(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】タッチセンサ信号の積分法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20221207BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
G06F3/041 522
G06F3/041 412
G06F3/041 422
G06F3/044 127
(21)【出願番号】P 2019526468
(86)(22)【出願日】2017-11-16
(86)【国際出願番号】 US2017061909
(87)【国際公開番号】W WO2018093980
(87)【国際公開日】2018-05-24
【審査請求日】2020-10-14
(32)【優先日】2016-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516030476
【氏名又は名称】アトメル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100121979
【氏名又は名称】岩崎 吉信
(72)【発明者】
【氏名】レイノルズ グレアム
(72)【発明者】
【氏名】サイエド ハマド
【審査官】滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-007924(JP,A)
【文献】特開2013-114247(JP,A)
【文献】特開2016-200886(JP,A)
【文献】特表2016-532234(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極を含むタッチセンサと、
前記タッチセンサに結合されたコントローラと、
を備え、前記コントローラは、実行時に、
第1同期期間中に前記複数の電極のうちの1つの電極に関連付けられる充電信号の第1立ち上がりエッジを検知することによって第1の正積分を実行する段階と、
第2同期期間中に前記複数の電極のうちの1つの電極に関連付けられる充電信号の第1立ち下がりエッジを検知することによって第1の負積分を実行する段階であって、前記第1の正積分及び前記第1の負積分が、第1サンプル測定に関連付けられる、段階と、
前記充電信号をトグルして、前記第2同期期間中に前記充電信号の第2立ち上がりエッジを生じる段階と、
第3同期期間中に前記複数の電極のうちの1つの電極に関連付けられる充電信号の第2立ち下がりエッジを検知することによって第2の負積分を実行する段階と、
第4同期期間中に前記複数の電極のうちの1つの電極に関連付けられる充電信号の第3立ち上がりエッジを検知することによって第2の正積分を実行する段階であって、前記第2の負積分及び前記第2の正積分が、第2サンプル測定に関連付けられる、段階と、
第5同期期間中に前記複数の電極のうちの第2電極に関連付けられる充電信号の第3立ち下がりエッジを検知することによって第3の負積分を実行する段階と、
第6同期期間中に前記複数の電極のうちの第2電極に関連付けられる充電信号の第4立ち上がりエッジを検知することによって第3の正積分を実行する段階であって、前記第3の負積分及び前記第3の正積分が第3サンプル測定に関連付けられる、段階と、
前記充電信号をトグルして、前記第6同期期間中に前記充電信号の第4立ち下がりエッジを生じる段階と、
第7同期期間中に前記複数の電極のうちの第2電極に関連付けられる充電信号の第5立ち上がりエッジを検知することによって第4の正積分を実行する段階と、
第8同期期間中に前記複数の電極のうちの第2電極に関連付けられる充電信号の第5立ち下がりエッジを検知することによって第4の負積分を実行する段階であって、前記第4の正積分及び前記第5の負積分が第4サンプル測定に関連付けられる、段階と、
を前記コントローラに実行させるよう構成された論理回路を含
み、
前記第1及び第5同期期間は、第1タイプのノイズを表し、
前記第2及び第6同期期間は、第2タイプのノイズを表し、
前記第3及び第7同期期間は、第3タイプのノイズを表し、
前記第4及び第8同期期間は、第4タイプのノイズを表し、
前記第1、第2、第3、及び第4サンプル測定の合計により、前記8つの同期期間内の前記第1、第2、第3、及び第4タイプのノイズを相殺する、ことを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記第1、第2、第3及び第4同期期間は連続して起こる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記デバイスは、インセル液晶ディスプレイ(「LCD])を含み、前記LCDは、
前記第1及び第2タイプのノイズを生じるチェッカーボードドット反転パターンと、
前記第1、第2、第3、及び第4タイプのノイズを生じるチェッカーボードダブルドット反転パターンと、
のセットから1つを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記複数の電極のうちの前記1つの電極は、前記デバイスのディスプレイの隣接するピクセル行の真下に水平方向に位置付けられる2又は3以上の電気的に結合された電極を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
実行時に、
第1同期期間中にタッチセンサの複数の電極のうちの1つの電極に関連付けられる充電信号の第1立ち上がりエッジを検知することによって第1の正積分を実行する段階と、
第2同期期間中に前記複数の電極のうちの1つの電極に関連付けられる充電信号の第1立ち下がりエッジを検知することによって第1の負積分を実行する段階であって、前記第1の正積分及び前記第1の負積分が、第1サンプル測定に関連付けられる、段階と、
前記充電信号をトグルして、前記第2同期期間中に前記充電信号の第2立ち上がりエッジを生じる段階と、
第3同期期間中に前記複数の電極のうちの1つの電極に関連付けられる充電信号の第2立ち下がりエッジを検知することによって第2の負積分を実行する段階と、
第4同期期間中に前記複数の電極のうちの1つの電極に関連付けられる充電信号の第3立ち上がりエッジを検知することによって第2の正積分を実行する段階であって、前記第2の負積分及び前記第2の正積分が、第2サンプル測定に関連付けられる、段階と、
第5同期期間中に前記複数の電極のうちの第2電極に関連付けられる充電信号の第3立ち下がりエッジを検知することによって第3の負積分を実行する段階と、
第6同期期間中に前記複数の電極のうちの第2電極に関連付けられる充電信号の第4立ち上がりエッジを検知することによって第3の正積分を実行する段階であって、前記第3の負積分及び前記第3の正積分が第3サンプル測定に関連付けられる、段階と、
前記充電信号をトグルして、前記第6同期期間中に前記充電信号の第4立ち下がりエッジを生じる段階と、
第7同期期間中に前記複数の電極のうちの第2電極に関連付けられる充電信号の第5立ち上がりエッジを検知することによって第4の正積分を実行する段階と、
第8同期期間中に前記複数の電極のうちの第2電極に関連付けられる充電信号の第5立ち下がりエッジを検知することによって第4の負積分を実行する段階であって、前記第4の正積分及び前記第5の負積分が第4サンプル測定に関連付けられる、段階と、
を実施可能な論理回路を具現化する1又は2以上のコンピュータ可読非一時的ストレージ媒体
であって、
前記第1及び第5同期期間は、第1タイプのノイズを表し、
前記第2及び第6同期期間は、第2タイプのノイズを表し、
前記第3及び第7同期期間は、第3タイプのノイズを表し、
前記第4及び第8同期期間は、第4タイプのノイズを表し、
前記第1、第2、第3、及び第4サンプル測定の合計により、前記8つの同期期間内の前記第1タイプ、第2タイプ、第3タイプ、及び第4タイプのノイズを相殺する、コンピュータ可読非一時的ストレージ媒体。
【請求項6】
前記第1、第2、第3、及び第4同期期間は連続して起こる、請求項
5に記載の媒体。
【請求項7】
前記タッチセンサは、インセル液晶ディスプレイ(「LCD」)に関連付けられ、前記LCDは、
前記第1及び第2タイプのノイズを生じるチェッカーボードドット反転パターンと、
前記第1、第2、第3、及び第4タイプのノイズを生じるチェッカーボードダブルドット反転パターンと、
のセットから1つを含む、請求項
5に記載の媒体。
【請求項8】
前記複数の電極のうちの前記1つの電極は、前記デバイスのディスプレイの隣接するピクセル行の真下に水平方向に位置付けられる2又は3以上の電気的に結合された電極を含む、請求項
5に記載の媒体。
【請求項9】
第1同期期間中にタッチセンサの複数の電極のうちの1つの電極に関連付けられる充電信号の第1立ち上がりエッジを検知することによって第1の正積分を実行する段階と、
第2同期期間中に前記複数の電極のうちの1つの電極に関連付けられる充電信号の第1立ち下がりエッジを検知することによって第1の負積分を実行する段階であって、前記第1の正積分と前記第1の負積分が、第1サンプル測定に関連付けられる、段階と、
前記充電信号をトグルして、前記第2同期期間中に前記充電信号の第2立ち上がりエッジを生じる段階と、
第3同期期間中に前記複数の電極のうちの1つの電極に関連付けられる充電信号の第2立ち下がりエッジを検知することによって第2の負積分を実行する段階と、
第4同期期間中に前記複数の電極のうちの1つの電極に関連付けられる充電信号の第3立ち上がりエッジを検知することによって第2の正積分を実行する段階であって、前記第2の負積分と前記第2の正積分が、第2サンプル測定に関連付けられる、段階と、
第5同期期間中に前記複数の電極のうちの1つの電極に関連付けられる充電信号の第3立ち下がりエッジを検知することによって第3の負積分を実行する段階と、
第6同期期間中に前記複数の電極のうちの1つの電極に関連付けられる充電信号の第4立ち上がりエッジを検知することによって第3の正積分を実行する段階であって、前記第3の負積分及び前記第3の正積分が第3サンプル測定に関連付けられる、段階と、
前記充電信号をトグルして、前記第6同期期間中に前記充電信号の第4立ち下がりエッジを生じる段階と、
第7同期期間中に前記複数の電極のうちの1つの電極に関連付けられる充電信号の第5立ち上がりエッジを検知することによって第4の正積分を実行する段階と、
第8同期期間中に前記複数の電極のうちの1つの電極に関連付けられる充電信号の第5立ち下がりエッジを検知することによって第4の負積分を実行する段階であって、前記第4の正積分及び前記第4の負積分が第4サンプル測定に関連付けられる、段階と、を含み、
前記第1及び第5同期期間は、第1タイプのノイズを表し、
前記第2及び第6同期期間は、第2タイプのノイズを表し、
前記第3及び第7同期期間は、第3タイプのノイズを表し、
前記第4及び第8同期期間は、第4タイプのノイズを表し、
前記第1、第2、第3、及び第4サンプル測定の合計により、前記8つの同期期間中の前記第1、第2、第3、及び第4タイプのノイズを相殺する、方法。
【請求項10】
前記第1、第2、第3、及び第4同期期間は連続して起こる、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の電極のうちの前記1つの電極は、前記デバイスのディスプレイの隣接するピクセル行の真下に水平方向に位置付けられる2又は3以上の電気的に結合された電極を含む、請求項
9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全体的にタッチセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
例示的な事象によれば、タッチセンサは、デバイスのタッチセンサのタッチ検知エリア内の物体(例えば、ユーザの指又はスタイラス)の存在及び位置を検出する。タッチ感知式センサディスプレイの応用では、タッチセンサは、マウス又はタッチパッドによって間接的ではなく、ディスプレイ画面上に表示されたものとユーザが直接的に対話することを可能にする。タッチセンサは、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、携帯情報端末(「PDA」)、スマートフォン、衛星ナビゲーションデバイス、携帯式媒体プレーヤ、携帯式ゲームコンソール、キオスクコンピュータ、販売時点管理デバイス、又は他のデバイスに取り付けるか、又はその一部として設けることができる。家庭用又は他の機器上の制御パネルは、タッチセンサを含むことができる。
【0003】
例えば、抵抗タッチセンサ、表面音響波タッチセンサ、及び静電容量タッチセンサなど、幾つかの異なるタイプのタッチセンサが存在する。1つの例では、物体がタッチ画面のタッチセンサのタッチ検知エリア内でタッチ画面に物理的にタッチするか(例えば、タッチセンサのタッチセンサアレイに重なるカバー層に物理的にタッチすることによって)、又は物体がタッチセンサの検出距離内に入った(例えば、タッチセンサのタッチセンサアレイに重なるカバー層の上をホバリングすることによって)時に、タッチセンサのタッチ検知エリア内の物体の位置に対応するタッチ画面のタッチセンサの位置にて、静電容量の変化がタッチ画面内に生じることができる。タッチセンサコントローラは、静電容量の変化を処理して、タッチセンサ内の静電容量の変化の位置を特定する。
【発明の概要】
【0004】
1実施形態では、デバイスは、タッチセンサを含む。タッチセンサは、複数の電極を含む。デバイスは更に、タッチセンサに結合されたコントローラを含む。コントローラは、実行時に、他の実施可能な動作の中でも、第1同期期間中の複数の電極のうちの1つの電極に関連付けられる充電信号の第1立ち上がりエッジを検知することによる第1の正積分、及び第2同期期間中の複数の電極のうちの1つの電極に関連付けられる充電信号の第1立ち下がりエッジを検知することによる第1の負積分をコントローラに実行させるよう構成された論理回路を含む。この論理回路はまた、実行時に、コントローラに充電信号をトグルさせ、第2同期期間中の充電信号の第2立ち上がりエッジを生じるよう構成される。第1の正積分及び第1の負積分は、第1サンプル測定に関連付けられる。この論理回路は更に、実行時に、第3同期期間中の複数の電極のうちの1つの電極に関連付けられる充電信号の第2立ち下がりエッジを検知することによる第2の負積分、及び第4同期期間中の複数の電極のうちの1つの電極に関連付けられる充電信号の第2立ち上がりエッジを検知することによる第2の正積分をコントローラに実行させるよう構成される。第2の正積分及び第2の負積分は、第2サンプル測定に関連付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1A】本開示の実施形態によるタッチセンサ及びコントローラを含む例示的なシステムを示す図である。
【
図1B】本開示の実施形態によるタッチセンサのための例示的な機械スタックを示す図である。
【
図2】本開示の実施形態による例示的なドット反転ピクセルパターンを示す図である。
【
図3】本開示の実施形態による例示的なダブルドット反転ピクセルパターンを示す図である。
【
図4】本開示の実施形態による例示的な
積分シーケンスを示す図である。
【
図5】本開示の実施形態によるドット反転パターン上にマップされた例示的な
積分シーケンスを示す図である。
【
図6】本開示の実施形態によるダブルドット反転パターン上にマップされた例示的な
積分シーケンスを示す図である。
【
図7】本開示の実施形態による
積分シーケンスを実行する例示的な方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1Aは、本開示の実施形態によるタッチセンサ及びコントローラを含む例示的なシステム100を示す。タッチセンサシステム100は、タッチセンサ101及びタッチセンサコントローラ102を含み、これらは、タッチセンサ101のタッチ検知エリア内でのタッチの存在及び位置又は物体の近接を検出するよう作動する。タッチセンサ101は、1又は2以上のタッチ検知エリアを含む。1実施形態では、タッチセンサ101は、誘電材料から作ることができる1又は2以上の基板上に配置された電極のアレイを含む。タッチセンサへの言及は、タッチセンサ101の電極と、電極が配置される基板との両方を包含することができる。或いは、タッチセンサへの言及は、タッチセンサ101の電極を包含することができるが、電極が配置される基板は包含しなくてもよい。
【0007】
タッチセンサ101の電極は、円盤、正方形、矩形、細線、菱形、他の形状、又はこれらの形状の組み合わせなどの形状を形成する導電性材料を含む。導電性材料の1又は2以上の層の1又は2以上の切込みは、電極の形状を(少なくとも部分的に)生成することができ、この形状のエリアは、これらの切込みによって(少なくとも部分的に)境界付けることができる。特定の実施形態では、電極の導電性材料は、形状のエリアの約100%を占める。例えば、電極は、インジウムスズ酸化物(ITO)から作ることができ、電極のITOは、その形状のエリアの約100%を占めることができる(100%フィルと呼ばれることもある)。特定の実施形態では、電極の導電性材料は、その形状のエリアの100%未満を占める。例えば、電極は、例えば銅、銀、カーボン、又は銅ベース、銀ベース、又はカーボンベースの材料などの金属の細線又は他の導電性材料(FLM)から作ることができ、導電性材料の細線は、ハッチング、メッシュ、又は他のパターンで形状のエリアのわずか数パーセント(例えば、約5%)を占めることができる。本開示は、特定のパターンを有する特定のフィルパーセンテージで特定の形状を形成する特定の導電性材料から作られた特定の電極を記載し又は例示するが、この開示は、あらゆる好適なパターンを有する何らかの適切なフィルパーセンテージで何らかの適当な形状を形成する何れかの適切な導電性材料から作られた電極を企図している。
【0008】
タッチセンサ101の電極(又は他の要素)の形状は、全体として又は一部がタッチセンサ101の1又は2以上のマクロ特徴部を構成する。これらの形状の実施構成の1又は2以上の特性(例えば、導電性材料、フィル、又は形状内のパターンなど)は、全体又は一部がタッチセンサ101の1又は2以上のマイクロ特徴部を構成する。タッチセンサ101の1又は2以上のマクロ特徴部は、機能性の1又は2以上の特性を決定付けることができ、タッチセンサ101の1又は2以上のマイクロ特徴部は、透過率、屈折、又は反射などのタッチセンサ101の1又は2以上の光学的特徴を決定付けることができる。
【0009】
タッチセンサ101の電極は、何らかのパターン(例えば、格子パターン又は菱形パターン)で構成することができる。各構成は、電極の第1セット及び電極の第2セットを含むことができる。電極の第1セット及び電極の第2セットは、重なり合って複数の容量性ノードを形成する。特定の実施形態では、電極の第1セットは水平方向の電極であり、電極の第2セットは垂直方向の電極である。特定のパターンで記載されているが、本開示によるタッチセンサの電極は、あらゆる適切なパターンとすることができる。特定の実施形態では、例えば、電極の第1セットは、水平方向に対する何らかの適切な角度とすることができ、電極の第2セットは、垂直方向に対する何らかの適切な角度とすることができる。本開示は、電極のあらゆる適切なパターン、構成、設計、又は配列を想定しており、上述の例示的なパターンに限定されない。
【0010】
本開示は、幾つかの例示的な電極を記載しているが、本開示は、これらの例示的な電極に限定されず、他の電極を実施することができる。加えて、本開示は、特定のノードを形成する特定の電極の特定の構成を含む幾つかの例示的な実施形態を記載しているが、本開示は、これらの例示的な実施形態に限定されず、他の構成も実施することができる。1実施形態では、幾つかの電極が同じ基板の同じ表面又は異なる表面に配置される。加えて又は代替として、異なる電極を異なる基板上に配置することもできる。本開示は、特定の例示的なパターンで配列された特定の電極を含む幾つかの例示的な実施形態を記載しているが、本開示は、これらの例示的なパターンに限定されず、他の電極パターンも実施することができる。
【0011】
機械スタックは、基板(又は複数の基板)及びタッチセンサ101の電極を形成する導電性材料を包含する。例えば、機械スタックは、カバーパネルの真下に光学透明粘着剤(OCA)の第1層を含むことができる。カバーパネルは、透明であり、また、例えばガラス、ポリカーボネート、又はポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)など、繰り返されるタッチに備えた弾性材料から作ることができる。本開示は、あらゆる材料から作られたカバーパネルを企図している。OCAの第1層は、カバーパネルと、電極を形成する導電性材料を有する基板との間に配置することができる。機械スタックはまた、OCAの第2層と誘電層(電極を形成する導電性材料を有する基板に類似したPET又は別の材料から作ることができる)とを含むこともできる。代替として、OCAの第2層及び誘電層の代わりに、誘電材料の薄いコーティングを施工することができる。OCAの第2層は、電極を構成する導電性材料を有する基板と誘電層との間に配置することができ、誘電層は、OCAの第2層と、タッチセンサ101及びタッチセンサコントローラ102を含むデバイスのディスプレイまでのエアギャップとの間に配置することができる。例えば、カバーパネルは、約1ミリメートル(mm)の厚みを有することができ、OCAの第1層は、約0.05mmの厚みを有することができ、電極を形成する導電性材料を有する基板は、約0.05mmの厚みを有することができ、OCAの第2層は、約0.05mmの厚みを有することができ、誘電層は、約0.05mmの厚みを有することができる。
【0012】
本開示は、特定の材料から作られ且つ特定の厚みを有する特定数の特定の層を備えた特定の機械スタックを記載しているが、本開示は、あらゆる材料から作られ且つあらゆる厚みを有すあらゆる数の層を備えた他の機械スタックを企図している。例えば、1つの実施形態では、粘着又は誘電性層は、誘電層、OCAの第2層、及び上述のエアギャップに置き換えることができ、ディスプレイにおいてエアギャップが存在しない。
【0013】
タッチセンサ101の基板の1又は2以上の部分は、ポリエチレンテレフタレート(PET)又は別の材料から作ることができる。本開示は、何れの材料から作られた部分を有する何らかの基板を企図している。1実施形態では、タッチセンサ101の1又は2以上の電極は、全体的又は部分的にITOから作られる。加えて又は代替として、タッチセンサ101の1又は2以上の電極は、金属の細線又は他の導電性材料から作られる。例えば、導電性材料の1又は2以上の部分は、銅又は銅ベースとすることができ、約5ミクロン(μm)又はそれ未満の厚み及び約10μm又はそれ未満の幅を有することができる。別の例として、導電性材料の1又は2以上の部分は、銀又は銀ベースとすることができ、同様に約5μm又はそれ未満の厚み及び約10μm又はそれ未満の幅を有することができる。本開示は、あらゆる材料から作られたあらゆる電極を企図している。
【0014】
タッチセンサコントローラ102は、本開示の1実施形態による接続部108によってタッチセンサ101に接続される。1実施形態では、タッチセンサコントローラ102は、接続パッド106を介してタッチセンサ101に電気的に結合される。一部の実施形態では、タッチセンサコントローラ102は、1又は2以上のメモリユニット及び1又は2以上のプロセッサを含む。これらの実施形態の一部では、1又は2以上のメモリユニット及び1又は2以上のプロセッサは、独立して作動するように電気的に相互接続される。1又は2以上のメモリユニット及び1又は2以上のプロセッサは、タッチセンサ101に電気的に結合され、タッチセンサ101がタッチセンサ101に電気信号を送信しタッチセンサ101から電気信号を受信するのを可能にする。
【0015】
1実施形態では、タッチセンサ101は、静電容量形態のタッチ検知を実施する。相互容量式の実施構成では、タッチセンサ101は、容量性ノードのアレイを形成する駆動及び検知電極のアレイを含むことができる。タッチセンサ101は、1つの基板の片側上にパターンで配列された駆動電極と、別の基板の片側上でパターンで配列された検知電極とを有することができる。このような構成では、駆動電極及び検知電極の交差が容量性ノードを形成する。このような交差は、駆動電極と検知電極が「クロス」する位置、又はこれらのそれぞれの面で互いに最も接近する位置とすることができる。容量性ノードを形成する駆動及び検知電極は、互いに近接して位置付けられるが、互いとの電気接触は形成しない。代替として、例えば駆動電極に加えられる信号に応答して、駆動及び検知電極は、これらの間のスペースを横断して互いに容量結合する。
【0016】
駆動電極に(タッチセンサコントローラ102によって)印加されるパルス又は交流電圧である充電信号は、検知電極上に電荷を誘導し、誘導される電荷量は、外部作用(物体のタッチ又は近接など)の影響を受けやすい。物体が容量性ノードにタッチするか、又は容量性ノードの近接距離内に入った時に、静電容量の変化が容量性ノードにて起こり、タッチセンサコントローラ102は、静電容量の変化を測定する。タッチセンサ101全体の静電容量の変化を測定することによって、タッチセンサコントローラ102は、タッチの位置又はタッチセンサ101のタッチ検知エリア内の近接距離を決定する。
【0017】
自己容量式の実施構成では、タッチセンサ101は、各々が容量性ノードを形成することができる単一タイプの電極アレイを含むことができる。物体が容量性ノードにタッチしたか、又は接近した時に、容量性ノードにて自己容量の変化が起こり、タッチセンサコントローラ102は、例えば予め設定された量だけ容量性ノードでの電圧を上昇させるために、充電信号によって誘導された電荷量の変化として静電容量の変化を測定する。相互容量の実施構成と同様に、アレイ全体の静電容量の変化を測定することによって、タッチセンサコントローラ102は、タッチの位置又はタッチセンサ101のタッチ検知エリア内の近接距離を決定する。本開示は、あらゆる形態の静電容量タッチ検知を企図している。
【0018】
本開示は、特定のノードを形成する特定の電極の特定の構成を記載しているが、本開示は、ノードを形成する電極の他の構成も企図している。更に、本開示は、何れかのパターンで何れかの数の基板上に配列された他の電極を企図している。
【0019】
上述のように、タッチセンサ101の容量性ノードにおける静電容量の変化は、容量性ノードの位置でのタッチ又は近接入力を示すことができる。タッチセンサコントローラ102は、静電容量の変化を検出し処理して、タッチの存在及び位置又は近接入力を決定する。1実施形態では、タッチセンサコントローラ102は、タッチ又は近接入力に関する情報を、タッチセンサ101及びタッチセンサコントローラ102を含むことができ且つデバイスの機能(又はデバイス上で実行さているアプリケーション)を開始することによってタッチ又は近接入力に応答することができる、デバイスの1又は2以上の他の構成要素(1又は2以上の中央処理ユニット(CPU)など)に伝達する。本開示は、特定のデバイス及び特定のタッチセンサ101に関する特定の機能を有する特定のタッチセンサコントローラ102を記載しているが、本開示は、あらゆるデバイス及びあらゆるタッチセンサに関する何れかの機能を有する他のタッチセンサコントローラを企図している。
【0020】
1実施形態では、タッチセンサコントローラ102は、例えば汎用マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、プログラマブル論理回路デバイス又はアレイ、又は特定用途向けIC(ASIC)などの1又は2以上の集積回路(IC)として実施される。タッチセンサコントローラ102は、アナログ回路、デジタル論理回路、及びデジタル不揮発性メモリの何れかの組み合わせを含む。1実施形態では、タッチセンサコントローラ102は、以下で記載されるように、タッチセンサ101の基板に接合されたフレキシブルプリント回路(FPC)上に配置される。FPCは、能動又は受動とすることができる。1実施形態では、マルチタッチセンサコントローラ102がFPC上に配置される。
【0021】
例示的な実施構成では、タッチセンサコントローラ102は、プロセッサユニット、駆動ユニット、検知ユニット、及びストレージユニットを含む。このような実施構成では、駆動ユニットが、タッチセンサ101の駆動電極に駆動信号を供給し、検知ユニットが、タッチセンサ101の容量性ノードで電荷を検知して、容量性ノードでの静電容量を表す測定信号をプロセッサユニットに提供する。プロセッサユニットは、駆動ユニットによる駆動電極への駆動信号の供給を制御して、検知ユニットからの測定信号を処理し、タッチセンサ101のタッチ検知エリア内のタッチの存在及び位置又は近接入力を検出し処理する。プロセッサユニットはまた、タッチセンサ101のタッチ検知エリア内のタッチの位置又は近接入力の変化を追跡することができる。ストレージユニットは、駆動信号を駆動電極に供給するよう駆動ユニットを制御するプログラミング、検知ユニットからの測定信号を処理するプログラミング、及び他のプログラミングを含む、プロセッサユニットによる実行のためのプログラミングを格納する。本開示は、特定の構成要素を備えた特定の実施構成を有する特定のタッチセンサコントローラ102を記載しているが、本開示は、他の構成要素を備えた他の実施構成を有するタッチセンサコントローラを企図している。
【0022】
タッチセンサ101の基板上に配置された導電性材料の1つの実施例にて形成された接続線104は、タッチセンサ101の駆動又は検知電極を、同様にタッチセンサ101の基板上に配置された接続パッド106に結合する。以下で記載されるように、接続パッド106は、接続線104とタッチセンサコントローラ102の結合を容易にする。接続線104は、タッチセンサ101のタッチ検知エリア内に又は(例えば、その縁部)その周りに延びることができる。1実施形態では、特定の接続線104は、タッチセンサコントローラ102をタッチセンサ101の駆動電極に結合するための駆動接続部を提供し、これを介して、タッチセンサコントローラ102の駆動ユニットは、駆動信号を駆動電極に供給し、他の接続線104は、タッチセンサコントローラ102をタッチセンサ101の検知電極に結合するための検知接続部を提供し、これを介してタッチセンサコントローラ102の検知ユニットは、タッチセンサ101の容量性ノードでの電荷を検知する。
【0023】
接続線104は、金属又は他の導電性材料の細線から作られる。例えば、接続線104の導電性材料は、銅又は銅ベースとすることができ、約100μm又はこれ未満の幅を有することができる。別の例として、接続線104の導電性材料は、銀又は銀ベースとすることができ、約100μm又はこれ未満の幅を有することができる。1実施形態では、接続線104は、金属又は他の導電性材料の細線に加えて又はこれに代えて、全部又は一部がITOで作られる。本開示は、特定の幅を有した特定の材料から作られる特定のトラックを記載しているが、本開示は、他の材料及び/又は他の幅から作られるトラックを企図している。接続線104に加えて、タッチセンサ101は、タッチセンサ101の基板の縁部(接続線104に類似)の接地コネクタ(接続パッド106とすることができる)にて終端する1又は2以上の接地線を含むことができる。
【0024】
接続パッド106は、タッチセンサ101のタッチ検知エリアの外側の基板の1又は2以上の縁部に沿って位置付けることができる。上述のように、タッチセンサコントローラ102は、FPC上に位置付けることができる。接続パッド106は、接続線104と同じ材料から作ることができ、異方性導電膜(ACF)を用いてFPCに接合することができる。1実施形態では、接続部108は、タッチセンサコントローラ102を接続パッド106に結合するFPC上の導電線を含み、タッチセンサコントローラ102を接続線104に及びタッチセンサ101の駆動又は検知電極に結合する。別の実施形態では、接続パッド106は、電気-機械コネクタ(例えば、ゼロ挿入力電線対基板コネクタなど)に接続される。接続部108は、FPCを含むことができ、又は含まなくてもよい。本開示は、タッチセンサコントローラ102とタッチセンサ101との間の何らかの接続部108を企図している。
【0025】
特定の実施形態では、システム100は、ディスプレイスタックを含む。システム100のディスプレイスタックは、ユーザへの画像の表示に関連付けられる1又は2以上の層を含むことができる。一例として、ディスプレイスタックは、ディスプレイのピクセル層、接地層(共通電圧(VCOM)層とも呼ばれる)、及び/又はカバー層に信号を印加する要素を備えた層を含むことができる。特定の実施形態では、電極は、ディスプレイスタックのピクセル層のピクセル行の真下に(ユーザ視点から)配置される。本開示は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイなど、ユーザに画像を提示することができる何らかのディスプレイであるディスプレイを企図している。特定の実施形態では、タッチセンサ101は、ディスプレイ(例えば、LCD又はOLED)に取り付けられる。一部の実施形態では、システム100のディスプレイは、インセルディスプレイモジュールであり、タッチセンサ101及びコントローラ102(例えば、タッチセンサ回路及び駆動回路)がディスプレイ(例えば、LCD又はOLED)モジュールに組み込まれる。
【0026】
図1Bは、本開示の実施形態によるタッチセンサ100のための例示的な機械スタック160を示す。
図1Bの例示的な実施形態では、機械スタック160は。複数の層を含み、z軸に対して位置付けられるように例示されている。例示的な機械スタック160は、ディスプレイ170、第2導電層168、基板166、第1導電層164、及びカバー層162を含む。
【0027】
1実施形態では、第2導電層168及び第1導電層164は、
図1Aに関して上記で論じたように、それぞれ駆動及び検知電極である。1実施形態では、第2導電層168及び第1導電層164は、本開示で記載されるようにメッシュである。基板166は、1実施形態では、第1及び第2導電層を電気的に絶縁する材料を含む。1実施形態では、基板166は、他の層のための機械的支持を提供する。1実施形態では、追加の基板の層(例えば、基板166と同じ材料でなくてもよい)は、異なる構成で用いることができる。例えば、第2基板層は、第2導電層168とディスプレイ170との間に位置付けることができる。ディスプレイ170は、ユーザによって視認されるディスプレイ情報を提供する。一例として、ディスプレイ170は、LCD、OLED、又は他の何れかの好適なタイプのディスプレイとすることができる。1実施形態では、ディスプレイ170は、交互するピクセルディスプレイパターンで配列されたサブピクセルを有する交互ピクセルディスプレイとすることができる。
【0028】
カバー層162は、透明又は実質的に透明とすることができ、例えばガラス、ポリカーボネート、又はポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)など、繰り返されるタッチに備えた弾性材料から作ることができる。1実施形態では、透明又は半透明の粘着層が、カバー層162と第1導電層164との間、及び/又は第2導電層168とディスプレイ170との間に配置される。ユーザは、指又は他の何れかのタッチ物体(スタイラスなど)を用いてカバー層162にタッチすることにより、タッチセンサ100と対話することができる。ユーザは、カバー層162と実際に物理的接触をすることなく指又は他の何れかのタッチ物体をカバー層162上でホバリングすることによってタッチセンサ100と対話することもできる。
【0029】
図1Bの例示的な実施形態では、機械スタック160は、2つの導電層を含む。1実施形態では、機械スタック160は、単一の導電層形成を含むことができる。機械スタック160の他の実施形態は、他の構成、関係及び観点、並びにより少ない又は追加の層を実施することができる。1つの例として、導電層164及び168の1又は2以上(及び/又は機械スタック160の他の層)は、ディスプレイ170と一体化することができ、これによって導電層164及び168の1又は2以上が、ディスプレイ170を形成する層内に位置付けられるようになる。特定の実施形態では、ディスプレイ170と一体化された層は、ディスプレイ170(例えば画像を表示するため)及びタッチ検知の動作を提供することができる。別の例として、機械スタック160は、複数の基板166を含むことができ、第1導電層164が第1基板166上に位置付けられ、第2導電層168が第2基板166上に位置付けられる。
【0030】
図2は、本開示の実施形態による例示的なドット反転ピクセルパターン200を示している。ドット反転ピクセルパターン200の各正方形は、ピクセルを表す。ドット反転パターン200の行(row:横列)201a-nは、システム100のディスプレイモジュールのピクセル層のピクセル行に対応する。例えば、ドット反転パターン200の行201aは、第1ピクセル行に対応し、ドット反転パターン200の行201bは第2ピクセル行に対応する、等々。特定の実施形態では、タッチセンサ101の特定の電極は、ピクセル行201a-nの真下に水平方向に位置付けられる。例えば、第1電極は、行201aの真下に水平方向に位置付けることができ、第2電極は、隣接する行202bの真下に水平方向に位置付けることができる、等々。特定の実施形態では、単一の電極が複数のピクセル行をカバーすることができる。例えば、第1電極は、複数の第1ピクセル行(例えば、40の第1ピクセル行)の真下に水平方向に位置付けることができ、第2電極は、第1ピクセル行に隣接する複数の第2ピクセル行(例えば、40の第2ピクセル行)の真下に水平方向に位置付けることができる、等々。
【0031】
特定の実施形態では、幾つかの電極が電気的及び/又は物理的に共に結合され、複数のピクセル行201をカバーすることができる単一の電極を形成する。一例として、第1電極は、複数の第1ピクセル行201(例えば、40の第1隣接行)の真下に水平方向に位置付けられた複数の電極含むことができ、第2電極は、第1ピクセル行201に隣接する複数の第2ピクセル行201(例えば、40の第2隣接行)の真下に水平方向に位置付けられる複数の電極含むことができる、等々。
【0032】
特定の実施形態では、ディスプレイ(例えば、LCD又はOLED)によって生じたノイズは時間的に一定ではない。ディスプレイ上の画像はリフレッシュされるので、ノイズは、ノイズの多い期間とノイズのない期間の繰り返しパターンに従うことがある。ドット反転パターン200を含むディスプレイは、少なくとも2つのタイプのノイズを発生する場合がある。図示した実施形態では、フォワードスラッシュハッチパターンによって示されるドット反転パターン200の交互行201a、201c、201eなどは、第1タイプのノイズ210(すなわち、「+-+」ノイズパターン)を表し、バックスラッシュハッチパターンによって示されるドット反転パターン200の交互行201b、201d、201fなどは、第2タイプのノイズ212(すなわち、「-+-」ノイズパターン)を表す。「+」信号は、正の振幅ピークを表し、「-」信号は負の振幅ピークを表す。特定の実施形態では、ゼロ基準から測定された正の振幅ピークの変化の程度は、ゼロ基準から測定された負の振幅ピークの変化の程度に等しい。
【0033】
図3は、本開示の実施形態による例示的なダブルドット反転パターン300を示している。ダブルドット反転ピクセルパターン300の各正方形はピクセルを表す。ダブルドット反転パターン300の行301は、システム100のディスプレイモジュールのピクセル層のピクセル行301a-nに対応する。例えば、ダブルドット反転パターン300の行301aは、第1ピクセル行に対応し、ダブルドット反転パターン300の行301bは、第2ピクセル行に対応する、等々。ダブルドット反転パターン300を含むディスプレイ(例えば、LCD又はOLED)は、4つのタイプのノイズを発生することがある。図示した実施形態では、フォワードスラッシュハッチパターンによって示されるダブルドット反転パターン300の行301a、30e、及び30iは、第1タイプのノイズ320(すなわち、「+-+」標準振幅パターン)を表し、ダブルバックスラッシュハッチパターンによって示されるダブルドット反転パターン300の行301b、301f、及び301jは、第2タイプのノイズ(すなわち、「+-+」低振幅パターン)を表し、フォワードスラッシュ破線ハッチパターンによって示されるダブルドット反転パターン300の行301c、301g、及び301kは、第3タイプのノイズ(すなわち、「-+-」標準振幅パターン)を表し、四重バックスラッシュハッチパターンによって示されるダブルドット反転パターン300の行301d、301h、及び301Iは、第4タイプのノイズ(すなわち、「-+-」低振幅パターン)を表す。特定の実施形態では、ゼロ基準から測定された正(+)の標準振幅ピークの変化の程度は、ゼロ基準から測定された負(-)の標準振幅ピークの変化の程度に等しい。同様に、ゼロ基準から測定された正(+)の低振幅ピークの変化の程度は、ゼロ基準から測定された負(-)の低振幅ピークの変化の程度に等しい。
【0034】
図4は、本開示の実施形態による例示的な
積分シーケンスを示している。
図4に示した
積分シーケンスは、システム100によって用いることができる。特定の実施形態では、
積分シーケンスは、タッチ測定性能の何らかの悪化を低減又は排除しながら、特定のピクセルパターン(例えば、ドット反転パターン200及び/又はダブルドット反転パターン300)を含むディスプレイ上のフリッカーを低減又は排除する。
図4は、1つの同期信号402と3つのカラー信号、すなわち赤書き込み信号404、緑書き込み信号406、及び青書き込み信号408を示している。
【0035】
コントローラ102は、システム100のディスプレイを更新するために、同期信号を用いてディスプレイ上のピクセルを制御することができる。各ピクセルデータに対応する位置をディスプレイコントローラによって特定するのを容易にするために、コントローラ102は、水平同期(HSYNC)信号を使用して、ピクセル線の開始を指示することができる。基本的には、HSYNC信号はクロック信号として機能する。例えば、新しいピクセル線の開始は、HSYNC信号のタイミングパルスの立ち上がりエッジ(例えば、低レベル状態から高レベル状態への変化)によって起動することができる。従って、コントローラ102がHSYNC信号のタイミングパルスの1つの立ち上がりエッジを検出すると、受信された後続のピクセルデータは、次のピクセル線に属するものとして解釈されることになる。次いで、コントローラ102は、このピクセル線を更新する。当業者であれば、別の実施形態において、コントローラ102がHSYNCパルスの立ち下がりエッジを用いて、新しいピクセル線を開始することができることは、理解されるであろう。
【0036】
HSYNC信号との同期は、タッチ測定におけるディスプレイノイズを低減又は排除することができる。この同期なしでは、充電信号(例えば、充電信号410)の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジに起因して、電荷がピクセルコンデンサに挿入又は取り除かれることがあり、これによりコンデンサ電圧の変動を引き起こす可能性がある。この変動は、ディスプレイの輝度強度及び/又はカラー強度(例えば、赤/緑/青発光強度)の変化をもたらすことがある。
図4に示すようにHSYNC遅延を用いることによって、コントローラ102は、ソースデータがピクセル範囲(例えば、赤書き込み信号404、緑書き込み信号406、及び青書き込み信号408)を更新しないノイズのない期間中に走査して、これによりディスプレイノイズを低減又は排除することができる。
図4の実施形態では、最適HSYNC遅延の範囲は、
図4の注釈412によって示されるように、青書き込み信号408の立ち下がりエッジとHSYNC信号402の立ち上がりエッジの間である。
【0037】
図4の図示の実施形態では、タッチセンサの1又は2以上の電極上で駆動される充電信号410の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジは、HSYNC信号402の立ち下がりエッジに同期される。一部の実施形態では、充電信号410の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジは、HSYNC信号402の立ち上がりエッジに同期することができる。特定の実施形態では、HSYNC期間(例えば、HSYNC期間1)は、5~15マイクロ秒程度にすることができる。一例として、HSYNC期間1は、6.5マイクロ秒(すなわち、16.6ミリ秒/2560行)にすることができる。HSYNC期間1及びHSYNC期間2から測定された応答信号は、受信された信号の測定電圧、時間期間、又は他の何れかの特性を含むことができる。
【0038】
図4では、コントローラ102は、
図4の充電信号410を結果として生じる、タッチセンサ101の電極(例えば、
図2の行201aの下にある電極又は
図2の複数の行201の下にある電極の組み合わせ)上に正の分極電荷を誘導する。コントローラ102は、HSYNC期間1の間の電極に関連付けられる充電信号410の第1立ち上がりエッジを検知することによって、正
積分(+)を実行する。同様に、コントローラ102は、タッチセンサ101の電極上に負の分極電荷を誘導し、HSYNC期間2の間の電極に関連付けられる充電信号410の第1立ち下がりエッジを検知することによって、負
積分(-)を実行する。HSYNC期間1及び2における正及び負の極性間で印加された充電信号410の極性を交互にすることによって、システム100に注入される電荷量(すなわち、ノイズ)がシステム100から取り出される電荷量(すなわち、ノイズ)に等しいので、タッチセンサコントローラ102は、ノイズを低減又は排除することができる。1測定サイクルにつき2つのHSYNC期間(例えば、HSYNC期間1及びHSYNC期間2)を使用することができる。各測定サイクルは、ADCサンプル(例えば、ADCサンプル1)に関連付けられる。タッチセンサコントローラ102は、このアプリケーション及び測定サイクルを何度も繰り返し、タッチセンサ101の1又は2以上の電極から予め設定された数のサンプル(例えば、ADCサンプル1及び2)を累積する。
【0039】
特定の実施形態では、タッチ電極測定は、2又は3以上のサンプル(例えば、ADCサンプル1及び2)を平均化することによって実行される。例えば、タッチ測定は、「+-+-+-+-」によって繰り返すことができる4つの正及び負の
積分ペアを含む4つのADCサンプルを平均化することによって実行することができる。特定のディスプレイモジュール(例えば、インセルディスプレイモジュール)では、タッチセンサ101の一番上及び/又は一番下の1又は2以上のピクセル行(例えば、
図2の行201a-n)に電極を配置することができる。一例として、1080ピクセル行を備えたディスプレイモジュールは、27個の電極を含むことができる。27個の電極は、各電極が40行幅であるように等間隔に配置することができる。別の例として、各電極は4行幅とすることができる。特定の実施形態では、コントローラ102は、第1電極(例えば、
図2の行201a-dの下の電極)上で
積分シーケンス(例えば、「+-+-+-+-」
積分シーケンスに関連付けられる8
積分)を順次的に実行する。
積分は、HSYNC信号(例えば、
図4のHSYNC信号402)に同期することができる。第1電極上の
積分が完了した後、コントローラ102は、第2電極(例えば、
図2の行201e-hの下のタッチ電極)上で同じ
積分シーケンスを実行することができる。特定の実施形態では、コントローラ102が最後の電極上で
積分シーケンスを実行するまでこのパターンが繰り返される。
【0040】
この標準的な位相シフトの間、非ブランキング時間、すなわちディスプレイがピクセルを更新しない時間が利用可能であるので、HSYNC遅延法により、
図2のドット反転パターン200及び
図3のダブルドット反転パターン300などの特定のピクセル層パターン上のディスプレイフリッカーを起こす可能性がある、様々なディスプレイ背景下のディスプレイ測定ノイズを低減することができる。ブランキング時間のタイプは、ディスプレイフレームの終了と次のディスプレイフレームの開始の間に起こる可能性がある垂直ブランク期間、及びソースデータがピクセルに書き込まれない時のディスプレイ行の終了と次のディスプレイ行の開始の間に起こる可能性がある水平ブランク期間を含む。特定のADCサンプル間の
積分シーケンスを変えることによって、ディスプレイソースデータとコントローラ102の駆動信号との間のクロストークの位相を反転することができる。特定の実施形態では、「+--+」によって表すことができる、正
積分(+)、負
積分(-)、負
積分(-)、正
積分(+)などのこのシーケンスは、タッチ測定を劣化することなくフリッカーを低減又は排除することができる。この「+-+」
積分シーケンスは、最適レポートレートを達成できるように、100パーセントの効率である全ての利用可能なHSYNC期間を利用する。
【0041】
HSYNC期間1及び2を含む第1サンプル測定(例えば、
図4のADCサンプル1)は、第1タイプのノイズ(例えば
図2のノイズ210)に対する正
積分(+)及び第2タイプのノイズ(例えば
図2のノイズ212)に対する負
積分(-)を結果として生じる。従って、ディスプレイノイズを相殺又は大幅に低減するために追加のサンプル測定が必要とすることができる。HSYNC期間1の間の第1の正
積分及びHSYNC期間2の間の第1の負
積分を実行した後で、コントローラ102は、HSYNC期間2の間に充電信号410をトグルして、充電信号410の第2立ち上がりエッジを生じる。特定の実施形態では、ADCサンプル1とADCサンプル2との間の充電信号410のトグルにより、ディスプレイソースデータと充電信号410との間のクロストークの位相を反転して、フリッカーを低減することができる。
【0042】
充電信号410のトグルにより、信号410の極性が反転される。特定の事例では、充電信号410は、高(例えば、正)信号から低(例えば、負)信号にトグルされる。同様に、特定の事例では、充電信号410は、低信号から高信号にトグルされる。特定の実施形態では、充電信号410は、トグルされ(すなわち、反転され)、これによって次の積分測定の電極を現在の積分と同じ極性で充電することができる(例えば、HSYNC2の間は第1の負積分)。充電信号410のトグルは、電荷の積分がうまく完了した後(例えば、HSYNC期間2の間の第1の負積分)及び次のHSYNC期間が開始する前(例えば、HSYNC期間3)に起こることができる。
【0043】
ADCサンプル2を取得するために、コントローラ102は、タッチセンサ101の電極上の第2の負の分極電荷を誘導し、HSYNC期間3の間の電極に関連付けられる充電信号410の第2の負エッジを検知することによって第2の負
積分(-)を実行する。同様に、コントローラ102は、タッチセンサ101の電極上に正の分極電荷を誘導し、HSYNC期間4の間の電極に関連付けられる充電信号410の第3立ち上がりエッジを検知することによって第2の正
積分(+)を実行する。HSYNC期間3及び4を含む第2サンプル測定(例えば、
図4のADCサンプル2)は、第1タイプのノイズに対する正
積分(+)及び第2タイプのノイズに対する負
積分を結果として生じる。ADCサンプル1及び2を組み合わせることで、第1タイプのノイズに対する正
積分(+)及び負
積分(-)と、第2タイプのノイズに対する負
積分(-)及び正
積分(+)とを結果として生じ、特定の実施形態では、4つのHSYNC期間内のフリッカー及びディスプレイノイズを相殺又は大幅に低減することができる。
【0044】
図5及び6は、「+--+」シーケンスがドット反転ピクセルパターン及びダブルドット反転ピクセルパターンそれぞれにおけるディスプレイノイズをどのように低減又は排除することができるか、同時にディスプレイフリッカーを低減することができるかを示している。
図5は、本開示の実施形態によるドット反転パターン(例えば、
図2のドット反転パターン200)上にマップされた例示的な
積分シーケンスを示している。
図5の12個の列は、12個の連続HSYNC期間(HSYNC期間1、HSYNC期間2、HSYNC期間3など)を表す。各HSYNC期間は、タッチセンサ101の1又は2以上のピクセル行(例えば、
図2の1又は2以上のピクセル行201)の下にある電極と関連付けられる。ピクセル行201は、ノイズの2つのタイプ(例えば、
図2のノイズ210及びノイズ212)に関連付けられる。
【0045】
図5に図示した実施形態では、HSYNC期間1、3、5、及び7は、第1タイプのノイズ(例えば、
図2の第1タイプのノイズ210)に関連付けられ、HSYNC期間2、4、6、及び8は、第2タイプのノイズ(例えば、
図2の第2タイプのノイズ212)に関連付けられる。HSYNC期間1、4、及び7は各々、立ち上がりxパルスエッジ(+)に関連付けられ、HSYNC期間3、5、及び8は各々、立ち下がりxパルスエッジ(-)に関連付けられ、HSYNC期間2及び6は各々、充電信号がHSYNC期間2及び6の間にトグルされるので、立ち上がり及び立ち下がりxパルスエッジの両方に関連付けられる(「-+」がHSYNC期間2及び「+-」がHSYNC期間6)。HSYNC期間1から4は、「+--+」
積分シーケンスに従い、HSYNC期間5から8は、「-++-」
積分シーケンスに従うので、HSYNC期間1、4、6及び7は正
積分(+)を表し、HSYNC期間2、3、5、及び8は負
積分(-)を表す。これらの
積分シーケンスの各々は、以下に説明するように、2つのタイプのディスプレイノイズを相殺又は大幅に低減することができる。
【0046】
第1タイプのノイズに関連付けられるHSYNC期間1及び3は、正積分(+)及び負積分(-)をそれぞれ表し、これによって第1タイプのノイズを相殺又は大幅に低減する(すなわち、合計+/-=0)。第2タイプのノイズに関連付けられるHSYNC期間2及び4は、負積分(-)及び正積分(+)を表し、これによって第2タイプのノイズを相殺又は大幅に低減する(すなわち、合計-/+=0)。従って、「+--+」積分シーケンスを用いて、4つのHSYNC期間及び2つの関連のADCサンプル(HSYNC期間1及び2に関連付けられるADCサンプル1及びHSYNC期間3及び4に関連付けられるADCサンプル2)内のドット反転パターンを備えたディスプレイのノイズを相殺又は大幅に低減することができる。
【0047】
図5に図示した実施形態では、第1タイプのノイズに関連付けられるHSYNC期間5及び7は、負
積分(-)及び正
積分(+)をそれぞれ表し、これによって第1タイプのノイズを相殺又は大幅に低減する(すなわち、合計-/+=0)。第2タイプのノイズに関連付けられるHSYNC期間6及び8は、正
積分(+)及び負
積分(-)を表し、これによって第2タイプのノイズを相殺又は大幅に低減する(すなわち、合計+/-=0)。従って、「-++-」
積分シーケンスを用いて、ADCサンプル3及び4(HSYNC期間5及び6に関連付けられるADCサンプル3及びHSYNC期間7及び8に関連付けられるADCサンプル4)内のドット反転パターンを備えたディスプレイにおけるノイズを相殺又は大幅に低減することができる。
【0048】
図6は、本開示の実施形態によるダブルドット反転パターン(例えば、
図3のドット反転パターン300)にマップされた例示的な
積分シーケンスを示している。
図5と同様に、
図6の8つの列は、8つの連続したHSYNC期間(HSYNC期間1、HSYNC期間2、HSYNC期間3、等々)を表す。しかしながら、
図6のHSYNC期間は、ノイズの4つのタイプに関連付けられる。
【0049】
図6に図示した実施形態では、HSYNC期間1及び5は、第1タイプのノイズ(例えば、
図3の第1タイプのノイズ320)に関連付けられ、HSYNC期間2及び6は、第2タイプのノイズ(例えば、
図3の第2タイプのノイズ322)に関連付けられ、HSYNC期間3及び7は、第3タイプのノイズ(例えば、
図3の第3タイプのノイズ324)に関連付けられ、HSYNC期間4及び8は、第4タイプのノイズ(例えば、
図3の第4タイプのノイズ326)に関連付けられる。HSYNC期間1、4、及び7は各々、立ち上がりxパルスエッジ(+)に関連付けられ、HSYNC期間3、5、及び8は各々、立ち下がりxパルスエッジ(-)に関連付けられ、HSYNC期間2及び6は各々、充電信号がHSYNC期間2及び6の間にトグルされるので、立ち上がり及び立ち下がりxパルスエッジの両方に関連付けられる(「-+」がHSYNC期間2及び「+-」がHSYNC期間6)。HSYNC期間1、4、6、及び7は、正
積分(+)を表し、HSYNC期間2、3、5、及び8は、負
積分(-)を表す。この「+--+-++-」
積分シーケンスは、以下に説明するように、4つのタイプのディスプレイノイズを相殺又は大幅に低減することができる。
【0050】
図6に示すように、第1タイプのノイズに関連付けられるHSYNC期間1及び5は、正
積分(+)及び負
積分(-)をそれぞれ表し、これによって第1タイプのノイズを相殺(すなわち、合計+/-=0)する。第2タイプのノイズに関連付けられるHSYNC期間2及び6は、負
積分(-)及び正
積分(+)を表し、これによって第2タイプのノイズを相殺(すなわち、合計-/+=0)する。第3タイプのノイズに関連付けられるHSYNC期間3及び7は、負
積分(-)及び正
積分(+)を表し、これによって第3タイプのノイズを相殺(すなわち、合計-/+=0)する。第4タイプのノイズに関連付けられるHSYNC期間4及び8は、正
積分(+)及び負
積分(-)を表し、これによって第4タイプのノイズを相殺(すなわち、合計+/-/0=0)する。従って、「+--+-++-」
積分シーケンスを用いて、8つのHSYNC期間及び4つのADCサンプル(HSYNC期間1及び2に関連付けられるADCサンプル1、HSYNC期間3及び4に関連付けられるADCサンプル2、HSYNC期間5及び6に関連付けられるADCサンプル3、及びHSYNC期間7及び8に関連付けられるADCサンプル4)内のダブルドット反転パターンを有するディスプレイのノイズを相殺することができる。
【0051】
図7は、本開示の実施形態による
積分シーケンスを実行する例示的な方法700を示している。方法700による
積分の実行により、特定の実施形態では、タッチセンサデバイスのピクセル層のドット反転パターンに関連付けられるフリッカー及びノイズを低減又は排除することができる。方法700は、タッチセンサコントローラ(例えば
図1Aのコントローラ102)の論理回路(例えば、ハードウェア又はソフトウェア)によって実行することができる。例えば、方法700は、タッチセンサコントローラのコンピュータ可読媒体に格納された命令を(タッチセンサコントローラの1又は2以上のプロセッサによって)実行することによって実施することができる。
【0052】
方法700は「+--+」
積分シーケンスを表す。本方法は、ステップ705から開始する。ステップ710において、第1の正
積分(+)が、第1同期期間(例えば、
図4のHSYNC期間1)の間のデバイスのタッチセンサの電極に関連付けられる充電信号の第1立ち上がりエッジを検知することによって実行される。方法700は、ステップ720に移り、第2同期期間(例えば、
図4のHSYNC期間2)の間のタッチセンサの電極に関連付けられる充電信号の第1立ち下がりエッジを検知することによって、第1の負
積分(-)が実行される。第1の正
積分(+)及び第1の負
積分(-)は、第1サンプル測定(例えば、
図4のADCサンプル1)に関連付けられる。ステップ730において、充電信号がトグルされ、第2同期期間(例えば、
図4のHSYNC期間2)の間の充電信号の第2立ち上がりエッジを生じる。特定の実施形態では、電極は、複数の電極(例えば、40電極)を含む。例えば、40個の隣接ピクセル行の下にある40個の電極を電気的及び/又は物理的に結合して電極を形成することができる。
【0053】
方法700のステップ740において、第3同期期間(例えば、
図4のHSYNC期間3)の間のタッチセンサの電極に関連付けられる充電信号の第2立ち下がりエッジを検知することによって、第2の負
積分(-)が実行される。方法700はステップ750に移り、第4同期期間(例えば、
図4のHSYNC期間4)の間のタッチセンサの電極に関連付けられる充電信号の第3立ち上がりエッジを検知することによって、第2の正
積分(+)が実行される。第2の負
積分(-)及び第2の正
積分(+)は、第2サンプル測定(例えば、
図4のADCサンプル2)に関連付けられる。
【0054】
ステップ760において、方法700は、方法700の第1及び第3同期期間が第1タイプのノイズ(例えば、
図2のドット反転パターン200によって生成されるノイズ210)に関連付けられるかどうか、及び方法700の第2及び第4同期期間が第2タイプのノイズ(例えば、
図2のドット反転パターン200によって生成されるノイズ212)に関連付けられるかどうかを決定する。ステップ760における決定が肯定である場合、方法700はステップ770に移り、第1及び第2サンプル測定(例えば、ADCサンプル1及びADCサンプル2)が合計され、4同期期間内の第1タイプのノイズ及び第2タイプのノイズを相殺し、タッチセンサ101のタッチ検知エリア内でタッチが起こったかどうかに関する決定が行われる。ステップ760での決定が否定である場合、方法700はステップ775に移り、ここで方法700は終了する。
【0055】
方法700は、
図7に示したステップより多いか又は少ないステップを含むことができる。例えば、方法700のステップ760は、例えばノイズの性質が既に設定されている場合に除外することができる。このような状況下では、方法700のステップ750は、ステップ770に直接進むことができる。別の例として、方法700がノイズの2つのタイプ(例えば、ドット反転ピクセルパターンによって生成された2つのタイプのノイズ)に関係する「+--+」
積分シーケンスを示す場合、別の実施形態において、方法700を修正して、ノイズの4つのタイプ(例えば、
図3のダブルドット反転ピクセルパターン300によって生成されたノイズ320、322、324、及び326)に関する「+--+-++-」
積分シーケンスを示すことができることは、当業者であれば理解されるであろう。
【0056】
特定の実施形態では、方法700は、2又は3以上の電極上で積分シーケンス(例えば、「+--+」積分シーケンス又は「+--+-++-」積分シーケンス)を実行する。一例として、方法700は、第1電極上で「+--+」積分シーケンスを実行することができる。「+--+」積分シーケンスの4つの積分が第2電極で完了した後、方法700は、第2電極上で「+--+」積分シーケンスを実行することができる。同様に、「+--+」積分シーケンスの4つの積分が第2電極上で完了した後に、方法700がタッチセンサの全ての電極で「+--+」積分シーケンスを実行するまで、方法700は第3電極上で「+--+」積分シーケンスを実行することができる、等々。
【0057】
本開示は特定の順序で起こる
図7の方法の特定のステップを説明し例証しているが、本開示は、何れかの順序で起こる
図7の方法のあらゆるステップを企図している。1実施形態では、
図7の方法の1又は2以上のステップを繰り返すか又は省略することができる。特定の実施形態では、動作を実行する特定の構成要素(例えば、タッチセンサコントローラ102)は、別の構成要素に動作を実行させる構成要素を包含する。更に、本開示は、
図7の方法の特定のステップを含む
積分シーケンスを実行する例示的な方法を説明し例証しているが、本開示は、
図7の方法のステップの全部、一部を含むか又はどれも含まなくてよい何れのステップも含む
積分シーケンスを実行する何れの方法を企図している。更に、本開示は、
図7の方法の特定のステップを実行する特定の構成要素を説明及び例証するが、本開示は、
図7の方法の何れのステップも実行する何れの構成要素の何れの組み合わせを企図している。
【0058】
本明細書におけるコンピュータ可読非一時的ストレージ媒体又は複数の媒体は、1又は2以上の半導体ベースの又は他のIC(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又はASIC)、ハードディスクドライブ(HDD)、ハイブリッドハードドライブ(HHD)、光学ディスク、光学ディスクドライブ(ODD)、磁気-光学ディスク、磁気-光学ドライブ、フロッピーディスケット、フロッピーディスクドライブ(FDD)、磁気テープ、固体ドライブ(SSD)、RAMドライブ、セキュアデジタルカード又はドライブ、他の何れかの適切なコンピュータ可読非一時的ストレージ媒体、又はこれらの2又は3以上の何れかの適切な組み合わせを含むことができる。コンピュータ可読非一時的ストレージ媒体は、揮発性、不揮発性、又は揮発性及び不揮発性の組み合わせとすることができる。
【0059】
本明細書における「or(又は)」は、他に明確に指示しない限り又は文脈によって他に指示しない限り包括的であり排他的ではない。従って本明細書における「A又はB」は、他に明確に指示しない限り又は文脈によって他に指示しない限り「A、B、又は両方」を意味する。「and(及び)」は、他に明確に指示しない限り又は文脈によって他に指示しない限り結合及び幾つかの両方である。従って、本明細書における「A及びB」は、他に明確に指示しない限り又は文脈によって他に指示しない限り、「A及びB、共に又は別々に」を意味する。
【0060】
本開示は、当該技術分野における普通の技術を有する人が理解する本明細書の例示的な実施形態への無数の変更、置換、変種、改変及び修正を包含する。同様に、添付の請求項も、当該技術分野における普通の技術を有する人が理解する本明細書の例示的な実施形態への全ての変更、置換、変種、改変及び修正を包含する。特定の機能を実行するよう適応され、配置され、実行でき、実行するよう構成され、実行するよう対応し、実行するよう動作可能であり、又は実行するよう作用する添付の請求項における装置又はシステム又は装置又はシステムの構成要素の引用は、この装置、システム、又は構成要素が、適応される、配置される、能力がある、構成される、対応する、動作可能である、又は作用している限り、この特定の機能が起動、ターンオン、又はアンロックされているかどうかに関わらず、この装置、システム、構成要素を包含する。
【符号の説明】
【0061】
ADC SAMPLE 1 ADCサンプル1
ADC SAMPLE 2 ADCサンプル2
ADC SAMPLE 3 ADCサンプル3
ADC SAMPLE 4 ADCサンプル4
HSYNC DELAY HSYNC遅延
402 同期信号
404 赤書き込み信号
406 緑書き込み信号
408 青書き込み信号
410 充電信号