(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】α-アミノ-β-カルボキシムコン酸セミアルデヒド脱炭酸酵素の阻害剤
(51)【国際特許分類】
C07D 239/36 20060101AFI20221207BHJP
A61K 31/505 20060101ALI20221207BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20221207BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20221207BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20221207BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20221207BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20221207BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20221207BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221207BHJP
C07D 405/04 20060101ALI20221207BHJP
C07D 409/04 20060101ALI20221207BHJP
C07D 417/04 20060101ALI20221207BHJP
C07D 401/04 20060101ALI20221207BHJP
C07D 409/14 20060101ALI20221207BHJP
C07D 413/14 20060101ALI20221207BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20221207BHJP
C07D 239/47 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
C07D239/36 CSP
A61K31/505
A61K31/506
A61P3/04
A61P3/10
A61P13/12
A61P25/28
A61P29/00
A61P43/00 111
A61P43/00 105
C07D405/04
C07D409/04
C07D417/04
C07D401/04
C07D409/14
C07D413/14
A61K45/00
C07D239/47 Z
(21)【出願番号】P 2020159728
(22)【出願日】2020-09-24
(62)【分割の表示】P 2017530430の分割
【原出願日】2015-08-28
【審査請求日】2020-10-23
(32)【優先日】2014-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517068748
【氏名又は名称】ティエエッセ ファルマ ソチエタ レスポンサビリタ リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087871
【氏名又は名称】福本 積
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197169
【氏名又は名称】柴田 潤二
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト ペッリッチャリ
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン オーベルクス
(72)【発明者】
【氏名】ナーディア ラファエッリ
【審査官】三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第10/132999(WO,A1)
【文献】国際公開第99/041237(WO,A1)
【文献】特開平01-132581(JP,A)
【文献】特許第6769963(JP,B2)
【文献】CAS登録番号:1552449-54-3、他6化合物,REGISTRY(STN)[online],2014年02月23日
【文献】CAS登録番号:1112336-45-4、他3化合物,REGISTRY(STN)[online],2009年02月26日
【文献】CAS登録番号:1082595-47-8、他2化合物,REGISTRY(STN)[online],2008年12月10日
【文献】Mai, Antonello 他,Novel uracil-based 2-aminoanilide and 2-aminoanilide-like derivatives: Histone deacetylase inhibitio,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2008年,Vol.18(8),p.2530-2535
【文献】CAS登録番号:1558199-96-4、他158化合物,REGISTRY(STN)[online],2014年02月28日
【文献】Choi, Jung Do 他,Inhibition of acetolactate synthase by pyrimidyl-oxy-benzoate and pyrimidyl-thio-benzenes,Korean Biochemical Journal,1993年,Vol.26(7),p.638-643
【文献】Shoar, Rahim 他,Synthesis of thio analogues of quinolone antibacterials,Phosphorus, Sulfur and Silicon and the Related Elements,2005年,Vol.180(11),p.2563-2567
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
で示される化合物、
又はその医薬的に許容し得る塩若しくは互変異性体
[式中、
Xは、O、OH、又はClであり;
Lは、-(CH
2)
m
NH(CH
2)
p-であり;
R
1は、C
6~C
10アリールであり、ここで、前記アリールは、R
a及びR
bで置換され、任意に1つ以上のR
eで置換され;
R
a及びR
bの一方は、水素であり、もう一方は、-(CH
2)
rCO
2R
x、-OCH
2CO
2R
x、-(CH
2)
rテトラゾール、-(CH
2)
rオキサジアゾロン、-(CH
2)
rテトラゾロン、-(CH
2)
rチアジアゾロール、-(CH
2)
rイソオキサゾール-3-オール、-(CH
2)
rP(O)(OH)OR
x、-(CH
2)
rS(O)
2OH、-(CH
2)
rC(O)NHCN、又は-(CH
2)
rC(O)NHS(O)
2アルキルであり;
R
cは、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル、ハロゲン、-CN、-OR
x、CO
2R
x、又はNO
2であり;
R
dは、メチル、任意に置換された5員~10員アリール、任意に置換された5員若しくは6員ヘテロアリール、又は任意に置換された5員若しくは6員炭素環であり;
各R
xは、それぞれ独立して、水素又はC
1~C
6アルキルであり;
各R
eは、独立して、C
1~C
6アルキル、C
2~C
6アルケニル、C
2~C
6アルキニル、ハロゲン、-OR
y、C
1~C
6ハロアルキル、-NHR
z、-OH、又は-CNであり;
R
fは、Hであるか又は存在せず;
各R
y及びR
zは、独立して、水素、C
1~C
6アルキル、又はC
1~C
6ハロアルキルであり;
各mは、0、1、又は2であり、pは1又は2であり、ここでm+p<3であり;
rは、0又は1であり;そして
点線は任意の二重結合である]。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物であって、
ここで、
R
a及びR
bの一方は水素であり、もう一方は、CO
2R
x、-CH
2CO
2R
x、テトラゾール、又はオキサジアゾロンであり;
R
cは、ハロゲン、-CN、-OR
x、又はC
1~C
6アルキルであり;
R
dは、メチル、任意に置換された5員~10員アリール、任意に置換された5員若しくは6員ヘテロアリール、又は任意に置換された5員若しくは6員炭素環であり;
R
xは、水素又はC
1~C
6アルキルであり;
各R
eは、独立して、C
1~C
6アルキル、C
2~C
6アルケニル、C
2~C
6アルキニル、ハロゲン、-OR
y、C
1~C
6ハロアルキル、-NHR
z、-OH、又は-CNであり;そして
各R
y及びR
zは、独立して、水素、C
1~C
6アルキル、又はC
1~C
6ハロアルキルである、化合物。
【請求項3】
R
cは、-CN又はハロゲンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
R
dは、メチル、シクロヘキシル、ピリジニル、チアゾリル、フェニル、又はチエニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
R
dは、メチル、シクロヘキシル、ピリジニル、チアゾリル、チエニル、又は任意に置換されたフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
R
aは、水素、CH
2CO
2H、テトラゾール、又はオキサジアゾロン(1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
R
bは、水素、CH
2CO
2H、テトラゾール、又はオキサジアゾロン(1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩、及び医薬的に許容し得る担体、希釈剤、又は賦形剤の少なくとも1つを含む、医薬組成物。
【請求項9】
1つ以上の更なる治療薬を含む、請求項
8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
α-アミノ-β-カルボキシムコン酸-ε-セミアルデヒド脱炭酸酵素の阻害による疾患又は障害を治療するか、予防するか、又はそのリスクを低減するための医薬の製造における、請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物又はその医薬的に許容し得る塩の使用、ここで、前記α-アミノ-β-カルボキシムコン酸-ε-セミアルデヒド脱炭酸酵素の阻害による疾患又は障害は、遺伝性ミトコンドリア疾患、一般的代謝障害、神経変性疾患、加齢関連障害、腎障害、慢性炎症性疾患、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)又は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)であり、当該加齢関連障害は、癌、痴呆、心血管疾患であるアテローム性動脈硬化症、高血圧、I型又はII型糖尿病、関節炎、白内障、アルツハイマー病、黄斑変性症又は骨粗鬆症である。
【請求項11】
ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD
+)レベルの減少に関連する疾患又は障害を治療するか、予防するか、又はそのリスクを低減するための医薬の製造における、請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物又はその医薬的に許容し得る塩の使用、ここで前記ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD
+)レベルの減少に関連する疾患又は障害は、遺伝性ミトコンドリア疾患、一般的代謝障害、神経変性疾患、加齢関連障害、腎障害、慢性炎症性疾患、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)又は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)であり、当該加齢関連障害は、癌、痴呆、心血管疾患であるアテローム性動脈硬化症、高血圧、I型又はII型糖尿病、関節炎、白内障、アルツハイマー病、黄斑変性症又は骨粗鬆症である。
【請求項12】
ミトコンドリア機能障害に関連する障害を治療するか、予防するか、又はそのリスクを低減するための医薬の製造における、請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物又はその医薬的に許容し得る塩の使用、ここで前記ミトコンドリア機能障害に関連する障害は、遺伝性ミトコンドリア疾患、一般的代謝障害、神経変性疾患、加齢関連障害、腎障害、慢性炎症性疾患、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)又は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)であり、当該加齢関連障害は、癌、痴呆、心血管疾患であるアテローム性動脈硬化症、高血圧、I型又はII型糖尿病、関節炎、白内障、アルツハイマー病、黄斑変性症又は骨粗鬆症である。
【請求項13】
酸化的代謝を促進するための医薬の製造における、請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物又はその医薬的に許容し得る塩の使用、ここで酸化的代謝を促進するための医薬は、遺伝性ミトコンドリア疾患、一般的代謝障害、神経変性疾患、加齢関連障害、腎障害、慢性炎症性疾患、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)又は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に対する医薬であり、当該加齢関連障害は、癌、痴呆、心血管疾患であるアテローム性動脈硬化症、高血圧、I型又はII型糖尿病、関節炎、白内障、アルツハイマー病、黄斑変性症又は骨粗鬆症である。
【請求項14】
請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物又はその医薬的に許容し得る塩を含んでなる、α-アミノ-β-カルボキシムコン酸-ε-セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)の阻害による、治療され、予防され、又はそのリスクを低減される疾患又は障害の処置のための医薬、ここで前記α-アミノ-β-カルボキシムコン酸-ε-セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)の阻害による、治療され、予防され、又はそのリスクを低減される疾患又は障害は、遺伝性ミトコンドリア疾患、一般的代謝障害、神経変性疾患、加齢関連障害、腎障害、慢性炎症性疾患、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)又は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)であり、当該加齢関連障害は、癌、痴呆、心血管疾患であるアテローム性動脈硬化症、高血圧、I型又はII型糖尿病、関節炎、白内障、アルツハイマー病、黄斑変性症又は骨粗鬆症である。
【請求項15】
請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物又はその医薬的に許容し得る塩を含んでなる、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD
+)レベルの減少に関連する疾患又は障害の処置のための医薬、ここで前記ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD
+)レベルの減少に関連する疾患又は障害は、遺伝性ミトコンドリア疾患、一般的代謝障害、神経変性疾患、加齢関連障害、腎障害、慢性炎症性疾患、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)又は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)であり、当該加齢関連障害は、癌、痴呆、心血管疾患であるアテローム性動脈硬化症、高血圧、I型又はII型糖尿病、関節炎、白内障、アルツハイマー病、黄斑変性症又は骨粗鬆症である。
【請求項16】
請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物又はその医薬的に許容し得る塩を含んでなる、ミトコンドリア機能障害に関連する障害を治療するための医薬、ここで前記ミトコンドリア機能障害に関連する障害が、遺伝性ミトコンドリア疾患、一般的代謝障害、神経変性疾患、加齢関連障害、腎障害、慢性炎症性疾患、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)又は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)であり、当該加齢関連障害は、癌、痴呆、心血管疾患であるアテローム性動脈硬化症、高血圧、I型又はII型糖尿病、関節炎、白内障、アルツハイマー病、黄斑変性症又は骨粗鬆症である。
【請求項17】
請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物又はその医薬的に許容し得る塩を含んでなる、酸化的代謝を促進するための医薬、ここで酸化的代謝を促進するための医薬は遺伝性ミトコンドリア疾患、一般的代謝障害、神経変性疾患、加齢関連障害、腎障害、慢性炎症性疾患、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)又は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に対する医薬であり、当該加齢関連障害は、癌、痴呆、心血管疾患であるアテローム性動脈硬化症、高血圧、I型又はII型糖尿病、関節炎、白内障、アルツハイマー病、黄斑変性症又は骨粗鬆症である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2014年8月29日に出願された米国仮出願第62/043,853号(その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる)の利益及び優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本開示は、α-アミノ-β-カルボキシムコン酸セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)の活性を調節することができる化合物に関する。本開示の化合物は、NAD+生合成の欠陥に関連する疾患及び障害、例えば代謝障害、神経変性疾患、慢性炎症性疾患、腎疾患、並びに加齢に関連する疾患及び障害などの予防及び/又は治療方法に使用することができる。
【背景技術】
【0003】
ACMSDは、トリプトファン代謝にとって重要な酵素であり、トリプトファンからのNAD+生合成を調節する。ACMSDは、ピコリン酸(PA)、キノリン酸(QA)、及びNADホメオスタシスに関与する亜鉛依存性アミドヒドロラーゼである。ACMSDは、トリプトファンからのNAD+生合成経路の分岐点にあり、アミノ酸の最終運命、すなわちPAへの変換、クエン酸回路による完全な酸化、又はQA合成によるNAD+への変換、を決定する。
【0004】
ACMSDは、肝臓、腎臓、及び脳のヒト組織から精製されている。ACMSD遺伝子転写の示差的スプライシングに由来するACMSD1とACMSD2の2つのアイソフォームが存在するが、ACMSD1のみが酵素活性を有する。ACMSD1はACMS(α-アミノ-ω-カルボキシムコン酸セミアルデヒド)をアセチル-CoA経路に導き、ACMSD1が阻害されると、ACMSは非酵素的にキノリン酸(QA)に変換されて、NAD+の形成をもたらし、NAD+の細胞内レベルが増加する。
【0005】
NAD+のレベルの増加は、マウスのニューロンの変性を防ぎ、筋肉機能及び酸化的代謝を改善し、虫の寿命を延ばすことが示されている。低レベルのNAD+は、2型糖尿病(T2D)、高脂血症(高コレステロール及びTAG)、ミトコンドリア疾患、好中球減少症、癌、及び腎臓障害を含む一連の病態生理学的状態と関連している。
【0006】
従って、ACMSDの阻害は、NAD+レベルを増加させ、NAD+生合成の欠陥に関連する疾患の病態生理を改変するための、新規なアプローチである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の実施態様の目的は、α-アミノ-β-カルボキシムコン酸セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)の活性を調節することができる新規な一連の化合物を提供することであり、これらの化合物は、NAD+生合成における欠陥に関連する疾患及び障害、例えば、代謝障害、神経変性疾患、慢性炎症性疾患、腎疾患、及び加齢に関連する疾患の呼ぼう及び治療に有用である。
【0008】
本明細書で定義される式(I)の化合物は、ACMSDが関与する疾患又は障害の治療に使用することができる。本開示は、ACMSD機能障害に関連する疾患又は障害に罹患しているか又はこれを発症し易い被験体に、サーチュイン(SIRT)及びSIRTの下流の標的(例えばPGC-1α、FoxO1、及び/又はスーパーオキシドジスムターゼ(SOD))を活性化するのに十分な量で、ACMSD1阻害により細胞内NAD+を増加させる1種以上の化合物の治療有効量を投与することにより、ACMSD機能障害又はNAD+生合成における異常に関連する疾患又は障害を治療する方法を特徴とする。本開示の方法は、ACMSDを阻害することによりACMSD依存性疾患の治療に使用することができる。ACMSDの阻害は、代謝障害、神経変性疾患、慢性炎症性疾患、腎疾患、加齢に関連する疾患、及び他のACMSD依存性疾患、又はNAD+合成の欠陥を特徴とする疾患の、予防及び治療に対する新規アプローチを提供し得る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、本開示の第1の態様は、式(I):
【化1】
【0010】
又はその医薬的に許容し得る塩若しくは互変異性体に関し、
【0011】
式中、
Xは、O、OH、又はClであり;
Lは、-(CH2)mCH2CH2-、-(CH2)mY(CH2)p-、-(CH2)mC(O)(CH2)p-、-(CH2)mC(O)O(CH2)p-、-(CH2)mC(O)NR2(CH2)p-、又は-(CH2)mNR2C(O)(CH2)pであり;
Yは、O、N、又はS(O)qであり;
R1は、C6~C10アリール又はヘテロアリールであり、ここで、前記アリール及びヘテロアリールは、Ra及びRbで置換され、1つ以上のReで任意に置換され;
R2は、H又はC1~C6アルキルであり;
Ra及びRbの一方は水素であり、もう一方は、-(CH2)rCO2Rx、-OCH2CO2Rx、-(CH2)rテトラゾール、-(CH2)rオキサジアゾロン、-(CH2)rテトラゾロン、-(CH2)rチアジアゾロール、-(CH2)rイソオキサゾール-3-オール、-(CH2)rP(O)(OH)ORx、-(CH2)rS(O)2OH、-(CH2)rC(O)NHCN、又は-(CH2)rC(O)NHS(O)2アルキルであり;
Rcは、H、C1~C6アルキル、C1~C6ハロアルキル、ハロゲン、-CN、-ORx、CO2Rx、又はNO2であり;
Rdは、メチル、任意に置換された5員~10員アリール、任意に置換された5員若しくは6員ヘテロアリール、又は任意に置換された5員若しくは6員炭素環であり;
各Rxは、それぞれ独立して、水素又はC1~C6アルキルであり;
各Reは、独立して、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、ハロゲン、-ORy、C1~C6ハロアルキル、-NHRz、-OH、又は-CNであり;
Rfは、Hであるか又は存在せず;
各Ry及びRzは、独立して、水素、C1~C6アルキル、又はC1~C6ハロアルキルであり;
各m及びpは、独立して0、1、又は2であり、ここでm+p<3であり;
qは、0、1、又は2であり;
rは、0又は1であり;そして
点線は任意の二重結合であるが、
【0012】
ただし、
XがOであり、Lが-SCH2-であり、Rdが任意に置換されたフェニルである時、Rcは水素又は-CNではなく、
XがOであり、Lが-SCH2-であり、そしてRdがメチルである時、RcはC1~C6アルキルではなく、そして
XがOであり、Lが-SCH2-であり、Rdが2-フリルである時、Rcは-CNではない。
【0013】
本開示の第2の態様は、式(I)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩、及び医薬的に許容し得る担体、希釈剤、又は賦形剤の少なくとも1つを含む医薬組成物に関する。
【0014】
本開示の第3の態様は、α-アミノ-β-カルボキシムコン酸-ε-セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)機能障害に関連する疾患又は障害に罹患しているか又はこれを発症し易い被験体に、治療有効量の1種以上の式(I)の化合物を投与することを含む、ACMSD機能障害に関連する疾患又は障害を治療する方法に関する。
【0015】
本開示の第4の態様は、α-アミノ-β-カルボキシムコン酸-ε-セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)機能障害に関連する疾患又は障害に罹患しているか又はこれを発症し易い被験体に、治療有効量の1種以上の式(I)の化合物を投与することを含む、ACMSD機能障害に関連する疾患又は障害を予防する方法に関する。
【0016】
本開示の第5の態様は、α-アミノ-β-カルボキシムコン酸-ε-セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)機能障害に関連する疾患又は障害に罹患しているか又はこれを発症し易い被験体に、治療有効量の1種以上の式(I)の化合物を投与することを含む、ACMSD機能障害に関連する疾患又は障害のリスクを低減する方法に関する。
【0017】
本開示の第6の態様は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)レベルの減少に関連する疾患又は障害に罹患しているか又はこれを発症し易い被験体に、治療有効量の1種以上の式(I)の化合物を投与することを含む、NAD+レベルの減少に関連する疾患又は障害を治療する方法に関する。
【0018】
本開示の第7の態様は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)レベルの減少に関連する疾患又は障害に罹患しているか又はこれを発症し易い被験体に、治療有効量の1種以上の式(I)の化合物を投与することを含む、NAD+レベルの減少に関連する疾患又は障害を予防する方法に関する。
【0019】
本開示の第8の態様は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)レベルの減少に関連する疾患又は障害に罹患しているか又はこれを発症し易い被験体に、治療有効量の1種以上の式(I)の化合物を投与することを含む、NAD+レベルの減少に関連する疾患又は障害のリスクを低減する方法に関する。
【0020】
本開示の第9の態様は、代謝性障害に罹患しているか又はこれを発症し易い被験体に、細胞内ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)を増加させる治療有効量の1種以上の式(I)の化合物を投与することを含む、ミトコンドリア機能障害に関連する障害を治療する方法に関する。
【0021】
本開示の第10の態様は、代謝性障害に罹患しているか又はこれを発症し易い被験体に、細胞内ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)を増加させる治療有効量の1種以上の式(I)の化合物を投与することを含む、酸化的代謝を促進する方法に関する。
【0022】
本開示の第11の態様は、ACMSDが介在する疾患又は症状を治療するための、式(I)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を含む医薬の、製造方法に関する。
【0023】
本開示の第12の態様は、ACMSDが介在する疾患又は症状の治療法に使用するための、式(I)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を含む、医薬組成物に関する。
【0024】
本開示の第13の態様は、α-アミノ-β-カルボキシムコン酸-ε-セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)機能障害に関連する疾患又は障害を治療する方法であって、それを必要とする被験体に治療有効量の、以下の式:
【化2-1】
【化2-2】
【0025】
の1つを有する化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を投与することを含む、上記方法に関する。
【0026】
本開示の第14の態様は、α-アミノ-β-カルボキシムコン酸-ε-セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)機能障害に関連する疾患又は障害のリスクを治療、予防、又は軽減するための医薬の製造における、式(I)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩の使用に関する。
【0027】
本開示の第15の態様は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)レベルの減少に関連する疾患又は障害のリスクを治療、予防、又は軽減するための医薬の製造における、式(I)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩の使用に関する。
【0028】
本開示の第16の態様は、ミトコンドリア機能障害に関連する障害のリスクを治療、予防、又は軽減するための医薬の製造における、式(I)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩の使用に関する。
【0029】
本開示の第17の態様は、酸化的代謝を促進するための医薬の製造における、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩の使用に関する。
【0030】
本開示の第18の態様は、α-アミノ-β-カルボキシムコン酸-ε-セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)機能障害に関連する疾患又は障害のリスクを治療、予防、又は軽減するための医薬の製造における、式(I)の化合物、その医薬的に許容し得る塩の使用に関する。
【0031】
本開示の第19の態様は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)レベルの減少に関連する疾患又は障害のリスクを治療、予防、又は軽減するための医薬として使用するための、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩に関する。
【0032】
本開示の第20の態様は、ミトコンドリア機能障害に関連する障害のリスクを治療、予防、又は軽減するための医薬として使用するための、式(I)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩に関する。
【0033】
本開示の第21の態様は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)レベルの減少に関連する疾患又は障害のリスクの治療、予防、又は軽減に使用するための、式(I)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩に関する。
【0034】
本開示の第22の態様は、ミトコンドリア機能障害に関連する障害のリスクの治療、予防、又は軽減に使用するための、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩に関する。
【0035】
本発明の第23の態様は、酸化的代謝の促進に使用するための、式(I)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩に関する。
【0036】
本開示の第24の態様は、下記式の1つ:
【化3-1】
【化3-2】
【0037】
を有する化合物、又はその医薬的に許容し得る塩であって、
α-アミノ-β-カルボキシムコン酸-ε-セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)機能障害に関連する疾患又は障害を治療するための医薬の製造における、上記化合物又は塩に関する。
【0038】
本開示の第25の態様は、下記式の1つ:
【化4-1】
【化4-2】
【0039】
を有する化合物、又はその医薬的に許容し得る塩であって、
α-アミノ-β-カルボキシムコン酸-ε-セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)機能障害に関連する疾患又は障害を治療するための医薬として使用するための、上記化合物又は塩に関する。
【0040】
本開示の第26の態様は、下記式の1つ:
【化5-1】
【化5-2】
【0041】
を有する化合物、又はその医薬的に許容し得る塩であって、
α-アミノ-β-カルボキシムコン酸-ε-セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)機能障害に関連する疾患又は障害を治療するために使用される、上記化合物又は塩に関する:
【0042】
いくつかの態様において、ACMSD調節化合物は、単独で、又は他のACMSD調節化合物又は他の治療剤を含む他の化合物と組み合わせて、投与することができる。
【0043】
特に別の指定がなければ、本明細書で使用される全ての技術用語と科学用語は、本開示が属する分野の当業者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書において、文脈上別の指定がなければ、単数形は複数形を包含する。本明細書に記載されたものと類似又は同等の方法及び材料は、以下に記載されるように、本開示の実施と試験、適切な方法、及び材料に使用することができる。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書で引用された参考文献は、特許請求された本開示の先行技術であると認められるものではない。矛盾する場合は、定義を含む本明細書が支配する。更に、材料、方法、及び実施例は例示的なものに過ぎず、本発明を限定することを意図するものではない。
【0044】
本開示の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】LC-MS/MSにより検出された、化合物4で処理されたヒト初代肝細胞における、測定されたNAD
+レベルのグラフである。
【
図2】異なる濃度の化合物17で24時間処理されLC-MS/MSにより検出された、マウス初代肝細胞における、測定されたNAD
+レベルのグラフである。データは、化合物17で処理されたマウス初代肝細胞におけるNAD
+レベルの増加を示す。
【
図3】対照として種々の濃度の化合物1及びモノ-(2-エチルヘキシル)フタレート(MEHP)で処理したヒト初代肝細胞における、測定されたNAD
+含量のグラフである。
【
図4】
図4Aは、化合物1で24時間処理されたAML-12細胞における、RT-qPCRにより測定されたAcmsd、Sod-1、及びSod-2の遺伝子発現のグラフである。
図4Bは、化合物1で24時間処理されたHepa-1.6細胞における、RT-qPCRにより測定されたSod-1及びSod-2の遺伝子発現のグラフである。
図4Cは、化合物17で24時間処理された初代マウス肝細胞における、RT-qPCRにより測定されたAcmsd、Sod-1、Sod-2、及びPgc1aの遺伝子発現のグラフである。棒グラフは平均±SEMを表し、***p≦0.005である。
【
図5】
図5Aは、化合物1で24時間処理されたAML-12細胞における、SOD2活性の調節を示すグラフである。
図5Bは、化合物17で24時間処理されたAML-12細胞における、SOD2活性の調節のグラフを示す。
図5Cは、化合物17で24時間処理された初代マウス肝細胞における、SOD2活性の調節のグラフを示す。
【
図6】
図6Aは、FoxO1リン酸化レベルに対する化合物1の作用を示すゲルである。
図6Bは、FoxO1リン酸化レベルに対する化合物17の作用を示すゲルである。
【
図7-1】
図7Aは、カエノラブディティス・エレガンス (Caenorhabditis elegans)(シー・エレガンス (C. elegans))におけるacmsd-1 RNAiサイレンシングによる、成体期の2日目にN2野生型虫で測定された、mRNAレベルのacsmd-1及びsod-3発現の変化のグラフである。
図7Bは、シー・エレガンス (C. elegans)におけるacmsd-1 RNAiサイレンシング後の、SOD-3gfpレポーター株を使用して定量された、成人期の3日目にN2虫のタンパク質レベルでのsod-3発現の誘導のグラフである。
図7Cは、シー・エレガンスにおいて特異的RNAiを供給することによる、acmsd-1のダウンレギュレーション時の虫の生存を示すグラフである。
図7Cは、acmsd-1のダウンレギュレーションが、SIR-2.1及びDAF-16依存的に虫の生存を改善することを示す。
図7Dは、虫がパラコート誘導性酸化ストレスに曝された時、acmsd-1のダウンレギュレーションが虫のストレス耐性を改善することを示すグラフである。
図7Eは、パラコート誘導性酸化ストレス条件下での、acmsd-1 RNAiを与えられた虫の経時的移動度を示すグラフである。
図7C~7Eは、acmsd-1発現の低下が、パラコート誘導性酸化ストレス下での虫の生存及び適応性を改善することを示している。
図7Fは、異なる成長段階でacmsd-1 RNAiに曝露された時の、パラコート誘導性ストレス下での虫の生存を示すグラフである。
図7Fは、パラコート条件下での虫の生存の改善が、虫がacmsd-1 RNAiに暴露された時の成長段階とは無関係であることを示している。
図7Gは、シー・エレガンスにおいて特異的RNAiを供給することにより、daf-16ダウンレギュレーションと組み合わせたacmsd-1のダウンレギュレーション時の、パラコート誘導性ストレス条件下での虫の生存を示すグラフである。
図7Gは、ダウンレギュレートされたacmsd-1を有する虫の改善された生存が、パラコート誘導性酸化ストレス条件下でdaf-16に依存することを示す。
【
図7-2】
図7Aは、カエノラブディティス・エレガンス (Caenorhabditis elegans)(シー・エレガンス (C. elegans))におけるacmsd-1 RNAiサイレンシングによる、成体期の2日目にN2野生型虫で測定された、mRNAレベルのacsmd-1及びsod-3発現の変化のグラフである。
図7Bは、シー・エレガンス (C. elegans)におけるacmsd-1 RNAiサイレンシング後の、SOD-3gfpレポーター株を使用して定量された、成人期の3日目にN2虫のタンパク質レベルでのsod-3発現の誘導のグラフである。
図7Cは、シー・エレガンスにおいて特異的RNAiを供給することによる、acmsd-1のダウンレギュレーション時の虫の生存を示すグラフである。
図7Cは、acmsd-1のダウンレギュレーションが、SIR-2.1及びDAF-16依存的に虫の生存を改善することを示す。
図7Dは、虫がパラコート誘導性酸化ストレスに曝された時、acmsd-1のダウンレギュレーションが虫のストレス耐性を改善することを示すグラフである。
図7Eは、パラコート誘導性酸化ストレス条件下での、acmsd-1 RNAiを与えられた虫の経時的移動度を示すグラフである。
図7C~7Eは、acmsd-1発現の低下が、パラコート誘導性酸化ストレス下での虫の生存及び適応性を改善することを示している。
図7Fは、異なる成長段階でacmsd-1 RNAiに曝露された時の、パラコート誘導性ストレス下での虫の生存を示すグラフである。
図7Fは、パラコート条件下での虫の生存の改善が、虫がacmsd-1 RNAiに暴露された時の成長段階とは無関係であることを示している。
図7Gは、シー・エレガンスにおいて特異的RNAiを供給することにより、daf-16ダウンレギュレーションと組み合わせたacmsd-1のダウンレギュレーション時の、パラコート誘導性ストレス条件下での虫の生存を示すグラフである。
図7Gは、ダウンレギュレートされたacmsd-1を有する虫の改善された生存が、パラコート誘導性酸化ストレス条件下でdaf-16に依存することを示す。
【
図8】
図8Aは、シスプラチンと組合せた異なる濃度の化合物18で処理した時に、MDCK細胞においてシスプラチンにより誘導されるカスパーゼ3/7活性の変化のグラフである。
図8Bは、シスプラチン添加の1時間前に、異なる濃度の化合物18で処理された時の、MDCK細胞におけるシスプラチンにより誘導されたカスパーゼ3/7活性の変化のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
式(I)の化合物
本開示は、式(I):
【化6】
[式中、
Xは、O、OH、又はClであり;
Lは、-(CH
2)
mCH
2CH
2-、-(CH
2)
mY(CH
2)
p-、-(CH
2)
mC(O)(CH
2)
p-、-(CH
2)
mC(O)O(CH
2)
p-、-(CH
2)
mC(O)NR
2(CH
2)
p-、又は-(CH
2)
mNR
2C(O)(CH
2)
pであり;
Yは、O、N、又はS(O)
qであり;
R
1は、C
6~C
10アリール又はヘテロアリールであって、このアリール及びヘテロアリールは、R
a及びR
bで置換され、かつ任意に1つ以上のR
eで置換され;
R
2は、H又はC
1~C
6アルキルであり;
R
a及びR
bの一方は水素であり、もう一方は、-(CH
2)
rCO
2R
x、-OCH
2CO
2R
x、-(CH
2)
rテトラゾール、-(CH
2)
rオキサジアゾロン、-(CH
2)
rテトラゾロン、-(CH
2)
rチアジアゾロール、-(CH
2)
rイソオキサゾール-3-オール、-(CH
2)
rP(O)(OH)OR
x、-(CH
2)
rS(O)
2OH、-(CH
2)
rC(O)NHCN、又は-(CH
2)
rC(O)NHS(O)
2アルキルであり;
R
cは、H、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル、ハロゲン、-CN、-OR
x、-CO
2R
x、又はNO
2であり;
R
dは、メチル、任意に置換された5員~10員アリール、任意に置換された5員若しくは6員ヘテロアリール、又は任意に置換された5員若しくは6員炭素環であり;
各R
xは、それぞれ独立して、水素又はC
1~C
6アルキルであり;
各R
eは、独立して、C
1~C
6アルキル、C
2~C
6アルケニル、C
2~C
6アルキニル、ハロゲン、-OR
y、C
1~C
6ハロアルキル、-NHR
z、-OH、又は-CNであり;
R
fは、Hであるか又は存在せず;
各R
y及びR
zは、独立して、水素、C
1~C
6アルキル、又はC
1~C
6ハロアルキルであり;
各m及びpは、独立して0、1、又は2であって、m+p<3であり;
qは、0、1、又は2であり;
rは、0又は1であり;そして
点線は、任意の二重結合であるが、
【0047】
ただし、
XがOであり、Lが-SCH2-であり、そしてRdが任意に置換されたフェニルである時、Rcは水素又は-CNではなく、
XがOであり、Lが-SCH2-であり、そしてRdがメチルである時、RcはC1~C6アルキルではなく、そして
Lが-SCH2-であり、そしてRdが2-フリルである時、Rcは-CNではない]で示される化合物、
又はその医薬的に許容し得る塩若しくは互変異性体に関する。
【0048】
式(I)のある実施態様において、Xは、O、OH、又はClである。他の実施態様において、XはOである。他の実施態様において、XはOHである。他の実施態様において、XはClである。
【0049】
式(I)のある実施態様において、Lは、-(CH2)mCH2CH2-、-(CH2)mY(CH2)p-、-(CH2)mC(O)(CH2)p-、-(CH2)mC(O)O(CH2)p-、-(CH2)mC(O)NR2(CH2)p-、又は-(CH2)mNR2C(O)(CH2)pである。他の実施態様において、Lは、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-SCH2-、-SCH2CH2-、-CH2S-、-CH2SCH2-、-CH2CH2S-、-S(O)CH2-、-S(O)CH2CH2-、-CH2S(O)-、-CH2S(O)CH2-、-CH2CH2S(O)-、-S(O)2CH2-、-S(O)2CH2CH2-、-CH2S(O)2-、-CH2S(O)2CH2-、-CH2CH2S(O)2-、-OCH2-、-OCH2CH2-、-CH2O-、-CH2OCH2-、-CH2CH2O-、-NR2CH2-、-CH2NR2-、-CH2NR2CH2-、-CH2CH2NR2-、-NR2CH2CH2-、-C(O)CH2-、-C(O)CH2CH2-、-C(O)O-、-C(O)OCH2-、-CH2C(O)O-、-C(O)NR2-、-C(O)NR2CH2-、-NR2C(O)、-NR2C(O)CH2、又は-CH2NR2C(O)である。他の実施態様において、Lは、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-SCH2-、-SCH2CH2-、-S(O)CH2-、-S(O)CH2CH2-、-S(O)2CH2-、-S(O)2CH2CH2-、-OCH2-、-OCH2CH2-、-NR2CH2-、-NR2CH2CH2-、-C(O)CH2-、-C(O)CH2CH2-、-C(O)O-、-C(O)OCH2-、-CH2C(O)O-、-C(O)NR2-、-C(O)NR2CH2-、-NR2C(O)、又は-NR2C(O)CH2である。他の実施態様において、Lは、-CH2CH2-、-CH2C(O)-、-C(O)CH2-、-NR2CH2-、CH2NR2-、-OCH2-、-CH2O-、-SCH2-、-CH2S-、-S(O)CH2-、-CH2S(O)-、-CH2S(O)2-、又は-S(O)2CH2-である。
【0050】
式(I)のある実施態様において、R1は、C6~C10アリール又はヘテロアリールであって、このアリール及びヘテロアリールは、Ra及びRbで置換され、かつ任意に1つ以上のReで置換されている。他の実施態様において、R1は、Ra及びRbで置換され、かつ任意に1つ以上のReで置換されている、C6~C10アリールである。他の実施態様において、R1は、Ra及びRbで置換され、かつ任意に1つ以上のReで置換されている、ヘテロアリールである。更なる実施態様において、R1は、Ra及びRbで置換され、かつ任意に1つ以上のReで置換されている、フェニルである。
【0051】
式(I)のある実施態様において、Raは、-(CH2)rCO2Rx、-OCH2CO2Rx、-(CH2)rテトラゾール、-(CH2)rオキサジアゾロン、-(CH2)rテトラゾロン、-(CH2)rチアジアゾロール、-(CH2)rイソオキサゾール-3-オール、-(CH2)rP(O)(OH)ORx、-(CH2)rS(O)2OH、-(CH2)rC(O)NHCN、又は-(CH2)rC(O)NHS(O)2アルキルである。他の実施態様において、Raは、-(CH2)rCO2Rx、-OCH2CO2Rx、テトラゾール、-(CH2)テトラゾール、オキサジアゾロン、-(CH2)オキサジアゾロン、テトラゾロン、-(CH2)テトラゾロン、チアジアゾロール、-(CH2)チアジアゾロール、イソオキサゾール-3-オール、-(CH2)イソオキサゾール-3-オール、-P(O)(OH)ORx、-(CH2)P(O)(OH)ORx、-S(O)2OH、-(CH2)S(O)2OH、-C(O)NHCN、-(CH2)C(O)NHCN、-C(O)NHS(O)2アルキル、又は-(CH2)C(O)NHS(O)2アルキルである。他の実施態様において、Raは、水素、CO2Rx、CH2CO2Rx、テトラゾール、又はオキサジアゾロンである。更なる実施態様において、Raは、水素、CO2H、CH2CO2H、テトラゾール、又は1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オンである。
【0052】
式(I)のある実施態様において、Rbは、-(CH2)rCO2Rx、-OCH2CO2Rx、-(CH2)rテトラゾール、-(CH2)rオキサジアゾロン、-(CH2)rテトラゾロン、-(CH2)rチアジアゾロール、-(CH2)rイソオキサゾール-3-オール、-(CH2)rP(O)(OH)ORx、-(CH2)rS(O)2OH、-(CH2)rC(O)NHCN、又は-(CH2)rC(O)NHS(O)2アルキルである。他の実施態様において、Rbは、-(CH2)rCO2Rx、-OCH2CO2Rx、テトラゾール、-(CH2)テトラゾール、オキサジアゾロン、-(CH2)オキサジアゾロン、テトラゾロン、-(CH2)テトラゾロン、チアジアゾロール、-(CH2)チアジアゾロール、イソオキサゾール-3-オール、-(CH2)イソオキサゾール-3-オール、-P(O)(OH)ORx、-(CH2)P(O)(OH)ORx、-S(O)2OH、-(CH2)S(O)2OH、-C(O)NHCN、-(CH2)C(O)NHCN、-C(O)NHS(O)2アルキル、又は-(CH2)C(O)NHS(O)2アルキルである。他の実施態様において、Rbは、水素、CO2Rx、CH2CO2Rx、テトラゾール、又はオキサジアゾロンである。更なる実施態様において、Rbは、水素、CO2H、CH2CO2H、テトラゾール、又は1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オンである。更なる実施態様において、Rbは、水素である。
【0053】
式(I)のある実施態様において、Rcは、H、C1~C6アルキル、C1~C6ハロアルキル、ハロゲン、-CN、-ORx、-CO2Rx、又はNO2である。他の実施態様において、Rcは、C1~C6アルキル、C1~C6ハロアルキル、ハロゲン、-CN、-ORx、-CO2Rx、又はNO2である。他の実施態様において、Rcは、ハロゲン、-CN、-ORx、又はC1~C6アルキルである。他の実施態様において、Rcは、ハロゲン、-CN、-ORx、又はC1~C3アルキルである。他の実施態様において、Rcは、H、-CN、又はハロゲンである。他の実施態様において、Rcは、-CN又はハロゲンである。
【0054】
式(I)のある実施態様において、Rdは、メチル、任意に置換された5員~10員アリール、任意に置換された5員若しくは6員ヘテロアリール、又は任意に置換された5員若しくは6員炭素環である。他の実施態様において、Rdは、メチル、任意にシクロヘキシル、任意に置換されたピリジニル、任意に置換されたチアゾリル、任意に置換されたフェニル、又は任意に置換されたチエニルである。他の実施態様において、Rdは、メチル、シクロヘキシル、ピリジニル、チアゾリル、フェニル、又はチエニルである。他の実施態様において、Rdは、シクロヘキシル、ピリジニル、チアゾリル、フェニル又はチエニルであって、それぞれが、ハロゲン、C1~C6アルキル、C1~C6ヒドロキシアルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、C1~C6ハロアルコキシ、-OH、CN、及びアミノから独立して選択される、1つ以上の置換基で任意に置換されている。他の実施態様において、Rdは、シクロヘキシル、ピリジニル、チアゾリル、フェニル、又はチエニルであって、それぞれが、ハロゲン、C1~C6アルキル、C1~C6ヒドロキシアルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、及びC1~C6ハロアルコキシから独立して選択される、1つ以上の置換基で任意に置換されている。他の実施態様において、Rdは、シクロヘキシル、ピリジニル、チアゾリル、フェニル、又はチエニルであって、それぞれが、1つ以上のハロゲンで任意に置換されている。更に他の実施態様において、Rdは、シクロヘキシル、ピリジニル、チアゾリル、フェニル、又はチエニルである。他の実施態様において、Rdは、シクロヘキシル、ピリジニル、チアゾリル、フェニル、4-クロロフェニル、4-メチルフェニル、又はチエニルである。
【0055】
式(I)のある実施態様において、各Reは、独立して、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、ハロゲン、-ORy、C1~C6ハロアルキル、-NHRz、-OH、又は-CNである。他の実施態様において、Reは、C1~C4アルキル、C2~C4アルケニル、C2~C4アルキニル、ハロゲン、-ORy、C1~C4ハロアルキル、-NHRz、-OH、又は-CNである。
【0056】
式(I)のある実施態様において、Rfは、Hであるか又は存在しない。他の実施態様において、RfはHである。他の実施態様において、Rfは、これが結合しているNが二重結合に関与する場合、存在しない。
【0057】
式(I)のある実施態様において、Rxは、水素又はC1~C6アルキルである。他の実施態様において、Rxは、水素又はC1~C3アルキルである。更なる実施態様において、Rxは、水素、メチル、エチル、n-プロピル、又はイソプロピルである。
【0058】
式(I)のある実施態様において、Ryは、独立して、水素、C1~C6アルキル、又はC1~C6ハロアルキルである。他の実施態様において、Ryは、水素、C1~C3アルキル、又はC1~C3ハロアルキルである。
【0059】
式(I)のある実施態様において、各Rzは、独立して、水素、C1~C6アルキル、又はC1~C6ハロアルキルである。他の実施態様において、Rzは、水素、C1~C3アルキル、又はC1~C3ハロアルキルである。
【0060】
式(I)のある実施態様において、mは、0、1、又は2である。他の実施態様において、mは0である。他の実施態様において、mは1である。更に他の実施態様において、mは2である。
【0061】
式(I)のある実施態様において、pは、0、1、又は2である。他の実施態様において、pは0である。他の実施態様において、pは1である。更に他の実施態様において、pは2である。
【0062】
式(I)のある実施態様において、m+p<3である。
【0063】
式(I)のある実施態様において、qは、0、1、又は2である。他の実施態様において、qは0である。他の実施態様において、qは1である。他の実施態様において、qは2である。
【0064】
式(I)のある実施態様において、rは、0又は1である。他の実施態様において、rは0である。他の実施態様において、rは1である。
【0065】
式(I)のある実施態様において、点線は1重結合である。他の実施態様において、点線は二重結合である。
【0066】
式(I)のある実施態様において、Ra及びRbの一方は水素であり、もう一方は、CO2Rx、CH2CO2Rx、テトラゾール、又はオキサジアゾロンである。他の実施態様において、Rbは水素であり、そしてRaは、CH2CO2Rx、テトラゾール、又は(1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン)である。
【0067】
式(I)のある実施態様において、Rbは水素であり、Rcは-CNであり、Rdはチエニルであり、そしてRaはCH2CO2H、テトラゾール、又は(1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン)である。
【0068】
式(I)のある実施態様において、Rcはハロゲンであり、Raは-CO2Hであり、そしてRbはHである。他の実施態様において、Rcは-Brであり、Raは-CO2Hであり、そしてRbはHである。更なる実施態様において、Rcは-Clであり、Raは-CO2Hであり、そしてRbはHである。
【0069】
式(I)のある実施態様において、Rcはハロゲンであり、Raはテトラゾールであり、そしてRbはHである。他の実施態様において、Rcは-Brであり、Raはテトラゾールであり、そしてRbはHである。更なる実施態様において、Rcは-Clであり、Raはテトラゾールであり、そしてRbはHである。
【0070】
式(I)のある実施態様において、Rcはハロゲンであり、Raは-CH2CO2Hであり、そしてRbはHである。他の実施態様において、Rcは-Brであり、Raは-CH2CO2Hであり、そしてRbはHである。更なる実施態様において、Rcは-Clであり、Raは-CH2CO2Hであり、そしてRbはHである。
【0071】
式(I)のある実施態様において、Rcはハロゲンであり、Raは(1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン)であり、そしてRbはHである。他の実施態様において、Rcは-Brであり、Raは(1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン)であり、そしてRbはHである。他の実施態様において、Rcは-Clであり、Raは(1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン)であり、そしてRbはHである。
【0072】
式(I)のある実施態様において、Rcは-CNであり、Raは-CO2Hであり、そしてRbはHである。他の実施態様において、Rcは-CNであり、Raは-CH2CO2Hであり、そしてRbはHである。他の実施態様において、Rcは-CNであり、Raはテトラゾールであり、そしてRbはHである。更に他の実施態様において、Rcは-CNであり、Raは(1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン)であり、そしてRbはHである。
【0073】
式(I)のある実施態様において、Rcは水素又は-CNではなく、かつXはOであり、Lは-SCH2-であり、そしてRdは任意に置換されたフェニルである。他の実施態様において、RcはC1~C6アルキルではなく、かつXはOであり、Lは-SCH2-であり、そしてRdはメチルである。他の実施態様において、Rcは-CNではなく、かつXはOであり、Lは-SCH2-であり、かつRdは2-フリルである。
【0074】
式(I)のある実施態様において、XがOであり、Lが-SCH2-であり、そしてRdが任意に置換されたフェニルである時、Rcは、水素又は-CNではない。
【0075】
式(I)のある実施態様において、XがOであり、Lが-SCH2-であり、そしてRdがメチルである時、RcはC1~C6アルキルではない。
【0076】
式(I)のある実施態様において、XがOであり、Lが-SCH2-であり、そしてRdが2-フリルである時、Rcは-CNではない。
【0077】
1つの実施態様において、式(I)の化合物は、式(Ia):
【化7】
[式中、
Lは、-(CH
2)
mCH
2CH
2-、-(CH
2)
mY(CH
2)
p-、-(CH
2)
mC(O)(CH
2)
p-、-(CH
2)
mC(O)O(CH
2)
p-、-(CH
2)
mC(O)NR
2(CH
2)
p-、又は-(CH
2)
mNR
2C(O)(CH
2)
pであり;
Yは、O、N、又はS(O)
qであり;
R
1は、C
6~C
10アリール又はヘテロアリールであって、このアリール及びヘテロアリールは、R
a及びR
bで置換され、かつ任意に1つ以上のR
eで置換され;
R
2は、H又はC
1~C
6アルキルであり;
R
a及びR
bの一方は水素であり、もう一方は、-(CH
2)
rCO
2R
x、-OCH
2CO
2R
x、-(CH
2)
rテトラゾール、-(CH
2)
rオキサジアゾロン、-(CH
2)
rテトラゾロン、-(CH
2)
rチアジアゾロール、-(CH
2)
rイソオキサゾール-3-オール、-(CH
2)
rP(O)(OH)OR
x、-(CH
2)
rS(O)
2OH、-(CH
2)
rC(O)NHCN、又は-(CH
2)
rC(O)NHS(O)
2アルキルであり;
R
cは、H、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル、ハロゲン、-CN、-OR
x、-CO
2R
x、又はNO
2であり;
R
dは、メチル、任意に置換された5員~10員アリール、任意に置換された5員若しくは6員ヘテロアリール、又は任意に置換された5員若しくは6員炭素環であり;
各R
xは、それぞれ独立して、水素又はC
1~C
6アルキルであり;
各R
eは、独立して、C
1~C
6アルキル、C
2~C
6アルケニル、C
2~C
6アルキニル、ハロゲン、-OR
y、C
1~C
6ハロアルキル、-NHR
z、-OH、又は-CNであり;
各R
y及びR
zは、独立して、水素、C
1~C
6アルキル、又はC
1~C
6ハロアルキルであり;
各m及びpは、独立して0、1、又は2であって、m+p<3であり;
qは、0、1、又は2であり;そして
rは、0又は1である
【0078】
(ただし、
Lが-SCH2-であり、そしてRdが任意に置換されたフェニルである時、Rcは水素又は-CNではなく、
Lが-SCH2-であり、そしてRdがメチルである時、RcはC1~C6アルキルではなく、そして
Lが-SCH2-であり、そしてRdが2-フリルである時、Rcは-CNではない)]、
又はその医薬的に許容し得る塩若しくは互変異性体によって表される。
【0079】
式(Ia)のある実施態様において、
Lは、-CH2CH2-、-CH2C(O)-、-C(O)CH2-、-NR2CH2-、CH2NR2-、-OCH2-、-CH2O-、-SCH2-、-CH2S-、-S(O)CH2-、-CH2S(O)-、-CH2S(O)2-、又は-S(O)2CH2-であり;
Yは、O、N、又はS(O)qであり;
R1は、C6~C10アリール又はヘテロアリールであって、このアリール及びヘテロアリールは、Ra及びRbで置換され、かつ任意に1つ以上のReで置換され;
R2は、H又はC1~C6アルキルであり;
Ra及びRbの一方は水素であり、もう一方は、-(CH2)rCO2Rx、-OCH2CO2Rx、-(CH2)rテトラゾール、-(CH2)rオキサジアゾロン、-(CH2)rテトラゾロン、-(CH2)rチアジアゾロール、-(CH2)rイソオキサゾール-3-オール、-(CH2)rP(O)(OH)ORx、-(CH2)rS(O)2OH、-(CH2)rC(O)NHCN、又は-(CH2)rC(O)NHS(O)2アルキルであり;
Rcは、C1~C6アルキル、C1~C6ハロアルキル、ハロゲン、-CN、-ORx、-CO2Rx、又はNO2であり;
Rdは、メチル、任意に置換された5員~10員アリール、任意に置換された5員若しくは6員ヘテロアリール、又は任意に置換された5員若しくは6員炭素環であり;
各Rxは、それぞれ独立して、水素又はC1~C6アルキルであり;
各Reは、独立して、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、ハロゲン、-ORy、C1~C6ハロアルキル、-NHRz、-OH、又は-CNであり;
各Ry及びRzは、独立して、水素、C1~C6アルキル、又はC1~C6ハロアルキルであり;
各m及びpは、独立して0、1、又は2であって、m+p<3であり;
qは、0、1、又は2であり;そして
rは、0又は1である
【0080】
(ただし、
Lが-SCH2-であり、そしてRdが任意に置換されたフェニルである時、Rcは水素又は-CNではなく、
Lが-SCH2-であり、そしてRdがメチルである時、RcはC1~C6アルキルではなく、そして
Lが-SCH2-であり、そしてRdが2-フリルである時、Rcは-CNではない)。
【0081】
式(Ia)のある実施態様において、Lは、-(CH2)mCH2CH2-、-(CH2)mY(CH2)p-、-(CH2)mC(O)(CH2)p-、-(CH2)mC(O)O(CH2)p-、-(CH2)mC(O)NR2(CH2)p-、又は-(CH2)mNR2C(O)(CH2)pである。他の実施態様において、Lは、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-SCH2-、-SCH2CH2-、-CH2S-、-CH2SCH2-、-CH2CH2S-、-S(O)CH2-、-S(O)CH2CH2-、-CH2S(O)-、-CH2S(O)CH2-、-CH2CH2S(O)-、-S(O)2CH2-、-S(O)2CH2CH2-、-CH2S(O)2-、-CH2S(O)2CH2-、-CH2CH2S(O)2-、-OCH2-、-OCH2CH2-、-CH2O-、-CH2OCH2-、-CH2CH2O-、-NR2CH2-、-CH2NR2-、-CH2NR2CH2-、-CH2CH2NR2-、-NR2CH2CH2-、-C(O)CH2-、-C(O)CH2CH2-、-C(O)O-、-C(O)OCH2-、-CH2C(O)O-、-C(O)NR2-、-C(O)NR2CH2-、-NR2C(O)、-NR2C(O)CH2、又は-CH2NR2C(O)である。他の実施態様において、Lは、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-SCH2-、-SCH2CH2-、-S(O)CH2-、-S(O)CH2CH2-、-S(O)2CH2-、-S(O)2CH2CH2-、-OCH2-、-OCH2CH2-、-NR2CH2-、-NR2CH2CH2-、-C(O)CH2-、-C(O)CH2CH2-、-C(O)O-、-C(O)OCH2-、-CH2C(O)O-、-C(O)NR2-、-C(O)NR2CH2-、-NR2C(O)、又は-NR2C(O)CH2である。他の実施態様において、Lは、-CH2CH2-、-CH2C(O)-、-C(O)CH2-、-NR2CH2-、CH2NR2-、-OCH2-、-CH2O-、-SCH2-、-CH2S-、-S(O)CH2-、-CH2S(O)-、-CH2S(O)2-、又は-S(O)2CH2-である。
【0082】
式(Ia)のある実施態様において、R1は、C6~C10アリール又はヘテロアリールであって、このアリール及びヘテロアリールは、Ra及びRbで置換され、かつ任意に1つ以上のReで置換されている。他の実施態様において、R1は、Ra及びRbで置換され、かつ任意に1つ以上のReで置換されている、C6~C10アリールである。他の実施態様において、R1は、Ra及びRbで置換され、かつ任意に1つ以上のReで置換されている、ヘテロアリールである。更なる実施態様において、R1は、Ra及びRbで置換され、かつ任意に1つ以上のReで置換されている、フェニルである。
【0083】
式(Ia)のある実施態様において、Raは、-(CH2)rCO2Rx、-OCH2CO2Rx、-(CH2)rテトラゾール、-(CH2)rオキサジアゾロン、-(CH2)rテトラゾロン、-(CH2)rチアジアゾロール、-(CH2)rイソオキサゾール-3-オール、-(CH2)rP(O)(OH)ORx、-(CH2)rS(O)2OH、-(CH2)rC(O)NHCN、又は-(CH2)rC(O)NHS(O)2アルキルである。他の実施態様において、Raは、-(CH2)rCO2Rx、-OCH2CO2Rx、テトラゾール、-(CH2)テトラゾール、オキサジアゾロン、-(CH2)オキサジアゾロン、テトラゾロン、-(CH2)テトラゾロン、チアジアゾロール、-(CH2)チアジアゾロール、イソオキサゾール-3-オール、-(CH2)イソオキサゾール-3-オール、-P(O)(OH)ORx、-(CH2)P(O)(OH)ORx、-S(O)2OH、-(CH2)S(O)2OH、-C(O)NHCN、-(CH2)C(O)NHCN、-C(O)NHS(O)2アルキル、又は-(CH2)C(O)NHS(O)2アルキルである。他の実施態様において、Raは、水素、CO2Rx、CH2CO2Rx、テトラゾール、又はオキサジアゾロンである。更なる実施態様において、Raは、水素、CO2H、CH2CO2H、テトラゾール、又は1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オンである。
【0084】
式(Ia)のある実施態様において、Rbは、-(CH2)rCO2Rx、-OCH2CO2Rx、-(CH2)rテトラゾール、-(CH2)rオキサジアゾロン、-(CH2)rテトラゾロン、-(CH2)rチアジアゾロール、-(CH2)rイソオキサゾール-3-オール、-(CH2)rP(O)(OH)ORx、-(CH2)rS(O)2OH、-(CH2)rC(O)NHCN、又は-(CH2)rC(O)NHS(O)2アルキルである。他の実施態様において、Rbは、-(CH2)rCO2Rx、-OCH2CO2Rx、テトラゾール、-(CH2)テトラゾール、オキサジアゾロン、-(CH2)オキサジアゾロン、テトラゾロン、-(CH2)テトラゾロン、チアジアゾロール、-(CH2)チアジアゾロール、イソオキサゾール-3-オール、-(CH2)イソオキサゾール-3-オール、-P(O)(OH)ORx、-(CH2)P(O)(OH)ORx、-S(O)2OH、-(CH2)S(O)2OH、-C(O)NHCN、-(CH2)C(O)NHCN、-C(O)NHS(O)2アルキル、又は-(CH2)C(O)NHS(O)2アルキルである。他の実施態様において、Rbは、水素、CO2Rx、CH2CO2Rx、テトラゾール、又はオキサジアゾロンである。更なる実施態様において、Rbは、水素、CO2H、CH2CO2H、テトラゾール、又は1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オンである。更なる実施態様において、Rbは、水素である。
【0085】
式(Ia)のある実施態様において、Rcは、H、C1~C6アルキル、C1~C6ハロアルキル、ハロゲン、-CN、-ORx、-CO2Rx、又はNO2である。他の実施態様において、Rcは、C1~C6アルキル、C1~C6ハロアルキル、ハロゲン、-CN、-ORx、-CO2Rx、又はNO2である。他の実施態様において、Rcは、ハロゲン、-CN、-ORx、又はC1~C6アルキルである。他の実施態様において、Rcは、ハロゲン、-CN、-ORx、又はC1~C3アルキルである。他の実施態様において、Rcは、H、-CN、又はハロゲンである。他の実施態様において、Rcは、-CN又はハロゲンである。
【0086】
式(Ia)のある実施態様において、Rdは、メチル、任意に置換された5員~10員アリール、任意に置換された5員若しくは6員ヘテロアリール、又は任意に置換された5員若しくは6員炭素環である。他の実施態様において、Rdは、メチル、任意にシクロヘキシル、任意に置換されたピリジニル、任意に置換されたチアゾリル、任意に置換されたフェニル、又は任意に置換されたチエニルである。他の実施態様において、Rdは、シクロヘキシル、ピリジニル、チアゾリル、フェニル又はチエニルであって、それぞれが、ハロゲン、C1~C6アルキル、C1~C6ヒドロキシアルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、C1~C6ハロアルコキシ、-OH、CN、及びアミノから独立して選択される、1つ以上の置換基で任意に置換されている。他の実施態様において、Rdは、シクロヘキシル、ピリジニル、チアゾリル、フェニル、又はチエニルであって、それぞれが、ハロゲン、C1~C6アルキル、C1~C6ヒドロキシアルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、及びC1~C6ハロアルコキシから独立して選択される、1つ以上の置換基で任意に置換されている。他の実施態様において、Rdは、シクロヘキシル、ピリジニル、チアゾリル、フェニル、又はチエニルであって、それぞれが、1つ以上のハロゲンで任意に置換されている。他の実施態様において、Rdは、メチル、シクロヘキシル、ピリジニル、チアゾリル、フェニル、又はチエニルである。更に他の実施態様において、Rdは、シクロヘキシル、ピリジニル、チアゾリル、フェニル、又はチエニルである。他の実施態様において、Rdは、シクロヘキシル、ピリジニル、チアゾリル、フェニル、4-クロロフェニル、4-メチルフェニル、又はチエニルである。
【0087】
式(Ia)のある実施態様において、各Reは、独立して、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、ハロゲン、-ORy、C1~C6ハロアルキル、-NHRz、-OH、又は-CNである。他の実施態様において、Reは、C1~C4アルキル、C2~C4アルケニル、C2~C4アルキニル、ハロゲン、-ORy、C1~C4ハロアルキル、-NHRz、-OH、又は-CNである。
【0088】
式(Ia)のある実施態様において、Rxは、水素又はC1~C6アルキルである。他の実施態様において、Rxは、水素又はC1~C3アルキルである。更なる実施態様において、Rxは、水素、メチル、エチル、n-プロピル、又はイソプロピルである。
【0089】
式(Ia)のある実施態様において、Ryは、独立して、水素、C1~C6アルキル、又はC1~C6ハロアルキルである。他の実施態様において、Ryは、水素、C1~C3アルキル、又はC1~C3ハロアルキルである。
【0090】
式(Ia)のある実施態様において、各Rzは、独立して、水素、C1~C6アルキル、又はC1~C6ハロアルキルである。他の実施態様において、Rzは、水素、C1~C3アルキル、又はC1~C3ハロアルキルである。
【0091】
式(Ia)のある実施態様において、mは、0、1、又は2である。他の実施態様において、mは0である。他の実施態様において、mは1である。更に他の実施態様において、mは2である。
【0092】
式(Ia)のある実施態様において、pは、0、1、又は2である。他の実施態様において、pは0である。他の実施態様において、pは1である。更に他の実施態様において、pは2である。
【0093】
式(Ia)のある実施態様において、qは、0、1、又は2である。他の実施態様において、qは0である。他の実施態様において、qは1である。他の実施態様において、qは2である。
【0094】
式(Ia)のある実施態様において、rは、0又は1である。他の実施態様において、rは0である。他の実施態様において、rは1である。
【0095】
式(Ia)のある実施態様において、Ra及びRbの一方は水素であり、もう一方は、-CO2Rx、-CH2CO2Rx、テトラゾール、又はオキサジアゾロンである。他の実施態様において、Rbは水素であり、そしてRaは、-CH2CO2Rx、テトラゾール、又は(1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン)である。
【0096】
式(Ia)のある実施態様において、Rbは水素であり、Rcは-CNであり、Rdはチエニルであり、そしてRaは、CH2CO2H、テトラゾール又は(1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン)である。
【0097】
式(Ia)のある実施態様において、Rcはハロゲンであり、Raは-CO2Hであり、そしてRbはHである。他の実施態様において、Rcは-Brであり、Raは-CO2Hであり、そしてRbはHである。更なる実施態様において、Rcは-Clであり、Raは-CO2Hであり、そしてRbはHである。
【0098】
式(Ia)のある実施態様において、Rcはハロゲンであり、Raはテトラゾールであり、そしてRbはHである。他の実施態様において、Rcは-Brであり、Raはテトラゾールであり、そしてRbはHである。更なる実施態様において、Rcは-Clであり、Raはテトラゾールであり、そしてRbはHである。
【0099】
式(Ia)のある実施態様において、Rcはハロゲンであり、Raは-CH2CO2Hであり、そしてRbはHである。他の実施態様において、Rcは-Brであり、Raは-CH2CO2Hであり、そしてRbはHである。更なる実施態様において、Rcは-Clであり、Raは-CH2CO2Hであり、そしてRbはHである。
【0100】
式(Ia)のある実施態様において、Rcはハロゲンであり、Raは(1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン)であり、そしてRbはHである。他の実施態様において、Rcは-Brであり、Raは(1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン)であり、そしてRbはHである。他の実施態様において、Rcは-Clであり、Raは(1,2,4-オキサジアゾール-5-(4H)-オン)であり、そしてRbはHである。
【0101】
式(Ia)のある実施態様において、Rcは-CNであり、Raは-CO2Hであり、そしてRbはHである。他の実施態様において、Rcは-CNであり、Raは-CH2CO2Hであり、そしてRbはHである。他の実施態様において、Rcは-CNであり、Raはテトラゾールであり、そしてRbはHである。更に他の実施態様において、Rcは-CNであり、Raは(1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン)であり、そしてRbはHである。
【0102】
式(Ia)のある実施態様において、Rcは水素又は-CNではなく、かつLは-SCH2-であり、そしてRdは任意に置換されたフェニルである。他の実施態様において、RcはC1~C6アルキルではなく、かつLは-SCH2-であり、そしてRdはメチルである。他の実施態様において、Rcは-CNではなく、かつLは-SCH2-であり、そしてRdは2-フリルである。
【0103】
式(Ia)のある実施態様において、Lが-SCH2-であり、そしてRdが任意に置換されたフェニルである時、Rcは、水素又は-CNではない。
【0104】
式(Ia)のある実施態様において、Lが-SCH2-であり、そしてRdがメチルである時、RcはC1~C6アルキルではない。
【0105】
式(Ia)のある実施態様において、Lが-SCH2-であり、そしてRdが2-フリルである時、Rcは-CNではない。
【0106】
別の実施態様において、式(I)の化合物は、式(Ib):
【化8】
[式中、
R
a及びR
bの一方は水素であり、もう一方は、-(CH
2)
rCO
2R
x、-OCH
2CO
2R
x、-(CH
2)
rテトラゾール、-(CH
2)
rオキサジアゾロン、-(CH
2)
rテトラゾロン、-(CH
2)
rチアジアゾロール、-(CH
2)
rイソオキサゾール-3-オール、-(CH
2)
rP(O)(OH)OR
x、-(CH
2)
rS(O)
2OH、-(CH
2)
rC(O)NHCN、又は-(CH
2)
rC(O)NHS(O)
2アルキルであり;
R
cは、H、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル、ハロゲン、-CN、-OR
x、-CO
2R
x、又はNO
2であり;
R
dは、メチル、任意に置換された5員~10員アリール、任意に置換された5員若しくは6員ヘテロアリール、又は任意に置換された5員若しくは6員炭素環であり;
各R
xは、それぞれ独立して、水素又はC
1~C
6アルキルであり;
各R
eは、独立して、C
1~C
6アルキル、C
2~C
6アルケニル、C
2~C
6アルキニル、ハロゲン、-OR
y、C
1~C
6ハロアルキル、-NHR
z、-OH、又は-CNであり;
各R
y及びR
zは、独立して、水素、C
1~C
6アルキル、又はC
1~C
6ハロアルキルであり;そして
nは、0、1、2、又は3である
【0107】
(ただし、
Rdが任意に置換されたフェニルである時、Rcは水素又は-CNではなく、
Rdがメチルである時、RcはC1~C6アルキルではなく、そして
Rdが2-フリルである時、Rcは-CNではない)]、
又はその医薬的に許容し得る塩によって表される。
【0108】
式(Ib)のある実施態様において、
Ra及びRbの一方は水素であり、もう一方は、-(CH2)rCO2Rx、-OCH2CO2Rx、-(CH2)rテトラゾール、-(CH2)rオキサジアゾロン、-(CH2)rテトラゾロン、-(CH2)rチアジアゾロール、-(CH2)rイソオキサゾール-3-オール、-(CH2)rP(O)(OH)ORx、-(CH2)rS(O)2OH、-(CH2)rC(O)NHCN、又は-(CH2)rC(O)NHS(O)2アルキルであり;
Rcは、C1~C6アルキル、C1~C6ハロアルキル、ハロゲン、-CN、-ORx、-CO2Rx、又はNO2であり;
Rdは、メチル、任意に置換された5員~10員アリール、任意に置換された5員若しくは6員ヘテロアリール、又は任意に置換された5員若しくは6員炭素環であり;
各Rxは、それぞれ独立して、水素又はC1~C6アルキルであり;
各Reは、独立して、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、ハロゲン、-ORy、C1~C6ハロアルキル、-NHRz、-OH、又は-CNである
【0109】
(ただし、
Rdが任意に置換されたフェニルである時、Rcは水素又は-CNではなく、
Rdがメチルである時、RcはC1~C6アルキルではなく、そして
Rdが2-フリルである時、Rcは-CNではない)。
【0110】
式(Ib)のある実施態様において、
Ra及びRbの一方は水素であり、もう一方は、-CO2Rx、-CH2CO2Rx、テトラゾール、又はオキサジアゾロンであり;
Rcは、ハロゲン、-CN、-ORx、又はC1~C6アルキルであり;
Rdは、メチル、任意に置換された5員~10員アリール、任意に置換された5員若しくは6員ヘテロアリール、又は任意に置換された5員若しくは6員炭素環であり;そして
Rxは、水素又はC1~C6アルキルであり;
各Reは、独立して、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、ハロゲン、-ORy、C1~C6ハロアルキル、-NHRz、-OH、又は-CNであり;
各Ry及びRzは、独立して、水素、C1~C6アルキル、又はC1~C6ハロアルキルであり;そして
nは、0、1、2、又は3である
【0111】
(ただし、
Rdが任意に置換されたフェニルである時、Rcは-CNではなく、
Rdがメチルである時、RcはC1~C6アルキルではなく、そして
Rdが2-フリルである時、Rcは-CNではない)。
【0112】
式(Ib)のある実施態様において、Raは、-(CH2)rCO2Rx、-OCH2CO2Rx、-(CH2)rテトラゾール、-(CH2)rオキサジアゾロン、-(CH2)rテトラゾロン、-(CH2)rチアジアゾロール、-(CH2)rイソオキサゾール-3-オール、-(CH2)rP(O)(OH)ORx、-(CH2)rS(O)2OH、-(CH2)rC(O)NHCN、又は-(CH2)rC(O)NHS(O)2アルキルである。他の実施態様において、Raは、-(CH2)rCO2Rx、-OCH2CO2Rx、テトラゾール、-(CH2)テトラゾール、オキサジアゾロン、-(CH2)オキサジアゾロン、テトラゾロン、-(CH2)テトラゾロン、チアジアゾロール、-(CH2)チアジアゾロール、イソオキサゾール-3-オール、-(CH2)イソオキサゾール-3-オール、-P(O)(OH)ORx、-(CH2)P(O)(OH)ORx、-S(O)2OH、-(CH2)S(O)2OH、-C(O)NHCN、-(CH2)C(O)NHCN、-C(O)NHS(O)2アルキル、又は-(CH2)C(O)NHS(O)2アルキルである。他の実施態様において、Raは、水素、CO2Rx、CH2CO2Rx、テトラゾール、又はオキサジアゾロンである。更なる実施態様において、Raは、水素、CO2H、CH2CO2H、テトラゾール、又は1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オンである。
【0113】
式(Ib)のある実施態様において、Rbは、-(CH2)rCO2Rx、-OCH2CO2Rx、-(CH2)rテトラゾール、-(CH2)rオキサジアゾロン、-(CH2)rテトラゾロン、-(CH2)rチアジアゾロール、-(CH2)rイソオキサゾール-3-オール、-(CH2)rP(O)(OH)ORx、-(CH2)rS(O)2OH、-(CH2)rC(O)NHCN、又は-(CH2)rC(O)NHS(O)2アルキルである。他の実施態様において、Rbは、-(CH2)rCO2Rx、-OCH2CO2Rx、テトラゾール、-(CH2)テトラゾール、オキサジアゾロン、-(CH2)オキサジアゾロン、テトラゾロン、-(CH2)テトラゾロン、チアジアゾロール、-(CH2)チアジアゾロール、イソオキサゾール-3-オール、-(CH2)イソオキサゾール-3-オール、-P(O)(OH)ORx、-(CH2)P(O)(OH)ORx、-S(O)2OH、-(CH2)S(O)2OH、-C(O)NHCN、-(CH2)C(O)NHCN、-C(O)NHS(O)2アルキル、又は-(CH2)C(O)NHS(O)2アルキルである。他の実施態様において、Rbは、水素、CO2Rx、CH2CO2Rx、テトラゾール、又はオキサジアゾロンである。更なる実施態様において、Rbは、水素、CO2H、CH2CO2H、テトラゾール、又は1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オンである。更なる実施態様において、Rbは、水素である。
【0114】
式(Ib)のある実施態様において、Rcは、H、C1~C6アルキル、C1~C6ハロアルキル、ハロゲン、-CN、-ORx、-CO2Rx、又はNO2である。他の実施態様において、Rcは、C1~C6アルキル、C1~C6ハロアルキル、ハロゲン、-CN、-ORx、-CO2Rx、又はNO2である。他の実施態様において、Rcは、ハロゲン、-CN、-ORx、又はC1~C6アルキルである。他の実施態様において、Rcは、ハロゲン、-CN、-ORx、又はC1~C3アルキルである。他の実施態様において、Rcは、H、-CN、又はハロゲンである。他の実施態様において、Rcは、-CN又はハロゲンである。
【0115】
式(Ib)のある実施態様において、Rdは、メチル、任意に置換された5員~10員アリール、任意に置換された5員若しくは6員ヘテロアリール、又は任意に置換された5員若しくは6員炭素環である。他の実施態様において、Rdは、メチル、任意にシクロヘキシル、任意に置換されたピリジニル、任意に置換されたチアゾリル、任意に置換されたフェニル、又は任意に置換されたチエニルである。他の実施態様において、Rdは、シクロヘキシル、ピリジニル、チアゾリル、フェニル、又はチエニルであって、それぞれが、ハロゲン、C1~C6アルキル、C1~C6ヒドロキシアルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、C1~C6ハロアルコキシ、-OH、CN、及びアミノから独立して選択される、1つ以上の置換基で任意に置換されている。他の実施態様において、Rdは、シクロヘキシル、ピリジニル、チアゾリル、フェニル、又はチエニルであって、それぞれが、ハロゲン、C1~C6アルキル、C1~C6ヒドロキシアルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、及びC1~C6ハロアルコキシから独立して選択される、1つ以上の置換基で任意に置換されている。他の実施態様において、Rdは、シクロヘキシル、ピリジニル、チアゾリル、フェニル、又はチエニルであって、それぞれが、1つ以上のハロゲンで任意に置換されている。他の実施態様において、Rdは、メチル、シクロヘキシル、ピリジニル、チアゾリル、フェニル、又はチエニルである。更に他の実施態様において、Rdは、シクロヘキシル、ピリジニル、チアゾリル、フェニル、又はチエニルである。他の実施態様において、Rdは、シクロヘキシル、ピリジニル、チアゾリル、フェニル、4-クロロフェニル、4-メチルフェニル、又はチエニルである。
【0116】
式(Ib)のある実施態様において、各Reは、独立して、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、ハロゲン、-ORy、C1~C6ハロアルキル、-NHRz、-OH、又は-CNである。他の実施態様において、Reは、C1~C4アルキル、C2~C4アルケニル、C2~C4アルキニル、ハロゲン、-ORy、C1~C4ハロアルキル、-NHRz、-OH、又は-CNである。
【0117】
式(Ib)のある実施態様において、Rxは、水素又はC1~C6アルキルである。他の実施態様において、Rxは、水素又はC1~C3アルキルである。更なる実施態様において、Rxは、水素、メチル、エチル、n-プロピル、又はイソプロピルである。
【0118】
式(Ib)のある実施態様において、Ryは、独立して、水素、C1~C6アルキル、又はC1~C6ハロアルキルである。他の実施態様において、Ryは、水素、C1~C3アルキル、又はC1~C3ハロアルキルである。
【0119】
式(Ib)のある実施態様において、各Rzは、独立して、水素、C1~C6アルキル、又はC1~C6ハロアルキルである。他の実施態様において、Rzは、水素、C1~C3アルキル、又はC1~C3ハロアルキルである。
【0120】
式(Ib)のある実施態様において、nは、0、1、2又は3である。他の実施態様において、nは、0又は1である。更なる実施態様において、nは0である。
【0121】
式(Ib)のある実施態様において、Ra及びRbの一方は水素であり、もう一方は、CO2Rx、CH2CO2Rx、テトラゾール、又はオキサジアゾロンである。他の実施態様において、Rbは水素であり、そしてRaは、CH2CO2H、テトラゾール、又は(1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン)である。
【0122】
式(Ib)のある実施態様において、Rbは水素であり、Rcは-CNであり、Rdはチエニルであり、そしてRaは、CH2CO2H、テトラゾール、又は(1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン)である。
【0123】
式(Ib)のある実施態様において、Rcはハロゲンであり、Raは-CO2Hであり、そしてRbはHである。他の実施態様において、Rcは-Brであり、Raは-CO2Hであり、そしてRbはHである。更なる実施態様において、Rcは-Clであり、Raは-CO2Hであり、そしてRbはHである。
【0124】
式(Ib)のある実施態様において、Rcはハロゲンであり、Raはテトラゾールであり、そしてRbはHである。他の実施態様において、Rcは-Brであり、Raはテトラゾールであり、そしてRbはHである。更なる実施態様において、Rcは-Clであり、Raはテトラゾールであり、そしてRbはHである。
【0125】
式(Ib)のある実施態様において、Rcはハロゲンであり、Raは-CH2CO2Hであり、そしてRbはHである。他の実施態様において、Rcは-Brであり、Raは-CH2CO2Hであり、そしてRbはHである。更なる実施態様において、Rcは-Clであり、Raは-CH2CO2Hであり、そしてRbはHである。
【0126】
式(Ib)のある実施態様において、Rcはハロゲンであり、Raは(1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン)であり、そしてRbはHである。他の実施態様において、Rcは-Brであり、Raは(1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン)であり、そしてRbはHである。他の実施態様において、Rcは-Clであり、Raは(1,2,4-オキサジアゾール-5-(4H)-オン)であり、そしてRbはHである。
【0127】
式(Ib)のある実施態様において、Rcは-CNであり、Raは-CO2Hであり、そしてRbはHである。他の実施態様において、Rcは-CNであり、Raは-CH2CO2Hであり、そしてRbはHである。他の実施態様において、Rcは-CNであり、Raはテトラゾールであり、そしてRbはHである。更に他の実施態様において、Rcは-CNであり、Raは(1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン)であり、そしてRbはHである。
【0128】
式(Ib)のある実施態様において、Rcは水素又は-CNではなく、かつRdは任意に置換されたフェニルである。他の実施態様において、RcはC1~C6アルキルではなく、かつRdはメチルである。他の実施態様において、Rcは-CNではなく、かつRdは2-フリルである。
【0129】
式(Ib)のある実施態様において、Rdが任意に置換されたフェニルである時、Rcは、水素又は-CNではない。
【0130】
式(Ib)のある実施態様において、Rdがメチルである時、RcはC1~C6アルキルではない。
【0131】
式(Ib)のある実施態様において、Rdが2-フリルである時、Rcは-CNではない。
【0132】
別の実施態様において、式(I)の化合物は、式(II):
【化9】
[式中、
R
cは、ハロゲン、-CN、-OR
x、又はC
1~C
6アルキルであり;
R
dは、メチル、任意に置換された5員~10員アリール、任意に置換された5員若しくは6員ヘテロアリール、又は任意に置換された5員若しくは6員炭素環であり;そして
R
xは、水素又はC
1~C
6アルキルである
【0133】
(ただし、
Rdが任意に置換されたフェニルである時、Rcは水素又は-CNではなく、
Rdがメチルである時、RcはC1~C6アルキルではなく、そして
Rdが2-フリルである時、Rcは-CNではない)]で示されるか、
又はその医薬的に許容し得る塩である。
【0134】
式(II)のある実施態様において、Rcは、ハロゲン、-CN、-ORx、又はC1~C6アルキルであり;Rdは、メチル、任意に置換された5員~10員アリール、任意に置換された5員若しくは6員ヘテロアリール、又は任意に置換された5員若しくは6員炭素環であり;そしてRxは、水素又はC1~C6アルキルである(ただし、Rdがメチルである時、RcはC1~C6アルキルではなく、そしてRdが2-フリルである時、Rcは-CNではない)。
【0135】
式(II)のある実施態様において、Rcは、ハロゲン、-CN、-ORx、又はC1~C6アルキルである。他の実施態様において、Rcは、ハロゲン、-CN、-ORx、又はC1~C3アルキルである。更なる実施態様において、Rcは、-CN又はハロゲンである。
【0136】
式(II)のある実施態様において、Rdは、メチル、任意に置換された5員~10員アリール、任意に置換された5員若しくは6員ヘテロアリール、又は任意に置換された5員若しくは6員炭素環である。他の実施態様において、Rdは、シクロヘキシル、ピリジニル、チアゾリル、フェニル、又はチエニルであって、それぞれが、ハロゲン、C1~C6アルキル、C1~C6ヒドロキシアルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、C1~C6ハロアルコキシ、-OH、CN、及びアミノから独立して選択される、1つ以上の置換基で任意に置換されている。他の実施態様において、Rdは、シクロヘキシル、ピリジニル、チアゾリル、フェニル、又はチエニルであって、それぞれが、ハロゲン、C1~C6アルキル、C1~C6ヒドロキシアルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、及びC1~C6ハロアルコキシから独立して選択される、1つ以上の置換基で任意に置換されている。他の実施態様において、Rdは、シクロヘキシル、ピリジニル、チアゾリル、フェニル、又はチエニルであって、それぞれが、1つ以上のハロゲンで任意に置換されている。更なる実施態様において、Rdは、メチル、シクロヘキシル、ピリジニル、チアゾリル、フェニル、又はチエニルである。
【0137】
式(II)のある実施態様において、Rbは、水素、CO2Rx、CH2CO2Rx、テトラゾール、又はオキサジアゾロンである。他の実施態様において、Rbは、水素、CO2H、CH2CO2H、テトラゾール、又は1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オンである。更なる実施態様において、Rbは水素である。
【0138】
式(II)のある実施態様において、Raは、水素、CO2Rx、CH2CO2Rx、テトラゾール、又はオキサジアゾロンである。更なる実施態様において、Raは、水素、CO2H、CH2CO2H、テトラゾール、又は1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オンである。
【0139】
式(II)のある実施態様において、各Reは、独立して、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、ハロゲン、-ORy、C1~C6ハロアルキル、-NHRz、-OH、又は-CNである。
【0140】
式(II)のある実施態様において、各Ryは、独立して、水素、C1~C6アルキル、又はC1~C6ハロアルキルである。
【0141】
式(II)のある実施態様において、各Rzは、独立して、水素、C1~C6アルキル、又はC1~C6ハロアルキルである。
【0142】
式(II)のある実施態様において、nは、0、1、2又は3である。他の実施態様において、nは、0又は1である。更なる実施態様において、nは0である。
【0143】
式(II)のある実施態様において、Ra及びRbの一方は水素であり、もう一方は、CO2Rx、CH2CO2Rx、テトラゾール又はオキサジアゾロンである。他の実施態様において、Rbは水素であり、Raは、CH2CO2H、テトラゾール、又は(1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン)である。
【0144】
式(II)のある実施態様において、Rbは水素であり、Rcは-CNであり、Rdはチエニルであり、そしてRaは、CH2CO2H、テトラゾール、又は(1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン)である。
【0145】
式(II)のある実施態様において、Rcはハロゲンであり、Raは-CO2Hであり、そしてRbはHである。他の実施態様において、Rcは-Brであり、Raは-CO2Hであり、そしてRbはHである。更なる実施態様において、Rcは-Clであり、Raは-CO2Hであり、そしてRbはHである。
【0146】
式(II)のある実施態様において、Rcはハロゲンであり、Raはテトラゾールであり、そしてRbはHである。他の実施態様において、Rcは-Brであり、Raはテトラゾールであり、そしてRbはHである。更なる実施態様において、Rcは-Clであり、Raはテトラゾールであり、そしてRbはHである。
【0147】
式(II)のある実施態様において、Rcはハロゲンであり、Raは-CH2CO2Hであり、そしてRbはHである。他の実施態様において、Rcは-Brであり、Raは-CH2CO2Hであり、そしてRbはHである。更なる実施態様において、Rcは-Clであり、Raは-CH2CO2Hであり、そしてRbはHである。
【0148】
式(II)のある実施態様において、Rcはハロゲンであり、Raは(1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン)であり、そしてRbはHである。他の実施態様において、Rcは-Brであり、Raは(1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン)であり、そしてRbはHである。他の実施態様において、Rcは-Clであり、Raは(1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン)であり、そしてRbはHである。
【0149】
式(II)のある実施態様において、Rcは-CNであり、Raは-CO2Hであり、そしてRbはHである。他の実施態様において、Rcは-CNであり、Raは-CH2CO2Hであり、そしてRbはHである。他の実施態様において、Rcは-CNであり、Raはテトラゾールであり、そしてRbはHである。更に他の実施態様において、Rcは-CNであり、Raは(1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン)であり、そしてRbはHである。
【0150】
別の実施態様において、式(I)の化合物は、式(III):
【化10】
[式中、
R
a及びR
b(の一方)は、水素であり、もう一方は、-(CH
2)
rCO
2R
x、-OCH
2CO
2R
x、-(CH
2)
rテトラゾール、-(CH
2)
rオキサジアゾロン、-(CH
2)
rテトラゾロン、-(CH
2)
rチアジアゾロール、-(CH
2)
rイソオキサゾール-3-オール、-(CH
2)
rP(O)(OH)OR
x、-(CH
2)
rS(O)
2OH、-(CH
2)
rC(O)NHCN、又は-(CH
2)
rC(O)NHS(O)
2アルキルであり;
R
cは、H、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル、ハロゲン、-CN、-OR
x、-CO
2R
x、又はNO
2であり;
R
dは、メチル、任意に置換された5員~10員アリール、任意に置換された5員若しくは6員ヘテロアリール、又は任意に置換された5員若しくは6員炭素環であり;
各R
xは、それぞれ独立して、水素又はC
1~C
6アルキルであり;
各R
eは、独立して、C
1~C
6アルキル、C
2~C
6アルケニル、C
2~C
6アルキニル、ハロゲン、-OR
y、C
1~C
6ハロアルキル、-NHR
z、-OH、又は-CNであり;
各R
y及びR
zは、独立して、水素、C
1~C
6アルキル、又はC
1~C
6ハロアルキルであり;そして
nは、0、1、2、又は3である]で示されるか、
又はその医薬的に許容し得る塩である。
【0151】
式(III)のある実施態様において、
Ra及びRbの一方は水素であり、もう一方は、-(CH2)rCO2Rx、-OCH2CO2Rx、-(CH2)rテトラゾール、-(CH2)rオキサジアゾロン、-(CH2)rテトラゾロン、-(CH2)rチアジアゾロール、-(CH2)rイソオキサゾール-3-オール、-(CH2)rP(O)(OH)ORx、-(CH2)rS(O)2OH、-(CH2)rC(O)NHCN、又は-(CH2)rC(O)NHS(O)2アルキルであり;
Rcは、C1~C6アルキル、C1~C6ハロアルキル、ハロゲン、-CN、-ORx、-CO2Rx、又はNO2であり;
Rdは、メチル、任意に置換された5員~10員アリール、任意に置換された5員若しくは6員ヘテロアリール、又は任意に置換された5員若しくは6員炭素環であり;
各Rxは、それぞれ独立して、水素又はC1~C6アルキルであり;
各Reは、独立して、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、ハロゲン、-ORy、C1~C6ハロアルキル、-NHRz、-OH、又は-CNである。
【0152】
式(III)のある実施態様において、
Ra及びRbの一方は水素であり、もう一方は、-CO2Rx、-CH2CO2Rx、テトラゾール、又はオキサジアゾロンであり;
Rcは、ハロゲン、-CN、-ORx、又はC1~C6アルキルであり;
Rdは、メチル、任意に置換された5員~10員アリール、任意に置換された5員若しくは6員ヘテロアリール、又は任意に置換された5員若しくは6員炭素環であり;そして
Rxは、水素又はC1~C6アルキルであり;
各Reは、独立して、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、ハロゲン、-ORy、C1~C6ハロアルキル、-NHRz、-OH、又は-CNであり;
各Ry及びRzは、独立して、水素、C1~C6アルキル、又はC1~C6ハロアルキルであり;そして
nは、0、1、2、又は3である
(ただし、
Rdが任意に置換されたフェニルである時、Rcは水素又は-CNではなく、そして
Rdが2-フリルである時、Rcは-CNではない)。
【0153】
式(III)のある実施態様において、Raは、-(CH2)rCO2Rx、-OCH2CO2Rx、-(CH2)rテトラゾール、-(CH2)rオキサジアゾロン、-(CH2)rテトラゾロン、-(CH2)rチアジアゾロール、-(CH2)rイソオキサゾール-3-オール、-(CH2)rP(O)(OH)ORx、-(CH2)rS(O)2OH、-(CH2)rC(O)NHCN、又は-(CH2)rC(O)NHS(O)2アルキルである。他の実施態様において、Raは、-(CH2)rCO2Rx、-OCH2CO2Rx、テトラゾール、-(CH2)テトラゾール、オキサジアゾロン、-(CH2)オキサジアゾロン、テトラゾロン、-(CH2)テトラゾロン、チアジアゾロール、-(CH2)チアジアゾロール、イソオキサゾール-3-オール、-(CH2)イソオキサゾール-3-オール、-P(O)(OH)ORx、-(CH2)P(O)(OH)ORx、-S(O)2OH、-(CH2)S(O)2OH、-C(O)NHCN、-(CH2)C(O)NHCN、-C(O)NHS(O)2アルキル、又は-(CH2)C(O)NHS(O)2アルキルである。他の実施態様において、Raは、水素、CO2Rx、CH2CO2Rx、テトラゾール、又はオキサジアゾロンである。更なる実施態様において、Raは、水素、CO2H、CH2CO2H、テトラゾール、又は1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オンである。
【0154】
式(III)のある実施態様において、Rbは、-(CH2)rCO2Rx、-OCH2CO2Rx、-(CH2)rテトラゾール、-(CH2)rオキサジアゾロン、-(CH2)rテトラゾロン、-(CH2)rチアジアゾロール、-(CH2)rイソオキサゾール-3-オール、-(CH2)rP(O)(OH)ORx、-(CH2)rS(O)2OH、-(CH2)rC(O)NHCN、又は-(CH2)rC(O)NHS(O)2アルキルである。他の実施態様において、Rbは、-(CH2)rCO2Rx、-OCH2CO2Rx、テトラゾール、-(CH2)テトラゾール、オキサジアゾロン、-(CH2)オキサジアゾロン、テトラゾロン、-(CH2)テトラゾロン、チアジアゾロール、-(CH2)チアジアゾロール、イソオキサゾール-3-オール、-(CH2)イソオキサゾール-3-オール、-P(O)(OH)ORx、-(CH2)P(O)(OH)ORx、-S(O)2OH、-(CH2)S(O)2OH、-C(O)NHCN、-(CH2)C(O)NHCN、-C(O)NHS(O)2アルキル、又は-(CH2)C(O)NHS(O)2アルキルである。他の実施態様において、Rbは、水素、CO2Rx、CH2CO2Rx、テトラゾール、又はオキサジアゾロンである。更なる実施態様において、Rbは、水素、CO2H、CH2CO2H、テトラゾール、又は1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オンである。更なる実施態様において、Rbは、水素である。
【0155】
式(III)のある実施態様において、Rcは、H、C1~C6アルキル、C1~C6ハロアルキル、ハロゲン、-CN、-ORx、-CO2Rx、又はNO2である。他の実施態様において、Rcは、C1~C6アルキル、C1~C6ハロアルキル、ハロゲン、-CN、-ORx、-CO2Rx、又はNO2である。他の実施態様において、Rcは、ハロゲン、-CN、-ORx、又はC1~C6アルキルである。他の実施態様において、Rcは、ハロゲン、-CN、-ORx、又はC1~C3アルキルである。他の実施態様において、Rcは、H、-CN、又はハロゲンである。他の実施態様において、Rcは、-CN又はハロゲンである。
【0156】
式(III)のある実施態様において、Rdは、メチル、任意に置換された5員~10員アリール、任意に置換された5員若しくは6員ヘテロアリール、又は任意に置換された5員若しくは6員炭素環である。他の実施態様において、Rdは、メチル、任意にシクロヘキシル、任意に置換されたピリジニル、任意に置換されたチアゾリル、任意に置換されたフェニル、又は任意に置換されたチエニルである。他の実施態様において、Rdは、シクロヘキシル、ピリジニル、チアゾリル、フェニル、又はチエニルであって、それぞれが、ハロゲン、C1~C6アルキル、C1~C6ヒドロキシアルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、C1~C6ハロアルコキシ、-OH、CN、及びアミノから独立して選択される、1つ以上の置換基で任意に置換されている。他の実施態様において、Rdは、シクロヘキシル、ピリジニル、チアゾリル、フェニル、又はチエニルであって、それぞれが、ハロゲン、C1~C6アルキル、C1~C6ヒドロキシアルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、及びC1~C6ハロアルコキシから独立して選択される、1つ以上の置換基で任意に置換されている。他の実施態様において、Rdは、シクロヘキシル、ピリジニル、チアゾリル、フェニル、又はチエニルであって、それぞれが、1つ以上のハロゲンで任意に置換されている。他の実施態様において、Rdは、メチル、シクロヘキシル、ピリジニル、チアゾリル、フェニル、又はチエニルである。更に他の実施態様において、Rdは、シクロヘキシル、ピリジニル、チアゾリル、フェニル、又はチエニルである。他の実施態様において、Rdは、シクロヘキシル、ピリジニル、チアゾリル、フェニル、4-クロロフェニル、4-メチルフェニル、又はチエニルである。
【0157】
式(III)のある実施態様において、各Reは、独立して、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、ハロゲン、-ORy、C1~C6ハロアルキル、-NHRz、-OH、又は-CNである。他の実施態様において、Reは、C1~C4アルキル、C2~C4アルケニル、C2~C4アルキニル、ハロゲン、-ORy、C1~C4ハロアルキル、-NHRz、-OH、又は-CNである。
【0158】
式(III)のある実施態様において、Rxは、水素又はC1~C6アルキルである。他の実施態様において、Rxは、水素又はC1~C3アルキルである。更なる実施態様において、Rxは、水素、メチル、エチル、n-プロピル、又はイソプロピルである。
【0159】
式(III)のある実施態様において、Ryは、独立して、水素、C1~C6アルキル、又はC1~C6ハロアルキルである。他の実施態様において、Ryは、水素、C1~C3アルキル、又はC1~C3ハロアルキルである。
【0160】
式(III)のある実施態様において、各Rzは、独立して、水素、C1~C6アルキル、又はC1~C6ハロアルキルである。他の実施態様において、Rzは、水素、C1~C3アルキル、又はC1~C3ハロアルキルである。
【0161】
式(III)のある実施態様において、nは、0、1、2又は3である。他の実施態様において、nは、0又は1である。更なる実施態様において、nは0である。
【0162】
式(III)のある実施態様において、Ra及びRbの一方は水素であり、もう一方は、CO2Rx、CH2CO2Rx、テトラゾール、又はオキサジアゾロンである。他の実施態様において、Rbは水素であり、そしてRaは、CH2CO2H、テトラゾール、又は(1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン)である。
【0163】
式(III)のある実施態様において、Rbは水素であり、Rcは-CNであり、Rdはチエニルであり、そしてRaは、CH2CO2H、テトラゾール、又は(1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン)である。
【0164】
式(III)のある実施態様において、Rcはハロゲンであり、Raは-CO2Hであり、そしてRbはHである。他の実施態様において、Rcは-Brであり、Raは-CO2Hであり、そしてRbはHである。更なる実施態様において、Rcは-Clであり、Raは-CO2Hであり、そしてRbはHである。
【0165】
式(III)のある実施態様において、Rcはハロゲンであり、Raはテトラゾールであり、そしてRbはHである。他の実施態様において、Rcは-Brであり、Raはテトラゾールであり、そしてRbはHである。更なる実施態様において、Rcは-Clであり、Raはテトラゾールであり、そしてRbはHである。
【0166】
式(III)のある実施態様において、Rcはハロゲンであり、Raは-CH2CO2Hであり、そしてRbはHである。他の実施態様において、Rcは-Brであり、Raは-CH2CO2Hであり、そしてRbはHである。更なる実施態様において、Rcは-Clであり、Raは-CH2CO2Hであり、そしてRbはHである。
【0167】
式(III)のある実施態様において、Rcはハロゲンであり、Raは(1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン)であり、そしてRbはHである。他の実施態様において、Rcは-Brであり、Raは(1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン)であり、そしてRbはHである。他の実施態様において、Rcは-Clであり、Raは(1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン)であり、そしてRbはHである。
【0168】
式(III)のある実施態様において、Rcは-CNであり、Raは-CO2Hであり、そしてRbはHである。他の実施態様において、Rcは-CNであり、Raは-CH2CO2Hであり、そしてRbはHである。他の実施態様において、Rcは-CNであり、Raはテトラゾールであり、そしてRbはHである。更に他の実施態様において、Rcは-CNであり、Raは(1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン)であり、そしてRbはHである。
【0169】
式(III)のある実施態様において、Rdが任意に置換されたフェニルである時、Rcは水素又は-CNではなく、Rdがメチルである時、RcはC1~C6アルキルではなく、そしてRdが2-フリルである時、Rcは-CNではない。
【0170】
式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、及び(III)のある実施態様において、Ra又はRbの一方は、カルボン酸又はカルボン酸の生物学的等価体である。
【0171】
式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、及び(III)のある実施態様において、Raは、-CO2H、-(CH2)2CO2H、又は-OCH2CO2Hである。他の実施態様において、Raは、-CO2CH3、-CO2CH2CH3、-CO2CH2CH2CH3、-CO2CH(CH3)2、-(CH2)2CO2CH3、-(CH2)CO2CH2CH3、-(CH2)CO2CH2CH2CH3、又は-(CH2)CO2CH(CH3)2である。
【0172】
式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、及び(III)のある実施態様において、Raは、-P(O)(OH)OH、-(CH2)P(O)(OH)OH、-P(O)(OH)OCH3、-PO(OH)OCH2CH3、-PO(OH)OCH2CH2CH3、-P(O)(OH)OCH(CH3)2、-(CH2)P(O)(OH)OCH3、-(CH2)P(O)(OH)OCH2CH3、-(CH2)P(O)(OH)OCH2CH2CH3、又は-(CH2)P(O)(OH)OCH(CH3)2である。
【0173】
式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、及び(III)のある実施態様において、Raは、-S(O)2OH、-(CH2)S(O)2OH、-C(O)NHCN、又は-(CH2)C(O)NHCNである。
【0174】
式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、及び(III)のある実施態様において、Raは、C(O)NHS(O)2CH3、-C(O)NHS(O)2CH2CH3、-C(O)NHS(O)2CH2CH2CH3、-C(O)NHS(O)2CH(CH3)2、-(CH2)C(O)NHS(O)2CH3、-(CH2)C(O)NHS(O)2CH2CH3、-(CH2)C(O)NHS(O)2CH2CH2CH3、又は-(CH2)C(O)NHS(O)2CH(CH3)2である。
【0175】
式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、及び(III)のある実施態様において、R
aは、下記式:
【化11】
である。
【0176】
式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、及び(III)のある実施態様において、R
aは、下記式:
【化12】
である。
【0177】
式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、及び(III)のある実施態様において、Rbは、-CO2H、-(CH2)2CO2H、又は-OCH2CO2Hである。他の実施態様において、Rbは、-CO2CH3、-CO2CH2CH3、-CO2CH2CH2CH3、-CO2CH(CH3)2、-(CH2)2CO2CH3、-(CH2)CO2CH2CH3、-(CH2)CO2CH2CH2CH3、又は-(CH2)CO2CH(CH3)2である。
【0178】
式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、及び(III)のある実施態様において、Rbは、-P(O)(OH)OH、-(CH2)P(O)(OH)OH、-P(O)(OH)OCH3、-PO(OH)OCH2CH3、-PO(OH)OCH2CH2CH3、-P(O)(OH)OCH(CH3)2、-(CH2)P(O)(OH)OCH3、-(CH2)P(O)(OH)OCH2CH3、-(CH2)P(O)(OH)OCH2CH2CH3、又は-(CH2)P(O)(OH)OCH(CH3)2である。
【0179】
式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、及び(III)のある実施態様において、Rbは、-S(O)2OH、-(CH2)S(O)2OH、-C(O)NHCN、又は-(CH2)C(O)NHCNである。
【0180】
式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、及び(III)のある実施態様において、Rbは、C(O)NHS(O)2CH3、-C(O)NHS(O)2CH2CH3、-C(O)NHS(O)2CH2CH2CH3、-C(O)NHS(O)2CH(CH3)2、-(CH2)C(O)NHS(O)2CH3、-(CH2)C(O)NHS(O)2CH2CH3、-(CH2)C(O)NHS(O)2CH2CH2CH3、又は-(CH2)C(O)NHS(O)2CH(CH3)2である。
【0181】
式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、及び(III)のある実施態様において、R
bは、下記式:
【化13】
である。
【0182】
式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、及び(III)のある実施態様において、R
bは、下記式:
【化14】
である。
【0183】
ある実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【化15】
のいずれか1つを有する化合物、又はその医薬的に許容し得る塩である。
【0184】
式(I)の化合物の上記の定義は、本明細書に定義される「式(I)の化合物」という表現、又は単に「式(I)の化合物類」などによって本明細書に言及される。式(Ia)の化合物の上記の定義は、本明細書に定義される「式(Ia)の化合物」という表現、又は単に「式(Ia)の化合物類」などによって本明細書に言及される。式(Ib)の化合物の上記の定義は、本明細書に定義される「式(Ib)の化合物」という表現、又は単に「式(Ib)の化合物類」などによって本明細書に言及される。式(II)の化合物の上記の定義は、本明細書に定義される「式(II)の化合物」という表現、又は単に「式(II)の化合物類」などによって本明細書に言及される。式(III)の化合物の上記の定義は、本明細書に定義される「式(III)の化合物」という表現、又は単に「式(III)の化合物類」などによって本明細書に言及される。このような言及は、上記の一般式だけでなく、以下に検討される、ありとあらゆる実施態様などをも包含することが意図されることを理解すべきである。特に別の指定がなければ、このような言及はまた、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(Ib)、式(II)、及び式(III)の化合物の異性体、異性体の混合物、医薬的に許容し得る塩、溶媒和物、及びプロドラッグをも包含することを理解すべきである。
【0185】
定義
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、飽和の直鎖又は分岐鎖の炭化水素鎖を指す。この炭化水素鎖は、好ましくは1~8個の炭素原子(C1-8アルキル)、更に好ましくは1~6個の炭素原子(C1-6アルキル)、特に1~4個の炭素原子(C1-4アルキル)を含み、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第2級ブチル、第3級ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、第3級ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、及びオクチルを含む。好ましい実施態様において、「アルキル」は、C1-4アルキル基を表し、そしてこれは特に、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第2級ブチル、及び第3級ブチルを含むことができる。対応して「アルキレン」という用語は、対応するビラジカル(-アルキル-)を意味する。
【0186】
本明細書で使用される「シクロアルキル」又は「炭素環」という用語は、環状アルキル基であって、好ましくは3~10個の炭素原子(C3-10シクロアルキル又はC3-10炭素環)、例えば3~8個の炭素原子(C3-8シクロアルキル又はC3-10炭素環)、好ましくは3~6個の炭素原子(C3-6シクロアルキル又はC3-10炭素環)を含むアルキル基(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルを含む)を指す。更に、本明細書で使用される「シクロアルキル」という用語は、例えば、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、デカリニル、及びアダマンチルのような、多環式基も含むことができる。対応して「シクロアルキレン」という用語は、対応するビラジカル(-シクロアルキル-)を意味する。アルキル及びシクロアルキル基は、任意に1~4個の置換基で置換され得る。アルキル基上の置換基の例は、特に限定されないが、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、アルコキシ、ヘテロアリール、アリール、カルボシクリル、ヒドロキシル、カルバモイル、オキソ、及び-CNを含む。
【0187】
本明細書で使用される「アルケニル」という用語は、ジエン、トリエン、及びポリエンを含む、1つ以上の二重結合を含む、直鎖若しくは分枝鎖の炭化水素鎖又は環状炭化水素を指す。典型的にはアルケニル基は、少なくとも1つの二重結合を含む、2~8個の炭素原子(C2-8-アルケニル)、例えば2~6個の炭素原子(C2-6-アルケニル)、特に2~4個の炭素原子(C2-4-アルケニル)を含む。アルケニル基の例は、エテニル;1-若しくは2-プロペニル;1-、2-、若しくは3-ブテニル、又は1,3-ブタジエニル;1-、2-、3-、4-、若しくは5-ヘキセニル、又は1,3-ヘキサジエニル、又は1,3,5-ヘキサトリエニル;1-、2-、3-、4-、5-、6-、若しくは7-オクテニル、又は1,3-オクタジエニル、又は1,3,5-オクタトリエニル、又は1,3,5,7-オクタテトラエニル、又はシクロヘキセニルを含む。対応して「アルケニレン」という用語は、対応するビラジカル(-アルケニル-)を意味する。アルケニル基は、任意に1~4個の置換基で置換され得る。アルケニル基上の置換基の例は、特に限定されないが、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、アルコキシ、ヘテロアリール、アリール、カルボシクリル、ヒドロキシル、カルバモイル、オキソ、及び-CNを含む。
【0188】
本明細書で使用される「アルキニル」という用語は、ジイン、トリイン、及びポリインを含む、1つ以上の三重結合を含む、直鎖又は分岐鎖の炭化水素鎖を指す。典型的には、このアルキニル基は、少なくとも1つの三重結合を含む、2~8個の炭素原子(C2-8アルキニル)、例えば、2~6個の炭素原子(C2-6アルキニル)、特に2~4個の炭素原子(C2-4アルキニル)を含む。好ましいアルキニル基の例は、エチニル;1-若しくは2-プロピニル;1-、2-、若しくは3-ブチニル、又は1,3-ブタジイニル;1-、2-、3-、4-、若しくは5-ヘキシニル、又は1,3-ヘキサジイニル、又は1,3,5-ヘキサトリイニル;1-、2-、3-、4-、5-、6-、若しくは7-オクチニル、又は1,3-オクタジイニル、又は1,3,5-オクタトリイニル、又は1,3,5,7-オクタテトライニルを含む。対応して「アルキニレン」という用語は、対応するビラジカル(-アルキニル-)を意味する。アルキニル基は、任意に1~4個の置換基で置換され得る。アルキニル基上の置換基の例は、特に限定されないが、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、アルコキシ、ヘテロアリール、アリール、カルボシクリル、ヒドロキシル、カルバモイル、オキソ、及び-CNを含む。
【0189】
本明細書で使用される「ハロ」及び「ハロゲン」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを指す。すなわちトリハロメチル基は、例えばトリフルオロメチル基又はトリクロロメチル基を表す。好ましくは「ハロ」及び「ハロゲン」という用語は、フルオロ又はクロロを示す。
【0190】
本明細書で使用される「ハロアルキル」という用語は、1つ以上のハロゲンで1回以上置換された本明細書に定義されるアルキル基を指す。ハロアルキル基の例は、特に限定されないが、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、トリクロロメチルなどを含む。
【0191】
本明細書で使用される用語「アルコキシ」は、「アルキル-O-」基であって、アルキルが上記と同義である基を指す。
【0192】
本明細書で使用される「ヒドロキシアルキル」という用語は、アルキル基がヒドロキシで1回以上置換されたアルキル基(本明細書で上記された)を指す。ヒドロキシアルキル基の例は、HO-CH2-、HO-CH2-CH2-、及びCH3-CH(OH)-を含む。
【0193】
本明細書で使用される「オキシ」という用語は、「-O-」基を指す。
本明細書で使用される「オキソ」という用語は、「=O」基を指す。
【0194】
本明細書で使用される「アミン」という用語は、第1級(R-NH2、R≠H)、第2級((R)2-NH、(R)2≠H)、及び第3級((R)3-N、R≠H)アミンを指す。置換アミンは、水素原子の少なくとも1つが置換基で置換されているアミンを意味するものとする。
【0195】
本明細書で使用される「カルバモイル」という用語は、「H2N(C=O)-」基を指す。
【0196】
本明細書で使用される「アリール」という用語は、特に別の指定がなければ、水素原子の脱離により芳香族炭化水素から誘導される炭素環式芳香環系を含む。アリールは更に、2環系、3環系及び多環系を含む。好ましいアリール部分の例は、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、フルオレニル、ビフェニル、インデニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ペンタレニル、アズレニル、及びビフェニレニルを含む。好ましい「アリール」は、特に別の指定がなければ、フェニル、ナフチル、又はインダニル、特にフェニルである。使用されるアリールは、任意に置換され得る。対応して「アリーレン」という用語は、対応するビラジカル(-アリール-)を意味する。アリール基は、任意に1~4個の置換基で置換され得る。アリール基上の置換基の例は、限定されないが、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、アルコキシ、ヘテロアリール、アリール、カルボシクリル、ヒドロキシル、及び-CNを含む。
【0197】
本明細書で使用される「ヘテロアリール」という用語は、O、S、及びNから選択される1つ以上のヘテロ原子、好ましくは1~4個のヘテロ原子、更に好ましくは1~3個のヘテロ原子を含む芳香族基を指す。ヘテロアリールは更に、2環、3環及び多環式基であって、その基の少なくとも1つの環が芳香族であり、そしてその環の少なくとも1つが、O、S、及びNから選択されるヘテロ原子を含む。ヘテロアリールはまた、1つ以上のオキソ部分で置換された環系を含む。好ましいヘテロアリール部分の例は、N-ヒドロキシテトラゾリル、N-ヒドロキシトリアゾリル、N-ヒドロキシイミダゾリル、フラニル、トリアゾリル、ピラニル、チアジアジニル、ベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾ[b]チオフェニル、キサンテニル、イソインダニル、アクリジニル、ベンゾイソオキサゾリル、キノリニル、イソキノリニル、プテリジニル(phteridinyl)、アゼピニル、ジアゼピニル、イミダゾリル、チアゾリル、カルバゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、トリアジニル、イソインドリル、プリニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、ジヒドロキノリル、テトラヒドロキノリル、ジヒドロイソキノリル、テトラヒドロイソキノリル、ベンゾフリル、フロピリジニル、ピロロピリミジニル、アザインドリル、ピラゾリニル、1,2,4-オキサジアゾール-5(4H)-オン、及びピラゾリジニルを含む。部分的水素化誘導体の非限定的な例は、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル、1,4-ジヒドロナフチル、及び1-オクタリンである。対応して「ヘテロアリーレン」という用語は、対応するビラジカル(-ヘテロアリール-)を意味する。ヘテロアリール基は、任意に1~4個の置換基で置換され得る。ヘテロアリール基上の置換基の例は、限定されないが、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、アルコキシ、ヘテロアリール、アリール、カルボシクリル、ヒドロキシル、及び-CNを含む。
【0198】
本明細書で使用される「ヘテロシクリル」という用語は、O、S、及びNから選択される1つ以上のヘテロ原子、好ましくは1~4個のヘテロ原子、そして更に好ましくは1~3個のヘテロ原子を含む環状非芳香族基を指す。ヘテロシクリルは更に、2環、3環及び多環式非芳香族基を含み、そしてその環の少なくとも1つが、O、S、及びNから選択されるヘテロ原子を含む。ヘテロシクリルはまた、1つ以上のオキソ部分で置換された環系を含む。複素環基の例は、オキセタン、ピロリジニル、ピロリル、3H-ピロリル、オキソラニル、フラニル、チオラニル、チオフェニル、ピラゾリル、ピラゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリジニル、3H-ピラゾリル、1,2-オキサゾリル、1,3-オキサゾリル、1,2-チアゾリル、1,3-チアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、ピペリジニル、ピリジニル、オキサニル、2-H-ピラニル、4-H-ピラニル、チアニル、2H-チオピラニル、ピリダジニル、1,2-ジアジナニル、ピリミジニル、1,3-ジアジナニル、ピラジニル、ピペラジニル、1,4-ジオキシニル、1,4-ジオキサニル、1,3-ジアジナニル、1,4-オキサジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、1,4-オキサチアニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、クロマニル(chromayl)、イソクロマニル、4H-クロメニル、1H-イソクロメニル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、プリニル、ナフチリジニル、プテリジニル、インドリジニル、1H-ピロリジニル、4H-キノリジニル、及びアザ-8-ビシクロ[3.2.1]オクタンである。対応して「ヘテロシクリレン」という用語は、対応するビラジカル(-ヘテロシクリル-)を意味する。ヘテロシクリル基は、任意に1~4個の置換基で置換され得る。ヘテロシクリル基上の置換基の例は、限定されないが、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、アルコキシ、ヘテロアリール、アリール、カルボシクリル、ヒドロキシル、及び-CNを含む。
【0199】
本明細書で使用される「N-複素環」という用語は、少なくとも1つの窒素原子を有し、そして窒素原子を介して結合している、本明細書で上記したヘテロシクリル又はヘテロアリールを指す。このようなN-複素環の例は、ピロリジニル、ピロリル、3H-ピロリル、ピラゾリル、ピラゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリジニル、3H-ピラゾリル、1,2-オキサゾリル、1,2-チアゾリル、1,3-チアゾリル、ピペリジニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピペラジニル、モルホリニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラゾリル、ピラジニル、テトラゾリルなどである。
【0200】
異性体
本明細書において、化合物の構造式は、便宜上、ある異性体を表す場合があるが、本開示は、幾何異性体、不斉炭素に基づく光学異性体、立体異性体、互変異性体などの全ての異性体を含む。したがって、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、及び(III)の化合物の定義は、シス-トランス異性体、立体異性体及び互変異性体、並びにこれらのラセミ混合物及びその医薬的に許容し得る塩を含む、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、及び(III)に対応する、ありとあらゆる個々の異性体を含むことを理解すべきである。従って式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、及び(III)の化合物の定義は、化学構造の全てのR及びS異性体を任意の比[例えば、可能な異性体の一方の濃縮(即ち、エナンチオマー過剰又はジアステレオマー過剰)、及び他方の異性体の対応する小さい比率]で包含するものとする。更に、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、及び(III)で表される化合物には、結晶多形が存在してもよい。任意の結晶形、結晶形混合物、又はその無水物若しくは水和物は、本開示の範囲に含まれることに留意されたい。更には、インビボで本化合物が分解されて生成する、いわゆる代謝産物も本開示の範囲に含まれる。
【0201】
「異性」は、同一の分子式を有するが、それらの原子の結合順序又はそれらの原子の空間配置が異なる化合物を意味する。それらの原子の空間配置が異なる異性体は、「立体異性体」と呼ばれる。互いに鏡像ではない立体異性体は、「ジアステレオ異性体」と呼ばれ、そして互いに重ね合わせることができない鏡像である立体異性体を「エナンチオマー」又は光学異性体と呼ばれることもある。反対のキラリティーの等量の個々のエナンチオマー形態を含有する混合物は、「ラセミ混合物」と呼ばれる。
【0202】
4つの同一ではない置換基に結合した炭素原子は、「キラル中心」と呼ばれる。
「キラル異性体」は、少なくとも1つのキラル中心を有する化合物を意味する。2つ以上のキラル中心を有する化合物は、個々のジアステレオマーとして、又は「ジアステレオマー混合物」と呼ばれるジアステレオマーの混合物として存在し得る。1つのキラル中心が存在するとき、立体異性体は、そのキラル中心の絶対配置(R又はS)に特徴付けられる。絶対配置は、キラル中心に結合した置換基の空間配置を指す。考慮中のキラル中心に結合した置換基は、Cahn、Ingold及びPrelogの順位則にしたがってランク付けされる(Cahn et al., Angew. Chem. Inter. Edit. 1966, 5, 385; errata 511; Cahn et al., Angew. Chem. 1966, 78, 413; Cahn and Ingold, J. Chem. Soc. 1951 (London), 612; Cahn et al., Experientia 1956, 12, 81; Cahn, J. Chem. Educ. 1964, 41, 116)。
【0203】
ジアステレオ異性体、即ち重ね合わせることができない立体化学異性体は、クロマトグラフィー、蒸留、結晶化、又は昇華などの従来の手段によって分離することができる。光学異性体は、従来の方法によるラセミ混合物の分割により、例えば光学活性酸又は塩基を用いる処理によるジアステレオ異性体塩の形成により、得ることができる。適切な酸の例は、特に限定されないが、酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトルオイル酒石酸、及び樟脳スルホン酸を含む。ジアステレオマーの混合物は、結晶化と、これに続くこれらの塩からの光学活性塩基の遊離によって分離することができる。光学異性体の分離のための代替プロセスは、エナンチオマーの分離を最大にするために最適に選択されるキラルクロマトグラフィーカラムの使用を含む。更に他の利用可能な方法は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)又は(III)の化合物を、活性化形態の光学的に純粋な酸又は光学的に純粋なイソシアネートと反応させることによる、共有結合ジアステレオ異性体分子の合成を伴う。合成されたジアステレオ異性体は、クロマトグラフィー、蒸留、結晶化、又は昇華などの従来の手段によって分離され、次に加水分解されてエナンチオマーとして純粋な化合物を得ることができる。式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、及び(III)の光学活性化合物は同様に、光学活性出発材料を利用するか、及び/又はキラル触媒を利用することによって得ることができる。これらの異性体は、遊離酸、遊離塩基、エステル又は塩の形態であってよい。キラル分離技術の例は、Chiral Separation Techniques, A Practical Approach, 2nd ed. by G. Subramanian, Wiley-VCH, 2001に与えられる。
【0204】
「幾何異性体」は、それらの存在が二重結合周りの束縛回転に起因するジアステレオマーを意味する。これらの立体配置は、Cahn-Ingold-Prelog則により、その基が分子中の二重結合の同じ側又は反対側にあることを示す、接頭語のシス及びトランス、又はZ及びEによって、その名称で識別される。
【0205】
更には、本開示において論じられる構造及び他の化合物は、その全てのアトロプ異性体を含む。「アトロプ異性体」は、2つの異性体の原子が異なって空間配置される、1種の立体異性体である。アトロプ異性体は、それらの存在が、中心結合周りの大きな基の回転の障害によって引き起こされる束縛回転に起因する。このようなアトロプ異性体は、典型的には混合物として存在するが、クロマトグラフィー手法における最近の進歩の結果として、選択された場合には2つのアトロプ異性体の混合物を分離することが可能である。
【0206】
「互変異性体」は、平衡状態で存在し、ある異性体形態から別の異性体形態に容易に変換される2つ以上の構造異性体の1つである。この変換は、隣接する共役二重結合の交換を伴う水素原子の形式的移動をもたらす。互変異性体は、溶液中で互変異性体セットの混合物として存在する。固体形態では、通常1つの互変異性体が優勢である。互変異性化が可能な溶液中では、互変異性体の化学平衡に達する。互変異性体間の正確な比は、温度、溶媒、及びpHを含む幾つかの因子に依存する。互変異性化によって相互変換可能な互変異性体の概念は、互変異性と呼ばれる。
【0207】
可能な種々のタイプの互変異性のうち、2つが一般的に観察される。ケト-エノール互変異性では、電子と水素原子が同時にシフトする。環鎖互変異性は、糖鎖分子中のアルデヒド基(-CHO)が同じ分子中のヒドロキシ基(-OH)の1つと反応することにより発生し、グルコースにより示されるようにな環式(環の形状)形態を与える。
【0208】
一般的な互変異性の対は、ケトン-エノール、アミド-ニトリル、ラクタム-ラクチム、複素環(例えば、グアニン、チミン及びシトシンのような核酸塩基)におけるアミド-イミド酸互変異性、アミン-エナミン、及びエナミン-エナミンである。本開示の化合物は、様々な互変異性体として描くことができることを理解すべきである。また化合物が互変異性形態を有するとき、全ての互変異性形態は本開示の範囲に含まれることが意図され、化合物の命名はいかなる互変異性形態も排除しないことも理解すべきである。
【0209】
「結晶多形」、「多形」、又は「結晶形」という用語は、化合物(又はその塩若しくは溶媒和物)が異なる結晶充填配置で結晶化することができる結晶構造を意味するが、それらの全ては同じ元素組成を有する。異なる結晶形は通常、異なるX線回折パターン、赤外線スペクトル、融点、密度硬度、結晶形状、光学的及び電気的特性、安定性及び溶解性を有する。再結晶溶媒、結晶化速度、貯蔵温度、及び他の要因によって、1つの結晶形が支配的になることがある。化合物の結晶多形は、異なる条件下での結晶化によって調製することができる。
【0210】
更に本開示の化合物、例えば化合物の塩は、水和若しくは非水和(無水)形態のいずれかで、又は他の溶媒分子との溶媒和物として存在することができる。水和物の非限定的な例は、一水和物、二水和物などを含む。溶媒和物の非限定的な例は、エタノール溶媒和物、アセトン溶媒和物などを含む。
【0211】
「溶媒和物」は、化学量論量又は非化学量論量の溶媒のいずれかを含む溶媒付加形態を意味する。ある化合物は、結晶性固体状態の固定モル比の溶媒分子を捕捉する傾向があり、こうして溶媒和物を形成する。溶媒が水である場合、形成される溶媒和物は水和物であり;そして溶媒がアルコールである場合、形成される溶媒和物はアルコラートである。水和物は、1分子以上の水と1分子の物質の組合せよって形成され、水はその分子状態をH2Oとして保持する。
【0212】
本開示は、本化合物中に存在する原子の全ての同位体を含むことが意図される。同位体には、原子番号は同じであるが質量数が異なる原子が含まれる。一般的な例として、特に限定されないが、水素の同位体にはトリチウム及び重水素が含まれ、そして炭素の同位体にはC-13及びC-14が含まれる。
【0213】
本明細書の説明及び特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」及び「含有する(contain)」という単語、及びその単語の変形、例えば「含む(comprising)」及び「含む(comprises)」は、「含むがこれに限定されない」を意味し、その他の部分、添加物、構成要素、整数、又は工程を排除しない。本明細書の説明及び特許請求の範囲を通して、文脈上別の指定がなければ、単数形は複数形を包含する。特に、不定冠詞が使用される場合、文脈上別の指定がなければ、明細書は複数形及び単数形を考慮するものと理解すべきである。
【0214】
本明細書に引用される任意の特許又は特許出願を含む全ての参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。いかなる参考文献も先行技術を構成するとは認められない。更に、先行技術のいずれかが当該分野における技術常識の一部を構成するとは認められない。
【0215】
治療方法
別の態様において本開示は、α-アミノ-β-カルボキシムコン酸-ε-セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)がある役割を果たす疾患又は障害を治療する方法であって、それを必要とする被験体に治療有効量の式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の1つ以上の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を投与することを含む方法に関する。
【0216】
本開示の別の態様は、α-アミノ-β-カルボキシムコン酸-ε-セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)機能障害に関連する疾患又は障害を治療する方法であって、ACMSD機能障害に関連する疾患又は障害に罹患しているか又はこれを発症しやすい被験体に、治療有効量の式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の1つ以上の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を投与することを含む方法に関する。
【0217】
別の態様において本開示は、α-アミノ-β-カルボキシムコン酸-ε-セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)機能障害に関連する疾患又は障害を予防する方法であって、ACMSD機能障害に関連する疾患又は障害に罹患しているか又はこれを発症しやすい被験体に、治療有効量の式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の1つ以上の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を投与することを含む方法に関する。
【0218】
更に別の態様において本開示は、α-アミノ-β-カルボキシムコン酸-ε-セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)機能障害に関連する疾患又は障害のリスクを低減する方法であって、ACMSD機能障害に関連する疾患又は障害に罹患しているか又はこれを発症しやすい被験体に、治療有効量の式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の1つ以上の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を投与することを含む方法に関する。
【0219】
本開示の別の態様は、α-アミノ-β-カルボキシムコン酸-ε-セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)機能障害に関連する疾患又は障害のリスクを改善する方法であって、ACMSD機能障害に関連する疾患又は障害に罹患しているか又はこれを発症しやすい被験体に、治療有効量の式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の1つ以上の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を投与することを含む方法に関する。
【0220】
別の態様において本開示は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)調節がある役割を果たす疾患又は障害を治療する方法であって、それを必要とする被験体に治療有効量の式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の1つ以上の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を投与することを含む方法に関する。
【0221】
本開示の別の態様は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)調節がある役割を果たす疾患又は障害を予防する方法であって、それを必要とする被験体に治療有効量の式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の1つ以上の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を投与することを含む方法に関する。
【0222】
別の態様において本開示は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)調節がある役割を果たす疾患又は障害のリスクを低減する方法であって、それを必要とする被験体に治療有効量の式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の1つ以上の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を投与することを含む方法に関する。
【0223】
本開示の別の態様は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)調節がある役割を果たす疾患又は障害を改善する方法であって、それを必要とする被験体に治療有効量の式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の1つ以上の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を投与することを含む方法に関する。
【0224】
別の態様において本開示は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)レベルの減少に関連する疾患又は障害を治療する方法であって、NAD+レベルの減少に関連する疾患又は障害に罹患しているか又はこれを発症しやすい被験体に、治療有効量の式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の1つ以上の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を投与することを含む方法に関する。
【0225】
本開示はまた、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)レベルの減少に関連する疾患又は障害を予防する方法であって、NAD+レベルの減少に関連する疾患又は障害に罹患しているか又はこれを発症しやすい被験体に、治療有効量の式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の1つ以上の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を投与することを含む方法に関する。
【0226】
本開示の別の態様は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)レベルの減少に関連する疾患又は障害のリスクを低減する方法であって、NAD+レベルの減少に関連する疾患又は障害に罹患しているか又はこれを発症しやすい被験体に、治療有効量の式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の1つ以上の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を投与することを含む方法に関する。
【0227】
別の態様において本開示は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)レベルの減少に関連する疾患又は障害を改善する方法であって、NAD+レベルの減少に関連する疾患又は障害に罹患しているか又はこれを発症しやすい被験体に、治療有効量の式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の1つ以上の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を投与することを含む方法に関する。
【0228】
本開示の別の態様は、ミトコンドリア機能障害に関連する障害を治療する方法であって、代謝障害に罹患しているか又はこれを発症しやすい被験体に、治療有効量の式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の1つ以上の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を投与することを含む方法に関する。1つの実施態様において、ミトコンドリア機能障害に関連する障害は、遺伝性ミトコンドリア疾患、一般的代謝障害、神経変性疾患、加齢関連障害、腎障害、又は慢性炎症性疾患である。好ましい実施態様において、ミトコンドリア機能障害に関連する障害は、肥満又はII型糖尿病のような一般的代謝障害である。
【0229】
別の態様において本開示は、ミトコンドリア機能障害に関連する障害を予防する方法であって、代謝障害に罹患しているか又はこれを発症しやすい被験体に、治療有効量の式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の1つ以上の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を投与することを含む方法に関する。1つの実施態様において、ミトコンドリア機能障害に関連する障害は、遺伝性ミトコンドリア疾患、一般的代謝障害、神経変性疾患、加齢関連障害、腎障害、又は慢性炎症性疾患である。好ましい実施態様において、ミトコンドリア機能障害に関連する障害は、肥満又はII型糖尿病のような一般的代謝障害である。
【0230】
本開示の別の態様は、ミトコンドリア機能障害に関連する障害のリスクを低減する方法であって、代謝障害に罹患しているか又はこれを発症しやすい被験体に、治療有効量の式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の1つ以上の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を投与することを含む方法に関する。1つの実施態様において、ミトコンドリア機能障害に関連する障害は、遺伝性ミトコンドリア疾患、一般的代謝障害、神経変性疾患、加齢関連障害、腎障害、又は慢性炎症性疾患である。好ましい実施態様において、ミトコンドリア機能障害に関連する障害は、肥満又はII型糖尿病のような一般的代謝障害である。
【0231】
本開示の別の態様は、ミトコンドリア機能障害に関連する障害を改善する方法であって、代謝障害に罹患しているか又はこれを発症しやすい被験体に、治療有効量の式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の1つ以上の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を投与することを含む方法に関する。1つの実施態様において、ミトコンドリア機能障害に関連する障害は、遺伝性ミトコンドリア疾患、一般的代謝障害、神経変性疾患、加齢関連障害、腎障害、又は慢性炎症性疾患である。好ましい実施態様において、ミトコンドリア機能障害に関連する障害は、肥満又はII型糖尿病のような一般的代謝障害である。
【0232】
別の態様において本開示は、酸化的代謝を促進する方法であって、代謝障害に罹患しているか又はこれを発症しやすい被験体に、細胞内ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)を増加させる、治療有効量の式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の1つ以上の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を投与することを含む方法に関する。
【0233】
更に別の態様において本開示は、ACMSDが介在する疾患又は症状を治療するための医薬の製造方法であって、前記医薬が、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を含む、上記方法に関する。
【0234】
本開示の別の態様は、ACMSDが介在する疾患又は症状を予防するための医薬の製造方法であって、前記医薬が、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を含む、上記方法に関する。
【0235】
別の態様において本開示は、ACMSDが介在する疾患又は症状のリスクを低減するための医薬の製造方法であって、前記医薬が、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を含む、上記方法に関する。
【0236】
更に別の態様において本開示は、ACMSDが介在する疾患又は症状を改善するための医薬の製造方法であって、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を含む、上記方法に関する。
【0237】
別の態様において本開示は、ACMSDが介在する疾患又は症状を治療する方法において使用するための医薬組成物であって、前記医薬が、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を含む、上記医薬組成物に関する。
【0238】
別の態様において本開示は、ACMSDが介在する疾患又は症状を予防する方法において使用するための医薬組成物であって、前記医薬が、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を含む、上記医薬組成物に関する。
【0239】
別の態様において本開示は、ACMSDが介在する疾患又は症状のリスクを低減する方法において使用するための医薬組成物であって、前記医薬が、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を含む、上記医薬組成物に関する。
【0240】
本開示の別の態様は、ACMSDが介在する疾患又は症状を改善する方法において使用するための医薬組成物であって、前記医薬が、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を含む、上記医薬組成物に関する。
【0241】
更に別の態様において本開示は、ACMSDが介在する疾患又は症状を治療する方法において使用するための化合物であって、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を含む、上記化合物に関する。
【0242】
本開示の別の態様は、ACMSDが介在する疾患又は症状を予防する方法において使用するための化合物であって、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を含む、上記化合物に関する。
【0243】
別の態様において本開示は、ACMSDが介在する疾患又は症状のリスクを低減する方法において使用するための化合物であって、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を含む、上記化合物に関する。
【0244】
本開示の別の態様は、ACMSDが介在する疾患又は症状を改善する方法において使用するための化合物であって、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を含む、上記化合物に関する。
【0245】
本開示の別の態様は、α-アミノ-β-カルボキシムコン酸-ε-セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)機能障害に関連する疾患又は障害を治療するか、予防するか、又はそのリスクを低減するための医薬の製造における、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩の使用に関する。
【0246】
別の態様において本開示は、α-アミノ-β-カルボキシムコン酸-ε-セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)機能障害に関連する疾患又は障害のリスクを治療するための医薬の製造における、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩の使用に関する。
【0247】
本開示の別の態様は、α-アミノ-β-カルボキシムコン酸-ε-セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)機能障害に関連する疾患又は障害を予防するための医薬の製造における、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩の使用に関する。
【0248】
別の態様において本開示は、α-アミノ-β-カルボキシムコン酸-ε-セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)機能障害に関連する疾患又は障害のリスクを低減するための医薬の製造における、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩の使用に関する。
【0249】
本開示の別の態様は、α-アミノ-β-カルボキシムコン酸-ε-セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)機能障害に関連する疾患又は障害を改善するための医薬の製造における、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩の使用に関する。
【0250】
別の態様において本開示は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)レベルの減少に関連する疾患又は障害を治療するか、予防するか、又はそのリスクを低減するための医薬の製造における、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩の使用に関する。
【0251】
本開示の別の態様は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)レベルの減少に関連する疾患又は障害を治療するための医薬の製造における、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩の使用に関する。
【0252】
別の態様において本開示は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)レベルの減少に関連する疾患又は障害を予防するための医薬の製造における、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩の使用に関する。
【0253】
本開示の別の態様は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)レベルの減少に関連する疾患又は障害のリスクを低減するための医薬の製造における、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩の使用に関する。
【0254】
別の態様において本開示は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)レベルの減少に関連する疾患又は障害を改善するための医薬の製造における、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩の使用に関する。
【0255】
本開示の別の態様は、ミトコンドリア機能障害に関連する障害を治療するか、予防するか、又はそのリスクを低減するための医薬の製造における、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩の使用に関する。
【0256】
別の態様において本開示は、ミトコンドリア機能障害に関連する障害を治療するための医薬の製造における、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩の使用に関する。
【0257】
本開示の別の態様は、ミトコンドリア機能障害に関連する障害を予防するための医薬の製造における、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩の使用に関する。
【0258】
別の態様において本開示は、ミトコンドリア機能障害に関連する障害のリスクを低減するための医薬の製造における、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩の使用に関する。
【0259】
本開示の別の態様は、ミトコンドリア機能障害に関連する障害を改善するための医薬の製造における、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩の使用に関する。
【0260】
別の態様において本開示は、酸化的代謝を促進するための医薬の製造における、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩の使用に関する。
【0261】
本開示の別の態様は、α-アミノ-β-カルボキシムコン酸-ε-セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)機能障害に関連する疾患又は障害を治療するか、予防するか、又はそのリスクを低減するための医薬の製造に使用するための、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩に関する。
【0262】
別の態様において本開示は、α-アミノ-β-カルボキシムコン酸-ε-セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)機能障害に関連する疾患又は障害を治療するための医薬の製造に使用するための、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩に関する。
【0263】
本開示の別の態様は、α-アミノ-β-カルボキシムコン酸-ε-セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)機能障害に関連する疾患又は障害を予防するための医薬の製造に使用するための、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩に関する。
【0264】
別の態様において本開示は、α-アミノ-β-カルボキシムコン酸-ε-セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)機能障害に関連する疾患又は障害のリスクを低減するための医薬の製造に使用するための、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩に関する。
【0265】
本開示の別の態様は、α-アミノ-β-カルボキシムコン酸-ε-セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)機能障害に関連する疾患又は障害を改善するための医薬の製造に使用するための、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩に関する。
【0266】
別の態様において本開示は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)レベルの減少に関連する疾患又は障害を治療するか、予防するか、又はそのリスクを低減するための医薬として使用するための、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩に関する。
【0267】
本開示の別の態様は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)レベルの減少に関連する疾患又は障害を治療するための医薬として使用するための、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩に関する。
【0268】
別の態様において本開示は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)レベルの減少に関連する疾患又は障害を予防するための医薬として使用するための、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩に関する。
【0269】
本開示の別の態様は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)レベルの減少に関連する疾患又は障害のリスクを低減するための医薬として使用するための、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩に関する。
【0270】
別の態様において本開示は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)レベルの減少に関連する疾患又は障害を改善するための医薬として使用するための、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩に関する。
【0271】
本開示の別の態様は、ミトコンドリア機能障害に関連する障害を治療するか、予防するか、又はそのリスクを低減するための医薬として使用するための、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩に関する。
【0272】
別の態様において本開示は、ミトコンドリア機能障害に関連する障害を治療するための医薬として使用するための、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩に関する。
【0273】
本開示の別の態様は、ミトコンドリア機能障害に関連する障害を予防するための医薬として使用するための、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩に関する。
【0274】
別の態様において本開示は、ミトコンドリア機能障害に関連する障害のリスクを低減するための医薬として使用するための、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩に関する。
【0275】
本開示の別の態様は、ミトコンドリア機能障害に関連する障害を改善するための医薬として使用するための、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩に関する。
【0276】
別の態様において本開示は、酸化的代謝を促進するための医薬として使用するための、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩に関する。
【0277】
本開示の別の態様は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)レベルの減少に関連する疾患又は障害を治療するか、予防するか、又はそのリスクの低減に使用するための、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩に関する。
【0278】
別の態様において本開示は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)レベルの減少に関連する疾患又は障害の治療に使用するための、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩に関する。
【0279】
本開示の別の態様は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)レベルの減少に関連する疾患又は障害の予防に使用するための、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩に関する。
【0280】
別の態様において本開示は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)レベルの減少に関連する疾患又は障害のリスクの低減に使用するための、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩に関する。
【0281】
本開示の別の態様は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)レベルの減少に関連する疾患又は障害の改善に使用するための、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩に関する。
【0282】
別の態様において本開示は、ミトコンドリア機能障害に関連する障害の治療、予防、又はそのリスクの低減に使用するための、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩に関する。
【0283】
本開示の別の態様は、ミトコンドリア機能障害に関連する障害の治療に使用するための、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩に関する。
【0284】
別の態様において本開示は、ミトコンドリア機能障害に関連する障害の予防に使用するための、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩に関する。
【0285】
本開示の別の態様は、ミトコンドリア機能障害に関連する障害のリスクの低減に使用するための、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩に関する。
【0286】
別の態様において本開示は、ミトコンドリア機能障害に関連する障害の改善に使用するための、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩に関する。
【0287】
本開示の別の態様は、酸化的代謝の促進に使用するための、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩に関する。
【0288】
別の態様において本開示は、α-アミノ-β-カルボキシムコン酸-ε-セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)機能障害に関連する疾患又は障害を治療するか、予防するか、改善するか、又はそのリスクを低減する方法であって、それを必要とする被験体に、治療有効量の下記式:
【化16-1】
【化16-2】
を有する化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を投与することを含む、上記方法に関する。
【0289】
更なる態様において、本開示は、α-アミノ-β-カルボキシムコン酸-ε-セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)機能障害に関連する疾患又は障害を治療するか、予防するか、改善するか、又はそのリスクを低減する方法であって、それを必要とする被験体に、治療有効量の下記式:
【化17-1】
【化17-2】
を有する化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を投与することを含む、上記方法に関する。
【0290】
従って本開示はまた、医薬として使用するための、本明細書に定義される、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩に関する。
【0291】
本開示の別の態様は、下記式の1つ:
【化18-1】
【化18-2】
を有する化合物、又はその医薬的に許容し得る塩の使用であって、α-アミノ-β-カルボキシムコン酸-ε-セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)機能障害に関連する疾患又は障害を治療するか、予防するか、改善するか、又はそのリスクを低減するための医薬の製造における、上記使用に関する。
【0292】
本開示の別の態様は、下記式の1つ:
【化19-1】
【化19-2】
を有する化合物、又はその医薬的に許容し得る塩の使用であって、α-アミノ-β-カルボキシムコン酸-ε-セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)機能障害に関連する疾患又は障害を治療するか、予防するか、改善するか、又はそのリスクを低減するための医薬の製造における、上記使用に関する。
【0293】
別の態様において本開示は、下記式の1つ:
【化20-1】
【化20-2】
を有する化合物、又はその医薬的に許容し得る塩であって、α-アミノ-β-カルボキシムコン酸-ε-セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)機能障害に関連する疾患又は障害を治療するか、予防するか、改善するか、又はそのリスクを低減するための医薬として使用するための、上記化合物又は塩に関する。
【0294】
別の態様において本開示は、下記式の1つ:
【化21-1】
【化21-2】
を有する化合物、又はその医薬的に許容し得る塩であって、α-アミノ-β-カルボキシムコン酸-ε-セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)機能障害に関連する疾患又は障害を治療するか、予防するか、改善するか、又はそのリスクを低減するための医薬として使用するための、上記化合物又は塩に関する。
【0295】
本開示の別の態様は、下記式の1つ:
【化22-1】
【化22-2】
を有する化合物、又はその医薬的に許容し得る塩であって、α-アミノ-β-カルボキシムコン酸-ε-セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)機能障害に関連する疾患又は障害の治療、予防、改善、又はそのリスクの低減に使用するための、上記化合物又は塩に関する。
【0296】
別の態様において本開示は、下記式の1つ:
【化23-1】
【化23-2】
を有する化合物、又はその医薬的に許容し得る塩であって、α-アミノ-β-カルボキシムコン酸-ε-セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)機能障害に関連する疾患又は障害のを治療、予防、改善、又はそのリスクをの低減に使用するための、上記化合物又は塩に関する。
【0297】
本明細書で使用される「治療すること(treating)」又は「治療する(treat)」とは、疾患、症状、又は障害を逆転させる、阻害する、又はそれと闘う目的で、患者の管理及びケアを表現するものであって、疾患、症状、又は障害を逆転させるための、疾患、症状、又は障害を排除するための、あるいは疾患、症状、又は障害を阻害するための、本開示の化合物(即ち、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物)、又はその医薬的に許容し得る塩、プロドラッグ、代謝物、多型体、若しくは溶媒和物の投与を含んでいる。
【0298】
本開示の化合物(即ち、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)又は式(III)の化合物)、又はその医薬的に許容し得る塩、プロドラッグ、代謝物、多型体、若しくは溶媒和物はまた、疾患、症状、若しくは障害、又はそのような疾患、症状、若しくは障害の1つ以上の症候、を予防するために使用することができる。本明細書で使用される「予防する(preventing)」又は「予防する(prevent)」とは、その疾患、症状、又は障害の症候又は合併症の発症を低減又は排除することを表現している。
【0299】
本開示の化合物(即ち、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、又は式(III)の化合物)、又はその医薬的に許容し得る塩、プロドラッグ、代謝物、多型体、若しくは溶媒和物はまた、そのような疾患、症状、又は障害の1つ以上の症候を軽減するために使用することができる。本明細書で使用される「軽減する」という用語は、障害の徴候又は症候の重篤度を減少させるプロセスを記述することが意図される。重要なことに、兆候又は症候は、排除せずに軽減することができる。好ましくは、処置は治癒的又は改善的である。
【0300】
式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、及び(III)の化合物の調製方法
本開示の化合物(例えば、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、及び式(III)の化合物)は、有機合成の分野では当業者に周知の多くの方法で調製することができる。例として本開示の化合物は、合成有機化学の分野で知られている合成方法、又は当業者によって評価されるそれらの変法と共に、後述の方法を用いて合成することができる。好ましい方法は、特に限定されないが、後述の方法を含む。本明細書に記載の反応の最終生成物は、従来の手法により、例えば、抽出、結晶化、蒸留、クロマトグラフィーなどにより単離することができる。
【0301】
本開示の化合物は、中間体Ia~Ih及びIj~Ioの異なる順序の組立てを含む、一般スキームA~Eに略述された工程に従って合成することができる。出発物質は、市販されているか、又は報告された文献中の若しくは例示されたような既知の手順によって製造される。化合物の調製工程において使用される有用な工程は、当業者は周知しているであろう。以下の方法は、化合物の製造方法に関する非限定的な例として与えられる。
【0302】
一般スキームA
【化24】
式中、R
1、R
c、R
d、及びLは、式(I)中に定義されている。
【0303】
中間体Ia及びIbを使用して式(I)の化合物を調製する一般的な方法は、一般スキームAに略述されている。IaとIbを溶媒、即ちアセトニトリル(CH3CN)中で塩基、即ち炭酸カリウム(K2CO3)を使用して、任意に高温でカップリングさせることにより、所望の式(I)の生成物を得られる。使用可能な塩基は、特に限定されないが、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カリウム(K2CO3)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)及びトリエチルアミンを含む。カップリング反応に使用される溶媒は、極性又は非極性溶媒であってもよい。例えば溶媒は、アセトニトリル(CH3CN)、アセトン、又はジメチルスルホキシド(DMSO)であってよい。
【0304】
一般スキームB
【化25】
式中、Xは、良好な脱離基、即ち、Cl、Br、-SCH
3、又はS(O)
2CH
3であり、そしてR
1、R
2、R
c、R
d、及びpは、式(I)で定義されている。
【0305】
あるいは、式(I)の化合物は、中間体Ic及びIdを使用して一般スキームBに略述されるとおり調製することができる。塩基、即ち水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)などを溶媒、即ちメタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、水(H2O)などの中で使用して、中間体IcをIeをアミノ化することにより、式(I)の化合物が得られる。
【0306】
一般スキームC
【化26】
式中、Xは良好な脱離基、即ち、Cl、Br、-SCH
3、又はS(O)
2CH
3であり、そしてR
1、R
2、R
c、R
d、及びpは、式(I)で定義されている。
【0307】
式(I)の化合物はまた、中間体Ie及びIfを使用して一般スキームCに略述されるとおり調製することができる。塩基、即ち水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)などを溶媒、即ちメタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、水(H2O)などの中で使用して、中間体IeをIfでアミノ化することにより、式(I)の化合物が得られる。
【0308】
一般スキームD
【化27】
式中、R
1、R
c、及びR
dは、式(I)で定義されている。
【0309】
あるいは、式(I)の化合物はまた、中間体Ig、Ih、Ij、Ik、及びImを使用して一般スキームDに略述されるとおり調製することができる。塩基、即ち炭酸カリウム(K2CO3)及びホスホン酸ジエチル(シアノメチル)を溶媒、即ちテトラヒドロフラン(THF)、水(H2O)中で使用して、任意に高温で、中間体Igをオレフィン化することにより中間体Ihが得られる。金属触媒、即ちパラジウム担持炭素(Pd/C)、二酸化白金(PtO2)など及び水素(H2)ガスを溶媒、即ちエタノール(EtOH)及び/又はテトラヒドロフラン(THF)中で使用して、Ihを水素化することにより中間体Ijが得られる。中間体Ikは、中間体Ijを溶媒、即ちエタノール(EtOH)、ジクロロメタン(CH2Cl2)などの中で、酸、即ち塩酸(HCl)で処理し、次に塩基、即ちアンモニア(NH3)で処理することによって得られる。塩基、即ち水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)などを溶媒、即ちジメチルアセトアミド(DMA)中で、任意に高温で使用して、中間体Ik及びImを環化することにより、式(I)の化合物が得られる。
【0310】
一般スキームE
【化28】
式中、R
1、R
c、及びR
dは、式(I)中で定義されている。
【0311】
あるいは、式(I)の化合物は、中間体In及びIoを使用して、一般スキームDに略述されるとおり調製することができる。塩基、即ち、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)などを溶媒、即ち、メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、水(H2O)などの中で使用して、中間体InをIoでアシル化することにより、式(I)の化合物が得られる。
【0312】
上記の方法から生じるエナンチオマー、ジアステレオマー、シス/トランス異性体の混合物は、分離の性質に応じて、キラル塩手法、順相、逆相、又はキラルカラムを用いるクロマトグラフィーによって、それらの単一成分に分離することができる。
【0313】
上記の説明及び化学式において、種々の基R1、R2、X、L、Y、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rx、Ry、Rz、m、n、p、q、r及び他の変数は、他に示されている場合を除いて、本明細書に定義されたものである。更には、合成目的には、一般スキーム1と2の化合物は、本明細書で定義された式(I)の化合物の一般的な合成方法論を説明するための選ばれたラジカルを用いた単なる代表例である。
【0314】
生物学的アッセイと動物試験
ACMSD1阻害のスクリーニング方法
ACMSD1の阻害剤としての化合物の活性は、分光光度法インビトロアッセイで測定される。アッセイ前混合物をインキュベートし、次に式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩、及びACMSD1溶液を加える。アッセイ前混合物中の3-ヒドロキシアントラニル酸(3OH-HA)濃度を変化させることにより、酵素活性に対するACMS濃度の作用を調べる。動力学パラメータは、Lineweaver-Burkプロットを用いて初期速度データから計算される。
【0315】
細胞アッセイ法
マウス肝細胞細胞株を増殖させ、播種する。細胞を37℃で培養して維持し、細胞を付着させた後、異なる濃度の式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩、又はDMSOを添加する。初代肝細胞は約24時間後に採取される。
【0316】
HEK293T細胞におけるACMSD-1調節の測定
HEK293T細胞を播種し、トランスフェクトしてACMSDを一時的に発現させる。次に細胞を異なる濃度の化合物1で刺激し、次に溶解して、分光光度法インビトロアッセイでACMSD活性を測定する。細胞溶解物中の総タンパク質含量は、ブラッドフォード分析により検出され、全ての試料中で標準化された酵素の特異活性を得るために使用される。
【0317】
ヒト初代肝細胞中のNAD+含有量の測定
接種後に、初代肝細胞を、異なる濃度の式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩、又はMEHPで処理する。化合物を24時間毎に交換し、次に細胞を直接採取し、溶解してLCMS/MS(液体クロマトグラフィー質量スペクトル法/質量スペクトル法)によりNAD+含量を検出する。
【0318】
AML12細胞及びマウス初代肝細胞中のSOD2活性の調節
初代肝細胞又はAML-12細胞を溶解し、総タンパク質濃度をブラッドフォードアッセイを用いて測定する。SOD活性は、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩で処理した後、指定された時間にSODアッセイキットを用いて測定する。吸光度を測定し、標準曲線と測定したタンパク質濃度に従って、結果をU/ml/mgタンパク質で表す。
【0319】
マウス初代肝細胞中のNAD+含量の測定
酸性抽出法を用いてNAD+を抽出し、試料を採取してホモジナイズする。不溶性タンパク質部分をペレット化した後、試料を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分離し、質量スペクトル法で分析する。ペレット中のタンパク質はブラッドフォードアッセイにより定量化され、標準化のために使用される。
【0320】
細胞中のACMSD及びSIRT1に調節された遺伝子のRNA調製とRT-qPCR分析
細胞(AML-12細胞、Hepa-1.6細胞、HEK-293細胞、初代ヒト及びマウス肝細胞)は、異なる濃度の式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を用いて処理され、ACMSD、Pgc1a、Sod1、及びSod2(MnSOD)の遺伝子発現がRT-qPCRを用いて測定される。総RNAを細胞から抽出し、抽出したRNAをDNaseで処理し、逆転写(RT)のために使用する。
【0321】
MDCK細胞中のカスパーゼ3/7活性の調節
MDCK細胞を、基本培地中で最終濃度10%まで培養する。細胞を96ウェルに播種し、細胞播種の24時間後に、培地を1%FBSを補足した新鮮な培地で交換する。次にシスプラチンを用いて細胞傷害を誘発する。異なる濃度の式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)、又はその医薬的に許容し得る塩(DMSO中)を、シスプラチンと組み合わせて添加するか、又はシスプラチンの添加前に加える。カスパーゼ3/7活性(Promega)は、標準的な手順に従って、プレートリーダー上の発光シグナル読み出しを用いて決定される。各実験/条件は三重測定される。カスパーゼ活性は、シスプラチン単独及びビヒクル処理細胞に対して標準化した効果パーセントとして分析される。
【0322】
細胞毒性とhERGスクリーニング
HePG2及びAML-12細胞を接種し、化合物の用量応答を様々な濃度で行う。細胞を刺激し、上清を使用して壊死の尺度としてLDH放出を実施し、一方、細胞を溶解しATPレベルを検出して細胞生存率を決定する。
【0323】
予測因子hERGアッセイキットは、hERGカリウムチャネル及び高親和性赤色蛍光hERGチャネルリガンドで安定にトランスフェクトされ、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)又は式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩のhERGチャネル親和性結合の測定に使用される。hERGチャネルタンパク質(競合物質)に結合する化合物は、トレーサーを置換し、その結果より低い蛍光偏光が発生する能力により同定される。
【0324】
シー・エレガンス実験-ACMSD1サイレンシング、寿命アッセイ、移動度評価、及びGFP定量
ACMSD1サイレンシング:遺伝子発現と生存に及ぼすacmsd-1のダウンレギュレーション又はサイレンシングの作用を測定するための細菌供給RNAi実験は、線虫カエノラブディティス・エレガンス (Caenorhabditis elegans)(C. elegans)で行われる。細菌供給実験に用いたクローンは、acmsd-1、SIR-2.1、及びDAF-16である。総RNAを細胞から抽出し、抽出されたRNAをDNaseで処理し、逆転写(RT)に用いる。
【0325】
虫を、カルベニシリン及びIPTGを更に含むNGM寒天プレート上で増殖させ、細菌培養物を接種する。RNAi処理後、パラコートを含むプレートに虫を移し、RNAi細菌を接種する。対照動物を、空のベクター(対照)を含有するRNAi細菌上で増殖させ、次にパラコートを含有するプレートに移し、RNAi細菌を接種する。RT-qPCRを用いて、mRNAレベル及びタンパク質レベルでのsod-3の遺伝子発現の定量化を行い、生存分析を行う。虫の動きは成体期の1、3、5日目に記録される。
【0326】
C57BL/6J及びKK-Ayマウスにおける抗糖尿病作用の試験
マウスに通常の食餌又は高脂肪食(HFD)を与える。式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を毎日投与し、RNA単離、脂質測定、及び組織学的分析のために、血液と組織を採取する。酸素消費を測定し、組織学的分析、及び透過型電子顕微鏡検査を行う。経口グルコース負荷試験、及び腹腔内インスリン負荷試験も行って、グルコースを定量し、血漿インスリン濃度を測定する。
【0327】
LepR突然変異を有するdb/dbマウスにおける抗糖尿病及び抗肥満の試験
動物に高脂肪食(HFD)を与える。亜慢性介入のために、動物を1日1回、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩で14日間処理する。血液試料を採取し、各血液試料のグルコース濃度を測定する。急性介入のために、最初の血液試料を採取し、次に式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を投与する。その後、食餌へのアクセスを制限し、第2の血液試料を採取する。マウスに経口グルコース負荷試験を行い、血中グルコース濃度を測定する。
【0328】
正常血糖-高インスリン血クランプアッセイのために、動物に、プライムした連続[3-3H]グルコース注入を行い、次に血液試料を採取して、血漿インスリン、グルコース、及び[3-3H]グルコース濃度を測定し、基礎内因性グルコース出現速度を計算する。次にマウスに、ビヒクル、又は式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を、強制経口投与により投与する。続いて動物に、インスリンを含有する[3-3H]グルコース注入を行い、血漿インスリン濃度の中程度の正味増加を引き起こす。血中グルコース濃度を測定し、グルコース注入速度を調整することにより標的血糖値を確立する。次に2-デオキシ-D-[1-14C]グルコースを静脈内に投与し、血液試料を採取する。次に、マウスを殺処分する。腓腹筋及び精巣上体脂肪組織を採取し、脱タンパク血漿中で血漿[3H]放射能及び[14C]放射能を測定する。
【0329】
体重を評価し、褐色脂肪組織(BAT)と生殖腺白色脂肪組織(WAT)を切開し、重量を測定する。酸素容量(VO2)と二酸化炭素生成容量(VCO2)を測定し、体重に標準化された時間当たりの平均VO2(mL/h/kg)として報告する。赤外線遮断と食物摂取による活動数を同時に測定する。
【0330】
雄のC57BL/6Jマウスにおける非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)及び非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の試験
マウスに「西洋式」HF-HSD(高脂肪高ショ糖食)又は対照として通常の食餌(NCD)を与える。次にマウスを、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩で、4、12、又は20週間処理し、その後殺処分する。体重と食物摂取量を毎週追跡し、総脂肪量を分析する。腹腔内グルコース負荷試験(IPGTT)も行い、グルコース投与後に尾静脈血糖値を測定する。インスリン抵抗性は、インスリン抵抗性の恒常性モデル(Homeostasis Model of Insulin Resistance)を用いて計算される。次に、心臓穿刺による血液採取によりマウスを殺処分する。血漿を採取し、血漿とともに組織を採取して、さらなる生化学的及び分子的分析又は組織学的分析を行う。
【0331】
メチオニン及びコリン欠損マウスにおける非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)及び非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の試験
体重25gのマウスに、メチオニン及びコリン欠乏食餌(NASHを誘導するためのMCD)又は通常食餌(対照として)を与える。高脂肪及び高ショ糖食餌を与えたC57BL/6Jマウスについて上記したように、NAFLD及びNASHの動物実験と評価を行う。
【0332】
高コレステロール投与LDL-Rノックアウトマウスにおけるアテローム性動脈硬化症の試験
LDL-Rノックアウト(KO)マウスを、アテローム発生食の開始後約12週間目に殺処分し、その後、心臓と大動脈をPBSで灌流し、続いて固定する。アテローム性動脈硬化症及び生化学パラメータを、適切な市販のキットを用いて測定する。インビボのリポ多糖(LPS)試験のために、マウスにLPSを腹腔内注射し、血液を尾静脈から採取する。TNFαレベルをマウスTNFα ELISAアッセイで定量する。血液細胞数を測定する。
【0333】
Sco2KO/KIマウスにおける遺伝性ミトコンドリア病の試験
式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物を水に溶解し、適切な濃度で標準粉末食に加える。食事の供給は3日ごとに変更され、1ヶ月間自由に与えられる。組織学的分析のために組織を採取する。大腿四頭筋の試料について、cI、cII、cIII、及びcIV、並びにCSの分光光学的活性を測定する。NAD+は、それぞれ酸性及びアルカリ性抽出法を用いて組織から抽出され、質量スペクトル法により分析される。
【0334】
Deletorマウスにおける遺伝性ミトコンドリア病の試験
Deletor及びWT雄マウスに、通常食餌(CD)、及びCDと混合した式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物を投与する。マウスは、体重、摂食量、身体的耐久性について定期的に追跡され、運動能力が測定される。酸素消費と二酸化炭素の産生、並びに自発的な移動及び摂食活動が記録される。大腿四頭筋、肝臓、及びBATから、組織切片が採取され調製される。大腿四頭筋からの凍結切片をインサイチュの組織化学的COX活性及びコハク酸デヒドロゲナーゼ(SDH)活性についてアッセイし、BATと筋肉の両方におけるクリスタ含有量を電子顕微鏡写真から測定し、骨格筋試料をクエン酸シンターゼ活性について分析する。
【0335】
腎疾患試験
C57BL/6J WTマウスに、標準的な市販の食餌を与え、4つの群に分ける:対照;シスプラチン;式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩とシスプラチン;及び式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩のみ。マウスを殺処分し、組織試料、及び血清を採取する。血清クレアチニン及びBUNレベルを測定し、血清又は腎組織由来のホモジネートからの炎症促進性サイトカインTNF-α、IL-1b、及びIL-6を定量する。マウスの腎臓を採取し、分析のために染色する。尿細管傷害を調べ、尿細管皮質壊死の割合に基づいて評価する。染色組織について、高倍率視野あたりの好中球の数を数えることにより、好中球浸潤を定量的に評価する。
【0336】
あるいは、C57BL/6J WTマウスに番号を付け、一定期間順化させた後、体重に基づいて異なる処理群に無作為化する。異なる群を、特定の食事で一定期間維持する。体重を測定し、摂食量を評価する。軽度の麻酔下で後眼窩穿刺により血液を採取し、基礎血液尿素窒素レベル(BUN)の分析に使用する。
【0337】
マウスを麻酔し、手術台の上に置く。両方の腎臓を切開により露出させ、腎臓茎を血管クランプで閉塞する。次にクランプを外し、手術部位を縫合する。偽手術群は同様の外科的処置を受けるが、閉塞クランプは適用されない。マウスは麻酔から回復しそのホームケージに戻るまで監視される。マウスは、全身的な臨床徴候、及び症状と死亡について毎日観察される。
【0338】
終了の1日前に、マウスを代謝ケージに個々に収容し、尿素、クレアチニン、ナトリウム、及びカリウムの測定のために尿を採取する。軽度の麻酔下で眼窩後穿刺により採血し、血漿を使用して血漿尿素窒素レベル(BUN)及び血清クレアチニンを分析する。マウスを安楽死させ、器官を採取する。一方の腎臓は固定し、他方は急速凍結し、脂質過酸化、GSH、MPO、及びSODレベルの測定に使用する。
【0339】
虚血/再灌流誘発性急性腎臓傷害の試験
式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を用いて、強制経口投与により1日1回、CD-1(ICR)マウスを処理する。CD-1マウスは4つの群に分けられる:(1)偽傷害を有する若いマウス;(2)虚血/再灌流(I/R)傷害を有する若いマウス;(3)偽傷害を有する成体マウス;(4)I/R傷害を有する成体マウス。更に27匹の成体マウスを2群に無作為化する:式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を投与されたマウスと、対照としてビヒクルを投与されたマウス。血清クレアチニンレベルを測定し、BUN測定値を記録する。次に腎組織を評価し、尿細管傷害をスコア化する。
【0340】
FoxO1リン酸化レベルに対する作用の測定
AML-12細胞を、異なる濃度の式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩で処理する。次に細胞を溶解し、SDS-PAGE/ウエスタンブロットにより分析する。次にブロッキングと抗体インキュベーションを行い、存在する各タンパク質をその特異抗体を用いて検出する。
【0341】
阻害作用
本開示はまた、本明細書で定義されるように、ACMSDの活性を阻害する方法における、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩に関する。この方法は、細胞に、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を接触させることを含む。関連する実施態様において本方法は更に、化合物が、細胞内のACMSDを選択的に阻害するのに十分な濃度を生成するのに有効な量で存在することを、提供する。
【0342】
従って好ましくは、ACMSD阻害のためのアッセイ(すなわち、本明細書に記載のACMSDアッセイ、例えば実施例29、又は文献で公知のACMSDアッセイ)において、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の好適な化合物、又はその医薬的に許容し得る塩は、ACMSDを減少又は好ましくは阻害し、NAD+レベルを増加させ、及び/又はSIRT若しくはSIRTの下流標的、例えばPGC-1α、FoxO1、及び/又はSODを活性化することができる化合物である。好ましくは、前記阻害は、前記ACMSD阻害アッセイに関する、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の前記化合物のIC50として測定される。式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の好適な化合物、又はその医薬的に許容し得る塩は、ACMSDの阻害に関して、1μM以下、より好ましくは300μM未満 例えば、100nM未満、例えば50nM未満のIC50を有する。
【0343】
医薬的に許容し得る塩
式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物は、意図される投与に適した任意の形態、特に式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物の医薬的に許容される塩、溶媒和物、及びプロドラッグを含む形態で提供することができる。
【0344】
医薬的に許容し得る塩は、臨床的及び/又は獣医学的使用に許容されると考えられる式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物の塩を指す。典型的な医薬的に許容し得る塩は、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物と、無機若しくは有機酸又は有機若しくは無機塩基との反応により調製される塩を含む。このような塩は、それぞれ酸付加塩及び塩基付加塩として知られている。塩の一部を形成する特定の対イオンは、塩全体が医薬的に許容され、対イオンが全体として塩に望ましくない性質を与えない限り、重要な性質ではないことが認識されるであろう。これらの塩は、当業者に公知の方法により調製することができる。医薬的に許容し得る塩は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 17. Ed. Alfonso R. Gennaro (Ed.), Mack Publishing Company, Easton, PA, U.S.A., 1985、及びより最新版、及びEncyclopedia of Pharmaceutical Technology に記載されている。
【0345】
医薬的に許容し得る付加塩の例には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、ヨウ化水素酸、メタリン酸、又はリン酸などの無機酸;琥珀酸、マレイン酸、酢酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、トリフルオロ酢酸、リンゴ酸、乳酸、蟻酸、プロピオン酸、グリコール酸、グルコン酸、樟脳スルホン酸、イソチオン酸、ムチン酸、ゲンチシン酸、イソニコチン酸、サッカリン酸、グルクロン酸、フロン酸、グルタミン酸、アスコルビン酸、アントラニル酸、サリチル酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、エタンスルホン酸、パントテン酸、ステアリン酸、スルフィン酸、アルギン酸、及びガラクツロン酸などの有機酸;及びアリールスルホン酸、例えばベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、又はナフタレンスルホン酸;及びアルカリ金属、アルカリ土類金属、及び有機塩基と形成される塩基付加塩、例えばN、N-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N-メチルグルカミン)、リジン、及びプロカイン;及び内部で形成された塩を含む。医薬的に許容し得る塩への言及はすべて、同じ塩の、本明細書で定義されるような溶媒付加形態(溶媒和物)又は結晶形態(多形体)を含むことを理解されたい。
【0346】
式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩は、例えば水、エタノールなどの医薬的に許容し得る溶媒と一緒に、溶解性又は不溶性の形態で提供することができる。溶解性形態はまた、水和形態、例えば一水和物、二水和物、半水和物、三水和物、四水和物などを含み得る。
【0347】
式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩は、プロドラッグとして提供し得る。本明細書中で使用される「プロドラッグ」という用語は、ある生理学的条件に曝露された時、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を遊離する化合物を意味することを意図し、これは次に、所望の生物学的作用を発揮することができる。典型的な例は、アミンの不安定なカルバメートである。
【0348】
プロドラッグは、医薬品の多くの望ましい性質(例えば溶解度、バイオアベイラビリティ、製造)を向上させることが知られているため、本開示の化合物は、プロドラッグ形態で送達することができる。すなわち本開示は、本明細書で請求されている化合物のプロドラッグ、その送達方法、及びそれを含む組成物をを包含することを意図する。「プロドラッグ」は、そのようなプロドラッグが被験体に投与された場合に、本開示の活性な親薬物をインビボで放出する任意の共有結合した担体を含むことを意図する。本開示におけるプロドラッグは、通常の操作で又はインビボのいずれかで修飾が切断されて親化合物になるように、化合物に存在する官能基を修飾することにより調製される。プロドラッグには、ヒドロキシ、アミノ、スルフヒドリル、カルボキシ、又はカルボニル基がインビボで切断されて、それぞれ遊離ヒドロキシル、遊離アミノ、遊離スルフヒドリル、遊離カルボキシ、又は遊離カルボニル基を形成することができる任意の基に結合した、本開示の化合物が含まれる。
【0349】
プロドラッグの例には、特に限定されないが、本開示の化合物中のヒドロキシ官能基のエステル(例えば、酢酸塩、ジアルキルアミノ酢酸塩、蟻酸塩、リン酸塩、硫酸塩、及び安息香酸誘導体)及びカルバメート(例えば、N,N-ジメチルアミノカルボニル)、カルボキシル官能基のエステル(例えば、C1-6アルキルエステル、例えばメチルエステル、エチルエステル、2-プロピルエステル、フェニルエステル、2-アミノエチルエステル、モルホリノエタノールエステル)、アミノ官能基のN-アシル誘導体(例えば、N-アセチル)N-マンニッヒ塩基、シッフ塩基及びエナミノン、ケトン及びアルデヒド官能基のオキシム、アセタール、ケタール、及びエノールエステルが含まれる。Bundegaard, H., Design of Prodrugs, p1-92, Elesevier, New York-Oxford (1985) を参照されたい。
【0350】
化合物、又はその医薬的に許容し得る塩、エステル若しくはプロドラッグは、経口、経鼻、経皮、肺、吸入、口腔、舌下、腹腔内、皮下、筋肉内、静脈内、直腸内、髄腔内、くも膜下腔内、及び非経口投与される。ある実施態様において、化合物は経口投与される。当業者は、特定の投与経路の利点を認識しているであろう。
【0351】
化合物を利用する投与処方は、患者のタイプ、種、年齢、体重、性別、及び医学的症状;治療される症状の重症度;投与経路;患者の腎機能と肝機能;及び使用される特定の化合物又はその塩を含む様々な要因、に従って選択される。通常の熟練した医師又は獣医師は、症状の進行を予防、対抗、又は阻止するのに必要な薬物の有効量を容易に決定及び処方することができる。
【0352】
本開示の記載されている化合物の調製及び投与のための技術は、Remington: the Science and Practice of Pharmacy, 19th edition, Mack Publishing Co., Easton, PA (1995) に見ることができる。ある実施態様において、本明細書に記載の化合物及びその医薬的に許容し得る塩は、医薬的に許容し得る担体又は希釈剤と組み合わせて医薬製剤に使用される。適切な医薬的に許容し得る担体には、不活性の固体充填剤又は希釈剤、及び無菌水溶液又は有機溶液が含まれる。化合物は、本明細書に記載の範囲内の所望の投与量を提供するのに十分な量で、そのような医薬組成物中に存在するであろう。
【0353】
本開示のある態様において、有効成分として本明細書に記載の式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の少なくとも1つの化合物、又はその医薬的に許容し得る塩、及び任意に1種以上の医薬的に許容し得る賦形剤、希釈剤、及び/又は担体を含む医薬組成物が提供される。式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容される塩は、単独で、又は医薬として許容される担体、希釈剤、又は賦形剤と組合せて、単回又は複数回用量で投与し得る。適切な医薬的に許容し得る担体、希釈剤、及び賦形剤としては、不活性の固体希釈剤又は充填剤、無菌水溶液、及び種々の有機溶媒が挙げられる。
【0354】
「医薬組成物」は、被験体への投与に適した形態で本開示の化合物を含有する配合物である。医薬組成物は、医薬的に許容し得る担体又は希釈剤並びに任意の他の既知のアジュバント及び賦形剤と共に、例えば Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Edition, 2000, Lippincott Williams & Wilkins に開示されているような従来の技術に従って配合することができる。
【0355】
本明細書中で使用される用語「医薬的に許容し得る」は、健全な医学的判断の範囲内で、ヒトや動物の組織と接触して使用するのに適しており、過剰の毒性、刺激、アレルギー反応、又は他の問題若しくは合併症の無い、合理的な利益/リスク比に見合う、化合物、材料、組成物、担体、及び/及び剤形を指す。
【0356】
「医薬的に許容し得る賦形剤」は、一般的に安全であり、非毒性であり、生物学的にもその他の点でも望ましくないことはない医薬組成物を調製するのに有用な賦形剤を意味し、獣医学的使用及びヒトへの医薬的使用に許容される賦形剤を含む。本明細書及び特許請求の範囲で使用される「医薬的に許容し得る賦形剤」には、そのような賦形剤の1つ及び複数の両方を含む。
【0357】
本明細書で定義される式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を、医薬的に許容し得る担体、希釈剤、又は賦形剤と組合せることにより生成される医薬組成物は、錠剤、散剤、トローチ剤、シロップ剤、坐剤、注射溶液などの様々な剤形で容易に投与することができる。散剤中で担体は、細かく分割された活性成分と混合物中にある、タルク又はデンプンのような細かく分割された固体である。錠剤中で活性成分は、必要な結合特性を有する担体と適切な割合で混合され、所望の形状及びサイズに圧縮される。
【0358】
医薬組成物は、経口及び非経口(皮下、筋肉内、くも膜下腔内、静脈内、及び皮内を含む)経路のような任意の適切な経路による投与のために、特別に調製することができる。好ましい経路は、治療される被験体の全身状態と年齢、治療される症状の性質、及び選択される有効成分に依存することが理解されよう。
【0359】
経口投与のための医薬組成物としては、カプセル剤、錠剤、糖衣錠、丸剤、トローチ剤、散剤、及び顆粒などの固体剤形が挙げられる。これらは適宜、腸溶性コーティングのようなコーティングで調製することができ、又はこれらは、当技術分野で周知の方法に従って、持続放出又は長期放出などの活性成分の制御放出を提供するように調製することができる。
【0360】
錠剤又はカプセル剤の形態の経口投与のために、本明細書で定義される式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩は、エタノール、グリセロール、水などのような経口の非毒性の医薬的に許容し得る担体と適切に組み合わせることができる。更に、適切な結合剤、滑沢剤、崩壊剤、香味剤、及び着色剤を、混合物に適宜添加してもよい。適切な結合剤には、例えば乳糖、グルコース、デンプン、ゼラチン、アラビアゴム、トラガカントゴム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどが含まれる。潤滑剤には、例えばオレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが含まれる。崩壊剤には、例えばデンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガム、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウムなどが含まれる。カプセル剤用の追加の賦形剤としては、マクロゲル又は脂質が挙げられる。
【0361】
錠剤などの固体組成物の調製のために、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の活性化合物、又はその医薬的に許容し得る塩は、上記のような1種以上の賦形剤、及び水などの他の医薬的希釈剤と混合されて、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩の均一な混合物を含有する固体予備配合組成物が製造される。「均一な」という用語は、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩が、組成物全体に均等に分散されており、その結果、その組成物が、錠剤又はカプセル剤などの等しく有効な単位剤形に容易に細分され得ることを意味すると理解される。
【0362】
式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩の、経口又は非経口投与のための液体組成物は、例えば水溶液、シロップ、エリキシル、水性若しくは油性懸濁液、及び綿実油、ゴマ油、ヤシ油、又はピーナッツ油などの食用油を含むエマルジョンが挙げられる。水性懸濁液に適した分散剤又は懸濁化剤には、トラガカント、アルギン酸塩、アラビアゴム、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ゼラチン、メチルセルロース、又はポリビニルピロリドンなどの合成ゴム又は天然ゴムが含まれる。
【0363】
非経口投与のための医薬組成物には、無菌水性注射液と非水性注射液、分散液、懸濁液、又はエマルション、並びに使用前に無菌注射溶液又は分散液で復元される無菌粉末が含まれる。
【0364】
静脈内投与のために、適切な担体には、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(登録商標)(BASF、Parsippany、NJ) 、又はリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)が含まれる。すべての場合において、組成物は無菌でなければならず、容易に注射可能である程度に流動性でなければならない。これは、製造及び貯蔵の条件下で安定でなければならず、細菌や真菌のような微生物の汚染作用に対抗して保存されなければならない。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、及びこれらの適切な混合物を含む溶媒又は分散媒体であってもよい。適切な流動性は、例えばレシチンなどのコーティングの使用、分散液の場合には必要とされる粒径の維持、及び界面活性剤の使用、により維持することができる。微生物作用の防止は、種々の抗菌剤及び抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどにより達成することができる。多くの場合、組成物中に等張剤、例えば糖、マンニトール、ソルビトールのようなポリアルコール、及び塩化ナトリウムを含むことが好ましいであろう。注射用組成物の長期吸収は、吸収を遅延させる物質、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを、組成物中に含めることによりもたらされる。
【0365】
無菌条件下でのこれら全ての溶液の調製は、当業者に周知の標準的な製剤技術により容易に達成される。
【0366】
例えば無菌注射用溶液は、活性化合物の必要量を適切な溶媒中に、必要に応じて上に列挙した成分の1つ又は組合せとともに取り込み、次に濾過滅菌することにより調製することができる。一般に、分散液は、塩基性分散媒体及び上記したものからの必要な他の成分を含有する無菌ビヒクルに、活性化合物を組み込むことにより調製される。無菌注射溶液の調製用の無菌粉末の場合、調製方法は、予め無菌ろ過された溶液からの任意の追加の所望の成分と、活性成分との粉末を生じる真空乾燥及び凍結乾燥である。デポ注射組成物もまた、本開示の範囲内にあると考えられる。
【0367】
非経口投与のために、ゴマ油又はピーナッツ油、プロピレングリコール水溶液、又は無菌水溶液中に、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を含有する溶液を使用することができる。このような水溶液は必要に応じて適切に緩衝化されるべきであり、液体希釈剤は、最初に十分な生理食塩水又はグルコースを用いて等張にされるべきである。これらの特定の水溶液は、静脈内、筋肉内、皮下、及び腹腔内投与に特に適している。油性溶液は、関節内、筋肉内、及び皮下注射目的に適している。
【0368】
上記の成分に加えて、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩の組成物は、希釈剤、緩衝剤、香味剤、着色剤、界面活性剤、増粘剤、防腐剤、例えばヒドロキシ安息香酸メチル(抗酸化剤を含む)、乳化剤などの、1種以上の追加の成分を含み得る。
【0369】
本明細書で使用される用語「治療有効量」は、特定された疾患、障害、又は症状を治療、改善、又は予防するか、又は検出可能な治療若しくは阻害作用を発揮する薬剤の量を指す。この作用は、当該分野で公知の任意のアッセイ方法により検出することができる。被験体について正確な有効量は、被験体の体重、サイズ、及び健康状態;症状の性質と程度;及び投与のために選択された治療薬又は治療薬の組み合わせに依存するであろう。特定の状況に対する治療有効量は、臨床医の熟練と判断の範囲内である日常的な実験により決定することができる。好ましい態様において、治療される疾患又は障害は、α-アミノ-β-カルボキシムコン酸セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)機能障害に関連する疾患又は障害である。
【0370】
任意の化合物について治療有効量は、まず細胞培養アッセイ、例えば細胞内で、又は通常はラット、マウス、ウサギ、イヌ、又はブタのいずれかの動物モデルで、推定することができる。動物モデルはまた、適切な濃度範囲及び投与経路を決定するために使用し得る。そのような情報は、次にヒトにおける投与のための有用な用量と経路を決定するために使用し得る。治療的/予防的有効性及び毒性は、細胞培養物又は実験動物における標準的な薬学的手順、例えばED50(集団の50%に治療上有効な用量)、及びLD50(集団の50%に致命的な用量)により決定され得る。毒性と治療効果との間の用量比は治療指数であり、比率LD50/ED50として表すことができる。大きな治療指数を示す医薬組成物が好ましい。投与量は、使用される剤形、患者の感受性、及び投与経路に依存して、この範囲内で変化し得る。
【0371】
投与量と投与は、十分なレベルの活性薬剤を提供するように、又は所望の作用を維持するように調整される。考慮すべき要因には、疾患状態の重症度、被験体の全身の健康状態、年齢、体重、及び性別、食事、投与時間と投与頻度、薬剤の組み合わせ、反応感受性、及び治療への耐性/応答が含まれる。長期作用性医薬組成物は、特定の製剤の半減期及びクリアランス速度に依存して、3~4日毎、毎週、又は2週間に1回投与し得る。
【0372】
式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩の適切な投与量は、患者の年齢と症状、治療される疾患の重症度、及び担当医師が周知の他の要因に依存するであろう。化合物は、例えば経口、非経口、又は局所投与のいずれかで、異なる投薬スケジュール、例えば毎日又は間隔をもって、例えば毎週などの間隔で、投与することができる。一般に単回用量は、0.01~500mg/kg体重、好ましくは約0.05~100mg/kg体重、より好ましくは0.1~50mg/kg体重、最も好ましくは0.1~25mg/kg体重の範囲である。化合物は、ボーラス投与(すなわち、1日の全用量が一度に投与される)として、又は1日に2回又はそれ以上の分割用量で投与され得る。通常の技量を有する医師が、治療されるヒトの体重、年齢、及び症状、疾患の重症度、及び具体的な投与経路などの既知の考慮事項を考慮することにより、上記投与量範囲に基づいて変更も可能である。
【0373】
本明細書中で使用される「被験体」又は「それを必要とする被験体」は、α-アミノ-β-カルボキシムコン酸-ε-セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)機能障害に関連する疾患又は障害を有する被験体である。「被験体」には哺乳動物が含まれる。哺乳動物は、例えばヒト、霊長類、鳥類、マウス、ラット、家禽、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヤギ、ラクダ、ヒツジ、又はブタなどの任意の哺乳動物であり得る。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
【0374】
式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩はまた、1種以上の更なる活性物質を単独で、又は医薬的に許容し得る担体、希釈剤、又は賦形剤と組み合わせた医薬組成物中で、単回用量又は複数回用量で調製することもできる。適切な医薬的に許容し得る担体、希釈剤、及び賦形剤は上記の通りであり、1種以上のさらなる活性物質は、任意の活性物質、又は好ましくは以下の本明細書の「併用治療」の項に記載されるような活性物質であり得る。
【0375】
臨床条件と化合物のその他の使用
本明細書で定義されるように、使用される式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容される形態、組成物、医薬、及び化合物は、α-アミノ-β-カルボキシムコン酸-ε-セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)調節がある役割を果たす疾患又は障害の治療に有用である。化合物は、ヒト又は獣医学のいずれかで使用することができ、患者は任意の哺乳類、特にヒトであり得る。治療は、α-アミノ-β-カルボキシムコン酸-ε-セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)調節が関与する疾患又は障害に罹患している任意の哺乳動物、特にヒトに、本明細書で定義される治療有効量の式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を、投与することを含み得る。
【0376】
本開示はまた、α-アミノ-β-カルボキシムコン酸-ε-セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)調節が関与する疾患又は障害、例えば肥満、II型糖尿病とその合併症(例えば糖尿病性網膜症と腎症)、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、又は慢性腎疾患で使用される、本明細書で定義される式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩に関する。
【0377】
用語「α-アミノ-β-カルボキシムコン酸-ε-セミアルデヒド脱炭酸酵素(ACMSD)に関連する疾患又は障害」は、疾患の少なくともいくつかの場合において、低下したニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)発現及び/又は活性を特徴とする任意の疾患、又はNAD+レベルの上昇により改善される疾患を意味する。
【0378】
本開示の使用のための方法、医薬、及び化合物は、異常なミトコンドリア機能に関連する障害の治療、症状の緩和、又は発症の遅延に有用である。異常なミトコンドリア機能に関連する障害には、例えば代謝障害、神経変性障害、加齢関連障害、及び慢性炎症性障害が含まれる。ミトコンドリア障害にはまた、遺伝性及び/又は後天性のミトコンドリア機能障害(すなわち、シャルコー・マリー・ツース病、2A2型、ミトコンドリア脳症、乳酸アシドーシス及び脳卒中(MELAS)、リー症候群、バルト症候群、及びレーバー視神経症)、脂肪酸酸化障害、遺伝型の難聴と失明、並びに毒性化学物質及び/又は薬物に曝されることにより誘発される代謝異常(例えば、シスプラチン誘発性難聴)が挙げられる。
【0379】
代謝障害には、例えばII型糖尿病、肥満、高血糖症、耐糖能異常、インスリン抵抗性(すなわち、高コレステロール血症、代謝症候群、症候群X)、高トリグリセリド血症、心臓血管疾患、アテローム性動脈硬化症、末梢血管疾患、腎症、ケトアシドーシス、血栓障害、腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、性機能障害、皮膚病、消化不良、低血糖症、癌、及び浮腫がある。
【0380】
神経変性障害には、光受容体変性(すなわち、網膜色素変性)、痴呆、アルツハイマー病、パーキンソン病、及びハンチントン病などの疾患が含まれる。
【0381】
慢性炎症性疾患には、セリアック病、血管炎、狼瘡、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、過敏性腸疾患、アテローム性動脈硬化症、関節炎、及び乾癬などの疾患が含まれる。
【0382】
加齢関連疾患には、癌、痴呆、心血管疾患(すなわち、アテローム性動脈硬化症)、高血圧、糖尿病(I型又はII型)、関節炎、白内障、アルツハイマー病、黄斑変性症、及び骨粗鬆症などの疾患が含まれる。
【0383】
被験体は、代謝障害に罹患しているか又はこれを発症し易い可能性がある。代謝障害に罹患しているか又は発症するリスクのある被験体は、当該分野で公知の方法により同定される。例えば糖尿病は、空腹時血糖値又はインスリンを測定することにより、又はグルコース負荷試験により診断することができる。正常な成人のグルコースレベルは約60~126mg/dlである。正常なインスリンレベルは、約7mU/mL±3mUである。高血圧は、約140/90以上で一貫して血圧を読み取ることにより診断することができる。心血管疾患は、コレステロールレベルを測定して診断することができる。例えば約137を超えるLDLコレステロール又は約200を超える総コレステロールは、心臓血管疾患の指標である。高血糖は、約10mmol/l(180mg/dl)より高い血糖値により診断することができる。グルコース不耐性は、2時間の75g経口グルコース負荷試験を行った後、140~199mg/dL(7.8~11.0mmol))のグルコースレベルにより診断することができる。インスリン抵抗性は、約60pmol/Lを超える空腹時血清インスリンレベルにより診断することができる。低血糖は、約2.8~3.0mmol/L(50~54mg/dl)未満の血糖値により診断することができる。肥満は、例えば体格指数により診断することができる。体格指数(BMI)はkg/m2(又はlb/in2×704.5)で測定される。あるいは、ウエスト周囲(脂肪分布を推定する)、ウエスト/ヒップ比(脂肪分布を推定する)、皮下脂肪厚(いくつかの部位で測定した場合、脂肪分布を推定する)、又はバイオインピーダンス(すなわち、体脂肪量より除脂肪量が電流を通す(すなわち体脂肪量が電流を妨げる)という原理に基づき、脂肪%を推定する)を測定することができる。正常な、過体重の、又は肥満の個体のパラメータは、以下の通りである:正常体重未満:BMI<18.5;正常:BMI約18.5~約24.9;肥満:BMI=約25~約29.9。肥満の人は、男性では腰囲>94cm、女性では腰囲>80cmであり、ウエスト・ヒップ比は男性では≧0.95、女性では≧0.80であると特徴付けられる。肥満者は、BMIが30~34.9であり、身長に対する「正常」の体重より20%超多く、体脂肪率が女性>30%、男性が25%であり、男性の腰囲>102cm(40インチ)、女性の場合は88cm(35インチ)であると特徴付けられる。重度又は病的な肥満を有する個体は、≧35のBMIを有すると特徴付けられる。
【0384】
本明細書に記載される方法は、代謝障害の重症度の軽減又は1種以上の症状の緩和を招くことができる。例えば糖尿病の症状には、空腹時血糖値の上昇、140/90mm/Hg以上の血圧、35mg/dL以下の高密度リポタンパク質(HDL)又は250mg/dL以上のトリグリセリド(mg/dL=血液1デシリットルあたりのグルコースのミリグラム数)などの異常な血液脂肪レベルがある。治療の有効性は、代謝障害を診断するための任意の既知の方法と関連して決定される。代謝障害の1種以上の症状の緩和は、化合物が臨床的利益を与えることを示す。
【0385】
本開示の方法は、腎臓傷害の治療、その症状の緩和、又は発症の遅延に有用である。腎臓傷害には、急性腎臓傷害(AKI)及び慢性腎疾患(CKD)が含まれる。
【0386】
被験体は、急性腎臓傷害(AKI)に罹患しているか又はこれを発症し易い可能性がある。急性腎臓傷害は、1つ以上の臨床基準又は条件(すなわち、腎臓が血液から窒素性廃棄物を排出する能力の急激な低下により、高窒素血症をもたらす)により特徴付けられ得る。急性腎臓傷害(AKI)に罹患しているか又は発症する危険がある被験体は、当該分野で公知の方法により同定される。例えば、急性腎臓傷害は、血清クレアチニンがベースラインに対して少なくとも50%の増加、血清クレアチニンがベースラインに対して少なくとも0.3mg/dLの絶対的増加、糸球体ろ過速度がベースラインに対して少なくとも25%の低下、尿量が少なくとも6時間持続する1時間当たりの0.5ml/キログラム体重の減少、又はこれらの任意の組み合わせにより特徴付けられる。急性腎臓傷害は、虚血、薬物又は毒性物質(すなわち、放射線造影剤、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、アルコール、又は化学療法剤)、ウイルス、及び閉塞により引き起こされ得る。
【0387】
被験体は、慢性腎疾患(CKD)に罹患しているか又はこれを発症し易い可能性がある。慢性腎疾患(CKD)は、(1)腎臓の構造的又は機能的異常により規定されるような腎臓傷害を、糸球体ろ過速度(GFR)の減少有り又は無しで、3ヶ月以上有すること、又は(2)腎臓障害の有り又は無しで、60mL/分/1.73m2未満のGFRを3ヶ月以上有すること、により定義される。慢性腎疾患(CKD)に罹患しているか又は発症するリスクがある被験体は、当該分野で公知の方法により同定される。構造的又は機能的異常は、病理学的異常又は造影試験で同定された異常を含む腎臓傷害のマーカー、又は血液又は尿の組成などの症状に現れる。
【0388】
例えばCKDは、特定のマーカーについて試験することにより診断することができる。例えば腎臓傷害のマーカーには、約1.6mg/dLを超える血漿クレアチニン濃度、及び約20mg/dLを超える血液尿素窒素(BUN)濃度が含まれる。典型的にはこれらのマーカーの両方とも、CKDを有する個体において上昇する。腎臓傷害のさらなるマーカーには、血尿(すなわち、尿中の検出可能量の血液)、タンパク尿(すなわち、約100mg/dLを超える尿中タンパク質濃度)、アルブミン尿(すなわち、約100mg/dLを超える尿中アルブミン濃度)、約150μg/mLを超える血液中の未変性の副甲状腺ホルモン(PTH)濃度、又は約4.5mg/dLを超える血中リン酸塩濃度がある。腎疾患の1つの特異的マーカーは、正常より高いGFR速度(すなわち、約90mL/分/1.73m2を超えるGFR)であるが、正常未満のGFRもCKDを示す。
【0389】
本開示の方法は、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)及び/又は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の治療、症状の緩和、又は発症の遅延に有用である。被験体は、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)及び/又は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に罹患しているか又はこれを発症し易い可能性がある。非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)及び/又は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に罹患しているか又は発症するリスクのある被験体は、当技術分野で公知の方法により同定される。例えば、NAFLD及び/又はNASHは肝臓生検により診断することができる。
【0390】
本明細書で定義される非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)は、肝臓中に脂肪沈着を伴う疾患であり、これは、そのアルコール摂取歴が肝臓傷害を引き起こすほど長くない患者に生じる。非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)は更に、単純脂肪肝、脂肪性肝炎、及び肝硬変に分類することができる。非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は、炎症、肝細胞壊死、バルーン形成、及び線維症に関連する病状を指す。非アルコール性単純脂肪性肝臓の発症は、肝細胞の脂肪沈着により誘発され、この脂肪蓄積は、増加因子(肝細胞における脂肪の流入と合成)と低下因子(脂肪の異化作用と、肝細胞からのその放出)のバランスにより定義される。肝細胞の傷害が起こると、この脂肪沈着に加えて、非アルコール性単純脂肪肝が非アルコール性脂肪性肝炎に進行する。非アルコール性脂肪性肝炎は進行性であり、最終的に、肝硬変及び肝細胞癌に進行し得る。
【0391】
併用療法
式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)、又はその医薬的に許容される塩の使用のための化合物、組成物、医薬、及び化合物は、1種以上の他の治療薬と組み合わせて、効果的に投与し得る。このような治療薬には、特に限定されないが、他のACMSD阻害剤;抗糖尿病薬、例えばPPARyアゴニスト、PPARα/γ2重アゴニスト、PPARδアゴニスト、ビグアニド、タンパク質チロシンホスファターゼ-1B(PTP-1B)、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP-IV)阻害剤、スルホニル尿素、メグリチニド、アルファグルコシド加水分解酵素、アルファアミラーゼ阻害剤、インスリン分泌促進剤、A2アンタゴニスト、インスリン又はインスリン模倣物、グリコーゲンホスホ理ラーゼ阻害剤、GLP-1アゴニスト、非チアゾリジンジオン(non-thiazolidinedione)、グリコキナーゼ及び11β HSD-1阻害剤;抗肥満薬、例えば脱共役タンパク質(UCP-1、UCP-2、及びUCP-3)活性化剤、β3アドレナリン受容体、甲状腺ホルモンβアゴニスト、脂肪酸シンターゼ(PAS)阻害剤、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤、リパーゼ阻害剤、セロトニン再摂取阻害剤、モノアミン再摂取阻害剤、Mc4rアゴニスト、5HT2cアゴニスト、成長ホルモン分泌促進(GHS)アゴニスト、CNTF誘導体、胆道神経栄養因子(CNTh)、コレシストキニン-A(CCK-A)アゴニスト、オピオイドアンタゴニスト、オレキシンアンタゴニスト、アシル-エストロゲン類、レプチン、NPY-5アンタゴニスト、神経ペプチドY5(NPY5)アンタゴニスト、神経ペプチドY2(NPY2)アゴニスト、メラニン濃縮ホルモン受容体(MCHLR)アンタゴニスト及びメラニン濃縮ホルモン2受容体(MCH2R)、MCH1Rアンタゴニスト、神経ペプチドY1、グレリンアンタゴニスト、カンナビノイド受容体1(CH-1)、セロトニン(5HT)輸送阻害剤、CCK-Aアゴニスト、及びヒスタミン3(H3)アンタゴニスト/逆アゴニスト;コレステロール低下剤、例えば3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-補酵素A(HMG CoA)還元酵素阻害剤、HMG-CoAシンターゼ阻害剤、スクアレンエポキシダーゼ阻害剤、フィブリン酸、胆汁酸結合樹脂プロブコール、及びナイアシン(ニコチン酸);NAD+レベルを上昇させる化合物、例えばNAD+前駆体(すなわち、ニコチンアミドリボース(NA)、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、ニコチン酸(NA)、及びニコチンアミド);及び、NAD+消費を阻害する化合物、例えばPARP阻害剤及びCD38阻害剤が挙げられる。
【0392】
本開示において有用なPPARyアゴニストには、特に限定されないが、グリタゾン類(例えば、バラグリタゾン、シグリタゾン、ダルグリタゾン、エングリタゾン、イサグリタゾン(MCC-555)、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、トログリタゾン、CLX-0921、5-BTZDなど);GW-0207、LG-100641、LY-300512、LY-519818、R483(Roche)、T131(Tularik)、及び国際公開第97/27857号、第97/28115号,第97/28137号,及び97/27847号に開示されている化合物;及びこれらの医薬的に許容し得る塩若しくはエステルが挙げられる。本開示において有用なPPARα/γ2重アゴニストには、特に限定されないが、CLX-0940、GW-1536、GW1929、GW-2433、KRP-297、L-796449、LR-90、MK-0767、SB219994、及びムラグリタザル、並びにこれらの医薬的に許容し得る塩若しくはエステルが挙げられる。KRP-297は、5-[(2,4-ジオキソ-5-チアゾリジニル)メチル]-2-メトキシ-N-[[4-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル]ベンズアミド、及びこれらの医薬的に許容し得る塩若しくはエステルである。本開示において有用なPPARδアゴニストは、特に限定されないが、GW501516号、GW590735号、及びJP0237049及び国際公開第WO02/14291号に開示された化合物;及びこれらの医薬的に許容し得る塩若しくはエステルが挙げられる。
【0393】
本開示において有用なビグアニドには、特に限定されないが、ブホルミン、メトホルミン、及びフェンホルミン、並びにその医薬的に許容し得る塩若しくはエステルが挙げられる。メトホルミン(Glucophage(登録商標))は、非インスリン非依存性真性糖尿病患者、特に難治性肥満患者のが適応となる。Physician's Desk Reference(登録商標)page 1080-1086, (56th ed. 2002) を参照されたい。
【0394】
本開示において有用なタンパク質チロシンホスファターゼ-1B(PTP-1B)阻害剤には、特に限定されないが、A-401,674、KR61639、OC-060062、OC-83839、OC-297962、MC52445、MC52453、及び国際公開第号02/26703号、国際公開第02/26743号、特開2002-114768号に開示されている化合物、及びこれらの医薬的に許容し得る塩若しくはエステルが挙げられる。
【0395】
ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP-IV)阻害剤、例えばイソロイシンチアゾリジド;NVP-DPP728;P32/98;及びLAP237、P3298、TSL225、バリンピロリジド、TMC-2A/2B/2C、CD-26阻害剤、FE999011、P9310/K364、VIP0177、DPP4、SDZ274A444;及び、国際公開第03/00449号;国際公開第03/004496号;欧州特許第1258476号;国際公開第02/083128号;国際公開第021062764号;国際公開第03/000250号;国際公開第03/002530号;国際公開第03/002531号;国際公開第03/002553号;国際公開第03/002593号;国際公開第03/000180号;及び国際公開第03/000181号に開示されている化合物。
【0396】
本開示において有用なスルホニル尿素には、特に限定されないが、アセトヘキサミド、クロルプロパミド、ジアビネン、グリベンクラミド、グリピジド、グリブリド、グリメピリド、グリクラジド、グリペンチド、グリキドン、グリソラミド、トラザミド、及びトルブタミド、これらの医薬的に許容し得る塩若しくはエステルが挙げられる。本開示において有用なメグリチニドには、特に限定されないが、レパグリニド及びナテグリニド、並びにその医薬的に許容し得る塩若しくはエステルをが挙げられる。
【0397】
本開示において有用なアルファグルコシド加水分解酵素阻害剤(又はグルコシド阻害剤)には、特に限定されないが、アカルボース、アジポシン、カミグリボース、エミグリテート、ミグリトール、ボグリボース、プラジミシン-Q、サルボスタチン、CKD-711、MDL-25,637、MDL-73,945、及びMOR14、及びこれらの医薬的に許容し得る塩若しくはエステル、及び米国特許第4,062,950号、第4,174,439号、第4,254,256号、第4,701,559号、第4,639,436号、第5,192,772号、第4,634,765号、第5,157,116号、第5,504,078号、第5,091,418号、第5,217,877号、及び第5,091,524号に開示されている化合物が挙げられる。本開示において有用なアルファ-アミラーゼ阻害剤には、特に限定されないが、テンダミスタット、トレスタチン、及びA1-3688、並びにその医薬的に許容し得る塩若及びエステル、及び米国特許第4,451,455号、第4,623,714号、及び第4,273,765号に開示されている化合物が挙げられる。
【0398】
本開示において有用なインスリン分泌促進剤には、特に限定されないが、リノグリリド及びA-4166、並びにこれらの医薬的に許容し得る塩及びエステルが挙げられる。
【0399】
本開示において有用な脂肪酸酸化阻害剤には、特に限定されないが、クロモキシール及びエトモキシール、並びにこれらの医薬的に許容し得る塩及びエステルが挙げられる。本開示において有用なA2アンタゴニストには、特に限定されないが、ミダグリゾール、イサグリドール、デグリドール、イダゾキサン、エファロキサン、フルパロキサン、及びこれらの医薬的に許容し得る塩及びエステルが挙げられる。本開示において有用なインスリン又はインスリン模倣物には、特に限定されないが、ビオータ、LP-100、ノバラピド、インスリンデテミール、インスリンリスプロ、インスリングラルギン、インスリン亜鉛懸濁液(レンテ及びウルトラレント)、Lys-Proインスリン、GLP-1(73-7)(インスリントロピン)、及びGLP-1(7-36)-NH2、並びにこれらの医薬的に許容し得る塩若しくはエステルが挙げられる。
【0400】
本開示において有用なグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤には、特に限定されないが、CP-368,296、CP-316,819、BAYR3401、及び国際公開第01/94300号、及び国際公開第02/20530号に開示されている化合物、並びにこれらの医薬的に許容し得る塩若しくはエステルが挙げられる。本開示において有用なGLP-1アゴニストには、特に限定されないが、エキセンディン-3及びエキセンディン-4、並びに米国特許第2003087821号、及びNZ504256号に開示されている化合物、並びにこれらの医薬的に許容し得る塩若しくはエステルが挙げられる。
【0401】
本開示において有用な非チアゾリジンジオンには、特に限定されないが、JT-501及びファルグリタザル(GW-2570/GI-262579)、並びにその医薬的に許容し得る塩若しくはエステルが挙げられる。本開示において有用なグリコキナーゼ活性化剤には、特に限定されないが、米国特許公開第2002103199号に開示されているような縮合複素芳香族化合物、及び国際公開第02/48106号に開示されているイソインドリン-1-オン置換プロピオンアミド化合物が挙げられる。
【0402】
本開示において有用なセロトニン(5HT)輸送阻害剤には、特に限定されないが、パロキセチン、フルオキセチン、フェンフルラミン、フルボキサミン、セルトラリン、及びイミプラミンが挙げられる。本開示において有用なノルエピネフリン(NE)輸送阻害剤には、特に限定されないが、GW320659、デスピラミン、タルスプラム、及びノミフェンシンが挙げられる。本開示において有用なカンナビノイド受容体1(CB-1)アンタゴニスト/逆アゴニストには、以下に記載のものが挙げられる:米国特許第5,532,237号、第4,973,587号、第5,013,837号、第5,081,122号、第5,112,820号、第5,292,736号、同第5,624,941号、及び米国特許第6,028,084号、並びに国際公開第96/33159号、国際公開第98/33765号、国際公開第98/43636号、国際公開第98/43635号、国際公開第01/09120号、国際公開第98/31227号、国際公開第98/41519号、国際公開第98/37061号、国際公開第00/10967号、国際公開第00/10968号、国際公開第97/29079号、国際公開第99/02499号、国際公開第01/58869号、国際公開第02/076949号、国際公開第01/64632号、国際公開第01/64633号、国際公開第01/64634号、及び国際公開第03/007887号、及びEPO出願番号EP-658546号。本開示において有用な具体的なCB-1アンタゴニスト/逆アゴニストには、特に限定されないが、リモナバント(Sanofi Synthelabo)、SR-147778(Sanofi Synthelabo)、BAY65-2520(Bayer)、及びSLY319(Solvay)が挙げられる。本開示において有用なCCK-Aアゴニストは、GI181771、及びSR146,131が挙げられる。本開示において有用なグレリンアンタゴニストには、PCT出願国際公開第01/87335号、及び国際公開第02/08250号が挙げられる。本開示において有用なヒスタミン3(H3)アンタゴニスト/逆アゴニストには、PCT出願国際公開第02/15905号、及びO-[3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパノール]カルバメート(Kiec-Kononowicz, K. et al., Pharmazie, 55:349-55 (2000))、ピペリジン含有ヒスタミンH3受容体アンタゴニスト(Lazewska, D. et al., Pharmazie, 56:927-32 (2001))、ベンゾフェノン誘導体及び関連化合物(Sasse, A. et al. Arch. Pharm.(Weinheim) 334:45-52 (2001))、置換N-フェニルカルバメート(Reidemeister, S. et al., Pharmazie, 55:83-6 (2000))、及びプロキシファン誘導体(Sasse, A. et al., J. Med. Chem. 43:3335-43 (2000))が挙げられる。本開示において有用な具体的なH3アンタゴニスト/逆アゴニストとしては、特に限定されないが、チオペラミド、3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロピル-N-4-ペンテニル)カルバメート、クロベンプロピット、ヨードフェンプロピット、イモプロキシファン、GT2394(グリアテック)、及びA331440が挙げられる。
【0403】
本開示において有用なメラニン濃縮ホルモン受容体(MCHLR)アンタゴニスト及びメラニン濃縮ホルモン2受容体(MCH2R)アゴニスト/アンタゴニストには、PCT特許出願国際公開第01/82925号、国際公開第01/87834号、国際公開第02/06245号、国際公開第02/04433号、及び国際公開第02/51809号、及び日本特許出願第13226269号に開示されているものがある。本開示において有用な具体的なMCH1Rアンタゴニストには、特に限定されないが、T-226296(Takeda)、SB568849号、及びSNAP7941が挙げられる。本開示において有用な神経ペプチドY1(NPY1)アンタゴニストは、以下のものを含む:米国特許第6,001,836号、及びPCT出願国際公開第96/14307号、国際公開第01/23387号、国際公開第99/51600号、国際公開第01/85690号、国際公開第01/85098号、国際公開第01/85173号、及び国際公開第01/89528号。本開示において有用なNPY1アンタゴニストの具体例には、特に限定されないが、BIBP3226、J-115814、BIBO3304、LY-357897、CP-671906、及びGI-264879Aが挙げられる。本開示において有用な神経ペプチドY2(NPY2)アゴニストには、特に限定されないが、ペプチドYY(PYY)、及びPYY3_36、ペプチドYY類似体、PYYアゴニスト、及び国際公開第03/026591号、国際公開第03/057235号、及び国際公開第03/027367号に開示されている化合物が挙げられる。本開示において有用な神経ペプチドY5(NPY5)アンタゴニストには、特に限定されないが、以下に記載される化合物が挙げられる:米国特許第6,140,354号、第6,191,160号、第6,258,837号、第6,313,298号、第6,337,332号、第6,329,395号、第6,340,683号、第6,326,375号、第6,329,395号、第6,337,332号、第6,335,345号、欧州特許第01010691号、及び欧州特許第01044970号、及びPCT国際公開第97/19682号、国際公開第97/20820号、国際公開第97/20821号、国際公開第97/20822号、国際公開第97/20823号、国際公開第98/27063号、国際公開第00/107409号、国際公開第00/185714号、国際公開第00/185730号、国際公開第00/64880号、国際公開第00/68197号、国際公開第00/69849号、国際公開第01/09120号、国際公開第01/85714号、国際公開第01/85730号、国際公開第01/07409号、国際公開第01/02379号、国際公開第01/02379号、国際公開第01/23388号、国際公開第01/23389号、国際公開第01/44201号、国際公開第01/62737号、国際公開第01/62738号、国際公開第01/09120号、国際公開第02/20488号、国際公開第02/22592号、国際公開第02/48152号、国際公開第02/49648、及び国際公開第01/14376号。本開示の組み合わせにおいて有用な具体的なNPY5アンタゴニストには、特に限定されないが、GW-569180A、GW-594884A、GW-587081X、GW-548118X、FR235,208、FR226928、FR240662、FR252384,1229U91、GI-264879A、CGP71683A、LY-377897、LY366377、PD-160170、SR-120562A、SR-120819A、JCF-104、及びH409/22が挙げられる。本開示の組み合わせにおいて有用な更なる具体的なNPY5アンタゴニストには、特に限定されないが、Norman et al., J. Med. Chem. 43:42884312 (2000) に記載されている化合物が挙げられる。レプチンとしては、特に限定されないが、組換えヒトレプチン(PEG-OB、Hoffman La Roche)、及び組換えメチオニルヒトレプチン(Amgen)が挙げられる。本開示において有用なレプチン誘導体(例えば、切断型オフレプチン)には、米国特許第5,552,524号、同第5,552,523号、同第5,552,522号、同第5,521,283号、及びPCT国際公開第96/23513号、国際公開第96/23514号、国際公開第96/23515号、国際公開第96/23516号、国際公開第96/23517号、国際公開第96/23518号、国際公開第96/23519号、及び国際公開第96/23520号に開示されているものが挙げられる。
【0404】
本開示において有用なオピオイドアンタゴニストには、PCT出願国際公開第00/21509号のものが含まれる。本開示において有用な具体的なオピオイドアンタゴニストには、特に限定されないが、ナルメフェン(Revex(登録商標))、3-メトキシナルトレキソン、ナロキソン、及びナルトレキソンが挙げられる。本開示において有用なオレキシンアンタゴニストには、PCT特許出願国際公開第01/96302号、国際公開第01/68609号、国際公開第02/51232号、国際公開第02/51838号、及び国際公開第03/023561号に記載のものが挙げられる。本開示において有用な具体的なオレキシンアンタゴニストには、特に限定されないが、SB-334867-Aが挙げられる。本開示において有用なアシルエストロゲン類には、オレオイルエストロン(del Mar-Grasa, M. et al., Obesity Research, 9:202-9 (2001))が挙げられる。本開示において有用なコレシストキニン-A(CCK-A)アゴニストには、米国特許第5,739,106号に記載のものが挙げられる。具体的なCCK-Aアゴニストには、特に限定されないが、AR-R15849、GI181771、JMv-180、A-71378、A-71623、及びSR146131が挙げられる。本開示において有用な具体的な毛様体神経栄養因子(CNTh)には、特に限定されないが、GI-181771(Glaxo-SmithKline)、SR146131(Sanofi Synthelabo)、ブタブインジド、PD170,292、PD149164(Pfizer)が挙げられる。本開示において有用なCNTF誘導体には、特に限定されないが、アキソキン(Regeneron)、及びPCT出願国際公開第94/09134号、国際公開第98/22128号、及び国際公開第99/43813号に記載のものが挙げられる。本開示において有用な成長ホルモン分泌促進(GHS)アゴニストには、米国特許第6,358,951号、及び米国特許公開第2002/049196号、及び第2002/022637号、並びにPCT出願国際公開第01/56592号、及び国際公開第02/32888号に記載のものが挙げられる。具体的なGHSアゴニストには、特に限定されないが、NN703、ヘキサレリン、MK-0677、SM-130686、CP424391、L-692,429、及びL-163,255が挙げられる。
【0405】
本開示において有用な5HT2cアゴニストには、米国特許第3,914,250号、及びPCT出願国際公開第02/36596号、国際公開第02/48124号、国際公開第02/10169号、国際公開第01/66548号、国際公開第02/44152号、国際公開第02/51844号、国際公開第02/40456号、及び国際公開第02/40457号に記載のものが挙げられる。本開示において有用な具体的な5HT2cアゴニストには、特に限定されないが、BVT933、DPCA37215,1K264、PNU22394、WAY161503、R-1065、及びYM348が挙げられる。
【0406】
本開示において有用なMc4rアゴニストには、PCT出願国際公開第99/64002号、国際公開第00/74679号、国際公開第01/991752号、国際公開第01/74844号、国際公開第01/70708号、国際公開第01/70337号、国際公開第01/91752号、国際公開第02/059095号、国際公開第02/059107号、国際公開第02/059108号、国際公開第02/059117号、国際公開第02/12166号、国際公開第02111715号、国際公開第02/12178号、国際公開第02/15909号、国際公開第02/068387号、国際公開第02/068388号、国際公開第02/067869号、国際公開第03/007949号、及び国際公開第03/009847号に記載のものが挙げられる。本開示において有用な具体的なMc4rアゴニストには、CIR86036(Chiron)、ME-10142、及びME-10145(Melacure)が挙げられる。
【0407】
本開示において有用なモノアミン再摂取阻害剤には、PCT出願国際公開第01/27068号及び国際公開第01/62341号に記載のものが挙げられる。本開示において有用な具体的なモノアミン再摂取阻害剤には、特に限定されないが、米国特許第4,746,680号、第4,806,570号、第5,436,272号、及び米国特許公開第2002/0006964号に記載されているシブトラミン(Meridia O/Reductil(登録商標))がある。
【0408】
本開示において有用なセロトニン再摂取阻害剤及び放出剤には、デクスフェンフルラミン、フルオキセチン、及び、特に限定されないが、米国特許第6,365,633号、及びPCT特許出願国際公開第01/27060号、及び国際公開第01/162341号に記載されている他のセロトニン再摂取阻害剤が挙げられる。
【0409】
本開示において有用な11β HSD-1阻害剤には、特に限定されないが、BVT3498、BVT2733、及び国際公開第01/90091号、国際公開第01/90090号、国際公開第01/90092号に開示されている化合物が挙げられる。本開示において有用な脱共役タンパク質(UCP-1、UCP-2、及びUCP-3)活性化剤は、PCT特許出願国際公開第99/00123号を含む。本開示において有用な具体的な脱共役タンパク質(UCP-1、UCP-2、及びUCP-3)活性化剤には、特に限定されないが、フィタン酸、4-[(E)-2-(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)-1-プロペニル]安息香酸(TTNPB)、及びレチノイン酸が挙げられる。
【0410】
本開示で有用なβ3アドレナリン作動性受容体(β3)アゴニストには、米国特許第5,705,515号、米国特許第5,451,677号、及びPCT特許出願国際公開第01/74782号、及び国際公開第02/32897号に開示されているものがある。本開示において有用な具体的なβアゴニストには、特に限定されないが、AD9677/TAK677(Dainippon/Takeda)、CL-316,243、SB418790、BRL-37344、L-796568、BMS-196085、BRL-35135A、CGP12177A、BTA-243、GW427353、トレカドリン(Trecadrine)、Zeneca D7114、及びSR59119Aが挙げられる。
【0411】
本開示において有用な甲状腺ホルモンβアゴニストには、PCT特許出願国際公開第02/15845号、及び日本特許出願第2000256190号に開示されたものが挙げられる。本開示において有用な具体的な甲状腺ホルモンβアゴニストには、特に限定されないが、KB-2611(KaroBioBMS)が挙げられる。本開示において有用な具体的な脂肪酸シンターゼ(PAS)阻害剤には、特に限定されないが、セルラレン及びC75が挙げられる。本開示において有用な具体的なホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤には、特に限定されないが、テオフィリン、ペントキシフェリン、ザプリナスト、シルデナフィル、アルンリノン、ミルリノン、シロスタミド、ロリプラム、及びシロミラストが挙げられる。
【0412】
本開示において有用なリパーゼ阻害剤には、特に限定されないが、PCT出願国際公開第01/77094号、米国特許第4,598,089号、第4,452,813号、第5,512,565号、第5,391,571号、第5,602,151号、第4,405,644号、第4,189,438号、及び第4,242,453号に開示されているものが挙げられる。本開示において有用な具体的なリパーゼ阻害剤には、特に限定されないが、テトラヒドロリプスタチン(orlistat/Xenical(登録商標))、トリトンWR1339、RHC80267、リプスタチン、テアサポニン、及びリン酸ジエチルウンベリフェリルホスフェート、FL-386、WAY-121898、Bay-N-3176、バリラクトン、エステラシン、エベラクトンA、エベラクトンB、及びRHC80267が挙げられる。
【0413】
HMG-CoA還元酵素阻害剤の例としては、特に限定されないが、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、及びフルバスタチンが挙げられる。HMG-CoAシンターゼ阻害剤の例は、米国特許第4,806,564号、第4,816,477号、第4,847,271号、及び第4,751,237号に開示されているβラクトン誘導体;米国特許第4,983,597号及び1990年6月20日に出願された米国特許出願第07/540,992号に開示されているβラクタム誘導体;及び欧州特許公開第0411703号に開示されている置換オキサシクロプロパン類縁体が挙げられる。スクアレンエポキシダーゼ阻害剤の例は、欧州特許公開第0318860号及び日本特許公報J02169-571Aに開示されている。LDL受容体遺伝子インデューサー分子の例は、1991年3月18日に出願された米国特許第5,182,298号に開示されている。投与可能な他のコレステロール低下剤は、ナイアシン、プロブコール、フィブリン酸(すなわち、クロフィブラート及びゲムフィブロジル)、及びLDL受容体遺伝子インデューサーを含む。
【0414】
PARP阻害剤の例には、特に限定されないが、ヨードニトクマリン、5-ヨード-6-ニトロクマリン、3,4-ジヒドロ-5-メチル-イソキノリノン、4-アミノ-1,8-ナフタルイミド、3-メトキシベンズアミド、8-ヒドロキシ-2-メチル-3-ヒドロキナゾリン-4-オン、2-{3-[4-(4-フルオロフェニル)-3,6-ジヒドロ-1(2h)-ピリジニル]プロピル}-8-メチル-4(3h)-キナゾリノン、5-フルオロ-1-[4-(4-フェニル-3,6-ジヒドロピリジン-1(ブチル)キナゾリン-2,4(1h,3h)-ジオン、3-(4-クロロフェニル)キノキサリン-5-カルボキサミド、2-(3’-メトキシフェニル)ベンズイミダゾール-4-カルボキサム、ベンズアミド、3-アミノベンズアミド、3-アミノフタルヒドラジド、及び1,5-ジヒドロキシイソキノリンが挙げられる。
【0415】
式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩と組み合わせて使用することができる上記化合物は、上記で引用した文献中にあるように当該技術分野で記載されているように調製し投与することができる。
【0416】
上記化合物は、ACMSD阻害剤、抗糖尿病薬、抗肥満薬、コレステロール低下剤、NAD+レベルを上昇させる化合物、本開示の組成物において使用することができるNAD+消費を阻害する化合物の例示に過ぎない。この化合物の一覧は包括的であることを意味するものではなく、本開示の方法は、任意の抗肥満薬及び任意の抗糖尿病薬を使用することができ、特定の構造クラスの化合物に限定されない。
【0417】
本明細書中で使用される「併用療法」は、本開示の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩、プロドラッグ、代謝産物、多形体若しくは溶媒和物、及びこれらの治療薬の共同作用からの有益な作用を提供することが意図された具体的な治療処方の一部としての少なくとも第2の薬剤の投与を含む。組合せの有益な作用は、特に限定されないが、これらの任意の組合せから生じる共同作用、例えば相乗作用及び/又は薬物動態若しくは薬力学的共同作用、又はこれらの組合せを含む。これらの組合せた治療薬の投与は、典型的には所定の時間(通常、選択された組合せに応じて数分、数時間、数日、又は数週間)にわたって実施される。「併用療法」は、偶然かつ任意に本開示の組み合わせをもたらす別個の単独療法処方の一部として、これらの治療薬の2つ以上の投与を包含し得るが、一般的にそうではない。
【0418】
「併用療法」は、各治療薬が異なる時点でかつ任意の順序で、又は交互にかつ任意の順序で投与される、これらの薬剤の逐次的投与と、並びにこれらの治療薬の又はこれらの治療薬の少なくとも2つの実質的な同時投与とを、包含することが意図される。実質的に同時の投与は、例えば一定比率の各治療薬を有する単一カプセル、又は各治療薬の単一カプセルを複数個、被験体に投与することにより達成することができる。各治療薬の逐次的又は又は実質的な同時投与は、特に限定されないが、経口経路、静脈内経路、筋肉内経路、及び粘膜組織を介する直接吸収を含む任意の適切な経路により行うことができる。治療薬は、同じ経路又は異なる経路により投与することができる。選択された組み合わせの第1の治療薬は、静脈内注射により投与することができ、一方、組み合わせの他の治療薬は経口投与することができる。あるいは、例えばすべての治療薬を経口投与してもよく、又はすべての治療薬を静脈内注射により投与してもよい。治療薬が投与される順序は、狭義には重要ではない。
【0419】
特に別の指定がなければ、本明細書で使用される全ての百分率及び比率は、重量による。本開示の他の特徴及び利点は、種々の実施例から明らかになるであろう。提供される例は、本開示を実施する上で有用な種々の構成要素及び方法論を例示する。一般的に言えば本開示は、本明細書(添付の特許請求の範囲及び図面を含む)に開示された特徴の、任意の新規なもの又は任意の新規な組合せにまで及ぶ。これらの例は、請求された開示を限定するものではない。すなわち本開示の特定の態様、実施態様、又は例と組合せて記載される特徴、整数、特性、化合物、又は化学的成分は、本明細書に記載の他の態様、実施態様、又は実施例に矛盾しない限り、他の態様、実施態様、又は実施例に適用可能であると理解すべきである。本開示に基づいて当業者は、本開示を実施するのに有用な他の構成要素及び方法論を特定し使用することができる。更に、特に別の指定がなければ、本明細書に開示される任意の特徴は、同じ目的又は類似の目的を果たす代替の特徴と置き換えることができる。
【実施例】
【0420】
ここで本開示は、以下の実施例に関して例としてのみ記載される。
【0421】
例示
I.化合物の調製
一般的な方法と材料
全ての化学物質は、Sigma-Aldrich、Alfa Aesarから購入した。1H NMRスペクトルを200MHz及び400MHzで記録し、13C NMRスペクトルを下記の重水素化溶媒を用いて100.6MHz及び50.3MHzで記録した。TLCはアルミニウム支持シリカプレート(シリカゲル60 F254)上で実施した。すべての反応は蒸留溶媒を用いて窒素雰囲気下で行った。すべての試験化合物はHPLC分析により測定して、95%超の純度を有することが見出された。HPLC等級の水をタンデムMilli-Ro/Milli-Q 装置から得た。分析HPLC測定は、CBM-20A通信バスモジュール、2つのLC-20ADデュアルピストンポンプ、SPD-M20Aフォトダイオードアレイ検出器、及び20μLのステンレス鋼ループを備えたRheodyne 7725i インジェクタを備えた Shimadzu LC-20AProminence で行った。
【0422】
【0423】
<実施例1>
中間体1.4の調製
エタノール(25mL)中の化合物1.1(0.52mL、4.9mmol)、1.2(372mg、4.9mmol)、及び1.3(0.5mL、0.83mL、4.9mmol)の攪拌溶液に、K2CO3(812mg、5.88mmol)を加えた。還流下で一晩、撹拌を続けた。冷却後、淡黄色の固体を集め、沸騰水に溶解し、再び濾過した。水相をAcOH(15滴)でpH5に酸性化し、沈殿物を濾過し、真空下で乾燥した。標題化合物1.4を淡黄色固体として得た(500g、2.18mmol)。収率44%。
【0424】
【0425】
<実施例2>
中間体2.2の調製
エタノール(55mL)中の化合物1.1(0.96g、8.8mmol)、1.2(672mg、8.8mmol)、及び2.1(1g、0.83mL)の攪拌溶液に、K2CO3(1.57g、11.44mmol)を加えた。還流下で一晩、撹拌を続けた。冷却後、黄色がかった固体を集め、熱水に溶解し、再び濾過した。水相をpH1に酸性化し、沈殿物を濾過し、真空下で乾燥した。標題化合物2.2を黄色がかった固体として得た(1g、4.25mmol)。収率49%。1H NMR (200 MHz, DMSO) δ 7.22 (m, 1H), 7.68 (m, 1H), 7.85 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 8.05 (s, 1H)。
【0426】
【0427】
<実施例3>
中間体3.2の調製
エタノール(55mL)中の化合物1.1(0.96mL、8.8mmol)、1.2(672mg、8.8mmol)、及び3.1(1g、1.29mL)の撹拌溶液に、K2CO3(1.57g、11.44mmol)を加えた。還流下で一晩、撹拌を続けた。冷却後、黄色がかった固体を集め、熱水に溶解し、再び濾過した。水相をpH1に酸性化し、沈殿物を濾過し、真空下で乾燥した。標題化合物3.2を黄色がかった固体として得た(1g、4.25mmol)。収率49%。
【0428】
【0429】
<実施例4>
中間体4.2の調製
エタノール(50mL)中の化合物1.1(1.42mL、13.37mmol)、1.2(1.01g、13.3mmol)、及び4.1(1.62mL、13.3mL)の撹拌溶液に、ピペリジン(2.64mL、26.7mmol)を加えた。還流下で一晩、撹拌を続けた。冷却後、固体を集め、熱水に溶解し、再び濾過した。水相をpH1に酸性化し、EtOAc(3×25mL)で抽出した。有機相を食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥した。反応の粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(CHCl3/MeOHを生成物について0~2%の勾配として)で精製して、標題化合物4.2を白色固体として得た。収率30%。
【0430】
【0431】
<実施例5>
中間体5.2の調製
エタノール(25mL)中の化合物1.1(0.49mL、4.67mmol)、1.2(355mg、4.67mmol)、及び5.1(0.44mL、4.67mmol)の攪拌溶液に、K2CO3(773mg、5.6mmol)を加えた。還流下で一晩、撹拌を続けた。冷却後、白色固体を集め、真空下で乾燥し、更に精製することなく次の工程に使用した。標題化合物5.2を白色固体として得た(300mg、1.3mmol)。収率29%。1。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 7.64 (d, J = 4.7 Hz, 2H), 8.78 (d, J = 4.7 Hz, 2H), 12.98 (s, 1H)。
【0432】
【0433】
<実施例6>
中間体6.2の調製
EtOH無水物(20mL)中の撹拌溶液NaOEt(1.02mL、2.73mmol)に、化合物6.1(500mg、2.73mmol)及び1.2(207mg、2.73mmol)を加えた。撹拌を還流下で4時間続けた。真空下で揮発性物質を除去した。反応の粗生成物を水に溶解し、AcOHで酸性化した。沈殿物を水に溶解して集め、CHCl3とMeOHの混合液で洗浄した。水相をEtOAc(3×20mL)で抽出した。集めた有機相を食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥した。標題化合物6.2を白色固体として得た(250mg、1.49mmol)。収率55%。
【0434】
【0435】
<実施例7A>
中間体7.2の調製
EtOH(5mL)中の化合物1.1(0.14mL、1.3mmol)及び7.1(150mg、1.3mmol)の撹拌溶液に、ピペリジン(1滴)を添加した。室温で一晩、撹拌を続けた。溶媒を真空下で除去した。反応の粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーで精製して、標題化合物7.2(160mg、0.77mmol)を黄色がかった固体として得た。収率58%。
【0436】
<実施例7B>
中間体7.3の調製
EtOH(5mL)中の化合物7.2(150mg、0.72mmol)及び化合物1.2(55mg、0.72mmol)の撹拌懸濁液に、K2CO3(99mg、0.72mmol)を添加した。還流下で一晩、撹拌を続けた。白色沈殿物を集め、更に精製することなく同様に次の工程に使用した。標題化合物7.3(150mg、0.48mmol)を、黄色がかった固体のジ-カリウム塩として得た。収率67%。
【0437】
【0438】
<実施例8A>
中間体8.2の調製
水(7mL)中のNH2OH*HCl、及びNaHCO3の撹拌溶液に、EtOH(13.3mL)中のm-トルニトリル(8.1)(2mL、17.0mmol)の溶液を徐々に添加した。撹拌を80℃で4時間続けた。真空下で揮発性物質を除去した。反応の粗生成物を水に溶解し、EtOAc(3×25mL)で抽出した。有機相を集め、食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥して、標題化合物8.2(1.5g、9mmol)を白色固体として得た。収率59%。
【0439】
<実施例8B>
中間体8.3の調製
無水アセトン(5mL)中の化合物8.2(1g、6mmol)の溶液に、0℃のEtOCOCl(0.63mL、6.6mmol)を滴下した。撹拌をこの温度で1時間続けた。次に、5%NaOH溶液をこの混合物に添加した。攪拌を更に1時間続けた。溶媒を真空下で除去した。反応の粗生成物を水に注ぎ、EtOAc(3×50mL)で抽出した。集めた有機相を食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥した。標題化合物8.3(600mg、2.7mmol)を白色固体として得た。収率45%。
【0440】
<実施例8C>
中間体8.4の調製
無水EtOH(5mL)中の化合物8.3(300mg、1.35mmol)の溶液に、ナトリウム(50mg)を少しずつ添加した。撹拌を室温で更に4時間続けた。反応をMeOHの添加により停止させた。減圧下で溶媒を除去し、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーで精製した。標記化合物8.4(150mg、0.85mmol)を白色固体として得た。収率63%。
【0441】
<実施例8D>
中間体8.5の調製
CCl4(10mL)中の化合物8.4(326mg、1.85mmol)の懸濁液に、AIBN(60.7mg、0.37mmol)及びNBS(493mg、2.77mmol)を加えた。還流下で一晩、撹拌を続けた。減圧下で溶媒を除去した。この反応物を水で処理し、EtOAc(3×20mL)で抽出し、食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥した。粗生成物を、石油エーテル(Pet.Ether)/EtOAc(生成物について30%)で溶出して、標題化合物8.5(280mg、1.09mmol)を白色固体として得た。収率59%。
【0442】
【0443】
<実施例9>
中間体9.2の調製
CCl4(15mL)中の化合物9.1(750mg、5mmol)の懸濁液に、AIBN(41mg、0.25mmol)及びNBS(933.7mg、5.24mmol)を添加した。還流下で一晩、撹拌を続けた。減圧下で溶媒を除去した。反応物を水で処理し、EtOAc(3×20mL)で抽出し、食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥した。粗生成物をCH2Cl2/MeOH(生成物について3%)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標題の化合物9.2(800mg、3.49mmol)を白色固体として得た。収率70%。
【0444】
【0445】
<実施例10A>
中間体10.2の調製
化合物10.1(1.02mL、8.54mmol)、NaN3(832mg、12.8mmol)、及びEt3N・HCl(1.76g、12.8mmol)の混合物を4時間加熱還流した。溶媒を真空下で除去した。粗生成物を水に注ぎ、3N HClでpH1に酸性化し、EtOAc(3×20mL)で抽出した。有機相を食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、減圧下で濃縮した。標題化合物10.2(1.22g、7.6mmol)を白色固体として得た。収率89%。
【0446】
<実施例10B>
中間体10.3の調製
CH3CN(15mL)中の化合物10.2(300mg、1.87mmol)の懸濁液に、AIBN(31mg、0.18mmol)及びNBS(333mg、1.87mmol)を添加した。還流下で一晩、撹拌を続けた。減圧下で溶媒を除去した。反応物を水に溶解し、EtOAc(3×20mL)で抽出し、食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥した。粗生成物をCH2Cl2/MeOH(生成物について7%)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標題の化合物10.3(150mg、0.62mmol)を淡黄色固体として得た。収率34%。
【0447】
【0448】
<実施例11>
中間体11.3の調製
CH2Cl2(25mL)中の化合物11.1(2.5g、23mmol)の溶液に、ピリジン(1.63mL、20.3mmol)及び化合物11.2(1.68mL、20.3mmol)を添加した。室温で一晩、撹拌を続けた。減圧下で溶媒を除去した。反応物を水に溶解し、CH2Cl2(3×30mL)で抽出し、食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥した。粗生成物を、石油エーテル/EtOAc(生成物について25%)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物11.3(735mg、3.19mmol)を褐色固体として得た。収率14%。
【0449】
【0450】
<実施例12>
中間体12.2の調製
EtOH(15mL)中の化合物12.1(2g、10.41mmol)の溶液に、EtONa(7mL、18.7mmol)及び化合物1.2(1.18g、15.61mmol)を加えた。還流下で一晩、撹拌を続けた。減圧下で溶媒を除去した。反応物を水に溶解し、pH3に酸性化し、EtOAc(3×20mL)で抽出し、食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥した。粗生成物を、CH2Cl2/MeOH(生成物について2.5%)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物12.2(500mg、2.44mmol)を白色固体として得た。収率24%。
【0451】
【0452】
<実施例13A>
中間体13.2の調製
THF(53mL)中のDIPA(7.6mL、54mmol)の撹拌溶液に、0℃でn-BuLi(21.6mL)を加えた。この温度で10分間、撹拌を続けた。次に混合物を-78℃に冷却し、EtOAc(2.4mL、27mmol)を滴下した。この温度で30分間、攪拌を続けた。その後、THF(20mL)中の化合物13.1(3mL、27mmol)の溶液を滴下した。反応物を室温に温め、一晩撹拌した。反応の粗生成物を水に注ぎ、EtOAc(3×30mL)で抽出した。集めた有機相を食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、真空下で濃縮した。標題化合物13.2を褐色の油状物として得た(4.8g、24.3mmol)。収率90%。
【0453】
<実施例13B>
中間体13.3の調製
EtOH(15mL)中の中間体13.2(2g、10mmol)の溶液に、EtONa(EtOH中21%wt/wt)(7.5mL、20mmol)及び化合物1.2(1.15g、15.1mmol)を加えた。還流下で一晩、撹拌を続けた。減圧下で溶媒を除去した。反応物を水に溶解した。pH10で、未反応出発物質を回収した。次に、混合物をpH5に酸性化し、EtOAc(3×20mL)で抽出し、食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥した。粗生成物を、CH2Cl2/MeOH(生成物について7%)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物13.3(435mg、2.06mmol)を黄色がかった固体として得た。収率21%。
【0454】
【0455】
<実施例14>
化合物1の調製
CH3CN(80mL)中の中間体1.4(1.6g、6.98mmol)及びK2CO3(2.88g、20.9mmol)の撹拌懸濁液に、3-(クロロメチル)安息香酸(1.19g、6.98mmol)を加えた。還流下で一晩、撹拌を続けた。真空下で揮発性物質を除去した。粗生成物を水に溶解し、pH5に酸性化し、EtOAcで洗浄して不純物を除去した。次にpHを3/4に調整し、混合物をEtOAc(3×50mL)で抽出した。熱アセトンで滴定して、化合物1(936mg、2.78mmol)が黄色がかった固体として得た。収率40%。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 4.58 (s, 2H), 7.44 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 7.54-7.61 (m, 3H), 7.67 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 7.83 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.91 (d, J = 7.27 Hz, 2H), 8.04 (s, 1H), 13 (s, 1H); 13C NMR (100 MHz, DMSO) δ 33.5, 93.2, 115.6, 128.2, 128.4, 128.4, 128.5, 128.5, 128.6, 129.7, 130.8, 131.5, 133.3, 135.1, 137.4, 165.4, 166.8, 167.3. HPLC: 96.3%。
【0456】
【0457】
<実施例15>
化合物4の調製
CH2CN(15mL)中の中間体2.2(250mg、1.06mmol)及びK2CO3(440mg、3.18mmol)の撹拌懸濁液に、3-(クロロメチル)安息香酸(180mg、1.06mmol)を加えた。還流下で一晩、撹拌を続けた。真空下で揮発性物質を除去した。粗生成物を水に溶解し、EtOAcで洗浄し、pH1に酸性化し、EtOAc(3×50mL)で抽出した。熱アセトンで滴定して、化合物4(45mg、0.12mmol)が黄色がかった固体として得た。収率12%。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 4.62 (s, 2H), 7.33 (t, J = 4.3 Hz, 1H), 7.44 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.72 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.82 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 8.05 (m, 2H), 8.26 (d, J = 3.8 Hz, 1H), 12.99 (s, 1H); 13C NMR (100 MHz, DMSO) δ 33.9, 88.7, 116.5, 128.8, 129.3, 129.9, 130.2, 131.5, 132.1, 133.7, 135.4, 137.9, 139.7, 159.0, 161.2, 165.3, 167.4. HPLC: 97.2%。
【0458】
【0459】
<実施例16>
化合物3の調製
CH3CN(15mL)中の中間体3.2(250mg、1.06mmol)及びK2CO3(440mg、3.18mmol)の撹拌懸濁液に、3-(クロロメチル)安息香酸(180mg、1.06mmol)を加えた。還流下で一晩、撹拌を続けた。真空下で揮発性物質を除去した。粗生成物を水に溶解し、EtOAcで洗浄し、pH1に酸性化し、EtOAc(3×50mL)で抽出した。Et2O/アセトンの混合物で滴定して、化合物3(260mg、0.7mmol)を黄色がかった固体として得た。収率70%。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 4.63 (s, 2H), 7.44 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.69 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 7.74 (dd, J = 5 Hz, J = 2.9 Hz, 1H), 7.84 (m, 2H), 8.05 (s, 1H), 8.58 (m, 1H), 13.0 (s, 1H); 13C NMR (100 MHz, DMSO) δ 35.3, 90.1, 118.0, 130.2, 130.7, 131.3, 131.6, 132.9, 133.5, 135.1, 136.8, 139.3, 141.1, 160.4, 162.7, 166.7, 168.8. HPLC: 95.0%。
【0460】
【0461】
<実施例17>
化合物6の調製
CH3CN(15mL)中の中間体4.2(250mg、1.18mmol)及びK2CO3(495mg、3.56mmol)の攪拌懸濁液に、3-(クロロメチル)安息香酸(202mg、1.18mmol)を加えた。還流下で一晩、撹拌を続けた。真空下で揮発性物質を除去した。粗生成物を水に溶解し、EtOAcで洗浄し、pH1に酸性化し、EtOAc(3×50mL)で抽出した。Et2Oで滴定して、化合物6(90mg、0.24mmol)が白色固体として得た。収率21%。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 1.24 (m, 3H), 1.60 (m, 7H), 2.74 (m, 1H), 4.52 (s, 2H), 7.45 (t, J = 7.18 Hz, 1H), 7.67 (d, J = 6.83 Hz, 1H), 7.82 (d, J = 7.17 Hz, 1H), 8.04 (s, 1H), 13.0 (s, 1H).13C NMR (100 MHz, DMSO) δ 25.4, 25.7, 25.7, 30.3, 30.3, 33.8, 44.9, 94.1, 115.3, 128.6, 129.2, 130.1, 131.3, 133.6, 138.5, 161.1, 166.2, 167.4, 177.9. HPLC: 98.1%。
【0462】
【0463】
<実施例18>
化合物7の調製
DMSO(5mL)中の中間体5.2(220mg、0.95mmol)及びDIPEA(0.18mL、1.05mmol)の攪拌懸濁液に、3-(クロロメチル)安息香酸(178mg、1.05mmol)を加えた。室温で一晩、撹拌を続けた。淡黄色の固体を集め、砕いた氷と水で洗浄し、真空下で乾燥した。熱EtOAcで粉砕して、化合物7(180mg、0.49mmol)を淡黄色の固体として得た。収率53%。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 4.55 (s, 2H), 7.44 (m, 1H), 7.66 (d, J = 6 Hz, 1H), 7.81 (m, 3H), 8.02 (s, 1H), 8.80 (s, 2H), 13.1 (s, 1H); 13C NMR (100 MHz, DMSO) δ 34.1, 94.8, 115.8, 122.8, 122.8, 128.7, 129.2, 130.4, 131.3, 133.9, 138.1, 143.1, 150.5, 150.5, 161.8, 165.7, 167.4, 167.4. HPLC: 95.1%。
【0464】
【0465】
<実施例19A>
化合物14の調製
CH3CN(15mL)中の中間体12.2(100mg、0.43mmol)及びK2CO3(178mg、1.29mmol)の攪拌懸濁液に、3-(クロロメチル)安息香酸(74mg、0.43mmol)を加えた。還流下で一晩、撹拌を続けた。真空下で揮発性物質を除去した。粗生成物を水に溶解し、EtOAcで洗浄し、pH3に酸性化し、EtOAc(3×50mL)で抽出した。Et2O/アセトンの混合物で滴定して、化合物14(30mg、0.088mmol)を白色固体として得た。収率21%。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 4.59 (s, 2H), 6.69 (s, 1H), 7.41 (m, 1H), 7.46 (m, 3H), 7.71 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.81 (d, J = 7.74 Hz, 1H), 8.06 (m, 3H), 12.85 (s, 2H). 13C NMR (100 MHz, DMSO) δ 33.8, 127.3, 127.3, 128.5, 129.1, 129.2, 130.1, 131.0, 131.3, 131.5, 133.6, 136.3, 138.8, 167.5。
【0466】
<実施例19B>
化合物11の調製
酢酸(5mL)中の化合物14(100mg、0.29mmol)の撹拌溶液に、二酸化鉛(77.2mg、0.32mmol)及び臭素(0.02mL、0.32mmol)を加えた。室温で6時間、撹拌を続けた。混合物をNa2S2O5溶液に注ぎ、EtOAc(3×20mL)で抽出した。集めた有機相を水及び食塩水で洗浄し、次にNa2SO4で乾燥した。Et2O/アセトンの混合物で滴定して、化合物11(40mg、0.09mmol)を白色固体として得た。収率33%。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 4.44 (s, 2H), 7.42 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.48 (m, 3H), 7.61-7.65 (m, 3H), 7.82 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 8.0 (s, 1H), 13.1 (m, 2H). 13C NMR (100 MHz, DMSO) δ 33.9, 128.4, 128.6, 129.14, 129.3, 129.3, 129.3, 130.1, 130.2, 131.3, 133.9, 138.1, 138.4, 167.5. HPLC: 94.2%。
【0467】
【0468】
<実施例20A>
化合物15の調製
CH3CN(15mL)中の中間体13.3(235mg、1.11mmol)及びK2CO3(460mg、3.33mmol)の攪拌懸濁液に、3-(クロロメチル)安息香酸(190mg、1.11mmol)を加えた。還流下で一晩、撹拌を続けた。真空下で揮発性物質を除去した。粗生成物を水に溶解し、EtOAcで洗浄し、pH3に酸性化し、EtOAc(3×50mL)で抽出した。Et2O/アセトンの混合物で滴定して、化合物15(150mg、0.44mmol)を白色固体として得た。収率39%。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 4.55 (s, 2H), 6.64 (s, 1H), 7.19 (dd, J = 4.9 Hz, J = 3.8 Hz, 1H), 7.43 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.74 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.77 (d, J = 4.9 Hz, 1H), 7.81 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.90 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 8.08 (s, 1H), 12.80 (s, 2H). 13C NMR (100 MHz, DMSO) δ 33.5, 101.6, 128.1, 128.6, 129.1, 129.1, 130.1, 131.1, 131.4, 133.7, 138.9, 141.7, 167.4。
【0469】
<実施例20B>
化合物12の調製
酢酸(5mL)中の化合物15(134mg、0.39mmol)の撹拌溶液に、二酸化鉛(102mg、0.42mmol)及び臭素(0.022mL、0.42mmol)を加えた。室温で6時間、撹拌を続けた。混合物をNa2S2O5溶液に注ぎ、EtOAc(3×20mL)で抽出した。集めた有機相を水及び食塩水で洗浄し、次にNa2SO4で乾燥した。反応の粗生成物を、CH2Cl2/MeOH(生成物10%)で溶出するフラッシュクロマトグラフィー精製に付した。化合物12(45mg、0.11mmol)を白色固体として得た。収率27%。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 4.56 (s, 2H), 7.27 (t, J = 3.5 Hz, 1H), 7.44 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.72 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.82 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 7.92 (d, J = 4.5 Hz), 8.07 (s, 1H), 8.33 (d, J = 2.9 Hz, 1H), 13.1 (m, 2H). 13C NMR (100 MHz, DMSO) δ 33.8, 128.6, 128.7, 128.7, 129.2, 130.1, 131.4, 132.3, 132.8, 133.6, 138.3, 141.1, 152.1, 158.5, 159.6, 167.4. HPLC: 95.2%。
【0470】
【0471】
<実施例21>
化合物13の調製
酢酸(5mL)中の化合物14(100mg、0.29mmol)の撹拌溶液に、二酸化鉛(55.8mg、0.35mmol)及びN-クロロスクシンイミド(47mg、0.35mmol)を加えた。室温で6時間、撹拌を続けた。混合物を水に注ぎ、EtOAc(3×20mL)で抽出した。集めた有機相を水及び食塩水で洗浄し、次にNa2SO4で乾燥した。Et2O/アセトンの混合物で滴定して、化合物13(40mg、0.1mmol)を白色固体として得た。収率37%。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 4.47 (s, 2H), 7.43 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.49 (m, 3H), 7.64 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.71 (m, 2H), 7.83 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 8.02 (s, 1H), 13.1 (s, 1H), 13.25 (s, 1H); 13C NMR (100 MHz, DMSO) δ 33.9, 128.4, 128.4, 128.6, 129.1, 129.4, 130.2, 131.3, 131.3, 133.8, 136.5, 138.3, 167.5. HPLC: 95.3%。
【0472】
【0473】
<実施例22>
化合物22の調製
化合物1(160mg、0.44mmol)及びPOCl3(3mL)の撹拌懸濁液を70℃で6時間加熱した。白色の懸濁液が赤くなった。過剰のPOCl3を、砕いた氷、次に水で注意深く破壊した。混合物をEtOAc(3×20mL)で抽出した。集めた有機相を食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー精製(勾配CH2Cl2/MeOH)により、標題化合物22(60mg、0.16mmol)を白色固体として得た。収率36%。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 4.58 (s, 2H), 7.44 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.58-7.62 (m, 2H), 7.66 (d, J = 7.17 Hz, 1H), 7.70 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 7.82 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 7.94 (d, J = 7.1 Hz, 2H), 8.08 (s, 1H), 12.98 (s, 1H); 13C NMR (100 MHz, DMSO) δ 34.9, 102.5, 115.2, 128.7, 129.2, 129.2, 129.6, 129.6, 130.4, 131.4, 132.7, 133.9, 134.7, 138.0, 162.9, 167.5, 169.0, 174.3. HPLC: 98.8%。
【0474】
【0475】
<実施例23>
化合物10の調製
CH3CN(15mL)中の中間体6.2(145mg、0.86mmol)及びK2CO3(599mg、4.33mmol)の撹拌懸濁液に、3-(クロロメチル)安息香酸(148mg、0.86mmol)を加えた。還流下で一晩、撹拌を続けた。真空下で揮発性物質を除去した。粗生成物を水に溶解し、EtOAcで洗浄し、pH3に酸性化し、EtOAc(3×50mL)で抽出した。反応の粗生成物を、(CH2Cl2/MeOH+ACOH 3%)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物10(60mg、0.2mmol)を白色固体として得た。収率23%。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 2.44 (s, 3H), 4.49 (s, 2H), 7.45 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.68 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 7.82 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 8.05 (m, 1H), 13.1 (s, 1H); 13C NMR (100 MHz, DMSO) δ 23.3, 33.9, 95.3, 115.6, 128.7, 129.1, 130.6, 131.2, 134.1, 138.0, 161.1, 165.7, 167.4, 170.9. HPLC 96.5%。
【0476】
【0477】
<実施例24>
化合物5の調製
CH3CN(20mL)中の中間体7.3(414mg、1.27mmol)及びK2CO3(526mg、3.81mmol)の攪拌懸濁液に、3-(クロロメチル)安息香酸(217mg、1.27mmol)を加えた。還流下で一晩、撹拌を続けた。真空下で揮発性物質を除去した。粗生成物を水に溶解し、EtOAcで洗浄し、pH3に酸性化し、EtOAc(3×50mL)で抽出した。Et2O/アセトンの混合物で滴定した後、標題化合物5を純粋な淡黄色固体として得た(260mg、0.7mmol)。収率55%。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 4.62 (s, 2H), 7.45 (m, 1H), 7.74 (d, J = 5.9 Hz, 1H), 7.82 (d, J = 6.1 Hz, 1H), 8.08 (s, 1H), 8.21 (d, J = 7.2 Hz, 2H), 12.9 (s, 1H); 13C NMR (100 MHz, DMSO) δ 34.0, 90.5, 114.9, 127.7, 128.8, 129.3, 130.1, 131.4, 133.7, 138.1, 146.2, 156.7, 161.9, 163.8, 166.5, 167.4. HPLC 96.5%。
【0478】
【0479】
<実施例25>
化合物19の調製
DMSO(5mL)中の中間体2.2(100mg、0.42mmol)及びDIPEA(0.07mL、0.47mmol)の攪拌懸濁液に、中間体8.5(120mg、0.47mmol)を加えた。室温で一晩、撹拌を続けた。粗生成物を水に注ぎ、EtOAcで洗浄し、次にpH3に酸性化し、EtOAc(3×50mL)で抽出した。CH2Cl2/MeOH(生成物について10%)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより精製後、標題化合物19を純粋なオレンジ色の固体として得た(65mg、0.15mmol)。収率38%。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 4.37 (s, 2H), 7.20 (t, J = 4 Hz, 1H), 7.45 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.63 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 7.75 (d, J = 4.3 Hz, 1H), 7.88 (s, 1H), 8.07 (d, J = 3 Hz, 1H); 13C NMR (100 MHz, DMSO) δ 33.7, 85.7, 120.4, 124.9, 125.4, 126.7, 128.7, 128.8, 129.5, 131.1, 132.3, 140.6, 142.2, 159.1, 159.9, 163.3, 170.4, 171.3. HPLC 94.1%。
【0480】
【0481】
<実施例26>
化合物18の調製
DMSO(5mL)中の中間体2.2(500mg、0.mmol)及びDIPEA(0.4mL、2.12mmol)の撹拌懸濁液に中間体9.2(487mg、2.12mmol)を加えた。室温で一晩、撹拌を続けた。粗生成物を水に注ぎ、EtOAcで洗浄し、次にpH3に酸性化し、EtOAc(3×50mL)で抽出した。CH2Cl2/MeOH(生成物について10%)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより精製後、Et2O/アセトンの混合物で滴定して、標題化合物18を純黄色固体として得た(200mg、0.52mmol)。収率25%。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 3.49 (s, 2H), 4.53 (s, 2H), 7.16 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 7.26 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 7.36 (m, 3H), 8.05 (d, J = 4.4 Hz, 1H), 8.27 (s, 1H), 12.13 (s, 1H); 13C NMR (100 MHz, DMSO) δ 34.3, 40.9, 88.5, 116.8, 127.6, 128.9, 129.1, 129.8, 130.4, 131.9, 135.2, 135.8, 137.0, 139.9, 159.1, 161.6, 165.7, 172.9. HPLC 95.8%。
【0482】
【0483】
<実施例27>
化合物17の調製
DMSO(3mL)中の中間体2.2(160mg、0.66mmol)及びDIPEA(0.09mL、0.55mmol)の撹拌懸濁液に、中間体10.3(171mg、0.55mmol)を加えた。室温で一晩、撹拌を続けた。粗生成物を水に注ぎ、EtOAcで洗浄し、次にpH3に酸性化し、EtOAc(3×50mL)で抽出した。CH2Cl2/MeOH(生成物について5%)で溶離するフラッシュクロマトグラフィーにより精製後、Et2O/アセトンの混合物であらかじめ滴定することにより、標題化合物17を純粋なオレンジ色の固体として得た(90mg、0.22mmol)。収率23%。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 4.59 (s, 2H), 7.29 (t, J = 4.6 Hz, 1H), 7.54 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.68 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.91 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 7.96 (d, J = 4.9 Hz, 1H), 8.16 (s, 1H), 8.22 (d, J = 3.8 Hz, 1H); 13C NMR (100 MHz, DMSO) δ 33.9, 88.9, 117.6, 125.0, 126.2, 127.9, 129.6, 129.9, 131.2, 131.9, 134.4, 139.3, 140.4, 155.8, 159.1, 163.8, 167.0. HPLC 96.2%。
【0484】
【0485】
<実施例28>
化合物23の調製
アセトン(10mL)中の中間体2.2(150mg、0.63mmol)及びK2CO3(96.6mg、0.70mmol)の撹拌懸濁液に、中間体11.2(173mg、0.72mmol)を加えた。室温で一晩、撹拌を続けた。真空下で揮発性物質を除去した。粗生成物を水に溶解し、pH3に酸性化し、EtOAc(3×50mL)で抽出した。CH2Cl2/MeOH(生成物について5%)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより精製後、熱EtOAcであらかじめ滴定することにより、標題化合物23を純粋なオレンジ色の固体として得た(150mg、0.39mmol)。収率62%。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 3.92 (s, 2H), 6.72 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 6.79 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 6.88 (t, J = 7.3 Hz, 1H), 7.20 (t, J = 4.26 Hz, 1H), 7.77 (d, J = 4.7 Hz, 1H); 7.92 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 8.0 (d, J = 3.5 Hz, 1H); 9.59 (s, 1H), 9.80 (s, 1H); 13C NMR (100 MHz, DMSO) δ 35.12, 86.2, 115.5, 119.2, 120.1, 121.0, 124.4, 127.0, 128.7, 129.2, 131.4, 141.8, 147.3, 159.2, 167.9, 169.1, 170.5. HPLC 97.7%。
【0486】
II.生物学的活性
<実施例29>
ACMSD1阻害の測定
ACMSD1の阻害剤としての化合物1~19及び21~23の活性を、分光光度法インビトロアッセイで、3OH-アントラニル酸の生成物(すなわち、ACMS)への変換を測定することにより決定した。
【0487】
3-ヒドロキシアントラニル酸(3OH-HA)、3-ヒドロキシアントラニル酸、3,4-ジオキシゲナーゼ(HAO)、及び組換え酵素を発現する大腸菌BL21(DE3)細胞の透析粗抽出物からなるアッセイ前混合物を、3OH-HAからのACMSの形成による360nmでの吸光度の増加をモニターしながら、25℃でインキュベートした。反応が約2分以内に完了した後、ACMSD1溶液(組換え酵素を過剰発現するピキア・パストリス(Pichia Pastoris)から調製及び精製された)のアリコートを添加し、360nmでの吸光度の低下を15秒間隔で追跡した。酵素活性に対するACMS濃度の影響を、3OH-HA濃度を2~20μMに変化させることにより調べた。初期速度データから、Lineweaver-Burkプロットを用いて、動力学的パラメータを計算した。
【0488】
ACMSD1に起因する吸光度の減少率を、ACMSD無しの対照反応混合物の吸光度を上記から差し引いて計算した。ACMSD活性の1単位は、25℃で毎分1mmolのACMSを変換する酵素量として示された。ACMSD1活性の非存在又は低下(例えば、ACMSD阻害剤を用いて)は、ゆっくりとしたACMSの自発的分解(すなわち、環化によるキノリン酸生成)をもたらす。
【0489】
酵素活性は、10μMのHAA濃度で、以下の表1の化合物の存在下で測定した。化合物を約5μM及び10μMの濃度で試験し、50%より高い阻害活性を示す化合物についてIC
50を計算した。結果を表1に示す。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0490】
<実施例30>
HEK293T細胞におけるACMSD-1調節の測定
HEK293T細胞(ATCC)を6ウェルプレートに播種し、Fugene HDを用いてトランスフェクトして、一時的にACMSDを発現させた。トランスフェクションの24時間後、細胞を種々の濃度の化合物1で48時間~72時間刺激し、次に溶解し、分光光度法インビトロアッセイで、3OH-アントラニル酸の生成物(すなわち、α-アミノ-β-カルボキシムコン酸セミアルデヒド、ACMS)への変換を測定することにより、ACMSD活性を測定した。ブラッドフォード分析により、細胞溶解物中の総タンパク質含量が検出された。この値を用いて、全試料で標準化された酵素の特異的活性(mU/ml又はΔE/Δt/mg総タンパク質)を得た。
【0491】
ACMSD-1酵素は肝臓、腎臓、及び脳で発現することが知られている。従って、これらの細胞種について利用可能な細胞株を試験して、ACMSDの発現レベルを測定した。我々は、ACMSD-1が、肝臓や腎臓由来の形質転換細胞株、例えばHepG2、HEK293T、Hep3Bなどで発現されないことを確認した.COS-7、HEK293T、及びHepG2などの異なる細胞バックグランドで酵素を発現させるために、ACMSDのトランスフェクションを行った。HEK293T細胞のバックグラウンドは、ACMSD1酵素活性を強力に測定できる最も高いタンパク質産生を有する最良のシステムであることが判明した。これはおそらく、HEK293Tで観察された、より優れたトランスフェクション効率のためであろう。
【0492】
最適な刺激時間、及びトランスフェクションプロトコルを決定した後、細胞を異なる濃度の化合物1(約50nM~約5μM)で刺激した。化合物1は、この過剰発現細胞に基づくアッセイにおいて、ACMSD-1活性を用量依存的に阻害した。
【0493】
<実施例31>
化合物4で処理したヒト初代肝細胞におけるNAD
+
含量の測定
化合物4で処理したヒト初代肝細胞で、NAD+濃度又は含量を測定した。ビヒクル(NT)を対照として使用した。
【0494】
接種から48時間後に、異なる濃度の化合物4(0.5μMと5μM)で初代肝細胞を処理する少なくとも3回の実験を行った。化合物4を24時間毎に交換し、次に細胞を直接採取し、ACN/H2O(比5:1)で溶解した。LCMS/MSを用いて、NAD
+濃度/含量を検出及び測定した。スクリーニングデータは、化合物4が0.5μM及び5μMという低い濃度でACMSD-1酵素を阻害することを示した。(
図1)
【0495】
<実施例32>
化合物1で処理したヒト初代肝細胞におけるNAD
+
含有量の測定
NAD+濃度又は含量は、化合物1と既知のACMSD阻害剤であるMEHPとで処理したヒト初代肝細胞で測定した。MEHPを対照として用いた。
【0496】
接種から48時間後に、異なる濃度の化合物1(0.5μM、5μM、及び50μM)を用いて初代肝細胞を処理する少なくとも3回の実験を行った。化合物1を24時間毎に交換し、次に細胞を直接採取し、ACN/H
2O(比5:1)で溶解した。LCMS/MSを用いて、NAD
+濃度/含量を検出及び測定した。スクリーニングデータは、500μMのMEHPが精製ACMSD-1酵素の70%を阻害し、0.5μMの化合物1が250μMのMEHPと同様の阻害活性を有することを示した。(
図3)
【0497】
<実施例33>
AML-12細胞とマウス初代肝細胞におけるSOD2活性の調節
化合物1又は17のいずれかで処理したAML-12細胞とマウス初代肝細胞におけるSOD-2活性の調節を測定した。
【0498】
マウス肝細胞細胞株AML-12(アルファマウス肝臓12)をATCCから入手し、37℃の5%CO2/95%空気の加湿雰囲気中で、0.005mg/mlインスリン、0.005mg/mlトランスフェリン、5ng/mlセレン、40ng/mlデキサメタゾン、及び1%ゲンタマイシンを補足したダルベッコー改変イーグル培地/栄養混合物F-12(DMEM/F-12)中で増殖させた。まずACMSD阻害剤を、DMSO中の粉末から1mMのストック濃度に希釈した。このストックを水で100μMの濃度に更に希釈し、これを細胞処理に使用した。
【0499】
初代肝細胞は、8~12週齢のC57BL/6Jマウスから、コラゲナーゼ灌流法により調製した。マウス肝臓をハンクス平衡塩溶液(HBSS、KCl、5.4mM;KH2PO4、0.45mM;NaCl、138mM;NaHCO3、4.2mM;Na2HPO4、0.34mM;グルコース、5.5mM;ヘペス、1M;EGTA、50mM;CaCl2、50mM;pH7.4)中で培養した。次に、肝臓を門脈を通して5ml/分の速度で洗浄した。洗浄後、肝臓をコラゲナーゼ(0.025%)溶液で灌流した。細胞生存率をトリパンブルー法により評価した。単離した初代肝細胞を、10%FCS、10単位/mlのペニシリン、及び緩衝化用のヘペスを含むDMEM培地(Gibco)で播種した。細胞を37℃、5%CO2/95%空気の加湿雰囲気中で培養して維持した。6~8時間の付着の後、この培地を、異なる濃度のACMSD阻害剤(すなわち、化合物1又は化合物17)を含む培地、又は対応する濃度のDMSOを含む培地(対照として)と交換した。異なる記載がない限り、初代肝細胞は約24時間後に採取された。
【0500】
次に、1mM EGTA(Sigma)、210mMマンニトール(Sigma)、及び70mMショ糖(AMRESCO)を含有する20mM HEPES緩衝液(Gibco)、pH7.2中で、初代肝細胞又はAML-12細胞を溶解した。総タンパク質濃度は、ブラッドフォードアッセイ(Biorad)を用いて測定した。SODアッセイキット(Cayman Chemical)により製造業者の指示に従ってACMSD阻害剤処理後の指示された時間に、SOD-2活性を測定した。SOD2活性を特異的に検出するために、2mMシアン化カリウムをアッセイに加えると、これはCu/Zn-SODと細胞外SODの両方を阻害し、Mn-SOD(SOD-2)活性のみが検出された。吸光度は、Victor X4マルチラベルプレートリーダー(Perkin Elmer)を用いて450nmで測定した。結果は、標準曲線と測定されたタンパク質濃度に従って、U/ml/mgタンパク質で表される。
【0501】
ACSMD阻害により誘発されると思われる酸化ストレス耐性経路を、SOD2の活性を測定することにより調べた。結果は、化合物17と化合物1との両方により、AML-12と初代マウス肝細胞との両方において、SOD2が用量依存的に誘導されることを示した.AML-12より有意に高いレベルでACMSDを発現する初代肝細胞において、約5nMの用量で作用が観察され、約50nMの用量で最大に達した。化合物17と化合物1の両方とも、SOD2の活性を用量依存的に誘導することができた(
図5A及び
図5B)。
【0502】
<実施例34>
マウス初代肝細胞におけるNAD
+
含量の測定
NAD+レベルを、化合物17で処理したヒト初代肝細胞で測定した。
【0503】
NAD+を酸性抽出法を用いて抽出した。試料を採取し、70%氷冷過塩素酸(HClO4)中でホモジナイズした。炭酸カリウム(K2CO3)を添加して不溶性タンパク質部分をペレット化した後、試料を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分離し、質量スペクトル法により分析した。ペレット中のタンパク質をブラッドフォードアッセイにより定量し、標準化に使用した。
【0504】
ACMSD阻害剤である化合物17の5nM、10nM、及び50nMへ初代肝細胞を24時間曝露させると、細胞内NAD
+レベルの有意な用量依存的増加が誘導された。5nMの低濃度で、NAD
+レベルに対する有意な作用が観察された。(
図2)
【0505】
<実施例35>
化合物1又は17で処理したAML-12細胞、Hepa-1.6細胞、及び初代マウス肝細胞におけるSIRT1に調節された遺伝子のRT-qPCR分析
ACMSDと、Pgc1a、Sod1、Sod2(MnSOD)などのSIRT1(NAD+に厳密に依存する酵素)により調節されることが知られている遺伝子の発現とを、化合物1又は17で処理したAML-12細胞、Hepa-1.6細胞、及び初代マウス肝細胞で分析した。
【0506】
細胞(AML-12、Hepa-1.6、HEK-293、初代ヒト及びマウス肝細胞)を、異なる濃度の化合物1又は化合物17で処理した.総RNAを、TRIzol(Invitrogen)を用いて製造業者の指示に従って細胞から抽出した。このRNAをDNaseで処理し、2μgのRNAを逆転写(RT)に使用した。50倍希釈したcDNAをRT定量PCR(RT-qPCR)反応に使用した。RT-qPCR反応は、Light-Cyclerシステム(Roche Applied Science)、及び指定されたプライマーを有するqPCRSupermix(QIAGEN)を用いて行った。各生物学的データ点について、少なくとも3回の技術的繰り返しの平均を使用した。
【0507】
Pgc1a、Sod2(MnSOD)など[しかしSod1(Cu-Zn SOD)は除外される]のSIRT1(NAD
+に厳密に依存する酵素)により調節されることが知られている遺伝子の、mRNA発現レベルの用量依存的増加が、化合物17(5nM~500nM範囲)で24時間処理された初代マウス肝細胞で観察された。遺伝子発現の観察された増加は用量依存性であり、これは実施例32(
図5)で観察されたSOD2酵素活性の用量依存的増加と一致する。Sod2 mRNAレベルもまた、化合物1で24時間処理された後、AML-12細胞及びHepa-1.6肝細胞株において用量依存的に増加した。これらのmRNA発現の変化は、化合物17によるACMSD1活性の阻害によるNAD
+レベルの誘導後の、SIRT1の活性化と一致する(
図4と
図5)。
【0508】
<実施例36>
MDCK細胞におけるカスパーゼ3/7活性の調節
式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩の、急性腎臓傷害に対する作用を測定するために、MDCK細胞でインビトロ試験を行った。
【0509】
MDCK細胞(MDCK(NBL-2)ATCC(登録商標)CCL-34(登録商標))を、10%の最終濃度までのウシ胎児血清(FBS)を含む、基本培地であるATCC-処方イーグル最小必須培地(カタログ番号30-2003)で培養した。10,000個の細胞を96ウェルに播種し、細胞播種の24時間後に、培地を1%FBSを補充した新鮮な培地で交換した。次にシスプラチン(50μM、16時間)を使用して細胞傷害を誘導した。異なる濃度の化合物18(1%DMSO中)を、シスプラチンと組合せて(
図1)、又はシスプラチンを添加する1時間前に、加えた(
図2)。
【0510】
Victor Vプレートリーダー(Perkin Elmer)上の発光シグナル読み値を用いて、標準的な手順に従ってカスパーゼ3/7活性(Promega)を測定した。各実験/条件は3重測定で実施した。
【0511】
カスパーゼ活性を、シスプラチン単独に対して(100%)及びカスパーゼ活性が0%としてのビヒクル処理細胞に対して、標準化した作用パーセントとして分析した。データは、GraphPad Softwareにより分析された。一元配置分散分析(ダネットの多重比較検定)を統計解析に使用した。
【0512】
図1に示すように、MDCK細胞を、シスプラチン(cisp)との組み合わせた異なる濃度の化合物18(0.01μM~100μM)で処理した。EC
50値は70μMに等しいと計算された。化合物18で処理した細胞は、シスプラチン単独で処理した細胞と比較して、100μMの濃度でカスパーゼ活性を有意に低下させた(p<0.001)。
【0513】
MDCK細胞はまた、シスプラチン(cisp)添加の1時間前に、異なる濃度(1μM~125μM)の化合物18で処理した。
図2に示すように、化合物18で処理した細胞はシスプラチン単独で処理した細胞と比較して、約30μM~約125μMの濃度でカスパーゼ活性を有意に低下させた(p<0.001)。EC
50値は30μMに等しいと計算された。
【0514】
データは、化合物18が、シスプラチン(
図1)により誘導されるカスパーゼ3/7活性を有意に低下させることを示している(
図1)。
図2に示されるように、傷害剤(シスプラチン)による傷害の前に化合物18が添加された場合に、この防御作用は特に顕著である。
【0515】
<実施例37>
細胞毒性とhERGスクリーニング
細胞毒性:20000個のHePG2細胞及びAML-12細胞を96ウェルプレート(Viewplate PerkinElmer)に接種した。培地中の一定のDMSO 1%を用いて10nM~300μMの範囲で、表2中の化合物の用量応答試験を、HP D300デジタルディスペンサーを用いて行った。細胞を37℃で4時間刺激した。上清を使用して、壊死の指標としてLDH放出(Cytotox-one, Promega)を実施し、細胞を溶解してATPレベルを検出して、製造業者の指示に従って細胞生存率(Celltiter-glo, Promega)を測定した。
【0516】
hERGカリウムチャネルで安定にトランスフェクトされたチャイニーズハムスター卵巣細胞からの膜調製物と高親和性赤色蛍光hERGチャネルリガンド(トレーサー)とを含有する、予測因子hERGアッセイキット(Invitrogen)を使用して、表2の試験化合物のhERGチャネル親和性結合を測定した。hERGチャネルタンパク質(競合物質)に結合する化合物は、トレーサーを置換して、より小さい胃蛍光偏光をもたらす能力により同定された。各ウェル中のDMSOの最終濃度は1%に維持した。アッセイは、製造業者のプロトコル(Invitrogen)に従って行った。
【0517】
結果は表2に示される。
【表2】
<実施例38>
シー・エレガンス実験-ACMSD1サイレンシング、寿命アッセイ、移動度評価、及びGFP蛍光定量
シー・エレガンス(カエノラブディティス・エレガンス (Caenorhabditis elegans))株は、カエノラブディティス遺伝学センター (University of Minnesota) により提供された。特に別の指定がなければ、虫は、大腸菌OP50細菌を接種した線虫増殖培地(NGM)寒天プレート上で20℃で維持した。実験に使用した菌株は以下の通りでる:ブリストルN2、NL2099(rrf-3(pk1426)II)、KN259(huIs33[sod-3::GFP+pRF4(rol-6(su1006))])。
【0518】
細菌食性RNAi実験は以下のように行った:虫を、それぞれ25μg/mlと1mMの最終濃度のカルベニシリンとIPGを含み、Ahringerライブラリーから採取した細菌培養物を接種したNGM寒天プレート上で増殖させた。使用したクローンは、acmsd-1(Y71D11A.3)、sir-2.1(R11A8.4)、及びdaf-16(R13H8.1)である。GeneServiceからクローンを購入し、その本体を配列決定により確認した。二重RNAi実験のために、細菌培養物を混合した後、NGMプレートに接種した。この種の実験における対照RNAiは、対照の空ベクターRNAi細菌で50%希釈された。
【0519】
線虫カエノラブディティス・エレガンス (Caenorhabditis elegans)は、無傷の生物レベルで細胞内で観察された酸化ストレス防御の活性化を確認するための、モデル系として用いられた。acmsd-1 RNAiの作用を、RT-qPCRによりシー・エレガンス(C. elelgans)において評価した。総RNAを、TRIzol(Invitrogen)を用いて製造業者の指示に従って、細胞から抽出した。RNAをDNaseで処理し、2μgのRNAを逆転写(RT)に使用した。50倍希釈したcDNAをRT定量PCR(RT-qPCR)反応に使用した。Light-Cyclerシステム(Roche Applied Science)と、示されたプライマーを有するqPCRスーパーミックス(QIAGEN)とを用いて、RT-qPCR反応を行った。各生物学的データ点について少なくとも3回の技術的繰り返しの平均を使用した。
【0520】
C.エレガンス寿命アッセイを以下のように20℃で実施した。虫を、若年成虫段階から、0.5M水性ストックから最終濃度5mMでNAC(N-アセチルシステイン)に暴露した。カルベニシリン(100μg/mL)を含有するNGMプレートに、ピルビン酸ナトリウムを2.5mMの最終濃度で加え、UV殺菌したOP50を接種した。5日間のRNAi処理後、虫をパラコートを含みacmsd-1 RNAi細菌を接種したプレートに移した。対照の虫は、空ベクターを含むRNAi細菌上で、成体期の最初の5日間増殖させ、次にパラコートを含みacmsd-1 RNAi細菌を接種したプレートに移した。Kaplan-Meier法を用いて生存解析を行い、生存曲線間の差の有意性を対数ランク検定を用いて計算した。使用した統計ソフトウェアはXLSTAT 2007(XLSTAT、Brooklyn、NY、USA)であり、全てのP値<0.05は有意であると見なした。1つの条件ごとに100匹の虫を使用し、2日ごとにスコア化した。検閲の理由は、「開いた外陰」表現型又はプレートから這い出た虫であったためである。記載されている場合、パラコートを記載された濃度で寒天プレート上に加えた。パラコート溶液が完全に乾燥したら、L4虫をこれらの寒天プレートに移し、5~6日間毎日追跡した。虫集団のわずかなパーセンテージが、パラコート作用のためではなく自然に死滅し始める可能性があるため、6日目までにすべてのパラコート検査が中止した。
【0521】
コンピューターと標準的な明視野顕微鏡の両方に取り付けられた、ニコンDS-L2/DS-Fi1カメラとコントローラー構成を使用して、虫の動きを成体期の1,3,5日目に45秒間記録した。各条件について、プレート1枚に10匹の虫を有する5枚のプレートを使用した。老化中の虫の動きは、MATLABのParallel Worm Trackerの自由に利用可能な修正版を用いて、虫の重心を追跡することにより評価された速度値を積分することにより計算した。
【0522】
Victor X4プレートリーダー(Perkin Elmer)を用いて、GFP-レポータータンパク質を発現する虫株の蛍光強度を定量した。翌日、虫を以下の方法で調製した:1つの条件あたり80匹の虫(対応する年齢で)を取り上げ(黒色壁の96ウェルプレートのウェルあたり20匹の虫)、M9培地に入れた。各実験を少なくとも2回繰り返した。
【0523】
acmsd-1 mRNAの発現レベルは有意に低下しており、RNAi介在遺伝子ノックダウンの有効性が確認された(
図7A)。MnSODの虫オーソログであるSOD-3はそのmRNAレベルで誘導され、同時にRNAiによるacmsd-1遺伝子のダウンレギュレーションが起きた。成体期の3日目にも、SOD-3のタンパク質レベルの有意な増加が観察された(
図7B)。ACMSDダウンレギュレーションは虫の寿命を改善し、この改善はSIR-2.1及びDAF-16依存性であった(
図7C)。
【0524】
更に、acmsd-1 RNAiに暴露された虫は、シー・エレガンスの酸化ストレスを模倣するために広く使用されている周知のROSインデューサーであるパラコートで処理した場合に、より長い寿命と、移動度アッセイにおける改善された成績とを示した(
図7D、及び7E)。
【0525】
パラコート条件下でのより良好な生存は、虫がacmsd-1 RNAiに暴露された発達段階には依存しなかった(
図7F)。
【0526】
FoxO1の虫オルソログであるDAF-16がダウンレギュレートされた時、酸化ストレス条件下でのこの寿命の延長はもはや観察されず、より良好な酸化ストレス抵抗性がDAF-16依存性であることを意味していた(
図7G)。
【0527】
<実施例39>
C57BL/6J及びKK-Ayマウスにおける式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物の抗糖尿病作用の試験
グルコース及びインスリンレベルに対する式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物の作用を測定するために、雄のC57BL/6Jマウス及びKK-Ayマウスについて、グルコース負荷試験をを行う。
【0528】
6~7週齢の雄のC57BL/6Jマウス及びKK-Ayマウスは、例えばそれぞれCharles River Laboratories France 及びCLEA Japanから入手できる。マウスには8週齢以降、通常の食餌(CD-Harlan 2018)、高脂肪食(HFD-Harlan 06414)を与える。式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を、180mg/kg食物のHFDと混合する。これらの毎日の食物摂取量に基づくと、これは約15mg/kg体重の1日用量をもたらす。マウスを4時間絶食させた後、RNA単離、脂質測定、及び組織検査のために、血液と組織を採取する。酸素消費を、Oxymax装置(Columbus Instruments)を用いて測定する。組織学的分析と透過型電子顕微鏡観察を行う。
【0529】
一晩絶食させたマウスで、経口グルコース負荷試験を行う。グルコースは2g/kgの用量で強制経口投与により投与される。4時間絶食させたマウスで、腹腔内インスリン負荷試験を行う。インスリンは0.75U/kg体重の用量で注射される。グルコースは、Maxi Kit グルコメーター4(Bayer Diagnostic)又はグルコースRTU(bioMerieux Inc.)を用いて定量され、血漿インスリン濃度はELISA(Cristal Chem Inc.)により測定される。統計的な差は、分散分析又はスチューデントt検定により測定される。
【0530】
<実施例40>
LepR突然変異を有するdb/dbマウスにおける式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物の抗糖尿病及び抗肥満作用の試験
式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩の抗糖尿病作用の試験は、遺伝的に肥満のLeprdb/J(db/db)マウスにおいて行われる。
【0531】
マウスは、FELASAプロトコルに準拠した温度制御及び湿度制御された環境で飼育、収容される。3週齢から、マウスに高脂肪食(HFD)(Harlan 06414)を与える。大部分の薬理学的試験は、糖尿病の8週齢のdb/db、及び野生型(wt)対照で開始される。
【0532】
亜慢性介入
db/dbマウスを、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩で、1日1回で14日間、暗期開始(午後6時)の前の午後5~6時の間に処理される マウスを初回投与前の4時間の絶食後と、最後の投与後18±2時間に、血液試料を採取する。各血液試料のグルコース濃度を測定する。
【0533】
急性介入グルコース
無作為に食餌を供給されたdb/dbマウスから、明期の開始(午後6時)後の午前6~8時の間に最初の血液試料を採取し、次に式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式)又は式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を投与し、食餌へのアクセスを制限し、処理の4時間後に第2の血液試料を採取する。その後、マウスを経口グルコース負荷試験(OGTT1:1gグルコース/kg体重)に供し、各グルコース負荷後の0.5、1、2、3、及び4時間後に血中グルコース濃度を測定する。
【0534】
正常血糖性-高インスリン血性クランプアッセイ
db/dbマウスに、ケタミン/キシラジン麻酔下で持続型頸静脈カテーテル挿入を行う。6~7日間、遅い時間(午前6時以降)の食料へのアクセスを制限する。意識のあるマウスを特大のラット拘束具に入れ、加温パッドで温める。次にカテーテルの端をCMA402ポンプ(Axel Semrau, Sprockhoevel, Germany)中のシリンジに接続する。プライムした連続[3-3H]グルコース注入(1.85kBq/分)の110分後、血液試料を採取して、血漿インスリン、グルコース、及び[3-3H]グルコース濃度を測定し、基礎内因性グルコース出現率を計算する。次に、マウスにビヒクル又は式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を、強制経口投与により投与する。
【0535】
続いて、インスリン(36pmol/kg*/分;HumulinR、Lilly、USA)を含む[3-3H]グルコース注入(3.7kBq/分)でグルコース-1クランプを開始し、血漿インスリン濃度の中程度の正味増加を引き起こさせる。血中グルコース濃度を10分毎に測定し、20%グルコース注入の速度(GIR)を調整することにより標的血糖値を確立する。120分目に、2-デオキシ-D-[1-14C]グルコース(370kBq)を静脈内投与する。血液試料を30、60、90、100、110、120、122、125、130、及び140分目に採取する。次に、マウスを殺処分する(すなわち、静脈内ケタミン/キシラジン過剰投与により)。腓腹筋及び精巣上体脂肪組織を集め、液体窒素中で直ちに急速冷凍し、-80℃で保存する。2-[14C]デオキシグルコース-6-リン酸を組織から抽出し、グルコース取り込み速度(Rg)を計算する。
【0536】
血漿[3H]及び[14C]放射活性を、[3H2O]蒸発後の脱タンパク血漿中で測定する。基底状態下の及びグルコースクランプ60~90分と90~120分の間のグルコースフラックスは、以下のように推定される:全身グルコース消失速度(Rd)=[3-3H]GIR(dpm/分)/血漿[3-3H]グルコース比活性(dpm/分*モル);基礎Endo Ra=[3-3H]GIR(dpm/分)/血漿[3-3H]グルコース比活性(dpm/分*モル);グルコースクランプEndo Ra=GIR-Rd。Ultima-Goldシンチレーションカクテル、放射性同位体、及びTri-Carb2910TRは、Perkin Elmer(ドイツ)から入手する。
【0537】
血液、血漿、尿からのアッセイ
血液試料を外側尾静脈から採取する。血液グルコースはグルコメーター(Contour、Bayer Vital、Germany)を用いて、血漿グルコースは比色 Glucose LabAssay(Wako, Germany)を用いて、HbA1cは、A1cNow+(Bayer Vital)又はClover Analyzer(Inopia, South Korea)を用いて測定する。
【0538】
疾患の発症と生存の分析
疾患の発症は、個体の体重が徐々に低下する前のピーク体重の最後の日として定義される。疾患の段階は以下のように定義される:疾患の早期段階は、ピーク体重とピーク体重の10%喪失までの期間と定義される。疾患の後期段階は、ピーク体重の10%喪失と疾患の最終段階までの期間として定義される。疾患の最終段階は、動物が横向きに置かれたときに3回連続して30秒以内に自身を起き上がらせることができなかった日として定義される。動物は、疾患の最終段階で安楽死される。
【0539】
身体組成の測定
体重は、少なくとも13週間、毎週評価される。褐色脂肪組織(BAT)及び生殖腺白色脂肪組織(WAT)は切開し、示された年齢で秤量される。総除脂肪量、WAT%、及びBMD(骨無機質密度)は、DEXA(PIXImus DEXA; GE)を用いて測定される。
【0540】
間接熱量測定、食物摂取、及び活性
まずマウスの体重を測定し、試験ケージに順化させる。酸素容量(VO2)と二酸化炭素生成容量(VCO2)を20分毎にOxymax包括的実験室動物モニタリングシステム(CLAMS)(Columbus Instruments)を用いて測定し、体重に対して標準化された時間当たりの平均VO2(mL/h/kg)として報告する。CLAMS装置を使用して、赤外線遮断及び食物摂取による活動カウントを同時に測定する。より具体的には食物摂取量は、実験の最後の粉末化食品ペレットの重量を実験開始時の出発重量から差し引くことにより測定される。この実験を補完し、摂食行動に影響を及ぼす可能性のある新しい環境について調整するために、更に「用手的」実験を行い、この実験では、毎日同じ時間にセット重量の食餌ペレットを、マウスを収容する清潔なホームケージに入れる。翌日、残っているペレットの重量を記録し、出発重量から差し引く。この実験は14日間連続して行われる。各マウスの体重も毎日記録する。各遺伝子型についての結果は、CLAMSから得られたものと同様である。
【0541】
統計解析
0.9統計力より大きい1-βを考慮して、先験的試験から適切なグループ数を先験的に推定する。一元配置若しくは二元配置分散分析(Bonferroni post-tests)又はt検定を行う。
【0542】
<実施例41>
マウスにおける非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)及び非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に対する式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、又は式IIIの化合物の作用の試験
高脂肪食及び高ショ糖食を与えた雄のC57BL/6Jマウスの非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)及び非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に対する、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩の作用を測定するための試験を行う。
【0543】
雄のC57BL/6Jマウス(The Jackson Laboratory, Bar Harbor, Maine, USA)を21~23℃で14時間明期-10時間暗期のサイクル下で飼育し、全実験期間中、水を自由に摂取させる。6週齢から、マウスに44.6%のkcalが脂肪由来(そのうち61%が飽和脂肪酸)で40.6%のkcalが炭水化物由来(主にショ糖340g/kg食餌)である「西洋式」HF-HSD(TD.08811, 45% kcal Fat Diet, Harlan Laboratories Inc., Madison, Wisconsin, USA)と、対照として通常の食餌(NCD)(V1534?000 ssniff R/M-H, ssniff Spezialdiaten GmbH, Soest, Germany)を与えた。次にマウスを、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩、又は対照で、4、12、又は20週間処理し(各時点で1群につき8匹)、その後、動物を殺処分する。
【0544】
体重及び食物摂取量は、毎週同じ日に追跡される。ペントバルビタールナトリウム(腹腔内注射、50mg/kg体重)による鎮静後、総脂肪量を2重エネルギーX線吸光光度法(DEXA)(PIXImus densitometer, Lunar Corp., Madison, Wisconsin, USA)で分析する。6時間絶食したマウスで、腹腔内グルコース負荷試験(IPGTT)を行う。尾静脈グルコースレベルをBayer Contourグルコメーターを用いて、グルコース投与(グルコース1g/kg体重)の直前(時点0分)、及び15、30、60、90、及び150分後に測定する。インスリン抵抗性は、インスリン抵抗性の恒常性モデル(HOMA-IR)指数[(空腹時インスリン(ng/mL)×空腹時グルコース(mg/dL))/405]を用いて計算される。
【0545】
殺処分
6時間の絶食期間の後、マウスをペントバルビタールナトリウム(腹腔内注射、50mg/kg体重)で麻酔し、心臓穿刺により血液採取して殺処分する。ヘパリン加注射器に採取した血液の遠心分離(4℃、6000rpmで5分間)により、血漿が得られる。組織は、液体窒素中で急速凍結するか、又はさらなる生化学的分子分析又は組織学的分析のために、血漿と一緒に-80℃で保存する。
【0546】
組織学的分析
肝臓試料を、通常通り緩衝化ホルマリン(4%)中に固定し、パラフィンに包埋する。連続した4mm厚の切片をH&Eとピクロシリウスレッドで染色して、線維症を評価する。凍結した肝臓切片をオイルレッドOで染色して、脂質蓄積を評価する。すべての肝生検試料が、食餌状態又は外科的介入を知らされない熟練した肝臓病理学者により分析される。脂肪変性、活動性、及び線維症を、NASH臨床研究ネットワーク基準に従って半定量的にスコア化する。脂肪変性の量(脂肪滴を含む肝細胞の割合)は、0(<5%)、1(5~33%)、2(>33~66%)、及び3(>66%)とスコア化される。肝細胞のバルーン形成は、0(なし)、1(少数)、又は2(多くの細胞/顕著なバルーン形成)として分類される。小葉炎症の病巣は、0(病巣なし)、1(200倍視野当たり2つ未満の病巣)、2(200倍視野当たり2つ~4つの病巣)、及び3(200倍視野当たり4つを超える病巣)としてスコア化される。線維化は、ステージF0(線維化なし)、ステージF1a(軽度、ゾーン3、類洞周囲の線維症)、ステージF1b(中等度、ゾーン3、類洞周囲の線維症)、ステージF1c(門脈/門脈周囲の線維症)、ステージF2(類洞周囲の及び門脈/門脈周囲の線維症)、ステージF3(架橋線維症)、及びステージF4(肝硬変)としてスコア化される。NASHの診断は、一般に認められた組織学的基準に基づく。疾患の重症度は、NAS(NAFLD活性スコア)を用いて、脂肪変性、肝細胞バルーン形成、及び小葉炎症のスコアの非加重和として評価される。線維症の割合は、視覚的制御下で線維症検出の閾値を調整した後、Aperioシステムを用いてデジタル化したシリウスレッド染色切片からの形態計測により定量される。結果は、コラーゲン比例面積として表される。
【0547】
<実施例42>
メチオニン欠損及びコリン欠損マウスにおける非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)及び非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に対する式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物の作用の試験
メチオニン欠損及びコリン欠損食を与えた雄の野生型マウスにおける、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)及び非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に対する式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩の作用を測定するための試験を行う。
【0548】
12時間の明期/暗期サイクルで収容された野生型マウスを、食物と水を自由に与えて使用する。1時点あたり少なくとも5匹の動物を分析する。すべての実験を少なくとも3回繰り返す。食餌による処理のために、体重25gの8~12週齢の雄マウスに、メチオニン欠損及びコリン欠損食餌(NASHを誘導するMCD)を、又は通常食餌(対照として)を与える。高脂肪及び高ショ糖食を与えられたマウスについて、実施例40で上記したようにNAFLD及びNASHの動物実験と評価を行う。
【0549】
<実施例43>
高コレステロール食を摂取したLDL-Rノックアウトマウスにおけるアテローム性動脈硬化症に対する式(I)、式(Ia)、式(II)又は式(III)の化合物の作用の試験
高コレステロール食を摂取したLDL-Rノックアウトマウスにおけるアテローム性動脈硬化症に対する、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩の作用を測定するための試験を行う。
【0550】
LDL-Rノックアウト(KO)マウスをC57BL/6J株と10世代にわたって戻し交配をして、類遺伝子C57BL/6Jマウスを作成する。使用される対照は、すべての実験において同腹子である。動物を、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩、又は対照で処理する。アテローム発生食(TD94059;Harlan)の開始後12週目にマウスを殺処分し、その後、心臓と大動脈をPBSで灌流し、続いて固定する(Shandon Formal Fixx, Thermo Scientific)。アテローム性動脈硬化症は、大動脈根のオイルレッドO染色により評価され、MetaMorph ソフトウェアを用いて定量化される。生化学パラメータは、COBAS C111 (Roche) 中の適切なキットを用いて測定する。リポ多糖(LPS)のインビボ試験のために、マウスに100mgのLPSを腹腔内注射し、尾静脈から血液を採取する。TNFαレベルを、マウスTNFαELISA Ready-SET-Go! (eBioscience) アッセイを用いて定量する。血液細胞数は、Advia2120 (Siemens Healthcare Diagnostics) を用いて測定する。
【0551】
スチューデントt検定を用いて統計的有意性を算出する。複数の検定(すなわち、3群以上の比較)の場合、この検定の前に分散分析検定を行う。P<0.05は統計的に有意であると見なされる。結果は平均±標準誤差を表す。
【0552】
<実施例44>
Sco2
KO/KI
マウスの遺伝性ミトコンドリア病に対する式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物の作用の試験
Sco2KO/KIマウスの遺伝性ミトコンドリア病に対する、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩の作用を測定するための試験を行う。
【0553】
抗COI、抗COX5a、抗Ndufa9、抗SDH-HA、及び抗Core2は、Invitrogenから入手する。抗GAPDHはMilliporeから入手する。抗FoxO1及び抗アセチル化FoxO1はそれぞれCell Signaling 及び Santa Cruzから入手する。抗マウス二次抗体は、Amershamから入手する。化学薬品は Sigma から入手する。オリゴヌクレオチドは、PRIMM, Italyから入手する。
【0554】
式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を水に溶解し、50mg/Kg/日の適切な濃度で標準粉末食(Mucedola, Italy)に添加する。式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩、又はビヒクルを含有するペレットを手で復元し、必要になるまで-20℃で凍結保存する。食餌の供給は3日毎に変更され、毎回必要な量のみ解凍され、1ヶ月間自由に与えられる。Sco2KO/KIマウスを、12時間明期/暗期サイクルで、水と食物を自由に与え、温度及び湿度制御された動物飼育施設で維持する。マウスを頚椎脱臼により殺処分する。
【0555】
形態分析
組織化学分析のために、液体窒素で予冷したイソペンタン中で組織を凍結する。厚さ8mmの一連の切片をCOXとSDHについて染色する。
【0556】
MRC複合体の生化学解析
液体窒素中に保存された大腿四頭筋試料を10mMリン酸緩衝液(pH7.4)中でホモジナイズし、cI、cII、cIII、及びcIV、並びにCSの分光光学的活性を上記のように測定する。すべてのパネルで、視覚的明快さのためにcIIの活性が10倍されていることに注意されたい。
【0557】
NAD+測定
NAD+は、それぞれ酸性抽出及びアルカリ性抽出法を用いて抽出される。既に記載されているように、組織NAD+を質量スペクトル法で分析する。
【0558】
<実施例45>
Deletorマウスにおける遺伝性ミトコンドリア病に対する式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物の作用の試験
Deletorマウスの遺伝性ミトコンドリア病に対する、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩の作用を測定するための試験を行う。
【0559】
Deletorマウスモデルは、C57BL/6コ類遺伝子バックグラウンドで作成され、既に性状解析されている(Tyynismaa et al, 2005)。WTマウスは、同じ類遺伝子マウスC57BL/6J株由来の同腹子である。Deletor及びWT雄マウスに、通常の食餌(CD)、又はCDと混合した式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩が、適切な濃度で投与される。食餌ペレットは、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を、実施例43のSco2KO/KIマウスについて記載され-20℃で保存された粉末食に混合することにより、用手的に調製される。マウスを、標準的な動物施設で12時間の暗期/明期サイクル下で飼育する。マウスに、食べ物と水へのアクセスを自由にさせる。発症前群は、12匹のDeletorsマウスと12匹のWTマウスからなり、発症後群は、24匹のDeletorsマウスと24匹のWTマウスの群からなり、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(Ib)、及び式(Ib)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩、又はCD食のいずれかを投与される、介入の間、マウスは、体重、摂食量、及び体力を定期的に追跡される。マウスの運動能力は、食事の開始時と終了時の2回、トレッドミル運動テスト(Exer-6M Treadmill, Columbus Instrument)により測定される。運動テストのプロトコルは、初期走行速度が7m/sで2分毎に2m/sで増加し、マウスが走行不能になるか又は刺激部位のベルトから繰り返し落下するまで続けられる。
【0560】
酸素消費と二酸化炭素産生並びに自発的な運動と摂食活動は、Oxymax 実験室動物モニタリングシステム (CLAMS; Columbus Instruments, OH, USA) により記録される。マウスをCLAMSチャンバー内の個々のケージに3日間保管し;最初の昼と夜は記録されない調整期間であり、続いて熱中性(+30℃)で24時間記録が行われる。O2消費とCO2産生の結果は、呼吸交換率を計算するために使用され、その日の明期(非アクティブ)と暗期(アクティブ)とは別に分析される。
【0561】
形態学的分析
組織切片は、大腿四頭筋、肝臓、及びBATから調製される。試料をOCTコンパウンド包埋剤(Tissue-Tek)で包埋し、液体窒素中で2-メチルブタンで急速凍結する。大腿四頭筋からの凍結切片(12μm)を、インサイチュ組織化学COX及びコハク酸脱水素酵素(SDH)活性について同時にアッセイする。大腿四頭筋切片、COX陰性、及びCOX陰性+SDH陽性、及び正常線維からの活性を計算する。各マウス試料から約2000本の繊維を計数する。酸化的及び非酸化的繊維の両方について大腿四頭筋からのCOX組織化学的活性の強度を、Image J ソフトウェアを用いて測定する。肝臓及びBATからの凍結切片(8μM)をオイルレッドOで染色する。プラスチック包埋の場合、大腿四頭筋、肝臓、及びBAT試料を2.5%グルタルアルデヒドに固定し、1%四酸化オスミウムで処理し、エタノールで脱水し、エポキシ樹脂に包埋する。半薄切片(1μm)をメチルブルー(0.5%w/v)とホウ酸(1%w/v)で染色する。超微細構造解析について関係する領域を、光学顕微鏡断面の検査により選択する。透過型電子顕微鏡観察のために、極薄切片(60~90nm)を格子上で切断し、酢酸ウラニルとクエン酸鉛で染色し、透過型電子顕微鏡で観察する。BATと筋肉の両方のクリスタ含有量は、電子顕微鏡写真から、クリスタに垂直に配置された1μmの「ミトコンドリア内測定スティック」を利用して測定される。骨格筋試料もまた、クエン酸シンターゼ活性について分析される。
【0562】
<実施例46>
腎疾患に対する式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物の作用の試験
C57BL/6J WTマウスの腎疾患に対する、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩の作用を測定するための試験を行う(Wei, Q., et al.. “Mouse model of ischemic acute kidney injury: technical notes and tricks” American Journal of Physiology-Renal Physiology, 303(11), F1487-F1494)。
【0563】
C57BL/6J WTマウスはCharles-Riverから購入する。全てのマウスは、特定の病原体のない施設で、12/12時間の明期-暗期サイクル下で、20~22℃の周囲温度と50±5%の相対湿度で飼育しながら、標準的な市販の食餌を与える。実験マウスは8週齢であり、4つの群に分けられる:対照群(n=5);シスプラチン群(20mg/kg;Sigma Chemical, St Louis, MO;n=5);式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩、及びシスプラチンの群(n=5);式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩のみの群(40mg/kg;n=5)。腎毒性のためのシスプラチン治療の用量と時間は、公表された方法に従って選択される。式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩は、1日1回で4日間経口投与される。シスプラチンは、式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩の最初の投与の12時間後に、1回注射される。1回のシスプラチン注射の72時間後にマウスを殺処分する。
【0564】
腎機能マーカー及び炎症促進性サイトカインのアッセイ
腎機能分析のために、血清を単離し、使用するまで-80℃で保存する。血清クレアチニンとBUNレベルを、製造者(BioVision, Milpitas, CA)の指示に従ってアッセイキットを用いて測定する。更に、血清又は腎組織由来のホモジネートから、炎症促進性サイトカインであるTNF-α、IL-1b、及びIL-6をELISA(Quantikine Kit; R&D Systems, Minneapolis, MN)により製造業者の指示に従って定量する。サイトカインを測定するために、0.05%ツイーン20を含むリン酸緩衝化生理食塩水中で腎組織をホモジナイズする。総タンパク質300mgを含むアリコートを使用する。尿中サイトカインのレベルを分析するための尿を採取するために、代謝ケージを使用する。各群の試料サイズは5である。
【0565】
腎疾患に対する式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物の作用の別の試験
あるいは、C57BL/6J WTマウスに番号を付け、実験の開始前に5~7日間馴化させておく(Wei, Q., et al.. “Mouse model of ischemic acute kidney injury: technical notes and tricks” American Journal of Physiology-Renal Physiology, 303(11), F1487-F1494)。マウスをその体重に基づいて、異なる処理群に無作為化される。異なる群をHarlan食餌2916上で維持する。その後、マウスをそれぞれの食餌で10日間維持した後、両側虚血性腎臓傷害を行う。体重測定は、無作為化時に1回、及び7日目に1回行う。摂食量は7日目に1回評価する。軽度のイソフルラン麻酔下で後眼窩穿刺により血液を採取し、9日目に基礎血液尿素窒素レベル(BUN)の分析に使用する。
【0566】
マウスをケタミン(80mg/kg、腹腔内)及び/又はキシラジン(10mg/kg、腹腔内)で麻酔し、背臥位で手術台上に置く。両方の腎臓を側面切開により露出させ、腎臓茎を血管クランプを用いて25分間閉塞する。次にクランプを外し、手術部位を縫合する。創傷を閉じた後、脱水を防ぐために生理食塩水1mlを腹腔内投与する。偽手術群に同様の外科的処置を行うが、閉塞クランプは適用しない。麻酔から回復するまでマウスをモニターし、ホームケージに戻す。マウスを、全身の臨床的徴候と症状、及び死亡について毎日観察する。
【0567】
死亡の1日前に、マウスを個別に代謝ケージに12時間収容し、尿素、クレアチニン、ナトリウム、及びカリウムの評価のために尿を採取する。
【0568】
12、14、16日目に、軽度のイソフルラン麻酔下で後眼窩穿刺により血液を採取し、血漿を血漿尿素窒素レベル(BUN)及び血清クレアチニンの分析に使用する。次に、マウスをCO2吸入により安楽死させ、臓器を採取する。一方の腎臓を10%中性緩衝化ホルマリンで固定し、他方を液体窒素中で急速冷凍し-80℃で保存し、脂質過酸化、GSH、MPO、及びSODレベルの評価に使用する。
【0569】
組織学的分析及び好中球の計数
マウスの腎臓を4%ホルムアルデヒドで固定し、パラフィンワックスに包埋する。厚さ5mmの切片をキシレン中で脱パラフィンし、段階的濃度のエタノールで再水和する。標準的なプロトコールを用いてH&E及びPAS染色を行う。DPアナライザソフトウェア(DP70-BSW、東京、日本)を備えた光学顕微鏡(IX71、Olympus, Tokyo, Japan)を用いて画像を集め、分析する。PAS染色された腎臓切片の尿細管傷害を光学顕微鏡下で観察し、尿細管皮質壊死の割合に基づいてスコア化する:0=正常、1=1~10%,2=11~25%,3=26~45%,4=46~75%、及び5=76~100%である。スライドは盲検法でスコア化され、結果は1群当たり10個の代表的視野の平均±標準偏差である。近位尿細管刷子縁と円柱形成の消失を示す尿細管壊死の重症度基準を使用して、試料を分類する。各群の試料サイズは10である。好中球の浸潤はPAS染色組織について、高倍率視野(×400)あたりの好中球の数を数えることにより、腎臓の病理学者により定量的に評価される。各スライドの腎髄質の外線条で、少なくとも10の視野が計数される。
【0570】
全ての値は、平均±標準偏差で表される。一元配置分散分析を用いて、全てのアッセイの結果の統計的有意性を計算し、P値<0.05を統計学的に有意とみなす。
【0571】
<実施例47>
虚血/再灌流誘発性急性腎臓傷害に対する式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物の作用の試験
CD-1(ICR)マウスにおける虚血/再灌流誘発(I/R誘発)急性腎臓傷害に対する式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩の作用を測定するための試験を行う。
【0572】
CD-1(ICR)マウスは、Charles River Laboratory (Wilmington, MA)から購入する。マウスは、12時間:12時間の明暗-サイクルを有する温度及び湿度制御環境に収容され、標準的な齧歯類食(TekLad, Madison, WI)及び水道水に自由にアクセスすることができる。
【0573】
マウスを中線後切開に供し、両方の腎臓茎をマイクロ動脈瘤クランプ(00396-01;Fine Science Tools, Foster City, CA)を用いて45分間固定する。クランプを除去した後、腎臓の血流の回復を調べる。マウスを回復させ、再灌流の48時間後に殺処分する。マウスを、100mg/kgの式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩で、強制経口投与により1日1回処理する。CD-1マウスは、4つの群に分けられる:(1)偽傷害を有する若いマウス(n=4)(6~7週齢);(2)I/R傷害を有する若いマウス(n=8);(3)偽傷害を有する成体マウス(n=4)(20~24週齢);(4)I/R傷害を有する成体マウス(n=11)。追加の27匹の成体マウス(20~24週齢)は2つの群に無作為化される:式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(II)、若しくは式(III)の化合物、又はその医薬的に許容し得る塩を投与された13匹のマウスと、対照としてビヒクルを投与された他の14匹のマウス。
【0574】
QuantiChrom クレアチニンアッセイキット (DICT-500, BioAssay Systems, Hayward, CA)を用いて、血清クレアチニンレベルを測定する。BUN測定は、Infinity Urea(窒素)液体安定試薬(R12421; ThermoTrace, Victoria, AU)を用いて記録する。
【0575】
腎組織の評価
腎臓を4%パラホルムアルデヒドで固定し、パラフィンに包埋し、ヘマトキシリンとエオシンで染色する(4mm厚)。尿細管傷害は、壊死、拡張、又は細胞膨張を伴う尿細管の割合に基づいて0~4のスケールでスコア化される:0、5%未満;1、5~25%;2、25~50%;3、50~75%;4、75%超。皮質及び腎髄質のすべての高倍率視野(×400)は、病理学者により盲検法で評価される。
【0576】
全ての値は、平均±標準誤差である。統計解析は、GraphPad Prism 4.00(San Diego, CA)を用いて、2組のデータの対応のないスチューデントt検定と、複数の群のボンフェロニ事後検定による分散分析を用いて行う。P<0.05を有意とみなした。
【0577】
<実施例48>
FoxO1リン酸化レベルに対する化合物1及び17の作用の測定
AML-12細胞を、異なる濃度の化合物1又は化合物17で24時間処理した。次に、プロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤を含む溶解緩衝液(50mMトリス、150mM KCl、EDTA 1mM、NP40 1%)中で細胞を溶解し、SDS-PAGE/ウェスタンブロットにより分析した。ブロッキングと抗体インキュベーションを5%ミルク中で行った。存在する各タンパク質は、その特異抗体で検出した。チューブリン抗体を、Sigma Inc.から入手し、FoxO1及びホスホ-FoxO1(Ser256)抗体はCell Signalingから得た。抗体検出反応は、X線フィルムを用いた増強化学発光(Advansta, CA, USA)により現像させた。
【0578】
Ser256におけるFoxO1リン酸化は、その核外輸送とその転写因子活性の阻害を生じる。化合物1と化合物17の用量の増加によりSer256でのFoxO1リン酸化の減少が観察され(
図6)、これは核移行型FoxO1の増加を示し、従ってFoxO1転写活性の増加を示す。
【0579】
本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、特に別の指定がなければ、本開示が属する当業者により一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書において、文脈上特に別の指定がなければ、単数形には複数形も含まれる。本明細書に記載されているものと類似又は同等の方法及び材料は、本開示の試験の実施において使用することができるが、適切な方法と材料は以下に記載される。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、参照のため明示的に本明細書に組み込まれる。本明細書に引用された参考文献は、特許請求された本開示の先行技術であると認めるものではない。矛盾する場合、定義を含む本明細書が支配する。更に、材料、方法、及び実施例は例示的なものに過ぎず、決して本発明を限定することを意図するものではない。
【0580】
【0581】
Hirose M, et al., “Design and synthesis of novel DFG-out RAF/vascular endothelial growth factor receptor 2 (VEGFR2) inhibitors: 3. Evaluation of 5-amino-linked thiazolo[5,4-d]pyrimidine and thiazolo[5,4-b]pyridine derivatives.” Bioorg. Med. Chem. 2012, 15;20(18):5600-15 を参照されたい。
【化58】
【0582】
Clift MD, Silverman RB., “Synthesis and evaluation of novel aromatic substrates and competitive inhibitors of GABA aminotransferase,” Bioorg. Med. Chem. Lett,. 2008, 15;18(10):3122-5 を参照されたい。
【化59】
【0583】
A. M. El-Reedy, A. O. Ayyad and A. S. Ali, “Azolopyrimidines and pyrimidoquinazolines from 4-chloropyrimidines,” J. Het. Chem. 1989, 26, 313-16 を参照されたい。
【化60】
【0584】
Iwahashi M, et al., “Design and synthesis of new prostaglandin D
2 receptor antagonists,” Bioorg. Med. Chem. 2011, 19(18):5361-71 を参照されたい。
【化61】
【0585】
米国特許出願公開第2008/004,302号(A1);及び米国特許第8,716,470号(B2)を参照されたい。
【0586】
等価物
当業者は、本明細書に記載された特定の実施態様や方法の多くの等価物を認識すできるか、又は日常的な実験を用いて確認することができるであろう。そのような等価物は、本開示の範囲に包含されることが意図される。