(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】ピペットチップ
(51)【国際特許分類】
B01L 3/02 20060101AFI20221207BHJP
G01N 1/00 20060101ALI20221207BHJP
G01N 35/10 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
B01L3/02 B
G01N1/00 101K
G01N35/10 G
(21)【出願番号】P 2020565942
(86)(22)【出願日】2019-02-21
(86)【国際出願番号】 EP2019054353
(87)【国際公開番号】W WO2019228682
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2021-05-10
(32)【優先日】2018-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505404725
【氏名又は名称】エッペンドルフ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(74)【代理人】
【識別番号】100142572
【氏名又は名称】水内 龍介
(72)【発明者】
【氏名】ハンナ レートヴィッシュ
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0183433(US,A1)
【文献】特開2018-012085(JP,A)
【文献】特開2013-136052(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0082078(US,A1)
【文献】特開平08-266913(JP,A)
【文献】特開昭63-023749(JP,A)
【文献】特開2005-103542(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01L 3/02
C12M 1/00
G01F 11/00
G01N 1/00、35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体の通過のための下端(3)の下部開口部(4)と、ピペット装置のアタッチメント(22)への固定のための上端(5)の上部開口部(6)とを有する細長い管状の本体(2)を備えるプラスチックのピペットチップであって、
前記アタッチメント(22)のための座領域(15)が、前記上部開口部(6)に隣接して内周に存在し、軸方向に延びる少なくとも1つの溝(11)が、外周に存在し、前記管状の本体(2)は、当該ピペットチップが前記アタッチメント(22)に固定されたときに座領域の少なくとも一部分と締まりばめを形成するように、座領域(15)の少なくとも一部分よりも大きな寸法を有する
アタッチメントに当該ピペットチップを5
Nの最大取り付け力で前記座領域(15)によって取り付けたときに、前記溝(11)内において周方向に塑性的に広がるように設計されており、これにより、当該ピペットチップが前記アタッチメント(22)に充分にしっかりと固定される、ピペットチップ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの溝(11)は、前記管状の本体(2)の上端から下方へと延びている、請求項1に記載のピペットチップ。
【請求項3】
前記管状の本体(2)は、前記溝(11)の底部において最大0.2mmの肉厚を有する、請求項1または2に記載のピペットチップ。
【請求項4】
前記管状の本体(2)は、前記溝(11)の底部において少なくとも0.15mmの肉厚を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のピペットチップ。
【請求項5】
前記管状の本体(2)は、前記溝(11)に隣接する周方向において少なくとも0.25mmの肉厚を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のピペットチップ。
【請求項6】
前記管状の本体(2)は、前記座領域(15)の内周に内向きに突出した周状のシール用ビード(16)を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のピペットチップ。
【請求項7】
前記シール用ビード(16)は、前記上部開口部(6)から離して配置されている、請求項6に記載のピペットチップ。
【請求項8】
前記管状の本体(2)は、前記上部開口部(6)に位置する挿入用面取り(17)を内周に有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のピペットチップ。
【請求項9】
前記管状の本体(2)は、外周に複
数の溝(11)を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載のピペットチップ。
【請求項10】
前記溝(11)は、前記管状の本体(2)の外周に均一に分布している、請求項9に記載のピペットチップ。
【請求項11】
前記管状の本体(2)は、射出成形の際にピペットチップの外側に少なくとも1つの射出地点(33)から出発したプラスチック材料の流頭同士が出会う場所において、軸方向に延びる溝(11)を有さず、あるいは上端が前記座領域(15)の内周を巡って延びるシール用ビード(16)よりも下方に配置された軸方向に延びる溝(11)を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のピペットチップ。
【請求項12】
前記管状の本体(2)は、射出地点(33)に直径上で対向する溝(11)を有さず、あるいは上端が前記座領域(15)の内周を巡って延びるシール用ビード(16)よりも下方に配置された溝(11)を有する、請求項11に記載のピペットチップ。
【請求項13】
内向きに突出した閉じた周状または部分的に周状の案内構造(18)を前記シール用ビード(16)の下方に有し、当該ピペットチップに挿入されたアタッチメントに当接して当該ピペットチップを横方向に支えるように前記座領域の内周に突出した閉じた周状または分断された周状の構造物である、請求項3~12のいずれか一項に記載のピペットチップ。
【請求項14】
前記案内構造(18)は、少なくとも前記シール用ビード(16)の内径に対応する前記シール用ビード(16)からの距離を有する、請求項13に記載のピペットチップ。
【請求項15】
前記管状の本体(2)は、前記座領域(15)の内周に内向きに突出した周状のシール用ビード(16)を有し、
前記管状の本体(2)は、下方へと先細りの円錐形の制動領域(19)を、前記シール用ビード(16)の下方、
又は前記案内構造(18)の下方の前記座領域(15)の内周に有する、
請求項13又は14に記載のピペットチップ。
【請求項16】
円錐形の初期部分(7)を有し、前記初期部分(7)の上方に、前記初期部分(7)よりも小さい円錐角を有する円錐形の中央部分(8)が存在し、前記中央部分(8)の上方に、円筒形または円錐形のヘッド部分(9)が存在し、該当する場合、前記初期部分(7)と前記中央部分(8)との間に移行部分(10)が存在し、前記初期部分(7)よりも大きい円錐角を有する、請求項1~15のいずれか一項に記載のピペットチップ。
【請求項17】
前記少なくとも1つの溝(11)は、前記ヘッド部分(9)の外周に配置され、前記座領域(15)は、前記ヘッド部分(9)の内周に配置されている、請求項16に記載のピペットチップ。
【請求項18】
少なくとも1つの熱可塑性物
質から製造された、請求項1~17のいずれか一項に記載のピペットチップ。
【請求項19】
前記溝(11)の底部が、第1の半径を有し、前記溝(11)の側面が、前記第1の半径に直接接続されている、請求項1~18のいずれか一項に記載のピペットチップ。
【請求項20】
前記第1の半径が、最大で0.5mmおよび/または少なくとも0.1mmである、請求項19に記載のピペットチップ。
【請求項21】
前記溝(11)が、周方向において、最大で1.5mmおよび/または少なくとも0.25mmの幅を有する、請求項1~20のいずれか一項に記載のピペットチップ。
【請求項22】
周方向において前記溝(11)に隣接する前記管状の本体(2)の肉厚が、少なくとも0.3mmおよび/または最大で0.4mmである、請求項1~21のいずれか一項に記載のピペットチップ。
【請求項23】
前記上部開口部(6)からの前記シール用ビード(16)の距離が、少なくとも0.1mmおよび/または最大で4.0mmである、請求項6、請求項7、請求項11、請求項12、請求項13、請求項14、又は請求項15に記載のピペットチップ。
【請求項24】
前記挿入用面取り(17)が、5~25°の範囲内の円錐角を有する、請求項8に記載のピペットチップ。
【請求項25】
前記座領域(15)が、内側において、直径が下方に向かうにつれて減少する円錐形であり、円錐角は、1.5~2.5°、請求項1~24のいずれか一項に記載のピペットチップ。
【請求項26】
前記シール用ビード(16)が、最大で3.54mmの内径を有する、請求項6、請求項7、請求項11、請求項12、請求項13、請求項14、請求項15、又は請求項23に記載のピペットチップ。
【請求項27】
前記案内構造(18)が、最大で3.42mmの内径を有する、請求項13、請求項14、又は請求項15に記載のピペットチップ。
【請求項28】
請求項1~27のいずれか一項に記載の少なくとも1つのピペットチップと、
ピペットチップを取り付けるための単一のアタッチメントを有している単一チャネルピペット装置および/または複数のピペットチップを同時に取り付けるための複数のアタッチメントを備えているマルチチャネルピペット装置と
を備えるピペットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピペットチップに関する。
【背景技術】
【0002】
ピペットチップは、とくには医学、生物学、生化学、および化学の研究所において、液体を計量するために、ピペットおよび他の計量装置と一緒に使用される。以下では、ピペットおよび他の計量装置を、まとめて「ピペット装置」と呼ぶ。ピペットチップは、液体の通過のための下端の下部開口部と、ピペット装置のアタッチメントへの固定のための上端の上部開口部とを有する細長い管状の本体を有する。ピペットチップは、通常は、断面が下部開口部から上部開口部に向かって拡大するおおむね円錐形の形状を有する。標準化された円錐形または円錐台形状のアタッチメント(ワーキングコーン)が知られており、それらは、多数の製造者によって統一的に使用され、各々のピペットチップサイズについて円錐形のアタッチメントの特定の平均直径および特定の円錐角を特徴とする標準の形状を有する。
【0003】
マルチチャネルピペット装置が、1つ以上の容器から同時に液体を引き込み取り、あるいは、それぞれ1つ以上の容器へと液体を排出するように機能する。マルチチャネルピペット装置は、複数の容器をマトリクス状の配置にて有しているマイクロタイタープレートを処理するためにしばしば使用される。これを達成するために、マルチチャネルピペット装置は、1つ以上の平行な列にて互いに平行に配置されたいくつかの円錐形のアタッチメントを有し、これらのアタッチメントにピペットチップを固定することができる。1列に16個または24個のアタッチメントを備えるマルチチャネルピペットが、ANSI規格による384(16x24)個の容器(ウェル)を有する頻繁に使用される形式のマイクロタイタープレートへの適用において知られている。384個のアタッチメントを有する計量ヘッドを備えたマルチチャネル計量装置も知られている。384個の容器を備えるマイクロタイタープレートの隣同士の容器の間隔に対応して、隣同士のアタッチメントは、互いから4.5mmの間隔を有する。
【0004】
空気クッション式ピペット装置として設計される場合、ピペット装置は、少なくとも1つのアタッチメントの貫通穴に連通する空気のための少なくとも1つの変位装置を有する。空気クッションを、アタッチメントに固定されたピペットチップへと液体を引き込むとともに、アタッチメントに固定されたピペットチップから液体を放出するために、変位装置によって変位させることができる。変位装置は、一般に、シリンダとして設計され、このシリンダ内をプランジャが移動することができる。しかしながら、変位チャンバおよび少なくとも1つの変形可能な壁を備え、壁の変形によって空気クッションの変位を生じさせる変位装置も知られている。
【0005】
直接置換式ピペット装置としての実施形態においては、小型のプランジャがピペットチップ内に配置され、ピペットチップがアタッチメントに取り付けられるときに、アタッチメントの貫通穴内を変位することができるピペット装置のプランジャ駆動部の結合要素に結合する。
【0006】
液体は、好ましくは、単一のステップまたはいくつかの小さなステップにてピペットチップへと引き込まれる。液体は、ピペット操作時に単一のステップにて分注され、分注時にいくつかの小さなステップにて排出される。
【0007】
ピペット装置は、一般に、ピペットチップをアタッチメントから押し離すために、ピペットチップの上端に作用するエジェクタを備える。マルチチャネルピペット装置において、エジェクタをいくつかのピペットチップの上端に同時に押し付けることができる。エジェクタにより、ユーザは、液体で汚染されたピペットチップを、それらをつかむことなくアタッチメントから取り外すことができる。
【0008】
ピペット装置は、ユーザが片手で保持して操作することができる手動ピペットであってよい。ピペット装置は、また、1つ以上のアタッチメントを備えた計量ヘッドを、作業面の上方で、ロボットアームまたは他の運搬システムで移動させることができる計量ステーション(「ピペットステーション」)または計量機(「ピペットマシン」)であってもよい。さらに、ピペット装置は、計量に加えて液体のさらなる処理(混合、加熱、分析、など)も実行できる実験装置(「ワークステーション」)の一部であってもよい。
【0009】
不正確な計量を防止するために、ピペットチップをアタッチメントに充分にしっかりと固定、または漏れがないように固定しなければならない。さらに、ピペットチップのアタッチメントへの取り付けおよび取り外しの力は、過度に大きくてはいけない。従来からのピペットチップは、円錐形のアタッチメントとの接触領域において、厚肉かつ堅固である。取り付け時に、ピペットチップは、アタッチメントによって円周において弾性的に広げられる。ばね特性が急勾配であるため、大きな取り付け力を加えなければならない。これに対応して、取り付け後にアタッチメントとピペットチップとの間に大きな静止摩擦が作用し、取り外し時には、この大きな静止摩擦に打ち勝たなければならない。ユーザは、ピペットチップの取り付けおよび取り外しのための大きな力に悩まされる。これは、「蓄積外傷疾患」(CTD)という用語で要約される障害を引き起こす可能性がある。取り付けおよび取り外しが電動の駆動部によって実行される場合、駆動部は相応に強力でなければならず、電力の消費が大きくなる。
【0010】
米国特許第6,197,295号(特許文献1)が、6ポンド(26.7N)の比較的小さい軸方向の取り付け力を加えることによってピペットのアタッチメントにしっかりと取り付けることができ、3ポンド(13.3N)の比較的小さいエジェクト力を加えることによってピペットのアタッチメントから取り外すことができるピペットチップを記載している。このピペットチップは、円錐形の上端部を有しており、この上端部における内径は、このピペットチップが取り付けられるピペットのアタッチメントの直径よりも大きい。さらに、このピペットチップは、中空の中央部と、上端部と中央部との間の接続部に位置する環状のシール領域とを有する。中央部は、シール領域上およびシール領域の隣に、0.2~0.5mmの肉厚の側壁を有する。環状のシール領域は、値「x」よりも小さい内径を有し、アタッチメントが挿入されたときに半径方向に広がるように、アタッチメントのシールゾーンの下端と係合するように設計されている。これにより、アタッチメントのシールゾーンとピペットチップのシール領域との間に、液体を漏らさないシールが生成される。さらに、このピペットチップは、シール領域の隣の内面に、アタッチメント上のピペットチップを安定させるために、アタッチメントの外面と係合する横安定手段を有する。横安定手段は、互いに周方向に間隔を空けて位置してピペットチップの内面から内側へと延びる少なくとも3つの接点を有する。接点間の直径距離は、アタッチメントの下端と容易に係合し、この下端を、接点が配置されたピペットチップの側壁を広げることなく、スライドさせて通過させることができるように寸法付けられている。アタッチメントのシールゾーンの下端がピペットチップのシール領域と係合すると、ピペットチップは、シール領域およびそのすぐ隣において引き伸ばされる。接点がアタッチメント上でピペットチップを案内するとき、ピペットチップの側壁は、接点間で内側に変形し、広がることはなく、したがってアタッチメントを押し込むために加えるべき力が最小限に抑えられる。取り付け力が増すにつれて、アタッチメントをピペットチップへと深く押し込むことができる。したがって、ピペットチップをアタッチメントから取り外すために、大きなエジェクト力を加えなければならない。内側に突出した接点に鑑みて、この構造は、比較的大きなピペットチップにのみ適している。
【0011】
米国特許第6,568,288号(特許文献2)が、互いに軸方向に間隔を空けて位置する環状のシール領域と、実質的に円筒形の横案内領域とを有するピペットチップを記載しており、シール領域は、互いに軸方向に間隔を空けて位置する環状のシールゾーンと、円筒形の横案内ゾーンとを備えたピペットのアタッチメントが進入したときに、シールゾーンのシール面とシール領域との間に圧入および気密シールを形成するように充分に薄い。シール領域の肉厚は、好ましくは0.2~0.5mmである。シール面は、アタッチメントの下端に隣接する位置で半径方向外側に突出する環状の突出部の外面である。ピペットチップは、アタッチメントへの取り付けを制限するために、環状の上向きかつ内向きのショルダを備えている。力は、取り付けについては約2ポンド(8.9N)、取り外しについては約1ポンド(4.45N)でなければならない。奥行きストッパにより、マルチチャネルピペット装置によってトレイまたはラックからいくつかのピペットチップを同時に取り上げるときに、不完全な挿入が発生する可能性がある。トレイまたはラックが側縁間でわずかに垂れ下がっている場合に、2つの外側のアタッチメントを2つの外側のピペットチップのショルダへと取り付けることで、間に配置されたピペットチップへの他方のアタッチメントの挿入が不充分になる可能性がある。
【0012】
米国特許第6,967,004B2号(特許文献3)が、内側シール面を備える環状のシール領域を側壁上に有するピペットチップを記載しており、側壁は、わずかに広がって、シール面とピペットチップに挿入されたピペットのアタッチメントのシールゾーンとの間に圧入および気密シールを形成するように、シール領域において充分に薄い。ピペットチップは、アタッチメントの挿入を制限する内側および上方を向いた環状のショルダを有する。アタッチメントは、直径の異なる2つの円筒形部分を有する。アタッチメントの環状のシールゾーンは、円筒形部分の下端と、アタッチメントの半径方向に広がる遷移部の最外縁との間の接続部に位置するシール縁を含む。好ましくは、ピペットチップの挿入および取り外しのための力は、2ポンド(8.9N)未満である。奥行きストッパが、マルチチャネルピペット装置によっていくつかのピペットチップを同時に取り上げるときに、アタッチメントの不完全な挿入につながる可能性がある。
【0013】
欧州特許出願公開第2138234A1号(特許文献4)が、柔らかい管状の接続部を有するピペットチップを記載しており、接続部は、細長い管状部の上端のピペット装置のアタッチメントへの着脱可能な接続のための座領域の弾性を高める波状の断面を有する輪郭を備えている。座領域を、アタッチメントへの取り付け時に、20%よりも大きく可逆的に広げることが可能である。シール座を実現するために、波状の輪郭をアタッチメント上に滑らかに伸ばす必要があり、結果として、さらなる弾性はわずかでしかない。したがって、ピペットチップの正確な製造が必要である。さらに、半径方向内側に突出するショルダが、座領域と管状領域との間に存在して、アタッチメントの奥行きストッパを生成するが、これは、マルチチャネルピペット装置によってピペットチップが取り上げられるときに、アタッチメントの不充分な挿入につながる可能性がある。
【0014】
欧州特許出願公開第2606977A1号(特許文献5)が、液体の通過のための下端の下部開口部と、上端の上部開口部とを有する細長い管の形状を有するピペットチップを記載しており、座領域が、上部開口部に隣接する内周に存在し、ピペット装置の標準化された円錐形のアタッチメントに取り付けられるように機能する。座領域は、軸方向に延びるリブを半径方向内側へと突出させて備えている保持領域と、保持領域の下方に位置し、円周を巡って延びる内側へと突出したシール領域を備えているシール領域とを有する。座領域は、ピペットチップがアタッチメント上に保持されてシールされるように保証する取り付け力でアタッチメントに取り付けられるときに、リブが部分的に塑性変形して、座領域のリブの外部で弾性変形が生じるように設計されている。シール領域の下方に、取り付けを制限するように上部開口部に向かって円錐状に広がる制動領域が存在する。これにより、ピペット装置のアタッチメントへの安全なシールが保証され、取り外しのために加えるべきエジェクト力が大幅に小さくなる。この構造は、公称容量が2.5、5.0、および10mLの比較的大きなピペットチップにとくに適する。より小さいピペットチップについては、繊細なリブの製造が難しいことを考えると、あまり適していない。
【0015】
欧州特許出願公開第3115110A1号(特許文献6)が、ピペット装置の円錐形のアタッチメントに取り付けられる管状の本体と座領域とを備えるピペットチップであって、上部開口部から離れた内周上の周状の内向きに突出したシール突起と、シール突起の下方に位置し、アタッチメントよりも強く下方へと先細りである周状の制動領域と、シール突起の上方の周状の内向きに突出した支持突起とを有するピペットチップを記載している。シール突起を、弾性変形の下でアタッチメントへとシールを形成するように固定することができ、制動領域は、アタッチメントに当接してさらに下方に位置し、支持突起は、初期張力を伴わずにアタッチメントに当接してさらに上方に位置し、あるいは周状のギャップを介してアタッチメントから離れている。ピペットチップを、効果的なシールの様相で、ピペット装置のアタッチメントへとしっかりと固定でき、小さな力を加えることでアタッチメントから取り外すことができ、小さいサイズのピペットチップにもきわめて適している。不利な点は、アタッチメントへの固定時およびアタッチメントからの取り外し時に、依然として大きな力を加える必要があることである。
【0016】
国際公開第2011/091308A2号(特許文献7)が、近位部の近位端に位置する環状フランジと、近位部に位置し、互いに周方向に間隔を空けて配置された軸方向に延びるリブとを有するピペットチップを記載している。フランジは、ピペットチップの剛性を高めて、ピペットチップへのディスペンサの整列を容易にするためのものである。リブは、近位領域におけるピペットチップの軸方向の拡張性を制限するためのものである。200μlおよび1,000μlの充てん容積を有するピペットチップの5つの異なるピペットへの取り付け力は、1,000g(10N)を超えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】米国特許第6,197,295号
【文献】米国特許第6,568,288号
【文献】米国特許第6,967,004B2号
【文献】欧州特許出願公開第2138234A1号
【文献】欧州特許出願公開第2606977A1号
【文献】欧州特許出願公開第3115110A1号
【文献】国際公開第2011/091308A2号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
このような背景に対して、本発明は、それぞれ充分にしっかりと保持またはシールを形成するように保持され、かつ小さなエジェクト力でアタッチメントから解放できるように、小さな取り付け力でピペット装置のアタッチメントに固定することができるピペットチップを提供するという目的に基づく。ピペットチップは、マルチチャネルピペット装置での使用に適していなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この目的は、請求項1の特徴を備えるピペットチップによって達成される。ピペットチップの好都合な実施形態が、従属請求項に示される。
【0020】
本発明によるプラスチックのピペットチップは、液体の通過のための下端の下部開口部と、ピペット装置のアタッチメントへの固定のための上端の上部開口部とを有する細長い管状の本体を備え、アタッチメントのための座領域が、上部開口部に隣接して内周に存在し、軸方向に延びる少なくとも1つの溝が、外周に存在し、管状の本体は、ピペットチップがアタッチメントに固定されたときに座領域の少なくとも一部分と締まりばめを形成するように、座領域の少なくとも一部分よりも大きな寸法を有するアタッチメントにピペットチップを5N、好ましくは3.3N、より好ましくは3Nの最大取り付け力で座領域によって取り付けたときに、溝内において周方向に塑性的に広がるように設計されており、これにより、ピペットチップがアタッチメントに充分にしっかりと固定される。
【0021】
管状の本体が、溝によって座領域において弱められ、したがって座領域が、ピペット装置のアタッチメントへの固定によって、溝内で周方向に塑性的に広がることができる。アタッチメントは、ピペットチップを座領域によってアタッチメントに固定できるように設計される。これを達成するために、アタッチメントは、ピペットチップがアタッチメントに固定されたときに少なくとも座領域の一部分と締まりばめ(圧入)を形成するように、座領域の少なくとも一部分よりも大きな寸法を有する。溝内の塑性変形は、アタッチメントへの取り付け時に、管状の本体の溝内の壁部分に、弾性限界を超え、塑性変形が生じるように、充分に高い応力が発生するがゆえに生じる。塑性変形は、不可逆的な変形であり、すなわちピペットチップをアタッチメントから取り外した後に独力で元に戻ることがない変形である。溝に隣接する周方向において、管状の本体は、溝内における肉厚よりも大きい肉厚を有する。結果として、溝内で塑性変形が生じても、溝の隣で塑性変形が生じることはない。これにより、取り付け力を最小限に抑えることができる。管状の本体の内径は、溝内での塑性変形によって恒久的に拡大される。ピペットチップがアタッチメントに固定され、溝において周方向に塑性的に広がると、ピペットチップは、アタッチメントにシールが形成されるようにしっかりと固定される。塑性変形により、取り付け力は、ピペットチップがアタッチメントに充分にしっかりと据わり、あるいはシールを形成するように据わる値に制限される。これにより、取り付け力およびピペットチップを取り外すために必要なエジェクト力が最小限に抑えられる。本発明によるピペットチップにおいては、ピペットチップをアタッチメントに取り付けるための取り付け力およびピペットチップをアタッチメントから取り外すためのエジェクト力が、5N、好ましくは3.3N、より好ましくは3Nという値に抑えられる。取り付け力は、ピペットチップへと垂直方向に導入される。そのようにするとき、(例えば、5N、3.3N、または3N)の特定の取り付け力を、ばねによってアバットメントに対して支持されてやはり垂直方向に向けられたアタッチメントへとピペットチップを垂直方向に押すことによって、ピペットチップへと導入することができ、このばねは、特定の取り付け力に達すると圧縮されるように寸法付けられる。取り付け力の達成は、この圧縮によって示される。ピペットチップが奥行きストッパを必要とせずに機能できるので、複数のピペットチップをマルチチャネルピペット装置によって取り上げ、アタッチメントを、取り付け力を著しく大きくすることなく、確実かつシールが形成されるような据え付けが得られるように、すべてのピペットチップへと充分に深く延ばすことができる。好ましい実施形態によれば、ピペットチップは、制動領域を有さず、あるいは「ソフト」な奥行きストッパとしてピペットチップへと挿入されるアタッチメントを緩やかに制動する制動領域を有さない。このピペットチップは、16個、24個、384個、または任意の他の数のチャネルを備えたマルチチャネルピペット装置における使用にとくに適する。このピペットチップは、複数のピペットチップをトレイまたはラック上に、隣り合うピペットチップの間の距離を4.5mmにして用意し、マルチチャネルピペット装置によって同時に取り上げる場合にきわめて好適である。したがって、このピペットチップは、384個の容器を備えたマイクロタイタープレートから液体を引き込み、あるいはそのようなマイクロタイタープレートへと液体を分注する場合にきわめて好適である。
【0022】
周方向の塑性的な広がりは、溝内のあらゆる場所で発生でき、あるいは溝内の一部分に限定されてもよい。溝内の周方向の塑性的な広がりは、管状の本体の形状および寸法、溝の形状および寸法、ならびにピペットチップのプラスチックによって決まる。とくには、塑性的な広がりは、溝内の周方向に延びる一部分の両端にマーキングを施し、この部分を、ピペットチップを所与のアタッチメントへと所与の最大取り付け力で取り付ける前および後に測定することにより、確認することができる。この部分の両端を、とくには、製図ペンまたはファインライナーによって所定の線幅で溝内に軸方向に適用される線の側縁によってマーキングすることができる。さらに、周方向における溝または溝の底部の寸法をアタッチメントへの取り付けの前および後で比較することによって、塑性変形を確認することができる。寸法を、とくには顕微鏡の助けを借りて測定することができる。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、管状の本体は、座領域によって円錐形のアタッチメントまたはアタッチメントの円錐形部分に固定できるように設計される。別の実施形態によれば、円錐形のアタッチメントまたはアタッチメントの円錐形部分の最小直径が、2mm~15mmの範囲から、好ましくは2.5mm~8mmの範囲から、より好ましくは、3mm~5mmの範囲から選択される。別の実施形態によれば、円錐形のアタッチメントまたはアタッチメントの円錐形部分の最小直径が、3.34mmである。
【0024】
別の実施形態によれば、円錐形のアタッチメントまたはアタッチメントの円錐形部分の円錐角が、1.0°~10°の範囲から、好ましくは1.3°~7°mmの範囲から、より好ましくは1.5°~3°の範囲から選択される。別の実施形態によれば、円錐角は2.17°である。別の実施形態によれば、管状の本体は、溝内において周方向に塑性的に広がるように、円筒形のアタッチメントへと座領域によって取り付けられるように設計される。
【0025】
好ましい実施形態によれば、管状の本体は、円錐形のアタッチメントまたはアタッチメントの円錐部分へと固定できるように設計され、円錐形のアタッチメントまたは円錐部分の最小直径は3.34mmであり、円錐形のアタッチメントまたは円錐部分の円錐角は2.17°である。
【0026】
別の実施形態によれば、溝は、最大で0.1mm、好ましくは最大で0.02mm、好ましくは0.015~0.005mm、好ましくは0.011mmの幅で軸方向に延びるストリップ状の部分において塑性的に広がるように構成される。この実施形態において、塑性的な広がりを、このストリップ状の部分に製図ペンまたはファインライナーによって適用される線の幅を、アタッチメントへの取り付けの前後に測定することによってチェックすることができる。
【0027】
別の実施形態によれば、溝は、1つの部分において少なくとも8%塑性的に広がるように構成される。
【0028】
別の実施形態によれば、管状の本体は、溝の底部において最大0.2mmの肉厚を有し、さらには/あるいは溝に隣接する周方向において少なくとも0.25mmの肉厚を有する。溝の底部は、溝のうち、管状の本体を通る水平方向の断面において溝が最大の深さを有する地点または部分である。好ましい実施形態によれば、溝の底部における管状の本体は、最大で0.2mmの全体的な肉厚を有する。好ましくは、この肉厚を維持する少なくともポリオレフィン、好ましくは少なくともポリプロピレン(PP)および/またはポリエチレン(PE)からなるピペットチップは、特定の最大力で特定のアタッチメントに取り付けられるとき、溝の隣においては塑性的に広がることなく、溝内において周方向に塑性的に広がることが可能である。
【0029】
別の実施形態によれば、溝の底部における管状の本体は、少なくとも0.15mmの肉厚を有する。これは、ピペットチップをアタッチメントに充分にしっかりと据えるために好都合である。別の実施形態によれば、溝の底部における管状の本体は、少なくとも0.15mmの全体的な肉厚を有する。
【0030】
別の実施形態によれば、その上端において、管状の本体は、リングフランジのような別の半径方向外向きに突出する完全または部分的な周囲の突出部を有する。
【0031】
別の実施形態によれば、溝が配置されている上部における管状の本体は、外側が円筒形または円錐形である。別の実施形態によれば、円錐形の上部は、管状の本体の外側において下方へと先細りである。別の実施形態によれば、最大5°、好ましくは最大2°の円錐角を有する。
【0032】
別の実施形態によれば、溝は、管状の本体の上端から下方へと延びる。これにより、アタッチメントへの取り付け時に溝の塑性変形をより容易にでき、わずかな取り付け力でピペットチップの固定およびシールの形成を促進できる。
【0033】
好ましい実施形態によれば、管状の本体は、溝に隣接する周方向において、少なくとも0.25mmの全体的な肉厚を有する。この実施形態では、管状の本体は、溝を通る任意の水平方向の断面において、溝の外側で少なくとも0.25mmの全体的な肉厚を有する。
【0034】
別の実施形態によれば、管状の本体は、座領域の内周に、内向きに突出する周状のシール用ビードを有する。シール用ビードは、ピペットチップをアタッチメントにしっかりと、シールを形成するように据えるために好都合である。取り付け力およびエジェクト力が、シール用ビードによって小さくなる。この実施形態において、ピペットチップは、シール用ビードよりも大きい寸法を有するアタッチメントに固定される。
【0035】
別の実施形態によれば、管状の本体は、シール用ビードを通る水平方向の断面において、溝の底部の肉厚が最大0.2mmおよび/または少なくとも0.15mmである。これは、溝内における塑性変形による取り付け力およびエジェクト力の制限、ならびにアタッチメントへのピペットチップの充分にしっかりとした据え付けに好都合である。
【0036】
別の実施形態によれば、溝は、管状の本体を通る水平方向の断面内の最も低い地点に溝の底部を有する第1の半径を有する。別の実施形態によれば、溝の側面は、第1の半径に直接接続される。別の実施形態によれば、溝の側面はそれぞれ、第2の半径によって管状の本体の外周に接続される。
【0037】
別の実施形態によれば、第1の半径は、最大で0.5mmおよび/または少なくとも0.1mmであり、好ましくは0.25mmである。
【0038】
別の実施形態によれば、溝は、周方向に、最大で1.5mmおよび/または少なくとも0.25mm、好ましくは0.8mmの幅を有する。
【0039】
別の実施形態によれば、周方向において溝に隣接する管状の本体の肉厚が、少なくとも0.3mmおよび/または最大で0.4mmである。これは、材料を節約するが、それでもなお好都合なペットチップの剛性をもたらす。
【0040】
別の実施形態によれば、シール用ビードは、上部開口部から離して配置される。これにより、ピペットチップへのアタッチメントの導入が容易になる。導入をさらに容易にするために、ピペットチップは、上部開口部に内周の挿入用面取りを有する。これは、シール用ビードに向かって先細りになる円錐形の輪郭を有する。
【0041】
別の実施形態によれば、上部開口部からのシール用ビードの距離は、少なくとも0.1mmおよび/または最大で4.0mmであり、例えば0.8mmである。
【0042】
別の実施形態によれば、挿入用面取りは、例えば16°など、5~25°の範囲内の円錐角を有する。
【0043】
別の実施形態によれば、管状の本体は、外周にいくつかの溝を有する。これは、均一な広がり、ならびに取り付け力およびエジェクト力の限定をもたらすことができる。別の実施形態によれば、溝は、管状の本体の外周全体に均一に分布する。別の実施形態によれば、正確に3つの溝が、管状の本体の外周に存在する。
【0044】
別の実施形態によれば、管状の本体は、射出地点に直径上で対向する溝を有さず、あるいは上端が座領域の内周を巡って延びるシール用ビードよりも下方に配置された溝を有する。この実施形態は、プラスチックのピペットチップを射出成形するときに、管状の本体を製造するための金型の空洞へのプラスチックの入口点が、管状の本体に形成されるべき溝に直径上で対向するように配置された場合、真円度の低下がより高い頻度で生じ得るという洞察に基づく。この場合、入口点から出発して射出成形金型のコアの両側を巡って流れる流頭が、製造される管状の本体の肉厚が薄い領域でまさに合流する。真円度が低いと、漏れが生じる可能性がある。これが、本発明によれば、管状の本体が、空洞へのプラスチックの入口点に直径上で対向する溝を持たないように製造され、あるいは上端が入口点よりも下方に配置された溝を備えて製造されることで、防止される。これを、仕上がったピペットチップにおいて、ピペットチップが、射出地点に直径上で対向する溝を有さず、あるいは上端が射出地点よりも下方に配置されている溝を有するという点で、識別することができる。射出地点は、プラスチックが空洞へと進入したピペットチップの外側に位置する視覚的に認識できる(例えば、隆起し、あるいは凹んだ)地点である。好ましくは、溝は、射出地点の少なくとも1mm、より好ましくは少なくとも2mm下方に配置される。
【0045】
ピペットチップが管状の本体の周囲に分散配置された複数の射出地点を有する場合、それに応じて、シール用ビード内の流頭が溝の半径方向内側で出会うことがないように注意しなければならない。したがって、別の実施形態によれば、管状の本体は、射出成形の際に少なくとも1つの射出地点から出発したプラスチック材料の流頭同士が出会う場所において、軸方向に延びる溝を有さず、あるいは上端が座領域の内周を巡って延びるシール用ビードよりも下方に配置された軸方向に延びる溝を有する。
【0046】
別の実施形態によれば、管状の本体は、座領域の内側で円錐形であり、下向きに減少する直径を有する。これは、円錐形のアタッチメントへの固定に有利である。別の実施形態によれば、座領域は、好ましくは2°など、1.5~2.5°の範囲内の円錐角を有する。平たい円錐角は、ピペットチップをアタッチメントへと低摩擦で固定するために好都合である。好ましくは、アタッチメントは、座領域の円錐角を超える好ましくは1.5°~3°、より好ましくは2°の円錐角を有する。
【0047】
別の実施形態によれば、管状の本体は、シール用ビードの下方または上方の座領域の内周に、内向きに突出した閉じた周状または分断された周状の案内構造を有する。「案内構造」は、座領域の内周に突出し、ピペットチップに挿入されたアタッチメントに当接してピペットチップを横方向に支えるように機能する閉じた周状または分断された周状の構造物を指す。別の実施形態によれば、案内構造は、案内ビードであり、あるいは周方向に分散されたいくつかの案内カムを有する。案内構造は、例えばピペットチップの下端を容器の壁に接触させながら、液体を分注(「壁分注」)する場合に、ピペットチップがアタッチメント上で傾くことがないように、ピペットチップをアタッチメントに対して横方向に支える。案内構造は、好ましくは、ピペットチップがアタッチメントに固定されたときに、アタッチメントにあらかじめの張力を伴わずに当接し、あるいは周状のギャップによってアタッチメントから離れて位置するように寸法付けられる。これにより、ピペットチップをアタッチメントに取り付けるための力が最小限に抑えられる。
【0048】
別の実施形態によれば、案内構造は、少なくともシール用ビードの内径に対応するシール用ビードからの距離を有する。これは、ピペットチップを案内するために好都合である。
【0049】
別の実施形態によれば、シール用ビードが、最大で3.6mm、好ましくは3.5mmの内径を有し、かつ/または案内構造が、最大で3.5mm、好ましくは3.4mmの内径を有する。
【0050】
別の実施形態によれば、管状の本体は、下方へと先細りの円錐形の制動領域を、シール用ビードの下方、好ましくは案内構造の下方の座領域の内周に有する。「制動領域」は、座領域の内周かつシール用ビードの下方に位置し、ピペットチップのアタッチメントをピペットチップへの進入時に緩やかに制動するように機能する下向きに先細りの円錐形の領域を指す。制動領域は、ピペットチップへと進入するときにアタッチメントを緩やかに制動する。好ましい実施形態によれば、制動領域は、案内構造に加えて存在する。あるいは、制動領域が案内構造に置き換わり、アタッチメント上でピペットチップを案内する。別の実施形態によれば、制動領域は、例えば40°など、少なくとも5°かつ/または最大で60°の円錐角を有する。
【0051】
溝は、少なくとも座領域の高さの一部を過ぎて軸方向に延びる。別の実施形態によれば、溝は、軸方向に座領域の全高を過ぎて延びる。別の実施形態によれば、溝は、軸方向に座領域を過ぎて延びることはない。別の実施形態によれば、溝は、軸方向に座領域を過ぎて延びる。別の実施形態によれば、溝は、軸方向に座領域を過ぎて上方および/または下方に延びる。別の実施形態によれば、溝は、軸方向にシール用ビードを過ぎて延びる。別の実施形態によれば、溝の下端は、シール用ビードと案内構造との間に配置される。別の実施形態によれば、溝は、軸方向に案内構造を過ぎて延びる。別の実施形態によれば、溝の下端は、案内構造の高さに配置される。別の実施形態によれば、溝の下端は、案内構造と制動領域との間に配置される。別の実施形態によれば、溝は、制動領域の高さで終わる。別の実施形態によれば、溝は、軸方向に制動領域を過ぎて延びる。
【0052】
別の実施形態によれば、ピペットチップは、円錐形の初期部分を有し、初期部分の上方に、初期部分よりも小さい円錐角を有する円錐形の中央部分が存在し、中央部分の上方に、円筒形または円錐形のヘッド部分が存在し、該当する場合、初期部分と中央部分との間に移行部分が存在し、初期部分よりも大きい円錐角を有する。
【0053】
別の実施形態によれば、少なくとも1つの溝は、ヘッド部分の外周に配置され、かつ/または座領域は、ヘッド部分の内周に配置される。別の実施形態によれば、溝は、軸方向にヘッド部分の全高を過ぎて延びる。別の実施形態によれば、溝は、ヘッド部分の下端で終わる。
【0054】
別の実施形態によれば、ピペットチップは、最大で120μL、好ましくは100μLまたは20μLの公称容積を有する。
【0055】
ピペットチップは、好ましくは、単一またはいくつかの異なるプラスチックから製造される。
【0056】
別の実施形態によれば、ピペットチップは、少なくとも1つの熱可塑性物質、好ましくは少なくとも1つのポリオレフィン、好ましくは少なくとも1つのポリプロピレン(PP)および/またはポリエチレン(PE)から製造される。
【0057】
好ましくは、ピペットチップは、射出成形によって少なくとも1つのプラスチックから製造される。
【0058】
上述の目的に対する別の解決策によれば、本発明によるプラスチックのピペットチップは、液体の通過のための下端の下部開口部と、ピペット装置のアタッチメントへの固定のための上端の上部開口部とを有する細長い管状の本体を備え、アタッチメントのための座領域が、上部開口部に隣接して内周に存在し、軸方向に延びる少なくとも1つの溝が、外周に存在し、管状の本体は、溝の底部における最大で0.2mmの肉厚と、周方向において溝に隣接する少なくとも0.25mmの肉厚とを有する。
【0059】
一実施形態によれば、突出するピペットチップは、請求項1~17のいずれか一項またはこのピペットチップの上述の追加の実施形態のうちの1つの特徴をさらに有する。
【0060】
さらに、本発明は、請求項1~17のいずれか一項または上述の追加の実施形態のうちの1つによる本発明による少なくとも1つのピペットチップと、ピペットチップを取り付けるための単一のアタッチメントを有している単一チャネルピペット装置および/または複数のピペットチップを同時に取り付けるための複数のアタッチメントを備えているマルチチャネルピペット装置とを備えるピペットシステムに関し、マルチチャネルピペット装置は、好ましくは16個、24個、または384個のアタッチメントを備えた計量ヘッドを有する。
【0061】
別の実施形態によれば、少なくとも1つのアタッチメントは、少なくとも1つの円錐形部分を有し、この部分の最小直径は、2.0~15mm、好ましくは2.5~8mm、より好ましくは3~5mmの範囲から選択され、より好ましくは3.34mmであり、この部分の円錐開度は、1.0°~10°の範囲、好ましくは1.3°~7°の範囲、より好ましくは1.5~3°の範囲から選択され、好ましくは2.17°である。
【0062】
本発明は、4つの例示的な実施形態の添付の図面に基づいて下記にてより詳しく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1a】20μLの公称容積を有するピペットチップを側面図で示す。
【
図1b】20μLの公称容積を有するピペットチップを縦断面図で示す。
【
図1c】20μLの公称容積を有するピペットチップを拡大平面図で示す。
【
図1d】20μLの公称容積を有するピペットチップを側面から斜視図で示す。
【
図2a】100μLの公称容積を有するピペットチップを側面図で示す。
【
図2b】100μLの公称容積を有するピペットチップを縦断面図で示す。
【
図2c】100μLの公称容積を有するピペットチップを平面図で示す。
【
図2d】100μLの公称容積を有するピペットチップを側面から斜視図で示す。
【
図3】ピペットチップを取り付けるためのアタッチメントを側面図で示す。
【
図4a】
アタッチメントに取り付けられた20μLの公称容積を有するピペットチ ップを部分的な縦断面図で示す。
【
図4b】
アタッチメントに取り付けられた20μLの公称容積を有するピペットチ ップを拡大詳細図bで示す。
【
図4c】
アタッチメントに取り付けられた20μLの公称容積を有するピペットチ ップを拡大部分cで示す。
【
図4d】座領域を通過した
アタッチメントに取り付けられた20μLの公称容積を 有するピペットチップを横断面で示す。
【
図5a】
アタッチメントに取り付けられる前のピペットチップを横断面で示す。
【
図5b】溝内の塑性変形後のピペットチップを横断面で示す。
【
図6a】塑性変形をチェックするための試験装置上の20μLの公称容積を有する ピペットチップを側面図で示す。
【
図6b】塑性変形をチェックするための試験装置上の20μLの公称容積を有する ピペットチップを縦断面図で示す。
【
図6c】塑性変形をチェックするための試験装置上の20μLの公称容積を有する ピペットチップを側面から斜めに斜視図で示す。
【
図7a】外周に溝を有する本発明によるピペットチップのFEM変形計算結果の可 視化を示す。
【
図7b】外周に溝のない従来のピペットチップを示す。
【
図8a】射出地点の反対側により短い溝を備える20μLの公称容積を有するピペ ットチップを側面図で示す。
【
図8b】射出地点の反対側により短い溝を備える20μLの公称容積を有するピペ ットチップを縦断面図で示す。
【
図8c】射出地点の反対側により短い溝を備える20μLの公称容積を有するピペ ットチップをc-c線に沿って断面図で示す。
【
図8d】射出地点の反対側により短い溝を備える20μLの公称容積を有するピペ ットチップをd-d線に沿って断面図で示す。
【
図9a】射出地点の反対側により短い溝を備える100μLの公称容積を有するピ ペットチップを側面図で示す。
【
図9b】射出地点の反対側により短い溝を備える100μLの公称容積を有するピ ペットチップを縦断面図で示す。
【
図9c】射出地点の反対側により短い溝を備える100μLの公称容積を有するピ ペットチップをc-c線に沿って断面図で示す。
【
図9d】射出地点の反対側により短い溝を備える100μLの公称容積を有するピ ペットチップをd-d線に沿って断面図で示す。
【0064】
本出願において、用語「垂直」および「水平」、「上」および「下」、ならびに「上方」および「下方」などのそれらから派生した用語は、管状の本体の中央軸を垂直に向け、上部開口部を上部に、下部開口部を下部に位置させたピペットチップの配置を基準にする。
【発明を実施するための形態】
【0065】
図1~
図2によれば、ピペットチップ1は、下端3の下部開口部4と、上端5の上部開口部6とを有する細長い管状の本体2を有する。下部開口部4は、上部開口部6よりも小さい。
【0066】
一般に、管状の本体2の内径および外径は、下部開口部4から上部開口部6へと増加する。管状の本体2は、下部に円錐形の初期部分7を有し、その上方に、初期部分7よりも小さい円錐角を有する中央部分8を有し、その上方に、中央部分8よりも大きい外寸を有する円筒形のヘッド部分9を有する。中央部分8に隣接して、下向きの外側ショルダが、ヘッド部分9の下側を巡って外側に延びている。
【0067】
図1によれば、円錐形の初期部分7は、より太い円錐形の移行部分10によって、ピペットチップ1の中央部分8に接続されている。
図2によれば、比較的短い円錐形の初期部分7が、ピペットチップ1の比較的長い中央部分8に直接接続されている。初期部分7および移行部分10(
図1のピペットチップのみ)の肉厚は、下部から上部へとわずかに増加している。
【0068】
ヘッド部分の外周に、軸方向に延びる溝11が存在する。溝11は、ヘッド部分9の全長にわたって延び、すなわちヘッド部分9の上端から下端まで延びている。溝11は、管状の本体2の中央軸に平行に向けられている。各々のピペットチップ1は、ヘッド部分9の外周に均一に分布した3つの溝11を有する。
【0069】
各々の溝11は、断面において丸みを帯びた輪郭を有する。底部において、溝11は、中点を管状の本体2の外側に位置させた第1の半径12を有する。第1の半径12は、両側において、中点を管状の本体2の内側に位置させた第2の半径13、14へと滑らかに移行する。第2の半径13、14の各々は、外側において、ヘッド部分9の円筒形の外側輪郭へと滑らかに移行する。
【0070】
上部開口部6に隣接して、管状の本体2は、ピペット装置の円錐形のアタッチメントのための座領域15を有する。座領域15は、ヘッド部分9へと延びており、2°の円錐角を有する円錐形である。管状の本体2は、座領域15の内周に、内向きに突出する周状のシール用ビード16を有する。シール用ビード16は、座領域15の上端を形成する。円錐形の輪郭を有する挿入用面取り17が、上部開口部6からシール用ビード16まで延びている。挿入用面取り17の円錐角は、16°である。
【0071】
上部開口部からのシール用ビード16の距離は、0.8mmである。シール用ビード16は、座領域15から0.05mm突出している。
【0072】
上部開口部6からさらに離れた位置に、管状の本体は、案内ビードの形態の内向きに突出する閉じた周状の案内構造18を有する。案内構造18は、上部開口部6から5.3mmの距離を有する。案内ビード18は、座領域15から0.03mm突出している。あるいは、周状の案内構造18の代わりに、例えば座領域15の内周に均一に分布した3つの案内カムなど、断続的または部分的な周囲の案内構造が存在する。
【0073】
案内構造18の下方において、円錐形の制動領域19が、ヘッド部分9の内周に存在する。制動領域19の円錐角は、40°である。
【0074】
制動領域19の下方において、円筒形のキャビティ20が、ヘッド部分9に存在する。キャビティ20は、原則として、空いたままであってよい。フィルタピペットチップとしての設計において、1つ以上のフィルタディスクがキャビティ20に押し込まれ、あるいは別のやり方で保持される。
【0075】
円筒形のキャビティ20の下端に、内側へと突出した上向きかつ周状の内側ショルダ21が存在する。内側ショルダ21は、丸みを帯びた輪郭によって中央部分8へと移行する。
【0076】
溝11の底部において、管状の本体は、シール用ビード16を通過する水平な平面において最大0.2mmの肉厚を有し、同じ平面において溝11の隣で少なくとも0.25mmのより大きな肉厚を有する。この例において、肉厚は、溝の底部において0.2mmであり、溝の隣において0.4mmである。
【0077】
ピペットチップ1は、好ましくはポリプロピレンで作られる。
【0078】
図3によれば、アタッチメント22は、周囲の半径24が0.8mmであり、最大直径が3.34mmである丸みを帯びた挿入部分23を有し、その隣に、2°という小さい円錐角および3.4mmの最大直径を有する案内部分25が存在し、その隣に、同じ円錐角および3.68mmの最大直径を有するクランプ部分26が存在し、その隣に、円筒形の支持部分27が存在する。アタッチメントは、好ましくは、ステンレス鋼または高強度かつ堅固なプラスチックで作製され、例えばDuroplastで作製される。
【0079】
アタッチメント22を、上部開口部6を通ってピペットチップ1へと、
図4に示される位置まで挿入することができる。この位置において、挿入部分23は制動領域19に対して押し込まれ、案内ビード18は案内部分25に当接して位置し、シール用ビード16はクランプ部分26に当接して位置する。これにより、座領域15の内径が拡大する。この拡大は、少なくとも1つの溝11におけるピペットチップ1の壁の塑性変形に基づく。さらなる弾性変形が可能である。
【0080】
図5によれば、溝11の底部の当初は0.011mmの幅であるストリップが、塑性変形によって0.013mmという幅に塑性的に広がる。溝の側面へと向かう溝の輪郭の転換点の間で、溝11は、0.389mmから0.402mmへと塑性的に広がる。
【0081】
観察によれば、塑性変形は、おおむね3つの溝11のうちの1つに限られていた。これは、ピペットチップ1を射出成形する際に、射出成形金型のコアがキャビティの中心からわずかにずれ、結果として溝11の領域の肉厚がわずかに異なるためであると思われる。中心からのずれは、キャビティへと横方向に流れるプラスチック材料のよどみ圧に起因すると思われる。
【0082】
ピペットチップ1をアタッチメント22へと固定するときの塑性変形に起因して、固定力は、ピペットチップ1のアタッチメント22へのシールおよびしっかりした据え付けに充分な値に抑えられる。
【0083】
案内ビード18が案内部分25に接触することで、ピペットチップ1の横方向のゆがみが防止されることにより、とくには壁分注において、アタッチメント22への据え付けの緩みが防止される。
【0084】
制動領域19は、ピペットチップ1のアタッチメント22への押し込みを緩やかに制動することにより、複数のピペットチップがマルチチャネルピペット装置によってトレイまたはラックから同時に取り上げられるときに、すべてのピペットチップがすべてのアタッチメントに充分にしっかりと据えられてシールを形成するように促す。
【0085】
図6によれば、PPのピペットチップ1が、塑性変形をチェックするために、研磨仕上げの表面を備えるステンレス鋼のアタッチメント22へと特定の固定力で押し込まれる。取り付け力は、アタッチメント22をアバットメント29に対して支えるらせんばね28によって制限される。取り付け力を加えるために、ピペットチップ1の下端を収容し、下部開口部を気密に閉じるストッパ30を、アタッチメント22に向かって下方へと押すことができる。アタッチメント22は、らせんばね28の上面に当接して支持された取り付けプレート31に保持されている。らせんばね28は、3Nの取り付け力で圧縮されるように調整される。3Nの取り付け力の達成を、それぞれアタッチメント22または取り付けプレート31の圧縮によって認識することができる。さらに、アバットメント29を、取り付けプレート31の上方に配置されたストッパプレート32にしっかりと接続することができ、ピペットチップの上端は、3ニュートンの取り付け力に達したときにストッパプレート32上に位置する。このようにして、取り付け力が3ニュートンに制限される。ピペットチップ1は、この取り付け力によってアタッチメント22へとシールを形成するように固定される。ピペットチップ1は、溝11の底部において塑性変形している。これを、溝の底部にストリップをマーキングし、ピペットチップのアタッチメント22への取り付けの前後でストリップの幅を測定することによって判断することができる。
【0086】
さらに、このシールを、この設備でチェックすることができる。これを行うために、ピペットチップ1は、下部開口部4において気密に閉じられ、真空が上部開口部6に加えられる。
【0087】
図7aおよび
図7bが、本発明によるピペットチップ1および周方向に一定の肉厚を有する従来からのピペットチップ1について、FEM計算による座領域15に特定の半径方向の力を導入したときの変形を示している。変形の高さが色によって識別されており、変形の値が凡例において各色に割り当てられている。変形したピペットチップ1の輪郭が、図式的に誇張された色で描かれている。追加の線は、変形していないピペットチップ1の輪郭を示している。
【0088】
座領域15に半径方向に作用する取り付け力による最大の変形は、ピペットチップ1の上部開口部6の近傍で生じる。本発明によるピペットチップ1において、最大の変形は溝11に集中している。これは計算であるため、すべての溝11が等しく影響を受けている。本発明によるピペットチップ1において、溝の変形は、従来からのピペットチップ1の場合の6.5倍の大きさである。溝11内における変形は、塑性および弾性の成分を有する。それ以外では、変形は弾性的である。
【0089】
ヘッド部分9の全長にわたって延びる溝11が2つだけであり、溝11.1はヘッド部分9の長さの一部についてのみ延びている点で、
図8のピペットチップ1は、
図1のピペットチップから相違し、
図9のピペットチップ1は、
図2のピペットチップから相違する。すなわち、溝11.1の上端は、ピペットチップ1の上端から離して配置されている。このピペットチップにおいて、射出地点33は、ピペットチップ1の中央軸を通る垂直な切断面であって、溝11.1も存在する切断面内に正確に配置される。溝11.1はピペットチップ1の上端から離されているので、ヘッド部分9の壁が、射出地点33の反対側かつ同じ水平面内で弱くなることがない。結果として、射出成形において、射出地点の断面の近くに位置するシール用ビード16の寸法精度または真円度が、それぞれ著しく損なわれることはない。
【符号の説明】
【0090】
1 ピペットチップ
2 管状の本体
3 下端
4 下部開口部
5 上端
6 上部開口部
7 初期部分
8 中央部分
9 ヘッド部分
10 移行部分
11 溝
12 第1の半径
13、14 第2の半径
15 座領域
16 シール用ビード
17 挿入用面取り
18 案内構造
19 円錐形の制動領域
20 円筒形のキャビティ
21 内側ショルダ
22 アタッチメント
23 挿入部分
24 周囲の半径
25 案内部分
26 クランプ部分
27 円筒形の支持部分
28 らせんばね
29 アバットメント
30 ストッパ
31 取り付けプレート
32 ストッパプレート
33 射出地点