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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】空調配管用エルボ
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/02 20060101AFI20221207BHJP
   B21D 51/16 20060101ALI20221207BHJP
   B21D 28/00 20060101ALI20221207BHJP
   B21D 5/01 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
F24F13/02 A
B21D51/16 A
B21D28/00 B
B21D5/01 Q
F24F13/02 E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019208601
(22)【出願日】2019-11-19
(65)【公開番号】P2021081124
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2021-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】392026073
【氏名又は名称】ハシダ技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230115336
【弁護士】
【氏名又は名称】山下 あや理
(72)【発明者】
【氏名】橋田 寛
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-075112(JP,U)
【文献】特開平07-280331(JP,A)
【文献】実開平01-078792(JP,U)
【文献】特開2002-106941(JP,A)
【文献】特開2003-148793(JP,A)
【文献】特開平06-094294(JP,A)
【文献】特開平08-086503(JP,A)
【文献】実開昭56-147913(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/02
B21D 51/16
B21D 28/00
B21D 5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面視の90度に屈曲したエルボ形で、且つ断面半円形をなす向かい合う一対の出隅同士と入隅同士が、各々かしめ付け一体化された状態にある空調配管用エルボにおいて、
上記入隅側の曲率半径を10mm~40mmに設定し、出隅側の曲率半径をその100mm又は150mmの外径寸法に、上記入隅側の設定された曲率半径寸法を加算して得た数値の同芯円に設定したことを特徴とする空調配管用エルボ。
【請求項2】
側面視の45度に屈曲したエルボ形で、且つ断面半円形をなす向かい合う一対の出隅同士と入隅同士が、各々かしめ付け一体化された状態にある空調配管用エルボにおいて、
上記入隅側の曲率半径を40mm以下に設定し、出隅側の曲率半径をその100mm又は150mmの外径寸法に、上記入隅側の設定された曲率半径寸法を加算して得た数値の同芯円に設定したことを特徴とする空調配管用エルボ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された曲率半径の設定値を備えた屈曲本体管部の両端と、その両端から連続一体に張り出す直管接続部との境界位置に、その直管接続部の円周面よりも屈曲本体管部のそれの方が背高く隆起することとなる段差又はリブを、入隅の左右両側に30度分ずつ合計60度の角度範囲を除いて残る円周面の領域に付与したことを特徴とする請求項1又は2記載の空調配管用エルボ。
【請求項4】
直管接続部の円周面を先細り円錐面又はその張り出し長さの中途位置に段差があるストレート面として形成すると共に、
上記直管接続部の円周面から空調ダクトの差し込みストッパーとなる複数のダボを、その直管接続部と屈曲本体管部との境界位置にある段差又はリブと一定間隔を保って平行な配列となる点在分布状態に隆起させたことを特徴とする請求項3記載の空調配管用エルボ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建物内の空調配管用エルボに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ショッピングセンターや階層集合住宅、ホテル、病院などの大規模又は中規模な建物では、その内部の冷・暖房や換気などの空調用として、スラブと天井板との間にエヤーダクトが配管されており、そのダクトにより室内のエヤーを排出して、空調ユニットへ送り込む一方、その空調処理したエヤーを同じくダクトにより室内へ供給するようになっている。
【0003】
そして、上記エヤーダクトの配管上その屈曲部には所謂プレスエルボが介挿設置されている。この空調配管用エルボは亜鉛メッキ鋼板をブランクとして一定な曲げ角のエルボ形に打ち抜き、その後断面半円形に絞り成形して、その向かい合う一対の入隅同士並びに出隅同士を各々かしめ付け一体化したものであり、例えば特許文献1に開示されている。
【0004】
図18、19はその従来の空調配管用エルボにおける曲げ角90度のエルボと曲げ角45度のエルボを模式化して示しており、これらから明白なように、入隅側と出隅側とが同芯の平行な円弧面をなす屈曲本体管部(1)と、その両端から一定長さだけ張り出す直管接続部(2)とを備え、その両直管接続部(2)へエヤーダクト(スパイラルダクト)(図示省略)が差し込み固定されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平7-280331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記空調配管用エルボではその曲げ角90度と曲げ角45度との何れの製品でも、その寸法を示す下記の表4から確認できるように、その屈曲本体管部(1)の曲げアール(曲率半径)(r)が外径(呼び径)寸法と同じ大きな数値に設定されているため、その入隅側の塑性変形やかしめ加工を容易に行え、品質の安定した製品(プレスエルボ)を得られる利点がある反面、未だ改良すべき次の問題もある。
【0007】
【表4】



即ち、図18、19に基づいて言えば、今エルボの長さ(x)と高さ(y)が一定であると仮定した場合、その屈曲本体管部(1)の曲げアール(曲率半径)(r)が大きい分だけ、両端に残存する直管接続部(2)の張り出し長さ(s)が短くなる関係上、その直管接続部(2)へエヤーダクト(スパイラルダクト)を充分奥深く安定裡に差し込むことができず、その差し込み代の不足により、気密効果や耐久強度などの低下を招く結果となる。
【0008】
逆に、上記直管接続部(2)の張り出し長さ(s)が各々一定であると仮定すれば、同じく屈曲本体管部(1)の曲げアール(曲率半径)(r)が大きい分だけ、そのエルボの長さ(x)と高さ(y)も過大になるため、上記エヤーダクトの配管上その屈曲部を小型コンパクトに鋭く屈曲形成することができなくなる。
【0009】
この点、建物の天井裏には上記エヤーダクトの配管のみならず、電気配線やスプリンクラー配管なども行われるため、その空調配管だけに大きなスペースを使用することはできない。特に、厨房や浴室、トイレ、洗面所などの水廻りに配管される排気ダクトが、その直線的な配管を優先的に行えるようになっており、空調ダクトの配管はその排気ダクトを回避して行わなければならない制約があるため、そのエルボ自身としても鋭く屈曲させることが求められている。
【0010】
更に、従来の空調用エルボはこのような配管使用上の問題のみならず、その運搬や保管などを行うに当っても、著しく嵩張ると共に重量化し、いたずらに多大な経費を要する問題もある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明はこのような問題の改良を目的としており、その目的を達成するために請求項1では側面視の90度に屈曲したエルボ形で、且つ断面半円形をなす向かい合う一対の出隅同士と入隅同士が、各々かしめ付け一体化された状態にある空調配管用エルボにおいて、
【0012】
上記入隅側の曲率半径を10mm~40mmに設定し、出隅側の曲率半径をその100mm又は150mmの外径寸法に、上記入隅側の設定された曲率半径寸法を加算して得た数値の同芯円に設定したことを特徴とする。
【0013】
請求項2では側面視の45度に屈曲したエルボ形で、且つ断面半円形をなす向かい合う一対の出隅同士と入隅同士が、各々かしめ付け一体化された状態にある空調配管用エルボにおいて、
【0014】
上記入隅側の曲率半径を40mm以下に設定し、出隅側の曲率半径をその100mm又は150mmの外径寸法に、上記入隅側の設定された曲率半径寸法を加算して得た数値の同芯円に設定したことを特徴とする。
【0015】
また、請求項3では請求項1又は2に記載された曲率半径の設定値を備えた屈曲本体管部の両端と、その両端から連続一体に張り出す直管接続部との境界位置に、その直管接続部の円周面よりも屈曲本体管部のそれの方が背高く隆起することとなる段差又はリブを、入隅の左右両側に30度分ずつ合計60度の角度範囲を除いて残る円周面の領域に付与したことを特徴とする。
【0016】
更に、請求項4では直管接続部の円周面を先細り円錐面又はその張り出し長さの中途位置に段差があるストレート面として形成すると共に、
【0017】
上記直管接続部の円周面から空調ダクトの差し込みストッパーとなる複数のダボを、その直管接続部と屈曲本体管部との境界位置にある段差又はリブと一定間隔を保って平行な配列となる点在分布状態に隆起させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1並びに請求項2の上記構成によれば、その曲げ角が90度のエルボと45度のエルボとの何れにあっても、冒頭に述べた従来品の課題を完全に改良できる効果がある。
【0019】
つまり、請求項1の構成では曲げ角90度の空調配管用エルボにおける入隅側の曲率半径(曲げアール)が、10mm~40mmの数値範囲として小さく設定されているため、そのエルボの全体的な長さが短く、高さが低い小型コンパクトなものとなり、空調ダクトの配管上鋭く屈曲形成することができ、その配管上の要求に応じ得る効果があるほか、いたずらな嵩張りと重量化なども防止できるのである。
【0020】
また、請求項2の構成によれば、曲げ角45度の空調配管用エルボにおける入隅側の曲率半径(曲げアール)が、40mm以下の数値として小さく設定されているため、そのエルボの全体がやはり小型コンパクトなものとなり、上記請求項1と同様な諸効果を得られるのである。
【0021】
そして、請求項1と請求項2との何れにおいても、請求項3の構成を採用するならば、その空調配管用エルボの入隅側には段差又はリブが隆起していないので、その入隅側の曲率半径(曲げアール)が小さく設定されても、そのエルボの絞り成形やかしめ加工を容易に行える効果があり、量産上役立つ。
【0022】
更に、請求項4の構成を採用するならば、空調配管用エルボにおける入隅側の曲率半径(曲げアール)が小さく設定されても、その両直管接続部へ差し込み套嵌される空調ダクトの先端同士が互いに接近し過ぎることに起因して、その空調ダクトと屈曲本体管部との接続個所(継ぎ目)へ上方から巻き付けられることになるシールテープ同士が重なり合い干渉することを、確実に予防できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係る曲げ角90度のエルボを示す斜面図である。
図2図1の側面図である。
図3図2の底面図である。
図4図2の4-4線に沿う拡大断面図である。
図5図2の5-5線に沿う拡大断面図である。
図6図2の6-6線に沿う拡大断面図である。
図7】本発明の実施形態に係る曲げ角45度のエルボを示す斜面図である。
図8図7の側面図である。
図9図8の底面図である。
図10】本発明の別な実施形態を示す図2に対応する側面図である。
図11図10の11-11線に沿う拡大断面図である。
図12】エルボにおける先細り円錐形状の直管接続部を示す半欠截断面図である。
図13】同じくエルボにおける高低段差付きストレート形状の直管接続部を示す図13に対応する半欠截断面図である。
図14】好ましい数値を示すための図2に対応する側面図である。
図15】好ましい数値を示すための図8に対応する側面図である。
図16】従来品との比較を示す図2に対応する側面模式図である。
図17】従来品との比較を示す図8に対応する側面模式図である。
図18】曲げ角90度の従来エルボを示す側面模式図である。
図19】曲げ角45度の従来エルボを示す側面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施形態を詳述すると、図1~6は曲げ角(θ):90度の空調配管用エルボ(A)を示しており、これは一定な外径(D)の屈曲本体管部(11)とその両端から一定長さ(S)だけ連続一体に張り出す一対の直管接続部(12)とを備え、その入隅と出隅が何れもかしめ付け一体化されたものである。(13)(14)はその一定幅(例えば3.1mm)(W)の帯状かしめラインを示している。
【0025】
しかも、そのエルボ(A)における入隅側の曲率半径(曲げアール)(R1)は10mm~40mmの数値範囲、好ましくは25.0mm~25.5mmに設定されている。その設定値に屈曲本体管部(11)の外径(D)を加算して得た数値の同芯円が、出隅側の曲率半径(曲げアール)(R2)となり、その外径(D)の半分(屈曲本体管部の半径)を加算して得た数値の同芯円が、長手中心線(筒芯線)上での曲率半径(曲げアール)(R)となっている。
【0026】
その場合、上記入隅側の曲率半径(R1)が10mmよりも過小であると、そのエルボ(A)の入隅を亜鉛メッキ鋼板のブランクから円滑・確実に絞り成形することができない。10mmが絞り成形を行える言わば限界数値である。逆に、40mmよりも過大であると、そのブランクからの絞り成形を支障なく行えるとしても、エルボ(A)の全体が長大化するため、空調配管上の制約を受けるほか、いたずらに嵩張ると共に重くなり、運搬や保管などの経費が増し、好ましくない。
【0027】
また、図7~9は曲げ角(θ):45度の空調配管用エルボ(B)を示しており、これも一定な外径(D)の屈曲本体管部(11)とその両端から一定長さ(S)だけ連続一体に張り出す一対の直管接続部(12)とを備え、その入隅と出隅がやはり一定幅(例えば3.1mm)(W)の帯状ライン(13)(14)として各々かしめ付け一体化されたものである。
【0028】
そのエルボ(B)における入隅側の曲率半径(曲げアール)(R1)は40mm以下の数値、好ましくは10.0mm~10.5mmに設定されており、その設定値に屈曲本体管部(11)の外径(D)を加算して得た数値の同芯円が、やはり出隅側の曲率半径(曲げアール)(R2)になり、その外径(D)の半分(半径)を加算して得た数値の同芯円が、上記エルボ(B)における長手中心線(筒芯線)上での曲率半径(曲げアール)(R)になっている。
【0029】
その場合、曲げ角(θ)が45度のエルボ(B)では、その入隅側の曲率半径(曲げアール)(R1)が零であっても、上記鋼板のブランクから支障なく絞り成形することができるため、その上限数値を40mmに設定すれば足りる。その40mmの限定理由は上記曲げ角90度のエルボ(A)と同じである。
【0030】
上記曲げ角(θ)が90度のエルボ(A)と45度のエルボ(B)との何れにあっても、その屈曲本体管部(11)と両直管接続部(12)との境界位置には、その直管接続部(12)の円周面よりも屈曲本体管部(11)の円周面の方が背高く隆起することになる段差又はリブ(15)が、図3、9から明白なように、入隅の左右両側に30度ずつ合計60度の角度範囲(γ)を除く円周面の領域に付与されている。
【0031】
つまり、その円周面(360度)のうち、入隅のかしめライン(13)を中心とする左右両側への30度ずつ合計60度の角度範囲(γ)に段差(リブ)(15)はなく、その角度範囲(γ)を越えてから段差(リブ)(15)が徐々に隆起し始め、引き続き出隅側に向かって左右両側への30度ずつ進んだ地点から、残存する円周面の領域に、その隆起高さ(例えば1mm)の一定な段差(リブ)(15)が付与されているのであり、入隅側には段差(リブ)(15)がないため、その入隅側の曲率半径(曲げアール)(R1)が小さく設定されても、容易に絞り成形することができる。
【0032】
上記エルボ(A)(B)の両直管接続部(12)へその先端から各々差し込み套嵌される空調配管用のエヤーダクト(16)を、上記屈曲本体管部(11)との境界段差(リブ)(15)によって受け止めることは可能であるが、その段差(リブ)(15)によって受け止めると、上記入隅側の曲率半径(曲げアール)(R1)は小さくなる程、その両直管接続部(12)へ差し込み套嵌されるエヤーダクト(16)の先端同士が接近するため、その両エヤーダクト(16)と上記屈曲本体管部(11)との接続個所(継ぎ目)へ、上方から被覆状態に巻き付けられる帯状のシールテープ(図示省略)が、互いに重なり合い干渉することとなり、その配管現場での巻き付け作業を行い難く、気密効果の低下も招く。
【0033】
このような事態を防ぐため、上記曲げ角(θ)が90度のエルボ(A)と45度のエルボ(B)との何れにあっても、その両直管接続部(12)の円周面からは上記エヤーダクト(16)の差し込みストッパーとなる複数(図例では4個ずつ)のダボ(17)が、図10、11に示す如く、上記屈曲本体管部(11)との境界位置にある段差又はリブ(15)と一定間隔(例えば7.5mm)(d)を保って平行な配列となる点在分布状態に隆起されている。そのダボ(17)の隆起高さは一例として1.0mm~1.5mmである。尚、エヤーダクト(16)を受け止めない上記段差(リブ)(15)であっても、エルボ自身の補強ビードとして働く。
【0034】
図示省略するが、その両直管接続部(12)のダボ(17)によって各々受け止められたエヤーダクト(16)の先端を、その上方から巻き付けられる図外のシールテープによって被覆し、気密状態に固定維持するのである。
【0035】
更に言えば、上記エヤーダクト(16)を直管接続部(12)へ固定するためのビス又はリベット(図示省略)が、施工現場においてねじ込み又は打ち込まれることになるところ、そのビス又はリベットの頭部も上方から上記シールテープによって、気密状態に被覆されるのである。
【0036】
しかも、その場合両直管接続部(12)の円周面は図12のように、その細い先端側から上記ダボ(17)の隆起する根元側へ行く程、徐々に太くなる先細り円錐面(傾斜テーパー面)として形成されており、これによって、そのダボ(17)に受け止められるまで差し込み套嵌されたエヤーダクト(16)と、上記直管接続部(12)とが偏心して、その太くなった根元に大きな空隙が発生せず、自ずと正しく芯出しされた気密状態を保つことができるようになっている。その先細り円錐面の傾斜(勾配)角は一例として0.57度である。
【0037】
但し、その同芯状態での気密を保てるならば、両直管接続部(12)の円周面をその張り出し長さ(S)の全体に及ぶ先細り円錐面として造形する代りに、図12と対応する図13の変形実施形態に示す如く、その両直管接続部(12)における上記張り出し長さ(S)の中途位置へ、屈曲本体管部(11)との上記境界段差(リブ)(15)よりも1mm程度低い根元側の円周面に比し、先端側の方が更に1mm程度低くなる段差(18)を付与したストレート面として造形してもさしつかえない。
【0038】
上記空調配管用エルボ(A)(B)は一定な厚み(T)の亜鉛メッキ鋼板(JIS G 3303)や溶融亜鉛メッキ鋼板(JIS G 3302)をブランクとして、曲げ角(θ)が90度のエルボ形や45度のエルボ形に打ち抜き、断面半円形に絞り成形した後、その成形した向かい合う一対の入隅同士と出隅同士を各々かしめ付け一体化することにより、製造することができる。
【0039】
その量産上の好ましい数値は、図14、15と下記の表1に例示するとおりである。
【表1】


【0040】
上記表1の数値から示唆されるように、曲げ角(θ)が90度、外径(呼び径)(D)が100mmのエルボ(A)では、長手中心線(筒芯線)上での曲率半径(曲げアール)(R)を75mm、入隅側の曲率半径(曲げアール)(R1)を25.0mm~25.5mmに設定し、また曲げ角(θ)が同じく90度、外径(呼び径)(D)が150mmのエルボ(A)では、長手中心線(筒芯線)上での曲率半径(曲げアール)(R)を100mm、入隅側の曲率半径(曲げアール)(R1)をやはり25.0mm~25.5mmに設定することにより、図16の実線(本発明の実施品)と鎖線(従来品)から窮知されるように、そのエルボ(A)の長さ(X)と高さ(Y)を図18に示した従来エルボの長さ(x)と高さ(y)よりも著しく短く(低く)小型コンパクト化でき、その空調配管の現場作業を容易に行えると共に、短くシャープに屈曲した配管状態を得られる効果がある。
【0041】
また、本発明の実施品を示す下記の表2と、従来品を示す下記の表3との対比から明白なように、そのエルボ(A)の重量を図18、19と表4に示した従来エルボのそれの約20%~30%軽量化することができるほか、エルボ(A)における屈曲本体管部(11)の内部体積も従来エルボのそれより大幅に減少することができる。
【0042】
その結果、建物における狭い天井裏空間での取扱い作業を安楽に行え、運搬コストなどの節減に役立つことは勿論、空調配管内における流体の移動時間や延いてはポンプの稼動時間なども減少できる利点がある。
【表2】



【表3】


【0043】
他方、曲げ角(θ)が45度、外径(呼び径)(D)が100mmのエルボ(B)では、長手中心線(筒芯線)上での曲率半径(曲げアール)(R)を60mm、入隅側の曲率半径(曲げアール)(R1)を10.0~10.5mmに設定し、また曲げ角(θ)が同じく45度、外径(呼び径)(D)が150mmのエルボ(B)では、長手中心線(筒芯線)上での曲率半径(曲げアール)(R)を85mm、入隅側の曲率半径(曲げアール)(R1)をやはり10.0mm~10.5mmに設定することにより、同じく図17の実線(本発明の実施品)と鎖線(従来品)から窮知されるように、そのエルボ(B)の長さ(X)と高さ(Y)を図19に示した従来エルボの長さ(x)と高さ(y)よりもやはり著しく短く(低く)小型コンパクト化でき、上記曲げ角(θ)が90度のエルボ(A)と同様な諸効果を得られる。
【0044】
更に、上記した表2と表3との比較から明白なように、そのエルボ(B)の重量を図18、19と表4に示した従来エルボのそれの約20%~30%軽量化することができ、併せてエルボ(B)における屈曲本体管部(11)の内部体積も従来エルボのそれより大幅に減少することができるのであり、やはり曲げ角(θ)が90度のエルボ(A)と同様な上記効果を得られることになる。
【符号の説明】
【0045】
(1)(11)・・屈曲本体管部
(2)(12)・・直管接続部
(13)・・・・・入隅かしめライン
(14)・・・・・出隅かしめライン
(15)・・・・・境界段差又はリブ
(16)・・・・・空調ダクト
(17)・・・・・ダボ
(18)・・・・・段差
(A)・・・・・・90度エルボ
(B)・・・・・・45度エルボ
(d)・・・・・・一定間隔
(D)・・・・・・外径
(r)(R)・・・曲率半径(曲げアール)
(R1)・・・・・入隅側曲率半径
(R2)・・・・・出隅側曲率半径
(x)(X)・・・長さ
(y)(Y)・・・高さ
(θ)・・・・・・曲げ角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19