(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】清掃口一体型管継手
(51)【国際特許分類】
E03C 1/12 20060101AFI20221207BHJP
F16L 39/00 20060101ALI20221207BHJP
F16L 45/00 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
E03C1/12 C
E03C1/12 E
F16L39/00
F16L45/00
(21)【出願番号】P 2019078555
(22)【出願日】2019-04-17
【審査請求日】2021-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 敏
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-052488(JP,A)
【文献】実開昭63-193195(JP,U)
【文献】特開2002-206685(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02489917(EP,A2)
【文献】特開2018-025073(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12
F16L 39/00
F16L 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々管状に形成されると共に軸線方向と略直交する方向に沿って並列に近接配置された複数の流路部が、一体に形成された本体管部と、
前記複数の流路部の内周部の一部を形成し、前記本体管部から取り外されることにより前記複数の流路部に各々清掃口を形成する中子部と、
前記中子部の前記複数の流路部の径方向外側に配置され、取外し可能な蓋部と、
を含んで構成された清掃口一体型管継手。
【請求項2】
前記本体管部の前記複数の流路部の外周部は、隣り合う前記流路部の外周部と一体に形成された請求項1に記載の清掃口一体型管継手。
【請求項3】
前記本体管部は、全体形状が、平坦状の底面を有する略箱状に形成されると共に、設置場所の床面に載置可能な請求項1又は請求項2に記載の清掃口一体型管継手。
【請求項4】
前記蓋部は、前記本体管部の上面側に配置されると共に、前記本体管部の外側部の上端と前記本体管部に配置された前記蓋部の上端は、前記複数の流路部の上端よりも上方側に位置する請求項3に記載の清掃口一体型管継手。
【請求項5】
前記蓋部は、前記中子部と一体で形成された請求項1から請求項4の何れか1項に記載の清掃口一体型管継手。
【請求項6】
前記流路部は、前記軸線方向の一端部における流路方向と前記軸線方向の他端部における流路方向とが略直交するように屈曲された屈曲部を備える請求項1から請求項5の何れか1項に記載の清掃口一体型管継手。
【請求項7】
前記中子部は、前記屈曲部の内周部の一部を形成する請求項6に記載の清掃口一体型管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃口一体型管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、接続した配管の内部が洗浄し易くなる管継手が開示されている。管継手は、管状に形成され、軸線方向両端部が水回り器具からの排水を流す管材に接続される本体管部と、本体管部に形成され、本体管部の軸線方向に沿った寸法が、軸線方向と交差する方向の寸法よりも長い清掃口と、清掃口に嵌合して清掃口を閉塞する中子を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、住宅や工場等における排水は多岐にわたるため、排水管と管継手を複数設ける場合がある。ここで、特許文献1に記載された管継手を適用することが考えられるが、清掃口と中子を備えた管継手は、本体管部だけの管継手と比べて寸法が増加する。また、清掃口を備えた管継手を設ける場所は、例えば、メータボックスのような狭い空間が想定される。このような管継手を複数並列で設置した場合には、設置場所の空間が占領される可能性がある。このため、清掃口を備えた管継手を、狭い空間に複数並列で設置できるようにコンパクトに構成する上で改善の余地がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、狭い空間に複数並列で設置できるようにコンパクトに構成された清掃口一体型管継手を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の清掃口一体型管継手は、各々管状に形成されると共に軸線方向と略直交する方向に沿って並列に近接配置された複数の流路部が、一体に形成された本体管部と、前記複数の流路部の内周部の一部を形成し、前記本体管部から取り外されることにより前記複数の流路部に各々清掃口を形成する中子部と、前記中子部の前記複数の流路部の径方向外側に配置され、取外し可能な蓋部と、を含んで構成されている。
【0007】
この清掃口一体型管継手によれば、本体管部は、複数の流路部により形成されている。このため、本体管部に、例えば排水管のような管材を接続することにより、流路部に排水を流すことができる。また、清掃口一体型管継手の本体管部には、中子部と蓋部が配置されている。このため、中子部と蓋部を取り外すことにより複数の流路部に各々形成された清掃口から、例えば、洗浄ノズル等の洗浄用機材を複数の流路部に接続された管材に挿入することができる。これにより、管材の内部を洗浄することができる。
【0008】
さらに、この清掃口一体型管継手によれば、本体管部には、軸線方向と略直交する方向に沿って並列に近接配置された複数の流路部が、一体に形成されている。このため、本体管部は、複数の流路部の流路と直交する方向に対してコンパクトに構成されている。これにより、狭い空間に清掃口一体型管継手を設置することができる。
【0009】
請求項2に記載の清掃口一体型管継手は、請求項1に記載の清掃口一体型管継手において、前記本体管部の前記複数の流路部の外周部は、隣り合う前記流路部の外周部と一体に形成されている。
【0010】
この清掃口一体型管継手によれば、本体管部の複数の流路部の外周部は、隣り合う流路部の外周部と一体に形成されている。このため、本体管部は、複数の流路部の流路と直交する方向に対してコンパクトに構成されている。これにより、狭い空間に清掃口一体型管継手を設置することができる。
【0011】
請求項3に記載の清掃口一体型管継手は、請求項1又は請求項2に記載の清掃口一体型管継手において、前記本体管部は、全体形状が、平坦状の底面を有する略箱状に形成されると共に、設置場所の床面に載置可能とされている。
【0012】
この清掃口一体型管継手によれば、全体形状が、平坦状の底面を有する略箱状に形成された本体管部は、設置場所の床面に安定して載置することができる。さらに、管材を、支持具を設けることなく安定して本体管部に接続することができる。
【0013】
請求項4に記載の清掃口一体型管継手は、請求項3に記載の清掃口一体型管継手において、前記蓋部は、前記本体管部の上面側に配置されると共に、前記本体管部の外側部の上端と前記本体管部に配置された前記蓋部の上端は、前記複数の流路部の上端よりも上方側に位置している。
【0014】
この清掃口一体型管継手によれば、本体管部の外側部の上端と本体管部に配置された蓋部の上端は、複数の流路部の上端部よりも上方側に位置するように本体管部に配置されている。このため、管材を洗浄するために中子部と蓋部を取り外した際に、排水が本体管部から零れることを抑制又は防止することができる。さらに、本体管部の上面側に蓋部が配置されているため、管材の洗浄を行う際の作業性を向上させることができる。
【0015】
請求項5に記載の清掃口一体型管継手は、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の清掃口一体型管継手において、前記蓋部は、前記中子部と一体で形成されている。
【0016】
この清掃口一体型管継手によれば、一体で形成された蓋部と中子部は、蓋部と中子部が別個に設けられている場合と比べて、簡易に本体管部から取り付けと取り外しをすることができ、管材を洗浄する際の作業性を向上させることができる。
【0017】
請求項6に記載の清掃口一体型管継手は、請求項1から請求項5の何れか1項に記載の清掃口一体型管継手において、前記流路部は、前記軸線方向の一端部における流路方向と前記軸線方向の他端部における流路方向とが略直交するように屈曲された屈曲部を備えている。
【0018】
この清掃口一体型管継手によれば、流路部には、軸線方向の一端部における流路方向と軸線方向の他端部における流路方向とが略直交するように屈曲された屈曲部により、配管構造における曲げ管部分が形成されている。このため、流路部の軸線方向の一端部と他端部に各々接続する管材には、曲げ管部分を設ける必要がない。これにより、本体管部の流路方向の長さを小さく形成することができる。
【0019】
請求項7に記載の清掃口一体型管継手は、請求項6に記載の清掃口一体型管継手において、前記中子部は、前記屈曲部の内周部の一部を形成している。
【0020】
この清掃口一体型管継手によれば、中子部は、屈曲部の内周部の一部を形成している。このため、中子部を本体管部から取り外すことにより、流路部の軸線方向の一端部に接続された管材と他端部に接続された管材の双方を見渡しやすくなると共にホース等の洗浄器具を挿入しやすくなる。これにより、管材を洗浄する際の作業性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明に係る清掃口一体型管継手は、狭い空間に複数並列で設置できるようにコンパクトに構成できるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1実施形態に係る清掃口一体型管継手を用いた排水システムの全体構成を示す側面図である。
【
図2】第1実施形態に係る清掃口一体型管継手の斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係る清掃口一体型管継手の内部の平面図である。
【
図4】
図2に示される4-4線に沿って切断された清掃口一体型管継手の縦断面図である。
【
図5】第1実施形態に係る清掃口一体型管継手の流入口側端部を示す正面図である。
【
図6】第1実施形態に係る清掃口一体型管継手の流出口側端部を示す背面図である。
【
図7】第2実施形態に係る清掃口一体型管継手を用いた排水システムの全体構成を示す側面図である。
【
図8】第2実施形態に係る清掃口一体型管継手の斜視図である。
【
図9】第2実施形態に係る清掃口一体型管継手の中子部の平面図である。
【
図10】
図8に示される10-10線に沿って切断された清掃口一体型管継手の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1実施形態)
以下、
図1から
図6を用いて、本発明に係る清掃口一体型管継手の第1実施形態について説明する。
図1には、本実施形態に係る清掃口一体型管継手10が用いられたサイホン排水システム12の全体構成が示されている。本実施形態に係るサイホン排水システム12は、サイホン力を利用して水回り器具からの排水を効率よく排出する排水システムである。
【0024】
(サイホン排水システム12)
サイホン排水システム12は、複数階で構成された集合住宅に用いられ、
図1に示すように、排水を下方へ流す排水立て管20を備えている。この排水立て管20は、集合住宅の建物上下方向(鉛直方向)に延設され、集合住宅の各階の床スラブ22を貫いている。なお、排水立て管20は、住戸の内外を仕切る外壁24の外側、例えば、メーターボックス26の中に配置されている。なお、本実施形態のサイホン排水システム12は、集合住宅に好適に用いられているが、これに限らず、集合住宅以外の戸建て住宅や工場等にも用いることができる。
【0025】
集合住宅の各階の各戸には、水回り器具28が設けられている。この水回り器具28は、一例としてキッチンのシンクであり、排水方向下流側にディスポーザー30及び排水トラップ32が接続されている。排水トラップ32の排水方向下流側には、L字状に形成された第1L字配管部材34が配設されている。第1L字配管部材34は、排水トラップ32に接続されて建物上下方向に延設された鉛直部34Aと、鉛直部34Aに連続すると共に床スラブ22の建物上方側に建物水平方向に沿って延設された水平部34Bと、鉛直部34Aと水平部34Bとを繋ぐ湾曲部34Cを含んで構成されている。
【0026】
第1L字配管部材34の排水方向下流側には、第1L字配管部材34に連続すると共に床スラブ22の建物上方側において建物水平方向に延在された管材としての横引き管部材36が配設されている。第1L字配管部材34と横引き管部材36とは、第1継手38を介して接続されている。また、清掃口一体型管継手10には、
図2に示されるように、キッチン以外からの横引き管部材36も接続されている。具体的には、洗面所、浴室、洗濯機の排水口、換気口及び通気口等からの横引き管部材36が、清掃口一体型管継手10に接続されている。
【0027】
横引き管部材36の排水方向下流側の端部は、外壁24を貫通すると共に設置場所としてのメーターボックス26の中に配設された清掃口一体型管継手10の上流側端部に接続されている。また、清掃口一体型管継手10の下流側端部には、略L字状に形成された管材としての第2L字配管部材40が接続されている。
【0028】
第2L字配管部材40は、床スラブ22の建物上方側において建物水平方向に延在された水平部40Aと、水平部40Aに連続すると共に床スラブ22を貫通して建物下方側へ延設された鉛直部40Bと、水平部40Aと鉛直部40Bとを繋ぐ湾曲部40Cと、を含んで構成されている。
【0029】
第2L字配管部材40の排水方向下流側には、建物上下方向に延在された竪管部材42が配置されている。竪管部材42は、排水方向上流側の端部が、第2継手44を介して第2L字配管部材40の鉛直部40Bに接続されている。竪管部材42の排水方向下流側の端部は、排水立て管20の中間部に取付けられた合流継手46に第3継手48を介して接続されている。
【0030】
本実施形態において、床スラブ22の上に建物水平方向に沿って配設されている配管部分、具体的には第1L字配管部材34の水平部34B、横引き管部材36及び第2L字配管部材40の水平部40Aがサイホン排水システム12の横引き管12Aとされている。また、第2L字配管部材40の鉛直部40Bと竪管部材42がサイホン排水システム12の竪管12Bとされている。
【0031】
(清掃口一体型管継手10)
図2には、清掃口一体型管継手10の斜視図が示されている。清掃口一体型管継手10は、本体管部50と、中子部52と、蓋部54と、を含んで構成されている。本実施形態に係る本体管部50、中子部52及び蓋部54は、合成樹脂で成形されている。本体管部50は、全体形状が、平坦状の底面を有する略箱状に形成されると共に、メーターボックス26の床面27に載置されている。ここで、載置されているとは、清掃口一体型管継手10内の本体管部50(流路)を水平に保つことができる様に、安定した状態で床面27に置かれていることを意味する。本体管部50の外周部としての外枠部50Aは、略四角枠状に形成されており、外枠部50Aの上面(上端)は、本体管部50における外枠部50Aの内周側部分よりも建物上方側に形成されている。なお、ここでは、本体管部50、中子部52及び蓋部54は、合成樹脂で成形されているとして説明するが、これに限らず、金属で成形されてもよい。
【0032】
外枠部50Aの内周側には、中子部52(
図4参照)と一体形成された蓋部54が配置されている。蓋部54の上面は、本体管部50の外枠部50Aの上面と略同一の高さ(建物上下方向の位置が略同一)となるように形成されている。
【0033】
図3には、中子部52と蓋部54が取り外された本体管部50が平面図で示されている。本体管部50には、各々管状に形成された複数の流路部56が設けられている。複数の流路部56の外周部56Aは、隣り合う流路部56の外周部56Aと一体に形成されている。このため、複数の流路部56は、その軸線方向(流路方向)と略直交する方向に沿って並列に近接配置されている。
【0034】
図4には、流路部56の軸線方向(流路方向)略中間部における縦断面図が示されている。複数の流路部56の内周形状は、横引き管部材36へ向けて液体や空気を排出する屋内側の場所、具体的には、洗面所、浴室、洗濯機の排水口、換気口及び通気口等に応じて各々設定されている。具体的には、
図3及び
図4に示されるように、流路部56は、上流側から下流側にかけて均一の内径を有する均一管形状F1や上流側から下流側にかけて内径が小さくなるように形成された絞り管形状F2に形成されている。
【0035】
図3に示されるように、流路部56の軸線方向(流路方向)の上流側端部には、第1接続部60が形成されている。
図5には、清掃口一体型管継手10を屋内側から見た正面図が示されている。第1接続部60は、絞り管形状F2の流路部56の上流側端部の外周側に流路部56の軸線方向を軸方向とする略円筒状に形成されると共に、その内周形状が流路部56の内周形状に沿って形成されている。均一管形状F1の流路部56の上流側端部には、その外周側に流路部56の軸線方向を軸方向とする略円筒状に形成されると共に、その内周形状が流路部56の内周形状よりも径方向外側に形成された第1接続部60が設けられている。また、絞り管形状F2の流路部56に設けられた第1接続部60の外周部には、図示しないOリングが各々装着されている。均一管形状F1の流路部56に設けられた第1接続部60の内周部には、図示しないOリングが装着されている。
【0036】
図3に示されるように、各々の横引き管部材36は、第1接続部60の外周側に嵌め込まれることにより、絞り管形状F2の流路部56と接続されている。また、均一管形状F1の流路部56においては、第1接続部60の内周側に嵌め込まれた横引き管部材36と接続されている。複数の横引き管部材36は、並列に近接配置された複数の流路部56と接続されるため、軸線方向と略直交する方向に沿って並列に近接配置されている。また、各々の横引き管部材36の先端(下流側端部)は、第1接続部60の外周部又は内周部に装着されたOリング(図示省略)に当接されている。
【0037】
流路部56の軸線方向(流路方向)の下流側端部には、第2接続部62が形成されている。
図6には、清掃口一体型管継手10を屋内側から見た正面図が示されている。第2接続部62は、流路部56の下流側端部の外周側に流路部56の軸線方向を軸方向とする略円筒状に形成されると共に、その内周形状が流路部56の内周形状よりも径方向外側に形成されている。また、第2接続部62の内周部には、図示しないOリングが各々装着されている。
【0038】
図3に示されるように、各々の第2L字配管部材40の水平部40Aは、第2接続部62の内周側に嵌め込まれることにより、流路部56と接続されている。複数の第2L字配管部材40の水平部40Aは、並列に近接配置された複数の流路部56と接続されるため、軸線方向と略直交する方向に沿って並列に近接配置されている。また、各々の横引き管部材36の先端(上流側端部)は、第2接続部62の内周部に装着されたOリングに当接されている。
【0039】
図3に示されるように、蓋部54と中子部52が取り外された本体管部50の内側には、複数の流路部56の一部が各々開放された清掃口66が形成されている。清掃口66を設けることにより、例えば、洗浄ノズル等の洗浄用機材を横引き管部材36や第2L字配管部材40に挿入することができる。中子部52は、清掃をしない通常の使用時(排水時)には、
図4に示されるように、清掃口66の建物上方側に蓋部54と一体で配置されている。中子部52は、本体管部50の内側に配置されることにより、流路部56の建物上方側部分を形成する。これにより、流路部56を管状に形成すると共に、流路部56の内部に排水を流すことができる。
【0040】
図4に示されるように、中子部52により形成された複数の流路部56の径方向外側に、中子部52と一体で形成された蓋部54が配置されている。蓋部54の上面は、本体管部50の外枠部50Aの上面と略同一の高さに形成されており、本体管部50の外枠部50Aの上端と蓋部54の上面は、複数の流路部56の上端よりも建物上方側に配置されている。
【0041】
図2に示されるように、蓋部54の上面において、流路方向と直交する方向の両端部には、蓋部54の上面から本体管部50の外枠部50Aに沿って略直角に折り曲げて形成された略板状の係合部68が、蓋部54と一体で形成されている。係合部68の外枠部50A側の端部には、略四角形状に孔が貫通形成された係合孔68Aが設けられている。外枠部50Aにおいて、蓋部54が本体管部50に配置された際に係合孔68Aと対向する部分には、本体管部50の外側へ向けて尖状に形成された係合爪部70が形成されている。このため、蓋部54が本体管部50に配置された際に、係合爪部70が係合孔68Aと係合する。これにより、本体管部50の建物上方側に配置された蓋部54が、本体管部50に対して固定される。
【0042】
(作用、効果)
次に、本実施形態に係る清掃口一体型管継手10の作用並びに効果について説明する。
【0043】
本実施形態に係る清掃口一体型管継手10によれば、本体管部50に形成された複数の流路部56の軸線方向の上流側部は、水回り器具28からの排水を流す横引き管部材36と接続されている。また、複数の流路部56の軸線方向の下流側部は、第2L字配管部材40の水平部40Aと接続されている。これにより、水回り器具28からの排水が屋外側へと流される。ここで、清掃口一体型管継手10の本体管部50には、取外し可能な中子部52と蓋部54が配置されている。本体管部50から中子部52と蓋部54を取り外すことによって、本体管部50を形成する複数の流路部56には、清掃口66が各々形成される。このため、清掃口66から、例えば、洗浄ノズル等の洗浄用機材を横引き管部材36や第2L字配管部材40に挿入することができる。これにより、横引き管部材36や第2L字配管部材40の内部を洗浄することができる。
【0044】
また、本実施形態に係る清掃口一体型管継手10によれば、本体管部50は、複数の流路部56が、その軸線方向と直交する方向に並列に近接配置されて形成されている。このため、本体管部50は、複数の流路部56の流路と直交する方向に対してコンパクトに構成されている。これにより、例えば、メーターボックス26のような広い空間を確保できない場所に清掃口一体型管継手10を設置することができる。
【0045】
さらに、本実施形態に係る清掃口一体型管継手10によれば、本体管部50の複数の流路部56の外周部56Aは、隣り合う流路部56の外周部56Aと一体に形成されている。このため、複数の流路部56の流路と直交する方向に対して更にコンパクトに本体管部50を構成することができる。
【0046】
以上説明したように、本実施形態に係る清掃口一体型管継手10は、狭い空間に複数並列で設置できるようにコンパクトに構成することができる。
【0047】
さらに、本実施形態に係る清掃口一体型管継手10によれば、本体管部50は、全体形状が、平坦状の底面を有する略箱状に形成されている。このため、メーターボックス26の床面27に載置することができる。また、本体管部50を床面27に安定して配置できるため、第1接続部60に取り付けられる横引き管部材36と第2接続部62に取り付けられる第2L字配管部材40を、支持具を設けることなく清掃口一体型管継手10に接続することができる。
【0048】
また、本実施形態に係る清掃口一体型管継手10によれば、蓋部54は、中子部52と一体で形成されて、本体管部50の上面側に配置されている。このため、横引き管部材36や第2L字配管部材40を洗浄する際に、蓋部54と中子部52を一体で取り外して清掃口66を形成することができる。これにより、横引き管部材36や第2L字配管部材40を洗浄する際の作業性を向上させることができる。さらに、本体管部50の外側部の上端と本体管部50に配置された蓋部54の上端は、複数の流路部56の上端部よりも上方側に位置するように本体管部50に配置されている。このため、横引き管部材36や第2L字配管部材40を洗浄するために中子部52と蓋部54を取り外した際に、排水が本体管部50から零れることを抑制又は防止することができる。
【0049】
なお、本実施形態では、蓋部54と中子部52は、一体で形成されているとして説明したが、これに限らず、蓋部と中子部は、別体で形成されて、本体管部の上面側に配置されてもよい(
図4中の二点鎖線)。
【0050】
(第2実施形態)
次に、
図7から
図10を用いて、本発明に係る清掃口一体型管継手80の第2実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0051】
本実施形態に係る清掃口一体型管継手80によれば、
図7及び
図8に示されるように、流路部56の下流側端部は、本体管部50の下面側に形成されている。流路部56の下流側端部には、竪管部材42が接続されている。これにより、水回り器具28からの排水が屋外側へと排水されている。
【0052】
このため、流路部56には、配管構造における曲げ管部分が形成されている。具体的には、
図9及び
図10に示されるように、流路部56は、その一部となる下流側端部に、第1接続部60側(屋内側)の端部における流路方向と下流側(屋外側)端部における流路方向が略直交するように屈曲された屈曲部82を備えている。屈曲部82は、合成樹脂で構成されると共に、流路部56から取外し可能に形成されている。
【0053】
屈曲部82は、
図7及び
図8に示されるように、本体管部50の下面側を貫通すると共に床スラブ22を通じて建物下方側へ延設されている。建物下方側へ延設された屈曲部82(流路部56)の下端部(下流側端部)には、第2接続部84が形成されている。第2接続部84は、屈曲部82の下端部における流路部56の外周側に、流路部56の軸線方向を軸方向とする略円筒状に形成されると共に、その内周形状が流路部56の内周形状よりも径方向外側に形成されている。また、第2接続部84の内周部には、図示しないOリングが各々装着されている。竪管部材42は、第2接続部84に建物下方側から嵌入されることにより、流路部56と接続されている。
【0054】
図10に示されるように、本体管部50の内側かつ上面側に一体で配置された中子部52と蓋部54は、屈曲部82の建物上方側部分52A、54Aを形成する。この屈曲部82の建物上方側部分52A、54Aは、中子部52と蓋部54の他の部分とは別個に形成されている。このため、本体管部50から中子部52と蓋部54の屈曲部82の建物上方側部分52A、54Aだけを取り外して清掃口66を形成することができる。
【0055】
本実施形態に係る清掃口一体型管継手80によれば、流路部56は、第1接続部60側の端部における流路方向と第2接続部84側の端部における流路方向とが略直交するように屈曲された屈曲部82を備えている。このため、流路部56下流側端部に設けられた第2接続部84に接続する管材には、曲げ管部分を設ける必要がない。さらに、本体管部50の流路方向の屋外側端部に管材を配設する必要がない。これにより、本体管部50を配置するための本体管部50の流路方向のスペースを小さくすることができる。
【0056】
さらに、本実施形態に係る清掃口一体型管継手80によれば、
図10に示されるように、中子部52は、屈曲部82を含んで形成されている。このため、流路部56の軸線方向の上流側端部(一端部)に接続された管材36と下流側端部(他端部)に接続された管材42の双方を見渡しやすくなると共にホース等の洗浄器具を挿入しやすくなる。これにより、管材36、42を洗浄する際の作業性を向上させることができる。また、中子部52と蓋部54は、屈曲部82の建物上方側部分52A、54Aが、中子部52及び蓋部54の他の部分とは別体で形成されている。このため、第2接続部84側(竪管部材42側)だけを清掃する際に、中子部52と蓋部54の取り外しを簡便にすることができる。
【0057】
なお、本実施形態では、蓋部54と中子部52は、屈曲部82の建物上方側部分52A、54Aが別体で形成されているとして説明したが、これに限らず、蓋部と中子部は、屈曲部側も含めて全て一体で形成されて、本体管部の上面側に配置されてもよい。
【0058】
[その他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0059】
10、80…清掃口一体型管継手、26…メーターボックス(設置場所)、27…床面、50…本体管部、50A…外枠部(外周部)、52…中子部、54…蓋部、56…流路部、66…清掃口、82…屈曲部