(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】粉末状固体組成物、その製造方法、製剤およびそれらの使用
(51)【国際特許分類】
A61K 36/752 20060101AFI20221207BHJP
A61K 31/353 20060101ALI20221207BHJP
A61K 31/7048 20060101ALI20221207BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20221207BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20221207BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20221207BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20221207BHJP
A61K 47/14 20060101ALI20221207BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20221207BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20221207BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20221207BHJP
A61K 8/55 20060101ALI20221207BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20221207BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20221207BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20221207BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20221207BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20221207BHJP
A61K 131/00 20060101ALN20221207BHJP
【FI】
A61K36/752
A61K31/353
A61K31/7048
A61K9/14
A61K47/24
A61K47/26
A61K47/44
A61K47/14
A61K47/34
A61K47/10
A61K8/9789
A61K8/55
A61K8/02
A23L33/105
A61P3/04
A61P3/06
A61P3/10
A61K131:00
(21)【出願番号】P 2019530382
(86)(22)【出願日】2017-11-29
(86)【国際出願番号】 EP2017080866
(87)【国際公開番号】W WO2018104131
(87)【国際公開日】2018-06-14
【審査請求日】2020-11-06
(32)【優先日】2016-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591092198
【氏名又は名称】インデナ エッセ ピ ア
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ロンキ、 マッシモ
(72)【発明者】
【氏名】モンベッリ、 ジャコモ
【審査官】吉川 阿佳里
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0223271(US,A1)
【文献】特開昭63-198693(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1772011(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105982926(CN,A)
【文献】欧州特許出願公開第02719287(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02149377(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61P 1/00-43/00
A61K 9/00-9/72
A61K 47/00-47/69
A23L 33/00-33/29
A61K 8/00-8/99
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む粉末状固体組成物を調製するための製造方法:
a)ベルガモット果実の水性アルコール抽出物を少なくとも1種の極性有機溶媒中に分散させ、そして、溶液または分散液が得られるまで混合し続ける;加熱を任意に適用する;該抽出物は、フラボノイドネオエリオシトリン、ナリンギンおよびネオヘスペリジンを含有する;
b)次いで、少なくとも1種のリン脂質を、ベルガモット果実抽出物の溶液/分散液に添加し、その混合物を混合し続ける;少なくとも1種のリン脂質と、該抽出物のフラボノイドとの間の重量比は、6~30の範囲である;加熱を任意に適用する;
c)次いで、該有機溶媒を除去して、粉末状固体組成物を得る。
【請求項2】
前記重量比が、6~20、好ましくは6~12の範囲である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記少なくとも1種のリン脂質が、ダイズ、ヒマワリまたは卵からのレシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミンからなる群から選択され、同一または異なるアシル基は、大部分が、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、またはそれらの組み合わせに由来する、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記少なくとも1種のリン脂質が、レシチンである、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
レシチン以外の、12以上のHLB値を有する追加の界面活性剤をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記追加の界面活性剤が、スクロースエステル、ポリソルベート、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンステアレート、D-α-トコフェリルポリエチレングリコールサクシネート、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記追加の界面活性剤が、スクロースエステルおよびD-α-トコフェリルポリエチレングリコールサクシネートから選択される、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記極性有機溶媒が、極性プロトン性溶媒または極性非プロトン性溶媒である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
前記極性プロトン性溶媒が、直鎖または分岐鎖のC
1~C
8アルキルアルコールである、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記極性非プロトン性溶媒が、直鎖または分岐鎖のC
1~C
8アルキルエステルまたはC
1~C
8ジアルキルケトンから選択される、請求項8に記載の製造方法。
【請求項11】
前記極性有機溶媒が、エチルアルコール、酢酸エチル、アセトン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項12】
前記有機溶媒が、エチルアルコールおよび酢酸エチルから選択される、請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の製造方法により得られる粉末状固体組成物。
【請求項14】
請求項13に記載の粉末状固体組成物と、少なくとも1種の生理学的に許容される賦形剤および/または担体とを含む医薬製剤、栄養補助製剤ならびに化粧用製剤。
【請求項15】
メタボリックシンドローム、脂質異常症および2型糖尿病の予防および/または治療に使用するための、請求項13に記載の粉末状固体組成物または請求項14に記載の製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野
本発明は、ベルガモット抽出物およびリン脂質を含む粉末状固体組成物に関する。
【0002】
本発明は、また、粉末固体の形態での前記組成物の製造方法に関する。さらに、本発明は、前記組成物を含む医薬製剤、栄養補助製剤および化粧用製剤、ならびに前記組成物および製剤の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
本発明の背景
フラボノイドは、果物や野菜に天然に存在するポリフェノール系化合物の重要なファミリーである。
【0004】
メタボリックシンドロームの予防および改善、ならびに心血管疾患、高脂血症および2型糖尿病のような関連する病状の治療における、フラボノイドの好ましい効果は、いくつかの研究(Galleano M.ら、「Flavonoids and metabolic syndrome」、Ann.NY Acad.Sci.(2012)、1259:87-94)によって確認されている。
【0005】
柑橘類は、フラボノイドの重要な供給源である。柑橘類の最も重要なフラボノイドには、ジオスメチン、ジオスミン、ヘスペリジン、ナリンギン、ネオヘスペリジン、ノビレチン、ケルセチン、ルチンおよびフラボンタンゲレチンが含まれる。代謝異常症候群の治療、脂質異常症の正常化、および2型糖尿病の管理における、柑橘類フラボノイドの潜在的な有益な効果は、十分に文書化されている(Ashraful Alam M.ら、「Effect of Citrus Flavonoids, Naringin and Naringenin on Metabolic Syndrome and Their Mechanisms of Action」、 Adv. Nutr. (2014)、vol.5:404-417;Assiniら、「Citrus flavonoids in lipid metabolism」、Curr. Opin. Lipidol. (2013)、vol.24(1): 34-40; Un Ju Jungら、「Effect of citrus flavonoids on lipid metabolism and glucose-regulating enzyme mRNA levels in type-2 diabetic mice」、Int. J. Biochem. Cell. Biol. (2006)、vol.38(7)、1134-145)。
【0006】
柑橘類の中で、ベルガモットは、他のどの柑橘類においても見つけることができない、ナリンギン、ネオヘスペリジン、ブルテリジン(brutelidin)およびメリチジン(melitidin)等の特定のフラバノン-7-O-グリコシドの重要な供給源であり、臨床試験で潜在的な健康上の利益があることが証明されている(Mollace V.ら、「Hypolipemic and hypoglycaemic activity of bergamot polyphenols: From animal models to human studies」、Fitoterapia (2011)、3: 309-316)。
【0007】
最近、Lombardoら(US 8,741,362 B2)によって、コレステロール、血糖の減少およびメタボリックシンドロームの治療に有効であることが証明されている特定のポリフェノール組成物を用いて、ベルガモット果実の水性アルコール抽出物が開発された。
【0008】
他のすべてのフラボノイドに関しては、ベルガモット果実抽出物のフラバノン-7-O-グリコシドは、経口バイオアベイラビリティーが乏しいという特徴がある。その結果、著しい健康上の利益を得るためには、高経口用量のベルガモット果実抽出物が必要とされる。
【0009】
従って、改善された経口バイオアベイラビリティーを有する代替のベルガモット果実抽出物誘導体を見出す必要性が依然としてある。
【0010】
本発明の概要
本発明は、以下の工程を含む粉末状固体組成物の製造方法に関する:
a)ベルガモット果実の水性アルコール抽出物を少なくとも1種の有機溶媒中に分散させ、溶液または分散液が得られるまで混合し続ける;加熱を任意に適用する;
b)次いで、少なくとも1種のリン脂質を、前記抽出物の溶液または分散液に添加し、その混合物を混合し続ける;加熱を任意に適用する;
c)次いで、前記有機溶媒を除去して、粉末組成物を得る。
【0011】
本発明は、また、本発明の方法によって得られる少なくとも1種のリン脂質とベルガモット果実(ダイダイ変種ベルガミア(Citrus aurantium var. bergamia))の水性アルコール抽出物とを含む粉末状固体組成物に関し、さらに、本発明は、また、前記組成物を含む、医薬製剤、栄養補助製剤および化粧用製剤に関する。
【0012】
本発明に係る粉末組成物および前記組成物を含有する製剤は、メタボリックシンドローム、脂質異常症および2型糖尿病の予防および/または治療に有用である。
【0013】
発明の詳細な説明
本発明は、本発明の方法によって得られる少なくとも1種のリン脂質とベルガモット果実(ダイダイ変種ベルガミア)の水性アルコール抽出物とを含む粉末状固体組成物に関する。
【0014】
ベルガモット果実の水性アルコール抽出物は、3種の主要なフラバノン-7-O-グリコシド、即ち、前記抽出物の生物学的活性の主要な原因である、ネオエリオシトリン、ナリンギンおよびネオヘスペリジンの存在によって特徴付けられる。
【0015】
驚くべきことに、本発明に係る組成物は、ベルガモット果実抽出物の活性成分(フラボノイド)、特に、フラバノン-7-O-グリコシド、特にナリンギン及びネオヘスペリジンの改善された経口バイオアベイラビリティーによって特徴付けられることが発見され、それらは、ラットでの薬物動態研究の血漿サンプルにおいて、分析された。
【0016】
リン脂質は、大豆、ヒマワリまたは卵からのレシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミンを含む群から選択することができ、ここで同一または異なるアシル基は、大部分が、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、またはそれらの組み合わせに由来する。好ましくは、リン脂質はレシチンである。
【0017】
少なくとも1種のリン脂質対ベルガモット果実抽出物フラバノン-7-O-グリコシド(ネオエリオシトリン、ナリンギンおよびネオヘスペリジン)の重量比は、6~30、好ましくは6~20、より好ましくは6~12の範囲内である。
【0018】
この比率のおかげで、ベルガモット果実抽出物の活性成分(フラボノイド)の改善された経口バイオアベイラビリティーが達成される。
【0019】
粉末状固体組成物は、また、レシチン以外の、12以上のHLB値を有する、追加の界面活性剤を含んでいても良い。この追加の界面活性剤は、製造工程中のベルガモット果実抽出物の有機溶媒における可溶化を高め、抽出物とリン脂質との相互作用を最大にする。さらに、追加の界面活性剤は、腸液中の粉末状固体分散体の濡れ性および速い分散性を高め、そしてより速くより高い吸収を促進し、それ故に、ベルガモット果実抽出物の活性成分のより高いバイオアベイラビリティーを促進する。
【0020】
追加の界面活性剤は、スクロースエステル、ポリソルベート、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンステアレート、D-α-トコフェリルポリエチレングリコールサクシネート、またはそれらの組み合わせを含む群から選択することができる。スクロースエステルおよびD-α-トコフェリルポリエチレングリコールサクシネートが好ましいものである。
【0021】
その物理的および技術的特性を改善する目的で、追加の成分をまた、粉末状固体分散体に添加して、錠剤およびカプセル剤などの従来の剤形へのより容易な組み込みを可能にすることもできる。
【0022】
これらの追加の成分としては、例えば、セルロース粉末、微結晶セルロース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、マンニトール、マルトデキストリン、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、イソマルト、イヌリンなどの可溶性および不溶性充填剤;メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、天然ゴムなどの結合剤; 二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムなどの滑剤および潤滑油を挙げることができる。
【0023】
本発明は、また、水性アルコール性ベルガモット果実抽出物および少なくとも1種のリン脂質を含む粉末状固体組成物の調製のための製造方法に関する。
【0024】
本発明に係る粉末状固体組成物を調製するための製造方法は、以下の工程を含む:
a)ベルガモット果実の水性アルコール抽出物を、少なくとも1種の適切な有機溶媒に分散させ、溶液または分散液が得られるまで混合し続ける;必要に応じて、加熱を任意に適用する;
b)次いで、少なくとも1種のリン脂質を、ベルガモット果実抽出物の溶液/分散液に添加し、その混合物を混合し続ける;加熱を任意に適用する;
c)次いで、前記有機溶媒を除去し、粉末固体の形態での組成物を得る。
【0025】
適切な有機溶媒は、極性プロトン性溶媒または極性非プロトン性溶媒などの、抽出物の全体的または少なくとも実質的な可溶化をもたらす極性有機溶媒である。
【0026】
好ましくは、極性プロトン性溶媒は、直鎖または分岐鎖のC1-C8アルキルアルコールであり、極性非プロトン性溶媒は、直鎖または分岐鎖のC1-C8アルキルエステルまたはC1-C8ジアルキルケトンである。
【0027】
選択された有機溶媒中のリン脂質の全体的なまたはイベント(event)部分的な可溶化もまた望ましい。
【0028】
有機溶媒は、エチルアルコール、酢酸エチル、アセトン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、およびそれらの組み合わせを含む群から選択することができる。エチルアルコールおよび酢酸エチルが好ましい。
【0029】
活性成分のいかなる分解も引き起こさずに可溶化を促進するために、加熱を任意に適用する。
【0030】
工程b)の後、追加の界面活性剤および/または追加の成分を、得られた溶液(または分散液)に添加してもよく、異なる成分の相互作用を促進するために、適切な時間、これを混合し続ける。
【0031】
溶媒は真空下で除去することができる。噴霧乾燥および凍結乾燥などの代替の乾燥方法もまた、有機溶媒を除去するために使用することができる。
【0032】
次いで、得られた粉末組成物は、通常、キャリブレーションされ、そして最終的に粉砕されて、所望の粒径分布が得られる。
【0033】
本発明は、また、本発明の組成物と少なくとも1種の生理学的に許容される賦形剤および/または担体とを含む、医薬製剤、栄養補助製剤および化粧用製剤に関する。
【0034】
好ましくは、製剤は、経口投与用または局所投与用である。
【0035】
生理学的に許容される賦形剤および/または担体は、例えば、崩壊剤、潤滑油、結合剤、コーティング剤、着色剤、吸収促進剤、可溶化剤、安定剤、香料、甘味剤、消毒剤、防腐剤、酸化防止剤などを挙げることができる。
【0036】
本発明の製剤の剤形の例は、例えば、錠剤、チュアブル錠、硬ゼラチンカプセル剤、再構成用粉末剤、即席(extemporary)または即使用可能懸濁液剤を挙げることができる。
【0037】
本発明の粉末状固体組成物およびその製剤は、代謝異常症候群、脂質異常症および2型糖尿病の予防および/または治療のために、単独でまたは他の植物抽出物と組み合わせて使用することができる。
【0038】
ベルガモット果実の水性アルコール抽出物の有効成分(フラボノイド)のバイオアベイラビリティーの改善は、ベルガモット果実抽出物の薬理学的性能の改善および1日の投与量の大幅な削減を可能にする。
【0039】
粉末状固形組成物を、水性アルコール性ベルガモット果実抽出物と比較して、ラットにおけるインビボ薬物動態研究において試験を行った。その例に報告されている研究の結果は、本発明の組成物として投与されたときのベルガモット果実抽出物の活性成分のバイオアベイラビリティーの増加を明らかに示している。
【0040】
志願者に関する予備的な臨床試験もまた行われ、水性アルコール性ベルガモット果実抽出物と比較した本発明の組成物のコレステロール低下効果を評価した。
【0041】
以下の例は、本発明をさらに説明する。
【0042】
例
例1-ベルガモット果実の水性アルコール抽出物のレシチン系(lecithin based)粉末状固体組成物の調製。
【0043】
350gのベルガモット果実の水性アルコール抽出物、420gのヒマワリレシチンおよび70gのマルトデキストリンを、反応器中で8500mLのエチルアルコール中に懸濁させる。懸濁液を混合しながら70℃で2時間加熱する。
【0044】
次いで、柔らかい塊が得られるまで、溶媒を、真空(約200mBar)下、70℃で除去する。
【0045】
乾燥塊(dry mass)が得られるまで、乾燥を、オーブン中で、真空下、50℃で約12時間完了する。
【0046】
乾燥塊を、2mmのふるいを通してキャリブレーションし、そして2%の二酸化ケイ素と混合して、自由流動性粉末を得る。
【0047】
例2-追加の界面活性剤を含有するベルガモット果実の水性アルコール抽出物のレシチン系粉末状固形組成物の調製。
【0048】
500gのベルガモット果実の水性アルコール抽出物、700gのヒマワリレシチンおよび50gのスクロースモノパルミテートを、反応器中で約10Ltの酢酸エチル中に可溶化する。
【0049】
得られた溶液に、微結晶セルロース100gを加え、懸濁液を混合しながら70℃で2時間加熱する。
【0050】
次いで、柔らかい塊が得られるまで、溶媒を、真空(約200mBar)下、70℃で除去する。
【0051】
乾燥塊が得られるまで、乾燥を、オーブン中で、真空下、50℃で約12時間完了する。
【0052】
乾燥塊を、2mmのふるいを通してキャリブレーションし、そして2%の二酸化ケイ素および1%のタルクと混合して、自由流動性粉末を得る。
【0053】
例3-ラットの薬物動態学的研究
ナリンギンおよびネオヘスペリジンの血漿濃度を、例1で得られた組成物の単回投与量の経口投与後のラットにおいて測定し、そしてベルガモット果実の水性アルコール抽出物を投与して得られる血漿濃度と比較した。体重約300gの雄のスプラーグドーリー(Sprague-Dawley)ラットを薬物動態実験に使用した。ベルガモット果実の水性アルコール抽出物の単回投与量500mg/Kg、およびベルガモット果実の水性アルコール抽出物の約200mg/Kgに相当する、例1で得られた組成物の単回投与量500mg/Kgを、胃内強制栄養法により水懸濁液として投与した。投与から1および2時間後に、血液試料を採取した。血漿は、EDTAの存在下、4℃で10分間、2.000rpmで遠心分離することによって血液試料から得た。適切な抽出手順の後、試料をナリンギンおよびネオヘスペリジン濃度について蛍光検出器を備えたHPLCにより分析した。
【0054】
分析結果を以下の表1にまとめる:
【0055】
【0056】
例4-例1で得られた組成物を含有する製剤(錠剤)
例1で得られた組成物 500.0mg
微結晶セルロース 150.0mg
無水リン酸二カルシウム 104.0mg
クロスカルメロースナトリウム 30.0mg
二酸化ケイ素 8.0mg
ステアリン酸マグネシウム 8.0mg
【0057】
例1で得られた組成物1.0Kg、微結晶セルロース(直接圧縮グレード)0.3Kg、無水リン酸二カルシウム(直接圧縮グレード)0.208Kgおよびクロスカルメロースナトリウム0.06Kgを、10分間Vミキサーで混合した。16gの二酸化ケイ素および16gのステアリン酸マグネシウムを粉末混合物に添加し、そしてさらに2分間混合した。得られた混合物を、直径11mmの円形の凹型パンチを備えたシングルパンチ打錠機で圧縮した。
【0058】
例5-例2で得られた組成物を含有する製剤(サイズ0の硬ゼラチンカプセル剤)
例2で得られた組成物 350.0mg
二酸化ケイ素 5.0mg
ステアリン酸マグネシウム 5.0mg
【0059】
例2で得られた組成物2.0Kgを、二酸化ケイ素28.5gおよびステアリン酸マグネシウム28.5gと、2分間Vミキサーで混合した。その混合物を、サイズ0の硬ゼラチンカプセル剤に充填した。
【0060】
例6-臨床試験
本発明の組成物のコレステロール低下効果を評価するために、志願者に関する予備的臨床試験をまた行った。
10人の患者を、500mgの2つの硬ゼラチンカプセル剤、朝に1つ、夕方に1つ(毎日、合計1000mg)で、30日間連続して治療した。この研究の主目的は、30日間の治療前後の、総コレステロール(tChol)、低密度リポタンパク質(LDL)、トリグリセリド(TG)、高密度リポタンパク質(HDL)および血糖の変調を測定することにより、高血糖症に関連するまたは関連しない脂質異常症の患者における心血管リスクの軽減に関する臨床活動の評価でした。安全性もまた評価されました。
【0061】
包含基準は次の通りであった:署名されたインフォームドコンセント;30~90歳;II型糖尿病の診断;空腹時血糖≧110mg/dl;高トリグリセリド血症(>175mg/dl)の有無にかかわらず、単独の高コレステロール血症(低密度リポタンパク質cLDLに結合したコレステロール≧130mg/dl);「臨床診療における心血管疾患予防に関する欧州ガイドライン」(2012年)によって測定された中程度の心血管リスク。全ての併用治療は、試験開始の少なくとも3か月前に開始し、試験の全期間中、一定の治療計画において維持されなければならない。
【0062】
除外基準は次の通りであった:明白な肝疾患、重度の胃腸障害、慢性腎不全、高カルシウム血症、ミオパチー、制御されていない糖尿病、心筋虚血、心不全NYHAクラスIIIおよびIVの存在、アルコール乱用、精神障害および大鬱病の病歴、HIVまたは重篤な感染症または腫瘍、4ヵ月までに安定したスタチン療法、を伴う患者。
【0063】
試験の間、患者は7日ごとに訪問され、そして、コンプライアンスが監視された。起こりうる副作用を監視するために、血清アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ、クレアチンを測定した。
【0064】
1日1000mgで30日間連続して治療すると、大多数の被験者において、総コレステロール、LDL、TG、空腹時血糖が大幅に減少し、HDLが有意に増加した。その結果を表2に報告する。
【0065】
277mg/dl tChol、184mg/dl LDL、および255mg/dl TGの初期平均値が、治療後、それぞれ195、113および164mg/dlに減少した。
【0066】
さらに、空腹時血糖の低下もまた観察された。
【0067】