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特許7189773粉体塗装層を含むプリプレグ、コア、及び複合物品
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】粉体塗装層を含むプリプレグ、コア、及び複合物品
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20221207BHJP
   B32B 27/14 20060101ALI20221207BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20221207BHJP
   B32B 5/16 20060101ALI20221207BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20221207BHJP
   B05D 3/02 20060101ALI20221207BHJP
   B05D 3/12 20060101ALI20221207BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20221207BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20221207BHJP
   B05D 7/02 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
B32B27/32 Z
B32B27/14
B32B27/00 E
B32B5/16
B32B5/18
B05D3/02 Z
B05D3/12 C
B05D7/24 301A
B05D7/00 L
B05D7/00 B
B05D7/02
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018561999
(86)(22)【出願日】2017-05-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-20
(86)【国際出願番号】 US2017034426
(87)【国際公開番号】W WO2017205600
(87)【国際公開日】2017-11-30
【審査請求日】2020-05-25
(31)【優先権主張番号】62/341,989
(32)【優先日】2016-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514102858
【氏名又は名称】ハンファ アズデル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パーク,ユン・セオ
(72)【発明者】
【氏名】ジョシ,シュリラム
(72)【発明者】
【氏名】シュ,ホン
(72)【発明者】
【氏名】メイソン,マーク・オー
(72)【発明者】
【氏名】メッシナ,アンソニー・ジェイ
【審査官】河内 浩志
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-107605(JP,A)
【文献】特開2015-112805(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00- 43/00
B29C41/00- 41/36
41/46- 41/52
B60R13/01- 13/04
13/08
G10K11/00- 13/00
C09J 1/00- 5/10
9/00-201/10
B05D 1/00- 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン熱可塑性材料によって一体に保持された強化ガラス繊維のウェブを含み、前記強化ガラス繊維は30質量%以上70質量%以下存在し、前記ポリオレフィン熱可塑性材料は20質量%以上80質量%以下存在する多孔質コア層であって、前記多孔質コア層の空隙率は前記多孔質コア層の少なくとも10体積%であり、前記多孔質コア層が300gsm~3000gsmの坪量を有する前記多孔質コア層と、
前記多孔質コア層上に配置されている熱可塑性ポリマー粉末を含む粉体塗装層と、
を含む熱可塑性複合物品であって、前記熱可塑性ポリマー粉末の平均粒子サイズが、前記粉体塗装層と前記多孔質コア層との間に界面が得られるように選択され、前記粉体塗装層の実質的に全ての前記配置されている粉末が前記界面の上に存在し、前記熱可塑性ポリマー粉末は前記粉体塗装層内において前記粉体塗装層の50質量%以上99質量%以下存在し、前記粉体塗装層が約20gsm~約200gsmの坪量を有し、
前記粉体塗装層の上に配置されたスキン層を更に含み、前記粉体塗装層が、2010年付けのASTM D903の180°剥離により試験される、縦方向に少なくとも125N/m及び横方向に少なくとも125N/mの平均剥離強度を前記スキン層に付与するために有効である、熱可塑性複合物品。
【請求項2】
前記粉体塗装層の前記熱可塑性ポリマー粉末がポリオレフィンである、請求項1に記載の熱可塑性複合物品。
【請求項3】
前記多孔質コア層の前記ポリオレフィン熱可塑性材料が、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の熱可塑性複合物品。
【請求項4】
前記粉体塗装層の前記熱可塑性ポリマー粉末がポリウレタン粉末またはポリアミド粉末またはコポリアミド粉末またはポリプロピレン粉末を含む、請求項1に記載の熱可塑性複合物品。
【請求項5】
前記多孔質コア層がロフティング剤を更に含む、請求項1に記載の熱可塑性複合物品。
【請求項6】
前記多孔質コア層と前記粉体塗装層との間に障壁が存在せず、結果として前記粉体塗装層が前記多孔質コア層の上に直接配置される、請求項1に記載の熱可塑性複合物品。
【請求項7】
前記スキン層が、フィルム、フリム、スクリム、箔、紙、織布、不織布、発泡体、無機コーティング、有機コーティング、熱可塑性コーティング、及び熱硬化性材料コーティングからなる群から選択される、請求項に記載の熱可塑性複合物品。
【請求項8】
前記スキン層の上に配置された装飾層を更に含む、請求項に記載の熱可塑性複合物品。
【請求項9】
前記多孔質コア層が、前記粉体塗装層中の前記熱可塑性ポリマー粉末の熱可塑性とは異なる熱可塑性材料を更に含む、請求項に記載の熱可塑性複合物品。
【請求項10】
前記多孔質コア層が、前記多孔質コア層が、前記粉体塗装層中の前記熱可塑性ポリマー粉末の熱可塑性と同じ熱可塑性材料を更に含む、請求項に記載の熱可塑性複合物品。
【請求項11】
前記粉体塗装層が、2010年付けのASTM D903の180°剥離により試験される、縦方向に少なくとも390N/m及び横方向に少なくとも390N/mの平均剥離強度を前記スキン層に付与するために有効である、請求項に記載の熱可塑性複合物品。
【請求項12】
前記粉体塗装層が、2010年付けのASTM D903の180°剥離により試験される、縦方向に少なくとも250N/m及び横方向に少なくとも250N/mの平均剥離強度を前記スキン層に付与するために有効である、請求項に記載の熱可塑性複合物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権出願
本出願は、2016年5月26日に出願された米国仮特許出願第62/341,989に関連し、この出願に基づく優先権を主張し、またこの出願の利益を主張する。この出願の開示全体は、ここにあらゆる目的のため参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、1つ以上の粉体塗装層を含む複合物品に関する。ある構成においては、複合物品は、少なくとも1つの粉体塗装層をその上に有する多孔質熱可塑性コア層を含む。いくつかの事例においては、粉体塗装層は、表面層がコア層と結合する前に、有意な程度にコア層の中に入り込まない。
【背景技術】
【0003】
自動車及び建築材料用途の物品は、典型的には数多くの競合する厳格な性能仕様を満たすように設計される。多くの事例では、物品が構造的性能と審美的性能の両方を備えていることが望ましい場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書に記載のプリプレグ、コア、及び複合物品の特定の構成は、限定するものではないが、コストの低減、軽量化、接着性の向上、及び接着剤層の厚さをより高い精度で制御する能力などの望ましい性質を備えている。これら及び他の性質については、以下でより詳しく説明する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様においては、熱可塑性複合物品は、多孔質コア層と、粉体塗装層とを含む。例えば、多孔質コア層は、熱可塑性材料によって一体に保持された強化繊維のウェブを含み、例えば多孔質コア層は非押出多孔質コア層であってもよい。粉体塗装層は、多孔質コア層上に配置されているポリマー粉末を含み、この粉末の平均粒子サイズは、粉体塗装層と多孔質コア層との間に界面が得られるように選択され、粉体塗装層の実質的に全ての配置されている粉末が界面の上に存在する。
【0006】
特定の例においては、コア層の空隙率は、コア層の体積基準で10より大きい。いくつかの例においては、粉体塗装層は熱可塑性材料を含み、多孔質コア層の熱可塑性材料は、粉体塗装層の熱可塑性材料と同じであるか異なる。別の例においては、多孔質コア層の熱可塑性材料はポリオレフィンであり、粉体塗装層の熱可塑性材料は非ポリオレフィンまたはポリオレフィンである。いくつかの例においては、多孔質コア層の熱可塑性材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、アクリロニトリルスチレン、ブタジエン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンテトラクロレート、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、ポリエステル、アクリロニトリル-ブチルアクリレート-スチレンポリマー、アモルファスナイロン、ポリアリーレンエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリールスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ(1,4フェニレン)化合物、シリコーン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。特定の構成においては、粉体塗装層の熱可塑性材料は、ポリウレタンまたはポリアミドまたはコポリアミドまたはポリプロピレンを含む。他の事例においては、強化繊維は、ガラス繊維、アラミド繊維、グラファイト繊維、炭素繊維、無機鉱物繊維、金属繊維、金属化合成繊維、及び金属化無機繊維、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの例においては、多孔質コア層は、ロフティング剤を更に含む。いくつかの実施形態においては、多孔質コア層と粉体塗装層との間に例えばフィルムまたはバリア材などの障壁が存在せず、結果として粉体塗装層は多孔質コア層の上に直接配置される。
【0007】
いくつかの例においては、物品は、粉体塗装層の上に配置されたスキン層を含む。例えば、スキン層は、フィルム、フリム、スクリム、箔、紙、織布、不織布、発泡体、無機コーティング、有機コーティング、熱可塑性コーティング、及び熱硬化性材料コーティングからなる群から選択されてもよい。いくつかの例においては、複合物品は、スキン層の上に配置された装飾層を含む。別の例においては、多孔質コア層は、多孔質コア層の少なくとも10体積%の空隙率を有し、多孔質コア層は、粉体塗装層の中の熱可塑性材料とは異なる熱可塑性材料を更に含む。いくつかの事例においては、多孔質コア層は、多孔質コア層の少なくとも10体積%の空隙率を有し、多孔質コア層は、粉体塗装層の中の熱可塑性材料と同じ熱可塑性材料を更に含む。特定の実施形態においては、多孔質コア層は、約300gsm~約3000gsmの坪量を有し、粉体塗装層は、約20gsm~約200gsmの坪量を有する。別の実施形態においては、粉体塗装層は、2010年付けのASTM D903の180°剥離により試験される、縦方向に少なくとも125N/m及び横方向に少なくとも125N/mの平均剥離強度をスキン層に付与するために有効である。いくつかの例においては、粉体塗装層は、2010年付けのASTM D903の180°剥離により試験される、縦方向に少なくとも390N/m及び横方向に少なくとも390N/mの平均剥離強度をスキン層に付与するために有効である。別の例においては、粉体塗装層は、2010年付けのASTM D903の180°剥離により試験される、縦方向に少なくとも250N/m及び横方向に少なくとも250N/mの平均剥離強度をスキン層に付与するために有効である。いくつかの事例においては、多孔質コア層の上の粉体塗装層の坪量は、多孔質コア層の上に配置された熱可塑性フィルムによって与えられる2010年付けのASTM D903の180°剥離により試験される基準剥離強度と同じかそれより大きい2010年付けのASTM D903の180°剥離により試験される剥離強度が得られるように選択される。別の例においては、基準剥離強度は、約50gsm~約100gsmの坪量を有する熱可塑性フィルムを用いて決定される。
【0008】
別の態様においては、熱可塑性複合物品は、熱可塑性材料によって一体に保持された強化繊維のウェブを含む多孔質コア層(例えば多孔質コア層は非押出多孔質コア層であってもよい)と、多孔質コア層の上に配置された非ポリオレフィン粉末を含む粉体塗装層とを含む。例えば、非ポリオレフィン粉末の粒子サイズは、粉体塗装層と多孔質コア層との間に界面が得られるように選択され、粉体塗装層の実質的に全ての配置されている非ポリオレフィン粉末が界面の上に存在する。
【0009】
いくつかの例においては、コア層の空隙率はコア層の10体積%超である。別の例においては、粉体塗装層はポリオレフィン熱可塑性材料を更に含み、多孔質コア層の熱可塑性材料は、粉体塗装層のポリオレフィン熱可塑性材料と同じであるか異なる。更なる例においては、多孔質コア層の熱可塑性材料はポリオレフィンであり、粉体塗装層の非ポリオレフィン材料は熱可塑性非ポリオレフィン粉末である。いくつかの例においては、多孔質コア層の熱可塑性材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、アクリロニトリルスチレン、ブタジエン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンテトラクロレート、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、ポリエステル、アクリロニトリル-ブチルアクリレート-スチレンポリマー、アモルファスナイロン、ポリアリーレンエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリールスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ(1,4フェニレン)化合物、シリコーン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。別の事例においては、粉体塗装層の非ポリオレフィン材料は、ポリウレタンまたはポリアミドまたはコポリアミドまたはポリプロピレンである。いくつかの実施形態においては、強化繊維は、ガラス繊維、アラミド繊維、グラファイト繊維、炭素繊維、無機鉱物繊維、金属繊維、金属化合成繊維、及び金属化無機繊維、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される。別の実施形態おいては、多孔質コア層は、ロフティング剤を更に含む。いくつかの例においては、多孔質コア層と粉体塗装層との間に例えばフィルムまたはバリア材などの障壁が存在せず、結果として粉体塗装層は多孔質コア層の上に直接配置される。
【0010】
いくつかの事例においては、物品は、粉体塗装層の上に配置されたスキン層を含む。例えば、スキン層は、フィルム、フリム、スクリム、箔、紙、織布、不織布、発泡体、無機コーティング、有機コーティング、熱可塑性コーティング、及び熱硬化性材料コーティングからなる群から選択することができる。いくつかの例においては、スキン層の上に装飾層が配置される。別の例においては、多孔質コア層は、多孔質コア層の少なくとも10体積%の空隙率を有し、多孔質コア層は、粉体塗装層中の非ポリオレフィン熱可塑性材料とは異なる熱可塑性材料を更に含む。いくつかの実施形態においては、多孔質コア層は、多孔質コア層の少なくとも10体積%の空隙率を有し、多孔質コア層は、粉体塗装層の中の熱可塑性材料と同じ熱可塑性材料を更に含む。いくつかの事例においては、多孔質コア層は、約300gsm~約3000gsmの坪量を有し、粉体塗装層は、約20gsm~約200gsmの坪量を有する。別の例においては、粉体塗装層は、2010年付けのASTM D903の180°剥離により試験される、縦方向に少なくとも125N/m及び横方向に少なくとも125N/mの平均剥離強度をスキン層に付与するために有効である。いくつかの例においては、粉体塗装層は、2010年付けのASTM D903の180°剥離により試験される、縦方向に少なくとも390N/m及び横方向に少なくとも390N/mの平均剥離強度をスキン層に付与するために有効である。特定の例においては、粉体塗装層は、2010年付けのASTM D903の180°剥離により試験される、縦方向に少なくとも250N/m及び横方向に少なくとも250N/mの平均剥離強度をスキン層に付与するために有効である。いくつかの事例においては、多孔質コア層の上の粉体塗装層の坪量は、多孔質コア層の上に配置された熱可塑性フィルムによって与えられる2010年付けのASTM D903の180°剥離により試験される基準剥離強度と同じかそれより大きい2010年付けのASTM D903の180°剥離により試験される剥離強度が得られるように選択される。例えば、基準剥離強度は、約50gsm~約100gsmの坪量を有する熱可塑性フィルムを使用して決定される。
【0011】
追加的な態様においては、熱可塑性複合物品は、熱可塑性材料により一体に保持された強化繊維のウェブ含む多孔質コア層(例えば多孔質コア層は非押出多孔質コア層であってもよい)と、多孔質コア層の上に配置された粉末を含む粉体塗装層と、粉体塗装層の上に配置されているスキン層とを含み、この中の粉体塗装層の坪量は、2010年付けのASTM D903の180°剥離により試験される、少なくとも125N/mのスキンについての縦方向剥離強度及び少なくとも125N/mの横方向剥離強度が得られるように選択される。
【0012】
いくつかの例においては、粉体塗装層の中の粉末の平均粒子サイズは、粉体塗装層と多孔質コア層との間に界面が得られるように選択され、粉体塗装層の少なくとも50重量%の配置されている粉末が界面の上に存在する。別の例においては、多孔質コア層の熱可塑性材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、アクリロニトリルスチレン、ブタジエン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンテトラクロレート、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、ポリエステル、アクリロニトリル-ブチルアクリレート-スチレンポリマー、アモルファスナイロン、ポリアリーレンエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリールスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ(1,4フェニレン)化合物、シリコーン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。特定の事例においては、強化繊維は、ガラス繊維、アラミド繊維、グラファイト繊維、炭素繊維、無機鉱物繊維、金属繊維、金属化合成繊維、及び金属化無機繊維、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの例においては、多孔質コア層は、約300gsm~約3000gsmの坪量を有し、粉体塗装層は、約20gsm~約200gsmの坪量を有する。特定の実施形態においては、粉体塗装層は、2010年付けのASTM D903の180°剥離により試験される、縦方向に少なくとも125N/m及び横方向に少なくとも125N/mの平均剥離強度をスキン層に付与するために有効である。別の実施形態においては、粉体塗装層は、2010年付けのASTM D903の180°剥離により試験される、縦方向に少なくとも390N/m及び横方向に少なくとも390N/mの平均剥離強度をスキン層に付与するために有効である。いくつかの例においては、粉体塗装層は、2010年付けのASTM D903の180°剥離により試験される、縦方向に少なくとも250N/m及び横方向に少なくとも250N/mの平均剥離強度をスキン層に付与するために有効である。特定の例においては、多孔質コア層の上の粉体塗装層の坪量は、多孔質コア層の上に配置された熱可塑性フィルムによって与えられる2010年付けのASTM D903の180°剥離により試験される基準剥離強度と同じかそれより大きい2010年付けのASTM D903の180°剥離により試験される剥離強度が得られるように選択される。別の例においては、基準剥離強度は、約50gsm~約100gsmの坪量を有する熱可塑性フィルムを用いて決定される。
【0013】
別の態様においては、熱可塑性複合物品は、熱可塑性材料によって一体に保持された強化繊維のウェブを含む多孔質コア層(例えば多孔質コア層は非押出多孔質コア層であってもよい)と、多孔質コア層の上にいずれの介在層もなしに直接配置された粉末を含む粉体塗装層とを含み、この中で配置されている粉末は、多孔質コア層の空隙の中に粉末が入り込むことを防ぐように選択された平均粒子サイズを有する。
【0014】
特定の例においては、粉体塗装層の中の粉末の平均粒子サイズは、粉体塗装層と多孔質コア層との間に界面が得られるように選択され、粉体塗装層の全ての配置されている粉末が界面の上に存在する。別の例においては、多孔質コア層の熱可塑性材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、アクリロニトリルスチレン、ブタジエン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンテトラクロレート、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、ポリエステル、アクリロニトリル-ブチルアクリレート-スチレンポリマー、アモルファスナイロン、ポリアリーレンエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリールスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ(1,4フェニレン)化合物、シリコーン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。いくつかの実施形態においては、強化繊維は、ガラス繊維、アラミド繊維、グラファイト繊維、炭素繊維、無機鉱物繊維、金属繊維、金属化合成繊維、及び金属化無機繊維、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される。別の実施形態においては、多孔質コア層は、約300gsm~約3000gsmの坪量を有し、粉体塗装層は、約20gsm~約200gsmの坪量を有する。いくつかの事例においては、粉体塗装層は、2010年付けのASTM D903の180°剥離により試験される、縦方向に少なくとも125N/m及び横方向に少なくとも125N/mの平均剥離強度をスキン層に付与するために有効である。別の事例においては、粉体塗装層は、2010年付けのASTM D903の180°剥離により試験される、縦方向に少なくとも390N/m及び横方向に少なくとも390N/mの平均剥離強度をスキン層に付与するために有効である。特定の例においては、粉体塗装層は、2010年付けのASTM D903の180°剥離により試験される、縦方向に少なくとも250N/m及び横方向に少なくとも250N/mの平均剥離強度をスキン層に付与するために有効である。別の例においては、多孔質コア層の上の粉体塗装層の坪量は、多孔質コア層の上に配置された熱可塑性フィルムによって与えられる2010年付けのASTM D903の180°剥離により試験される基準剥離強度と同じかそれより大きい2010年付けのASTM D903の180°剥離により試験される剥離強度が得られるように選択される。いくつかの例においては、基準剥離強度は、約50gsm~約100gsmの坪量を有する熱可塑性フィルムを用いて決定される。
【0015】
追加的な態様においては、熱可塑性複合物品は、熱可塑性材料により一体に保持された強化繊維のウェブ含む多孔質コア層(例えば多孔質コア層は非押出多孔質コア層であってもよい)と、多孔質コア層の上に配置されたフィルムと、フィルムの上に配置された粉末を含む粉体塗装層と、粉体塗装層の上に配置されているスキンとを含み、この中の粉体塗装層の坪量は、2010年付けのASTM D903の180°剥離により試験される、少なくとも125N/mのスキンについての縦方向剥離強度及び少なくとも125N/mの横方向剥離強度が得られるように選択される。いくつかの例においては、フィルムは500ミル以下の厚さを有し得る。
【0016】
特定の例においては、粉体塗装層の中の粉末の平均粒子サイズは、粉体塗装層と多孔質コア層との間に界面が得られるように選択され、粉体塗装層の少なくとも50重量%の配置されている粉末が界面の上に存在する。別の例においては、多孔質コア層の熱可塑性材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、アクリロニトリルスチレン、ブタジエン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンテトラクロレート、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、ポリエステル、アクリロニトリル-ブチルアクリレート-スチレンポリマー、アモルファスナイロン、ポリアリーレンエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリールスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ(1,4フェニレン)化合物、シリコーン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。いくつかの実施形態においては、強化繊維は、ガラス繊維、アラミド繊維、グラファイト繊維、炭素繊維、無機鉱物繊維、金属繊維、金属化合成繊維、及び金属化無機繊維、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される。別の例においては、多孔質コア層は、約300gsm~約3000gsmの坪量を有し、粉体塗装層は、約20gsm~約200gsmの坪量を有する。特定の例においては、粉体塗装層の粉末は非ポリオレフィン熱可塑性材料を含み、コアはポリオレフィン熱可塑性材料を含む。いくつかの例においては、多孔質コア層は、コア層の少なくとも10体積%の空隙率を有する。特定の構成においては、粉末は、ポリウレタン粉末またはコポリアミド粉末またはポリプロピレン粉末を含む。いくつかの例においては、スキンの上に装飾層が配置される。別の例においては、複合物品は、スキンと装飾層との間に配置された発泡体を含む。
【0017】
別の態様においては、車両のヘッドライナー製品は、ポリマー材料によって一体に保持されている強化繊維のウェブを含む多孔質コア層(例えば多孔質コア層は非押出多孔質コア層であってもよい)と、多孔質コア層の上に配置されたポリマー粉末を含む粉体塗装層(この中の粉末の平均粒子サイズは粉体塗装層と多孔質コア層との間に界面が得られるように選択される)と、粉体塗装層に結合した装飾層とを含み、このヘッドライナー製品は、車両の屋根の下面と結合するように、及び車両のフロントウインドシールドから車両のリアウインドシールドまで及ぶように、かつ車両の左側から車両の右側まで及ぶように構成及び配置される。
【0018】
いくつかの例においては、粉体塗装層の配置されている粉末の少なくとも50重量%が界面の上に存在する。別の例においては、コア層の空隙率は、コア層の体積基準で10より大きい。いくつかの構成においては、粉体塗装層と多孔質コア層のそれぞれは熱可塑性材料を含み、多孔質コア層の熱可塑性材料は粉体塗装層の熱可塑性材料と同じであるか異なる。別の構成においては、多孔質コア層の熱可塑性材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、アクリロニトリルスチレン、ブタジエン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンテトラクロレート、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、ポリエステル、アクリロニトリル-ブチルアクリレート-スチレンポリマー、アモルファスナイロン、ポリアリーレンエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリールスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ(1,4フェニレン)化合物、シリコーン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。いくつかの例においては、粉体塗装層の熱可塑性材料は、ポリウレタンまたはポリアミドまたはコポリアミドまたはポリプロピレンを含む。いくつかの例においては、強化繊維は、ガラス繊維、アラミド繊維、グラファイト繊維、炭素繊維、無機鉱物繊維、金属繊維、金属化合成繊維、及び金属化無機繊維、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される。別の例においては、コア層のポリマー材料は、熱可塑性材料もしくは熱硬化性材料または両方を含む。特定の例においては、多孔質コア層と粉体塗装層との間に例えばフィルムまたはバリア材などの障壁が存在せず、結果として粉体塗装層は多孔質コア層の上に直接配置される。別の例においては、車両のヘッドライナー製品は、粉体塗装層の上に配置され粉体塗装層と装飾層との間に位置するスキン層を含む。
【0019】
別の態様においては、アンダーボディシールドは、ポリマー材料によって一体に保持されている強化繊維のウェブを含む多孔質コア層(例えば多孔質コア層は非押出多孔質コア層であってもよい)と、多孔質コア層の上に配置されたポリマー粉末を含む粉体塗装層(この中の粉末の平均粒子サイズは粉体塗装層と多孔質コア層との間に界面が得られるように選択される)と、粉体塗装層に結合したスキン層とを含み、このアンダーボディシールドは、車両のアンダーボディと結合するように構成及び配置される。
【0020】
いくつかの例においては、粉体塗装層の配置されている粉末の少なくとも50重量%が界面の上に存在する。別の例においては、コア層の空隙率は、コア層の体積基準で10より大きい。いくつかの実施形態においては、多孔質コア層と粉体塗装層のそれぞれは熱可塑性材料を含み、多孔質コア層の熱可塑性材料は、粉体塗装層の熱可塑性材料と同じであるか異なる。別の実施形態においては、多孔質コア層の熱可塑性材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、アクリロニトリルスチレン、ブタジエン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンテトラクロレート、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、ポリエステル、アクリロニトリル-ブチルアクリレート-スチレンポリマー、アモルファスナイロン、ポリアリーレンエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリールスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ(1,4フェニレン)化合物、シリコーン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。いくつかの構成においては、粉体塗装層の熱可塑性材料は、ポリウレタンまたはポリアミドまたはコポリアミドまたはポリプロピレンを含む。別の例においては、強化繊維は、ガラス繊維、アラミド繊維、グラファイト繊維、炭素繊維、無機鉱物繊維、金属繊維、金属化合成繊維、及び金属化無機繊維、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの事例においては、多孔質コア層のポリマー材料は、熱可塑性材料もしくは熱硬化性材料または両方を含む。別の例においては、多孔質コア層と粉体塗装層との間に例えばフィルムまたはバリア材などの障壁が存在せず、結果として粉体塗装層は多孔質コア層の上に直接配置される。特定の事例においては、アンダーボディシールドは、粉体塗装層の上に配置され粉体塗装層と装飾層との間に位置するスキン層を含む。
【0021】
別の態様においては、熱可塑性複合物品の製造方法は、多孔質コア層の上にスキンを配置することを含み、方法は、多孔質コア層の上に配置された粉体塗装層の上にスキンを配置することを含み、粉体塗装層は、多孔質コア層の間に界面を付与し、また2010年付けのASTM D903の180°剥離により試験される、少なくとも125N/mのスキンについての縦方向剥離強度及び少なくとも125N/mの横方向剥離強度を得るために、多孔質コア層にスキン層を接着させるのに有効である。必要に応じて、粉体塗装層は、材料を全く介在させずに多孔質コア層の上に直接配置されてもよい。
【0022】
いくつかの例においては、方法は、多孔質コア層の熱可塑性材料と同じか異なるように粉体塗装層の熱可塑性材料を選択することを含む。別の例においては、方法は、ポリオレフィンを含むように多孔質コア層の熱可塑性材料を選択し、非ポリオレフィンまたはポリオレフィンを含むように粉体塗装層の熱可塑性材料を選択することを含む。更なる例においては、方法は、粉体塗装層の熱可塑性材料及び多孔質コア層の熱可塑性材料を同じ材料であるように選択し、多孔質コア層の熱可塑性材料の平均粒子サイズよりも大きくなるように粉体塗装層の熱可塑性材料の平均粒子サイズを選択することを含む。いくつかの事例においては、方法は、多孔質コア層の上に粉体塗装層を配置する前に多孔質コア層を圧縮することを含む。別の例においては、方法は、粉体塗装層の上にスキンを配置した後に熱可塑性複合物品を圧縮することを含む。いくつかの例においては、方法は、粉体塗装層の上にスキンを配置した後に熱可塑性複合物品を成形することを含む。いくつかの構成においては、方法は、粉体塗装層とスキンとを含む多孔質コア層の反対側の表面に追加的なスキンを配置することを含む。別の構成においては、方法は、スキンの上に装飾層を配置することを含む。いくつかの例においては、方法は、熱可塑性材料と強化繊維とを混合することで撹拌された水性泡を形成すること、撹拌された水性泡をワイヤ支持体の上に配置すること、水を抜いてウェブを形成すること、熱可塑性材料の融点かそれよりも高い第1の温度までウェブを加熱すること、及び第1の厚さまでウェブを圧縮すること、により多孔質コア層を形成することを含む。
【0023】
追加的な態様においては、熱可塑性複合物品の製造方法は、2010年付けのASTM D903の180°剥離により試験される、縦方向に少なくとも125N/m及び横方向に少なくとも125N/mの剥離強度の剥離強度を、粉体塗装層上に配置されるスキンに付与するのに有効な量で、多孔質コア層の上に粉体塗装層を配置すること、並びに配置された粉体塗装層の上にスキンを配置することを含む。
【0024】
特定の例においては、方法は、多孔質コア層の熱可塑性材料と同じか異なるように粉体塗装層の熱可塑性材料を選択することを含む。いくつかの例においては、方法は、ポリオレフィンを含むように多孔質コア層の熱可塑性材料を選択し、非ポリオレフィンまたはポリオレフィンを含むように粉体塗装層の熱可塑性材料を選択することを含む。別の例においては、方法は、粉体塗装層の熱可塑性材料及び多孔質コア層の熱可塑性材料を同じ材料であるように選択し、多孔質コア層の熱可塑性材料の平均粒子サイズよりも大きくなるように粉体塗装層の熱可塑性材料の平均粒子サイズを選択することを含む。いくつかの例においては、方法は、多孔質コア層の上に粉体塗装層を配置する前に多孔質コア層を圧縮することを含む。いくつかの事例においては、方法は、粉体塗装層の上にスキンを配置した後に熱可塑性複合物品を圧縮することを含む。別の例においては、方法は、粉体塗装層の上にスキンを配置した後に熱可塑性複合物品を成形することを含む。いくつかの実施形態においては、方法は、粉体塗装層とスキンとを含む多孔質コア層の反対側の表面に追加的なスキンを配置することを含む。別の例においては、方法は、スキンの上に装飾層を配置することを含む。いくつかの例においては、方法は、熱可塑性材料と強化繊維とを混合することで撹拌された水性泡を形成すること、撹拌された水性泡をワイヤ支持体の上に配置すること、水を抜いてウェブを形成すること、熱可塑性材料の融点かそれよりも高い第1の温度までウェブを加熱すること、及び第1の厚さまでウェブを圧縮すること、により多孔質コア層を形成することを含む。
【0025】
別の態様においては、熱可塑性複合物品の製造方法は、熱可塑性材料と強化繊維とを混合することで撹拌された水性泡を形成すること、撹拌された水性泡をワイヤ支持体の上に配置すること、水を抜いてウェブを形成すること、熱可塑性材料の融点かそれよりも高い第1の温度までウェブを加熱すること、第1の厚さまでウェブを圧縮して多孔質コア層を得ること、多孔質コア層の上に粉末材料を粉体塗装して粉体塗装層を得ること、及び粉体塗装層の上にスキンを配置して熱可塑性複合物品を得ること、を含む。
【0026】
特定の例においては、方法は、粉末材料を配置する前に多孔質コア層を加熱することを含む。別の例においては、方法は、粉体塗装層を含む加熱された多孔質コア層の上にスキンを配置することを含む。いくつかの事例においては、方法は、熱可塑性複合物品を成形することを含む。いくつかの例においては、方法は、熱可塑性物品をロフティングすることを含む。別の実施形態においては、方法は、ロフティング剤を含むように撹拌された水性泡を構成することを含む。特定の事例においては、方法は、熱可塑性材料を含むように粉末材料を構成することを含む。いくつかの例においては、粉末材料の熱可塑性材料は非ポリオレフィン粉末材料を含み、泡の熱可塑性材料はポリオレフィンを含む。例えば、非ポリオレフィン粉末材料はポリウレタン粉末または他の非ポリオレフィン粉末材料を含み得る。いくつかの例においては、方法は、ポリプロピレンを含むように泡の熱可塑性材料を構成することと、ガラス繊維を含むように強化繊維を構成することとを含む。
【0027】
必要に応じて、1種以上の追加的な粉体塗装層が本明細書に記載の物品の上に存在していてもよい。
【0028】
追加的な特徴、態様、実施例、構成、及び実施形態は、以下でより詳しく説明される。
特定の実施形態が添付の図面を参照しつつ説明される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】特定の例による、粉体塗装層を含むプリプレグの図である。
図2】特定の実施形態による、粉体塗装層とスキンとを含むプリプレグの図である。
図3】特定の例による、コア層のそれぞれの表面上に粉体塗装層を含むプリプレグの図である。
図4】特定の構成による、スキンとスキン上の粉体塗装層とを含むプリプレグの図である。
図5】特定の事例による、粉体塗装層を介して互いに結合した2つのコア層の図である。
図6】特定の事例による、1つのコア層の上に配置された粉体塗装層と互いに結合している2つのコア層の図である。
図7】特定の例による、コアと、粉体塗装層と、粉体塗装層上のスキンとを含む物品の図である。
図8】特定の例による、コアと、粉体塗装層と、粉体塗装層上のスキンと、コアの反対側表面上の追加的なスキンとを含む物品の図である。
図9】特定の例による、コアと、粉体塗装層と、粉体塗装層上のスキンと、スキン上の装飾層とを含む物品の図である。
図10】特定の実施形態による、粉体塗装層とスキンとによって分離されていた2つ以上のコアを含む物品の図である。
図11】特定の事例による、コアの1つの上に粉体塗装層を有する2つ以上のコアの図である。
図12】特定の例による、コアの上に粉体塗装された材料の帯状片を有する物品の図である。
図13】特定の構成による、粉体塗装層の上に配置された表面層の帯状片を含む物品の図である。
図14】特定の事例による、車両のヘッドライナーの上面図である。
図15図15Aは特定の例によるアンダーボディシールドの図であり、図15Bは特定の例によるリアウィンドウトリムの上面図である。
図16】いくつかの実施形態による、プリプレグまたはコア上に粉体塗装層を設けるために使用することができる粉体塗装システムの図である。
図17】特定の例による、物品の製造のために使用することができるプロセスのブロック図である。
図18】様々な複合物品についての周波数の関数としての吸音を示すグラフである。
図19】様々な複合物品についての周波数の関数としての吸音を示すグラフである。
図20】様々な複合物品についての周波数の関数としての吸音を示すグラフである。
図21】様々な複合物品についての周波数の関数としての吸音を示すグラフである。
図22】様々な複合物品についての周波数の関数としての吸音を示すグラフである。
図23】様々な複合物品についての周波数の関数としての吸音を示すグラフである。
図24】様々な複合物品についての周波数の関数としての吸音を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
当業者であれば、本開示の利益を踏まえて、より利用しやすい形の図面を提供するために、図面の中の特定の寸法または特徴が、拡大されて、歪まされて、あるいはその他の慣例にとらわれないまたは他の比例しない様式で示されている場合があることを認識するであろう。具体的な厚さ、幅、または長さは図面の描写によっては意図されず、また図面の構成要素の中の異なる層の相対的なサイズまたは厚さは、図面の任意の構成要素または層のサイズを限定することを意図するものではない。以下の説明で寸法または値が指定されている場合、寸法または値は例示目的のみのために提供される。更に、図面の特定の部分の陰影によって具体的な材料または配置が必要とされることは意図されておらず、また、図面の中の異なる構成要素は区別のために陰影を有する場合があるものの、異なる構成要素は、必要に応じて同じまたは同様の材料を含んでいてもよい。いくつかの事例においては、様々な層は、例示目的で、刈り株(stubble)、ドット、斜線などを含むものとして示されている。刈り株、ドット、斜線などの配置は、その具体的な図面を説明する文脈において別段の規定がない限り、何らかの特定の材料または分布を意味することを意図していない。
【0031】
本明細書に開示の技術のより利用しやすい説明を提供するために、単数形及び複数形の用語に言及しつつ特定の実施形態が以下で説明される。これらの用語は便宜的に使用されているに過ぎず、これらは、本明細書に記載の具体的な実施形態の中に存在するかこれから除外されるとして別段の明記がない限り、特定の特徴を含むか排除するものとして、プリプレグ、コア、物品、複合材料、及び他の主題を限定することを意図するものではない。本明細書でより詳しく記載されるように、プリプレグまたはコア層は、プリプレグまたはコア層の中に望みの量の空隙率を付与するために、非押出コア層または非押出プリプレグ層の形態をとっていてもよい。
【0032】
特定の事例においては、熱可塑性複合物品は、多くの場合、最終的に成形された部品または物品を得るために様々な形状へと成形または加工される。形成される厳密な最終物品は、具体的な用途に依存し得る。例えば、いくつかの事例においては、本明細書に記載のプリプレグ及びコアは、後に望みの形状または構造へと成型、トリミング、または成形することができるシート形態で提供されてもよい。特定の事例においては、シートは、車両のヘッドライナー、車両のアンダーボディシールド、車両の貨物トレイまたは貯蔵室等を得るために加工されてもよい。別の事例においては、複合物品は、限定するものではないが、パーティション、壁紙(例えば間柱に取り付けるか、間柱に取り付けられている既存の乾式壁または他の材料を被覆することができる壁紙)、背もたれ、座枠、屋根パネル、天井パネル、床材、またはオフィスもしくは建築用途で使用され得る他の物品などの、オフィス家具または屋内建築製品を得るために成形または加工されてもよい。
【0033】
特定の構成においては、本明細書に記載の物品は、プリプレグ層またはコア層を含み得る。何らかの特定の理論に拘束されることを望むものではないが、プリプレグ層は、一般的に、完全に形成されたまたは加工された形態のコア層ではない。例えば、熱可塑性材料(または他のポリマー材料)と複数の繊維とを含む部分的に形成された層が一般にプリプレグ層と呼ばれる一方で、熱可塑性材料(または他のポリマー材料)と複数の繊維とを含む完全に形成された層が一般にコア層と呼ばれる。本明細書に記載のように、コア層が形成されたまたは硬化したと見なされる場合があるものの、コア層を含む複合物品の全体の特性を変更するために、コア層を、1つ以上のスキン層、粉体塗装層などに更に結合させることができる。以降の記載は、プリプレグとコア層の両方について言及し、またプリプレグ層と関連して使用される材料(及びそれらの量及び特性)も、必要に応じてコア層の中で使用することができる。
【0034】
特定の例においては、及び図1を参照すると、プリプレグ100の簡略図が示されている。プリプレグ100は、コア層105の第1の表面107上に配置された粉体塗装層110に結合されたコア層105を含む。コア層105が三次元形態をとる場合、粉体塗装層110(または他の層)は、コア層110の1つ以上の側面にも存在してもよい。別の構成においては、粉体塗装層は、コア層105の平坦な表面(またはその一部)上にのみ存在するように配置されてもよい。下でより詳しく説明するように、コア層105は、典型的には熱可塑性材料によって一体に保持された複数の強化繊維を含むウェブを含み得る多孔質構造である。ウェブの空隙率は特に高くてもよく、例えば20体積%超、30体積%超、40体積%超、または更には必要に応じて50体積%超であってもよい。粉体塗装材料及び条件は、粉体塗装材料がウェブの中に侵入しないように、例えば粉体塗装層110とコア層105との間に輪郭が明確な界面が存在するように選択することができ、あるいはこれは幾らかの量の粉体塗装された材料がコア層105の空隙を貫通するか塞ぐことができるように選択することができる。例えば、粒子のサイズ及び粉体塗装条件は、全ての粉体塗装された材料(または実質的に全ての粉体塗装された材料)がコア層105の表面107に残るように選択することができる。粉体塗装層110が接着剤として機能するのに有効である場合、この結果として得られる層は、粉体塗装層110を介してプリプレグ100に結合される別の層と接着させるために表面107上に存在する材料(例えば粉体塗装材料)の量を増やすことができる。粉体塗装層110の中で使用される粉末材料の厳密な平均粒子サイズは変動し得るが、いくつかの事例においては、粉体塗装層110の中で使用される粒子の平均粒径は、プリプレグ100の上面での粉末材料の保持性を高めるために平均孔径よりも大きくすることができる。
【0035】
特定の事例においては、粉体塗装層110の少なくとも1種の材料は、コア層105の中に存在する1種の材料と同じであってもよく、例えば、コア層と粉体塗装層のそれぞれは、熱可塑性材料、熱硬化性材料、または他の材料を含んでいてもよい。いくつかの事例においては、層105、110は、1種以上の共通の材料を共有していてもよいものの、共通の材料の厳密な形態またはサイズは、異なる層105、110において異なっていてもよい。例えば、コア層105と粉体塗装層110は、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどの同じポリオレフィンの種類をそれぞれ含んでいてもよいものの、材料の形態またはサイズは異なる層で異なっていてもよい。共通の材料が層105、110の中に存在するいくつかの事例においては、コア層105の中の共通の材料の平均粒子サイズは、層110の中の材料の平均粒子サイズよりも大きくてもよい。しかしながら、コア層105の上の粉体塗装された材料の表面保持性を向上させるために、コア層105の中の共通の材料の平均粒子サイズよりも大きい平均粒子サイズを有する層110を構成することが望ましい場合がある。いくつかの事例においては、共通の材料は、粉体塗装層110の中とは異なる形態でコア層105の中に存在していてもよい。例えば、コア層105と粉体塗装層110のそれぞれは熱可塑性材料(これは同じであっても異なっていてもよい)を含み得るものの、コア層105の中の熱可塑性材料は例えば繊維形態などの第1の形態で存在していてもよく、層110の中の熱可塑性材料は例えば粒子としてなどの第1の形態とは異なる第2の形態で存在していてもよい。別の事例においては、コア層105は例えば繊維と粒子のような複数種の材料の混合物を含んでいてもよく、層110は例えば繊維のみまたは粒子のみを含んでいてもよい。必要であれば、層110は、例えば繊維と粒子のような複数種の材料の混合物を代わりに含んでいてもよく、コア層105は例えば繊維のみまたは粒子のみを含んでいてもよい。別の構成においては、コア層105及び粉体塗装層110の中に共通の材料は存在しない。コア層105と層110がそれぞれ熱可塑性材料(または熱硬化性材料もしくは他の材料)を含む場合、熱可塑性材料(または熱硬化性材料もしくは他の材料)は、同じであっても異なっていてもよい。特定の構成においては、コア層105は、強化繊維と組み合わされた熱可塑性材料を含んでいてもよく、層110は、層110の中に繊維を全く存在させずに例えばポリオレフィン、熱可塑性ポリウレタンなどの熱可塑性材料、または例えば熱硬化性ポリウレタンなどの熱硬化性材料のような他の材料を含んでいてもよい。
【0036】
特定の例においては、本明細書に記載の粉体塗装層は、コア層に追加的な層を結合させるために使用することができる。図2を参照すると、第1の表面207及び第2の表面209を有するコア層205を含むプリプレグ200が示されている。粉体塗装層210は第1の表面207の上に存在する。プリプレグ200を得るために、粉体塗装層210の上にスキン220が配置されている。プリプレグ200を製造するための様々な方法を以降でより詳しく説明するが、粉体塗装層210の上にスキン220が配置される前にコア層205の上に粉体塗装層210が配置されてもよく、あるいは粉体塗装層210を介してコア層205に追加的な層220が結合される前に追加的な層220の上に粉体塗装層が配置されてもよい。層220は、限定するものではないが、フィルム(例えば熱可塑性フィルムまたはエラストマーフィルム)、フリム(例えばフィルムとスクリムの組み合わせ)、スクリム(例えば繊維を主体とするスクリム)、箔、紙、織布、不織布、発泡体などの様々な形態をとっていてもよく、あるいは無機コーティング、有機コーティング、熱可塑性コーティング、または熱硬化性材料コーティングとして存在していてもよい。別の事例においては、層220は、1996年付けのISO4589により測定される、約22より大きい限界酸素指数を有し得る。熱可塑性フィルムが層220として(またはその一部として)存在する場合、熱可塑性フィルムは、ポリオレフィン、ポリ(エーテルイミド)、ポリ(エーテルケトン)、ポリ(エーテル-エーテルケトン)、ポリ(フェニレンサルファイド)、ポリ(アリーレンスルホン)、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(アミド-イミド)、ポリ(1,4-フェニレン)、ポリカーボネート、ナイロン、及びシリコーンのうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。繊維を主体とするスクリムが層220として(またはその一部として)存在する場合、繊維を主体とするスクリムは、ガラス繊維、アラミド繊維、グラファイト繊維、炭素繊維、無機鉱物繊維、金属繊維、金属化合成繊維、高分子繊維、及び金属化無機繊維のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。熱硬化性材料コーティングが層220として(またはその一部として)存在する場合、コーティングは、不飽和ポリウレタン、ビニルエステル、フェノール樹脂、及びエポキシ樹脂のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。無機コーティングが層220として(またはその一部として)存在する場合、無機コーティングは、Ca、Mg、Ba、Si、Zn、Ti、及びAlから選択されるカチオンを含む無機物を含んでいてもよく、あるいは石膏、炭酸カルシウム、及びモルタルのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。不織布が層220として(またはその一部として)存在する場合、不織布は、熱可塑性材料、熱硬化性バインダー、無機繊維、高分子繊維、金属繊維、金属化無機繊維、及び金属化合成繊維を含んでいてもよい。
【0037】
特定の例においては、及び図3を参照すると、プリプレグ300の図が示されている。プリプレグ300は、コア層305の第1の表面307上に配置された第1の粉体塗装層310に結合されたコア層305を含む。プリプレグ300は、コア層305の第2の表面309上に配置された第2の粉体塗装層315も含む。図1と関連して説明したように、粉体塗装材料及び条件は、粉体塗装された材料がコア層305のウェブの中に侵入しないか実質的に侵入しないように、例えば粉体塗装層310とコア層305との間の第1の界面、及び粉体塗装層315とコア層305との間の第2の界面が存在できるように選択することができる。例えば、粒子のサイズ及び粉体塗装条件は、全ての粉体塗装された材料(または実質的に全ての粉体塗装された材料)がコア層305の表面307、309に残るように選択することができる。しかし、必要に応じて、一定量の粉体塗装された材料がコアの中に侵入していてもよい。使用される具体的な粒子サイズ、例えば粉体塗装層の平均粒径は、粉末として使用するために選択された具体的な材料及び下にあるコア層305中の細孔の全体のサイズに応じて様々であってもよい。いくつかの事例においては、粉末は、限定するものではないが、ポリアミド、熱可塑性ポリウレタン、コポリアミド、または他の適切な材料などの非ポリオレフィン粉末である。いくつかの事例においては、粉末は、限定するものではないが、ポリプロピレン、ポリエチレン、及び他の適切な材料、並びにこれらの組み合わせなどのポリオレフィン粉末である。粉体塗装層310、315のそれぞれが接着剤として機能するのに有効な場合、この結果として得られる層は、粉体塗装層310、315を介してプリプレグ300に結合される別の層と接着させるために表面307、309上に存在する材料の量を増やすことができる。
【0038】
特定の事例においては、粉体塗装層310、315のうちの一方または両方の中の少なくとも1種の材料は、コア層305の中に存在する1種の材料と同じであってもよく、例えば、コア層と粉体塗装層のそれぞれは、熱可塑性材料、熱硬化性材料、または他の材料を含んでもよい。いくつかの事例においては、層305、310、315は、全て1種以上の共通の材料を共有していてもよいものの、共通の材料の厳密な形態またはサイズは、異なる層305、310、315において異なっていてもよい。例えば、コア層305と粉体塗装層310、315は、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどの同じポリオレフィンの種類をそれぞれ含んでいてもよいものの、材料の形態またはサイズは異なる層で異なっていてもよい。共通の材料が層305、310、315の中に存在するいくつかの事例においては、コア層305の中の共通の材料の平均粒子サイズは、層310または層315の中の材料の平均粒子サイズよりも大きくてもよい。しかしながら、コア層305の上の粉体塗装された材料の表面保持性を向上させるために、コア層305の中の共通の材料の平均粒子サイズよりも大きい平均粒子サイズを有する層310、315を構成することが望ましい場合がある。いくつかの事例においては、共通の材料は、粉体塗装層310、315の中とは異なる形態でコア層305の中に存在していてもよい。例えば、コア層305と粉体塗装層310、315のそれぞれは熱可塑性材料(これは同じであっても異なっていてもよい)を含み得るものの、コア層305の中の熱可塑性材料は例えば繊維形態などの第1の形態で存在していてもよく、層310、315の中の熱可塑性材料は例えば粒子としてなどの第1の形態とは異なる形態で存在していてもよい。別の事例においては、コア層305は例えば繊維と粒子のような複数種の材料の混合物を含んでいてもよく、層310、315は例えば繊維のみまたは粒子のみを含んでいてもよい。必要であれば、層310、315は、例えば繊維と粒子のような複数種の材料の混合物を代わりに含んでいてもよく、コア層305は例えば繊維のみまたは粒子のみを含んでいてもよい。別の構成においては、コア層305及び粉体塗装層310、315の中に共通の材料は存在しない。コア層305と層310、315がそれぞれ熱可塑性材料を含む場合、熱可塑性材料は同じであっても異なっていてもよい。特定の構成においては、コア層305は、強化繊維と組み合わされた熱可塑性材料を含んでいてもよく、層310、315は、層310、315の中に繊維を全く存在させずに例えばポリオレフィン、熱可塑性ポリウレタンなどの熱可塑性材料、または例えば熱硬化性ポリウレタンなどの熱硬化性材料のような他の材料を含んでいてもよい。
【0039】
特定の構成においては、層310、315の中に存在する材料は同じであっても異なっていてもよい。例えば、層310、315の中の材料は同じであってもよく、また実質的に同じサイズ及び/または形態を含んでいてもよい。別の事例においては、層310、315は、同じ材料を含んでいてもよいが異なる厚さで存在していてもよい。追加的な構成においては、層310、315の中の材料は異なっていてもよい。別の事例においては、コア層の上に粉体塗装層が配置されることによって与えられる具体的なパターンは、層310、315の中で異なっていてもよい。例えば、層310は表面307全体にわたってほぼ平坦な層として配置されていてもよい一方で、層315は、特定の領域でコア層305を露出することができるように、連続層ではなく表面309上の材料の帯状片または領域として配置されていてもよい。図1~3(及び本明細書中の他の図面)の中では様々な粉体塗装層が単一の層として示されているものの、粉体塗装層は、望ましい厚さまたは形状まで全体の層を構築するために、複数の個々の層を連続的に堆積させることによって製造されてもよい。連続する層は、同じ粉体塗装された材料であってもよく、あるいは異なる粉体塗装された材料を含んでいてもよい。
【0040】
特定の実施形態においては、プリプレグ表面上に粉体塗装される材料が配置される前に、スキンまたは他の材料をコア層に最初に結合させることが望ましい場合がある。図4を参照すると、第1の表面407及び第2の表面409を有するコア層405を含むプリプレグ400が示されている。スキン420は、第1の表面407の上に配置された。図示されていないものの、スキンまたは粉体塗装層のいずれかが第2の表面409上に配置されていてもよい。粉体塗装層410はスキン420の上に存在する。粉体塗装層410は、スキン420及びコア層405の中に存在するものと同じ材料を1種以上含んでいてもよい。いくつかの事例においては、粉体塗装層410の中の材料は、スキン420及び/またはコア層405の材料と異なる。プリプレグ400を製造するための様々な方法を以降でより詳しく説明するが、コア層405の上にスキン420が配置される前にスキン420の上に粉体塗装層410が配置されてもよく、あるいはコア層405の上にスキンが配置された後にスキン420の上に粉体塗装層が配置されてもよい。スキン420は、限定するものではないが、フィルム(例えば熱可塑性フィルムまたはエラストマーフィルム)、フリム(例えばフィルムとスクリムの組み合わせ)、スクリム(例えば繊維を主体とするスクリム)、箔、紙、織布、不織布、発泡体などの様々な形態をとっていてもよく、あるいは無機コーティング、有機コーティング、熱可塑性コーティング、または熱硬化性材料コーティングとして存在していてもよい。別の事例においては、スキン420は、1996年付けのISO4589により測定される、約22より大きい限界酸素指数を有し得る。熱可塑性フィルムがスキン420として(またはその一部として)存在する場合、熱可塑性フィルムは、ポリオレフィン、ポリ(エーテルイミド)、ポリ(エーテルケトン)、ポリ(エーテル-エーテルケトン)、ポリ(フェニレンサルファイド)、ポリ(アリーレンスルホン)、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(アミド-イミド)、ポリ(1,4-フェニレン)、ポリカーボネート、ナイロン、及びシリコーンのうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。繊維を主体とするスクリムがスキン420として(またはその一部として)存在する場合、繊維を主体とするスクリムは、ガラス繊維、アラミド繊維、グラファイト繊維、炭素繊維、無機鉱物繊維、金属繊維、高分子繊維、金属化合成繊維、及び金属化無機繊維のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。熱硬化性材料コーティングがスキン420として(またはその一部として)存在する場合、コーティングは、不飽和ポリウレタン、ビニルエステル、フェノール樹脂、及びエポキシ樹脂のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。無機コーティングがスキン420として(またはその一部として)存在する場合、無機コーティングは、Ca、Mg、Ba、Si、Zn、Ti、及びAlから選択されるカチオンを含む無機物質を含んでいてもよく、あるいは石膏、炭酸カルシウム、及びモルタルのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。不織布がスキン420として(またはその一部として)存在する場合、不織布は、熱可塑性材料、熱硬化性バインダー、無機繊維、高分子繊維、金属繊維、金属化無機繊維、及び金属化合成繊維を含んでいてもよい。いくつかの事例においては、スキン420は、スキン420と粉体塗装層410との間への界面の形成を可能にするほぼ非多孔質な材料を含んでいてもよい一方で、別の事例においては、スキン420は、少なくともある程度まで多孔質であってもよい。例えば、スキン420を例えば1~5ミルの厚さなどの非常に薄い非多孔質のフィルムとして構成することが望ましい場合があり、これは層410の中の粉体塗装された材料がコア層405の中に入るのを阻止する障壁として機能することができる。いくつかの事例においては、スキン420はコア層405の中に存在するものと同じ熱可塑性材料を含むフィルムを含んでいてもよい一方で、別の例においては、スキン420は、コア層405の材料とは異なる材料を含んでいてもよい。成形工程または他の加工工程の際にプリプレグ400を加熱すると、スキン420のフィルムがコア層405の中へ溶け込む場合がある。
【0041】
特定の実施形態においては、本明細書に記載の粉体塗装層は、2つ以上のコア層を互いに結合させるために使用することができる。図5を参照すると、第1のコア層505は、粉体塗装層510を介して第2のコア層550と結合される。第1と第2のコア層505、550それぞれは、同じであっても異なっていてもよい。いくつかの事例においては、コア層505、550は同じ材料を含んでいてもよいが、異なる空隙率または坪量または他の異なる物理的特性を有していてもよい。図5のプリプレグの製造においては、粉体塗装層510は、コア層505、550の一方または両方の上に配置された後にこれらと結合してもよい。更に、スキンは、コア層505、550の一方または両方の上に配置された後にこれらと結合してもよい。例えば、スキンは、コア層505、550の一方または両方の外表面上に存在していてもよく、あるいは粉体塗装層510とコア層505、550のうちの1つとの間に存在していてもよい。いくつかの事例においては、コア層505、550のうちの一方または両方は、2つのコア層505、550の結合の前に圧縮されてもよい。別の事例においては、コア層505、550の一方または両方は、2つのコア層505、550の互いの結合の前にロフティングされていてもよい。必要に応じて、コア層505、550のうちの1つは望みの形状に成形することができ、その後、他方のコア層が粉体塗装層510を介して成形されたコア層と結合されてもよい。いくつかの事例においては、プリプレグ500全体が成形されてもよい。特定の構成においては、1つ以上のスキンが成形前にプリプレグ500に付加されてもよい。別の事例においては、コア層505またはコア層550または両方の外表面の上に追加的な粉体塗装層が存在していてもよい。
【0042】
複数のコア層が存在する特定の例においては、コア層は粉体塗装層を介して互いに結合する必要がない。図6を参照すると、表面に粉体塗装層610を含む、第2のコア層650に結合した第1のコア層605を含むプリプレグ600が示されている。第1と第2のコア層605、650それぞれは、同じであっても異なっていてもよい。いくつかの事例においては、コア層605、650は同じ材料を含んでいてもよいが、異なる空隙率または坪量または他の異なる物理的特性を有していてもよい。図6のプリプレグの製造においては、粉体塗装層610は、コア層650をコア層605に結合させる前にコア層650の上に配置されてもよく、あるいは2つのコア層605、650が互いに結合された後にコア層650の上に配置されてもよい。図示されていないものの、コア層605と粉体塗装層610の一方または両方の上にスキンが配置されてもよい。例えば、スキンは、プリプレグの外表面上に存在していてもよく、また粉体塗装層610を介してコア層650に結合されていてもよい。いくつかの事例においては、コア層605、650のうちの一方または両方は、2つのコア層605、650の結合の前に圧縮されてもよい。別の事例においては、コア層605、650の一方または両方は、2つのコア層605、650の互いの結合の前にロフティングされていてもよい。必要に応じて、コア層605、650のうちの1つは望みの形状に成形することができ、その後、他方のコア層が成形されたコア層と結合されてもよい。いくつかの事例においては、プリプレグ600全体が成形されてもよい。特定の構成においては、1つ以上のスキンが成形前にプリプレグ600に付加されてもよい。別の事例においては、必要に応じてコア層605の外表面の上に追加的な粉体塗装層が存在していてもよい。
【0043】
いくつかの事例においては、本明細書に記載のプリプレグ、コア、及び物品は、例えば空隙などのオープンセル構造を含む多孔質または透過性の材料である。熱可塑性材料から形成されたそのようなオープンセル構造の存在は、プリプレグ、コア、及び物品がその表面に粉体塗装された材料を保持することをより困難にする。粉体塗装される材料の適切なサイズ及び種類を選択することによって、粉体塗装層は、例えば、2つの異なる層または構造を確認することができ、その結果として輪郭が明確にされた界面の上に多量(例えば50重量%超)のいずれの粉体塗装された材料も保持されるように、輪郭が明確にされた界面を有して存在することができる。例えば、粉体塗装された材料の少なくとも60重量%、70重量%、80重量%、またはそれ以上が界面の上に存在していてもよい。別の事例においては、粉体塗装された材料は、実質的に全て(例えば90重量%超)の粉体塗装された材料が、粉体塗装層とプリプレグまたはコア層との間の界面の上の層の中に存在するように選択される。また別の構成においては、本質的に全ての粉体塗装された材料(例えば99重量%以上)が、粉体塗装層とプリプレグまたはコア層との間の輪郭が明確にされた界面の上の粉体塗装層の中に存在する。本明細書で記載のように、多孔質コアまたはプリプレグに後に侵入する材料の厳密な量は、粉体塗装される材料の粒子サイズ、プリプレグまたはコア層の空隙率を選択することによって、及び/または粉体塗装層とプリプレグもしくはコア層との間に適切なバリア層を含めることによって、制御または調整することができる。
【0044】
特定の構成においては、例えば空隙などのオープンセル構造を与える1種以上の熱可塑性材料と複数の繊維とを含む多孔質プリプレグを製造することができる。必要に応じて1種以上の難燃剤が空隙の中に存在していてもよく、及び/またはそれらは任意の粉体塗装層の中にも存在していてもよい。例えば、難燃性材料は、難燃性材料が熱可塑性材料によって所定の場所に保持されている繊維の交差によって形成される空隙内に存在する(少なくとも部分的に)ような様式で空隙の中に充填されてもよい。いくつかの事例においては、熱可塑性材料及び/または繊維は、これらが通常難燃性材料に不活性またはこれと非反応性であるように選択することができる。
【0045】
特定の構成においては、プリプレグまたはコア層の熱可塑性材料は、繊維形態、粒子形態、樹脂形態、または他の適切な形態で存在してもよい。いくつかの事例においては、プリプレグの中で使用される熱可塑性材料は粒子形態で存在していてもよく、粉体塗装層の中の材料の平均粒子サイズと実質的に同じ平均粒子サイズを有していてもよい。別の構成においては、プリプレグまたはコア層中の熱可塑性材料の平均粒子サイズは、粉体塗装層中の材料の平均粒子サイズよりも小さくてもよい。追加的な事例においては、プリプレグまたはコア層中の熱可塑性材料の平均粒子サイズは、粉体塗装層中の材料の平均粒子サイズよりも大きくてもよい。いくつかの事例においては、粉体塗装された材料の平均粒子サイズ及び熱可塑性材料の平均粒子サイズは、約10%~約15%異なっていてもよい。特定の構成においては、プリプレグまたはコア中の熱可塑性材料及び粉体塗装された材料のそれぞれの平均粒子サイズは、約50ミクロン~約1000ミクロン、より具体的には約50ミクロン~約500ミクロン、例えば約50ミクロン~約100ミクロン異なっていてもよい。特定の事例においては、粉体塗装された材料の平均粒子サイズは、約50ミクロン~約1000ミクロン、より具体的には約100ミクロン~約500ミクロン、例えば約200ミクロン~約300ミクロンの範囲であってもよい。いくつかの構成においては、粉体塗装された材料の平均粒子サイズは、加工性を向上させるために、熱可塑性材料粒子の平均粒子サイズよりも少なくとも50%大きい。粉体塗装された材料の平均粒子サイズが熱可塑性材料と異なる場合でも、熱可塑性材料と粉体塗装された材料の化学組成は同じであっても異なっていてもよい。例えば、異なる平均粒子サイズを有する2種以上の熱可塑性材料が、コア層と粉体塗装層の中に存在していてもよい。更に、粉体塗装層自体は同じであってもよい2種以上の材料を含んでいてもよく、例えば同じであるが異なる粒子サイズを有していてもよく、あるいは異なっていてもよい。必要に応じて、プリプレグまたはコアの中の少なくとも1種の材料の平均粒子サイズは、粉体塗装された材料の平均粒子サイズとほぼ同じであってもよい。いくつかの事例においては、プリプレグまたはコア中の各材料の平均粒子サイズは、粉体塗装された材料の平均粒径とほぼ同じであってもよい。
【0046】
特定の実施形態においては、本明細書に記載のプリプレグまたはコア層は、通常、プリプレグの中に空隙が存在するような相当量のオープンセル構造を含む。例えば、プリプレグは、0~30%、10~40%、20~50%、30~60%、40~70%、50~80%、60~90%、0~40%、0~50%、0~60%、0~70%、0~80%、0~90%、10~50%、10~60%、10~70%、10~80%、10~90%、10~95%、20~60%、20~70%、20~80%、20~90%、20~95%、30~70%、30~80%、30~90%、30%~95%、40~80%、40~90%、40~95%、50~90%、50~95%、60~95%、70~80%、70~90%、70~95%、80~90%、80~95%、またはこれらの例示的な範囲内の任意の例示的な値の空隙含有率もしくは空隙率を有し得る。この空隙は、熱可塑性材料によって所定の場所に保持された複数の強化繊維を含むウェブの形成によって形成されてもよい。多孔質ウェブは、通常、0%超(例えば完全にコンソリデーションされていない)、最大約95%の空隙率または空隙含有率を与える。特段の記載がない限り、特定の空隙含有率または空隙率を有するプリプレグへの言及は、プリプレグの総体積を基準とし、必ずしもプリプレグとプリプレグに結合された任意の他の材料または層との合計体積を基準とするものではない。
【0047】
特定の実施形態においては、本明細書に記載のプリプレグ及びコア層の熱可塑性材料は、少なくとも一部には、可塑化されているものと可塑化されていないものの両方の、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリルスチレン、ブタジエン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンテトラクロレート、及びポリ塩化ビニル、並びにこれらの材料と互いのまたは他のポリマー材料とのブレンド物のうちの1つ以上を含んでいてもよい。他の好適な熱可塑性樹脂としては、限定するものではないが、ポリアリーレンエーテル、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、熱可塑性ポリエステル、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、コポリアミド、アクリロニトリル-ブチルアクリレート-スチレンポリマー、アモルファスナイロン、ポリアリーレンエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリールスルホン、ポリエーテルスルホン、液晶性ポリマー、PARMAX(登録商標)として商業的に知られているポリ(1,4フェニレン)化合物、BayerのAPEC(登録商標)PCなどの耐熱ポリカーボネート、高温ナイロン、及びシリコーン、並びにこれらの材料と互いのまたは他のポリマー材料とのアロイ及びブレンド物が挙げられる。粉体塗装された材料が熱可塑性材料も含む場合、粉体塗装された材料の熱可塑性材料は、プリプレグまたはコア層での使用のために選択されたものと同じ材料であってもよく、あるいは異なっていてもよい。プリプレグまたはコア層を形成するために使用される熱可塑性材料は、粉末形態、樹脂形態、ロジン形態、繊維形態、または他の適切な形態で使用することができる。粉体塗装される材料の熱可塑性材料は、典型的には粒子形態で使用されるが、粉体塗装され得る他の形態も使用することができる。様々な形態の例示的な熱可塑性材料が本明細書に記載されており、また、例えば米国特許出願公開第20130244528及びUS20120065283にも記載されている。プリプレグまたはコア層の中に存在する熱可塑性材料の厳密な量は様々であってもよく、例示的な量は約20重量%~約80重量%の範囲である。粉体塗装された材料中に存在する熱可塑性材料の量は、粉体塗装された材料の重量を基準として、約20%~約99%、より具体的には約50%~約99%であってもよい。
【0048】
別の構成においては、本明細書に記載の物品は、熱可塑性材料と、非熱可塑性材料を含む粉体塗装された材料と組み合わされた強化繊維と、を含むプリプレグまたはコア層を含んでいてもよい。いくつかの事例においては、粉体塗装された材料は本質的に非熱可塑性材料からなる。別の事例においては、粉体塗装された材料は非熱可塑性材料からなる。例示的な非熱可塑性材料としては、熱硬化性ポリウレタンなどの熱硬化性材料、金属、非熱可塑性接着材料、及び、プリプレグまたはコア層に少なくともある程度接着できるが必ずしも接着剤とみなされるのに適した接着強度を付与しない非熱可塑性材料が挙げられる。熱硬化性材料粉末が熱可塑性材料の代わりにまたは熱可塑性材料に加えて使用される場合、粉体塗装された材料中の熱硬化性材料の量は、粉体塗装層の0重量%超最大約99重量%、例えば粉体塗装層の約20重量%~約99重量%、より具体的には、粉体塗装層の重量を基準として約50%~約99%、例えば約80%~約99%であってもよい。
【0049】
特定の例においては、本明細書に記載のプリプレグ及びコア層の繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、合成有機繊維、特には高弾性率の有機繊維(例えばパラ-及びメタ-アラミド繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、または繊維としての使用に適した本明細書に記載の任意の高メルトフローインデックス樹脂等)、天然繊維(麻、サイザル、ジュート、亜麻、コイア、ケナフ、及びセルロース系繊維等)、鉱物繊維(玄武岩)、ミネラルウール(例えばロックウールまたはスラグウール)、珪灰石、アルミナシリカ等、またはこれらの混合物等)、金属繊維、金属化天然及び/または合成繊維、セラミック繊維、糸繊維、またはこれらの混合物を含んでいてもよい。いくつかの実施形態においては、繊維に望ましい官能基を付与するために、または他の物理的特性を付与するために、前述のいずれかの繊維を使用前に化学的に処理することができ、例えばこれらが熱可塑性材料と反応できるように化学的に処理してもよい。いくつかの構成においては、プリプレグ中の繊維含有率は、プリプレグの約20重量%~約90重量%、より具体的にはプリプレグの約30重量%~約70重量%であってもよい。典型的には、プリプレグを含む複合物品の繊維含有率は、複合材料の約20重量%~約90重量%、より具体的には約30重量%~約80重量%、例えば約40重量%~約70重量%で様々である。使用される繊維の具体的なサイズ及び/または配向は、少なくともある程度は使用されるポリマー材料及び/または得られるプリプレグに望まれる特性に依存し得る。適切な追加的な繊維の種類、繊維のサイズ、及び量は、本開示の利益を踏まえて、当業者によって容易に選択されるであろう。ある非限定的な例示においては、プリプレグを得るために熱可塑性材料の中に分散されている繊維は、通常、約5ミクロン超、より具体的には約5ミクロン~約22ミクロンの直径と、約5mm~約200mmの長さを有し、より具体的には、繊維の直径は約ミクロン~約22ミクロンであってもよく、繊維の長さは約5mm~約75mmであってもよい。
【0050】
いくつかの構成においては、プリプレグまたはコア層は、特定の用途のための有害物質の要件についての規制を満たすために、実質的にハロゲンを含まないかハロゲンを含まないプリプレグまたはコア層であってもよい。別の事例においては、プリプレグまたはコア層は、例えばF、Cl、Br、I、及びAtのうちの1つ以上を含むハロゲン化難燃剤などのハロゲン化難燃剤、またはそのようなハロゲンを含む化合物(例えばテトラブロモビスフェノール-Aポリカーボネートまたはモノハロ-、ジハロ-、トリハロ-、もしくはテトラハロ-ポリカーボネート等)を含んでいてもよい。いくつかの事例においては、プリプレグ及びコア層で使用される熱可塑性材料は、別の難燃剤の添加なしである程度の難燃性を付与するために、1つ以上のハロゲンを含んでいてもよい。ハロゲン化難燃剤が存在する場合、難燃剤は望ましくは難燃剤量で存在し、これは存在する他の成分に応じて変動し得る。例えば、ハロゲン化難燃剤は、約0.1重量%~約15重量%(プリプレグまたはコア層の重量を基準として)、より具体的には約1重量%~約13重量%、例えば約5重量%~約13重量%で存在していてもよい。必要に応じて、2種の異なるハロゲン化難燃剤をプリプレグまたはコア層に添加してもよい。別の事例においては、例えば、N、P、As、Sb、Bi、S、Se、及びTeのうちの1つ以上を含む難燃剤などの非ハロゲン化難燃剤を添加することができる。いくつかの実施形態においては、非ハロゲン化難燃剤はリン含有材料を含んでいてもよく、そのためプリプレグまたはコア層がより環境に優しいものとすることができる。非ハロゲン化難燃剤または実質的にハロゲンを含まない難燃剤が存在する場合、難燃剤は望ましくは難燃剤量で存在し、これは存在する他の成分に応じて変動し得る。例えば、実質的にハロゲンを含まない難燃剤は、約0.1重量%~約15重量%(プリプレグまたはコア層の重量を基準として)、より具体的にはプリプレグまたはコア層の重量を基準として約1重量%~約13重量%、例えば5重量%~約13重量%で存在していてもよい。必要に応じて、実質的にハロゲンを含まない2種類の難燃剤をプリプレグまたはコア層に添加してもよい。特定の事例においては、本明細書に記載のプリプレグまたはコア層は、1種以上の実質的にハロゲンを含まない難燃剤と組み合わせて、1種以上のハロゲン化難燃剤を含んでいてもよい。2種の異なる難燃剤が存在する場合、2種の難燃剤の組み合わせは難燃剤量で存在していてもよく、これは存在する他の成分に応じて変動し得る。例えば、この総重量は、(プリプレグまたはコア層の重量を基準として)約0.1重量%~約20重量%、より具体的にはプリプレグまたはコア層の重量を基準として約1重量%~約15重量%、例えば約2重量%~約14重量%であってもよい。本明細書に記載のプリプレグまたはコア層で使用される難燃剤は、熱可塑性材料及び繊維を含む混合物に(ワイヤスクリーンまたは他の処理構成要素上に混合物を配置する前に)添加することができ、あるいはプリプレグまたはコア層が形成された後に添加することができる。
【0051】
別の構成においては、プリプレグまたはコア層は、実質的にあらゆる難燃剤を含まなくてもよく、1種以上の難燃性材料が、プリプレグまたはコア層上に配置された粉体塗装層の中に存在していてもよい。例えば、粉体塗装層は、熱可塑性材料または非熱可塑性材料を含んでいてもよく、そのいずれも接着剤として、1種以上の難燃性材料と組み合わせて少なくともある程度機能することができる。粉体塗装層中の難燃性材料は、典型的には難燃剤量で存在し、これは物品中に存在する他の成分に応じて変動し得る。いくつかの事例においては、難燃性材料を含む粉体塗装層の存在に加えて、難燃性スキンが物品中に存在してもよい。
【0052】
特定の構成においては、本明細書に記載のプリプレグ及びコア層は、多孔質コアを含む物品を得るために使用することができる。特定の例においては、多孔質コアは、1種以上の熱可塑性材料と、コアの中に複数のオープンセルまたは空隙またはウェブを付与するためにウェブまたはネットワーク構造の中に形成された熱可塑性材料によって所定の場所に保持され得る複数の繊維と、を含む。コアは、例えば適切な敷設プロセスを使用するワイヤスクリーン上への分散液の配置の後に、コアの熱可塑性材料の圧縮及び/または硬化を行うことによって、本明細書に記載の通りに形成することができる。その後、粉体塗装層を多孔質コアの表面上に配置することができ、これは依然として「軟らかい」状態であってもよく、あるいは多孔質コアの表面上に粉体塗装された材料が配置される前に完全に形成されていてもよい。別の事例においては、その後、多孔質コアとスキンとの間の接着性を増加させるように機能し得る粉体塗装層を介して、多孔質コアにスキンを結合させることができる。必要であれば、及び以下でより詳しく説明するように、付加的な化学的、物理的、または審美的な機能のために、その後に第1スキン層に追加のスキンまたは他の表面層を付加することができる。
【0053】
特定の実施形態においては、形成された多孔質コアは、通常、コアの中に空隙が存在するような相当量のオープンセル構造を含む。例えば、コア層は、0~30%、10~40%、20~50%、30~60%、40~70%、50~80%、60~90%、0~40%、0~50%、0~60%、0~70%、0~80%、0~90%、5~30%、5~40%、5~50%、5~60%、5~70%、5~80%、5~90%、5~95%、10~50%、10~60%、10~70%、10~80%、10~90%、10~95%、20~60%、20~70%、20~80%、20~90%、20~95%、30~70%、30~80%、30~90%、30~95%、40~80%、40~90%、40~95%、50~90%、50~95%、60~95%、70~80%、70~90%、70~95%、80~90%、80~95%、またはこれらの例示的な範囲内の任意の例示的な値の空隙含有率もしくは空隙率を有し得る。いくつかの事例においては、コアは、0%超(例えば完全にコンソリデーションされていない)、最大約95%の空隙率または空隙含有率を含む。特段の記載がない限り、特定の空隙含有率または空隙率を有するコアへの言及は、コアの総体積を基準とし、必ずしもコアとコアに結合された任意の他の材料または層との合計体積を基準とするものではない。プリプレグまたは完全に形成されていないコア層と比較して、コアの空隙率は同じであっても異なっていてもよい。例えば、多くの事例において、プリプレグを一連のローラーに通すことによって、またはプリプレグの一方の表面をプレスすることによって、プリプレグを多孔質コアへと加工することができる。そのような場合においては、コアの空隙率は、プリプレグの空隙率と異なっていてもよく、例えばより低くてもよい。いくつかの事例においては、最終的に成形された物品または製品へのコアの増加したロフティングを与えるために、コアの空隙率は対応するプリプレグよりも低くなるように意図的に選択される。例えば、完全に形成されたコアの中に存在する材料のうちの一部は、ロフティング時のコアの全体の体積、例えば厚さを増やすために膨張することができる。特定の構成においては、コアの熱可塑性材料はロフティングに有効な場合がある一方で、別の構成においては、ロフティング時にコアの全体の厚みを増加させるために、ミクロスフェアや他の材料などの1種以上のロフティング剤が存在していてもよい。例えば、プリプレグまたはコアの全体の厚さの調整を可能にするために、ミクロスフェアや膨張黒鉛材料などのロフティング剤をプリプレグまたはコアに添加してもよい。何らかの特定の理論に拘束されることを望むものではないが、プリプレグまたはコアが加熱されると、ロフティング剤は、プリプレグまたはコアの全体の厚さを増加させるように機能することができる。必要に応じて、エンドユーザーがプリプレグまたはコアの厚さを望ましい量まで膨張させるために熱をかけられるように、ロフティング剤を含むプリプレグまたはコアを圧縮してもよい。プリプレグまたはコアの最終用途に応じて、異なる種類の物品に対して異なる全体の厚さを持たせることが望ましい場合がある。
【0054】
特定の実施形態においては、本明細書に記載のプリプレグまたはコアは、物品を得るためにプリプレグまたはコアの表面上に配置された1つ以上のスキンを含んでいてもよい。図7を参照すると、物品700は、熱可塑性材料と複数の繊維とを含むプリプレグまたはコア710を含む。物品700は、プリプレグまたはコア710上に配置された粉体塗装層715を含む。物品700は、粉体塗装層715上に配置された第1のスキン720も含む。スキン720は、オープンセル構造またはクローズドセル構造を含んでいてもよい。特定の構成においては、スキン720は、例えば、フィルム(例えば熱可塑性フィルムまたはエラストマーフィルム)、フリム、スクリム(例えば、繊維を主体とするスクリム)、紙、箔、織布、不織布、発泡体を含んでいてもよく、あるいは粉体塗装層715上に配置された無機コーティング、有機コーティング、熱可塑性コーティング、または熱硬化性材料コーティングとして存在してもよい。別の事例においては、スキン720は、1996年付けのISO4589により測定される、約22より大きい限界酸素指数を有し得る。熱可塑性フィルムがスキン720として(またはその一部として)存在する場合、熱可塑性フィルムは、ポリオレフィン、ポリ(エーテルイミド)、ポリ(エーテルケトン)、ポリ(エーテル-エーテルケトン)、ポリ(フェニレンサルファイド)、ポリ(アリーレンスルホン)、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(アミド-イミド)、ポリ(1,4-フェニレン)、ポリカーボネート、ナイロン、及びシリコーンのうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。繊維を主体とするスクリムがスキン720として(またはその一部として)存在する場合、繊維を主体とするスクリムは、ガラス繊維、アラミド繊維、グラファイト繊維、炭素繊維、無機鉱物繊維、金属繊維、高分子繊維、金属化合成繊維、及び金属化無機繊維のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。熱硬化性材料コーティングがスキン720として(またはその一部として)存在する場合、コーティングは、不飽和ポリウレタン、ビニルエステル、フェノール樹脂、及びエポキシ樹脂のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。無機コーティングがスキン720として(またはその一部として)存在する場合、無機コーティングは、Ca、Mg、Ba、Si、Zn、Ti、及びAlから選択されるカチオンを含む無機物を含んでいてもよく、あるいは石膏、炭酸カルシウム、及びモルタルのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。不織布がスキン720として(またはその一部として)存在する場合、不織布は、熱可塑性材料、熱硬化性バインダー、無機繊維、高分子繊維、金属繊維、金属化無機繊維、及び金属化合成繊維を含んでいてもよい。プリプレグまたはコア710は、プリプレグ、及びコアに関連して本明細書に記載された任意の材料(例えば熱可塑性材料、強化繊維、及び任意選択的な難燃性材料)を含んでいてもよい。必要に応じて、スキン720は難燃性材料も含んでいてもよい。粉体塗装層715は、例えばコア層710とスキン720との間の接着性を増加させるために機能することができる例えば非熱可塑性ポリウレタン粉末で被覆された材料などの、熱可塑性材料または非熱可塑性材料を含んでいてもよい。図示されていないものの、追加的な粉体塗装層がコア層710の反対側の表面に存在していてもよい。更に、必要に応じて別の粉体塗装層がスキン720の上に配置されていてもよい。
【0055】
特定の構成においては、本明細書に記載のプリプレグ及びコアは、プリプレグまたはコアの各面の上にスキンを有する物品を得るために使用することができる。図8を参照すると、プリプレグまたはコア810と、コア810上に配置された粉体塗装層815と、粉体塗装層815上に配置された第1のスキン820と、プリプレグまたはコア810の表面上に配置された第2のスキン830とを含む物品800が示されている。プリプレグまたはコア810は、プリプレグ及びコアに関連して本明細書に記載された任意の材料(例えば熱可塑性材料、強化繊維、及び任意選択的な難燃性材料)を含んでいてもよい。第1のスキン820と第2のスキン830のそれぞれは、フィルム(例えば熱可塑性フィルムまたはエラストマーフィルム)、フリム、スクリム(例えば繊維を主体とするスクリム)、箔、紙、織布、不織布、発泡体から独立して選択されてもよく、あるいは無機コーティング、有機コーティング、熱可塑性コーティング、または熱硬化性材料コーティングとして存在していてもよい。別の事例においては、スキン820またはスキン830(または両方)は、1996年付けのISO4589により測定される、約22より大きい限界酸素指数を有し得る。熱可塑性フィルムがスキン820またはスキン830(または両方)として(またはその一部として)存在する場合、熱可塑性フィルムは、ポリオレフィン、ポリ(エーテルイミド)、ポリ(エーテルケトン)、ポリ(エーテル-エーテルケトン)、ポリ(フェニレンサルファイド)、ポリ(アリーレンスルホン)、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(アミド-イミド)、ポリ(1,4-フェニレン)、ポリカーボネート、ナイロン、及びシリコーンのうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。繊維を主体とするスクリムがスキン820またはスキン830(または両方)として(またはその一部として)存在する場合、繊維を主体とするスクリムは、ガラス繊維、アラミド繊維、グラファイト繊維、炭素繊維、無機鉱物繊維、金属繊維、高分子繊維、金属化合成繊維、及び金属化無機繊維のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。熱硬化性材料コーティングがスキン820またはスキン830(または両方)として(またはその一部として)存在する場合、コーティングは、不飽和ポリウレタン、ビニルエステル、フェノール樹脂、及びエポキシ樹脂のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。無機コーティングがスキン820またはスキン830(または両方)として(またはその一部として)存在する場合、無機コーティングは、Ca、Mg、Ba、Si、Zn、Ti、及びAlから選択されるカチオンを含む無機物を含んでいてもよく、あるいは石膏、炭酸カルシウム、及びモルタルのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。不織布がスキン820またはスキン830(または両方)として(またはその一部として)存在する場合、不織布は、熱可塑性材料、熱硬化性バインダー、無機繊維、高分子繊維、金属繊維、金属化無機繊維、及び金属化合成繊維を含んでいてもよい。必要に応じて、スキン820、830の一方または両方は、難燃性材料を含んでいてもよい。本明細書で記載の通り、スキン820、830の一方または両方は、オープンセル構造またはクローズドセル構造を含んでいてもよい。粉体塗装層815は、例えばコア層810とスキン820との間の接着性を増加させるために機能することができる例えば非熱可塑性ポリウレタン粉末で被覆された材料などの、熱可塑性材料または非熱可塑性材料を含んでいてもよい。図示されていないものの、追加的な粉体塗装層がコア層810とスキン830との間に存在していてもよい。更に、必要に応じて別の粉体塗装層がスキン820またはスキン830またはその両方の上に配置されていてもよい。
【0056】
特定の事例においては、物品は、プリプレグまたはコアと、プリプレグまたはコアの上に配置された少なくとも1つのスキンと、スキンの上に配置された装飾層またはカバー層とを含んでいてもよい。図9を参照すると、プリプレグまたはコア910と、プリプレグまたはコア910上に配置された粉体塗装層915と、粉体塗装層915上に配置されたスキン920と、スキン920の上に配置された別の層930(例えば物品900の外表面に位置し得るまたは他の層によって被覆され得る装飾層または他の層)とを含む物品900が示されている。プリプレグまたはコア910は、プリプレグ及びコアに関連して本明細書に記載された任意の材料(例えば熱可塑性材料、強化繊維、及びミクロスフェア等)を含んでいてもよい。スキン920は、例えば、フィルム(例えば熱可塑性フィルムまたはエラストマーフィルム)、フリム、スクリム(例えば、繊維を主体とするスクリム)、箔、紙、織布、不織布、発泡体を含んでいてもよく、あるいは無機コーティング、有機コーティング、熱可塑性コーティング、または熱硬化性材料コーティングとして存在してもよい。別の事例においては、スキン920は、1996年付けのISO4589により測定される、約22より大きい限界酸素指数を有し得る。熱可塑性フィルムが存在する場合、熱可塑性フィルムは、ポリオレフィン、ポリ(エーテルイミド)、ポリ(エーテルケトン)、ポリ(エーテル-エーテルケトン)、ポリ(フェニレンサルファイド)、ポリ(アリーレンスルホン)、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(アミド-イミド)、ポリ(1,4-フェニレン)、ポリカーボネート、ナイロン、及びシリコーンのうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。繊維を主体とするスクリムが存在する場合、繊維を主体とするスクリムは、ガラス繊維、アラミド繊維、グラファイト繊維、炭素繊維、無機鉱物繊維、金属繊維、高分子繊維、金属化合成繊維、及び金属化無機繊維のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。熱硬化性材料コーティングが存在する場合、コーティングは、不飽和ポリウレタン、ビニルエステル、フェノール樹脂、及びエポキシ樹脂のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。無機コーティングが存在する場合、無機コーティングは、Ca、Mg、Ba、Si、Zn、Ti、及びAlから選択されるカチオンを含む無機物を含んでいてもよく、あるいは石膏、炭酸カルシウム、及びモルタルのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。不織布が存在する場合、不織布は、熱可塑性材料、熱硬化性バインダー、無機繊維、高分子繊維、金属繊維、金属化無機繊維、及び金属化合成繊維を含んでいてもよい。装飾層930は、例えばポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性フィルムから形成されてもよい。装飾層930はまた、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタンなどから形成されたフォームコアを含む多層構造であってもよい。天然及び合成繊維から作られた織布、ニードルパンチ等の後の有機繊維不織布、起毛生地、編み物、植毛織物、または他のそのような材料などの生地がフォームコアに結合されていてもよい。生地はまた、ポリアミド、変性ポリオレフィン、ウレタン、及びポリオレフィンなどの、感圧接着剤及びホットメルト接着剤を含む熱可塑性接着剤を用いてフォームコアに結合されてもよい。装飾層930はまた、スパンボンド、熱接着、スパンレース、メルトブロー、湿式法、及び/または乾式法を使用して製造されてもよい。いくつかの構成においては、スキン920は、オープンセル構造またはクローズドセル構造を含んでいてもよい。図示されていないものの、追加的な粉体塗装層がスキン920と装飾層930との間に存在していてもよい。粉体塗装層915は、例えばコア層910とスキン920との間の接着性を増加させるために機能することができる例えば非熱可塑性ポリウレタン粉末で被覆された材料などの、熱可塑性材料または非熱可塑性材料を含んでいてもよい。更に、必要に応じて別の粉体塗装層が層930の上に配置されていてもよい。
【0057】
特定の構成においては、2つ以上のプリプレグまたはコアは、例えば粉体塗装層とスキンとの組み合わせのなどの介在層または中間層を介して互いに結合されてもよい。図10を参照すると、物品1000は、粉体塗装層1015及びスキン1020を介してプリプレグまたはコア1030に結合しているプリプレグまたはコア1010を含む。プリプレグまたはコア1010、1030のそれぞれは、同じであっても異なっていてもよい。いくつかの事例においては、プリプレグまたはコア1010、1030の熱可塑性材料及び繊維は同じであってもよいが、プリプレグまたはコア1010、1030の中に存在する熱可塑性材料または繊維の充填量は異なる。必要に応じて、例えばハロゲン化難燃剤または非ハロゲン化難燃剤などの1種以上の適切な難燃剤がコア1010、1030の一方または両方の中に存在していてもよい。図10ではプリプレグまたはコア1010、1030の厚さがほぼ同じであるように示されているが、プリプレグまたはコア1010、1030の厚さは様々であってもよい。「厚い」コアを含む物品が望まれる場合、スキン層1020及び粉体塗装層1015を介して2つの「薄い」コア層が互いに結合することが望ましい場合がある。いくつかの構成においては、プリプレグまたはコア1010、1030のうちの1つは、例えばマイクロスフェアなどのロフティング剤を含んでいてもよい。スキン1020は、望ましくはオープンセル構造またはクローズドセル構造を含んでいてもよい。例えば、スキン1020は、フィルム(例えば熱可塑性フィルムまたはエラストマーフィルム)、フリム、スクリム(例えば、繊維を主体とするスクリム)、箔、紙、織布、不織布、発泡体を含んでいてもよく、あるいは無機コーティング、有機コーティング、熱可塑性コーティング、または熱硬化性材料コーティングとして存在してもよい。別の事例においては、スキン1020は、1996年付けのISO4589により測定される、約22より大きい限界酸素指数を有し得る。熱可塑性フィルムが存在する場合、熱可塑性フィルムは、ポリオレフィン、ポリ(エーテルイミド)、ポリ(エーテルケトン)、ポリ(エーテル-エーテルケトン)、ポリ(フェニレンサルファイド)、ポリ(アリーレンスルホン)、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(アミド-イミド)、ポリ(1,4-フェニレン)、ポリカーボネート、ナイロン、及びシリコーンのうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。繊維を主体とするスクリムがスキン1020としてまたはその中に存在する場合、繊維を主体とするスクリムは、ガラス繊維、アラミド繊維、グラファイト繊維、炭素繊維、無機鉱物繊維、金属繊維、高分子繊維、金属化合成繊維、及び金属化無機繊維のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。熱硬化性材料コーティングがスキン1020としてまたはその中に存在する場合、コーティングは、不飽和ポリウレタン、ビニルエステル、フェノール樹脂、及びエポキシ樹脂のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。無機コーティングがスキン1020としてまたはその中に存在する場合、無機コーティングは、Ca、Mg、Ba、Si、Zn、Ti、及びAlから選択されるカチオンを含む無機物を含んでいてもよく、あるいは石膏、炭酸カルシウム、及びモルタルのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。不織布が層1020としてまたはその中に存在する場合、不織布は、熱可塑性材料、熱硬化性バインダー、無機繊維、高分子繊維、金属繊維、金属化無機繊維、及び金属化合成繊維を含んでいてもよい。図示されていないものの、プリプレグまたはコア1010、1030のいずれか(または両方)に装飾層が結合されていてもよい。本明細書に記載のように、装飾層は、例えばポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性フィルムから形成されてもよい。装飾層はまた、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタンなどから形成されたフォームコアを含む多層構造であってもよい。天然及び合成繊維から作られた織布、ニードルパンチ等の後の有機繊維不織布、起毛生地、編み物、植毛織物、または他のそのような材料などの生地がフォームコアに結合されていてもよい。生地はまた、ポリアミド、変性ポリオレフィン、ウレタン、及びポリオレフィンなどの、感圧接着剤及びホットメルト接着剤を含む熱可塑性接着剤を用いてフォームコアに結合されてもよい。装飾層はまた、スパンボンド、熱接着、スパンレース、メルトブロー、湿式法、及び/または乾式法を使用して製造されてもよい。必要に応じて、装飾層は、クローズドセル構造またはオープンセル構造を含んでいてもよい。粉体塗装層1015は、例えばコア層1010とスキン1020との間の接着性を増加させるために機能することができる例えば非熱可塑性ポリウレタン粉末で被覆された材料などの、熱可塑性材料または非熱可塑性材料を含んでいてもよい。更に、必要に応じて別の粉体塗装層がコア1030の上に配置されていてもよい。更に、スキン1020とコア1030との間に粉体塗装層が存在していてもよい。
【0058】
特定の実施形態においては、2つ以上のコアが互いに結合され、その後スキンがコアのうちの1つの表面上に配置されてもよい。図11を参照すると、コア1110と、コア1130に結合された別のコア1130と、粉体塗装層1115を介して結合されたコア1130に結合されたスキン1120とを含む物品1100が示されている。コア1110、1130のそれぞれは、同じであっても異なっていてもよい。いくつかの事例においては、コア1110、1130の熱可塑性材料及び繊維は同じであるが、異なるコア1110、1130の中で熱可塑性材料及び/または繊維の厳密な量は異なっていてもよい。必要に応じて、例えばハロゲン化難燃剤または非ハロゲン化難燃剤などの1種以上の適切な難燃剤がプリプレグまたはコア1110、1130の一方または両方の中に存在していてもよい。図11ではプリプレグまたはコア1110、1130の厚さがほぼ同じであるように示されているが、プリプレグまたはコア1010、1030の厚さは様々であってもよい。望ましい全体のコアの厚さを得るために、連続した薄いコア層を使用して複合物品を構築することが望ましい場合がある。いくつかの構成においては、プリプレグまたはコア1110、1130のうちの1つは、例えば膨張黒鉛材料やマイクロスフェアや他の材料などのロフティング剤を含んでいてもよい。スキン1120は、例えば、フィルム(例えば熱可塑性フィルムまたはエラストマーフィルム)、フリム、スクリム(例えば、繊維を主体とするスクリム)、箔、紙、織布、不織布、発泡体を含んでいてもよく、あるいは無機コーティング、有機コーティング、熱可塑性コーティング、または熱硬化性材料コーティングとして存在してもよい。別の事例においては、スキン1120は、1996年付けのISO4589により測定される、約22より大きい限界酸素指数を有し得る。熱可塑性フィルムがスキン1120としてまたはその中に存在する場合、熱可塑性フィルムは、ポリオレフィン、ポリ(エーテルイミド)、ポリ(エーテルケトン)、ポリ(エーテル-エーテルケトン)、ポリ(フェニレンサルファイド)、ポリ(アリーレンスルホン)、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(アミド-イミド)、ポリ(1,4-フェニレン)、ポリカーボネート、ナイロン、及びシリコーンのうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。繊維を主体とするスクリムがスキン1120としてまたはその中に存在する場合、繊維を主体とするスクリムは、ガラス繊維、アラミド繊維、グラファイト繊維、炭素繊維、無機鉱物繊維、金属繊維、高分子繊維、金属化合成繊維、及び金属化無機繊維のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。熱硬化性材料コーティングがスキン1120としてまたはその中に存在する場合、コーティングは、不飽和ポリウレタン、ビニルエステル、フェノール樹脂、及びエポキシ樹脂のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。無機コーティングがスキン1120としてまたはその中に存在する場合、無機コーティングは、Ca、Mg、Ba、Si、Zn、Ti、及びAlから選択されるカチオンを含む無機物質を含んでいてもよく、あるいは石膏、炭酸カルシウム、及びモルタルのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。不織布がスキン1120としてまたはその中に存在する場合、不織布は、熱可塑性材料、熱硬化性バインダー、無機繊維、高分子繊維、金属繊維、金属化無機繊維、及び金属化合成繊維を含んでいてもよい。物品1100の最終的な構成に応じて、スキン1120は、例えば音響エネルギーがスキンを通過できるようにオープンセルのスキンであってもよく、あるいは音響エネルギーが反射してコア1110、1130の中に戻るようにクローズドセルのスキンであってもよい。図示されていないものの、装飾層がスキン1120、またはコア1110の表面と結合されていてもよい。本明細書に記載のように、装飾層は、例えばポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性フィルムから形成されてもよい。装飾層はまた、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタンなどから形成されたフォームコアを含む多層構造であってもよい。天然及び合成繊維から作られた織布、ニードルパンチ等の後の有機繊維不織布、起毛生地、編み物、植毛織物、または他のそのような材料などの生地がフォームコアに結合されていてもよい。生地はまた、ポリアミド、変性ポリオレフィン、ウレタン、及びポリオレフィンなどの、感圧接着剤及びホットメルト接着剤を含む熱可塑性接着剤を用いてフォームコアに結合されてもよい。装飾層はまた、スパンボンド、熱接着、スパンレース、メルトブロー、湿式法、及び/または乾式法を使用して製造されてもよい。粉体塗装層1115は、例えばコア層1130とスキン1120との間の接着性を増加させるために機能することができる例えば非熱可塑性ポリウレタン粉末で被覆された材料などの、熱可塑性材料または非熱可塑性材料を含んでいてもよい。更に、必要に応じて別の粉体塗装層がスキン1120の上に配置されていてもよい。更に、コア層1110の上に粉体塗装層が存在していてもよい。
【0059】
いくつかの構成においては、粉体塗装された材料は、層全体ではなく帯状片または領域としてコア層上に配置されていてもよい。図12を参照すると、物品1200は、コア1210の上に配置された粉体塗装された材料の第1の領域1215と、コアの上に配置された粉体塗装された材料の第2の領域1220とを有するコア1210を含む。図示されていないものの、スキン層、装飾層などを領域1215、1220上に配置してこれらの層をコア層1210に結合してもよい。領域1215、1220は同じであっても異なっていてもよく、例えば同じまたは異なる材料を含んでいてもよい。いくつかの事例においては、粉体塗装された材料の領域は、これらの領域での接着性を増加させるために、コア1210の上面の端部に配置されていてもよい。例えば、スキンまたは他の層がコア1210に結合されている場合、物品1200の加工中に、スキンが端部でコア1210から剥がれる場合がある。端部でのスキンとコア1210との間の剥離強度を増加させるために、粉体塗装された領域は、コア1210の表面上の端部のみまたは端部と他の領域に設けられてもよい。いくつかの例においては、端部の粉体塗装された材料は、コア1210上の他の領域に存在する粉体塗装された材料と異なっていてもよい。例えば、ポリウレタン粉末で被覆された材料が端部に存在してもよい一方で、非ポリウレタン系材料が端部以外の領域でコア1210の上に存在していてもよい。粉体塗装された領域1215、1220は、例えばコア層1210と別の層との間の接着性を増加させるために機能することができる例えば非熱可塑性ポリウレタン粉末で被覆された材料などの、熱可塑性材料または非熱可塑性材料を独立に含んでいてもよい。更に、必要に応じて別の粉体塗装層が領域1215、1220の上に配置されていてもよい。更に、コア1210の反対側の表面上に粉体被覆層が存在していてもよい。
【0060】
特定の実施形態においては、材料の帯状片を、粉体塗装層を含むプリプレグまたはコア上に配置することができる。図13を参照すると、プレプレグまたはコア1310の上に存在する粉体塗装層1315上に配置された帯状片1320、1330を有するプリプレグまたはコア1310を含む物品1300が示されている。必要に応じて、このような帯状片は、図1図12に示す例示的な実施形態のいずれかの上に存在することもできる。帯状片1320、1330は同じであっても異なっていてもよい。いくつかの事例においては、帯状片1320、1330は、本明細書に記載の難燃性材料を含んでいてもよい。いくつかの事例においては、帯状片1320、1330は、独立に、本明細書に記載のプリプレグまたはコアの形態をとっていてもよい。別の構成においては、帯状片は、本明細書に記載のスキンまたは層の形態をとってもよい。特定の事例においては、帯状片は、例えば、異なる厚さが望まれる物品1300の領域上に配置されてもよい。別の構成においては、難燃性材料を含む帯状片が、難燃性の増加または強化が望まれる領域に配置されてもよい。追加的な構成においては、帯状片は、強化された結合が望まれる領域に配置されてもよい。
【0061】
いくつかの実施形態においては、プリプレグ及びコアは、望ましい物理的特性または化学的特性を付与するための追加的な材料または添加剤を含んでいてもよい。例えば、望ましい色、質感、パターン等を得るために、物品が着色または染色されていてもよい。例えば、望ましい色、質感、または特性を付与するために、1種以上の染料、テクスチャー付与剤、着色剤、粘度調整剤、煙抑制剤、相乗物質、ロフティング剤、粒子、粉末、殺生物剤、泡、または他の物質が、プリプレグまたはコアと混合されるかこれに添加されてもよい。いくつかの事例においては、プリプレグまたはコアは、約0.2重量%~約10重量%の量の1種以上の煙抑制組成物を含んでいてもよい。例示的な煙抑制組成物としては、限定するものではないが、スズ酸塩、ホウ酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、ケイ酸マグネシウム、モリブデン酸カルシウム亜鉛、ケイ酸カルシウム、水酸化カルシウム、及びこれらの混合物が挙げられる。必要に応じて、プリプレグまたはコアの物理的性質を強化するために、相乗物質を存在させてもよい。例えば、難燃性を向上させる相乗剤が存在してもよい。
【0062】
別の事例においては、本明細書に記載のプリプレグまたはコアは、望ましい特性をコアに付与するために、プリプレグまたはコアの総重量を基準にして、例えば約50重量%未満の少量などの望ましい量で熱硬化性材料を含んでいてもよい。熱硬化性材料は、熱可塑性材料と混合されていてもよく、またはプリプレグまたはコアの1つ以上の表面上にコーティングとして付加されていてもよい。
【0063】
特定の実施形態においては、本明細書に記載のプリプレグまたはコアは、ガラスマット熱可塑性複合材料(GMT)または軽量強化熱可塑性樹脂(LWRT)として構成する(またはこれらの中で使用する)ことができる。このようなLWRTの1つは、HANWHA AZDEL,Inc.により製造されており、商標SUPERLITETM材料として販売されている。このようなGMTまたはLWRTの面密度は、GMTまたはLWRTの約300グラム毎平方メートル(gsm)から約4000gsmの範囲とすることができるものの、面密度は具体的な用途の要求に応じて300gsm未満あるいは4000gsm超であってもよい。いくつかの実施形態においては、上側の密度は約4000gsm未満であってもよい。特定の事例においては、GMTまたはLWRTは、例えば約20体積%~約90体積%、より具体的には約40体積%~約80体積%の空隙率を有するものなどの多孔質GMTまたはLWRTである。いくつかの例においては、GMTまたはLWRTの全体的な厚さは、ロフティング後約25mm以下、ロフティング後20mm以下、ロフティング前3mm超、またはロフティング前6mm超であってもよい。いくつかの事例においては、ロフティング前の厚さは約3mm~約7mmであってもよく、ロフティング後の厚さは約10mm~約25mmであってもよい。
【0064】
特定の構成においては、粉体塗装層と組み合わされた本明細書に記載のプリプレグまたはコアは、車両のヘッドライナーを得るために使用することができる。例示的な車両としては、限定するものではないが、自動車、トラック、列車、地下鉄、RV車、航空機、船舶、潜水艦、宇宙船、及び人や貨物を輸送することができる他の車両が挙げられる。いくつかの事例においては、ヘッドライナーは、典型的には、その上に粉体塗装層を含む少なくとも1つのプリプレグまたはコア層と、粉体塗装層上に配置された例えば装飾生地などの装飾層とを含む。装飾層は、審美的及び/または視覚的に満足できることに加えて、吸音性も高めることができ、また任意選択的には発泡体、断熱材、または他の材料を含んでいてもよい。図14に、ヘッドライナーの上面図が示されている。ヘッドライナー1400は、本体1410と、例えばサンルーフ、ムーンルーフなどのための開口1420とを含むが、必要に応じて1つより多い開口が存在してもよい。ヘッドライナー1410の本体は、粉体塗装層を含むプリプレグまたはコア層を、例えば約180~230℃の赤外線オーブン中で望みの温度まで最初に加熱し、次いで雄型部分と雌型部分を一致させてプレスに移動させ、この中で、装飾生地を粉末側に置き、物品をヘッドライナーへと変換するための望みの型を用いてプレスすることによって製造することができる。開口1420は、その後ヘッドライナー1400をトリミングすることによって得ることができる。別の構成においては、装飾生地自体が代わりに粉体塗装層を含んでいてもよく、これは加熱されたプリプレグまたはコア層上に配置され、本明細書に記載の通りに成形される。ヘッドライナーの「C」表面またはルーフ側は、典型的には、取扱い目的のためのPET不織スクリム層からなる。ヘッドライナーの全体の外形及び形状は、ヘッドライナーが結合される車両の領域に基づいて選択されてもよい。例えば、ヘッドライナーの長さは、フロントウインドシールドからリアウインドシールドに及ぶようなサイズ及び配置とすることができ、ヘッドライナーの幅は、車両の左側から車両の右側まで及ぶようなサイズ及び配置とすることができる。
【0065】
特定の事例においては、粉体塗装層を含むプリプレグまたはコア層からアンダーボディシールド及びリアウィンドウトリムピースまたは部品を製造するために同様の方法を使用することができる。アンダーボディシールド1500の図が図15Aに示されており、リアウィンドウトリム1550の上面図が図15Bに示されている。アンダーボディシールド1500及びリアウィンドウトリム1550の中で使用される具体的な外層は、ヘッドライナーと異なっていてもよい。例えば、アンダーボディシールドは、その耐久性及び/または音響特性を増加させるために、スクリムまたは他の外層を含んでいてもよい。例えばエンジンの底部に隣接して位置するアンダーボディシールドの内表面は、モーターオイル、不凍液、ブレーキ液などの自動車用流体を吸収及び/または保持するように設計された1つ以上の層を含んでいてもよい。リアウィンドウトリム1550には様々な開口が示されているが、これらの開口の位置及び形状は様々であってもよい。更に、典型的なリアウィンドウトリム装飾材料は、裏打ちされていないPETまたはPPカーペットを含んでいてもよい。
【0066】
粉体塗装層を含むコア層、プリプレグ、及び物品の製造においては、最初にコア層またはプリプレグを製造し、その後表面またはコア層もしくはプリプレグの表面に材料を粉体塗装することが望ましい場合がある。図16を参照すると、スタック1600の複数のプリプレグまたはコアからプリプレグまたはコアをベルトコンベヤ1605に供給することができるシステムが示されている。例えば、熱可塑性材料とウェブの形態の強化繊維とを含むコア層1610が示されている。コア1610は、粉末散布ユニット1620の下のベルトコンベヤ1615に供給される。ユニット1620は、コア1610の表面を粉末で被覆する。その後、粉体塗装されたコアは、例えば赤外線ヒーターなどのヒーター1625の下に配置されたローラーコンベア1630を通過する。プリプレグまたはコアの軟化が望まれる場合には、被覆されたプリプレグまたはコアの加熱がこれを軟化させる役割も果たし得る。別の事例においては、適切な温度は、粉体塗装された材料を軟化させるがプリプレグまたはコアを軟化させないように選択される。その後、物品は、ベルト1645a、1645b、加熱セクション1650a、1650b、ニップロール1655a、1655b、及び冷却セクション1660a、1660bを含むフラットベッドプレス1640に移動することができる。得られる複合物品は、プレス1640を出てから積み重ねられて、スタック1690に示される複数の粉体塗装された物品を形成することができる。
【0067】
特定の実施形態においては、粉末の正確な形態、及び粉末を多孔質プリプレグまたはコア上に分配するために使用される装置は様々であってもよい。例えば、粉末材料は、粒子、顆粒、ペレットなどとして存在していてもよく、これらは典型的には望みの平均粒径を得るために粉砕及び/または選別される。粒子のサイズは材料ごとに異なっていてもよいものの、粉末材料の例示的な平均粒径のサイズは約50ミクロン~約1000ミクロン、より具体的には約100ミクロン~約750ミクロン、例えば約100ミクロン~約500ミクロン、より具体的には約200ミクロン~約500ミクロン、または約400ミクロン~約500ミクロンである。平均粒子サイズは、例えば2014年付けのASTM E2980または他の適切な試験を使用して決定することができる。
【0068】
特定の構成においては、粉末材料は、プリプレグまたはコアの表面に塗布される前に、加熱及び/または軟化されてもよい。しかし、別の事例においては、多孔質プリプレグまたはコアが加熱され、加熱されたプリプレグまたはコアの上に粉末材料が周囲温度で配置される。更に、プリプレグまたはコアは、パワーコーティングの間、周囲温度のままであってもよく、また、必要に応じて得られた複合材料を引き続き加熱してもよい。加熱は必須ではないものの、粉体塗装された材料を加熱することによって材料を軟らかくすることができ、また例えば表面層などのスキンやいくつかの他の構成要素を、粉体塗装層を介して多孔質プリプレグまたはコアにより良く接着させることができる。
【0069】
いくつかの実施形態においては、粉末材料は、プリプレグまたはコアの表面上に噴霧、散布、または他の方法で配置されてもよい。いくつかの事例においては、気体(例えば空気、窒素、またはアルゴンなどの不活性ガス)を、粉末材料のためのキャリアとして使用することができる。更に、粉末材料をプリプレグまたはコアの表面の特定の領域または部分に導くために、アシストガスを使用してもよい。いくつかの事例においては、粉末材料の複数のスプレーまたはパスをプリプレグまたはコアの表面にコーティングしてもよい。異なるパスで堆積される材料は同じであっても異なっていてもよい。例えば、連続したパスまたは層で配置される材料の化学組成は異なっていてもよく、連続するパスまたは層で配置される材料の粒子サイズは異なっていてもよく、または組成及び粒子サイズの両方が連続したパスで異なっていてもよい。
【0070】
本明細書に記載のプリプレグ及びコアの製造においては、湿式法を使用することが望ましい場合がある。処理工程を示すブロック図が図17に示されている。例えば、例えば熱可塑性材料1720、繊維1710、及び任意の追加的な材料1730(例えばマイクロスフェアや難燃剤など)などの分散されている材料を含む液体または流体媒体1740は、例えば空気や他のガスなどの気体の存在下で撹拌(stirまたはagitate)されてもよい。その後、分散液を例えばワイヤスクリーンまたは他の支持材料などの支持体上に広げることで、敷設された材料1750を得ることができる。必要に応じて、撹拌分散液は、例えばアニオン性、カチオン性、または非イオン性などの1種以上の活性剤、例えばIndustrial Soaps Ltd.によりACE液という名称で販売されているもの、Glover Chemicals Ltd.によりTEXOFOR(登録商標)FN15材料として販売されているもの、及びFloat-Ore Ltd.によりAMINE Fb19材料として販売されているものなどを含んでいてもよい。これらの薬剤は、液体分散液中への空気の分散を補助することができる。これらの成分は、分散液を得るために空気の存在下で混合槽、浮選セル、または他の適切な装置に添加することができる。水性分散液が望ましくは使用されるものの、分散を助けるため、流体の粘度を変えるため、あるいは分散液、またはプリプレグ、コア、もしくは物品に望ましい物理的特性または化学的特性を付与するために、1種以上の非水性流体を存在させてもよい。
【0071】
特定の事例においては、分散液が十分な時間混合された後、懸濁されている材料を含む流体は、敷設材料のウェブを得るために、スクリーン、可動ワイヤ、または他の適切な支持構造上に配置されてもよい。敷設された材料から全ての液体を除去して熱可塑性材料及び存在する任意の他の材料(例えば繊維、添加剤等)を残すために、ウェブに対して吸引または減圧を行ってもよい。得られたウェブ1760を乾燥し、任意選択的に望みの厚さまでコンソリデーションまたはプレスした後にこれを完全に形成することで、望みのプリプレグまたはコア1770が得られる。湿式法が使用されてもよいものの、熱可塑性材料の性質に応じて、エアレイド法、ドライブレンド法、カーディング及びニードル法、または不織布製品の製造に用いられる他の公知の方法を代わりに使用することが望ましい場合がある。いくつかの事例においては、物品1780を得るために粉末材料1765をコア1770上に塗布してもよい。図示されていないものの、本明細書の別の場所で説明したように、配置されている粉末材料の上にスキンや装飾層なども配置されてもよい。
【0072】
特定の例においては、多孔質GMTの形態のプリプレグまたはコアを製造することができる。特定の事例においては、GMTは、通常、チョップドグラスファイバー、熱可塑性材料、並びに任意選択的な熱可塑性ポリマーフィルム(複数可)、及び/またはガラス繊維もしくは熱可塑性樹脂繊維(例えばポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、PC/PBTのブレンド物、またはPC/PETのブレンド物等)製の織布もしくは不織布を使用して作製することができる。いくつかの実施形態においては、PP、PBT、PET、PC/PETブレンド物、またはPC/PBTブレンド物を高メルトフローインデックス樹脂として使用することができる。ガラスマットを製造するために、熱可塑性材料、強化材料、及び/または他の添加剤を、インペラが取り付けられたオープントップ型混合槽に入っている分散されている泡の中に添加するまたは量り入れることができる。何らかの特定の理論に拘束されることを望むものではないが、泡の空気の閉じ込められたポケットの存在が、ガラス繊維及び熱可塑性材料の分散を助けることができる。いくつかの例においては、ガラスと樹脂との分散混合物は、分配マニホールドを介して抄紙機のワイヤ部分の上に位置しているヘッドボックスにポンプ移送されてもよい。その後、分散された混合物が真空を使用する可動ワイヤスクリーンに供給されて均一な繊維質の濡れた状態のウェブが連続的に製造されるのに伴って、ガラス繊維または熱可塑性材料ではなく泡を除去することができる。含水率を減少させ、熱可塑性材料を溶融または軟化させるために、濡れた状態のウェブを適切な温度の乾燥機を通過させてもよい。高温のウェブが乾燥機を出る際に、粉末材料を分注することができるノズルまたはスプレージェットの下にウェブを通すことによって、例えば粉体コーティングなどの表面層をウェブに塗布することができる。必要に応じて、ガラス繊維強化マットを取り扱い易くするために、例えば不織布及び/または織布層のような追加的な層を、ウェブの片側または両側の粉体塗装された材料に取り付けてもよい。その後、複合材料は、テンションロールを通過し、後に最終製品に成形するために望まれるサイズに連続的に切断(裁断)されてもよい。このような複合材料の形成に使用される適切な材料及び加工条件などの、このようなGMT複合材料の製造に関する更なる情報は、例えば、米国特許6,923,494、4,978,489、4,944,843、4,964,935、4,734,321、5,053,449、4,925,615、5,609,966、及び米国特許出願公開US2005/0082881、US2005/0228108、US2005/0217932、US2005/0215698、US2005/0164023、及びUS2005/0161865の中に記載されている。
【0073】
特定の実施形態においては、熱可塑性複合物品の製造方法が提供される。方法は、例えば粉体塗装層とコア層との間にバリアまたはフィルムを何ら介在させることなしに、多孔質コア層上に直接配置された粉体塗装層上にスキンを配置することを含み得る。いくつかの事例においては、粉体塗装層は、多孔質コア層の間に界面を付与し、多孔質コア層にスキンを接着させるのに有効である。例えば、スキンは、2010年付けのASTM D903の180°剥離により試験される、縦方向に少なくとも125N/mのスキンの剥離強度及び横方向に少なくとも125N/mの剥離強度を有し得る。いくつかの例においては、粉体塗装層の熱可塑性材料は、多孔質コア層の熱可塑性材料とは異なる。例えば、多孔質コア層の熱可塑性材料はポリオレフィンであってもよく、粉体塗装の熱可塑性材料は非ポリオレフィン(例えばポリウレタン、ポリアミド、コポリアミド等)であってもよい。いくつかの事例においては、方法は、粉体塗装層の熱可塑性材料及び多孔質コア層の熱可塑性材料を同じ材料であるように選択し、多孔質コア層の熱可塑性材料の平均粒子サイズよりも大きくなるように粉体塗装層の熱可塑性材料の平均粒子サイズを選択することを含む。いくつかの例においては、多孔質コア層は、粉体塗装層を多孔質コア層上に配置する前に、及び/または粉体塗装層を配置した後に、圧縮されてもよい。例えば、熱可塑性複合物品は、粉体塗装層上にスキンを配置した後に圧縮することができる。必要であれば、物品は、物品の具体的な最終用途に応じて、熱成形、成型、成形、トリミング、切断、サイジングなどによって加工されてもよい。1つ以上の追加的なスキン、カバー層、装飾層、コーティング、または他の材料も物品と結合されていてもよい。
【0074】
本明細書に記載のいくつかの新規の態様及び構成をよりよく説明するために、特定の例を以下に記載する。
【実施例
【0075】
実施例1
コア層上に配置された粉体塗装層を含む複数の複合物品を作製した。表1には、使用した異なる粉末の種類がまとめられている。これらの異なる粉末のいくつかは、以降の他の実施例において別個に使用した。
【0076】
【表1】
【0077】
実施例2
粉体塗装プロセスを使用して、軽量強化熱可塑性複合板(SuperliteTM複合物品)の上を実施例1のそれぞれの粉末で別々に塗装した。このプロセスは、図16に示されるものと同様の構成を使用した。使用した積層温度は140~200℃であった。使用したライン速度は5~30m/分であった。使用したニップギャップ距離は0.5~8mmであった。
【0078】
実施例3
表1からのコポリアミド粉末を、ポリプロピレンとガラス繊維とを含むSuperliteTM板上に塗装した。次いで、加熱されている熱成形機の中に板を入れ、ここで、SuperliteTM板の粉末またはフィルムを有する側に生地(この実施例では2層積層品または2層積層生地)を付加させた。その後、複合材料を、厚さ2.25mm(表2)及び厚さ3.0mm(表3)を含む、異なる厚さに成形した。粉体塗装層または対照フィルムに結合された生地層の剥離強度を、2010年付けのASTM D903の180°剥離により測定した。SuperliteTM板の坪量は900gsmであった。
【0079】
【表2】
【0080】
対照の70gsmのフィルム(粉体塗装層なし)の特性と比較すると、剥離強度測定は、80gsmのCo-PA粉体塗装層が同等の坪量の70gsmフィルムよりも縦方向及び横方向で優れた剥離強度を与えることと一致する。
【0081】
【表3】
【0082】
対照の70gsmのフィルム(粉体塗装層なし)の特性と比較すると、剥離強度測定は、80gsmのCo-PA粉体塗装層が同等の坪量及び同等の平均灰分の70gsmフィルムよりも縦方向及び横方向で優れた剥離強度を与えることと一致する。
【0083】
実施例4
Co-PA粉末を用いたSuperliteTM板の圧縮に対する耐性も測定した。使用した複合材料は、表3で使用したもの(80gsmのCo-PA粉末層)と同じであった。結果を表4に示す。表中の値は、表4に列挙した様々な荷重を板にかけた後のmm単位での得られた厚さである。
【0084】
【表4】
【0085】
粉体塗装された板と対照のフィルムを有する板との間の厚さの変化を比較すると、得られた板の厚さは、粉体塗装された板が、異なる荷重で、フィルム対照板とほぼ同じ量圧縮されることと一致する。
【0086】
実施例5
様々な条件に曝された後の、Co-PA粉体塗装板の縦方向の剥離強度を試験した。結果を表5に示す。環境サイクルとは、2010年付けのFord-BN 151-05試験で定められた条件を指す。使用した剥離強度試験は実施例3で使用したものと同じであった。
【0087】
【表5】
【0088】
結果は、粉体塗装された試料の引き剥がし接着力が望ましい仕様を満たすのに十分であることと一致した。
【0089】
実施例6
表1からのポリプロピレン粉末材料を、異なる坪量でSuperliteTM板上に塗装した。次いで、加熱されている熱成形機の中に板を入れ、ここで、SuperliteTM板の粉末またはフィルムを有する側に生地(この実施例では不織布)を付加させた。その後、複合材料を、厚さ3.25mm(表6)及び厚さ3.5mm(表7)を含む、異なる厚さに成形した。板の特定の物理的特性を測定し、98gsmのポリプロピレン(PP)フィルムと不織布とを含む対照のSuperliteTM板と比較した。SuperliteTM板の坪量は表6では1000gsmであり、表7では1300gsmであった。剥離強度は、2010年付けのASTM D903の180°剥離を使用して測定した。
【0090】
【表6】
【0091】
粉体塗装されたPP板をフィルム対照の板と比較すると、結果は、PP粉末板の剥離強度が、90gsmの粉体塗装のフィルム板と同じかそれより大きいことと一致した。剥離強度はより少ない粉体塗装(50gsm)で小さかった。
【0092】
【表7】
【0093】
大きい成形厚さでは、70gsmの粉体塗装された材料は、98gsm対照フィルムよりも小さい剥離強度を与えた。より大きい成形厚さでの剥離強度の値は、粉体塗装された板では依然として許容可能である。
【0094】
実施例7
PP粉末を用いたSuperliteTM板の圧縮に対する耐性も測定した。使用した複合材料は、表7で使用したもの(70gsmのPP粉末層)と同じであった。結果を表8に示す。表中の値は、表に列挙した様々な荷重を板にかけた後のmm単位での得られた厚さである。
【0095】
【表8】
【0096】
粉体塗装された板と対照のフィルムを有する板との間の厚さの変化を比較すると、得られた板の厚さは、粉体塗装された板が、異なる荷重で、フィルム対照板とほぼ同じ量圧縮されることと一致する。
【0097】
実施例8
表1からの熱可塑性ポリウレタン(TPU)粉末材料を、SuperliteTM板上に塗装した。次いで、加熱されている熱成形機の中に板を入れ、ここで、SuperliteTM板の粉末またはフィルムを有する側に生地(表9については2層積層生地)を付加させた。その後、複合材料を厚さ3.0mmに成形した。板の特定の物理的特性を測定し、70gsm及び80gsmのPP/Co-PAフィルム(表9)と同じ種類の生地層とを含む対照のSuperliteTM板と比較した。SuperliteTM板の坪量は表9では1000gsmであった。剥離強度は、2010年付けのASTM D903の180°剥離を使用して測定した。
【0098】
【表9】
【0099】
表9からの結果は、TPU粉体塗装された板が70gsmの対照フィルム板よりも優れた剥離強度を与えることと一致していた。TPU粉末で被覆された板の剥離強度は80gsmのPP/Co-PAフィルム対照板ほど良好ではなかったが、TPUコーティングの坪量は80gsmPP/Co-PAフィルムよりもほぼ40%小さかった。
【0100】
実施例9
熱可塑性ポリウレタン(TPU)粉末材料(80gsm)を、ポリプロピレンとガラス繊維とを含む複合板上に粉体塗装した。各板の坪量に関し、1枚の板には80gsmのPP/CoPAフィルムが含まれ、TPUコーティングを有する板にはフィルムが含まれていなかった。合計4枚の板のために、2つの異なる板の坪量(800gsmのXL2TMコアと900gsmのSuperliteTMコア)を使用した。4枚の板の特定の物理的性質を測定し、比較した。それぞれの板を加熱されている熱成形機の中に入れ、ここで、板のTPU粉末またはPP/Co-PAフィルムを有する側に生地(この実施例では2層積層品または2層積層生地(PU/ポリエステル))を付加させた。その後、複合材料を、厚さ3.5mmのXL2TMコア及び厚さ2.5mmのSuperliteTMコアを用いて厚さ2.5mmまたは3.5mmに成形した。
【0101】
周波数の関数としての音響吸収測定を、TPUで被覆された板及び対照のフィルムを有する板について、2004年付けのASTM E1050に従って、0Hzから7000Hzまで測定した。図18は、XL2TMコア(ポリプロピレン、ガラス繊維、及びマイクロスフェアを含む)を用いた800gsmの板についての結果を示し、図19は、SuperliteTMコア(ポリプロピレン及びガラス繊維を含む)と、60gsmのTPU粉末及び70gsmのPP/Co-PAフィルムを用いた900gsmの板の結果を示す。TPU粉体塗装板の吸収測定値は、周波数が約2500Hzを超えるとより高く、吸収値は2500Hzより低い値では対照フィルムよりも有意には低くない。
【0102】
同じ材料(SuperliteTMコアを有する900gsmの板)を使用するが40gsmのTPU粉末及び40gsmのPP/Co-PAフィルムを使用する追加の板を製造した。これら2枚の板の音響測定も測定した。結果を図20に示す。低いTPUの坪量であっても、粉体塗装された板は、全体としてより低い板重量で対照のフィルム板よりも優れた音響吸収を与えた。更に、40gsmのTPUでの音響吸収値は、広い周波数範囲にわたって80gsmのTPUでの音響吸収値と類似していた。
【0103】
実施例10
様々な坪量の粉体塗装されたPP板を、実施例9のTPU被覆板と同様の方法を用いて製造した。使用した坪量は、800gsm(ポリプロピレン、ガラス繊維、及びマイクロスフェアを含むXLTTMコア)、1400gsm(ポリプロピレン及びガラス繊維を含むSuperliteTMコア)、1600gsm(ポリプロピレン及びガラス繊維を含むSuperliteTMコア)、及び2000gsm(ポリプロピレン及びガラス繊維を含むSuperliteTMコア)であった。この実施例では、PP粉体塗装板にはカバー層は存在しなかった。80gsmのPP粉末を有する板の音響測定を、98gsmの固体PPフィルムを有する板と比較した(図21及び22)。80gsmのPP粉末を有する板の音響測定を、88gsmの有孔PPフィルムを有する板と比較した(図23及び24)。結果を図21~24の中でグラフにより示す。
【0104】
80gsmのPP粉末コーティングは、800gsmと1400gsmの両方で98gsmの対照固体PPフィルムよりも2000Hzより上でより高い吸収を与えた。80gsmのPP粉末は、1600gsmの有孔PP対照フィルムよりも6000Hzより上で優れた吸収を与えた。2000gsmの板についての吸収は500Hzから約4500Hzまでほぼ同じであり、80gsmのPP粉体コーティングによる吸収は4500Hzより上で88gsmの有孔PPフィルムを上回っていた。結果は、幅広い坪量範囲にわたって同様のまたはより優れた音響特性を得るために、PPフィルムをPP粉体コーティングで置き換えられることと一致していた。
【0105】
実施例11
実施例9の板について、坪量及び灰分(表10)、周囲温度での剥離試験(表11)、90℃での環境サイクル後の剥離試験(表12)、及び流れ抵抗(表13)を含む様々な物理的パラメータを試験した。表11で試験した板はカバー材料を全く含んでおらず、成形前の製造したままの状態で試験した。
【0106】
【表10】
【0107】
XL2TMコア試料の坪量及び灰分割合はほぼ同じであると測定された。同様に、SLコア試料の坪量及び灰分割合はほぼ同じであると測定された。表11及び12で試験した板は、2層積層生地(PU/ポリエステル生地)カバー材料を含んでいた。
【0108】
【表11】
【0109】
表11は、XL2TMの800gsmの板についての粉体塗装された試料の周囲温度での剥離強度測定が、対照のフィルムと比較して減少した縦方向(MD)の剥離強度を有していたことを示している。TPU粉末で被覆された試料は、対照フィルムよりも大きい横方向(CD)の剥離強度を有していた。
【0110】
SuperliteTMの900gsmの試料についての剥離強度測定は、粉体塗装された試料が概して対照フィルムと同様の縦方向の剥離強度を有しており、対照のPPフィルムの剥離強度と比較して横方向に同様かより優れた剥離強度を有していることを示している。粉末の坪量が増加するにつれて、剥離強度は概して増加することが観察された。
【0111】
【表12】
【0112】
表12は、XL2TMの800gsmの板についての粉体塗装された試料の熱エージング後の剥離強度測定が、対照のフィルムと比較して縦方向(MD)により優れた剥離強度(TPU粉末)または減少した剥離強度(Co-PA粉末)を有していたことを示している。TPU粉末で被覆された試料は、対照フィルムよりも大きい横方向(CD)の剥離強度を有していた。
【0113】
SuperliteTMの900gsmの試料についての剥離強度測定は、粉体塗装された試料が概して対照フィルムと同様の縦方向の剥離強度を有しており、対照のPPフィルムの剥離強度と比較して横方向に同様かより優れた剥離強度を有していることを示している。粉末の坪量が増加するにつれて、剥離強度は概して増加することが観察された。周囲温度と比較して、全ての板について剥離強度は環境サイクル後に概して低下した。
【0114】
【表13】
【0115】
表13で試験した板は、2層積層カバー材料を含んでいた。空気流れに対する抵抗は、板を通る垂直流を用いて測定した。空気流れに対する抵抗が大きいことは、吸音性が小さいことと相関する。この結果から分かるように、粉末で被覆された試料は全て流れ抵抗が非常に低く、粉末コーティングが対照のフィルムよりも優れた吸音性を与え得ることが示された。
【0116】
実施例12
表14に示される様々なコアについて、剥離強度測定を行った。表14は、周囲条件と熱エージング後の両方の結果を示している。表14で試験した板は、2層積層カバー材料を含んでいた。
【0117】
【表14】
【0118】
周囲条件については、800gsmのXLTTM板では剥離できなかった。剥離は、80gsmのPP粉体コーティングを含む1400gsm、1600gsm、及び2000gsmのSuperliteTM(SL)板で可能であった。
【0119】
熱エージング後、800gsmのXLTTMの対照フィルム板では剥離できなかったが、800gsmのXLTTMの粉体塗装板では可能であった。1400gsmの板と、粉体塗装のみの1600gsm及び2000gsmの板の両方で剥離が可能であった。これらの結果は、PP粉末で塗装された板が特に低いコアの坪量で大きい剥離強度を与えることと一致する。
【0120】
本明細書に開示の実施例の要素を紹介する際の、冠詞「a」、「an」、「the」、及び「前記」は、1つ以上の要素が存在することを意味することが意図されている。「含む(comprising、including)」及び「有する(having)」という用語は、非制限的であることが意図されており、列挙されている要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味する。本開示の利益を踏まえて、実施例の様々な構成要素を別の実施例の様々な構成要素と交換または置換できることが当業者に認識されるであろう。
【0121】
特定の態様、実施例、及び実施形態が上で説明されているが、本開示の利益を踏まえて、開示されている例示的な態様、実施例、及び実施形態の追加、置換、修正、及び変更が可能であることが当業者に認識されるであろう。
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