(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】選択的に作動可能なバルブを有する灌流バルーン
(51)【国際特許分類】
A61M 25/14 20060101AFI20221207BHJP
A61M 25/00 20060101ALI20221207BHJP
A61M 25/09 20060101ALI20221207BHJP
A61M 25/10 20130101ALI20221207BHJP
【FI】
A61M25/14 510
A61M25/00 530
A61M25/00 542
A61M25/09
A61M25/10 510
A61M25/10 512
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019235973
(22)【出願日】2019-12-26
(62)【分割の表示】P 2018522957の分割
【原出願日】2015-11-06
【審査請求日】2019-12-26
【審判番号】
【審判請求日】2021-10-08
(73)【特許権者】
【識別番号】591018693
【氏名又は名称】シー・アール・バード・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】1 Becton Drive Franklin Lakes NEW JERSEY 07417 UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100093089
【氏名又は名称】佐久間 滋
(72)【発明者】
【氏名】サンチェス,ガルシア・エドガー
【合議体】
【審判長】内藤 真徳
【審判官】村上 聡
【審判官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特表平7-509160(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0105641(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0209375(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流れを移送するための管において医療処置を実施するのに使用するための装置であって、
流体の流れを許容する通路(P)を形成するように構成される膨張可能な
灌流バルーン
(12)と、
前記
灌流バルーン
(12)を支持し、第1の内腔(N)を有するカテーテルシャフト(16)と、
前記灌流バルーン(12)内に配置される膨張可能なバルーン(18)と、
前記第1の内腔(N)内に位置決めされ、開口(O)を有するガイドワイヤチューブ(14)であって、前記膨張可能なバルーン(18)へ前記開口(O)を介して膨張流体を供給するための膨張内腔(L)と、ガイドワイヤを受け入れるためのガイドワイヤ内腔(G)と、を有する前記ガイドワイヤチューブ(14)と、を備え
、
前記膨張可能なバルーン(18)は、前記ガイドワイヤチューブ(14)によって支持されており、前記通路(P)を通る流体の流れを実質的に塞ぐ第1の位置と、前記通路(P)を通る流体の流れを許容する第2の位置との間で、軸方向に移動可能である装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記カテーテルシャフト(16)は前記第1の内腔(N)から、前記
灌流バルーン(12)へ膨張流体を供給し得る、装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の装置であって、
前記
灌流バルーン
(12)は前記カテーテルシャフト(16)から伸びた外側膨張バルーン(12)
であり、前記膨張可能なバルーン(18)は、前記ガイドワイヤチューブ(14)に嵌合された球状膨張バルーン(18)
である、装置。
【請求項4】
請求項
3に記載の装置であって、
前記灌流バルーン(12)は、該バルーンの単一の断面において複数の膨張可能なセル(12a)を備え、各セルは、前記第1の内腔に流体連通する近位ネック部(12b)を備える、装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001]本明細書に記載される全ての公表文献および特許出願は、各公表文献または特許出願が参照によって組み入れられるように具体的かつ個別的に表示されるかのように同程度に参照によって本明細書に組み入れられる。
【0002】
[0002]バルーンなどの拡張可能なデバイスが医療処置において広く使用されている。バルーンの場合、それは、典型的にはカテーテルの端部で、バルーンが対象領域に到達するまで挿入される。バルーンに圧力を加えることによって、バルーンが膨張される。使用方法の1つのバリエーションでは、バルーンは、膨張するときに、体内に空間を作り出す。
【0003】
[0003]バルーンは、心臓に関連する弁で使用することができ、それには、大動脈弁バルーン形成術(BAV)(原らの「経皮バルーン大動脈弁形成術再検討:再生時間?」発行2007;115:e334-8)中や経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)中が含まれる。そのような処置では、膨張されるバルーンは、継続的な血流または灌流を可能にするように設計される。しかしながら、バルーンが膨張されたとき、心臓弁は必ず一時的に無効化される。これは、血流の阻害(望ましくない逆流を作り出すことによるものが含まれる)につながり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0004]したがって、処置中に、特に処置の結果または別の結果として無効化される弁を含む処置に関連して使用されるときに、流体の流れを選択的な態様で調節するのに使用可能な灌流バルーンを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]概して、選択的に作動可能なバルブを備える灌流バルーンが提案される。より具体的には、膨張可能な灌流バルーンは、バルーンが膨張された状況で流体の流れを可能にするための通路と、当該通路を選択的に塞ぐのに使用され得る膨張可能なバルブと、を備えている。
【0006】
[0006]本開示のより具体的な態様によれば、流体の流れを移送するための管において医療措置を実施するための装置が提供される。この装置は、膨張した状態において管内の流体の流れを許容するための膨張可能な灌流バルーンを備えている。(例えば、膨張されたときの灌流バルーンによって流体の流れを調節することによって)管内の流体の流れを制御するために、膨張可能なバルブが設けられる。
【0007】
[0007]1つの可能な実施形態では、膨張可能なバルブは、灌流バルーンの内部通路に関連付けられたバルーンを備えている。このバルーンは、略球状のバルーンを備えていてもよい。灌流バルーンを支持するために、カテーテルシャフトが設けられてもよい。このカテーテルシャフトは、膨張可能なバルブを支持するための支持体(例えば、膨張を有するガイドワイヤチューブ)を受け入れるための少なくとも1つの内腔を備えている。1つの特定の実施形態では、膨張可能なバルブは、流体の流れを実質的に遮る第1の位置と、流体の流れを許容する第2の位置と、の間で支持体に対して移動可能である。
【0008】
[0008]本開示の他の態様は、流体の流れを移送するための管において医療処置を実施するのに使用するための装置に関する。この装置は、灌流バルーンを備えている。灌流バルーンは、管内の流体の流れを受け入れるための開口に関連付けられた通路と、流体の流れを制御するために管内に選択的に位置決め可能なバルブと、を備えている。
【0009】
[0009]一実施形態では、バルブは、灌流バルーンの内部通路内に位置決めされる膨張可能なバルーンを備えている。このバルーンは、略球状のバルーンを備えていてもよい。灌流バルーンを支持するためのカテーテルシャフトが、膨張可能なバルブを支持するための支持体を受け入れるための少なくとも1つの内腔を備えている。バルブは、通路を通る流体の流れを実質的に塞ぐ第1の位置と、通路を通る流体の流れを許容する第2の位置と、の間で移動可能であってもよい。
【0010】
[00010]任意の実施形態において、灌流バルーンは、灌流バルーンの単一の断面におい
て複数のセルを備えていてもよい。各セルは、灌流バルーンを支持するカテーテルシャフトまで延在するネック部を備えている。複数のネック部は、膨張可能なバルブのための保持部を一緒に形成する。保持部は、灌流バルーンの近位端部のところに位置していてもよい。
【0011】
[00011]本開示のさらなる態様は、流体の流れを移送するための管において医療処置を
実施するのに使用するための装置に関する。この装置は、膨張状態において管内の流体の流れを許容するための通路を有する第1の膨張可能なバルーンと、通路への流体の流れを制御するための第2の膨張可能なバルーンと、を備えている。
【0012】
[00012]一実施形態では、第1の膨張可能なバルーンを支持するためにカテーテルシャ
フトが設けられる。このカテーテルシャフトは、第1の膨張可能なバルーンに流体連通する第1の内腔を有する第1のチューブと、第2の膨張可能なバルーンに流体連通する第2の内腔を有する第2のチューブ(例えば、ガイドワイヤチューブの一部分)と、を備えている。膨張可能なバルーンは、通路を通る流体の流れを実質的に塞ぐ第1の位置と、通路を通る流体の流れを許容する第2の位置と、の間において(例えば、関連するガイドワイヤチューブに沿って)移動可能であってもよい。
【0013】
[00013]本開示の他の形態は、流体の流れを移送するための管において医療処置を実施
するのに使用するための装置に関する。この装置は、支持体を備えている。支持体は、第1の近位位置から第2の遠位位置まで摺動的に移動するように構成された膨張可能なバルーンを備えている。支持体は、バルーンに流体を供給するための膨張内腔を有するチューブを備えていてもよい。バルーンは、略球状であってもよく、近位ネック部と遠位ネック部とを備えている。
【0014】
[00014]本発明のさらなる態様は、流体の流れを移送するための管において医療処置を
実施するのに使用するための装置に関する。この装置は、略球状の膨張可能な本体と、近位ネック部と、遠位ネック部と、を有するバルーンを備えている。近位ネック部および遠位ネック部は、略円形の断面を有している。また、バルーンを支持するために支持体が設けられてもよい。この支持体は、膨張可能な本体に流体連通する膨張内腔を備えている。また、バルーンを受け入れるように構成された灌流バルーンが提供されてもよい。
【0015】
[00015]本開示のさらなる態様は、流体の流れを移送するための管において医療処置を
実施するのに使用するための装置に関する。この装置は、第1の膨張可能なバルーンと、第1の膨張可能なバルーンを支持するカテーテルシャフトと、を備えている。カテーテルシャフトは、第1の内腔と、第1の内腔内に位置決めされるガイドワイヤチューブと、を備えている。ガイドワイヤチューブは、膨張可能なバルーンへ膨張流体を供給するための膨張内腔と、ガイドワイヤを受け入れるためのガイドワイヤ内腔と、を備えている。
【0016】
[00016]一実施形態では、カテーテルチューブは、第1の膨張可能なバルーンへ膨張流
体を供給するための第2の内腔を備えている。この装置は、さらに、ガイドワイヤチューブの膨張内腔に流体連通する第2の膨張可能なバルーンを備えていてもよい。第1の膨張可能なバルーンは、灌流バルーンを備えていてもよく、第2の膨張可能なバルーンは、灌流バルーン内に位置決めされる。灌流バルーンは、バルーンの単一の断面において複数の膨張可能なセルを備えていてもよい。各セルは、第1の内腔に流体連通する近位ネック部を備えている。第1の膨張可能なバルーンは、略球状のバルーンを備えていてもよい。
【0017】
[00017]また、本開示は、任意の開示される装置を使用して弁形成術を実施する方法に
関する。この方法は、バルブに隣接して灌流バルーンを設ける工程を備えている。灌流バルーンは、流体の流れを移送するための通路を備えている。この方法は、さらに、バルーンを設けて、灌流バルーンを通る流体の流れを調節する工程を備えている。この方法は、さらに、バルーンを膨張させる工程を備えていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】[00018]拡張状態の膨張可能なデバイスの概略側面図である。
【
図2】[00019]線2-2に沿った
図1のデバイスの側断面図であり、膨張可能なバルブが、デバイスの中央通路を通る流れを塞ぐための第1の位置にある。
【
図2A】[00020]
図2の線2A-2Aに沿った断面図である。
【
図3】[00021]
図1のデバイスの側断面図であり、膨張可能なバルブが、デバイスの中央通路を通る流れを許容するための第2の位置にある。
【
図3A】[00022]
図2の線3A-3Aに沿った断面図である。
【
図4】[00023]第2の位置にある膨張可能なバルブの拡大部分切取図である。
【
図4A】[00024]
図4の線4A-4Aに沿った部分断面図である。
【
図5】[00025]第1の位置にある膨張可能なバルブの拡大部分切取図である。
【
図5A】[00026]
図5の線5A-5Aに沿った部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[00027]開示される本発明は、本質的に灌流バルーンの範疇に入る膨張可能なデバイス
に関する。本発明の新規の特徴は、後で記載される特許請求の範囲に詳細に記載されている。本発明の原理が使用される例示的な実施形態を説明する次の詳細な説明と、添付図面と、を参照することによって、本発明の特徴および利点がより良好に理解されるであろう。
【0020】
[00028]
図1は、膨張可能なデバイス10を示している。デバイス10は、処置に関し
て使用準備ができた膨張状態にある灌流バルーン12を備えている(ただし、このバルーンは、通常、選択された治療領域(例えば、大動脈弁)まで血管系を通って移送する目的で折り畳まれている)。膨張状態を見れば、デバイス10のバルーン12は、バルーンの少なくとも単一の断面(例えば、
図2Aおよび
図3A参照)において複数の膨張可能なセル12a(8つが図示されているが、任意の数が設けられ得る)を有していてもよいことを理解することができる。保持部(例えば、チューブ状の可撓性シースまたは被覆)(図示せず)が、図示される実施形態では略環状の形態でセル12aを保持するためにセル12aの中央部分の上に設けられてもよく、また、狭窄バルブ等と接触するときにセルを保護するようにも機能してもよい。
【0021】
[00029]セル12aは、個々の、すなわち、離散的な個別に膨張可能なバルーンであっ
てもよい。各セル12aは、上述のようにネック部12bを介して、また、遠位端のところのネック部12cを介して分離した膨張内腔を有しており、これは、遠位端のところでシールされていてもよく、あるいは、単一のバルーンの一部分であってもよい。後者は、中央軸線Xに沿って延在する通路Pをセル12aに形成させる態様で折り畳まれた、セグメント化された細長い構造によって達成され得る。バルーン12が完全に膨張されたとき
であっても、流体(例えば、血液)が中央軸線Xに沿って流れ続けることができる(これは、単一の膨張内腔によって行われてもよく、あるいは、各バルーンは、それ自体の膨張内腔を有していてもよい)。このタイプのバルーンの完全な説明は、国際特許出願公開WO2012099979で見つけることができる。ただし、他の形態の灌流バルーンも使用され得る(例えば、チューブ状のバルーン、流体の流れが膨張中に生じることを可能にする目的で周囲(たとえば、螺旋状)チャネルを有するもの、または、これらの技術の任意の組み合わせなど)。
【0022】
[00030]任意の場合において、デバイス10は、中央軸線Xに沿って延在する膨張内腔
Lを有する内側シャフトすなわちチューブ14を備えていてもよい。内側チューブ14は、カテーテルチューブすなわちシャフト16の一部分を形成してもよく、シャフト16は、内側チューブ14が位置決めされる内腔Nを備えている。次いで、灌流バルーン12は、例えば、通路Pへの入口を形成する近位ネック部12bのところで、カテーテルシャフト16に取り付けられてもよい。通路Pは、内腔Nを通る膨張流体を受け入れてもよい。
【0023】
[00031]本開示の一態様によれば、通路Pを通る流体の流れを選択的に調節するために
バルブが設けられる。一実施形態では、バルブは、選択的に膨張可能なデバイス、例えばバルーン18を備えている。バルーン18は、処置中に一方向弁機能を提供するために、例えばその近位開放端のところで、通路P内に位置決めされてもよい。
【0024】
[00032]バルーン18は、略球状の形状であってもよいが、他の形態も同様にとること
ができる。バルーン18は、通路Pを塞ぐことなく通路Pを通って延在するための支持体(例えば、ガイドワイヤチューブ14)によって支持されてもよい。この支持体は、固定されていてもよく、あるいは、灌流バルーン12に対して移動可能であってもよい。以下でより詳細に説明するように、ガイドワイヤチューブ14は、バルーン18を選択的に膨張させるために流体を移送するための膨張内腔L(
図2参照)を備えていてもよい。バルーン18も、下にある支持体(チューブ14)に対して移動してもよい。
【0025】
[00033]
図2および
図2Aに戻ると、膨張され、遠位方向D(近位方向と反対)に進め
られたときのバルーン18は、流体の流れを調節するように構成されていることが分かる。具体的には、バルーン18は、通路Pを実質的または完全に塞いでもよく、それによって、(このため、そのように形成されたバルブの閉位置に対応するこの遠位位置において)流体の流れが実質的または完全に塞がれる。この位置へのバルーン18の移動は、関連する支持体(例えば、ガイドワイヤチューブ14)を移動させることによって達成されてもよく、あるいは、特に、管内(例えば、心臓を動かす血液の圧送動作の結果として)および通路P内の流れによって形成される流体圧力を変化させる結果として自動的に行われてもよい。
【0026】
[00034]
図3および
図3Aから理解されるように、膨張されたバルーン18’が通路P
から反対(近位)方向に引き抜かれるとき、流体Fが、個々のセル12aに関連付けられた近位ネック部12b同士の間の空間を流れてもよい。この近位位置は、そのように形成されたバルブの開状態に対応しているので、流体Fは、次いで通路Pに入り、最終的にはバルーン12を通って灌流し、遠位ネック部12c同士の間の空間(単数または複数)において出て、管を通り続ける(大動脈弁の場合、心臓から離れる方向へ)ことができる。この状態において、ネック部12bは、バルーン18と係合して近位方向へさらに移動しないようにするための保持部すなわちケージを集約的に形成することが理解され得る。心臓の鼓動によって作り出される流れのリズムによって膨張されるときのバルーン18の選択的な作動によって、処置の結果として機能を奪われる関連するバルブによって作り出される自然流を模擬するのに使用され得る一方向弁が得られる。
【0027】
[00035]
図4は、膨張流体をバルーン18へ選択的に供給する1つの方法を示している
。上述したように、ガイドワイヤチューブ14は、例えば1つ以上の開口Oを介してバルーン18の内部に流体を連通させるために膨張内腔L内に設けられてもよい。バルーン18aの近位および遠位に位置するチューブ状の延長部、すなわち、ネック部18a,18bは、膨張可能な球状の本体の対応する近位端および遠位端に接続される。これらのネック部18a,18bは、チューブ14の上に位置し、バルーン18の内部膨張区画内に膨張流体を収容し、同時に、通路Pを塞ぐことによって流れの選択的な調節を達成するために摺動移動を許容するためのシールを形成する。理解され得るように、ネック部18a,18bは、断面が略円形であってもよく、また、チューブ14の外径をごく僅かに超える内径を有していてもよい。これにより、このようにして流体密シールが形成され得る。ネック部18a,18bは、軸線Aの方向に細長くてもよく、制御された摺動移動の結果として、近位端および遠位端のところでシャフト16および通路Pにそれぞれ入ってもよい(
図2および
図3を比較のこと)。
【0028】
[00036]
図4,4Aと
図5,5Aとを比較することによって理解され得るように、開口
Oは、1つの位置(近位)においてバルーン18の内部に連通し、次いで、バルーンが他の位置(遠位)に移動したときに延長部(この場合は、近位延長部18a)によって塞がれた状態に維持されるように構成されてもよい。チューブ14は、同軸であってもよく、内側チューブ14aによって形成されるガイドワイヤ内腔Gを備えていてもよい。ガイドワイヤ内腔Gは、チューブ14の長さ全体に延在していてもよい(一方、膨張内腔Lは、開口Oのところ、または、その近傍で終端していてもよい)。
【0029】
[00037]様々な材料が、所望の構造を形成するために使用され得る。それには、国際特
許出願公開WO2012099979で概説されているようなものが含まれる。バルーン18は、ポリウレタン材料から形成されていてもよい。バルーン18の膨張は、灌流バルーン12を膨張させるのに使用されるものとは別のデバイスを使用して達成されてもよい。それによって、このように形成されたバルブの選択的な制御の方法が可能になる。
【0030】
[00038]上述の説明は、本発明の概念の例示を提供することを意図しており、本発明を特定の態様または形態に限定することを意図するものではない。単数形として本明細書に記載された任意の要素は、複数になってもよく(すなわち、「1つ」として記載された任意のものは1つよりも多くなり得る)、複数の要素は、個別に使用されてもよい。要素、デバイス、方法またはそれらの組み合わせの単一のバリエーションの開示された特徴は、他のバリエーション、例えば、寸法、破裂圧力、形状、材料、または、それらの組み合わせに使用または適用されてもよい。族要素の任意の種要素は、当該族の任意の他の種要素の特徴または要素を有していてもよい。「略」または「実質的に」といった用語は、その値が状況に応じて(例えば、所与の条件の10%まで)変わり得ることを意味している。本発明の実施するための上述の構成、要素または完全な組立体および方法ならびにそれらの要素、ならびに、本発明の態様のバリエーションは、任意の自明な修正形態とともに、任意の組み合わせで互いに組み合わせたり修正したりすることができる。以下は、本願出願当初の本願発明の各種形態である。
(形態1) 流体の流れを移送するための管において医療処置を実施するための装置であって、
膨張状態にあるときに前記管内の前記流体の流れを許容するための膨張可能な灌流バルーンと、
前記流体の流れを制御するための膨張可能なバルブと
を備える装置。
(形態2) 形態1に記載の装置であって、
前記膨張可能なバルブは、前記灌流バルーンの内部通路に関連付けられたバルーンを備える、装置。
(形態3) 形態2に記載の装置であって、
前記バルーンは、略球状のバルーンを備える、装置。
(形態4) 形態1に記載の装置であって、
さらに、前記灌流バルーンを支持するためのカテーテルシャフトを備え、
前記カテーテルシャフトは、前記膨張可能なバルブを支持するための支持体を受け入れるための少なくとも1つの内腔を備える、装置。
(形態5) 形態4に記載の装置であって、
前記膨張可能なバルブは、流体の流れを実質的に塞ぐ第1の位置と、流体の流れを許容する第2の位置と、の間で前記支持体に対して移動可能である、装置。
(形態6) 形態4に記載の装置であって、
前記支持体は、前記膨張可能なバルブのための膨張内腔を備える、装置。
(形態7) 流体の流れを移送するための管において医療処置を実施するのに使用するための装置であって、
前記管内の前記流体の流れを受け入れるための開口に関連付けられた通路を有する灌流バルーンと、
前記流体の流れを制御するための、前記通路内に選択的に位置決め可能なバルブと
を備える装置。
(形態8) 形態7に記載の装置であって、
前記バルブは、前記灌流バルーンの内部通路内に位置決めされる膨張可能なバルーンを備える、装置。
(形態9) 形態8に記載の装置であって、
前記膨張可能なバルーンは、略球状のバルーンを備える、装置。
(形態10) 形態7に記載の装置であって、
さらに、前記灌流バルーンを支持するためのカテーテルシャフトを備え、
前記カテーテルシャフトは、前記膨張可能なバルブを支持するための支持体を受け入れるための少なくとも1つの内腔を備える、装置。
(形態11) 形態7に記載の装置であって、
前記バルブは、前記通路への流体の流れを実質的に塞ぐ第1の位置と、前記通路への流体の流れを許容する第2の位置と、の間で移動可能である、装置。
(形態12) 形態11に記載の装置であって、
前記灌流バルーンは、前記第2の位置において前記バルブを保持するために、近位端に保持部を備える、装置。
(形態13) 形態1ないし形態12のいずれか一項に記載の装置であって、
前記灌流バルーンは、該灌流バルーンの単一の断面において複数のセルを備える、装置。
(形態14) 形態13に記載の装置であって、
各セルは、前記灌流バルーンを支持するカテーテルシャフトまで延在するネック部を備え、
前記ネック部は、前記膨張可能なバルブのための保持部を一緒に形成する、装置。
(形態15) 形態14に記載の装置であって、
前記保持部は、前記灌流バルーンの近位端部に位置する、装置。
(形態16) 流体の流れを移送するための管において医療処置を実施するのに使用するための装置であって、
膨張状態において流体を移送するための通路を有する第1の膨張可能なバルーンと、
前記通路を通る前記流体の流れを制御するための第2の膨張可能なバルーンと
を備える装置。
(形態17) 形態16に記載の装置であって、
さらに、前記第1の膨張可能なバルーンを支持するためのカテーテルシャフトを備え、
前記カテーテルシャフトは、前記第1の膨張可能なバルーンに流体連通する第1の内腔と、前記第2の膨張可能なバルーンに流体連通する第2の内腔と、を備える、装置。
(形態18) 形態16に記載の装置であって、
前記第2の膨張可能なバルーンは、前記通路を通る流体の流れを実質的に塞ぐ第1の位置から、前記通路を通る流体の流れを許容する第2の位置まで移動可能である、装置。
(形態19) 形態16に記載の装置であって、
前記第2の膨張可能なバルーンは、前記通路を通る流体の流れを実質的に塞ぐ第1の位置から、前記通路を通る流体の流れを許容する第2の位置まで、前記第1の膨張可能なバルーン内をガイドワイヤチューブに沿って移動可能である、装置。
(形態20) 形態16に記載の装置であって、
前記第1のバルーンは、該バルーンの単一の断面において複数のセルを備え、
前記第2のバルーンは、略球状のバルーンを備える、装置。
(形態21) 流体の流れを移送するための管において医療処置を実施するのに使用するための装置であって、
第1の近位位置から第2の遠位位置まで摺動的に移動するように構成された膨張可能なバルーンを有する支持体を備える、装置。
(形態22) 形態21に記載の装置であって、
前記支持体は、前記バルーンに流体を供給するための膨張内腔を有するチューブを備える、装置。
(形態23) 形態21または形態22に記載の装置であって、
前記バルーンは、略球状であり、近位ネック部と遠位ネック部とを備える、装置。
(形態24) 流体の流れを移送するための管において医療処置を実施するのに使用するための装置であって、
略球状の膨張可能な本体と、近位ネック部と、遠位ネック部と、を有するバルーンを備える
装置
(形態25) 形態24に記載の装置であって、
前記近位ネック部および前記遠位ネック部は、略円形の断面を有する
装置
(形態26) 形態24または形態25に記載の装置であって、
さらに、前記バルーンを支持するための支持体を備え、
前記支持体は、前記膨張可能な本体に流体連通する膨張内腔を備える、装置。
(形態27) 形態21ないし形態25のいずれか一項に記載の装置であって、
さらに、前記バルーンを受け入れるように構成された灌流バルーンを備える、装置。
(形態28) 流体の流れを移送するための管において医療処置を実施するのに使用するための装置であって、
第1の膨張可能なバルーンと、
前記第1の膨張可能なバルーンを支持し、第1の内腔を有するカテーテルシャフトと、
前記第1の内腔内に位置決めされるガイドワイヤチューブであって、前記膨張可能なバルーンへ膨張流体を供給するための膨張内腔と、ガイドワイヤを受け入れるためのガイドワイヤ内腔と、を有するガイドワイヤチューブと
を備える装置。
(形態29) 形態28に記載の装置であって、
前記カテーテルチューブは、前記第1の膨張可能なバルーンへ膨張流体を供給するための第2の内腔を備える、装置。
(形態30) 形態28または形態29に記載の装置であって、
さらに、前記ガイドワイヤチューブの前記膨張内腔に流体連通する第2の膨張可能なバルーンを備える、装置。
(形態31) 形態30に記載の装置であって、
前記第1の膨張可能なバルーンは、灌流バルーンを備え、
前記第2の膨張可能なバルーンは、前記灌流バルーン内に位置決めされる、装置。
(形態32) 形態31に記載の装置であって、
前記灌流バルーンは、該バルーンの単一の断面において複数の膨張可能なセルを備え、
各セルは、前記第1の内腔に流体連通する近位ネック部を備える、装置。
(形態33) 形態28ないし形態32のいずれか一項に記載の装置であって、
前記第1の膨張可能なバルーンは、略球状のバルーンを備える、装置。
(形態34) 形態1ないし形態27のいずれか一項に記載の装置を使用して弁形成術を実施する方法。
(形態35) 流体の流れを移送するための管に関連付けられるバルブについて処置を実施する方法であって、
前記流体の流れを移送するための通路を有する第1のバルーンを前記バルブに隣接して設ける工程と、
前記第1のバルーンを通る前記流体の流れを調節するために第2のバルーンを設ける工程と、
を備える方法。
(形態36) 形態35に記載の方法であって、
さらに、前記第1のバルーンと前記第2のバルーンとを同時に膨張させる工程を備える方法。