(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】ワッシャ整列移送装置
(51)【国際特許分類】
B23P 19/00 20060101AFI20221207BHJP
B23P 19/08 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
B23P19/00 301L
B23P19/08
(21)【出願番号】P 2019106824
(22)【出願日】2019-06-07
【審査請求日】2021-09-22
(31)【優先権主張番号】P 2018114304
(32)【優先日】2018-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006068
【氏名又は名称】三ツ星ベルト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128912
【氏名又は名称】松岡 徹
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】安江 真
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特公昭46-010388(JP,B1)
【文献】特開昭55-165832(JP,A)
【文献】特開昭57-008045(JP,A)
【文献】特開昭58-155131(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0096548(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 19/00-21/00
B25B 23/00-23/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワッシャが上方からそれぞれ落下して導入されるとともに、導入された前記ワッシャを上下方向に積重なった状態でそれぞれ整列させる第1導入管及び第2導入管と、
前記第1導入管の下方で前記ワッシャを受けるとともに、水平方向にスライド移動して前記ワッシャを移送する第1スライドプレートと、
前記第2導入管の下方で前記ワッシャを受けるとともに、水平方向にスライド移動して前記ワッシャを移送する第2スライドプレートと、
前記第1導入管及び前記第2導入管を支持するとともに、前記第1スライドプレート及び前記第2スライドプレートをスライド移動自在に支持する支持台と、
前記第1導入管及び前記第2導入管の少なくとも一方に対して振動を付与する振動付与部と、を備え、
前記支持台は、前記振動付与部によって振動が付与される前記第1導入管及び前記第2導入管の少なくとも一方を揺動可能に支持し
、
前記振動付与部は、
前記振動付与部によって振動が付与される前記第1導入管及び前記第2導入管の少なくとも一方である振動導入管の外周に対して回転可能なリング部と、
前記リング部の外周の一部に設けられた偏心重量部と、
を有していることを特徴とする、ワッシャ整列移送装置。
【請求項2】
請求項1に記載のワッシャ整列移送装置であって、
前記第1スライドプレート及び前記第2スライドプレートには、前記ワッシャを受けて保持する保持溝がそれぞれ設けられ、
前記第1スライドプレート及び前記第2スライドプレートは、上下方向にずれて高さが異なる位置で前記支持台に対してスライド移動自在に支持されており、
前記第1スライドプレート及び前記第2スライドプレートは、上下方向に並んで配置された状態で、前記保持溝の位置が上下方向に並ぶように構成されていることを特徴とする、ワッシャ整列移送装置。
【請求項3】
請求項
1又は請求項2に記載のワッシャ整列移送装置であって、
前記振動付与部は、前記偏心重量部にエアを吹き付けることで前記リング部を前記振動導入管に対して回転させるエア吹き付け部を更に有していることを特徴とする、ワッシャ整列移送装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項
3のいずれか1項に記載のワッシャ整列移送装置であって、
前記支持台に支持され、前記第1スライドプレートを水平方向に駆動する第1エアシリンダ機構と、
前記支持台に支持され、前記第2スライドプレートを水平方向に駆動する第2エアシリンダ機構と、
を更に備えていることを特徴とする、ワッシャ整列移送装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項
4のいずれか1項に記載のワッシャ整列移送装置であって、
前記第1スライドプレート及び前記第2スライドプレートには、前記ワッシャを受けて保持する保持溝がそれぞれ設けられ、
前記保持溝は、前記第1スライドプレート及び前記第2スライドプレートをそれぞれ厚さ方向に貫通するとともに、前記厚さ方向と垂直な方向に延びて一端側が外部に向かって開放されるように設けられ、
前記保持溝は、前記厚さ方向における上側に形成される上側溝と下側に形成される下側溝とを有し、
前記下側溝は、前記ワッシャが組み付けられる締結部材の軸部の径よりも大きい幅で、且つ、前記締結部材の頭部の径よりも小さい幅で前記一端側に向かって延び、
前記上側溝は、前記ワッシャの外径よりも大きい幅で前記一端側に向かって延びていることを特徴とするワッシャ整列移送装置。
【請求項6】
請求項
5に記載のワッシャ整列移送装置であって、
前記第1スライドプレート及び前記第2スライドプレートの一方の前記上側溝の深さと、前記第1スライドプレート及び前記第2スライドプレートの他方の前記上側溝の深さとが、異なっていることを特徴とする、ワッシャ整列移送装置。
【請求項7】
ワッシャが上方からそれぞれ落下して導入されるとともに、導入された前記ワッシャを上下方向に積重なった状態でそれぞれ整列させる第1導入管及び第2導入管と、
前記第1導入管の下方で前記ワッシャを受けるとともに、水平方向にスライド移動して前記ワッシャを移送する第1スライドプレートと、
前記第2導入管の下方で前記ワッシャを受けるとともに、水平方向にスライド移動して前記ワッシャを移送する第2スライドプレートと、
前記第1導入管及び前記第2導入管を支持するとともに、前記第1スライドプレート及び前記第2スライドプレートをスライド移動自在に支持する支持台と、
前記第1導入管及び前記第2導入管の少なくとも一方に対して振動を付与する振動付与部と、を備え、
前記支持台は、前記振動付与部によって振動が付与される前記第1導入管及び前記第2導入管の少なくとも一方である振動導入管をバネ部材を介して支持することで、前記振動導入管を揺動可能に支持していることを特徴とする、ワッシャ整列移送装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項
7のいずれか1項に記載のワッシャ整列移送装置であって、
前記支持台に支持され、前記第1スライドプレート及び前記第2スライドプレートのいずれか一方のうち上側に配置されたスライドプレートによって移送された前記ワッシャの少なくとも一部を上方から覆うワッシャカバー部を更に備えることを特徴とする、ワッシャ整列移送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワッシャを締結部材に組み付けるためワッシャを整列させて移送するワッシャ整列移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、締結対象にボルトやネジ等の締結部材を締結する際には、締結部材の緩み防止、及び、締結対象の保護等の目的で、例えば平ワッシャ、スプリングワッシャ等が締結部材に組み付けられる。しかし、多数の締結部材を必要とする場面においては、作業者は、ワッシャを締結部材に組み付けるのに相当の手間と時間を要する。このような作業の負担を軽減するために、例えば特許文献1に開示されるような装置が用いられている。
【0003】
特許文献1においては、ボルトにワッシャを組み付けるための装置として、円盤状ワークの移送装置を含むものが開示されている。この円盤状ワークの移送装置は、ワッシャ受け台と、ワッシャ受け台上に回転可能に取付けられているワッシャ移送円板と、ワッシャ移送円板にワッシャを上方から落下させて導入する導入管と、を備えている。そして、ワッシャ移送円板の周縁部にはワッシャを移送するための複数個の円弧状切欠き部が設けられており、各円弧状切欠き部の回転方向と反対側の端部には傾斜面が形成されている。そして、ワッシャ移送円板の厚みが、ワッシャの厚みよりも大きく設定されており、円弧状切欠き部に設けられた傾斜面が、内端部にワッシャが引っ掛かるだけの厚みに設定されている。
【0004】
このため、導入管内に積重なるワッシャの一番下のものは、ワッシャ移送円板がモーターで回転されることによってワッシャ移送円板の切欠き部へと落ち込み、傾斜面の内端に引っ掛かってワッシャ移送円板の回転方向へと移送される。また、このとき、一番下のワッシャの一個上のワッシャがワッシャ移送円板の傾斜面にガイドされて、導入管の内下端で上方に持ち上げられた後に次の切欠き部に落下する。その結果、導入管内に斜めに積重なるワッシャが存在しても、一番下のワッシャの一個上のワッシャが上下に揺動することで斜めに積重なった状態が解消され、ワッシャがワッシャ移送円板に取り込まれてワッシャ組込み装置へと移送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のワッシャ移送円板は、導入管内に積重なった状態で保持された一種類のワッシャを連続して移送して組み付けるものである。このため、例えば、平ワッシャとスプリングワッシャといった種類の異なるワッシャを締結部材に組み付けたい場合には対応できないという問題がある。
【0007】
また、移送対象が平ワッシャではなく、スプリングワッシャ等のように形状が非対称な部分を有する場合には、互いに厚み方向に出っ張る部分が当接することで、導入管内においてワッシャ同士に隙間が形成されたり、全体として斜めに積み重なったりして、上下に揺動しても隙間が解消され難くなる。この状態で、ワッシャをワッシャ移送円板の切欠き部に取り込もうとしても、円滑に取り込まれ難いという問題がある。
【0008】
また、締結対象にボルトを締結する作業を行う場合は、通常、作業を行う現場でワッシャを嵌め込む必要がある。しかし、上述の円盤状ワークの移送装置には、ワッシャを移送するための装置として、ワッシャ移送円板に加えて、ワッシャ移送円板を回転させるための回転駆動機構が必要となる。このため、装置が大型で重量のある装置となり、ボルトを締結する作業を行う現場で装置を使用したい場合であっても、容易に持ち運ぶことができないという問題がある。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、その目的は、非対称な部分を有するワッシャであっても円滑に移送することができるとともに、複数種類のワッシャであっても締結部材に組み付けることができ、なおかつ持ち運びが容易であるワッシャ整列移送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記課題を解決するため、本発明のある局面に係るワッシャ整列移送装置は、ワッシャが上方からそれぞれ落下して導入されるとともに、導入された前記ワッシャを上下方向に積重なった状態でそれぞれ整列させる第1導入管及び第2導入管と、前記第1導入管の下方で前記ワッシャを受けるとともに、水平方向にスライド移動して前記ワッシャを移送する第1スライドプレートと、前記第2導入管の下方で前記ワッシャを受けるとともに、水平方向にスライド移動して前記ワッシャを移送する第2スライドプレートと、前記第1導入管及び前記第2導入管を支持するとともに、前記第1スライドプレート及び前記第2スライドプレートをスライド移動自在に支持する支持台と、前記第1導入管及び前記第2導入管の少なくとも一方に対して振動を付与する振動付与部と、を備え、前記支持台は、前記振動付与部によって振動が付与される前記第1導入管及び前記第2導入管の少なくとも一方を揺動可能に支持している。
【0011】
上記の構成によると、ワッシャ整列移送装置は、上方から落下して導入される複数種類のワッシャを、それぞれ上下方向に積重なった状態で整列させる第1導入管及び第2導入管と、第1導入管及び第2導入管のそれぞれの下方でワッシャを受ける第1スライドプレート及び第2スライドプレートと、を備え、それぞれ支持台によって支持されている。また、ワッシャ整列移送装置は、振動を付与する振動付与部を備え、第1導入管及び第2導入管の少なくとも一方が、支持台に揺動可能に支持されている。このため、導入管は、振動付与部によって振動が付与され、支持台上で振動する。そして、導入管内のワッシャにも振動が伝達し、上下方向に積重なったときに互いの間に隙間が形成され易い非対称部分を有するスプリングワッシャであっても、振動によって隙間が解消される。即ち、導入管内において上下方向に積重なったワッシャは、振動が付与されることで整列される。その結果、導入管内において整列されたワッシャは、スライドプレートに確実に取り込まれ円滑に移送される。また、導入管及びスライドプレートが複数あるため、ワッシャが複数種類になる場合であっても種類ごとにそれぞれのスライドプレートに取り込んで複数種類のワッシャを締結部材に組み付けることができる。
【0012】
また、上記構成によると、ワッシャ整列移送装置は、第1及び第2導入管と、第1及び第2スライドプレートとが支持台によって支持され、導入管に振動を付与する振動付与部が設けられた簡素な構造で構成されている。このため、上記の構成にすると装置全体を簡素な構造とし装置全体の重量を抑えて、持ち運びが容易なワッシャ整列移送装置を実現することができる。尚、上記の構成のワッシャ整列移送装置は、例えばモーター等の回転駆動のための大型で重量の大きな機構も不要となる。これにより、作業者は、締結部材にワッシャを組み付ける際において、装置を現場に容易に持ち運ぶことが可能となる。
【0013】
従って、非対称な部分を有するワッシャであっても円滑に移送することができるとともに、複数種類のワッシャであっても締結部材に組み付けることができ、なおかつ持ち運びが容易であるワッシャ整列移送装置を提供することができる。
【0014】
(2)前記第1スライドプレート及び前記第2スライドプレートには、前記ワッシャを受けて保持する保持溝がそれぞれ設けられ、前記第1スライドプレート及び前記第2スライドプレートは、上下方向にずれて高さが異なる位置で前記支持台に対してスライド移動自在に支持されており、前記第1スライドプレート及び前記第2スライドプレートは、上下方向に並んで配置された状態で、前記保持溝の位置が上下方向に並ぶように構成されている。
【0015】
この構成によると、第1スライドプレート及び第2スライドプレートは、ワッシャを受けて保持する保持溝がそれぞれ設けられており、上下方向にずれて高さが異なる位置で支持台に対してスライド移動自在に支持されている。そして、第1スライドプレート及び第2スライドプレートが、上下方向に並んで配置された状態において、それぞれの保持溝の位置が上下方向に並ぶように構成されている。このため、作業者は、上下方向に並んで配置されるワッシャに締結部材を組み付けることが可能となる。即ち、作業者は、第1スライドプレートに保持された平ワッシャを締結部材に組み付けた後、更に第2スライドプレートの保持溝に保持されたスプリングワッシャを締結部材に組み付ける手順をふむ必要がなく、一回の動作で2つのワッシャを締結部材に組み付けることができる。これにより、作業者の手間を省き作業時間を短縮できる。
【0016】
(3)前記振動付与部は、前記振動付与部によって振動が付与される前記第1導入管及び前記第2導入管の少なくとも一方である振動導入管の外周に対して回転可能なリング部と、前記リング部の外周の一部に設けられた偏心重量部と、を有している。
【0017】
この構成によると、振動付与部は、振動導入管の外周に対して回転可能なリング部と、リング部の外周に設けられた偏心重量部と、を備える。このため、振動付与部が回転することによって、リング部が偏心して回転する。これにより、振動導入管に振動が付与されるため、振動導入管内のワッシャに小刻みな振動を付与することができる。即ち、リング部と偏心重量部とを設けた簡素な構成でありながら、振動導入管内に積重ねられたワッシャに振動を付与することができる。そして、この振動によって、振動導入管内のワッシャを密に積重ねた状態で整列させることができる。その結果、導入管内において整列されたワッシャは、スライドプレートに確実に取り込まれ円滑に移送される。
【0018】
(4)前記振動付与部は、前記偏心重量部にエアを吹き付けることで前記リング部を前記振動導入管に対して回転させるエア吹き付け部を更に有している。
【0019】
この構成によると、振動付与部は、偏心重量部にエアを吹き付けるエア吹き付け部を更に有している。偏心重量部にエアが吹き付けられることで、振動導入管に振動が付与されるため、振動導入管への振動付与するための電源は不要となる。このため、使用場所を変更する都度電源を確保する必要性がなく利便性が向上する。エア吹付け部は、例えば、電源を必要としない手動或いはフットスイッチでの操作によって作動する機械式のエアポンプからエアを供給するものを用いることで、設置場所の制約を更に緩和することができる。
【0020】
(5)前記支持台に支持され、前記第1スライドプレートを水平方向に駆動する第1エアシリンダ機構と、前記支持台に支持され、前記第2スライドプレートを水平方向に駆動する第2エアシリンダ機構と、を更に備えている。
【0021】
この構成によると、ワッシャ整列移送装置は、第1スライドプレートを水平方向に駆動する第1エアシリンダ機構と、第2スライドプレートを水平方向に駆動する第2エアシリンダ機構と、を備える。このため、スライドプレートは、導入管の下方で受けたワッシャを、エアシリンダの動力によって水平方向に移送することができる。これにより、モーター等を備えた電源を必要とし、且つ、重量の大きい機器が不要となり、電力を必要としない軽量な装置を実現することが可能となる。
【0022】
(6)前記第1スライドプレート及び前記第2スライドプレートには、前記ワッシャを受けて保持する保持溝がそれぞれ設けられ、前記保持溝は、前記第1スライドプレート及び前記第2スライドプレートをそれぞれ厚さ方向に貫通するとともに、前記厚さ方向と垂直な方向に延びて一端側が外部に向かって開放されるように設けられ、前記保持溝は、前記厚さ方向における上側に形成される上側溝と下側に形成される下側溝とを有し、前記下側溝は、前記ワッシャが組み付けられる締結部材の軸部の径よりも大きい幅で、且つ、前記締結部材の頭部の径よりも小さい幅で前記一端側に向かって延び、前記上側溝は、前記ワッシャの外径よりも大きい幅で前記一端側に向かって延びている。
【0023】
この構成によると、第1スライドプレート及び前記第2スライドプレートには、厚さ方向に貫通するとともに、厚さ方向と垂直な方向に延びて一端側が外部に向かって開放される保持溝がそれぞれ設けられている。このため、作業者は、ワッシャを保持した保持溝に挿入された締結部材を保持溝の一端側から引き出すことにより、ワッシャが組み付けられた状態の締結部材を引き出すことができる。即ち、作業者が、保持溝に保持されたワッシャに下方から締結部材を挿入して、保持溝から締結部材を引き出す一連の動作を行うことによって、ワッシャが締結部材に容易に組み付けられる。
【0024】
また、保持溝は、第1及び第2スライドプレートの厚さ方向における下側に、締結部材の軸部の径よりも大きい幅で、且つ、締結部材の頭部の径よりも小さい幅で一端側に向かって延びる下側溝を有している。このため、締結部材は、作業者によって保持溝から円滑に引き出される。また、保持溝は、第1スライドプレート及び第2スライドプレートの厚さ方向における上側に、ワッシャの外径よりも大きい幅で一端側に向かって延びる上側溝を有している。このため、ワッシャは、上側溝に落ち込んだ際に確実に取り込まれる。また、第1スライドプレート及び第2スライドプレートに保持されたそれぞれのワッシャが上下方向に重ねて配置されることで、一つの動作で2つのワッシャを締結部材に組み付けることができる。
【0025】
(7)前記第1スライドプレート及び前記第2スライドプレートの一方の前記上側溝の深さと、前記第1スライドプレート及び前記第2スライドプレートの他方の前記上側溝の深さとが、異なっている。
【0026】
この構成によると、第1スライドプレートの上側溝と第2スライドプレートの上側溝とを異なる深さにすることができる。このため、第1スライドプレートで移送するワッシャの厚さと第2スライドプレートで移送するワッシャの厚さとが異なる場合であっても、対応するワッシャの厚さに応じて第1スライドプレート及び第2スライドプレートの上側溝の深さを設定することによって、各スライドプレートの保持溝にワッシャを円滑且つ確実に取り込むことができる。
【0027】
(8)前記支持台は、前記振動付与部によって振動が付与される前記第1導入管及び前記第2導入管の少なくとも一方である振動導入管をバネ部材を介して支持することで、前記振動導入管を揺動可能に支持している。
【0028】
この構成によると、振動導入管は、支持台に対してバネ部材を介して揺動自在に支持されている。即ち、振動導入管は、バネ部材を用いるだけの簡素な構造で支持台に支持されている。
【0029】
(9)前記ワッシャ整列移送装置は、前記支持台に支持され、前記第1スライドプレート及び前記第2スライドプレートのいずれか一方のうち上側に配置されたスライドプレートによって移送された前記ワッシャの少なくとも一部を上方から覆うワッシャカバー部を更に備える。
【0030】
この構成によると、ワッシャ整列移送装置は、第1導入管、第2導入管、第1スライドプレート、第2スライドプレート、支持台、及び、振動付与部に加えて、更にワッシャカバー部を備える。ワッシャカバー部は、第1スライドプレート及び第2スライドプレートのいずれか一方のうち上側に配置されたスライドプレートによって移送されたワッシャを上方から覆うように設けられている。このため、移送されたワッシャは、ワッシャカバー部によって上方への動きが規制される。即ち、作業者が、ワッシャに締結部材を組み付ける際、ワッシャが締結部材によって下方から押圧された場合であっても保持溝から浮き上がって離脱するようなことがない。その結果、作業者は、手元で締結部材の傾きや位置の微調整を行いながらワッシャに確実に組み付けることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によると、非対称な部分を有するワッシャであっても円滑に移送することができるとともに、複数種類のワッシャであっても締結部材に組み付けることができ、なおかつ持ち運びが容易であるワッシャ整列移送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るワッシャ整列移送装置の模式的な正面図である。
【
図2】
図1に示すワッシャ整列移送装置の平面図である。
【
図3】
図2に示すワッシャ整列移送装置のA-A線矢視位置における断面を示す断面図である。
【
図4】ワッシャ整列移送装置によるワッシャの移送動作を説明するための一例を示す図であって、移送装置をワッシャとともに模式的に示す断面図である。
【
図5】ワッシャ整列移送装置によるワッシャの移送動作を説明するための一例を示す図であって、移送装置をワッシャ、振動付与部等とともに模式的に示す断面図である。
【
図6】ワッシャ整列移送装置によるワッシャの移送動作を説明するための一例を示す図であって、移送装置をワッシャとともに模式的に示す断面図である。
【
図7】ワッシャ整列移送装置によるワッシャの移送動作を説明するための一例を示す図であって、移送装置をワッシャとともに模式的に示す断面図である。
【
図8】ワッシャ整列移送装置によるワッシャの移送動作を説明するための一例を示す図であって、移送装置をボルトに組み付けられたワッシャとともに模式的に示す断面図である。
【
図9】ワッシャ整列移送装置によるワッシャの移送動作を説明するための一例を示す図であって、ボルトに組み付けられたワッシャが移送装置から取り出された状態を模式的に示す平面図である。
【
図10】本発明の第2実施形態に係るワッシャ整列移送装置の模式的な正面図である。
【
図12】ワッシャ整列移送装置により移送されたワッシャに締結部材が挿入される動作を説明するための図であって、移送装置によって移送されたワッシャを締結部材とともに模式的に示す断面図である。
【
図13】ワッシャ整列移送装置により移送されたワッシャに締結部材が挿入される動作を説明するための図であって、移送装置によって移送されたワッシャを締結部材とともに模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0034】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るワッシャ整列移送装置1の模式的な正面図である。
図2は、
図1に示すワッシャ整列移送装置1の平面図である。
図3は、
図2に示すワッシャ整列移送装置1のA-A線矢視位置における断面を示す断面図である。本実施形態におけるワッシャ整列移送装置1は、第1導入管2及び第2導入管3と、第1スライドプレート4及び第2スライドプレート5と、支持台6と、振動付与部7と、を備えている。
【0035】
そして、第1導入管2及び第2導入管3には、それぞれワッシャ100が内部に導入される。第1スライドプレート4及び第2スライドプレート5は、第1導入管2及び第2導入管3に導入されたワッシャ100をそれぞれ下方で受けてそれぞれ水平方向に移送する。支持台6は、第1導入管2、第2導入管3、第1スライドプレート4、及び第2スライドプレート5を支持する。振動付与部7は、第2導入管3に振動を付与する。また、第2導入管3は、バネ部材8を介して支持台6に支持されており、振動が付与されることで過度に変位しないように支持枠9によって囲まれている。
【0036】
また、本実施形態における移送対象とされるワッシャ100には、平ワッシャ101、スプリングワッシャ102の他、波型ワッシャ等が例示され、第1導入管2には平ワッシャ101、第2導入管3にはスプリングワッシャ102がそれぞれ複数枚導入される。また、ワッシャ101,102に挿入される締結部材103としては、ボルトが用いられており、ボルトは、締結対象に対してねじ込まれる軸部104と、締結時に工具が組み付けられる頭部105と、を有している。
【0037】
第1導入管2は、ワッシャ101を上下方向に積重なった状態で整列させるために設けられている。第1導入管2には、ワッシャ101が上方から落下されて導入される。本実施形態における第1導入管2には、複数の平ワッシャ101が導入される。第1導入管2は、上下方向に延びる略円筒状に形成されており、上下方向に積重ねられた平ワッシャ101の外周面を囲んでいる。第1導入管2は、支持台6から延びる第1支持軸10によって支持台6に支持されており、支持台6に対して固定されている。
【0038】
第1導入管2は、第1スライドプレート4の上方に配置されている。より具体的には、第1導入管2は、その下端部分が第1スライドプレート4の上面に対向するように、第1スライドプレート4の上面に接触しない程度に離間して配置されている。
【0039】
第2導入管3は、第1導入管2と同様に、ワッシャ102を上下方向に積重なった状態で整列させるために設けられている。第2導入管3には、ワッシャ102が上方から落下されて導入される。本実施形態における第2導入管3は、複数のスプリングワッシャ102が導入される。第2導入管3は、上下方向に延びる略円筒状に形成されており、上下方向に積重ねられたスプリングワッシャ102の外周面を囲んでいる。第2導入管3とスプリングワッシャ102の外周との間には、第2導入管3内に積重ねられたスプリングワッシャ102が第2導入管3内で振動可能なように隙間が形成されている。第2導入管3は、第1導入管2から離間して略平行に配置されている。
【0040】
第2導入管3は、支持台6に支持されており、第2スライドプレート5の上方に配置されている。より具体的には、第2導入管3は、バネ部材8を介して支持台6に支持されており、支持台6に対し揺動自在な状態で保持されている。また、第2導入管3は、振動によって過度に変位しないように支持枠9によって囲まれている。第2導入管3は、その下端部分が第2スライドプレート5の上面に対向するように、第2スライドプレート5の上面に接触しない程度に離間して配置されている。
【0041】
また、本実施形態においては、第2導入管3は、後述する振動付与部7によって振動が付与される振動導入管として構成される。尚、振動導入管は、第1導入管2及び第2導入管3の少なくとも一方として構成される。また、第1導入管2及び第2導入管3は、平ワッシャ101及びスプリングワッシャ102が視認可能となるよう透明な樹脂部材が使用されるものであってもよい。
【0042】
バネ部材8は、第2導入管3を振動可能に支持するために設けられている。バネ部材8は、第2導入管3の前後の二箇所に配置されている。それぞれのバネ部材8は、一端側が支持台6に固定されており、他端側が第2導入管3の上部に連結具12を介して固定されている。即ち、バネ部材8によって支持される第2導入管3は、支持台6の上方でバネ部材8の先端から吊り下げられた状態で揺動自在に支持されるとともに、支持台6に支持された第2スライドプレート5の上方に配置される。
【0043】
支持枠9は、振動する第2導入管3が、過度に振動しないように振動の変位量を規制するための枠として設けられている。支持枠9は、スプリングワッシャ102が第2スライドプレート5に取り込まれる位置から大きくずれないように、第2導入管3の振動による水平方向への変位量を規制する。
【0044】
支持枠9は、円筒状に形成されており、バネ部材8の連結具12の下方に配置されている。支持枠9は、第2導入管3に接触しない程度に離間した状態で第2導入管3の外周を囲むように設けられている。支持枠9は、支持台6に対して第2支持軸11を介して固定されている。即ち、支持枠9は、支持台6に対して変位しないように設けられている。このため、第2導入管3が過度に振動した場合であっても、第2導入管3は、支持枠9の内周面に当接して水平方向への変位量が規制される。
【0045】
第1スライドプレート4は、第1導入管2の下方で平ワッシャ101を受けるとともに、水平方向にスライド移動して平ワッシャ101を移送するために設けられている。第1スライドプレート4は、
図2を参照して左右方向D1に長く延びる板状に形成されており、移送する平ワッシャ101を取り込めるように所定の厚みを有して形成されている。第1スライドプレート4は、支持台6に支持されており、支持台6に対して略平行に配置されている。より具体的には、第1スライドプレート4は、後述する第1エアシリンダ機構16と連結されており、第1エアシリンダ機構16とともに支持台6に支持されている。第1スライドプレート4は、支持台6に対して水平方向にスライド移動自在に支持されている。第1スライドプレート4には、保持溝13aが設けられている。第1スライドプレート4に設けられた保持溝13aには、平ワッシャ101が取り込まれる。
【0046】
第1スライドプレート4の保持溝13aは、平ワッシャ101を受けて保持する溝であり、第1導入管2内に上下方向に積重なった平ワッシャ101の一番下の平ワッシャ101を取り込んで水平方向に移送する。保持溝13aは、第1スライドプレート4の先端側に設けられている。保持溝13aは、第1スライドプレート4を厚さ方向に貫通するとともに、厚さ方向と垂直な方向に延びて一端側が外部に向かって開放されるように設けられている。より具体的には、保持溝13aは、一定の幅で前後方向に延びる長孔状に形成されており、前側が開放されて形成されている。保持溝13aは、厚さ方向における上側に形成される上側溝14aと下側に形成される下側溝15aとを有している。
【0047】
保持溝13aの上側溝14aは、第1導入管2内に積重ねられた平ワッシャ101を取り込むために形成された溝である。また、上側溝14aは、締結部材103を平ワッシャ101に挿入した後において、平ワッシャ101を組み付けた状態の締結部材103を引き出せるように形成された溝である。上側溝14aは、平ワッシャ101の外径よりも大きい幅で形成されており、第1スライドプレート4の前側に向かって延びている。より具体的には、上側溝14aは、平面視において、前側が開放されて形成されており、後ろ側が円弧状に形成されて閉じられている。
【0048】
上側溝14aの深さは、平ワッシャ101の一つ分の厚みと略同じに設定されている。即ち、第1スライドプレート4が水平方向にスライド移動して、上側溝14aが第1導入管2内に積重ねられた平ワッシャ101の下方に位置した際、一番下の平ワッシャ101が上側溝14aに一つ取り込まれる。
【0049】
保持溝13aの下側溝15aは、平ワッシャ101に締結部材103が挿入される際において、締結部材103を平ワッシャ101に挿入し易く案内するための溝である。また、下側溝15aは、平ワッシャ101に締結部材103が挿入された後において、平ワッシャ101に組み付けられた締結部材103が第1スライドプレート4から引き出せるように形成されている。下側溝15aは、平ワッシャ101が組み付けられる締結部材103の軸部104の径よりも大きい幅で、且つ、締結部材103の頭部105の径よりも小さい幅で形成されており、第1スライドプレート4の前側に向かって延びている。より具体的には、下側溝15aは、平面視において、長孔状に形成されており前側が開放されている。また、下側溝15aの後ろ側は、平面視において、円弧状に形成されており閉じられている。下側溝15aの深さは、上側溝14aの深さよりも小さく設定されている。
【0050】
第1エアシリンダ機構16は、第1スライドプレート4を駆動するために設けられている。第1エアシリンダ機構16は、第1スライドプレート4とともに支持台6に支持されている。第1エアシリンダ機構16は、第1スライドプレート4を水平方向に駆動する。第1エアシリンダ機構16は、第1スライドプレート4に対して連結部17によって連結されている。第1エアシリンダ機構16は、筒状のシリンダ本体18と、シリンダ本体18に対して伸張及び縮退自在に支持されたロッド19と、を有している。尚、ロッド19は、シリンダ本体18の内部に設けられた付勢バネ(図示省略)によって縮退する方向に付勢されている。シリンダ本体18の先端側には、シリンダ本体18の内部にエアを供給するためのエアチューブ20が接続されており、エアチューブ20には、シリンダ本体18にエアを供給するためのエアポンプ21が接続されている。
【0051】
エアポンプ21は、第1エアシリンダ機構16に連結されている。エアポンプ21は、フットスイッチ(図示省略)と、容積室(図示省略)と、付勢バネ(図示省略)と、を有している。フットスイッチは、ペダル状に構成されており、エアポンプの圧縮操作を足で踏んで行うためのものである。容積室は、フットスイッチが足で踏まれることで押圧操作されたときには圧縮されてエアを吐出し、また、押圧操作が解除されたときには膨張してエアを内部に貯め込む。付勢バネは、押圧操作が解除されたときに容積室を復元させて膨張させる。即ち、エアポンプ21は、フットペダルが押圧操作されることで第1エアシリンダ機構16にエアを吐出し、押圧が解除されると外部からエアを吸い込むように構成されている。
【0052】
第2スライドプレート5は、第2導入管3の下方でスプリングワッシャ102を受けるとともに、水平方向にスライド移動してスプリングワッシャ102を移送するために設けられている。第2スライドプレート5は、
図2を参照して、左右方向D1に長く延びる板状に形成されており、移送するスプリングワッシャ102が取り込めるように所定の厚みを有して形成されている。第2スライドプレート5は、支持台6に支持されており、支持台6に対して略平行に配置されている。より具体的には、第2スライドプレート5は、後述する第2エアシリンダ機構22と連結されており、第2エアシリンダ機構22とともに支持台6に支持されている。第2スライドプレート5は、支持台6に対して水平方向にスライド移動自在に支持されており、第1スライドプレート4に対して下方にずれる位置で配置されている。即ち、第1スライドプレート4及び第2スライドプレート5は、上下方向にずれて高さが異なる位置で支持台6に対してスライド移動自在に支持されている。
【0053】
また、第2スライドプレート5には、保持溝13bが設けられている。第2スライドプレート5に設けられた保持溝13bには、スプリングワッシャ102が取り込まれる。第1スライドプレート4及び第2スライドプレート5は、上下方向に並んで配置された状態で、保持溝13a及び保持溝13bの位置が上下に並ぶように構成されている。即ち、第1スライドプレート4及び第2スライドプレート5が互いに上下方向に重なるように水平方向にスライド移動した際、保持溝13aと保持溝13bが上下方向に並んで配置され、締結部材103を保持溝13a及び保持溝13bに対して一つの動作で挿入することができるようになる。尚、本実施形態においては、第1スライドプレート4及び第2スライドプレート5が水平方向にスライド移動した際、第1スライドプレート4の保持溝13aが上側に配置され、第2スライドプレート5の保持溝13bが下側に配置される。
【0054】
第2スライドプレート5の保持溝13bは、スプリングワッシャ102を受けて保持する溝であり、第2導入管3内に上下方向に積重なったスプリングワッシャ102の一番下のスプリングワッシャ102を取り込んで水平方向に移送する。保持溝13bは、第2スライドプレート5の先端側に設けられている。保持溝13bは、第2スライドプレート5を厚さ方向に貫通するとともに、厚さ方向と垂直な方向に延びて一端側が外部に向かって開放されるように設けられている。より具体的には、保持溝13bは、一定の幅で前後方向に延びる長孔状に形成されており、前側が開放されて形成されている。保持溝13bは、厚さ方向における上側に形成される上側溝14bと下側に形成される下側溝15bとを有している。
【0055】
上側溝14bは、第2導入管3内に積重ねられたスプリングワッシャ102を取り込むために形成された溝である。また、上側溝14bは、締結部材103をスプリングワッシャ102に挿入した後において、スプリングワッシャ102を組み付けた状態の締結部材103を引き出せるように形成された溝である。上側溝14bは、スプリングワッシャ102の外径よりも大きい幅で形成されており、第2スライドプレート5の前側に向かって延びている。より具体的には、上側溝14bは、平面視において、前側が開放され形成されており、後ろ側が円弧状に形成されて閉じられている。上側溝14bの深さは、スプリングワッシャ102の一つ分の厚みと略同じに設定されている。即ち、第2スライドプレート5が水平方向にスライド移動して、上側溝14bが第2導入管3内に積重ねられたスプリングワッシャ102の下方に位置した際、一番下のスプリングワッシャ102が上側溝14bに一つ取り込まれる。
【0056】
下側溝15bは、スプリングワッシャ102に締結部材103が挿入される際において、締結部材103をスプリングワッシャ102に挿入し易く案内するための溝である。また、下側溝15bは、スプリングワッシャ102に締結部材103が挿入された後において、スプリングワッシャ102が組み付けられた締結部材103が第2スライドプレート5から引き出せるように形成されている。下側溝15bは、スプリングワッシャ102が組み付けられる締結部材103の軸部104の径よりも大きい幅で、且つ、締結部材103の頭部105の径よりも小さい幅で形成されており、第2スライドプレート5の前側に向かって延びている。より具体的には、下側溝15bは、平面視において長孔状に形成されており前側が開放されている。また、下側溝15bの後ろ側は、平面視において円弧状に形成されており閉じられている。下側溝15bの深さは、上側溝14bの深さよりも小さく設定されている。即ち、第1スライドプレート4及び第2スライドプレート5の一方の上側溝14a,14bの深さと、第1スライドプレート4及び第2スライドプレート5の他方の上側溝14a,14bの深さとは、異なっている。
【0057】
第2エアシリンダ機構22は、第1エアシリンダ機構16と同様に、第2スライドプレート5を駆動するために設けられている。第2エアシリンダ機構22は、第2スライドプレート5とともに支持台6に支持されている。第2エアシリンダ機構22は、第2スライドプレート5を水平方向に駆動する。第2エアシリンダ機構22は、第2スライドプレート5に対して連結部17によって連結されている。第2エアシリンダ機構22は、第1エアシリンダ機構16と同様に、筒状のシリンダ本体18と、シリンダ本体18に対して伸張及び縮退自在に支持されたロッド19と、を有している。ロッド19は、シリンダ本体18の内部に設けられた付勢バネによって縮退する方向に付勢されている。シリンダ本体18の先端側には、シリンダ本体18の内部にエアを供給するためのエアチューブ20が接続されており、エアチューブ20には、シリンダ本体18にエアを供給するためのエアポンプ21が接続されている。そして、エアポンプ21は、フットペダルが押圧操作されることで第2エアシリンダ機構22にエアを吐出し、押圧が解除されると外部からエアを吸い込むように構成されている。
【0058】
支持台6は、第1導入管2、第2導入管3、第1スライドプレート4、第2スライドプレート5、第1エアシリンダ機構16、及び第2エアシリンダ機構22をそれぞれ支持する。また、支持台6は、脚部23を有しており、安定した状態で水平に設置されている。支持台6は、振動付与部7によって振動が付与される第1導入管2及び第2導入管3の少なくとも一方を揺動可能に支持している。本実施形態においては、支持台6は、第1導入管2を固定した状態で支持しており、第2導入管3をバネ部材8を介して揺動自在に支持している。
【0059】
振動付与部7は、第1導入管2及び第2導入管3の少なくとも一方に対して振動を付与する。本実施形態において振動付与部7は、第2導入管3を振動させることで、第2導入管3内に積重ねられたスプリングワッシャ102に振動を付与して、スプリングワッシャ102同士を隙間のない状態で整列させる。また、第2導入管3内に積重ねられたスプリングワッシャ102が隙間なく整列されることで、スプリングワッシャ102は、第2スライドプレート5の上側溝14bに円滑且つ確実に取り込まれる。振動付与部7は、リング連結部24と、リング部25と、偏心重量部26と、エア吹付け部27と、を有している。
【0060】
リング連結部24は、リング部25を第2導入管3に対して回転自在に連結するための部分である。リング連結部24は、第2導入管3の上部に設けられている。リング連結部24は、略円筒状に形成されており、第2導入管3の外周面に対して嵌められて固定されている。リング連結部24の外周面側には、リング部25が回転自在に設けられている。
【0061】
リング部25は、ベアリングを介してリング連結部24の外周に設けられている。即ち、リング部25は、第2導入管3の外周に対して回転可能に設けられている。本実施形態におけるリング部25及びリング連結部24は、例えば、ボールベアリング等のベアリングとして構成される。即ち、リング連結部24は、ボールベアリングの内輪に相当し、リング部25は、ボールベアリングの外輪に相当する。また、リング部25は、リング連結部に対して、転動体(図示省略)を介し回転自在に取付けられている。このため、リング部25は、リング連結部24に対して円滑に回転する。
【0062】
偏心重量部26は、第2導入管3に設けられたリング部25を偏心して回転させるために設けられている。偏心重量部26は、
図2を参照して、リング部25の外周の一部に設けられている。本実施形態における偏心重量部26は、例えば、リング部25の外周に取付けられたナットであり、溶接等によって取付けられている。そして、偏心重量部26が取付けられた状態でリング部25が回転することで、リング部25が偏心して回転し、第2導入管3が振動する。尚、偏心重量部26は、リング部25にナットを溶接したものに限定されず、例えば、リング部25に軸を取付けて、取付けた軸にナットを嵌め込むものであってもよい。これにより、リング部25は、第2導入管3に対して、偏心して回転し、スプリングワッシャ102を振動させる。また、ナット以外の部材がリング部25に固定されているものであってもよい。
【0063】
エア吹付け部27は、エアを吹き付けることによってリング部25を回転させて、第2導入管3内のスプリングワッシャ102を振動させるための動力源として用いられる。エア吹付け部27は、先端側にノズル28が設けられており、基端側がエアチューブ20を介してエアポンプ21に接続されている。そして、エア吹付け部27は、エアポンプ21のフットスイッチが足で押圧操作されると、ノズル28からエアを吐出し、偏心重量部26にエアを吹き付ける。これにより、リング部25は、平面視において、第2導入管3の接線方向に回転する。即ち、振動付与部7は、偏心重量部26にエアを吹き付けることでリング部25を振動導入管に対して回転させる。そして、エア吹付け部27のエアによってリング部25が回転すると、第2導入管3が振動し、第2導入管3内に積重ねられたスプリングワッシャ102に振動が伝達される。
【0064】
図4は、ワッシャ整列移送装置1によるワッシャ101,102の移送動作を説明するための一例を示す図であって、移送装置をワッシャ101,102とともに模式的に示す断面図である。
図4を参照して、ワッシャ整列移送装置1では、まず第1導入管2に複数枚の平ワッシャ101が導入され、第2導入管3にも複数枚のスプリングワッシャ102が導入される。
【0065】
このとき、第1スライドプレート4及び第2スライドプレート5に連結された各ロッド19は、シリンダ本体18に対して縮退する方向に付勢されている。このため、第1スライドプレート4及び第2スライドプレート5は、互いに近接する方向に配置され、それぞれの保持溝13a,13bが、上下方向に重なるように配置される。そして、第1導入管2内に積重ねられた平ワッシャ101は、第1スライドプレート4の基端側である溝が形成されていない平坦な部分で受けられ、第2導入管3に積重ねられたスプリングワッシャ102は、第2スライドプレート5の付け根側である右方側によって受けられる。
【0066】
図5は、ワッシャ整列移送装置1によるワッシャ101,102の移送動作を説明するための一例を示す図であって、移送装置をワッシャ101,102、振動付与部7等とともに模式的に示す断面図である。
図5を参照して、第1スライドプレート4及び第2スライドプレート5に連結された各ロッド19は、フットスイッチが足で押圧操作されることによりシリンダ本体18に対して伸張する。
【0067】
エアポンプ21は、フットスイッチが押圧操作されると、エアチューブ20を介して、エア吹付け部27、第1エアシリンダ機構16のシリンダ本体18、及び第2エアシリンダ機構22のシリンダ本体18にそれぞれエアを供給する。
【0068】
エア吹付け部27においては、フットスイッチ21が押圧操作された際、容積室に貯め込まれたエアが吐出側のエアチューブ20を通過して供給されノズル28から吐出される。そして、リング部25を第2導入管3に対して回転させる。また、第1エアシリンダ機構16及び第2エアシリンダ機構22においては、フットスイッチ21が押圧操作された際、シリンダ本体18の先端側に接続された吐出側のエアチューブ20からエアが供給され、それぞれのロッド19を駆動し、第1スライドプレート4及び第2スライドプレート5を離間する方向に変位させる。
【0069】
リング部25が回転し、第2導入管3に振動が付与されると、導入管内において互いに隙間が形成された状態で積重なったスプリングワッシャ102が振動によって回転する。そして、上下方向に積重なったスプリングワッシャ102のそれぞれは、厚み方向に出っ張る部分同士が引っ掛かった状態で回転し、隙間のない密に積重なった状態で整列される。
【0070】
図6は、ワッシャ整列移送装置1によるワッシャ101,102の移送動作を説明するための一例を示す図であって、移送装置をワッシャ101,102とともに模式的に示す断面図である。
図6を参照して、第1スライドプレート4は、積重ねられた平ワッシャ101の下方に滑り込み、積重ねられた平ワッシャ101の下方に保持溝13aが配置される。また、第2スライドプレート5は、積重ねられたスプリングワッシャ102の下方に滑り込み、積重ねられたスプリングワッシャ102の下方に保持溝13bが配置される。
【0071】
そして、第1導入管2及び第2導入管3内にそれぞれ積重ねられた平ワッシャ101及びスプリングワッシャ102は、
図6において矢印で示すように、積重ねられた平ワッシャ101とスプリングワッシャ102の最も下のワッシャ101,102が、それぞれ保持溝13a,13bに取り込まれる。
【0072】
図7は、ワッシャ整列移送装置1によるワッシャ101,102の移送動作を説明するための一例を示す図であって、移送装置をワッシャ101,102とともに模式的に示す断面図である。ワッシャ101,102が、それぞれ保持溝13a,13bに取り込まれると、作業者は、エアポンプ21のフットスイッチの押圧を解除する操作を行う。フットスイッチの押圧を解除する操作が行われると、第1エアシリンダ機構16及び第2エアシリンダ機構22に接続された吐出側のエアチューブ20を介してシリンダ本体18からエアポンプ21にエアが逆流する。更に、これと同時タイミングで、エアポンプ21の容積室には、吸入側のエアチューブ20からもエアが吸入される。
【0073】
第1スライドプレート4及び第2スライドプレート5に連結された各ロッド19は、フットスイッチの押圧を解除する操作が行われることでエアポンプ21にエアが戻り、付勢バネによってシリンダ本体18に縮退する。これにより、
図7において矢印で示すように、平ワッシャ101を保持溝13aに保持した第1スライドプレート4、及びスプリングワッシャ102を保持溝13bに保持した第2スライドプレート5が、互いに近接する方向に変位する。そして、第1スライドプレート4の保持溝13aに保持された平ワッシャ101、及び第2スライドプレート5の保持溝13bに保持されたスプリングワッシャ102が、上下方向に重なるように配置される。
【0074】
図8は、ワッシャ整列移送装置によるワッシャの移送動作を説明するための一例を示す図であって、移送装置をボルトに組み付けられたワッシャとともに模式的に示す断面図である。
図8において矢印で示すように、上下方向に重なって配置された平ワッシャ101、スプリングワッシャ102に、締結部材103が、作業者によって組み付けられる。即ち、締結部材103は、第2スライドプレート5の下方から挿入され、第2スライドプレート5の下側溝15bに案内されて、上側溝14bに保持されるスプリングワッシャ102に挿入される。更に、スプリングワッシャ102に挿入された締結部材103は、第1スライドプレート4の下方から挿入され、第1スライドプレート4の下側溝15aに案内されて、上側溝14aに保持される平ワッシャ101に挿入される。この結果、作業者は、第2スライドプレート5の下方から締結部材103を挿入するだけで、平ワッシャ101、スプリングワッシャ102の2種類のワッシャ101,102を組み付けることができる。
【0075】
図9は、ワッシャ整列移送装置1によるワッシャ101,102の移送動作を説明するための一例を示す図であって、ボルトに組み付けられたワッシャ101,102が移送装置から引き出された状態を模式的に示す平面図である。平ワッシャ101、スプリングワッシャ102の2種類のワッシャ101,102が組み付けられた締結部材103が、
図9において矢印で示すように、作業者によって、保持溝13a,13bの開放されている一端側から引き出される。上記の一連の動作により、2種類のワッシャ101,102が締結部材103に組み付けられる。
【0076】
本実施形態におけるワッシャ整列移送装置1では、上方から落下して導入される複数種類のワッシャ101,102を、それぞれ上下方向に積重なった状態で整列させる第1導入管2及び第2導入管3と、第1導入管2及び第2導入管3のそれぞれの下方でワッシャ101,102を受ける第1スライドプレート4及び第2スライドプレート5と、を備え、それぞれ支持台6によって支持されている。また、ワッシャ整列移送装置1は、振動を付与する振動付与部7を備え、第1導入管2及び第2導入管3の少なくとも一方が、支持台6に揺動可能に支持されている。このため、導入管2,3は、振動付与部7によって振動が付与され、支持台6上で振動する。そして、導入管2,3内のワッシャ101,102にも振動が伝達し、上下方向に積重なったときに互いの間に隙間が形成され易い非対称部分を有するスプリングワッシャ102であっても、振動によって隙間が解消される。即ち、導入管2,3内において上下方向に積重なったワッシャ101,102は、振動が付与されることで整列される。その結果、導入管2,3内において整列されたワッシャ101,102は、スライドプレート4,5に確実に取り込まれ円滑に移送される。また、スライドプレート4,5が複数あるため、ワッシャ100が複数種類になる場合であっても種類ごとにそれぞれのスライドプレート4,5に取り込んで複数種類のワッシャ100を締結部材103に組み付けることができる。
【0077】
また、ワッシャ整列移送装置1では、第1導入管2と、第2導入管3と、第1スライドプレート4と、第2スライドプレート5とが支持台6によって支持され、導入管2,3に振動を付与する振動付与部7が設けられた簡素な構造で構成されている。このため、上記の構成にすると装置全体を簡素な構造とし装置全体の重量を抑えて、持ち運びが容易なワッシャ整列移送装置1を実現することができる。尚、上記の構成のワッシャ整列移送装置1は、例えばモーター等の回転駆動のための大型で重量の大きな機構も不要となる。これにより、作業者は、締結部材103にワッシャ101,102を組み付ける際において、装置を現場に容易に持ち運ぶことが可能となる。
【0078】
従って、非対称な部分を有するワッシャ102であっても円滑に移送することができるとともに、複数種類のワッシャ101,102であっても締結部材103に組み付けることができ、なおかつ持ち運びが容易であるワッシャ整列移送装置1を提供することができる。
【0079】
また、ワッシャ整列移送装置1によると、第1スライドプレート4及び第2スライドプレート5は、ワッシャ101,102を受けて保持する保持溝がそれぞれ設けられており、上下方向にずれて高さが異なる位置で支持台6に対してスライド移動自在に支持されている。そして、第1スライドプレート4及び第2スライドプレート5が、上下方向に並んで配置された状態において、それぞれの保持溝13a,13bの位置が上下方向に並ぶように構成されている。このため、作業者は、上下方向に並んで配置されるワッシャ101,102に締結部材103を組み付けることが可能となる。即ち、作業者は、第2スライドプレート5の保持溝13bに保持されたスプリングワッシャ102を締結部材103に組み付けた後、更に第1スライドプレート4に保持された平ワッシャ101を締結部材103に組み付ける手順をふむ必要がなく、一回の動作で2つのワッシャ101,102を締結部材103に組み付けることができる。これにより、作業者の手間を省き作業時間を短縮できる。
【0080】
また、ワッシャ整列移送装置1によると、振動付与部7は、振動導入管の外周に対して回転可能なリング部25と、リング部25の外周に設けられた偏心重量部26と、を備える。このため、振動付与部7が回転することによって、リング部25が偏心して回転する。これにより、振動導入管に振動が付与されるため、振動導入管内のワッシャ102に小刻みな振動を付与することができる。即ち、リング部25と偏心重量部26とを設けた簡素な構成でありながら、振動導入管内に積重ねられたワッシャ102に振動を付与することができる。そして、この振動によって、振動導入管内のワッシャ102を密に積重ねた状態で整列させることができる。その結果、導入管内において整列されたワッシャ102は、スライドプレートに確実に取り込まれ円滑に移送される。
【0081】
また、ワッシャ整列移送装置1によると、振動付与部7は、偏心重量部26にエアを吹き付けるエア吹き付け部27を更に有している。偏心重量部26にエアが吹き付けられることで、振動導入管に振動が付与されるため、振動導入管への振動を付与するための電源は不要となる。このため、使用場所を変更する都度電源を確保する必要性がなく利便性が向上する。エア吹付け部27は、例えば、電源を必要としない手動或いはフットスイッチでの操作によって作動する機械式のエアポンプ21からエアを供給するものを用いることで、設置場所の制約を更に緩和することができる。
【0082】
また、ワッシャ整列移送装置1によると、第1スライドプレート4を水平方向に駆動する第1エアシリンダ機構16と、第2スライドプレート5を水平方向に駆動する第2エアシリンダ機構22と、を備える。このため、スライドプレート4,5は、導入管の下方で受けたワッシャ101,102を、エアシリンダの動力によって水平方向に移送することができる。これにより、モーター等を備えた電源を必要とし、且つ、重量の大きい機器が不要となり、電力を必要としない軽量な装置を実現することが可能となる。
【0083】
また、ワッシャ整列移送装置1によると、第1スライドプレート4及び前記第2スライドプレート5には、厚さ方向に貫通するとともに、厚さ方向と垂直な方向に延びて一端側が外部に向かって開放される保持溝13a,13bがそれぞれ設けられている。このため、作業者は、ワッシャ101,102を保持した保持溝13a,13bに挿入された締結部材103を保持溝13a,13bの一端側から引き出すことにより、ワッシャ101,102が組み付けられた状態の締結部材103を引き出すことができる。即ち、作業者が、保持溝13a,13bに保持されたワッシャ101,102に下方から締結部材103を挿入して、保持溝13a,13bから締結部材103を引き出す一連の動作を行うことによって、ワッシャ101,102が締結部材103に容易に組み付けられる。
【0084】
また、ワッシャ整列移送装置1によると、保持溝13a,13bは、第1及び第2スライドプレート4,5の厚さ方向における下側に、締結部材103の軸部104の径よりも大きい幅で、且つ、締結部材103の頭部105の径よりも小さい幅で一端側に向かって延びる下側溝15a,15bを有している。このため、締結部材103は、作業者によって保持溝13a,13bから円滑に引き出される。また、保持溝13a,13bは、第1スライドプレート4及び第2スライドプレート5の厚さ方向における上側に、ワッシャ101,102の外径よりも大きい幅で一端側に向かって延びる上側溝14a,14bを有している。このため、ワッシャ101,102は、上側溝14a,14bに落ち込んだ際に確実に取り込まれる。また、第1スライドプレート4及び第2スライドプレート5に保持されたそれぞれのワッシャ101,102が上下方向に重ねて配置されることで、一つの動作で2つのワッシャ101,102を締結部材103に組み付けることができる。
【0085】
また、ワッシャ整列移送装置1によると、第1スライドプレート4の上側溝14aと第2スライドプレート5の上側溝14bとを異なる深さにすることができる。このため、第1スライドプレート4で移送するワッシャ101の厚さと第2スライドプレート5で移送するワッシャ102の厚さとが異なる場合であっても、対応するワッシャ101,102の厚さに応じて第1スライドプレート4及び第2スライドプレート5の上側溝14a,14bの深さを設定することによって、各スライドプレートの保持溝13a,13bにワッシャ101,102を円滑且つ確実に取り込むことができる。
【0086】
また、ワッシャ整列移送装置1によると、振動導入管は、支持台6に対してバネ部材8を介して揺動自在に支持されている。即ち、振動導入管は、バネ部材8を用いるだけの簡素な構造で支持台6に支持されている。
【0087】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。尚、以下では、
図10は、本発明の第2実施形態に係るワッシャ整列移送装置30の模式的な正面図である。
図11は、
図10に示すワッシャ整列移送装置30の平面図である。
【0088】
第2実施形態のワッシャ整列移送装置30は、第1実施形態のワッシャ整列移送装置1と同様に、平ワッシャ101及びスプリングワッシャ102の2種類のワッシャ100を締結部材103に組み付けるための装置として構成されている。本実施形態におけるワッシャ整列移送装置30は、第1導入管2及び第2導入管3と、第1スライドプレート4及び第2スライドプレート5と、支持台6と、振動付与部7と、ワッシャカバー部40と、を備えている。即ち、本実施形態におけるワッシャ整列移送装置30は、ワッシャカバー部40を更に備えている点で第1実施形態と異なる。
【0089】
本実施形態におけるワッシャカバー部40は、第1スライドプレート4及び第2スライドプレート5のいずれか一方のうち上側に配置されたスライドプレートである第1スライドプレート4によって移送されたワッシャ101の動きを規制するために設けられている。即ち、ワッシャカバー部40は、平ワッシャ101が第1スライドプレート4の保持溝13aから離脱するのを防止するための部分として設けられている。ワッシャカバー部40は、支持台6に支持されており、第1スライドプレート4によって移送されたワッシャ101の少なくとも一部を上方から覆うように構成されている。尚、本実施形態では第1スライドプレート4及び第2スライドプレート5のいずれか一方のうち上側に配置されたスライドプレートが第1スライドプレート4である場合を例に説明しているが、第2スライドプレート5が第1スライドプレート4の上側に配置されてもよい。この場合、ワッシャカバー部40は、スプリングワッシャ102が第2スライドプレート5の保持溝13bから離脱するのを防止するための部分として設けられることになる。
【0090】
ワッシャカバー部40は、浮き上がり規制部41と、支持部42と、を有している。
【0091】
浮き上がり規制部41は、第1スライドプレート4によって移送された平ワッシャ101を上方から覆う部分として設けられている。浮き上がり規制部41は、一定の厚みを有して形成されている。浮き上がり規制部41は、第1スライドプレート4及び第2スライドプレート5が互いに近接する方向(以下において、近接方向とも称する)に変位した際における第1スライドプレート4によって移送された平ワッシャ101の上方に配置されている。
【0092】
浮き上がり規制部41は、その下面側が第1スライドプレート4によって移送された平ワッシャ101の上面側に対向するように配置されている。浮き上がり規制部41の下面と第1スライドプレート4の上面との隙間は、平ワッシャ101の厚みよりも小さくなるように設定されている。即ち、平ワッシャ101は、浮き上がり規制部41によって保持溝13aから離脱しないように覆われている。その結果、平ワッシャ101は、下方から外力が付与された場合であっても浮き上がり規制部41に当接するため保持溝13a内に保持される。また、本実施形態における浮き上がり規制部41には、近接方向中央部の前側において挿通溝43が形成されている。
【0093】
挿通溝43は、ワッシャ100に締結部材103が組み付けられる際において締結部材103が挿通される部分として構成されている。挿通溝43は、浮き上がり規制部41を厚さ方向に貫通するとともに、厚さ方向と垂直な方向に延びて一端側が外部に向かって開放されるように設けられている。より具体的には、挿通溝43は、一定の幅で前後方向に延びる長孔状に形成されており、前側が開放されて形成されている。挿通溝43は、平ワッシャ101の外径よりも小さく且つ穴径よりも大きく設定されている。
【0094】
挿通溝43は、第1スライドプレート4及び第2スライドプレート5が互いに近接する方向に変位した際における各保持溝13a,13bに、上下方向に並ぶように構成されている。尚、本実施形態における浮き上がり規制部41には、締結部材103が挿通される挿通溝43が設けられている場合を例に挙げて説明したが、浮き上がり規制部41は、挿通溝43が設けられていない平板状のものであってもよい。あるいは、浮き上がり規制部41は、略板状であって、その下側の面に締結部材103の軸部104の先端部分が当接した状態でスライドするための溝が形成されているものであってもよい。
【0095】
支持部42は、浮き上がり規制部41を支持する部分として支持台6の上面側の近接方向中央部分において設けられている。支持部42は、支持台6から上方に向かって延び、上端部において浮き上がり規制部41を片持状に支持する。
【0096】
図12は、ワッシャ整列移送装置30により移送されたワッシャ101,102に締結部材103が挿入される動作を説明するための図であって、移送装置によって移送されたワッシャ101,102を締結部材103とともに模式的に示す断面図である。
図13は、ワッシャ整列移送装置30により移送されたワッシャ101,102に締結部材103が挿入される動作を説明するための図であって、移送装置によって移送されたワッシャ101,102を締結部材103とともに模式的に示す断面図である。尚、
図12及び
図13においては、支持部42の図示を省略している。
【0097】
本実施形態においては、第1実施形態と同様、作業者がワッシャ101,102に締結部材103を組み付ける際、ワッシャ101,102が第1スライドプレート4及び第2スライドプレート5が互いにスライド移動して近接した状態において上下方向に重なるように配置される。そして、この状態において、作業者によってワッシャ101、102に締結部材103が組み付けられる。
【0098】
ここで、スプリングワッシャ102は、第1実施形態の場合と同様に、第2スライドプレート5の保持溝13bによって下方から支持され、上側が第1スライドプレート4に覆われた状態となる。このため、締結部材103は、傾いた状態でスプリングワッシャ102に挿通された場合であっても、スプリングワッシャ102の動きが規制されているため確実に挿通される。
【0099】
また、本実施形態に係るワッシャ整列移送装置30では、平ワッシャ101は、第1実施形態とは異なり、第1スライドプレート4の保持溝13aによって下方から支持され、上側がワッシャカバー部40の浮き上がり規制部41に覆われた状態となる。このため、締結部材103は、
図12に示すように、傾いた状態で平ワッシャ101に挿通された場合であっても、平ワッシャの動きが浮き上がり規制部41によって規制されているため確実に挿通される。
【0100】
スプリングワッシャ102及び平ワッシャ101に組み付けられた締結部材103は、作業者によって、保持溝13a,13b及び挿通溝43の開放されている一端側から引き出される。そして、作業者による上述の一連の動作により、ワッシャ100に締結部材103が確実に組み付けられる。
【0101】
本実施形態におけるワッシャ整列移送装置30は、第1導入管2、第2導入管3、第1スライドプレート4、第2スライドプレート5、支持台6、及び、振動付与部7に加えて、更にワッシャカバー部40を備える。ワッシャカバー部40は、第1スライドプレート4及び第2スライドプレート5のいずれか一方のうち上側に配置されたスライドプレート4によって移送されたワッシャ101を上方から覆うように設けられている。このため、移送されたワッシャ101は、ワッシャカバー部40によって上方への動きが規制される。即ち、作業者が、ワッシャ100に締結部材103を組み付ける際、ワッシャ101が締結部材103によって下方から押圧された場合であっても保持溝13aから浮き上がって離脱するようなことがない。その結果、作業者は、手元で締結部材103の傾きや位置の微調整を行いながらワッシャ100に確実に組み付けることができる。
【0102】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。例えば、次のような変形例が実施されてもよい。
【0103】
(1)前述の実施形態では、締結部材103に対して、平ワッシャ101、スプリングワッシャ102の2種類のワッシャ101,102を組み付ける形態を例にとって説明したがこの通りでなくてもよい。締結部材103に組み付けるワッシャ100は2種類以上であってもよい。この際、ワッシャ整列移送装置1を導入管2,3及びスライドプレート4,5の数を増加させて構成された装置としてもよい。
【0104】
(2)前述の実施形態では、第1及び第2スライドプレート4,5の上側溝14a,14bは、ワッシャ101,102がそれぞれ1枚ずつ取り込まれる深さに設定されているが、この通りでなくてもよい。例えば、スライドプレート4,5のそれぞれの保持溝13a,13bに複数枚のワッシャ101,102が取り込まれるように、上側溝14a,14bの深さが設定されたものであってもよい。
【0105】
(3)前述の実施形態では、支持台6に脚部23が設けられているが、この通りでなくてもよい。支持台6は、締結部材103にワッシャ101,102を組み付ける作業を行う現場に容易に移動できるように車輪が設けられていてもよい。また、装置の移動を更に容易にできるように、支持台6に把持部が設けられていてもよい。
【0106】
(4)前述の実施形態では、振動付与部7は、リング連結部24と、リング部25と、偏心重量部26と、エア吹付け部27と、を有しているが、この通りでなくてもよい。例えば、第2導入管3に衝撃を加えることで、第2導入管3が振動するようにバネ部材8で支持されるものであってもよい。
【0107】
(5)前述の実施形態では、第1スライドプレート4及び第2スライドプレート5が互いに近接する方向に変位し、それぞれの保持溝13a,13bが上下方向に重なる位置に配置される。そして、上下方向に重なって配置されたワッシャ101,102が、作業者によって、一つの動作で組み付けられるが、この通りでなくてもよい。例えば、第1スライドプレート4及び第2スライドプレート5がそれぞれの保持溝13a,13bが重ならない位置に配置されるものであってもよい。この場合、作業者は、保持溝13a,13bに保持されたそれぞれのワッシャ101,102を締結部材103に挿入して組み付ける動作を行うことで、ワッシャ101,102が組み付けられることになる。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、ワッシャを締結部材103に組み付けるためワッシャを整列させて移送するワッシャ整列移送装置1に関して、広く適用することができる。
【符号の説明】
【0109】
1,30 ワッシャ整列移送装置
2 第1導入管
3 第2導入管
4 第1スライドプレート
5 第2スライドプレート
6 支持台
7 振動付与部
8 バネ部材
13a,13b 保持溝
14a,14b 上側溝
15a,15b 下側溝
16 第1エアシリンダ機構
22 第2エアシリンダ機構
25 リング部
26 偏心重量部
27 エア吹付け部
40 ワッシャカバー部
100 ワッシャ
103 締結部材
104 軸部
105 頭部