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特許7189932タンパク質キナーゼに対する選択的阻害剤の合成に有用な中間体及びそれを調製するためのプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】タンパク質キナーゼに対する選択的阻害剤の合成に有用な中間体及びそれを調製するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   C07D 403/04 20060101AFI20221207BHJP
   C07D 295/135 20060101ALI20221207BHJP
   C07D 295/073 20060101ALI20221207BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALN20221207BHJP
   A61P 35/00 20060101ALN20221207BHJP
【FI】
C07D403/04
C07D295/135 CSP
C07D295/073
A61K31/5377
A61P35/00
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020504208
(86)(22)【出願日】2018-07-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-01
(86)【国際出願番号】 KR2018008383
(87)【国際公開番号】W WO2019022487
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-07-05
(31)【優先権主張番号】10-2017-0096226
(32)【優先日】2017-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516006530
【氏名又は名称】ユハン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】YUHAN CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100186897
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 さやか
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】オ,サン-ホ
(72)【発明者】
【氏名】クー,ジャ-ヘオク
(72)【発明者】
【氏名】リム,ジョン-チュル
(72)【発明者】
【氏名】リー,ド-ビョン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジュン-アエ
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジュン-サプ
(72)【発明者】
【氏名】ジュ,ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】シン,ウォ-ソブ
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン,サン-セオル
【審査官】松澤 優子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106083736(CN,A)
【文献】国際公開第2016/060443(WO,A2)
【文献】国際公開第2016/050165(WO,A1)
【文献】特表2013-544273(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104788427(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
N-(5-(4-(4-ホルミル-3-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)ピリミジン-2-イルアミノ)-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミドを調製するためのプロセスであって、tert-ブチル(5-アクリルアミド-2-メトキシ-4-モルホリノフェニル)カルバメート又はN-(5-アミノ-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミドを式13:
【化1】
[式中、Zは、ハロゲンである]の化合物と反応させることを含む、プロセス。
【請求項2】
前記N-(5-アミノ-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミドが、tert-ブチル(5-アクリルアミド-2-メトキシ-4-モルホリノフェニル)カルバメートを酸と反応させることによって得られる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記酸が、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、酢酸、ギ酸、スルホン酸、及びp-トルエンスルホン酸からなる群から選択される1種以上である、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
tert-ブチル(5-アクリルアミド-2-メトキシ-4-モルホリノフェニル)カルバメートと前記式13の化合物との前記反応を、酸の存在下で行う、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記酸が、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、酢酸、ギ酸、スルホン酸、及びp-トルエンスルホン酸からなる群から選択される1種以上である、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
前記N-(5-アミノ-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミドと前記式13の化合物との前記反応を、金属触媒、配位子、及び塩基の存在下で行う、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記金属触媒が、パラジウム、銅、鉄、カドミウム、亜鉛、及びニッケルからなる群から選択される1種以上である、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記金属触媒が、酢酸パラジウム、パラジウムアセチルアセトネート、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、又はトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムである、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記配位子が、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフタレン、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、及び4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテンからなる群から選択される1種以上である、請求項6に記載のプロセス。
【請求項10】
前記塩基が、カリウムtert-ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、炭酸セシウム、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ-7-エン、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ-5-エン、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、及びジイソプロピルエチルアミンからなる群から選択される1種以上である、請求項6に記載のプロセス。
【請求項11】
N-(5-アミノ-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミドと前記式13の化合物との前記反応を、酸の存在下で行う、請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
前記酸が、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、酢酸、ギ酸、スルホン酸、及びp-トルエンスルホン酸からなる群から選択される1種以上である、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記tert-ブチル(5-アクリルアミド-2-メトキシ-4-モルホリノフェニル)カルバメートが、
(i)tert-ブチル(5-アミノ-2-メトキシ-4-モルホリノフェニル)カルバメートを式11の化合物と反応させ、式5の化合物を形成するステップと、
【化2】
【化3】
[式中、X及びYは、互いに独立して、ハロゲンである]
(ii)前記式5の化合物を塩基と反応させ、tert-ブチル(5-アクリルアミド-2-メトキシ-4-モルホリノフェニル)カルバメートを得るステップと、
を含む、プロセスによって得られる、請求項1~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
ステップ(i)とステップ(ii)とを、ワンポット反応で、前記式5の化合物を単離することなく行う、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記ステップ(i)の反応又は前記ステップ(ii)の反応を、カリウムtert-ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水素化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ-7-エン、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ-5-エン、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、及びジイソプロピルエチルアミンからなる群から選択される1種以上の塩基の存在下で行う、請求項13に記載のプロセス。
【請求項16】
前記tert-ブチル(5-アミノ-2-メトキシ-4-モルホリノフェニル)カルバメートが、tert-ブチル(2-メトキシ-4-モルホリノ-5-ニトロフェニル)カルバメートの還元を行うことによって得られる、請求項13に記載のプロセス。
【請求項17】
前記還元を、ギ酸及びギ酸アンモニウムからなる群から選択される還元剤を用いて行う、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記還元を、パラジウム、パラジウム/炭素、亜鉛、銅、マグネシウム、及び白金からなる群から選択される触媒の存在下で行う、請求項16に記載のプロセス。
【請求項19】
前記tert-ブチル(2-メトキシ-4-モルホリノ-5-ニトロフェニル)カルバメートが、tert-ブチル(4-フルオロ-2-メトキシ-5-ニトロフェニル)カルバメートをモルホリンと反応させることによって得られる、請求項16に記載のプロセス。
【請求項20】
前記反応を、水素化ナトリウム、ナトリウムC~Cアルコキシド、カリウムC~Cアルコキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸カリウム、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ-7-エン、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ-5-エン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン、及びジイソプロピルエチルアミンからなる群から選択される1種以上の塩基の存在下で行う、請求項19に記載のプロセス。
【請求項21】
前記tert-ブチル(4-フルオロ-2-メトキシ-5-ニトロフェニル)カルバメートが、4-フルオロ-2-メトキシ-5-ニトロアニリンをジブチルジカーボネートと反応させることによって得られる、請求項19に記載のプロセス。
【請求項22】
前記式13の化合物が、式14:
【化4】
[式中、Z及びZ’は、互いに独立して、ハロゲンである]の化合物を3-フェニル-1H-ピラゾール-4-カルバルデヒドと反応させることによって得られる、請求項1~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項23】
式5:
【化5】
[式中、Yは、ハロゲンである]の化合物又はその塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質キナーゼに対する選択的阻害活性を有するアミノピリミジン誘導体又はその薬学的に許容される塩の合成に有用な中間体、及びそれを調製するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2016/060443号では、タンパク質キナーゼに対する、特に変異体上皮成長因子受容体のタンパク質キナーゼに対する選択的阻害活性を有するアミノピリミジン誘導体又はその薬学的に許容される塩が開示されている。このアミノピリミジン誘導体又はその薬学的に許容される塩により、非小細胞肺癌に対して有効で安全な療法を提供することができる。国際公開第2016/060443号では、アミノピリミジン誘導体として、例えば、以下の式1の、N-(5-(4-(4-((ジメチルアミノ)メチル)-3-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)ピリミジン-2-イルアミノ)-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミド、及びそれを調製するためのプロセスが開示されている。
【0003】
【化1】
【0004】
国際公開第2016/060443号ではまた、式(I)のアミノピリミジン誘導体を調製するためのプロセス、例えば、以下の反応スキームによるプロセスが開示されている。以下の反応スキームにおいて、Rはメトキシであってもよく、Rは水素であってもよく、Rはモルホリニルであってもよく、Rは水素であってもよく、Rはフェニルであってもよく、Rは水素であってもよく、Rはジメチルアミノであってもよい。
【0005】
【化2】
【0006】
具体的には、上記の反応スキームにより式(I)の化合物を調製するためのプロセスは、水素化ナトリウムを用いることによって、式(a)の化合物を式(b)の化合物と反応させ、式(c)の化合物を得るステップと、水素化ナトリウムを用いることによって、式(c)の化合物を式(d)の化合物と反応させ、式(e)の化合物を得るステップと、式(e)の化合物の還元的アミノ化を行って、式(f)の化合物を得るステップと、鉄及び塩化アンモニウムを用いることによって、式(f)の化合物を還元し、式(g)の化合物を得るステップと、式(g)の化合物を塩化アクリロイルと反応させ、式(I)の化合物を得るステップと、を含む。
【0007】
上記のプロセスは、式(c)の化合物と式(e)の化合物とを調製するために、水素化ナトリウムを用いて反応させることを含む。しかし、水素化ナトリウムは火災及び爆発の可能性が高いため、工業的な大量生産に用いることは困難であるという問題がある。
【0008】
また、上記のプロセスは、式(f)の化合物のニトロ基をそのアミノ基に還元するためのステップにおいて鉄を用いることを含む。しかし、鉄を用いることにより、反応器内で腐食及び汚染を引き起こす場合があることにより、大量生産に適用することは困難になる。更に、式(g)の化合物を得ために鉄及び塩化アンモニウムを用いて還元している間、未知のタール及び分解生成物が生成され、生成物(すなわち、式(g)の化合物)は黒色で得られる。したがって、最終生成物である、好適な純度を有する式(I)の化合物を得るために、大量生産に適用することが困難なカラムクロマトグラフィによる精製プロセスを行う必要がある。
【0009】
また、式(I)の化合物を調製するための最終ステップで用いる塩化アクリロイルは安定性が低いため、製造現場での取り扱いが困難である。また、式(g)の化合物と塩化アクリロイルとの反応中に様々な分解生成物が生成されるため、好適な純度を有する式(I)の化合物を調製することは困難である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
技術的課題
本発明は、工業的な大量生産に好適であり、N-(5-(4-(4-((ジメチルアミノ)メチル)-3-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)ピリミジン-2-イルアミノ)-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミド(式1の化合物)又はその薬学的に許容される塩を高純度及び高収率で生成可能である、改良されたプロセスを提供する。具体的には、本発明は、式1の化合物又はその薬学的に許容される塩の合成に有用な中間体及びそれを調製のためのプロセスを提供する。
【0011】
また、本発明は、上記のプロセス及びそれを調製するためのプロセスに有用な新規中間体を提供する。
【0012】
課題に対する解決策
本発明の一態様によれば、N-(5-(4-(4-ホルミル-3-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)ピリミジン-2-イルアミノ)-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミド(式2の化合物)を調製するためのプロセスが提供され、このプロセスは、tert-ブチル(5-アクリルアミド-2-メトキシ-4-モルホリノフェニル)カルバメート(式4の化合物)又はN-(5-アミノ-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミド(式3の化合物)を式13:
【0013】
【化3】
[式中、Zは、ハロゲンである]の化合物と反応させること、を含む。
【0014】
N-(5-アミノ-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミド(式3の化合物)は、tert-ブチル(5-アクリルアミド-2-メトキシ-4-モルホリノフェニル)カルバメート(式4の化合物)を酸と反応させることによって得ることができる。例えば、tert-ブチル(5-アクリルアミド-2-メトキシ-4-モルホリノフェニル)カルバメート(式4の化合物)と式13の化合物との反応を、酸の存在下で行うことができる。また、例えば、N-(5-アミノ-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミド(式3の化合物)と式13の化合物との反応を、金属触媒、配位子、及び塩基の存在下で行うことができる。また、例えば、N-(5-アミノ-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミド(式3の化合物)と式13の化合物との反応を、酸の存在下で行うことができる。
【0015】
一実施形態では、tert-ブチル(5-アクリルアミド-2-メトキシ-4-モルホリノフェニル)カルバメート(式4の化合物)は、(i)tert-ブチル(5-アミノ-2-メトキシ-4-モルホリノフェニル)カルバメート(式6の化合物)を式11の化合物と反応させ、式5の化合物を形成するステップと、
【0016】
【化4】
【0017】
【化5】
[式中、X及びYは、互いに独立して、ハロゲンである](ii)式5の化合物を塩基と反応させ、tert-ブチル(5-アクリルアミド-2-メトキシ-4-モルホリノフェニル)カルバメート(式4の化合物)を得るステップと、を含む、プロセスによって得ることができる。
【0018】
別の実施形態では、tert-ブチル(5-アミノ-2-メトキシ-4-モルホリノフェニル)カルバメート(式6の化合物)は、tert-ブチル(2-メトキシ-4-モルホリノ-5-ニトロフェニル)カルバメート(式7の化合物)の還元を行うことによって得ることができる。tert-ブチル(2-メトキシ-4-モルホリノ-5-ニトロフェニル)カルバメート(式7の化合物)は、tert-ブチル(4-フルオロ-2-メトキシ-5-ニトロフェニル)カルバメート(式8の化合物)をモルホリンと反応させることによって得ることができる。tert-ブチル(4-フルオロ-2-メトキシ-5-ニトロフェニル)カルバメート(式8の化合物)は、4-フルオロ-2-メトキシ-5-ニトロアニリン(式9の化合物)をジブチルジカーボネートと反応させることによって得られる。
【0019】
更に別の実施形態では、式13の化合物は、式14:
【0020】
【化6】
[式中、Z及びZ’は、互いに独立して、ハロゲンである]の化合物を3-フェニル-1H-ピラゾール-4-カルバルデヒド(式15の化合物)と反応させることによって得ることができる。
【0021】
本発明の別の態様では、N-(5-アミノ-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミド(式3の化合物)が提供される。
【0022】
本発明の更に別の態様では、tert-ブチル(5-アクリルアミド-2-メトキシ-4-モルホリノフェニル)カルバメート(式4の化合物)が提供される。
【0023】
本発明の更に別の態様では、式5:
【0024】
【化7】
[式中、Yは、ハロゲンである]の化合物又はその塩が提供される。
【0025】
本発明の更に別の態様では、tert-ブチル(5-アミノ-2-メトキシ-4-モルホリノフェニル)カルバメート(式6の化合物)が提供される。
【0026】
本発明の更に別の態様では、tert-ブチル(2-メトキシ-4-モルホリノ-5-ニトロフェニル)カルバメート(式7の化合物)が提供される。
【0027】
発明の有利な効果
本発明のプロセスによると、N-(5-(4-(4-((ジメチルアミノ)メチル)-3-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)ピリミジン-2-イルアミノ)-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミド(式1の化合物)を新規中間体、すなわち、式2、式3、式4、式5、式6、及び式7の化合物により調製することによって、先行技術のプロセスに伴う問題を効果的に解決することができる。すなわち、本発明のプロセスは、式5の化合物を式6の化合物から調製することと、次いで、式5の化合物を式4の化合物に変換することと、あるいはその後、式4の化合物を式3の化合物に変換することと、を含み、それによって塩化アクリロイルの使用を回避することが可能である。また、本発明のプロセスでは、不純物の除去及び制御を容易に行うことができる。更に、本発明によると、式6の化合物を調製するためのステップ(すなわち、還元ステップ)において鉄及び塩化アンモニウムの使用を回避することができるため、上記のプロセスによると、鉄の使用によって生じる反応器内での腐食及び汚染の問題を解決することが可能であり、したがって、工業的な大量生産に好適である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、N-(5-(4-(4-ホルミル-3-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)ピリミジン-2-イルアミノ)-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミド(式2の化合物)を調製するための新規プロセスを提供するものであり、これは、N-(5-((4-(4-((ジメチルアミノ)メチル)-3-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミド(式1の化合物)又はその薬学的に許容される塩の重要な合成中間体のうちの1つである。すなわち、本発明は、式2の化合物を新規中間体により調製するための新規プロセス、及びそれを用いる、式1の化合物又はその薬学的に許容される塩を調製するためのプロセスを提供する。本発明のプロセスの全体的な反応スキームは、以下の反応スキーム1として表される。
【0029】
【化8】
【0030】
反応スキーム1において、X、Y、及びZは、互いに独立して、ハロゲンである。
【0031】
以下、反応スキーム1のそれぞれのステップを参照して、本発明のプロセスを詳細に説明する。
【0032】
本発明は、N-(5-(4-(4-ホルミル-3-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)ピリミジン-2-イルアミノ)-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミド(式2の化合物)を調製するためのプロセスを提供するものであり、このプロセスは、tert-ブチル(5-アクリルアミド-2-メトキシ-4-モルホリノフェニル)カルバメート(式4の化合物)又はN-(5-アミノ-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミド(式3の化合物)を式13:
【0033】
【化9】
[式中、Zは、ハロゲンである]の化合物と反応させることを含む。
【0034】
本発明のプロセスにおいて、N-(5-アミノ-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミド(式3の化合物)は、tert-ブチル(5-アクリルアミド-2-メトキシ-4-モルホリノフェニル)カルバメート(式4の化合物)を酸と反応させることによって得ることができる。酸は、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、酢酸、ギ酸、スルホン酸、及びp-トルエンスルホン酸からなる群から選択される1種以上であってもよい。好ましくは、酸は、p-トルエンスルホン酸又は塩酸であってもよい。用いる酸の量は特に限定されないが、酸を、例えば、1当量の式4の化合物当たり1~10当量の範囲の比率で用いてもよい。また、式4の化合物と酸との反応を、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、C~Cアルコール、エチルアセテート、及びトルエンからなる群から選択される1種以上の溶媒の存在下で行うことができる。好ましくは、溶媒は、C~Cアルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、又はブタノールであってもよい。
【0035】
tert-ブチル(5-アクリルアミド-2-メトキシ-4-モルホリノフェニル)カルバメート(式4の化合物)と式13の化合物との反応を、酸の存在下で行うことができる。酸は、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、酢酸、ギ酸、スルホン酸、及びp-トルエンスルホン酸からなる群から選択される1種以上であってもよい。好ましくは、酸は、p-トルエンスルホン酸又は塩酸であってもよい。用いる酸の量は特に限定されないが、酸を、例えば、1当量の式4の化合物当たり0.01~1当量の範囲の比率で用いてもよい。また、式4の化合物と式13の化合物との反応を、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、C~Cアルコール、エチルアセテート、及びトルエンからなる群から選択される1種以上の溶媒の存在下で行うことができる。好ましくは、溶媒は、C~Cアルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、又はブタノールであってもよい。
【0036】
また、N-(5-アミノ-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミド(式3の化合物)と式13の化合物との反応を、金属触媒、配位子、及び塩基の存在下で行うことができる。金属触媒は、パラジウム、銅、鉄、カドミウム、亜鉛、及びニッケルからなる群から選択される1種以上であってもよい。好ましくは、金属触媒は、酢酸パラジウム、パラジウムアセチルアセトネート、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、又はトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムであってもよい。配位子は、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフタレン(BINAP)、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(DPPF)、及び4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(キサントホス)からなる群から選択される1種以上であってもよい。好ましくは、配位子は、4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(キサントホス)であってもよい。金属触媒及び配位子は、1当量の式3の化合物当たり0.05~1当量の範囲の比率で用いてもよいが、その量は、それに対する比率によって変化する場合がある。また、塩基は、カリウムtert-ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸カリウム(リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、及びリン酸三カリウムを含む)、リン酸ナトリウム(リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、及びリン酸三ナトリウムを含む)、炭酸セシウム、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ-7-エン(DBU)、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ-5-エン(DBN)、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、及びジイソプロピルエチルアミンからなる群から選択される1種以上であってもよい。また、式3の化合物と式13の化合物との反応を、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、C~Cアルコール、エチルアセテート、及びトルエンからなる群から選択される1種以上の溶媒の存在下で行うことができる。溶媒は、好ましくは、C~Cアルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、又はブタノールであってもよく、より好ましくは、テトラヒドロフランであってもよい。また、式3の化合物と式13の化合物との反応を、40~150℃、好ましくは70~90℃の範囲の温度で行うことができる。
【0037】
また、式3の化合物と式13の化合物との反応を、酸の存在下で行うことができる。酸は、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、酢酸、ギ酸、スルホン酸、及びp-トルエンスルホン酸からなる群から選択される1種以上であってもよい。好ましくは、酸は、p-トルエンスルホン酸又は塩酸であってもよい。用いる酸の量は特に限定されないが、酸を、例えば、1当量の式3の化合物当たり0.01~1当量の範囲の比率で用いてもよい。また、式3の化合物と式13の化合物との反応を、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、C~Cアルコール、エチルアセテート、及びトルエンからなる群から選択される1種以上の溶媒の存在下で行うことができる。好ましくは、溶媒は、C~Cアルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、又はブタノールであってもよい。
【0038】
本発明のプロセスにおいて、tert-ブチル(5-アクリルアミド-2-メトキシ-4-モルホリノフェニル)カルバメート(式4の化合物)は、(i)tert-ブチル(5-アミノ-2-メトキシ-4-モルホリノフェニル)カルバメート(式6の化合物)を式11の化合物と反応させ、式5の化合物を形成するステップと、
【0039】
【化10】
【0040】
【化11】
[式中、X及びYは、互いに独立して、ハロゲンである](ii)式5の化合物を塩基と反応させ、tert-ブチル(5-アクリルアミド-2-メトキシ-4-モルホリノフェニル)カルバメート(式4の化合物)を得るステップと、を含む、プロセスによって得ることができる。
【0041】
本発明のプロセスの一実施形態では、ステップ(i)とステップ(ii)とを、ワンポット反応で、式5の化合物を単離することなく行うことができる。したがって、本発明のプロセスは、工業的な大量生産に好適である。
【0042】
ステップ(i)の反応、すなわち、式6の化合物と式11の化合物との反応を、カリウムtert-ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水素化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸カリウム(リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、及びリン酸三カリウムを含む)、リン酸ナトリウム(リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、及びリン酸三ナトリウムを含む)、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ-7-エン(DBU)、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ-5-エン(DBN)、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、及びジイソプロピルエチルアミンからなる群から選択される1種以上の塩基の存在下で行うことができる。塩基は、1当量の式6の化合物当たり1~5当量、好ましくは1~3当量の範囲の量で用いてもよい。また、反応を、アセトン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホンアミド、テトラヒドロフラン、ヘキサメチルホスホラミド、C~Cアルコール、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチルアセテート、ジメトキシエタン、及びトルエンからなる群から選択される1種以上の溶媒の存在下で行うことができる。好ましくは、溶媒は、アセトン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、又はC~Cアルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなど)であってもよい。より好ましくは、溶媒は、アセトニトリルであってもよい。反応を、0~100℃、好ましくは10~30℃の範囲の温度で行うことができる。
【0043】
ステップ(ii)の反応、すなわち、式5の化合物と塩基との反応において、塩基は、カリウムtert-ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水素化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸カリウム(リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、及びリン酸三カリウムを含む)、リン酸ナトリウム(リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、及びリン酸三ナトリウムを含む)、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ-7-エン(DBU)、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ-5-エン(DBN)、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、及びジイソプロピルエチルアミンからなる群から選択される1種以上であってもよい。塩基は、好ましくは、水酸化ナトリウム、トリエチルアミン、又はジイソプロピルアミン、より好ましくはトリエチルアミンであってもよい。塩基は、1当量の式6の化合物当たり1~20当量、好ましくは5~10当量の範囲の量で用いてもよい。また、反応を、アセトニトリル、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、C~Cアルコール、トルエン、エチルアセテート、イソプロピルアセテート、ジエチルエーテル、水、及びこれらの混合物からなる群から選択される溶媒の存在下で行うことができる。好ましくは、溶媒は、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、アセトン、ジクロロメタン、水、及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。より好ましくは、溶媒は、アセトニトリルであってもよい。式5の化合物と塩基との反応を、40~150℃の範囲の温度、好ましくは60~100℃の範囲の温度、より好ましくは用いる溶媒の還流温度で行うことができる。
【0044】
本発明のプロセスにおいて、tert-ブチル(5-アミノ-2-メトキシ-4-モルホリノフェニル)カルバメート(式6の化合物)は、tert-ブチル(2-メトキシ-4-モルホリノ-5-ニトロフェニル)カルバメート(式7の化合物)の還元を行うことによって得ることができる。還元を、ギ酸及びギ酸アンモニウムからなる群から選択される還元剤を用いて行うことができる。還元剤は、1当量の式7の化合物当たり1~15当量の範囲の量であってもよい。また、還元を、パラジウム、パラジウム/炭素、亜鉛、銅、マグネシウム、及び白金からなる群から選択される触媒の存在下で、好ましくはパラジウム/炭素の存在下で行うことができる。反応を、不活性溶媒の存在下で、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ヘキサメチルホスホラミド、C~Cアルコール、ジエチルエーテル、エチルアセテート、アセトニトリル、及びアセトンからなる群から選択される1種以上の溶媒の存在下で行うことができる。好ましくは、溶媒は、テトラヒドロフラン又はエタノールであってもよい。また、反応を、0~50℃、好ましくは20~30℃の範囲の温度で行うことができる。
【0045】
本発明のプロセスにおいて、tert-ブチル(2-メトキシ-4-モルホリノ-5-ニトロフェニル)カルバメート(式7の化合物)は、tert-ブチル(4-フルオロ-2-メトキシ-5-ニトロフェニル)カルバメート(式8の化合物)をモルホリンと反応させることによって得ることができる。式8の化合物とモルホリンとの反応を、水素化ナトリウム、ナトリウムC~Cアルコキシド、カリウムC~Cアルコキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸カリウム、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ-7-エン(DBU)、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ-5-エン(DBN)、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン、及びジイソプロピルエチルアミンからなる群から選択される1種以上の塩基の存在下で行うことができる。好ましくは、塩基は、トリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミンであってもよい。また、式8の化合物とモルホリンとの反応を、不活性溶媒の存在下で、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ヘキサメチルホスホラミド、C~Cアルコール、ジエチルエーテル、エチルアセテート、アセトニトリル、及びアセトンからなる群から選択される1種以上の溶媒の存在下で行うことができる。好ましくは、溶媒は、アセトニトリル及び/又はテトラヒドロフランであってもよい。また、反応を、0~100℃、好ましくは70~80℃の範囲の温度で行うことができる。
【0046】
本発明のプロセスにおいて、tert-ブチル(4-フルオロ-2-メトキシ-5-ニトロフェニル)カルバメート(式8の化合物)は、4-フルオロ-2-メトキシ-5-ニトロアニリン(式9の化合物)をジブチルジカーボネートと反応させることによって得られる。式9の化合物とジブチルジカーボネートとの反応を、水素化ナトリウム、ナトリウムC~Cアルコキシド、カリウムC~Cアルコキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸カリウム、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ-7-エン(DBU)、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ-5-エン(DBN)、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、及びトリエチルアミンからなる群から選択される1種以上の塩基の存在下で行うことができる。好ましくは、塩基は、トリエチルアミンであってもよい。また、反応性を向上させるために、4-ジメチルアミノピリジンを更に用いてもよい。反応を、不活性溶媒の存在下で、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ヘキサメチルホスホラミド、C~Cアルコール、ジエチルエーテル、エチルアセテート、アセトニトリル、及びアセトンからなる群から選択される1種以上の溶媒の存在下で行うことができる。好ましくは、溶媒は、ジクロロメタンであってもよい。また、反応を、0~50℃、好ましくは20~30℃の範囲の温度で行うことができる。
【0047】
一実施形態では、反応スキーム1において中間体として用いる式13の化合物は、式14:
【0048】
【化12】
[式中、Z及びZ’は、互いに独立して、ハロゲンである]の化合物を3-フェニル-1H-ピラゾール-4-カルバルデヒド(式15の化合物)と反応させることによって得ることができる。
【0049】
式14の化合物と式15の化合物との反応を、水素化ナトリウム、ナトリウムC~Cアルコキシド、カリウムC~Cアルコキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸カリウム、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ-7-エン(DBU)、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ-5-エン(DBN)、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、及びトリエチルアミンからなる群から選択される1種以上の塩基の存在下で行うことができる。好ましくは、塩基は、炭酸カリウムであってもよい。反応を、不活性溶媒の存在下で、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ヘキサメチルホスホラミド、C~Cアルコール、ジエチルエーテル、エチルアセテート、アセトニトリル、及びアセトンからなる群から選択される1種以上の溶媒の存在下で行うことができる。好ましくは、溶媒は、ジメチルホルムアミドであってもよい。また、反応を、0~50℃、好ましくは0~10℃の範囲の温度で行うことができる。
【0050】
本発明の上記のプロセスにより得られたN-(5-(4-(4-ホルミル-3-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)ピリミジン-2-イルアミノ)-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミド(式2の化合物)を、上記の反応スキーム1により、式1の化合物又はその薬学的に許容される塩に変換することができる。例えば、変換は、(a)式2の化合物をジメチルアミン又はその酸付加塩と、還元剤及び塩基の存在下で反応させ、N-(5-(4-(4-((ジメチルアミノ)メチル)-3-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)ピリミジン-2-イルアミノ)-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミド(式1の化合物)を形成するステップと、(b)N-(5-(4-(4-((ジメチルアミノ)メチル)-3-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)ピリミジン-2-イルアミノ)-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミド(式1の化合物)をステップ(a)の反応混合物から単離するステップと、を含んでもよい。
【0051】
ステップ(a)の反応は、還元的アミノ化である。上記の還元的アミノ化に用いる還元剤は、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、及び水素化ホウ素ナトリウムからなる群から選択される1種以上であってもよい。好ましくは、還元剤は、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムであってもよい。還元剤は、1当量の式2の化合物当たり1~5当量、好ましくは1~3当量の範囲の量で用いてもよいが、その量は、還元剤によって変化する場合がある。上記の反応に用いる塩基は、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸カリウム(リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、及びリン酸三カリウムを含む)、リン酸ナトリウム(リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、及びリン酸三ナトリウムを含む)、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ-7-エン(DBU)、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ-5-エン(DBN)、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、及びジイソプロピルエチルアミンからなる群から選択される1種以上であってもよい。上記の還元的アミノ化を、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、及びエチルアセテートからなる群から選択される1種以上の溶媒の存在下で行うことができる。また、上記の反応を、0~50℃、好ましくは20~30℃の範囲の温度で行うことができる。したがって、本発明のプロセスは、穏やかな条件下で行うことができるものであり、ひいては、工業的な大量生産に好適である。
【0052】
ステップ(b)の単離を、ステップ(a)の反応混合物からの結晶化によって行うことができる。例えば、ステップ(b)の単離を、ステップ(a)の反応混合物に貧溶媒を添加することによる結晶化によって行うことができる。貧溶媒は、C~Cアルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなど)、水、又はこれらの混合物、好ましくは水であってもよい。用いる貧溶媒の量は特に限定されないが、貧溶媒を、例えば、式2の化合物に基づいて、2~20倍、好ましくは3~10倍の範囲の重量比で用いてもよい。また、単離するステップを、0~40℃、好ましくは20~30℃の範囲の温度で行うことができる。したがって、本発明のプロセスは、穏やかな条件下で行うことができるものであり、ひいては、工業的な大量生産に好適である。
【0053】
本発明は、その範囲内に、上記の新規プロセスに有用な新規中間体を含む。
【0054】
すなわち、本発明は、N-(5-アミノ-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミド(式3の化合物)を提供する。
【0055】
また、本発明は、tert-ブチル(5-アクリルアミド-2-メトキシ-4-モルホリノフェニル)カルバメート(式4の化合物)を提供する。
【0056】
また、本発明は、式5:
【0057】
【化13】
[式中、Yは、ハロゲンである]の化合物又はその塩を提供する。
【0058】
また、本発明は、tert-ブチル(5-アミノ-2-メトキシ-4-モルホリノフェニル)カルバメート(式6の化合物)を提供する。
【0059】
また、本発明は、tert-ブチル(2-メトキシ-4-モルホリノ-5-ニトロフェニル)カルバメート(式7の化合物)を提供する。
【0060】
以下の実施例は、例示目的のためにのみ示されるものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0061】
実施例1.1-(2-クロロピリミジン-4-イル)-3-フェニル-1H-ピラゾール-4-カルバルデヒド(化合物13)の調製
2,4-ジクロロピリミジン(30.0g、0.201mol)、炭酸カリウム(55.6g、0.402mol)、及びジメチルホルムアミド(180.0mL)の混合物を0~5℃まで冷却し、次いでこれに3-フェニル-1H-ピラゾール-4-カルバルデヒド(41.6g、0.242mol)を添加した。反応混合物を15時間撹拌し、次いでこれに精製水(1.2L)を添加した。得られた固形分を濾過し、次いで減圧下で乾燥させ、48.8gの表題化合物を得た。(収率:85.1%)
H-NMR(400MHz,DMSO)δ10.08(s,1H)、9.52(s,1H)、8.94~8.95(d,1H)、8.09~8.10(d,1H)、7.96~8.01(m,2H)、7.52~7.55(m,3H)
【0062】
実施例2.tert-ブチル(4-フルオロ-2-メトキシ-5-ニトロフェニル)カルバメート(化合物8)の調製
4-フルオロ-2-メトキシ-5-ニトロアニリン(60.0g、0.322mol)及びジクロロメタン(500.0mL)の混合物を0~5℃まで冷却した。ジブチルジカーボネート(91.5g、0.419mol)のジクロロメタン(120.0mL)溶液、4-ジメチルアミノピリジン(3.9g、0.032mol)、及びトリエチルアミン(65.2g、0.645mol)を、混合物に添加した。反応混合物を20~30℃で4時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮して、92.3gの表題化合物を得た。(収率:100.0%)
H-NMR(400MHz,CDCl)δ8.88(d,1H)、6.98(s,1H)、6.72(d,1H)、3.95(s,3H)、1.54(s,9H)
【0063】
実施例3.tert-ブチル(2-メトキシ-4-モルホリノ-5-ニトロフェニル)カルバメート(化合物7)の調製
tert-ブチル(4-フルオロ-2-メトキシ-5-ニトロフェニル)カルバメート(92.3g、0.322mol)、アセトニトリル(600.0mL)、ジイソプロピルエチルアミン(54.1g、0.419mol)、及びモルホリン(36.5g、0.419mol)の混合物を、撹拌下で約3時間還流させた。反応混合物を減圧下で濃縮し、99.0gの表題化合物を得た。
H-NMR(400MHz,CDCl)δ8.71(s,1H)、6.92(s,1H)、6.57(s,1H)、3.95(s,3H)、3.86(t,4H)、3.03(t,4H)、1.53(s,9H)
【0064】
実施例4.tert-ブチル(5-アミノ-2-メトキシ-4-モルホリノフェニル)カルバメート(化合物6)の調製
tert-ブチル(2-メトキシ-4-モルホリノ-5-ニトロフェニル)カルバメート(120.0g、0.340mol)、テトラヒドロフラン(1.2L)、エタノール(1.2L)、ギ酸アンモニウム(180.0g、2.854mol)、及びパラジウム/炭素(12.0g)の混合物を、15~25℃で2時間撹拌し、次いでセライトパッドを通して濾過した。得られた濾液を減圧下で濃縮した。ジクロロメタン(1.4L)及び精製水(1.0L)を得られた残渣に添加し、次いで1時間撹拌した。分離した有機層を減圧下で濃縮し、100.5gの表題化合物を得た。(収率:91.5%)
H-NMR(400MHz,CDCl)δ7.59(s,1H)、6.97(s,1H)、6.60(s,1H)、3.95(t,4H)、3.80(s,3H)、2.87(t,4H)、1.51(s,9H)
【0065】
実施例5.tert-ブチル(5-アクリルアミド-2-メトキシ-4-モルホリノフェニル)カルバメート(化合物4)の調製
tert-ブチル(5-アミノ-2-メトキシ-4-モルホリノフェニル)カルバメート(10.0g、0.031mol)、アセトニトリル(100.0mL)、重炭酸ナトリウム(7.8g、0.093mol)、及び3-クロロプロピオニルクロライド(5.1g、0.040mol)の混合物を、20~30℃で1時間撹拌し、tert-ブチル(5-(3-クロロプロパンアミド)-2-メトキシ-4-モルホリノフェニル)カルバメート(化合物5)を形成させた。トリエチルアミン(31.3g、0.309mol)を反応混合物に添加し、これを撹拌下で約7時間還流させ、20~30℃まで冷却し、次いで濾過した。得られた濾液を減圧下で濃縮し、11.5gの表題化合物を得た。(収率:98.5%)
H-NMR(400MHz,CDCl)δ9.11(s,1H)、8.38(s,1H)、6.91(s,1H)、6.69(s,1H)、6.41(d,H)、6.27(t,1H)、5.74(d,1H)、3.85(m,7H)、2.84(t,4H)、1.52(s,9H)
【0066】
実施例6.N-(5-アミノ-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミド(化合物3)の調製
tert-ブチル(5-アクリルアミド-2-メトキシ-4-モルホリノフェニル)カルバメート(38.0g、0.100mol)、エタノール(380.0mol)、及び濃塩酸(52.4g、0.503mol)の混合物を、50~60℃で2時間撹拌した。反応混合物を、20~30℃まで冷却した。ジクロロメタン(500mL)、精製水(500mL)、及び重炭酸ナトリウム(63.4g、0.755mol)を反応混合物に添加し、次いで1時間撹拌した。分離した有機層を減圧下で濃縮し、25.4gの表題化合物を得た。(収率:91.7%)
H-NMR(400MHz,CDCl)δ8.67(s,1H)、7.96(s,1H)、6.68(s,1H)、6.36(d,1H)、6.25(t,1H)、5.74(d,1H)、3.83(m,9H)、2.83(t,4H)
【0067】
実施例7.N-(5-(4-(4-ホルミル-3-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)ピリミジン-2-イルアミノ)-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミド(化合物2)の調製
N-(5-アミノ-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミド(0.2g、0.721mmol)、テトラヒドロフラン(2.0mL)、1-(2-クロロピリミジン-4-イル)-3-フェニル-1H-ピラゾール-4-カルバルデヒド(0.2g、0.721mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.03g、0.036mmol)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(0.04g、0.072mmol、及び炭酸セシウム(0.47g、1.442mmol)の混合物を、撹拌下で16時間還流させた。反応混合物を20~30℃まで冷却し、次いで精製水(2.0mL)をゆっくり添加した。得られた固形分を濾過し、次いで減圧下で乾燥させ、0.32gの表題化合物を得た。(収率:84.4%)
H-NMR(400MHz,DMSO)δ10.15(s,1H)、9.95(br,1H)、9.17(s,1H)、8.98(br,1H)、8.62(d,1H)、8.37(s,1H)、8.02(m,2H)、7.51(m,3H)、7.38(d,1H)、6.94(s,1H)、6.73(dd,1H)、6.30(d,1H)、5.80(d,1H)、3.90(s,3H)、3.82(t,4H)、2.86(t,4H)
【0068】
実施例8.N-(5-(4-(4-ホルミル-3-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)ピリミジン-2-イルアミノ)-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミド(化合物2)の調製
N-(5-アミノ-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミド(1.0g、3.606mmol)、1-(2-クロロピリミジン-4-イル)-3-フェニル-1H-ピラゾール-4-カルバルデヒド(1.0g、3.512mmol)、ブタノール(15mL)、及び濃塩酸(0.03mL、0.361mmol)の混合物を、約80℃で16時間撹拌した。反応混合物を50℃まで冷却し、次いでこれにエチルアセテート(20.0mL)をゆっくり添加した。得られた固形分を濾過し、次いで減圧下で乾燥させ、1.23gの表題化合物を得た。(収率:64.9%)
H-NMR(400MHz,DMSO)δ10.15(s,1H)、9.95(br,1H)、9.17(s,1H)、8.98(br,1H)、8.62(d,1H)、8.37(s,1H)、8.02(m,2)、7.51(m,3H)、7.38(d,1H)、6.94(s,1H)、6.73(dd,1H)、6.30(d,1H)、5.80(d,1H)、3.90(s,3H)、3.82(t,4H)、2.86(t,4H)
【0069】
実施例9.N-(5-(4-(4-ホルミル-3-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)ピリミジン-2-イルアミノ)-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミド(化合物2)の調製
tert-ブチル(5-アクリルアミド-2-メトキシ-4-モルホリノフェニル)カルバメート(0.25g、0.662mmol)、1-(2-クロロピリミジン-4-イル)-3-フェニル-1H-ピラゾール-4-カルバルデヒド(0.20g、0.702mmol)、ブタノール(2mL)、及び濃塩酸(0.08mL、0.066mmol)の混合物を、約80℃で16時間撹拌した。反応混合物を50℃まで冷却し、次いでこれにエチルアセテート(20.0mL)をゆっくり添加した。得られた固形分を濾過し、次いで減圧下で乾燥させ、0.2gの表題化合物を得た。(収率:57.4%)
H-NMR(400MHz,DMSO)δ10.15(s,1H)、9.95(br,1H)、9.17(s,1H)、8.98(br,1H)、8.62(d,1H)、8.37(s,1H)、8.02(m,2)、7.51(m,3H)、7.38(d,1H)、6.94(s,1H)、6.73(dd,1H)、6.30(d,1H)、5.80(d,1H)、3.90(s,3H)、3.82(t,4H)、2.86(t,4H)
【0070】
実施例10.N-(5-(4-(4-((ジメチルアミノ)メチル)-3-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)ピリミジン-2-イルアミノ)-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミド(化合物1)の調製
N-(5-(4-(4-ホルミル-3-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)ピリミジン-2-イルアミノ)-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミド(3.0g、0.006mol)、ジメチルアセトアミド(30.0mL)、ジメチルアミン塩酸塩(0.9g、0.011mol)、及びジイソプロピルエチルアミン(3.7g、0.029mol)の混合物を、20~30℃で1時間撹拌した。トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(3.6g、0.017mol)を反応混合物に添加し、20~30℃で1時間撹拌した。精製水(30.0mL)を反応混合物に添加し、次いで1時間撹拌した。得られた固形分を減圧下で濾過し、次いで減圧下で乾燥させ、2.9gの表題化合物を得た。(収率:92.0%)
H-NMR(400MHz,DMSO)δ9.15(s,2H)、9.08(s,1H)、8.54(d,1H)、8.18(s,1H)、8.05(d,2H)、7.48(m,2H)、7.36(m,1H)、7.34(d,1H)、6.96(s,1H)、6.74(q,1H)、6.44(d,1H)、5.85(d,1H)、3.91(s,3H)、3.82(s,4H)、3.46(1s,1H)、2.86(s,4H)、2.21(s,6H)

以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[請求項1]
N-(5-(4-(4-ホルミル-3-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)ピリミジン-2-イルアミノ)-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミドを調製するためのプロセスであって、tert-ブチル(5-アクリルアミド-2-メトキシ-4-モルホリノフェニル)カルバメート又はN-(5-アミノ-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミドを式13:
【化1】
[式中、Zは、ハロゲンである]の化合物と反応させることを含む、プロセス。
[請求項2]
前記N-(5-アミノ-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミドが、tert-ブチル(5-アクリルアミド-2-メトキシ-4-モルホリノフェニル)カルバメートを酸と反応させることによって得られる、請求項1に記載のプロセス。
[請求項3]
前記酸が、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、酢酸、ギ酸、スルホン酸、及びp-トルエンスルホン酸からなる群から選択される1種以上である、請求項2に記載のプロセス。
[請求項4]
tert-ブチル(5-アクリルアミド-2-メトキシ-4-モルホリノフェニル)カルバメートと前記式13の化合物との前記反応を、酸の存在下で行う、請求項1に記載のプロセス。
[請求項5]
前記酸が、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、酢酸、ギ酸、スルホン酸、及びp-トルエンスルホン酸からなる群から選択される1種以上である、請求項4に記載のプロセス。
[請求項6]
前記N-(5-アミノ-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミドと前記式13の化合物との前記反応を、金属触媒、配位子、及び塩基の存在下で行う、請求項1に記載のプロセス。
[請求項7]
前記金属触媒が、パラジウム、銅、鉄、カドミウム、亜鉛、及びニッケルからなる群から選択される1種以上である、請求項6に記載のプロセス。
[請求項8]
前記金属触媒が、酢酸パラジウム、パラジウムアセチルアセトネート、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、又はトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムである、請求項7に記載のプロセス。
[請求項9]
前記配位子が、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフタレン、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、及び4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテンからなる群から選択される1種以上である、請求項6に記載のプロセス。
[請求項10]
前記塩基が、カリウムtert-ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、炭酸セシウム、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ-7-エン、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ-5-エン、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、及びジイソプロピルエチルアミンからなる群から選択される1種以上である、請求項6に記載のプロセス。
[請求項11]
N-(5-アミノ-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミドと前記式13の化合物との前記反応を、酸の存在下で行う、請求項1に記載のプロセス。
[請求項12]
前記酸が、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、酢酸、ギ酸、スルホン酸、及びp-トルエンスルホン酸からなる群から選択される1種以上である、請求項11に記載のプロセス。
[請求項13]
前記tert-ブチル(5-アクリルアミド-2-メトキシ-4-モルホリノフェニル)カルバメートが、
(i)tert-ブチル(5-アミノ-2-メトキシ-4-モルホリノフェニル)カルバメートを式11の化合物と反応させ、式5の化合物を形成するステップと、
【化2】
【化3】
[式中、X及びYは、互いに独立して、ハロゲンである]
(ii)前記式5の化合物を塩基と反応させ、tert-ブチル(5-アクリルアミド-2-メトキシ-4-モルホリノフェニル)カルバメートを得るステップと、
を含む、プロセスによって得られる、請求項1~12のいずれか一項に記載のプロセス。
[請求項14]
ステップ(i)とステップ(ii)とを、ワンポット反応で、前記式5の化合物を単離することなく行う、請求項13に記載のプロセス。
[請求項15]
前記ステップ(i)の反応又は前記ステップ(ii)の反応を、カリウムtert-ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水素化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ-7-エン、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ-5-エン、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、及びジイソプロピルエチルアミンからなる群から選択される1種以上の塩基の存在下で行う、請求項13に記載のプロセス。
[請求項16]
前記tert-ブチル(5-アミノ-2-メトキシ-4-モルホリノフェニル)カルバメートが、tert-ブチル(2-メトキシ-4-モルホリノ-5-ニトロフェニル)カルバメートの還元を行うことによって得られる、請求項13に記載のプロセス。
[請求項17]
前記還元を、ギ酸及びギ酸アンモニウムからなる群から選択される還元剤を用いて行う、請求項16に記載のプロセス。
[請求項18]
前記還元を、パラジウム、パラジウム/炭素、亜鉛、銅、マグネシウム、及び白金からなる群から選択される触媒の存在下で行う、請求項16に記載のプロセス。
[請求項19]
前記tert-ブチル(2-メトキシ-4-モルホリノ-5-ニトロフェニル)カルバメートが、tert-ブチル(4-フルオロ-2-メトキシ-5-ニトロフェニル)カルバメートをモルホリンと反応させることによって得られる、請求項16に記載のプロセス。
[請求項20]
前記反応を、水素化ナトリウム、ナトリウムC ~C アルコキシド、カリウムC ~C アルコキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸カリウム、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ-7-エン、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ-5-エン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン、及びジイソプロピルエチルアミンからなる群から選択される1種以上の塩基の存在下で行う、請求項19に記載のプロセス。
[請求項21]
前記tert-ブチル(4-フルオロ-2-メトキシ-5-ニトロフェニル)カルバメートが、4-フルオロ-2-メトキシ-5-ニトロアニリンをジブチルジカーボネートと反応させることによって得られる、請求項19に記載のプロセス。
[請求項22]
前記式13の化合物が、式14:
【化4】
[式中、Z及びZ’は、互いに独立して、ハロゲンである]の化合物を3-フェニル-1H-ピラゾール-4-カルバルデヒドと反応させることによって得られる、請求項1~12のいずれか一項に記載のプロセス。
[請求項23]
N-(5-アミノ-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミド。
[請求項24]
tert-ブチル(5-アクリルアミド-2-メトキシ-4-モルホリノフェニル)カルバメート。
[請求項25]
式5:
【化5】
[式中、Yは、ハロゲンである]の化合物又はその塩。
[請求項26]
tert-ブチル(5-アミノ-2-メトキシ-4-モルホリノフェニル)カルバメート。
[請求項27]
tert-ブチル(2-メトキシ-4-モルホリノ-5-ニトロフェニル)カルバメート。