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特許7189916喫煙材を加熱する器具に使用するカートリッジ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】喫煙材を加熱する器具に使用するカートリッジ
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/42 20200101AFI20221207BHJP
【FI】
A24F40/42
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020182323
(22)【出願日】2020-10-30
(62)【分割の表示】P 2019142660の分割
【原出願日】2015-12-18
(65)【公開番号】P2021019635
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2020-11-06
(31)【優先権主張番号】1423318.3
(32)【優先日】2014-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100094318
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 行一
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン、ジョー
(72)【発明者】
【氏名】サットン、ジョーゼフ
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-525237(JP,A)
【文献】特表2014-520542(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00 - 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための器具に使用するカートリッジであって、このカートリッジは、
チェンバーを画定するハウジングであって、ハウジングの入り口部分はハウジングの外部からカートリッジのチェンバー内に空気を入れるために多孔性材で作られ、ハウジングの出口部分は、エアロゾル又は揮発した材料がチェンバーからハウジングの外部へと通過させるために第2の多孔性材で作られているハウジングと、
複数の材料の層を有する積層又はサンドイッチ構造の形体の断熱材であって、前記断熱材の複数の材料の層の外側の層は前記ハウジング又はハウジングの一部を形成し、及び前記断熱材の複数の材料の層の1つ以上の他の層は、断熱材の塊を形成する断熱材と、
前記チェンバー内に配置された喫煙材と、
前記チェンバー内に配置された平坦の加熱エレメントであって、複数の層を含む積層構造を含む平坦の加熱エレメントと、を含み、
前記喫煙材が加熱エレメントの上に配置されており、前記加熱エレメントの複数の層は、導電材の層を含み、当該導電材はステンレススチールを含む、カートリッジ。
【請求項2】
喫煙材は加熱エレメントに接着剤によって接着されていることを特徴とする請求項1記載のカートリッジ。
【請求項3】
断熱材は不織材を含むことを特徴とする請求項1記載のカートリッジ。
【請求項4】
導電材の層は矩形ストリップであることを特徴とする請求項1記載のカートリッジ。
【請求項5】
断熱材は、喫煙材とハウジングの間に配置されていることを特徴とする請求項1乃至いずれか1項記載のカートリッジ。
【請求項6】
喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させる器具又はキットであって、前記器具又はキットは接合部を有する集合体と、請求項1乃至いずれか1項記載のカートリッジとを含み、カートリッジは集合体の接合部と協働するためのものであり、及びカートリッジは交換可能である器具又はキット
【請求項7】
カートリッジが集合体の接合部と協働している際に喫煙材を燃焼させずに喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように配置されていることを特徴とする請求項記載の器具又はキット
【請求項8】
集合体は、カートリッジが集合体の接合部と協働した際に電力源から加熱エレメントへの電力の供給を制御するためのコントローラーを含むことを特徴とする請求項または記載の器具又はキット
【請求項9】
集合体はコントローラーを含み、該コントローラーは、カートリッジが集合体の接合部と協働した際に喫煙材を燃焼させずに喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるために喫煙材を加熱させるように加熱エレメントの加熱を制御するように配置されていることを特徴とする請求項乃至いずれか1項記載の器具又はキット
【請求項10】
カートリッジは集合体に対して1つの向きでのみ接合部と協働できることを特徴とする請求項乃至いずれか1項記載の器具又はキット
【請求項11】
集合体は少なくともカートリッジの一部を収容するための凹部を含むことを特徴とする請求項乃至10いずれか1項記載の器具又はキット
【請求項12】
前記凹部はカートリッジの外部断面形状に対応する内部断面形状を有することを特徴とする請求項11記載の器具又はキット
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は喫煙材を加熱するための器具に使用するカートリッジおよび喫煙材を加熱するための器具に関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻きタバコ、シガーなどの喫煙品は使用時にタバコを燃やし、煙を発生させる。これらの物品に代わるものとして燃焼させずに化合物を放出する製品を作製されている。そのような製品の例としては、所謂「非燃焼加熱」製品またはタバコ加熱装置または製品が挙げられ、これらは材料を燃焼させずに加熱することによって化合物を放出する。材料は、例えばタバコまたは他のタバコ製品であってもよく、これはニコチンを含んでも含まなくてもよい。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様では喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための器具に使用するカートリッジが提供され、このカートリッジは、
チェンバーを画定するハウジングと、
チェンバー内に配置された喫煙材と、
喫煙材とハウジングの間に配置された断熱材の塊とを含む。
【0004】
典型的な実施態様では断熱材は喫煙材を取り巻いている。
【0005】
典型的な実施態様では断熱材は喫煙材と接触している。
【0006】
典型的な実施態様では断熱材は喫煙材とハウジングの間の空間を満たしている。
【0007】
典型的な実施態様では喫煙材はタバコを含む。
【0008】
典型的な実施態様では喫煙材は固体状である。
【0009】
典型的な実施態様では喫煙材は加熱エレメントに接着されている。典型的な実施態様では喫煙材は加熱エレメントに接着剤によって接着されている。
【0010】
典型的な実施態様では断熱材はハウジングと接触している。
【0011】
典型的な実施態様では断熱材は、詰め綿、フリース、不織材、不織フリース、織材料、編生材、ナイロン、発泡体、クローズドセル発泡体、ポリスチレン、クローズドセルポリスチレン発泡体、ポリエステル、ポリエステルフィラメント、ポリプロピレン、ポリエステルとポリプロピレンのブレンドからなる群から選択される1つ以上の材料を含む。
【0012】
典型的な実施態様では断熱材は詰め綿またはフリースを含み、約60~約140gsmの密度を有する。典型的な実施態様では断熱材は約80~約120gsmの密度を有する。
【0013】
例示的な実施態様ではカートリッジは非対称な外部断面形状を有する。
【0014】
本発明の第2の態様では喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための器具に使用するカートリッジが提供され、このカートリッジは、
チェンバーを画定するハウジングと、
チェンバーに配置された加熱エレメントと、
加熱エレメントとハウジングの間に位置する断熱材の塊とを含む。
【0015】
典型的な実施態様では断熱材は加熱エレメントを取り巻いている。
【0016】
典型的な実施態様では加熱エレメントは加熱エレメントに電流を通すことによって加熱可能になる。典型的な実施態様ではカートリッジはカートリッジの外部から触れることができる2つの導電性端子を含み、加熱エレメントはこれら導電性端子に電気的に接続されている。
【0017】
典型的な実施態様では喫煙材は加熱エレメントに配され、断熱材は喫煙材とハウジングの間に配置されている。
【0018】
典型的な実施態様では断熱材は喫煙材と接触している。
【0019】
典型的な実施態様では断熱材は喫煙材とハウジングの間の空間を満たしている。
【0020】
典型的な実施態様では喫煙材はタバコを含む。
【0021】
典型的な実施態様では喫煙材は固体状である。
【0022】
典型的な実施態様では喫煙材は加熱エレメントに接着されている。典型的な実施態様では喫煙材は加熱エレメントに接着剤によって接着されている。
【0023】
典型的な実施態様では断熱材はハウジングと接触している。
【0024】
典型的な実施態様では断熱材は、詰め綿、フリース、不織材、不織フリース、織材料、編生材、ナイロン、発泡体、クローズドセル発泡体、ポリスチレン、クローズドセルポリスチレン発泡体、ポリエステル、ポリエステルフィラメント、ポリプロピレン、ポリエステルとポリプロピレンのブレンドからなる群から選択される1つ以上の材料を含む。
【0025】
典型的な実施態様では断熱材は詰め綿またはフリースを含み、約60~約140gsmの密度を有する。典型的な実施態様では断熱材は約80~約120gsmの密度を有する。
【0026】
典型的な実施態様ではカートリッジは非対称な外部断面形状を有する。
【0027】
本発明の第3の態様では喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させる器具が提供され、この器具は接合部を有する集合体と本発明の第1または第2の態様によるカートリッジとを含み、カートリッジは集合体の接合部と協働するためのものである。
【0028】
典型的な実施態様では本発明の器具は、カートリッジが集合体の接合部と協働している際に喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を喫煙材を燃焼させずに揮発させるように構成されている。
【0029】
典型的な実施態様では集合体は、カートリッジが集合体の接合部と協働した際に電力源から加熱エレメントへの電力の供給を制御するためのコントローラーを含む。
【0030】
典型的な実施態様では集合体は、カートリッジが集合体の協働した際に、喫煙材を燃焼させずに喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させる加熱エレメントの加熱を制御するために配置されたコントローラーを含む。
【0031】
典型的な実施態様ではカートリッジは集合体に対して1つの向きでのみ接合部と協働できる。
【0032】
典型的な実施態様では集合体は少なくともカートリッジの一部を収容するための凹部を含む。典型的な実施態様では凹部はカートリッジの外部断面形状に対応する内部断面形状を有する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
添付図面を参照して本発明の実施態様をあくまで例示を目的として説明する。
図1】喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるために喫煙材を加熱するための器具の一例の斜視図である。
図2図1の器具の略式端面図である。
図3】器具の残りから外された際の図1の器具のマウスピースの斜視図である。
図4図3のマウスピースの断面図である。
図5】器具の残りから外された際の図1の器具の第1ケーシング部の斜視図である。
図6図5の第1ケーシング部の略式断面図である。
図7】器具の残りから外された際の図1の器具の第2ケーシング部の斜視図である。
図8】取り外された第2ケーシング部のコンパートメントを画定する第2ケーシング部のシェルを有する図7の第2ケーシング部の別の略式斜視図である。
図9図8の第2ケーシング部の一部の略式断面斜視図である。
図10】弾性部材の周囲の図8および9の第2ケーシング部の第2導電体を分離して示した斜視図である。
図11図1および2の器具の一部の略式断面斜視図である。
図12図1および2の器具の一部の略式断面図である。
図13図1および2の器具のいくつかの部分を取り除いて第2および第3のピンを露出させた器具の一部の略式斜視図である。
図14図1の器具のカートリッジを分離して示した斜視図である。
図15図14のカートリッジの略式断面図である。
図16図1および2の器具の一部の別の略式断面斜視図であり、それを通る全流路が示されている。
図17図15のカートリッジの加熱装置の一部を略式に示した接近断面図である。
図18】カートリッジの略式断面図である。
図19】カートリッジの略式断面図である。
図20】カートリッジの略式断面図である。
図21】カートリッジの略式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本明細書中で使用する「喫煙材」成る用語は、加熱すると揮発成分を、典型的にはエアロゾルの形体で供する材料を含む。「喫煙材」は非タバコ含有材またはタバコ含有材であってもよい。「喫煙材」は、例えばタバコ自体、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、タバコ抽出物、均質化タバコまたはタバコ代替え品の内の1つ以上を含んでもよい。喫煙材は、挽いたタバコ、刻みラグタバコ、押し出しタバコ、ゲルまたは塊の形体であってもよい。「喫煙材」は製品によってニコチンを含むまたは含まない他の非タバコ製品を含んでもよい。
【0035】
本明細書中で使用する「多糖類」は、グリコシド結合によって結びつけられた単糖単位の長鎖で構成された高分子炭水化物分子およびそのような化合物の塩および誘導体を包含する。好適にはそのような化合物の誘導体は、単糖単位にエステル、エーテル、酸、アミン、アミド、尿素、チオエーテル、チオエステル、チオカルボン酸またはチオアミド側基を有してもよい。多糖類の例としてはセルロースおよびセルロース誘導体およびアルギン酸およびその塩などが挙げられる。一部の実施態様では多糖類は、喫煙材を加熱エレメントに付着させてもよい。他の実施態様では接着剤は多糖類を接着促進剤として含んでもよい。
【0036】
本明細書中で使用する「セルロース誘導体」とはセルロースのヒドロキシル基が部分的にまたは完全に種々の基で置換されている化合物である。セルロース誘導体としてはセルロースエステルおよびエーテルが挙げられる。一部の実施態様ではセルロース誘導体は、アルキル、ヒドロキシアルキルおよびカルボキシアルキルエーテルを含むセルロースエーテルを含んでもよい。一部の実施態様ではセルロース誘導体は、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシエチルエチルセルロースなどのヒドロキシアルキルセルロースであってもよい。セルロース誘導体は、一部の場合においてヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシエチルエチルセルロースから選択される。セルロース誘導体は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むまたは実質的にヒドロキシプロピルメチルセルロースからなってもよい。
【0037】
本明細書中で使用する「ポリイミド」とはイミドモノマーを含むまたはイミドモノマーで実質的に形成されるあらゆるポリマーを意味し、飽和でも不飽和であってもよい。
【0038】
本明細書中で使用する「ポリエステル」は、その主鎖にエステル官能基を含むポリマーを意味する。これらは多官能性アルコールと酸のエステル化縮合によって形成してもよい。一部の場合においてはエステル官能基は、繰り返し単位の約半分または繰り返し単位の大半または実質的に全てに存在する。ポリエステルは、飽和または不飽和の脂肪族、半芳香族または芳香族であってもよく、共重合体または単独重合体であってもよい。ポリエステルは疎水性であってもよい。
【0039】
本明細書中で使用する「風味」および「風味剤」なる用語は各地の条例で許可されており、成人消費者が望む味や香りを製品に加えるのに用いることができる材料を指す。このような材料としては、抽出物(例えば、ユーカリ、カンゾウ、アジサイ、ホオノキの葉、カミツレ、フェヌグリーク、クローブ、メントール、ニホンハッカ、アニシード、シナモン、ハーブ、ヒメコウジ、サクランボ、ベリー、モモ、リンゴ、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウイスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、サンダルウッド、ベルガモット、ゼラニウム、ハチミツエキス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、カシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイランノキ、セージ、ウイキョウ、ピメント、ショウガ、アニス、コリアンダー、コーヒー、ハッカ属のいずれかの種からのハッカ油など)、調味料、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容器部位活性化剤または刺激剤、糖及び/または糖置換体(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、サイクラミン酸塩、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、マンニトールなど)や、木炭、クロロフィル、鉱物、植物息消臭剤などのその他の添加剤などが挙げられる。これら材料は模造品、合成または天然成分であってもよく、またはこれらのブレンドであってもよい。これら材料は、例えば油、液体、粉末などの任意の好適な形態であってもよい。
【0040】
図1および2を参照すると、喫煙材を加熱して、喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための器具1の例の斜視図および略式断面図が示されている。器具1は喫煙材を加熱して、喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させて、典型的には喫煙材を燃焼または燃やさずに吸引可能なエアロゾルを形成するように構成されている。器具1は第1ケーシング部10と、第2ケーシング部20と、マウスピース30と、カートリッジ40とを含む。第1および第2ケーシング部10、20の組み合わせは器具1のケーシングを構成する。第1および第2ケーシング部10、20およびマウスピース30の組み合わせは、カートリッジ40が協働できる接合部(以下に述べる)を有する集合体を構成する。これら部材それぞれについて順に説明していく。
【0041】
第1ケーシング部10は第2ケーシング部20とマウスピース30との間に位置する。第1および第2ケーシング部10、20およびマウスピース30のそれぞれは、器具1全体の外方ケーシングの各対応する部分を画定する。従って、器具1の外観は第1および第2ケーシング部10、20とマウスピース30の組み合わせによって画定される。
【0042】
図1、5および6を参照すると、第1ケーシング部10はほぼ管状で長尺であり、第1および第2の対向する長手方向端部11、12を有し、カートリッジ40と協働するための接合部を画定する。この実施態様では接合部はカートリッジ40を受ける凹部13を含む。他の実施態様では接合部は棚、面または突起などの異なる形状を取ることができ、任意にカートリッジ40と協働するためにカートリッジ40と機械的に対になる必要がある。第1ケーシング部10の第2長手方向端部12は、凹部13内に開口する開口部14を画定する。開口部14は、カートリッジ40が開口部を通って移動でき、以下に詳しく説明するようにユーザーがカートリッジ40を凹部13内に挿入でき、および/またはカートリッジ40を凹部13から取り除けるような形状、大きさになっている。第1ケーシング部10の第1長手方向端部11は、以下に詳しく説明するように第2ケーシング部20の第2コネクター25と解除可能に係合可能な第1コネクター15を含む。
【0043】
図1、2、7および8を参照すると、第2ケーシング部20はほぼ管状で長尺であり、第1および第2の対向する長手方向端部21、22を有し、コンパートメント23を画定する。複数の第1電気部品がコンパートメント23に含まれる。この実施態様の第1電気部品は、充電式バッテリーの形体の電力源24、印刷回路板(PCB)26およびユニバーサル・シリアル・バス(USB)充電インターフェース27を含む。他の実施態様では電力源24は、充電式バッテリー以外の非充電式バッテリーまたはコンデンサであってもよい。充電インターフェース27は第2ケーシング部20の第1長手方向端部21の器具1の外部で触れることができる。充電回路と電圧レギュレーター26bがPCB26に設けられている。充電回路と充電インターフェース27の組み合わせは器具1の充電構造を構成する。充電回路はバッテリー24の正負端子24a、24bに電気的に接続される。バッテリー24は充電構造を充電インターフェース27を使用して電力の外部供給源(図示せず)に接続することによって充電可能である。充電回路はバッテリー24の過充電を妨げるための過充電防止器を含む。例示した実施態様の変形例では充電インターフェース27はUSB標準によって決められるもの以外の形体を取ってもよく、および/または器具1の第2ケーシング部20または他の部分のどこかに配置してもよい。一部の実施態様では充電構造を省略してもよい。
【0044】
図7を参照すると第2ケーシング部20の第2長手方向端部22は第1ケーシング部10の第1コネクター15と係合可能な第2コネクター25を含む。この実施態様では第1コネクター15は、第2ケーシング部20を第1ケーシング部10に接続するために第2コネクター25と係合可能である。他の実施態様では第1コネクター15と第2コネクター25の係合が第2ケーシング部20を第1ケーシング部10に接続せず、第1ケーシング部10と第2ケーシング部20を部分的に分離または開口しやすくする役割を果たすように第1および第2ケーシング部10、20をヒンジまたは可撓性部材で永久的に接続してもよい。この実施態様では第1コネクター15は、第2ケーシング部20を第1ケーシング部10に取り外し可能に接続するために第2コネクター25と解除可能に係合可能である。従って、第2ケーシング部20に収容された充電式バッテリー24が消耗したら、ユーザーはその第2ケーシング部20を消耗していない電気源24を収容する別の第2ケーシング部20と交換することができる。ユーザーは、従って例えば最初の使い切った充電式バッテリー24を充電している間も器具1を使い続けることができる。他の実施態様では第1コネクター15は、第1および第2コネクター15、25が互いに接続されたら第2コネクター25から外せなくてもよい。このような他の実施態様では第2ケーシング部20は、第1および第2コネクター15、25の係合によって第1ケーシング部10に永久的に接続される。
【0045】
図5~8を参照すると、この実施態様では第1および第2コネクター15、25は、それぞれ雄雌コネクター15、25であり、それぞれ協働可能な雄雌ねじ山15a、25aを含む。一部の実施態様では第1および第2コネクター15、25は、それぞれ雄雌コネクター15、25であり、それぞれ協働可能な雄雌ねじ山を含む。さらに別の実施態様では第1および第2コネクター15、25は、共に差込みカップリングを画定するピンとスロット、共にスナップ嵌め接続を画定する突起と穴、プラグとソケットなどのねじ山以外の協働可能な構造を含んでもよい。
【0046】
この実施態様では第1および第2コネクター15、25は導電性であり、これにより第1および第2コネクター15、25が係合すると、以下で詳しく説明するように電流が第2コネクター25から第1コネクター15へと伝えることができる。この実施態様では第1および第2コネクター15、25はそれぞれ銅またはステンレススチールなどの金属または金属合金から作製される。他の実施態様では第1および第2コネクター15、25の一方または両方は異なる導電性材で作製してもよい。
【0047】
図7を参照するとこの実施態様では第2のねじ山25aはその円周方向に間隔を空けて配された4つのノッチ25nを有することが分かる。他の実施態様では第2のねじ山25aを通るノッチ25nはそれより多くても少なくてもよい。この実施態様ではノッチ25nのそれぞれは第2のねじ山25aを通って直線的かつ半径方向に延びている。他の実施態様では1つ以上のノッチ25nは第2のねじ山25aを通って半径方向に非直線的にまたは第2のねじ山25aを通って直線的に非半径方向にまたは第2のねじ山25aを通って非直線状に非半径方向に延びてもよい。この実施態様ではノッチ25nは第2のねじ山25aのみに設けられている。他の実施態様では第1のねじ山15aに追加でまたは別に1つ以上のノッチがあってもよい。一部の実施態様では第1および第2コネクター15、25は、第1コネクター15が第2コネクター25と完全に係合すると、第2のねじ山25aに設けられた1つ以上のノッチと第1のねじ山15aに設けられた1つ以上のノッチが整列するように配置されてもよい。
【0048】
図11に最も分かりやすく示すように第1コネクター15が第2コネクター25と完全に係合すると、第1および第2コネクター15、25は協働して器具1内に、より具体的には器具1の外部から第1ケーシング部10の凹部13内に空気を入れるための4つの入り口60を第1および第2コネクター15、25の間に画定している。第1コネクター15が第2コネクター25と完全に係合すると、入り口60は器具1の外面で第1および第2コネクター15、25間に残る環状の隙間62を介して器具1の外部を流体連通する。第1コネクター15が第2コネクター25とそれ以上係合させられないとき、第1コネクター15は第2コネクター25と完全に係合する。この実施態様ではこの完全な係合は、第1コネクター15が第2コネクター25内にそれ以上移動できないときに生じる。これは例えば第1コネクター15の第1のねじ山15aの先行縁部が第2コネクター25の第2のねじ山25aの端部に到達したからでも、または第1および第2コネクター15、25のそれぞれのストッパーが第1および第2コネクター15、25の係合時に互いに接触するからであってもよい。他の実施態様では第1および第2コネクター15、25が完全に係合するポイントを画定するための他の機構を設けてもよい。この実施態様では第1および第2コネクター15、25は入り口60それぞれの断面積を変えるために相対的に移動可能であり、第1および第2コネクター15、25の係合を維持しながら入り口60を通る空気の流れを調整する。この実施態様では第1および第2コネクター15、25の係合の度合いは、第1および第2コネクター15、25の一方を他方に対して回転させることによって変えることが可能である。これは入り口60それぞれの断面積を変えるために第1および第2コネクター15、25間の入り口60の軸方向の寸法を対応させて変える効果を有する。この実施態様では入り口60それぞれはノッチ25nの対応する1つおよび第1コネクター15の対応する隣接部分によって画定される。これより多いまたは少ないノッチが設けられている他の実施態様ではそれぞれに対応してこれより多いまたは少ない入り口が設けられる。
【0049】
この実施態様では第2ケーシング部20に設けられたコンパートメント23および従ってその中の第1電気部品のそれぞれは各入り口60から第2コネクター25の材料、第2および第3導電体282、283を含むボード(以下に説明し、図9および10に示す)および第2コネクター25とボードの間で第2コネクター25内に入れ子にされるプラグ25bによって分離される。これは第1電気部品の性能に負の影響を与え得る、器具1の操作中に1つ以上の入り口60を介して器具1内に引き込まれるかもしれない埃または他の異物と第1電気部品が接触するのを妨げる。しかしながら、他の実施態様ではコンパートメント23および/または電力源24および/またはPCB26(設けられている場合)および/または充電インターフェース27(設けられている場合)は、これら入り口の1つ以上または全てに流体接続されてもよい。
【0050】
この実施態様では第1および第2ケーシング部10、20は、それぞれ以下に説明するようにカートリッジ40に給電するための電力源24から第1ケーシング部10へ電力を供給するための電気接続部を含む。より具体的には好ましい実施態様では第2ケーシング部20は、バッテリー24の負端子24bから第2コネクター25の第2のねじ山25aへと延び、電圧レギュレーター26bを迂回する第1導電体281(図8に最も分かりやすく示されている)と、バッテリー24の正端子24aからPCB26上の電圧レギュレーター26bへと延びた第2導電体282(図9および10に最も分かりやすく示されている)と、電圧レギュレーター26bから端子283aへと延びた第3導電体283(図9および10に最も分かりやすく示されている)とを含む。第3導電体283は、第2導電体282から電気的に絶縁されるように電気絶縁体284によって第2導電体282から離隔されている。端子283aは、第2ケーシング部20の第2長手方向端部22で第2ケーシング部20の長手方向軸の中央に配置される。端子283aはプラグ25bの穴25cを介して接触可能である。この実施態様では端子283aは、第2ケーシング部20の正端子であり、第2コネクター25の第2のねじ山25aは第2ケーシング部20の負端子である。
【0051】
第2導電体282の一部はバッテリー24の正端子24aと接触している。第3導電体283の一部は端子283aを含む。第2および第3導電体282、283のこれらの部分は弾性部材29に包まれている。弾性部材29は、第1の方向に第2導電体282を付勢してバッテリー24の正端子24aと接触させる。これは第2導電体282とバッテリー24の正端子24a間の電気的接触を良好に維持するのに役立つ。弾性部材29はまた第2および第3導電体282、283を第2の方向に付勢してプラグ25bと接触させる。これは第2および第3導電体282、283とプラグ25b間を封止し、これによりコンパートメント23を入り口60から分離するのに役立つ。バッテリー24の正端子24aを上述したように充電回路およびPCB26の電圧レギュレーター26bに電気的に接続するために第2導電体282はバッテリー24の正端子24aから弾性部材29の周囲を第2ケーシング部20の長手方向の長さの大半に沿ってPCB26へと延びている。第3導電体283は電圧レギュレーター26bから第2ケーシング部20の長手方向の長さの大半に沿って端子283aへと延びている。
【0052】
この実施態様では第1、第2および第3導電体281、282、283のそれぞれは銅またはステンレススチールなどの金属または金属合金から作製されるが、他の実施態様では第1、第2および第3導電体281、282、283の1つ以上は異なる導電性材で作製してもよい。
【0053】
本実施態様において電力源24から電力を第1ケーシング部10へ供給するための第1および第2ケーシング部10、20それぞれの電気接続をさらに図11~13に例示する。第1コネクター15の第1のねじ山15aは、この実施態様では第1ケーシング部10の負端子であり、第1コネクター15が完全に第2コネクター25に係合すると負端子、即ち第2ケーシング部20の第2コネクター25の第2のねじ山に電気的に接続される。プレート16が第1コネクター15に取り付けられている。プレート16は第1ケーシング部10の長手方向軸と一致する中央軸を中心に円形である。プレート16は第1ケーシング部10の第1長手方向端部11と第1ケーシング部10の凹部13の間で第1ケーシング部10内にある。5つの穴16a~16eがプレート16に設けられている。これらの穴の第1の穴16aは第1ケーシング部10の長手方向軸上に中央に配置されている。第1の穴16a内にはプレート16から離れるように第1ケーシング部10の第1長手方向端部11の方へと突出した第1ピン17aがある。第1ピン17aは導電性であり、銅またはステンレススチールなどの金属または金属合金から作製されてもよい。第1ピン17aは第1ケーシング部10の正端子である。第1コネクター15が図11に最も分かりやすく示すように第2コネクター25と完全に係合すると、第1ピン17aがプラグ25bの穴25c内に位置し、正端子、即ち第2ケーシング部20の端子283aと面接触する。
【0054】
図12を参照するとプレート16を通る穴の内の第2および第3の穴16b、16c内にはピン17aとは反対の方向にプレート16から離れるように凹部13内に突出した第2および第3のピン17b、17cがある。第2および第3のピン17b、17cそれぞれは導電性であり、銅またはステンレススチールなどの金属または金属合金から作製されてもよい。本明細書中では第2ピン17bは「第1導電性端子」と言い、第3ピン17cを「第2導電性端子」と言う。さらに第1ピン17aは「第3導電性端子」と言い、第2ケーシング部20の端子283aは「第4導電性端子」と言い、第1コネクター15の第1のねじ山15aは「第5導電性端子」と言い、第2コネクター25の第2のねじ山25aは「第6導電性端子」と言う。接触面がカートリッジ40と協働すると、(即ちカートリッジ40が凹部13内に完全に配置されると)、第1コネクター15が第2コネクター25と完全に係合した際に第1および第2導電性端子17b、17cはカートリッジ40に電力を供給する。
【0055】
この実施態様では第2導電性端子17cは第1ケーシング部10に収容されたコントローラー50を介して第5導電性端子15aに電気的に接続される。さらにこの実施態様では第1導電性端子17bはコントローラー50を介して第3導電性端子17aに電気的に接続される。この実施態様ではコントローラー50は集積回路(IC)を含む。他の実施態様ではコントローラー50は他の形体を取ってもよい。コントローラー50は、カートリッジ40が以下により詳しく説明するように凹部13内に完全に配置された際にカートリッジ40の加熱エレメント410への電力の供給を制御するためのものである。第1コネクター15が第2コネクター25と完全に係合すると、第3導電性端子17aは第4導電性端子283aと面接触し、第5導電性端子15aは第6導電性端子25aと面接触する。即ち、第1ケーシング部10は第2ケーシング部20に接続され、第3および第5導電性端子17a、15は、それぞれ第4および第6導電性端子283a、25aと面接触する。
【0056】
その結果、第1コネクター15が第2コネクター25と完全に係合すると、電力源24の正端子24aが電圧レギュレーター26bを介して電気的にコントローラー50に接続され、電力源24の負端子24bは電圧レギュレーター26bを持たない導電性経路によってコントローラー50に電気的に接続される。第1および第2のねじ山15a、25aはそれぞれ器具1のケーシングの一部であるので、導電性経路はケーシングの一部を含む。
【0057】
この実施態様ではコントローラー50は、第1ケーシング部10、より具体的には凹部13の半径方向外方で第1ケーシング部10の第1および第2長手方向端部11、12の間に配置される。コントローラー50は、この実施態様ではアクチュエーター18のユーザーの作動によって操作される。アクチュエーター18はコントローラー50と凹部13の半径方向外方の第1ケーシング部10の外部に配置され、押しボタンの形体を取る。他の実施態様ではトグルスイッチ、ダイアルなどの異なる形体のアクチュエーター18を設けてもよい。この実施態様ではコントローラー50はプレート16と凹部を画定する第1ケーシング部10の一部によって各入り口60から隔てられている。他の実施態様では第1ケーシング部10に位置する追加または別の電気部品が入り口60から隔てられている。これはこれら電気部品の性能に負の影響を与え得る、器具1の操作中に1つ以上の入り口60を介して器具1内に引き込まれるかもしれない埃または他の異物と第1ケーシング部10内の電気部品が接触するのを妨げる。しかしながら、他の実施態様ではコントローラー50および/または第1ケーシング部10の他の電気部品は入り口60の1つ以上に流体接続されてもよい。
【0058】
他の実施態様ではコントローラー50は第1ケーシング部10のプレート16または第2ケーシング部20に設けてもよい。コントローラー50はPCBまたは他の構造体に設けてもよい。コントローラー50が第2ケーシング部20に含まれる実施態様では、電力源24の正負端子24a、24bの一方は電圧レギュレーター26bを介してコントローラー50に電気的に接続されてもよく、電力源24の正負端子24a、24bの他方は電圧レギュレーター26bを持たない導電性経路によってコントローラー50に電気的に接続される。
【0059】
この実施態様では第1、第3および第4導電性端子17b、17a、283aが電力源24の正端子24aに電気的に接続され、第2、第5および第6導電性端子17c、15a、25aは、第1コネクター15が第2コネクター25と係合すると電力源24の負端子24bに電気的に接続される。一部の実施態様ではバッテリー24の端子24a、24bの極性は逆にしてもよい。
【0060】
電力源24の正負端子24a、24bの一方が電圧レギュレーター26bを介してコントローラーに電気的に接続され、電力源24の正負端子24a、24bの他方が電圧レギュレーター26bを持たない導電性経路によってコントローラー50に電気的に接続されることで器具1の製造を簡単にすることに役立つ。電圧レギュレーター26bへの接続を少なくすることが必要とされる場合があり、導電性経路を器具1の電圧レギュレーター26bの位置に関係なく設けることができる。このことは器具1を設計する際にその設計者に多くの設計上の自由度を与えることにもなる。
【0061】
この実施態様の器具1のマウスピース30について特に図3および4を参照してここで詳しく説明する。マウスピース30はほぼ管状で長尺であり、第1および第2の対向する長手方向端部31、32を有する。マウスピース30の第1長手方向端部31は器具1の第1長手方向端部であり、第2ケーシング部20の第1長手方向端部21は器具1の第2長手方向端部である。マウスピース30の第2長手方向端部32は、第1ケーシング部10の第2長手方向端部12で第1ケーシング部10の第2コネクター19と係合可能なコネクター33を含む。
【0062】
この実施態様ではマウスピース30のコネクター33は、マウスピース30を第1ケーシング部10に接続するために第1ケーシング部10の第2コネクター19と係合可能である。他の実施態様ではマウスピース30と第1ケーシング部10は、ヒンジまたは他の可撓性部材などによって永久的に接続して、マウスピース30のコネクター33の第1ケーシング部10の第2コネクター19との係合がマウスピース30を第1ケーシング部10へ接続するためのものにならないようにしてもよい。この実施態様ではマウスピース30のコネクター33は、マウスピース30を第1ケーシング部10に取り外し自在に接続するために第1ケーシング部10の第2コネクター19と解除可能に係合可能である。他の実施態様ではマウスピース30のコネクター33は第1ケーシング部10の第2コネクター19に一度接続されたら外せなくなってもよい。このような実施態様ではマウスピース30は、マウスピース30のコネクター33を第1ケーシング部10の第2コネクター19に係合した際に第1ケーシング部に永久的に接続されてもよい。
【0063】
この実施態様ではマウスピース30のコネクター33と第1ケーシング部10の第2コネクター19は、それぞれ2つの突起とこれに対応する2つの穴または凹部を含む。これら突起と凹部は共にマウスピース30を第1ケーシング部10に接続するための嵌め接続を画定する。他の実施態様ではマウスピース30のコネクター33および第1ケーシング部の第2コネクター19は、協働可能なねじ山、差込みカップリング、プラグおよびソケットなどの他の形体の協働可能な構造体を含んでもよい。
【0064】
マウスピース30は、マウスピース30の第2長手方向端部32で入り口34と、マウスピース30の第1長手方向端部31で出口35と、入り口34を出口35に流体接続する流路36とを含む。この実施態様では流路36はマウスピース30の長手方向軸に沿って実質的に直線状に延びている。他の実施態様では流路36はマウスピース30のどこに配置してもよく、実質的に直線状の形状以外の形状であってもよい。マウスピース30は入り口34を囲む封止部37も含む。この実施態様では封止部37は入り口34を画定するが、他の実施態様では入り口34は別の部材によって画定されてもよく、封止部37は他の部材を囲んでもよい。この実施態様では封止部37は可撓性および弾性であるが、他の実施態様では封止部37は硬く、硬質であり、非可撓性であってもよい。さらにこの実施態様では封止部37はマウスピース30の残りの部分に貼り付けられるOリングを含むが、他の実施態様では封止部37は他の形体を取ってもよく、円形でさえなくてもよい。例えば一部の実施態様では封止部37はマウスピース30の残りの部分と共成形されてもよい。一部のこのような実施態様では封止部37は弾性であるが、マウスピース30の他の部分はそれより小さい弾性または可撓性を有する。
【0065】
一部の実施態様ではマウスピース30は風味剤を含んでもよい、または風味剤と一体化されてもよい。風味剤は、使用時にエアロゾルがマウスピース30の流路36を通過する際に熱いエアロゾルによって拾われように配置してもよい。
【0066】
マウスピース30は、凹部13内への開口部14を覆うために第1ケーシング部10に対して配置可能である。より具体的にはこの実施態様ではマウスピース30は、器具1の外部で出口35および凹部13に向いた封止部37で開口部14を覆う溜めに第1ケーシング部10に対して配置可能である。マウスピース30が第1ケーシング部10に対してそのように配置されている場合、封止部37はカートリッジ40が使用時にカートリッジ40に対してマウスピース30の入り口31を封止するために凹部内にあるときにカートリッジ40と接触するためのものである。この実施態様ではマウスピース30を第1ケーシング部10に対してそのように配置し、カートリッジ40が凹部13にあるとき、封止部37は流路36とカートリッジ40の間で圧縮される。これによりカートリッジ40を凹部13内に押し、次にカートリッジ40の第7および第8導電性端子47a、47b(以下に説明する)が確実に第1および第2導電性端子17b、17cとそれぞれと確実に面接触する。
【0067】
器具1のこの実施態様のカートリッジ40について特に図14、15および17を参照してここで詳しく説明する。この実施態様ではカートリッジ40はチェンバー44を画定するハウジング43を含む。加熱装置400はチェンバー44内に配置される。他の実施態様ではハウジング43は省略してもよく、あるいは図示したものとは異なる形体を取ってもよい。一部の実施態様では加熱装置はカートリッジを含まない器具に含まれてもよい。以下により詳しく説明するようにこの実施態様では加熱装置400は加熱エレメント410を含み、これはそれに配置された喫煙材420を有する。加熱エレメント410は喫煙材420を加熱するためのものであり、喫煙材が配置される支持体である。加熱装置は喫煙材420を加熱して喫煙材420の少なくとも1つの成分を揮発させて揮発した材料を作り出すために配置されている。典型的にはこの揮発はエアロゾルを形成する。エアロゾルはマウスピース30の流路36を介して器具1のユーザーによって吸引可能である。器具1の操作については以下に詳しく説明する。
【0068】
この実施態様ではハウジング43は、チェンバー44を画定するために協働する第1および第2ハウジング部43a、43bを含む。加熱装置400は第1ハウジング部43aからチェンバー44内にそして第2ハウジング部43の方へと延び、それを通って延びている。第1および第2ハウジング43a、43bは、それぞれカートリッジ40の第1および第2長手方向端部41、42を画定する。他の実施態様ではカートリッジ40の第1および第2長手方向端部41、42は、両方とも1つのハウジング部、即ち1つの部材によって画定してもよい。この実施態様では第1ハウジング部43aは第2ハウジング部43bと単一構造をなさず、第2ハウジング部43bに取り付けられる。この実施態様ではこの取り付けは第1および第2ハウジング部43a、43b間のスナップ嵌め接続によって行われるが、他の実施態様では取り付けは他の機構を介して行ってもよい。この実施態様ではハウジング43の全ては非孔性材料で作製される。従って、空気はハウジング43自体の材料を通過できない。しかしながら、そのように取り付けられた第1および第2ハウジング部43a、43bによって第1および第2ハウジング部43a、43bは協働し、第1および第2ハウジング部43a、43bの間に穴45の形状の空気流経路45を画定する。空気流経路45はハウジング43を通って延び、ハウジング43の外部からカートリッジ40のチェンバー44内に空気を入れるためのものである。
【0069】
他の実施態様では空気流経路45はハウジング43の部品を介して形成された穴のように異なって画定されてもよい。一部の実施態様ではハウジング43はチェンバー44を画定するおよび/または空気流経路45を画定する上記より多いまたは少ないハウジング部からなってもよい。図に示したもの以外の実施態様ではハウジング43の一部または全てはハウジング43の外部からカートリッジ40のチェンバー44内に空気を入れるために多孔性材料で作製されてもよい。即ち、空気はハウジングの材料を通る穴または第1および第2ハウジング部43a、43bの間の隙間がある必要無しにハウジング43の材料自体を通過することができてもよい。従って、多孔性材自体がハウジング43の外部からカートリッジ40のチェンバー44内に空気を入れるためにハウジング43を介して延びる1つ以上の空気流経路を供する。一部の実施態様ではハウジング43の第1部分はハウジング43の外部からカートリッジ40のチェンバー44内に空気を入れるために多孔性材で作製してもよく、ハウジング43の第2部分は非孔性材で作製してもよい。一部の実施態様ではハウジング43の第1部分および/または第2部分はハウジング43の外部からチェンバー44内に空気を入れるためにハウジング43を通って延びる1つ以上の穴を有してもよい。
【0070】
この実施態様ではハウジング43の全てが非孔性材で作製されるので、ハウジング43内で発生するエアロゾルまたは揮発した材料は、ハウジング43の材料自体を通過することができない。しかしながら、ハウジング43はそれを通過して延び、揮発した材料をチェンバー44からハウジング43を出るように通過させるための複数の揮発した材料の流れの経路を有する。この実施態様では揮発した材料の流れの経路は、ハウジングを通って延びた複数の開口部46を含む。この実施態様では開口部46は、第2ハウジング部43bを通って延びている。図2および16に示すようにこの実施態様では、開口部14を覆うためにマウスピース30が第1ケーシング部10に対して配置すると、封止部37はハウジング43の外部で開口部46を囲み、開口部46はマウスピース30の入り口34を介して流路36に流体接続される。この実施態様では開口部46はカートリッジ40の第2長手方向端部42にある。第2長手方向端部42は組み立てられた器具1においてマウスピースにカートリッジ40の第1長手方向端部41より近くにある。一部の実施態様ではハウジング43はそれを通過して延び、揮発した材料をチェンバー44からハウジング43を出るように通過させるための揮発した材料の流れの経路1つだけ有してもよい。例えば一部の実施態様では複数の開口部46に代わりに単独の開口部だけ設けてもよい。
【0071】
図に示したもの以外の実施態様ではハウジング43の一部または全ては、エアロゾルまたは揮発した材料をチェンバー44からハウジング43から出るように通過させるために多孔性材で作製してもよい。即ち、エアロゾルまたは揮発した材料はハウジングの材料を通る1つ以上の開口部を設ける必要性無しにハウジング43の材料自体を通過することができてもよい。従って、多孔性材自体がハウジング43を通過して延び、揮発した材料をチェンバー44からハウジング43を出るように通過させるための1つ以上の揮発した材料の流れの経路を供する。一部の実施態様ではハウジング43の第1部分は非孔性材で作製され、ハウジング43の第2部分は揮発した材料をチェンバー44からハウジング43を出るように通過させるための多孔性材で作製される。ハウジング43の第2部分は、例えばハウジング43の第1部分と共成形されたプレートを含んでもよい。一部のこのような実施態様ではハウジング43の第1部分および/または第2部分は、ハウジング43を通過して延び、さらに揮発した材料をチェンバー44からハウジング43を出るように通過させるための1つ以上の開口部46を有してもよい。一部の実施態様ではハウジング43の入り口部分はハウジング43の外部からカートリッジ40のチェンバー44内に空気を入れるために多孔性材で作製してもよく、ハウジング43の出口部分は揮発した材料をチェンバー44からハウジング43の外部へと通過させるために多孔性材で作製してもよい。入り口および出口は同じまたは異なる孔隙率またはボイド率を有してもよい。
【0072】
使用する場合、ハウジング43の多孔性材は、例えばポリエチレンまたはナイロンを含んでもよい。グレードの異なるポリエチレンは、異なるレベルの孔隙率を供する。エアロゾルまたは揮発した材料をチェンバー44からハウジング43の外部へと通過させるために好適なハウジングまたはハウジングの一部を供するためにポリエチレンを使用することは、本開示を考慮した際に当業者には明らかである。一部の実施態様ではハウジングなどのカートリッジの部分は、風味剤を含んでもよい、または風味剤と一体化されてもよい。風味剤は使用時にチェンバー44内で発生した熱いエアロゾルによって拾われように配置してもよい。
【0073】
この実施態様では図17に示すように加熱エレメント410は、3つの層を含むサンドウィッチまたは積層構造を含む。これら3つの層は第1材料層411、導電材層412、第2材料層413である。導電材層412は第1および第2材料層411、413の間でこれらと接触して位置する。第1材料層411は第1支持層411であり、第2材料層413は第2支持層413である。しかしながら、他の実施態様ではこのサンドウィッチまたは積層構造は、これより多いまたは少ない層を含んでもよい。この実施態様のような一部の実施態様では加熱エレメント410は、第1材料層411および第1材料層411の表面上にあり、1つ以上の導電トラックを画定する導電材層412を含む。一部の実施態様では加熱エレメント410はサンドウィッチまたは積層構造を含まなくてもよい。例えば、一部の実施態様では第1および第2サポート層411、413の一方または両方を省略してもよい。一部の実施態様では、1つ以上の追加の層を導電材層412と第1支持層411の間および/または導電材層412と第2支持層413の間に設けてもよい。
【0074】
導電材層412は第1および第2支持層411、413それぞれに対して保持される。これは多くの異なる方法で行える。例えば、この実施態様のように第1および第2支持層411、413の材料が導電材層412を包むまたは囲んで第1および第2支持層411、413それぞれに対して導電材層412を保持するようにしてもよい。これとは別にまたはこれに加えて第1および第2支持層411、413の材料の一部またはいくつかの部分を第1および第2支持層411、413を導電材層412に対して係止するように導電材層412を通って形成された穴の中に位置させてもよい。これとは別にまたはこれに加えて使用する材料によっては第1および第2支持層411、413の材料を第1および第2支持層411、413を導電材層412に対して係止するように層412の材料に自然に結合してもよい。これとは別にまたはこれに加えて第1および第2支持層411、413は接着剤で導電材層412に結合させてもよい。接着剤を使用する場合、その接着剤は導電材層412と第1および第2支持層411、413それぞれの間に追加の見分けのつく接着剤層を形成してもよい。
【0075】
この実施態様では第1支持層411の材料は第2支持層413の材料と同じ材料である。これによりサンドウィッチまたは積層構造の製造を容易にすることができる。製造の際、導電材層412を流体状の第1および第2支持層411、413の材料に浸して、導電材層412の一部または全てをコーティングしてもよい。それから第1および第2支持層411、413の材料を硬化または固化させて硬くし、導電材層412に対して得られた第1および第2支持層411、413を保持する。
【0076】
この実施態様では導電材層412はステンレススチールの層412である。しかしながら、他の実施態様では導電材層は異なる合金または金属などであってもよい。導電材は鋼、ステンレススチール、銅およびニクロムの1つ以上であるまたは1つ以上を含む。この実施態様では導電材は導電材層412が箔の層になるように箔の形体である。導電材層がステンレススチール以外である実施態様では導電材層412はそれでも箔の層412であってもよい。
【0077】
この実施態様では導電材層は、導電トラックを供し、導電材の表面積を大きくするためにパターン化されるようにエッチング処理してもよい。例えば、パターン化することで導電性材の表面を粗くしたり、凹凸を付けたり、波状にしたり、剥離させたりしてもよい。他の実施態様では導電材層はパターン化されるようにプリントしてもよく、あるいはいくつかの他の方法でパターン化してもよい。さらに別の実施態様では導電材層は、パターン化されてなくてもよい。例えば、一部の実施態様では導電材層412は、導電材層の単純な矩形ストリップであってもよい。
【0078】
加熱エレメント410の導電材はそれに電流を通すことによって加熱可能である。導電材を好適にパターン化することによって導電材の表面積を大きくして、加熱エレメント410上に配置された喫煙材420への熱伝導のためにより大きな領域を供してもよい。第1および第2支持層411、413は、導電材のその粗くされたまたはパターン化された面を完全に満たさないような薄さにしてもよい。喫煙材420は、例えば喫煙材420が高い容量対表面積率を有するように加熱エレメント410のその粗くされたまたはパターン化された面を満たしてもよい。一部の実施態様では導電材のパターン化は、加熱エレメント410の加熱が所定の電流を導電材を通すことによって行えるように導電材の電流の流れ経路の断面積および長さを設定する役割を果たすこともできる。さらに導電材を好適にパターン化することによって導電材を導電材が加熱が集中する加熱エレメント410の領域で維持されるように形成することができる。従って、設けるパターンによって使用時の喫煙材420の加熱を均一にすることができる。
【0079】
この実施態様では第1および第2支持層411、413それぞれは、耐熱材で作製される。この実施態様では第1および第2支持層411、413それぞれは電気絶縁体である。さらに具体的にはこれらの層それぞれは、少なくとも操作時に生じる加熱エレメント410の予想される範囲の温度、例えば180~220℃に亘って耐熱性である。ポリイミドは少なくともこの温度範囲に亘って耐熱性である材料の一例である。この実施態様では第1および第2支持層411、413のそれぞれはポリイミドの層である。本明細書の他の箇所で説明したようにコントローラー50が一部の実施態様で設けられ、加熱エレメント410がこの範囲の温度に確実に加熱されるようになっている。従って、ポリイミドは装置の使用中に導電材の加熱に耐えることができる。他の実施態様では第1支持層411の材料はポリイミド以外であってもよく、および/または第2支持層413の材料はポリイミド以外であってもよい。一部の実施態様では第1および第2支持層411、413は、それぞれ異なる材料の層である。しかしながら、第1および第2支持層411、413に使用されるどちらかの材料または両方の材料、好ましくは両方の材料は、少なくとも上述の温度範囲に亘って耐熱性である。この実施態様では第1および第2支持層411、413それぞれは、喫煙材420に存在する水分が導電材の層412と接触しないようにする水分不透過性の層である。
【0080】
この実施態様では加熱エレメント410は平坦であり、または少なくとも実質的に平坦である。平坦な加熱エレメント410は製造が簡単になりやすい。しかしながら、他の実施態様では加熱エレメント410は非平面であってもよい。例えば、一部の実施態様では加熱エレメント410は、折りたたまれてもよく、しわ寄せしてもよく、波形にしてもよく、断面を十字形にしてもよい。実質的に円筒状のヒーターフォーマットも想定される。非平面の加熱エレメント410は、その上に喫煙材420を保持するのに適した外面を有することが可能である。例えば、波形または類似の加熱エレメント410を使用する場合、喫煙材420は、その波形によって形成された加熱エレメント410の外面のトラフにより簡単に接着または結合する。さらに非平面加熱エレメント410は、喫煙材420への熱伝導のためにより大きな表面積を供する。またそれは所定の厚さの層により多くの喫煙材420を支持することができる。タバコなどの喫煙材は場合によっては熱が伝導しにくく、よって消費電力を減少させるまたは喫煙材420の加熱速度を上げるために比較的薄い層にして喫煙材420を供することが望ましい場合がある。
【0081】
この実施態様では喫煙材420はタバコを含み、図15および17に示すように加熱エレメント410に2つの部分421、422に分けて配置される。この実施態様では喫煙材420は固体状態にあり、喫煙材の粒子を含む。喫煙材420の第1および第2部分421、422は、ここで詳しく説明するように接着剤によって加熱エレメント410に接着される。より具体的には喫煙材420の第1の部分421は、第1支持層411が導電材層412と喫煙材420の第1の部分421の間に位置するように第1支持層411に接着される。喫煙材420の第2の部分422は、第2支持層413が導電材層412と喫煙材420の第2の部分422の間に位置するように第2支持層413に接着される。従って、喫煙材420の第1および第2部分421、422は、加熱エレメント410の第1および第2の部分、即ち第1および第2支持層411、413のそれぞれの面に配置される。この実施態様ではそれぞれの表面は、それぞれ加熱エレメント410の第1および第2の側部である。さらにこの実施態様では第1および第2の側部はそれぞれ加熱エレメント410の対向側部である。他の実施態様では第1および第2の側部は、加熱エレメント410の隣接する側部などの加熱エレメント410の非対向側部であってもよい。
【0082】
図17に示すようにこの実施態様では接着剤は、加熱エレメント410と喫煙材420の第1および第2の部分421、422それぞれの間で追加の見分けができる接着剤層310、320を形成する。しかしながら、一部の実施態様では喫煙材420は、喫煙材420の第1および第2の部分421、422が接着剤を含み、さらなる見分けができる接着剤層が存在しないように接着剤内にまき散らされてもよい。一部の実施態様では接着剤を省略し、喫煙材420を加熱エレメント410に接着させてもよい、またはいくつかの他の機構によって加熱エレメント410に配置してもよい。
【0083】
一部の実施態様では喫煙材420の第1の部分421は、喫煙材420の第2の部分422より速く加熱エレメント410によって加熱される形状を有する。より具体的にはこの実施態様において、例えば喫煙材420の第1の部分421は、第1の厚さで加熱エレメント410上に配され、喫煙材420の第2の部分422は、第2の厚さで加熱エレメント410上に配される。従って、喫煙材420の第1の部分421は第1の厚さを有し、喫煙材420の第2の部分422は第2の厚さを有する。第2の厚さは第1の厚さより厚い。本明細書中の文脈において、「厚さ」は、喫煙材420が配される加熱エレメント410の面からその面の法線方向に測定した喫煙材420の関連する部分421、422の深さを意味する。
【0084】
一部の実施態様では喫煙材420の第1および第2部分421、422は、加熱エレメント410の1つの側の第1および第2部分である加熱エレメント410の第1および第2部分に配してもよい。即ち、喫煙材420の第1および第2部分421、422は、加熱エレメント410の同じ側にあってもよい。
【0085】
例えば、図18の実施態様に示すように喫煙材420は、加熱エレメント410の第1の側410aの喫煙材420の第1の部分421は第1の厚さを有し、加熱エレメント410の第1の側410aの喫煙材420の第2の部分は第2の厚さを有する。第2の厚さは第1の厚さより厚い。喫煙材420の同じ構成を第1の側410aから反対の加熱エレメント410の第2の側410bに設けられる。
【0086】
図18に示すように加熱エレメント410の第1の側410aの喫煙材420の厚さは、喫煙材420の第1の部分421から喫煙材420の第2の部分422へとテーパーしている。この実施態様ではテーパーは直線状または実質的に直線状である。他の実施態様ではテーパーは非直線状、例えば喫煙材420の外面は凹状または凸状であってもよい。さらに他の実施態様では喫煙材420は加熱エレメント410の第1の側410a上で喫煙材420の第1の部分421から喫煙材420の第2の部分422へと段階的に増加する厚さに配置されてもよい。1つのこのような実施態様では図19に示すように加熱エレメント410の第1の側410aに配置された喫煙材420の厚さは一段階のみである。この一段階は喫煙材420の第1部分421が喫煙材420の第2の部分422と合うポイントである。図20に示すように別のこのような実施態様では加熱エレメント410の第1の側410aに配置された喫煙材420の第1および第2の部分の間で喫煙材420の厚さが複数段階ある。図20に示す実施態様では喫煙材420の第1および第2の部分421、422は喫煙材420の対応する対向端部にある。しかしながら、他の実施態様ではその限りではない。
【0087】
一部の実施態様では喫煙材420は、加熱エレメント410の一方の側のみに配置されてもよい。例えば、図18~20に示す実施態様に対するそれぞれの別の実施態様では加熱エレメント410の第1の側410aまたは第2の側410bの喫煙材420は省略してもよい。
【0088】
加熱エレメント410に異なる厚さの異なる分量の喫煙材420を配置することによって、喫煙材420の進行的な加熱、これによりエアロゾルの進行的な発生を達成することができる。より具体的には使用時に喫煙材420の第1の薄い部分421を加熱し、これにより喫煙材420の第1の部分421の喫煙材420の少なくとも1つの成分の気化および喫煙材420の第1の部分421のエアロゾルの形成を開始するのに加熱エレメント410は、僅かに加熱を行うだけでよい。加熱エレメントがさらに熱くなると、喫煙材420の第2の厚い部分422が充分に加熱され、喫煙材420の第2部分422の喫煙材420の少なくとも1つの成分の気化および喫煙材420の第2の部分422のエアロゾルの形成を開始する。エアロゾルは喫煙材420の第1および第2の部分421、422のそれぞれの外面から排出される。従って、エアロゾルをユーザーによる吸引のために比較的速く形成することができ、加熱装置400はその後喫煙材420の第1の薄い部分421がエアロゾルを発生しなくなった後でもユーザーによるその後の吸引のためにエアロゾルを形成し続けるように配置されている。喫煙材420の第1の部分421は、それが喫煙材420の揮発性成分を使い切ったときエアロゾルを発生しなくなってもよい。
【0089】
他の実施態様では上述の実施態様のいずれかにおける喫煙材420の厚さの変形例に加えてまたはそれとは別に喫煙材420の第1および第2の部分421、422は、異なる平均粒径を有してもよい。即ち、喫煙材420の第1の部分421は、第1の平均粒径を有する喫煙材420の粒子を含んでもよく、喫煙材420の第2の部分422は、第2の平均粒径を有する喫煙材420の粒子を含んでもよい。第2の平均粒径は第1の平均粒径より大きい。典型的には小さい平均粒径を有する喫煙材420の粒子は、所定の熱源によって大きい平均粒径を有する喫煙材420の粒子が加熱されるよりより速く加熱され得る。異なる平均粒径を有する異なる分量の喫煙材420を供することによって喫煙材420の進行的な加熱、これによりエアロゾルの進行的な発生を実質的に上述したように達成することができる。
【0090】
一部の実施態様では平均粒径が0.6~0.9mmまたは0.7~0.8mmの喫煙材420を供してもよい。しかしながら、平均粒径は喫煙材全体で異なってもよい。一部の実施態様では喫煙材は、喫煙材の大半または実質的に全てが上述の範囲の粒径を有するようにメッシュ分離(または篩い分け)を使用して調製される。一部の実施態様ではこのような粒状の喫煙材420でコートされる6cm2のヒーター面積が消費者が許容できる名目上3分間続く感覚を供する。この大きさは、当然のことながら必要に応じてより長いまたは短い感覚に調整してもよい。一部の実施態様では喫煙材420はゲル形状であってもよい。ゲルは喫煙材の粒子を含んでもよく、または含まなくてもよい。
【0091】
上述の各実施態様おいて喫煙材420は第1の部分421を含み、これは喫煙材420の第2の部分422より速く加熱エレメント410によって加熱され得る形状を有し、他の実施態様ではこの特徴は省略されてもよい。
【0092】
喫煙材420を加熱エレメント410に接着させるために使用される接着剤は、セルロース、セルロース誘導体、アルギン酸またはアルギン酸塩、好適にはアルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウムまたはアルギン酸カルシウムなどの多糖類を含む。1つの実施態様では接着剤は、セルロース誘導体、好適にはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含む。他の実施態様では喫煙材420を加熱エレメント410に接着させるために使用される接着剤は、アルギン酸またはアルギン酸塩、好適にはアルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウムまたはアルギン酸カルシウムを含む。これらのような多糖類は良好な濡れ性を示し、これは喫煙材420を加熱エレメント410に接着させるのに役立つ。特にこれは接着剤が喫煙材420を疎水性面、ポリイミド疎水性面に接着させる場合に当てはまる。接着剤は食品的に許容され、任意に食品グレード材であることが望ましい。
【0093】
1つの実施態様では加熱エレメント410と喫煙材420の間の見分けのつく接着剤層310、320は多糖類を含む。接着剤層310、320は、支持層411、413に配され、実質的に完全にこれらを覆う。接着剤は少なくとも部分的に加熱エレメント410を覆ってもよい。他の実施態様では接着剤は導電材12に直接配置されてもよい。いずれの場合にも接着剤と喫煙材420は加熱エレメント410の最外層にコートされる。
【0094】
この実施態様では見分けのつく接着剤層310、320は、それら自体が導電材412を囲む支持層411、413に配される。喫煙材の部分421、422は接着剤層310、320の上部に配置される層である。他の実施態様では接着剤の個別の層と喫煙材420は識別できない。接着剤と喫煙材を含む層は支持層411、413に配置されてもよい。喫煙材420は接着剤内に少なくとも部分的にまたは完全に分散されてもよい。
【0095】
一部の実施態様ではカートリッジ40は、加熱装置400とハウジング43の間に断熱材の塊を含む。「断熱材の塊」とは、その断熱材が気体ではないまたは単に気体ではないことを意味する。
【0096】
例えば、図21に示す実施態様ではカートリッジ40は、図21のカートリッジが加熱装置400とハウジング43の間に断熱材の塊を含むこと以外図15に示したカートリッジ40と同じである。この実施態様では断熱材430は、加熱装置400を囲み、加熱装置400とハウジング43の間のスペースを満たし、ハウジング43と加熱装置400の喫煙材420と接触している。他の実施態様では断熱材430は加熱装置400を完全に囲まずに加熱エレメント400を取り巻いてもよい。一部の実施態様では断熱材430はハウジング43と加熱装置400の1つだけと接触してもよく、その間のスペースを満たさなくてもよい。
【0097】
図21の実施態様では断熱材430は詰め綿を含む。しかしながら、他の実施態様では断熱材430は、詰め綿、フリース、不織材、不織フリース、織材料、編生材、ナイロン、発泡体、クローズドセル発泡体、ポリスチレン、クローズドセルポリスチレン発泡体、ポリエステル、ポリエステルフィラメント、ポリプロピレン、ポリエステルとポリプロピレンのブレンドからなる群から選択される1つ以上の材料を含んでもよい。他の種類の断熱材も適している。
【0098】
図21に示すカートリッジでは断熱材430は、1平方メートル当たり約100グラム(gsm)の密度および約1.2ミリメートルの厚さを有する。他の実施態様では断熱材430の厚さおよび密度の一方または両方は異なってもよい。しかしながら、密度が高すぎると、断熱材430はフィルターとして作用し、加熱装置400からのエアロゾル出力を弱めてしまう。これとは別に密度が低すぎると、断熱材430が充分な断熱を行わない場合がある。特に断熱材430が詰め綿またはフリースを含む場合の適した密度は、約60~約140gsmまたは80~120gsmであってもよい。断熱材430が詰め綿またはフリース以外の材料を含む場合、断熱材430の密度は、断熱材430が上記密度の詰め綿またはフリースを含む場合に達成される熱的特徴と類似の特徴をもたらすように選択してもよい。一部の実施態様では断熱材の塊430は、少なくとも操作中に生じる加熱エレメント410の予測される範囲の温度、例えば上述したように180~220℃に亘って耐熱性であり、そのような操作温度に晒された際に劣化しない。
【0099】
一部の実施態様ではカートリッジ40は、複数の材料の層を有する積層またはサンドウィッチ構造の形体の断熱材を含む。一部のこのような実施態様ではこれら材料の層の外層は、カートリッジ40のハウジング43またはハウジング43の一部を形成し、サンドウィッチ構造の1つ以上の他の層は断熱材の塊430を形成する。従って、一部の実施態様ではハウジング43またはハウジング43の一部は、断熱材の塊430と一体に形成されてもよい。
【0100】
一部の実施態様では断熱材は、使用の際の加熱装置400からの熱損失を遅らせるのに役立つ。一部の実施態様では断熱材は、使用の際に確実にチェンバー44内で発生した揮発した材がハウジング43の内面に凝集しないようにするのに役立つ。一部の実施態様では断熱材の塊を設けることは、使用の際カートリッジ40内で発生するエアロゾルが形成する表面積を大きくするのに役立つ。一部の実施態様ではヘッドスペースが断熱材の塊とハウジング43の間に残り、これはさらに使用の際カートリッジ40内で発生するエアロゾルが形成する表面積を大きくするのに役立つ。一部の実施態様ではこのような断熱材の塊は、使用の際にカートリッジ40内で発生するエアロゾルの量を増加させるのに役立ち、従って、消費者の感覚を向上させる。
【0101】
図21に示すカートリッジ40は、図15に示したカートリッジ40の図18~20に示した実施態様に対応する変形例に類似するような変形例であり、カートリッジ40は加熱装置400とハウジング43の間に断熱材の塊を含んでもよい。当然のことながらここで説明したカートリッジ40の各実施態様それぞれの変形例において、カートリッジ40は、加熱装置400または加熱エレメント410とハウジング43の間に断熱材の塊を含んでもよい。
【0102】
加熱エレメント410または喫煙材420がカートリッジ40から省略されている一部の実施態様では、断熱材の塊をハウジング43と喫煙材420または加熱エレメント410それぞれの間でカートリッジ40に設けてもよい。一部のこのような実施態様では断熱材の塊は喫煙材420または加熱エレメント410それぞれを取り囲むおよび/または接触する。一部のこのような実施態様では断熱材の塊は、ハウジング43と接触し、および/またはハウジング43と喫煙材420または加熱エレメント410それぞれの間のスペースを満たす。
【0103】
一般的に言えば、加熱装置400は、導電材層412を第1の材料層411と第2の材料層413の間に配置して加熱エレメント410を形成し、喫煙材420を加熱エレメント410上に配置することによって製造してもよい。この方法の実施態様では喫煙材420は、導電材層412を第1および第2支持層411、413の間にこれらと接触するように配置した後、加熱エレメント410上に配される。
【0104】
本発明の方法のこの実施態様では、本発明の方法は、導電材をエッチングまたはプリントすることなどによって導電材層412を形成するために導電材をパターン化することを含む。一部の実施態様では導電材は、第1および第2支持層411、413の1つに配置され、その後パターン化され、さらにその後第1および第2支持層411、413の他方は第1および第2支持層411、413の間に導電材層412を配置するために貼付される。他の実施態様では導電材はパターン化され、その後第1および第2支持層411、413の間に配置される。一部の実施態様では導電材は第1および第2支持層411、413の間に配置され、その後パターン化されてもよい。さらに別の実施態様では本発明の方法は導電材のパターン化を含まなくてもよい。
【0105】
加熱装置を製造する際、導電材層412はステンレススチールである。しかしながら、他の実施態様では導電材は、上記したような異なる合金または金属であってもよい。
【0106】
この製造方法の実施態様では第1および第2の材料層411、413それぞれはポリイミドである。しかしながら、上記したように他の実施態様では第1支持層411の材料はポリイミド以外であってもよく、および/または第2支持層413の材料はポリイミド以外であってもよい。一部の実施態様では第1および第2支持層411、413は、それぞれ異なる材料の層である。
【0107】
この製造方法の実施態様では喫煙材420はタバコを含み、本発明の方法は喫煙材420を加熱エレメント410に接着させることを含む。より具体的にはそして上述したように喫煙材420の第1の部分421は第1支持層411に接着させ、喫煙材420の第2の部分422は第2支持層413に接着させる。上述の通り他の実施態様では喫煙材420は、加熱エレメント410の一方の側のみなどの複数の異なる方法で加熱エレメント410に配置してもよい。しかしながら、簡潔にするために種々の可能な構成についてここでは再度詳しく説明しない。この実施態様では接着は、本明細書で詳しく説明するように喫煙材420を接着剤によって加熱エレメント410に接着させることを含む。一部の他の実施態様では接着剤を省略してもよく、本発明の方法はいくつかの他の機構によって喫煙材420を加熱エレメント410に接着させるまたは喫煙材を加熱エレメント410に配置することを含んでもよい。
【0108】
この実施態様では導電材を支持層411、413の間に配置した後、加熱エレメント410を200℃で焼き鈍しし、酸素プラズマを使用して、好適にはコロナ処理によって表面処理される。処理された加熱エレメントは、多糖類の水性溶液(ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはアルギン酸またはその塩を含む水溶液などの)に浸して、支持層411、413の一部またはすべてをコートする。加熱エレメント410は、その後水溶液から取り出され、その後接着剤の一部または全てをコートするために喫煙材に浸される。加熱エレメント410は、その後喫煙材から取り出され、接着剤が硬くなる、または硬化、乾燥および/または固化させることによって硬くする。他の実施態様では別個の接着剤および喫煙材層は、連続的なスプレー工程または当業者に知られている他の方法によって加えられ、例えば接着剤はスプレーコーティング、トランスファーコーティング、スロットダイ押し出を使用して塗布されてもよく、喫煙材はスプレーコーティング、流動床、静電コーティングを使用して塗布してもよい。これらの実施態様では接着剤層310、320は支持層411、413に配置される。喫煙材420の部分421、422は接着剤層によって支持層411、413に接着される。喫煙材420の部分421、422は、実質的に接着剤層310、320とは別個に配される。
【0109】
水性溶液の溶液濃度は、それが加熱エレメントに容易に塗布されるのに充分に低い粘度を有し、かつ、それが硬くなる前に加熱エレメントの表面で保持されるのに充分に高い粘度を有する好適な粘度を有するように選択される。水性溶液中の多糖類濃度は、約2%w/w、4%w/wまたは5%w/w溶液~約7%w/w、8%w/wまたは10%w/w溶液(好適には2~10%w/w溶液または5~7%w/w溶液)であってもよい。
【0110】
他の実施態様では喫煙材420と接着剤は見分けのつく別個の層になくてもよい。例示として喫煙材は、最初に多糖類溶液に分散させてもよい。加熱エレメント410は、その後この分散液に浸してもよく、あるいはこの分散液を加熱エレメント410にスプレーして、支持層411、413の面に単独の層を形成し、この単独の層は接着剤と喫煙材420の両方を含む。
【0111】
この実施態様では図12に示すようにカートリッジ40は2つの導電性端子47a、47bを含み、これらはそれぞれ本明細書において「第7導電性端子」47aおよび「第8導電性端子」47bと称される。加熱エレメント410は第7および第8導電性端子47a、47bに電気的に接続されており、これら第7および第8導電性端子47a、47bを介して加熱エレメント410に電流を通すことによって加熱可能になる。第7および第8導電性端子47a、47bは、対応する凹部に配置されるが、カートリッジ40の外部から触れることができる。この実施態様ではカートリッジ40が凹部13に完全に収容されると、第7および第8導電性端子47a、47bは、それぞれ第1および第2導電性端子17b、17cと面接触する。従って、加熱エレメント410は、第1および第2導電性端子17b、17cに電力を加えることによって発熱させられる。
【0112】
一部の実施態様ではカートリッジ40は、第1ケーシング部10に対して1つの向きでのみ凹部13に完全に収容されるようにすることができる。この実施態様ではこれはカートリッジ40によるものであり、より具体的には凹部13の非対称内部断面形状に対応する非対称外部断面形状を有するハウジング43によるものである。他の実施態様ではカートリッジ40は、1つ以上の他の機構を設けることにより第1ケーシング部10に対して1つの向きでのみ凹部13に収容される、または接触面と協働することができる。例えば一部の実施態様ではカートリッジ40のハウジング43は、回転対称であり、従って、対称な外側断面形状を有し、カートリッジ40は、ハウジング43から突出し、カートリッジ40全体を凹部13の非対称な内部断面形状に対応する非対称外側断面形状にする楔を有してもよい。カートリッジ40が第1ケーシング部10に対して1つの向きで接触面と協働できるようにすることは、カートリッジ40が、対応する第1および第2導電性端子17b、17cと面接触する第7および第8導電性端子47a、47bを有する器具1の残りの部分と確実に正しく組み立てられるようにするのに役立つ。しかしながら、一部の実施態様ではカートリッジは、第1ケーシング部10に対して2つ以上の向きで凹部13に完全に収められてもよい。
【0113】
この実施態様では上述したようにコントローラー50は、接触面13がカートリッジ40と協働している際に電力源24から加熱エレメント410への電力の供給を制御するためのものである。器具1が第1コネクター15が第2コネクター25と完全に係合し、カートリッジ40が凹部13に完全にかつ正しく収められて完全に組み立てられると、ユーザーによるアクチュエーター18の作動によりコントローラー50が電流を第7および第8導電性端子47a、47b、そして従って加熱エレメント410に印可させる。アクチュエーター18のこのような作動によりコントローラー50の電気回路を完成させる。電流がこのように加熱エレメント410に印可されると、加熱エレメント410は熱くなり、喫煙材420を加熱する。この実施態様では加熱エレメント410の電気抵抗は、加熱エレメント410の温度が上昇するにつれて変化する。コントローラー50は、加熱エレメント410の温度が確実に約180℃~約220℃の上述の温度範囲内に留まるようにするために加熱された加熱エレメント410の電気抵抗を監視し、その後必要に応じて監視された電気抵抗に基づいて加熱エレメント410に印可される電流の度合いを調節する。この温度範囲内で喫煙材420は、喫煙材420を燃焼させずに喫煙材420の少なくとも1つの成分を揮発させるのに充分に加熱される。従って、コントローラー50および器具1全体として喫煙材420を加熱して、喫煙材420を燃焼させずに喫煙材420の少なくとも1つの成分を揮発させるように構成されている。他の実施態様では温度範囲はこれ以外の温度範囲であってもよい。
【0114】
上述したようにプレート16は、それを通る5つの穴16a~16eを有し、第1~第3ピン17a、17b、17cがこれらの穴の第1~第3の穴16a、16b、16c内に設けられている。5つの穴16a~16eの第4と第5の穴16d、16eは、開口したままであり、第1および第2コネクター15、25の協働によって画定された入り口60と凹部13を流体接続する。さらにカートリッジ40が凹部13内に完全に収められると、カートリッジ40の第1および第2ハウジング部43a、43bの協働によって画定された空気流経路45が凹部13と流体接続される。従って図16に示すように完全に組み立てられた器具1では、器具1の外部から第1および第2コネクター15、25の協働によって画定された入り口60のいずれか1つを通り、その後プレート16の第4および第5の穴16d、16eのどちらか1つを通り、それから凹部13を通り、それからカートリッジ40の第1および第2ハウジング部43a、43bの協働によって画定された空気流経路45を通り、それからカートリッジ40のチェンバー44を通り、カートリッジ40のハウジング43を通って延びた開口部46のいずれか1つを通り、それからマウスピース30の流路36を通って器具1の外部へと延びる全体流れ経路が画定される。マウスピース30の封止部37は空気が凹部13からマウスピース30の流路36へと移動する際にカートリッジ40のチェンバー44を迂回するのを妨げる。
【0115】
この実施態様の器具1の典型的な操作をここで説明する。ユーザーは第1ケーシング部10に対してカートリッジ40が開口部14を介して移動可能な位置にあることを確認する。ユーザーはそれからカートリッジ40を開口部14を介して凹部13内に押し込み、カートリッジ40の第7および第8導電性端子47a、47bをそれぞれ第1および第2導電性端子17b、17cと面接触させる。それからユーザーは、マウスピース30が開口部14を覆う位置へ第1ケーシング部10に対してマウスピース30を移動させ、マウスピース30の出口35が器具1の外部に位置し、封止部37がカートリッジ40と接触し、これを押し、開口部46を囲む。マウスピース30は、マウスピース30のコネクター33と第1ケーシング部10の第2コネクター19の係合を介してこの位置に留まる。
【0116】
このようにカートリッジ40およびマウスピース30を第1ケーシング部10に対して移動させる前、移動させている間または移動後にユーザーは第1ケーシング部10の第1コネクター15が確実に第2ケーシング部20の第2コネクター25と完全に係合させる。上述のように第1および第2コネクター15、25が完全に係合すると、第3導電性端子17aが第4導電性端子283aと面接触し、第5導電性端子15aが第6導電性端子25aと面接触する。
【0117】
アクチュエーター18がユーザーによる始動によってその後始動させられると、コントローラー50が電流を第7および第8導電性端子47a、47bおよび従って加熱エレメント410に印可されるように作動する。この電流の印可により上述したように加熱エレメント410を熱し、喫煙材420を加熱して喫煙材420を燃焼させずに喫煙材420の少なくとも1つの成分を揮発させる。典型的にはこの揮発はカートリッジ40のチェンバー44内でエアロゾルを形成する。ユーザーは、マウスピース30の出口35で吸い込むことによってエアロゾルを吸引する。これによりカートリッジ40の開口部46およびマウスピース30の流路36を介してカートリッジ40のチェンバー44からユーザーの口の中にエアロゾルが引き込まれる。カートリッジ40のチェンバー44からのエアロゾルの引き込みはチェンバー44内の圧力を減少させる。この圧力の減少により空気がチェンバー44内に環状の隙間62、第1および第2コネクター15、25の間に画定された入り口、プレート16の第4および/または第5の穴16d、16e、凹部13、カートリッジ40の第1および第2ハウジング部43a、43bの協働によって画定された空気流経路45を介して順に引き込まれる。ユーザーはそれに続く量のエアロゾルを吸引するためにこのような吸引を続けて行うことができる。
【0118】
喫煙材420が消費されると、または実質的に喫煙材420の全てが消費されると、ユーザーはマウスピース30を第1ケーシング部10に対してカートリッジ40が開口部14を介して可動になる位置に移動してもよい。ユーザーは、その後カートリッジ40を凹部13から開口部14を介して取り出してもよい。続いてユーザーは、別の未消費のカートリッジ40を凹部13に挿入して、上記の工程を繰り返す。加熱エレメント410は、使用の際揮発した材料または消費された喫煙材420によって汚される場合がある。第1ケーシング部10ではなくカートリッジ40に加熱エレメント410を配置することによって、新しい未消費のカートリッジ40が使用される度にユーザーに新しい加熱エレメント410が提供される。そのためユーザーは加熱エレメント410を掃除することを気にする必要がなくなる。
【0119】
一部の実施態様では器具1は完全に組み立てられて提供される。完全に組み立てられた状態では、第1ケーシング部10の第1コネクター15は第2ケーシング部20の第2コネクター25と係合し、マウスピースのコネクター33は第1ケーシング部の第2コネクター19と係合する。一部のこのような実施態様ではカートリッジ40は凹部13内に配置される。他のこのような実施態様ではカートリッジ40は凹部13内に配置されない。他の実施態様では器具1は第1ケーシング部10の第1コネクター15が第2ケーシング部20の第2コネクター25から外されているが、係合可能であり、および/またはマウスピースのコネクター33が第1ケーシング部10の第2コネクター19から外されているが係合可能なキット形状であってもよい。一部のこのようなキット形状の器具ではカートリッジ40は凹部13内に配置してもよい。他のこのようなキット形状の器具ではカートリッジ40の1つ以上の例が器具の一部としてであるが凹部13の外側に設けられてもよい。
【0120】
この実施態様では器具1は加熱エレメントを1つだけ有する。他の実施態様では器具1は2つ以上の加熱エレメントを有してもよい。この実施態様ではカートリッジ40は使用され、その後上述のように別のカートリッジと交換されるものである。しかしながら、他の実施態様ではカートリッジ40は交換可能でなく、器具1は使い切り用であってもよい。一部の実施態様では器具1はカートリッジ40を含まなくてもよい。一部の実施態様では加熱エレメント410または加熱装置400は、第1ケーシング部10と一体であってもよく、第1ケーシング部10から外せなくてもよい。一部の実施態様では、電力源24は第2ケーシング部20と一体であってもよく、第2ケーシング部20から外せなくてもよい。一部の実施態様では、第1ケーシング部10は第2ケーシング部20と一体であってもよく、またはこれと単一の部品であってもよく、第2ケーシング部20に永久的に固定されてもよい。従って、一部の実施態様では器具1のケーシングは一体ケーシングであってもよく、上述の第1および第2コネクター15、25を有さなくてもよい。一部の実施態様では、電力源24の正負端子24a、24bは、電気的にコントローラー50に永久的に接続されてもよい。一部の実施態様ではマウスピース30は第1ケーシング部10に対して可動でなくてもよい。一部の実施態様ではマウスピース30は第1ケーシング部10と一体であって、またはこれとの単一の部材であってもよい。
【0121】
上述の実施態様のそれぞれにおいて、喫煙材420は加熱エレメント410である支持体に配される。しかしながら、一部の実施態様では支持体は加熱エレメント410以外のものであってもよい。支持体が加熱エレメント410以外の一部の実施態様では支持体は本明細書で説明した加熱エレメント410の特徴のいずれかを有してもよい。支持体が加熱エレメント410以外の一部の実施態様では喫煙材420は本明細書で説明した喫煙材420の特徴のいずれかを有してもよく、従って喫煙材420を加熱エレメント410に配するための本明細書で説明した方法のいずれかで支持体に配されてもよい。支持体が加熱エレメント410以外の一部の実施態様では喫煙材420と支持体は加熱装置ではなく装置内に構成されてもよい。
【0122】
種々の問題の対処と技術の発展のため、本開示全体は種々の実施形態を例示的に示しており、これらの実施形態では特許請求された発明が実践され、優れた喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるために喫煙材を加熱する器具を提供することができる。本開示の利点および特徴は実施形態の単なる代表的な具体例であり、包括的でも排他的でもない。これらは特許請求された特徴の理解と教示の単なる補助に提供されている。当然だが、本開示の利点、実施形態、具体例、機能、特徴、構造、および/または他の側面は本開示を特許請求の範囲に規定されたとおりに限定するあるいは特許請求の範囲の均等物に限定すると考えるべきではなく、本開示の範囲および/または思想から乖離することなく他の実施形態を利用しても改変してもよいと考えるべきである。種々の実施形態は、開示された構成要素、成分、特徴、部品、工程、手段他の組合せを適切に備えても、これらで構成されても、基本的にこれらで構成されてもよい。また本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性がある他の発明を含む。
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