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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20221207BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALI20221207BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20221207BHJP
   H01M 4/131 20100101ALI20221207BHJP
【FI】
H01M10/04 W
H01M10/0587
H01M10/052
H01M4/131
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020182745
(22)【出願日】2020-10-30
(65)【公開番号】P2022073006
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2021-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷本 晃一
(72)【発明者】
【氏名】梅村 幸司
(72)【発明者】
【氏名】山中 友和
【審査官】冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-183856(JP,A)
【文献】特開2017-143004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04
H01M 10/0587
H01M 10/052
H01M 4/131
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極芯体を含む第1電極板と、第2電極芯体を含む第2電極板とがセパレータを介して巻回軸まわりに巻回された扁平状の電極体を備え、
前記電極体は、前記巻回軸に平行な第1方向に沿って互いに反対側に位置する第1端部および第2端部を有し、
前記第1電極板は、前記第1電極芯体上に第1活物質層が形成された第1領域と、前記第1領域に対して前記第1端部側に位置し、前記第1電極芯体上に前記第1活物質層が形成されない第2領域とを含み、
前記電極体は、前記第1方向に直交する第2方向に沿って互いに反対側に位置する第1外面および第2外面を有し、
前記第1端部において、巻回された前記第1電極板の前記第2領域が前記第2方向に沿って集約され、集約された前記第2領域の前記第1外面に第1集電体が接続され、
前記第1方向および前記第2方向に直交する第3方向からみたときに、前記第1外面側の最外周に位置する前記第1電極板における前記第1領域と前記第2領域の境界に位置する点を第1の点(A)とし、
前記第3方向からみたときに、前記第1電極板の前記第2領域と接続される前記第1集電体の接続面の前記第1領域側の端部を第2の点(B)とし、
前記第3方向からみたときに、前記電極体の前記第2方向の厚みの中心を通り、前記巻回軸と平行に延びる直線を第1直線(L1)とし、
前記第3方向からみたときに、前記第1直線と平行に延び、前記第2の点(B)を通過する直線を第2直線(L2)とし、
前記第3方向からみたときに、前記第1の点(A)と前記第2の点(B)とを通過する直線を第3直線(L3)としたときに、
前記第2直線(L2)と前記第3直線(L3)とのなす第1の角度(θ1)が55°よりも大きく、
前記第1の点(A)と前記第2の点(B)との間の直線距離を第1の長さ(D1)、前記第1の点(A)と前記第2の点(B)との間に位置する前記第1電極芯体の長さを第2の長さ(D2)としたときに、前記第2の長さ(D2)は、前記第1の長さ(D1)の1倍以上1.1倍以下であり、
前記第3方向からみたときに、前記第2直線(L2)は、前記第1直線(L1)に対して前記第1の点(A)の反対側に位置する、電池。
【請求項2】
第1電極芯体を含む第1電極板と、第2電極芯体を含む第2電極板とがセパレータを介して巻回軸まわりに巻回された扁平状の電極体を備え、
前記電極体は、前記巻回軸に平行な第1方向に沿って互いに反対側に位置する第1端部および第2端部を有し、
前記第1電極板は、前記第1電極芯体上に第1活物質層が形成された第1領域と、前記第1領域に対して前記第1端部側に位置し、前記第1電極芯体上に前記第1活物質層が形成されない第2領域とを含み、
前記電極体は、前記第1方向に直交する第2方向に沿って互いに反対側に位置する第1外面および第2外面を有し、
前記第1端部において、巻回された前記第1電極板の前記第2領域が前記第2方向に沿って集約され、集約された前記第2領域の前記第1外面に第1集電体が接続され、
前記第1方向および前記第2方向に直交する第3方向からみたときに、前記第1外面側の最外周に位置する前記第1電極板における前記第1領域と前記第2領域の境界に位置する点を第1の点(A)とし、
前記第3方向からみたときに、前記第1電極板の前記第2領域と接続される前記第1集電体の接続面の前記第1領域側の端部を第2の点(B)とし、
前記第3方向からみたときに、前記電極体の前記第2方向の厚みの中心を通り、前記巻回軸と平行に延びる直線を第1直線(L1)とし、
前記第3方向からみたときに、前記第1直線と平行に延び、前記第2の点(B)を通過する直線を第2直線(L2)とし、
前記第3方向からみたときに、前記第1の点(A)と前記第2の点(B)とを通過する直線を第3直線(L3)としたときに、
前記第2直線(L2)と前記第3直線(L3)とのなす第1の角度(θ1)が55°よりも大きく、
前記第1の点(A)と前記第2の点(B)との間の直線距離を第1の長さ(D1)、前記第1の点(A)と前記第2の点(B)との間に位置する前記第1電極芯体の長さを第2の長さ(D2)としたときに、前記第2の長さ(D2)は、前記第1の長さ(D1)の1倍以上1.1倍以下であり、
前記集約された前記第2領域において、前記巻回された前記第1電極板は互いに接合されて前記第1電極板どうしの接合部を形成し、
前記第3方向からみたときに、前記第2外面側の最外周に位置する前記第1電極板における前記第1領域と前記第2領域の境界に位置する点を第3の点(A’)とし、
前記第3方向からみたときに、前記接合部の前記第1領域側の端部を第4の点(B’)とし、
前記第3方向からみたときに、前記第1直線と平行に延び、前記第4の点(B’)を通過する直線を第4直線(L4)とし、
前記第3方向からみたときに、前記第3の点(A’)と前記第4の点(B’)とを通過する直線を第5直線(L5)としたときに、
前記第4直線(L4)と前記第5直線(L5)とのなす第2の角度(θ2)が前記第1の角度(θ1)よりも小さく、
前記第3の点(A’)と前記第4の点(B’)との間の直線距離を第3の長さ(D3)、前記第3の点(A’)と前記第4の点(B’)との間に位置する前記第1電極芯体の長さを第4の長さ(D4)としたときに、前記第4の長さ(D4)は、前記第3の長さ(D3)の1倍以上1.1倍以下である、電池。
【請求項3】
前記第1電極板は正極板である、請求項1または請求項2に記載の電池。
【請求項4】
前記第1電極板の前記第2領域における前記第1領域の近傍に位置する部分に保護層が形成された、請求項3に記載の電池。
【請求項5】
前記第1電極板は負極板である、請求項1または請求項2に記載の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池に関する。
【背景技術】
【0002】
電極体の端部に位置する金属箔の集箔部と集電端子とを溶接により接合することが従来から行われている。特開2013-222517号公報(特許文献1)では、電極体の集箔接合部を二股に分割することにより、集電端子に発生する外力を低減することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-222517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、ハイレート充放電時に電極体が膨張、収縮し、電極体内に含浸した電解液が絞り出されることによる抵抗の上昇が問題とされている。従来の構造は、かかる課題を解決する観点からは、必ずしも十分なものではない。
【0005】
本開示の目的は、ハイレート充放電時の抵抗増加率を抑制することが可能な電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る電池は、第1電極芯体を含む第1電極板と、第2電極芯体を含む第2電極板とがセパレータを介して巻回軸まわりに巻回された扁平状の電極体を備える。電極体は、巻回軸に平行な第1方向に沿って互いに反対側に位置する第1端部および第2端部を有する。第1電極板は、第1電極芯体上に第1活物質層が形成された第1領域と、第1領域に対して第1端部側に位置し、第1電極芯体上に第1活物質層が形成されない第2領域とを含む。電極体は、第1方向に直交する第2方向に沿って互いに反対側に位置する第1外面および第2外面を有し、第1端部において、巻回された第1電極板の第2領域が第2方向に沿って集約され、集約された第2領域の第1外面に第1集電体が接続される。
【0007】
第1方向および第2方向に直交する第3方向からみたときに、第1外面側の最外周に位置する第1電極板における第1領域と第2領域の境界に位置する点を第1の点(A)とする。第3方向からみたときに、第1電極板の第2領域と接続される第1集電体の接続面の第1領域側の端部を第2の点(B)とする。第3方向からみたときに、電極体の第2方向の厚みの中心を通り、巻回軸と平行に延びる直線を第1直線(L1)とする。第3方向からみたときに、第1直線(L1)と平行に延び、第2の点(B)を通過する直線を第2直線(L2)とする。第3方向からみたときに、第1の点(A)と第2の点(B)とを通過する直線を第3直線(L3)とする。このとき、第2直線(L2)と第3直線(L3)とのなす第1の角度(θ1)が55°よりも大きい。
【0008】
また、第1の点(A)と第2の点(B)との間の直線距離を第1の長さ(D1)、第1の点(A)と第2の点(B)との間に位置する第1電極芯体の長さを第2の長さ(D2)とする。このとき、第2の長さ(D2)は、第1の長さ(D1)の1倍以上1.1倍以下である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、電極体から電解液が絞り出されることを抑制し、ハイレート充放電時の抵抗増加率を抑制することが可能な電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】電池の分解斜視図である。
図2】電極体の構成を示す図である。
図3】実施の形態に係る電池の電極板と集電体との位置関係を示す図(その1)である。
図4】実施の形態に係る電池の電極板と集電体との位置関係を示す図(その2)である。
図5】直線L2と直線L3とのなす角度θ1とハイレート充放電時の抵抗増加率との相関を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
【0012】
なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本開示の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本開示にとって必ずしも必須のものではない。
【0013】
図1は、電池の分解斜視図である。図1に示すように、本実施の形態に係る電池は、角形外装体100と、電極体200と、蓋部材300とを含む。
【0014】
角形外装体100は、上方に向けて開口する開口部110を有する。角形外装体100の内部には、電極体200とともに図示しない電解液が収容される。
【0015】
電極体200は、X軸方向(第1方向)に並ぶように正極210および負極220を有する。電極体200は、Y軸方向(第2方向)に沿って互いに反対側に位置する外面200A(第1外面)および外面200B(第2外面)を有する。
【0016】
蓋部材300は、角形外装体100の開口部110を封口する。蓋部材300の上面には、正極外部端子310Aと、負極外部端子320AとがX軸方向に間隔をあけて設けられている。蓋部材300の下面には、正極側の集電体310および負極側の集電体320が設けられる。正極側の集電体310は、正極外部端子310Aに電気的に接続される。負極側の集電体320は、負極外部端子320Aに電気的に接続される。
【0017】
さらに、集電体310は電極体200の正極210に接続され、集電体320は電極体200の負極220に接続される。これにより、電極体200の正極210および負極220と、蓋部材300の正極外部端子310Aおよび負極外部端子320Aとが電気的に接続される。
【0018】
図2は、電極体200の構成を示す図である。図2に示すように、電極体200は、正極210を構成する正極板211と、負極220を構成する負極板221と、セパレータ230,240とを含む。
【0019】
正極板211は、アルミニウム箔からなる正極芯体(第1電極芯体)の両面に正極活物質(たとえばリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物等)、結着材(ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等)、および導電材(たとえば炭素材料等)を含む正極活物質合剤層(第1活物質層)が形成された第1領域211Aと、活物質層が形成されず正極芯体が露出した第2領域211Bと、第1領域211Aおよび第2領域211Bの境界211Cとを有する。
【0020】
なお、第2領域211Bの一部(第1領域211Aに隣接する部分)にアルミナ粒子、結着材、および導電材を含む保護層(図示せず)が設けられてもよい。本明細書においては、保護層が形成された部分は第2領域211Bに含まれるものとする。
【0021】
負極板221は、銅箔からなる負極芯体(第2電極芯体)の両面に負極活物質層(第2活物質層)が形成された第1領域221Aと、活物質層が形成されず負極芯体が露出した第2領域221Bと、第1領域221Aおよび第2領域221Bの境界221Cとを有する。
【0022】
正極板211および負極板221は、セパレータ230,240を介してX軸(巻回軸)まわりに扁平状に巻回される。これにより、X軸方向(第1方向)に沿って一方の端部(第1端部)側に位置する正極210と、他方の端部(第2端部)側に位置する負極220とを有する電極体200が構成される。
【0023】
図3は、外面200A側の正極板211と集電体310との位置関係を示す図である。図4は、外面200B側の正極板211と集電体310との位置関係を示す図である。本実施の形態に係る電池は、正極板211と集電体310との位置関係において1つの特徴を有するものである。
【0024】
なお、以下では、電極体200の正極210側の端部(第1端部)の構造について説明するが、電極体200の負極220側の端部(第2端部)においても、同様の構造を採用することが可能である。
【0025】
図3に示すように、正極210側の端部において、巻回された正極板211の第2領域211BはY軸方向(第2方向)に沿って集約(集箔)される。集箔された第2領域211Bの外面200A側に集電体310(第1集電体)が接続される。
【0026】
図3に示す点A(第1の点)は、電極体200をZ軸方向(第3方向)からみたときに、電極体200の外面200A側(図3中上側)の最外周に位置する正極板211における第1領域211Aと第2領域211Bの境界に位置する点に相当する。点Aよりも中央側(図3中右側)に位置する第1領域211Aにおいて、正極板211は平坦に維持される。
【0027】
図3に示す点B(第2の点)は、電極体200をZ軸方向からみたときに、正極板211の第2領域211Bと接続される集電体310の接続面311の第1領域211A側(図3中右側)の端部に相当する。
【0028】
図3に示す直線L1(第1直線)は、電極体200をZ軸方向からみたときに、電極体200のY軸方向の厚みの中心を通り、X軸方向に延びる直線である。
【0029】
図3に示す直線L2(第2直線)は、電極体200をZ軸方向からみたときに、直線L1と平行に延び、かつ、点Bを通過する直線である。電極体200をZ軸方向からみたときに、直線L2は、直線L1に対して点Aの反対側に位置している。
【0030】
図3に示す直線L3(第3直線)は、電極体200をZ軸方向からみたときに、点Aと点Bとを通過する直線である。
【0031】
図3に示す角度θ1(第1の角度)は、直線L2と直線L3とのなす角度であり、本実施の形態においては、θ1>55°である。
【0032】
さらに、点Aと点Bとの間の直線距離D1(第1の長さ)と、点Aと点Bとの間に位置する正極芯体の長さD2(第2の長さ)との関係は、1≦D2/D1≦1.1である。すなわち、D2は、D1以上であり、かつ、D1の1.1倍以下程度である。
【0033】
図3図4に示すように、集約された正極板211は互いに溶接されて接合部212を形成している。
【0034】
図4に示す点A’(第3の点)は、電極体200をZ軸方向からみたときに、電極体200の外面200B側(図4中下側)の最外周に位置する正極板211における第1領域211Aと第2領域211Bの境界に位置する点に相当する。点A’よりも中央側(図4中右側)に位置する第1領域211Aにおいて、正極板211は平坦に維持される。
【0035】
図4に示す点B’(第4の点)は、電極体200をZ軸方向からみたときに、正極板211どうしの接合部212の第1領域211A側(図4中右側)の端部に相当する。
【0036】
図4に示す直線L4(第4直線)は、電極体200をZ軸方向からみたときに、直線L1と平行に延び、かつ、点B’を通過する直線である。
【0037】
図4に示す直線L5(第5直線)は、電極体200をZ軸方向からみたときに、点A’と点B’とを通過する直線である。
【0038】
図4に示す角度θ2(第2の角度)は、直線L4と直線L5とのなす角度であり、本実施の形態においては、θ2<θ1である。
【0039】
さらに、点A’と点B’との間の直線距離D3(第3の長さ)と、点A’と点B’との間に位置する正極芯体の長さD4(第4の長さ)との関係は、1≦D4/D3≦1.1である。すなわち、D4は、D3以上であり、かつ、D3の1.1倍以下程度である。
【0040】
本実施の形態に係る電池においては、上述のとおり、直線L3が直線L2に対して55°よりも大きな角度(θ1)をもって傾けられている。この結果、活物質層が形成された第1領域211Aの端部(A点)が電極体200の厚み方向の中央側に比較的強く押さえつけられた状態となる。このため、電極体200内部の電解液が電極体200外部に絞り出されにくくなり、電極体200内において電解液不足が生じることが抑制される。
【0041】
さらに、θ1(直線L2と直線L3とのなす角度)>θ2(直線L4と直線L5とのなす角度)であるため、外面200A側の最外周に位置する正極板211が、外面200B側の最外周に位置する正極板211よりも中央側(直線L1側)に強く引っ張られる。このとき、両方の外面200A,200B側の最外周に位置する正極板211を略均等な力で中央側に引っ張る場合よりも、電極体200からの電解液の絞出抑制効果をさらに高めることができる。
【0042】
さらに、本実施の形態に係る電池においては、D2/D1≦1.1およびD4/D3≦1.1であるため、集電体310側に位置する第2領域211Bの正極芯体の撓みが小さい。このため、電極体200の最外周に位置する正極板211を電極体200の厚み方向の中央側(直線L1側)に強く引っ張ることができ、電極体200からの電解液の絞出抑制効果をさらに高めることができる。
【0043】
次に、図5を用いて、直線L2と直線L3とのなす角度θ1と、ハイレート充放電時の抵抗増加率との相関について説明する。図5中の横軸は、実験サンプルにおける直線L2と直線L3とのなす角度θ1を示す。図5中の縦軸は、ハイレート充放電時の抵抗増加率(=(ハイレート充放電時の抵抗-初期抵抗)/初期抵抗)に対応する値であって、θ1=45°のときに計測した抵抗増加率を「1」としたときの数値(割合)を表す。
【0044】
なお、ここでいう「初期抵抗」とは、実験サンプルにかかる電池を3.7Vまで充電した後、25℃環境下において、20C電流値で10秒間の放電を行い、放電開始から10秒後の電圧を測定し、その結果からIV抵抗(電気抵抗)を算出した値である。
【0045】
また、ここでいう「ハイレート充放電時の抵抗」とは、実験サンプルにかかる電池に対し、30Cの電流値で10秒間充電、10秒間休止、1Cの電流値で300秒間放電、10秒停止という流れを1サイクルとし、これを2000サイクル繰り返した後の抵抗を示す。
【0046】
図5に示すように、θ1が55°以上程度の場合には、ハイレート充放電時の抵抗増加率が低くなるという明確な傾向が見られた。図5に示す結果から、本実施の形態に係る電池(θ1>55°)によれば、電極体200からが電解液が絞り出されることを抑制し、ハイレート充放電時の抵抗増加を抑制することが可能であることが理解できる。
【0047】
以上、本開示の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0048】
100 角形外装体、110 開口部、200 電極体、200A 外面、200B 外面、210 正極、211 正極板、211A 第1領域、211B 第2領域、211C 境界、212 接合部、220 負極、221 負極板、221A 第1領域、221B 第2領域、221C 境界、230,240 セパレータ、300 蓋部材、310 集電体、310A 正極外部端子、311 接続面、320 集電体、320A 負極外部端子。
図1
図2
図3
図4
図5