(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】タッチスクリーンおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20221207BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
G06F3/041 422
G06F3/041 660
G06F3/041 430
G06F3/044 129
(21)【出願番号】P 2018238128
(22)【出願日】2018-12-20
【審査請求日】2021-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】321010863
【氏名又は名称】トライベイル テクノロジーズ, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100184527
【氏名又は名称】渡邉 賢二
(72)【発明者】
【氏名】細野 彰彦
(72)【発明者】
【氏名】後藤 文弘
(72)【発明者】
【氏名】箕輪 憲一
【審査官】塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-210554(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/1343-1/1345
1/135
G06F3/03-3/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に絶縁膜を介して立体視で交差するように配設された、行方向に延在し列方向に配列した複数の第1配線、および前記列方向に延在し前記行方向に配列した複数の第2配線と、
前記第1配線の前記行方向の両端において、予め定められた数の前記第1配線ごとに電気的に接続して束ねる複数の第1束ね配線と、
前記第2配線の前記列方向の両端において、予め定められた数の前記第2配線ごとに電気的に接続して束ねる複数の第2束ね配線と、
を備え、
前記第2束ね配線に最も近くに配列された前記第1配線において、前記列方向における前記基板の外側の端部は、前記第2束ね配線よりも前記基板の外側に存在していることを特徴とする、タッチスクリーン。
【請求項2】
前記第1配線は、前記第2配線よりも下層に配設されていることを特徴とする、請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項3】
前記第1配線は、前記第2配線よりも上層に配設されていることを特徴とする、請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項4】
基板と、
前記基板上に絶縁膜を介して立体視で交差するように配設された、行方向に延在し列方向に配列した複数の第1配線、および前記列方向に延在し前記行方向に配列した複数の第2配線と、
前記第1配線の前記行方向の両端において、予め定められた数の前記第1配線ごとに電気的に接続して束ねる複数の第1束ね配線と、
前記第2配線の前記列方向の両端において、予め定められた数の前記第2配線ごとに電気的に接続して束ねる複数の第2束ね配線と、
前記第2束ね配線に最も近くに配列された前記第1配線において、前記列方向における前記基板の外側の端部を予め定められた間隔ごとに電気的に接続する第1接続配線と、
を備え、
前記第1接続配線における前記基板の外側の端部は、前記第2束ね配線よりも前記基板の外側に存在していることを特徴とする、タッチスクリーン。
【請求項5】
前記第1配線は、前記第2配線よりも下層に配設されていることを特徴とする、請求項4に記載のタッチスクリーン。
【請求項6】
前記第1配線は、前記第2配線よりも上層に配設されていることを特徴とする、請求項4に記載のタッチスクリーン。
【請求項7】
前記第1接続配線は、前記基板の外側の端部に第1突起を有し、
前記第1突起は、前記第2束ね配線よりも前記基板の外側に存在していることを特徴とする、請求項4から6のいずれか1項に記載のタッチスクリーン。
【請求項8】
基板と、
前記基板上に絶縁膜を介して立体視で交差するように配設された、行方向に延在し列方向に配列した複数の第1配線、および前記列方向に延在し前記行方向に配列した複数の第2配線と、
前記第1配線の前記行方向の両端において、予め定められた数の前記第1配線ごとに電気的に接続して束ねる複数の第1束ね配線と、
前記第2配線の前記列方向の両端において、予め定められた数の前記第2配線ごとに電気的に接続して束ねる複数の第2束ね配線と、
を備え、
前記第1束ね配線に最も近くに配列された前記第2配線において、前記行方向における前記基板の外側の端部は、前記第1束ね配線よりも前記基板の外側に存在していることを特徴とする、タッチスクリーン。
【請求項9】
前記第1配線は、前記第2配線よりも下層に配設されていることを特徴とする、請求項8に記載のタッチスクリーン。
【請求項10】
前記第1配線は、前記第2配線よりも上層に配設されていることを特徴とする、請求項8に記載のタッチスクリーン。
【請求項11】
基板と、
前記基板上に絶縁膜を介して立体視で交差するように配設された、行方向に延在し列方向に配列した複数の第1配線、および前記列方向に延在し前記行方向に配列した複数の第2配線と、
前記第1配線の前記行方向の両端において、予め定められた数の前記第1配線ごとに電気的に接続して束ねる複数の第1束ね配線と、
前記第2配線の前記列方向の両端において、予め定められた数の前記第2配線ごとに電気的に接続して束ねる複数の第2束ね配線と、
前記第1束ね配線に最も近くに配列された前記第2配線において、前記行方向における前記基板の外側の端部を予め定められた間隔ごとに電気的に接続する第2接続配線と、
を備え、
前記第2接続配線における前記基板の外側の端部は、前記第1束ね配線よりも前記基板の外側に存在していることを特徴とする、タッチスクリーン。
【請求項12】
前記第1配線は、前記第2配線よりも下層に配設されていることを特徴とする、請求項11に記載のタッチスクリーン。
【請求項13】
前記第1配線は、前記第2配線よりも上層に配設されていることを特徴とする、請求項11に記載のタッチスクリーン。
【請求項14】
前記第2接続配線は、前記基板の外側の端部に第2突起を有し、
前記第2突起は、前記第1束ね配線よりも前記基板の外側に存在していることを特徴とする、請求項11から13のいずれか1項に記載のタッチスクリーン。
【請求項15】
基板を準備し、
前記基板上に絶縁膜を介して立体視で交差するように、行方向に延在し列方向に配列した複数の第1配線、および前記列方向に延在し前記行方向に配列した複数の第2配線を配設し、
前記第1配線の前記行方向の両端において、予め定められた数の前記第1配線ごとに電気的に接続して束ねる複数の第1束ね配線を設け、
前記第2配線の前記列方向の両端において、予め定められた数の前記第2配線ごとに電気的に接続して束ねる複数の第2束ね配線を設け、
前記第2束ね配線に最も近くに配列された前記第1配線において、前記列方向における前記基板の外側の端部は、前記第2束ね配線よりも前記基板の外側に存在していることを特徴とする、タッチスクリーンの製造方法。
【請求項16】
基板を準備し、
前記基板上に絶縁膜を介して立体視で交差するように、行方向に延在し列方向に配列した複数の第1配線、および前記列方向に延在し前記行方向に配列した複数の第2配線を配設し、
前記第1配線の前記行方向の両端において、予め定められた数の前記第1配線ごとに電気的に接続して束ねる複数の第1束ね配線を設け、
前記第2配線の前記列方向の両端において、予め定められた数の前記第2配線ごとに電気的に接続して束ねる複数の第2束ね配線を設け、
前記第2束ね配線に最も近くに配列された前記第1配線において、前記列方向における前記基板の外側の端部を予め定められた間隔ごとに電気的に接続する第1接続配線を設け、
前記第1接続配線における前記基板の外側の端部は、前記第2束ね配線よりも前記基板の外側に存在していることを特徴とする、タッチスクリーンの製造方法。
【請求項17】
前記第1接続配線は、前記基板の外側の端部に第1突起を有し、
前記第1突起は、前記第2束ね配線よりも前記基板の外側に存在していることを特徴とする、請求項16に記載のタッチスクリーンの製造方法。
【請求項18】
基板を準備し、
前記基板上に絶縁膜を介して立体視で交差するように、行方向に延在し列方向に配列した複数の第1配線、および前記列方向に延在し前記行方向に配列した複数の第2配線を配設し、
前記第1配線の前記行方向の両端において、予め定められた数の前記第1配線ごとに電気的に接続して束ねる複数の第1束ね配線を設け、
前記第2配線の前記列方向の両端において、予め定められた数の前記第2配線ごとに電気的に接続して束ねる複数の第2束ね配線を設け、
前記第1束ね配線に最も近くに配列された前記第2配線において、前記行方向における前記基板の外側の端部は、前記第1束ね配線よりも前記基板の外側に存在していることを特徴とする、タッチスクリーンの製造方法。
【請求項19】
基板を準備し、
前記基板上に絶縁膜を介して立体視で交差するように、行方向に延在し列方向に配列した複数の第1配線、および前記列方向に延在し前記行方向に配列した複数の第2配線を配設し、
前記第1配線の前記行方向の両端において、予め定められた数の前記第1配線ごとに電気的に接続して束ねる複数の第1束ね配線を設け、
前記第2配線の前記列方向の両端において、予め定められた数の前記第2配線ごとに電気的に接続して束ねる複数の第2束ね配線を設け、
前記第1束ね配線に最も近くに配列された前記第2配線において、前記行方向における前記基板の外側の端部を予め定められた間隔ごとに電気的に接続する第2接続配線を設け、
前記第2接続配線における前記基板の外側の端部は、前記第1束ね配線よりも前記基板の外側に存在していることを特徴とする、タッチスクリーンの製造方法。
【請求項20】
前記第2接続配線は、前記基板の外側の端部に第2突起を有し、
前記第2突起は、前記第1束ね配線よりも前記基板の外側に存在していることを特徴とする、請求項19に記載のタッチスクリーンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチスクリーンおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルは、指などの指示体によるタッチを検出して、タッチパネルにおけるタッチされた位置の位置座標を特定する装置であり、優れたユーザーインターフェース手段の1つとして注目されている。現在、抵抗膜方式や静電容量方式など種々の方式のタッチパネルが製品化されている。一般的に、タッチパネルは、タッチセンサが内蔵されたタッチスクリーンと、当該タッチスクリーンから入力された信号に基づいてタッチされた位置の位置座標を特定する検出装置とを備えている。ここで、タッチセンサとは、ユーザがタッチしたことを検出するセンサのことをいう。
【0003】
静電容量方式のタッチパネルのひとつとして、投影型静電容量方式のタッチパネルがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1のような投影型静電容量方式のタッチパネルは、タッチセンサが内蔵されたタッチスクリーンの前面側を厚さ数mm程度のガラス板などの保護板で覆った場合であってもタッチを検出することが可能である。従って、投影型静電容量方式のタッチパネルは、保護板をタッチスクリーンの前面側に配置することができるため堅牢性に優れる。また、使用者が手袋を装着した状態でタッチした場合であっても、タッチを検出することが可能である。さらに、可動部を有さないため長寿命である。
【0004】
投影型静電容量方式のタッチパネルは、例えば、静電容量を検出するための検出用配線として、薄い誘電膜上に形成された第1シリーズの導体エレメントと、第1シリーズの導体エレメント上に絶縁膜を隔てて形成された第2シリーズの導体エレメントとを備えている(例えば、特許文献2参照)。各導体エレメントは、互いに電気的に接触することなく複数の交点を形成している。特許文献2のような構成において、指などの指示体と、検出用配線である第1シリーズの導体エレメントおよび第2シリーズの導体エレメントとの間で形成される静電容量を検出回路で検出することによって、指示体がタッチした位置の位置座標が特定される。このような位置座標の検出方式は、一般的に自己容量検出方式と呼ばれる。
【0005】
また、例えば、行方向に延設され第1電極を構成する複数の行配線と、列方向に延設され第2電極を構成する複数の列配線との間における電界変化、すなわち相互容量の変化を検出することによって、タッチされた位置の位置座標を特定する検出方式がある(例えば、特許文献3参照)。当該検出方式は、一般的に相互容量検出方式と呼ばれる。
【0006】
上記の自己容量検出方式および相互容量検出方式の何れの場合も、行配線と列配線とによって格子状に区画された平面領域である検出セルに対して指などの指示体でタッチされると、タッチされた検出セルであるセンサブロックにおける検出値と、当該センサブロック近傍の検出セルにおける検出値とのバランスに基づいて、タッチされた位置の位置座標を特定する方法が一般的に採用されている。
【0007】
最近では、検出用配線として低抵抗なメタルを用いてメッシュを形成し、ITO(Indium Tin Oxide)などの透明電極よりも低抵抗である特性を活かして、行配線および列配線の各々の端子に接続される引き出し配線を、各行配線および各列配線の一方側の端部にのみ接続する構成が実現されている(例えば、特許文献4参照)。
【0008】
一般的に、静電容量方式のタッチスクリーンに使用されるタッチセンサは、ガラス基板上に形成されたメッシュ状の下層配線と、当該下層配線を覆うように形成された層間絶縁膜と、当該絶縁膜上に形成されたメッシュ状の上層配線と、当該上層配線上に形成された保護絶縁膜で構成されており、下層配線と上層配線とは層間絶縁膜を介して電気的に絶縁されている。下層配線および上層配線のいずれか一方を信号入力用の配線、他方を信号出力用の配線として用いるが、本明細書では、便宜上、下層配線を出力用の配線、上層配線を入力用の配線とする。
【0009】
下層配線を形成するメッシュパターンは、数mm単位の幅のブロックに分かれており、隣接する各ブロック間は、例えば行方向に分断されている。また、1つのブロックを形成するメッシュパターンは、信号を出力するために端部で束ねられ、信号を外部に取り出すための配線と接続されている。以下では、下層配線の端部で束ねられた配線のことを下層束ね配線という。
【0010】
一方、上層配線を形成するメッシュパターンも、数mm単位の幅のブロックに分かれており、隣接する各ブロック間は、下層配線と直交する方向、ここでは列方向に分断されている。また、1つのブロックを形成するメッシュパターンは、信号を入力するために端部で束ねられ、信号を外部から入力するための配線と接続されている。以下では、上層配線の端部で束ねられた配線のことを上層束ね配線という。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2012-103761号公報
【文献】特表平9-511086号公報
【文献】特開2003-526831号公報
【文献】特開2010-61502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
タッチパネルは、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)と組み合わせて、タッチ機能を備えた表示装置として使用される。近年の表示装置のトレンドとして狭額縁化が進んでおり、タッチパネルにおいてもパネルの端部のタッチセンサまで機能すること、およびタッチセンサを形成することによる液晶表示装置の表示画像の見栄えが端部においても変化しないことが要求されている。このような要求を満足するために、下層束ね配線の直上に上層配線が形成され、上層束ね配線の直下に下層配線が形成されている。
【0013】
また、タッチパネルを構成するタッチスクリーンは、液晶表示装置と同様の製造装置を用いて作製されている。製造装置と作製中のタッチスクリーンとの間で放電が生じて配線のパターンに損傷が発生すると、上層束ね配線と下層配線とが重なった部分、または下層束ね配線と上層配線とが重なった部分でショートが発生する。その結果、下層配線と上層配線との間でショートが発生し、タッチスクリーンとして使用できなくなることがあるという問題があった。
【0014】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、上層配線と下層配線との間で発生するショートを抑制することが可能なタッチスクリーンおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するために、本発明によるタッチスクリーンは、基板と、基板上に絶縁膜を介して立体視で交差するように配設された、行方向に延在し列方向に配列した複数の第1配線、および列方向に延在し行方向に配列した複数の第2配線と、第1配線の行方向の両端において、予め定められた数の第1配線ごとに電気的に接続して束ねる複数の第1束ね配線と、第2配線の列方向の両端において、予め定められた数の第2配線ごとに電気的に接続して束ねる複数の第2束ね配線とを備え、第2束ね配線に最も近くに配列された第1配線において、列方向における基板の外側の端部は、第2束ね配線よりも基板の外側に存在している。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、タッチスクリーンは、第2束ね配線に最も近くに配列された第1配線において、列方向における基板の外側の端部は、第2束ね配線よりも基板の外側に存在しているため、上層配線と下層配線との間で発生するショートを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施の形態1によるタッチスクリーンの構成の一例を模式的に示す平面図である。
【
図3】従来の上層束ね配線および下層配線の配置の一例を示す図である。
【
図6】下層配線端部と上層束ね配線との間でショートが発生するメカニズムを説明するための断面図である。
【
図7】下層配線端部と上層束ね配線との間でショートが発生するメカニズムを説明するための断面図である。
【
図8】下層配線端部と上層束ね配線との間でショートが発生するメカニズムを説明するための断面図である。
【
図9】下層配線端部と上層束ね配線との間でショートが発生するメカニズムを説明するための断面図である。
【
図10】下層配線端部と上層束ね配線との間でショートが発生するメカニズムを説明するための断面図である。
【
図11】層間絶縁膜を2層にした場合に下層配線端部と上層束ね配線との間でショートが発生するメカニズムを説明するための断面図である。
【
図12】層間絶縁膜を2層にした場合に下層配線端部と上層束ね配線との間でショートが発生するメカニズムを説明するための断面図である。
【
図13】層間絶縁膜を2層にした場合に下層配線端部と上層束ね配線との間でショートが発生するメカニズムを説明するための断面図である。
【
図14】層間絶縁膜を2層にした場合に下層配線端部と上層束ね配線との間でショートが発生するメカニズムを説明するための断面図である。
【
図15】層間絶縁膜を2層にした場合に下層配線端部と上層束ね配線との間でショートが発生するメカニズムを説明するための断面図である。
【
図16】層間絶縁膜を2層にした場合に下層配線端部と上層束ね配線との間でショートが発生するメカニズムを説明するための断面図である。
【
図17】層間絶縁膜を2層にした場合に下層配線端部と上層束ね配線との間でショートが発生するメカニズムを説明するための断面図である。
【
図18】本発明の実施の形態1による上層束ね配線および下層配線の配置の一例を示す図である。
【
図21】本発明の実施の形態2による下層接続配線の一例を示す図である。
【
図22】本発明の実施の形態2による下層接続配線および上層束ね配線の配置の一例を示す図である。
【
図24】下層接続配線端部で放電痕が生じたときの一例を示す断面図である。
【
図25】本発明の実施の形態3による下層接続配線の一例を示す図である。
【
図26】本発明の実施の形態3による下層接続配線および上層束ね配線の配置の一例を示す図である。
【
図28】下層接続配線突起で放電痕が生じたときの一例を示す断面図である。
【
図29】本発明の実施の形態4による
図1の領域Dの一例を示す図である。
【
図30】従来の下層束ね配線および上層配線の配置の一例を示す図である。
【
図32】上層配線端部と下層束ね配線との間でショートが発生するメカニズムを説明するための断面図である。
【
図33】上層配線端部と下層束ね配線との間でショートが発生するメカニズムを説明するための断面図である。
【
図34】上層配線端部と下層束ね配線との間でショートが発生するメカニズムを説明するための断面図である。
【
図35】本発明の実施の形態4による下層束ね配線および上層配線の配置の一例を示す図である。
【
図37】上層配線端部で放電痕が生じたときの一例を示す断面図である。
【
図38】上層配線端部で放電痕が生じたときの一例を示す断面図である。
【
図39】本発明の実施の形態5による上層接続配線および下層束ね配線の配置の一例を示す図である。
【
図41】上層接続配線端部で放電痕が生じたときの一例を示す断面図である。
【
図42】本発明の実施の形態6による上層接続配線および下層束ね配線の配置の一例を示す図である。
【
図44】上層接続配線突起で放電痕が生じたときの一例を示す断面図である。
【
図45】実施の形態1によるタッチスクリーンの製造工程の一例を示す断面図である。
【
図46】実施の形態1によるタッチスクリーンの製造工程の一例を示す断面図である。
【
図47】実施の形態1によるタッチスクリーンの製造工程の一例を示す断面図である。
【
図48】実施の形態1によるタッチスクリーンの製造工程の一例を示す断面図である。
【
図49】実施の形態1によるタッチスクリーンの製造工程の一例を示す断面図である。
【
図50】実施の形態1によるタッチスクリーンの製造工程の一例を示す断面図である。
【
図51】実施の形態4によるタッチスクリーンの製造工程の一例を示す断面図である。
【
図52】実施の形態4によるタッチスクリーンの製造工程の一例を示す断面図である。
【
図53】実施の形態4によるタッチスクリーンの製造工程の一例を示す断面図である。
【
図54】実施の形態4によるタッチスクリーンの製造工程の一例を示す断面図である。
【
図55】実施の形態4によるタッチスクリーンの製造工程の一例を示す断面図である。
【
図56】実施の形態4によるタッチスクリーンの製造工程の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について、図面に基づいて以下に説明する。
【0019】
<実施の形態1>
図1は、本実施の形態1によるタッチスクリーン1の構成の一例を模式的に示す平面図である。なお、後述する実施の形態2から実施の形態7を含めて、以下で説明する各図面で用いられている同一の参照符号は、同一の構成要素または相当する構成要素を示す。
【0020】
図1に示すように、タッチスクリーン1は、行方向に延在しかつ予め定められた第1ピッチで列方向に配列された複数の第1配線である下層配線2と、列方向に延在しかつ予め定められた第2ピッチで行方向に配列された複数の第2配線である上層配線3とを備えている。ここで、行方向は
図1のy方向に相当し、列方向はx方向に相当する。
【0021】
予め定められた数の下層配線2は、それらの上端および下端が第1束ね配線である下層束ね配線4によって電気的に接続され、ひと束の下層配線束9を形成している。同様に、予め定められた数の上層配線3は、それらの右端および左端が第2束ね配線である上層束ね配線5によって電気的に接続され、ひと束の上層配線束10を形成している。
【0022】
予め定められた数の下層配線束9は、列方向xにそれぞれが平行して配列されており、それぞれの下層配線束9は互いに電気的な絶縁が保たれている。同様に、予め定められた数の上層配線束10は、行方向yにそれぞれが平行して配列されており、それぞれの上層配線束10は互いに電気的な絶縁が保たれている。また、下層配線束9と上層配線束10との間には層間絶縁膜が形成されており、上層配線束10と下層配線束9との間は電気的な絶縁が保たれている。従って、タッチスクリーン1は、予め定められた数の下層配線束9と予め定められた数の上層配線束10とが立体的に交差することよって、予め定められた数のエリアに立体的に分割されている。タッチスクリーン1における上層配線束10および下層配線束9が配置されている領域は、センサ領域ともいう。このような構成は、下層配線2と上層配線3との配線密度が大きくなるため、タッチ容量の値を大きな値として確保することができる。
【0023】
下層引き出し配線6は、各下層束ね配線4と端子8とを電気的に接続するために配置されている。上層引き出し配線7は、各上層束ね配線5と端子8とを電気的に接続するために配置されている。
【0024】
なお、
図1では、行方向に延在しかつ列方向に配列された複数の配線を複数の下層配線2とし、列方向に延在しかつ行方向に配列された複数の配線を複数の上層配線3としているが、これに限るものではない。例えば、行方向に延在しかつ列方向に配列された複数の配線を上層の配線とし、列方向に延在しかつ行方向に配列された複数の配線を下層の配線としてもよい。
【0025】
図2は、
図1に示す領域Aの拡大図であり、上層引き出し配線7の近傍を示している。
図2において、下層配線2および上層配線3のパターンは、タッチスクリーン1に使用される配線のパターンの一例である。
【0026】
上層配線3のパターンは、正方形状または円形状に閉じたパターンと、直線または曲線のパターンとの組み合わせで形成されており、これらのパターンが規則正しく配置されている。
図2では、正方形状の閉じたパターンと直線のパターンとの組み合わせによって上層配線3のパターンを形成している。また、上層配線3のパターンの端部は上層束ね配線5に接続され、ひとつの上層配線束10を形成している。上層配線束10は、行方向に配列されており、隣接する各上層配線束10を形成する上層配線3の間は分断されて電気的な絶縁が保たれている。
【0027】
また、下層配線2のパターンは、上層配線3と同様、正方形状に閉じたパターンと直線のパターンとの組み合わせで形成されている。なお、図示していないが、上層配線3の場合と同様、下層配線2の端部は下層束ね配線4に接続され、ひとつの下層配線束9を形成している。下層配線束9は、列方向に配列されており、隣接する各下層配線束9の間は分断されて電気的な絶縁が保たれている。
【0028】
図3は、
図2に示す領域Bの拡大図であり、従来の上層束ね配線および下層配線の配置の一例を示す図である。
図3に示すように、下層配線2のパターンの端部である下層配線端部14は、上層束ね配線5の直下に形成されている。
【0029】
図4は、
図3のA1-A2断面図である。
図4に示すように、ガラスのような透明な基板11上に下層配線端部14が形成されており、下層配線端部14を覆うように層間絶縁膜12が形成されている。また、層間絶縁膜12上に上層束ね配線5が形成され、上層束ね配線5を覆うように保護絶縁膜13が形成されている。下層配線端部14は、上層束ね配線5の直下に層間絶縁膜12を介して形成されている。
【0030】
一般的に、下層配線2と上層配線3とが層間絶縁膜12を介して重なっている部分、下層配線端部14と上層束ね配線5とが層間絶縁膜12を介して重なっている部分、および下層束ね配線4と上層配線端部15とが層間絶縁膜12を介して重なっている部分で、配線間のショートが発生しやすい。このようなショートが発生するとタッチスクリーンとして機能しなくなる。従って、通常は、タッチスクリーンの動作に関係しない下層配線端部14と上層束ね配線5との位置関係、および下層束ね配線4と上層配線端部15との位置関係に関しては、配線間のショートの発生のリスクを避けるため、
図5に示すように下層配線端部14と上層束ね配線5とが重ならないように配置される。同様に、下層束ね配線4と上層配線端部15とが重ならないように配置される。
【0031】
しかしながら、近年の液晶表示装置の狭額縁化の流れに伴い、それに使用されるタッチスパネルの狭額縁化も要求され、液晶表示装置の表示領域全体をカバーできるようなタッチスクリーンが必要となり、下層束ね配線4および上層束ね配線5の近傍まで液晶表示装置の見栄えを変化させること無く動作するタッチスクリーンが要求されている。
図5に示すようなパターンのタッチスクリーンにおいても、上層束ね配線5付近のセンサは正常に動作するが、上層束ね配線5付近には下層配線2が形成されていないため、上層束ね配線5から離れた部分のセンサ領域と比較し、液晶表示装置からの光の透過率や、タッチスクリーン表面での外光の反射率が異なる。このような場合、上層束ね配線5および下層束ね配線4の近傍である液晶表示装置の表示領域の外周付近と、上層束ね配線5および下層束ね配線4から離れた液晶表示装置の表示領域とで液晶表示装置が表示する画像の見栄えが異なるため、ディスプレイとしての問題が発生する。このような問題を解決するために、
図3に示すような、上層束ね配線5の下に下層配線端部14を形成するパターンが使用される。同様の理由により、下層束ね配線4上に上層配線端部15を形成するパターンが使用される。
【0032】
図3に示すような配線のパターンにおいて下層配線端部14と上層束ね配線5との間でショートが発生するメカニズムについて、
図6~10を用いて説明する。なお、
図6~10は、
図3のB1-B2断面図である。
【0033】
図6に示すように、まず、基板11上に下層配線2を形成する。なお、下層配線端部14は、下層配線2の左側の端部に相当する。次に、
図7に示すように、基板11および下層配線2を覆うように層間絶縁膜12を形成する。
【0034】
層間絶縁膜12が形成されてから上層束ね配線5が形成されるまでの間の製造工程において、製造装置と下層配線2との間で放電が発生すると、下層配線2上に形成されている層間絶縁膜12に穴が空いて放電痕16が形成される。一般的に、製造装置と下層配線2との間で発生する放電は、電界が集中しやすい基板11の端部付近に形成されている下層配線端部14で起こりやすい。従って、製造装置と下層配線2との間で放電が発生すると、
図8に示すように、下層配線端部14上の層間絶縁膜12に穴が空き、下層配線端部14もダメージを受ける場合がある。
【0035】
図3に示すようなパターンでは、下層配線端部14に放電痕16が形成されると、その部分には必ず上層束ね配線5が形成されるため、必ず下層配線端部14と上層束ね配線5との間でショートが発生する。その結果、
図9,10に示すように、下層配線端部14を有する下層配線2と、上層束ね配線5に繋がっている上層配線3とがショートするため、ショート部分を含む上層配線束10および下層配線束9におけるセンサが正常に機能しなくなり、タッチスクリーンとして使用できなくなる。
【0036】
放電痕16で下層配線端部14と上層束ね配線5とが直接的に接触してショートすることを回避する方法としては、放電痕16が形成された後に2層目の層間絶縁膜を形成する方法が考えられる。しかし、そのような構成においても下層配線端部14と上層束ね配線5との間でショートが発生する場合がある。このようなショートが発生するメカニズムについて
図11~17を用いて以下に説明する。
【0037】
図11に示すように、まず、基板11上に下層配線2を形成する。なお、下層配線端部14は、下層配線2の左側の端部に相当する。次に、
図12に示すように、第1層間絶縁膜17を形成する。
【0038】
第1層間絶縁膜17が形成された後の製造工程において、製造装置と下層配線端部14と間で放電が発生すると、
図13に示すように、下層配線端部14上の第1層間絶縁膜17に穴が空いて放電痕16が形成される。
【0039】
放電痕16で下層配線端部14と上層束ね配線5とが直接的に接触してショートすることを防ぐために、
図14に示すような第2層間絶縁膜18を形成する。第2層間絶縁膜18の形成後に上層束ね配線5を形成すると、
図15に示すように、第2層間絶縁膜18が形成されているため下層配線端部14と上層束ね配線5との直接的な接触を避けることができる。
【0040】
上層束ね配線5の形成以降のタッチスクリーン形成工程、タッチスクリーンに保護板等を貼り付けタッチパネルを形成する工程、および液晶表示装置にタッチパネルを貼り付ける工程の何れかの工程において、例えば
図16に示すように、剥離帯電等によって下層配線2にマイナス電荷19が蓄積され、上層束ね配線5にプラス電荷20が蓄積されてその電位差が第2層間絶縁膜18の絶縁破壊電圧を超えると、第2層間絶縁膜18が絶縁破壊され、
図17に示すショート部分21で、下層配線端部14と上層束ね配線5との間でショートが発生する。なお、下層配線2にプラス電荷が蓄積され、上層束ね配線5にマイナス電荷が蓄積された場合も同様である。
【0041】
このように、下層配線端部14と上層束ね配線5との直接的な接触を防ぐために第2層間絶縁膜18を形成した場合も、下層配線端部14の直上に上層束ね配線5が形成されていると、製造工程中の帯電によって下層配線端部14と上層束ね配線5との間でショートが発生することがある。
【0042】
以上述べたような下層配線端部14と上層束ね配線5とのショートの発生を抑制し、かつ上層束ね配線5付近での液晶表示装置の見栄えが変化しないようにするために、
図2の領域Bにおける配線のパターンを、
図18に示すような下層配線端部14が上層束ね配線5よりもセンサ領域の反対側に位置するような配線のパターンとすればよい。また、
図18には示していないが、配線のパターンの配置の都合上、下層配線端部14が上層引き出し配線7と重なる場合は、下層配線端部14が上層引き出し配線7からはみ出すように形成する(後述する
図22参照)。
【0043】
図19は、
図18のC1-C2断面図である。
図19に示すように、
図18に示すような配線のパターンにすることによって、上層束ね配線5の直下に下層配線端部14が形成されない。
図20は、
図18のD1-D2断面を示しており、
図18に示すような配線のパターンを形成した際に、放電によって下層配線端部14に放電痕16が形成された場合を示している。なお、
図20に示す状態は、
図9に示す状態に相当する。
【0044】
図20に示すように、下層配線端部14に放電痕16が形成された場合であっても放電痕16に上層束ね配線5が形成されないため、下層配線端部14と上層束ね配線5とのショートは発生しない。その結果、下層配線端部14で放電が発生しても下層配線2と上層配線3との間でショートが発生しないためセンサは正常に機能する。
【0045】
通常、下層配線端部14に発生する放電痕16の径は、およそ1μmである。従って、層間絶縁膜12の絶縁耐圧も考慮すると、下層配線端部14の位置は、上層束ね配線5の端部よりも平面視で2μm以上離すことが望ましい。また、下層配線端部14側に上層引き出し配線7が形成される場合、下層配線端部14は上層引き出し配線7に対しても平面視で2μm以上離れていることが望ましい。
【0046】
<実施の形態2>
本実施の形態2では、
図21に示すように、ひとつの上層束ね配線5に相当する領域の下層配線2の端部が第1接続配線である下層接続配線22で接続されている。なお、
図21は、
図2の領域Cに適用した例である。
【0047】
図21に示す構成にすることによって、製造装置と下層配線2との間で発生する放電が下層接続配線端部24に集中するため、放電によるセンサ領域へのダメージが実施の形態1の構成よりも抑制される。
【0048】
図22に示すように、下層接続配線端部24は、上層束ね配線5よりもセンサ領域に対して反対にはみ出している。また、
図22に示すように、下層接続配線22は、上層引き出し配線7とは重ならないように形成される。さらに、下層接続配線22に接続されない下層配線端部14は、上層束ね配線5および上層引き出し配線7から、はみ出すように形成されている。
【0049】
図23は、
図22のE1-E2断面図である。
図23に示すように、下層接続配線端部24は、上層束ね配線5よりもセンサ領域とは反対側にはみ出している。また、下層配線2と下層接続配線22との境界23は、上層束ね配線5の直下に位置している。このような構成とすることによって、上層束ね配線5の直下に下層接続配線端部24が形成されないため、最も放電が起こりやすい基板11の周辺部に近い下層接続配線端部24で放電によって放電痕16が形成された場合であっても、
図24に示すように、放電痕16に上層束ね配線5が形成されず、下層接続配線端部24と上層束ね配線5との間でショートは発生しない。その結果、下層接続配線端部24で放電が発生してもセンサは正常に機能する。
【0050】
通常、下層接続配線端部24で発生する放電痕16の径は、およそ1μmである。従って、層間絶縁膜12の絶縁耐圧も考慮に入れると、下層接続配線端部24の位置は、上層束ね配線5の端部よりも
図22における平面視で2μm以上離すことが望ましい。また、下層接続配線端部24側に上層引き出し配線7が形成される場合、下層接続配線端部24は、上層引き出し配線7に対しても平面視で2μm以上離れていることが望ましい。
【0051】
<実施の形態3>
本実施の形態3では、
図25に示すように、ひとつの上層束ね配線5に相当する領域の下層配線2の端部が下層接続配線22で接続されており、下層接続配線22には、センサ領域の反対側に延びる第1突起である下層接続配線突起25が形成されている。なお、
図25は、
図2の領域Cに適用した例である。
【0052】
下層接続配線突起25を設けることによって、製造装置と下層配線2との間で発生する放電が下層接続配線突起25に集中するため、放電によるセンサ領域へのダメージがさらに抑制される。
【0053】
図26に示すように、下層接続配線22および下層接続配線突起25は、ともに上層束ね配線5よりもセンサ領域に対して反対側にはみ出している。また、
図26に示すように、下層接続配線22は、上層引き出し配線7とは重ならないように形成され、下層接続配線22に接続されない下層配線端部14は、上層束ね配線5および上層引き出し配線7から、はみ出すように形成されている。
【0054】
図27は、
図26のF1-F2断面図である。
図27に示すように、下層接続配線突起25および下層接続配線端部24は、上層束ね配線5よりもセンサ領域外の方向にはみ出している。また、下層配線2と下層接続配線22との境界23は、上層束ね配線5の直下に位置している。このような構成とすることによって、下層接続配線突起25は下層接続配線22に対して突出しているため、電界が集中しやすく最も放電が起こり易い。基板11の周辺部に近い下層接続配線突起25に放電痕16が形成された場合であっても、
図28に示すように、放電痕16に上層束ね配線5が形成されず、下層接続配線突起25と上層束ね配線5との間でショートは発生しない。その結果、下層接続配線突起25で放電が発生してもセンサは正常に機能する。
【0055】
通常、下層接続配線端部24で発生する放電痕16の径は、およそ1μmである。従って、層間絶縁膜12の絶縁耐圧も考慮に入れると、下層接続配線突起25の位置は、上層束ね配線5の端部よりも
図26に示す平面視で2μm以上離すことが望ましい。また、下層接続配線端部24側に上層引き出し配線7が形成される場合、下層接続配線突起25は、上層引き出し配線7に対しても平面視で2μm以上離れていることが望ましい。
【0056】
<実施の形態4>
実施の形態1では、上層束ね配線5と下層配線2との間でショートが発生するメカニズムについて説明した。本実施の形態4では、上層配線3と下層束ね配線4との間でショートが発生するメカニズムについて説明する。
【0057】
図29は、
図1に示すタッチスクリーン1の領域Dの拡大図である。
図30は、
図29に示す領域Eの拡大図であり、従来の上層配線3および下層束ね配線4の配置の一例を示す図である。
【0058】
図30に示すような配線のパターンの場合、上層配線3の端部である上層配線端部15は、
図31に示すように、層間絶縁膜12を介して下層束ね配線4と重なっている。なお、
図31は、
図30のG1-G2断面図である。このような構成において上層配線端部15と下層束ね配線4と間でショートが発生するメカニズムを説明する。
【0059】
図32~34は、
図30のH1-H2断面図であり、上層配線3の形成以降の状態を示している。
図32は、上層配線3を形成した後の状態を示しており、この工程から保護絶縁膜13を形成する工程までに、製造装置と上層配線端部15との間で放電が発生すると、
図33に示すように上層配線端部15で放電によって穴が空いて放電痕16が形成される。このとき、上層配線端部15の一部が溶融し、放電痕16の側壁に導電物質である上層配線端部15の溶融物26が付着するが、上層配線端部15の直下には必ず下層束ね配線4が形成されているため、下層束ね配線4と上層配線端部15がショートする。下層束ね配線4と上層配線端部15がショートするとセンサが正常に作動しなくなる。
【0060】
下層束ね配線4と上層配線端部15との間で発生するショートは、上層配線3の形成から保護絶縁膜13を形成するまでだけではなく、保護絶縁膜13の形成後の放電によっても、
図34に示すように保護絶縁膜13を貫通して形成される放電痕16の側壁に上層配線端部15の溶融物26が付着することによって発生する場合がある。
【0061】
図35は、本実施の形態4による上層配線端部15および下層束ね配線4の配線のパターンの一例を示す図である。本実施の形態4による上層配線3は、
図35に示すように、上層配線端部15が下層束ね配線4よりもセンサ領域とは反対側にはみ出している。このような配線のパターンにすることによって、
図36に示すように、下層束ね配線4の直上に上層配線端部15が形成されないようにすることができる。なお、
図36は、
図35のJ1-J2断面図である。
【0062】
図36に示す配線のパターンにおいて、製造装置と上層配線端部15との間で放電が発生したときの状態を、
図37,38に示す。簡単のために、
図37,38では、上層配線3を形成した後、保護絶縁膜13を形成する前の状態を一例として示している。なお、
図37,38は、
図35のK1-K2断面図である。
【0063】
図37は、上層配線3を形成した後の状態を示している。
図38は、
図37に示す状態で、製造装置と上層配線端部15との間で放電が発生した後の状態を示している。
図38に示すように、上層配線端部15は、下層束ね配線4よりもセンサ領域とは反対側にはみ出して形成されている。従って、上層配線端部15で放電が発生して放電痕16が形成されても、放電痕16の底部に下層束ね配線4が露出しないため、放電痕16の側壁に上層配線端部15の溶融物26が付着しても上層配線端部15と下層束ね配線4との間でショートが発生することはない。その結果、上層配線端部15で放電が発生した場合においても、センサは正常に機能する。なお、本実施の形態4による構成は、実施の形態1~3のいずれかと任意に組み合わせることが可能である。
【0064】
<実施の形態5>
本実施の形態5では、
図39に示すように、ひとつの下層束ね配線4に相当する領域の上層配線3の端部が第2接続配線である上層接続配線31によって接続されている。なお、
図39は、
図29の領域Fに適用した例である。このような構成とすることによって、製造装置と上層配線3との間で発生した放電が上層接続配線端部29に集中するため、放電によるセンサ領域へのダメージが実施の形態4よりも抑制される。
【0065】
図39に示すように、上層接続配線端部29は、下層束ね配線4よりもセンサ領域とは反対側にはみ出している。また、
図39に示すように、上層接続配線31は、下層引き出し配線6とは重ならないように配置されている。
【0066】
図40は、
図39のL1-L2断面図である。
図40に示すように、上層接続配線端部29は、下層束ね配線4よりもセンサ領域とは反対側にはみ出している。また、上層配線3と上層接続配線31との境界32は、下層束ね配線4の直上に位置している。このような構成とすることによって、上層接続配線端部29は、下層束ね配線4の直上に形成されないため、最も放電が起こりやすい基板11の周辺部に近い上層接続配線端部29で放電が発生して放電痕16が形成された場合であっても、
図41に示すように、放電痕16の底部に下層束ね配線4が露出しない。従って、放電痕16の側壁に上層接続配線端部29の溶融物34が付着しても、上層接続配線端部29と下層束ね配線4との間でショートが発生することはなく、上層接続配線端部29で放電が発生した場合においても、センサは正常に機能する。なお、本実施の形態5による構成は、実施の形態1~3のいずれかと任意に組み合わせることが可能である。
【0067】
<実施の形態6>
本実施の形態6では、
図42に示すように、ひとつの下層束ね配線4に相当する領域の上層配線3の端部が上層接続配線31で接続されており、上層接続配線31にはセンサ領域の反対側に延在する第2突起である上層接続配線突起30が形成されている。なお、
図42は、
図29の領域Fに適用した例である。
【0068】
上層接続配線突起30を設けることによって、製造装置と上層配線3との間で発生する放電が上層接続配線突起30に集中するため、放電によるセンサ領域へのダメージがさらに抑制される。
【0069】
図42に示すように、上層接続配線31および上層接続配線突起30は、ともに下層束ね配線4よりもセンサ領域に対して反対側にはみ出している。また、上層接続配線31は、下層引き出し配線6とは重ならないように配置されている。
【0070】
図43は、
図42のM1-M2断面図である。
図43に示すように、上層接続配線突起30および上層接続配線端部29は、下層束ね配線4よりもセンサ領域とは反対側にはみ出して形成されている。また、上層配線3と上層接続配線31との境界32は、下層束ね配線4の直上に位置している。このような構成とすることによって、上層接続配線突起30は上層接続配線31から突出しているため、電界が集中しやすく最も放電が起こりやすい。基板11の周辺部に近い上層接続配線突起30に放電痕16が形成された場合であっても、
図44に示すように、放電痕16の底部に下層束ね配線4が形成されていないため、上層接続配線突起30の溶融物33が放電痕16の側壁に付着しても上層接続配線31と下層束ね配線4との間でショートは発生しない。その結果、上層接続配線突起30で放電が発生してもセンサは正常に機能する。なお、本実施の形態6による構成は、実施の形態1~3のいずれかと任意に組み合わせることが可能である。
【0071】
<実施の形態7>
本実施の形態7では、実施の形態1~6によるタッチスクリーンの製造方法について説明する。以下では、実施の形態1,4によるタッチスクリーンの製造方法に主眼を置いて説明する。
【0072】
<実施の形態1によるタッチスクリーンの製造方法>
図45~50は、実施の形態1によるタッチスクリーンの製造工程の一例を示す図である。
図45~50は、
図18のD1-D2断面図である。
【0073】
まず、ガラスやフィルム等の透明な基板11上に、下層配線2、下層束ね配線4、および下層引き出し配線6を形成するための膜を、スパッタ法または真空蒸着法によって形成する。当該膜は、アルミまたは銅で構成されてもよく、アルミおよび銅を含む合金等の金属で構成されてもよく、酸化インジウム系で構成されてもよく、酸化錫系の透明な酸化物等で構成されてもよく、これらの積層で構成されてもよい。
【0074】
次に、下層配線端部14を含む下層配線2、下層束ね配線4、および下層引き出し配線6を形成するためのレジストパターンを写真製版によって形成する。ここで形成されるレジストパターンは、実施の形態1で説明したように、下層配線端部14が上層束ね配線5に対してセンサ領域の反対側に位置するように形成される。なお、実施の形態2,3の場合は、実施の形態2,3で説明した下層接続配線端部24または下層接続配線突起25となるようなレジストパターンを形成する。
【0075】
次に、下層配線2、下層束ね配線4、および下層引き出し配線6を形成するための膜に対応するエッチング液を用いて、下層配線2、下層束ね配線4、および下層引き出し配線6を形成するための膜のエッチングを行うことによって、下層配線2、下層束ね配線4、および下層引き出し配線6をパターニングする。その後、レジストを剥離することによって、
図45に示すような下層配線2、下層束ね配線4、および下層引き出し配線6を形成する。なお、
図45では、下層束ね配線4および下層引き出し配線6の図示を省略している。
【0076】
次に、下層配線2と後に形成する上層配線3とを電気的に絶縁する層間絶縁膜12を形成する。層間絶縁膜12は、SiO、SiO2、SiN等の透明絶縁膜であり、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、スパッタ法、もしくはスリットコート等の塗布法、またはこれらの成膜方法の組み合わせで形成する。ここでは、スリットコータで形成する塗布型絶縁膜を第1層間絶縁膜17とし、CVDで成膜されるSiO2膜を第2層間絶縁膜18とした、積層構造を有する層間絶縁膜12の形成方法を一例として説明する。
【0077】
具体的には、
図46に示すように、下層配線端部14を含む下層配線2、下層束ね配線4、および下層引き出し配線6を覆うように塗布型絶縁膜(例えば、シロキサンを塗布後にキュアすることによって形成される塗布型絶縁膜)で第1層間絶縁膜17を形成する。その後、
図47に示すように、CVDによってSiO
2からなる第2層間絶縁膜18を第1層間絶縁膜17上に形成する。
【0078】
次に、下層配線2、下層束ね配線4、および下層引き出し配線6の形成方法と同様に、第2層間絶縁膜18上に、上層配線3、上層束ね配線5、および上層引き出し配線7を形成するための膜を形成する。その後、上層配線端部15を含む上層配線3、上層束ね配線5、および上層引き出し配線7をパターニングするためのレジストパターンを写真製版によって形成する。このとき、上層束ね配線5については、実施の形態1で説明したように、上層束ね配線5が下層配線端部14よりもセンサ領域側に位置するようなレジストパターンにする。なお、実施の形態2,3の場合は、実施の形態2,3で説明した下層接続配線端部24または下層接続配線突起25となるようなレジストパターンを形成する。
【0079】
次に、上層配線3、上層束ね配線5、および上層引き出し配線7を形成するための膜に対応するエッチング液を用いて、上層配線3、上層束ね配線5、および上層引き出し配線7を形成するための膜のエッチングを行うことによって、上層配線3、上層束ね配線5、および上層引き出し配線7をパターニングする。その後、レジストを剥離することによって、
図48に示すような上層配線端部15を含む上層配線3、上層束ね配線5、および上層引き出し配線7を形成する。
【0080】
次に、上層配線3および第2層間絶縁膜18を覆うように保護絶縁膜13を形成する。保護絶縁膜13は、SiO、SiO2、SiN等の透明絶縁膜であり、CVD法、スパッタ法、もしくはスリットコート等の塗布法、またはこれらの成膜方法の組み合わせで形成する。ここでは、スリットコータで形成する塗布型絶縁膜を第1保護絶縁膜27とし、CVDで成膜されるSiO2膜を第2保護絶縁膜28とした、積層構造を有する保護絶縁膜13の形成方法を一例として説明する。
【0081】
具体的には、
図49に示すように、上層配線端部15を含む上層配線3、上層束ね配線5、および上層引き出し配線7を覆うように塗布型絶縁膜(例えば、シロキサンを塗布後にキュアすることによって形成される塗布型絶縁膜)で第1保護絶縁膜27を形成する。その後、
図50に示すように、CVDによってSiO
2からなる第2保護絶縁膜28を第1保護絶縁膜27上に形成する。
【0082】
最後に、下層束ね配線4に接続する下層引き出し配線6、上層束ね配線5に接続する上層引き出し配線7、および外部配線間の接続を取るための端子8の開口を形成する。この工程に関しては特に図示はしないが、端子8の開口は、端子8の開口パターンに合わせて形成されたレジストパターンを用いてドライエッチングによって形成する。具体的には、上層引き出し配線7に接続する端子8は、保護絶縁膜13をエッチングすることによって形成する。下層引き出し配線6に接続する端子8は、保護絶縁膜13および層間絶縁膜12をエッチングすることによって形成する。
【0083】
<実施の形態4によるタッチスクリーンの製造方法>
図51~56は、実施の形態4によるタッチスクリーンの製造工程の一例を示す図である。
図51~56は、
図21のK1-K2断面図である。
【0084】
まず、ガラスやフィルム等の透明な基板11上に、下層配線2、下層束ね配線4、および下層引き出し配線6を形成するための膜を、スパッタ法または真空蒸着法によって形成する。当該膜は、アルミまたは銅で構成されてもよく、アルミおよび銅を含む合金等の金属で構成されてもよく、酸化インジウム系で構成されてもよく、酸化錫系の透明な酸化物等で構成されてもよく、これらの積層で構成されてもよい。
【0085】
次に、下層配線端部14を含む下層配線2、下層束ね配線4、および下層引き出し配線6を形成するためのレジストパターンを写真製版によって形成する。ここで形成されるレジストパターンは、実施の形態4で説明したように、上層配線端部15が下層束ね配線4よりもセンサ領域の反対側に位置するように形成される。なお、実施の形態5,6の場合は、実施の形態5,6で説明した上層接続配線端部29および上層接続配線突起30となるようなレジストパターンを形成する。
【0086】
次に、下層配線2、下層束ね配線4、および下層引き出し配線6を形成するための膜に対応するエッチング液を用いて、下層配線2、下層束ね配線4、および下層引き出し配線6を形成するための膜のエッチングを行うことによって、下層配線2、下層束ね配線4、および下層引き出し配線6をパターニングする。その後、レジストを剥離することによって、
図51に示すような下層配線端部14を含む下層配線2、下層束ね配線4、および下層引き出し配線6を形成する。なお、
図51では、下層束ね配線4および下層引き出し配線6の図示を省略している。
【0087】
次に、下層配線2と後に形成する上層配線3とを電気的に絶縁する層間絶縁膜12を形成する。層間絶縁膜12は、SiO、SiO2、SiN等の透明絶縁膜であり、CVD法、スパッタ法、もしくはスリットコート等の塗布法、またはこれらの成膜方法の組み合わせで形成する。ここでは、スリットコータで形成する塗布型絶縁膜を第1層間絶縁膜17とし、CVDで成膜されるSiO2膜を第2層間絶縁膜18とした、積層構造を有する層間絶縁膜12の形成方法を一例として説明する。
【0088】
具体的には、
図52に示すように、下層配線端部14を含む下層配線2、下層束ね配線4、および下層引き出し配線6を覆うように塗布型絶縁膜(例えば、シロキサンを塗布後にキュアすることによって形成される塗布型絶縁膜)で第1層間絶縁膜17を形成する。その後、
図53に示すように、CVDによってSiO
2からなる第2層間絶縁膜18を第1層間絶縁膜17上に形成する。
【0089】
次に、下層配線2、下層束ね配線4、および下層引き出し配線6の形成方法と同様に、第2層間絶縁膜18上に、上層配線3、上層束ね配線5、および上層引き出し配線7を形成するための膜を形成する。その後、上層配線端部15を含む上層配線3、上層束ね配線5、および上層引き出し配線7をパターニングするためのレジストパターンを写真製版によって形成する。このとき、上層配線端部15については、実施の形態4で説明したように、下層束ね配線4が上層配線端部15よりもセンサ領域側に位置するようなレジストパターンにする。なお、実施の形態5,6の場合は、実施の形態5,6で説明した上層接続配線端部29または上層接続配線突起30となるようなレジストパターンを形成する。
【0090】
次に、上層配線3、上層束ね配線5、および上層引き出し配線7を形成するための膜に対応するエッチング液を用いて、上層配線3、上層束ね配線5、および上層引き出し配線7を形成するための膜のエッチングを行うことによって、上層配線3、上層束ね配線5、および上層引き出し配線7をパターニングする。その後、レジストを剥離することによって、
図54に示すような上層配線端部15を含む上層配線3、上層束ね配線5、および上層引き出し配線7を形成する。
【0091】
次に、上層配線3および第2層間絶縁膜18を覆うように保護絶縁膜13を形成する。保護絶縁膜13は、SiO、SiO2、SiN等の透明絶縁膜であり、CVD法、スパッタ法、もしくはスリットコート等の塗布法、またはこれらの成膜方法の組み合わせで形成する。ここでは、スリットコータで形成する塗布型絶縁膜を第1保護絶縁膜27とし、CVDで成膜されるSiO2膜を第2保護絶縁膜28とした、積層構造を有する保護絶縁膜13の形成方法を一例として説明する。
【0092】
具体的には、
図55に示すように、上層配線端部15を含む上層配線3、上層束ね配線5、および上層引き出し配線7を覆うように塗布型絶縁膜(例えば、シロキサンを塗布後にキュアすることによって形成される塗布型絶縁膜)で第1保護絶縁膜27を形成する。その後、
図56に示すように、CVDによってSiO
2からなる第2保護絶縁膜28を第1保護絶縁膜27上に形成する。
【0093】
最後に、下層束ね配線4に接続する下層引き出し配線6、上層束ね配線5に接続する上層引き出し配線7、および外部配線間の接続を取るための端子8の開口を形成する。この工程に関しては特に図示はしないが、端子8の開口は、端子8の開口パターンに合わせて形成されたレジストパターンを用いてドライエッチングによって形成する。具体的には、上層引き出し配線7に接続する端子8は、保護絶縁膜13をエッチングすることによって形成する。下層引き出し配線6に接続する端子8は、保護絶縁膜13および層間絶縁膜12をエッチングすることによって形成する。
【0094】
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
【符号の説明】
【0095】
1 タッチスクリーン、2 下層配線、3 上層配線、4 下層束ね配線、5 上層束ね配線、6 下層引き出し配線、7 上層引き出し配線、8 端子、9 下層配線束、10 上層配線束、11 基板、12 層間絶縁膜、13 保護絶縁膜、14 下層配線端部、15 上層配線端部、16 放電痕、17 第1層間絶縁膜、18 第2層間絶縁膜、19 マイナス電荷、20 プラス電荷、21 ショート部分、22 下層接続配線、23 境界、24 下層接続配線端部、25 下層接続配線突起、26 溶融物、27 第1保護絶縁膜、28 第2保護絶縁膜、29 上層接続配線端部、30 上層接続配線突起、31 上層接続配線、32 境界、33 溶融物、34 溶融物。