(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】コントローラチェア
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20221207BHJP
A47C 9/00 20060101ALN20221207BHJP
【FI】
G06F3/01 510
A47C9/00 Z
(21)【出願番号】P 2019043025
(22)【出願日】2019-03-08
【審査請求日】2022-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000136491
【氏名又は名称】株式会社フジ医療器
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福永 武央
(72)【発明者】
【氏名】小野 正生
【審査官】塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-195113(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0238079(US,A1)
【文献】米国特許第07117136(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0135133(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
A47C 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台に支持された座部と、
前記座部の後縁側から上方または斜め上方に延び、その幅方向中心線に沿って延びる軸線を中心として回動可能に前記基台に支持された背もたれ部と、
前記背もたれ部の左側部から前方に突出し、その基端部を中心として上下に回動可能に前記背もたれ部に支持された左腕保持部と、
前記背もたれ部の右側部から前方に突出し、その基端部を中心として上下に回動可能に前記背もたれ部に支持された右腕保持部と、
前記基台の前側において前記座部の前縁の左側部付近から下方に延び、その上端部を中心として上下に回動可能に前記基台に支持された左脚保持部と、
前記基台の前側において前記座部の前縁の右側部付近から下方に延び、その上端部を中心として上下に回動可能に前記基台に支持された右脚保持部と、
前記背もたれ部、前記左腕保持部、前記右腕保持部、前記左脚保持部および前記右脚保持部それぞれの回転角を検出する第1回転角検出部、第2回転角検出部、第3回転角検出部、第4回転角検出部および第5回転角検出部とを含む、コントローラチェア。
【請求項2】
前記左腕保持部は、左前腕収容凹部と、前記左前腕収容凹部の両側壁内面のうちの少なくとも一方に設けられた膨張収縮可能な左腕固定用エアバッグとを備え、
前記右腕保持部は、右前腕収容凹部と、前記右前腕収容凹部の両側壁内面のうちの少なくとも一方に設けられた膨張収縮可能な右腕固定用エアバッグとを備えている、請求項1に記載のコントローラチェア。
【請求項3】
前記左脚保持部は、左下腿収容凹部と、前記左下腿収容凹部の両側壁内面のうちの少なくとも一方に設けられた膨張収縮可能な左脚固定用エアバッグとを備え、
前記右脚保持部は、右下腿収容凹部と、前記右下腿収容凹部の両側壁内面のうちの少なくとも一方に設けられた膨張収縮可能な右脚固定用エアバッグとを備えている、請求項1または2に記載のコントローラチェア。
【請求項4】
前記背もたれ部に設けられ、使用者の肩を前記背もたれ部に固定するための肩固定部をさらに含み、
前記肩固定部は、
前記背もたれ部における前記左腕保持部の連結部分よりも上側の左側部から前方に突出した左肩押さえと、
前記背もたれ部における前記右腕保持部の連結部分よりも上側の右側部から前方に突出した右肩押さえと、
前記左肩押さえにおける前記右肩押さえに対向する面に設けられた膨張収縮可能な左肩押圧用エアバッグと、
前記右肩押さえにおける前記左肩押さえに対向する面に設けられた膨張収縮可能な右肩押圧用エアバッグとを備えている、請求項1~3のいずれか一項に記載のコントローラチェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、使用者の動きに応じた信号を発生させるためのコントローラチェアに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、使用者に対して適切な運動負荷を提供するとともに、使用者の運動を検出する運動負荷提供手段を含むウェルネスシステムが開示されている。特許文献1には、運動負荷提供手段において使用者の運動(例えば使用者の歩み)を計測し、その歩みに合わせて映像ユニットで表示される映像、音響ユニットによって提示される音ならびに風・香ユニットによって提示される風および香りを変化させることが開示されている。そして、特許文献1の
図5には、使用者に運動負荷を提供するとともに使用者の運動を検出する運動負荷提供手段として、交互の脚踏み動作(膝の屈伸)を行う器具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
この発明は、使用者の胴体、左腕、右腕、左脚および右脚それぞれの動きに応じた信号を発生させることができるコントローラチェアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の一実施形態は、基台に支持された座部と、前記座部の後縁側から上方または斜め上方に延び、その幅方向中心線に沿って延びる軸線を中心として回動可能に前記基台に支持された背もたれ部と、前記背もたれ部の左側部から前方に突出し、その基端部を中心として上下に回動可能に前記背もたれ部に支持された左腕保持部と、前記背もたれ部の右側部から前方に突出し、その基端部を中心として上下に回動可能に前記背もたれ部に支持された右腕保持部と、前記基台の前側において前記座部の前縁の左側部付近から下方に延び、その上端部を中心として上下に回動可能に前記基台に支持された左脚保持部と、前記基台の前側において前記座部の前縁の右側部付近から下方に延び、その上端部を中心として上下に回動可能に前記基台に支持された右脚保持部と、前記背もたれ部、前記左腕保持部、前記右腕保持部、前記左脚保持部および前記右脚保持部それぞれの回転角を検出する第1回転角検出部、第2回転角検出部、第3回転角検出部、第4回転角検出部および第5回転角検出部とを含む、コントローラチェアを提供する。
【0006】
この構成では、使用者の胴体、左腕、右腕、左脚および右脚それぞれの動きに応じた信号を発生させることができるコントローラチェアを実現できる。
この発明の一実施形態では、前記左腕保持部は、左前腕収容凹部と、前記左前腕収容凹部の両側壁内面のうちの少なくとも一方に設けられた膨張収縮可能な左腕固定用エアバッグとを備え、前記右腕保持部は、右前腕収容凹部と、前記右前腕収容凹部の両側壁内面のうちの少なくとも一方に設けられた膨張収縮可能な右腕固定用エアバッグとを備えている。
【0007】
この発明の一実施形態では、前記左脚保持部は、左下腿収容凹部と、前記左下腿収容凹部の両側壁内面のうちの少なくとも一方に設けられた膨張収縮可能な左脚固定用エアバッグとを備え、前記右脚保持部は、右下腿収容凹部と、前記右下腿収容凹部の両側壁内面のうちの少なくとも一方に設けられた膨張収縮可能な右脚固定用エアバッグとを備えている。
【0008】
この発明の一実施形態では、前記背もたれ部に設けられ、使用者の肩を前記背もたれ部に固定するための肩固定部をさらに含み、前記肩固定部は、前記背もたれ部における前記左腕保持部の連結部分よりも上側の左側部から前方に突出した左肩押さえと、前記背もたれ部における前記右腕保持部の連結部分よりも上側の右側部から前方に突出した右肩押さえと、前記左肩押さえにおける前記右肩押さえに対向する面に設けられた膨張収縮可能な左肩押圧用エアバッグと、前記右肩押さえにおける前記左肩押さえに対向する面に設けられた膨張収縮可能な右肩押圧用エアバッグとを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、この発明の一実施形態に係るコントローラチェアを備えた映像表示システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、コントローラチェアの外観を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、背もたれ部の基台への取付構造を説明するための断面図である。
【
図10】
図10は、背もたれ部の基台への取付構造を説明するための分解斜視図である。
【
図11】
図11は、左腕保持部および右腕保持部の背もたれ部への取付構造を説明するための一部が切り欠かれた部分拡大平面図である。
【
図12】
図12は、左脚保持部および右脚保持部の基台への取付構造を説明するための一部が切り欠かれた部分拡大平面図である。
【
図13】
図13は、コントローラチェアの電気的構成を示すブロック図である。
【
図14】
図14は、エアポンプから各エアバッグまでのエア回路を示すエア回路図である。
【
図15】
図15は、左腕保持部および左脚保持部が回動される様子を説明するための右側面図である。
【
図16A】
図16Aは、背もたれ部が中立位置である状態を示す模式的な平面図である。
【
図16B】
図16Bは、背もたれ部が反時計方向に回転された状態を示す模式的な平面図である。
【
図16C】
図16Cは、背もたれ部が時計方向に回転された状態を示す模式的な平面図である。
【
図17】
図17は、背もたれ部を中立位置に付勢するための他の構成例を示す部分拡大斜視図である。
【
図18B】
図18Bは、
図17の構成例において、背もたれ部が反時計方向に回転された状態を示す模式的な平面図である。
【
図18C】
図18Cは、
図17の構成例において、背もたれ部が時計方向に回転された状態を示す模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係るコントローラチェアを備えた映像表示システムの構成を示すブロック図である。
映像表示システム1は、コントローラチェア2と、表示制御装置3と、表示装置4とを含む。コントローラチェア2は、コントローラチェア2に座っている使用者の動きに応じた信号を発生させる。この実施形態では、コントローラチェア2は、使用者の胴体(肩部、胸部、胴部および腰部)、左腕、右腕、左脚および右脚それぞれの動きに応じた信号を発生する。
【0011】
表示制御装置3は、所定の映像コンテンツを表示装置4に表示させる。この際、表示制御装置3は、コントローラチェア2からの信号に基づいて、表示装置4に表示させる映像を変化させる。例えば、表示制御装置3は、コントローラチェア2からの信号に基づいて、映像に含まれるキャラクタの動きを変化させる。キャラクタは、使用者の分身となるキャラクタ(アバター(avatar))であってもよい。その場合、表示制御装置3は、例えば、使用者の胴体(肩)、左腕、右腕、左脚および右脚それぞれの動きに応じて、アバターの胴体(肩)、左腕、右腕、左脚および右脚を変化させることができる。
【0012】
表示装置4は、使用者の頭に装着することができる頭部装着型表示装置(ヘッドマウントディスプレイ)であってもよく、使用者の頭に装着されないタイプの表示装置であってもよい。具体的には、表示装置4は、壁等に映像を投影するプロジェクタであってもよいし、有機EL等で構成された球面ディスプレイであってもよいし、被施療者の頭部を上方から覆うように配置され、内面に表示面を有するドーム型(釣鐘型)の表示装置であってもよい。
【0013】
以下、コントローラチェア2について詳しく説明する。
図2は、コントローラチェア2の外観を示す斜視図である。
図3は、
図2の正面図である。
図4は、
図2の背面図である。
図5は、
図2の右側面図である。
図6は、
図2の左側面図である。
図7は、
図2の平面図である。
図8は、
図2の底面図である。
以下の説明において、前後方向、左右方向および上下方向とは、使用者がコントローラチェア2に通常の姿勢で着座したときに、その使用者から見た場合の前後方向、左右方向および上下方向をそれぞれいうものとする。
図5の右側面図は、コントローラチェア2を正面から見た場合の右側面図であるため、
図5にはコントローラチェア2の左側面が現れている。同様に、
図6の左側面図は、コントローラチェア2を正面から見た場合の左側面図であるため、
図5にはコントローラチェア2の右側面が現れている。
【0014】
図2~
図8を参照して、コントローラチェア2は、座部11と、背もたれ部12と、左腕保持部13と、右腕保持部14と、左脚保持部15と、右脚保持部16と、制御ユニット17とを含む。
座部11は、平面視矩形状の板状体から構成されており、基台10上に設けられている。基台10は、下枠を構成する4本の下枠構成部材と、上枠を構成する4本の上枠構成部材と、下枠と上枠とを連結する4本の連結部材とを備えている。
【0015】
4本の下枠構成部材は、前側の下枠構成部材10LFと、後側の下枠構成部材10LBと、左側の下枠構成部材10LLと、右側の下枠構成部材10LRとからなる。前側および後側の下枠構成部材10LF,10LBの長さは、座部11の左右方向の長さとほぼ等しい。左側および右側の下枠構成部材10LL,LRの長さは、座部11の前後方向の長さよりも長い。
【0016】
前側の下枠構成部材10LFは、左側の下枠構成部材10LLの前端部と、右側の下枠構成部材10LRの前端部とを連結している。後側の下枠構成部材10LBは、左側の下枠構成部材10LLの長さ中間部と、右側の下枠構成部材10LRの長さ中間部とを連結している。
4本の上枠構成部材は、前側の上枠構成部材10UFと、後側の上枠構成部材10UBと、左側の上枠構成部材10UFと、右側の上枠構成部材10URとからなる。前側および後側の上枠構成部材10UF,10UBの長さは、座部11の左右方向の長さとほぼ等しい。左側および右側の上枠構成部材10UL,URの長さは、座部11の前後方向の長さとほぼ等しい。
【0017】
前側の上枠構成部材10UFは、左側の上枠構成部材10ULの前端部と、右側の上枠構成部材10URの前端部とを連結している。後側の上枠構成部材10UBは、左側の上枠構成部材10ULの後端部と、右側の上枠構成部材10URの後端部とを連結している。
4本の連結部材は、前左側の連結部材10JFLと、前右側の連結部材10JFRと、後左側の連結部材10JBLと、後右側の連結部材10JBRとからなる。前左側の連結部材10JFLは、下枠の前左前コーナ部と、上枠の前左前コーナ部とを連結している。前右側の連結部材10JFRは、下枠の前右前コーナ部と、上枠の前右前コーナ部とを連結している。
【0018】
後左側の連結部材10JBLは、上枠の後左コーナ部と、左側の下枠構成部材10LLにおける当該コーナ部に対応する部分とを連結している。後右側の連結部材10JBRは、上枠の右後コーナ部と、右側の下枠構成部材10LRにおける当該コーナ部に対応する部分とを連結している。
背もたれ部12は、座部11の後縁側から上方斜め後方に延びている。背もたれ部12は、その幅方向中心線に沿って延びる軸線L1を中心として回動可能に、基台10に支持されている。
【0019】
図4~
図6、
図8~
図10を参照して、背もたれ部12の基台10への取付構造20について説明する。
図9は、取付構造20を説明するための断面図である。
図10は、取付構造20を説明するための分解斜視図である。
取付構造20は、基台側支持板21と、背もたれ側支持板22と、両支持板21,22を上下方向に貫通する第1回転軸23と、第1回転軸23を背もたれ側支持板22に固定するためのキー24と、上下一対のスラストベアリング25,26と、六角ナット27とを含む。
【0020】
基台側支持板21は、平面視で略前後方向に長い矩形状の板状体からなり、基台10に固定されている。具体的には、後側の上枠構成部材10UBの後面の左右方向中央部に、基台側支持板21の前端が固定されている。基台側支持板21には、厚さ方向(略上下方向)に貫通する軸挿通孔21aが形成されている。
背もたれ側支持板22は、基台側支持板21とほぼ同様な形状の板状体からなり、背もたれ部12に固定されている。具体的には、背もたれ部12の背面における下部幅中央部に、背もたれ側支持板22の前端が固定されている。平面視において、背もたれ側支持板22は、基台側支持板21の真上に重なるようにして配置されている。背もたれ側支持板22には、厚さ方向(略上下方向)に貫通する軸挿通孔22aが形成されている。軸挿通孔22aの周壁には、略上下方向に延びるキー溝22bが形成されている。
【0021】
第1回転軸23の下端部には、フランジ23aが形成されている。第1回転軸23の上端部には、雄ねじが外周面に形成されたねじ部23bが形成されている。第1回転軸23の外周面には、キー溝23cが形成されている。
第1回転軸23は、基台側支持板21の軸挿通孔21aおよび背もたれ側支持板22の軸挿通孔22aに下方から挿通されており、ねじ部23bに六角ナット27がねじ嵌められている。両キー溝22b,23cに、キー24が嵌合されることにより、第1回転軸23に背もたれ側支持板22が一体回転可能に連結されている。
【0022】
下側のスラストベアリング25は、第1回転軸23のフランジ23aと、基台側支持板21との間に介在している。上側のスラストベアリング26は、基台側支持板21と背もたれ側支持板22との間に介在している。
このような取付構造20により、背もたれ部12は、第1回転軸23の中心軸線である軸線L1を中心として回動可能に基台10に支持されている。第1回転軸23の近傍には、第1回転軸23の回転角(背もたれ部12の回転角)を検出するための第1回転角センサ28が設けられている。なお、
図9および
図10においては、第1回転角センサ28の図示は省略されている。
【0023】
図1~
図8を参照して、基台10の左側の上枠構成部材10
ULの左側面後端部には、第1掛止部31が取り付けられている。背もたれ部12の左側面の下端部には、左方向に突出する棒状の第2掛止部32が取り付けられている。そして、第1掛止部31に第1遊動防止ばね33の一端が掛け止められ、第1遊動防止ばね33の他端が第2掛止部32に掛け止められている。
【0024】
同様に、基台10の右側の上枠構成部材10URの右側面後端部には、第3掛止部35が取り付けられている。背もたれ部12の右側面の下端部には、右方向に突出する棒状の第4掛止部36が取り付けられている。そして、第3掛止部35に第2遊動防止ばね37の一端が掛け止められ、第2遊動防止ばね37の他端が第4掛止部36に掛け止められている。
【0025】
第1遊動防止ばね33および第2遊動防止ばね37により、背もたれ部12は、常にその前面が前方を向く姿勢(中立位置)となるように付勢される。これにより、不使用時においては、背もたれ部12は中立位置に保持される。
背もたれ部12は、略下半部の背もたれ下部12Aと、背もたれ下部12Aの幅よりも幅が広い略上半部の背もたれ上部12Bとを含んでいる。正面(または背面)から見た場合、背もたれ下部12Aの左側縁および右側縁は、それぞれ背もたれ上部12Bの対応する左側縁の下方延長線および右側縁側縁の下方延長線よりも内側に位置している。背もたれ上部12Bの上端部には、上方斜め後方に突出した突出部12Cが形成されている。突出部12Cは、正面から見て台形状である。
【0026】
図2~
図8および
図11を参照して、左腕保持部13および右腕保持部14の構成およびそれらの背もたれ部12への取付構造について説明する。
図11は、左腕保持部13および右腕保持部14の背もたれ部12への取付構造を説明するための一部が切り欠かれた部分拡大平面図である。
背もたれ下部12Aの左側部には、左腕保持部13を支持するための左側支持部材41が取り付けられている。また、背もたれ下部12Aの右側部には、右腕保持部14を支持するための右側支持部材42が取り付けられている。
【0027】
左側支持部材41は、板状体からなり、背もたれ下部12Aの左側面から左方向に突出した左方突出部41Aと、左方突出部41Aの突出端から前方(より正確には前方斜め下方)に突出した前方突出部41Bとからなる。左方突出部41Aは正面から見て矩形に形成されている。前方突出部41Bは、側面から見て、略前後方向に長い略矩形に形成されている。前方突出部41Bの上端面は、前方に向かって前方突出部41Bの下端面に徐々に接近するような湾曲面に形成されている。前方突出部41Bには、厚さ方向(左右方向)に貫通する軸挿通孔41hが形成されている。
【0028】
右側支持部材42は、板状体からなり、背もたれ下部12Aの右側面から右方向に突出した右方突出部42Aと、右方突出部42Aの突出端から前方(より正確には前方斜め下方)に突出した前方突出部42Bとからなる。右方突出部42Aは正面から見て矩形に形成されている。前方突出部42Bは、側面から見て、略前後方向に長い略矩形に形成されている。前方突出部42Bの上端面は、前方に向かって前方突出部42Bの下端面に徐々に接近するような湾曲面に形成されている。前方突出部42Bには、厚さ方向(左右方向)に貫通する軸挿通孔42hが形成されている。
【0029】
左腕保持部13は、背もたれ下部12Aの左側部から前方(より正確には前方斜め下方)に突出している。左腕保持部13は、その基端部(後端部)を中心として上下に回動可能に、左側支持部材41に支持されている。
左腕保持部13は、略前後方向に延びかつ上方開口の左前腕収容凹部51dを有する左肘掛部51と、左前腕収容凹部51dの両側壁内面それぞれに設けられた第1および第2エアバッグ52A,52Bとを備えている。左肘掛部51は、平面視で略前後方向に長い矩形状の底壁部51Aと、底壁部51Aの両側縁それぞれから立ち上がった左右一対の側壁部51B,51Cとからなる。
【0030】
側壁部51B,51Cは、側面から見て、略前後方向に長い略矩形状である。側壁部51B,51Cの上端面は、前方に向かって側壁部51B,51Cの下端面に徐々に接近するような湾曲面に形成されている。両側壁部51B,51Cのうち、外側(左側)の側壁部51Bの後端部には、側壁部51Bを厚さ方向(左右方向)貫通する軸挿通孔51hが形成されている。
【0031】
底壁部51Aと側壁部51B,51Cとによって、左前腕収容凹部51dが形成されている。両側壁部51B,51Cの一方の内面に第1エアバッグ52Aが設けられ、他方の内面に第2エアバッグ52Bが設けられている。これらのエアバッグ52A,52Bは、膨張収縮可能であり、それらを膨張させることによって、使用者の左腕を左肘掛部51に固定するために設けられている。
【0032】
左側支持部材41の軸挿通孔41hおよび左腕保持部13の軸挿通孔51hには、第2回転軸53が挿通されている。第2回転軸53と左肘掛部51とは、図示しないスプライン嵌合、キー嵌合等の連結構造によって、一体回転可能に連結されている。これにより、左腕保持部13は、第2回転軸53の中心軸線L2を中心として回転可能に背もたれ部12に支持されている。第2回転軸53の近傍には、第2回転軸53の回転角(左腕保持部13の回転角)を検出するための第2回転角センサ54が設けられている。
【0033】
右腕保持部14は、背もたれ下部12Aの右側部から前方(より正確には前方斜め下方)に突出している。右腕保持部14は、その基端部(後端部)を中心として上下に回動可能に、右側支持部材42に支持されている。
右腕保持部14は、略前後方向に延びかつ上方開口の右前腕収容凹部55dを有する右肘掛部55と、右前腕収容凹部55dの両側壁内面それぞれに設けられた第3および第4エアバッグ56A,56Bとを備えている。右肘掛部55は、平面視で略前後方向に長い矩形状の底壁部55Aと、底壁部55Aの両側縁それぞれから立ち上がった左右一対の側壁部55B,55Cとからなる。
【0034】
側壁部55B,55Cは、側面から見て、略前後方向に長い略矩形状である。側壁部55B,55Cの上端面は、前方に向かって側壁部55B,55Cの下端面に徐々に接近するような湾曲面に形成されている。両側壁部55B,55Cのうち、外側(右側)の側壁部55Bの後端部には、側壁部55Bを厚さ方向(左右方向)貫通する軸挿通孔55hが形成されている。
【0035】
底壁部55Aと側壁部55B,55Cとによって、右前腕収容凹部55dが形成されている。両側壁部55B,55Cの一方の内面に第3エアバッグ56Aが設けられ、他方の内面に第4エアバッグ56Bが設けられている。これらのエアバッグ56A,56Bは、膨張収縮可能であり、それらを膨張させることによって、使用者の右腕を右肘掛部55に固定するために設けられている。
【0036】
右側支持部材42の軸挿通孔42hおよび右腕保持部14の軸挿通孔55hには、第3回転軸57が挿通されている。第3回転軸57と右肘掛部55とは、図示しないスプライン嵌合、キー嵌合等の連結構造によって、一体回転可能に連結されている。これにより、右腕保持部14は、第3回転軸57の中心軸線L3を中心として回転可能に背もたれ部12に支持されている。第3回転軸57の近傍には、第3回転軸57の回転角(右腕保持部14の回転角)を検出するための第3回転角センサ58が設けられている。
【0037】
図2~
図8を参照して、背もたれ上部12Bには、使用者の肩(胴体)を背もたれ部12に固定するための肩固定部60が設けられている。肩固定部60は、背もたれ上部12Bに取り付けられた左肩押さえ61と、背もたれ上部12Bに取り付けられた右肩押さえ62と、左肩押さえ61に設けられた第5エアバッグ63Aと、右肩押さえ62に設けられた第6エアバッグ63Bとを備えている。
【0038】
左肩押さえ61は、側面から見て略矩形の板状体からなり、背もたれ上部12Bの左側部から前方に突出している。右肩押さえ62は、側面から見て略矩形の板状体からなり、背もたれ上部12Bの右側部から前方に突出している。左肩押さえ61および右肩押さえ62の前側の上下2つのコーナ部は、斜めに切除されている。
第5エアバッグ63Aは、左肩押さえ61の内面(右肩押さえ62に対向する面)に設けられている。第6エアバッグ63Bは、右肩押さえ62の内面(左肩押さえ61に対向する面)に設けられている。これらのエアバッグ63A,63Bは、膨張収縮可能であり、それらを膨張させることによって、左肩押さえ61および右肩押さえ62の間に、エアバッグ63A,63Bを介して使用者の肩を固定するために設けられている。このようにして、使用者の肩が左肩押さえ61および右肩押さえ62の間に固定されることによって、使用者の胴体が背もたれ部12に固定される。
【0039】
図2~
図8および
図12を参照して、左脚保持部15および右脚保持部16の構成およびそれらの基台10への取付構造について説明する。
図12は、左脚保持部および右脚保持部の基台への取付構造を説明するための一部が切り欠かれた部分拡大平面図である。
基台10の前側の上枠構成部材10
UFの前面の左側部には、左右方向に軸挿通孔を有する第1軸受部材45が固定されている。基台10の前側の上枠構成部材10
UFの前面の長さ中央左側位置には、左右方向に軸挿通孔を有する第2軸受部材46が固定されている。基台10の前側の上枠構成部材10
UFの前面の右側部には、左右方向に軸挿通孔を有する第3軸受部材47が固定されている。基台10の前側の上枠構成部材10
UFの前面の長さ中央右側位置には、左右方向に軸挿通孔を有する第4軸受部材48が固定されている。
【0040】
左脚保持部15は、基台10の前側において座部11の前縁の左側部付近から下方に延びている。左脚保持部15は、その上端部を中心として上下に回動可能に基台10に支持されている。
左脚保持部15は、上下方向に延びかつ前方開口の左下腿収容凹部71dを有する左脚載部71と、左下腿収容凹部71dの両側壁内面それぞれに設けられた第7および第8エアバッグ72A,72Bとを備えている。左脚載部71は、正面視で上下方向に長い矩形状の底壁部71Aと、底壁部71Aの両側縁それぞれから前方に突出した左右一対の側壁部71B,71Cとからなる。
【0041】
側壁部71B,71Cは、側面から見て、前後方向に長い略矩形状である。側壁部71B,71Cの前側上部のコーナ部の端面は、外方に凸の湾曲面に形成されている。底壁部71Aには、その上部の左側後方のコーナ部分が切除された切除部71eが形成されている。底壁部71Aの上部には、底壁部71Aを左右方向に貫通し、かつ左端が切除部71eの左向き内側面に開口する軸挿通孔71hが形成されている。軸挿通孔71hの周面には、左右方向に延びたキー溝71fが形成されている。
【0042】
底壁部71Aと側壁部71B,71Cとによって、左下腿収容凹部71dが形成されている。両側壁部71B,71Cの一方の内面に第7エアバッグ72Aが設けられ、他方の内面に第8エアバッグ72Bが設けられている。これらのエアバッグ72A,72Bは、膨張収縮可能であり、それらを膨張させることによって、使用者の左下腿を左脚載部71に固定するために設けられている。
【0043】
第1軸受部材45、左脚保持部15の軸挿通孔71hおよび第2軸受部材46には、第4回転軸73が挿通されている。第4回転軸73の外周面には、キー溝73aが形成されている。両キー溝71f,73aに、キー70が嵌合されることにより、第4回転軸73と左脚載部71とが一体回転可能に連結されている。これにより、左脚保持部15は、第4回転軸73の中心軸線L4を中心として回転可能に基台10に支持されている。第4回転軸73の近傍には、第4回転軸73の回転角(左脚保持部15の回転角)を検出するための第4回転角センサ74が設けられている。
【0044】
右脚保持部16は、基台10の前側において座部11の前縁の右側部付近から下方に延びている。右脚保持部16は、その上端部を中心として上下に回動可能に基台10に支持されている。
右脚保持部16は、上下方向に延びかつ前方開口の右下腿収容凹部75dを有する右脚載部75と、右下腿収容凹部75dの両側壁内面それぞれに設けられた第9および第10エアバッグ76A,76Bとを備えている。右脚載部75は、正面視で上下方向に長い矩形状の底壁部75Aと、底壁部75Aの両側縁それぞれから前方に突出した左右一対の側壁部75B,75Cとからなる。
【0045】
側壁部75B,75Cは、側面から見て、前後方向に長い略矩形状である。側壁部75B,75Cの前側上部のコーナ部の端面は、外方に凸の湾曲面に形成されている。底壁部75Aには、その上部の左側後方のコーナ部分が切除された切除部75eが形成されている。底壁部75Aの上部には、底壁部75Aを左右方向に貫通し、かつ右端が切除部75eの右向き内側面に開口する軸挿通孔75hが形成されている。軸挿通孔75hの周面には、左右方向に延びたキー溝75fが形成されている。
【0046】
底壁部75Aと側壁部75B,75Cとによって、右下腿収容凹部75dが形成されている。両側壁部75B,75Cの一方の内面に第9エアバッグ76Aが設けられ、他方の内面に第10エアバッグ76Bが設けられている。これらのエアバッグ76A,76Bは、膨張収縮可能であり、それらを膨張させることによって、使用者の右下腿を右脚載部75に固定するために設けられている。
【0047】
第3軸受部材47、右脚保持部16の軸挿通孔75hおよび第4軸受部材48には、第5回転軸77が挿通されている。第5回転軸77の外周面には、キー溝77aが形成されている。両キー溝75f,77aに、キー79が嵌合されることにより、第5回転軸737と右脚載部75とが一体回転可能に連結されている。これにより、右脚保持部16は、第5回転軸77の中心軸線L5を中心として回転可能に基台10に支持されている。第5回転軸77の近傍には、第5回転軸77の回転角(右脚保持部16の回転角)を検出するための第5回転角センサ78が設けられている。
【0048】
図4~
図6および
図8に示すように、制御ユニット17は、基台10に取り付けられている。制御ユニット17は、第1~第10エアバッグ52A,52B,56A,56B,63A,63B,72A,72B,76A,76Bを制御する。制御ユニット17と、第1~第10エアバッグ52A,52B,56A,56B,63A,63B,72A,72B,76A,76Bとは、
図2~
図8には図示しないエアチューブを介して接続されている。
【0049】
制御ユニット17には、リモコン18(
図13参照)が電気ケーブルを介して接続されている。リモコン18は、使用者がコントローラチェア2を操作するためのものである。リモコン18には、1または複数の操作キー等が設けられている。この実施形態では、説明の便宜上、リモコン18には、オン指令を発生させるためのオンキーと、オフ指令を発生させるためのオフキーとが設けられているものとする。
【0050】
図13は、制御ユニット17の構成を示すブロック図である。
図14は、エアポンプから各エアバッグまでのエア回路を示すエア回路図である。
制御ユニット17は、エアポンプ91と、第1、第2および第3主電磁弁92,93,94と、第1、第2および第3副電磁弁95,96,97と、制御部80と、複数の駆動回路81,82,83,84,85,86,87とを備えている。各主電磁弁92,93,94は、
図14に示すように、入力ポートP1、出力ポートP2および排気ポートP3を有する3ポート電磁弁からなる。各副電磁弁95,96,97は、
図14に示すように、入力ポートP4および出力ポートP5を有する自己保持型の2ポート電磁弁(開閉弁)からなる。各副電磁弁95,96,97は、この実施形態では、開コイルと閉コイルとを有するダブルソレノイド型の自己保持弁からなる。
【0051】
複数の駆動回路81~87は、エアポンプ91の駆動回路81と、第1、第2および第3主電磁弁92,93,94に対する駆動回路82,83,84と、第1、第2および第3副電磁弁95,96,97に対する駆動回路85,86,87とを含んでいる。
制御部80は、マイクロコンピュータを含んでいる。マイクロコンピュータは、CPU、メモリ(RAM、ROM、不揮発性メモリ)等を備えている。メモリには、CPUのプログラムの他、各種データが記憶される。制御部80には、リモコン18、第1~第5回転角センサ28,54,58,74,78および各駆動回路81~87が接続されている。第1~第5回転角センサ28,54,58,74,78としては、例えば、ロータリーエンコーダ等の回転角センサを用いることができる。この実施形態では、第1~第5回転角センサ28,54,58,74,78として、クワドラチャエンコーダが用いられている。
【0052】
図14を参照して、エアポンプ91は、エアチューブ101を介して、第1、第2および第3主電磁弁92,93,94の入力ポートP1に接続されている。第1主電磁弁92の出力ポートP2は、エアチューブ102を介して、第1~第4エアバッグ52A,52B,56A,56Bに接続されている。第2主電磁弁93の出力ポートP2は、エアチューブ103を介して、第5および第6エアバッグ63A,63Bに接続されている。第3主電磁弁94の出力ポートP2は、エアチューブ104を介して、第7~第10エアバッグ72A,72B,76A,76Bに接続されている。
【0053】
第1、第2および第3主電磁弁92,93,94の排気ポートP3は、それぞれ、第1、第2および第3副電磁弁95,96,97の入力ポートP4に、エアチューブ105,106,107を介して接続されている。
図13に戻り、制御部80は、リモコン18からのオン指令またはオフ指令に基づいて、駆動回路81~87を駆動制御することにより、ポンプ91および電磁弁92~97を制御する。制御部80によるポンプ91および電磁弁92~97の制御方法について、具体的に説明する。
【0054】
常時は、ポンプ91がオフ状態となり、各主電磁弁92~94の入力ポートP1と出力ポートP2とが非接続状態となり、各主電磁弁92~94の出力ポートP2と排気ポートP3とが接続状態となり、副電磁弁95~97が開状態となっている。
リモコン18からオン指令が入力されると、制御部80は、ポンプ91を駆動し、全ての主電磁弁92~94のコイルに通電し、全ての副電磁弁95~97の閉コイルに通電する。これにより、各主電磁弁92~94の入力ポートP1と出力ポートP2とが接続状態となり、各主電磁弁92~94の出力ポートP2と排気ポートP3とが非接続状態となり、各副電磁弁95~97が閉状態となる。
【0055】
これにより、エアポンプ91から、エアチューブ101、第1主電磁弁92およびエアチューブ102を介して第1~第4エアバッグ52A,52B,56A,56Bに空気が供給される。また、エアポンプ91から、エアチューブ101、第2主電磁弁93およびエアチューブ103を介して第5および第6エアバッグ63A,63Bに空気が供給される。さらに、エアポンプ91から、エアチューブ101、第3主電磁弁94およびエアチューブ104を介して第7~第10エアバッグ72A,72B,76A,76Bに空気が供給される。
【0056】
これにより、全てのエアバック52A,52B,56A,56B,63A,63B,72A,72B,76A,76Bが膨張する。
オン指令が入力されてから、所定時間が経過すると、制御部80は、ポンプ91の駆動を停止し、全ての主電磁弁92~94のコイルへの通電を停止し、全ての副電磁弁95~97の閉コイルへの通電を停止する。所定時間は、全てのエアバッグ52A,52B,56A,56B,63A,63B,72A,72B,76A,76Bが膨張状態になるのに適した時間に設定される。これにより、各主電磁弁92~94の入力ポートP1と出力ポートP2とが非接続状態となり、各主電磁弁92~94の出力ポートP2と排気ポートP3とが接続状態となる。
【0057】
しかし、各副電磁弁95~97は、閉コイルへの通電が停止されても、閉状態を保持するので、各エアバック52A,52B,56A,56B,63A,63B,72A,72B,76A,76Bは、膨張状態を維持する。
この後、リモコン18からオフ指令が入力されると、制御部80は、全ての副電磁弁95~97の開コイルに所定の短時間だけ通電する。これにより、各副電磁弁95~97は、開状態となる。開コイルへの通電が停止されても、各副電磁弁95~97は、開状態を保持する。
【0058】
これにより、第1~第4エアバッグ52A,52B,56A,56B内の空気が、エアチューブ102、第1主電磁弁92、エアチューブ105および第1副電磁弁95を介して外部に排気される。また、第5および第6エアバッグ63A,63B内の空気が、エアチューブ103、第2主電磁弁93、エアチューブ106および第2副電磁弁96を介して外部に排気される。さらに、第7~第10エアバッグ72A,72B,76A,76B内の空気が、エアチューブ104、第3主電磁弁94、エアチューブ107および第3副電磁弁97を介して外部に排気される。
【0059】
これにより、全てのエアバック52A,52B,56A,56B,63A,63B,72A,72B,76A,76Bが収縮する。
制御部80は、オン指令が入力されてからオフ指令が入力されるまでの間、第1~第5回転角センサ28,54,58,74,78からの出力信号に基づいて、第1回転軸23、第2回転軸53、第3回転軸57、第4回転軸74および第5回転軸78の回転角(回転軸の基準位置からの回転量)および回転方向を演算して出力する。
【0060】
使用者は、コントローラチェア2に着座し、左脚載部71に左下腿を嵌め入れるとともに、右脚載部75に右下腿を嵌め入れる。また、使用者は、左肘掛部51に左前腕を嵌め入れるとともに、右肘掛部55に右前腕を嵌め入れる。そして、使用者は、リモコン18のオンキーを操作する。これにより、全てのエアバッグ52A,52B,56A,56B,63A,63B,72A,72B,76A,76Bが膨張するので、左脚載部71、右脚載部75、左肘掛部51および右肘掛部55に、それぞれ、左下腿、右下腿、左前腕および右前腕が固定される。また、左肩押さえ61と右肩押さえ62の間に肩が固定される。
【0061】
この状態で、使用者が左腕を動かすと、
図15に示すように、軸線L2を中心として、左腕保持部13を回動させることができる。同様に、使用者が右腕を動かすと、軸線L3を中心として、右腕保持部14を回動させることができる。
また、使用者が左脚を動かすと、
図15に示すように、軸線L4を中心として、左脚保持部15を回動させることができる。同様に、使用者が右脚を動かすと、軸線L5を中心として、右脚保持部16を回動させることができる。
【0062】
また、使用者が、肩(胴体)を動かすと、
図16A、
図16Bおよび
図16Cに示すように、軸線L1を中心として、背もたれ部12を回動させることができる。
使用者の肩(胴体)、左腕、右腕、左脚および右脚の動きは、第1~第5回転角センサ28,54,58,74,78によって検出されて、制御部80から各部の動きを表す信号(回転角および回転方向を表す信号)として出力される。
【0063】
使用者は、操作終了時には、リモコン18のオフキーを操作する。これにより、全てのエアバッグ52A,52B,56A,56B,63A,63B,72A,72B,76A,76Bが収縮するので、使用者は、左脚載部71、右脚載部75、左肘掛部51および右肘掛部55から、それぞれ、左下腿、右下腿、左前腕および右前腕を容易に外すことができる。また、使用者は、左肩押さえ61と右肩押さえ62の間から肩を容易に外すことができる。
【0064】
前述のコントローラチェア2によれば、使用者の胴体、左腕、右腕、左脚および右脚それぞれの動きに応じた信号を発生させることができる。
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。例えば前述の実施形態では、背もたれ部12を基台10に対して中立位置に付勢するための第1遊動防止ばね33および第2遊動防止ばね37は、背もたれ部12の両側面の下端部を前方に付勢する引っ張りコイルばねから構成されている。しかし、背もたれ部12を中立位置に付勢するための第1遊動防止ばねおよび第2遊動防止ばねは、
図17に示すように、背もたれ部12背面下部の両側部を、基台10に対して前方に付勢するための左右一対の圧縮コイルばね33A,37Aであってもよい。
【0065】
具体的には、基台10の後側の上枠構成部材10UBの後面上端部の左側部に、支持部材111が取り付けられている。支持部材111は、板状体からなり、上枠構成部材10UBの後面に固定された固定部111Aと、固定部111Aの上端から略後方に延びた横行部111Bと、横行部111Bの後端から略上方に延びた立上部111Cとからなる。背もたれ部12の背面下部の左側部と、支持部材111の立上部111Cとの間に、圧縮コイルばねからなる第1遊動防止ばね33Aが介在している。
【0066】
基台10の後側の上枠構成部材10UBの後面上端部の右側部に、支持部材112が取り付けられている。支持部材112は、板状体からなり、上枠構成部材10UBの後面に固定された固定部112Aと、固定部112Aの上端から略後方に延びた横行部112Bと、横行部112Bの後端から略上方に延びた立上部112Cとからなる。背もたれ部12の背面下部の左側部と、支持部材112の立上部112Cとの間に、圧縮コイルばねからなる第2遊動防止ばね37Aが介在している。
【0067】
図17に示すような遊動防止ばね33A,37Aが用いられた場合において、使用者が、例えば肩(胴体)を動かすと、
図18A、
図18Bおよび
図18Cに示すように、軸線L1を中心として、背もたれ部12を回動させることができる。
また、前述の実施形態では、左前腕収容凹部51dの両側壁の内面それぞれにエアバッグ52A,52Bが設けられているが、左前腕収容凹部51dの両側壁の内面のいずれか一方にのみエアバッグが設けられていてもよい。同様に、右前腕収容凹部55dの両側壁の内面のいずれか一方にのみエアバッグが設けられていてもよい。
【0068】
同様に、左下腿収容凹部71dの両側壁の内面のいずれか一方にのみエアバッグが設けられていてもよい。同様に、右下腿収容凹部75dの両側壁の内面のいずれか一方にのみエアバッグが設けられていてもよい。
また、前述の実施形態では、主電磁弁92~94と副電磁弁95~97のペアが3組設けられている。しかし、主電磁弁と副電磁弁のペアは、全てのエアバッグに共通の1組のみ設けられてもよい。また、主電磁弁と副電磁弁のペアは、各エアバッグに対して1組ずつ設けられてもよい。また、全てのエアバッグを前述した実施形態とは異なる任意のグループに分け、グループ毎に、主電磁弁と副電磁弁のペアが設けられてもよい。
【0069】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0070】
11 座部
12 背もたれ部
13 左腕保持部
14 右腕保持部
15 左脚保持部
16 右脚保持部
17 制御ユニット
18 リモートコントローラ
23 第1回転軸
28 第1回転角センサ
41 左側支持部材
42 右側支持部材
45 第1軸受部材
46 第2軸受部材
47 第3軸受部材
48 第4軸受部材
51 左肘掛部
51d 左前腕収容凹部
52A,52B 第1および第2エアバッグ
53 第2回転軸
54 第2回転角センサ
55 右肘掛部
55d 右前腕収容凹部
56A,56B 第3および第4エアバッグ
57 第3回転軸
58 第3回転角センサ
60 肩固定部
61 左肩押さえ
62 右肩押さえ
63A,63B 第5および第6エアバッグ
71 左脚載部
71d 左下腿収容凹部
72A,72B 第7および第8エアバッグ
73 第4回転軸
74 第4回転角センサ
75 右脚載部
75d 右下腿収容凹部
76A,76B 第9および第10エアバッグ
76B 第10エアバッグ
77 第5回転軸
78 第5回転角センサ
80 制御部