IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ KDDI株式会社の特許一覧

特許7189854画像復号装置、画像復号方法及びプログラム
<>
  • 特許-画像復号装置、画像復号方法及びプログラム 図1
  • 特許-画像復号装置、画像復号方法及びプログラム 図2
  • 特許-画像復号装置、画像復号方法及びプログラム 図3
  • 特許-画像復号装置、画像復号方法及びプログラム 図4
  • 特許-画像復号装置、画像復号方法及びプログラム 図5
  • 特許-画像復号装置、画像復号方法及びプログラム 図6
  • 特許-画像復号装置、画像復号方法及びプログラム 図7
  • 特許-画像復号装置、画像復号方法及びプログラム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】画像復号装置、画像復号方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/103 20140101AFI20221207BHJP
   H04N 19/157 20140101ALI20221207BHJP
   H04N 19/176 20140101ALI20221207BHJP
   H04N 19/186 20140101ALI20221207BHJP
   H04N 19/70 20140101ALI20221207BHJP
【FI】
H04N19/103
H04N19/157
H04N19/176
H04N19/186
H04N19/70
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019170787
(22)【出願日】2019-09-19
(65)【公開番号】P2021048531
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2021-07-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】河村 圭
(72)【発明者】
【氏名】内藤 整
【審査官】坂東 大五郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/069950(WO,A1)
【文献】HELMRICH, Christian et al.,CE7-related: Alternative configuration of CE7-2.2 joint chroma residual coding,Joint Video Experts Team (JVET),2019年07月02日,[JVET-O0935-v1] (version 1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 19/00-19/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像復号装置であって、
符号化データを復号して、輝度符号化ユニット分割情報と色差符号化ユニット分割情報とを取得するように構成されているユニット構造復号部と、
成分間残差信号予測方式を適用することができるか否かについて判定するように構成されている判定部と、
前記判定結果に応じて、前記成分間残差信号予測方式の適用の有無及び係数を復号するように構成されている予測方式係数復号部とを備え
前記判定部は、
前記輝度符号化ユニット分割情報及び前記色差符号化ユニット分割情報に基づいて、色差変換ユニットの位置及び大きさと前記色差変換ユニットに対応する輝度成分における輝度変換ユニットの位置及び大きさとが一致していると判定する場合で、且つ、前記色差変換ユニットにおいて決定された符号化方式が非結合色差符号化であると判定する場合に、前記成分間残差信号予測方式を適用することができると判定するように構成されており、
前記輝度符号化ユニット分割情報及び前記色差符号化ユニット分割情報に基づいて、前記色差変換ユニットの位置及び大きさと前記色差変換ユニットに対応する前記輝度成分における前記輝度変換ユニットの位置及び大きさとが一致していると判定する場合で、且つ、前記色差変換ユニットにおいて決定された符号化方式が結合色差符号化であると判定する場合に、前記成分間残差信号予測方式を適用することができないと判定するように構成されていることを特徴とする画像復号装置。
【請求項2】
画像復号装置であって、
符号化データを復号して、輝度符号化ユニット分割情報と色差符号化ユニット分割情報とを取得するように構成されているユニット構造復号部と、
成分間残差信号予測方式を適用することができるか否かについて判定するように構成されている判定部と、
前記判定結果に応じて、前記成分間残差信号予測方式の適用の有無及び係数を復号するように構成されている予測方式係数復号部とを備え、
前記判定部は、
前記輝度符号化ユニット分割情報及び前記色差符号化ユニット分割情報に基づいて、ツリー種別がシングルツリーであると判定する場合で、且つ、色差変換ユニットにおいて決定された符号化方式が非結合色差符号化であると判定する場合に、前記成分間残差信号予測方式を適用することができると判定するように構成されており、
前記輝度符号化ユニット分割情報及び前記色差符号化ユニット分割情報に基づいて、前記ツリー種別がシングルツリーであると判定する場合で、且つ、前記色差変換ユニットにおいて決定された符号化方式が結合色差符号化であると判定する場合に、前記成分間残差信号予測方式を適用することができないと判定するように構成されていることを特徴とする画像復号装置。
【請求項3】
符号化データを復号して、輝度符号化ユニット分割情報と色差符号化ユニット分割情報とを取得する工程と、
成分間残差信号予測方式を適用することができるか否かについて判定する工程と、
前記判定結果に応じて、前記成分間残差信号予測方式の適用の有無及び係数を復号する工程とを有し、
前記工程Bにおいて、
前記輝度符号化ユニット分割情報及び前記色差符号化ユニット分割情報に基づいて、色差変換ユニットの位置及び大きさと前記色差変換ユニットに対応する輝度成分における輝度変換ユニットの位置及び大きさとが一致していると判定する場合で、且つ、前記色差変換ユニットにおいて決定された符号化方式が非結合色差符号化であると判定する場合に、前記成分間残差信号予測方式を適用することができると判定し、
前記輝度符号化ユニット分割情報及び前記色差符号化ユニット分割情報に基づいて、前記色差変換ユニットの位置及び大きさと前記色差変換ユニットに対応する前記輝度成分における前記輝度変換ユニットの位置及び大きさとが一致していると判定する場合で、且つ、前記色差変換ユニットにおいて決定された符号化方式が結合色差符号化であると判定する場合に、前記成分間残差信号予測方式を適用することができないと判定することを特徴とする画像復号方法。
【請求項4】
コンピュータを、画像復号装置として機能させるプログラムであって、
前記画像復号装置は、
符号化データを復号して、輝度符号化ユニット分割情報と色差符号化ユニット分割情報とを取得するように構成されているユニット構造復号部と、
成分間残差信号予測方式を適用することができるか否かについて判定するように構成されている判定部と、
前記判定結果に応じて、前記成分間残差信号予測方式の適用の有無及び係数を復号するように構成されている予測方式係数復号部とを備え
前記判定部は、
前記輝度符号化ユニット分割情報及び前記色差符号化ユニット分割情報に基づいて、色差変換ユニットの位置及び大きさと前記色差変換ユニットに対応する輝度成分における輝度変換ユニットの位置及び大きさとが一致していると判定する場合で、且つ、前記色差変換ユニットにおいて決定された符号化方式が非結合色差符号化であると判定する場合に、前記成分間残差信号予測方式を適用することができると判定するように構成されており、
前記輝度符号化ユニット分割情報及び前記色差符号化ユニット分割情報に基づいて、前記色差変換ユニットの位置及び大きさと前記色差変換ユニットに対応する前記輝度成分における前記輝度変換ユニットの位置及び大きさとが一致していると判定する場合で、且つ、前記色差変換ユニットにおいて決定された符号化方式が結合色差符号化であると判定する場合に、前記成分間残差信号予測方式を適用することができないと判定するように構成されていることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像復号装置、画像復号方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、イントラ予測又はインター予測、予測残差信号の変換・量子化、エントロピー符号化を用いた画像符号化方式が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
以下、次世代動画像符号化方式であるVVC(Versatile Video Coding)における符号化ユニットの分割方式及びイントラ予測のうちの色差イントラ予測方式について述べる(非特許文献2参照)。
【0004】
図8に示すように、両方式における符号化ユニットは、四分木、二分木及び三分木を用いて再帰的に分割されるように構成されている。ここで、輝度成分と色差成分との間で、同一の分割パターンを選択してもよいし(シングルツリー)、異なる分割パターンを選択してもよい(デュアルツリー)。
【0005】
非特許文献2に示すように、色差イントラ予測方式には、輝度イントラ予測方式と同様の色成分内予測方式の他に、再構成した輝度成分から色差成分を線形予測するCCLM(成分間線形予測:Cross-Component Linear Model)方式がある。
【0006】
また、非特許文献2には、色差成分を符号化する方式として、2つの色差成分を1つにまとめる結合色差符号化方式がある。
【0007】
さらに、非特許文献1には、輝度予測残差信号から色差残差信号を予測する成分間残差信号予測方式が開示されている。かかる成分間残差信号予測方式は、逆変換した輝度残差信号に係数を掛けた値を、逆変換した色差残差信号に加算する方式である。
【0008】
ただし、処理の簡素化を実現するため、非特許文献1では、かかる成分間残差信号予測方式は、色形式が4:4:4である場合にのみ、すなわち、成分間の画素数が同一である場合にのみ有効である。また、かかる成分間残差信号予測方式では、変換ユニットごとに、適用の有無を含む係数の絶対値や係数の符号が、それぞれ送られる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【文献】ITU-T H.265 High Efficiency Video Coding
【文献】Versatile Video Coding(Draft 6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、次世代動画像符号化方式であるVVCでは、符号化ユニット分割が、最新動画像符号化方式HEVC(High Efficiency Video Coding)よりも拡張されているため、従来技術では、色差変換ユニットごとに、成分間残差信号予測方式の適用の有無を送ることにより、符号化性能が低下してしまうという問題点があった。
【0011】
具体的には、従来技術では、輝度成分と色差成分とで異なる分割形式が適用されており、成分間残差信号予測方式が適用できない場合等について考慮されていない。
【0012】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、成分間残差信号予測方式の適用において、サイド情報の増加を抑えて符号化性能を改善することができる画像復号装置、画像復号方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の特徴は、画像復号装置であって、符号化データを復号して、輝度符号化ユニット分割情報と色差符号化ユニット分割情報とを取得するように構成されているユニット構造復号部と、前記輝度符号化ユニット分割情報及び前記色差符号化ユニット分割情報に基づいて、成分間残差信号予測方式を適用することができるか否かについて判定するように構成されている判定部と、前記判定結果に応じて、前記成分間残差信号予測方式の適用の有無及び係数を復号するように構成されている予測方式係数復号部とを備えることを要旨とする。
【0014】
本発明の第2の特徴は、画像復号方法であって、符号化データを復号して、輝度符号化ユニット分割情報と色差符号化ユニット分割情報とを取得する工程と、前記輝度符号化ユニット分割情報及び前記色差符号化ユニット分割情報に基づいて、成分間残差信号予測方式を適用することができるか否かについて判定する工程と、前記判定結果に応じて、前記成分間残差信号予測方式の適用の有無及び係数を復号する工程とを有することを要旨とする。
【0015】
本発明の第3の特徴は、コンピュータを、画像復号装置として機能させるプログラムであって、前記画像復号装置は、符号化データを復号して、輝度符号化ユニット分割情報と色差符号化ユニット分割情報とを取得するように構成されているユニット構造復号部と、前記輝度符号化ユニット分割情報及び前記色差符号化ユニット分割情報に基づいて、成分間残差信号予測方式を適用することができるか否かについて判定するように構成されている判定部と、前記判定結果に応じて、前記成分間残差信号予測方式の適用の有無及び係数を復号するように構成されている予測方式係数復号部とを備えることを要旨とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、成分間残差信号予測方式の適用において、サイド情報の増加を抑えて符号化性能を改善することができる画像復号装置、画像復号方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一実施形態に係る画像処理システム1の構成の一例を示す図である。
図2】一実施形態に係る画像符号化装置100の機能ブロックの一例を示す図である。
図3】一実施形態に係る画像符号化装置100のエントロピー符号化部104の一部の機能ブロックの一例を示す図である。
図4】一実施形態に係る画像復号装置200の機能ブロックの一例を示す図である。
図5】一実施形態に係る画像復号装置200のエントロピー復号部201の一部の機能ブロックの一例を示す図である。
図6】一実施形態に係る画像復号装置200のエントロピー復号部201の動作の一例を示すフローチャートである。
図7】一実施形態に係る画像復号装置200のエントロピー復号部201の動作の一例を示すシンタックス表である。
図8】従来技術を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら、説明する。なお、以下の実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素などとの置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組み合わせを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、以下の実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像処理システム1の機能ブロックの一例を示す図である。画像処理システム1は、動画像を符号化して符号化データを生成する画像符号化装置100と、画像符号化装置100により生成された符号化データを復号する画像復号装置200とを備える。画像符号化装置100と画像復号装置200との間では、上述の符号化データが、例えば、伝送路を介して送受信される。
【0020】
<画像符号化装置100>
図2は、画像符号化装置100の機能ブロックの一例を示す図である。図2に示すように、画像符号化装置100は、インター予測部101と、イントラ予測部102と、変換・量子化部103と、エントロピー符号化部104と、逆変換・逆量子化部105と、減算部106と、加算部107と、インループフィルタ部108と、フレームバッファ109と、ユニット分割部110と、ユニット統合部111とを備える。
【0021】
ユニット分割部110は、入力画像の画面全体を同一正方形に分割し、更に四分木等により再帰的に分割した画像(分割画像)を出力するように構成されている。
【0022】
インター予測部101は、ユニット分割部110によって入力された分割画像及びフレームバッファ109から入力されるフィルタ後局所復号画像(後述)を用いて、インター予測を行ってインター予測画像を生成して出力するように構成されている。
【0023】
イントラ予測部102は、ユニット分割部110によって入力された分割画像、フィルタ前局所復号画像及び図示しない制御部により決定された色差イントラ予測方式を用いて、イントラ予測を行ってイントラ予測画像を生成して出力するように構成されている。
【0024】
変換・量子化部103は、減算部106から入力される残差信号に対して直交変換処理を行い、かかる直交変換処理により得られる変換係数に対して量子化処理を行い、かかる量子化処理により得られる量子化されたレベル値を出力するように構成されている。
【0025】
エントロピー符号化部104は、変換・量子化部103から入力される量子化されたレベル値及びサイド情報(図示しない制御部により決定された、画素値の再構成に必要な予測モードや動きベクトル等の関連情報)をエントロピー符号化して符号化データとして出力するように構成されている。
【0026】
逆変換・逆量子化部105は、変換・量子化部103から入力される量子化されたレベル値に対して逆量子化処理を行い、かかる逆量子化処理により得られた変換係数に対して逆直交変換処理を行い、かかる逆直交変換処理により得られる逆直交変換された残差信号を出力するように構成されている。
【0027】
減算部106は、ユニット分割部110によって入力された分割画像とイントラ予測画像或いはインター予測画像との差分である残差信号を出力するように構成されている。
【0028】
加算部107は、逆変換・逆量子化部105から入力される逆直交変換された残差信号とイントラ予測画像或いはインター予測画像とを加算して得られる分割画像を出力するように構成されている。
【0029】
ユニット統合部111は、加算部107から入力される分割画像を統合することで得られたフィルタ前局所復号画像を出力するように構成されている。
【0030】
インループフィルタ部108は、ユニット統合部111から入力されるフィルタ前局所復号画像に対して、デブロッキングフィルタ処理等のインループフィルタ処理を適用してフィルタ後局所復号画像を生成して出力するように構成されている。
【0031】
フレームバッファ109は、フィルタ後局所復号画像を蓄積し、適宜、フィルタ後局所復号画像としてインター予測部101に供給する。
【0032】
以下、図3を参照して、本実施形態に係る画像符号化装置100のエントロピー符号化部104について説明する。図3は、本実施形態に係る画像符号化装置100のエントロピー符号化部104の一部の機能ブロックの一例を示す図である。
【0033】
図3に示すように、本実施形態に係る画像符号化装置100のエントロピー符号化部104は、判定部104Aと、予測方式係数符号化部104Bとを備える。
【0034】
判定部104Aは、輝度符号化ユニット分割情報と色差符号化ユニット分割情報とを入力し、成分間残差信号予測方式が適用できるかどうかについて判定し、かかる判定結果を出力するように構成されている。
【0035】
予測方式係数符号化部104Bは、かかる判定結果と図示しない制御部により決定された係数(成分間残差信号予測係数)とを入力し、かかる判定結果に基づいて、成分間残差信号予測方式の適用の有無、係数の絶対値及び係数の符号化を符号化して、符号化データを出力するように構成されている。
【0036】
<画像復号装置200>
図4は、本実施形態に係る画像復号装置200のブロック図である。図3に示すように、本実施形態に係る画像復号装置200は、エントロピー復号部201と、逆変換・逆量子化部202と、インター予測部203と、イントラ予測部204と、加算部205と、インループフィルタ部206と、フレームバッファ207と、ユニット統合部208とを備える。
【0037】
エントロピー復号部201は、符号化データをエントロピー復号し、量子化されたレベル値や、サイド情報を出力するように構成されている。
【0038】
逆変換・逆量子化部202は、エントロピー復号部201から入力される量子化されたレベル値に対して逆量子化処理を行い、かかる逆量子化処理により得られた結果に対して逆直交変換処理を行って残差信号として出力するように構成されている。
【0039】
インター予測部203は、フレームバッファ207から入力されるフィルタ後局所復号画像を用いて、インター予測を行ってインター予測画像を生成して出力するように構成されている。
【0040】
イントラ予測部204は、加算部205から入力されるフィルタ前局所復号画像を用いて、イントラ予測を行ってイントラ予測画像を生成して出力するように構成されている。ここで、フィルタ前局所復号画像とは、残差信号と予測画像とを合算した信号のことである。
加算部205は、逆変換・逆量子化部202から入力される残差信号と予測画像(インター予測部203から入力されるインター予測画像或いはイントラ予測部204から入力されるイントラ予測画像)とを加算して得られる分割画像を出力するように構成されている。
【0041】
ここで、予測画像とは、インター予測部203から入力されるインター予測画像及びイントラ予測部204から入力されるイントラ予測画像のうち、エントロピー復号により得られた予測方法により算出された予測画像のことである。
【0042】
ユニット統合部208は、加算部205から入力される分割画像を統合することで得られたフィルタ前局所復号画像を出力するように構成されている。
【0043】
インループフィルタ部206は、ユニット統合部208から入力されるフィルタ前局所復号画像に対してデユニットフィルタ処理等のインループフィルタ処理を適用してフィルタ後局所復号画像を生成して出力するように構成されている。
【0044】
フレームバッファ207は、インループフィルタ206から入力されるフィルタ後局所復号画像を蓄積し、適宜、フィルタ後局所復号画像としてインター予測部203に供給するとともに、復号済み画像として出力するように構成されている。
【0045】
以下、図5を参照して、本実施形態に係る画像復号装置200のエントロピー復号部201について説明する。図5は、本実施形態に係る画像復号装置200のエントロピー復号部201の一部の機能ブロックの一例を示す図である。
【0046】
図5に示すように、本実施形態に係る画像復号装置200のエントロピー復号部201は、ユニット構造復号部201Aと、判定部201Bと、予測方式係数復号部201Cとを備える。
【0047】
ユニット構造復号部201Aは、画像符号化装置100によって出力された符号化データを復号して、輝度符号化ユニット分割情報及び色差符号化ユニット分割情報を含むユニット構造を取得するように構成されている。
【0048】
判定部201Bは、輝度符号化ユニット分割情報及び色差符号化ユニット分割情報に基づいて、成分間残差信号予測方式を適用することができるか否かについて判定するように構成されている。
【0049】
予測方式係数復号部201Cは、かかる判定結果と符号化データとを入力し、かかる判定結果に基づいて、成分間残差信号予測方式の適用の有無及び係数(係数の絶対値及び係数の符号)を出力するように構成されている。
【0050】
以下、図6を参照して、本実施形態に係るエントロピー復号部201の動作の一例について説明する。
【0051】
図6に示すように、ステップS101において、エントロピー復号部201は、符号化データを復号して、輝度符号化ユニット分割情報及び色差符号化ユニット分割情報を取得する。
【0052】
ステップS102において、エントロピー復号部201は、輝度符号化ユニット分割情報及び色差符号化ユニット分割情報に基づいて、成分間残差信号予測方式を適用することができるか否かについて判定する。
【0053】
ステップS103において、エントロピー復号部201は、かかる判定結果に応じて、成分間残差信号予測方式の適用の有無及び係数(係数の絶対値及び係数の符号)を復号する。
【0054】
本実施形態に係る画像処理システム1によれば、成分間残差信号予測方式の適用において、サイド情報の増加を抑えて符号化性能を改善することができる。
【0055】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態に係る画像処理システム1について、上述の第1実施形態に係る画像処理システム1との相違点に着目して説明する。
【0056】
本実施形態において、判定部201Bは、色差変換ユニットの位置及び大きさと、かかる色差変換ユニットに対応する輝度成分における輝度変換ユニットの位置及び大きさとが一致しているか否かについて判定するように構成されている。
【0057】
ここで、判定部201Bは、両者が一致していると判定した場合、成分間残差信号予測方式を適用することができると判定するように構成されている。
【0058】
一方、判定部201Bは、両者が一致していないと判定した場合、成分間残差信号予測方式を適用することができないと判定するように構成されている。
【0059】
換言すると、判定部201Bは、図示しない制御部により決定された輝度符号化ユニット分割情報と色差符号化ユニット分割情報を入力し、色差変換ユニットと、成分間で同一位置かつ同一サイズである輝度変換ユニットが存在する場合に、成分間残差信号予測方式を適用することができると判定するように構成されている。
【0060】
一方、判定部201Bは、図示しない制御部により決定された輝度符号化ユニット分割情報と色差符号化ユニット分割情報を入力し、色差変換ユニットと、成分間で同一位置かつ同一サイズである輝度変換ユニットが存在しない場合に、成分間残差信号予測方式を適用することができないと判定するように構成されている。
【0061】
本実施形態に係る画像処理システム2によれば、成分間残差信号予測方式を適用することができるか否かについて判定において、判定条件を簡素化して実装複雑度を低減することができる。
【0062】
(第3実施形態)
以下、本発明の第3実施形態に係る画像処理システム1について、上述の第1実施形態及び第2実施形態に係る画像処理システム1との相違点に着目して説明する。
【0063】
本実施形態において、判定部201Bは、図示しない制御部により決定されたツリー種別がシングルツリーである場合に、成分間残差信号予測方式を適用することができると判定するように構成されている。
【0064】
ここで、輝度変換ユニットの予測残差信号が存在する場合にのみ、成分間残差信号予測方式を適用することができると判定するように構成されていてもよい。
【0065】
一方、判定部201Bは、図示しない制御部により決定されたツリー種別がデュアルツリーである場合に、成分間残差信号予測方式を適用することができないと判定するように構成されている。
【0066】
なお、図示しない制御部により決定された予測モードがインター予測である場合に、ツリー種別がシングルツリーであると判定してもよい。
【0067】
本実施形態に係る画像処理システム3によれば、成分間残差信号予測方式を適用することができるか否かについて判定において、判定条件を簡素化して実装複雑度を低減することができる。
【0068】
(第4実施形態)
以下、図7を参照して、本発明の第4実施形態に係る画像処理システム1について、上述の第3実施形態に係る画像処理システム1との相違点に着目して説明する。
【0069】
本実施形態において、判定部201Bは、色差変換ユニットの位置及び大きさと、かかる色差変換ユニットに対応する輝度成分における輝度変換ユニットの位置及び大きさとが一致している場合で、且つ、かかる色差変換ユニットにおいて決定された符号化方式が非結合色差符号化である場合に、成分間残差信号予測方式を適用することができると判定するように構成されていてもよい。
【0070】
一方、判定部201Bは、色差変換ユニットの位置及び大きさと、かかる色差変換ユニットに対応する輝度成分における輝度変換ユニットの位置及び大きさとが一致している場合で、且つ、かかる色差変換ユニットにおいて決定された符号化方式が結合色差符号化である場合に、成分間残差信号予測方式を適用することができないと判定するように構成されていてもよい。
【0071】
なお、定部201Bは、色差変換ユニットの位置及び大きさと、かかる色差変換ユニットに対応する輝度成分における輝度変換ユニットの位置及び大きさとが一致していない場合には、かかる色差変換ユニットにおいて決定された符号化方式によらず、成分間残差信号予測方式を適用することができないと判定するように構成されていてもよい。
【0072】
また、判定部201Bは、図示しない制御部により決定されたツリー種別がシングルツリーである場合で、且つ、色差変換ユニットにおいて決定された符号化方式が非結合色差符号化である場合に、成分間残差信号予測方式を適用することができると判定するように構成されていてもよい。
【0073】
一方、判定部201Bは、図示しない制御部により決定されたツリー種別がシングルツリーである場合で、且つ、色差変換ユニットにおいて決定された符号化方式が結合色差符号化である場合に、成分間残差信号予測方式を適用することができないと判定するように構成されていてもよい。
【0074】
なお、判定部201Bは、図示しない制御部により決定されたツリー種別がデュアルツリーである場合には、かかる色差変換ユニットにおいて決定された符号化方式によらず、成分間残差信号予測方式を適用することができないと判定するように構成されていてもよい。
【0075】
以下、図7に、本実施形態に係る画像復号装置200のエントロピー復号部201の動作の一例を示すシンタックス表を示す。
【0076】
図7において、「transform_unit(x0,y0,tbWidth,tbHight.treeType,subTuIndex,chType)」は、変換ユニットを示す。
【0077】
ここで、かかる変換ユニットにおいて、「x0」は、原点からの変換ユニットの水平位置を示し、「y0」は、原点からの変換ユニットの垂直位置を示し、「tbWidth」は、変換ユニットの幅を示し、「tbHight」は、変換ユニットの高さを示し、「treeType」は、ツリー種別(シングルツリー又はデュアルツリー)を示し、「subTuIndex」は、小変換ユニット番号を示し、「chType」は、色成分番号を示す。
【0078】
また、「sps_joint_cbcr_enabled_flag」は、シーケンスにおける結合色差符号化が適用可能であるかどうかを示し、「CuPredMode[chType][x0][y0]==MODE_INTRA」は、当該変換ユニットに対応する符号化ユニットの予測モードがイントラモードであることを示す。
【0079】
また、「tu_cbf_cb[x0][y0]」は、当該変換ユニットのCb色差成分の残差信号が存在するかどうかを示し、「tu_cbf_cr[x0][y0]」は、当該変換ユニットのCr色差成分の残差信号が存在するかどうかを示す。
【0080】
また、「tu_joint_cbcr_residual_flag[x0][y0]」は、当該変換ユニットが結合色差予測方式を適用するかどうかを示す。
【0081】
また、「ChromaTypeArray==3」は、色形式は4:4:4形式であることを示し、「tu_cbf_luma[x0][y0]」は、当該変換ユニットの輝度成分の残差信号が存在するかどうかを示し、「treeType==SINGLE_TREE」は、ツリー種別がシングルツリーであることを示す。
【0082】
さらに、「intra_chroma_pred_mode==4」は、色差イントラ予測モードが輝度イントラ予測モードと同一であることを示し、「CuPredMode[chType][x0][y0]==MODE_INTER」は、当該変換ユニットに対応する符号化ユニットの予測モードがインターモードであることを示し、「cross_comp_pred(x0,y0,chType)」は、成分間残差信号予測方式の適用の有無及び係数を符号化することを示す。
【0083】
本実施形態に係る画像処理システム4によれば、成分間残差信号予測方式の適用において、結合色差符号化方式適用時のサイド情報の増加を抑えて符号化性能を改善することができる。
【符号の説明】
【0084】
1…画像処理システム
100…画像符号化装置
101、203…インター予測部
102、204…イントラ予測部
103…変換・量子化部
104…エントロピー符号化部
104A、201B…判定部
104B…予測方式係数符号化部
105、202…逆変換・逆量子化部
106…減算部
107、205…加算部
108、206…インループフィルタ部
109、207…フレームバッファ
110…ユニット分割部
111、208…ユニット統合部
200…画像復号装置
201…エントロピー復号部
201A…ユニット構造復号部
201C…予測方式係数復号部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8