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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】電気機械の安全な状態
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20221207BHJP
   H02P 27/06 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
H02M7/48 M
H02P27/06
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020520579
(86)(22)【出願日】2018-09-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-24
(86)【国際出願番号】 EP2018073862
(87)【国際公開番号】W WO2019072460
(87)【国際公開日】2019-04-18
【審査請求日】2021-08-06
(31)【優先権主張番号】102017218189.3
(32)【優先日】2017-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500045121
【氏名又は名称】ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186716
【弁理士】
【氏名又は名称】真能 清志
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル レンゲンフェルダー
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-130087(JP,A)
【文献】特開2015-033238(JP,A)
【文献】特開平07-059384(JP,A)
【文献】特開2010-158089(JP,A)
【文献】特開2008-220045(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0091840(US,A1)
【文献】国際公開第2012/072311(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H02P 27/06
H02P 29/024
H02H 7/08
B60L 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電位および第2電位を有する電圧源において、電気機械(105)を制御するインバータ(110)であって、
第1電流弁(120)と、第2電流弁(125)と、制御される前記電気機械(105)と接続するための接続部と、をそれぞれが備える複数のブリッジ回路と、
前記第1および第2電流弁(120、125)のための個別の制御信号を受信する第1インターフェイス(130)と、を備え、
前記第1電流弁(120)は、それぞれ、高電位と、関連する接続部との間の電流を制御し、
前記第2電流弁(125)は、それぞれ、関連する接続部と、低電位との間の電流を制御し、前記インバータ(110)は、
スイッチオフ信号を検出する第2インターフェイス(140)を備え、
スイッチオフ装置(145)は、前記スイッチオフ信号に応じて、かつ前記第1インターフェイス(130)における信号から独立して、すべての第1電流弁(120)、またはすべての第2電流弁(125)のいずれかを閉じるように構成され、
前記スイッチオフ装置(145)は、欠陥のある電流弁(120、125)を決定し、1つの第1電流弁(120)を閉じることができない場合に、すべての第2電流弁(125)を閉じるように構成されており、
前記スイッチオフ装置(145)は、第1電流弁または第2電流弁(120、125)を閉じる制御信号を、前記第1インターフェイス(130)において無効化するように構成されていることを特徴とする、インバータ(110)。
【請求項2】
第1電位および第2電位を有する電圧源において、電気機械(105)を制御するインバータ(110)であって、
第1電流弁(120)と、第2電流弁(125)と、制御される前記電気機械(105)と接続するための接続部と、をそれぞれが備える複数のブリッジ回路と、
前記第1および第2電流弁(120、125)のための個別の制御信号を受信する第1インターフェイス(130)と、を備え、
前記第1電流弁(120)は、それぞれ、高電位と、関連する接続部との間の電流を制御し、
前記第2電流弁(125)は、それぞれ、関連する接続部と、低電位との間の電流を制御し、前記インバータ(110)は、
スイッチオフ信号を検出する第2インターフェイス(140)を備え、
スイッチオフ装置(145)は、前記スイッチオフ信号に応じて、かつ前記第1インターフェイス(130)における信号から独立して、すべての第1電流弁(120)、またはすべての第2電流弁(125)のいずれかを閉じるように構成され、
前記スイッチオフ装置(145)は、欠陥のある電磁弁(120、125)を決定し、1つの第2電流弁(125)を閉じることができない場合に、すべての第1電流弁(120)を閉じるように構成されており、
前記スイッチオフ装置(145)は、第1電流弁または第2電流弁(120、125)を閉じる制御信号を、前記第1インターフェイス(130)において無効化するように構成されていることを特徴とする、インバータ(110)。
【請求項3】
第1電位および第2電位を有する電圧源において、電気機械(105)を制御するインバータ(110)であって、
第1電流弁(120)と、第2電流弁(125)と、制御される前記電気機械(105)と接続するための接続部と、をそれぞれが備える複数のブリッジ回路と、
前記第1および第2電流弁(120、125)のための個別の制御信号を受信する第1インターフェイス(130)と、を備え、
前記第1電流弁(120)は、それぞれ、高電位と、関連する接続部との間の電流を制御し、
前記第2電流弁(125)は、それぞれ、関連する接続部と、低電位との間の電流を制御し、前記インバータ(110)は、
スイッチオフ信号を検出する第2インターフェイス(140)を備え、
スイッチオフ装置(145)は、前記スイッチオフ信号に応じて、かつ前記第1インターフェイス(130)における信号から独立して、すべての第1電流弁(120)、またはすべての第2電流弁(125)のいずれかを閉じるように構成され、
前記スイッチオフ装置(145)は、欠陥のある電流弁(120、125)を決定し、1つの第1電流弁(120)を閉じることができない場合に、すべての第2電流弁(125)を閉じるように構成されており、
前記スイッチオフ装置(145)は、第1電流弁または第2電流弁(120、125)を開く制御信号を、前記第1インターフェイス(130)において無効化するように構成されていることを特徴とする、インバータ(110)。
【請求項4】
第1電位および第2電位を有する電圧源において、電気機械(105)を制御するインバータ(110)であって、
第1電流弁(120)と、第2電流弁(125)と、制御される前記電気機械(105)と接続するための接続部と、をそれぞれが備える複数のブリッジ回路と、
前記第1および第2電流弁(120、125)のための個別の制御信号を受信する第1インターフェイス(130)と、を備え、
前記第1電流弁(120)は、それぞれ、高電位と、関連する接続部との間の電流を制御し、
前記第2電流弁(125)は、それぞれ、関連する接続部と、低電位との間の電流を制御し、前記インバータ(110)は、
スイッチオフ信号を検出する第2インターフェイス(140)を備え、
スイッチオフ装置(145)は、前記スイッチオフ信号に応じて、かつ前記第1インターフェイス(130)における信号から独立して、すべての第1電流弁(120)、またはすべての第2電流弁(125)のいずれかを閉じるように構成され、
前記スイッチオフ装置(145)は、欠陥のある電磁弁(120、125)を決定し、1つの第2電流弁(125)を閉じることができない場合に、すべての第1電流弁(120)を閉じるように構成されており、
前記スイッチオフ装置(145)は、第1電流弁または第2電流弁(120、125)を開く制御信号を、前記第1インターフェイス(130)において無効化するように構成されていることを特徴とする、インバータ(110)。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載のインバータ(110)であって、前記スイッチオフ装置(145)は、ハードワイヤードロジックとして実装されている、インバータ(110)。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載のインバータ(110)であって、3つのブリッジ回路を備え、前記インバータ(110)が三相電機機械式変換器を接続するように構成されている、インバータ(110)。
【請求項7】
アクチュエータであって、請求項1~6の何れか一項に記載のインバータ(110)と、電気機械(105)と、前記電気機械(105)の回転挙動を制御するように構成されている制御装置と、を備えるアクチュエータ。
【請求項8】
インバータ(110)を用いて第1電位および第2電位を有する電圧源において作動する電気機械(105)を制御する方法であって、前記インバータ(110)が、
第1電流弁(120)と、第2電流弁(125)と、制御される前記電気機械(105)と接続するための接続部と、をそれぞれが備える複数のブリッジ回路と、
前記第1および第2電流弁(120、125)のための個別の制御信号を受信する第1インターフェイス(130)と、を備え、
前記第1電流弁(120)は、それぞれ、高電位と、関連する接続部との間の電流を制御し、
前記第2電流弁(125)は、それぞれ、関連する接続部と、低電位との間の電流を制御し、
前記方法は、
スイッチオフ信号を検出するステップ(205)と、
欠陥のある電流弁(120、125)を決定するステップと、
1つの第1電流弁(120)を閉じることができない場合に、前記第1インターフェイス(130)における信号から独立して、すべての第2電流弁(125)を閉じるステップと、
第1電流弁または第2電流弁(120、125)を閉じる制御信号を、前記第1インターフェイス(130)において無効化するステップと
を含む方法。
【請求項9】
インバータ(110)を用いて第1電位および第2電位を有する電圧源において作動する電気機械(105)を制御する方法であって、前記インバータ(110)が、
第1電流弁(120)と、第2電流弁(125)と、制御される前記電気機械(105)と接続するための接続部と、をそれぞれが備える複数のブリッジ回路と、
前記第1および第2電流弁(120、125)のための個別の制御信号を受信する第1インターフェイス(130)と、を備え、
前記第1電流弁(120)は、それぞれ、高電位と、関連する接続部との間の電流を制御し、
前記第2電流弁(125)は、それぞれ、関連する接続部と、低電位との間の電流を制御し、
前記方法は、
スイッチオフ信号を検出するステップ(205)と、
欠陥のある電流弁(120、125)を決定するステップと、
1つの第2電流弁(125)を閉じることができない場合に、前記第1インターフェイス(130)における信号から独立して、すべての第1電流弁(120)を閉じるステップと、
第1電流弁または第2電流弁(120、125)を閉じる制御信号を、前記第1インターフェイス(130)において無効化するステップと
を含む方法。
【請求項10】
インバータ(110)を用いて第1電位および第2電位を有する電圧源において作動する電気機械(105)を制御する方法であって、前記インバータ(110)が、
第1電流弁(120)と、第2電流弁(125)と、制御される前記電気機械(105)と接続するための接続部と、をそれぞれが備える複数のブリッジ回路と、
前記第1および第2電流弁(120、125)のための個別の制御信号を受信する第1インターフェイス(130)と、を備え、
前記第1電流弁(120)は、それぞれ、高電位と、関連する接続部との間の電流を制御し、
前記第2電流弁(125)は、それぞれ、関連する接続部と、低電位との間の電流を制御し、
前記方法は、
スイッチオフ信号を検出するステップ(205)と、
欠陥のある電流弁(120、125)を決定するステップと、
1つの第1電流弁(120)を閉じることができない場合に、前記第1インターフェイス(130)における信号から独立して、すべての第2電流弁(125)を閉じるステップと、
第1電流弁または第2電流弁(120、125)を開く制御信号を、前記第1インターフェイス(130)において無効化するステップと
を含む方法。
【請求項11】
インバータ(110)を用いて第1電位および第2電位を有する電圧源において作動する電気機械(105)を制御する方法であって、前記インバータ(110)が、
第1電流弁(120)と、第2電流弁(125)と、制御される前記電気機械(105)と接続するための接続部と、をそれぞれが備える複数のブリッジ回路と、
前記第1および第2電流弁(120、125)のための個別の制御信号を受信する第1インターフェイス(130)と、を備え、
前記第1電流弁(120)は、それぞれ、高電位と、関連する接続部との間の電流を制御し、
前記第2電流弁(125)は、それぞれ、関連する接続部と、低電位との間の電流を制御し、
前記方法は、
スイッチオフ信号を検出するステップ(205)と、
欠陥のある電流弁(120、125)を決定するステップと、
1つの第2電流弁(125)を閉じることができない場合に、前記第1インターフェイス(130)における信号から独立して、すべての第1電流弁(120)を閉じるステップと、
第1電流弁または第2電流弁(120、125)を開く制御信号を、前記第1インターフェイス(130)において無効化するステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気機械の制御に関する。特に、本発明は電気機械を安全状態にすることに関する。
【背景技術】
【0002】
電気機械、例えば電気モータは、インバータを用いてその運動挙動を制御することができる。この目的のために、インバータは、通常、複数のブリッジ回路を備える。ブリッジ回路は、それぞれ、2つの電流弁を備える。機械の関連する接続部に所定の電位を供給するために、電流弁を交互に作動させることができる。
【0003】
電気機械をスイッチオフするために、機械の電気接続部が共通の電位と接続され、機械が能動的に短絡されるように、電流弁を作動させることができる。次いで、機械の運動エネルギーを電気エネルギーに変換し、短絡を介して、電気エネルギーを熱に変換することができる。そのため、機械を、外部の制動作業を行わずに迅速に制動できる。
【0004】
能動的なスイッチオフは、電流弁を制御する制御装置が、欠陥を有する、または電流弁と接続されていない場合には、利用できない可能性がある。たとえ装置に欠陥があっても能動的な短絡を起こすことができるように、適切なプルアップ抵抗またはプルダウン抵抗を介して、必要に応じて電流弁の制御端子を固定電位と接続することが提案されていた。しかしながら、必要とされる場合にどの電流弁が閉じるかは、通常、存在するエラーに応じては決定されない。そのため、機械をスイッチオフにしようとする試みが、電流弁に供給する中間回路において短絡を起こす可能性がある。
【0005】
ドイツ特許出願公開第10 2005 009 341 A1号明細書は、電圧中間回路で電気モータを作動させる駆動回路に関する。中間回路の電圧が高すぎる場合、駆動回路が、電気モータの接続部で短絡を発生させる。
【0006】
ドイツ特許出願公開第10 2010 062 334 A1号明細書は、高電位と低電位との間で消費装置を制御するブリッジ回路に関する。消費装置を保護するために、高電位と接続された短絡と、低電位と接続された短絡を、交互に発生させることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】ドイツ特許出願公開第10 2005 009 341 A1号
【文献】ドイツ特許出願公開第10 2010 062 334 A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、このように制御される電気機械をスイッチオフするための、改良された技術を提供することである。本発明は、独立請求項に記載の主題を用いてこの課題を解決する。従属請求項は、好適な実施形態を反映する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
インバータは、第1電位および第2電位を有する電圧源において、電気機械を制御するように構成されている。この場合インバータは、第1電流弁と、第2電流弁と、電気機械のための接続部と、をそれぞれが備える複数のブリッジ回路と、電流弁のための個別の制御信号を受信する第1インターフェイスと、スイッチオフ信号を検出する第2インターフェイスと、を備える。第1電流弁は、それぞれ、高電位と、関連する接続部との間の電流を制御するように構成されている。第2電流弁は、それぞれ、関連する接続部と、低電位との間の電流を制御するように構成されている。スイッチオフ装置は、スイッチオフ信号に応じて、かつ第1インターフェイスにおける信号から独立して、すべての第1電流弁、またはすべての第2電流弁のいずれかを閉じるように構成されている。
【0010】
スイッチオフ装置は、電気機械を安全な状態にするために、例えばスイッチオフ信号のタイプに応じて、すべての第1電流弁、またはすべての第2電流弁のいずれかを動的に閉じることができる。通常、安全な状態は停止を含む。その際、機械に電流は流れない。特に第1インターフェイスと接続可能な制御装置が、正常に作動しない、または存在しない場合には、スイッチオフ装置を用いて、安全な状態を制御することができる。一実施形態において、2つの異なるスイッチオフ信号を区別することができる。一方のスイッチオフ信号はすべての第1電流弁の閉鎖に至り、他方のスイッチオフ信号はすべての第2電流弁の閉鎖に至る。スイッチオフ信号は、同時に存在できないように選択することができる。例えば、第1信号はスイッチオフを要求し、第2信号は、第1電流弁と第2電流弁との間のバイナリ信号を選択することができる。
【0011】
電気機械は、例えば、サーボモータまたはトラクションモータを備えることができる。特に、自動車に搭載して使用するように、電気機械を構成することができる。インバータは、電気機械のために常に冗長な制御経路を利用できるように、スイッチオフ装置と一体とすることができる。スイッチオフ装置は、電子回路を含むことができ、インバータの他の電子素子と一体とすることができる。一実施形態において、スイッチオフ装置は電流弁とも一体とすることができる。電流弁は、例えば、電界効果トランジスタ(FET)、特に金属酸化物FET、またはサイリスタもしくは他の半導体をも含むことができる。
【0012】
スイッチオフ装置は、例えば、SiP(「System-in-Package」)として実現することができる。この場合、受動素子および能動素子、ならびにさらなるコンポーネントは、マイクロシステム技術を用いて、複数の半導体チップ上に製造することができる。これらは、適切な実装技術または接続技術を用いて、ハウジング(ICパッケージと称される)内で組み合わせることができる。代替的に、スイッチオフ装置を、複数の半導体チップからなるMCM(「Multi Chip Modul」)として、共通のハウジング内で一体とすることもできる。さらなる実施形態において、スイッチオフ装置を、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Citcuit)として実現することもできる。
【0013】
スイッチオフ装置は、欠陥のある電流弁を決定し、決定結果に応じて、第1電流弁または第2電流弁を閉じるように構成することができる。そのため、安全な状態を制御するためにどの電流弁を閉じるべきであるかを、外部で決定する必要がない。これは、エラーを決定すべきである外部機能コンポーネント自体が機能不全である場合に、特に関連する。スイッチオフ信号は、例えば、ユーザ制御下で供給することができる。安全な状態をとることをどのように制御すべきかの決定を、インバータによって独立して実行することができる。
【0014】
第1変形実施形態において、スイッチオフ装置は、1つの電流弁を開くことができない場合に、この電流弁に対応するすべての電流弁を閉じるように構成されている。例えば、1つの第1電流弁が永久的に閉じられている場合、すべての他の第1電流弁を閉じることによって、能動的な短絡を依然として制御することができる。これに代わって第2電流弁が閉じられると、能動的な短絡を発生させることはできるであろうが、同時に、通常作動において電気機械に供給できる電位からの、または発電作動の際に電気機械に供給できる電位までの電位にわたって、短絡が存在するであろう。
【0015】
第2変形実施形態において、スイッチオフ装置は、1つの電流弁を閉じることができない場合に、この電流弁に対応しないすべての電流弁を閉じるように構成されている。例えば、1つの第1電流弁が永久的に開いている場合、すべての第2電流弁を閉じることによって、能動的な短絡を依然として制御することができる。この場合、第1電流弁を閉じても、ほんの僅かな効果のみを及ぼすか、または全く効果がないであろう。
【0016】
スイッチオフ装置は、電流弁を閉じる制御信号を、第1インターフェイスにおいて無効化するように構成することができる。(165のタスク)これによって、能動的な短絡に関与していない電流弁が閉じられことを回避し、その閉鎖によって電位の間の短絡が発生する可能性を排除することができる。
【0017】
スイッチオフ装置は、電流弁を開く制御信号を、第1インターフェイスにおいて無効化するように構成することができる。(165のタスク)これによって、作動される能動的な短絡が、すべての相互に対応する電流弁、すなわちすべての第1電流弁またはすべての第2電流弁を、確実に包含することができる。そのため、能動的な短絡の効率を上げることができる。
【0018】
スイッチオフ装置またはその一部は、ハードワイヤードロジックとして実装することができる。これによって、処理速度および耐外乱性を高めることができる。さらに、ロジックをすでに構想フェーズにおいて徹底的に検証できる。そのため、その後に誤ったスイッチングが発生する可能性が、非常に低くなる。
【0019】
インバータは、3つのブリッジ回路を備えることができる。好適には、インバータが三相電機機械式変換器を接続するように構成されている。電気機械式変換器は、一般に、モータまたは発電機として作動する電気機械を含むことができる。例えば、電気機械式変換器は、特に回転磁界装置である回転機械を含むことができる。回転磁界装置は、例えば、フィールド指向制御(FOS:feldorientierte Steuerung/FOC:field-oriented control)を用いて制御することができる。電気機械は、非同期機(ASM:Asynchronmaschine/Asynchronous machine)または永久励起同期機(PSM:permanent erregte Synchronmaschine/permanent-excited synchronous machine)を含むことができる。
【0020】
他の実施形態において、インバータは2つのみのブリッジ回路を備える。この構成は、Hブリッジとしても既知である。この場合、電気機械は特に整流型の直流モータを備えてよい。
【0021】
アクチュエータは、本明細書に記載のインバータと、電気機械と、電気機械の回転挙動を制御するように構成された制御装置と、を備える。アクチュエータは、例えば、特に自動車に搭載された、一体とされた制御駆動装置またはトラクション駆動装置として使用することができる。
【0022】
本明細書に記載の、インバータを用いて第1電位および第2電位を有する電圧源において作動する電気機械を制御する方法は、スイッチオフ信号を検出するステップと、第1インターフェイスにおける信号から独立して、すべての第1電流弁またはすべての第2電流弁を閉じるステップと、を含む。この場合、第1ケースにおいては、専ら第1電流弁を閉じ、かつ第2電流弁を閉じない。または第2ケースにおいては、第2電流弁を閉じ、かつ第1電流弁を閉じない。この区別は、排他的論理和(XOR:eXclusive OR)としても知られている。
【0023】
以下で、添付の図面を参照して本発明を詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】制御可能な電気機械を備えるシステムの図である。
図2】電気機械を制御する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、制御可能な電気機械105およびインバータ110を備えるシステム100を示す。本実施形態において、電気機械105は3つの接続部を備える。電気機械105を、特に三相電気機械式アクチュエータとして実現することができる。したがって、インバータ110は、3つのブリッジ回路115を備える。ブリッジ回路115は、それぞれ、第1電流弁120および第2電流弁125を備える。ブリッジ回路115は、高電位と低電位との間の電圧を供給する中間回路コンデンサ180を備える中間回路で、作動させることができる。中間回路は、例えばバッテリ128を含むことができる。バッテリ128のブリッジ回路115への接続は、図1には示されていない。
【0026】
電流弁120、125は、半導体技術を用いて製造可能とすることが好ましい。この場合、第1電流弁120は、高電位と接続されており、ハイサイドスイッチとも称することができる。一方第2電流弁125は、この場合低電位と接続されており、ローサイドスイッチとも称することができる。電流弁120、125の制御端子は、個別に、第1インターフェイス130に導かれている。電気機械105を制御する制御装置135を、第1インターフェイス130と接続することができる(図示せず)。制御装置135は、特に、電気機械105のフィールド指向制御(FOS:feldorientierte Steuerung/FOC:field-oriented control)またはフィールド指向調整(FOR:feldorientierte Regelung/FOR:field-oriented regulation)を実行することができる。
【0027】
インバータ110は、スイッチオフ装置145と接続された第2インターフェイス140をさらに備える。本実施形態において、第2インターフェイス140は複数の信号を有する。他の実施形態においては、単一の信号でも十分とすることが可能である。スイッチオフ装置145は、第2インターフェイス140でスイッチオフ信号を検出し、次いで電気機械105を安全な状態にするように構成されている。この目的のためにスイッチオフ装置145は、特に、電気機械105の接続部が高電位と接続されている第1の能動的な短絡を電気機械105において起こすために、第1電流弁120を閉じる、または接続部が低電位を接続されている第2の能動的な短絡を電気機械105において起こすために、第2電流弁125を閉じる、のいずれかを実行することができる。
【0028】
相互に対応する電流弁120、125を、それぞれ、個別の第1ドライバ150を用いて作動させることができる。第1ドライバ150は、図示のようなチェーン(デイジーチェーン)として、またはそれぞれが個別に、スイッチオフ装置145と接続され、相互接続されてよい。または、電流弁120、125を、共通のドライバ155を用いてスイッチオフ装置145によって作動させることができる。スイッチオフ装置145またはドライバ150、155および第1インターフェイス130は、制御信号のレベルでの短絡を回避するために、例えばダイオード160を用いて相互に分離されている。他の解決策として、例えば、論理ゲート、トランジスタ、MOSFET又は抵抗を使用することができる。
【0029】
スイッチ165は、第2インターフェイス140を介してスイッチオフ装置145と接続されており、機能不全の際に第1インターフェイス130を無効化する、または第1インターフェイス130の機能を分離することによって第1インターフェイスをオーバーライドするように機能する。
【0030】
スイッチオフ装置145は、複数のスイッチオフ信号を受信できる。制御装置135が例えばエラー状態を決定すると、制御装置135はスイッチオフ信号を供給することができる。第2スイッチオフ信号は、電圧モニタ170から発することができる。ブリッジ回路115に供給する中間回路コンデンサ180における中間回路の電圧が、または電圧源128の電圧が、所定の値を下回るか、または他の所定の値を上回る場合に、第2スイッチオフ信号を供給することができる。本実施形態において、信号または状態を、特に制御装置135と交換するために設けられ、それに応じて名付けられた、追加的な任意選択の制御接続が示されている。
【0031】
図2は、図1の種類のインバータ110を用いて接続されている電気機械105を制御する方法200の、フローチャートを示す。方法200を、インバータ110、特にそのスイッチオフ装置145を用いて、全体的または部分的に実行することができる。この目的のために、スイッチオフ装置は、プログラム可能なマイクロコンピュータまたはマイクロコントローラを備えることができる。方法200は、プログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品の形態であってよい。方法200の特徴、オプション、または利点を、インバータ110またはスイッチオフ装置145に転送することができる。また、その逆も可能である。
【0032】
第1ステップ205において、エラー状態を決定することができる。エラー状態は、例えば制御装置135、電圧モニタ170、またはスイッチオフ装置145によって決定することができる。いずれの場合でも、電気機械105を安全な状態にする要件を含むスイッチオフ信号を決定することができる。
【0033】
任意選択のステップ210において、電流弁120、125の機能を決定することができる。特に、電流弁120、125のうちの1つを開くことができない、または閉じることができない、をチェックすることができる。決定結果に基づいて、ステップ215において、第1電流弁120を閉じることによって、または第2電流弁125を閉じることによって、安全な状態を制御すべきかを決定することができる。電流弁120、125のうちの1つを開くことができない場合には、すべての対応する電流弁120、125を閉じるべきである。電流弁120、125のうちの1つを閉じることができない場合には、すべての対応しない電流弁120、125を閉じるべきである。すべての電流弁120、125が正常である場合、デフォルト設定を使用することができる、または第1電流弁120もしくは第2電流弁125のいずれかをランダムに選択することができる。ステップ205において決定したスイッチオフ信号が、機械105を安全な状態にするために、電流弁120、125のどちらを閉じるべきかを示す場合、ステップ210におけるチェックを省略することができる。他の実施形態において、チェックの結果は、スイッチオフ信号を介して受信された要件をオーバーライドすることができる。
【0034】
ステップ220において、従前に決定した第1電流弁120、または従前に決定した第2電流弁125を閉じることによって、安全な状態を制御することができる。一実施形態において、第1インターフェイス130を介して提供される制御信号を無効化する、オーバーライドにする、またはオフに切り換える。さらに、安全な状態の作動を示す信号を、外部に供給することができる。任意選択的に、信号は、どの電流弁120、125が閉じられるかの指示を含む。信号を、特に、制御装置135に供給することができる。
【符号の説明】
【0035】
100 システム
105 電気機械
110 インバータ
115 ブリッジ回路
120 第1電流弁(ハイサイドスイッチ)
125 第2電流弁(ローサイドスイッチ)
128 電圧源(例えばLOD)
130 第1インターフェイス
135 制御装置
140 第2インターフェイス
145 スイッチオフ装置
150 第1ドライバ
155 第2ドライバ
160 ダイオード
165 スイッチ
170 電圧モニタ
180 中間回路コンデンサ
200 方法
205 エラー状態を決定するステップ
210 電流弁の機能を決定するステップ
215 能動的な短絡を決定するステップ
220 能動的な短絡を作動させるステップ
図1
図2