(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】ポロゲン材料、製造方法、および使用
(51)【国際特許分類】
A61L 27/18 20060101AFI20221207BHJP
A61L 27/56 20060101ALI20221207BHJP
A61F 2/12 20060101ALI20221207BHJP
A61L 27/40 20060101ALN20221207BHJP
【FI】
A61L27/18
A61L27/56
A61F2/12
A61L27/40
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021002975
(22)【出願日】2021-01-12
(62)【分割の表示】P 2018017449の分割
【原出願日】2011-05-10
【審査請求日】2021-02-08
(32)【優先日】2011-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2010-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591018268
【氏名又は名称】アラーガン、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(72)【発明者】
【氏名】フティアン・リウ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス・ジェイ・マネシス
(72)【発明者】
【氏名】アレクセイ・ゴラルトチョウク
(72)【発明者】
【氏名】ディミトリオス・ストロウムポウリス
【審査官】佐々木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05007929(US,A)
【文献】特開平01-141926(JP,A)
【文献】特開平01-271438(JP,A)
【文献】特表2009-502364(JP,A)
【文献】特表2006-512171(JP,A)
【文献】特開平02-251544(JP,A)
【文献】特表平10-512176(JP,A)
【文献】米国特許第04889744(US,A)
【文献】米国特許第04960425(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 15/00-33/18
A61F 2/00- 2/97
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テクスチャー加工されたインプラントシェルを形成する方法であって、以下の工程:
(a)心棒を、エラストマーの第1層でコーティングする工程、ここで、エラストマーはシリコーン系エラストマーおよび溶媒を含む、
(b)エラストマーの第1層にポロゲンを塗布して、第1のポロゲン被覆エラストマー層を形成する工程、
(c)エラストマーの第2層を第1のポロゲン被覆エラストマー層に塗布する工程、
(d)エラストマーの第2層にポロゲンを塗布して、第2のポロゲン被覆エラストマー層を形成する工程、
(f)エラストマーの第3層を第2のポロゲン被覆エラストマー層に塗布して、それにより、心棒上に多層ポロゲン/エラストマーコーティングを形成する工程、
(g)心棒上の多層ポロゲン/エラストマーコーティングを処理して、処理の間にポロゲンが互いに融解し、一方で未硬化エラストマー層が硬化し、それによって硬化エラストマーに囲まれた融解されたポロゲン足場を形成する工程、及び
(h)硬化エラストマーからポロゲン足場を除去する工程、ここで、ポロゲン足場を除去すると、相互接続した開口したセルのテクスチャー加工されたインプラントシェルが得られる工程
を含み、
ここで、ポロゲンはPLGAを含む、上記方法。
【請求項2】
ポロゲンが、約30℃~約100℃の融解温度(Tm)を有する材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
多層ポロゲン/エラストマーコーティングを処理する工程が、多層ポロゲン/エラストマーコーティングを約120℃~約130℃の範囲で約60分間~約90分間加熱することによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ポロゲンが、約300μm~約600μmの平均細孔径となるように形成されているポロゲンである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ポロゲンが、約400μm~約500μmの平均細孔径となるように形成されているポロゲンである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
多孔質材料で乳房インプラントを形成するための方法であって、以下の工程:
(a)乳房インプラントシェルを未硬化エラストマーベースでコーティングして、エラストマーコーティングされた乳房インプラントシェルを形成する工程、ここで未硬化エラストマーベースはシリコーン系エラストマーおよび溶媒を含む、
(b)溶媒を揮発除去させる工程、
(c)エラストマーコーティングされた乳房インプラントシェルをポロゲンでコーティングして、エラストマーでコーティングされたポロゲン混合物を形成する工程、
(d)溶媒を揮発除去する工程、
(e)ステップ(a)を繰り返す工程、
(f)溶媒を揮発除去する工程、
(g)ステップ(c)を繰り返す工程、
(h)溶媒を揮発除去する工程、
(i)ステップ(a)を繰り返す工程、
(j)溶媒を揮発除去する工程、
(k)ステップ(c)を繰り返す工程、
(l)溶媒を揮発除去する工程、
(m)エラストマーでコーティングされたポロゲン混合物を処理して、ポロゲンを融解させてポロゲン足場を形成し、かつ未硬化のエラストマーベースを硬化させる工程、及び
(n)ポロゲン足場を除去する工程であって、前記ポロゲン足場の除去により多孔質材料の乳房インプラントが得られる工程、
を含み、
ここで、ポロゲンはPLGAを含む、上記方法。
【請求項7】
工程(m)が約120℃~約130℃の範囲で約60分間~約90分間行われる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
工程(m)が126℃で75分間行われる、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
工程(b)が約18℃~約22℃で行われる、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
工程(d)、(f)および/または(j)が、約1分間~約5分間である、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
工程(1)が少なくとも45分間である、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
融解された各ポロゲン間の実質的にすべての接続の径が、平均ポロゲン径の15%~40%である、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
ポロゲン足場を除去する工程が、ポロゲン足場を熱分解抽出により除去することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
ポロゲン足場を除去する工程が、ポロゲン足場の約75%~約100%を除去することを含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2010年5月11日に出願された米国仮特許出願第61/333,613号に対する優先権を主張し、また、米国特許法第120条に基づき、2011年2月4日に出願された米国特許出願第13/021,615号(2010年2月5日に出願された米国仮出願第61/301,864号に対する優先権の利益を主張する)に対する優先権を主張する。これらの文献はそれぞれ、その全体が引用により本明細書中に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
多孔性材料は、バイオ医学、産業および家庭用途において広く使用される。バイオ医学の領域において、多孔性材料は、生体組織工学/再生のための足場(テンプレート)、創傷被覆材、薬剤放出マトリックス、分離およびろ過用の膜、無菌フィルタ、人工腎臓、吸収剤、止血デバイス等に使用されている。種々の産業および家庭用途において、多孔性材料は、絶縁材料、包装材料、衝撃吸収体、液体吸収剤またはガス吸収剤、膜、フィルタ等として使用されている。
【0003】
移植可能な医療デバイスは、インプラント周囲で無血管の線維性被膜が形成する異物反応を頻繁に誘導し、これは、デバイスの性能を制限する。例えば、これらの線維性被膜の形成によって、移植されたデバイスの周囲で、被膜拘縮、ならびに被膜の拘縮および硬化が生じ得る。被膜の減少は、インプラントが設置される周辺領域の審美的な外観を歪曲するだけでなく、患者に痛みをもたらす。被膜の形成および拘縮に関する問題は、多くの型の移植可能な医療デバイス(例えば、ペースメーカー、整形外科用関節補綴、硬膜代替物、移植可能な細動除去器、組織エキスパンダー、および、乳房インプラント、筋肉インプラント、傷跡が残るのを低減するかもしくは防ぐインプラントのような補綴、再建または審美の目的で使用される組織インプラント等)で発生する。被膜拘縮の矯正は、外科的切除もしくは被膜の剥離、またはデバイス自体の除去および可能な交換を必要とし得る。
【0004】
また、負傷の治癒または外科的切開での瘢痕組織の形成も、線維組織の形成に関与する過程である。線維組織が1つの方向に並ぶので、目に見える傷跡は、この治癒過程で生じる。しかしながら、特に、特定の型の形成手術において、傷跡の形成を防ぐことは、多くの場合、審美的に望ましい。
【0005】
移植可能な医療デバイスおよび創傷治癒に対する生物学的反応は、インプラントの表面のマイクロアーキテクチャーに依存すると考えられる。特に、滑らかな表面を備えるインプラントは、被膜の形成および拘縮に非常に影響され得る。被膜の形成および拘縮を低減する1つの手段は、移植可能な医療デバイスの表面をテクスチャー加工することであった。これらの方法では、テクスチャー加工した表面は、「丘」および「谷」アーキテクチャーが成形されたデバイスの表面にインプリントされる。例えば、米国特許第4,960,425号、テクスチャー加工した表面を有する補綴インプラント;米国特許第5,022,942号、テクスチャー加工した表面を有する補綴インプラントを製造する方法を参照されたい。しかしながら、被膜拘縮は、依然として、これらの方法でテクスチャー加工した移植可能な医療デバイスで生じる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このため、線維性被膜の形成を低減するかまたは防ぐように製造された、移植可能な医療デバイスの持続的な必要性がある。本出願は、多孔性材料、これらの多孔性材料を製造する方法、かかる多孔性材料を含む移植可能な医療デバイス、および、かかる移植可能な医療デバイスを製造する方法を開示する。多孔性材料は、移植可能な医療デバイス中の、およびデバイス周囲の細胞の内部成長を促進し、異物反応(例えば、被膜拘縮等)を低減するかまたは防ぎ、同様に、創傷治癒で生じる傷跡も低減するかまたは防ぐ。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本明細書の態様は、相互に接続した細孔のアレイを区画形成する、実質的に非分解性で、生体適合性のエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料を開示する。
【0008】
本明細書の別の態様は、多孔性材料を形成する方法であって、次に示す工程を含む方法を開示する:a)ポロゲンをエラストマーベースでコーティングして、エラストマーをコーティングしたポロゲン混合物を形成する工程と、b)エラストマーをコーティングしたポロゲン混合物を処理して、融解されたポロゲンを含むポロゲン足場を形成し、かつエラストマーを硬化させる工程と、c)ポロゲン足場を除去する工程であって、ポロゲン足場の除去によって、相互に接続した細孔のアレイを区画形成する、実質的に非分解性で、生体適合性のエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料が得られる、前記工程。
【0009】
本明細書の更なる別の態様は、相互に接続した細孔のアレイを区画形成する、実質的に非分解性で、生体適合性のエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料であって、次に示す工程を含む方法によって製造される、多孔性材料を開示する:a)ポロゲンをエラストマーベースでコーティングして、エラストマーをコーティングしたポロゲン混合物を形成する工程と、b)エラストマーをコーティングしたポロゲン混合物を処理して、融解されたポロゲンを含むポロゲン足場を形成し、かつエラストマーを硬化させる工程と、c)ポロゲン足場を除去する工程であって、ポロゲン足場の除去によって、相互に接続した細孔のアレイを区画形成する、実質的に非分解性で、生体適合性のエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料が得られる、前記工程。
【0010】
さらに、本明細書の別の態様は、多孔性材料の層を含む生体適合性の移植可能なデバイスを開示する。多孔性材料は、本明細書に開示する方法によって製造することができる。
【0011】
本明細書の更なる態様は、生体適合性の移植可能なデバイスを製造する方法であって、次に示す工程を含む方法を開示する:a)多孔性材料を受け入れるための生体適合性の移植可能なデバイスを調製する工程と、b)調製した生体適合性の移植可能なデバイスの表面に多孔性材料を付着する工程。多孔性材料は、本明細書に開示する方法によって製造することができる。
【0012】
本明細書の更なる態様は、生体適合性の移植可能なデバイスを製造する方法であって、次に示す工程を含む方法を開示する:a)エラストマーベースで心棒をコーティングする工程と、b)エラストマーベースを硬化させて、基層を形成する工程と、c)硬化させた基層をエラストマーベースでコーティングする工程と、d)エラストマーベースをポロゲンでコーティングして、エラストマーをコーティングしたポロゲン混合物を形成する工程と、e)エラストマーをコーティングしたポロゲン混合物を処理して、融解されたポロゲンを含むポロゲン足場を形成し、かつエラストマーベースを硬化させる工程と、f)ポロゲン足場を除去する工程であって、ポロゲン足場の除去によって、相互に接続した細孔のアレイを区画形成する非分解性で、生体適合性のエラストマーマトリックスを含む多孔性材料が得られる、前記工程。この方法において、工程(c)および(d)は、所望の厚さの材料層が達成されるまで、複数回繰り返すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本明細書に開示する多孔性材料の分析を示す。
図1Aは、50倍拡大の走査型電子顕微鏡の像である。
図1Bは、50倍拡大の走査型電子顕微鏡の像である。
【
図2】
図2は、本明細書の多孔性材料を被覆した代表的な生体適合性の移植可能なデバイスを示す。
図2Aは、多孔性材料を被覆した移植可能なデバイスの上面図である。
図2Bは、多孔性材料を被覆した移植可能なデバイスの側面図である。
図2Cおよび2Dは、多孔性材料を被覆した生体適合性の移植可能なデバイスの断面図を示す。
【
図3】
図3は、本明細書の代表的な多孔性材料のシェルを示す。
図3Aは、材料のシェルの上面図である。
図2Bは、材料のシェルの側面図である。
図3Cは、材料のシェルの下面図である。
図3Dは、材料のシェルの断面図を示す。
【
図4】
図4は、本明細書の多孔性材料を被覆した代表的な生体適合性の移植可能なデバイスを示す。
図4Aは、多孔性材料を被覆した移植可能なデバイスの上面図である。
図4Bは、多孔性材料を被覆した移植可能なデバイスの側面図である。
図4Cは、多孔性材料を被覆した生体適合性の移植可能なデバイスの下面図である。
図4Dは、多孔性材料を被覆した生体適合性の移植可能なデバイスの断面図を示す。
【
図5A】
図5は、テクスチャード1の生体材料に標準化された種々の生体材料の厚さ、および被膜の崩壊のデータを示す棒グラフである。
図5Aは、標準化された平均±標準化された標準偏差としての厚さのデータの棒グラフを示す。
【
図5B】
図5Bは、信頼区間の上限および下限を有する標準偏差で標準化された崩壊の棒グラフを示す。
【
図6】
図6は、種々の生体材料(n=6)に形成された被膜のコラーゲン含量のデータを示す棒グラフである。結果を、平均±標準偏差として示す。アスタリスク(
*)は、テクスチャー1の生体材料が統計的に有意であることを示す。
【
図7】
図7は、種々の生体材料の組織付着性試験のデータを示す棒グラフである。結果を、平均±標準偏差として示す。
【
図8】
図8は、時間0週および6週における種々の組織エキスパンダー(n=8)に形成された被膜/内部成長の剛性のデータを示す棒グラフである。結果を、平均±標準偏差として示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書は、一部において、多孔性材料を開示する。開示する多孔性材料は、高い孔隙率、および、例えば、細胞移動、細胞増殖、細胞分化、栄養物質交換、および/または老廃物の除去の促進等によって、多孔性材料への組織成長を促進する、相互に接続した細孔構造を有する。相互に接続した細孔構造は、細胞浸透および成長を促進し、これは、被膜形成の平面配置を混乱させる。細孔の相互接続は、多孔性材料の機械的強度(すなわち、材料の硬度、引張強さ、伸び、引裂強さ、摩砕、および抵抗)を犠牲にすることなく、達成される。このため、多孔性材料、生体適合性の移植可能なデバイスの形成におけるその適用、および本明細書に開示する別の態様は、被膜拘縮を防ぎ、および傷跡の形成を低減するかまたは防ぐのに有用である。
【0015】
さらに、滑りまたは不要な移動を防ぐために、周囲組織への生体適合性の移植可能なデバイスを係留することが、多くの場合、重要である。例えば、滑りまたは他の不要な移動を防ぐ位置に、顔および乳房インプラントを確実に係留することは重要である。このため、多孔性材料、生体適合性の移植可能なデバイスの形成におけるその適用、および本明細書に開示する別の態様は、生体適合性の移植可能なデバイスを係留するのに有用である。
【0016】
本明細書に開示する多孔性材料は、動物の軟部組織へ移植することができる。かかる多孔性材料は、動物体の軟部組織に完全に移植する(すなわち、すべての材料は、身体内に移植される)か、または、デバイスは、動物体に部分的に移植することができる(すなわち、材料の一部のみが、動物体内に移植され、材料の残りの部分は、動物体の外部に位置する)。また、本明細書に開示する多孔性材料は、動物の1以上の軟部組織(一般に、動物体の皮膚)に固定することもできる。例えば、多孔性材料のストリップを、治癒負傷または切開の下側に皮下に設置して、線維組織が並ぶのを防ぎ、これによって、傷跡形成を低減するかまたは防ぐことができる。
【0017】
本明細書は、一部において、実質的に非分解性で、生体適合性のエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料を開示する。本明細書に使用する「非分解性の」という用語は、宿主に移植される間に、相当なもしくは顕著な程度まで分解しないか、腐敗しないか、または破壊されない傾向がある、材料を指す。相当な非分解性の非限定例には、測定期間における多孔性材料の10%未満の分解、測定期間における多孔性材料の5%未満の分解、測定期間における多孔性材料の3%未満の分解、測定期間における多孔性材料の1%未満の分解が含まれる。本明細書に使用する「生体適合性の」という用語は、宿主における不適切な局所的効果または組織的効果を誘発することなく、宿主への所望の程度の導入によって、その意図した機能を果たす材料の性能を指す。
【0018】
実施態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、実質的に非分解性である。本実施態様の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、約5年間、約10年間、約15年間、約20年間、約25年間、約30年間、約35年間、約40年間、約45年間、または約50年間、実質的に非分解性である。本実施態様の別の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、少なくとも5年間、少なくとも10年間、少なくとも15年間、少なくとも20年間、少なくとも25年間、少なくとも30年間、少なくとも35年間、少なくとも40年間、少なくとも45年間、または少なくとも50年間、実質的に非分解性である。本実施態様の更なる別の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、約5年間、約10年間、約15年間、約20年間、約25年間、約30年間、約35年間、約40年間、約45年間、または約50年間、5%未満の分解、3%未満の分解、または1%未満の分解を示す。さらに、本実施態様の別の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、少なくとも5年間、少なくとも10年間、少なくとも15年間、少なくとも20年間、少なくとも25年間、少なくとも30年間、少なくとも35年間、少なくとも40年間、少なくとも45年間、または少なくとも50年間、5%未満の分解、3%未満の分解、または1%未満の分解を示す。
【0019】
別の実施態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、実質的に生体適合性である。本実施態様の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、少なくとも5年間、少なくとも10年間、少なくとも15年間、少なくとも20年間、少なくとも25年間、少なくとも30年間、少なくとも35年間、少なくとも40年間、少なくとも45年間、または少なくとも50年間、実質的に生体適合性である。
【0020】
本明細書に使用する「エラストマー」または「弾性高分子」という用語は、周囲温度で、そのガラス転移温度(Tg)を超えて存在し、このため、粘弾性を提供し、重要な部分運動が可能である、非晶質高分子を指し、これには、炭素系エラストマー、シリコーン系エラストマー、熱硬化性エラストマー、および熱可塑性エラストマーが含まれるが、これらに限定されない。本明細書に使用する「周囲温度」という用語は、約18℃~約22℃の温度を指す。エラストマー(天然に存在するかまたは合成により製造されるもののいずれか)は、共に結合して長い高分子鎖を形成する、炭素、水素、酸素、および/またはシリコーンから通常なるモノマーを含む。エラストマーは、一般に、共に架橋するが、非共有架橋結合エラストマーが知られている。エラストマーは、ホモ重合体もしくは共重合体であり、分解性であるか、実質的に非分解性であるか、または非分解性であり得る。共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、および/またはこれらの混合物であり得る。他の高分子の分類と異なり、エラストマーは、再構成して、負荷した応力を分散させることによって、切断することなしに、その本来の長さの何倍も伸ばすことができる。架橋は、応力が除かれると、エラストマーが、これらの本来の形態に戻れるようにする。エラストマーは、非医療用等級エラストマーまたは医療用等級エラストマーであり得る。医療用等級のエラストマーは、一般に、3つのカテゴリー(移植が可能でない、短期間移植可能である、および長期間移植可能であるエラストマー)に分類される。例示的な実質的に非分解性および/または非分解性の生体適合性エラストマーには、ブロモ・イソブチレン・イソプレン(bromo isobutylene isoprene)(BIIR)、ポリブタジエン(BR)、クロロ・イソブチレン・イソプレン(chloro isobutylene isoprene)(CIIR)、ポリクロロプレン(CR)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、エチレンプロピレン(EP)、エチレン・プロピレン・ジエン・モノマー(EPDM)、フルオロ化炭化水素(FKM)、フルオロシリコーン(FVQM)、水素化ニトリルブタジエン(HNBR)、ポリイソプレン(IR)、イソブチレン・イソプレン・ブチル(isobutylene isoprene butyl)(IIR)、メチル・ビニル・シリコーン(MVQ)、アクリロニトリルブタジエン(NBR)、ポリウレタン(PU)、スチレンブタジエン(SBR)、スチレンエチレン/ブチレンスチレン(SEBS)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリシロキサン(SI)、およびアクリロニトリル・ブタジエン・カルボキシ・モノマー(acrylonitrile butadiene carboxy monomer)(XNBR)が含まれるが、これらに限定されない。
【0021】
本明細書は、一部において、シリコーン系エラストマーであるエラストマーを開示する。本明細書に使用する「シリコーン系エラストマー」という用語は、例えば、メチル・ビニル・シリコーン、ポリジメチルシロキサン、またはポリシロキサン等のシリコーン含有エラストマーを指す。シリコーン系エラストマーは、高温加硫(HTV)シリコーン、または室温加硫(RTV)であり得る。シリコーン系エラストマーは、非医療用等級シリコーン系エラストマー、または医療用等級シリコーン系エラストマーであり得る。本明細書に使用する「医療用等級シリコーン系エラストマー」という用語は、米国薬局方(U.S. Pharmacopedia)(USP)によって少なくとも分類Vとして承認された、シリコーン系エラストマーを指す。医療用等級シリコーン系エラストマーは、一般に、3つのカテゴリー(移植が可能でない、短期間移植可能である、および長期間移植可能であるエラストマー)に分類される。
【0022】
したがって、実施態様において、エラストマーは、医療用等級エラストマーである。本実施態様の態様において、医療用等級エラストマーは、例えば、医療用等級炭素系エラストマー、医療用等級シリコーン系エラストマー、医療用等級熱硬化性エラストマー、または医療用等級熱可塑性エラストマーである。本実施態様の別の態様において、エラストマーは、例えば、医療用等級の長期間移植可能な炭素系エラストマー、医療用等級の長期間移植可能なシリコーン系エラストマー、医療用等級の長期間移植可能な熱硬化性エラストマー、または医療用等級の長期間移植可能な熱可塑性エラストマーである。さらに別の態様において、医療用等級エラストマーは、例えば、医療用等級ブロモ・イソブチレン・イソプレン、医療用等級ポリブタジエン、医療用等級クロロ・イソブチレン・イソプレン、医療用等級ポリクロロプレン、医療用等級クロロスルホン化ポリエチレン、医療用等級エチレンプロピレン、医療用等級エチレン・プロピレン・ジエン・モノマー、医療用等級フッ素化炭化水素(fluoronated hydrocarbon)、医療用等級フルオロシリコーン、医療用等級水素化ニトリルブタジエン、医療用等級ポリイソプレン、医療用等級イソブチレン・イソプレン・ブチル、医療用等級メチル・ビニル・シリコーン、医療用等級アクリロニトリルブタジエン、医療用等級ポリウレタン、医療用等級スチレンブタジエン、医療用等級スチレンエチレン/ブチレンスチレン、医療用等級ポリジメチルシロキサン、医療用等級ポリシロキサン、または医療用等級アクリロニトリル・ブタジエン・カルボキシ・モノマーである。
【0023】
別の実施態様において、エラストマーは、シリコーン系エラストマーである。本実施態様の態様において、シリコーン系エラストマーは、医療用等級シリコーン系エラストマーである。本実施態様の態様において、医療用等級シリコーン系エラストマーは、例えば、少なくともUSP分類Vのシリコーン系エラストマー、少なくともUSP分類VIのシリコーン系エラストマー、またはUSP分類VIIのシリコーン系エラストマーである。更なる別の態様において、医療用等級シリコーン系エラストマーは、長期間移植可能なシリコーン系エラストマーである。さらに別の態様において、医療用等級シリコーン系エラストマーは、例えば、医療用等級の長期間移植可能なメチル・ビニル・シリコーン、医療用等級の長期間移植可能なポリジメチルシロキサン、または医療用等級の長期間移植可能なポリシロキサンである。
【0024】
エラストマーは粘弾性を有する。粘弾性は、材料の特性であり、変形すると、粘着性および弾性を示す。粘着性材料は、応力をかける場合、剪断流れおよび歪みに線形的に抵抗する。弾性材料は、曲げると、瞬間的に歪み、一旦応力が除去されれば、これらの本来の状態に迅速に戻る。粘弾性材料は、これらの特性の両方の要素を有しており、このため、時間依存性の歪みを示す。粘弾性材料は、次に示す特性を有する:1)ヒステリシスまたは記憶が、応力‐歪み曲線でみられる;2)応力緩和が生じる:一定の歪みによって応力が減少する段階;および、3)クリープが生じる:一定の応力によって歪みが増加する段階。エラストマーの粘弾性は、エラストマーと他の分類の重合体を区別する、伸び、引張強さ、圧縮剪断強さ係数(shear strength compressive modulus)、硬度を含む、特有の一連の特性を提供する。
【0025】
本明細書は、一部において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料を開示する。本明細書に使用する「マトリックス」または「エラストマーマトリックス」という用語は、「硬化させたエラストマー」と同義であり、その硬化させた状態の実質的に非分解性で生体適合性のエラストマーからなる3次元構造のフレームワークを指す。本明細書に使用する「シリコーン系エラストマーマトリックス」という用語は、「硬化させたシリコーン系エラストマー」と同義であり、その硬化させた状態の実質的に非分解性で生体適合性のシリコーン系エラストマーからなる3次元構造のフレームワークを指す。
【0026】
相互に接続した細孔のアレイを定義するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、変形に対して高い抵抗を示す。変形に対する抵抗は、応力に曝露した後に、エラストマー材料がその本来の形態を維持する性能であり、エラストマー材料の本来の形態(L0)として算出することができ、応力からの解放後のエラストマー材料の形態(LR)で割り、次いで、100を掛ける。
【0027】
実施態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、変形に対して高い抵抗を示す。本実施態様の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、変形に対して、例えば、約100%、約99%、約98%、約97%、約96%、約95%、約94%、約93%、約92%、約91%、約90%、約89%、約88%、約87%、約86%、または約85%の抵抗を示す。本実施態様の別の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、変形に対して、例えば、少なくとも99%、少なくとも98%、少なくとも97%、少なくとも96%、少なくとも95%、少なくとも94%、少なくとも93%、少なくとも92%、少なくとも91%、少なくとも90%、少なくとも89%、少なくとも88%、少なくとも87%、少なくとも86%、または少なくとも85%の抵抗を示す。本実施態様の更なる別の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、変形に対して、例えば、最大99%、最大98%、最大97%、最大96%、最大95%、最大94%、最大93%、最大92%、最大91%、最大90%、最大89%、最大88%、最大87%、最大86%、または最大85%の抵抗を示す。さらに、本実施態様の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、変形に対して、例えば、約85%~約100%、約87%~約100%、約90%~約100%、約93%~約100%、約95%~約100%、約97%~約100%の抵抗を示す。
【0028】
相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、高い弾性伸びを示す。伸びは、エラストマーが引張応力下で伸びる場合に発生する一種の変形である。変形は、どんなものでも応力下で受ける形状の単純な変化である。エラストマー材料の伸び特性は、パーセント伸びで示すことができ、伸びた後のエラストマー材料の本来の長さ(L)として算出することができ、エラストマー材料の本来の長さ(L0)で割り、次いで、100を掛ける。さらに、この弾性伸びは可逆的である。可逆的な伸びは、引張応力の解放後に、その本来の長さにエラストマー材料が戻る性能であり、エラストマー材料の本来の長さ(L0)として算出することができ、引張応力からの解放後のエラストマー材料の長さ(LR)で割り、次いで、100を掛ける。
【0029】
実施態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、高い弾性伸びを示す。本実施態様の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、約50%、約80%、約100%、約200%、約300%、約400%、約500%、約600%、約700%、約800%、約900%、約1000%、約1100%、約1200%、約1300%、約1400%、約1500%、約1600%、約1700%、約1800%、約1900%、または約2000%の弾性伸びを示す。本実施態様の別の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、少なくとも600%、少なくとも700%、少なくとも800%、少なくとも900%、少なくとも1000%、少なくとも1100%、少なくとも1200%、少なくとも1300%、少なくとも1400%、少なくとも1500%、少なくとも1600%、少なくとも1700%、少なくとも1800%、少なくとも1900%、または少なくとも2000%の弾性伸びを示す。本実施態様の更なる別の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、最大50%、最大80%、最大100%、最大200%、最大300%、最大400%、最大500%、最大600%、最大700%、最大800%、最大900%、最大1000%、最大1100%、最大1200%、最大1300%、最大1400%、最大1500%、最大1600%、最大1700%、最大1800%、最大1900%、または最大2000%の弾性伸びを示す。さらに、本実施態様の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、約50%~約600%、約50%~約700%、約50%~約800%、約50%~約900%、約50%~約1000%、約80%~約600%、約80%~約700%、約80%~約800%、約80%~約900%、約80%~約1000%、約100%~約600%、約100%~約700%、約100%~約800%、約100%~約900%、約100%~約1000%、約200%~約600%、約200%~約700%、約200%~約800%、約200%~約900%、または約200%~約1000%の弾性伸びを示す。
【0030】
別の実施態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、可逆的な伸びを示す。本実施態様の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、約100%、約99%、約98%、約97%、約96%、約95%、約94%、約93%、約92%、約91%、約90%、約89%、約88%、約87%、約86%、または約85%の可逆的な弾性伸びを示す。本実施態様の別の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、少なくとも99%、少なくとも98%、少なくとも97%、少なくとも96%、少なくとも95%、少なくとも94%、少なくとも93%、少なくとも92%、少なくとも91%、少なくとも90%、少なくとも89%、少なくとも88%、少なくとも87%、少なくとも86%、または少なくとも85%の可逆的な弾性伸びを示す。本実施態様の更なる別の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、最大99%、最大98%、最大97%、最大96%、最大95%、最大94%、最大93%、最大92%、最大91%、最大90%、最大89%、最大88%、最大87%、最大86%、または最大85%の可逆的な弾性伸びを示す。さらに、本実施態様の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、約85%~約100%、約87%~約100%、約90%~約100%、約93%~約100%、約95%~約100%、または約97%~約100%の可逆的な弾性伸びを示す。
【0031】
相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、低い弾性係数を示す。弾性係数または弾性の係数とは、変形に対して抵抗するエラストマー材料の性能、または、反対に、これに力をかける場合に、非恒久的に変形する物体の傾向をいう。物体の弾性係数は、弾性変形領域におけるその応力‐歪み曲線の傾斜として定義される:λ=応力/歪み(式中、λは、パスカルの弾性係数である);応力は、力がかけられた領域で割った変形をもたらす力であり;および、歪みは、応力による物体の本来の状態への変化の割合である。説明を含めて、応力をどのようにして測定するかについて明示することは、多くの型の弾性係数の定義を可能にする。3つの初期弾性係数は、引張弾性係数、剪断係数、および体積弾性係数である。
【0032】
引張弾性係数(E)またはヤング率は、線形歪みに対する物体の反応、または反力が軸に沿ってかかる場合、軸に沿って変形する、物体の傾向である。引張弾性係数またはヤング率は、引張応力と引張歪みの比率として定義される。引張弾性係数またはヤング率とは、単純に、弾性係数をいうことが多い。反力によって作用する場合、剪断係数または剛性率とは、物体の剪断への傾向(一定の容積での形状の変形)をいう。剪断係数または剛性率は、剪断歪みにおける剪断応力として定義される。剪断係数は、粘性誘導の一部である。剪断係数は、固体の表面のうちの1つと平行な力を受け、その反対の面が反力(摩擦等)を受ける場合の固体の変形に関係がある。体積弾性係数(K)は、体積測定弾性、または均一な圧縮に対する物体の抵抗を表し、均一に全方向に負荷をかけた場合、全方向に変形する、物体の傾向である。体積弾性係数は、体積測定歪みにおける体積測定応力として定義され、圧縮率の反対である。体積弾性係数は、3次元へのヤング率の拡大である。
【0033】
別の実施態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、低い引張弾性係数を示す。本実施態様の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、約0.01MPa、約0.02MPa、約0.03MPa、約0.04MPa、約0.05MPa、約0.06MPa、約0.07MPa、約0.08MPa、約0.09MPa、約0.1MPa、約0.15MPa、約0.2MPa、約0.25MPa、約0.3MPa、約0.35MPa、約0.4MPa、約0.45MPa、約0.5MPa、約0.55MPa、約0.6MPa、約0.65MPa、または約0.7MPaの引張弾性係数を示す。実施態様の別の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、最大0.01MPa、最大0.02MPa、最大0.03MPa、最大0.04MPa、最大0.05MPa、最大0.06MPa、最大0.07MPa、最大0.08MPa、最大0.09MPa、最大0.1MPa、最大0.15MPa、最大0.2MPa、最大0.25MPa、最大0.3MPa、最大0.35MPa、最大0.4MPa、最大0.45MPa、最大0.5MPa、最大0.55MPa、最大0.6MPa、最大0.65MPa、または最大0.7MPaの引張弾性係数を示す。本実施態様の更なる別の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、約0.01MPa~約0.1MPa、約0.01MPa~約0.2MPa、約0.01MPa~約0.3MPa、約0.01MPa~約0.4MPa、約0.01MPa~約0.5MPa、約0.01MPa~約0.6MPa、または約0.01MPa~約0.7MPaの引張弾性係数を示す。
【0034】
別の実施態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、低い剪断係数を示す。本実施態様の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、約0.1MPa、約0.2MPa、約0.3MPa、約0.4MPa、約0.5MPa、約0.6MPa、約0.7MPa、約0.8MPa、約0.9MPa、約1MPa、約1.5MPa、約2MPa、約2.5MPa、または約3MPaの剪断係数を示す。本実施態様の別の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、最大0.1MPa、最大0.2MPa、最大0.3MPa、最大0.4MPa、最大0.5MPa、最大0.6MPa、最大0.7MPa、最大0.8MPa、最大0.9MPa、最大1MPa、最大1.5MPa、最大2MPa、最大2.5MPa、または最大3MPaの剪断係数を示す。本実施態様の更なる別の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、約0.1MPa~約1MPa、約0.1MPa~約1.5MPa、約0.1MPa~約2MPa、約0.1MPa~約2.5MPa、または約0.1MPa~約3MPaの剪断係数を示す。
【0035】
別の実施態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、低い体積弾性係数を示す。本実施態様の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、約0.5GPa、約0.6GPa、約0.7GPa、約0.8GPa、約0.9GPa、約1GPa、約1.5GPa、約2GPa、約2.5GPa、約3GPa、約3.5GPa、約4GPa、約4.5GPa、または約5GPaの体積弾性係数を示す。本実施態様の別の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、最大0.5GPa、最大0.6GPa、最大0.7GPa、最大0.8GPa、最大0.9GPa、最大1GPa、最大1.5GPa、最大2GPa、最大2.5GPa、最大3GPa、最大3.5GPa、最大4GPa、最大4.5GPa、または最大5GPaの体積弾性係数を示す。本実施態様の更なる別の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、約0.5GPa~約5GPa、約0.5GPa~約1GPa、または約1GPa~約5GPaの体積弾性係数を示す。
【0036】
相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、他の重合体の分類に比べて、高い引張強さを示す。他の重合体の分類には、エラストマーとして分類されない他の重合体が含まれる。引張強さには、種々の定義の3つの応力最大値がある。降伏強さとは、材料歪みが弾性変形から塑性変形に変化し、その結果、恒久的に変形させる、応力をいう。極限強度とは、張力、圧縮、または剪断を受けるときに材料が抵抗することができる最大応力をいう。極限強度は、応力‐歪み曲線における最大応力である。破断強度とは、破断点の、または材料を引き離すときの応力‐歪み曲線における応力と同程度のものをいう。
【0037】
別の実施態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、他の重合体の分類に比べて、高い降伏強さを示す。本実施態様の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、約1MPa、約5MPa、約10MPa、約20MPa、約30MPa、約40MPa、約50MPa、約60MPa、約70MPa、約80MPa、約90MPa、約100MPa、約200MPa、約300MPa、約400MPa、約500MPa、約600MPa、約700MPa、約800MPa、約900MPa、約1000MPa、約1500MPa、または約2000MPaの降伏強さを示す。本実施態様の別の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、少なくとも1MPa、少なくとも5MPa、少なくとも10MPa、少なくとも20MPa、少なくとも30MPa、少なくとも40MPa、少なくとも50MPa、少なくとも60MPa、少なくとも70MPa、少なくとも80MPa、少なくとも90MPa、少なくとも100MPa、少なくとも200MPa、少なくとも300MPa、少なくとも400MPa、少なくとも500MPa、少なくとも600MPa、少なくとも700MPa、少なくとも800MPa、少なくとも900MPa、少なくとも1000MPa、少なくとも1500MPa、または少なくとも2000MPaの降伏強さを示す。本実施態様の更なる別の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、最大1MPa、最大5MPa、最大10MPa、最大20MPa、最大30MPa、最大40MPa、最大50MPa、最大60MPa、最大70MPa、最大80MPa、最大90MPa、最大100MPa、最大200MPa、最大300MPa、最大400MPa、最大500MPa、最大600MPa、最大700MPa、最大800MPa、最大900MPa、最大1000MPa、最大1500MPa、または最大2000MPaの降伏強さを示す。さらに、本実施態様の別の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、約1MPa~約50MPa、約1MPa~約60MPa、約1MPa~約70MPa、約1MPa~約80MPa、約1MPa~約90MPa、約1MPa~約100MPa、約10MPa~約50MPa、約10MPa~約60MPa、約10MPa~約70MPa、約10MPa~約80MPa、約10MPa~約90MPa、約10MPa~約100MPa、約100MPa~約500MPa、約300MPa~約500MPa、約300MPa~約1000MPa、約500MPa~約1000MPa、約700MPa~約1000MPa、約700MPa~約1500MPa、約1000MPa~約1500MPa、または約1200MPa~約1500MPaの降伏強さを示す。
【0038】
別の実施態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、他の重合体の分類に比べて、高い極限強度を示す。本実施態様の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、約1MPa、約5MPa、約10MPa、約20MPa、約30MPa、約40MPa、約50MPa、約60MPa、約70MPa、約80MPa、約90MPa、約100MPa、約200MPa、約300MPa、約400MPa、約500MPa、約600MPa、約700MPa、約800MPa、約900MPa、約1000MPa、約1500MPa、または約2000MPaの極限強度を示す。本実施態様の別の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、少なくとも1MPa、少なくとも5MPa、少なくとも10MPa、少なくとも20MPa、少なくとも30MPa、少なくとも40MPa、少なくとも50MPa、少なくとも60MPa、少なくとも70MPa、少なくとも80MPa、少なくとも90MPa、少なくとも100MPa、少なくとも200MPa、少なくとも300MPa、少なくとも400MPa、少なくとも500MPa、少なくとも600MPa、少なくとも700MPa、少なくとも800MPa、少なくとも900MPa、少なくとも1000MPa、少なくとも1500MPa、または少なくとも2000MPaの極限強度を示す。本実施態様の更なる別の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、最大1MPa、最大5MPa、最大10MPa、最大20MPa、最大30MPa、最大40MPa、最大50MPa、最大60MPa、最大70MPa、最大80MPa、最大90MPa、最大100MPa、最大200MPa、最大300MPa、最大400MPa、最大500MPa、最大600MPa、最大700MPa、最大800MPa、最大900MPa、最大1000MPa、最大1500MPa、または最大2000MPaの極限強度を示す。さらに、本実施態様の別の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、約1MPa~約50MPa、約1MPa~約60MPa、約1MPa~約70MPa、約1MPa~約80MPa、約1MPa~約90MPa、約1MPa~約100MPa、約10MPa~約50MPa、約10MPa~約60MPa、約10MPa~約70MPa、約10MPa~約80MPa、約10MPa~約90MPa、約10MPa~約100MPa、約100MPa~約500MPa、約300MPa~約500MPa、約300MPa~約1000MPa、約500MPa~約1000MPa、約700MPa~約1000MPa、約700MPa~約1500MPa、約1000MPa~約1500MPa、または約1200MPa~約1500MPaの極限強度を示す。
【0039】
別の実施態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、他の重合体の分類に比べて、高い破断強度を示す。本実施態様の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、約1MPa、約5MPa、約10MPa、約20MPa、約30MPa、約40MPa、約50MPa、約60MPa、約70MPa、約80MPa、約90MPa、約100MPa、約200MPa、約300MPa、約400MPa、約500MPa、約600MPa、約700MPa、約800MPa、約900MPa、約1000MPa、約1500MPa、または約2000MPaの破断強度を示す。本実施態様の別の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、少なくとも1MPa、少なくとも5MPa、少なくとも10MPa、少なくとも20MPa、少なくとも30MPa、少なくとも40MPa、少なくとも50MPa、少なくとも60MPa、少なくとも70MPa、少なくとも80MPa、少なくとも90MPa、少なくとも100MPa、少なくとも200MPa、少なくとも300MPa、少なくとも400MPa、少なくとも500MPa、少なくとも600MPa、少なくとも700MPa、少なくとも800MPa、少なくとも900MPa、少なくとも1000MPa、少なくとも1500MPa、または少なくとも2000MPaの破断強度を示す。本実施態様の更なる別の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、最大1MPa、最大5MPa、最大10MPa、最大20MPa、最大30MPa、最大40MPa、最大50MPa、最大60MPa、最大70MPa、最大80MPa、最大90MPa、最大100MPa、最大200MPa、最大300MPa、最大400MPa、最大500MPa、最大600MPa、最大700MPa、最大800MPa、最大900MPa、最大1000MPa、最大1500MPa、または最大2000MPaの破断強度を示す。さらに、本実施態様の別の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、約1MPa~約50MPa、約1MPa~約60MPa、約1MPa~約70MPa、約1MPa~約80MPa、約1MPa~約90MPa、約1MPa~約100MPa、約10MPa~約50MPa、約10MPa~約60MPa、約10MPa~約70MPa、約10MPa~約80MPa、約10MPa~約90MPa、約10MPa~約100MPa、約100MPa~約500MPa、約300MPa~約500MPa、約300MPa~約1000MPa、約500MPa~約1000MPa、約700MPa~約1000MPa、約700MPa~約1500MPa、約1000MPa~約1500MPa、または約1200MPa~約1500MPaの破断強度を示す。
【0040】
相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、他の重合体の分類に比べて、低い曲げ強度を示す。曲げ強度は、曲げ強さまたは破壊係数としても知られ、負荷下の変形に抵抗する物体の性能を指し、破壊の瞬間において物体内で経験された最も高い応力を表す。曲げ強度は、応力によって測定される。
【0041】
実施態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、他の重合体の分類に比べて、低い曲げ強度を示す。本実施態様の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、約1MPa、約5MPa、約10MPa、約20MPa、約30MPa、約40MPa、約50MPa、約60MPa、約70MPa、約80MPa、約90MPa、約100MPa、約200MPa、約300MPa、約400MPa、約500MPa、約600MPa、約700MPa、約800MPa、約900MPa、約1000MPa、約1500MPa、または約2000MPaの曲げ強度を示す。本実施態様の別の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、少なくとも1MPa、少なくとも5MPa、少なくとも10MPa、少なくとも20MPa、少なくとも30MPa、少なくとも40MPa、少なくとも50MPa、少なくとも60MPa、少なくとも70MPa、少なくとも80MPa、少なくとも90MPa、少なくとも100MPa、少なくとも200MPa、少なくとも300MPa、少なくとも400MPa、少なくとも500MPa、少なくとも600MPa、少なくとも700MPa、少なくとも800MPa、少なくとも900MPa、少なくとも1000MPa、少なくとも1500MPa、または少なくとも2000MPaの曲げ強度を示す。本実施態様の更なる別の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、最大1MPa、最大5MPa、最大10MPa、最大20MPa、最大30MPa、最大40MPa、最大50MPa、最大60MPa、最大70MPa、最大80MPa、最大90MPa、最大100MPa、最大200MPa、最大300MPa、最大400MPa、最大500MPa、最大600MPa、最大700MPa、最大800MPa、最大900MPa、最大1000MPa、最大1500MPa、または最大2000MPaの曲げ強度を示す。さらに、本実施態様の別の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、約1MPa~約50MPa、約1MPa~約60MPa、約1MPa~約70MPa、約1MPa~約80MPa、約1MPa~約90MPa、約1MPa~約100MPa、約10MPa~約50MPa、約10MPa~約60MPa、約10MPa~約70MPa、約10MPa~約80MPa、約10MPa~約90MPa、約10MPa~約100MPa、約100MPa~約500MPa、約300MPa~約500MPa、約300MPa~約1000MPa、約500MPa~約1000MPa、約700MPa~約1000MPa、約700MPa~約1500MPa、約1000MPa~約1500MPa、または約1200MPa~約1500MPaの曲げ強度を示す。
【0042】
相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、高い圧縮率を示す。圧縮率とは、圧力(または平均応力)の変化に応じる相対的な体積変化をいい、体積弾性係数の逆数である。
【0043】
実施態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、高い圧縮率を示す。本実施態様の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、約0.1kPa、約0.5kPa、約1kPa、約5kPa、約10kPa、約15kPa、約20kPa、約30kPa、約40kPa、約50kPa、約60kPa、約70kPa、約80kPa、約90kPa、または約100kPaの圧縮率を示す。本実施態様の別の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、少なくとも0.1kPa、少なくとも0.5kPa、少なくとも1kPa、少なくとも5kPa、少なくとも10kPa、少なくとも15kPa、少なくとも20kPa、少なくとも30kPa、少なくとも40kPa、少なくとも50kPa、少なくとも60kPa、少なくとも70kPa、少なくとも80kPa、少なくとも90kPa、または少なくとも100kPaの圧縮率を示す。本実施態様の更なる別の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、最大0.1kPa、最大0.5kPa、最大1kPa、最大5kPa、最大10kPa、最大15kPa、最大20kPa、最大30kPa、最大40kPa、最大50kPa、最大60kPa、最大70kPa、最大80kPa、最大90kPa、または最大100kPaの圧縮率を示す。さらに、本実施態様の別の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、約0.1kPa~約100kPa、約0.5kPa~約100kPa、約1kPa~約100kPa、約5kPa~約100kPa、約10kPa~約100kPa、約1kPa~約30kPa、約1kPa~約40kPa、約1kPa~約50kPa、または約1kPa~約60kPaの圧縮率を示す。
【0044】
相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、低い硬度を示す。硬度とは、力をかける場合、種々の形状変化に対して高い抵抗を与える固相における物体の種々の特性をいう。硬度は、デュロメーターを使用して測定され、0~100の範囲の単位がない値である。
【0045】
実施態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、低い硬度を示す。本実施態様の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、または約60の硬度を示す。本実施態様の別の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、または少なくとも60の硬度を示す。本実施態様の更なる別の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、最大5、最大10、最大15、最大20、最大25、最大30、最大35、最大40、最大45、最大50、最大55、または最大60の硬度を示す。本実施態様の更なる別の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、約5~約60、約10~約50、約15~約45、約20~約40、または約25~約35の硬度を示す。
【0046】
エラストマーマトリックスを含む多孔性材料には、相互に接続した細孔のアレイに組織を成長させるのに十分な形状を有する、細孔が含まれる。このため、細孔の形状は、組織成長の態様(例えば、細胞移動、細胞増殖、細胞分化、栄養物質交換、および/または老廃物の除去)をサポートする。いかなる細孔の形状も、細孔の形状が、相互に接続した細孔のアレイに組織を成長させるのに十分であるという条件で、有用である。有用な細孔の形状には、粗い球状、完全な球状、十二面体(五角十二面体等)、および楕円体が含まれるが、これらに限定されない。
【0047】
エラストマーマトリックスを含む多孔性材料には、相互に接続した細孔のアレイに組織を成長させるのに十分な真円度を有する、細孔が含まれる。このため、細孔の真円度は、組織成長の態様(例えば、細胞移動、細胞増殖、細胞分化、栄養物質交換、および/または老廃物の除去)をサポートする。本明細書に使用する「真円度」は、(6×V)/(π×D3)(式中、Vは容積であり、Dは径である)と定義される。いかなる細孔の真円度も、相互に接続した細孔のアレイに組織を成長させるのに十分であるという条件で、有用である。
【0048】
エラストマーマトリックスを含む多孔性材料は、エラストマーマトリックス中の細孔が実質的にすべて同様の径を有するように、形成される。本明細書に使用する「実質的に」という用語は、細孔を説明するのに使用する場合、エラストマーマトリックス内の細孔の少なくとも90%、例えば、細孔の少なくとも95%または少なくとも97%等を指す。本明細書に使用する「同様の径」という用語は、細孔を説明するのに使用する場合、2つの細孔の径の差異が、大きな径の約20%未満であることを指す。本明細書に使用する「径」という用語は、細孔を説明するのに使用する場合、線が、細孔の境界の外部を通過するか否かにかかわらず、細孔内の2点をつなぐ、引くことができる最長の線分を指す。いかなる細孔の径も、多孔性材料に組織を成長させるのに十分であるという条件で、有用である。このため、細孔の径は、組織成長の態様(例えば、細胞移動、細胞増殖、細胞分化、栄養物質交換、および/または老廃物の除去)をサポートする。
【0049】
エラストマーマトリックスを含む多孔性材料は、細孔間の接続の径が、相互に接続した細孔のアレイに組織を成長させるのに十分であるように、形成される。このため、細孔間の接続の径は、組織成長の態様(例えば、細胞移動、細胞増殖、細胞分化、栄養物質交換、および/または老廃物の除去)をサポートする。本明細書に使用する「径」という用語は、細孔間の接続を説明する場合、2つの細孔の重心をつなぐ線に対して垂直な平面における2つの細孔間の接続の断面の径を指し、接続の断面の面積が最小値であるように、平面が選択される。本明細書に使用する「接続の断面の径」という用語は、接続の断面の中心または重心(中心を欠く断面を有する接続の場合)を通過し、断面周囲で終端となる、直線部分の平均の長さを指す。本明細書に使用する「実質的に」という用語は、細孔間の接続を説明するのに使用する場合、エラストマーマトリックスを含む各細孔間で構成された接続の少なくとも90%、例えば、接続の少なくとも95%または少なくとも97%等を指す。
【0050】
したがって、実施態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料には、相互に接続した細孔のアレイに組織を成長させるのに十分な真円度を有する、細孔が含まれる。本実施態様の態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料には、例えば、約0.1、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、または約1.0の真円度を有する、細孔が含まれる。本実施態様の別の態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料には、例えば、少なくとも0.1、少なくとも0.2、少なくとも0.3、少なくとも0.4、少なくとも0.5、少なくとも0.6、少なくとも0.7、少なくとも0.8、少なくとも0.9、または少なくとも1.0の真円度を有する、細孔が含まれる。本実施態様の更なる別の態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料には、例えば、最大0.1、最大0.2、最大0.3、最大0.4、最大0.5、最大0.6、最大0.7、最大0.8、最大0.9、または最大1.0の真円度を有する、細孔が含まれる。さらに、本実施態様の別の態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料には、例えば、約0.1~約1.0、約0.2~約1.0、約0.3~約1.0、約0.4~約1.0、約0.5~約1.0、約0.6~約1.0、約0.7~約1.0、約0.8~約1.0、約0.9~約1.0、約0.1~約0.9、約0.2~約0.9、約0.3~約0.9、約0.4~約0.9、約0.5~約0.9、約0.6~約0.9、約0.7~約0.9、約0.8~約0.9、約0.1~約0.8、約0.2~約0.8、約0.3~約0.8、約0.4~約0.8、約0.5~約0.8、約0.6~約0.8、約0.7~約0.8、約0.1~約~約0.7、約0.2~約0.7、約0.3~約0.7、約0.4~約0.7、約0.5~約0.7、約0.6~約0.7、約0.1~約0.6、約0.2~約0.6、約0.3~約0.6、約0.4~約0.6、約0.5~約0.6、約0.1~約0.5、0.2~約0.5、0.3~約0.5、または0.4~約0.5の真円度を有する、細孔が含まれる。
【0051】
別の実施態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料内の細孔は、実質的にすべて同様の径を有する。本実施態様の態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料内のすべての細孔の少なくとも90%は、同様の径を有するか、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料内のすべての細孔の少なくとも95%は、同様の径を有するか、またはエラストマーマトリックスを含む多孔性材料内のすべての細孔の少なくとも97%は、同様の径を有する。本実施態様の別の態様において、2つの孔の径の差異は、例えば、大きな径の約20%未満であるか、大きな径の約15%未満であるか、大きな径の約10%未満であるか、または大きな径の約5%未満である。
【0052】
別の実施態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料には、相互に接続した細孔のアレイに組織を成長させるのに十分な平均径を有する、細孔が含まれる。本実施態様の態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料には、例えば、約50μm、約75μm、約100μm、約150μm、約200μm、約250μm、約300μm、約350μm、約400μm、約450μm、または約500μmの平均細孔径を有する、細孔が含まれる。本実施態様の別の態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料には、例えば、約500μm、約600μm、約700μm、約800μm、約900μm、約1000μm、約1500μm、約2000μm、約2500μm、または約3000μmの平均細孔径を有する、細孔が含まれる。本実施態様の更なる別の態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料には、例えば、少なくとも50μm、少なくとも75μm、少なくとも100μm、少なくとも150μm、少なくとも200μm、少なくとも250μm、少なくとも300μm、少なくとも350μm、少なくとも400μm、少なくとも450μm、または少なくとも500μmの平均細孔径を有する、細孔が含まれる。更なる別の態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料には、例えば、少なくとも500μm、少なくとも600μm、少なくとも700μm、少なくとも800μm、少なくとも900μm、少なくとも1000μm、少なくとも1500μm、少なくとも2000μm、少なくとも2500μm、または少なくとも3000μmの平均細孔径を有する、細孔が含まれる。本実施態様の更なる態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料には、例えば、最大50μm、最大75μm、最大100μm、最大150μm、最大200μm、最大250μm、最大300μm、最大350μm、最大400μm、最大450μm、または最大500μmの平均細孔径を有する、細孔が含まれる。さらに、本実施態様の態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料には、例えば、最大500μm、最大600μm、最大700μm、最大800μm、最大900μm、最大1000μm、最大1500μm、最大2000μm、最大2500μm、または最大3000μmの平均細孔径を有する、細孔が含まれる。本実施態様の更なる態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料には、例えば、約300μm~約600μm、約200μm~約700μm、約100μm~約800μm、約500μm~約800μm、約50μm~約500μm、約75μm~約500μm、約100μm~約500μm、約200μm~約500μm、約300μm~約500μm、約50μm~約1000μm、約75μm~約1000μm、約100μm~約1000μm、約200μm~約1000μm、約300μm~約1000μm、約50μm~約1000μm、約75μm~約3000μm、約100μm~約3000μm、約200μm~約3000μm、または約300μm~約3000μmの範囲の平均細孔径を有する、細孔が含まれる。
【0053】
別の実施態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料には、相互に接続した細孔のアレイに組織を成長させるのに十分な平均エラストマー支柱厚さを有する、細孔が含まれる。本実施態様の態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料には、例えば、約10μm、約20μm、約30μm、約40μm、約50μm、約60μm、約70μm、約80μm、約90μm、約100μm、約110μm、約120μm、約130μm、約140μm、約150μm、約160μm、約170μm、約180μm、約190μm、または約200μmの平均エラストマー支柱厚さを有する、細孔が含まれる。本実施態様の別の態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料には、例えば、少なくとも10μm、少なくとも20μm、少なくとも30μm、少なくとも40μm、少なくとも50μm、少なくとも60μm、少なくとも70μm、少なくとも80μm、少なくとも90μm、少なくとも100μm、少なくとも110μm、少なくとも120μm、少なくとも130μm、少なくとも140μm、少なくとも150μm、少なくとも160μm、少なくとも170μm、少なくとも180μm、少なくとも190μm、または少なくとも200μmの平均エラストマー支柱厚さを有する、細孔が含まれる。本実施態様の態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料には、例えば、最大10μm、最大20μm、最大30μm、最大40μm、最大50μm、最大60μm、最大70μm、最大80μm、最大90μm、最大100μm、最大110μm、最大120μm、最大130μm、最大140μm、最大150μm、最大160μm、最大170μm、最大180μm、最大190μm、または最大200μmの平均エラストマー支柱厚さを有する、細孔が含まれる。本実施態様の態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料には、例えば、約50μm~約110μm、約50μm~約120μm、約50μm~約130μm、約50μm~約140μm、約50μm~約150μm、約60μm~約110μm、約60μm~約120μm、約60μm~約130μm、約60μm~約140μm、約70μm~約110μm、約70μm~約120μm、約70μm~約130μm、または約70μm~約140μmの平均エラストマー支柱厚さを有する、細孔が含まれる。
【0054】
別の実施態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料には、複数の他の細孔に接続された細孔が含まれる。本実施態様の態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料は、例えば、約2の他の細孔、約3の他の細孔、約4の他の細孔、約5の他の細孔、約6の他の細孔、約7の他の細孔、約8の他の細孔、約9の他の細孔、約10の他の細孔、約11の他の細孔、または約12の他の細孔の平均細孔接続性を有する。本実施態様の別の態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料は、例えば、少なくとも2の他の細孔、少なくとも3の他の細孔、少なくとも4の他の細孔、少なくとも5の他の細孔、少なくとも6の他の細孔、少なくとも7の他の細孔、少なくとも8の他の細孔、少なくとも9の他の細孔、少なくとも10の他の細孔、少なくとも11の他の細孔、または少なくとも12の他の細孔の平均細孔接続性を有する。本実施態様の更なる別の態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料は、例えば、最大2の他の細孔、少なくとも最大の他の細孔、少なくとも最大の他の細孔、少なくとも最大の他の細孔、最大6の他の細孔、最大7の他の細孔、最大8の他の細孔、最大9の他の細孔、最大10の他の細孔、最大11の他の細孔、または最大12の他の細孔の平均細孔接続性を有する。
【0055】
さらに、本実施態様の別の態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料には、例えば、約2~約12の他の細孔、約2~約11の他の細孔、約2~約10の他の細孔、約2~約9の他の細孔、約2~約8の他の細孔、約2~約7の他の細孔、約2~約6の他の細孔、約2~約5の他の細孔、約3~約12の他の細孔、約3~約11の他の細孔、約3~約10の他の細孔、約3~約9の他の細孔、約3~約8の他の細孔、約3~約7の他の細孔、約3~約6の他の細孔、約3~約5の他の細孔、約4~約12の他の細孔、約4~約11の他の細孔、約4~約10の他の細孔、約4~約9の他の細孔、約4~約8の他の細孔、約4~約7の他の細孔、約4~約6の他の細孔、約4~約5の他の細孔、約5~約12の他の細孔、約5~約11の他の細孔、約5~約10の他の細孔、約5~約9の他の細孔、約5~約8の他の細孔、約5~約7の他の細孔、または約5~約6の他の細孔に接続された細孔が含まれる。
【0056】
別の実施態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料には、細孔が含まれ、細孔間の接続の径が、相互に接続した細孔のアレイに組織を成長させるのに十分である。本実施態様の態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料には、細孔が含まれ、細孔間の接続の径が、例えば、平均細孔径の約10%、平均細孔径の約20%、平均細孔径の約30%、平均細孔径の約40%、平均細孔径の約50%、平均細孔径の約60%、平均細孔径の約70%、平均細孔径の約80%、または平均細孔径の約90%である。本実施態様の別の態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料には、細孔が含まれ、細孔間の接続の径が、例えば、平均細孔径の少なくとも10%、平均細孔径の少なくとも20%、平均細孔径の少なくとも30%、平均細孔径の少なくとも40%、平均細孔径の少なくとも50%、平均細孔径の少なくとも60%、平均細孔径の少なくとも70%、平均細孔径の少なくとも80%、または平均細孔径の少なくとも90%である。本実施態様の更なる別の態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料には、細孔が含まれ、細孔間の接続の径が、例えば、平均細孔径の最大10%、平均細孔径の最大20%、平均細孔径の最大30%、平均細孔径の最大40%、平均細孔径の最大50%、平均細孔径の最大60%、平均細孔径の最大70%、平均細孔径の最大80%、または平均細孔径の最大90%である。
【0057】
さらに、本実施態様の別の態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料には、細孔が含まれ、細孔間の接続の径が、例えば、平均細孔径の約10%~約90%、平均細孔径の約15%~約90%、平均細孔径の約20%~約90%、平均細孔径の約25%~約90%、平均細孔径の約30%~約90%、平均細孔径の約35%~約90%、平均細孔径の約40%~約90%、平均細孔径の約10%~約80%、平均細孔径の約15%~約80%、平均細孔径の約20%~約80%、平均細孔径の約25%~約80%、平均細孔径の約30%~約80%、平均細孔径の約35%~約80%、平均細孔径の約40%~約80%、平均細孔径の約10%~約70%、平均細孔径の約15%~約70%、平均細孔径の約20%~約70%、平均細孔径の約25%~約70%、平均細孔径の約30%~約70%、平均細孔径の約35%~約70%、平均細孔径の約40%~約70%、平均細孔径の約10%~約60%、平均細孔径の約15%~約60%、平均細孔径の約20%~約60%、平均細孔径の約25%~約60%、平均細孔径の約30%~約60%、平均細孔径の約35%~約60%、平均細孔径の約40%~約60%、平均細孔径の約10%~約50%、平均細孔径の約15%~約50%、平均細孔径の約20%~約50%、平均細孔径の約25%~約50%、平均細孔径の約30%~約50%、平均細孔径の約10%~約40%、平均細孔径の約15%~約40%、平均細孔径の約20%~約40%、平均細孔径の約25%~約40%、または平均細孔径の約30%~約40%である。
【0058】
本明細書は、一部において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料であって、細孔が、本明細書に開示する相互に接続した細孔のアレイに組織を成長させるのに十分な孔隙率を有する、多孔性材料を開示する。このため、孔隙率は、組織成長の態様(例えば、細胞移動、細胞増殖、細胞分化、栄養物質交換、および/または老廃物の除去)をサポートする。本明細書に使用する「孔隙率」という用語は、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料における間隙空間の量を指す。このため、本明細書に開示するエラストマーマトリックスを含む多孔性材料の全容積は、エラストマー空間および間隙空間に基づく。
【0059】
したがって、実施態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、相互に接続した細孔のアレイに組織を成長させるのに十分な孔隙率を有する。本実施態様の態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料は、例えば、エラストマーマトリックスの全容積の約40%、エラストマーマトリックスの全容積の約50%、エラストマーマトリックスの全容積の約60%、エラストマーマトリックスの全容積の約70%、エラストマーマトリックスの全容積の約80%、エラストマーマトリックスの全容積の約90%、エラストマーマトリックスの全容積の約95%、またはエラストマーマトリックスの全容積の約97%の孔隙率を有する。本実施態様の別の態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料は、例えば、エラストマーマトリックスの全容積の少なくとも40%、エラストマーマトリックスの全容積の少なくとも50%、エラストマーマトリックスの全容積の少なくとも60%、エラストマーマトリックスの全容積の少なくとも70%、エラストマーマトリックスの全容積の少なくとも80%、エラストマーマトリックスの全容積の少なくとも90%、エラストマーマトリックスの全容積の少なくとも95%、またはエラストマーマトリックスの全容積の少なくとも97%の孔隙率を有する。本実施態様の更なる別の態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料は、例えば、エラストマーマトリックスの全容積の最大40%、エラストマーマトリックスの全容積の最大50%、エラストマーマトリックスの全容積の最大60%、エラストマーマトリックスの全容積の最大70%、エラストマーマトリックスの全容積の最大80%、エラストマーマトリックスの全容積の最大90%、エラストマーマトリックスの全容積の最大95%、またはエラストマーマトリックスの全容積の最大97%の孔隙率を有する。さらに、本実施態様の別の態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料は、例えば、エラストマーマトリックスの全容積の約40%~約97%、エラストマーマトリックスの全容積の約50%~約97%、エラストマーマトリックスの全容積の約60%~約97%、エラストマーマトリックスの全容積の約70%~約97%、エラストマーマトリックスの全容積の約80%~約97%、エラストマーマトリックスの全容積の約90%~約97%、エラストマーマトリックスの全容積の約40%~約95%、エラストマーマトリックスの全容積の約50%~約95%、エラストマーマトリックスの全容積の約60%~約95%、エラストマーマトリックスの全容積の約70%~約95%、エラストマーマトリックスの全容積の約80%~約95%、エラストマーマトリックスの全容積の約90%~約95%、エラストマーマトリックスの全容積の約40%~約90%、エラストマーマトリックスの全容積の約50%~約90%、エラストマーマトリックスの全容積の約60%~約90%、エラストマーマトリックスの全容積の約70%~約90%、エラストマーマトリックスの全容積の約80%~約90%の孔隙率を有する。
【0060】
本明細書は、一部において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料であって、細孔が、本明細書に開示する相互に接続した細孔のアレイに組織を成長させるのに十分な平均開口細孔値および/または平均閉鎖細孔値を有する、多孔性材料を開示する。本明細書に使用する、「平均開口細孔値」または「平均開口細孔」という用語は、エラストマーマトリックスに存在する少なくとも1つの他の細孔に接続された細孔の平均数を指す。本明細書に使用する、「平均閉鎖細孔値」または「平均閉鎖細孔」という用語は、エラストマーマトリックスに存在する他の細孔に接続されない、細孔の平均数をいう。
【0061】
したがって、実施態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、相互に接続した細孔のアレイに組織を成長させるのに十分な平均開口細孔値を有する。本実施態様の態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料は、例えば、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約97%の平均開口細孔値を有する。本実施態様の別の態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料は、例えば、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%の平均開口細孔値を有する。本実施態様の更なる別の態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料は、例えば、最大70%、最大75%、最大80%、最大85%、最大90%、最大95%、または最大97%の平均開口細孔値を有する。さらに、本実施態様の態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料は、例えば、約70%~約90%、約75%~約90%、約80%~約90%、約85%~約90%、約70%~約95%、約75%~約95%、約80%~約95%、約85%~約95%、約90%~約95%、約70%~約97%、約75%~約97%、約80%~約97%、約85%~約97%、または約90%~約97%の平均開口細孔値を有する。
【0062】
別の実施態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、相互に接続した細孔のアレイに組織を成長させるのに十分な平均閉鎖細孔値を有する。本実施態様の態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料は、例えば、約5%、約10%、約15%、または約20%の平均閉鎖細孔値を有する。本実施態様の別の態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料は、例えば、約5%以下、約10%以下、約15%以下、または約20%以下の平均閉鎖細孔値を有する。本実施態様の更なる別の態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料は、例えば、約5%~約10%、約5%~約15%、または約5%~約20%の平均閉鎖細孔値を有する。
【0063】
本明細書は、一部において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料であって、細孔が、相互に接続した細孔のアレイに組織を成長させるのに十分な間隙空間を有する、多孔性材料を開示する。このため、間隙空間は、組織成長の態様(例えば、細胞移動、細胞増殖、細胞分化、栄養物質交換、および/または老廃物の除去)をサポートする。本明細書に使用する「間隙空間」という用語は、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料における現実的かまたは物理的な空間を指す。このため、本明細書に開示するエラストマーマトリックスを含む多孔性材料の全容積は、エラストマー空間および間隙空間に基づく。
【0064】
したがって、実施態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスは、相互に接続した細孔のアレイに組織を成長させるのに十分な空隙容量を有する。本実施態様の態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料は、例えば、エラストマーマトリックスの全容積の約50%、エラストマーマトリックスの全容積の約60%、エラストマーマトリックスの全容積の約70%、エラストマーマトリックスの全容積の約80%、エラストマーマトリックスの全容積の約90%、エラストマーマトリックスの全容積の約95%、またはエラストマーマトリックスの全容積の約97%の空隙容量を有する。本実施態様の別の態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料は、例えば、エラストマーマトリックスの全容積の少なくとも50%、エラストマーマトリックスの全容積の少なくとも60%、エラストマーマトリックスの全容積の少なくとも70%、エラストマーマトリックスの全容積の少なくとも80%、エラストマーマトリックスの全容積の少なくとも90%、エラストマーマトリックスの全容積の少なくとも95%、またはエラストマーマトリックスの全容積の少なくとも97%の空隙容量を有する。本実施態様の更なる別の態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料は、例えば、エラストマーマトリックスの全容積の最大50%、エラストマーマトリックスの全容積の最大60%、エラストマーマトリックスの全容積の最大70%、エラストマーマトリックスの全容積の最大80%、エラストマーマトリックスの全容積の最大90%、エラストマーマトリックスの全容積の最大95%、またはエラストマーマトリックスの全容積の最大97%の空隙容量を有する。さらに、本実施態様の別の態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料は、例えば、エラストマーマトリックスの全容積の約50%~約97%、エラストマーマトリックスの全容積の約60%~約97%、エラストマーマトリックスの全容積の約70%~約97%、エラストマーマトリックスの全容積の約80%~約97%、エラストマーマトリックスの全容積の約90%~約97%、エラストマーマトリックスの全容積の約50%~約95%、エラストマーマトリックスの全容積の約60%~約95%、エラストマーマトリックスの全容積の約70%~約95%、エラストマーマトリックスの全容積の約80%~約95%、エラストマーマトリックスの全容積の約90%~約95%、エラストマーマトリックスの全容積の約50%~約90%、エラストマーマトリックスの全容積の約60%~約90%、エラストマーマトリックスの全容積の約70%~約90%、またはエラストマーマトリックスの全容積の約80%~約90%の空隙容量を有する。
【0065】
本明細書は、一部において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料であって、被膜拘縮もしくは傷跡を生じ得る線維性被膜の形成を低減するか、または防ぐのに十分な時間で、相互に接続した細孔に組織を十分に成長させる、多孔性材料を開示する。
【0066】
したがって、実施態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、被膜拘縮もしくは傷跡を生じ得る線維性被膜の形成を低減するか、または防ぐのに十分な時間で、相互に接続した細孔に組織を成長させる。本実施態様の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、線維性被膜の形成を低減するか、または防ぐのに十分な、移植後約2日、移植後約3日、移植後約4日、移植後約5日、移植後約6日、移植後約7日、移植後約2週、移植後約3週、または移植後約4週で、相互に接続した細孔に組織を成長させる。本実施態様の別の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、線維性被膜の形成を低減するか、または防ぐのに十分な、移植後少なくとも2日、移植後少なくとも3日、移植後少なくとも4日、移植後少なくとも5日、移植後少なくとも6日、移植後少なくとも7日、移植後少なくとも2週、移植後少なくとも3週、または移植後少なくとも4週で、相互に接続した細孔に組織を成長させる。本実施態様の更なる別の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、線維性被膜の形成を低減するか、または防ぐのに十分な、移植後最大2日、移植後最大3日、移植後最大4日、移植後最大5日、移植後最大6日、移植後最大7日、移植後最大2週、移植後最大3週、または移植後最大4週で、相互に接続した細孔に組織を成長させる。さらに、本実施態様の別の態様において、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料は、例えば、線維性被膜の形成を低減するか、または防ぐのに十分な、移植後約2日~約4日、移植後約2日~約5日、移植後約2日~約6日、移植後約2日~約7日、移植後約1週~約2週、移植後約1週~約3週、または移植後約1週~約4週で、相互に接続した細孔に組織を成長させる。
【0067】
エラストマーマトリックスを含む多孔性材料は、一般に、低いレベルのミクロ多孔性を有する。本明細書に使用する「ミクロ多孔性」という用語は、エラストマーマトリックス自体(エラストマーマトリックスによって区画形成された細孔に対立するものとして)を含む、多孔性材料内の小さな微小孔の存在の程度を指す。一部の実施態様において、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料中のすべてまたは実質的にすべての微小孔は、約0.1μm~約5μm(約0.1μm~約3μm、または約0.1μm~約2μm)である。「低いレベルのミクロ多孔性」という用語は、微小孔が、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料の容積(エラストマーマトリックス断面の間隙空間を測定することによって測定される)の2%未満を表すことを意味する。
【0068】
細孔の形状、真円度および径、細孔間の接続、多孔性材料の全容積、空隙容量、ならびにエラストマーマトリックスの容積はすべて、走査型電子顕微鏡を使用して評価することができる。例えば、
図1Aおよび1Bを参照されたい。
【0069】
本明細書は、一部において、本明細書に開示する多孔性材料を製造する方法を開示する。
【0070】
一態様において、多孔性材料を製造する方法は、次に示す工程を含む:a)ポロゲンをエラストマーベースでコーティングして、エラストマーをコーティングしたポロゲン混合物を形成する工程と、b)エラストマーをコーティングしたポロゲン混合物を処理し、ポロゲンを融解させてポロゲン足場を形成し、非分解性で、生体適合性のエラストマーを硬化させる工程、c)ポロゲン足場を除去する工程であって、ポロゲン足場の除去によって、相互に接続した細孔のアレイを区画形成する、非分解性で、生体適合性のエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料が得られる、前記工程。
【0071】
別の態様において、多孔性材料を製造する方法は、次に示す工程を含む:a)ポロゲンをエラストマーベースでコーティングして、エラストマーをコーティングしたポロゲン混合物を形成する工程と、b)ポロゲンを金型に充填する工程と、c)エラストマーをコーティングしたポロゲン混合物を処理し、ポロゲンを融解させてポロゲン足場を形成し、非分解性で、生体適合性のエラストマーを硬化させる工程と、d)ポロゲン足場を除去する工程であって、ポロゲン足場の除去によって、相互に接続した細孔のアレイを区画形成する、非分解性で、生体適合性のエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料が得られる、前記工程。
【0072】
本明細書に使用する、「エラストマーベース」という用語は、「未硬化のエラストマー」と同義であり、未硬化の状態である、本明細書に開示するエラストマーを指す。本明細書に使用する、「シリコーン系エラストマーベース」という用語は、「未硬化のシリコーン系エラストマー」と同義であり、未硬化の状態である、本明細書に開示するシリコーン系エラストマーを指す。
【0073】
本明細書に使用する「ポロゲン」という用語は、エラストマーマトリックスを破壊しない条件下で形成した後に除去可能なポロゲン足場を作製するのに使用することができる、構造を指す。ポロゲンは、約30℃~約100℃のガラス転移温度(Tg)または融解温度(Tm)を有する材料で製造することができる。さらに、本明細書の態様を実施するのに有用なポロゲンは、親水性溶媒(例えば、水、ジメチルスルホキシド(DMSO)、塩化メチレン、クロロホルム、およびアセトン等)に可溶性である。しかしながら、本明細書の態様を実施するのに有用なポロゲンは、キシレンのような芳香族溶媒、ジクロロメタンのような塩素系溶媒、または未硬化のエラストマーベースを分散させるのに使用する、他の溶媒に可溶性でない。本明細書に開示する方法に使用するのに適切な例示的なポロゲンには、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、ヨウ化ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、ヨウ素酸ナトリウム、および/またはこれらの混合物等の塩;例えば、グルコース、フルクトース、スクロース、ラクトース、マルトース、サッカリン、および/またはこれらの混合物等の糖および/またはその誘導体;例えば、セルロース、およびヒドロキシエチルセルロース等の多糖およびこれらの誘導体;例えば、パラフィン、蜜蝋、および/またはこれらの混合物等のワックス;例えば、水酸化ナトリウム等の他の水溶性化学物質;ナフタレン;例えば、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリルアミド‐co‐アクリル酸)、ポリ(アクリルアミド‐co‐ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、ポリアクリロニトリル、ポリ(アリルアミン)、ポリ(アミド)、ポリ(無水物)、ポリ(ブチレン)、ポリ(ε‐カプロラクトン)、ポリ(カーボネート)、ポリ(エステル)、ポリ(エーテルエーテルケトン)、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(エチレン)、ポリ(エチレンアルコール)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(グリコリド)(ポリ(グリコール酸)等)、(ポリ(ヒドロキシブチラート)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリラート)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリラート)、ポリ(ヒドロキシストレン)、ポリ(イミド)、ポリ(ラクチド)(ポリ(L‐乳酸)、およびポリ(D,L‐乳酸)等)、ポリ(ラクチド‐co‐グリコリド)、ポリ(リジン)、ポリ(メタクリラート)、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(フェニレンオキシド)、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(ホスホエステル)、ポリ(プロピレンフマレート)、ポリ(プロピレン)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(スチレン)、ポリ(スルホン)、ポリ(テトラフロオロエチレン)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ウレタン)、これらの共重合体(ポリ(エチレンオキシド)ポリ(プロピレンオキシド)共重合体(ポロキサマ)、ポリ(ビニルアルコール‐co‐エチレン)、ポリ(スチレン‐co‐アリルアルコール)、およびポリ(エチレン)‐ブロック‐ポリ(エチレングリコール)、および/またはこれらの混合物等の重合体;ならびに、アルギン、キチン、キトサン、コラーゲン、デキストラン、ゼラチン、ヒアルロン酸、ペクチンおよび/またはこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。ポロゲンを製造する方法は、当業者に公知であり、かかる方法の非限定例は、例えば、Peter X. Maの「多孔性材料の逆作製(Reverse Fabrication of Porous Materials)」、米国特許出願公開第2002/00056000号;P. X. MaとG. Weiの「粒子含有複合多孔性材料(Particle-Containing Complex Porous Materials)」、米国特許出願公開第2006/0246121号;ならびに、F. Liuらの「ポロゲン組成物、製造する方法、および使用(Porogen Compositions, Methods of Making and Uses)」、代理人事件番号18709PROV(BRE)に記載され、これらの文献はそれぞれ、その全体が引用により本明細書中に組み込まれる。また、ポロゲンは、例えば、ポリサイエンス(Polyscience)社(ウォリントン、ペンシルベニア州)から商業上入手可能である。
【0074】
ポロゲンは、本明細書に開示するエラストマーマトリックスを作製するのに有用なポロゲン足場を形成させるのに十分な形状を有する。いかなるポロゲン形状も、本明細書に開示するエラストマーマトリックスを作製するのに有用なポロゲン足場を形成させるのに十分であるという条件で、有用である。有用なポロゲン形状には、粗い球状、完全な球状、楕円体、多面体、三角形、ピラミッド形、正方形、長方形、平行四辺形、台形、菱形および凧形等の四角形、ならびに他の型の多角形が含まれるが、これらに限定されない。
【0075】
実施態様において、ポロゲンは、相互に接続した細孔のそのアレイ内に組織を成長させる、エラストマーマトリックスを作製するのに有用なポロゲン足場を形成させるのに十分な形状を有する。本実施態様の態様において、ポロゲンは、粗い球状、完全な球状、楕円体、多面体、三角形、ピラミッド形、四角形、または多角形の形状を有する。
【0076】
ポロゲンは、本明細書に開示するエラストマーマトリックスを作製するのに有用なポロゲン足場を形成させるのに十分な真円度を有する。本明細書に使用する「真円度」は、(6×V)/(π×D3)(式中、Vは容積であり、Dは径である)と定義される。いかなるポロゲンの真円度も、本明細書に開示するエラストマーマトリックスを作製するのに有用なポロゲン足場を形成させるのに十分であるという条件で、有用である。
【0077】
実施態様において、ポロゲンは、相互に接続した細孔のそのアレイ内に組織を成長させる、エラストマーマトリックスを作製するのに有用なポロゲン足場を形成させるのに十分な真円度を有する。本実施態様の態様において、ポロゲンは、例えば、約0.1、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、または約1.0の平均真円度を有する。本実施態様の別の態様において、ポロゲンは、例えば、少なくとも0.1、少なくとも0.2、少なくとも0.3、少なくとも0.4、少なくとも0.5、少なくとも0.6、少なくとも0.7、少なくとも0.8、少なくとも0.9、または少なくとも1.0の平均真円度を有する。本実施態様の更なる別の態様において、ポロゲンは、例えば、最大0.1、最大0.2、最大0.3、最大0.4、最大0.5、最大0.6、最大0.7、最大0.8、最大0.9、または最大1.0の平均真円度を有する。さらに、本実施態様の別の態様において、ポロゲンは、例えば、約0.1~約1.0、約0.2~約1.0、約0.3~約1.0、約0.4~約1.0、約0.5~約1.0、約0.6~約1.0、約0.7~約1.0、約0.8~約1.0、約0.9~約1.0、約0.1~約0.9、約0.2~約0.9、約0.3~約0.9、約0.4~約0.9、約0.5~約0.9、約0.6~約0.9、約0.7~約0.9、約0.8~約0.9、約0.1~約0.8、約0.2~約0.8、約0.3~約0.8、約0.4~約0.8、約0.5~約0.8、約0.6~約0.8、約0.7~約0.8、約0.1~約~約0.7、約0.2~約0.7、約0.3~約0.7、約0.4~約0.7、約0.5~約0.7、約0.6~約0.7、約0.1~約0.6、約0.2~約0.6、約0.3~約0.6、約0.4~約0.6、約0.5~約0.6、約0.1~約0.5、0.2~約0.5、0.3~約0.5、または0.4~約0.5の平均真円度を有する。
【0078】
本明細書は、一部において、ポロゲンをエラストマーベースでコーティングして、エラストマーをコーティングしたポロゲン混合物を形成する工程を開示する。適切なエラストマーベースは、上述のとおりである。エラストマーベースでポロゲンをコーティングする工程は、例えば、浸漬、吹付け、ナイフ塗布、カーテン塗装、刷毛塗り、もしくは蒸着等の機械的な塗布、熱による塗布、付着塗布、化学結合による塗布、自己集合による塗布、分子捕捉による塗布、および/またはこれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない、適切な手段によって、行うことができる。エラストマーベースは、所望の厚さのエラストマーでポロゲンをコーティングする方法においてポロゲンに塗布される。余剰のエラストマーの除去は、重力ろ過もしくはふるい、真空ろ過もしくはふるい、ブローイング、および/またはこれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない、適切な手段によって、行うことができる。
【0079】
したがって、実施態様において、ポロゲンは、相互に接続した細孔のそのアレイ内に組織を成長させる、エラストマーマトリックスを含む多孔性材料を形成させるのに十分な厚さのエラストマーベースでコーティングされる。本実施態様の態様において、ポロゲンは、例えば、約1μm、約2μm、約3μm、約4μm、約5μm、約6μm、約7μm、約8μm、約9μm、約10μm、約20μm、約30μm、約40μm、約50μm、約60μm、約70μm、約80μm、約90μm、または約100μmの厚さのエラストマーベースでコーティングされる。本実施態様の別の態様において、ポロゲンは、例えば、少なくとも1μm、少なくとも2μm、少なくとも3μm、少なくとも4μm、少なくとも5μm、少なくとも6μm、少なくとも7μm、少なくとも8μm、少なくとも9μm、少なくとも10μm、少なくとも20μm、少なくとも30μm、少なくとも40μm、少なくとも50μm、少なくとも60μm、少なくとも70μm、少なくとも80μm、少なくとも90μm、または少なくとも100μmの厚さのエラストマーベースでコーティングされる。本実施態様の更なる別の態様において、ポロゲンは、例えば、最大1μm、最大2μm、最大3μm、最大4μm、最大5μm、最大6μm、最大7μm、最大8μm、最大9μm、最大10μm、最大20μm、最大30μm、最大40μm、最大50μm、最大60μm、最大70μm、最大80μm、最大90μm、または最大100μmの厚さのエラストマーベースでコーティングされる。さらに、本実施態様の別の態様において、ポロゲンは、例えば、約1μm~約5μm、約1μm~約10μm、約5μm~約10μm、約5μm~約25μm、約5μm~約50μm、約10μm~約50μm、約10μm~約75μm、約10μm~約100μm、約25μm~約100μm、または約50μm~約100μmの厚さのエラストマーベースでコーティングされる。
【0080】
本明細書は、一部において、エラストマーをコーティングしたポロゲンを揮発分除去する工程を開示する。本明細書に使用する「揮発分除去する」または「揮発分除去」という用語は、エラストマーをコーティングしたポロゲンから揮発性成分を除去する工程を指す。エラストマーをコーティングしたポロゲンの揮発分除去は、エラストマーをコーティングしたポロゲンから、揮発性成分を実質的にすべて除去する、適切な手段によって、行うことができる。揮発分除去手順の非限定例には、蒸発、真空凍結乾燥、サブリミネーション(sublimination)、抽出、および/またはこれらの組合せが含まれる。
【0081】
実施態様において、エラストマーをコーティングしたポロゲンは、単一の温度で、エラストマーをコーティングしたポロゲンから、揮発性成分を実質的にすべて、蒸発させるのに十分な時間で、揮発分除去される。本実施態様の態様において、エラストマーをコーティングしたポロゲンは、周囲温度で、約1分~約5分間、揮発分除去される。本実施態様の別の態様において、エラストマーをコーティングしたポロゲンは、周囲温度で、約45分~約75分間、揮発分除去される。本実施態様の更なる別の態様において、エラストマーをコーティングしたポロゲンは、周囲温度で、約90分~約150分間、揮発分除去される。本実施態様の別の態様において、エラストマーをコーティングしたポロゲンは、約18℃~約22℃で、約1分~約5分間、揮発分除去される。本実施態様の更なる別の態様において、エラストマーをコーティングしたポロゲンは、約18℃~約22℃で、約45分~約75分間、揮発分除去される。さらに、本実施態様の別の態様において、エラストマーをコーティングしたポロゲンは、約18℃~約22℃で、約90分~約150分間、揮発分除去される。
【0082】
本明細書は、一部において、融解前に、ポロゲンを金型に充填する工程を開示する。いかなる金型の形状もポロゲンの充填に使用してもよい。非限定例として、金型の形状は、例えば、乳房インプラント用のシェル、または筋肉インプラント用のシェル等の移植可能なデバイスの輪郭を描くシェルであり得る。別の非限定例として、金型の形状は、シートを形成するものであり得る。かかるシートは、必要とされる用途に基づいて、広い種類または割合で作製することができる。例えば、シートは、移植可能なデバイスよりもわずかに大きなサイズで作製することができ、その結果、デバイスを覆い、かつ過度の装飾を可能にするのに十分な材料である。別の一例として、シートは、当業者が所望の量のみを適用(例えば、痕跡形成の制御のためのテクスチャー加工した表面を有するストリップの作製等)することを可能にする連続的なロールとして作製することができる。ポロゲンは、超音波撹拌、機械的撹拌または緊密に充填されたポロゲンのアレイを得るのに適切な他の方法を用いて、金型に充填することができる。
【0083】
実施態様において、エラストマーをコーティングしたポロゲン混合物は、金型に充填される。本実施態様の態様において、エラストマーをコーティングしたポロゲン混合物は、緊密に充填されたポロゲンのアレイを得るのに適切な方法で、金型に充填される。本実施態様の別の態様において、エラストマーをコーティングしたポロゲン混合物は、超音波撹拌または機械的撹拌を使用して、金型に充填される。
【0084】
本明細書は、一部において、エラストマーをコーティングしたポロゲン混合物を処理し、ポロゲンを融解させてポロゲン足場を形成し、かつエラストマーベースを硬化させる工程を開示する。本明細書に使用する「処理する」という用語は、1)ポロゲンを融解して、本明細書に開示するエラストマーマトリックスを作製するのに有用なポロゲン足場を形成する工程、および2)本明細書に開示する相互に接続した細孔のそのアレイ内に組織を成長させるのに十分なエラストマーマトリックスを形成する工程を指す。本明細書に使用する「硬化(curing)」という用語は、「硬化(setting)」または「加硫」と同義であり、例えば、互いの物理的または化学的架橋重合体鎖等によって、重合体の相変化を良好な安定状態に活性化する要素に、重合体の鎖を接触させる過程を指す。処理の非限定例には、熱処理、化学的処理、触媒処理、放射線処理、および物理的処理が含まれる。エラストマーをコーティングしたポロゲン足場の処理は、ポロゲンを融解して、本明細書に開示するエラストマーマトリックスを作製するのに有用なポロゲン足場を形成するのに十分であり、かつエラストマーを硬化させて、本明細書に開示する細孔の相互に接続したそのアレイ内に組織を成長させるのに十分なエラストマーマトリックスを形成するという条件で、任意の条件下、任意の時間で、行うことができる。
【0085】
エラストマーをコーティングしたポロゲン混合物の熱処理は、ポロゲンを融解して、ポロゲン足場を形成し、かつエラストマーベースを硬化させて本明細書に開示するエラストマーマトリックスを形成するという条件で、任意の条件下、任意の時間で、行うことができる。熱処理に有用な温度の非限定例は、例えば、ポロゲンのガラス転移温度または融解温度よりも約5℃~約50℃高いような、ポロゲンのガラス転移温度または融解温度よりも高い温度である。いかなる温度も、ポロゲンの融解を生ずるのに十分であるという条件で、熱処理に用いることができる。非限定例として、熱処理は、約30℃~約250℃であり得る。所定の温度における熱処理時間の増加によって、接続サイズが増加し、焼結温度の上昇によって、接続の成長速度が増加する。いかなる時間も、ポロゲンの融解を生じ、エラストマーベースを硬化させるのに十分であるという条件で、熱処理に用いることができる。適切な時間は、約0.5時間~約48時間が一般的である。
【0086】
したがって、実施態様において、エラストマーをコーティングしたポロゲンは、熱処理、化学的処理、触媒処理、放射線処理、または物理的処理によって処理される。別の実施態様において、エラストマーをコーティングしたポロゲンは、単一の時間で処理され、硬化時間は、相互に接続した細孔のそのアレイ内に組織を成長させるのに十分なエラストマーマトリックスを形成するのに十分である。
【0087】
別の実施態様において、エラストマーをコーティングしたポロゲンは、単一の温度で、単一の時間、熱処理され、処理温度および時間が、ポロゲンを融解して、ポロゲン足場を形成するのに十分であり、かつエラストマーベースを硬化させて、相互に接続した細孔のそのアレイ内に組織を成長させるのに十分なエラストマーマトリックスを形成するのに十分である。
【0088】
本実施態様の別の態様において、熱処理は、エラストマーをコーティングしたポロゲンの融解温度またはガラス転移温度よりも、例えば、約5℃高い、約10℃高い、約15℃高い、約20℃高い、約25℃高い、約30℃高い、約35℃高い、約40℃高い、約45℃高い、または約50℃高い温度で、しばらくの間、エラストマーをコーティングしたポロゲンを加熱することを含み、処理温度および時間が、エラストマーをコーティングしたポロゲンを融解して、ポロゲン足場を形成するのに十分であり、かつエラストマーベースを硬化させて、相互に接続した細孔のそのアレイ内に組織を成長させるのに十分なエラストマーマトリックスを形成するのに十分である。本実施態様の別の態様において、熱処理は、エラストマーをコーティングしたポロゲンの融解温度またはガラス転移温度よりも、例えば、少なくとも5℃高い、少なくとも10℃高い、少なくとも15℃高い、少なくとも20℃高い、少なくとも25℃高い、少なくとも30℃高い、少なくとも35℃高い、少なくとも40℃高い、少なくとも45℃高い、または少なくとも50℃高い温度で、しばらくの間、エラストマーをコーティングしたポロゲンを加熱することを含み、処理温度および時間が、エラストマーをコーティングしたポロゲンを融解して、ポロゲン足場を形成するのに十分であり、かつエラストマーベースを硬化させて、相互に接続した細孔のそのアレイ内に組織を成長させるのに十分なエラストマーマトリックスを形成するのに十分である。本実施態様の更なる別の態様において、熱処理は、エラストマーをコーティングしたポロゲンの融解温度またはガラス転移温度よりも、例えば、最大5℃高い、最大10℃高い、最大15℃高い、最大20℃高い、最大25℃高い、最大30℃高い、最大35℃高い、最大40℃高い、最大45℃高い、または最大50℃高い温度で、しばらくの間、エラストマーをコーティングしたポロゲンを加熱することを含み、処理温度および時間が、エラストマーをコーティングしたポロゲンを融解して、ポロゲン足場を形成するのに十分であり、かつエラストマーベースを硬化させて、相互に接続した細孔のそのアレイ内に組織を成長させるのに十分なエラストマーマトリックスを形成するのに十分である。さらに、本実施態様の別の態様において、熱処理は、エラストマーをコーティングしたポロゲンの融解温度またはガラス転移温度よりも、例えば、約5℃~約10℃高い、約5℃~約15℃高い、約5℃~約20℃高い、約5℃~約25℃高い、約5℃~約30℃高い、約5℃~約35℃高い、約5℃~約40℃高い、約5℃~約45℃高い、約5℃~約50℃高い、約10℃~約15℃高い、約10℃~約20℃高い、約10℃~約25℃高い、約10℃~約30℃高い、約10℃~約35℃高い、約10℃~約40℃高い、約10℃~約45℃高い、または約10℃~約50℃高い温度で、しばらくの間、エラストマーをコーティングしたポロゲンを加熱することを含み、処理温度および時間が、エラストマーをコーティングしたポロゲンを融解して、ポロゲン足場を形成するのに十分であり、かつエラストマーベースを硬化させて、相互に接続した細孔のそのアレイ内に組織を成長させるのに十分なエラストマーマトリックスを形成するのに十分である。
【0089】
本実施態様の別の態様において、熱処理は、エラストマーをコーティングしたポロゲン足場を、約30℃~約130℃で、約10分~約360分間、加熱することを含み、処理温度および時間が、ポロゲンを融解して、ポロゲン足場を形成するのに十分であり、かつエラストマーベースを硬化させて、相互に接続した細孔のそのアレイ内に組織を成長させるのに十分なエラストマーマトリックスを形成するのに十分である。
【0090】
更なる別の実施態様において、エラストマーをコーティングしたポロゲンは、複数の温度で、複数の時間、熱処理され、処理温度および時間が、エラストマーをコーティングしたポロゲンを融解して、ポロゲン足場を形成するのに十分であり、かつエラストマーベースを硬化させて、相互に接続した細孔のそのアレイ内に組織を成長させるのに十分なエラストマーマトリックスを形成するのに十分である。本実施態様の態様において、エラストマーをコーティングしたポロゲンは、第1の温度で、第1の時間、次いで、第2の温度で、第2の時間、処理され、処理温度および時間が、エラストマーをコーティングしたポロゲンを融解して、ポロゲン足場を形成するのに十分であり、かつエラストマーベースを硬化させて、相互に接続した細孔のそのアレイ内に組織を成長させるのに十分なエラストマーマトリックスを形成するのに十分であり、また、第1の温度と第2の温度が異なる。
【0091】
本実施態様の態様において、熱処理は、エラストマーをコーティングしたポロゲンを、第1の温度で、第1の時間、加熱し、次いで、エラストマーをコーティングしたポロゲンを第2の温度で、第2の時間、加熱することを含み、処理温度および時間が、エラストマーをコーティングしたポロゲンを融解して、ポロゲン足場を形成するのに十分であり、かつエラストマーベースを硬化させて、相互に接続した細孔のそのアレイ内に組織を成長させるのに十分なエラストマーマトリックスを形成するのに十分であり、また、第1の温度と第2の温度が異なる。本実施態様の別の態様において、熱処理は、エラストマーをコーティングしたポロゲンの融解温度またはガラス転移温度よりも、例えば、約5℃高い、約10℃高い、約15℃高い、約20℃高い、約25℃高い、約30℃高い、約35℃高い、約40℃高い、約45℃高い、または約50℃高い温度で、第1の時間、エラストマーをコーティングしたポロゲンを加熱し、次いで、エラストマーをコーティングしたポロゲンの融解温度またはガラス転移温度よりも、例えば、約5℃高い、約10℃高い、約15℃高い、約20℃高い、約25℃高い、約30℃高い、約35℃高い、約40℃高い、約45℃高い、または約50℃高い温度で、第2の時間、エラストマーをコーティングしたポロゲンを加熱することを含み、処理温度および時間が、エラストマーをコーティングしたポロゲンを融解して、ポロゲン足場を形成するのに十分であり、かつエラストマーベースを硬化させて、相互に接続した細孔のそのアレイ内に組織を成長させるのに十分なエラストマーマトリックスを形成するのに十分であり、また、第1の温度と第2の温度が異なる。本実施態様の更なる別の態様において、熱処理は、エラストマーをコーティングしたポロゲンの融解温度またはガラス転移温度よりも、例えば、少なくとも5℃高い、少なくとも10℃高い、少なくとも15℃高い、少なくとも20℃高い、少なくとも25℃高い、少なくとも30℃高い、少なくとも35℃高い、少なくとも40℃高い、少なくとも45℃高い、または少なくとも50℃高い温度で、第1の時間、エラストマーをコーティングしたポロゲンを加熱し、次いで、エラストマーをコーティングしたポロゲンの融解温度またはガラス転移温度よりも、例えば、少なくとも5℃高い、少なくとも10℃高い、少なくとも15℃高い、少なくとも20℃高い、少なくとも25℃高い、少なくとも30℃高い、少なくとも35℃高い、少なくとも40℃高い、少なくとも45℃高い、または少なくとも50℃高い温度で、第2の時間、エラストマーをコーティングしたポロゲンを加熱することを含み、処理温度および時間が、エラストマーをコーティングしたポロゲンを融解して、ポロゲン足場を形成するのに十分であり、かつエラストマーベースを硬化させて、相互に接続した細孔のそのアレイ内に組織を成長させるのに十分なエラストマーマトリックスを形成するのに十分であり、また、第1の温度と第2の温度が異なる。さらに、本実施態様の別の態様において、熱処理は、エラストマーをコーティングしたポロゲンの融解温度またはガラス転移温度よりも、例えば、最大5℃高い、最大10℃高い、最大15℃高い、最大20℃高い、最大25℃高い、最大30℃高い、最大35℃高い、最大40℃高い、最大45℃高い、または最大50℃高い温度で、第1の時間、エラストマーをコーティングしたポロゲンを加熱し、次いで、エラストマーをコーティングしたポロゲンの融解温度またはガラス転移温度よりも、例えば、最大5℃高い、最大10℃高い、最大15℃高い、最大20℃高い、最大25℃高い、最大30℃高い、最大35℃高い、最大40℃高い、最大45℃高い、または最大50℃高い温度で、第2の時間、エラストマーをコーティングしたポロゲンを加熱することを含み、処理温度および時間が、エラストマーをコーティングしたポロゲンを融解して、ポロゲン足場を形成するのに十分であり、かつエラストマーベースを硬化させて、相互に接続した細孔のそのアレイ内に組織を成長させるのに十分なエラストマーマトリックスを形成するのに十分であり、また、第1の温度と第2の温度が異なる。
【0092】
さらに、本実施態様の態様において、熱処理は、エラストマーをコーティングしたポロゲンの融解温度またはガラス転移温度よりも、例えば、約5℃~約10℃高い、約5℃~約15℃高い、約5℃~約20℃高い、約5℃~約25℃高い、約5℃~約30℃高い、約5℃~約35℃高い、約5℃~約40℃高い、約5℃~約45℃高い、約5℃~約50℃高い、約10℃~約15℃高い、約10℃~約20℃高い、約10℃~約25℃高い、約10℃~約30℃高い、約10℃~約35℃高い、約10℃~約40℃高い、約10℃~約45℃高い、または約10℃~約50℃高い温度で、第1の時間、エラストマーをコーティングしたポロゲンを加熱し、次いで、エラストマーをコーティングしたポロゲンの融解温度またはガラス転移温度よりも、例えば、約5℃~約10℃高い、約5℃~約15℃高い、約5℃~約20℃高い、約5℃~約25℃高い、約5℃~約30℃高い、約5℃~約35℃高い、約5℃~約40℃高い、約5℃~約45℃高い、約5℃~約50℃高い、約10℃~約15℃高い、約10℃~約20℃高い、約10℃~約25℃高い、約10℃~約30℃高い、約10℃~約35℃高い、約10℃~約40℃高い、約10℃~約45℃高い、または約10℃~約50℃高い温度で、第2の時間、エラストマーをコーティングしたポロゲンを加熱することを含み、処理温度および時間が、エラストマーをコーティングしたポロゲンを融解して、ポロゲン足場を形成するのに十分であり、かつエラストマーベースを硬化させて、相互に接続した細孔のそのアレイ内に組織を成長させるのに十分なエラストマーマトリックスを形成するのに十分であり、また、第1の温度と第2の温度が異なる。
【0093】
本実施態様の別の態様において、熱処理は、第1の温度で、第1の時間、エラストマーをコーティングしたポロゲンを加熱し、第2の温度で、第2の時間、エラストマーをコーティングしたポロゲンを加熱し、次いで、第3の温度で、第3の時間、エラストマーをコーティングしたポロゲンを加熱することを含み、処理温度および時間が、エラストマーをコーティングしたポロゲンを融解して、ポロゲン足場を形成するのに十分であり、かつエラストマーベースを硬化させて、相互に接続した細孔のそのアレイ内に組織を成長させるのに十分なエラストマーマトリックスを形成するのに十分であり、また、第1の温度が第2の温度と異なり、第2の温度が第3の温度と異なる。
【0094】
本実施態様の別の態様において、熱処理は、エラストマーをコーティングしたポロゲンの融解温度またはガラス転移温度よりも、例えば、約5℃高い、約10℃高い、約15℃高い、約20℃高い、約25℃高い、約30℃高い、約35℃高い、約40℃高い、約45℃高い、または約50℃高い温度で、第1の時間、エラストマーをコーティングしたポロゲンを加熱し、次いで、エラストマーをコーティングしたポロゲンの融解温度またはガラス転移温度よりも、例えば、約5℃高い、約10℃高い、約15℃高い、約20℃高い、約25℃高い、約30℃高い、約35℃高い、約40℃高い、約45℃高い、または約50℃高い温度で、第2の時間、エラストマーをコーティングしたポロゲンを加熱し、次いで、エラストマーをコーティングしたポロゲンの融解温度またはガラス転移温度よりも、例えば、約5℃高い、約10℃高い、約15℃高い、約20℃高い、約25℃高い、約30℃高い、約35℃高い、約40℃高い、約45℃高い、または約50℃高い温度で、第3の時間、エラストマーをコーティングしたポロゲンを加熱することを含み、処理温度および時間が、エラストマーをコーティングしたポロゲンを融解して、ポロゲン足場を形成するのに十分であり、かつエラストマーベースを硬化させて、相互に接続した細孔のそのアレイ内に組織を成長させるのに十分なエラストマーマトリックスを形成するのに十分であり、また、第1の温度が第2の温度と異なり、第2の温度が第3の温度と異なる。本実施態様の更なる別の態様において、熱処理は、エラストマーをコーティングしたポロゲンの融解温度またはガラス転移温度よりも、例えば、少なくとも5℃高い、少なくとも10℃高い、少なくとも15℃高い、少なくとも20℃高い、少なくとも25℃高い、少なくとも30℃高い、少なくとも35℃高い、少なくとも40℃高い、少なくとも45℃高い、または少なくとも50℃高い温度で、第1の時間、エラストマーをコーティングしたポロゲンを加熱し、次いで、エラストマーをコーティングしたポロゲンの融解温度またはガラス転移温度よりも、例えば、少なくとも5℃高い、少なくとも10℃高い、少なくとも15℃高い、少なくとも20℃高い、少なくとも25℃高い、少なくとも30℃高い、少なくとも35℃高い、少なくとも40℃高い、少なくとも45℃高い、または少なくとも50℃高い温度で、第2の時間、エラストマーをコーティングしたポロゲンを加熱し、次いで、エラストマーをコーティングしたポロゲンの融解温度またはガラス転移温度よりも、例えば、少なくとも5℃高い、少なくとも10℃高い、少なくとも15℃高い、少なくとも20℃高い、少なくとも25℃高い、少なくとも30℃高い、少なくとも35℃高い、少なくとも40℃高い、少なくとも45℃高い、または少なくとも50℃高い温度で、第3の時間、エラストマーをコーティングしたポロゲンを加熱することを含み、処理温度および時間が、エラストマーをコーティングしたポロゲンを融解して、ポロゲン足場を形成するのに十分であり、かつエラストマーベースを硬化させて、相互に接続した細孔のそのアレイ内に組織を成長させるのに十分なエラストマーマトリックスを形成するのに十分であり、また、第1の温度が第2の温度と異なり、第2の温度が第3の温度と異なる。さらに、本実施態様の別の態様において、熱処理は、エラストマーをコーティングしたポロゲンの融解温度またはガラス転移温度よりも、例えば、最大5℃高い、最大10℃高い、最大15℃高い、最大20℃高い、最大25℃高い、最大30℃高い、最大35℃高い、最大40℃高い、最大45℃高い、または最大50℃高い温度で、第1の時間、エラストマーをコーティングしたポロゲンを加熱し、次いで、エラストマーをコーティングしたポロゲンの融解温度またはガラス転移温度よりも、例えば、最大5℃高い、最大10℃高い、最大15℃高い、最大20℃高い、最大25℃高い、最大30℃高い、最大35℃高い、最大40℃高い、最大45℃高い、または最大50℃高い温度で、第2の時間、エラストマーをコーティングしたポロゲンを加熱し、次いで、エラストマーをコーティングしたポロゲンの融解温度またはガラス転移温度よりも、例えば、最大5℃高い、最大10℃高い、最大15℃高い、最大20℃高い、最大25℃高い、最大30℃高い、最大35℃高い、最大40℃高い、最大45℃高い、または最大50℃高い温度で、第3の時間、エラストマーをコーティングしたポロゲンを加熱することを含み、処理温度および時間が、エラストマーをコーティングしたポロゲンを融解して、ポロゲン足場を形成するのに十分であり、かつエラストマーベースを硬化させて、相互に接続した細孔のそのアレイ内に組織を成長させるのに十分なエラストマーマトリックスを形成するのに十分であり、また、第1の温度が第2の温度と異なり、第2の温度が第3の温度と異なる。
【0095】
また、本実施態様の別の態様において、熱処理は、エラストマーをコーティングしたポロゲンの融解温度またはガラス転移温度よりも、例えば、約5℃~約10℃高い、約5℃~約15℃高い、約5℃~約20℃高い、約5℃~約25℃高い、約5℃~約30℃高い、約5℃~約35℃高い、約5℃~約40℃高い、約5℃~約45℃高い、約5℃~約50℃高い、約10℃~約15℃高い、約10℃~約20℃高い、約10℃~約25℃高い、約10℃~約30℃高い、約10℃~約35℃高い、約10℃~約40℃高い、約10℃~約45℃高い、または約10℃~約50℃高い温度で、第1の時間、エラストマーをコーティングしたポロゲンを加熱し、次いで、エラストマーをコーティングしたポロゲンの融解温度またはガラス転移温度よりも、例えば、約5℃~約10℃高い、約5℃~約15℃高い、約5℃~約20℃高い、約5℃~約25℃高い、約5℃~約30℃高い、約5℃~約35℃高い、約5℃~約40℃高い、約5℃~約45℃高い、約5℃~約50℃高い、約10℃~約15℃高い、約10℃~約20℃高い、約10℃~約25℃高い、約10℃~約30℃高い、約10℃~約35℃高い、約10℃~約40℃高い、約10℃~約45℃高い、または約10℃~約50℃高い温度で、第2の時間、エラストマーをコーティングしたポロゲンを加熱し、次いで、エラストマーをコーティングしたポロゲンの融解温度またはガラス転移温度よりも、例えば、約5℃~約10℃高い、約5℃~約15℃高い、約5℃~約20℃高い、約5℃~約25℃高い、約5℃~約30℃高い、約5℃~約35℃高い、約5℃~約40℃高い、約5℃~約45℃高い、約5℃~約50℃高い、約10℃~約15℃高い、約10℃~約20℃高い、約10℃~約25℃高い、約10℃~約30℃高い、約10℃~約35℃高い、約10℃~約40℃高い、約10℃~約45℃高い、または約10℃~約50℃高い温度で、第3の時間、エラストマーをコーティングしたポロゲンを加熱することを含み、処理温度および時間が、エラストマーをコーティングしたポロゲンを融解して、ポロゲン足場を形成するのに十分であり、かつエラストマーベースを硬化させて、相互に接続した細孔のそのアレイ内に組織を成長させるのに十分なエラストマーマトリックスを形成するのに十分であり、また、第1の温度が第2の温度と異なり、第2の温度が第3の温度と異なる。
【0096】
さらに、本実施態様の別の態様において、エラストマーをコーティングしたポロゲンは、約60℃~約75℃で、約15分~約45分間、次いで、約120℃~約130℃で、約60分~約90分間、処理され、処理温度および時間が、エラストマーをコーティングしたポロゲンを融解して、ポロゲン足場を形成するのに十分であり、かつエラストマーベースを硬化させて、相互に接続した細孔のそのアレイ内に組織を成長させるのに十分なエラストマーマトリックスを形成するのに十分である。本実施態様の更なる別の態様において、エラストマーをコーティングしたポロゲンは、約60℃~約75℃で、約15分~約45分間、次いで、約135℃~約150℃で、約90分~約150分間、次いで、約150℃~約165℃で、約15分~約45分間、処理される。
【0097】
本明細書は、一部において、ポロゲン足場を形成する工程を開示する。本明細書に使用する「ポロゲン足場」という用語は、融解されたポロゲンからなる3次元構造のフレームワークを指し、これは、本明細書に開示する相互に接続したアレイまたは細孔を区画形成するマトリックスのネガティブレプリカとして有用である。
【0098】
ポロゲン足場は、ポロゲン足場中の融解されたポロゲンが実質的にすべて同様の径を有するように、形成される。本明細書に使用する「実質的に」という用語は、融解されたポロゲンを説明するのに使用する場合、ポロゲン足場を含むポロゲンの少なくとも90%が融解され、例えば、ポロゲン足場を含むポロゲンの少なくとも95%が融解されるか、またはポロゲン足場を含むポロゲンの少なくとも97%が融解される。本明細書に使用する「同様の径」という用語は、融解されたポロゲンを説明するのに使用する場合、2つの融解されたポロゲンの径の差異が、大きな径の約20%未満であることを指す。本明細書に使用する「径」という用語は、融解されたポロゲンを説明するのに使用する場合、線が、融解されたポロゲンの境界の外部を通過するか否かにかかわらず、融解されたポロゲン内の2点をつなぐ、引くことができる最長の線分を指す。いかなる融解されたポロゲンの径も、本明細書に開示するエラストマーマトリックスを作製するのに有用なポロゲン足場を形成させるのに十分であるという条件で、有用である。
【0099】
それぞれの融解されたポロゲン間の接続の径が、本明細書に開示するエラストマーマトリックスを作製するのに有用なポロゲン足場を形成させるのに十分であるように、ポロゲン足場は形成される。本明細書に使用する「径」という用語は、融解されたポロゲン間の接続を説明する場合、2つの融解されたポロゲンの重心をつなぐ線に対して垂直な平面における2つの融解されたポロゲン間の接続の断面の径を指し、接続の断面の面積が最小値であるように、平面が選択される。本明細書に使用する「接続の断面の径」という用語は、接続の断面の中心または重心(中心を欠く断面を有する接続の場合)を通過し、断面周囲で終端となる、直線部分の平均の長さを指す。本明細書に使用する「実質的に」という用語は、融解されたポロゲン間の接続を説明するのに使用する場合、ポロゲン足場を含む融解されたポロゲンの少なくとも90%が、互いの間の接続を構成し、例えば、ポロゲン足場を含む融解されたポロゲンの少なくとも95%が、互いの間の接続を構成するか、またはポロゲン足場を含む融解されたポロゲンの少なくとも97%が、互いの間の接続を構成する。
【0100】
実施態様において、ポロゲン足場は、融解されたポロゲンが実質的にすべて同様の径を有するように、融解されたポロゲンを含む。本実施態様の態様において、すべての融解されたポロゲンの少なくとも90%は、同様の径を有するか、すべての融解されたポロゲンの少なくとも95%は、同様の径を有するか、またはすべての融解されたポロゲンの少なくとも97%は、同様の径を有する。本実施態様の別の態様において、2つの融解されたポロゲンの径の差異は、例えば、大きな径の約20%未満であるか、大きな径の約15%であるか、大きな径の約10%未満であるか、または大きな径の約5%未満である。
【0101】
別の実施態様において、ポロゲン足場は、相互に接続したポロゲンのアレイに組織を成長させるのに十分な平均径を有する、融解されたポロゲンを含む。本実施態様の態様において、ポロゲン足場は、例えば、約50μm、約75μm、約100μm、約150μm、約200μm、約250μm、約300μm、約350μm、約400μm、約450μm、または約500μmの平均融解ポロゲン径を有する、融解されたポロゲンを含む。別の態様において、ポロゲン足場は、例えば、約500μm、約600μm、約700μm、約800μm、約900μm、約1000μm、約1500μm、約2000μm、約2500μm、または約3000μmの平均融解ポロゲン径を有する、融解されたポロゲンを含む。本実施態様の更なる別の態様において、ポロゲン足場は、例えば、少なくとも50μm、少なくとも75μm、少なくとも100μm、少なくとも150μm、少なくとも200μm、少なくとも250μm、少なくとも300μm、少なくとも350μm、少なくとも400μm、少なくとも450μm、または少なくとも500μmの平均融解ポロゲン径を有する、融解されたポロゲンを含む。さらに別の態様において、エラストマーマトリックスは、例えば、少なくとも500μm、少なくとも600μm、少なくとも700μm、少なくとも800μm、少なくとも900μm、少なくとも1000μm、少なくとも1500μm、少なくとも2000μm、少なくとも2500μm、または少なくとも3000μmの平均融解ポロゲン径を有する、融解されたポロゲンを含む。さらに、本実施態様の別の態様において、ポロゲン足場は、例えば、最大50μm、最大75μm、最大100μm、最大150μm、最大200μm、最大250μm、最大300μm、最大350μm、最大400μm、最大450μm、または最大500μmの平均融解ポロゲン径を有する、融解されたポロゲンを含む。本実施態様の更なる別の態様において、エラストマーマトリックスは、例えば、最大500μm、最大600μm、最大700μm、最大800μm、最大900μm、最大1000μm、最大1500μm、最大2000μm、最大2500μm、または最大3000μmの平均融解ポロゲン径を有する、融解されたポロゲンを含む。さらに、本実施態様の別の態様において、ポロゲン足場は、例えば、約300μm~約600μm、約200μm~約700μm、約100μm~約800μm、約500μm~約800μm、約50μm~約500μm、約75μm~約500μm、約100μm~約500μm、約200μm~約500μm、約300μm~約500μm、約50μm~約1000μm、約75μm~約1000μm、約100μm~約1000μm、約200μm~約1000μm、約300μm~約1000μm、約50μm~約1000μm、約75μm~約3000μm、約100μm~約3000μm、約200μm~約3000μm、または約300μm~約3000μmの範囲の平均融解ポロゲン径を有する、融解されたポロゲンを含む。
【0102】
別の実施態様において、ポロゲン足場は、複数の他のポロゲンに接続した、融解されたポロゲンを含む。本実施態様の態様において、ポロゲン足場は、例えば、約2の他の融解されたポロゲン、約3の他の融解されたポロゲン、約4の他の融解されたポロゲン、約5の他の融解されたポロゲン、約6の他の融解されたポロゲン、約7の他の融解されたポロゲン、約8の他の融解されたポロゲン、約9の他の融解されたポロゲン、約10の他の融解されたポロゲン、約11の他の融解されたポロゲン、または約12の他の融解されたポロゲンの、平均融解ポロゲン接続性を有する。本実施態様の別の態様において、ポロゲン足場は、例えば、少なくとも2の他の融解されたポロゲン、少なくとも3の他の融解されたポロゲン、少なくとも4の他の融解されたポロゲン、少なくとも5の他の融解されたポロゲン、少なくとも6の他の融解されたポロゲン、少なくとも7の他の融解されたポロゲン、少なくとも8の他の融解されたポロゲン、少なくとも9の他の融解されたポロゲン、少なくとも10の他の融解されたポロゲン、少なくとも11の他の融解されたポロゲン、または少なくとも12の他の融解されたポロゲンの、平均融解ポロゲン接続性を有する。本実施態様の更なる別の態様において、ポロゲン足場は、例えば、最大2の他の融解されたポロゲン、最大3の他の融解されたポロゲン、最大4の他の融解されたポロゲン、最大5の他の融解されたポロゲン、最大6の他の融解されたポロゲン、最大7の他の融解されたポロゲン、最大8の他の融解されたポロゲン、最大9の他の融解されたポロゲン、最大10の他の融解されたポロゲン、最大11の他の融解されたポロゲン、または最大12の他の融解されたポロゲンの、平均融解ポロゲン接続性を有する。
【0103】
さらに、本実施態様の別の態様において、ポロゲン足場は、例えば、約2の他の融解されたポロゲンから約12の他の融解されたポロゲン、約2の他の融解されたポロゲンから約11の他の融解されたポロゲン、約2の他の融解されたポロゲンから約10の他の融解されたポロゲン、約2の他の融解されたポロゲンから約9の他の融解されたポロゲン、約2の他の融解されたポロゲンから約8の他の融解されたポロゲン、約2の他の融解されたポロゲンから約7の他の融解されたポロゲン、約2の他の融解されたポロゲンから約6の他の融解されたポロゲン、約2の他の融解されたポロゲンから約5の他の融解されたポロゲン、約3の他の融解されたポロゲンから約12の他の融解されたポロゲン、約3の他の融解されたポロゲンから約11の他の融解されたポロゲン、約3の他の融解されたポロゲンから約10の他の融解されたポロゲン、約3の他の融解されたポロゲンから約9の他の融解されたポロゲン、約3の他の融解されたポロゲンから約8の他の融解されたポロゲン、約3の他の融解されたポロゲンから約7の他の融解されたポロゲン、約3の他の融解されたポロゲンから約6の他の融解されたポロゲン、約3の他の融解されたポロゲンから約5の他の融解されたポロゲン、約4の他の融解されたポロゲンから約12の他の融解されたポロゲン、約4の他の融解されたポロゲンから約11の他の融解されたポロゲン、約4の他の融解されたポロゲンから約10の他の融解されたポロゲン、約4の他の融解されたポロゲンから約9の他の融解されたポロゲン、約4の他の融解されたポロゲンから約8の他の融解されたポロゲン、約4の他の融解されたポロゲンから約7の他の融解されたポロゲン、約4の他の融解されたポロゲンから約6の他の融解されたポロゲン、約4の他の融解されたポロゲンから約5の他の融解されたポロゲン、約5の他の融解されたポロゲンから約12の他の融解されたポロゲン、約5の他の融解されたポロゲンから約11の他の融解されたポロゲン、約5の他の融解されたポロゲンから約10の他の融解されたポロゲン、約5の他の融解されたポロゲンから約9の他の融解されたポロゲン、約5の他の融解されたポロゲンから約8の他の融解されたポロゲン、約5の他の融解されたポロゲンから約7の他の融解されたポロゲン、または約5の他の融解されたポロゲンから約6の他の融解されたポロゲンと接続した、融解されたポロゲンを含む。
【0104】
別の実施態様において、ポロゲン足場は、融解されたポロゲンを含み、融解されたポロゲン間の接続の径が、相互に接続した細孔のそのアレイ内に組織を成長させる、エラストマーマトリックスを作製するのに有用なポロゲン足場を形成させるのに十分な形状である。本実施態様の態様において、ポロゲン足場は、融解されたポロゲンを含み、融解されたポロゲン間の接続の径が、例えば、平均融解ポロゲン径の約10%、平均融解ポロゲン径の約20%、平均融解ポロゲン径の約30%、平均融解ポロゲン径の約40%、平均融解ポロゲン径の約50%、平均融解ポロゲン径の約60%、平均融解ポロゲン径の約70%、平均融解ポロゲン径の約80%、または平均融解ポロゲン径の約90%である。本実施態様の別の態様において、ポロゲン足場は、融解されたポロゲンを含み、融解されたポロゲン間の接続の径が、例えば、平均融解ポロゲン径の少なくとも10%、平均融解ポロゲン径の少なくとも20%、平均融解ポロゲン径の少なくとも30%、平均融解ポロゲン径の少なくとも40%、平均融解ポロゲン径の少なくとも50%、平均融解ポロゲン径の少なくとも60%、平均融解ポロゲン径の少なくとも70%、平均融解ポロゲン径の少なくとも80%、または平均融解ポロゲン径の少なくとも90%である。本実施態様の更なる別の態様において、ポロゲン足場は、融解されたポロゲンを含み、融解されたポロゲン間の接続の径が、例えば、平均融解ポロゲン径の最大10%、平均融解ポロゲン径の最大20%、平均融解ポロゲン径の最大30%、平均融解ポロゲン径の最大40%、平均融解ポロゲン径の最大50%、平均融解ポロゲン径の最大60%、平均融解ポロゲン径の最大70%、平均融解ポロゲン径の最大80%、または平均融解ポロゲン径の最大90%である。
【0105】
さらに、本実施態様の別の態様において、ポロゲン足場は、融解されたポロゲンを含み、融解されたポロゲン間の接続の径が、例えば、平均融解ポロゲン径の約10%~約90%、平均融解ポロゲン径の約15%~約90%、平均融解ポロゲン径の約20%~約90%、平均融解ポロゲン径の約25%~約90%、平均融解ポロゲン径の約30%~約90%、平均融解ポロゲン径の約35%~約90%、平均融解ポロゲン径の約40%~約90%、平均融解ポロゲン径の約10%~約80%、平均融解ポロゲン径の約15%~約80%、平均融解ポロゲン径の約20%~約80%、平均融解ポロゲン径の約25%~約80%、平均融解ポロゲン径の約30%~約80%、平均融解ポロゲン径の約35%~約80%、平均融解ポロゲン径の約40%~約80%、平均融解ポロゲン径の約10%~約70%、平均融解ポロゲン径の約15%~約70%、平均融解ポロゲン径の約20%~約70%、平均融解ポロゲン径の約25%~約70%、平均融解ポロゲン径の約30%~約70%、平均融解ポロゲン径の約35%~約70%、平均融解ポロゲン径の約40%~約70%、平均融解ポロゲン径の約10%~約60%、平均融解ポロゲン径の約15%~約60%、平均融解ポロゲン径の約20%~約60%、平均融解ポロゲン径の約25%~約60%、平均融解ポロゲン径の約30%~約60%、平均融解ポロゲン径の約35%~約60%、平均融解ポロゲン径の約40%~約60%、平均融解ポロゲン径の約10%~約50%、平均融解ポロゲン径の約15%~約50%、平均融解ポロゲン径の約20%~約50%、平均融解ポロゲン径の約25%~約50%、平均融解ポロゲン径の約30%~約50%、平均融解ポロゲン径の約10%~約40%、平均融解ポロゲン径の約15%~約40%、平均融解ポロゲン径の約20%~約40%、平均融解ポロゲン径の約25%~約40%、または平均融解ポロゲン径の約30%~約40%である。
【0106】
本明細書は、一部において、硬化させたエラストマーからポロゲン足場を除去する工程を開示する。ポロゲン足場の除去は、得られる多孔性材料が、被膜拘縮もしくは傷跡が生じ得る線維性被膜の形成を低減するか、または防ぐのに十分な時間で、相互に接続した細孔に組織を十分に成長させるのに有用な相互に接続した細孔のアレイを区画形成する、実質的に非分解性で、生体適合性のエラストマーマトリックスを含むという条件で、適切な手段によって行うことができる。このため、得られるエラストマーマトリックスは、組織成長の態様(例えば、細胞移動、細胞増殖、細胞分化、栄養物質交換、および/または老廃物の除去)をサポートする。ポロゲン除去の非限定例には、溶媒抽出、熱分解抽出、分解抽出、機械的抽出、および/またはこれらの組合せが含まれる。相互に接続した細孔のアレイを区画形成する、実質的に非分解性で、生体適合性のエラストマーマトリックスを含む、得られる多孔性材料は、本明細書に上述するとおりである。例えば、溶媒抽出等の他の溶液への暴露を必要とする抽出方法では、抽出は、ポロゲン足場の除去を促進する時間で、複数の溶液の変更を導入することができる。溶媒抽出に有用な溶媒の非限定例には、水、塩化メチレン、酢酸、ギ酸、ピリジン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、ベンゼン、および/またはこれらの混合物が含まれる。混合溶媒は、第1の溶媒と第2の溶媒の比の約1:1よりも高い比であるか、または第1の溶媒と第2の溶媒の比の約1:1よりも低い比であり得る。
【0107】
実施態様において、ポロゲン足場は、抽出によって除去され、抽出によって、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを残して、ポロゲン足場が実質的にすべて除去される。本実施態様の態様において、ポロゲン足場は、抽出によって除去され、抽出によって、例えば、ポロゲン足場の約75%、ポロゲン足場の約80%、ポロゲン足場の約85%、ポロゲン足場の約90%、ポロゲン足場の約95%が除去される。本実施態様の別の態様において、ポロゲン足場は、抽出によって除去され、抽出によって、例えば、ポロゲン足場の少なくとも75%、ポロゲン足場の少なくとも80%、ポロゲン足場の少なくとも85%、ポロゲン足場の少なくとも90%、ポロゲン足場の少なくとも95%が除去される。本実施態様の態様において、ポロゲン足場は、抽出によって除去され、抽出によって、例えば、ポロゲン足場の約75%~約90%、ポロゲン足場の約75%~約95%、ポロゲン足場の約75%~約100%、ポロゲン足場の約80%~約90%、ポロゲン足場の約80%~約95%、ポロゲン足場の約80%~約100%、ポロゲン足場の約85%~約90%、ポロゲン足場の約85%~約95%、またはポロゲン足場の約85%~約100%が除去される。態様において、ポロゲン足場は、溶媒抽出、熱分解抽出、分解抽出、機械的抽出、および/またはこれらの組合せによって除去される。
【0108】
別の実施態様において、ポロゲン足場は、溶媒抽出によって除去され、溶媒抽出によって、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを残して、ポロゲン足場が実質的にすべて除去される。本実施態様の態様において、ポロゲン足場は、溶媒抽出によって除去され、溶媒抽出によって、例えば、ポロゲン足場の約75%、ポロゲン足場の約80%、ポロゲン足場の約85%、ポロゲン足場の約90%、ポロゲン足場の約95%が除去される。本実施態様の別の態様において、ポロゲン足場は、溶媒抽出によって除去され、溶媒抽出によって、例えば、ポロゲン足場の少なくとも75%、ポロゲン足場の少なくとも80%、ポロゲン足場の少なくとも85%、ポロゲン足場の少なくとも90%、ポロゲン足場の少なくとも95%が除去される。本実施態様の態様において、ポロゲン足場は、溶媒抽出によって除去され、溶媒抽出によって、例えば、ポロゲン足場の約75%~約90%、ポロゲン足場の約75%~約95%、ポロゲン足場の約75%~約100%、ポロゲン足場の約80%~約90%、ポロゲン足場の約80%~約95%、ポロゲン足場の約80%~約100%、ポロゲン足場の約85%~約90%、ポロゲン足場の約85%~約95%、またはポロゲン足場の約85%~約100%が除去される。
【0109】
更なる別の実施態様において、ポロゲン足場は、熱抽出によって除去され、熱抽出によって、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを残して、ポロゲン足場が実質的にすべて除去される。本実施態様の態様において、ポロゲン足場は、熱抽出によって除去され、熱抽出によって、例えば、ポロゲン足場の約75%、ポロゲン足場の約80%、ポロゲン足場の約85%、ポロゲン足場の約90%、ポロゲン足場の約95%が除去される。本実施態様の別の態様において、ポロゲン足場は、熱抽出によって除去され、熱抽出によって、例えば、ポロゲン足場の少なくとも75%、ポロゲン足場の少なくとも80%、ポロゲン足場の少なくとも85%、ポロゲン足場の少なくとも90%、ポロゲン足場の少なくとも95%が除去される。本実施態様の態様において、ポロゲン足場は、熱抽出によって除去され、熱抽出によって、例えば、ポロゲン足場の約75%~約90%、ポロゲン足場の約75%~約95%、ポロゲン足場の約75%~約100%、ポロゲン足場の約80%~約90%、ポロゲン足場の約80%~約95%、ポロゲン足場の約80%~約100%、ポロゲン足場の約85%~約90%、ポロゲン足場の約85%~約95%、またはポロゲン足場の約85%~約100%が除去される。
【0110】
さらに別の実施態様において、ポロゲン足場は、分解抽出によって除去され、分解抽出によって、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを残して、ポロゲン足場が実質的にすべて除去される。本実施態様の態様において、ポロゲン足場は、分解抽出によって除去され、分解抽出によって、例えば、ポロゲン足場の約75%、ポロゲン足場の約80%、ポロゲン足場の約85%、ポロゲン足場の約90%、ポロゲン足場の約95%が除去される。本実施態様の別の態様において、ポロゲン足場は、分解抽出によって除去され、分解抽出によって、例えば、ポロゲン足場の少なくとも75%、ポロゲン足場の少なくとも80%、ポロゲン足場の少なくとも85%、ポロゲン足場の少なくとも90%、ポロゲン足場の少なくとも95%が除去される。本実施態様の態様において、ポロゲン足場は、分解抽出によって除去され、分解抽出によって、例えば、ポロゲン足場の約75%~約90%、ポロゲン足場の約75%~約95%、ポロゲン足場の約75%~約100%、ポロゲン足場の約80%~約90%、ポロゲン足場の約80%~約95%、ポロゲン足場の約80%~約100%、ポロゲン足場の約85%~約90%、ポロゲン足場の約85%~約95%、またはポロゲン足場の約85%~約100%が除去される。
【0111】
さらに別の実施態様において、ポロゲン足場は、機械的抽出によって除去され、機械的抽出によって、相互に接続した細孔のアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを残して、ポロゲン足場が実質的にすべて除去される。本実施態様の態様において、ポロゲン足場は、機械的抽出によって除去され、機械的抽出によって、例えば、ポロゲン足場の約75%、ポロゲン足場の約80%、ポロゲン足場の約85%、ポロゲン足場の約90%、ポロゲン足場の約95%が除去される。本実施態様の別の態様において、ポロゲン足場は、機械的抽出によって除去され、機械的抽出によって、例えば、ポロゲン足場の少なくとも75%、ポロゲン足場の少なくとも80%、ポロゲン足場の少なくとも85%、ポロゲン足場の少なくとも90%、ポロゲン足場の少なくとも95%が除去される。本実施態様の態様において、ポロゲン足場は、機械的抽出によって除去され、機械的抽出によって、例えば、ポロゲン足場の約75%~約90%、ポロゲン足場の約75%~約95%、ポロゲン足場の約75%~約100%、ポロゲン足場の約80%~約90%、ポロゲン足場の約80%~約95%、ポロゲン足場の約80%~約100%、ポロゲン足場の約85%~約90%、ポロゲン足場の約85%~約95%、またはポロゲン足場の約85%~約100%が除去される。
【0112】
本明細書は、一部において、本明細書に開示する多孔性材料の層を備える生体適合性の移植可能なデバイスであって、多孔性材料がデバイス表面を被覆する、デバイスを開示する。例えば、
図2、
図4~8を参照されたい。本明細書に使用する「移植可能な」という用語は、組織、筋肉、器官または動物体の他の部分に埋め込むことができるか、または付着することができる材料を指す。本明細書に使用する「動物」という用語には、ヒトを含む哺乳動物がすべて含まれる。生体適合性の移植可能なデバイスは、「医療デバイス」、「バイオ医療デバイス」、「移植可能な医療デバイス」、または「移植可能なバイオ医療デバイス」と同義であり、これには、ペースメーカー、硬膜代替物、移植可能な細動除去器、組織エキスパンダー、および傷跡が残るのを低減するかまたは防ぐ、乳房インプラント、筋肉インプラントのような補綴、再建、または審美の目的に使用される、組織インプラントが含まれるが、これらに限定されない。本明細書に開示する多孔性材料に付着することができる生体適合性の移植可能なデバイスの一例は、例えば、Schuesslerの「医療物品用の回転成形装置(Rotational Molding System for Medical Articles)」、米国特許第7,628,604号;Smithの「乳房固定安定装置および方法(Mastopexy Stabilization Apparatus and Method)」、米国特許第7,081,135号;Knisleyの「膨張型人工器官(Inflatable Prosthetic Device)」、米国特許第6,936,068号;Falconの「強化された丸みを有する人工乳房および軟部組織エキスパンダー(Reinforced Radius Mammary Prostheses and Soft Tissue Expanders)」、米国特許第6,605,116号;Schuesslerの「医療物品のための回転成形(Rotational Molding for Medical Articles)」、米国特許第6,602,452号;Murphyの「シームレス人工乳房(Seamless Breast Prosthesis)」、米国特許第6,074,421号;Knowltonの「乳房再建に使用する分節型乳房エキスパンダー(Segmental Breast Expander For Use in Breast Reconstruction)」、米国特許第6,071,309号;VanBeekの「機械的組織エキスパンダー(Mechanical Tissue Expander)」、米国特許第5,882,353号;Hunterの「軟部組織インプラントおよび傷跡防止剤(Soft Tissue Implants and Anti-Scarring Agents)」、Schuesslerの「膨張型補綴用のセルフシールシェル(Self-Sealing Shell For Inflatable Prostheses)」、米国特許出願公開第2010/0049317号;米国特許出願公開第2009/0214652号;Schragaの「検出促進剤を含む医療用インプラント、および内容物の漏出を検出する方法(Medical Implant Containing Detection Enhancing Agent and Method For Detecting Content Leakage)」、米国特許出願公開第2009/0157180号;Schuesslerの「全障壁エラストマーゲルを充填した人工乳房(All-Barrier Elastomeric Gel-Filled Breast Prosthesis)」、米国特許出願公開第2009/0030515号;Connellの「特異的な組織エキスパンダーインプラント(Differential Tissue Expander Implant)」、米国特許出願公開第2007/0233273号;Hunterの「医療用インプラントおよび傷跡防止剤(Medical implants and Anti-Scarring Agents)」、米国特許出願公開第2006/0147492号;Van Eppsの「個別の固定面を有する軟質充填補綴シェル(Soft Filled Prosthesis Shell with Discrete Fixation Surfaces)」国際公開公報第2010/019761号;Schuesslerの「膨張型補綴用のセルフシールシェル(Self Sealing Shell for Inflatable Prosthesis)」、国際公開公報第2010/022130号;ならびに、Yacoubの「補綴インプラントシェル(Prosthesis Implant Shell)」、国際出願第PCT/US09/61045号に記載され、これらの文献はそれぞれ、その全体が引用により本明細書中に組み込まれる。
【0113】
本明細書に開示する生体適合性の移植可能なデバイスは、デバイスの通常操作時に動物の軟部組織に移植することができる。かかる移植可能なデバイスは、動物体の軟部組織に完全に移植する(すなわち、すべてのデバイスは、身体内に移植される)か、または、デバイスは、動物体に部分的に移植することができる(すなわち、デバイスの一部のみが、動物体内に移植され、デバイスの残りの部分は、動物体の外部に位置する)。また、本明細書に開示する生体適合性の移植可能なデバイスは、医療デバイスの通常操作時に動物の軟部組織に固定することもできる。かかるデバイスは、動物体の皮膚に一般に固定する。
【0114】
本明細書は、一部において、生体適合性の移植可能なデバイスの表面を被覆する多孔性材料を開示する。本明細書に開示する多孔性材料はいずれも、生体適合性の移植可能なデバイスの表面を被覆する多孔性材料として使用することができる。一般に、生体適合性の移植可能なデバイスの表面は、組織成長を促進し、および/または、被膜拘縮もしくは傷跡が生じ得る線維性被膜の形成を低減するか、または防ぐ方法で、動物組織の周囲に暴露させる。
【0115】
したがって、実施態様において、多孔性材料は、生体適合性の移植可能なデバイスの全表面を被覆する。別の実施態様において、多孔性材料は、生体適合性の移植可能なデバイスの表面の一部を被覆する。本実施態様の態様において、多孔性材料は、生体適合性の移植可能なデバイスの前面、または生体適合性の移植可能なデバイスの背面に被覆する。別の態様において、多孔性材料は、例えば、生体適合性の移植可能なデバイスの全表面、生体適合性の移植可能なデバイスの前面、または生体適合性の移植可能なデバイスの背面の、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、もしくは約90%にのみ被覆する。更なる別の態様において、多孔性材料は、例えば、生体適合性の移植可能なデバイスの全表面、生体適合性の移植可能なデバイスの前面、または生体適合性の移植可能なデバイスの背面の、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、もしくは少なくとも90%にのみ被覆する。更なる別の態様において、多孔性材料は、例えば、生体適合性の移植可能なデバイスの全表面、生体適合性の移植可能なデバイスの前面、または生体適合性の移植可能なデバイスの背面の、最大20%、最大30%、最大40%、最大50%、最大60%、最大70%、最大80%、もしくは最大90%にのみ被覆する。更なる態様において、多孔性材料は、例えば、生体適合性の移植可能なデバイスの全表面、生体適合性の移植可能なデバイスの前面、または生体適合性の移植可能なデバイスの背面の、約20%~約100%、約30%~約100%、約40%~約100%、約50%~約100%、約60%~約100%、約70%~約100%、約80%~約100%、もしくは約90%~約100%にのみ被覆する。
【0116】
生体適合性の移植可能なデバイスを被覆する多孔性材料の層は、材料の厚さが、被膜拘縮もしくは傷跡が生じ得る線維性被膜の形成を低減するか、または防ぐのに十分な方法で、エラストマーマトリックスの相互に接続したアレイ内の組織を成長させる条件で、任意の厚さであり得る。
【0117】
したがって、実施態様において、生体適合性の移植可能なデバイスを被覆する多孔性材料の層は、被膜拘縮もしくは傷跡が生じ得る線維性被膜の形成を低減するか、または防ぐのに十分な方法で、エラストマーマトリックスの相互に接続したアレイ内の組織を成長させる、厚さである。本実施態様の態様において、生体適合性の移植可能なデバイスを被覆する多孔性材料の層は、例えば、約100μm、約200μm、約300μm、約400μm、約500μm、約600μm、約700μm、約800μm、約900μm、約1mm、約2mm、約3mm、約4mm、約5mm、約6mm、約7mm、約8mm、約9mm、または約10mmの厚さを有する。本実施態様の別の態様において、生体適合性の移植可能なデバイスを被覆する多孔性材料の層は、例えば、少なくとも100μm、少なくとも200μm、少なくとも300μm、少なくとも400μm、少なくとも500μm、少なくとも600μm、少なくとも700μm、少なくとも800μm、少なくとも900μm、少なくとも1mm、少なくとも2mm、少なくとも3mm、少なくとも4mm、少なくとも5mm、少なくとも6mm、少なくとも7mm、少なくとも8mm、少なくとも9mm、または少なくとも10mmの厚さを有する。本実施態様の更なる別の態様において、生体適合性の移植可能なデバイスを被覆する多孔性材料の層は、例えば、最大100μm、最大200μm、最大300μm、最大400μm、最大500μm、最大600μm、最大700μm、最大800μm、最大900μm、最大1mm、最大2mm、最大3mm、最大4mm、最大5mm、最大6mm、最大7mm、最大8mm、最大9mm、または最大10mmの厚さを有する。さらに、本実施態様の別の態様において、生体適合性の移植可能なデバイスを被覆する多孔性材料の層は、例えば、約100μm~約500μm、約100μm~約1mm、約100μm~約5mm、約500μm~約1mm、約500μm~約2mm、約500μm~約3mm、約500μm~約4mm、約500μm~約5mm、約1mm~約2mm、約1mm~約3mm、約1mm~約4mm、約1mm~約5mm、または約1.5mm~約3.5mmの厚さを有する。
【0118】
本明細書は、一部において、多孔性材料を含む生体適合性の移植可能なデバイスを製造する方法を開示する。態様において、生体適合性の移植可能なデバイスを製造する方法は、生体適合性の移植可能なデバイスの表面に多孔性材料を付着する工程を含む。別の態様において、生体適合性の移植可能なデバイスを製造する方法は、a)多孔性材料を受け入れるための生体適合性の移植可能なデバイスの表面を調製する工程と、b)調製したデバイスの表面に多孔性材料を付着する工程とを含む。本明細書に開示する多孔性材料は、生体適合性の移植可能なデバイスに付着する多孔性材料として使用することができる。
【0119】
更なる別の態様において、生体適合性の移植可能なデバイスを製造する方法は、次に示す工程を含む:a)エラストマーベースで心棒をコーティングする工程と、b)エラストマーベースを硬化させて、基層を形成する工程と、c)硬化させた基層をエラストマーベースでコーティングする工程と、d)エラストマーベースをポロゲンでコーティングして、エラストマーをコーティングした混合物を形成する工程と、e)エラストマーをコーティングした混合物を処理して、融解されたポロゲンを含むポロゲン足場を形成し、かつエラストマーを硬化させる工程と、f)ポロゲン足場を除去する工程であって、ポロゲン足場の除去によって、相互に接続した細孔のアレイを区画形成する非分解性で、生体適合性のエラストマーマトリックスを含む多孔性材料が得られる、前記工程。この方法において、工程(c)および(d)は、所望の厚さの材料層が達成されるまで、複数回繰り返すことができる。
【0120】
本明細書は、一部において、多孔性材料を受け入れるための生体適合性の移植可能なデバイスの表面を調製する工程を開示する。多孔性材料を受け入れるための生体適合性の移植可能なデバイスの表面を調製する工程は、多孔性材料または生体適合性の移植可能なデバイスの所望の特性を損なわない技術によって、行うことができる。非限定例として、生体適合性の移植可能なデバイスの表面は、接着物質を塗布することによって調製することができる。接着物質の非限定例には、例えば、RTVシリコーン、HTVシリコーン等のシリコーン接着剤が含まれる。接着物質は、例えば、キャストコーティング、スプレー塗装、浸漬塗装、カーテン塗装、ナイフ塗布、刷毛塗り、蒸着コーティング等の当業者に公知の方法を使用して、生体適合性の移植可能なデバイス、多孔性材料、またはこれらの両方の表面に塗布される。
【0121】
本明細書は、一部において、生体適合性の移植可能なデバイスの表面に多孔性材料を付着する工程を開示する。多孔性材料は、デバイスの全表面、またはデバイスの表面の一部のみに付着することができる。非限定例として、多孔性材料は、デバイスの前面またはデバイスの背面にのみ付着される。生体適合性の移植可能なデバイスの表面への多孔性材料の付着は、多孔性材料または生体適合性の移植可能なデバイスの所望の特性を損なわない技術によって、行うことができる。
【0122】
例えば、付着は、例えば、固着、接着、溶融等の当該技術分野で公知の方法を用いて、生体適合性の移植可能なデバイスの表面に、既に形成された多孔性材料を付着することによって生じる場合がある。例えば、シリコーンの分散物は、生体適合性の移植可能なデバイス、多孔性材料シートまたはこれらの両方の表面に接着剤として塗布され、次いで、デバイス表面にしわが存在しないように、接着剤によってデバイス表面に多孔性材料を付着させる方法で、2つの材料が共に配置される。シリコーン接着剤を硬化させ、次いで、余剰の材料を切断し、デバイス周囲に均一な継ぎ目を形成する。この工程によって、本明細書に開示する多孔性材料を含む生体適合性の移植可能なデバイスが得られる。実施例2および4は、この型の付着の方法を示す。
【0123】
または、付着は、例えば、キャストコーティング、スプレー塗装、浸漬塗装、カーテン塗装、ナイフ塗布、刷毛塗り、蒸着コーティング等の当該技術分野で公知の方法を用いて、生体適合性の移植可能なデバイスの表面に多孔性材料を直接形成することによって生じる場合がある。例えば、エラストマーベースを心棒に塗布し、硬化させて、硬化させたエラストマーベースの基層を形成する。次いで、基層を、最初にエラストマーベースでコーティングし、その後、ポロゲンでコーティングして、エラストマーをコーティングしたポロゲン混合物を作製する。その後、この混合物を、本明細書に開示するように、処理して、ポロゲン足場を形成し、エラストマーを硬化させる。次いで、デバイス表面に多孔性材料の層を残して、ポロゲン足場を除去する。多孔性材料層の厚さは、付加的なエラストマーベースおよびポロゲンのコーティングの繰り返しによって増加させることができる。実施例5~8は、この型の付着の方法を示す。
【0124】
付着方法にかかわらず、多孔性材料は、生体適合性の移植可能なデバイスの全表面、または生体適合性の移植可能なデバイスの表面の一部のみに塗布することができる。非限定例として、多孔性材料は、生体適合性の移植可能なデバイスの前面、または生体適合性の移植可能なデバイスの背面にのみ塗布される。
【0125】
したがって、実施態様において、多孔性材料は、生体適合性の移植可能なデバイスの表面への多孔性材料の接着によって、生体適合性の移植可能なデバイスの表面に付着される。本実施態様の態様において、多孔性材料は、生体適合性の移植可能なデバイスの表面への多孔性材料の固着、接着、または溶融によって、生体適合性の移植可能なデバイスの表面に付着される。
【0126】
別の実施態様において、多孔性材料は、生体適合性の移植可能なデバイスの表面に多孔性材料を形成することによって、生体適合性の移植可能なデバイスの表面に付着される。本実施態様の態様において、多孔性材料は、キャストコーティング、スプレー塗装、浸漬塗装、カーテン塗装、ナイフ塗布、刷毛塗り、蒸着コーティングによって、生体適合性の移植可能なデバイスの表面に付着される。
【0127】
本実施態様の別の態様において、生体適合性の移植可能なデバイスの表面で多孔性材料を形成する工程は、硬化させたエラストマー基層をエラストマーベースでコーティングし、次いで、未硬化のエラストマーベースをポロゲンでコーティングして、エラストマーをコーティングしたポロゲン混合物を形成する工程を含む。本実施態様の別の態様において、硬化させたエラストマー基層をエラストマーベースでコーティングし、次いで、未硬化のエラストマーベースをポロゲンでコーティングして、エラストマーをコーティングしたポロゲン混合物を形成する工程は、例えば、混合物が処理される前に、少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、または少なくとも10回繰り返すことができる。
【0128】
別の実施態様において、多孔性材料は、生体適合性の移植可能なデバイスの全表面に塗布される。別の実施態様において、多孔性材料は、生体適合性の移植可能なデバイスの表面の一部に塗布される。本実施態様の態様において、多孔性材料は、生体適合性の移植可能なデバイスの前面、または生体適合性の移植可能なデバイスの背面に塗布される。別の態様において、多孔性材料は、例えば、生体適合性の移植可能なデバイスの全表面、生体適合性の移植可能なデバイスの前面、または生体適合性の移植可能なデバイスの背面の、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、または約90%にのみ塗布される。更なる別の態様において、多孔性材料は、例えば、生体適合性の移植可能なデバイスの全表面、生体適合性の移植可能なデバイスの前面、または生体適合性の移植可能なデバイスの背面の、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%にのみ塗布される。さらに別の態様において、多孔性材料は、例えば、生体適合性の移植可能なデバイスの全表面、生体適合性の移植可能なデバイスの前面、または生体適合性の移植可能なデバイスの背面の、最大20%、最大30%、最大40%、最大50%、最大60%、最大70%、最大80%、または最大90%にのみ塗布される。更なる態様において、多孔性材料は、例えば、生体適合性の移植可能なデバイスの全表面、生体適合性の移植可能なデバイスの前面、または生体適合性の移植可能なデバイスの背面の、約20%~約100%、約30%~約100%、約40%~約100%、約50%~約100%、約60%~約100%、約70%~約100%、約80%~約100%、または約90%~約100%にのみ塗布される。
【0129】
生体適合性の移植可能なデバイスに塗布される多孔性材料の層は、材料の厚さが、被膜拘縮もしくは傷跡が生じ得る線維性被膜の形成を低減するか、または防ぐのに十分な方法で、エラストマーマトリックスの相互に接続したアレイ内の組織を成長させる条件で、任意の厚さであり得る。
【0130】
したがって、実施態様において、生体適合性の移植可能なデバイスに塗布される多孔性材料の層は、被膜拘縮もしくは傷跡が生じ得る線維性被膜の形成を低減するか、または防ぐのに十分な方法で、エラストマーマトリックスの相互に接続したアレイ内の組織を成長させる、厚さである。本実施態様の態様において、生体適合性の移植可能なデバイスに塗布される多孔性材料の層は、例えば、約100μm、約200μm、約300μm、約400μm、約500μm、約600μm、約700μm、約800μm、約900μm、約1mm、約2mm、約3mm、約4mm、約5mm、約6mm、約7mm、約8mm、約9mm、または約10mmの厚さを有する。本実施態様の別の態様において、生体適合性の移植可能なデバイスに塗布される多孔性材料の層は、例えば、少なくとも100μm、少なくとも200μm、少なくとも300μm、少なくとも400μm、少なくとも500μm、少なくとも600μm、少なくとも700μm、少なくとも800μm、少なくとも900μm、少なくとも1mm、少なくとも2mm、少なくとも3mm、少なくとも4mm、少なくとも5mm、少なくとも6mm、少なくとも7mm、少なくとも8mm、少なくとも9mm、または少なくとも10mmの厚さを有する。本実施態様の更なる別の態様において、生体適合性の移植可能なデバイスに塗布される多孔性材料の層は、例えば、最大100μm、最大200μm、最大300μm、最大400μm、最大500μm、最大600μm、最大700μm、最大800μm、最大900μm、最大1mm、最大2mm、最大3mm、最大4mm、最大5mm、最大6mm、最大7mm、最大8mm、最大9mm、または最大10mmの厚さを有する。さらに、本実施態様の別の態様において、生体適合性の移植可能なデバイスに塗布される多孔性材料の層は、例えば、約100μm~約500μm、約100μm~約1mm、約100μm~約5mm、約500μm~約1mm、約500μm~約2mm、約500μm~約3mm、約500μm~約4mm、約500μm~約5mm、約1mm~約2mm、約1mm~約3mm、約1mm~約4mm、約1mm~約5mm、または約1.5mm~約3.5mmの厚さを有する。
【0131】
また、本明細書は、本明細書に開示する多孔性材料を被覆した補綴を患者に移植する段階を含む、補綴を移植する方法であって、移植後いつでも、被膜が形成されている場合、被膜の厚さは75μm以下であり、被膜は、補綴表面に類似しない50%以上の繊維を含む繊維組織崩壊(fiber disorganization)を有し、100μm以上の補綴の生体材料への組織成長を有し、40%未満のコラーゲン含量であり、少なくとも8Nのピーク力で組織に付着し、および/または、20mmHg/mL未満の剛性を有する、方法も開示する。
【0132】
さらに、本明細書は、本明細書に開示する多孔性材料を被覆した補綴を患者に移植する段階を含む、補綴を移植する方法であって、移植後いつでも、被膜が形成されている場合、被膜の厚さは50μm以下であり、被膜は、補綴表面に類似する60%以上の繊維を含む繊維組織崩壊を有し、125μm以上の補綴の生体材料への組織成長を有し、30%未満のコラーゲン含量であり、少なくとも9Nのピーク力で組織に付着し、および/または、15mmHg/mL未満の剛性を有する、方法も開示する。
【0133】
さらにまた、本明細書は、本明細書に開示する多孔性材料を被覆した補綴を患者に移植する段階を含む、補綴を移植する方法であって、移植後いつでも、被膜が形成されている場合、被膜の厚さは25μm以下であり、被膜は、補綴表面に類似しない70%以上の繊維を含む繊維組織崩壊を有し、150μm以上の補綴の生体材料への組織成長を有し、20%未満のコラーゲン含量であり、少なくとも10Nのピーク力で組織に付着し、および/または、10mmHg/mL未満の剛性を有する、方法も開示する。
【0134】
そして、本明細書は、本明細書に開示する多孔性材料を被覆した補綴を患者に移植する段階を含む、補綴を移植する方法であって、移植後いつでも、被膜が形成されている場合、被膜の厚さは、約5μm~約75μmであり、被膜は、補綴表面に類似しない約50%~約90%の繊維を含む繊維組織崩壊を有し、約100μm~約300μmの補綴の生体材料への組織成長を有し、約5%~約40%のコラーゲン含量であり、約8N~約11Nのピーク力で組織に付着し、および/または、約5mmHg/mL~約20mmHg/mLの剛性を有する、方法も開示する。
【実施例】
【0135】
次の実施例は、今般検討された代表的な実施態様を示すが、開示する多孔性材料、かかる多孔性材料を形成する方法、かかる多孔性材料を含む生体適合性の移植可能なデバイス、およびかかる生体適合性の移植可能なデバイスを製造する方法を限定するように、解釈されない。
【0136】
実施例1
多孔性材料シートを製造する方法
本実施例は、本明細書に開示する多孔性材料のシートを製造する方法を示す。
【0137】
ポロゲンをエラストマーベースでコーティングするために、PLGA(50/50)ポロゲン(500μm径)の適量を、キシレン中35%(w/w)のシリコーン(MED6400;ヌシルテクノロジー(NuSil Technology)社製、カーピンテリア、カリフォルニア州)の適量と混合する。この混合物を、43μmのふるいによってろ過して、余剰のシリコーンを除去し、非粘着表面でコーティングした約20cm×20cm平方の金型に注入する。
【0138】
エラストマーをコーティングしたポロゲン混合物を処理し、ポロゲンを融解させてポロゲン足場を形成し、かつ非分解性で、生体適合性のエラストマーを硬化させるために、PLGA/シリコーン混合物をオーブンに入れ、75℃の温度で45分間、加熱し、その後、126℃で75分間、加熱する。硬化後、硬化させたエラストマーをコーティングしたポロゲン足場のシートを除去する。
【0139】
硬化させたエラストマーからポロゲン足場を除去するために、硬化させたエラストマー/ポロゲン足場を、塩化メチレンに浸漬する。30分後、塩化メチレンを除去し、新しい塩化メチレンを加える。30分後、塩化メチレンを除去し、得られた30cm×30cm×1.5mmの多孔性材料のシートを、周囲温度で風乾させる。本工程によって、本明細書に開示する多孔性材料のシートを得る。
【0140】
多孔性材料のシートからの試料を、microCT分析および/または走査型電子顕微鏡(SEM)によって特性評価することができる。
【0141】
実施例2
多孔性材料を含む生体適合性の移植可能なデバイスを製造する方法
本実施例は、本明細書に開示する多孔性材料を含む、生体適合性の移植可能なデバイスを製造する方法を示す。
【0142】
実施例1に記載するとおりに、細孔の相互に接続したアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料のシートを得る。
【0143】
多孔性材料を生体適合性の移植可能なデバイスに付着するために、第1の多孔性材料シートをシリコーンの薄層でコーティングし、次いで、接着面を上にして、金型の底部のキャビティに設置する。その後、生体適合性の移植可能なデバイスを、接着剤でコーティングした材料の表面上に設置する。次いで、第2の多孔性材料シートを、シリコーンの薄層でコーティングし、生体適合性の移植可能なデバイスのコーティングしていない表面に適用する。その後、モールドキャビティの上部を、適所に固定して、2つの材料シートを共に押圧し、均一の界面を形成する。被覆されたデバイスをオーブンに入れて、126℃の温度で75分間、加熱することによって、シリコーン接着剤を硬化させる。硬化後、余剰の材料を除去して、生体適合性の移植可能なデバイスの周囲に均一の継ぎ目を形成する。本工程によって、本明細書に開示する生体適合性の移植可能なデバイス10を得る(
図2)。
図2Aは、多孔性材料10を被覆した移植可能なデバイスの上面図である。
図2Bは、多孔性材料10を被覆した移植可能なデバイスの側面図であり、移植可能なデバイス10の底部12、および移植可能なデバイス10の上部14を示す。
図2Cおよび2Dは、多孔性材料10を被覆した移植可能なデバイスの断面図であり、移植可能なデバイス16、内面22と外面24とを含む多孔性材料層20であって、内面22が、移植可能なデバイスの表面18に付着する、多孔性材料層20を示す。生体適合性の移植可能なデバイスのデバイス表面における多孔性材料の存在により、被膜拘縮もしくは傷跡が生じ得る線維性被膜の形成を低減するか、または防ぐ。
【0144】
または、生体適合性の移植可能なデバイスを心棒に存在させたままで、多孔性材料を生体適合性の移植可能なデバイスに積層することができる。本工程において、第1の多孔性材料シートを、シリコーンの薄層で被覆し、次いで、表面にしわが存在しないように、デバイスを心棒に覆う。シリコーン接着剤を硬化させた後、上述のとおりに、シリコーンの別のコーティングを、生体適合性の移植可能なデバイスの被覆していない表面に塗布し、第2の多孔性材料を伸ばして、デバイスの背部を被覆する。上述のとおりに、シリコーン接着剤を硬化させた後、生体適合性の移植可能なデバイスを心棒から取り除き、余剰の多孔性材料を除去して、デバイスの周囲に均一の継ぎ目を形成する。本工程によって、本明細書に開示する多孔性材料を含む生体適合性の移植可能なデバイスを得る。例えば、
図2を参照されたい。
【0145】
実施例3
多孔性材料のシェルを製造する方法
本実施例は、本明細書に開示する多孔性材料のシェルを製造する方法を示す。
【0146】
ポロゲンを非分解性で、生体適合性のエラストマーでコーティングするために、PLGA(50/50)ポロゲン(500μm径)の適量を、キシレン中35%(w/w)のシリコーン(MED6400;ヌシルテクノロジー(NuSil Technology)社製、カーピンテリア、カリフォルニア州)の適量と混合する。この混合物を、43μmのふるいによってろ過して、余剰のシリコーンを除去する。
【0147】
ろ過した、エラストマーをコーティングしたポロゲン混合物を、乳房インプラントシェルの形状の金型に注入し、金型を機械的に撹拌して、混合物をしっかりと充填する。シェルの厚さを、シェル金型のデザインに基づいて制御する。
【0148】
エラストマーをコーティングしたポロゲン混合物を処理し、ポロゲンを融解させてポロゲン足場を形成し、かつ非分解性で、生体適合性のエラストマーを硬化させるために、PLGA/シリコーン混合物をオーブンに入れ、75℃の温度で45分間、加熱し、その後、126℃で75分間、加熱する。硬化後、シェル金型を取り外し、硬化させた、エラストマーをコーティングしたポロゲン足場を除去する。
【0149】
硬化させたエラストマーからポロゲン足場を除去するために、硬化させたエラストマー/ポロゲン足場を、塩化メチレンに浸漬する。30分後、塩化メチレンを除去し、新しい塩化メチレンを加える。30分後、塩化メチレンを除去し、得られた30cm×30cm×1.5mmの多孔性材料のシートを、約18℃~約22℃の周囲温度で風乾させる。本工程によって、本明細書に開示する多孔性材料のシェル10を得る(
図3)。
図3Aは、材料のシェル10の上面図である。
図2Bは、材料のシェル10の側面図であり、材料のシェル10の底部12、および材料のシェル10の上部14を示す。
図3Cは、材料のシェル10の下面図であり、後に、生体適合性の移植可能なデバイスを挿入することができる孔16を示す。
図3Dは、材料のシェル10の断面図を示し、孔16、材料のシェル10の内面20、および材料のシェル10の外面22を示す。
【0150】
多孔性材料のシートからの試料を、microCT分析および/または走査型電子顕微鏡(SEM)によって特性評価することができる。
【0151】
実施例4
多孔性材料を含む生体適合性の移植可能なデバイスを製造する方法
本実施例は、本明細書に開示する多孔性材料を含む、生体適合性の移植可能なデバイスを製造する方法を示す。
【0152】
実施例3に記載するとおりに、細孔の相互に接続したアレイを区画形成するエラストマーマトリックスを含む多孔性材料のシェルを得る。
【0153】
生体適合性の移植可能なデバイスに多孔性材料のシェルを付着するために、デバイスの表面をシリコーンの薄層でコーティングする。次いで、材料のシェルを、材料形態においてしわが存在しないように、接着剤をコーティングしたデバイスに載置する。被覆されたデバイスをオーブンに入れて、約126℃の温度で約75分間、加熱することによって、シリコーン接着剤を硬化させる。硬化後、余剰の材料を除去して、生体適合性の移植可能なデバイスの周囲に均一の継ぎ目を形成する。本工程によって、本明細書に開示する生体適合性の移植可能なデバイス10を得る(
図4)。
図4Aは、多孔性材料10を被覆した移植可能なデバイスの上面図である。
図4Bは、多孔性材料10を被覆した移植可能なデバイスの側面図であり、移植可能なデバイス10の底部12、および移植可能なデバイス10の上部14を示す。
図4Cは、多孔性材料10を被覆した移植可能なデバイスの下面図であり、孔16および移植可能なデバイス18を示す。
図4Dは、多孔性材料10を被覆した移植可能なデバイスの断面図であり、移植可能なデバイス18、内面22と外面24とを含む多孔性材料層20であって、内面22が、移植可能なデバイスの表面19に付着する、多孔性材料層20を示す。生体適合性の移植可能なデバイスのデバイス表面における多孔性材料の存在により、被膜拘縮もしくは傷跡が生じ得る線維性被膜の形成を低減するか、または防ぐ。
【0154】
実施例5
多孔性材料を含むインプラントを製造する方法
本実施例は、約0.5mm~約1.5mmの厚さの本明細書に開示する多孔性材料を含むインプラントを製造する方法を示す。
【0155】
多孔性材料を受け入れるためのデバイスの表面を調製するために、キシレン中約35%(w/w)のシリコーン(MED4810;ヌシルテクノロジー(NuSil Technology)社製、カーピンテリア、カリフォルニア州)の基層を、心棒(LR‐10)にコーティングし、オーブンに入れ、126℃の温度で75分間、硬化させた。
【0156】
基層を、非分解性で、生体適合性のエラストマーとポロゲンとを含む混合物でコーティングするために、硬化させた基層を、最初に、キシレン中35%(w/w)のシリコーン(MED4810;ヌシルテクノロジー(NuSil Technology)社製、カーピンテリア、カリフォルニア州)に浸漬し、次いで、約3分間、風乾させ、キシレンを蒸発させた。キシレン蒸発後、未硬化のシリコーンを有する心棒を、最大量のポロゲンが未硬化のシリコーンに吸収されるまで、PLGAポロゲンに浸漬した。未硬化のシリコーン/PGLAコーティングを有する心棒を、約60分間、風乾させ、キシレンを蒸発させた。
【0157】
エラストマーをコーティングしたポロゲン混合物を処理し、ポロゲンを融解させてポロゲン足場を形成し、かつ非分解性で、生体適合性のエラストマーを硬化させるために、未硬化のシリコーン/PLGA混合物でコーティングした心棒を、オーブンに入れ、75℃の温度で30分間、硬化させ、その後、126℃で75分間、硬化させた。
【0158】
ポロゲン足場を除去するために、硬化させたシリコーン/PLGA混合物を、塩化メチレンに浸漬した。30分後、塩化メチレンを除去し、新しい塩化メチレンを加えた。30分後、塩化メチレンを再度除去し、新しい塩化メチレンを加えた。30分後、塩化メチレンを除去し、得られた約0.5mm~約1.5mmの多孔性材料を含むインプラントを、約18℃~約22℃の周囲温度で風乾させた。本工程によって、本明細書に開示する多孔性材料を含む、生体適合性の移植可能なデバイスを得る。例えば、
図2および4を参照されたい。
【0159】
インプラントからの試料を、SEM分析によって特性評価した。この分析は、多孔性材料が、約1.4mm~約1.6mmの厚さであることを示した。
【0160】
基層を被覆する多孔性材料の厚さを増加させるために、複数回の浸漬を行って、未硬化のシリコーン/ポロゲン混合物の多層でコーティングした心棒を作製した。所望厚さが達成されるまで、浸漬を繰り返した。下記の実施例4~6は、この複数回の浸漬法の具体例を説明する。
【0161】
実施例6
多孔性材料を含むインプラントを製造する方法
本実施例は、約1mm~約2.5mmの厚さの本明細書に開示する多孔性材料を含む、インプラントを製造する方法を示す。
【0162】
実施例3に記載するとおりに、エラストマーの基層を備える心棒を調製した。
【0163】
基層を、非分解性で、生体適合性のエラストマーとポロゲンとを含む混合物でコーティングするために、硬化させた基層を、最初に、キシレン中35%(w/w)のシリコーン(MED4810;ヌシルテクノロジー(NuSil Technology)社製、カーピンテリア、カリフォルニア州)に浸漬し、次いで、約3分間、風乾させ、キシレンを蒸発させた。キシレン蒸発後、未硬化のシリコーンを有する心棒を、最大量のポロゲンが未硬化のシリコーンに吸収されるまで、PLGAポロゲンに浸漬した。未硬化のシリコーン/PGLAコーティングを有する心棒を、約60分間、風乾させ、キシレンを蒸発させた。キシレン蒸発後、未硬化のシリコーン/PLGAポロゲン混合物でコーティングした心棒を、最初に、キシレン中35%(w/w)のシリコーンに浸漬し、風乾させ、キシレンを蒸発させた(約3分間)。次いで、この心棒を、最大量のポロゲンが未硬化のシリコーンに吸収されるまで、PLGAポロゲンに浸漬した。未硬化のシリコーン/PGLAポロゲン混合物の第2のコーティングを有する心棒を、約60分間、風乾させ、キシレンを蒸発させた。
【0164】
実施例3に記載するとおりに、未硬化のシリコーン/PLGAポロゲン混合物の2つのコーティングを備える心棒を処理した。
【0165】
ポロゲン足場を除去するために、硬化させたシリコーン/PLGA混合物を、塩化メチレンに浸漬した。30分後、塩化メチレンを除去し、新しい塩化メチレンを加えた。30分後、塩化メチレンを再度除去し、新しい塩化メチレンを加えた。30分後、塩化メチレンを除去し、得られた約1mm~約2.5mmの多孔性材料を含むインプラントを、約18℃~約22℃の周囲温度で風乾させた。本工程によって、本明細書に開示する多孔性材料を含む、生体適合性の移植可能なデバイスを得る。例えば、
図2および4を参照されたい。
【0166】
インプラントからの試料を、SEM分析およびmicroCT分析によって特性評価した。この分析は、多孔性材料が、約2mm~約2.5mmの厚さ、約88%の孔隙率であることを示した。
【0167】
また、PLGAポロゲンの代わりに、PCLポロゲンを使用して、同様の特性の多孔性材料を製造した。
【0168】
実施例7
多孔性材料を含むインプラントを製造する方法
本実施例は、約2.5mm~約4.5mmの厚さの本明細書に開示する多孔性材料を含む、インプラントを製造する方法を示す。
【0169】
実施例3に記載するとおりに、エラストマーの基層を備える心棒を調製した。
【0170】
基層を、非分解性で、生体適合性のエラストマーとポロゲンとを含む混合物でコーティングするために、硬化させた基層を、最初に、キシレン中35%(w/w)のシリコーン(MED4810;ヌシルテクノロジー(NuSil Technology)社製、カーピンテリア、カリフォルニア州)に浸漬し、次いで、約3分間、風乾させ、キシレンを蒸発させた。キシレン蒸発後、未硬化のシリコーンを有する心棒を、最大量のポロゲンが未硬化のシリコーンに吸収されるまで、PLGAポロゲンに浸漬した。未硬化のシリコーン/PGLAコーティングを有する心棒を、約60分間、風乾させ、キシレンを蒸発させた。キシレン蒸発後、未硬化のシリコーン/PLGAポロゲン混合物でコーティングした心棒を、最初に、キシレン中35%(w/w)のシリコーンに浸漬し、風乾させ、キシレンを蒸発させた(約3分間)。次いで、この心棒を、最大量のポロゲンが未硬化のシリコーンに吸収されるまで、PLGAポロゲンに浸漬した。未硬化のシリコーン/PGLAの第2のコーティングを有する心棒を、約60分間、風乾させ、キシレンを蒸発させた。キシレン蒸発後、未硬化のシリコーン/PLGAポロゲン混合物の2つの層でコーティングした心棒を、最初に、キシレン中32%(w/w)のシリコーンに浸漬し、風乾させ、キシレンを蒸発させた(約3分間)。次いで、この心棒を、最大量のポロゲンが未硬化のシリコーンに吸収されるまで、PLGAポロゲンに浸漬した。未硬化のシリコーン/PGLAポロゲン混合物の第3のコーティングを有する心棒を、約60分間、風乾させ、キシレンを蒸発させた。
【0171】
実施例3に記載するとおりに、未硬化のシリコーン/PLGAポロゲンの2つのコーティングを備える心棒を処理した。
【0172】
ポロゲン足場を除去するために、硬化させたシリコーン/PLGA混合物を、塩化メチレンに浸漬した。30分後、塩化メチレンを除去し、新しい塩化メチレンを加えた。30分後、塩化メチレンを再度除去し、新しい塩化メチレンを加えた。30分後、塩化メチレンを除去し、得られた約2.5mm~約4.5mmの多孔性材料を含むインプラントを、約18℃~約22℃の周囲温度で風乾させた。本工程によって、本明細書に開示する多孔性材料を含む、生体適合性の移植可能なデバイスを得る。例えば、
図2および4を参照されたい。
【0173】
インプラントからの試料を、SEMおよびmicroCT分析によって特性評価した。この分析は、多孔性材料が、約3.5mm~約4.5mmの厚さであることを示した。
【0174】
実施例8
多孔性材料を含むインプラントを製造する方法
本実施例は、約3.5mm~約5.5mmの厚さの本明細書に開示する多孔性材料を含む、インプラントを製造する方法を示す。
【0175】
実施例3に記載するとおりに、エラストマーの基層を備える心棒を調製した。
【0176】
基層を、非分解性で、生体適合性のエラストマーとポロゲンとを含む混合物でコーティングするために、硬化させた基層を、最初に、キシレン中35%(w/w)のシリコーン(MED4810;ヌシルテクノロジー(NuSil Technology)社製、カーピンテリア、カリフォルニア州)に浸漬し、次いで、約3分間、風乾させ、キシレンを蒸発させた。キシレン蒸発後、未硬化のシリコーンを有する心棒を、最大量のポロゲンが未硬化のシリコーンに吸収されるまで、PLGAポロゲンに浸漬した。未硬化のシリコーン/PGLAコーティングを有する心棒を、約60分間、風乾させ、キシレンを蒸発させた。キシレン蒸発後、未硬化のシリコーン/PLGAポロゲン混合物でコーティングした心棒を、最初に、キシレン中35%(w/w)のシリコーンに浸漬し、風乾させ、キシレンを蒸発させた(約3分間)。次いで、この心棒を、最大量のポロゲンが未硬化のシリコーンに吸収されるまで、PLGAポロゲンに浸漬した。未硬化のシリコーン/PGLAの第2のコーティングを有する心棒を、約60分間、風乾させ、キシレンを蒸発させた。キシレン蒸発後、未硬化のシリコーン/PLGAポロゲン混合物の2つの層でコーティングした心棒を、最初に、キシレン中32%(w/w)のシリコーンに浸漬し、風乾させ、キシレンを蒸発させた(約3分間)。次いで、この心棒を、最大量のポロゲンが未硬化のシリコーンに吸収されるまで、PLGAポロゲンに浸漬した。未硬化のシリコーン/PGLAポロゲン混合物の第3のコーティングを有する心棒を、約60分間、風乾させ、キシレンを蒸発させた。キシレン蒸発後、未硬化のシリコーン/PLGAポロゲン混合物の3つの層でコーティングした心棒を、最初に、キシレン中28%(w/w)のシリコーンに浸漬し、風乾させ、キシレンを蒸発させた(約3分間)。次いで、この心棒を、最大量のポロゲンが未硬化のシリコーンに吸収されるまで、PLGAポロゲンに浸漬した。未硬化のシリコーン/PGLAポロゲン混合物の第4のコーティングを有する心棒を、約60分間、風乾させ、キシレンを蒸発させた。
【0177】
実施例3に記載するとおりに、未硬化のシリコーン/PLGAポロゲンの2つのコーティングを備える心棒を処理した。
【0178】
ポロゲン足場を除去するために、硬化させたシリコーン/PLGA混合物を、塩化メチレンに浸漬した。30分後、塩化メチレンを除去し、新しい塩化メチレンを加えた。30分後、塩化メチレンを再度除去し、新しい塩化メチレンを加えた。30分後、塩化メチレンを除去し、得られた約3.5mm~約5.5mmの多孔性材料を含むインプラントを、約18℃~約22℃の周囲温度で風乾させた。本工程によって、本明細書に開示する多孔性材料を含む、生体適合性の移植可能なデバイスを得る。例えば、
図2および4を参照されたい。
【0179】
インプラントからの試料を、microCT分析によって特性評価した。この分析は、多孔性材料が、約4.5mm~約5.5mmの厚さであることを示した。
【0180】
実施例9
被膜の厚さおよび崩壊
形成された被膜の厚さおよび崩壊を測定するために、種々の多孔性生体材料のディスク(径1cm)を、標準手順を用いて、スプレーグ・ドーリー・ラットの皮下に移植した。試験する生体材料を、次に示すように、市販のインプラントから入手するか、または試験的に作製した:スムース1、滑らかな表面を有する生体材料(ナトレール(NATRELLE)(登録商標)、アラーガン(Allergan)社製、アーヴィン、カリフォルニア州);スムース2、滑らかな表面を有する生体材料(メモリーゲル(MEMORYGEL)(登録商標)、メンター(Mentor)社製、サンタバーバラ、カリフォルニア州);テクスチャード1、塩消失法で作製した閉鎖したセルのテクスチャー加工した表面を有する生体材料(バイオセル(BIOCELL)(登録商標)、アラーガン社製、アーヴィン、カリフォルニア州);テクスチャード2、インプリンティング法で作製した閉鎖したセルのテクスチャー加工した表面を有する生体材料(シルテックス(SILTEX)(登録商標)、メンター(Mentor)社製、サンタバーバラ、カリフォルニア州);テクスチャード3、インプリンティング法またはガス形成法のいずれかで作製した閉鎖したセルのテクスチャー加工した表面を有する生体材料(シリメド(SILIMED)(登録商標)、シェントラ(Sientra)社製、サンタバーバラ、カリフォルニア州);テクスチャード4、インプリンティング法で作製した閉鎖したセルのテクスチャー加工した表面を有する生体材料(ペロウスプラスチエ(Perouse Plastie)、メンター(Mentor)社製、サンタバーバラ、カリフォルニア州);テクスチャード5、開口したセルのポリウレタン表面を有する生体材料;テクスチャード6、本明細書に開示する方法によって作製した開口したセルのテクスチャー加工した表面を有する生体材料。試料を6週で採取し、ホルマリンで固定し、加工してパラフィンブロックを作製した。パラフィンブロックを、2μm厚さのミクロトームを使用して、切断し、ヘマトキシロンおよびエオシン(H&E)で染色した。
【0181】
被膜を、多孔性生体材料に形成された被膜の厚さおよび崩壊の測定によって、特性評価した。被膜の厚さは、H&E染色した生体材料の2つの代表的な20倍の像を得ること、および像の3点において被膜の厚さを測定することによって、測定した。被膜の崩壊を、H&E染色した生体材料の3つの代表的な20倍の像を得ること、次いで、インプラント表面に対して参照ベクトル接線を引くこと、ならびに、被膜内のコラーゲン線維に沿ってベクトルを引くことによって、評価した。その後、参照ベクトルに対する各ベクトルの角度を測定し、角度の標準偏差を算出した(高い標準偏差は、高度の崩壊を表す)。画像解析の計算を、すべてニコン・エレメンツ・アドバンスト・ソフトウェア(Nikon Elements Advanced Research software)上で行った。
【0182】
厚さおよび崩壊の測定をすべて盲検化して得、各測定を、テクスチャード1の生体材料から得たデータに標準化した。収集した厚さデータについて、1元配置ANOVAを行って、有意な効果(p<0.05)を判断した。ANOVA分析から統計的に有意な効果がある場合、Tukeyの事後試験を、α=0.05で多重比較について行った。収集した崩壊データについて、Leveneの等分散の試験を用いて、試験群間の崩壊に、統計的に有意な差異(p<0.05)があるか否か判断した。個々のグループ間における非有意性の基準は、群数を調整した信頼区間の重複(95%)であった。
【0183】
それぞれの試験内のテクスチャー1の生体材料に標準化された、被膜の厚さおよび崩壊を
図5に示す。スムーステクスチャー1および2の生体材料、ならびにテクスチャー1~4の生体材料(閉鎖したセルのテクスチャーを有する)は、明らかな被膜の形成を示し、また、形成された被膜は、約100μm~約140μmの同等の厚さであった(
図5A)。テクスチャー5~6の生体材料は、最小の被膜形成を示し、10μm未満の厚さで形成された被膜であった(
図5A)。被膜組織に関して、テクスチャー1の生体材料によって、スムース1および2ならびにテクスチャー2~4の生体材料よりも崩壊した被膜が得られることが分かった(
図5B)。テクスチャー5および6の生体材料は、広範囲な内部成長(約200μm)を示し、これは、相互に接続し、スムース1および2ならびにテクスチャー2~4の生体材料よりも崩壊した(繊維の50%以上がインプラント表面に類似しなかった)(
図5B)。これらの知見は、スムース1および2の生体材料(滑らかな表面)、ならびにテクスチャー1~4の生体材料(閉鎖したセルのテクスチャー加工した表面)によって、主に組織されたコラーゲンを有する被膜が得られたことを示す。対照的に、テクスチャー5~6の生体材料(開口したセルのテクスチャー加工した表面)は、有意な内部成長を誘導し、これは、被膜を排除することができ、材料組織界面で組織を崩壊させることができる。
【0184】
実施例10
被膜コラーゲン
形成された被膜のコラーゲン含量を測定するために、種々の多孔性生体材料のディスク(径1cm)を、標準手順を用いて、スプレーグ・ドーリー・ラットの皮下に移植した。試験する生体材料を、次に示すように、市販のインプラントから入手するか、または試験的に作製した:スムース1、滑らかな表面を有する生体材料(ナトレール(NATRELLE)(登録商標)、アラーガン(Allergan)社製、アーヴィン、カリフォルニア州);スムース2、滑らかな表面を有する生体材料(メモリーゲル(MEMORYGEL)(登録商標)、メンター(Mentor)社製、サンタバーバラ、カリフォルニア州);テクスチャード1、塩消失法で作製した閉鎖したセルのテクスチャー加工した表面を有する生体材料(バイオセル(BIOCELL)(登録商標)、アラーガン社製、アーヴィン、カリフォルニア州);テクスチャード2、インプリンティング法で作製した閉鎖したセルのテクスチャー加工した表面を有する生体材料(シルテックス(SILTEX)(登録商標)、メンター(Mentor)社製、サンタバーバラ、カリフォルニア州);テクスチャード3、インプリンティング法で作製した閉鎖したセルのテクスチャー加工した表面を有する生体材料(ペロウスプラスチエ(Perouse Plastie)、メンター(Mentor)社製、サンタバーバラ、カリフォルニア州);テクスチャード4、インプリンティング法またはガス形成法のいずれかで作製した閉鎖したセルのテクスチャー加工した表面を有する生体材料(シリメド(SILIMED)(登録商標)、シェントラ(Sientra)社製、サンタバーバラ、カリフォルニア州);テクスチャード5、インバースフォーム(inverse foam)ポリウレタン‐ポリエチレングリコール表面を有する生体材料;テクスチャード6、インバースフォームポリウレタン‐ポリエチレングリコール表面を有する生体材料;テクスチャード7、開口したセルのポリウレタン表面を有する生体材料;テクスチャード8、不織フェルト表面を有する生体材料。試料を6週で採取し、ホルマリンで固定し、加工してパラフィンブロックを作製した。パラフィンブロックを、2μm厚さのミクロトームを使用して、切断し、アニリンブルーで染色した。
【0185】
被膜を、移植した多孔性生体材料に形成された被膜の染色暗さを測定することによって、特性評価した。被膜の暗さを、5つの代表的な20倍の像から測定し、染色の深さを表すために、被膜の全体的な強度を平均した。断面の厚さおよび正確な染色回数等のパラメーターの変化の原因を説明するために、全測定を、同じ断面の真皮内で測定した強度に標準化し、これを、この領域でみられた共通の染色により、基準として利用した。1元配置ANOVAを行って、有意な効果(p<0.05)を判断した。ANOVA分析から統計的に有意な効果がある場合、Tukeyの事後試験を、α=0.05で多重比較について行った。
【0186】
図6は、スムースおよびテクスチャードの多孔性生体材料に形成された被膜と内部成長の平均コラーゲン密度を示す。スムース1および2の生体材料、ならびにテクスチャード1~4の生体材料(閉鎖したセルのテクスチャー加工した表面)に形成された被膜が、テクスチャー5および6の生体材料(インバースフォームのテクスチャー加工した表面)、テクスチャード7の生体材料(開口したセルのテクスチャー加工した表面)、ならびにテクスチャード8の生体材料(不織フェルトのテクスチャー加工した表面)において、コラーゲン密度の統計的に有意な増加を示すことが分かった。このため、被膜形成の防止は、開口し、相互に接続したテクスチャーへの有意な内部成長(低いコラーゲン密度を有する)に関係することを示した。
【0187】
実施例11
組織付着
多孔性生体材料への組織付着に対するテクスチャーの効果を評価するために、種々の生体材料のストリップを、標準手順を用いて、スプレーグ・ドーリー・ラットの皮下に移植した。試験する生体材料を、次に示すように、市販のインプラントから入手するか、または試験的に作製した:スムース1、n=38、滑らかな表面を有する生体材料(ナトレール(NATRELLE)(登録商標)、アラーガン(Allergan)社製、アーヴィン、カリフォルニア州);テクスチャード1、n=64、塩消失法で作製した閉鎖したセルのテクスチャー加工した表面を有する生体材料(バイオセル(BIOCELL)(登録商標)、アラーガン社製、アーヴィン、カリフォルニア州);テクスチャード2、n=6、インプリンティング法で作製した閉鎖したセルのテクスチャー加工した表面を有する生体材料(シルテックス(SILTEX)(登録商標)、メンター(Mentor)社製、サンタバーバラ、カリフォルニア州);テクスチャード3、n=6、インバースフォームポリウレタン‐ポリエチレングリコール表面を有する生体材料;テクスチャード4、n=45、インバースフォームポリウレタン‐ポリエチレングリコール表面を有する生体材料;テクスチャード5、n=45、開口したセルのポリウレタン表面を有する生体材料;テクスチャード6、n=6、開口したセルのポリウレタン表面を有する生体材料;テクスチャード7、n=6、本明細書に開示する方法によって作製した0.8mmの開口したセルのテクスチャー加工した表面を有する生体材料;テクスチャード8、n=6、本明細書に開示する方法によって作製した1.5mmの開口したセルのテクスチャー加工した表面を有する生体材料。試料を4週で採取し、組織を、2mm/秒の引抜き速度で、機械的試験装置上の試験ストリップから引き抜いた。付着強度を、周囲組織からインプラントを分離するのに必要なピーク力として測定した。1元配置ANOVAを行って、有意な効果(p<0.05)を判断した。ANOVA分析から統計的に有意な効果がある場合、Tukeyの事後試験を、α=0.05で多重比較について行った。
【0188】
スムース1の生体材料は、付着をほとんど示さず、マイクロ規模を超える有意な突出はなく、周囲組織に最小の障害物を有していた(
図7)。テクスチャード1および2の生体材料(閉鎖したセルのテクスチャー加工した表面)は、有限の組織相互作用を示し、スムース1よりも多い付着を示した(
図7)。テクスチャード3および4の生体材料(インバースファームのテクスチャー加工した表面)、およびテクスチャー5~8の生体材料(開口セルのテクスチャー加工した表面)は、最も高い程度の組織付着を示した(
図7)。このため、テクスチャード5~8の生体材料は、非常に多孔性で相互に接続したテクスチャーにより、有意に組織浸透/内部成長を促進した。
【0189】
実施例12
被膜の剛性
多孔性生体材料に形成された被膜/内部成長の剛性を評価するために、種々のテクスチャーのシリコーン生体材料を含む7mLの小型エキスパンダーを、標準手順を用いて、スプレーグ・ドーリー・ラットの皮下に移植した。試験する生体材料を、次に示すように、市販のインプラントから入手するか、または試験的に作製した:スムース1、滑らかな表面を有する生体材料(ナトレール(NATRELLE)(登録商標)、アラーガン(Allergan)社製、アーヴィン、カリフォルニア州);テクスチャード1、塩消失法で作製した閉鎖したセルのテクスチャー加工した表面を有する生体材料(バイオセル(BIOCELL)(登録商標)、アラーガン社製、アーヴィン、カリフォルニア州);テクスチャード2、本明細書に開示する方法によって作製した0.8mmの開口したセルのテクスチャー加工した表面を有する生体材料;テクスチャード3、本明細書に開示する方法によって作製した1.5mmの開口したセルのテクスチャー加工した表面を有する生体材料。0(移植直後)、および6週で、食塩水を、各エキスパンダーに漸増的に加え、また、各段階でエキスパンダーにかけた圧力、およびエキスパンダーによってかけた圧力を、ディジタル水銀圧力計で測定した。剛性を、圧容量曲線の線形領域に趨勢線を適合させること、および線の傾斜を測定することによって算出した。被膜/内部成長の剛性の増加を、傾斜の増加によって表した。エキスパンダー対エキスパンダーの不安定性の原因を説明するために、各剛性測定を、エキスパンダー自体の剛性に標準化した。1元配置ANOVAを行って、有意な効果(p<0.05)を判断した。ANOVA分析から統計的に有意な効果がある場合、Tukeyの事後試験を、α=0.05で多重比較について行った。
【0190】
スムース1の生体材料のエキスパンダーに形成された被膜は、6週後に最も大きな剛性を示した(
図8)。テクスチャード1の生体材料のエキスパンダー(閉鎖したセルのテクスチャー加工した表面)は、スムース1の生体材料のエキスパンダーよりも低い剛性であるが、テクスチャード2および3の生体材料のエキスパンダー(開口したセルのテクスチャー加工した表面)よりも大きな剛性を示した(
図8)。このデータは、閉鎖したセルの生体材料によって、内部成長を支援し、被膜形成を防ぐ、開口したセルの生体材料によって得られるものよりも硬い、被膜が得られることを示す。
【0191】
実施例13
ブリージングおよび被膜反応
本明細書に開示する多孔性生体材料の臨界形態特性および物理特性を確認するために、種々の生体材料のディスク(径1cm)を、標準手順を用いて、スプレーグ・ドーリー・ラットの皮下に移植し、被膜形成によって、かかる移植に対する反応およびブリージングを判断した。各生体材料について試験する形態特性および物理特性を、表1および2に示す。
【0192】
【0193】
【0194】
移植した多孔性生体材料を採取し、ホルマリンで固定し、加工してパラフィンブロックを作製した。パラフィンブロックを、2μm厚さのミクロトームを使用して、切断し、ヘマトキシロンおよびエオシン(H&E)で染色した。評価される形態特性によって、被膜の反応を、切断した生体材料の少なくとも3つの代表的な1倍、4倍、20倍または50倍の像を得ること、ディジタルで像を捕らえること、およびそれぞれの捕らえた像の3点以上において特性を測定することによって、測定した。画像解析の計算を、すべてニコン・エレメンツ・アドバンスト・ソフトウェア(Nikon Elements Advanced Research software)上で行った。ブリージング反応および物理特性を、ルーチン法を用いて測定した。例えば、Winnieの文献:Softness Measurements for Open-Cell Foam Materials and Human Soft Tissue, Measurement Science and Technology (2006)を参照されたい。
【0195】
この分析から得た結果の概要を表3に示す。結果は、試験した一部の生体材料において、非常に狭い範囲の孔隙率(74~86%)でしかブリージングがみられなかった点で、広範囲の孔隙率を有する多孔性生体材料が、十分に許容されることを示す。被膜形成の点では、孔隙率の増加によって、被膜形成が減少した。また、細孔間の相互接続径は、径の増加によって、ブリージング反応が減少するという点で、ブリージング反応に影響を及ぼした(表3)。より顕著には、細孔当たりの相互接続数の増加によって、移植した生体材料に応じて、動物で調査したブリージング反応および被膜形成が共に減少した(表3)。結局、圧縮力によって測定した、生体材料の剛性の微妙なバランスは、最適なインビボ反応を提供するのに必要であった。これは、生体材料の剛性の増加によって、ブリージングが減少したが、剛性の減少は、被膜形成の減少のために必要であったからである(表3)。
【0196】
【0197】
これらの試験から得た全データの分析によって示した、本明細書に開示するポロゲン方法から製造された多孔性材料の最適形態特性および物理特性は、次のとおりであった:約80%~約88%の孔隙率を有すること、約110μm~約140μmの相互接続サイズを有すること、細孔当たり約7~約11の相互接続を有すること、5%の歪みにおいて約0.50kPa~約0.70kPaの圧縮力を有すること、10%の歪みにおいて約1.0kPa~約2.0kPaの圧縮力を有すること、および、20%の歪みにおいて約3.5kPa~約5.5kPaの圧縮力を有すること。本実施態様の態様において、本明細書に開示するポロゲン方法から製造された多孔性材料の最適形態特性および物理特性は、次のとおりであった:約83%~約85%の孔隙率を有すること、約120μm~約130μmの相互接続サイズを有すること、細孔当たり約8~約10の相互接続を有すること、5%の歪みにおいて約0.55kPa~約0.65kPaの圧縮力を有すること、10%の歪みにおいて約1.3kPa~約1.7kPaの圧縮力を有すること、および、20%の歪みにおいて約4.0kPa~約5.0kPaの圧縮力を有すること。
【0198】
最後に、本明細書の態様は、特定の実施態様への言及によって強調されるが、当業者は、これらの開示された実施態様が、単に、本明細書に開示する主題の原理の例示にすぎないことを認識するものと理解される。したがって、開示する主題が、本明細書に記載する、特定の方法、プロトコール、および/または試薬等に全く限定されないものと理解される。このため、開示する主題の種々の改良もしくは変更、または代替的形態は、本明細書の趣旨から逸脱することなしに、本明細書の教示に従って、行うことができる。結局のところ、本明細書に使用する用語は、特定の実施態様のみを説明するためにあるにすぎず、本発明の範囲を限定することを意図せず、専ら特許請求の範囲によって定義される。したがって、本発明は、本明細書に示し、かつ記載するように、はっきりと限定されない。
【0199】
本発明の特定の実施態様は、本発明を実施するための、本発明者らに知られている最良の形態を含めて、本明細書に説明される。当然、これらの記載する実施態様における変更は、前述の説明を読むことによって、当業者に明らかとなる。本発明者らは、当業者がかかる変更を適切に利用することを期待する。また、本発明者らは、本明細書に具体的に記載する以外のものを、本発明として実施する予定である。したがって、本発明には、準拠法によって可能になるように、本明細書に添付した特許請求の範囲で詳述する、主題の変形例および等価物がすべて含まれる。さらに、特に、本明細書中に指示がないか、または、その他に、文脈で明確に否定されない限り、あらゆる変更における上述する実施態様の組合せが、本発明に包含される。
【0200】
本発明の別の実施形態、構成要素、または手段のグループ分けは、限定されるものと解釈されない。グループのメンバーはそれぞれ、別々に、または本明細書に開示する他のグループメンバーと組合せて、引用され、主張してもよい。グループの1以上のメンバーが、便宜上、および/または特許性の理由によるグループに含まれるか、またはこれから削除されてもよいことが予想される。かかる包含物または削除が生じる場合、本明細書は、添付する特許請求の範囲で使用する、すべてのマーカッシュグループの記載された説明を改良、実行するグループを含むと考えられる。
【0201】
特に指示がない限り、本明細書および特許請求の範囲に使用する、特徴、品目、量、パラメーター、特性、用語等を表現するすべての数は、「約」という用語によって、すべての事例で修飾されるものと理解される。本明細書に使用する「約」という用語は、このように修飾された特徴、品目、量、パラメーター、特性、または用語が、示された特徴、品目、量、パラメーター、特性、または用語の、プラスまたはマイナス10パーセント上および下の値の範囲を包含することを意味する。したがって、これと反対である指示がない限り、本明細書および添付する特許請求の範囲に示す数的パラメーターは、変化させてもよい近似値である。少なくとも、特許請求の範囲の均等論の適用を制限しようとせずに、数的表示はそれぞれ、少なくとも報告された有効数字の数に照らして、および通常の四捨五入法の適用によって、解釈される。それにもかかわらず、本発明の広い範囲を示す数的範囲および数値は、可能な限り正確に報告した具体例に示す、近似値、数的範囲および数値である。しかしながら、数的範囲または数値は、それぞれの試験測定でみられた標準偏差から常に生ずる一定の誤差を本質的に含む。本明細書の値の数的範囲の詳説は、範囲内にあるそれぞれの個別の数値について、別々に言及する速記法として有用であることを単に意図するにすぎない。本明細書中に特に指示がない限り、別々に本明細書に詳述するかの如く、数的範囲の個別の値はそれぞれ、本明細書に組み込まれる。
【0202】
「a」、「an」および「the」という用語、ならびに本発明に記載する文脈(特に、次に示す特許請求の範囲の文脈)で使用する同様の指示語は、本明細書中に指示がないか、または、その他に、文脈で明確に否定されない限り、単数と複数の両方を網羅するように、解釈される。本明細書中に指示がないか、または、その他に、文脈で明確に否定されない限り、本明細書に記載する方法はすべて、任意の適切な順序で行うことができる。本明細書に提供されるすべての実施例、または例示的な用語(例えば、「such as」)の使用は、単に、本発明をうまく説明することを意図するにすぎず、これ以外の特許請求の範囲に記載する発明の範囲において限定をもたらさない。本明細書中の用語は、本発明の実施にとって不可欠な特許請求の範囲に記載されていない構成要素を示すものと解釈されない。
【0203】
本明細書に開示する具体的な実施態様は、~からなる、または~から実質的になるという語を使用して、特許請求の範囲でさらに限定してもよい。特許請求の範囲に使用する場合、出願時の、または補正によって追加した、「~からなる」という移行語(transition term)は、特許請求の範囲で規定されない、構成要素、手段、または含有物を排除する。「~から実質的になる」という移行語は、規定する材料または手段、ならびに基本的特徴および新しい特徴に対し物質的に影響を与えないものに、特許請求の範囲を限定する。このように、特許請求の範囲に記載する、本発明の実施態様は、本明細書に本質的にまたは明らかに記載され、利用可能である。
【0204】
特許、特許公報、および本明細書に引用し、公表する他の出版物はすべて、例えば、本発明に関して使用され得る刊行物に記載する組成物および方法を説明し、開示する目的で、その全体が引用により本明細書中に組み込まれる。これらの刊行物は、本出願の出願日前におけるこれらの開示のために、専ら提供される。この点に関して、先行発明によって、または他の理由で、かかる開示に先行して、本発明者らに権利が与えられないという承認として解釈されない。日付に関する表明、またはこれらの文書の内容に関する表示はすべて、本出願人に利用可能な情報に基づくものであり、これらの文書の日付または内容の妥当性に関して承認を構成しない。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕相互に接続した細孔のアレイを区画形成する非分解性で、生体適合性のエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料であって、該多孔性材料が、少なくとも40%の孔隙率を有し、かつ該多孔性材料が、少なくとも80%の弾性伸びを示す、前記多孔性材料。
〔2〕前記エラストマーマトリックスが、シリコーン系エラストマーを含む、前記〔1〕記載の多孔性材料。
〔3〕前記多孔性材料が、少なくとも90%の可逆的な弾性伸びを示す、前記〔1〕記載の多孔性材料。
〔4〕前記多孔性材料が、少なくとも1MPaの極限強度を示す、前記〔1〕記載の多孔性材料。
〔5〕前記多孔性材料が、最大50MPaの曲げ強度を示す、前記〔1〕記載の多孔性材料。
〔6〕前記多孔性材料が、最大30kPaの圧縮率を示す、前記〔1〕記載の多孔性材料。
〔7〕多孔性材料の層を含む、生体適合性の移植可能なデバイスであって、該多孔性材料が、少なくとも40%の孔隙率を有し、該多孔性材料が、少なくとも80%の弾性伸びを示し、かつ該多孔性材料の層が、少なくとも300μmの厚さを有する、前記デバイス。
〔8〕前記デバイスが乳房インプラントである、前記〔7〕記載の生体適合性の移植可能なデバイス。
〔9〕生体適合性の移植可能なデバイスを製造する方法であって、該方法は、
a)多孔性材料を受け入れるための生体適合性の移植可能なデバイスの表面を調製する工程と、
b)調製した生体適合性の移植可能なデバイスの表面に多孔性材料を付着する工程と、を含み、
該多孔性材料が、少なくとも40%の孔隙率を有し、該多孔性材料が、少なくとも80%の弾性伸びを示し、かつ該多孔性材料の層が、少なくとも300μmの厚さを有する、前記方法。
〔10〕前記デバイスが乳房インプラントである、前記〔9〕記載の生体適合性の移植可能なデバイスを製造する方法。
〔11〕多孔性材料を形成する方法であって、該方法は、
a)ポロゲンをエラストマーベースでコーティングして、エラストマーをコーティングしたポロゲン混合物を形成する工程と、
b)該エラストマーをコーティングしたポロゲン混合物を処理して、融解されたポロゲンを含むポロゲン足場を形成し、かつエラストマーを硬化させる工程であって、該ポロゲン足場が、実質的にすべての融解されたポロゲンがそれぞれ、少なくとも4つの他の融解されたポロゲンに接続する、3次元構造を有し、かつそれぞれの融解されたポロゲン間の実質的にすべての接続の径が、平均ポロゲン径の約15%~約80%である、前記工程と、
c)ポロゲン足場を除去する工程であって、ポロゲン足場の除去によって、相互に接続した細孔のアレイを区画形成する非分解性で、生体適合性のエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料が得られ、該多孔性材料が、少なくとも40%の孔隙率を有し、かつ該多孔性材料が、少なくとも80%の弾性伸びを示す、前記工程と、
を含む、前記方法。
〔12〕生体適合性の移植可能なデバイスを製造する方法であって、該方法は、
a)多孔性材料を受け入れるためのデバイスの表面を調製する工程と、
b)調製したデバイスの表面に多孔性材料を付着する工程と、を含み、
該多孔性材料が、少なくとも40%の孔隙率を有し、該多孔性材料が、少なくとも80%の弾性伸びを示し、かつ該多孔性材料の層が、少なくとも300μmの厚さを有する、前記方法。
〔13〕生体適合性の移植可能なデバイスを製造する方法であって、該方法は、
a)エラストマーベースで心棒をコーティングする工程と、
b)エラストマーベースを硬化させて、基層を形成する工程と、
c)硬化させた基層をエラストマーベースでコーティングする工程と、
d)エラストマーベースをポロゲンでコーティングして、エラストマーをコーティングしたポロゲン混合物を形成する工程と、
e)該エラストマーをコーティングしたポロゲン混合物を処理して、融解されたポロゲンを含むポロゲン足場を形成し、かつエラストマーベースを硬化させる工程であって、該ポロゲン足場が、実質的にすべての融解されたポロゲンがそれぞれ、少なくとも4つの他の融解されたポロゲンに接続する、3次元構造を有し、かつそれぞれの融解されたポロゲン間の実質的にすべての接続の径が、平均ポロゲン径の約15%~約40%である、前記工程と、
f)ポロゲン足場を除去する工程であって、ポロゲン足場の除去によって、相互に接続した細孔のアレイを区画形成する非分解性で、生体適合性のエラストマーマトリックスを含む、多孔性材料が得られ、該多孔性材料が、少なくとも40%の孔隙率を有し、該多孔性材料が、少なくとも80%の弾性伸びを示し、かつ該多孔性材料の層が、少なくとも300μmの厚さを有する、前記工程と、
を含む、前記方法。
〔14〕前記工程(c)および(d)を少なくとも1回繰り返す、前記〔13〕記載の方法。
〔15〕前記工程(c)および(d)を少なくとも2回繰り返す、前記〔13〕記載の方法。