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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20221207BHJP
【FI】
G06Q30/02 394
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020515340
(86)(22)【出願日】2018-04-24
(86)【国際出願番号】 JP2018016609
(87)【国際公開番号】W WO2019207645
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000155469
【氏名又は名称】株式会社野村総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100141519
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 邦之
(72)【発明者】
【氏名】青山 慎
(72)【発明者】
【氏名】有川 慎一朗
【審査官】加舎 理紅子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-176787(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0270154(US,A1)
【文献】特表2016-517094(JP,A)
【文献】特表2003-523578(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0192190(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0082400(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のデータ提供サーバにより管理されるウェブサイトにアクセス可能な複数の訪問者端末のウェブサイト内活動履歴情報であって、前記ウェブサイト内活動の活動属性に基づいて分類される1以上のセグメントに関連付けられた前記ウェブサイト内活動情報を取得することと、
前記複数の訪問者端末の前記ウェブサイト内活動履歴情報に基づいて、各々の訪問者端末がインターネットを自動的に巡回してタスクを実行する巡回コンピュータプログラムでの実行が難しい自動化困難活動であって、前記1以上のセグメントに対応する前記自動化困難活動に関する情報を特定することと、
前記1以上のセグメントに対応する前記自動化困難活動に関する情報の集計情報に基づいて、各々の訪問者端末が前記巡回コンピュータプログラムに従って自動的にウェブサイト内活動を行っていないことの信頼性を数値化した信頼度を算出することと、
前記複数の訪問者端末の識別情報の中から、前記信頼度が所定の信頼度以上であり、且つ所定のセグメントに関連する1以上の訪問者端末の識別情報を抽出して出力することと、を
コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項2】
前記1以上の訪問者端末の前記識別情報を抽出して出力することは、前記信頼度が所定の値以上であり所定のセグメントに分類されるウェブサイト内活動を行った1以上の訪問者端末の識別情報を抽出して出力する、請求項記載のコンピュータプログラム。
【請求項3】
前記1以上の訪問者端末の前記識別情報は、ウェブ広告の配信管理を行う管理装置に送信される、請求項1または2のうち何れか1項記載のコンピュータプログラム。
【請求項4】
前記複数の訪問者端末の前記識別情報は、複数のデータ提供サーバ間で共通して識別可能な識別子である、請求項1乃至のうち何れか1項記載のコンピュータプログラム。
【請求項5】
前記セグメントの選択と、ウェブ広告を配信する対象の前記信頼度の基準値と、を受け付け、
前記受け付けた、選択された前記セグメント及び前記信頼度の基準値の双方を満たす対象訪問者の数を表示する、請求項1乃至4のうち何れか1項記載のコンピュータプログラム。
【請求項6】
同一ブラウザで複数のサイトにアクセスする訪問者端末については、同一の訪問者IDを設定し、
前記訪問者端末は、前記訪問者IDに基づいて識別される、請求項1乃至5のうち何れか1項記載のコンピュータプログラム。
【請求項7】
前記複数の訪問者端末の識別情報の各々は、当該コンピュータと前記1以上のデータ提供サーバとが共通して認識可能な訪問者IDである、請求項1乃至6のうち何れか1項記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェブサイトにアクセス可能な訪問者端末に関する情報の処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、情報提供サイトにアクセスしたユーザ端末に、ユーザのセグメントに応じて広告の再配信(例えば、リターゲティング)用の処理が記述された媒体タグを送信することにより、当該ユーザ端末を操作するユーザに合致した広告の再配信を効果的に行うことが記載されている。
【0003】
また、近年、デジタルマーケティング技術の高度化により、特に「リアルタイムビッディング」と呼ばれる、Web訪問者の属性に応じてリアルタイムに広告内容を出し分ける仕組みが国内外で普及し始めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開2015/170372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した「リアルタイムビッディング」においては、アドフラウドと呼ばれる「悪意のあるメディア(広告を掲載するWebサイト運営者)が、例えばインターネットボットと呼ばれるような、自動的にインターネット上のウェブサイトを巡回してタスクを実行する巡回コンピュータプログラムを利用して、広告主から不正に広告費を搾取する活動」が盛んになっている。このようなアドフラウドは、広告業界にとって大きな問題となっている。アドフラウドを未然に防ぐため、定量的な評価指標に基づいて、上記のような巡回コンピュータプログラムによってウェブサイト内活動を行っていないWeb訪問者(訪問者端末)に関する評価情報を、例えば広告主、及び広告配信の管理者などに提供することが望まれる。
【0006】
本発明の目的は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、インターネットを自動的に巡回してタスクを実行する巡回コンピュータプログラムに従ったウェブサイト内活動を訪問者端末が行っていないことを定量的な評価指標により評価することが可能なコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のコンピュータプログラムは、1以上のデータ提供サーバにより管理されるウェブサイトにアクセス可能な複数の訪問者端末のウェブサイト内活動履歴情報を取得することと、前記複数の訪問者端末の前記ウェブサイト内活動履歴情報に基づいて、各々の訪問者端末がインターネットを自動的に巡回してタスクを実行する巡回コンピュータプログラムでの実行が難しい自動化困難活動に関する情報を特定することと、前記自動化困難活動に関する情報に基づいて、各々の訪問者端末が前記巡回コンピュータプログラムに従って自動的にウェブサイト内活動を行っていないことの信頼性を数値化した信頼度を算出することと、前記複数の訪問者端末の識別情報の中から、前記信頼度が所定の信頼度以上である1以上の訪問者端末の識別情報を抽出して出力することと、をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、インターネットを自動的に巡回してタスクを実行する巡回コンピュータプログラムに従ったウェブサイト内活動を訪問者端末が行っていないことを定量的な評価指標により評価することが可能となる。なお、本発明により、当該効果の代わりに、又は当該効果とともに、他の効果が奏されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明が適用可能な広告配信システム1を概略的に示す図である。
図2図2は、訪問者評価サーバ10の概略的なハードウェア構成を示す図である。
図3図3は訪問者IDを管理する具体例について説明するための図である。
図4図4は、自動化困難活動特定部120が行う処理の流れの具体例を示すフローチャートである。
図5図5は、広告主クライアント装置3により表示される選択画面500の一例である。
図6図6は、セグメントとオーディエンスとの対応関係を模式的に示す図である。
図7図7は、訪問者評価サーバ10を中心とした広告配信システム1の主な処理の流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、同様に説明されることが可能な要素については、同一の符号を付することにより重複説明が省略され得る。
【0011】
説明は、以下の順序で行われる。
1.本発明の実施形態の概要
2.第1の実施形態
2.1.システム構成
2.2.訪問者評価サーバの構成
2.3.技術的特徴
3.他の形態
【0012】
<<1.本発明の実施形態の概要>>
まず、本発明の実施形態の概要を説明する。
【0013】
(1)技術的課題
近年、デジタルマーケティング技術の高度化により、特に「リアルタイムビッディング」と呼ばれる、Web訪問者の属性に応じてリアルタイムに広告内容を出し分ける仕組みが国内外で普及し始めている。
【0014】
このような「リアルタイムビッディング」においては、アドフラウドと呼ばれる「悪意のあるメディア(広告を掲載するWebサイト運営者)が、例えばインターネットボットと呼ばれるような、自動的にインターネット上のウェブサイトを巡回してタスクを実行する巡回コンピュータプログラムを利用して、広告主から不正に広告費を搾取する活動」が盛んになっている。このようなアドフラウドは広告業界にとって大きな問題となっている。アドフラウドを未然に防ぐため、定量的な評価指標に基づいて、上記のような巡回コンピュータプログラムによってウェブサイト内活動を行っていないWeb訪問者(訪問者端末)に関する評価情報を、例えば広告主、及び広告配信の管理者などに提供することが望まれる。
【0015】
そこで、本実施形態では、自動的に巡回してタスクを実行する巡回コンピュータプログラムに従ったウェブサイト内活動を訪問者端末が行っていないことを定量的な評価指標により評価することを目的とする。
【0016】
(2)技術的特徴
本発明の実施形態では、例えば、1以上のデータ提供サーバにより管理されるウェブサイトにアクセス可能な複数の訪問者端末のウェブサイト内活動履歴情報を取得することと、前記複数の訪問者端末の前記ウェブサイト内活動履歴情報に基づいて、各々の訪問者端末がインターネットを自動的に巡回してタスクを実行する巡回コンピュータプログラムでの実行が難しい自動化困難活動に関する情報を特定することと、前記自動化困難活動に関する情報に基づいて、各々の訪問者端末が前記巡回コンピュータプログラムに従って自動的にウェブサイト内活動を行っていないことの信頼性を数値化した信頼度を算出することと、前記複数の訪問者端末の識別情報の中から、前記信頼度が所定の信頼度以上である1以上の訪問者端末の識別情報を抽出して出力することと、をコンピュータに実行させる。
【0017】
これにより、例えば、インターネットボットなど、インターネットを自動的に巡回してタスクを実行する巡回コンピュータプログラムに従ったウェブサイト内活動を訪問者端末が行っていないことを定量的な評価指標により評価することが可能となる。なお、上述した技術的特徴は本発明の実施形態の具体的な一例であり、当然ながら、本発明の実施形態は上述した技術的特徴に限定されない。
【0018】
<<2.第1の実施形態>>
続いて、図1図7を参照して、本発明の第1の実施形態を説明する。
【0019】
<2.1.システム構成>
図1は、本発明が適用可能な広告配信システム1を概略的に示す図である。広告配信システム1は、例えば、媒体向け管理サーバ30と、アドエクスチェンジ運営サーバ40と、広告主向け管理サーバ50と、訪問者評価サーバ10と、データ提供サーバ20とから構成される。
【0020】
広告配信システム1では、媒体向け管理サーバ30は、例えば、広告枠30Aを有するウェブページを運営するメディア31~35と、インターネットを介して通信可能に接続されている。例えば、Web訪問者である訪問者端末2a、2b(総称した場合、訪問者端末2という。)がメディア35のWebページにアクセスすると、アドエクスチェンジ運営サーバ40を介して、媒体向け管理サーバ30から広告主向け管理サーバ50に広告を入札するためのリクエストが発行される。そして、当該リクエストに応じた入札処理が完了すると、広告枠30Aに、広告主向け管理サーバ50が管理する広告主クライアント装置3の広告データ(例えば生命保険会社であるX社の広告)が表示される。
【0021】
ここで、訪問者端末2aは、例えば人間による操作に応じてメディア35のWebページにアクセスし、広告枠30Aに広告データを受信する。一方、訪問者端末2bは、インターネットボット、Webボット又は単にボットなどと呼ばれるような、インターネットを自動的に巡回してタスクを実行する巡回コンピュータプログラムを実行することにより、自動的に(人間の操作が介在することなく)実行されるタスクに応じて、上述したようにメディア35のWebページにアクセスし、広告枠30Aに広告データを受信する。
【0022】
例えば、訪問者端末2aが広告データを受信する場合は、広告データを人間に通知するので、一定の広告効果が期待できる。一方、訪問者端末2bが広告データを受信する場合は、何ら広告効果が期待できず、どちらかといえば広告主から不正に広告費を搾取することになる。
【0023】
訪問者評価サーバ10は、定量的な評価指標により、上記巡回コンピュータプログラムによってウェブサイト内活動を行っていない訪問者端末2の信頼性に関する情報を、例えば広告主クライアント装置3及び広告主向け管理サーバ50などに提供する。このような評価情報が利用されることで、上記巡回コンピュータプログラムにより自動的な操作が行われる訪問者端末(例えば訪問者端末2b)に対して広告の表示を防止することができ、無駄な広告費を削減することが可能となる。
【0024】
3つのデータ提供サーバ20は、それぞれが運営するサイト21、22、23にアクセスした訪問者端末に関するWebログ及びCRMデータを管理する。サイト21は、例えば、家電量販店であるA社が電子商取引(Electronic Commerce:EC)を提供するためのサイトである。また、サイト22は、例えば、育児及び教育関連の情報提供会社であるB社が育児及び教育関連の情報を提供するためのサイトである。また、サイト23は、不動産関連の情報提供会社であるC社が不動産関連の情報を提供するためのサイトである。
【0025】
データ提供サーバ20は、サイト21、22、23にアクセスした訪問者端末に関するWebログ及びCRMデータを管理し、当該Webログ及びCRMデータに基づいて、後述するセグメント情報を訪問者評価サーバ10に提供する。
【0026】
<2.2.訪問者評価サーバの構成>
以上のような広告配信システム1において、訪問者評価サーバ10は、汎用的なコンピュータのハードウェア構成を有するコンピュータにより実現される。図2は、訪問者評価サーバ10の概略的なハードウェア構成を示す図である。
【0027】
すなわち、訪問者評価サーバ10は、図2に示すように、インターネットなどの通信ネットワークを介して、広告主クライアント装置3、広告主向け管理サーバ50及びデータ提供サーバ20等との間で通信を行う通信インタフェース部11と、各種の演算処理を行うCPUなどの演算処理部12と、演算処理データを一時的に記憶するSRAMやDRAMなどのメインメモリ13と、アプリケーションプログラム及び各種データが記憶されたハードディスクなどの記憶装置14と、を備える。
【0028】
上述したハードウェア構成を有する訪問者評価サーバ10は、訪問者の評価を行うためのコンピュータプログラム(アプリケーションプログラム)をインストールすることで、例えば図2に示すような機能ブロックが演算処理部12に実現される。すなわち、情報取得部110と、自動化困難活動特定部120と、信頼度算出部130と、識別情報抽出部140とが、演算処理部12に実現される。
【0029】
<2.3.技術的特徴>
次に、図2図7を参照して、第1の実施形態の技術的特徴を説明する。
【0030】
訪問者評価サーバ10(情報取得部110)は、1以上のデータ提供サーバ(例えばデータ提供サーバ20)により管理されるウェブサイトにアクセス可能な複数の訪問者端末(例えば訪問者端末2)のウェブサイト内活動履歴情報を取得する。そして、訪問者評価サーバ10(自動化困難活動特定部120)は、上記複数の訪問者端末の上記ウェブサイト内活動履歴情報に基づいて、各々の訪問者端末(例えば訪問者端末2a、2b)が上記巡回コンピュータプログラムに従って自動的に実行することが難しい自動化困難活動に関する情報を特定する。そして、訪問者評価サーバ10(信頼度算出部130)は、上記自動化困難活動に関する上記情報に基づいて、各々の訪問者端末(例えば訪問者端末2a、2b)が上記巡回コンピュータプログラムに従って自動的にウェブサイト内活動を行っていないことの信頼性を数値化した信頼度を算出する。そして、訪問者評価サーバ10(識別情報抽出部140)は、上記複数の訪問者端末(例えば訪問者端末2)の識別情報の中から、上記信頼度が所定の信頼度以上である1以上の訪問者端末(例えば訪問者端末2a)の識別情報を抽出して出力する。
【0031】
(1)ウェブサイト内活動履歴情報
訪問者評価サーバ10(情報取得部110)は、訪問者端末ごとに、ウェブサイト内活動の活動属性に基づいて分類される1以上のセグメントに関連付けられたサイト内活動情報を取得する。
【0032】
ここで、サイト内活動情報とは、Webサイト上で、購入したい商品に関するページへのアクセス、購入処理に関するページへのアクセス、ブログ及びコメントなどのテキストデータの書き込み及び送信、ブログ及びコメントの閲覧など、サイト内で行われる活動に関する情報である。サイト内活動情報は、例えばデータ提供サーバ20内でWebログデータとして保持される。また、セグメントとは、例えば、「ECサイト上での日用品購買者」、「コミュニティサイト投稿者」、「出産カテゴリ記事閲覧者」など、ウェブサイト内活動の活動属性に基づいて分類される訪問者端末のグループである。
【0033】
また、セグメントに関連付けられたサイト内活動情報(以下、セグメント情報ともいう。)は、例えば、セグメント詳細情報、及び、セグメント特性情報を含む。
【0034】
ここで、セグメント詳細情報は、例えば、「過去1年以内に日用品を1000円以上購入した顧客」などである。
【0035】
また、セグメント特性情報は、例えば「Webサイトへのログインが必要な活動履歴」、「クレジットカードの利用が必要な活動履歴」、「クレジットカードの利用が必要な活動履歴」、「長期継続的な商品の購買が必要な活動履歴」、及び「高額商品の購買が必要な活動履歴」のうち、対象となる訪問者端末が該当する活動履歴を示す情報である。
【0036】
このようなセグメント情報は、データ提供サーバ20から送信されることにより、情報取得部110により取得される。
【0037】
具体的には、データ提供サーバ20は、訪問者評価サーバ10に対してセグメント登録処理を行うことで、セグメント情報と、セグメント情報に該当するセグメントに属する訪問者ID(訪問者端末の識別情報)のリストとを、訪問者評価サーバ10に送信する。
【0038】
ここで、訪問者IDは、データ提供サーバ20と訪問者評価サーバ10とが共通して認識可能な訪問者端末の識別情報である。
【0039】
より具体的に、訪問者IDは、複数のデータ提供サーバ間で共通して識別可能な識別子である。図3は訪問者IDを管理する具体例について説明するための図である。すなわち、例えば図3に示すように、Webサイトにタグを組み込むことで、ドメインが異なる複数のサイト21、22、23間であっても、例えば同一の端末(同一の訪問者端末)が同一ブラウザでアクセスされれば、当該端末に同一の訪問者ID(例えばglobal_id:AAAA)が設定されるように管理される。そして、当該訪問者IDは、サイト21、22、23のそれぞれを管理するデータ提供サーバ20がアクセスログの一部として保持される。
【0040】
(2)自動化困難活動に関する情報
訪問者評価サーバ10(自動化困難活動特定部120)は、1以上のセグメントに対応する自動化困難活動に関する情報を特定する。ここで、自動化困難活動に関する情報は、例えば自動化困難活動の種別及び数などを数値化(ポイント化)した値(以下、自動化困難度ともいう。)が用いられる。
【0041】
例えば、セグメント情報が上述した「ECサイト上での日用品購買者」のセグメントに関連付けられたサイト内活動情報である場合、訪問者評価サーバ10(自動化困難活動特定部120)は、例えば困難度ポイントデータテーブルとして記憶部15に記憶される情報を参照して自動化困難度を特定する。ここで、困難度ポイントデータテーブルは、例えばセグメント特性情報に対応するポイントに関する情報である。例えば、困難度ポイントデータテーブルでは、「Webサイトへのログインが必要な活動履歴」に1ポイントが設定され、「クレジットカードの利用が必要な活動履歴」に2ポイントが設定され、「長期継続的な商品の購買が必要な活動履歴」に3ポイントが設定され、「高額商品の購買が必要な行動履歴」に3ポイントが設定されている。
【0042】
図4は、自動化困難活動特定部120が行う処理の流れの具体例を示すフローチャートである。
【0043】
まず、自動化困難活動特定部120は、例えば情報取得部110から、セグメント情報を取得する(ステップS401)。具体例として、セグメント情報は、「ECサイト上での日用品購買者」に関する情報であって、セグメント特性として、「Webサイトへのログインが必要な活動履歴」、及び「クレジットカードの利用が必要な活動履歴」が選択されているものとする。
【0044】
続いて、自動化困難活動特定部120は、記憶部15内の困難度ポイントデータテーブルを参照して、自動化困難度を算出する(ステップS403)。具体的には、訪問者評価サーバ10(自動化困難活動特定部120)は、以下の式のようにして、自動化困難度を算出する。
「ECサイト上での日用品購買者」セグメントに対応する自動化困難度=「Webサイトへのログインが必要な活動履歴(1ポイント)」+「クレジットカード利用が必要な活動履歴(2ポイント)」=3ポイント
【0045】
続いて、自動化困難活動特定部120は、算出した自動化困難度を、記憶部15においてセグメント情報を管理するセグメントデータテーブルに記憶させる。(ステップS405)、図4に示す処理を終了する。
【0046】
自動化困難活動特定部120は、各々の訪問者端末について、セグメントごとに図4に示す処理を行うことで自動化困難度を算出することにより、上記自動化困難活動に関する上記情報を特定することができる。
【0047】
(3)信頼度
訪問者評価サーバ10(信頼度算出部130)は、上記1以上のセグメントに対応する上記自動化困難活動に関する上記情報の集計情報に基づいて上記信頼度を算出する。
【0048】
例えば、訪問者評価サーバ10(信頼度算出部130)は、訪問者IDにより識別される各々の訪問者端末の信頼度を、訪問者端末が属する1以上のセグメントに対応する自動化困難度に基づいて算出する。
【0049】
具体的に、信頼度は、例えば1~10の範囲で設定可能であり、その値が大きいほど訪問者端末がインターネットである可能性が低くなるよう定義される。また、算出された各訪問者端末の信頼度は、信頼度データテーブルとして記憶部15に保持される。
【0050】
具体的に、信頼度算出部130は、以下の式のようにして、次のような算出工程により信頼度を算出することができる。
算出工程1:
訪問者端末Aの合計困難度=Σ(セグメントiに対応する自動化困難度)
ここで、iは、訪問者Aが所属するセグメント集合に属する。
算出工程2
合計難易度>10の場合には、訪問者端末Aの信頼度=10
合計難易度≦10の場合には、訪問者端末Aの信頼度=訪問者端末Aの合計困難度
上記算出工程1及び2により信頼度を算出することができる。
【0051】
例えば、訪問者端末Aについて、「ECサイト上での日用品購買者」のセグメントに対応する自動化困難度が3ポイント、「コミュニティサイト投稿者」に対応するセグメントの自動化困難度が1ポイント、「出産カテゴリ記事閲覧者」に対応するセグメントの自動化困難度が0ポイントである場合は、そのポイントを合算した値「4」が信頼度として算出される。
【0052】
(4)訪問者端末の識別情報
訪問者評価サーバ10(識別情報抽出部140)は、上記信頼度が所定の値以上であり所定のセグメントに分類されるウェブサイト内活動を行った1以上のユーザ端末の識別情報を抽出して出力する。具体的には、上記1以上のユーザ端末の識別情報は、ウェブ広告の配信管理を行う管理装置である広告主向け管理サーバ50に送信される。
【0053】
ここで、上記所定のセグメントは、例えば広告主が広告配信を希望する1以上のセグメントである。また、上記所定の値とは、例えば広告主が希望する広告配信対象者の基準となる信頼度の下限値である。
【0054】
-訪問者端末の識別情報の抽出
図5は、広告主クライアント装置3により表示される選択画面500の一例である。広告主クライアント装置3は、図5に示す選択画面に従った広告主による操作入力に従って、訪問者評価サーバ10が管理する全てのセグメントのうち広告表示のターゲットとしたいセグメントの選択情報と、配信対象とする訪問者の信頼度の下限閾値の情報とを、訪問者評価サーバ10に送信する。
【0055】
例えば、選択画面500の画像領域510には、配信希望となり得るセグメント(例えば3候補のセグメント)が表示される。画像領域510に組み込まれたチェックボックスを広告主による操作入力に応じてチェックされることにより、広告表示のターゲットとしたいセグメントの選択情報が設定される。例えば図5では、「出産カテゴリ記事閲覧者」のセグメントが選択された例を示している。
【0056】
また、選択画面500の画像領域520には、配信対象とする訪問者の信頼度の下限閾値を選択するためのボリューム式ユーザインタフェースが表示される。例えば、広告主によるドラック操作などによって決まるボリューム式ユーザインタフェースの指示位置により、配信対象とする訪問者の信頼度の下限閾値の情報が設定される。例えば図5では、合計10段階のうち6段階に対応する信頼度が下限閾値として指示された例を示している。
【0057】
一方、訪問者評価サーバ10は、広告表示のターゲットとしたいセグメントの選択情報と、配信対象とする訪問者の信頼度の下限閾値の情報とに基づいて、当該条件に合致する訪問者数を算出し、当該訪問者数の情報を広告主クライアント装置3に送信する。このようにして当該訪問者数の情報を広告主クライアント装置3に送信されることにより、例えば、選択画面500の画像領域530に対象訪問者数が表示される。例えば、図5では、対象訪問者数が「3.6万ID」つまり、3.6万ユーザであることを示している。
【0058】
その後、広告主によって対象訪問者数が確認され、選択画面500の選択完了ボタン540をタッチするための操作入力があると、選択完了通知が訪問者評価サーバ10に送信される。
【0059】
選択完了通知が訪問者評価サーバ10に送信されると、訪問者評価サーバ10は、広告主が最終的に決定した条件に基づいて、広告配信対象となる訪問者IDのリスト(以下、対象訪問者IDリストともいう)を抽出し、対象訪問者IDリストを記憶部15に保持する。
【0060】
-訪問者端末の識別情報の出力
訪問者評価サーバ10(識別情報抽出部140)は、上述した対象訪問者IDリストをID変換対応データテーブルに照合することにより、広告主向け管理サーバ50で管理される訪問者IDを変換後対象訪問者IDとして保持する。
【0061】
ここで、ID変換対応データテーブルは、例えば、訪問者評価サーバ10の管理情報と外部の広告主向け管理サーバ50の管理情報を紐付けた情報である。言い換えれば、ID変換対応データテーブルは、訪問者評価サーバ10が管理する訪問者IDと、広告主向け管理サーバ50が管理する訪問者IDとを1対1で対応付けた情報であり、記憶部15に記憶されている。
【0062】
続いて、訪問者評価サーバ10(識別情報抽出部140)は、変換後対象訪問者IDリストに対して一意となるオーディエンスを特定し、オーディエンスIDを設定する。ここで、オーディエンスとは、広告配信時に広告主向け管理サーバ50で管理される訪問者IDのグループである。また、オーディエンスIDは、広告主向け管理サーバ50で識別可能なオーディエンスの識別子である。
【0063】
図6は、セグメントとオーディエンスとの対応関係を模式的に示す図である。つまり、訪問者評価サーバ10(識別情報抽出部140)は、例えば図6に示すように、3つのセグメント611、612、612に対応する訪問者IDリスト610を、2つのオーディエンス621、622に対応する変換後訪問者IDリスト620に変換する。そして、訪問者評価サーバ10(識別情報抽出部140)は、オーディエンスIDと変換後対象訪問者IDリストとを広告主向け管理サーバ50に送信する。広告主向け管理サーバ50が、オーディエンスIDと変換後対象訪問者IDリストとに基づいてオーディエンスを管理することにより、定量的な評価指標に基づいて、上記巡回コンピュータプログラムによってウェブサイト内活動を行っていない訪問者端末(例えば、訪問者端末2a)に限って広告表示が行われることになる。
【0064】
(5)訪問者評価サーバ10の処理の流れ
図7は、訪問者評価サーバ10を中心とした広告配信システム1の主な処理の流れを示すフロー図である。
【0065】
-セグメント登録処理ST1
まず、ステップST1-1において、データ提供サーバ20は、訪問者評価サーバ10に対してセグメント登録を行う。すなわち、データ提供サーバ20は、セグメント情報と訪問者IDリストを訪問者評価サーバ10に送信する。
【0066】
続いて、ステップST1-2において、訪問者評価サーバ10は、データ提供サーバ20から送信されたセグメント情報及び訪問者IDリストに対して、一意に識別可能なセグメントIDを設定する。
【0067】
続いて、ステップST1-3において、訪問者評価サーバ10は、各々の訪問者IDについて、セグメントごとの自動化困難度を算出し、セグメント情報として記憶部15に保持する。
【0068】
続いて、ステップST1-4において、訪問者評価サーバ10は、自動化困難度に基づいて、各々の訪問者の信頼度を算出し、訪問者IDリストに対応づけて記憶部15に保持する。
【0069】
続いて、ステップST1-5において、訪問者評価サーバ10は、セグメント登録完了通知をデータ提供サーバ20に通知することにより、セグメント登録が完了する。
【0070】
-オーディエンス登録処理ST2
次に、ステップST2-1において、広告主クライアント装置3は、訪問者評価サーバ10に対して、広告配信対象登録を行う。すなわち、広告主クライアント装置3は、広告表示のターゲットとしたいセグメントの選択情報と、配信対象とする訪問者の信頼度の下限閾値の情報を、訪問者評価サーバ10に送信する。
【0071】
続いて、ステップST2-2において、訪問者評価サーバ10は、広告表示のターゲットとしたいセグメントの選択情報と、配信対象とする訪問者の信頼度の下限閾値の情報とに基づいて、配信対象となる訪問者IDを抽出する。
【0072】
続いて、ステップST2-3において、訪問者評価サーバ10は、訪問者IDを、広告主向け管理サーバ50が管理する訪問者ID(変換後訪問者ID)に変換する。
【0073】
続いて、ステップST2-4において、訪問者評価サーバ10は、広告主向け管理サーバ50に対して、オーディエンス追加を要求する。すなわち、訪問者評価サーバ10は、オーディエンスIDと、オーディエンスIDに対応する変換後訪問者IDリストを、広告主向け管理サーバ50に送信する。
【0074】
続いて、ステップST2-5において、広告主向け管理サーバ50は、オーディエンスIDと、オーディエンスIDに対応する変換後訪問者IDリストとに応じて、オーディエンスの追加を行う。
【0075】
続いてステップST2-6において、広告主向け管理サーバ50は、オーディエンスの追加登録が完了したことを示す登録完了通知を、訪問者評価サーバ10に通知する。また、当該登録完了通知は、訪問者評価サーバ10を介して広告主クライアント装置3に通知される。その後、図7に示す処理が終了する。
【0076】
上記図7に示す処理によれば、訪問者評価サーバ10が、上記巡回コンピュータプログラムによって訪問者端末がウェブサイト内活動を行っていないことを定量的な評価指標により評価することができる。そして、当該評価指標である信頼度を、広告主向け管理サーバ50に提供することができる。
【0077】
これにより、広告主向け管理サーバ50は、「信頼度」という定量的な評価指標を用いて、新たにメディア31-35にアクセスした訪問者端末のうち、上記巡回コンピュータプログラムにより操作されていない可能性がある訪問者端末、すなわち一定以上の信頼度を持つ訪問者端末のみ広告データを提供することが可能となる。
【0078】
したがって、広告主は、広告配信時にセグメントと信頼度との両方を指定することによって、上記巡回コンピュータプログラムに従ったウェブサイト内活動の可能性が低い訪問者にのみ広告表示することが可能となる。言い換えれば、広告主は、広告費用対効果向上をはかることが可能となる。
【0079】
<<4.他の形態>>
また、本発明は、上記第1の実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムが記録された非一時的な記録媒体をシステム又は装置に提供し、当該システム又は装置のコンピュータ、すなわちCPU又はMPUに、当該非一時的な記録媒体に記録されたプログラムを読み出して実行させることによって実現してもよい。
【0080】
この場合、当該非一時的な記録媒体から読み出されたプログラムは、上述実施形態の機能を実現する。したがって、当該プログラム及び当該プログラムが記録された非一時的な記録媒体も、本発明の一態様である。
【0081】
当該プログラムを提供する非一時的な記録媒体は、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、CD-RW、DVD-ROM、DVD-RAM、DVD-RW、DVD+RWなどの光ディスク、磁気テープ、不揮発性メモリカード、及びROMを含む。或いは、当該プログラムは、通信ネットワークであるインターネットを介してダウンロード可能であってもよい。
【0082】
さらに、上記実施形態の機能は、コンピュータが当該プログラムを読み出して実行するだけではなく、コンピュータ上で動作するOS(operating system)等に、当該プログラムの指示に基づき実際の操作の一部又はすべてを実行させることによって実現してもよい。
【0083】
さらに、上記実施形態の機能は、非一時的な記録媒体から読み出されたプログラムを、コンピュータに挿入された拡張ボードに設けられたメモリ、又は、コンピュータに接続された拡張装置に設けられたメモリに書き込み、拡張ボード又は拡張装置に設けられたCPU等に、プログラムの指示に基づき実際の処理のすべて又は一部を実行させることによって実現されてもよい。
【0084】
典型的な実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、ここに開示する典型的な態様に限定されないことはもちろんである。請求の範囲は、このような変更と、同等の構造及び機能とをすべてを含むように最も広く解釈することが可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 広告配信システム
2、2a、2b 訪問者端末
3 広告主クライアント装置
10 訪問者評価サーバ
110 情報取得部
120 自動化困難活動特定部
130 信頼度算出部
140 識別情報抽出部
20 データ提供サーバ
30 媒体向け管理サーバ
30A 広告枠
31-35 メディア
40 アドエクスチェンジ運営サーバ
50 広告主向け管理サーバ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7