(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】土中埋設鋼管用蓋体、土中埋設鋼管、および継手部材
(51)【国際特許分類】
E02D 5/72 20060101AFI20221207BHJP
E02D 5/24 20060101ALI20221207BHJP
E02D 5/28 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
E02D5/72
E02D5/24 103
E02D5/28
(21)【出願番号】P 2019061266
(22)【出願日】2019-03-27
【審査請求日】2022-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006839
【氏名又は名称】日鉄建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸山 栄
(72)【発明者】
【氏名】和田 昌敏
(72)【発明者】
【氏名】厳 明光
(72)【発明者】
【氏名】徳岡 孝俊
(72)【発明者】
【氏名】田原 慎太郎
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-119778(JP,A)
【文献】特開2002-081060(JP,A)
【文献】実公昭36-030133(JP,Y1)
【文献】特開2005-061159(JP,A)
【文献】特開2005-264453(JP,A)
【文献】特開2017-223072(JP,A)
【文献】特開2009-256968(JP,A)
【文献】特開2017-186790(JP,A)
【文献】特開昭59-122624(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2002-0083583(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 5/72
E02D 5/24
E02D 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
土中に埋設される鋼管本体の端部に設けられる土中埋設鋼管用蓋体であって、
前記鋼管本体の端面と同一形状とされ、前記鋼管本体の端面の開口を塞ぐ底面部と、
前記鋼管本体側に向く前記底面部の面に設けられ、前記鋼管本体の端面の開口の最大寸法の位置に挿入され、前記開口の最大寸法よりも長い寸法のリブ状部とを備え、
前記リブ状部は、中央部が前記底面部に接合され、端部が前記底面部に接合されない自由端とされる土中埋設鋼管用蓋体。
【請求項2】
請求項1に記載の土中埋設鋼管用蓋体において、
前記鋼管本体は角形鋼管であり、
前記リブ状部は、前記角形鋼管の矩形状の開口の対角線上に設けられる土中埋設鋼管用蓋体。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の土中埋設鋼管用蓋体において、
前記リブ状部の自由端側の先端には、前記リブ状部の幅方向上端から下端に向かって次第に幅狭となるテーパー部が形成されている土中埋設鋼管用蓋体。
【請求項4】
鋼管本体と、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の土中埋設鋼管用蓋体とを備え、前記土中埋設鋼管用蓋体が前記鋼管本体の端部に設けられた土中埋設鋼管。
【請求項5】
上下に埋設される土中埋設鋼管同士を連結する継手部材であって、
上下に配置される前記土中埋設鋼管のそれぞれの端面を塞ぐ平板部と、
前記平板部の表裏面のそれぞれに設けられ、前記土中埋設鋼管の端面の開口の最大寸法の位置に挿入され、前記開口の最大寸法よりも長い寸法のリブ状部とを有し、
前記リブ状部は、中央部が前記平板部に接合され、端部が前記平板部に接合されない自由端とされる継手部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土中埋設鋼管用蓋体、土中埋設鋼管、および継手部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、土中に鋼管を埋設することにより、杭構造を施工したり、地盤補強を行う技術が知られている。
特許文献1には、オーガー等の掘削機を用いて地盤に掘削穴を開けた後、埋設方向先端面を蓋体(先端シューともいう)で塞いだ角形鋼管を掘削穴に挿入し、鋼管の上端から圧力を加えて鋼管杭、鋼管地盤補強材等を圧入する技術が開示されている。先端シューは、圧入時先端面に衝突した土砂を鋼管側面に排土し、鋼管に作用する周面摩擦力を向上させる。
【0003】
特許文献1に記載の先端シューは、鋼板の裏面(鋼管の内側に配置される面)に屈曲した鉄筋を溶接し、鉄筋の屈曲部を角形鋼管の角隅部に摩擦力を生じさせた状態で摺動させることにより、鋼管先端の開口面を先端シューで塞ぐ。圧入の際には土砂等によって先端シューに抵抗力が生じるため、先端シューは脱落することなく、鋼管とともに土中に埋設される。この結果、先端シューに抵抗された土砂等は鋼管の周面に押し上げられ、鋼管に作用する周面摩擦力が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載の技術では、鉄筋の曲げ加工精度と、鋼板と鉄筋の溶接精度を確保しづらく、先端シューの製造が困難であるという課題がある。
また、前記特許文献1に記載の技術では、鋼管の開口寸法に応じて鉄筋の溶接位置を変更する必要があり、鋼管の厚さ寸法に応じた開口寸法の種類に十分に対応できないという課題がある。
【0006】
本発明の目的は、鋼管の埋設方向先端面の開口を簡単な構造で塞ぐことができ、鋼管本体の開口寸法に対応することのできる土中埋設鋼管用蓋体、土中埋設鋼管、および継手部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の土中埋設鋼管用蓋体は、土中に埋設される鋼管本体の端部に設けられる土中埋設鋼管用蓋体であって、前記鋼管本体の端面と同一形状とされ、前記鋼管本体の端面の開口を塞ぐ底面部と、前記鋼管本体側に向く前記底面部の面に設けられ、前記鋼管本体の端面の開口の最大寸法の位置に挿入され、前記開口の最大寸法よりも長い寸法のリブ状部とを備え、前記リブ状部は、中央部が前記底面部に接合され、端部が前記底面部に接合されない自由端とされる。
【0008】
本発明によれば、リブ状部が鋼管本体の開口の最大寸法よりも長い寸法を有し、リブ状部の端部が自由端とされる。そして、リブ状部が鋼管本体の開口の内部に収容されたときに、リブ状部の端部が屈曲した状態で鋼管本体内部に収容される。これにより、リブ状部のバネ力が鋼管本体の内面に作用して、土中埋設鋼管用蓋体が鋼管本体から脱落することを防止できる。
また、鋼管本体の開口寸法に応じてリブ状部の屈曲状態を変化させることができるため、鋼管本体の厚さ寸法の種類に対応して土中埋設鋼管用蓋体を装着できる。
【0009】
本発明では、前記鋼管本体は角形鋼管であり、前記リブ状部は、前記角形鋼管の矩形状の開口の対策線上に設けられるのが好ましい。
本発明によれば、リブ状部が角形鋼管の対角線上に設けられるため、リブ状部の端部が対角線の端部で交わる角形鋼管の2つの内面に当接する。したがって、角形鋼管の2つの内面によってリブ状部の動きを拘束できるため、リブ状部によるバネ力の大きさが変化することなく鋼管本体に作用させることができ、土中埋設鋼管用蓋体の脱落を一層確実に防止できる。
【0010】
本発明では、前記リブ状部の自由端側の先端には、前記リブ状部の幅方向上端から下端に向かって、前記リブ状部の長手方向に沿った寸法が次第に幅狭になるテーパー部が形成されているのが好ましい。
本発明によれば、リブ状部の先端にテーパー部が形成されることにより、土中埋設鋼管用蓋体のリブ状部を鋼管本体の開口内部に挿入し易くなる。したがって、鋼管本体に対する土中埋設鋼管用蓋体の取り付け作業の手間を軽減できる。
【0011】
本発明の土中埋設鋼管は、鋼管本体と、前述したいずれかの土中埋設鋼管用蓋体とを備え、前記土中埋設鋼管用蓋体が前記鋼管本体の端部に設けられる。
この発明によっても前述した作用および効果と同様の作用および効果を享受できる。
【0012】
本発明の継手部材は、上下に配置される土中埋設鋼管同士を連結する継手部材であって、上下に配置される前記土中埋設鋼管のそれぞれの端面を塞ぐ平板部と、前記平板部の表裏面のそれぞれに設けられ、前記土中埋設鋼管の端面の開口の最大寸法の位置に挿入され、前記開口の最大寸法よりも長い寸法のリブ状部とを有し、前記リブ状部は、中央部が前記平板部に接合され、端部が前記平板部に接合されない自由端とされる。
本発明によれば、前記と同様の作用により、上下に配置される土中埋設鋼管を簡単に連結できる。
また、継手部材が土中埋設鋼管用蓋体と同様の平板部およびリブ状部から構成されるため、土中埋設鋼管に必要な部品点数を低減でき、同じ取り付け方法を採用できるため、施工作業の繁雑化を招くこともない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る土中埋設鋼管の水平および鉛直方向断面図。
【
図2】前記実施の形態における土中埋設鋼管用蓋体の構造を示す平面図。
【
図3】前記実施の形態におけるリブ状部の先端形状を示す側面図。
【
図4】前記実施の形態における継手部材の構造を示す鉛直方向断面図。
【
図5】前記実施の形態における土中埋設鋼管の施工方法を示す模式図。
【
図6】本発明の第2の実施の形態に係る土中埋設鋼管用蓋体のリブ状部の構造を示す側面図および平面図。
【
図7】本発明の第3の実施の形態に係る土中埋設鋼管用蓋体のリブ状部の構造を示す正面図および斜視図。
【
図8】本発明の第4の実施の形態に係る土中埋設鋼管用蓋体のリブ状部の構造を示す平面図。
【
図9】本発明の第5の実施の形態に係る土中埋設鋼管用蓋体のリブ状部の構造を示す斜視図。
【
図10】本発明の第6の実施の形態に係る土中埋設鋼管用蓋体のリブ状部の構造を示す斜視図。
【
図11】本発明の第7の実施の形態に係る土中埋設鋼管用蓋体の構造を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
[1]第1の実施の形態
図1には、本発明の第1の実施の形態に係る土中埋設鋼管1が示されている。
図1(A)は土中埋設鋼管1の水平方向断面図であり、
図1(B)は土中埋設鋼管1の鉛直方向断面図である。土中埋設鋼管1は、砂質地盤、粘土質地盤等の軟弱地盤に複数本埋設され、地盤の長期許容鉛直支持力を補強する地盤補強材として機能する。土中埋設鋼管1は、鋼管本体2および土中埋設鋼管用蓋体3を備える。
【0015】
鋼管本体2は、幅寸法が50mmから150mm、厚さ寸法が2.3mmから6mmの断面矩形状の角形鋼管から構成され、具体的には一般構造用角形鋼管のSTKR400、STKR490等が用いられる。
土中埋設鋼管用蓋体3は、鋼管本体2の鉛直下方側の端面を塞ぐ部材であり、底面部31およびリブ状部32を備える。
【0016】
底面部31は、たとえばSM490A、SS400等の一般構造用圧延鋼板から構成され、
図1に示すように、厚さ寸法tが9.0mm、一辺の長さ寸法D1が155mmの矩形状の鋼板が用いられる。
底面部31は、鋼管本体2と同一形状とされ、一辺の長さ寸法D1が鋼管本体2の端面寸法D2よりも一回り大きな寸法に形成され、底面部31に外側から土圧が作用しても鋼管本体2の開口内に陥没しないような寸法に設定される。
【0017】
リブ状部32はバネ鋼から構成され、たとえばSUP6、SUP7、SUP11、SUP13等の鋼板から構成され、厚さ寸法が3.2mm、幅寸法Hが20mmの帯鋼に切断したものが用いられる。
リブ状部32は、底面部31の矩形の対角線上の2箇所に設けられ、溶接部33、34によって底面部31にスポット溶接される。このため、リブ状部32の溶接部33で挟まれた中央部は、底面部31に対して剛接合され、リブ状部32の中央部から先端側の端部は、底面部31に溶接されない自由端とされる。
【0018】
なお、2箇所のリブ状部32のうち、一方のリブ状部32(
図1(A)では紙面横方向に延びるリブ状部)は、他方のリブ状部32(
図1(A)では紙面上下方向に延びるリブ状部)と中央で交差するため、中央で分割される。分割されたリブ状部32は、その基端が溶接部34により底面部31に接合され、底面部31との剛接合が確保される。
【0019】
土中埋設鋼管用蓋体3のより詳細な寸法関係について
図2を参照して説明すると、リブ状部32の長さ寸法L1は、鋼管本体2の開口の対角線寸法よりも長くなっている。具体的には、リブ状部32の長さ寸法L1は、リブ状部32が鋼管本体2の開口の内部に挿入されたときに、リブ状部32の自由端が曲げ方向に変形して十分なバネ力を生じさせることのできる寸法とされる。
【0020】
リブ状部32の底面部31に剛接合される領域の長さ寸法L2は、底面部31との接合強度を確保でき、底面部31に作用する面外方向の力によって底面部31に面外方向に変形を生じさせない寸法に設定される。具体的には、剛接合領域の長さ寸法L2は、リブ状部32の長さ寸法L1に対して、25%から75%の範囲が好ましい。
【0021】
リブ状部32の自由端領域の長さ寸法L3は、鋼管本体2の開口部に挿入した際、変形して挿入し易くなり、挿入後には、変形に伴うバネ力を鋼管本体2の内面に十分作用させることのできる寸法に設定される。具体的には、自由端領域の長さ寸法L3は、リブ状部32の長さ寸法L1に対して、37.5%から12.5%の範囲が好ましい。
また、リブ状部32の厚さ寸法は、2.3mmから4.5mmの範囲が好ましく、リブ状部32の高さ寸法(幅寸法)は、5mmから20mmの範囲が好ましい。
【0022】
リブ状部32の自由端側先端には、
図3に示すように、テーパー部32Aが形成されている。テーパー部32Aは、リブ状部32の幅方向上端から中央部に向かって、リブ状部32の長手方向に沿った寸法が次第に小さくなるように傾斜する。
前述したようにリブ状部32の長さ寸法L1は、鋼管本体2の開口の対角線寸法よりも大きく設定される。しかし、リブ状部32の上端におけるテーパー部32Aの長手方向の控え寸法L4は、長さ寸法L1-2×L4が鋼管本体2の開口の対角線寸法よりも小さく設定される。
【0023】
鋼管本体2に土中埋設鋼管用蓋体3を挿入する際は、まずリブ状部32の上端部分を鋼管本体2の開口に挿入する。この状態で、ハンマー等の打撃工具で底面部31を叩くことにより、リブ状部32は、自由端の領域が変形しながら、
図1(A)に示すように、自由端領域が弯曲した状態で鋼管本体2の内部に収容される。
リブ状部32の弯曲変形により生じる付勢力は、鋼管本体2の角隅部で隣接する2つの内部側面に作用し、土中埋設鋼管用蓋体3を鋼管本体2に保持させる。
【0024】
次に、本実施の形態の継手部材4について、
図4の鉛直方向断面図に基づいて説明する。継手部材4は、前述した土中埋設鋼管1を埋設したが、長期許容鉛直支持力が十分でない場合、土中埋設鋼管1の上端部の開口に装着される。継手部材4の上部には、鋼管本体2が挿入され、鋼管本体2の2本分が土中に埋設することにより、軟弱地盤における長期許容鉛直支持力を確保する。継手部材4は、平板部41およびリブ状部42を備える。
平板部41は、土中埋設鋼管用蓋体3と同様の一般構造用圧延鋼板であり、土中埋設鋼管用蓋体3の底面部31と同様の形状、寸法から構成される。
【0025】
リブ状部42は、平板部41の表裏面であって、角形鋼管からなる鋼管本体2の対角線上に設けられる。リブ状部42は、平板部41に対して溶接部43、44で接合され、いずれの側のリブ状部42の接合位置も、土中埋設鋼管用蓋体3のリブ状部32と同様の位置とされる。すなわち、リブ状部42は、溶接部43の内側の領域は平板部41に対して剛接合とされ、溶接部43の外側の領域は自由端とされる。
また、
図4では図示を略したが、リブ状部42の自由端側先端には、土中埋設鋼管用蓋体3のリブ状部32と同様にテーパー部が形成される。
【0026】
次に、前述した土中埋設鋼管1の施工手順について、
図5の模式図に基づいて説明する。
図5(A)に示すように、杭打ち機5の圧入機51にオーガー52を装着した状態で、杭打ち機5を移動させ、地盤補強材を埋設する杭芯にオーガー52の回転軸をセットする。
杭芯がセットされたら、
図5(B)に示すように、オーガー52を回転駆動させながら、圧入機51によりオーガー52を地盤に圧入して掘削を行う。
オーガー52による掘削が終了したら、
図5(C)に示すように、オーガー52を上方に移動させる。
【0027】
オーガー52を取り外し、土中埋設鋼管1を圧入機51に装着し、
図5(D)に示すように、土中埋設鋼管1の上端の頭部に圧力を加えて、土中埋設鋼管1を掘削穴に挿入する。
土中埋設鋼管1が所定寸法埋設されたら、土中埋設鋼管1の杭頭部に継手部材4を装着する。この際、必要に応じてハンマー等の打撃工具で継手部材4を打撃して、継手部材4の底面部31を土中埋設鋼管1の杭頭部に密着させる。
【0028】
圧入機51に鋼管本体2を装着し、鋼管本体2に継手部材4の上側のリブ状部42を挿入した後、
図5(E)に示すように、圧入機51により鋼管本体2を圧入する。
図5(F)に示すように、土中埋設鋼管1および鋼管本体2の埋設が終了したら、圧入力を確認して施工を完了する。
【0029】
このような本実施の形態によれば、以下のような効果がある。
リブ状部32が鋼管本体2の開口の最大寸法よりも大きな長さ寸法L1を有し、リブ状部32の端部が自由端とされる。そして、リブ状部32が鋼管本体2の開口の内部に収容されたときに、リブ状部32の端部が屈曲した状態で鋼管本体2の内部に収容される。これにより、リブ状部32のバネ力が鋼管本体2の内面に作用して、土中埋設鋼管用蓋体3が鋼管本体2から脱落することを防止できる。
また、鋼管本体2の開口寸法に応じてリブ状部32の屈曲状態を変化させることができるため、鋼管本体2の厚さ寸法の種類に対応して土中埋設鋼管用蓋体3を装着できる。
【0030】
リブ状部32の端部が角形鋼管からなる鋼管本体2の対角線上に設けられるため、リブ状部32の端部が対角線で交わる角形鋼管の2つの内側面に当接する。したがって、角形鋼管の2つの内側面によってリブ状部32の動きを拘束できるため、リブ状部32によるバネ力の大きさが変化することなく鋼管本体2に作用させることができ、土中埋設鋼管用蓋体3の脱落を一層確実に防止できる。
リブ状部32の先端にテーパー部32Aが形成されることにより、土中埋設鋼管用蓋体3のリブ状部32を鋼管本体2の開口内部に挿入し易くなる。したがって、鋼管本体2に対する土中埋設鋼管用蓋体3の取り付け作業の手間を軽減できる。
【0031】
リブ状部32が底面部31の対角線上に接合されることにより、底面部31の面外方向に作用する力に対する抵抗が増加する。したがって、その分、底面部31の厚さ寸法tを小さくすることができるため、土中埋設鋼管1の軽量化と、土中埋設鋼管用蓋体3の材料コストの低減を図ることができる。たとえば、底面部31に作用するモーメントが半分になるので、底面部31の厚さ寸法t=9mmであれば、断面係数zは板厚寸法hの二乗(z=1/6・b・h2)に比例するので、9×√0.5=6.4mmに小さくすることができる。
継手部材4が土中埋設鋼管用蓋体3と同様の平板部41およびリブ状部42から構成されるため、土中埋設鋼管1に必要な部品点数を低減でき、同じ取り付け方法を採用できるため、施工作業の繁雑化を招くこともない。
【0032】
[2]第2の実施の形態
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
前述の第1の実施形態では、リブ状部32の先端は、リブ状部32の幅方向に傾斜するテーパー部32Aしか形成されていなかった。
【0033】
これに対して、本実施の形態では、
図6(A)、(B)に示すように、土中埋設鋼管用蓋体6のリブ状部62の先端部分には、リブ状部62の幅方向に傾斜するテーパー部62Aに加え、リブ状部62の板厚方向に傾斜する第2テーパー部62Bが形成されている点が相違する。
第2テーパー部62Bは、リブ状部62の幅方向(高さ方向)の中央の領域に形成され、リブ状部62の最も突出した部分に形成される。このため、第2テーパー部62Bは、下側のテーパー部62Aと上側のテーパー部62Aの交わる領域に形成される。
このような本実施の形態によっても、前述と同様の作用および効果を享受できる。
【0034】
[3]第3の実施の形態
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
前述した第1の実施の形態では、土中埋設鋼管用蓋体3のリブ状部32は、平鋼から構成されていた。
これに対して、本実施の形態の土中埋設鋼管用蓋体7のリブ状部72は、
図7(A)、
図7(B)に示すように、平鋼を長手方向の中心軸を中心として、幅方向に湾曲させた点が相違する。
【0035】
リブ状部72には、第2の実施の形態と同様に、幅方向に傾斜するテーパー部72Aと、リブ状部72の板厚方向に傾斜する第2テーパー部72Bが形成されている。
リブ状部72は、下側のテーパー部72Aと上側のテーパー部72Aが交わるリブ状部72の最も先端となる位置で、かつリブ状部72の長手方向の軸を中心として、リブ状部72の幅方向に湾曲する。
【0036】
このようなリブ状部72を用いて土中埋設鋼管用蓋体7を構成する場合、リブ状部72の湾曲方向を同一の向きにして底面部31に接合固定してもよいが、底面部31の対角線の中心から底面部31の角隅部に延びるリブ状部72のそれぞれについて、リブ状部72の湾曲方向を交互に逆向きに設けてもよい。
このような本実施の形態によれば、前述と同様の作用および効果を享受できる上、リブ状部72の面外方向に作用する力に対して変形しにくくなるので、平鋼で構成した第1の実施の形態に係るリブ状部32に比較して板厚寸法を薄くすることができる。
【0037】
[4]第4の実施の形態
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。
前述の第1の実施の形態では、リブ状部32は、底面部31の対角線上に延びる直線状に構成されていた。
これに対して、本実施の形態では、
図8に示すように、土中埋設鋼管用蓋体8を構成するリブ状部82先端側の自由端領域が、リブ状部82の幅方向を軸として長手方向に曲折している点が相違する。曲折位置は、リブ状部82の自由端領域の溶接部33の近傍でもよく、自由端領域の中央領域、先端領域であってもよい。
このような本実施の形態によっても、前述した作用および効果と同様の作用および効果を享受できる。
【0038】
[5]第5の実施の形態
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。
前述の第1の実施の形態では、リブ状部32は、幅寸法(高さ寸法)が一定の平鋼から構成されていた。
これに対して、本発明の実施の形態では、
図9に示すように、土中埋設鋼管用蓋体9を構成するリブ状部92は、自由端領域における幅寸法が、剛接合領域となる溶接部33の基端側の領域における幅寸法よりも小さくなっている点が相違する。
【0039】
具体的には、リブ状部92は、剛接合領域に配置される幅広部921および自由端領域に配置される幅狭部922を備え、幅狭部922の先端には、第1の実施の形態と同様にテーパー部92Aが形成される。
幅狭部922は、平鋼の一部を切り欠いて形成することが可能であり、切欠位置は、リブ状部92の自由端領域で鋼管本体の内面に作用させる力に応じて適宜の位置に設定できる。同様に、幅方向の切欠量もリブ状部92の自由端領域で鋼管本体の内面に作用させる力に応じて適宜の切欠量を設定できる。
このような本実施の形態によっても、前述した作用および効果と同様の作用および効果を享受できる。
【0040】
[6]第6の実施の形態
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。
前述の第1の実施の形態では、リブ状部32は底面部31に溶接部33、34により接合固定されていた。
これに対して、本実施の形態では、
図10に示すように、土中埋設鋼管用蓋体10を構成するリブ状部32が固定プレート103、ボルトナット104により接合固定されている点が相違する。固定プレート103は、図示しないボルト挿通孔が形成され、溶接等によりリブ状部32の底部側面に固定される。土中埋設鋼管用蓋体10の底面部にも図示しないボルト挿通孔が形成され、固定プレート103と底面部のボルト挿通孔にボルトを挿通してボルトナット104によりリブ状部32を底面部に接合固定する。
このような本実施の形態によっても、前述した作用および効果と同様の作用および効果を享受できる。
【0041】
[7]第7の実施の形態
前述した第1の実施の形態では、矩形状の底面部31のすべての対角線に沿ってリブ状部32を設けていた。
これに対して、本実施の形態では、
図11に示すように、土中埋設鋼管用蓋体11の底面部31の対角線上のすべていにリブ状部32が設けられていない点が相違する。
【0042】
具体的には、リブ状部32は、底面部31の一方の対角線についてはすべてに設けられているが、他方の対角線については、対角線の矩形状の先端から対角線が交差する中央部までしかリブ状部32が設けられていない。
リブ状部32を設けない位置は、対角線上のどの位置でも適宜に設定することは可能であるが、少なくとも1本の対角線はそのすべてに亘ってリブ状部32が設けられているのが、鋼管本体に対する土中埋設鋼管用蓋体11の保持力を作用する上で好ましい。
【0043】
[8]実施の形態の変形
なお、本発明は、前述した各実施の形態に限定されるものではなく、以下に示すような変形を含むものである。
前述の実施の形態では、本発明を、軟弱地盤を補強する地盤補強材に適用していたが、本発明はこれに限られない。中小型の建築物の荷重を支持する杭に本発明を適用してもよい。ただし、杭として利用した場合、鉛直支持力のみならず水平方向に作用する水平支持力に対しても耐える必要がある。このため、継手部材としては、形状そのものは第1の実施形態の継手部材4と同じであってもよいが、水平方向に作用する荷重に耐えられるだけのリブ状部の厚さ寸法を設定する必要がある。
【0044】
前述の実施の形態では、土中埋設鋼管1は、角形鋼管であったが本発明はこれに限られない。円形鋼管、多角形鋼管等の他の断面形状を有する土中埋設鋼管に本発明を適用してもよい。
前述の実施の形態では、リブ状部32の自由端側の先端の形状は、リブ状部32の幅方向中央部が最も大きな寸法L1とされていたが、本発明はこれに限られない。たとえば、リブ状部32の底面部31側の幅方向端部で最大寸法L1とし、上部側の幅方向端部に向かうにしたがって、内側に傾斜するテーパー部としてもよい。
その他、本発明の実施の際の具体的構造および形状は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造としてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1…土中埋設鋼管、2…鋼管本体、3…土中埋設鋼管用蓋体、4…継手部材、5…杭打ち機、6…土中埋設鋼管用蓋体、7…土中埋設鋼管用蓋体、8…土中埋設鋼管用蓋体、9…土中埋設鋼管用蓋体、10…土中埋設鋼管用蓋体、11…土中埋設鋼管用蓋体、31…底面部、32…リブ状部、32A…テーパー部、33…溶接部、34…溶接部、41…平板部、42…リブ状部、43…溶接部、44…溶接部、51…圧入機、52…オーガー、62…リブ状部、62A…テーパー部、62B…第2テーパー部、72…リブ状部、72A…テーパー部、72B…第2テーパー部、82…リブ状部、92…リブ状部、92A…テーパー部、103…固定プレート、104…ボルトナット、921…幅広部、922…幅狭部、D1…寸法、D2…端面寸法、H…幅寸法、L1…寸法(最大寸法)、L2…寸法、L3…寸法、L4…寸法。