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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】建材固定金具
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/08 20060101AFI20221207BHJP
【FI】
E04F13/08 101F
E04F13/08 101D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019091365
(22)【出願日】2019-05-14
(65)【公開番号】P2019199796
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-01-31
(31)【優先権主張番号】P 2018093637
(32)【優先日】2018-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390036722
【氏名又は名称】神島化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(74)【代理人】
【識別番号】100194984
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 圭太
(72)【発明者】
【氏名】西山 雄太
(72)【発明者】
【氏名】竹中 大揮
(72)【発明者】
【氏名】坂本 喜久雄
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-7446(JP,A)
【文献】特開2006-45900(JP,A)
【文献】特開2010-222791(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0161516(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向を有する第1の片部と、該第1の片部の長手方向と同じ方向に延びる長手方向を有する第2の片部と、前記第1の片部の一端及び同第1の片部の一端に対向する前記第2の片部の一端に取付けられた突出部とを有する第1の固定部材と、
長手方向を有する第1の領域と、該第1の領域の長手方向と同じ方向に延びる長手方向を有する第2の領域と、前記第1の領域の一方の面から突出した第1の係合部と、前記第2の領域の一方の面から前記第1の係合部と同じ方向へ突出した第2の係合部と、前記第1の領域と前記第2の領域の間に配置された中央領域と、該中央領域から前記第1の領域の長手方向と同じ方向に対して略直交する方向へ突出した第1の支持部と、前記中央領域から前記第2の領域の長手方向と同じ方向に対して略直交する方向へ突出した第2の支持部とを有する第2の固定部材とを備え、
前記第1の片部の一方の面に第1の凹凸部が形成されており、
前記第2の片部は、第1の片部の長手方向に対して略直交する方向に同第1の片部から離れて配置されており、
前記第1の片部の前記第1の凹凸部が形成された面と同一平面内に位置する、前記第2の片部の一方の面に第2の凹凸部が形成されており、
前記突出部は、前記第1の片部及び前記第2の片部それぞれの長手方向に対して略直交する方向に延びており、
前記突出部は、前記第1の凹凸部が形成された前記第1の片部の面及び前記第2の凹凸部が形成された前記第2の片部の面から離れる方向へ突出しており、
前記第2の領域は、前記第1の領域の長手方向に対して略直交する方向に同第1の領域から離れて配置されており、
前記第1の係合部は、前記第1の片部の一方向への移動を規制可能に前記第1の凹凸部と係合可能であり、
前記第2の係合部は、前記第2の片部の一方向への移動を規制可能に前記第2の凹凸部と係合可能であり、
前記中央領域は、前記第1の領域の長手方向及び前記第2の領域の長手方向と同じ方向に延びる長手方向を有しており、
前記中央領域は、前記第1の領域及び前記第2の領域それぞれに段差を介して接続されており、
前記第1の支持部は、前記第1の領域の前記第1の係合部が突出した面との間に空間を形成しており、
前記第2の支持部は、前記第2の領域の前記第2の係合部が突出した面との間に空間を形成した
建材固定金具。
【請求項2】
前記第1の固定部材は、前記突出部の、前記第1の片部及び前記第2の片部に取付けられた側とは反対側から、前記第1の領域の長手方向及び前記第2の領域の長手方向と同じ方向へ延出した延出部を有する
請求項1に記載の建材固定金具。
【請求項3】
前記第1の領域の長手方向に対して略直交する方向における前記第1の係合部の、前記第1の凹凸部と係合する部分と前記第2の領域の長手方向とを結ぶ線分と、前記第2の領域の長手方向に対して略直交する方向における前記第2の係合部の、前記第2の凹凸部と係合する部分と前記第1の領域の長手方向とを結ぶ線分とは互いに交わらない
請求項1または請求項2に記載の建材固定金具。
【請求項4】
前記第1の片部の長手方向に対して略直交する方向における前記第1の凹凸部の凹部と前記第2の片部の長手方向とを結ぶ線分と、前記第2の片部の長手方向に対して略直交する方向における前記第2の凹凸部の凹部と前記第1の片部の長手方向とを結ぶ線分とは互いに交わらない
請求項1、請求項2または請求項3に記載の建材固定金具。
【請求項5】
前記第1の係合部及び前記第2の係合部はそれぞれ、第1の領域及び第2の領域それぞれの面に形成されたスリットに隣接する領域が折り曲げられて突出した第1の爪部及び第2の爪部である
請求項1、請求項2、請求項3または請求項4に記載の建材固定金具。
【請求項6】
長手方向を有する第1の片部と、該第1の片部の長手方向と同じ方向に延びる長手方向を有する第2の片部と、前記第1の片部の一端及び同第1の片部の一端に対向する前記第2の片部の一端に取付けられた突出部とを有する第1の固定部材と、
長手方向を有する中央領域と、該中央領域の一方側に配置されていると共に同中央領域の長手方向と同じ方向に延びる第1の方向を有する第1の領域と、該第1の領域が配置された前記中央領域の一方側とは反対側である同中央領域の他方側に配置されていると共に同中央領域の長手方向と同じ方向に延びる第2の方向を有する第2の領域と、前記第1の領域の一方の面から突出した第1の係合部と、前記第2の領域の一方の面から前記第1の係合部と同じ方向へ突出した第2の係合部と、前記中央領域から前記第1の領域の第1の方向と同じ方向に対して略直交する方向へ突出した第1の支持部と、前記中央領域から前記第2の領域の第2の方向と同じ方向に対して略直交する方向へ突出した第2の支持部とを有する第2の固定部材とを備え、
前記第1の片部の一方の面に第1の凹凸部が形成されており、
前記第2の片部は、第1の片部の長手方向に対して略直交する方向に同第1の片部から離れて配置されており、
前記第1の片部の前記第1の凹凸部が形成された面と同一平面内に位置する、前記第2の片部の一方の面に第2の凹凸部が形成されており、
前記突出部は、前記第1の片部及び前記第2の片部それぞれの長手方向に対して略直交する方向に延びており、
前記突出部は、前記第1の凹凸部が形成された前記第1の片部の面及び前記第2の凹凸部が形成された前記第2の片部の面から離れる方向へ突出しており、
前記第2の領域は、前記第1の領域の第1の方向に対して略直交する方向に同第1の領域から離れて配置されており、
前記第1の係合部は、前記第1の片部の一方向への移動を規制可能に前記第1の凹凸部と係合可能であり、
前記第2の係合部は、前記第2の片部の一方向への移動を規制可能に前記第2の凹凸部と係合可能であり、
前記中央領域は、前記第1の領域及び前記第2の領域それぞれに段差を介して接続されており、
前記第1の支持部を前記第1の領域の第1の方向と同じ方向へ延長した平面の位置の方が、同第1の領域の前記第1の係合部が突出した面の位置よりも、前記中央領域を同第1の領域の第1の方向と同じ方向に対して略直交する方向へ延長した平面に近く、
前記第2の支持部を前記第2の領域の第2の方向と同じ方向へ延長した平面の位置の方が、同第2の領域の前記第2の係合部が突出した面の位置よりも、前記中央領域を同第2の領域の第2の方向と同じ方向に対して略直交する方向へ延長した平面に近い
建材固定金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建材固定金具に関する。詳しくは、建材として例えば外壁材を固定するための建材固定金具に係るものである。
【背景技術】
【0002】
木造住宅にとって、外壁は屋根と同じように生活空間を風雨から守るという大切な役割をもつ部分として知られている。
また、外壁には開口部と呼ばれる窓や出入口が加わるので、外部からの騒音の遮断や断熱など各種性能を有するものである必要がある。
【0003】
また、外壁は屋根と同様あるいはそれ以上に建物の美観を左右する部位であり、建物の外観を飾って個性を出すために、窯業系サイディング、モルタル塗り壁、タイル、金属系サイディング及び軽量気泡コンクリート(ALC)など様々な外壁材が建物の外壁に取付けられている。
【0004】
また、外壁材は一般的に、建物の外壁面に取付けられた木下地や胴縁に、ビスや釘などで取付けられたり専用の金具で取付けられたりする。
そして、このような専用の金具として、従来、様々な金具が提案されている。
【0005】
例えば特許文献1には、図9に示すような外壁材取付金具が記載されている。
すなわち、特許文献1に記載の外壁材取付金具101は、係合金具104と固定金具105を備える。
【0006】
また、係合金具104の矩形板状の本体部112に、引掛部107と差込部108とが設けられている。
また、引掛部107は、本体部112の上端略中央部から突出した突出片113と、突出片113の先端から水平に設けられた水平片114と、水平片114の先端から垂下して突出片113と向き合うように設けられた引掛片115とを有する。
【0007】
また、差込部108は、本体部112の両側縁に差込片116として設けられており、固定金具105と係合される。
また、差込部108には鋸歯状の突条110が形成されている。
【0008】
また、固定金具105は、壁下地に固定され、係合金具104と係合されるものである。
また、固定金具105は、矩形板状の固定部117の両側縁から屋外側に延出された二箇所の延出片118を有し、延出片118にそれぞれ受け部109が設けられている。
【0009】
また、固定部117には、釘やネジなどを挿入するための開孔119が形成されている。
また、各受け部109は、延出片118の先端から固定部117と平行かつ逆向きに設けられた第一受け片120と、第一受け片120の先端から屋外側に設けられた第二受け片121と、第二受け片121の先端から第一受け片120と向き合うように設けられた第三受け片122とを有する。
【0010】
また、第一受け片120と第三受け片122の互いに向き合った面にはそれぞれ、係合金具104の差込部108に形成された鋸歯状の突条110と逆向きの鋸歯状の突条111が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特許第5368768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1に記載の外壁材取付金具は、受け部の内側に突条が形成されているので受け部の加工工程が複雑であり、簡単な加工で得られる簡素な構造の金具が求められていた。
【0013】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、外観を損なわずに建材を強固に取付けることができ、かつ、簡素な構造である建材固定金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するために、本発明の建材固定金具は、長手方向を有する第1の片部と、該第1の片部の長手方向と同じ方向に延びる長手方向を有する第2の片部と、前記第1の片部の一端及び同第1の片部の一端に対向する前記第2の片部の一端に取付けられた突出部とを有する第1の固定部材と、長手方向を有する第1の領域と、該第1の領域の長手方向と同じ方向に延びる長手方向を有する第2の領域と、前記第1の領域の一方の面から突出した第1の係合部と、前記第2の領域の一方の面から前記第1の係合部と同じ方向へ突出した第2の係合部と、前記第1の領域と前記第2の領域の間に配置された中央領域と、該中央領域から前記第1の領域の長手方向と同じ方向に対して略直交する方向へ突出した第1の支持部と、前記中央領域から前記第2の領域の長手方向と同じ方向に対して略直交する方向へ突出した第2の支持部とを有する第2の固定部材とを備え、前記第1の片部の一方の面に第1の凹凸部が形成されており、前記第2の片部は、第1の片部の長手方向に対して略直交する方向に同第1の片部から離れて配置されており、前記第1の片部の前記第1の凹凸部が形成された面と同一平面内に位置する、前記第2の片部の一方の面に第2の凹凸部が形成されており、前記突出部は、前記第1の片部及び前記第2の片部それぞれの長手方向に対して略直交する方向に延びており、前記突出部は、前記第1の凹凸部が形成された前記第1の片部の面及び前記第2の凹凸部が形成された前記第2の片部の面から離れる方向へ突出しており、前記第2の領域は、前記第1の領域の長手方向に対して略直交する方向に同第1の領域から離れて配置されており、前記第1の係合部は、前記第1の片部の一方向への移動を規制可能に前記第1の凹凸部と係合可能であり、前記第2の係合部は、前記第2の片部の一方向への移動を規制可能に前記第2の凹凸部と係合可能であり、前記中央領域は、前記第1の領域の長手方向及び前記第2の領域の長手方向と同じ方向に延びる長手方向を有しており、前記中央領域は、前記第1の領域及び前記第2の領域それぞれに段差を介して接続されており、前記第1の支持部は、前記第1の領域の前記第1の係合部が突出した面との間に空間を形成しており、前記第2の支持部は、前記第2の領域の前記第2の係合部が突出した面との間に空間を形成した、建材固定金具である。
【0015】
ここで、長手方向を有し、かつ、一方の面に第1の凹凸部が形成された第1の片部と、第1の領域の一方の面から突出し、かつ、第1の片部の一方向への移動を規制可能に第1の凹凸部と係合可能な第1の係合部、並びに第1の片部の長手方向に対して略直交する方向に第1の片部から離れて配置されており、かつ、第1の片部の長手方向と同じ方向に延びる長手方向を有し、かつ、第1の片部の第1の凹凸部が形成された面と同一平面内に位置する一方の面に第2の凹凸部が形成された第2の片部と、第2の領域の一方の面から第1の係合部と同じ方向へ突出し、かつ、第2の片部の一方向への移動を規制可能に第2の凹凸部と係合可能な第2の係合部によって、第1の固定部材が一方向への移動を規制されながら、第2の固定部材に対する第1の固定部材の位置を固定することができる。
【0016】
また、中央領域から第1の領域の長手方向と同じ方向に対して略直交する方向へ突出しており、かつ、第1の領域の第1の係合部が突出した面との間に空間を形成した第1の支持部と、中央領域から第2の領域の長手方向と同じ方向に対して略直交する方向へ突出しており、かつ、第2の領域の第2の係合部が突出した面との間に空間を形成した第2の支持部とによって、第1の支持部と第1の領域の第1の係合部が突出した面との間及び第2の支持部と第2の領域の第2の係合部が突出した面との間それぞれに段差を利用して形成された空間に、第1の片部及び第2の片部を挿通して支持することができる。
【0017】
さらに、第1の片部の一端及び第1の片部の一端に対向する第2の片部の一端に取付けられており、かつ、第1の片部及び第2の片部それぞれの長手方向に対して略直交する方向に延びており、かつ、第1の凹凸部が形成された第1の片部の面及び第2の凹凸部が形成された第2の片部の面から離れる方向へ突出した突出部によって、建材を押圧して建材を固定することができる。
【0018】
また、本発明の建材固定金具において、第1の固定部材は、突出部の、第1の片部及び第2の片部に取付けられた側とは反対側から、第1の領域の長手方向及び第2の領域の長手方向と同じ方向へ延出した延出部を有する構成とすることができる。
【0019】
この場合、建材の端部に形成された溝部などに延出部を嵌め込ませて建材を押圧することができるので、建材が建材固定金具から離れ難い。
【0020】
また、本発明の建材固定金具において、第1の領域の長手方向に対して略直交する方向における第1の係合部の、第1の凹凸部と係合する部分と第2の領域の長手方向とを結ぶ線分と、第2の領域の長手方向に対して略直交する方向における第2の係合部の、第2の凹凸部と係合する部分と第1の領域の長手方向とを結ぶ線分とは互いに交わらない構成とすることができる。
すなわち、第1の係合部の、第1の凹凸部と係合する部分の位置と、第2の係合部の、第2の凹凸部と係合する部分の位置とが互いにずれている構成とすることができる。
【0021】
この場合、第1の凹凸部の凹凸の数や第2の凹凸部の凹凸の数を増やすことなく建材を固定する位置の数が増え、固定位置を微調整できる。
【0022】
また、本発明の建材固定金具において、第1の片部の長手方向に対して略直交する方向における第1の凹凸部の凹部と第2の片部の長手方向とを結ぶ線分と、第2の片部の長手方向に対して略直交する方向における第2の凹凸部の凹部と第1の片部の長手方向とを結ぶ線分とは互いに交わらない構成とすることができる。
すなわち、第1の凹凸部の凹部の位置と、第2の凹凸部の凹部の位置とが互いにずれている構成とすることができる。
【0023】
ここで、第1の係合部の、第1の凹凸部と係合する部分の位置と第2の係合部の、第2の凹凸部と係合する部分の位置は互いにずれていないが、第1の凹凸部の凹部の位置と第2の凹凸部の凹部の位置は互いにずれている場合も、第1の凹凸部の凹凸の数や第2の凹凸部の凹凸の数を増やすことなく建材を固定する位置の数が増え、固定位置を微調整できる。
【0024】
また、第1の係合部の、第1の凹凸部と係合する部分の位置と第2の係合部の、第2の凹凸部と係合する部分の位置が互いにずれているだけでなく、第1の凹凸部の凹部の位置と第2の凹凸部の凹部の位置も互いにずれている場合、第1の係合部と第2の係合部の両方がそれぞれ第1の凹凸部と第2の凹凸部に係合し、さらに固く固定することができる。
【0025】
また、本発明の建材固定金具において、第1の係合部及び第2の係合部はそれぞれ、第1の領域及び第2の領域それぞれの面に形成されたスリットに隣接する領域が折り曲げられて突出した第1の爪部及び第2の爪部である構成とすることができる。
【0026】
この場合、板ばねなどの部材を取付けることなく第2の固定部材の一部を利用して第1の係合部と第2の係合部を構成することができる。
【0027】
また、上記の目的を達成するために、本発明の建材固定金具は、長手方向を有する第1の片部と、該第1の片部の長手方向と同じ方向に延びる長手方向を有する第2の片部と、前記第1の片部の一端及び同第1の片部の一端に対向する前記第2の片部の一端に取付けられた突出部とを有する第1の固定部材と、長手方向を有する中央領域と、該中央領域の一方側に配置されていると共に同中央領域の長手方向と同じ方向に延びる第1の方向を有する第1の領域と、該第1の領域が配置された前記中央領域の一方側とは反対側である同中央領域の他方側に配置されていると共に同中央領域の長手方向と同じ方向に延びる第2の方向を有する第2の領域と、前記第1の領域の一方の面から突出した第1の係合部と、前記第2の領域の一方の面から前記第1の係合部と同じ方向へ突出した第2の係合部と、前記中央領域から前記第1の領域の第1の方向と同じ方向に対して略直交する方向へ突出した第1の支持部と、前記中央領域から前記第2の領域の第2の方向と同じ方向に対して略直交する方向へ突出した第2の支持部とを有する第2の固定部材とを備え、前記第1の片部の一方の面に第1の凹凸部が形成されており、前記第2の片部は、第1の片部の長手方向に対して略直交する方向に同第1の片部から離れて配置されており、前記第1の片部の前記第1の凹凸部が形成された面と同一平面内に位置する、前記第2の片部の一方の面に第2の凹凸部が形成されており、前記突出部は、前記第1の片部及び前記第2の片部それぞれの長手方向に対して略直交する方向に延びており、前記突出部は、前記第1の凹凸部が形成された前記第1の片部の面及び前記第2の凹凸部が形成された前記第2の片部の面から離れる方向へ突出しており、前記第2の領域は、前記第1の領域の第1の方向に対して略直交する方向に同第1の領域から離れて配置されており、前記第1の係合部は、前記第1の片部の一方向への移動を規制可能に前記第1の凹凸部と係合可能であり、前記第2の係合部は、前記第2の片部の一方向への移動を規制可能に前記第2の凹凸部と係合可能であり、前記中央領域は、前記第1の領域及び前記第2の領域それぞれに段差を介して接続されており、前記第1の支持部を前記第1の領域の第1の方向と同じ方向へ延長した平面の位置の方が、同第1の領域の前記第1の係合部が突出した面の位置よりも、前記中央領域を同第1の領域の第1の方向と同じ方向に対して略直交する方向へ延長した平面に近く、前記第2の支持部を前記第2の領域の第2の方向と同じ方向へ延長した平面の位置の方が、同第2の領域の前記第2の係合部が突出した面の位置よりも、前記中央領域を同第2の領域の第2の方向と同じ方向に対して略直交する方向へ延長した平面に近い、建材固定金具である。
【0028】
ここで、長手方向を有し、かつ、一方の面に第1の凹凸部が形成された第1の片部と、第1の領域の一方の面から突出し、かつ、第1の片部の一方向への移動を規制可能に第1の凹凸部と係合可能な第1の係合部、並びに第1の片部の長手方向に対して略直交する方向に第1の片部から離れて配置されており、かつ、第1の片部の長手方向と同じ方向に延びる長手方向を有し、かつ、第1の片部の第1の凹凸部が形成された面と同一平面内に位置する一方の面に第2の凹凸部が形成された第2の片部と、第2の領域の一方の面から第1の係合部と同じ方向へ突出し、かつ、第2の片部の一方向への移動を規制可能に第2の凹凸部と係合可能な第2の係合部によって、第1の固定部材が一方向への移動を規制されながら、第2の固定部材に対する第1の固定部材の位置を固定することができる。
【0029】
また、中央領域から第1の領域の第1の方向と同じ方向に対して略直交する方向へ突出した第1の支持部を第1の領域の第1の方向と同じ方向へ延長した平面の位置の方が、第1の領域の第1の係合部が突出した面の位置よりも、中央領域を第1の領域の第1の方向と同じ方向に対して略直交する方向へ延長した平面に近く、そして、中央領域から第2の領域の第2の方向と同じ方向に対して略直交する方向へ突出した第2の支持部を第2の領域の第2の方向と同じ方向へ延長した平面の位置の方が、第2の領域の第2の係合部が突出した面の位置よりも、中央領域を第2の領域の第2の方向と同じ方向に対して略直交する方向へ延長した平面に近いことによって、以下の作用を奏する。
【0030】
すなわち、このような位置関係は、第1の支持部を第1の領域の第1の方向と同じ方向へ延長した平面と第1の領域の第1の係合部が突出した面が互いに交わらない平行関係であるから、第1の支持部を第1の領域の第1の方向と同じ方向へ延長した平面と第1の領域の第1の係合部が突出した面との間には、段差を利用して形成された空間が存在し、この空間に第1の片部を挿通して、第1の支持部が第1の片部を支持することができる。
【0031】
また、同じように、第2の支持部を第2の領域の第2の方向と同じ方向へ延長した平面と第2の領域の第2の係合部が突出した面は互いに交わらない平行関係にあるから、第2の支持部を第2の領域の第2の方向と同じ方向へ延長した平面と第2の領域の第2の係合部が突出した面との間にも空間が存在し、この空間に第2の片部を挿通して、第2の支持部が第2の片部を支持することができる。
【0032】
また、第1の片部の一端及び第1の片部の一端に対向する第2の片部の一端に取付けられており、かつ、第1の片部及び第2の片部それぞれの長手方向に対して略直交する方向に延びており、かつ、第1の凹凸部が形成された第1の片部の面及び第2の凹凸部が形成された第2の片部の面から離れる方向へ突出した突出部によって、建材を押圧して建材を固定することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係る建材固定金具は、簡素な構造であり、外観を損なわずに建材を強固に取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明を適用した建材固定金具の一例を示す概略図である。
図2】本発明を適用した建材固定金具の第2の固定部材の概略正面図である。
図3】本発明を適用した建材固定金具の第2の固定部材の概略底面図(a)と、本発明を適用した建材固定金具の第1の固定部材の概略平面図(b)である。
図4図1に示す本発明を適用した建材固定金具を使用して外壁材を固定した態様の一例を示す概略断面図である。
図5図1に示す本発明を適用した建材固定金具を使用して外壁材を固定した態様の他の例を示す概略断面図である。
図6】本発明を適用した建材固定金具の別の例を示す概略図である。
図7図6に示す本発明を適用した建材固定金具の第2の固定部材の概略正面図である。
図8図6に示す本発明を適用した建材固定金具の第2の固定部材の概略底面図(a)と、図6に示す本発明を適用した建材固定金具の第1の固定部材の概略平面図(b)である。
図9】従来の外壁材取付金具を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1は、本発明を適用した建材固定金具の一例を示す概略図である。また、図2は、本発明を適用した建材固定金具の第2の固定部材の概略正面図である。また、図3(a)は、本発明を適用した建材固定金具の第2の固定部材の概略底面図であり、図3(b)は、本発明を適用した建材固定金具の第1の固定部材の概略平面図である。
【0036】
図1に示す本発明の建材固定金具1は、第1の固定部材2と、第2の固定部材3とを備える。
ここで、第1の固定部材2は第1の片部4を有し、第1の片部4は長手方向を有し、かつ、一方の面に第1の凹凸部4Aが形成されている。
【0037】
また、第1の固定部材2は、第2の片部5を有する。
ここで、第2の片部5は、第1の片部4の長手方向に対して略直交する方向に第1の片部4から離れて配置されており、かつ、第1の片部4の長手方向と同じ方向に延びる長手方向を有し、かつ、第1の片部4の第1の凹凸部4Aが形成された面と同一平面内に位置する一方の面に第2の凹凸部5Aが形成されている。
【0038】
また、第1の固定部材2は、突出部6を有する。
ここで、突出部6は、第1の片部4の一端及び第1の片部4の一端に対向する第2の片部5の一端に取付けられており、かつ、第1の片部4及び第2の片部5それぞれの長手方向に対して略直交する方向に延びており、かつ、第1の凹凸部4Aが形成された第1の片部4の面及び第2の凹凸部5Aが形成された第2の片部5の面から離れる方向へ突出している。
【0039】
また、第2の固定部材3は、長手方向を有する第1の領域7を有する。
【0040】
また、第2の固定部材3は、第2の領域8を有する。
ここで、第2の領域8は、第1の領域7の長手方向に対して略直交する方向に第1の領域7から離れて配置されており、かつ、第1の領域7の長手方向と同じ方向に延びる長手方向を有する。
【0041】
また、第2の固定部材3は、第1の係合部すなわち第1の爪部9を有する。
ここで、第1の爪部9は、第1の領域7の一方の面から突出し、かつ、第1の片部4の一方向への移動を規制可能に第1の凹凸部4Aと係合可能である。
また、第1の爪部9は、第1の領域7の面に形成された第1のスリット9Aに隣接する領域が折り曲げられて突出したものである。
【0042】
また、第2の固定部材3は、第2の係合部すなわち第2の爪部10を有する。
ここで、第2の爪部10は、第2の領域8の一方の面から第1の爪部9と同じ方向へ突出し、かつ、第2の片部5の一方向への移動を規制可能に第2の凹凸部5Aと係合可能である。
【0043】
また、第2の爪部10は、第2の領域8の面に形成された第2のスリット10Aに隣接する領域が折り曲げられて突出したものである。
従って、図2に示すように第2の固定部材3を正面から見たときに、第1の爪部9の一部と第2の爪部10の一部が見える。
【0044】
図に示すように、第1のスリット9A及び第2のスリット10Aはそれぞれ略U字状に形成されている。従って、第1の爪部9及び第2の爪部10はそれぞれ、第1の領域7及び第2の領域8それぞれと一部を共有する半島形状を有する。
【0045】
また、第1の領域7の長手方向に対して略直交する方向における第1の爪部9の、第1の凹凸部4Aと係合する部分すなわち第1の爪部9の先端部と第2の領域8の長手方向とを結ぶ線分と、第2の領域8の長手方向に対して略直交する方向における第2の爪部10の、第2の凹凸部5Aと係合する部分すなわち第2の爪部10の先端部と第1の領域7の長手方向とを結ぶ線分とは互いに交わらない。
【0046】
すなわち、図3(a)に示すように、第1の爪部9の先端部と第2の領域8の長手方向とを結ぶ線分である第1の爪部線分21と、第2の爪部10の先端部と第1の領域7の長手方向とを結ぶ線分である第2の爪部線分22とは互いに交わらない。
【0047】
また、図に示す第1の固定部材2及び第2の固定部材3はそれぞれ、別の部材を取付けることなく、1枚の金属板を加工して得られたものである。
【0048】
また、図1図3(b)に示された、第1の片部4及び第2の片部5それぞれの長手方向に対して略直交する方向に、第1の片部4上及び第2の片部5上において延びた線は第1の凹凸部4Aの凹部及び第2の凹凸部5Aの凹部を示す。
【0049】
また、第1の片部4の長手方向に対して略直交する方向における第1の凹凸部4Aの凹部と第2の片部5の長手方向とを結ぶ線分と、第2の片部5の長手方向に対して略直交する方向における第2の凹凸部5Aの凹部と第1の片部4の長手方向とを結ぶ線分とは互いに交わらない。
【0050】
すなわち、図3(b)に示すように、第1の片部4の長手方向に対して略直交する方向における第1の凹凸部4Aの凹部と第2の片部5の長手方向とを結ぶ線分である第1の凹凸部線分23と、第2の片部5の長手方向に対して略直交する方向における第2の凹凸部5Aの凹部と第1の片部4の長手方向とを結ぶ線分である第2の凹凸部線分24とは互いに交わらない。
【0051】
また、第2の固定部材3は、中央領域12を有する。
ここで、中央領域12は、第1の領域7と第2の領域8の間に配置されており、かつ、第1の領域7の長手方向及び第2の領域8の長手方向と同じ方向に延びる長手方向を有し、かつ、第1の領域7及び第2の領域8それぞれに段差を介して接続されている。
【0052】
すなわち、中央領域12は第1の段差11Aを介して第1の領域7と接続されており、中央領域12は第2の段差11Bを介して第2の領域8と接続されている。
また、第1の段差11Aと第2の段差11Bは互いに対向している。
【0053】
また、図2に示すように、第1の領域7の、中央領域12と接続された側とは反対側から、第1の段差11Aと対向する第1の壁部7Aが突出している。
また、図2に示すように、第2の領域8の、中央領域12と接続された側とは反対側から、第2の段差11Bと対向する第2の壁部8Aが突出している。
【0054】
また、第2の固定部材3は、第1の支持部13を有する。
ここで、第1の支持部13は、中央領域12から第1の領域7の長手方向と同じ方向に対して略直交する方向へ突出しており、かつ、第1の領域7の第1の爪部9が突出した面との間に、図2に示すように空間を形成している。
すなわち、第1の支持部13は、第1の領域7の第1の爪部9が突出した面に対して略平行に突出している。
【0055】
また、第2の固定部材3は、第2の支持部14を有する。
ここで、第2の支持部14は、中央領域12から第2の領域8の長手方向と同じ方向に対して略直交する方向へ突出しており、かつ、第2の領域8の第2の爪部10が突出した面との間に、図2に示すように空間を形成している。
すなわち、第2の支持部14は、第2の領域8の第2の爪部10が突出した面に対して略平行に突出している。
【0056】
すなわち、図2に示すように、第1の領域7と、第1の壁部7Aと、第1の段差11Aの3方向から囲まれた箇所であり、かつ、第1の支持部13と第1の支持部13に対向する第1の領域7の面との間に、空間を形成しており、この空間に第1の片部4が挿通される。
【0057】
また、図2に示すように、第2の領域8と、第2の壁部8Aと、第2の段差11Bの3方向から囲まれた箇所であり、かつ、第2の支持部14と第2の支持部14に対向する第2の領域8の面との間に、空間を形成しており、この空間に第2の片部5が挿通される。
【0058】
また、第1の支持部13は第1の領域7の一部を打ち抜いて形成され、第2の支持部14は第2の領域8の一部を打ち抜いて形成されている。
従って、図3に示すように第1の支持部13の周囲には、第1の領域7の一方の面と、この一方の面に対向する他方の面との間を貫通した第1の貫通孔13Aが形成されており、第2の支持部14の周囲には、第2の領域8の一方の面と、この一方の面に対向する他方の面との間を貫通した第2の貫通孔14Aが形成されている。
【0059】
なお、第1の支持部13に対向する第1の領域7の面には第1の貫通孔13Aが形成されており、また、第2の支持部14に対向する第2の領域8の面には第2の貫通孔14Aが形成されているが、第1の領域7の他の面及び第2の領域8の他の面と同一面内に位置していることから、「第1の支持部13と第1の支持部13に対向する第1の領域7の面との間」並びに「第2の支持部14と第2の支持部14に対向する第2の領域8の面との間」というように表現している。
【0060】
また、第1の壁部7Aと第1の段差11Aとの間の距離は、第1の片部4の短手方向の長さより僅かに長い値であり、また、第2の壁部8Aと第2の段差11Bとの間の距離は、第2の片部5の短手方向の長さより僅かに長い値である。
【0061】
従って、第1の壁部7Aと第1の段差11A、並びに第2の壁部8Aと第2の段差11Bがガイド機能を発揮して、それぞれ第1の片部4及び第2の片部5を導くことができるので、第1の支持部13が、第1の領域7の第1の爪部9が突出した面との間に形成した空間、並びに第2の支持部14が、第2の領域8の第2の爪部10が突出した面との間に形成した空間それぞれに、第1の片部4及び第2の片部5を挿通し易い。
【0062】
また、図3に示すように中央領域12には、中央領域12の一方の面と、この一方の面に対向する他方の面との間を貫通した取付孔15が形成されている。
【0063】
また、第1の固定部材2は、延出部16を有する。
ここで、延出部16は、突出部6の、第1の片部4及び第2の片部5に取付けられた側とは反対側から、第1の領域7の長手方向及び第2の領域8の長手方向と同じ方向へ延出したものである。
【0064】
また、延出部16の一方の面と、この一方の面に対向する他方の面との間を貫通した引掛孔16Aが形成されている。
この引掛孔16Aは、作業者が例えばドライバーを引掛けるための孔である。
【0065】
本発明の建材固定金具において、第1の固定部材は、必ずしも延出部を有していなくてもよい。
しかし、第1の固定部材が延出部を有していれば、建材の上端に形成された溝部などに延出部を嵌め込ませて建材を押圧することができ、建材が建材固定金具から離れ難いので好ましい。
【0066】
また、本発明の建材固定金具において、必ずしも第1の爪部線分と第2の爪部線分とは互いに交わらない構成としなくてもよい。
すなわち、第1の領域の長手方向に対して略直交する方向における第1の爪部すなわち第1の係合部の、第1の凹凸部と係合する部分すなわち第1の爪部の先端部と第2の領域の長手方向とを結ぶ線分と、第2の領域の長手方向に対して略直交する方向における第2の爪部すなわち第2の係合部の、第2の凹凸部と係合する部分すなわち第2の爪部の先端部と第1の領域の長手方向とを結ぶ線分とは、必ずしも互いに交わらない構成としなくてもよい。
【0067】
しかし、第1の爪部線分と第2の爪部線分とが互いに交わらない構成とすることで、第1の凹凸部の凹凸の数や第2の凹凸部の凹凸の数を増やすことなく建材を固定する位置の数が増え、固定位置を微調整できるので好ましい。
【0068】
また、本発明の建材固定金具において、必ずしも第1の凹凸部線分と第2の凹凸部線分とは互いに交わらない構成としなくてもよい。
すなわち、第1の片部の長手方向に対して略直交する方向における第1の凹凸部の凹部と第2の片部の長手方向とを結ぶ線分と、第2の片部の長手方向に対して略直交する方向における第2の凹凸部の凹部と第1の片部の長手方向とを結ぶ線分とは、必ずしも互いに交わらない構成としなくてもよい。
【0069】
しかし、第1の爪部線分と第2の爪部線分とが互いに交わらない構成とすることに加えて、第1の凹凸部線分と第2の凹凸部線分とが互いに交わらない構成とすることで、第1の爪部の先端部の位置と第2の爪部の先端部の位置が互いにずれているだけでなく、第1の凹凸部の凹部の位置と第2の凹凸部の凹部の位置も互いにずれているので、第1の係合部と第2の係合部の両方がそれぞれ第1の凹凸部と第2の凹凸部に係合し、さらに固く固定することができるので好ましい。
【0070】
また、第1の爪部の先端部の位置と第2の爪部の先端部の位置は互いにずれていないと共に、第1の凹凸部の凹部の位置と第2の凹凸部の凹部の位置も互いにずれていない構成とすることができることは勿論である。
【0071】
また、第1の爪部の先端部の位置と第2の爪部の先端部の位置は互いにずれているが、第1の凹凸部の凹部の位置と第2の凹凸部の凹部の位置は互いにずれていない構成とすることもできることは勿論である。
【0072】
一方、第1の爪部の先端部の位置と第2の爪部の先端部の位置は互いにずれていないが、第1の凹凸部の凹部の位置と第2の凹凸部の凹部の位置は互いにずれている構成とすることもできることは勿論である。
【0073】
また、本発明の建材固定金具において、必ずしも第1の係合部及び第2の係合部はそれぞれ、第1の領域及び第2の領域それぞれの面に形成された第1のスリット及び第2のスリットに隣接する領域が折り曲げられて突出した第1の爪部及び第2の爪部である構成としなくてもよい。
【0074】
しかし、第1の係合部及び第2の係合部がそれぞれ、このような第1の爪部及び第2の爪部であれば、板ばねなどの部材を取付けることなく第2の固定部材の一部を利用して第1の係合部と第2の係合部を構成することができるので好ましい。
【0075】
次に、本発明の建材固定金具を使用して外壁材を固定する流れを説明する。
図4は、図1に示す本発明を適用した建材固定金具を使用して外壁材を固定した態様の一例を示す概略断面図である。
【0076】
窓枠32が形成された建物の壁面34には、水平方向に略等間隔で胴縁33が取付けられており、胴縁33の鉛直方向下側から鉛直方向上側へ向けて、水平方向に延びる複数の第1の外壁材31Aが配置されている。
【0077】
また、窓枠32付近の第2の外壁材31Bは第1の外壁材31Aと異なり、窓枠32に当たってしまう箇所が一部切り取られて凹部が形成されている。
【0078】
図4では、窓枠32の鉛直方向下方に第2の外壁材31Bの凹部が配置されており、第2の外壁材31Bの凹部の、窓枠32に向いた面には図4に示すように溝部36が形成されている。
【0079】
また、第2の外壁材31Bの、溝部36が形成された面とは反対側の面に切欠き29が形成されている。
また、第1の外壁材31Aの、第2の外壁材31Bに向いた面には段差が形成されており、図示していないが第1の外壁材31Aの、段差が形成された面とは反対側の面には、第2の外壁材31Bと同様に切欠きが形成されている。
【0080】
また、第2の外壁材31Bを固定する前に、本発明の建材固定金具1を胴縁33に取付ける。
すなわち、本発明の建材固定金具1を胴縁33に当接させた状態で、本発明の建材固定金具1の第2の固定部材3の中央領域12に形成された取付孔15に取付釘37を挿通して、取付釘37を胴縁33に打ち込む。
【0081】
このとき、第1の固定部材2の第1の片部4及び第2の片部5を、第2の固定部材3と胴縁33との間に挿し込んでおき、この状態で取付孔15に取付釘37を挿通して、取付釘37を胴縁33に打ち込む。
【0082】
次に、第2の外壁材31Bの凹部が窓枠32の鉛直方向下方に配置されるよう、第2の外壁材31Bを本発明の建材固定金具1に当接させる。
【0083】
また、図4に示すように、第1の外壁材31Aと第2の外壁材31Bとの間に取付金具30の一部を配置する。
ここで、取付金具30は、平面形状の本体30Aと、本体30Aに突起して取付けられた断面略Y字形状の突起30Bとを備える。
【0084】
すなわち、段差が形成された第1の外壁材31Aの面と、切欠き29が形成された第2の外壁材31Bの面とを当接させた際に形成された空間内に、断面略Y字形状の突起30Bを配置した状態で本体30Aをビス35によって胴縁33に取付ける。
【0085】
また、図示していないが、第1の外壁材31A同士も、取付金具30を用いて同様に連結する。
【0086】
さらに、第1の固定部材2の突出部6を第2の固定部材3に近づける、すなわち第1の固定部材2の突出部6を第2の外壁材31Bに近づけて、第1の固定部材2の延出部16を溝部36に挿入すると共に突出部6を第2の外壁材31Bに接触させ、突出部6及び延出部16が第2の外壁材31Bを第1の外壁材31Aの方へ押す。
これによって第2の外壁材31Bが第1の外壁材31Aに押し付けられ、窓枠32の鉛直方向下方に配置された第2の外壁材31Bの箇所を固定する。
【0087】
従って、第2の外壁材31Bの表面からビスまたは釘を使用することなく第2の外壁材31Bを固定することができる。
【0088】
このとき、第1の爪部9の先端部は第1の片部4に形成された第1の凹凸部4Aの凹部に係合しており、図示していないが第2の爪部の先端部は第2の片部に形成された第2の凹凸部の凹部に係合している。
【0089】
また、第1の支持部13と第1の支持部13に対向する第1の領域7の面との間の空間に、第1の片部4が挿通されている。
【0090】
また、第1の爪部9は、第1の固定部材2の突出部6が第2の固定部材3から離れる方向すなわち、図4に示す窓枠32へ近づく方向への第1の片部4の移動を規制可能に、第1の凹凸部4Aの凹部に係合している。
すなわち、第1の片部4が窓枠32へ近づく方向へ移動しようとしても、折り曲げられて突出した第1の爪部9はそれ以上曲がらないので、第1の爪部9が引っ掛かって第1の片部4は窓枠32へ近づく方向へ移動することができない。
【0091】
一方、第1の固定部材2の突出部6が第2の固定部材3に近づく方向すなわち、図4に示す窓枠32から離れる方向へ第1の片部4が移動すると、折り曲げられて突出した第1の爪部9は折り曲げられる前の元の状態へ戻ることはできるので、第1の爪部9は引っ掛からず第1の片部4は窓枠32から離れる方向へ移動することができる。
【0092】
また、第2の爪部も第1の爪部9と同様に、窓枠32へ近づく方向への第2の片部の移動を規制可能に、第2の凹凸部の凹部に係合している。
すなわち、第2の爪部が引っ掛かって第2の片部は窓枠32へ近づく方向へ移動することができず、一方、第2の爪部は引っ掛からず第2の片部は窓枠32から離れる方向へ移動することができる。
【0093】
また、図示していないが、第2の支持部と第2の支持部に対向する第2の領域の面との間の空間に、第2の片部が挿通されている。
【0094】
従って、第1の外壁材31Aへの第2の外壁材31Bの押し付けが緩み難く、第2の外壁材31Bを強固に固定することができる。
【0095】
図5は、図1に示す本発明を適用した建材固定金具を使用して外壁材を固定した態様の他の例を示す概略断面図である。
【0096】
建物の屋根38は建物の壁面34よりも張り出た形になっている。この張り出た部分を「軒」と呼んでいるが、火災時に窓から上がった炎が屋根裏まで一気に延焼しないよう、張り出した部分に軒天材40が取付けられている。
また、図5に示すように、垂木の先端を隠すために水平の横板である鼻隠し材39が軒先に取付けられている。
【0097】
図4に示す例と同様に、建物の壁面34には軒天材40に到達するまで延びた胴縁33が取付けられており、胴縁33の鉛直方向下側から鉛直方向上側へ向けて、水平方向に延びる複数の第1の外壁材41Aが配置されている。
【0098】
また、軒天材40付近の第2の外壁材41Bは、窓枠32付近の第2の外壁材31Bとは異なり、一部が切り取られた凹部は形成されていない。
【0099】
また、第2の外壁材41Bの、軒天材40に向いた面には図5に示すように溝部42が形成されている。
【0100】
また、第2の外壁材41Bの、溝部42が形成された面とは反対側の面に切欠き43が形成されている。
また、第1の外壁材41Aの、第2の外壁材41Bに向いた面には段差が形成されており、図示していないが第1の外壁材41Aの、段差が形成された面とは反対側の面には、第2の外壁材41Bと同様に切欠きが形成されている。
【0101】
また、第2の外壁材41Bを固定する前に、図4に示す例と同様に取付釘37を用いて本発明の建材固定金具1を胴縁33に取付ける。
【0102】
また、図5に示すように、第1の外壁材41Aと第2の外壁材41Bとの間に取付金具30の一部を配置する。
すなわち、段差が形成された第1の外壁材41Aの面と、切欠き43が形成された第2の外壁材41Bの面とを当接させた際に形成された空間内に、断面Y字形状の突起30Bを配置した状態で本体30Aをビス35によって胴縁33に取付ける。
【0103】
また、図示していないが、第1の外壁材41A同士も、取付金具30を用いて同様に連結する。
【0104】
次に、第1の固定部材2の突出部6を第2の固定部材3に近づける、すなわち第1の固定部材2の突出部6を第2の外壁材41Bに近づけて、第1の固定部材2の延出部16を溝部42に挿入すると共に突出部6を第2の外壁材41Bに接触させ、突出部6及び延出部16が第2の外壁材41Bを第1の外壁材41Aの方へ押す。
これによって第2の外壁材41Bが第1の外壁材41Aに押し付けられ、軒天材40付近に配置された第2の外壁材41Bを固定する。
【0105】
従って、第2の外壁材41Bの表面からビスまたは釘を使用することなく第2の外壁材41Bを固定することができる。
このとき、図4に示す例と同様に第1の爪部及び第2の爪部はそれぞれ、第1の凹凸部の凹部及び第2の凹凸部の凹部に係合している。
また、このとき図4に示す例と同様に、第1の片部が第1の支持部と第1の領域の面との間の空間に挿通されており、また、第2の片部が第2の支持部と第2の領域の面との間の空間に挿通されている。
【0106】
従って、第1の外壁材41Aへの第2の外壁材41Bの押し付けが緩み難く、第2の外壁材41Bを強固に固定することができる。
【0107】
図6は、本発明を適用した建材固定金具の別の例を示す概略図である。また、図7は、図6に示す本発明を適用した建材固定金具の第2の固定部材の概略正面図である。また、図8は、図6に示す本発明を適用した建材固定金具の第2の固定部材の概略底面図(a)と、図6に示す本発明を適用した建材固定金具の第1の固定部材の概略平面図(b)である。
【0108】
図6に示す本発明の建材固定金具51は、第1の固定部材52と、第2の固定部材53とを備える。
【0109】
ここで、第1の固定部材52は第1の片部54を有し、第1の片部54の一方の面に第1の凹凸部54Aが形成されている。
また、第1の固定部材52は第2の片部55を有し、第2の片部55の一方の面に第2の凹凸部55Aが形成されている。
また、第1の固定部材52は突出部56を有する。
【0110】
なお、第1の固定部材52の構成は、図1に示す本発明の建材固定金具1の第1の固定部材2の構成と同じであるから、第1の固定部材52の詳細な説明は省略する。
【0111】
また、第2の固定部材53は、長手方向を有する中央領域57を有する。
【0112】
また、第2の固定部材53は、第1の領域58を有する。
ここで、第1の領域58は、中央領域57の一方側に配置されていると共に中央領域57の長手方向と同じ方向に延びる第1の方向を有する。
【0113】
また、第2の固定部材53は、第2の領域59を有する。
ここで、第2の領域59は、第1の領域58が配置された中央領域57の一方側とは反対側である中央領域57の他方側に配置されていると共に中央領域57の長手方向と同じ方向に延びる第2の方向を有する。
【0114】
また、第2の領域59は、第1の領域58の第1の方向に対して略直交する方向に第1の領域58から離れて配置されている。
【0115】
また、第2の固定部材53は、第1の係合部すなわち第1の爪部60を有する。
ここで、第1の爪部60は、第1の領域58の一方の面から突出しており、かつ、第1の片部54の一方向への移動を規制可能に第1の凹凸部54Aと係合可能である。
また、第1の爪部60は、第1の領域58の面に形成された第1のスリット60Aに隣接する領域が折り曲げられて突出したものである。
【0116】
また、第2の固定部材53は、第2の係合部すなわち第2の爪部61を有する。
ここで、第2の爪部61は、第2の領域の一方の面から第1の爪部60と同じ方向へ突出しており、かつ、第2の片部55の位置方向への移動を規制可能に第2の凹凸部55Aと係合可能である。
【0117】
また、第2の爪部61は、第2の領域59の面に形成された第2のスリット61Aに隣接する領域が折り曲げられて突出したものである。
従って、図7に示すように第2の固定部材53を正面から見たときに、第1の爪部60の一部と第2の爪部61の一部が見える。
【0118】
また、第1の爪部60及び第2の爪部61はそれぞれ、第1の領域58及び第2の領域59それぞれと一部を共有する半島形状を有する。
【0119】
また、第1の領域58の第1の方向に対して略直交する方向における第1の爪部60の、第1の凹凸部54Aと係合する部分すなわち第1の爪部60の先端部と第2の領域59の第2の方向とを結ぶ線分と、第2の領域59の第2の方向に対して略直交する方向における第2の爪部61の、第2の凹凸部55Aと係合する部分すなわち第2の爪部61の先端部と第1の領域58の第1の方向とを結ぶ線分とは互いに交わらない。
【0120】
すなわち、図8(a)に示すように、第1の爪部60の先端部と第2の領域59の第2の方向とを結ぶ線分である第1の爪部線分71と、第2の爪部61の先端部と第1の領域58の第1の方向とを結ぶ線分である第2の爪部線分72とは互いに交わらない。
【0121】
また、図に示す第1の固定部材52及び第2の固定部材53はそれぞれ、別の部材を取付けることなく、1枚の金属板を加工して得られたものである。
【0122】
また、図6図8(b)に示された、第1の片部54及び第2の片部55それぞれの長手方向に対して略直交する方向に、第1の片部54上及び第2の片部55上において延びた線は、第1の凹凸部54Aの凹部及び第2の凹凸部55Aの凹部を示す。
【0123】
また、中央領域57は、第1の領域58及び第2の領域59それぞれに段差を介して接続されている。
すなわち、中央領域57は第1の段差62Aを介して第1の領域58と接続されており、また、中央領域57は第2の段差62Bを介して第2の領域59と接続されている。
ここで、第1の段差62Aと第2の段差62Bは互いに対向している。
【0124】
また、図7に示すように、第1の領域58の、中央領域57と接続された側とは反対側から、第1の段差62Aと対向する第1の壁部58Aが突出している。
また、図7に示すように、第2の領域59の、中央領域57と接続された側とは反対側から、第2の段差62Bと対向する第2の壁部59Aが突出している。
【0125】
また、中央領域57の長手方向の長さは、第1の領域58の第1の方向の長さ及び第2の領域59の第2の方向の長さよりも長い。
すなわち、図6に示すように中央領域57の長手方向の一端と、この一端とは反対側の他端は、第1の領域58及び第2の領域59と接続されていない。
【0126】
また、第2の固定部材53は、第1の支持部63を有する。
ここで、第1の支持部63は、中央領域57から第1の領域58の第1の方向と同じ方向に対して略直交する方向へ突出している。
【0127】
また、第2の固定部材53は、第2の支持部64を有する。
ここで、第2の支持部64は、中央領域57から第2の領域59の第2の方向と同じ方向に対して略直交する方向へ突出している。
【0128】
すなわち、中央領域57の長手方向の一端から第1の支持部63と第2の支持部64が突出しているが、第1の支持部63の突出方向と第2の支持部64の突出方向は互いに正反対の方向である。
【0129】
また、第2の固定部材53は、第3の支持部65を有する。
ここで、第3の支持部65は、中央領域57から第1の領域58の第1の方向と同じ方向に対して略直交する方向へ突出している。
【0130】
また、第2の固定部材53は、第4の支持部66を有する。
ここで、第4の支持部66は、中央領域57から第2の領域59の第2の方向と同じ方向に対して略直交する方向へ突出している。
【0131】
すなわち、中央領域57の長手方向の一端とは反対側の他端から第3の支持部65と第4の支持部66が突出しているが、第3の支持部65の突出方向と第4の支持部66の突出方向は互いに正反対の方向である。
【0132】
また、図7に示すように、第1の支持部63及び第2の支持部64はそれぞれ一部に段差を含んでいる。
また、図7に示すように、第1の支持部63の段差と第2の支持部64の段差は互いに対向している。
また、図6に示すように、第3の支持部65は一部に段差を含んでおり、図示していないが、第4の支持部66も一部に段差を含んでいる。
また、図示していないが、第3の支持部65の段差と第4の支持部66の段差は互いに対向している。
【0133】
また、図7に示すように、第1の支持部63の段差と第2の支持部64の段差はそれぞれ、中央領域57に対して、第1の段差62A及び第2の段差62Bと同じ側に位置しているが、段差の高さが異なる。
【0134】
すなわち、第1の支持部63を第1の領域58の第1の方向と同じ方向へ延長した平面の位置の方が、第1の領域58の第1の爪部60が突出した面の位置よりも、中央領域57を第1の領域58の第1の方向と同じ方向に対して略直交する方向へ延長した平面に近い。
【0135】
また、第2の支持部64を第2の領域59の第2の方向と同じ方向へ延長した平面の位置の方が、第2の領域59の第2の爪部61が突出した面の位置よりも、中央領域57を第2の領域59の第2の方向と同じ方向に対して略直交する方向へ延長した平面に近い。
【0136】
ここで、延長した平面は仮想の平面である。
【0137】
また、このような位置関係は、第1の支持部63を第1の領域58の第1の方向と同じ方向へ延長した平面と、第1の領域58の第1の爪部60が突出した面が互いに交わらない平行関係であるから、第1の支持部63を第1の領域58の第1の方向と同じ方向へ延長した平面と第1の領域58の第1の爪部60が突出した面との間には、段差を利用して形成された空間が存在する。
【0138】
また、同じように、第2の支持部64を第2の領域59の第2の方向と同じ方向へ延長した平面と、第2の領域59の第2の爪部61が突出した面は互いに交わらない平行関係にあるから、第2の支持部64を第2の領域59の第2の方向と同じ方向へ延長した平面と、第2の領域59の第2の爪部61が突出した面との間にも、段差を利用して形成された空間が存在する。
【0139】
従って、この空間に第1の片部54及び第2の片部55を挿通して、第1の支持部63及び第2の支持部64が第1の片部54及び第2の片部55を支持することができる。
【0140】
また、第3の支持部65の段差と第4の支持部66の段差はそれぞれ、中央領域57に対して、第1の段差11A及び第2の段差11Bと同じ側に位置しているが、段差の高さが異なる。
【0141】
すなわち、第3の支持部65を第1の領域58の第1の方向と同じ方向へ延長した平面の位置の方が、第1の領域58の第1の爪部60が突出した面の位置よりも、中央領域57を第1の領域58の第1の方向と同じ方向に対して略直交する方向へ延長した平面に近い。
【0142】
また、第4の支持部66を第2の領域59の第2の方向と同じ方向へ延長した平面の位置の方が、第2の領域59の第2の爪部61が突出した面の位置よりも、中央領域57を第2の領域59の第2の方向と同じ方向に対して略直交する方向へ延長した平面に近い。
【0143】
ここで、延長した平面は仮想の平面である。
すなわち、第1の支持部63と同様に、第3の支持部65を第1の領域58の第1の方向と同じ方向へ延長した平面と第1の領域58の第1の爪部60が突出した面との間には、段差を利用して形成された空間が存在する。
また、第2の支持部64と同様に、第4の支持部66を第2の領域59の第2の方向と同じ方向へ延長した平面と第2の領域59の第2の爪部61が突出した面との間には、段差を利用して形成された空間が存在する。
【0144】
従って、第1の支持部63及び第2の支持部64によって支持された第1の片部54及び第2の片部55を、さらにこの空間に挿通して、第3の支持部65及び第4の支持部66も第1の片部54及び第2の片部55を支持することができる。
【0145】
また、第1の壁部58Aと第1の段差62Aとの間の距離は、第1の片部54の短手方向の長さより僅かに長い値であり、また、第2の壁部59Aと第2の段差62Bとの間の距離は、第2の片部55の短手方向の長さより僅かに長い値である。
【0146】
従って、第1の壁部58Aと第1の段差62A、並びに第2の壁部59Aと第2の段差62Bがガイド機能を発揮して、それぞれ第1の片部54及び第2の片部55を導くことができる。
【0147】
その結果、第1の支持部63または第3の支持部65を第1の領域58の第1の方向と同じ方向へ延長した平面と第1の領域58の第1の爪部60が突出した面との間に形成された空間、並びに第2の支持部64または第4の支持部66を第2の領域59の第2の方向と同じ方向へ延長した平面と第2の領域59の第2の爪部61が突出した面との間に形成された空間それぞれに、第1の片部54及び第2の片部55を挿通し易い。
【0148】
また、図6に示すように中央領域57には、中央領域57の一方の面と、この一方の面の反対側の面である他方の面との間を貫通した取付孔67が形成されている。
【0149】
また、第1の固定部材52は、延出部68を有し、延出部68には引掛孔69が形成されている。
ここで、延出部68及び引掛孔69は、図1に示す第1の固定部材2の延出部16及び引掛孔16Aと同じであるから、延出部68及び引掛孔69の詳細な説明を省略する。
【0150】
ここで、図6に示す本発明の建材固定金具において、第2の固定部材は必ずしも4つの支持部を有していなくてもよく、第1の支持部と第2の支持部のみを有する構成とすることもできる。
しかし、第2の固定部材が4つの支持部を有していれば、2つの支持部を有する場合よりも安定して第1の片部と第2の片部を支持することができるので好ましい。
【0151】
また、第1の支持部、第2の支持部、第3の支持部及び第4の支持部は、必ずしも一部に段差を含んでいなくてもよい。
この場合、第1の支持部、第2の支持部、第3の支持部及び第4の支持部それぞれを延長した平面は、中央領域を延長した平面と同一平面内に位置する。
【0152】
また、第1の支持部63、第2の支持部64、第3の支持部65及び第4の支持部66は、一枚の例えば金属板の一部を打ち抜いて形成されている。
【0153】
また、金属板の一部を打ち抜いて第1の支持部63、第2の支持部64、第3の支持部65及び第4の支持部66を形成し、金属板の残った領域が、中央領域57、第1の領域58及び第2の領域59に相当する領域となる。
【0154】
すなわち、第1の支持部63と第3の支持部65との間に位置する金属板の領域を断面略U字形に立ち上げるなどして、第1の領域58と第1の壁部58Aと第1の段差62Aを形成し、また、第2の支持部64と第4の支持部66との間に位置する金属板の領域を断面略U字形に立ち上げるなどして、第2の領域59と第2の壁部59Aと第2の段差62Bを形成する。
【0155】
また、図6に示す本発明の建材固定金具51も、図1に示す本発明の建材固定金具1と同様の第1の固定部材52と、第2の固定部材53とを備えているので、図1に示す本発明の建材固定金具1と同様に、一方の外壁材を他方の外壁材に押し付けて、一方の外壁材を強固に固定することができる。
【0156】
以上のように、本発明の建材固定金具は、第1の片部と第2の片部を有する第1の固定部材と、第1の爪部すなわち第1の係合部と第2の爪部すなわち第2の係合部を有する第2の固定部材とを備えているので、第1の固定部材が一方向への移動を規制されながら、第2の固定部材に対する第1の固定部材の位置を固定することができる。
【0157】
また、本発明の建材固定金具は、第1の支持部と第2の支持部を有する第2の固定部材を備えているので、第1の支持部と第1の領域の第1の係合部が突出した面との間及び第2の支持部と第2の領域の第2の係合部が突出した面との間それぞれに段差を利用して形成された空間に、第1の片部及び第2の片部を挿通して支持することができる。
【0158】
また、段差を利用して第1の支持部及び第2の支持部は、第1の片部及び第2の片部が挿通される空間を形成し、そして挿通された第1の片部及び第2の片部を支持するので、第1の片部及び第2の片部を挿通するための空間を形成するためにわざわざ別の部材を接合する必要がない。
【0159】
また、第1の支持部及び第2の支持部は段差を利用して空間を形成するものなので、第1の支持部は第1の領域の一部を打ち抜くことで形成されることが可能であり、また、第2の支持部は第2の領域の一部を打ち抜くことで形成されることが可能である。
【0160】
また、第2の固定部材が第1~4の支持部を有する場合でも、段差を利用して空間が形成されるので、第1~4の支持部は一枚の例えば金属板の一部を打ち抜くことで形成されることが可能である。
【0161】
よって、本発明の建材固定金具は、簡単な加工で製造されることが可能である。
【0162】
また、本発明の建材固定金具は、突出部を有する第1の固定部材を備えているので、外壁材などの建材を押圧して建材を固定することができる。
【0163】
従って、本発明の建材固定金具は、簡単な加工で製造できる簡素な構造でありながら、ビスや釘などを使用することなく、建材を押圧して強固に取付けることができ、建材の表面からビスや釘などを使用しないので外観を損なうこともない。
【符号の説明】
【0164】
1 建材固定金具
2 第1の固定部材
3 第2の固定部材
4 第1の片部
4A 第1の凹凸部
5 第2の片部
5A 第2の凹凸部
6 突出部
7 第1の領域
7A 第1の壁部
8 第2の領域
8A 第2の壁部
9 第1の爪部
9A 第1のスリット
10 第2の爪部
10A 第2のスリット
11A 第1の段差
11B 第2の段差
12 中央領域
13 第1の支持部
13A 第1の貫通孔
14 第2の支持部
14A 第2の貫通孔
15 取付孔
16 延出部
16A 引掛孔
21 第1の爪部線分
22 第2の爪部線分
23 第1の凹凸部線分
24 第2の凹凸部線分
29 切欠き
30 取付金具
30A 本体
30B 突起
31A 第1の外壁材
31B 第2の外壁材
32 窓枠
33 胴縁
34 壁面
35 ビス
36 溝部
37 取付釘
38 屋根
39 鼻隠し材
40 軒天材
41A 第1の外壁材
41B 第2の外壁材
42 溝部
43 切欠き
51 建材固定金具
52 第1の固定部材
53 第2の固定部材
54 第1の片部
54A 第1の凹凸部
55 第2の片部
55A 第2の凹凸部
56 突出部
57 中央領域
58 第1の領域
58A 第1の壁部
59 第2の領域
59A 第2の壁部
60 第1の爪部
60A 第1のスリット
61 第2の爪部
61A 第2のスリット
62A 第1の段差
62B 第2の段差
63 第1の支持部
64 第2の支持部
65 第3の支持部
66 第4の支持部
67 取付孔
68 延出部
69 引掛孔
71 第1の爪部線分
72 第2の爪部線分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9