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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】球面継手、加振装置及び振動試験機
(51)【国際特許分類】
   F16C 11/06 20060101AFI20221207BHJP
   F16C 32/06 20060101ALI20221207BHJP
   F16C 33/10 20060101ALI20221207BHJP
   G01M 7/06 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
F16C11/06 Z
F16C32/06 Z
F16C33/10 Z
G01M7/06
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019031481
(22)【出願日】2019-02-25
(65)【公開番号】P2020133846
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】319007240
【氏名又は名称】株式会社日立インダストリアルプロダクツ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】辺見 真
(72)【発明者】
【氏名】西田 佳弘
【審査官】藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-104037(JP,U)
【文献】特開昭58-180834(JP,A)
【文献】特開2002-213430(JP,A)
【文献】特開2017-210991(JP,A)
【文献】特開2013-092447(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 11/06
F16C 32/06
F16C 33/10
G01M 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸を接続した内輪と、前記内輪を内包すると共に前記内輪と摺動する円環状摺動部を有し且つ前記内輪の軸が貫通する開口部を形成している外輪と、を備え、前記円環状摺動部に高圧の潤滑油が供給される球面継手において、
前記開口部は、カバーで覆われて外部と内部が遮断され、前記カバーと前記内輪との間に円環状排油溜りが形成され、
前記円環状排油溜りと前記内輪を挟んで反対側には前記外輪と前記内輪との間に円形排油溜りが形成され、
前記円環状排油溜りと前記円形排油溜りとを連通する通油路が前記内輪に形成され、
前記円形排油溜り或いは前記円環状排油溜りの何れか一方のみに排油出口が設けられ、前記通油路は前記円形排油溜り或いは前記円環状排油溜りの油を前記排油出口側に流す通路であることを特徴とする球面継手。
【請求項2】
請求項1に記載の球面継手において、
前記円環状摺動部は、前記軸が前記外輪の中心軸と平行な状態で、前記軸の中心線に垂直で前記内輪の中心を通る平面を挟んで対向する一対の円環状摺動部を備え、
前記一対の円環状摺動部には、それぞれの円環状摺動部に高圧の潤滑油を供給する給油溝が設けられており、各給油溝に高圧の潤滑油が供給されることを特徴とする球面継手。
【請求項3】
請求項1に記載の球面継手において、
前記円環状排油溜りと前記円形排油溜りとを連通する通油路は、前記内輪に複数本形成されていることを特徴とする球面継手。
【請求項4】
請求項1に記載の球面継手において、
前記円環状排油溜りと前記円形排油溜りとを連通する通油路は、前記軸の中心線の延長上の前記内輪に形成され、且つ前記通油路と前記円環状排油溜りを連通する通油路を前記軸に形成していることを特徴とする球面継手。
【請求項5】
請求項4に記載の球面継手において、
前記通油路と前記円環状排油溜りを連通する通油路は前記軸にT字形に形成され、前記軸の両側の前記円環状排油溜りと連通していることを特徴とする球面継手。
【請求項6】
請求項2に記載の球面継手において、
前記各給油溝の圧力を検出する圧力センサと、
前記圧力センサで検出された圧力値に基づいて球面継手の異常の有無を判定する異常検出装置を備えていることを特徴とする球面継手。
【請求項7】
請求項6に記載の球面継手において、
前記異常検出装置は、前記圧力センサで検出された圧力値と検出時の運転条件を取得するデータ取得装置と、このデータ取得装置で取得された圧力値と運転条件を記録する記録装置と、検出された圧力値を他の同様の運転条件での圧力値と比較して異常の有無を判定する比較装置とを備えることを特徴とする球面継手。
【請求項8】
請求項1に記載の球面継手において、
前記排油出口は、前記円形排油溜り側の外輪に設けられており、この排油出口にはドレン配管が接続され、前記円形排油溜りに溜まった潤滑油を、前記ドレン配管を介して油タンクに回収することを特徴とする球面継手。
【請求項9】
請求項2に記載の球面継手において、
前記各給油溝は、外輪の内周面に、前記円環状摺動部に沿って円環状に形成され、前記外輪の上部に供給された潤滑油を、円環状の前記給油溝を介して、内輪の上下方向中央部及び下部に供給するように構成していることを特徴とする球面継手。
【請求項10】
請求項9に記載の球面継手において、
前記内輪の下部を潤滑した潤滑油を前記円形排油溜り側に排出する排油路を、前記外輪の下部に形成していることを特徴とする球面継手。
【請求項11】
二つの球面継手と、これらの球面継手の内輪どうしを接続する加振ロッドと、前記球面継手の何れかに一方に接続された加振機により構成される加振装置であって、
前記球面継手は、前記加振ロッドに接続される内輪と、前記内輪を内包すると共に前記内輪と摺動する円環状摺動部を有し且つ前記内輪の軸が貫通する開口部を形成している外輪と、を備え、前記円環状摺動部に高圧の潤滑油が供給され、前記開口部は、カバーで覆われて外部と内部が遮断され、前記カバーと前記内輪との間に円環状排油溜りが形成され、前記円環状排油溜りと前記内輪を挟んで反対側には前記外輪と前記内輪との間に円形排油溜りが形成され、前記円環状排油溜りと前記円形排油溜りとを連通する通油路が前記内輪に形成され、
前記加振ロッドには、前記二つの球面継手の内輪に形成されている前記通油路を連通する通油路が形成され、
前記二つの球面継手の一方の球面継手における前記円環状排油溜りまたは前記円形排油溜りの何れか一方のみに排油出口が設けられ、前記内輪に形成された前記通油路は前記円形排油溜り或いは前記円環状排油溜りの油を前記排油出口側に流す通路であることを特徴とする加振装置。
【請求項12】
請求項11に記載の加振装置において、
前記球面継手における前記円環状排油溜りと前記円形排油溜りとを連通する通油路は、前記加振ロッドの中心線の延長上の前記内輪に形成され、且つ内輪に形成された前記通油路と前記円環状排油溜りを連通する通油路を前記加振ロッドに形成していることを特徴とする加振装置。
【請求項13】
請求項11に記載の加振装置において、
前記各球面継手における前記円環状摺動部は、前記加振ロッドが前記外輪の中心軸と平行な状態で、前記加振ロッドの中心線に垂直で前記内輪の中心を通る平面を挟んで対向する一対の円環状摺動部を備え、
前記一対の円環状摺動部には、それぞれの円環状摺動部に高圧の潤滑油を供給する給油溝が設けられており、各給油溝に高圧の潤滑油が供給され、更に
前記各給油溝の圧力を検出する圧力センサと、
前記圧力センサで検出された圧力値に基づいて球面継手の異常の有無を判定する異常検出装置を備えていることを特徴とする加振装置。
【請求項14】
試験対象物を載置するテーブルと、このテーブルの両側に対向するように配置されて前記テーブルを加振する複数の加振装置を備える振動試験機において、
前記加振装置は請求項11~13の何れか一項に記載の加振装置であることを特徴とする振動試験機。
【請求項15】
試験対象物を載置するテーブルと、このテーブルの両側に対向するように配置され、球面継手を介して前記テーブルを加振する複数の加振装置を備える振動試験機において、
前記球面継手は請求項1~10の何れか一項に記載の球面継手であり、
テーブルの両側に対向するように配置されている前記加振装置に発生させる力を同一とした状態で、前記球面継手における給油溝の圧力を圧力センサで検出し、前記圧力センサで検出された圧力値に基づいて球面継手の異常の有無を判定する異常検出装置を備え、前記異常検出装置では、前記圧力センサで検出された圧力値に基づいて球面継手の異常の有無を判定することを特徴とする振動試験機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球面継手、加振装置及び振動試験機に関する。
【背景技術】
【0002】
多次元の方向に加振する振動試験機においては、油圧アクチュエータによる一次元方向の運動を多次元方向の運動に変換する。このため、振動試験機においては、複数の方向に傾動自在な継手が用いられる。複数の方向に傾動自在な継手構造(多自由度の継手構造)としては、1方向に傾動する軸受を直交させて配置するスイベル継手構造や、球面の凹部に球面の凸部を摺動可能に組合せる球面継手構造のものなどがある。
【0003】
前記スイベル継手構造のものは、回転ジョイントの組み合わせによって多自由度を得るものであるため、構造が複雑で大形化する。
そこで、振動試験機においては球面継手構造のものが多く使用されている。球面継手構造のものにおいては、摺動性を良好に保ちながら、加振性能を損なわないように、外輪と内輪との接触面の剛性を高くするため、摺動面を静圧軸受式の構造とした静圧軸受式の球面継手とすることがある。この種従来技術としては、特許第3388973号公報(特許文献1)に記載のものなどがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3388973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の球面継手のものでは、内輪または外輪の一方に複数の油溝が形成され、また各油溝にそれぞれ連通する給油孔が内外輪の一方を支持する支持部材に設けている。しかし、前記油溝に供給された油は、球面継手を潤滑した後この球面継手の周囲に排出されるが、排出された油を油タンクに回収するドレン経路についての配慮が為されていない。このため、球面継手を潤滑した後の油の排出方向の数に応じて、油を回収するドレン経路を設ける必要があり、排油構造が複雑になるという課題がある。
【0006】
本発明の目的は、球面継手を潤滑した後の油の排油構造を簡素化できる球面継手を得ることにある。
本発明の他の目的は、加振装置の複数の球面継手に供給される油の排油構造を大幅に簡素化できる加振装置や振動試験機を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、軸を備える内輪と、前記内輪を内包すると共に前記内輪と摺動する円環状摺動部を有し且つ前記内輪の軸が貫通する開口部を形成している外輪と、を備え、前記円環状摺動部に高圧の潤滑油が供給される球面継手において、前記開口部は、カバーで覆われて外部と内部が遮断され、前記カバーと前記内輪との間に円環状排油溜りが形成され、前記円環状排油溜りと前記内輪を挟んで反対側には前記外輪と前記内輪との間に円形排油溜りが形成され、前記円環状排油溜りと前記円形排油溜りとを連通する通油路が前記内輪に形成され、前記円形排油溜り或いは前記円環状排油溜りの何れかに排油出口が設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明の他の特徴は、二つの球面継手と、これらの球面継手の内輪どうしを接続する加振ロッドと、前記球面継手の何れかに一方に接続された加振機により構成される加振装置であって、前記球面継手は、前記加振ロッドに接続される内輪と、前記内輪を内包すると共に前記内輪と摺動する円環状摺動部を有し且つ前記内輪の軸が貫通する開口部を形成している外輪と、を備え、前記円環状摺動部に高圧の潤滑油が供給され、前記開口部は、カバーで覆われて外部と内部が遮断され、前記カバーと前記内輪との間に円環状排油溜りが形成され、前記円環状排油溜りと前記内輪を挟んで反対側には前記外輪と前記内輪との間に円形排油溜りが形成され、前記円環状排油溜りと前記円形排油溜りとを連通する通油路が前記内輪に形成され、前記加振ロッドには、前記二つの球面継手の内輪に形成されている前記通油路を連通する通油路が形成され、前記二つの球面継手の一方の球面継手における前記円環状排油溜りまたは前記円形排油溜りの何れかに排油出口が設けられていることにある。
【0009】
本発明の更に他の特徴は、試験対象物を載置するテーブルと、このテーブルの両側に対向するように配置されて前記テーブルを加振する複数の上述した加振装置を備える振動試験機であって、前記加振装置における前記各球面継手における前記円環状摺動部は、前記加振ロッドが前記外輪の中心軸と平行な状態で、前記加振ロッドの中心線に垂直で前記内輪の中心を通る平面を挟んで対向する一対の円環状摺動部を備え、前記一対の円環状摺動部には、それぞれの円環状摺動部に高圧の潤滑油を供給する給油溝が設けられており、各給油溝に高圧の潤滑油が供給され、更に前記各給油溝の圧力を検出する圧力センサと、前記圧力センサで検出された圧力値に基づいて球面継手の異常の有無を判定する異常検出装置を備えることにある。また、前記テーブルの両側に対向するように配置されている前記加振装置に発生させる力を同一とした状態で、前記球面継手における給油溝の圧力を前記圧力センサで検出し、前記異常検出装置では、前記圧力センサで検出された圧力値に基づいて球面継手の異常の有無を判定することにある。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、球面継手を潤滑した後の油の排油構造を簡素化できる球面継手を得ることができる効果が得られる。
【0011】
また、本発明の加振装置や振動試験機によれば、加振装置の複数の球面継手に供給される油の排油構造を大幅に簡素化できる効果が得られる。
【0012】
なお、本発明の振動試験機において、前記テーブルの両側に対向するように配置されている前記加振装置に発生させる力を同一とした状態で、前記球面継手における給油溝の圧力を前記圧力センサで検出し、前記圧力センサで検出された圧力値に基づいて球面継手の異常の有無を判定するように構成すれば、試験対象物の振動を抑制しつつ、球面継手の健全性をモリタリングすることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の球面継手の実施例1を示す概略断面図。
図2】本発明の球面継手の実施例2を示す概略断面図。
図3】本発明の球面継手の実施例3を示す概略断面図。
図4】本発明の球面継手を加振装置に適用した例を示す実施例4の概略断面図。
図5】本発明の球面継手を振動試験機に適用した例を示す実施例5の概略平面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて説明する。各図において、同一符号を付した部分は同一或いは相当する部分を示している。
【実施例1】
【0015】
本発明の球面継手の実施例1を図1に基づいて説明する。図1は本実施例1の球面継手の概略構成を示す断面図である。本実施例の球面継手は、例えば、地震を模擬する振動試験機用の加振装置等に好適なものである。
本実施例1の球面継手は静圧軸受式の球面継手(球面連結継手)であり、図1に示すように、球面継手20は、球形の内輪1とその周りに配設した球形の内面を持つ外輪2とを有し、前記内輪1には、外輪に設けられた開口部3を通して軸4が接続されており、外輪の内周面には、軸の中心線に垂直で前記内輪の中心を通る平面を挟んで対向する一対の円環状摺動部5(5a,5b)が設けられている。従って、球面継手20は複数方向に傾動自在な多自由度の継手構造となっている。
【0016】
前記円環状摺動部5a,5bの部分には、それぞれ複数の給油溝6(6a,6b)が設けられており、前記給油溝6a,6bにはそれぞれ、油ポンプ11から給油配管12(12a,12b)を介して、高圧の潤滑油(以下、単に「油」と言うこともある)が供給される。
【0017】
また、前記外輪2に形成されている前記開口部3は、カバー7により外部と遮断されており、前記内輪1と前記カバー7との間には円環状排油溜り8が形成されている。更に、前記開口部3側の前記円環状排油溜り8と前記内輪1を挟んで反対側には円形排油溜り9が形成されている。前記円形排油溜り9は、前記円環状摺動部5aの内周側の前記内輪1と前記外輪2との間に形成されている。
【0018】
本実施例においては、前記円環状排油溜り8と前記円形排油溜り9とを連通するように、前記内輪1内には複数本(この例では2本)の通油路10が形成されている。また、前記円環状摺動部5aおよび5bへ供給され、それぞれの中間に漏出した油を前記円形排油溜り9側に流出させるために前記外輪2の下部には排油路13が形成されている。
【0019】
油ポンプ11からの高圧の潤滑油は前記給油溝6a,6bに到達した後、前記円環状摺動部5a,5bに供給される。これらの円環状摺動部5a,5bでは、潤滑油の圧力によって、前記内輪1と前記外輪2とは非接触となる。このため、前記軸4は開口部3の範囲で、自由な角度に傾動することが可能となり、球面継手を実現することができる。
【0020】
前記円環状摺動部5aに供給された潤滑油は、その後、前記軸4とは反対側に形成されている前記円形排油溜り9にその多くが流出する。一方、前記円環状摺動部5bに供給された潤滑油は、その後、前記軸4側に形成されている前記円環状排油溜り8にその多くが流出する。
【0021】
従来のものでは、前記円形排油溜り9に流出した潤滑油を排出するためのドレン配管と、前記円環状排油溜り8に流出した潤滑油を排出するためのドレン配管の少なくとも2本のドレン配管を設ける必要があり、潤滑油の排油系統が複雑になる課題があった。
【0022】
これに対し、本実施例では、前記内輪1に、前記円形排油溜り9と前記円環状排油溜り8を連通する前記通油路10を設けている。前記給油溝6bに供給された潤滑油は円環状摺動部5bを潤滑した後、その多くが前記円環状排油溜り8に流出するが、前記通油路10を設けたことにより、円環状排油溜り8に流出した油を、前記通油路10を介して前記円形排油溜り9側に流出させることができる。一方、前記給油溝6aに供給された潤滑油は円環状摺動部5aを潤滑した後、前記円形排油溜り9に流出するので、前記給油溝6a,6bに供給された油を前記円形排油溜り9側に集めることができる。
【0023】
なお、前記給油溝6a,6bを、それぞれ外輪2の内周面に、前記円環状摺動部5a,5bに沿って円環状に形成すれば、外輪2の上部に供給された潤滑油を、円環状の給油溝6a,6bを介して、内輪1の上下方向中央部や下部にも効率良く供給できる。前記円環状摺動部5aおよび5bへ供給され、それぞれの中間に漏出した油は、前記外輪2の下部に形成されている前記排油路13を介して前記円形排油溜り9側に排出される。
【0024】
また、前記円形排油溜り9の下部には排油出口14が形成され、この排油出口14にはドレン配管15が接続され、このドレン配管15は油タンク16に接続されている。従って、前記円環状排油溜り8及び前記円形排油溜り9に溜まった油を、前記排油出口14から、1本のドレン配管15だけで前記油タンク16に回収することができる。
【0025】
次に、潤滑油の流れ(油圧系統)について説明する。油タンク16内に貯められている潤滑油は、油ポンプ11で吸い上げられて給油配管12に吐出され、前記給油配管12から給油配管12aと12bに分岐されて球面継手20の給油溝6a,6bに供給される。給油溝6aに供給された油は円環状摺動部5aを潤滑した後、円形排油溜り9に流出して溜まる。一方、給油溝6bに供給された油は円環状摺動部5bを潤滑した後、その多くが円環状排油溜り8に流出して溜まる。この円環状排油溜り8に溜まった油は内輪1内に形成されている通油路10を介して前記円形排油溜り9側に流出して溜まる。前記円環状摺動部5aおよび5bへ供給され、それぞれの中間に漏出した油は排油路13を介して前記円形排油溜り9側に流れる。円形排油溜り9に溜まった油は、その後排油出口14からドレン配管15に流出し、このドレン配管15を介して前記油タンク16に回収される。以下、潤滑油は同様の循環を繰り返す。
【0026】
以上説明したように、本実施例の球面継手20は、内輪1に、円形排油溜り9と円環状排油溜り8を連通する通油路10を設けているので、前記円環状排油溜り8及び前記円形排油溜り9に溜まった油を、外輪2に形成した排油出口14から、1本のドレン配管15だけで油タンク16に回収することができる。従って、球面継手20に供給された潤滑油の排油構造を簡素化できる効果が得られる。このような球面継手を、地震等を模擬するために、一次元の加振機の運動を多次元の運動に変換する後述する振動試験機用の加振装置等に採用すれば、排油系統を大幅に簡素化することができる。
【0027】
なお、上述した実施例では、排油出口14を円形排油溜り9側に設けているが、この排油出口14を円環状排油溜り8側に設けるようにしても同様の効果が得られる。この場合前記排油路13も、前記円環状排油溜り8側に排油が流れるように構成すると良い。排油出口14を円形排油溜り9側に設けた場合、円形排油溜り9に溜まった油は、内輪1に形成した通油路10を通り、円環状排油溜り8に流れた後、円環状排油溜り8側に設けた前記排油出口からドレン配管15に流れることになる。
【0028】
また、本実施例では、軸4の中心線に垂直で内輪1の中心を通る平面を挟んで対向する1対の円環状摺動部5a,5bに対応させて複数の給油溝6a,6bを設けているが、給油溝6を複数本設けるものには限定されず、軸4の中心線に垂直で内輪1の中心を通る平面に対応する位置に1本の給油溝6を設けるようにしても良い。給油溝6を1本としても円環状摺動部5a,5bを介して潤滑油は円環状排油溜り8側と円形排油溜り9側に流れるので、図1に示す実施例1と同様に、球面継手20を潤滑後の排油を1本のドレン配管15で油タンク16に回収できる効果は得られる。また、給油溝6へ潤滑油を供給する給油配管12も1本にできる。
【実施例2】
【0029】
本発明の球面継手の実施例2を図2に基づいて説明する。図2は本実施例2の球面継手の概略構成を示す断面図であり、図1と同一符号を付した部分は実施例1と同様であるので、本実施例2の説明においては、実施例1と異なる部分を中心に説明する。
【0030】
本実施例2では、内輪1に形成する通油路10を、図2に示すように、軸4の中心線に沿って、即ち軸4の中心線上の前記内輪1に、1本だけ設けるようにしたものである。また、本実施例2においては、円環状排油溜り8と円形排油溜り9とを連通させるために、前記軸4にも、前記通油路10と前記円環状排油溜り8を連通するように、T字形の通油路17も設けている。この通油路17をT字形とすることにより、軸4の両側(図2では上下)の円環状排油溜り8と前記通油路10とを連通させることができる。
他の構成は図1に示す実施例1と同様である。
【0031】
本実施例2の潤滑油の流れを説明する。図2に図示はしていないが、図1に示す実施例1と同様に、本実施例2においても図1に示す油ポンプ11や油タンク16を備えている。前記油タンク16内に貯められている潤滑油は、前記油ポンプ11で吸い上げられて給油配管12に吐出され、この給油配管12(12a,12b)から、図2に示すように、球面継手20の給油溝6a,6bに供給される。球面継手20において、給油溝6aに供給された油は円環状摺動部5aを潤滑した後、円形排油溜り9に流出して溜まり、給油溝6bに供給された油は円環状摺動部5bを潤滑した後、円環状排油溜り8に流出して溜まる。
【0032】
球面継手20の円環状排油溜り8に溜まった油は、球面継手20の通油路17及び通油路10を介して、前記円形排油溜り9に流出して溜まる。前記円形排油溜り9に溜まった油は、排油出口14からドレン配管15に流出して前記油タンクに回収される。以下、潤滑油は同様の循環を繰り返す。
【0033】
本実施例においては、前記内輪1に、前記円形排油溜り9と前記円環状排油溜り8を連通する1本の前記通油路10と、前記円環状排油溜り8と前記通油路10を連通するT字形の通油路17設けている。前記給油溝6bに供給された潤滑油は円環状摺動部5bを潤滑した後、前記円環状排油溜り8に流出するが、前記通油路10及び17を設けたことにより、円環状排油溜り8に流出した油を、前記通油路10,17を介して前記円形排油溜り9側に流出させることができる。
【0034】
一方、前記給油溝6aに供給された潤滑油は円環状摺動部5aを潤滑した後、前記円形排油溜り9に流出するので、前記給油溝6a,6bに供給された油を前記円形排油溜り9側に集めることができる。従って、上述した実施例1と同様に、前記円形排油溜り9に溜まった油を、外輪2に形成した排油出口14から、1本のドレン配管15だけで油タンクに回収することができる。本実施例2のように構成しても、球面継手20に供給された潤滑油の排油構造を簡略化できる効果が得られ、また、本実施例2では内輪1に設ける通油路10を少なくできる効果も得られる。
他の構成は実施例1と同様である。
【実施例3】
【0035】
本発明の球面継手の実施例3を図3に基づいて説明する。図3は本実施例3の球面継手の概略構成を示す断面図であり、図1図2と同一符号を付した部分は実施例1または2と同様であるので、本実施例3の説明においては、実施例1、2と異なる部分を中心に説明する。
【0036】
本実施例3では、内輪1に形成する通油路10は、上述した実施例2と同様に、軸4の中心線に沿って1本だけ設け、また、円環状排油溜り8と円形排油溜り9とを連通させるために、軸4にも、通油路10と円環状排油溜り8を連通するT字形の通油路17が設けられている。
【0037】
また、本実施例3が上記実施例1や実施例2と異なる点は、給油溝6a,6bの圧力をそれぞれ計測する複数の圧力センサ19(19a,19b)を球面継手20の外輪2に設けていることである。また、前記圧力センサ19a,19bで検出された圧力値を取得し、この圧力値に基づいて球面継手20の異常の有無を検出する異常検出装置21も備えられている。
【0038】
前記異常検出装置21は、図3に示すように、前記圧力センサ19a,19bで検出された圧力値(計測値)を取得するデータ取得装置21aを備え、このデータ取得装置21aには圧力検出時の給油圧力などの運転条件も入力されるようになっている。データ取得装置21aで取得された圧力値は圧力検出時の運転条件と共に記録装置21bに記録(記憶)される。
【0039】
球面継手20を後述する加振装置等に適用する場合、加振装置を一定回数の運転を行うことで、前記圧力センサ19a,19bで検出された圧力値のデータが前記運転条件と共に前記記録装置21bに蓄積される。一定回数の運転を行った後の運転時には、検出された圧力値と運転条件を、前記データ取得装置21aを介して前記記録装置21bに引き続き記録すると共に、その検出された圧力値と運転条件を、比較装置21cにおいて、他の同様の運転条件での圧力値と比較する。例えば、検出された圧力値と運転条件を、記録装置21bに記録されている過去の同様な運転条件で検出された圧力値などと、比較装置21cで比較して異常の有無を判定し、その判定結果を出力する。
【0040】
なお、前記比較装置21cにより検出された圧力値と比較するデータは、現在使用中の加振装置等がこれまでに取得して記録装置21bに蓄積してきたデータの他に、インターネットなどから取得した同じ機種の他の加振装置等で取得されたデータと比較しても良い。更に、この比較するデータは、これまでに測定された圧力値を、統計的な手法その他により加工されて得られたデータ、或いは運転条件に対応して予め決められた正常値と比較するものであっても良い。
【0041】
本実施例3においては、加振装置等の動作中に、球面継手20の給油溝6a,6bにおける圧力を圧力センサ19a,19bにより計測するが、給油溝6a,6bの圧力は加振装置等の発生力に連動した値となる。しかし、給油溝6a,6bの周囲が摩耗するなど、球面継手20の摺動面が損傷した場合、加振装置等の発生力と給油溝の圧力との関係が異なってくる。即ち、加振装置等の発生力と給油溝6a,6bの圧力の関係が異なってきた場合、球面継手20の摺動面が損傷していると判定できる。
【0042】
従って、同じ加振装置等で同じ動作をした際の給油溝の圧力値を、比較装置21cで過去のデータ等と比較することにより、球面継手20の摺動面の状態を監視することが可能となり、信頼性の高い球面継手を得ることができる。
【0043】
他の構成は図1図2に示す実施例1や2と同様である。本実施例3によれば、給油溝6a,6bの圧力をそれぞれ検出する複数の圧力センサ19a,19bを備え、また、検出された圧力値を記録する記録装置21bと、計測された圧力値を、過去のデータや他の同一機種のデータ或いは予め決められた正常値など、他の同様の運転条件での圧力値と比較する比較装置21cを備えている。従って、球面継手20の摺動面の異常の状態を監視して、球面継手の健全性をモリタリングすることができ、信頼性の高い球面継手を得ることができる効果が得られる。
【実施例4】
【0044】
本発明の実施例4を図4に基づいて説明する。図4は、上述した実施例1~3に示すような球面継手を加振装置に適用した例を示す概略断面図である。この図4において、図1図3と同一符号を付した部分は実施例1~3と同様の部分を示しており、本実施例4の説明においては、実施例1~3と異なる部分を中心に説明する。
【0045】
図4において、30は加振装置で、この加振装置30は、二つの球面継手20A,20Bと、これらの球面継手20A,20Bの内輪1どうしを接続する加振ロッド31と、前記球面継手20A,20Bの一方(この例では球面継手20B)に接続された加振機32により構成されている。前記加振機32は、加振装置30が作動した時に発生する反力を受ける反力壁33に固定されている。
【0046】
図4に示す他方の球面継手20A,20B(この例では球面継手20A)は、図2に示す球面継手20と同様のものである。即ち、内輪1には、通油路10が、加振ロッド(軸)31の中心線に沿って1本だけ設けられている。また、円環状排油溜り8と円形排油溜り9とを連通させるために、前記加振ロッド31の端部側にも、前記通油路10と前記円環状排油溜り8を連通するように、T字形の通油路17も設けられている。
【0047】
図4に示す球面継手20Aが図2に示す球面継手20と異なる部分は、図2に示す排油出口14が球面継手20Aには形成されておらず、円形排油溜り9に溜まった油をドレン配管を介して、直接油タンク16(図1参照)に戻すようには構成されていない点である。その代わりに、本実施例においては、前記加振ロッド31に、その中心線に沿って、前記通油路10及びT字形の前記通油路17と連通する通油路18を設けている。これらの通油路10,17,18を介して、円環状排油溜り8及び円形排油溜り9に溜まった油を他の球面継手20B側に送るように構成している。
【0048】
前記球面継手20Bも前記球面継手20Aと同様の構成となっているが、球面継手20Aと異なる部分は、球面継手20Bには排油出口14が設けられており、この排油出口14には、球面継手20A,20Bを潤滑した油を油タンク16(図1参照)に戻すためのドレン配管15が接続されていることである。即ち、前記球面継手20Bは、図2に示す球面継手20とは、左右と上下が逆に図示しているだけで、ほぼ同様の構成となっているものである。なお、図4において、球面継手20A,20Bにおける加振ロッド31が貫通する開口部3は、互いに対向する位置に設ける必要があるが、各球面継手20A.20Bの上下は逆にしても良く、球面継手20Bの給油溝6a、6bや給油配管12を、図2と同様に、上側に設け、排油出口14及びドレン配管15を下側に設けるようにしても良い。
【0049】
また、前記球面継手20Bは加振機32に接続されているが、前記球面継手20Aには前記加振機32で加振されるテーブルなどの加振対象物(図示せず)が接続されている。従って、加振機32を駆動することにより、球面継手20B、加振ロッド31及び球面継手20Aを介して、加振対象物を加振することができる。
【0050】
このような本実施例4の加振装置30は、地震等を模擬するために、一次元の運動を多次元の運動に変換する振動試験機の加振装置として採用することが可能になると共に、加振装置30の排油系統を大幅に簡素化できる効果が得られる。
【0051】
本実施例4の潤滑油の流れを説明する。図1で説明したように、油タンク16内に貯められている潤滑油は、油ポンプ11で吸い上げられて給油配管12に吐出され、この給油配管12から、図4に示すように、球面継手20A,20Bの給油溝6a,6bに供給される。各球面継手20A,20Bにおいて、給油溝6aに供給された油は円環状摺動部を潤滑した後、円形排油溜り9に流出して溜まり、給油溝6bに供給された油は円環状摺動部を潤滑した後、円環状排油溜り8に流出して溜まる。
【0052】
球面継手20Aにおいては、円形排油溜り9に溜まった油は、その後通油路10,17を通り、加振ロッド31の通油路18に流れる。また、円環状排油溜り8に溜まった油は通油路17から加振ロッド31の前記通油路18に流れる。前記通油路18に流入した油は、球面継手20B側に流れて、通油路17及び通油路10を通過後、球面継手20Bの円形排油溜り9に溜まる。球面継手20Bの円環状排油溜り8に溜まった油も、球面継手20B側の通油路17及び通油路10を介して、球面継手20B側の前記円形排油溜り9に溜まる。球面継手20B側の前記円形排油溜り9に溜まった油は、排油出口14からドレン配管15に流出して前記油タンク16(図1参照)に回収される。以下、潤滑油は同様の循環を繰り返す。
【0053】
このように、本実施例4では、球面継手20A側から通油路10,17,18を介して球面継手20B側に送り、球面継手20B側の通油路17,10を介して、球面継手20Bの円形排油溜り9に集めるように構成している。従って、本実施例によれば、上述した実施例1や2と同様の効果が得られる上に、二つの球面継手20A,20Bから排出される油を1本のドレン配管15により油タンクに回収できる効果も得られるので、加振装置30の複数の球面継手20A,20Bに供給された油の排油構造を大幅に簡素化できる効果が得られる。
【0054】
即ち、1つの加振装置30に対するドレンの取り出し口を1か所にすることができるので、コンパクトな加振装置30を得ることができる。
また、本実施例の加振装置30は、例えば地震を模擬する三次元の振動試験機用の加振装置として好適である。
【実施例5】
【0055】
本発明の実施例5を図5に基づいて説明する。本実施例5は、上述した実施例1~3に記載の球面継手を、上記実施例4に示すような加振装置に適用し、この加振装置を振動試験機に適用した例を示す概略平面図である。この図5において、図1図4と同一符号を付した部分は実施例1~4と同様の部分を示しており、本実施例5の説明においては、実施例1~4と異なる部分を中心に説明する。
【0056】
図5は、地震等を模擬する振動試験機40を示す図で、加振装置30A,30Bの部分のみ、図4と同様に断面で示している。この図5に示すように、上記実施例4で説明したような加振装置30A,30Bが振動試験機40のテーブル(振動テーブル)の両側に対向するように2台づつ設けられている。
【0057】
なお、図示してはいないが、図5に示す加振装置30A,30Bで加振される方向をX方向(一方の水平方向)とすれば、このX方向に直角な水平方向であるY方向(他方の水平方向)に加振する加振装置も前記加振装置30A,30Bと直行する方向に対向するように2台づつ設けられている。更に、前記テーブル41の下面には、該テーブル41を鉛直方向(上下方向)に加振する加振装置も設けられている。即ち、振動試験機40はそのテーブル41をX方向、Y方向及び鉛直方向(Z方向)にそれぞれ加振する加振装置が備えられている。各加振装置の一端側は側壁や基礎部などの反力壁33に固定され、他端側は前記テーブル41の側面及び下面に取り付けられている。また、試験対象物はテーブル41上に載置されて加振試験される。
【0058】
本実施例の振動試験機では、テーブル41をX,Y,Z方向に振動させることができるように、各加振装置30A,30Bは上述した実施例4の加振装置30を採用している。但し、球面継手20A,20Bに関しては、図1に示す実施例1の球面継手や図3に示す実施例3の球面継手を採用しても良い。
【0059】
このように、振動試験機40のテーブル41を加振する加振装置30A,30Bとして、上述した実施例4の加振装置30を採用することにより、地震等を模擬する三次元の振動試験機を実現することができる。また、多数設けられる加振装置30A,30Bにおける二つの球面継手20A,20Bから排出される油を、各加振装置30A,30Bに設けられた1本のドレン配管15により油タンクに戻すことができる。従って、振動試験機40における油の排油構造も大幅に簡素化できる効果も得られる。
【0060】
なお、前記加振装置30A,30Bにおける球面継手20A,20Bとして、前述した図3に示す実施例3の球面継手20を採用すれば、以下説明する効果を得ることもできる。
【0061】
即ち、各球面継手20A,20Bのそれぞれに、図3に示すように、圧力センサ19a,19bを設け、各加振装置30A,30Bにおける各圧力センサ19a,19bのデータを取得できるように構成する。その後、振動試験機40における各球面継手20A,20Bの異常の有無を検査する際には、テーブル41を挟んで対向する加振装置30Aと30Bで、テーブル41に作用させる力(押圧力)が同一となるように、各加振装置30A,30Bの加振機32を制御する。
【0062】
この状態で、各球面継手20A,20Bにおける給油溝6a,6bの圧力を前記圧力センサ19a,19bで計測し、計測した圧力値をデータ取得装置21aで取得し、その時の運転条件(給油圧力等)と共に記録装置21bに記録する。次に、比較装置21cにおいて、計測されたデータと他の同様な運転条件のデータとを比較する。比較する他のデータとしては、運転条件に対応する正常なデータを予め記録装置21bに記憶させておき、この正常なデータと比較しても良いし、或いは同様な運転条件の他の球面継手20A,20Bで計測して取得したデータ等でも良い。この比較装置21cでの比較結果に基づいて、各球面継手20A,20Bの異常の有無を判定できる。
【0063】
このように、テーブル41を挟んで対向する加振装置30Aと30Bで、テーブル41に作用させる力(押圧力)が同一となるように、各加振装置30A,30Bの加振機32を制御することにより、振動試験機40のテーブル41上に、既に試験対象となる構造物を設置した後でも、試験対象の構造物に必要以上の振動を掛けることなく、各球面継手20A,20Bにおける摺動面の状態等の異常の有無を監視することができる効果も得られる。
【0064】
以上説明したように、本発明の各実施例によれば、球面継手からの排油系統を簡素化することができるので、排油を油タンクに戻すドレン配管の本数を少なくすることができ、加振装置や振動試験機における排油系統を簡素化できる効果が得られる。
【0065】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記振動試験機の実施例では三次元の振動試験機である場合について説明したが、本発明は、三次元の振動試験機に限らず二次元の振動試験機等にも同様に適用できるものである。
また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。更に、上記した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0066】
1:内輪、2:外輪、3:開口部、4:軸、
5(5a,5b):円環状摺動部、6(6a,6b):給油溝、7:カバー、
8:円環状排油溜り、9:円形排油溜り、
10,17,18:通油路、
11:油ポンプ、12(12a,12b):給油配管、
13:排油路、14:排油出口、
15:ドレン配管、16:油タンク、
19(19a,19b):圧力センサ、
20,20A,20B:球面継手、
21:異常検出装置、
21a:データ取得装置、21b:記録装置、21c:比較装置、
30,30A,30B:加振装置、31:加振ロッド(軸)、
32:加振機、33:反力壁、
40:振動試験機、41:テーブル。
図1
図2
図3
図4
図5