(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】地図表示装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G09B 29/00 20060101AFI20221207BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20221207BHJP
G06T 11/60 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
G09B29/00 A
G09B29/00 F
G01C21/26 C
G06T11/60 300
(21)【出願番号】P 2019027983
(22)【出願日】2019-02-20
【審査請求日】2021-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】500578216
【氏名又は名称】株式会社ゼンリンデータコム
(74)【代理人】
【識別番号】100157277
【氏名又は名称】板倉 幸恵
(72)【発明者】
【氏名】本間 雅章
【審査官】前地 純一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-067528(JP,A)
【文献】特開2007-128344(JP,A)
【文献】特開2017-068168(JP,A)
【文献】特開2003-121172(JP,A)
【文献】特開平11-120490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 23/00-29/14
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーション地図を表示部に表示する地図表示装置であって、
前記表示部に表示する前記地図の表示範囲を特定する表示範囲特定手段と、
前記表示範囲の前記地図上に表示する各地域を特定する地域特定手段と、
前記各地域に関する気象情報を取得する取得手段と、
前記各地域の気象情報に対応する描画デザインを決定する決定手段と、
前記決定した描画デザインで前記地図上の前記各地域を描画した地図画像を前記表示部に表示する地図表示制御手段と、
を有
し、
前記取得手段は、前記気象情報をメッシュ単位で取得し、前記地域に含まれる各メッシュの前記気象情報を基に、前記各地域の代表気象情報を算出し、
前記決定手段は、前記各地域の代表気象情報に対応する描画デザインを決定することを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
前記気象情報は、気温情報を含む、ことを特徴とする請求項1記載の地図表示装置。
【請求項3】
前記決定手段は、前記気象情報に応じて、当該気象情報の地域で表示する施設情報を決定し、
前記地図表示制御手段は、前記決定した施設情報を前記地図上に描画した地図画像を前記表示部に表示する、ことを特徴とする請求項1
または2に記載の地図表示装置。
【請求項4】
前記地図上に表示する前記地域は、前記地図の表示縮尺に応じて異なる、ことを特徴とする請求項1から
3の何れかに記載の地図表示装置。
【請求項5】
前記取得手段は、前記地域を示すポリゴンに含まれるメッシュを特定し、特定した前記メッシュの前記気象情報の平均値を前記地域の代表気象情報として算出する、ことを特徴とする請求項
1から4の何れかに記載の地図表示装置。
【請求項6】
ナビゲーション地図を表示部に表示する地図表示装置が行う方法であって、
前記表示部に表示する前記地図の表示範囲を特定する表示範囲特定工程と、
前記表示範囲の前記地図上に表示する各地域を特定する地域特定工程と、
前記各地域に関する気象情報を取得する取得工程と、
前記各地域の気象情報に対応する描画デザインを決定する決定工程と、
前記決定した描画デザインで前記地図上の前記各地域を描画した地図画像を前記表示部に表示する地図表示制御工程と、
を前記地図表示装置が行う
ものであり、
前記取得工程では、前記気象情報をメッシュ単位で取得し、前記地域に含まれる各メッシュの前記気象情報を基に、前記各地域の代表気象情報を算出し、
前記決定工程では、前記各地域の代表気象情報に対応する描画デザインを決定することを特徴とする、方法。
【請求項7】
ナビゲーション地図を表示部に表示する地図表示装置のコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記表示部に表示する前記地図の表示範囲を特定する表示範囲特定処理と、
前記表示範囲の前記地図上に表示する各地域を特定する地域特定処理と、
前記各地域に関する気象情報を取得する取得処理と、
前記各地域の気象情報に対応する描画デザインを決定する決定処理と、
前記決定した描画デザインで前記地図上の前記各地域を描画した地図画像を前記表示部に表示する地図表示制御処理と、
を前記コンピュータに実行させる
ものであり、
前記取得処理では、前記気象情報をメッシュ単位で取得し、前記地域に含まれる各メッシュの前記気象情報を基に、前記各地域の代表気象情報を算出し、
前記決定処理では、前記各地域の代表気象情報に対応する描画デザインを決定することを特徴とする、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図を表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、季節、天候、時間帯に応じてナビゲーション地図の表示色を変化させ、現実の車外の風景との違和感を少なくする技術について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、天候に応じてナビゲーション地図の表示色を変化させることで、現実の車外の天候を把握することができる。しかし、特許文献1は、現在位置の天候に応じて地図の表示色を変化させるだけであるため、地図上の各地域の天候を把握することができない。このため、各地域の天候や気温などの気象情報を把握するには、例えば、天気地図等の別アプリを起動して閲覧しなければならない。その結果、例えば、ナビゲーション地図において目的地の気象情報を把握する場合や、目的地までの経路上の各地域の気象情報を把握する場合は、別アプリを起動する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するものであり、以下の形態として実現することが可能である。ナビゲーション地図を表示部に表示する地図表示装置であって、前記表示部に表示する前記地図の表示範囲を特定する表示範囲特定手段と、前記表示範囲の前記地図上に表示する各地域を特定する地域特定手段と、前記各地域に関する気象情報を取得する取得手段と、前記各地域の気象情報に対応する描画デザインを決定する決定手段と、前記決定した描画デザインで前記地図上の前記各地域を描画した地図画像を前記表示部に表示する地図表示制御手段と、を有し、前記取得手段は、前記気象情報をメッシュ単位で取得し、前記地域に含まれる各メッシュの前記気象情報を基に、前記各地域の代表気象情報を算出し、前記決定手段は、前記各地域の代表気象情報に対応する描画デザインを決定することを特徴とする地図表示装置。そのほか、本発明は、以下の形態としても実現可能である。
【0006】
本発明の一態様に係る地図表示装置は、
ナビゲーション地図を表示部に表示する地図表示装置であって、
前記表示部に表示する前記地図の表示範囲を特定する表示範囲特定手段と、
前記表示範囲の前記地図上に表示する各地域を特定する地域特定手段と、
前記各地域に関する気象情報を取得する取得手段と、
前記各地域の気象情報に対応する描画デザインを決定する決定手段と、
前記決定した描画デザインで前記地図上の前記各地域を描画した地図画像を前記表示部に表示する地図表示制御手段と、
を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】エリア情報の一例である気温情報を示す図である。
【
図3】第1の実施形態の処理動作例を示す図である。
【
図4】第2の実施形態の処理動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0009】
(第1の実施形態)
<地図表示システムの構成例>
まず、
図1を参照しながら、本実施形態に係る地図表示システムの構成例について説明する。
図1は、本実施形態に係る地図表示システムの構成例を示す図である。
【0010】
本実施形態に係る地図表示システムは、
図1に示すように、利用者端末1、地図表示装置2、情報提供装置3がネットワークNWを介して接続して構成する。ネットワークNWは、有線、無線を問わずあらゆる通信形態が適用可能である。
【0011】
情報提供装置3は、交通情報、災害情報、気象情報、河川情報などのエリア情報を地図表示装置2に提供する装置である。情報提供装置3は、サーバなどの装置があげられる。情報提供装置3は、制御部31、記憶部32を有して構成する。
【0012】
制御部31は、情報提供装置3の各部を制御する。記憶部32は、各種情報を記憶する。本実施形態の情報提供装置3は、地図上の特定のエリアに関する交通情報、災害情報、気象情報、河川情報などの各種エリア情報をエリア単位で区分して記憶部32に記憶し、その記憶部32に記憶した各種エリア情報をエリア単位で地図表示装置2に提供する。交通情報としては、渋滞情報、通行規制情報などの情報があげられる。災害情報としては、津波、地震、台風、土砂災害、竜巻などの情報があげられる。気象情報としては、例えば、雨雲、天候(晴、曇、雨、雪など)、降水量、降水確率、最高気温、現在気温、最低気温、紫外線強度、花粉飛散量、積雪量、日照時間、全天日射量、風速などの情報があげられる。河川情報としては、氾濫発生情報、水位情報などの情報があげられる。エリア情報は、現在の情報だけでなく、過去や将来の情報を時系列で記憶部32に記憶する。
【0013】
図2は、記憶部32に記憶される気象情報のうち、現在気温を示した図である。
図2に示すように、情報提供装置3は、地図情報を1km四方のメッシュ単位で区分し、各メッシュに対して該メッシュの現在気温を対応付けて記憶部32に記憶する。例えば、
図2に示す例では、メッシュAは、現在気温が20℃であることを示す。情報提供装置3は、各種のエリア情報をメッシュ単位で区分して記憶部32に記憶して管理することで、各種のエリア情報をメッシュ単位で地図表示装置2に提供することができる。メッシュ単位は、1kmに限定せず、250mなどの任意の単位で区分することも可能である。また、エリア情報は、250mメッシュ、1kmメッシュなどの複数の単位に区分して管理することも可能である。また、エリア情報は、メッシュ単位に区分するのではなく、行政区分(都道府県、市区町村、大字、町丁名、小字、街区)ポリゴン単位などの様々なエリア単位で管理することも可能である。
【0014】
利用者端末1は、利用者が使用する端末である。利用者端末1は、スマートフォン、PCなどの装置があげられる。利用者端末1は、制御部11、記憶部12、入出力部13、位置情報取得部14を有して構成する。
【0015】
制御部11は、利用者端末1の各部を制御する。制御部11は、利用者端末1の利用者に対して、ナビゲーション地図を提供する。ナビゲーション地図は、目的地を設定する際に使用する地図、出発地から目的地までの経路探索結果を表示する際に使用する地図、目的地までの経路を案内する際に使用する地図などがあげられる。制御部11は、表示対象地図の中心地点の緯度経度、表示縮尺、地図上に表示するエリア情報の種類などのパラメータを指定し、ナビゲーション地図の表示要求を地図表示装置2に送信し、地図表示装置2から表示対象地図の情報を取得し、入出力部13を介して利用者端末1にナビゲーション地図を表示する。表示対象地図の中心地点の緯度経度は、位置情報取得部14で取得した位置情報を用いてもよい。制御部11がナビゲーション地図の表示要求を地図表示装置2に送信するトリガーとしては、例えば、地図の拡大・縮小操作を利用者端末1が受け付けた場合、地図の表示範囲の変更操作を利用者端末1が受け付けた場合、エリア情報種類の表示切替操作を利用者端末1が受け付けた場合、経路探索要求操作を利用者端末1が受け付けた場合、経路案内要求操作を利用者端末1が受け付けた場合などがあげられる。
【0016】
記憶部12は、利用者端末1で使用する各種情報を記憶する。入出力部13は、利用者端末1と利用者との間の情報の入出力に使用される種々のインターフェースである。入出力部13としては、例えば、入力部としてのタッチパネル、操作ボタン、マイク、出力部としてのタッチパネル、液晶パネル、スピーカなどがあげられる。入出力部13は、地図を表示する表示部として機能する。位置情報取得部14は、利用者端末1の現在位置を取得する。位置情報取得部14は、例えば、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波や基地局からの情報を受信し、利用者端末1の現在位置を検知し、その検知した現在位置のデータ(緯度、経度、高さのデータ)を取得する。高さのデータは、気圧センサなどを用いて取得してもよい。位置情報取得部14は、歩行者自律航法(PDR:Pedestrian Dead Reckoning)などを用いて自己位置推定を行ってもよい。
【0017】
地図表示装置2は、地図情報を利用者端末1に提供する装置である。地図表示装置2は、サーバなどの装置があげられる。地図表示装置2は、制御部21、記憶部22を有して構成する。
【0018】
制御部21は、地図表示装置2の各部を制御するほか、情報受付部211、表示範囲特定部212、地域特定部213、エリア情報取得部214、地図デザイン決定部215、地図表示制御部216として機能する。
【0019】
情報受付部211は、利用者端末1からナビゲーション地図の表示要求などを受け付ける。ナビゲーション地図の表示要求には、表示対象地図の中心地点の緯度経度、表示縮尺、地図上に表示するエリア情報の種類などの情報が含まれる。
【0020】
表示範囲特定部212は、情報受付部211が受け付けたナビゲーション地図の表示要求に含まれるエリア情報の種類を特定する。また、表示範囲特定部212は、情報受付部211が受け付けたナビゲーション地図の表示要求に含まれる表示対象地図の中心地点の緯度経度、表示縮尺などを基に、利用者端末1に提供するナビゲーション地図の表示範囲を特定する。特定するナビゲーション地図の表示範囲は、利用者端末1の表示範囲よりも一定範囲大きな領域(表示範囲+バッファ)とすることが好ましい。これにより、利用者端末1で表示されたナビゲーション地図を動かしても再取得することなくナビゲーション地図を表示することができる。
【0021】
地域特定部213は、表示範囲特定部212で特定した表示範囲の地図上に表示する各地域を特定する。例えば、表示範囲特定部212で特定した表示範囲の地図の表示縮尺が1/1500~1/21000の場合は、表示範囲に含まれる市区町村名の各地域を特定する。また、表示範囲特定部212で特定した表示範囲の地図の表示縮尺が1/75000~全国(1/780万)の場合は、表示範囲に含まれる都道府県名の各地域を特定する。これにより、表示範囲特定部212で特定した表示範囲の地図の表示縮尺に応じて地図上に表示する各地域を特定することができる。
【0022】
エリア情報取得部214は、情報提供装置3から交通情報、災害情報、気象情報、河川情報などの各種エリア情報をエリア単位で取得する。エリア情報取得部214は、取得した各種エリア情報を後述するエリア情報記憶部223に記憶する。エリア情報取得部214は、エリア情報をメッシュ単位で定期的に取得する場合もある。例えば、気象庁の推計気象分布データを情報提供装置3から取得する場合、推定気象分布データを1時間に1回、1次、2次、3次メッシュで取得する。1次メッシュは約80km単位、2次メッシュは約10km単位、3次メッシュは約1km単位の区画である。エリア情報取得部214は、エリア情報をメッシュ単位で取得した場合、各地域を示す行政区分ポリゴンに含まれるメッシュを特定し、その特定したメッシュのエリア情報の平均値を各地域の代表エリア情報として算出する。例えば、各メッシュと行政区分ポリゴンとを比較し、内外判定を行い、行政区分ポリゴン内に含まれる各メッシュを特定する。そして、特定した各メッシュのエリア情報の平均値を算出し、その算出した平均値を代表エリア情報とする。代表エリア情報を高精度に算出する場合は、3次メッシュのエリア情報を用いる。代表エリア情報を簡易に算出する場合は、1次メッシュ、2次メッシュのエリア情報を用いる。
【0023】
地図デザイン決定部215は、地図上に表示する各地域の代表エリア情報に対応する地図デザインを決定する。例えば、都道府県レベル、市区町村レベル単位の地図デザインをエリア情報の種類及びエリア情報のランク別に地図デザイン記憶部224に記憶しておく。地図デザイン決定部215は、地域特定部213で特定した地域が都道府県レベルか市区町村レベルかを判定する。次に、地域特定部213で特定した地域が都道府県レベルの場合は、地図デザイン記憶部224を参照し、都道府県レベルの地図デザインの中から、表示範囲特定部212が特定した種類のエリア情報であり、且つ、地域特定部213で特定した地域の代表エリア情報のランクに該当する地図デザインを取得し、その取得した地図デザインを基に、地域特定部213で特定した地域の代表エリア情報に対応する地図デザインを決定する。また、地域特定部213で特定した地域が市区町村レベルの場合は、地図デザイン記憶部224を参照し、市区町村レベルの地図デザインの中から、地域特定部213で特定した地域の代表エリア情報に対応する地図デザインを決定する。地図デザイン決定部215は、地図デザイン記憶部224に記憶されている複数の地図デザインを使って各地域の代表エリア情報に対応する地図デザインを決定してもよい。例えば、エリア情報が気温情報の場合は、基点温度(10℃、20℃、30℃など)毎の地図デザインを地図デザイン記憶部224に記憶する。具体的には、基点温度10℃の地図デザインは、R=0,G=255,B=191とし、20℃の地図デザインは、R=0,G=255,B=0とし、30℃の地図デザインは、R=191,G=255,B=0とする。地図デザイン決定部215は、地域特定部213で特定した地域の代表気温が15℃の場合、基点温度10℃、20℃の地図デザインを線形補完し、R=0,G=255,B=95の地図デザインを使用する。また、地域特定部213で特定した地域の代表気温が25℃の場合、基点温度20℃、30℃の地図デザインを線形補完し、R=95,G=255,B=0の地図デザインを使用する。
【0024】
地図表示制御部216は、地図デザイン決定部215で決定した地図デザインでナビゲーション地図上の各地域を描画した地図画像の情報を利用者端末1に送信し、利用者端末1で表示する。地図画像は、例えば、ベクタ形式で描画する。地図画像の描画形式は特に限定せず、例えば、ラスタ形式であってもよい。
【0025】
記憶部22は、地図表示装置2で使用する各種情報を記憶する。記憶部22は、地図情報記憶部221、経路情報記憶部222、エリア情報記憶部223を含んでいる。
【0026】
地図情報記憶部221は、表示用の地図データを表示縮尺に対応付けて記憶する。例えば、地図データを1/1500、1/3000、1/8000、1/21000、1/75000、1/15万、1/30万、1/90万、広域(1/150万)、全国(1/780万)の表示縮尺に対応付けて記憶する。地図データには、背景地図を構成するために必要な地形、建物、道路、施設、注記などの情報が含まれており、その情報は表示縮尺毎に異なっている。例えば、地域名を例に具体的に説明すると、表示縮尺が小さい場合には都道府県名を地図データに含め、表示縮尺が中程度である場合には上記に加えて更に市区町村名を地図データに含め、表示縮尺が大きい場合には上記に加えて更に町丁名・小字を地図データに含める。
【0027】
経路情報記憶部222は、道路ネットワークデータを記憶する。道路ネットワークデータには、ノードと、ノード間をつなぐリンクと、が含まれる。各リンクには、そのリンクが表す道路の距離、平均移動時間(旅行時間)が、リンクコストとして対応付けられている。道路ネットワークデータは、移動手段(徒歩、自動車、自転車など)別に記憶している。
【0028】
エリア情報記憶部223は、エリア情報取得部214が取得した各種エリア情報をエリア単位で記憶する。
【0029】
地図デザイン記憶部224は、複数の地図デザインをエリア情報の種類及びエリア情報のランク別に記憶する。
【0030】
<地図表示装置2の処理動作例>
次に、
図3を参照しながら、地図表示装置2で行う処理動作例について説明する。
図3は、地図表示処理動作例を示す図である。
【0031】
地図表示装置2は、利用者端末1からナビゲーション地図の表示要求を受け付けた場合(ステップS1/Yes)、表示要求に含まれるエリア情報の種類を特定する。また、表示要求に含まれる表示対象地図の中心地点の緯度経度、表示縮尺等を基に、利用者端末1に提供するナビゲーション地図の表示範囲を特定する(ステップS2)。
【0032】
次に、地図表示装置2は、ナビゲーション地図の表示範囲内で表示する各地域を特定する(ステップS3)。
【0033】
次に、地図表示装置2は、表示対象地域のエリア情報をメッシュ単位で取得する(ステップS4)。
【0034】
次に、地図表示装置2は、ステップS4で取得したメッシュ単位のエリア情報を基に、ステップS3で特定した地域単位の代表エリア情報を算出する(ステップS5)。
【0035】
次に、地図表示装置2は、ステップS5で算出した代表エリア情報に応じた地図デザインを地域単位で決定する(ステップS6)。
【0036】
次に、地図表示装置2は、ステップS6で決定した地図デザインで各地域を描画した地図画像の情報を利用者端末1に送信し、利用者端末1で表示する(ステップS7)。
【0037】
<本実施形態の地図表示システムの作用・効果>
本実施形態の地図表示装置2は、上記処理により、利用者端末1で表示するナビゲーション地図上の各地域の地図デザインを各地域のエリア情報に応じて異ならせることができる。その結果、利用者端末1の利用者は、ナビゲーション地図上に表示される各地域の地図デザインを見るだけで、各地域のエリア情報を把握することができる。これにより、例えば、天気地図等の別アプリを起動しなくても、ナビゲーション地図において各地域の気象情報を把握しながら、目的地を設定することができる。また、ナビゲーション地図において目的地までの経路上の各地域の気象情報を把握することができる。
【0038】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
【0039】
第1の実施形態は、
図3に示すように、ナビゲーション地図の表示要求を受け付けた段階で(ステップS1/Yes)、地図上に表示する各地域のエリア情報を取得している(ステップS4)。
【0040】
第2の実施形態は、
図4に示すように、各種のエリア情報を予め取得する(ステップA1)。地図表示装置2は、エリア情報をメッシュ単位で取得した場合、そのメッシュ単位のエリア情報を基に、地域単位の代表エリア情報を算出する(ステップA2)。次に、上記算出した代表エリア情報に応じた地図デザインを地域単位で決定する(ステップA3)。地域単位で決定した地図デザインは、エリア情報の種類及び地域に紐付けて地図デザイン記憶部224に記憶する。
【0041】
次に、地図表示装置2は、利用者端末1からナビゲーション地図の表示要求を受け付けた場合(ステップA4/Yes)、表示要求に含まれるエリア情報の種類を特定する。また、表示要求に含まれる表示対象地図の中心地点の緯度経度、表示縮尺等を基に、利用者端末1に提供するナビゲーション地図の表示範囲を特定する(ステップA5)。
【0042】
次に、地図表示装置2は、ナビゲーション地図の表示範囲内で表示する各地域を特定する(ステップA6)。
【0043】
次に、地図表示装置2は、ステップA5で特定したエリア情報の種類を基に、ステップA6で特定した各地域の地図デザインを決定する(ステップA7)。具体的には、地図表示装置2は、地図デザイン記憶部224を参照し、ステップA5で特定したエリア情報の種類およびステップA6で特定した地域に紐付けられている地図デザインの情報を地図デザイン記憶部224から取得する。これにより、地図表示装置2は、地図デザイン記憶部224に記憶されている複数の地図デザインの中から、利用者端末1で表示するナビゲーション地図上の各地域の地図デザインを決定することができる。
【0044】
次に、地図表示装置2は、ステップA7で決定した地図デザインで各地域を描画した地図画像の情報を利用者端末1に送信し、利用者端末1で表示する(ステップA8)。
【0045】
<本実施形態の地図表示システムの作用・効果>
本実施形態の地図表示装置2は、各種のエリア情報を情報提供装置3から予め取得し、その取得したエリア情報に応じた地図デザインを、エリア情報の種類及び地域に紐付けて地図デザイン記憶部224に記憶する。このため、地図表示装置2は、地図の表示要求を受け付けた段階で、エリア情報を取得しなくとも、地図デザイン記憶部224に記憶されている複数の地図デザインの中から、利用者端末1で表示するナビゲーション地図上の各地域の地図デザインを決定することができる。
【0046】
<変形例>
上述した実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上述した実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0047】
(変形例1)
上述した実施形態の処理動作例では、地図表示装置2は、エリア情報をメッシュ単位で取得し、そのメッシュ単位のエリア情報を基に、地域単位の代表エリア情報を算出し、その代表エリア情報に応じた地図デザインを決定している。しかし、エリア情報を地域単位で取得した場合は、地域単位の代表エリア情報を算出せず、地域単位で取得したエリア情報に応じた地図デザインを地域単位で決定するようにしてもよい。例えば、エリア情報を行政区分ポリゴン単位で取得した場合は、そのエリア情報に応じた地図デザインを行政区分ポリゴン単位で決定する。これにより、代表エリア情報を算出しなくとも、エリア情報をそのまま利用して各地域の地図デザインを決定することができる。
【0048】
(変形例2)
上述した実施形態では、地図表示装置2は、利用者端末1からナビゲーション地図の表示要求を受け付けた場合に、利用者端末1で表示するナビゲーション地図上の各地域の地図デザインを各地域のエリア情報に応じて変更するようにしている。しかし、利用者端末1でナビゲーション地図を表示した状態で、そのナビゲーション地図上の各地域のエリア情報を地図表示装置2が新規に取得した場合に、その新規に取得したエリア情報に応じて、利用者端末1で表示しているナビゲーション地図上の各地域の地図デザインを変更するようにしてもよい。これにより、地図表示装置2が定期的に取得したエリア情報の変化に応じて、利用者端末1で表示しているナビゲーション地図上の各地域の地図デザインを変更することができる。
【0049】
(変形例3)
上述した実施形態において、複数種類のエリア情報を用いて地図デザインを変更するようにしてもよい。例えば、気温と天気(晴、曇、雨、雪など)のエリア情報を用いて地図デザインを変更してもよい。これにより、ナビゲーション地図上の各地域の地図デザインを見るだけで、各地域の気温と天気を同時に把握することができる。
【0050】
(変形例4)
各地域のエリア情報に応じて異ならせる各地域の描画デザインは、上述した各地域の地図デザインだけに限定せず、例えば、各地域名や各地域で表示される施設情報などであってもよい。地図表示装置2は、利用者端末1で表示するナビゲーション地図上の各地域の描画デザインを、各地域のエリア情報に応じて異ならせることで、利用者端末1の利用者は、ナビゲーション地図上に表示される各地域の描画デザインを見て、各地域のエリア情報を把握することができる。各地域名や各地域で表示する施設情報を各地域のエリア情報に応じて異ならせる場合は、地図上に表示する他の注記などよりも強調して地図上に表示することが好ましい。例えば、各地域名や施設情報の表示サイズを他の注記などよりも大きくする。または、各地域名や施設情報を他の注記などよりも優先的に地図上に表示する。具体的には、表示対象の各地域名または施設情報を地図から抽出し、表示対象の各地域名または施設情報のみで構成する別レイヤを作成する。別レイヤを構成する各地域名や施設情報は、各地域のエリア情報に応じて異ならせる。また、上記抽出した各地域名または施設情報を地図から削除した背景地図(ベース地図)を作成する。地図表示装置2は、背景地図上に別レイヤを重畳した地図画像を作成する。これにより、各地域名や施設情報を他の注記などよりも優先的に地図上に表示することができる。利用者端末1で表示するナビゲーション地図上の各地域の施設情報を各地域のエリア情報に応じて異ならせる場合は、例えば、以下のようにすることも可能である。ナビゲーション地図の表示対象地域が上野であり、その地域のエリア情報の天気が雨で、気温が10℃の場合は、雨でも観光できる美術館などの屋内施設や、暖かい食べ物が人気の施設を上野地域の地図上に表示する。また、エリア情報の天気が晴で、気温が30℃の場合は、晴に最適な上野公園、上野動物園などの施設や、冷たい食べ物が人気の施設を上野地域の地図上に表示する。各地域のエリア情報に応じて各地域の地図上に表示する施設情報は、例えば、以下の方法で特定することができる。まず、天気が雨で気温が10℃のエリア情報の環境条件下において各地域の利用人数の高い施設を分析して特定し、その特定した各地域の施設を上記エリア情報に紐付けて記憶部22に記憶しておく。これにより、地図表示装置2は、記憶部22を参照し、各地域のエリア情報に紐付いた施設を、各地域の地図上に表示することができる。このように、本実施形態の地図表示装置2は、例えば、表示対象地域の気象情報に応じて、当該気象情報の地域で表示する施設情報を決定し、その決定した施設情報をナビゲーション地図上に描画した地図画像を利用者端末1上に表示するようにする。その結果、利用者端末1の利用者は、各地域の気象環境下において当該利用者が利用しやすい最適な施設をナビゲーション地図上で把握することができる。
【0051】
(変形例5)
上述した本実施形態の利用者端末1、地図表示装置2、情報提供装置3を構成する各部の制御動作は、ハードウェア、または、ソフトウェア、あるいは、両者の複合構成を用いて実行することも可能である。
【0052】
ソフトウェアを用いて処理を実行する場合には、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ内のメモリにインストールして実行させることが可能である。あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータ内のメモリにインストールして実行させることが可能である。
【0053】
例えば、プログラムは、記録媒体としてのハードディスクやROMに予め記録しておくことが可能である。あるいは、プログラムは、リムーバブル記録媒体に一時的、あるいは、永続的に記録しておくことが可能である。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することが可能である。リムーバブル記録媒体は、磁気ディスク、半導体メモリなどの各種記録媒体があげられる。
【0054】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールすることになる。また、ダウンロードサイトからコンピュータに無線で転送することになる。また、ネットワークを介してコンピュータに有線で転送することになる。
【0055】
プログラムの形態としては、クラウド等によるネット上のサーバからの利用もありえる。一部のプログラムのみをコンピュータに転送して利用する形態もありえる。
【0056】
(変形例6)
上述した実施形態の地図表示システムを構成する各部は、上述した実施形態で説明した処理動作に従って時系列的に処理を実行するだけに限定するものでない。例えば、処理を実行する装置の処理能力、あるいは、必要に応じて並列的にあるいは個別に処理を実行するように構築することも可能である。また、上述した実施形態の地図表示システムの各機能を複数の情報処理装置の協働によって実現してもよく、上述した記憶部22、32に記憶した情報のうちの少なくとも一部は、他の装置の内部/外部記憶装置に記憶されていてもよく、例えばクラウド上に構築されていてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 利用者端末
11 制御部
12 記憶部
13 入出力部
14 位置情報取得部
2 地図表示装置
21 制御部
211 情報受付部
212 表示範囲特定部
213 地域特定部
214 エリア情報取得部
215 地図デザイン決定部
216 地図表示制御部
22 記憶部
221 地図情報記憶部
222 経路情報記憶部
223 エリア情報記憶部
224 地図デザイン記憶部
3 情報提供装置
31 制御部
32 記憶部
NW ネットワーク