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特許7189877SOEC/SOFC型固体酸化物を有するスタックの高温における気密な結合のためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】SOEC/SOFC型固体酸化物を有するスタックの高温における気密な結合のためのシステム
(51)【国際特許分類】
   C25B 9/00 20210101AFI20221207BHJP
   C25B 9/67 20210101ALI20221207BHJP
   C25B 13/04 20210101ALI20221207BHJP
   C25B 15/08 20060101ALI20221207BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20221207BHJP
   H01M 8/0656 20160101ALI20221207BHJP
   H01M 8/12 20160101ALI20221207BHJP
【FI】
C25B9/00 A
C25B9/67
C25B13/04 301
C25B15/08 302
H01M8/00 Z
H01M8/0656
H01M8/12 101
H01M8/12 102A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019536057
(86)(22)【出願日】2017-12-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-21
(86)【国際出願番号】 FR2017053849
(87)【国際公開番号】W WO2018122531
(87)【国際公開日】2018-07-05
【審査請求日】2020-12-18
(31)【優先権主張番号】1750009
(32)【優先日】2017-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】プランク ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】オレシク ブルノ
(72)【発明者】
【氏名】ルー ギエム
(72)【発明者】
【氏名】ベルナール シャルロット
(72)【発明者】
【氏名】ジナル フィリップ
【審査官】池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-502021(JP,A)
【文献】特開2010-044992(JP,A)
【文献】特開2011-154821(JP,A)
【文献】特開2013-076036(JP,A)
【文献】特許第4297191(JP,B1)
【文献】国際公開第2007/138984(WO,A1)
【文献】中国実用新案第203836426(CN,U)
【文献】中国実用新案第203653708(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25B 1/00 - 15/08
H01M 8/00 - 8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合体(70)は、
-高温において動作するSOEC/SOFC型固体酸化物を有するスタック(20)と、
-前記スタック(20)を炉(10)と結合するための、前記スタック(20)の高温における気密な結合のための結合システム(30)と、
を含み、
前記結合システム(30)は、
-ガス入口/出口管(12)に取り付けられ、ねじ型コネクタと言われ、その外側表面において少なくとも部分的にねじ型(F1)である中空コネクタ(31)であって、前記ガス入口/出口管(12)との流体連通を確立するための開口部(41)を含む前記ねじ型コネクタ(31)と、
-前記スタック(20)のガス入口/出口管(52)に取り付けられ、平滑コネクタと言われ、少なくとも部分的に平滑である外側表面(L3)を有する、中空コネクタ(33)であって、前記スタック(20)の前記ガス入口/出口管(52)との流体連通を確立するための開口部(43)を含む前記平滑コネクタ(33)と、
-前記ねじ型コネクタ(31)と係合してボルト/ナットシステムを形成でき、かつ前記平滑コネクタ(33)に対して摺動可能なねじ型ナット(32)であって、その内側表面における前記ねじ型コネクタ(31)の前記ねじ(F1)と係合する第1のねじ型部分(S1)と、平滑である前記外側表面(L3)における前記平滑コネクタ(33)と摺動接触する第2の平滑部分(S2)とを含む前記ねじ型ナット(32)と、
を含み、
前記平滑コネクタ(33)および前記ねじ型コネクタ(31)は、互いとの流体連通を確立するための開口部(44、45)をそれぞれが含み、
前記ねじ型コネクタ(31)が、炉の床(11)に取り付けられた支持プレート(40)に溶接され、前記炉(10)の前記ガス入口/出口管(12)が前記支持プレート(40)を通り抜けることを特徴とする、
接合体(70)。
【請求項2】
前記平滑コネクタ(33)が、前記その平滑な外側表面(L3)に対して張り出したリム部(63)を含み、前記ねじ型ナット(32)が、前記その第1のねじ型部分(S1)に対して張り出しかつ前記第2の平滑部分(S2)を含むリム部(62)を含み、前記平滑コネクタ(33)の前記リム部(63)および前記ねじ型ナット(32)の前記リム部(62)が互いと接触し、前記平滑コネクタ(33)に対する前記ねじ型ナット(32)の前記摺動を止めることができることとを特徴とする、
請求項1に記載の接合体。
【請求項3】
前記結合システム(30)は、前記平滑コネクタ(33)の前記リム部(63)と前記ねじ型ナット(32)の前記リム部(62)との間に設置されたガスケット(J2)を含むことを特徴とする、
請求項2に記載の接合体。
【請求項4】
前記平滑コネクタ(33)、前記ねじ型ナット(32)、および前記ねじ型コネクタ(31)がニッケル基超合金から作られ、および/またはオーステナイト系ステンレス鋼から作られることを特徴とする、
請求項1~3のいずれか1項に記載の接合体。
【請求項5】
前記平滑コネクタ(33)が、前記スタック(20)のガス入口/出口管(52)へのその取り付けのための中ぐり(73)を含み、前記ねじ型コネクタ(31)が、ガス入口/出口管(12)へのその取り付けのための中ぐり(71)を含むことを特徴とする、
請求項1~4のいずれか1項に記載の接合体。
【請求項6】
前記結合システム(30)は、前記ねじ型コネクタ(31)と前記平滑コネクタ(33)との間に設置されたガスケット(J1)を含むことを特徴とする、
請求項1~5のいずれか1項に記載の接合体。
【請求項7】
前記ねじ型ナット(32)の呼び直径がM20からM30の範囲であることを特徴とする、
請求項1~6のいずれか1項に記載の接合体。
【請求項8】
前記ねじ型コネクタ(31)が15から30mmの範囲の高さ(H1)を有し、かつ20から30mmの範囲の直径(D1)を有することを特徴とする、
請求項1~7のいずれか1項に記載の接合体。
【請求項9】
前記平滑コネクタ(33)が45から70mmの範囲の高さ(H3)を有し、かつ30mmという最大直径(D3)を有することを特徴とする、
請求項1~8のいずれか1項に記載の接合体。
【請求項10】
前記ねじ型ナット(32)の前記第1のねじ型部分(S1)および/または前記ねじ型コネクタ(31)の前記ねじ筋(F1)が、高温に耐えることが可能なアンチシーズ剤によってコーティングされることを特徴とする、
請求項1~9のいずれか1項に記載の接合体。
【請求項11】
前記ガスの供給および放出のための炉(10)を含み、前記スタック(20)は、前記炉(10)に結合されることを特徴とする、
請求項1~10のいずれか1項に記載の接合体。
【請求項12】
前記ねじ型コネクタ(31)が前記炉(10)のガス入口/出口管(12)に溶接されることを特徴とする、
請求項1~11のいずれか1項に記載の接合体。
【請求項13】
前記平滑コネクタ(33)が、前記スタック(20)のガス入口/出口管(52)に溶接されることを特徴とする、
請求項1~1のいずれか1項に記載の接合体。
【請求項14】
前記平滑コネクタ(33)が、前記スタック(20)の下側終端プレート(25)に溶接され、前記スタック(20)の前記ガス入口/出口管(52)が前記下側終端プレート(25)を通り抜けることを特徴とする、
請求項1~1のいずれか1項に記載の接合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水の高温電解(HTE)の一般的な分野、特に高温水蒸気電解(HTSE)、二酸化炭素(CO)電解、またはさらには二酸化炭素(CO)との水の高温共電解(HTE)に関する。
【0002】
より具体的には、本発明は慣習的に頭文字語SOEC(固体酸化物電解セル)によって表される高温固体酸化物電解槽の分野に関する。
【0003】
それは慣習的に頭文字語SOFC(固体酸化物燃料セル)によって表される高温固体酸化物燃料セルの分野にもまた関する。
【0004】
それゆえに、より一般的に言って、本発明は高温において動作するSOEC/SOFC型の固体酸化物スタックの分野に関する。
【0005】
より具体的には、本発明は、SOEC/SOFC型固体酸化物を有するスタックの高温における気密な結合のためのシステムに関し、そして、SOEC/SOFC型固体酸化物を有するスタックとかかる結合システムによって前記スタックに結合された炉とを含む接合体にも関する。
【背景技術】
【0006】
SOEC型高温固体酸化物電解槽の範囲は、電流を用いることによって同じ電気化学装置内において水蒸気(HO)を二水素(H)および二酸素(O)に変換すること、ならびに/または二酸化炭素(CO)を一酸化炭素(CO)および二酸素(O)に変換することを包摂する。SOFC型高温固体酸化物燃料セルの範囲内では、この動作は逆転させられて、二水素(H)および二酸素(O)、一般的に空気および天然ガス、すなわちメタン(CH)の供給下において電流および熱を生成する。単純の目的のために、以後に提供される記載は水の電解を行うSOEC型高温固体酸化物電解槽の機能を優先する。しかしながら、この機能は二酸化炭素(CO)の電解に、またはさらには二酸化炭素(CO)との水の高温共電解(HTE)に適用可能である。その上、この機能はSOFC型高温固体酸化物燃料セルのケースに移し替え可能である。
【0007】
有利には、水電解は高温において、典型的には600および1,000℃の間において行われる。なぜなら、液体の水よりも水蒸気を電解することが有利であるからであり、反応のために要求されるエネルギーの一部は電気よりも高価でない熱によって供給され得るからである。
【0008】
水の高温電解(HTE)が起こるためには、SOEC型高温固体酸化物電解槽が、互いの上に重ねられたアノード/電解質/カソード3層によって形成された固体酸化物電解セルまたは電気化学セルとバイポーラプレートまたはインターコネクトともまた呼ばれる金属合金インターコネクトプレートとをそれぞれが含む、基本モチーフ同士のスタックによって形成される。各電気化学セルは2つのインターコネクトプレート間に締結される。それゆえに、SOEC型高温固体酸化物電解槽は電気化学セルとインターコネクトとの交互のスタックである。SOFC型高温固体酸化物燃料セルは同じ型の基本モチーフ同士のスタックによって形成される。この高温テクノロジーは可逆的であるので、同じスタックが電解モードで動作し、水および電気から水素および酸素を生成し得、または燃料セルモードでは水素および酸素から電気を生成し得る。
【0009】
各電気化学セルは電解質/電極接合体に対応しており、これは一般的に多層のセラミック接合体であり、その電解質は中心のイオン伝導体層によって形成され、この層は固体、高密度、かつ気密であり、電極を形成する2つの多孔質層間に締結される。追加の層が存在し得、しかしながら、その目的は本明細書において上で記載されている層の1つ以上を改善することのみであるということに注意すべきである。
【0010】
電気および流体インターコネクト装置は電子伝導体であり、これらは、電気的観点からは、基本モチーフのスタック中の各電気化学セルの接続を保証し、1つの面とセルのカソードとの間および別の面と次のセルのアノードとの間の電気的接触を請け負い、流体的な観点からは、セルのそれぞれの生成物を同様に組み合わせる。それゆえに、インターコネクトは、電流を供給および収集する機能を保証し、分配および/または収集のためのガスの循環のためのコンパートメントを画定する。
【0011】
より具体的には、インターコネクトの主な目的は、電流の通りおよび各セルの周囲のガスの循環(すなわち:HTEでは、注入される水蒸気、抜き出される水素および酸素;SOFCでは、注入される水素および抜き出される水を包含する空気および燃料)を保証することと、それぞれセルのアノード側およびカソード側に位置するガス循環コンパートメントである2つの隣接するセルのアノードおよびカソードコンパートメントを分離することとである。
【0012】
特に、SOEC型高温固体酸化物電解槽では、カソードコンパートメントは電気化学反応によって生成する水素および水蒸気を含み、一方で、アノードコンパートメントは、存在する場合にはキャリアガスと電気化学反応の別の生成物の酸素とを含む。SOFC型高温固体酸化物燃料セルでは、アノードコンパートメントは燃料を含み、一方で、カソードコンパートメントは酸化剤を含む。
【0013】
水蒸気の高温電解(HTE)を実現するためには、水蒸気(HO)がカソードコンパートメントに注入される。セルにかけられる電流の作用下において、水蒸気の形態の水分子の解離が水素電極(カソード)と電解質との間の界面において起こる:この解離は二水素ガス(H)および酸素イオン(O2-)を生成する。二水素(H)は収集され、水素コンパートメントの出口において放出される。酸素イオン(O2-)は電解質中を移動し、電解質と酸素電極(アノード)との間の界面において二酸素(O)へと再結合する。空気などのキャリアガスがアノードにおいて循環し得、それゆえにアノードにおいてガス状形態で発生する酸素を収集し得る。
【0014】
固体酸化物燃料セル(SOFC)の動作を保証するためには、空気(酸素)が燃料セルのカソードコンパートメントに注入され、水素がアノードコンパートメントに注入される。空気中の酸素はO2-イオンへと解離するであろう。これらのイオンは電解質中をカソードからアノードに移動して、水素を酸化し、同時に電気を生成しながら水を形成するであろう。SOFCでは、SOEC電解のように、水蒸気は二水素(H)コンパートメントに位置する。極性のみが逆転させられる。
【0015】
例示として、図1はSOEC型高温固体酸化物電解槽の動作原理の図式的な像を示している。かかる電解槽の目的は、電気化学反応:
2HO → 2H + O
に従って水蒸気を水素および酸素に変換することである。
【0016】
この反応は電解槽のセルにおいて電気化学的に起こる。図1に図式的に示されているように、各個々の電解セル1は固体電解質3のどちらかの側に設置されたカソード2およびアノード4によって形成される。2つの電極(カソードおよびアノード)2および4は多孔質材料から作られた電子および/またはイオン伝導体であり、電解質3は気密、電子絶縁体、かつイオン伝導体である。電解質3は特にアニオン伝導体、より詳細にはO2-イオンのアニオン伝導体であり得、それゆえに、電解槽はプロトン電解質(H)と対比してアニオン電解槽と言われる。
【0017】
電気化学反応は電子伝導体のそれぞれとイオン伝導体との間の界面において起こる。
【0018】
カソード2において、半反応は次の通りである:
2HO + 4e → 2H + 2O2-
【0019】
アノード4において、半反応は次の通りである:
2O2- → O + 4e
【0020】
2つの電極2および4の間に挿入された電解質3は、アノード4とカソード2との間に課された電位差によって作り出される電場の影響下におけるO2-イオンの移動の場である。
【0021】
図1の括弧内に示されているように、カソード入口における水蒸気は水素Hによって付随され得、生成し出口において回収される水素は水蒸気によって付随され得る。類似に、点線によって示されているように、空気などのキャリアガスが入口において追加で注入されて、生成した酸素を取り除き得る。キャリアガスの注入は熱レギュレータとして作用する追加の役割を演ずる。
【0022】
個々の電解槽または電解反応器は、カソード2、電解質3、およびアノード4を有する本明細書において上で記載されている基本セルと、電気、流体、および熱分配機能を果たす2つのインターコネクトとからなる。
【0023】
生成する水素および酸素の流量を増大させるためには、いくつかの個々の電解セルを互いの上にスタックし、それらをインターコネクトによって分離することが公知である。接合体は2つの終端インターコネクトプレート間に配置され、これらは電解槽(電解反応器)の電源およびガス源を支持する。
【0024】
それゆえに、SOEC型高温固体酸化物電解槽は、少なくとも1つの、一般的には互いの上にスタックされた複数の電解セルを含み、各基本セルは電解質、カソード、およびアノードによって形成され、電解質はアノードとカソードとの間に挿入される。
【0025】
上で述べられているように、一般的に、1つ以上の電極と電気的接触する流体および電気インターコネクト装置は、電流を供給および収集する機能を果たし、ガスの循環のための1つ以上のコンパートメントを画定する。
【0026】
それゆえに、いわゆるカソードコンパートメントの目的は電流および水蒸気を分配することであり、それと接触するカソードにおいて水素を回収することでもまたある。
【0027】
いわゆるアノードコンパートメントの目的は電流を分配することであり、任意にキャリアガスの使用によって、それと接触するアノードにおいて生成する酸素を回収することでもまたある。
【0028】
図2は従来技術のSOEC型高温固体酸化物電解槽の基本モチーフの分解図像を示している。この電解槽は、インターコネクト5と交互にスタックされた固体酸化物(SOEC)型の複数の個々の電解セルC1、C2を含む。各セルC1、C2はカソード2.1、2.2およびアノード(セルC2のアノード4.2のみが示されている)からなり、これらの間に電解質(セルC2の電解質3.2のみが示されている)が配される。
【0029】
インターコネクト5は金属合金から作られた構成要素であり、これはカソードコンパートメント50とアノードコンパートメント51との間の分離を保証し、それぞれ、インターコネクト5と隣接するカソード2.1との間およびインターコネクト5と隣接するアノード4.2との間に在る体積によって定められる。それはセルへのガスの分配をもまた保証する。各基本モチーフへの水蒸気の注入はカソードコンパートメント50において起こる。カソード2.1、2.2において生成する水素および残る水蒸気の収集は、セルC1、C2の下流において、それによる水蒸気の解離後に、カソードコンパートメント50において起こる。アノード4.2において生成する酸素の収集は、セルC1、C2の下流において、それによる水蒸気の解離後に、アノードコンパートメント51において起こる。インターコネクト5は、隣接する電極との直接的接触によって、セルC1およびC2の間の、すなわちアノード4.2とカソード2.1との間の電流の通りを保証する。
【0030】
高温固体酸化物電解槽(SOEC)の動作条件は固体酸化物燃料セル(SOFC)のものに非常に類似であるので、同じテクノロジー的な制約が当てはまる。
【0031】
それゆえに、高温において動作するSOEC/SOFC型固体酸化物を有するかかるスタックの正しい動作は、主に次の点が満たされることを要求する。
【0032】
先ず、電気絶縁が2つの連続するインターコネクト間に存在しなければならず、これなしでは電気化学セルは短絡するであろう。かつ、良好な電気的接触および十分な接触表面もまたセルとインターコネクトとの間に存在しなければならない。可能な最も低いオーム抵抗がセルとインターコネクトとの間には求められる。
【0033】
その上、気密性がアノードおよびカソードコンパートメントの間において得られなければならない。これなしには生成するガスは再結合し、縮減された収率と何よりもスタックを損傷するホットスポットの出現とをもたらすであろう。
【0034】
最後に、収率の損失、異なる基本モチーフ同士の圧力の不均一性および温度の不均一性、またはさらには電気化学セルの許容できない劣化がないように、ガスの良好な分配が生成物の入口および収集両方において要求される。
【0035】
高温において動作する高温電解スタック(SOEC)または燃料セル(SOFC)に入るガスおよび出るガスは、図3の参照によって示されているものなどの炉の適当な装置を用いて管理され得る。
【0036】
それゆえに、炉10は低温部品PFおよび高温部品PCを含み、後者は、ガス入口および出口ならびに高温電解(SOEC)または燃料セル(SOFC)スタック20を管理するための炉床11、環状管12を含む。
【0037】
通常、ガス供給および放出装置の結合は、低温部品PFにおいて、特にダブルフェルール機械式継手、VCR(登録商標)メタルガスケット面シール継手、溶接接続、または気密隔壁ユニオンによってなされる。
【0038】
ダブルフェルール機械式継手のケースにおいては、2つのフェルールは気密および管締結機能を分離する。フロントフェルールは気密性を作り出し、一方で、バックフェルールはフロントフェルールが軸上を進むことを可能にし、管に有効なラジアル方向の締結をかける。この原理は、管の非常に良好な締結とガスの非常に良好な非漏出性とを得ることを可能にする。その上、それは装着することが容易であり、振動によって引き起こされる疲労への非常に高い抵抗を有する。溶接部が存在しないときには、それは分解することが容易である。しかしながら、その重大な欠点はその高温への抵抗不足であり、それによって、バックフェルール、フロントフェルール、および管は拡散溶接によって溶接されて一つになり得、連結部が分解されることを妨げる。
【0039】
VCR(登録商標)メタルガスケット面シール継手のケースにおいては、雄ナットまたは六角体を雌ナットによって締めるときにガスケットが2つのビードによって圧縮されるときに、気密性が得られる。この原理は、非常に良好な気密性、異なるガスケット(ニッケル、銅、ステンレス鋼など)を最も適当な構成に従って用いる可能性、およびそれらの操作の間にガスケット交換を有する容易な接合/分解を獲得する。しかしながら、この解決法は高温においては好適ではなく、その動作は約537℃という最大温度を可能にするのみである。
【0040】
溶接接続のケースにおいては、管がTIG型の方法(タングステン不活性ガス)によってまたは円周溶接、すなわち回転式ノズルと結合されたTIG法によって互いに溶接されるという事実によって、完全な気密性が得られる。しかしながら、管の周りを溶接することによって縮減されたアクセス性の結果として、炉10に搭載されたスタック20の溶接操作は非常に複雑である。
【0041】
最後に、センサー、プローブ、電気信号、および管を通すための気密隔壁ユニオンを用いる、約870℃の温度に耐え得る結合システムが存在する。これらの気密隔壁ユニオンは、パイピング、タンク、またはカバーの壁にねじ込まれなければならない316Lステンレス鋼ねじ型継手の形態をとる。その型式に依存して、これらのユニオンは異なる型、サイズ、および直径の1つ以上の貫通要素を受け入れる。それゆえに、これらのユニオンはいずれかの不連続性なしに要素の通り抜けを可能にし、2つの要素間に気密連結部が作られることは可能にしない。
【0042】
炉10の低温部品PFにおけるガス供給および放出装置の結合は、重大な欠点を構成する。なぜなら、これらの低温部品PFは炉10の要素からは遠く、とりわけ熱交換器、絶縁体、およびコンデンサーなどの周辺機器によって邪魔されるからである。これは、それらを容易に分解および再利用できるようにすることを期待しながらも、高温部品PCにおける接続の生成を優先することを意味する。
【0043】
その上、入口のガスを予熱するための炉10の筐体の使用は、炉10のヒーターからの放射を用いるための約2.5から3mの長さの環状管12の製造を要求し、これは管が狭い空間内の正しい場所に行き着くということを保証するための曲げ部の複雑さを増大させる。
【0044】
その上、別の場所において動作させられるようにスタック20を分解することを期待し、それゆえにそれに「プラグ&プレイ」(PnP)型の特徴を与える場合には、スタック20を別の炉に設置するために、接続は先ず例えば弓のこを用いて機械的に破断されなければならず、新たな接続が調えられなければならない。これは取り扱い操作をかなり複雑にする。
【0045】
最後に、かかるスタック20は非常に脆く、場所を変えるときに行われるべき操作の数は可能な限り限定されなければならないということに注意すべきである。それゆえに、振動、衝撃、およびスタックをひっくり返すことをもまた防ぐことが特に重要である。
【0046】
上述の結合解決法は上述の必要を叶えない。特に、ダブルフェルール機械式継手は高温においては溶接されて一つになる。溶接部は、溶接部の複雑さ(アクセスすることが困難)の結果として上述の問題を克服せず、それらは管が分解のために切断されることを防がない。
【0047】
従来技術の結合解決法は、連結部を機械的に破断することなしには、スタック20が別の炉10への再接続のために炉10から取り外されることを可能にせず、すなわち「プラグ&プレイ」の特徴を獲得しない。これは、接合/分解の担当の作業者が退屈な曲げ、結合、および適合作業を果たすことを要求する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0048】
本発明の目的は、少なくとも部分的に上述の必要を満足し、従来技術の製造物に関わる欠点を克服することである。
【0049】
特に、それは、高温電解(SOEC)または燃料セル(SOFC)スタックの特定の設計の結合の生成に、より具体的には、高温部品の、すなわち炉の筐体内の、ガス入口および出口と真っ直ぐな、高温における気密な接続の生成に関し、例えば最高で約900℃の温度に耐えられ、これは取り外しおよび再利用され得、それゆえにスタックに「プラグ&プレイ」型の特徴を与える。
【課題を解決するための手段】
【0050】
それゆえに、本発明は、その態様の1つに従うと、SOEC/SOFC型固体酸化物を有するスタックの高温における気密な結合のためのシステムに関し、それが:
-ガス入口/出口管に取り付けられることを意図される、ねじ型コネクタと言われる、その外側表面において少なくとも部分的にねじ型である中空コネクタ(ねじ型コネクタはガス入口/出口管との流体連通を確立するための開口部を含む)、
-SOEC/SOFC型固体酸化物を有するスタックのガス入口/出口管に取り付けられることを意図される、平滑コネクタと言われる、少なくとも部分的に平滑である外側表面を有する中空コネクタ(平滑コネクタは、スタックのガス入口/出口管との流体連通を確立するための開口部を含み、平滑コネクタおよびねじ型コネクタは、互いとの流体連通を確立するための開口部をそれぞれが含む)、
-ねじ型コネクタと係合してボルト/ナットシステムを形成でき、かつ平滑コネクタに対して摺動可能なねじ型ナット(ねじ型ナットは、その内側表面におけるねじ型コネクタのねじ筋と係合する第1のねじ型部分と、その平滑な外側表面における平滑コネクタと摺動接触する第2の平滑部分とを含む)、
を含むことを特徴とする。
【0051】
本発明に従う結合システムはさらに次の特徴の1つ以上を含み得、これらは単独でまたは可能ないずれかの技術的組み合わせに従って考えられなければならない。
【0052】
有利には、平滑コネクタは、その平滑な外側表面に対して張り出した張り出しリム部を含み得る。さらに、ねじ型ナットは、その第1のねじ型部分に対して張り出しかつ第2の平滑部分を含む張り出しリム部を含み得る。平滑コネクタのリム部およびねじ型ナットのリム部は互いと接触し、平滑コネクタに対するねじ型ナットの摺動を止めることができ得る。
【0053】
さらに、本発明に従う結合システムは、平滑コネクタのリム部とねじ型ナットのリム部との間に設置されたガスケット、特にマイカガスケットを含み得る。かかるガスケットは特に電気絶縁にとって有用であり得る。
【0054】
その上、平滑コネクタ、ねじ型ナット、およびねじ型コネクタは、特に好ましくはインコネル600型の、もしくはさらにはインコネル625型のニッケル基超合金から作られ得、および/または特に316Lステンレス鋼型のオーステナイト系ステンレス鋼から作られ得る。
【0055】
平滑コネクタは、SOEC/SOFC型固体酸化物を有するスタックのガス入口/出口管へのその取り付けのための中ぐりを含み得る。
【0056】
類似に、ねじ型コネクタはガス入口/出口管へのその取り付けのための中ぐりを含み得る。
【0057】
さらに、本発明に従う結合システムは、ねじ型コネクタと平滑コネクタとの間に設置されたガスケット、特にマイカガスケットを含み得る。ガスケットの厚さは0.1から1mmの範囲であり得る。かかるガスケットは特にシステムの気密性にとって有用であり得る。有利には、高温および低温条件両方において気密性を作り出すように、ガスケットの厚さは0.3mm以下であり得る。好ましくは、この厚さは0.25mm以下である。
【0058】
ねじ型ナットおよび/またはねじ型コネクタの呼び直径はM20からM30の範囲であり得、好ましくはM27に等しくあり得る。有利には、太いねじ筋および大きいピッチはねじ筋間の拡散溶接を防ぎ得、それゆえに確立された接続の分解を容易化し得る。
【0059】
その上、ねじ型コネクタは15から30mmの範囲の高さおよび20から30mmの範囲の直径を有し得る。
【0060】
その上、平滑コネクタは45から70mmの範囲の高さおよび30mmという最大直径を有し得る。
【0061】
さらにその上、ねじ型ナットの第1のねじ型部分および/またはねじ型コネクタのねじ筋は、高温に耐えることが可能なアンチシーズ剤によってコーティングされ得る。
【0062】
本発明の別の目的は、その別の特徴に従うと、接合体であり、それが:
-高温において動作するSOEC/SOFC型固体酸化物を有するスタック、
-ガスの供給および放出のためのスタックが結合される炉、
-スタックを炉と結合するための本明細書において上で定められている結合システム、
を含むことを特徴とする。
【0063】
好ましくは、ねじ型コネクタは炉のガス入口/出口管に特にTIG型溶接によって溶接され得る。
【0064】
さらにその上、ねじ型コネクタは、炉の床に取り付けられた支持プレートに特にTIG型溶接および/またはアーク溶接によって溶接され得、炉のガス入口/出口管は支持プレートを通り抜ける。
【0065】
類似に、好ましくは、平滑コネクタはSOEC/SOFC型固体酸化物を有するスタックのガス入口/出口管に特にTIG型溶接によって溶接され得る。
【0066】
さらにその上、平滑コネクタはスタックの下側終端プレートに特にTIG型溶接および/またはアーク溶接によって溶接され得、スタックのガス入口/出口管は下側終端プレートを通り抜ける。
【0067】
有利には、ねじ型ナットの第1のねじ型部分および/またはねじ型コネクタのねじ筋は、設置および締め前に高温アンチシーズペーストによってコーティングされ得、これは分解を容易化し、ねじ筋の拡散溶接を防ぎ得る。このアンチシーズペーストは耐食性の高温用の接合のアンチシーズ潤滑ペーストであり得、極端な温度または腐食性雰囲気に暴露される部品、例えばとりわけ:熱機関のねじ筋、高温ガスのためのチュービングセット、バーナー、弁、ディスクブレーキ、スパークプラグ、エキゾーストスクリューコネクタ、ローラ、ボルト、およびカラーのシーズおよび過度の摩耗を防ぐことを可能にする。それは、金属部品を保護およびその分解を可能にするための銅、アルミニウム、および黒鉛系組成を有し得る。例えば、それは、ウルトによって市販されている機械部品のための銅グリースおよび50%クロム3粉末の混合物からなるPyrox-Thermique-Materiauxによって市販されているグリーングリースであり得る。
【0068】
本発明に従う結合システムおよび接合体は、本明細書において上で記載されている特徴のいずれかを含み得、これは単独でまたは他の特徴とのそのいずれかの技術的に可能な組み合わせに従って考えられなければならない。
【0069】
本発明は、その限定しない例の実施形態の次の詳しい記載を読むこと、および付随する図面の図式的で部分的な図を検討することによって、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0070】
図1図1は高温固体酸化物電解槽(SOEC)の動作原理を示す図式的な像である。
図2図2は従来技術に従うインターコネクトを含む高温固体酸化物電解槽(SOEC)の一部の図式的な分解図像を示している。
図3図3は、炉の構造的な原理を示しており、その上に高温において動作する高温電解(SOEC)または燃料セル(SOFC)スタックが設置される。
図4図4は、スタックを炉と結合するためのその使用形態における、SOEC/SOFC型固体酸化物を有するスタックのための本発明に従う結合システムの1つの例の部分的な透視図像を示している。
図5図5は、本発明に従う結合システムの単独の透視図像を、ねじ型ナットおよびねじ型コネクタの接合構成で示している。
図6図6は、本発明に従う結合システムの単独の透視図像を、ねじ型ナットおよびねじ型コネクタの分解構成で示している。
【発明を実施するための形態】
【0071】
これらの図の全てにおいて、同一の参照記号同士は同一または類似の要素を表現し得る。
【0072】
その上、図を読むことをより容易にするために、図に示されている異なる部品同士は必ずしも均一な縮尺に従って表示されてはいない。
【0073】
図1から3は、本発明の従来技術および技術的背景のパラグラフにおいて本明細書において上で記載されている。図1および2において、符号、ならびに水蒸気HOの供給、二水素H、酸素O、空気、および電流の分配および収集を示す矢印は、示されている装置の動作を例示するために明瞭性および詳細の目的のために示されているということがここで明記される。
【0074】
好ましくは、所与の電気化学セルの全ての構成要素部品(アノード/電解質/カソード)はセラミックであるということもまた注意すべきである。典型的には、高温SOEC/SOFC型スタックの動作温度は600℃から1,000℃の範囲である。
【0075】
その上、用語「上側」および「下側」は、本明細書においては、その使用形態のときのSOEC/SOFC型のスタックの通常時の向きに従って理解されなければならない。
【0076】
図4から6は本発明に従う結合システム30を製造するための原理を示している。この結合システム30は、スタック20のガスの供給および放出を可能にすることに適した炉10とSOEC/SOFC型のスタック20との間における結合を実現する。一般的に言って、結合システム30はボルト/ナット型である。
【0077】
図4は、本発明に従う結合システム30による、高温において動作するSOEC/SOFC型固体酸化物を有するスタック20とガスの供給および放出のためのスタック20が結合される炉10とを含む、接合体70を示している。より具体的には、接合体70は、スタック20のために提供される2つの入口/出口のための4つの結合システム30を含む。
【0078】
図4から6に示されているように、先ず、各結合システム30は中空のねじ型コネクタ31を含む。このねじ型コネクタ31はその外側表面にねじ筋F1を含み、ガス入口/出口管12に取り付けられる。より具体的には、ねじ型コネクタ31はこのガス入口/出口管12にTIG型溶接によって取り付けられ、これはスタック20のための支持平面を構成し、これはそれゆえに炉の床11の一部を形成する。
【0079】
その上、この例において、炉10の床11はガス入口/出口管12が通り抜ける支持プレート40を含み、ねじ型コネクタ31はこの支持プレート40にもまた特にTIG型溶接またはアーク溶接によって取り付けられる。
【0080】
ねじ型コネクタ31はガス入口/出口管12との流体連通を確立するための開口部41を含む。それゆえに、それはスタック20への供給の環を形成する管12と真っ直ぐに配置される。
【0081】
その上、図6に示されているように、さらに、各結合システム30は、平滑な外側表面L3とその下側の一部におけるこの平滑な外側表面L3に対して張り出したリム部63とを有する中空の平滑コネクタ33を含む。
【0082】
平滑コネクタ33は、溶接によってSOEC/SOFC型固体酸化物を有するスタック20のガス入口/出口管52に、特にTIG型溶接によって取り付けられる。その上、平滑コネクタ33は溶接によってスタック20の下側終端プレート25にもまた、特にTIG型溶接またはアーク溶接によって取り付けられる。それゆえに、図4に示されているように、スタック20のガス入口/出口管52は下側終端プレート25を通り抜ける。
【0083】
その上、平滑コネクタ33はスタック20のガス入口/出口管52との流体連通を確立するための開口部43を含む。
【0084】
図6に示されているように、平滑コネクタ33およびねじ型コネクタ31は、2つのコネクタ33および31の間の流体連通を確立するための開口部44、45をそれぞれが含む。
【0085】
さらにその上、スタック20のガス入口/出口管52とのその接合を可能にするために、図6に示されているように、平滑コネクタ33の上側の一部は中ぐり73を含む。類似に、ねじ型コネクタ31はガス入口/出口管12へのその取り付けのための中ぐり71を含む。
【0086】
その上、本発明に従うと、各結合システム30はさらにねじ型ナット32を含み、これはねじ型コネクタ31と係合してボルト/ナットシステムを形成する。
【0087】
このねじ型ナット32は平滑コネクタ33に対して摺動する。より具体的には、ねじ型ナット32の内側表面は、ねじ型コネクタ31のねじ筋F1と係合する第1のねじ型部分S1、および平滑コネクタ33の平滑な外側表面L3において摺動接触する第2の平滑部分S2を含む。より具体的には、図6に示されているように、ねじ型ナット32はその第1のねじ型部分S1に対して張り出したリム部62を含む。このリム部62は第2の平滑部分S2を含む。それゆえに、平滑コネクタ33のリム部63およびねじ型ナット32のリム部62は互いと接触し、これは平滑コネクタ33に対するねじ型ナット32の摺動を止める。
【0088】
換言すると、それゆえに、平滑コネクタ33上を摺動するように好ましくは遊びを有して搭載されたねじ型ナット32は、平滑コネクタ33上まで下降し、ねじ型ナット32のリム部62の平らな表面を介して平滑コネクタ33のリム部63の平らな表面と接触するであろう。それゆえに、平面-平面接触が確立される。ねじ型ナット32は平滑コネクタ33によって保持され、すなわちそれは分解され得ない。それゆえに、平滑コネクタ33およびねじ型ナット32はスタック20の要素になる。
【0089】
さらにその上、図6に示されているように、マイカガスケットJ2が平滑コネクタ33のリム部63とねじ型ナット32のリム部62との間に設置され得る。このガスケットJ2は、必要なところの接続を電気絶縁するために平面/平面接触に挿入されるマイカワッシャーに似得る。電気絶縁の必要がない場合には、かかるガスケットJ2の存在は要求されない。
【0090】
その上、好ましくは、ねじ型ナット32の呼び直径はM20からM30の範囲である。直径が多大であるほど、締結は良好になるということに注意すべきである。しかしながら、直径の選択は利用可能な総体的な寸法に依存する。その上、選択されるねじ筋が太いほど、拡散溶接型の「コラージュ」のリスクは低くなる。直径M20のケースにおいては、ねじ筋ピッチは2.5mmであり、直径M30のケースにおいては、ねじ筋ピッチは3.5mmである。
【0091】
有利には、分解を容易化し拡散溶接現象を防ぐために、ねじ型ナット32の第1のねじ型部分S1およびねじ型コネクタ31のねじ筋F1は、接続の設置および締め前に高温アンチシーズペーストによってコーティングされる。さらに、このアンチシーズペーストは接続を潤滑し、耐食特性を有する。それは、例えば熱機関ねじ筋、高温ガスのためのチュービングセット、バーナー、弁、ディスクブレーキ、スパークプラグ、エキゾーストスクリューコネクタ、ローラ、ボルト、およびカラーなどのケースにおいて、極端な温度またはいわゆる腐食性雰囲気に暴露される部品のシーズおよび過度の摩耗を防ぐ。その銅、アルミニウム、および黒鉛系組成は金属部品を保護しかつその分解を保証し得る。
【0092】
その上、図5および6に示されているように、さらに、各結合システム30はねじ型コネクタ31と平滑コネクタ33との間に設置された別のマイカガスケットJ1を含む。マイカガスケットJ1の厚さは好ましくは0.1から1mmの範囲である。このガスケットJ1は必要に応じてパンチによって切り出されたワッシャーの形態をとり得る。マイカは、高い電気絶縁特性と、熱、すなわち続けて900℃、ピークでは1,000℃への高い安定性とを有する。接合の間には、高い機械的圧縮がかけられて、ガスケットJ1に70から100N/mの範囲である圧力を行使する。
【0093】
さらにその上、接合の間には、マイカガスケットJ1を設置した後のねじ型ナット32の締めは、スタック20の一部を形成するであろう平滑コネクタ33が炉10の一部を形成するであろうねじ型コネクタ31により近づくことを引き起こして、平面的な面同士を接触させ、これらはマイカガスケットJ1をその間にサンドイッチするであろう。同じ原理がスタック20の入口/出口の全てにおいて適用され、その結果、4つのねじ型コネクタ31と真っ直ぐなスタック20の配置は、かけられる接合体の重量がすでに気密であるということをもたらす。
【0094】
好ましくは、平滑コネクタ33、ねじ型ナット32、およびねじ型コネクタ31は、特にインコネル600型のニッケル基超合金からから作られ、および/または特に316Lステンレス鋼型のオーステナイト系ステンレス鋼から作られる。ねじ型コネクタ31は15から30mmの範囲の高さH1と20から30mmの範囲の直径D1とを有する。その上、図6に示されているように、平滑コネクタ33は45から70mmの範囲の高さH3と30mmという最大直径D3とを有する。平滑コネクタ33の高さH3は、スタック20を設置するときにねじ型ナット32が取り外されるために充分に多大でなければならない。M20型のねじ型ナット32のケースにおいては、平滑コネクタ33の高さH3は例えば30mmである。M30型のねじ型ナット32のケースにおいては、平滑コネクタ33の高さH3は例えば40mmである。
【0095】
本発明は従来技術の解決法と比較して多くの利点を有し、それらの利点は本明細書において下で少なくとも部分的に記載される。
【0096】
スタック20は取り外され、1つの炉10から別のものに移されなければならず、それゆえに「プラグ&プレイ」型の特徴を有するので、本発明はスパナを用いて容易に接続が解除されることを可能にする。なぜなら、材料間の接触がなされていないからである。
【0097】
その上、かかる分解操作は、炉10におけるサイクル前に高温アンチシーズペーストによるねじ型コネクタ31のねじ筋およびねじ型ナット32のタップのコーティングによって容易化される。それゆえに、ガスケット表面はそれらを別のサイクルのために調えるためにサンドペーパーを用いて表面処理され得る。
【0098】
さらにその上、気密性はねじ筋ではなくマイカガスケットJ1にかけられる圧力によって保証され、その結果、本発明は気密性を改善するための任意の円錐ねじ筋の製造を要求しない。その上、接合体は、加圧による接合体の弾性変形による接続の適合性の結果として、ガスケットJ1との接触表面に関する不測のアライメントおよび平行度の欠陥をなくす。
【0099】
さらにその上、マイカガスケットJ1およびJ2の使用は、前記ガスケットがその場で、すなわち炉10が位置する地理的な場において、例えば単純なパンチまたはハサミを用いることによって作製されることを可能にし、ガスケットJ1およびJ2の所望の寸法と必ずしも円形ではない幾何学的な形状とが得られることを可能にする。
【0100】
本発明が実施形態の上述の例に限定されないということは言うまでもない。それには種々の改変が当業者によってなされ得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6