IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ゼンリンデータコムの特許一覧

<>
  • 特許-地図表示装置、方法およびプログラム 図1
  • 特許-地図表示装置、方法およびプログラム 図2
  • 特許-地図表示装置、方法およびプログラム 図3
  • 特許-地図表示装置、方法およびプログラム 図4
  • 特許-地図表示装置、方法およびプログラム 図5
  • 特許-地図表示装置、方法およびプログラム 図6
  • 特許-地図表示装置、方法およびプログラム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】地図表示装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G09B 29/00 20060101AFI20221207BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20221207BHJP
   G06T 11/60 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
G09B29/00 A
G09B29/00 F
G01C21/26 C
G06T11/60 300
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019027984
(22)【出願日】2019-02-20
(65)【公開番号】P2020134702
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】500578216
【氏名又は名称】株式会社ゼンリンデータコム
(74)【代理人】
【識別番号】100157277
【弁理士】
【氏名又は名称】板倉 幸恵
(72)【発明者】
【氏名】天野 寿
【審査官】前地 純一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-194568(JP,A)
【文献】特開2017-068168(JP,A)
【文献】特開2017-083350(JP,A)
【文献】特開2018-097006(JP,A)
【文献】特開2016-099442(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 23/00-29/14
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図を表示部に表示する地図表示装置であって、
前記表示部に表示する前記地図を当該地図の表示縮尺に対応付けて記憶する地図記憶手段と、
前記地図上の特定のエリアに関するエリア情報を取得する取得手段と、
前記地図に含まれる描画情報の中から、前記エリア情報よりも優先的に表示する描画情報を抽出する抽出手段と、
前記表示部に表示する地図の表示縮尺を受け付ける受付手段と、
前記受け付けた表示縮尺に対応する地図と、当該地図から抽出した描画情報と、を特定し、前記特定した地図上に前記エリア情報が存在し、前記エリア情報上に前記特定した描画情報が存在する地図画像を前記表示部に表示する地図表示制御手段と、
を有し、
前記地図から抽出する描画情報は、前記エリア情報に応じて異なることを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
前記地図に含まれる描画情報は、前記地図の表示縮尺に応じて異なる、ことを特徴とする請求項1記載の地図表示装置。
【請求項3】
前記地図表示制御手段は、
前記特定した地図の表示縮尺に応じて、前記地図上に表示する前記エリア情報の透過率を、当該縮尺が大きいほど大きくなるように設定する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の地図表示装置。
【請求項4】
前記地図表示制御手段は、
前記特定した地図の表示縮尺に加えて、前記エリア情報の種類を識別するための情報であるエリア情報種類に応じて、前記地図上に表示する前記エリア情報の透過率を設定する、ことを特徴とする請求項3に記載の地図表示装置。
【請求項5】
前記地図表示制御手段は、
前記地図に含まれる描画情報の中から前記抽出した描画情報を削除した後の地図を表示する、ことを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の地図表示装置。
【請求項6】
地図を表示部に表示する地図表示装置が行う方法であって、
前記地図上の特定のエリアに関するエリア情報を取得する取得工程と、
前記地図に含まれる描画情報の中から、前記エリア情報よりも優先的に表示する描画情報を抽出する抽出工程と、
前記表示部に表示する地図の表示縮尺を受け付ける受付工程と、
前記受け付けた表示縮尺に対応する地図と、当該地図から抽出した描画情報と、を特定し、前記特定した地図上に前記エリア情報が存在し、前記エリア情報上に前記特定した描画情報が存在する地図画像を前記表示部に表示する地図表示制御工程と、
を前記地図表示装置が行うものであり、
前記地図から抽出する描画情報は、前記エリア情報に応じて異なることを特徴とする、方法。
【請求項7】
地図を表示部に表示する地図表示装置のコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記地図上の特定のエリアに関するエリア情報を取得する取得処理と、
前記地図に含まれる描画情報の中から、前記エリア情報よりも優先的に表示する描画情報を抽出する抽出処理と、
前記表示部に表示する地図の表示縮尺を受け付ける受付処理と、
前記受け付けた表示縮尺に対応する地図と、当該地図から抽出した描画情報と、を特定し、前記特定した地図上に前記エリア情報が存在し、前記エリア情報上に前記特定した描画情報が存在する地図画像を前記表示部に表示する地図表示制御処理と、
を前記コンピュータに実行させるものであり、
前記地図から抽出する描画情報は、前記エリア情報に応じて異なることを特徴とする、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図を表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、気象情報や災害情報などの特定のエリアに関するエリア情報を地図上に重畳表示する地図表示装置がある。エリア情報は、一定の透過率の画像として地図上に重畳している。
【0003】
しかし、エリア情報を一定の透過率で地図上に重畳表示すると、地図の表示縮尺によっては、エリア情報や地図の視認性を確保できないことがある。例えば、地図の表示縮尺を小さくして広域地図などを表示した場合、一定の透過率では、エリア情報が見難い場合がある。逆に、地図の表示縮尺を大きくして詳細地図などを表示した場合、一定の透過率では、エリア情報配下の地図が見難い場合がある。
【0004】
上記の問題を解決すべく、例えば、特許文献1では、地図上に重畳表示するエリア情報の透過率を、地図の表示縮尺が大きくなるほど大きくなるように設定し、その設定した透過率でエリア情報を地図画像上に重畳表示している。これにより、地図の表示縮尺を大きくして詳細地図を表示した場合は、エリア情報の透過率が上がり、エリア情報配下の地図を見易くすることができる。また、地図の表示縮尺を小さくして広域地図を表示した場合は、エリア情報の透過率が下がり、エリア情報を見易くすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-68168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1は、地図上に重畳表示するエリア情報の透過率を、地図の表示縮尺に応じて変更し、地図の視認性を妨げないようにしている。しかし、透過率を変更するだけでは地図に含まれる注記情報などの描画情報が見難い場合がある。例えば、広域地図を表示する場合は、透過率を下げてエリア情報を地図上に重畳表示するため、エリア情報の視認性は良くなるが、エリア情報配下に存在する描画情報が見難くなる。また、詳細地図を表示する場合は、透過率を上げてエリア情報を地図上に重畳表示するため、エリア情報配下の地図の視認性は従来よりも良くなるが、地図に含まれる描画情報の上にエリア情報が重畳表示されるため、エリア情報配下に存在する描画情報が薄暗く見え、描画情報が見難い場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するものであり、以下の形態として実現することが可能である。地図を表示部に表示する地図表示装置であって、前記表示部に表示する前記地図を当該地図の表示縮尺に対応付けて記憶する地図記憶手段と、前記地図上の特定のエリアに関するエリア情報を取得する取得手段と、前記地図に含まれる描画情報の中から、前記エリア情報よりも優先的に表示する描画情報を抽出する抽出手段と、前記表示部に表示する地図の表示縮尺を受け付ける受付手段と、前記受け付けた表示縮尺に対応する地図と、当該地図から抽出した描画情報と、を特定し、前記特定した地図上に前記エリア情報が存在し、前記エリア情報上に前記特定した描画情報が存在する地図画像を前記表示部に表示する地図表示制御手段と、を有し、前記地図から抽出する描画情報は、前記エリア情報に応じて異なることを特徴とする地図表示装置。そのほか、本発明は、以下の形態としても実現可能である。
【0008】
本発明の一態様に係る地図表示装置は、
地図を表示部に表示する地図表示装置であって、
前記表示部に表示する前記地図を当該地図の表示縮尺に対応付けて記憶する地図記憶手段と、
前記地図上の特定のエリアに関するエリア情報を取得する取得手段と、
前記地図に含まれる描画情報の中から、前記エリア情報よりも優先的に表示する描画情報を抽出する抽出手段と、
前記表示部に表示する地図の表示縮尺を受け付ける受付手段と、
前記受け付けた表示縮尺に対応する地図と、当該地図から抽出した描画情報と、を特定し、前記特定した地図上に前記エリア情報が存在し、前記エリア情報上に前記特定した描画情報が存在する地図画像を前記表示部に表示する地図表示制御手段と、
を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】地図表示システムの構成例を示す図である。
図2】エリア情報の一例である気象情報のうち、降水量を示す図である。
図3】地図情報記憶部のデータ構成例を示す図である。
図4】透過率テーブルの構成例を示す図である。
図5】第1の実施形態の処理動作例を示す図である。
図6】利用者端末1で表示する地図の構成例を示す図である。
図7】第2の実施形態の処理動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0011】
(第1の実施形態)
<地図表示システムの構成例>
まず、図1を参照しながら、本実施形態に係る地図表示システムの構成例について説明する。図1は、本実施形態に係る地図表示システムの構成例を示す図である。
【0012】
本実施形態に係る地図表示システムは、図1に示すように、利用者端末1、地図表示装置2、情報提供装置3がネットワークNWを介して接続して構成する。ネットワークNWは、有線、無線を問わずあらゆる通信形態が適用可能である。
【0013】
情報提供装置3は、交通情報、災害情報、気象情報、河川情報などのエリア情報を地図表示装置2に提供する装置である。情報提供装置3は、サーバなどの装置があげられる。情報提供装置3は、制御部31、記憶部32を有して構成する。
【0014】
制御部31は、情報提供装置3の各部を制御する。記憶部32は、各種情報を記憶する。本実施形態の情報提供装置3は、地図上の特定のエリアに関する交通情報、災害情報、気象情報、河川情報などの各種エリア情報をエリア単位で区分して記憶部32に記憶し、その記憶部32に記憶した各種エリア情報をエリア単位で地図表示装置2に提供する。交通情報としては、渋滞情報、通行規制情報などの情報があげられる。災害情報としては、津波、地震、台風、土砂災害、竜巻などの情報があげられる。気象情報としては、例えば、雨雲、天候(晴、曇、雨など)、降水量、降水確率、最高気温、最低気温、紫外線強度、花粉飛散量、積雪量、日照時間、全天日射量、風速などの情報があげられる。河川情報としては、氾濫発生情報、水位情報などの情報があげられる。エリア情報は、現在の情報だけでなく、過去や将来の情報を時系列で記憶部32に記憶する。
【0015】
図2は、記憶部32に記憶される気象情報のうち、降水量を示した図である。図2に示すように、情報提供装置3は、地図情報を1km四方のメッシュ単位で区分し、各メッシュに対して該メッシュの降水量を対応付けて記憶部32に記憶する。例えば、図2に示す例では、メッシュAは、現在の降水量が0mmであり、10分後の予測降水量が1mmであり、20分後の予測降水量が2mmであることを示す。以下同様に10分単位で所定時間後(例えば3時間後)までの予測降水量が記憶されている。情報提供装置3は、各種のエリア情報をメッシュ単位で区分して記憶部32に記憶して管理することで、各種のエリア情報をメッシュ単位で地図表示装置2に提供することができる。メッシュ単位は、1kmに限定せず、250mなどの任意の単位で区分することも可能である。また、エリア情報は、250mメッシュ、1kmメッシュなどの複数の単位に区分して管理することも可能である。また、エリア情報は、メッシュ単位に区分するのではなく、行政区分(市区町村、大字、町丁名、小字、街区)ポリゴン単位などの様々なエリア単位で管理することも可能である。
【0016】
利用者端末1は、利用者が使用する端末である。利用者端末1は、スマートフォン、PCなどの装置があげられる。利用者端末1は、制御部11、記憶部12、入出力部13、位置情報取得部14を有して構成する。
【0017】
制御部11は、利用者端末1の各部を制御する。制御部11は、利用者端末1の利用者に対して、地図情報を提供する。例えば、制御部11は、表示対象地図の中心地点の緯度経度、表示縮尺、地図上に表示するエリア情報の種類などのパラメータを指定し、地図の表示要求を地図表示装置2に送信し、地図表示装置2から表示対象地図の情報を取得し、入出力部13を介して利用者端末1に地図を表示する。表示対象地図の中心地点の緯度経度は、位置情報取得部14で取得した位置情報を用いてもよい。制御部11が地図の表示要求を地図表示装置2に送信するトリガーとしては、例えば、地図の拡大・縮小操作を利用者端末1が受け付けた場合、地図の表示範囲の変更操作を利用者端末1が受け付けた場合、エリア情報種類の表示切替操作を利用者端末1が受け付けた場合などがあげられる。
【0018】
記憶部12は、利用者端末1で使用する各種情報を記憶する。入出力部13は、利用者端末1と利用者との間の情報の入出力に使用される種々のインターフェースである。入出力部13としては、例えば、入力部としてのタッチパネル、操作ボタン、マイク、出力部としてのタッチパネル、液晶パネル、スピーカなどがあげられる。入出力部13は、地図を表示する表示部として機能する。位置情報取得部14は、利用者端末1の現在位置を取得する。位置情報取得部14は、例えば、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波や基地局からの情報を受信し、利用者端末1の現在位置を検知し、その検知した現在位置のデータ(緯度、経度、高さのデータ)を取得する。高さのデータは、気圧センサなどを用いて取得してもよい。位置情報取得部14は、歩行者自律航法(PDR:Pedestrian Dead Reckoning)などを用いて自己位置推定を行ってもよい。
【0019】
地図表示装置2は、地図情報を利用者端末1に提供する装置である。地図表示装置2は、サーバなどの装置があげられる。地図表示装置2は、制御部21、記憶部22を有して構成する。
【0020】
制御部21は、地図表示装置2の各部を制御するほか、情報取得部211、情報抽出部212、情報受付部213、地図表示制御部214として機能する。
【0021】
情報取得部211は、情報提供装置3から交通情報、災害情報、気象情報、河川情報などの各種エリア情報をエリア単位で取得する。情報取得部211は、取得した各種エリア情報を後述するエリア情報記憶部223に記憶する。
【0022】
情報抽出部212は、後述する地図情報記憶部221に記憶された地図データを基に、地図に含まれる注記情報の中から、当該地図上に表示するエリア情報よりも優先的に表示する注記情報を抽出する。そして、情報抽出部212は、上記抽出した注記情報のみで構成する注記レイヤを作成する。抽出する注記情報は、エリア情報の種類によって異ならせてもよい。例えば、エリア情報の種類が交通情報などの場合は、道路名に関する注記情報を抽出する。災害情報などの場合は、都道府県名、市区町村名や駅名に関する注記情報を抽出する。河川情報などの場合は、河川名に関する注記情報を抽出する。これにより、エリア情報に関係する注記情報を当該エリア情報よりも優先的に地図上に表示することができる。また、情報抽出部212は、地図に含まれる注記情報の中から、上記抽出した注記情報を削除し、上記抽出した注記情報が含まれない背景地図(ベース地図)を作成する。情報抽出部212は、上記作成した背景地図、注記レイヤを表示縮尺、エリア情報種類に紐付けて地図情報記憶部221に記憶する。エリア情報種類は、エリア情報の種類を識別するための情報である。
【0023】
情報受付部213は、利用者端末1から地図の表示要求などを受け付ける。地図の表示要求には、表示対象地図の中心地点の緯度経度、表示縮尺、地図上に表示するエリア情報の種類などの情報が含まれる。
【0024】
地図表示制御部214は、情報受付部213が受け付けた地図の表示要求に含まれる地図の表示縮尺、エリア情報の種類を特定する。また、地図表示制御部214は、情報受付部213が受け付けた地図の表示要求に含まれる表示対象地図の中心地点の緯度経度、表示縮尺などを基に、利用者端末1に提供する地図の表示範囲を特定する。特定する地図の表示範囲は、利用者端末1の表示範囲よりも一定範囲大きな領域(表示範囲+バッファ)とすることが好ましい。これにより、利用者端末1で表示された地図を動かしても再取得することなく地図を表示することができる。
【0025】
また、地図表示制御部214は、エリア情報記憶部223に記憶されている各種エリア情報の中から、上記特定した種類のエリア情報であり、且つ、上記特定した地図の表示範囲に含まれるエリア情報を抽出する。また、地図表示制御部214は、後述する透過率情報記憶部224に記憶されている透過率テーブルの中から、上記特定した表示縮尺に対応する透過率を特定し、その特定した透過率を上記抽出したエリア情報に設定する。また、地図表示制御部214は、上記抽出したエリア情報の種類と当該エリア情報の内容に応じた表示色をエリア情報に設定する。例えば、エリア情報の種類が気象情報で、当該エリア情報の内容が降水量の場合は、以下のように設定する。
【0026】
降水量が80mm以上のエリアについては紫色の表示色をエリア情報に設定する。降水量が50mm以上80mm未満のエリアについては赤色の表示色をエリア情報に設定する。30mm以上50mm未満のエリアについては黄色の表示色をエリア情報に設定する。20mm以上30mm未満のエリアについては紺色の表示色をエリア情報に設定する。10mm以上20mm未満のエリアについては青色の表示色をエリア情報に設定する。0mmより大きく10mm未満のエリアについては水色の表示色をエリア情報に設定する。これにより、地図表示制御部214は、各エリアの降水量に応じた表示色をエリア情報に設定することができる。
【0027】
また、地図表示制御部214は、地図情報記憶部221に記憶されている背景地図、注記レイヤの中から、上記特定した表示縮尺及びエリア情報の種類に該当する背景地図、注記レイヤを取得する。そして、表示制御部215は、上記取得した背景地図上に、上記設定した透過率及び表示色のエリア情報が存在し、上記エリア情報上に、上記取得した注記レイヤが存在する地図画像の情報を利用者端末1に送信し、利用者端末1に表示する。
【0028】
記憶部22は、地図表示装置2で使用する各種情報を記憶する。記憶部22は、地図情報記憶部221、経路情報記憶部222、エリア情報記憶部223、透過率情報記憶部224を含んでいる。
【0029】
地図情報記憶部221は、図3に示すように、表示用の地図データを表示縮尺に対応付けて記憶する。例えば、地図データを1/1500、1/3000、1/8000、1/21000、1/75000、1/15万、1/30万、1/90万、広域(1/150万)、全国(1/780万)の表示縮尺に対応付けて記憶する。地図データには、背景地図を構成するために必要な地形、建物、道路、施設、注記などの情報が含まれており、その情報は表示縮尺毎に異なっている。例えば、道路を例に具体的に説明すると、表示縮尺が小さい場合には高速道路や国道などの主要道路と当該道路に付帯する注記のみを地図データに含め、表示縮尺が中程度である場合には上記に加えて更に県道と主要な市町道と当該道路に付帯する注記を地図データに含め、表示縮尺が大きい場合には上記に加えて更に細街路や当該道路に付帯する注記を地図データに含める。
【0030】
また、地図情報記憶部221は、図3に示すように、上述した情報抽出部212が作成した背景地図及び注記レイヤを、表示縮尺及びエリア情報種類に対応付けて記憶する。なお、図3では、エリア情報種類として、交通情報、災害情報、気象情報を示しているが、上記情報よりも詳細な渋滞情報、通行規制情報、津波、地震、台風、降水量などをエリア情報種類としてもよい。
【0031】
経路情報記憶部222は、道路ネットワークデータを記憶する。道路ネットワークデータには、ノードと、ノード間をつなぐリンクと、が含まれる。各リンクには、そのリンクが表す道路の距離、平均移動時間(旅行時間)が、リンクコストとして対応付けられている。道路ネットワークデータは、移動手段(徒歩、自動車、自転車など)別に記憶している。
【0032】
エリア情報記憶部223は、情報取得部211が取得した各種エリア情報をエリア単位で記憶する。
【0033】
透過率情報記憶部224は、透過率テーブルを記憶する。透過率テーブルは、図4に示すように、表示縮尺に対して透過率を登録したテーブルであり、各表示縮尺に対して登録される透過率は、表示縮尺が大きいほど大きくなるように設定されている。
【0034】
<地図表示装置2の処理動作例>
次に、図5を参照しながら、地図表示装置2で行う処理動作例について説明する。図5は、地図表示処理動作例を示す図である。
【0035】
地図表示装置2は、地図情報記憶部221に記憶された地図データを基に、地図に含まれる注記情報の中から、当該地図上に表示するエリア情報よりも優先的に表示する注記情報を抽出する。そして、上記抽出した注記情報のみで構成する注記レイヤを作成し、地図情報記憶部221に記憶する(ステップS1)。地図表示装置2は、作成した注記レイヤを、表示縮尺及びエリア情報種類に紐付けて地図情報記憶部221に記憶する。
【0036】
また、地図表示装置2は、地図に含まれる注記情報の中から、上記抽出した注記情報を削除した背景地図を作成し、地図情報記憶部221に記憶する(ステップS2)。地図表示装置2は、作成した背景地図を、表示縮尺及びエリア情報種類に紐付けて地図情報記憶部221に記憶する。これにより、地図情報記憶部221は、図3に示す情報を記憶することになる。
【0037】
次に、地図表示装置2は、利用者端末1から地図の表示要求を受け付けた場合(ステップS3/Yes)、表示要求に含まれる地図の表示縮尺、エリア情報の種類を特定する。また、表示要求に含まれる表示対象地図の中心地点の緯度経度、表示縮尺等を基に、利用者端末1に提供する地図の表示範囲を特定する(ステップS4)。
【0038】
次に、地図表示装置2は、エリア情報記憶部223に記憶されている各種エリア情報の中から、上記特定した種類のエリア情報であり、且つ、上記特定した地図の表示範囲に含まれるエリア情報を抽出する(ステップS5)。
【0039】
次に、地図表示装置2は、透過率情報記憶部224に記憶されている透過率テーブルの中から、上記特定した表示縮尺に対応する透過率を特定し、その特定した透過率を上記抽出したエリア情報に設定する(ステップS6)。
【0040】
次に、地図表示装置2は、地図情報記憶部221を参照し、上記特定した表示縮尺及びエリア情報の種類に対応する背景地図、注記レイヤを地図情報記憶部221から取得する(ステップS7)。
【0041】
次に、地図表示装置2は、上記取得した背景地図上に、上記設定した透過率のエリア情報が存在し、当該エリア情報上に、上記取得した注記レイヤが存在する地図画像の情報を利用者端末1に送信し、利用者端末1で表示する(ステップS8)。
【0042】
地図表示装置2は、S8の処理により、図6に示すように、背景地図→エリア情報→注記レイヤの順で構成する地図画像を利用者端末1で表示することができる。
【0043】
<本実施形態の地図表示システムの作用・効果>
本実施形態の地図表示装置2は、利用者端末1に表示する地図の表示縮尺に応じた注記情報(注記レイヤ)をエリア情報よりも優先的に地図上に表示する。その結果、本実施形態の地図表示装置2は、地図上にエリア情報を表示した場合でも、注記情報の視認性を向上させることができる。
【0044】
また、本実施形態の地図表示装置2は、利用者端末1に表示する地図の表示縮尺に応じた透過率で設定したエリア情報を地図上に表示し、そのエリア情報上に注記情報を表示する。その結果、本実施形態の地図表示装置2は、エリア情報と注記情報との双方の視認性を高めることができる。例えば、地図の縮尺を小さくして広域地図を表示した場合は、色がはっきりとしたエリア情報上に特定の注記情報が表示されるため、エリア情報と注記情報との双方の視認性を高めることができる。また、地図の縮尺を大きくして詳細地図を表示した場合は、地図上に広範囲にわたって表示されるエリア情報上に特定の注記情報が表示されるため、エリア情報と注記情報との双方の視認性を高めることができる。
【0045】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
【0046】
第1の実施形態では、図5に示すように、注記レイヤ、背景地図を予め作成して地図情報記憶部221に記憶しておき(ステップS1、S2)、地図の表示要求を受け付けた場合に(ステップS3/Yes)、地図情報記憶部221を参照し、表示要求に該当する注記レイヤ、背景地図を取得するようにしている(ステップS7)。
【0047】
第2の実施形態では、図7に示すように、地図の表示要求を受け付けた段階で(ステップA1/Yes)、注記レイヤ、背景地図を作成する(ステップA5、A6)。これにより、第1の実施形態のように、注記レイヤ、背景地図を予め作成して地図情報記憶部221に記憶しなくとも、図6に示すように、背景地図→エリア情報→注記レイヤの順で構成する地図画像を利用者端末1で表示することができる。
【0048】
<変形例>
上述した実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上述した実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0049】
(変形例1)
上述した実施形態では、地図表示装置2は、図4に示す表示縮尺に応じた透過率を登録した透過率テーブルを参照し、表示対象の地図の表示縮尺に対応する透過率を特定し、その特定した透過率をエリア情報に設定するようにしている。しかし、表示縮尺及びエリア情報種類に応じた透過率を登録した透過率テーブルを用いるようにしても良い。これにより、地図表示装置2は、地図の表示縮尺だけでなく、エリア情報種類別に異なる透過率を設定することができる。
【0050】
(変形例2)
上述した実施形態では、利用者端末1に表示する地図の表示縮尺に応じた注記情報(注記レイヤ)をエリア情報よりも優先的に地図上に表示するようにしている。しかし、エリア情報よりも優先的に表示する情報は、注記情報だけでなく、行政区画の境界線、道路形状、河川形状などの地図を構成する各種の描画情報としてもよい。この場合、エリア情報よりも優先的に表示する描画情報は、エリア情報に応じて異ならせてもよい。例えば、エリア情報が災害情報、気象情報などの場合は、行政区画の境界線や名称などをエリア情報よりも優先的に表示する。また、エリア情報が交通情報の場合は、道路形状や道路名称などをエリア情報よりも優先的に表示する。また、エリア情報が河川情報の場合は、河川形状や河川名称などをエリア情報よりも優先的に表示する。これにより、ユーザが地図上でエリア情報と共に把握したい描画情報をそのエリア情報よりも優先的に地図上に表示することができる。
【0051】
(変形例3)
上述した本実施形態の利用者端末1、地図表示装置2、情報提供装置3を構成する各部の制御動作は、ハードウェア、または、ソフトウェア、あるいは、両者の複合構成を用いて実行することも可能である。
【0052】
ソフトウェアを用いて処理を実行する場合には、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ内のメモリにインストールして実行させることが可能である。あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータ内のメモリにインストールして実行させることが可能である。
【0053】
例えば、プログラムは、記録媒体としてのハードディスクやROMに予め記録しておくことが可能である。あるいは、プログラムは、リムーバブル記録媒体に一時的、あるいは、永続的に記録しておくことが可能である。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することが可能である。リムーバブル記録媒体は、磁気ディスク、半導体メモリなどの各種記録媒体があげられる。
【0054】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールすることになる。また、ダウンロードサイトからコンピュータに無線で転送することになる。また、ネットワークを介してコンピュータに有線で転送することになる。
【0055】
プログラムの形態としては、クラウド等によるネット上のサーバからの利用もありえる。一部のプログラムのみをコンピュータに転送して利用する形態もありえる。
【0056】
(変形例4)
上述した実施形態の地図表示システムを構成する各部は、上述した実施形態で説明した処理動作に従って時系列的に処理を実行するだけに限定するものでない。例えば、処理を実行する装置の処理能力、あるいは、必要に応じて並列的にあるいは個別に処理を実行するように構築することも可能である。また、上述した実施形態の地図表示システムの各機能を複数の情報処理装置の協働によって実現してもよく、上述した記憶部22、32に記憶した情報のうちの少なくとも一部は、他の装置の内部/外部記憶装置に記憶されていてもよく、例えばクラウド上に構築されていてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 利用者端末
11 制御部
12 記憶部
13 入出力部
14 位置情報取得部
2 地図表示装置
21 制御部
211 情報取得部
212 情報抽出部
213 情報受付部
214 地図表示制御部
22 記憶部
221 地図情報記憶部
222 経路情報記憶部
223 エリア情報記憶部
224 透過率情報記憶部
3 情報提供装置
31 制御部
32 記憶部
NW ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7