物3の熱負荷に熱(すなわち、予測した熱需要に応じた熱)を供給する。このとき、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、蓄熱槽5eの蓄熱時間帯において、予測した熱需要に応じた熱の全てを、複数の熱源機のうち他の一部が建物3の熱負荷に供給可能か否か判定する。つまり、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、蓄熱槽5eの蓄熱時間帯において、複数の熱源機のうち他の一部が建物3の熱負荷に供給可能な最大の熱よりも予測した熱需要が大きいか否かを判定する。複数の熱源機のうち他の一部が建物3の熱負荷に供給可能な最大の熱よりも予測した熱需要が小さい場合、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、熱源機稼働要求量判定処理S427に移る。また、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、蓄熱量が上限を超える、または、複数の熱源機のうち他の一部が建物3の熱負荷に供給可能な最大の熱よりも予測した熱需要が大きい場合には設定キャンセル処理S429に移る。
【0120】
(熱源機稼働要求量判定処理S427)
熱源機運転スケジュール生成部9eは、直前の時間帯C蓄熱設定処理S421で1コマDc分の時間帯を設定した結果、熱源機稼働要求量が最小となる値が転換(悪化)したか否かを判定する。つまり、熱源機運転スケジュール生成部9eは、熱源機稼働要求量が最小値から、最小値より(最小値と比較して)大きい値に変化(悪化)したか否かを判定する。その結果、熱源機稼働要求量が最小となる値が悪化したと判定した場合には、設定キャンセル処理S429に移る。
【0121】
(設定キャンセル処理S429)
蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、直前の時間帯C蓄熱設定処理S421で設定した1コマDc分の時間帯(放熱時間)をキャンセルする。ここで、熱源機運転スケジュール生成部9eは、直前の時間帯C蓄熱設定処理S421で設定した放熱時間(1コマDc)が1コマ目(1つ目)である場合、時間帯B蓄熱最適化処理S413で最適化された運転スケジュールを、熱源機5dおよび蓄熱槽5eの運転スケジュールとして決定する。また、直前の時間帯C蓄熱設定処理S421で設定した放熱時間(1コマDc)が2コマ目(2つ目)である場合、1コマ前の1コマ目(1つ目)の時間帯C蓄熱最適化処理S423で最適化された運転スケジュールを、熱源機5dおよび蓄熱槽5eの運転スケジュールとして決定する。なお、3コマ目(3つ目)以降は、2コマ目と同様の処理が行われる。その後、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、蓄熱運転最適化処理S323を終了する。
【0122】
一方、熱源機稼働要求量判定処理S427において、熱源機稼働要求量が最小となる値が悪化しないと判定した場合には、時間帯C設定判定処理S419に移る。そして、時間帯C設定判定処理S419、時間帯C蓄熱設定処理S421、時間帯C蓄熱最適化処理S423、時間帯C蓄熱運転可能判定処理S425および熱源機稼働要求量判定処理S427を繰り返し遂行する。このとき、時間帯C蓄熱設定処理S421において、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、図5に示すように時間帯Cに1コマDc分が割り当てられている場合、時間帯Bに近接する側(熱需要が高い側)から順に新たな1コマDc分を割り当てる。例えば、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、時間帯Cのうち前回割り当てられた1コマDc分の時間帯に対し、時間帯Bから離隔する側に隣接する新たな1コマDc分の時間帯を割り当てる。蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、蓄熱槽5eが許容する範囲で新たな1コマDc分の時間帯を割り当てる(蓄熱させる)。
【0123】
このように、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、時間帯Cのうち時間帯Bに近接する側(熱需要が高い側)から順に放熱時間を1コマDc(例えば30分)ずつ割り当てる。蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、蓄熱槽5eの蓄熱量が上限を超えるまで、時間帯Cすべてに放熱時間が割り当てられるまで、あるいは、熱源機稼働要求量が最小となる値が悪化する直前まで、蓄熱槽5eの運転スケジュールを再生成する(放熱時間を1コマDc分ずつ増加させる)。また、熱源機運転スケジュール生成部9eは、蓄熱槽5eの運転スケジュールが再生成される度、熱源機稼働要求量が最小になる熱源機5dおよび蓄熱槽5eの運転スケジュールを再生成する。
【0124】
本実施形態によれば、管理制御部9cは、熱源機運転スケジュール生成部9eおよび蓄熱槽運転スケジュール生成部9fとして機能する。これにより、熱源機運転スケジュール生成部9eは、蓄熱槽5eの運転スケジュールを考慮して、熱源機5dおよび蓄熱槽5eを最適化制御することができる。
【0125】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0126】
例えば、コンピュータを管理サーバ9として機能させるプログラムや、当該プログラムを記録した、コンピュータで読み取り可能なフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD、DVD、BD等の記憶媒体も提供可能である。
【0127】
上記実施形態では、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、時間帯Bの熱需要に応じた熱を蓄熱槽5eに蓄熱させる例について説明した。しかし、これに限定されず、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、時間帯Bの熱需要に応じた熱を蓄熱槽5eに蓄熱させなくてもよい。また、上記実施形態では、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、時間帯Aより前の時間帯Bに1コマDbを設ける例について説明した。しかし、これに限定されず、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、時間帯Aより後の時間帯Bに1コマDbを設けてもよい。なお、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、時間帯Aより前の時間帯B、および、時間帯Aより後の時間帯Bのうち、時間帯Aより後の時間帯Bに優先して1コマDbを設けるようにしてもよい。これにより、時間帯Aが開始する前(すなわち、時間帯Aより前の時間帯B中)に蓄熱槽5eの放熱が完了することを回避することができる。
【0128】
上記実施形態では、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、時間帯Cの熱需要に応じた熱を蓄熱槽5eに蓄熱させる例について説明した。しかし、これに限定されず、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、時間帯Cの熱需要に応じた熱を蓄熱槽5eに蓄熱させなくてもよい。また、上記実施形態では、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、時間帯Bより前の時間帯Cに1コマDcを設ける例について説明した。しかし、これに限定されず、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、時間帯Bより後の時間帯Cに1コマDcを設けてもよい。なお、蓄熱槽運転スケジュール生成部9fは、時間帯Bより前の時間帯C、および、時間帯Bより後の時間帯Cのうち、時間帯Bより後の時間帯Cに優先して1コマDcを設けるようにしてもよい。これにより、時間帯Bが開始する前(すなわち、時間帯Bより前の時間帯C中)に蓄熱槽5eの放熱が完了することを回避することができる。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明は、熱供給設備の制御装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0130】
5d 熱源機
5e 蓄熱槽
9 管理サーバ(運転制御装置)
9d エネルギー需要予測部(熱需要予測部)
9e 熱源機運転スケジュール生成部
9f 蓄熱槽運転スケジュール生成部
11 施設
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7