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特許7189890ボビンに巻かれた材料シートの端部を引き出すための装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】ボビンに巻かれた材料シートの端部を引き出すための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   A24C 5/20 20060101AFI20221207BHJP
【FI】
A24C5/20
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019562623
(86)(22)【出願日】2018-05-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-16
(86)【国際出願番号】 EP2018063195
(87)【国際公開番号】W WO2018211108
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2021-04-23
(31)【優先権主張番号】17172081.6
(32)【優先日】2017-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】モンツォーニ アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】マロッシ ステファノ
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-511445(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0308554(US,A1)
【文献】特開平01-075118(JP,A)
【文献】特開昭55-111349(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第02486507(FR,A1)
【文献】特表2016-531544(JP,A)
【文献】特開平07-315644(JP,A)
【文献】特開平05-123150(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24C 5/20
A24D 3/02
B65H 19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボビンに巻かれた材料シートの端部を取り出す装置であって、前記装置が、
ボビンに挿入されるように適合された回転可能なボビンホルダーと、
接合アームと、
第一の吸込み力を作用させる能力を有する第一の部分、およびゼロとは異なる第二の吸込み力を作用させる能力を有する第二の部分を含む接触面を有する吸込み装置であって、前記第一の吸込み力が前記第二の吸込み力よりも高く、前記吸込み装置が前記接合アームに取り付けられているものと、
吸込み装置の接触面の第一の部分がボビンに接触するように、接合アームの動きを命令するように適合された制御ユニットとを備える、装置。
【請求項2】
前記ボビンの直径を判定するように適合された直径センサーを含み、前記直径センサーが前記ボビンの前記直径に関する信号を前記制御ユニットに送信するように前記制御ユニットに電気的に接続されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ボビンホルダーの角速度を決定するように適合された角速度センサーを含み、前記角速度センサーが前記ボビンホルダーの角速度に関する信号を前記制御ユニットに送信するように前記制御ユニットに電気的に接続されている、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記吸込み装置の前記接触面と実質的に平行に位置付けられた、かつ前記第二の部分の一部を覆い、前記吸込み装置の前記接触面と案内手段の間で前記材料シートの端部を案内するように適合された案内手段を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記吸込み装置の前記接触面に位置付けられた、および前記吸込み装置の前記接触面上でのシート部分の存在を判断するように適合された存在センサーを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記吸込み装置がコンベヤーベルトを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記第一の部分での前記吸込み装置の前記接触面の幅が、前記第二の部分での前記吸込み装置の前記接触面の幅よりも広い、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記吸込み装置が、一つの中央コンベヤーベルトと二つの側方のコンベヤーベルトを画定するように三つのコンベヤーベルトを含み、一つのコンベヤーベルトが他のコンベヤーベルトに隣接して側方に位置付けられていて、前記中央コンベヤーベルトが前記側方コンベヤーベルトよりも長く、前記吸込み装置の前記接触面の前記第一の部分が、前記中央コンベヤーベルトの表面部分と前記二つの側方コンベヤーベルトの表面部分を含み、前記吸込み装置の前記表面の前記第二の部分が、前記中央コンベヤーベルトの表面部分のみを含む、請求項6または7に記載の装置。
【請求項9】
前記吸込み装置の前記接触面が移動可能である、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記接触面の速度を決定するように適合された速度センサーを含む、請求項に記載の装置。
【請求項11】
前記制御ユニットが前記ボビンホルダーの速度に応じて前記吸込み装置の前記接触面の速度を調節するように適合されている、請求項9または10に記載の装置。
【請求項12】
前記接合アームが二つの接合点を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
ボビンに巻かれた材料シートの端部分を取り出す方法であって、前記方法が、
吸込み装置でボビンの外部表面と接触する工程と、
シート部分を前記ボビンから取り外すために、第一の吸込み力で前記シートの前記接触した表面を吸い込む工程と、
前記ボビンからの前記シートの取り外し後、第一の吸込み力で吸い込まれていた前記シート部分を第二の吸込み力で吸い込む工程であって、前記第二の吸込み力が前記第一の吸込み力よりも弱い工程とを含む、方法。
【請求項14】
吸込み装置で前記ボビンの外部表面と接触することが、前記外部表面に対して接線方向に前記外部表面と接触することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項13または14に記載の方法であって、
前記取り外されたシート部分を前記吸込み装置に形成された経路内に案内する工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボビンに巻かれた材料シートの端部を引き出すための装置および方法に関する。特に本発明は、例えば紙巻たばこ、または「非燃焼加熱式」タイプのたばこ含有製品などのエアロゾル発生物品で使用するシート様のたばこ材料の端部を引き出すための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たばこ製品の製造において、たばこ葉の他に、均質化したたばこ材料も使用されうる。この均質化したたばこ材料は典型的に、カットフィラーの製造にあまり適していないたばこ植物の部分(例えば、たばこ茎またはたばこダスト)から製造される。典型的に、たばこダストは製造中にたばこ葉の取り扱いの間に副産物として作り出される。
【0003】
均質化したたばこ材料の最も一般的に使用される形態は、再構成たばこシートおよびキャストリーフである。均質化したたばこ材料シートを形成するプロセスは一般的に、たばこダストと結合剤を混合してスラリーを形成する工程を含む。次にスラリーは、例えばいわゆるキャストリーフを製造するために、粘性のあるスラリーを、移動する金属ベルトの上へとキャスティングすることによって、たばこウェブを作り出すために使用される。別の方法として、再構成たばこを作り出すために、粘性が低くかつ含水量が高いスラリーを、製紙と似たプロセスで使用することができる。調製されると、紙巻たばこおよび他の喫煙物品のために適切なたばこカットフィラーを製造するための葉たばこと類似した様式で、均質化したたばこウェブを切断してもよい。従来の紙巻たばこで使用するための均質化したたばこの機能は、充填力、引き出し抵抗、たばこロッドの硬さ、および燃焼特性などのたばこの物理的特性に実質的に限定される。この均質化したたばこは典型的に、味わいに対する影響を有するようには設計されていない。このような均質化したたばこを作成するプロセスは例えば、欧州特許第EP0565360号などに開示されている。
【0004】
喫煙物品など、エアロゾル発生物品の製造プロセス中に、少なくとも一つの構成要素は、捲縮プロセスを経ることのある材料(通常はシートやホイルの形態の材料)を含む。次に、捲縮した材料は、「スティック」または「ロッド」と呼ばれる(通常は管状の)部品に切断された連続的ロッド内に圧縮される。これらのロッドは、エアロゾル発生物品の構成要素である。捲縮プロセスは、二つの回転する円筒状ローラーを使用し、これらのローラーの間で材料シートが押し付けられる。これらのローラーは、シートを捲縮する外側表面上に、合致する型押し加工された隆起と谷のパターンを有する。
【0005】
保管および移動のために、材料シートはボビン内に巻き取られ、その後で捲縮ローラーに供給されうる。材料シートは壊れやすくて、同時に粘着性があってもよく、これはしばしば、いわゆるたばこキャストリーフ(TCL)材料、ポリ乳酸(PLA)材料などといわれるシートに当てはまることである。材料シートの粘着性と壊れやすさの特性のために、この材料は、ボビン内に巻き取られた時に、適切な巻き出しに困難を伴うことがありうる。エアロゾル発生物品の製造中、ボビンから来る材料シートを圧着ローラーに高速に供給できるように、ボビンは高速で巻き出されうる。
【0006】
こうしたボビンの取り扱い、および特にボビンの交換は、一つの段階で新しいボビンの緩んだ端部を握り、それを製造機械の特定の部分に接続し、これによって前のボビンから来る箔で継ぎを作ることができることを意味する。
【0007】
従って、材料シートがボビン内に巻き上げられる自動化されたプロセスで材料シートの端部を確実に取り出すための装置および方法に対するニーズがある。
【発明の概要】
【0008】
第一の態様によると、本発明は、ボビンに巻かれた材料シートの端部分を引き出すための装置に関し、装置は、ボビン内に挿入されるように適合された回転可能なボビンホルダーと、接合アームと、第一の吸込み力を作用させる能力のある第一の部分、およびゼロではない第二の吸込み力を作用させる能力のある第二の部分を含む接触面を有する吸込み装置であって、ここで第一の吸込み力が第二の吸込み力よりも大きく、吸込み装置が接合アームに取り付けられているものと、吸込み装置の接触面の第一の部分がボビンと接触するように、接合アームの移動を命令するように適合された制御ユニットとを含む。
【0009】
有利なことに、装置はボビンの取り扱いを可能にし、特にボビンの交換を可能にし、ここで吸込み装置は新しいボビンの緩んだ端部を自動的に掴み、また好ましくはそれを製造機械の特定の部品に接続することもできる。装置はその後、前のボビンから来る材料シートで継ぎを作ることができ、これがその後、切断されて除去されうることが好ましい。材料シートが脆弱である可能性があるため、「強い」吸込み力は、必要に応じてのみ使用され、すなわちボビンの残りの端からボビンの自由端を取り外す必要がある時にのみ使用される。その後、弱めの吸込み力が使用される。さらに、本発明によると、吸込み装置を移動できる接合アームの存在によって、ボビンの自由端は、実質的に任意の角度位置に位置することができる。
【0010】
本明細書で使用される「シート」という用語は、その厚さより実質的に大きい幅および長さを有する層状の要素を意味する。
【0011】
本明細書で使用される「長軸方向」という用語は、シートまたはウェブの長さに沿って、またはそれと平行に延びる方向を意味する。
【0012】
本明細書で使用される「軸方向の」または「軸方向に」という用語は、ロッドの円筒状の軸に沿って、またはそれに平行して延びる方向を意味する。
【0013】
本明細書で使用される「ロッド」という用語は、実質的に円形または長円形の断面の概して円筒状の要素を意味する。
【0014】
本明細書で使用される「均質化したたばこ材料」という用語は、粒子状たばこを凝集することによって形成された材料を意味する。
【0015】
均質化したたばこ材料は、シートの形態としうる。均質化したたばこ材料は、乾燥質量基準で約5パーセントを超えるエアロゾル形成体含有量を有してもよい。別の方法として、均質化したたばこ材料は、乾燥質量基準で約5~約30重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を有しうる。均質化したたばこ材料シートは、たばこ葉ラミナおよびたばこ葉の葉柄のうちの一方または両方を粉砕することによって、または別の方法で細かく砕くことによって得られた粒子状のたばこを凝集することによって形成されてもよく、別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料シートは、例えばたばこの処理、取り扱いおよび輸送中に形成されたたばこダスト、たばこの微粉およびその他の粒子状のたばこ副産物のうちの一つ以上を含んでもよい。均質化したたばこ材料シートは、粒子状たばこの凝集を助けるために、一つ以上の本来備わっている結合剤(すなわち、たばこ内在性結合剤)、一つ以上の外来的な結合剤(すなわち、たばこ外来性結合剤)、またはその組み合わせを含みうるが、別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料シートは、たばこおよび非たばこ繊維、エアロゾル形成体、湿潤剤、可塑剤、風味剤、フィラー、水性および非水系の溶媒およびその組み合わせを含むがこれらに限定されないその他の添加物を含んでもよい。
【0016】
均質化したたばこ材料は、エアロゾル形成基体の一部または全体を形成しうる。エアロゾル形成基体は固体エアロゾル形成基体でもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は固体構成要素と液体構成要素の両方を備えてもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成体をさらに含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0017】
エアロゾル形成基体が固体エアロゾル形成基体である場合、固体エアロゾル形成基体は、薬草の葉、たばこ葉、たばこの茎の断片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押し出し成形たばこおよび膨化たばこのうち一つ以上を含む、例えば粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片またはシートのうち一つ以上を含みうる。固体エアロゾル形成基体は、容器に入っていない形態にしてもよく、または適切な容器またはカートリッジで提供されてもよい。例えば、固体エアロゾル形成基体のエアロゾル形成材料は、紙またはその他のラッパー内に含まれ、かつプラグの形態を有しうる。エアロゾル形成基体がプラグの形態である場合、任意のラッパーを含めてプラグ全体がエアロゾル形成基体であると考えられる。
【0018】
本明細書で使用されるエアロゾル形成物品は、エアロゾル形成基体が加熱された時に吸入可能なエアロゾルを生成する任意の物品である。この用語は、電気発熱体などの外部熱源によって加熱されるエアロゾル形成基体を備える物品を含む。エアロゾル形成物品は、エアロゾル形成基体の燃焼を用いずに揮発性化合物を放出する物品である、不燃性のエアロゾル形成物品であってもよい。エアロゾル形成物品は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出するために、燃焼ではなく加熱されていることが意図されているエアロゾル形成基体を含むエアロゾル形成物品である、加熱式エアロゾル形成物品であってもよい。この用語は、エアロゾル形成基体と、一体型の熱源(例えば、可燃性熱源)とを備える物品を含む。
【0019】
エアロゾル発生物品は、エアロゾルを形成できる揮発性化合物を放出するために、燃焼ではなく加熱されていることが意図されるエアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品である、加熱式エアロゾル発生物品としうる。加熱式エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品の一部を形成する搭載型の加熱手段を備えてもよく、または別個のエアロゾル発生装置の一部を形成する外部ヒーターと相互作用するように構成されてもよい。
【0020】
エアロゾル発生物品は、紙巻たばこなどの加熱式喫煙物品と似たものとしうる。エアロゾル発生物品は、たばこを含みうる。エアロゾル発生物品は使い捨てであってもよい。エアロゾル発生物品は、別の方法として、部分的に再利用可能であり、補充可能または交換可能なエアロゾル形成基体を備えるものとしうる。
【0021】
エアロゾル発生物品は実質的に円筒状の形状としうる。エアロゾル発生物品は実質的に細長くてもよい。エアロゾル発生物品は、長さと、その長さに対して実質的に直角を成す円周とを有してもよい。エアロゾル形成基体は実質的に円筒状であってもよい。エアロゾル形成基体は実質的に細長くてもよい。エアロゾル形成基体はまた、長さと、その長さに対して実質的に直角を成す円周とを有してもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成基体の長さがエアロゾル発生装置内の気流方向に実質的に平行となるように、エアロゾル発生装置に受けられうる。エアロゾル冷却要素は実質的に細長くてもよい。
【0022】
本発明の装置は、ボビン内に巻き取られた材料シートの緩んだ端を自動的に取り出して、移動するために使用される。シートの材料は、アルカロイドを含む材料であることが好ましい。シートは、アルカロイドを含有する植物材料を含むことがより好ましい。シートは、例えば均質化したたばこ材料の形態であるたばこを含むことがさらにより好ましい。
【0023】
「アルカロイド含有材料」は、一つ以上のアルカロイドを含有する材料である。アルカロイドのうち、ニコチンが好ましいアルカロイドであり、これはたばこ中に見いだされうる。
【0024】
アルカロイドは、主に塩基性の窒素原子を含有する天然の化合物の群である。この群はまた、中性、およびさらに弱酸性の特性を有する幾つかの関連する化合物も含む。類似の構造の一部の合成化合物もアルカロイドと呼ばれる。炭素、水素および窒素に加えて、アルカロイドはまた、酸素、硫黄、よりまれには塩素、臭素、およびリンなどのその他の要素を含みうる。
【0025】
アルカロイドは、細菌、真菌、植物、および動物を含む多種多様な生物体によって生成される。これらは、これらの生物体の粗抽出物から酸塩基抽出によって精製されうる。 カフェイン、ニコチン、テオブロミン、アトロピン、ツボクラリンがアルカロイドの例である。
【0026】
均質化したたばこシートはアルカロイド含有シートである。従って、アルカロイド含有シートをエアロゾル形成基体として使用することができる。
【0027】
均質化したたばこ材料などのアルカロイド含有シートは、スラリーを得るために幾つかの成分を水と混合することによって形成されうる。その後の工程において、均質化した材料の連続ウェブが、スラリーを支持体上にキャスティングすることによって連続して支持体上に生成される。その後、キャストシートは乾燥されてからボビンに巻かれることが好ましい。
【0028】
材料シートのボビンはボビンホルダー内に配置されている。一般に、ボビンホルダーおよびボビンは同軸であることが好ましい。ボビンホルダーは、軸を中心に回転可能であることが好ましい。
【0029】
ボビンは任意の形状を有することができ、円筒状であることが好ましい。ボビンは、外表面と、ボビンの端部を表す自由端部分とを画定することが好ましい。
【0030】
さらに、ボビンに巻かれたシートの自由端部分を自動的に取り外すために(その後、自由端部分は異なるボビンの別の端部とまとめて継ぎ合わされうる)、本発明の装置は吸込み装置を含む。吸込み装置は、ボビンから自由端部分を取り外すために、ボビンの自由端部分を吸い込むように適合されている。そのために、吸込み装置は、ボビンの一部分と接触するように適合された接触面を含む。
【0031】
接触を得るために、接触面を含む吸込み装置は、接合アームによって移動される。複数の接合アームが存在してもよく、例えば四つのバーリンク機構を形成してもよい。接合アームを提供することによって、接触面は、ボビンの外表面上の実質的にあらゆる位置に達することができる。
【0032】
装置の接合アームは、吸込み装置がボビンに対して複数の位置に達することを可能にする。特に、吸込み装置の位置は連続的に適合されうる。好都合なことに、ボビンに面した吸込み装置の接触表面とボビンとの間の距離、および/またはボビンに面した吸込み装置の外表面とボビンの円周方向表面との間の角度は調整することができる。ボビンに面した吸込み装置の接触面は、ボビンの表面に対して接線方向に配向されうることが好ましい。吸込み装置は、より大きい吸込み力を用いてその第一の部分の外表面で、自動的に材料シートの端部と接触してそれを掴むことができ、その一方で第二の部分は、材料シートをボビンから引き離すために使用されうる。
【0033】
接合アームの動作は、制御ユニットによって制御されていることが好ましい。制御ユニットはまた、ボビンまたは装置のその他の機器の回転速度を制御しうる。
【0034】
接触面は、第一および第二の部分を含む。第一の部分は第一の吸込み力を作用する傾向にあり、第二の部分は第二の吸込み力を作用する傾向にあり、第一の吸込み力および第二の吸込み力はどちらもゼロではない。
【0035】
吸込み装置は、処理される材料に従って適合されうることが好ましい。吸込み装置には、通気性の孔が提供されてもよい。壊れやすい材料シートの場合、吸込み力は孔の表面に関係するため、孔は強めの材料シートの場合よりも大きくてもよい。例えば、大きい孔は、直径が3分の1であるものの9倍大きい表面上に分布された、より小さい孔と同じ吸込み力を生じさせる。
【0036】
吸込み装置の第一の部分は、材料シートの端部が取り出される必要がある時、吸込み装置の第二の部分よりもボビンの近くに位置付けられることが好ましい。第一の吸込み装置の第一の部分の接触面は、ボビンの外表面でボビンと接触し、特にボビンの外表面で材料シートの緩んだ端と接触する。第一の部分は、緩んだ端を大きい第一の吸込み力で取り出す。第二の部分は、ボビンから巻き出された時にボビンから材料シートを分離する役目を果たす。材料シートをボビンから分離するために、第一の吸込み力と比較して弱めの吸込み力で十分である。吸込み装置の接触面の距離および角度は、ボビンからの材料シートの巻き出し中にボビンの直径の変化に応じて、動的に調整されうることが好ましい。第一および第二の部分の外表面が、材料シートと接触するために提供されている吸込み装置のさらに外側の表面を構成するように、吸込み装置の第一および第二の部分の接触面が相互に合致している場合に、これは有利である。
【0037】
特定のシートの脆弱性のため、端部がボビンから取り外されるとすぐに、第二の弱めの吸込み力が使用される。従って、吸込み力が低下し、材料シートを損傷するリスクが最小化されうるように、自由端部分はまず、接触面の第一の部分と接触して、次に第二の部分と接触することが好ましい。
【0038】
装置は、ボビンの直径を判定するように適合された直径センサーを含むことが好ましく、直径センサーは、ボビンの直径に関する信号を制御ユニットに送信するために、制御ユニットに電気的に接続されている。本発明による装置、特に装置の制御ユニットは、ボビンの現行の直径に関連する情報を受信して使用することが好ましい。情報はリアルタイムで受信されていることが好ましい。ボビンの現行の直径は、ボビンの外表面と関係して吸込み装置を正しく位置付けることを可能にする。こうした情報は通常、ボビンの方を向いた光学センサーを使用して取り込まれる。
【0039】
装置は、ボビンホルダーの角速度を決定するように適合された角速度センサーを含むことが好ましく、角速度センサーは、ボビンホルダーの角速度に関する信号を制御ユニットに送信するために、制御ユニットに電気的に接続されている。本発明による装置、特に装置の制御ユニットは、回転可能なボビンホルダーの現行の角速度に関連する情報を受信して使用することが好ましい。特に、情報はリアルタイムで受信される。回転可能なボビンホルダーの角速度とボビンの現行の直径とについての情報は、出ていく材料シートと同じ速度で吸込み装置を移動させるために使用されうる。従って、材料シートは効率的に引き出されうる。回転可能なボビンホルダーの角速度、およびボビンの現行の直径は、出ていく材料シートの速度の評価を可能にし、これは角速度にボビンの外周を掛けたものである。吸込み装置の下流の引き出し用捲縮ローラーの速度についての情報を装置に提供することが可能である。こうして、材料シートの望ましい製造速度を提供することができる。
【0040】
これは、ボビンの接触面と比較した吸込み装置のボビンからの距離および/または接触面の角度に関連して、材料シートに接続された吸込み装置の接触面の自動的かつ好ましくは連続的な位置付けを可能にする。材料シート上で局所的に要求されるレベルに従い吸込み力を分配することによって、全体的な望ましい吸込み効果を生じさせることができ、それと同時に材料シートの損傷を防止することができる。さらに、吸込み装置がボビンから材料シートの緩んだ端を取り出して分離すると、材料シートを保持し、捲縮段階やこれに類する段階などのさらなる機械部品に向けて吸込み装置の遠位端に移動するのに必要な吸込み力は小さくなる。捲縮段階において、材料シートには一方または両側にコルゲーションが提供されている。材料シートのコルゲーションは、材料シートの集合およびエアロゾル発生物品のロッドの準備を容易にする。
【0041】
第一の部分での吸込み装置の接触面の幅は、第二の部分での吸込み装置の接触面の幅より広いことが好ましい。吸込み装置は、各部分に異なる吸込み力を提供するために、第一の部分および第二の部分で異なる幅を有してもよい。第一の部分の幅は、第二の部分の幅よりも大きいことが好ましい。吸込み力は、コンベヤーベルト内の孔で生成されうる。吸込み力は、孔の数、および/または孔のサイズおよび/または孔を含む領域のサイズによって制御されうることが好ましい。
【0042】
装置は、円筒の軸が材料シートと平行な、かつ吸込み装置の外表面と平行な円筒状要素を備えうる。この円筒状要素は、吸込み装置の移動方向に沿って、例えばレール、チェーン、駆動装置または類するものを使用して移動されていることができる。材料シートは円筒状要素と吸込み装置の間で移動される。円筒状要素をボビンに向かって移動することによって、引き出し力が実質的にボビンの半径方向に作用して、材料シートをボビンから引き離すのを助け、よって材料シートをボビンから解くのを助けるように、吸込み装置によって材料シートにかかる引き出し力の方向を変えることが可能である。
【0043】
有利なことに、装置は、吸込み装置の接触面と実質的に平行に位置付けられた、および第二の部分の一部を覆う案内手段を含み、案内手段は吸込み装置の表面と案内手段の間で材料シートの端部を案内するように適合されている。材料シートは案内手段上を簡単に滑ることができる。案内手段は平坦な外部表面を有しうることが好ましい。外部表面は、吸込み装置の接触面に対して、特に材料シートと連携するよう意図された吸込み装置の接触面に対して平行に配置されうることがより好ましい。案内手段は、ボビンから材料シートを取り出すように意図された吸込み装置の第一の部分の位置の反対側のボビンの位置に対して、吸込み装置の遠位端に配置されていることが好ましい。案内手段は、入ってくる材料シートが到着する側に特定の先端形状を有することが好ましい。この先端部は、材料シートに向かって端部で丸みがあっても、または角度付きであってもよい。丸みのある側/角度付きの側が、材料シートを切断しかねない鋭角になることなく、ボビンから材料シートを緩やかに引けるようにするために、先端部は、ボビンに向かって反対側で平面であってもよい。一方、ボビンに向かう先端の平面の側は、材料シートがボビンからの分離の早い段階で、わずかなかつ徐々に大きくなる角度で分離されるように、丸みのある側が(必要に応じて)できるだけ近くボビンに近づくことを可能にする。
【0044】
装置は有利なことに、吸込み装置の表面に位置付けられた存在センサーを含み、これは吸込み装置の表面上のシート部分の存在を判定するように適合されている。存在センサーは、材料シートの一部分が吸込み装置と接触しているかどうかを判断することを可能にする。それ故に、吸込み装置の機能は安全に制御されうる。好ましい実施形態において、存在センサーは光学センサーであり、例えば存在センサーは、感光センサーに連結されたレーザー発光ダイオードとしうる。存在センサーは、正しく取り出された時に、材料シートが位置付けられるべき領域に向かって配向されうる。材料シートが実際に正しい位置にある場合、レーザーの光は材料シート上で反射し、感光センサーによって検出される。こうした実施形態において、光学センサーは、箔が中央コンベヤーベルトとスケート形状の部品の間を通過する時に、材料シートを向くように位置付けられている。材料シートが意図された位置にない時でさえも、材料シートの存在として誤解されうる、案内手段によるレーザービームの反射の誤った検出を避けるために、光学センサーに関しては案内手段に孔がある。この構成によって、材料シートが所定位置にない場合、レーザーによって放出された光は孔を通り、案内手段によって反射されない。
【0045】
有利なことに、吸込み装置はコンベヤーベルトを含む。コンベヤーベルトは簡単に制御される。吸込み力は、コンベヤーベルトの孔を介して提供されうる。吸込み力の量は、単位面積当たりの孔の数、および/または孔のサイズおよび/またはコンベヤーベルトの領域のサイズによる影響を受けうる。
【0046】
吸込み装置は、中央コンベヤーベルトおよび二つの横方向コンベヤーベルトを画定するように、互いに隣接して位置付けられた三つのコンベヤーベルトを含み、中央コンベヤーベルトは横のコンベヤーベルトよりも長く、吸込み装置の表面の第一の部分は、中央コンベヤーベルトと二つの横のコンベヤーベルトの表面部分を含み、また吸込み装置の接触面の第二の部分は中央コンベヤーベルトのみの表面部分を含む。第一の部分と第二の部分の幅の差異は、第一の部分または第二の部分を形成するコンベヤーベルトの数によって与えられる。コンベヤーベルトは共通の駆動ユニットによって駆動されていることが好ましい。これは、同期した移動と、コンベヤーベルトの動きの簡単な制御とを可能にする。
【0047】
有利なことに、吸込み装置の接触面は移動可能である。移動可能な接触面は、穏やかでありかつ制御された方法で材料シートを簡単に移動させることができる。
【0048】
吸込み装置の位置は、ボビンに対して調節することができる。例えば、吸込み装置の位置は、ボビンの現行の直径に対して調節することができる。
【0049】
装置は有利なことに、接触面の速度を決定するように適合された速度センサーを含む。ボビンホルダーの角速度、および吸込み装置の移動速度、特にコンベヤーベルトの移動速度は同期させることができる。材料シートの応力と損傷は回避できる。
【0050】
制御ユニットは、ボビンホルダーの角速度に応じて吸込み装置の表面の速度を調節するように適合されていることが好ましい。特に、吸込み装置のコンベヤーベルトの移動速度は、ボビンホルダーの角速度と一致するように調節されうる。材料シートが吸込み装置によって取り出され、ボビンから引き離された時、材料シートに対する応力が低減されうる。材料シートの損傷は、ボビンが巻き出された時に低減されうる。
【0051】
有利なことに、装置の接合アームは二つの接合点を含む。好ましい実施形態において、一つの接合点は回転可能なボビンホルダーと同じ軸にある。それ故に、接合アームは、回転可能なボビンホルダーと同じ軸を中心に動くことができる。接合アームは、ボビンホルダーと、ボビンの遠位に配置された吸込み装置の出口端とをつなぐ。接合アームはモーターによって駆動されうる。
【0052】
その他の接合点は、回転可能なボビンホルダーの軸の近くに軸を有する。接合アームは、回転可能なボビンホルダーの軸に近い軸を中心に回転可能である。接続部品は、この回転可能な部分の端から吸込み装置のほぼ中央の領域に提供されている。こうした構造(角度が互いに独立して調節されることができる二つの電動式回転可能な部品のみを使用する構造)は、吸込み装置の外表面が、例えばボビンから出てくる材料シートと接触するコンベヤーベルトの表面がボビンに向かって移動でき、その一方でボビンに対して同じ接線角度を保つように、吸込み装置の正確な位置付けを可能にする。
【0053】
装置は、ボビンホルダー上に配置されたボビンに巻かれた材料シートの一部分の位置を検出するためのセンサーを含むことが好ましい。こうしたセンサーは近接センサーであることが好ましい。センサーは、ボビンの端部分をボビンから取り外すために、吸込み装置を適切な位置で操作するために使用される。
【0054】
本発明の第二の態様によると、ボビン内に巻かれた材料シートの端部分を取り出すための方法が提案されていて、方法は、吸込み装置でボビンの外部表面と接触する工程と、シート部分をボビンから取り外すために第一の吸込み力でシートの接触面を吸い込む工程と、ボビンからのシートの取り外し後に、第一の吸込み力によって吸い込まれたシート部分を第二の吸込み力で吸い込む工程とを含み、ここで第二の吸込み力は、第一の吸込み力よりも小さい。
【0055】
発明の装置の利点については、本発明の第一の態様を参照して既に説明しているため、ここでは繰り返さない。
【0056】
本方法は、ボビン内に巻かれた材料シートの緩んだ端の自動的な取り出しと、材料シートのさらなる加工(捲縮プロセスなど)に材料シートを高速で供給することとを可能にする。材料シートは、たばこおよびそれに類するものなどのエアロゾル発生材料シートであることが好ましい。
【0057】
有利なことに、吸込み装置でボビンの外部表面に接触することは、外部表面に対して接線方向に外部表面と接触することを含む。これは、材料シートが粘着性である場合や壊れやすい場合でも、材料シートを穏やかに取り出すことを可能にする。ボビンと吸込み装置の間の界面で材料シートが曲がるのを避けることができる。材料シートの損傷は防止される。
【0058】
有利なことに、方法は、吸込み装置内に形成された通路内で、取り外されたシート部分を案内する工程を含む。取り外されたシート部分を案内するために、案内手段は、吸込み装置の接触面と実質的に平行に配置されていて、第二の部分の一部と重なることが好ましい。案内手段は、吸込み装置の表面と案内手段の間の材料シートの端部分を案内するように適合されている。材料シートは案内手段上を簡単に滑ることができる。案内手段は平坦な外部表面を有しうることが好ましい。外部表面は、吸込み装置の接触面に対して、特に材料シートと連携するよう意図された吸込み装置の接触面に対して平行に配置されうることがより好ましい。案内手段は、ボビンから材料シートを取り出すように意図された吸込み装置の第一の部分の位置の反対側のボビンの位置に対して、吸込み装置の遠位端に配置されていることが好ましい。案内手段は、入ってくる材料シートが到着する側に特定の先端形状を有することが好ましい。
【0059】
方法は有利なことに、シートの一部分がボビンから取り外されているかどうかを検出する工程を含む。シートの一部分がボビンから取り外されているかどうかを検出するために、装置は、吸込み装置の表面に位置付けられた存在センサーを含むことが好ましい。存在センサーは、吸込み装置の表面上でのシート部分の存在を判定するように適合されている。存在センサーは、材料シートの一部分が吸込み装置と接触しているかどうかを判断することを可能にする。それ故に、吸込み装置の機能は安全に制御されうる。好ましい実施形態において、存在センサーは光学センサーであり、例えば存在センサーは、感光センサーに連結されたレーザー発光ダイオードとしうる。
【0060】
本発明を、添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1図1は、本発明による装置を含む製造機械の一部の等角図を簡略化された方法で示し、装置は、二つのローラーを包含する捲縮段階の上流にある材料シートの緩んだ端を取り出すように構成されていて、この二つのローラー間で材料シートが処理される。
図2図2は、本発明による図1の装置の吸込み装置を示す。
図3図3は、図2の吸込み装置の概略側面図を示す。
図4図4は、材料シートの取り外された部分と接触する、図2の吸込み装置の概略側面図を示す。
図5図5は、吸込み装置が第一の位置にある、本発明による装置の実施形態の概略側面図を示す。
図6図6は、吸込み装置が第二の位置にある、本発明による装置の実施形態の概略側面図を示す。
図7図7は、本発明の方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0062】
まず図1を参照すると、図は、ボビン152内で送達されるシート形態の材料40を使用して、エアロゾル発生物品を製造するための製造機械1の一部の等角図を簡略化した方法で示す。こうした材料は、例えば貯蔵用および移動用に、ボビン152内に巻き取られている箔内で切断された乾燥したたばこ葉を含む、TCL(たばこキャストリーフ)でもよい。TCLなどの材料は、粘着性がありかつ壊れやすくてもよいが、これは巻き出すための材料の取り扱いを困難にする。各ボビン152は、ボビンに巻かれた材料シート40の外表面または外部表面154および緩んだ端(図示せず)を画定する。
【0063】
製造機械1は、本発明による装置100を備え、装置100は、ボビン152内に巻かれた材料シート40の緩んだ端を取り出すように構成されている。シート40の緩んだ端を取り出すために、装置100は以下の図で詳細に説明されている吸込み装置110を備える。
【0064】
一例として、ボビン152は製造機械1の捲縮段階10の上流に配置されている。製造プロセス中、例えば材料シート40を使用してエアロゾル発生物品の一部を作り出すために、特定の機械はこれらのボビン152を一つずつ巻き出す。ボビンから巻き出された材料シートは、捲縮段階10で使用される。
【0065】
捲縮段階10は二つの捲縮ローラー11、21を含み、この捲縮ローラー間で材料シート40が処理される。シート40の移動方向30は図において、左前方を指し示す矢印で示されている。
【0066】
第一および第二の対面する捲縮ローラー11、21は、それぞれ第一の回転軸17および第二の回転軸27を画定する。ローラー11、21の表面12、22には、隆起と谷のパターン16、26が提供されていて、これは各ローラー11、21の表面上にある二つの円周方向の線で簡略化された方法で示されている。ローラー11、21の隆起と谷のパターン16、26は、材料シート40が捲縮段階10の二つの捲縮ローラー11、21間を移動方向30に移動する時に、材料シート40にコルゲーションを発生させる。
【0067】
ボビン152を巻き出すための装置100は、回転可能なボビンホルダー150と、接合アームに配置された吸込み装置110(図5~6に図示)とを含む。接合アームは、ボビン152の外部表面154に対する吸込み装置110の位置を適応させるために提供されている。この回転可能なボビンホルダー150は、ボビン152に挿入されるよう適合されている。ボビンホルダー150はその後、ボビン152から来る材料シート40が捲縮段階10の特定のローラーによって引き出される間に、ボビンを回転させて巻き戻す。製造中、ボビン152から来る材料シート40が通常、約200メートル/分~約400メートル/分の速度で処理されうるように、ボビンは高速で巻き出されていることが好ましい。
【0068】
装置100は、速度センサー192、直径センサー194、存在センサー196をさらに備える。
【0069】
速度センサー192は、回転可能なボビンホルダー150に連結されていて、ボビンホルダー150の角速度を決定するように適合されている。回転可能なボビンホルダー150の角速度は、材料シート40の必要な移動速度と同期化されうる。
【0070】
直径センサー194は、ボビン152の近くに配置されていて、ボビン152の直径を判定するように適合されている。ボビン152の直径は、例えばボビン152が消耗しかけていて、交換される必要がある時を知るのに役立つ。さらに、吸込み装置110は、ボビン152の現行の直径に応じて位置付けられうる。
【0071】
存在センサー196は、下記で詳細に説明され、また図1に図示されていない、吸込み装置110の接触面124に位置付けられていて、また吸込み装置110の接触面上のシート部分の存在を判定するように適合されている。存在センサー196は、材料シート40が吸込み装置110によって正しく引き出されるかどうかを判断する。存在センサー196は光学センサーであることが好ましい。例えば、光学センサーは、感光センサーと連結されたレーザー発光ダイオードを備えてもよく、また吸込み装置110によって正しく取り出された時に材料シート40が位置付けられるべき場所を向いている。材料シート40が実際に正しい位置にある場合、材料シート40は、感光センサーによって取り込まれるレーザーの光を反射する。このような実施形態において、光学センサーは、材料シート40が吸込み装置110の特定の部分を通過する時に、材料シート40を向くように位置付けられている。
【0072】
特定の部分は、吸込み装置110の案内手段160の領域内(図1で図示されていない、および下記でより詳細に説明されている)であることが好ましく、これは材料シート40が正しく位置付けられた時に、案内手段160と吸込み装置110の接触面との間を通過する場所である。材料シート40が存在しない時でも、材料シート40の存在として誤解されうる他の部品からのレーザーの反射を回避するために、光学センサーに関しては案内手段160に開口部がある。それ故に、材料シート40が所定位置にない場合、レーザーによって放出される光は開口部を通り、案内手段によって反射されない。
【0073】
速度センサー192、直径センサー194および存在センサー196は、回転可能なボビンホルダー150の角速度、ボビン152の直径、およびボビン152から来る材料シート40のシート部分の存在に関する信号を制御ユニット190に送信するために、制御ユニット190に電気的に接続されている。
【0074】
制御ユニット190は、接合アーム(この図では図示せず)の動きを命令するように適合されている。制御ユニット190は、ボビンホルダー152の角速度に応じて吸込み装置110の表面の速度を調節するように適合されている。
【0075】
ボビン152の取り扱い、および特に、新しいボビン152の取り付けは、ある段階で新しいボビン152の材料シート40の緩んだ端部を取り出し、その端部を製造機械の特定の部分に接続することを意味し、この製造機械は次に、前のボビンから来る材料シートで継ぎを作ることができ、これは次に製造機械から切断されて除去されうる。好都合なことに、本発明の装置100は、新しいボビン152の材料シート40の緩んだ端部の安全な取り出しを可能にする。
【0076】
図2は、本発明による図1の装置100の吸込み装置110の一実施形態を示す。この吸込み装置110は、第一の吸込み力を作用させる能力を有する第一の部分130と、ゼロではない第二の吸込み力を作用させる能力を有する第二の部分132とを有する接触面124を含む。第一の吸込み力は第二の吸込み力よりも大きい。吸込み装置110は接合アーム(この図では図示せず)に取り付けられる。吸込み装置110の接触面124は移動可能であることが好ましい。これは、吸込み装置110と接触している時に、材料シートを移動方向に移動させることを可能にする。
【0077】
第一の部分130での吸込み装置110の接触面124の幅は、第二の部分132での吸込み装置110の表面124の幅より広い。
【0078】
吸込み装置110は少なくとも一つのコンベヤーベルトを含む。吸込み装置110は、中央コンベヤーベルト140および二つの横方向コンベヤーベルト142、144を画定するように、互いに隣接して位置付けられた三つのコンベヤーベルト140、142、144を含むことが好ましい。中央コンベヤーベルト140は、横方向コンベヤーベルト142、144よりも長い。吸込み装置110の表面124の第一の部分は、中央コンベヤーベルト140の表面部分と、二つの横方向コンベヤーベルト142、144の表面部分とを含み、および第二の部分132は中央コンベヤーベルト140の表面部分を含む。コンベヤーベルト140、142、144内の開口部134(例として、二つの開口部のみに参照番号が付けられている)。吸込み装置110は、吸込み装置110と接触する外側材料に対して吸込み効果を生じさせることができるように、外気が空気システムによって吸い込まれることを可能にする空気システム(図示せず)を備える。
【0079】
コンベヤーベルト142、144の相対的位置付けは、材料シート40と接触するその表面が同一平面上にあるようになされる。さらに、コンベヤーベルト140、142、144は共通の端を有し、これらコンベヤーベルトはこの端から延びる。この共通の端から、ボビン152の緩んだ端は吸込み装置110によって取り出される。コンベヤーベルト140、142、144の速度を簡単に調整するために、コンベヤーベルト140、142、144は、共通軸127を有するそれらの駆動プーリー121内で同じ駆動装置を共有することが好ましい。コンベヤーベルト140、142、144は、追加的なプーリー122、123を含みうる。他のプーリー122、123は、軸128、129を有するアイドラープーリーでもよい。
【0080】
複数のコンベヤーベルト140、142、144、特に三つのコンベヤーベルト140、142、144を使用することは、比較的大きい表面上で吸込み効果を分布させることを可能にし、これが全体的な強い吸込み強度を作り出すのと同時に材料シート40の損傷を防止する。
【0081】
この視点において、コンベヤーベルト140、142、144の開口部134のサイズまたは直径は、処理される材料に従って調節されうる。壊れやすい材料の場合、圧力/吸込みが開口部134の表面に関係するため、開口部134は、より頑丈な材料の場合よりも大きくしうる。例えば、大きい開口部は、直径が3分の1であるものの9倍大きい表面上に分布された、より小さい開口部と同じ吸込み効果を生じさせる。
【0082】
図3および図4図2の吸込み装置110の概略側面図を示し、図3および図4はそれぞれ、ボビン152から取り外されていて引き離されている材料シート40の一部分がある図とない図である。
【0083】
側面図において、第一の吸込み力を作用させる第一の部分130と、ゼロではない第二の吸込み力を作用させる第二の部分132とを含む接触面124が表示されている。吸込み装置110の接触面124は、図4に描写されている通り、材料シート40が存在する時に材料シート40に面する。さらに、存在センサー196に関連して言及してきた、案内手段60が示されている。
【0084】
案内手段160は、吸込み装置110の接触面124と実質的に平行に位置付けられていて、第二の部分132の一部と重なることが好ましい。案内手段160は、材料シート40の端部分を吸込み装置110の表面124と案内手段160との間に案内するように適合されている。案内手段160はスケート様の形状を有しうる。案内手段160は、巻き出すときにボビン152(図1)から材料シートを分離するのに役立つ。材料シートは、案内手段160上に摺動することができる。
【0085】
案内手段160は、概して平坦な表面を有し、表面の平面はコンベヤーベルトの接触面124と平行である。案内手段160は、吸込み装置がボビン152から材料シート40を取り出す場所と反対側の吸込み装置110の端部に位置する。案内手段160は、入ってくる材料シート40が到着する側に特定の先端形状を有することが好ましい。この先端は、材料シート40に向かって丸み(または角度)が付けられていて、他方の側面ではボビン152向かって平面であり、これは、丸みのある側が、材料シート40を切断しかねない鋭角になることなく、ボビン152から材料シート40を緩やかに引くのに役立つように、その一方で平坦な部分が、材料シート40がわずかなかつ徐々に大きくなる角度で早めに分離されるように、丸みのある側が(必要に応じて)できるだけ近くボビン152に近づくことを可能にするためである。
【0086】
吸込み装置110が材料シート40と接触する時、吸込み装置110の接触面124は、ボビン152の外部表面154に対して接線方向に配置されている(例えば、シート40が描写されている図4を参照)。
【0087】
材料シートの緩んだ端部は掴まれると、ボビン152から分離されなければならない。これはコンベヤーベルト140、142、144の引き出し作用を調整することによって行われる。コンベヤーベルト140、142、144の表面は、ボビン152の外面154に対して接線方向に位置付けられて、ボビン152の外部表面154と同じ速度で移動するように整列されている。コンベヤーベルト140、142、144は、材料シート40のこの領域で調整された方法で機能することが好ましい。
【0088】
いったん緩んだ端がボビン152から取り外されると、材料シート40を保持するために、またそれを吸込み装置110の端部まで引き出すために、小さめの強度が適用される必要がある。一つのコンベヤーベルト140のみが、吸込み装置110の第二の部分132に存在することが好ましい。ところが、材料シート40の移動方向で吸込み装置110の第一の部分130から進む時に十分な吸込み力を維持するために、中央コンベヤーベルト140の幅は、他の二つのコンベヤーベルト142、144よりも大きくてもよく、例えば二つの短めのコンベヤーベルト142、144よりも3分の1大きく、そのため空気吸込みのために3分の1より多い孔を有する。
【0089】
三つのコンベヤーベルト140、142、144の示された構造は、材料シート40と接触することが意図されている吸込み装置の領域を、吸込み装置110の二つの部分に分離し、一つの部分は強い吸込み力を有し(三つのコンベヤーベルトを有する領域)、もう一つの部分は弱い吸込み力を有し(一つのコンベヤーベルト140を有する領域)、吸込み装置110の使用において多くの柔軟性を提供する。
【0090】
装置100はまた、円筒126(図4を参照)を備えてもよく、この円筒は、材料シート40の方向と直角を成していて接触面124と平行である円筒軸を有して、吸込み装置110の接触面124に提供されうる。この円筒126は、接触面124の移動方向に沿って、例えばレール、チェーンおよび駆動装置を使用して移動されることができる。材料シート40は、円筒126と吸込み装置110の接触面124との間に進む。円筒126を吸込み装置110の端部に向かってボビン152の近くに移動させることによって、引き出し力がボビン152に対してかなりの放射状で作用して、材料シート40をボビン152から取り外すのを助け、それ故にボビン152の巻き出しを支援するように、吸込み装置110によって材料シート40にかけられる引き出し力の向きを変えることが可能である。
【0091】
図5および6は、吸込み装置110がそれぞれ第一の位置および第二の位置にある、本発明による装置100の実施形態の概略側面図を示す。
【0092】
装置100は、ボビンの実質的にあらゆる位置で動かすために、吸込み装置110に接続された接合アーム180と回転可能アーム188をさらに含む。接合アーム180は二つの接合点182、184を有し、一つの接合点は吸込み装置110の、特に中央コンベヤーベルト140の長軸方向の伸びのほぼ中央にあり、もう一つの接合点は二つのアームセグメント181、183間にあることが好ましい。第一のアームセグメント181は、吸込み装置110に取り付けられていて、第一の接合点182の周りで旋回可能である。他方のアームセグメント183は、回転可能なボビンホルダー150(図1)に近い旋回軸118を有する旋回ジョイント119に取り付けられている電動式構成要素である。
【0093】
回転可能なアーム188は、回転可能なボビンホルダー150(図1)と同じ軸117の周りで旋回可能であり、回転可能なボビンホルダー150(図1)と吸込み装置110の遠位端とをつなぐ。回転可能なアーム188は、ボビン152(図1)から遠位にある吸込み装置110の端に配置された旋回ジョイント185で吸込み装置110に接続されている。
【0094】
こうした構造(角度が互いに独立して調節されることができる二つの電動式回転部品のみを使用する構造)は、ボビン152から出てくる材料シート40と接触する吸込み装置110の接触面124がボビン150に向かって移動でき、その一方でボビン152に対して同じ接線角度を保つように、吸込み装置110の正確な位置付けを可能にする。
【0095】
図6において、吸込み装置110は、接合アーム180および回転可能アーム188の動きによって、図5の位置と比較して下方向に移動されている(これは図6において太字の矢印で示されている)。回転可能なアーム188は、回転可能なボビンホルダー150と同じ軸117を有し、接合アーム180は回転可能なボビンホルダー150の隣に軸118を有し、その一方で回転可能なボビンホルダー150に関して接触面124の同一の整列を保持する。
【0096】
本発明によると、ボビン152が巻き出される間、ボビン152に関して吸込み装置110を位置付けること、およびボビン152(図1を参照)の外部表面154をリアルタイムで追従して、その一方で同じ平面配向を保つことが可能である。吸込み装置110は、適切に位置付けられると、ボビン152の緩んだ端を取り出して引き出すことができる。
【0097】
図1でのみ示された制御ユニット190は、吸込み装置110の接触面124の第一の部分130がボビン152に接触するように、接合アーム180の動きを命令するように適合されている。制御ユニット190(図1)は、回転可能なボビンホルダー150の角速度に応じて吸込み装置110の表面124の速度を調節するように適合されている。
【0098】
制御ユニット190は正しく機能するために、ボビン152の外部表面154に対して吸込み装置110を正しく位置付けることができるように、ボビン152の現行の直径についての情報、および出ていく材料シート40と同じ速度で吸込み装置110の接触面124を移動し、これを効率よく引き出すために、回転可能なボビンホルダー150の角速度とボビン152の現行の直径とについての情報をリアルタイムで受信することが好ましい。回転可能なボビンホルダー150の角速度、およびボビン152の現行の直径は、出ていく材料シート40の速度(角速度にボビン152の外周を掛けたもの)の評価を可能にする。
【0099】
これを行う別の方法は、製造機械の他の部分の引き出し用ローラー11、21(図1)の速度(例えば、材料シート40の望みの製造速度)をコンベヤーベルト140、142、144に合わせることである。
【0100】
図7は、ボビン152内に巻かれた材料シート40の端部を取り出すための、本発明の方法のフローチャートを図示する。
【0101】
工程200において、ボビンの外部表面154は、吸込み装置110と接触している。工程200は、外部表面に対して接線方向に外部表面と接触することを含みうる。
【0102】
工程202において、シートの接触した表面は、シート部分をボビンから取り外すために、吸込み装置の接触面124に向けて第一の吸込み力で吸い込まれる。
【0103】
ボビンからのシートの取り外し後、工程204において、第一の吸込み力で吸い込まれたシート部分は、第二の吸込み力で吸込み装置の接触面124に向けて吸い込まれ、ここで第二の吸込み力は第一の吸込み力よりも弱い。随意に、工程204は、吸込み装置内に形成された通路内で、取り外されたシート部分を案内することを含みうる。さらに随意に、工程204は、シートの一部がボビンから取り外されたかどうかを検知することを含みうる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7