(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】物品収容装置及び物品供給装置
(51)【国際特許分類】
G07F 5/02 20060101AFI20221207BHJP
B65B 5/06 20060101ALI20221207BHJP
G07F 11/04 20060101ALI20221207BHJP
G07F 11/00 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
G07F5/02 103
B65B5/06
G07F11/04
G07F11/00 Z
(21)【出願番号】P 2021041600
(22)【出願日】2021-03-15
【審査請求日】2021-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 厳洋
(72)【発明者】
【氏名】近藤 創
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 達志
(72)【発明者】
【氏名】黒川 信夫
【審査官】塩澤 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-199555(JP,A)
【文献】特開昭51-131700(JP,A)
【文献】特開2014-081895(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 5/00 - 9/10
G07F 11/00 - 11/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品供給装置に装着可能な物品収容装置であって、
本体部と、
前記本体部内に着脱可能に設けられ、前記本体部内に収容されている物品が前記本体部外に送出される際に物品をガイドするガイド部と、
前記本体部内に設けられ、前記ガイド部の前記本体部内での位置決めのために、前記ガイド部と係合可能に構成された支持部材であって、第1支持部と第2支持部とを含む支持部材と、
を備え、
前記第1支持部は、前記ガイド部と係合するための複数段からなる第1被係合部と、前記第1被係合部とは高さ位置が異なる複数段からなる第2被係合部とを含み、
前記第2支持部は、前記ガイド部と係合するための複数段からなる第3被係合部と、前記第3被係合部とは高さ位置が異なる複数段からなる第4被係合部とを含み、
前記第1被係合部と前記第4被係合部とは、前記複数段のそれぞれ対応する段の高さ位置が一致し、前記第2被係合部と前記第3被係合部とは、前記複数段のそれぞれの対応する高さ位置が一致するよう構成されて
おり、
前記ガイド部は、前記第1被係合部及び前記第2被係合部と係合可能な第1係合部と、前記第3被係合部及び前記第4被係合部と係合可能な第2係合部とを含み、
前記第1係合部及び前記第2係合部は、前記ガイド部の長手方向に沿ってスライド移動可能に構成されている、物品収容装置。
【請求項2】
前記第1係合部は、
第1の長手方向へのスライド移動により前記第1被係合部と係合可能に構成され、
前記第1の長手方向とは逆方向の第2の長手方向へのスライド移動により前記第2被係合部と係合可能に構成されている、請求項
1に記載の物品収容装置。
【請求項3】
前記第2係合部は、
前記第1の長手方向へのスライド移動により前記第3被係合部と係合可能に構成され、
前記第2の長手方向へのスライド移動により前記第4被係合部と係合可能に構成されている、請求項
2に記載の物品収容装置。
【請求項4】
前記第1係合部は、
前記第2係合部が前記第4被係合部に係合した状態において、前記第1被係合部と係合するように構成され、
前記第2係合部が前記第3被係合部に係合した状態において、前記第2被係合部と係合するように構成されている、請求項
1から
3のいずれか1項に記載の物品収容装置。
【請求項5】
前記第1係合部は、前記支持部材に前記ガイド部が当接した状態において、前記第1被係合部、又は、前記第2被係合部と係合可能に構成され、
前記第2係合部は、前記支持部材に前記ガイド部が当接した状態において、前記第3被係合部、又は、前記第4被係合部と係合可能に構成されている、請求項
1から
4のいずれか1項に記載の物品収容装置。
【請求項6】
前記第1係合部は、前記ガイド部の一方の端部の近傍に設けられ、前記第2係合部は、前記ガイド部の他方の端部の近傍に設けられている、請求項
1から
5のいずれか1項に記載の物品収容装置。
【請求項7】
前記第1係合部及び前記第2係合部は、少なくとも一部に円柱形状を有し、
前記第1被係合部乃至第4被係合部は、C字形状を有する、請求項
1から
6のいずれか1項に記載の物品収容装置。
【請求項8】
前記第1係合部及び前記第2係合部は操作部をそれぞれ有し、
前記第1係合部及び前記第2係合部は、前記操作部を介してスライド操作を受け付けるように構成されている、請求項
1から
7のいずれか1項に記載の物品収容装置。
【請求項9】
前記本体部は、前記物品に関する情報を提示可能に構成された領域を含み、
前記支持部材は、前記本体部において前記領域が構成された面に向かう第1面部と、前記第1面部と反対側の第2面部とを含み、
前記第1被係合部乃至第4被係合部は、前記第2面部の側に設けられている、請求項1から
8のいずれか1項に記載の物品収容装置。
【請求項10】
前記第2被係合部及び前記第3被係合部の段数は、前記第1被係合部及び前記第4被係合部の段数と同じである、請求項1から
9のいずれか1項に記載の物品収容装置。
【請求項11】
前記本体部は、前記ガイド部の位置を示す目盛部を有し、
前記ガイド部は、前記目盛部において前記ガイド部の位置を指示する指示部を有する、請求項1から
10のいずれか1項に記載の物品収容装置。
【請求項12】
前記ガイド部は中央付近にユーザにより前記ガイド部を把持可能に構成された把持部を有し、
前記指示部は、前記把持部に設けられている、請求項
11に記載の物品収容装置。
【請求項13】
前記本体部は前面に供給口を有し、
前記供給口は複数の開閉扉を備え、前記供給口から供給される前記物品のサイズに応じて、前記複数の開閉扉のうち少なくともいずれかが開くように構成されている、請求項1から
12のいずれか1項に記載の物品収容装置。
【請求項14】
請求項1から
13のいずれか1項に記載の物品収容装置であって、収容された前記物品を外部に送出する送出部を備える物品収容装置と、
前記物品の代価の支払いを受け付ける受付部と、
前記代価の支払いを検出する検出部と
前記物品収容装置に収容された物品を送出するための操作を、前記代価の支払いを検出したことに応じて受け付ける操作部と、
前記操作による動力を前記送出部に伝達して、前記物品を送出させる動力伝達部と
を備える、物品供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品収容装置及び物品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
代価の支払いに応じて、物品を供給する物品供給装置がある。特許文献1は、代価の支払いにより物品を供給することができる物品供給装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1において供給される物品は、シート状、或いは、ケース状の物品ではなかった。これに対し、シートやケース等を物品として収容し、物品供給装置に装着することで、シートやケース等の物品を供給可能とする構成が求められている。
【0005】
そこで、シートやケース等を物品として供給することが可能な構造を有し、かつ、物品供給装置に装着可能な物品収容装置、及び、当該物品収容装置を装着した物品供給装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、物品供給装置に装着可能な物品収容装置であって、本体部と、本体部内に着脱可能に設けられ、本体部内に収容されている物品が本体部外に送出される際に物品をガイドするガイド部と、本体部内に設けられ、ガイド部の本体部内での位置決めのために、ガイド部と係合可能に構成された支持部材であって、第1支持部と第2支持部とを含む支持部材と、を備え、第1支持部は、ガイド部と係合するための複数段からなる第1被係合部と、第1被係合部とは高さ位置が異なる複数段からなる第2被係合部とを含み、第2支持部は、ガイド部と係合するための複数段からなる第3被係合部と、第3被係合部とは高さ位置が異なる複数段からなる第4被係合部とを含み、第1被係合部と第4被係合部とは、複数段のそれぞれ対応する段の高さ位置が一致し、第2被係合部と第3被係合部とは、複数段のそれぞれの対応する高さ位置が一致するよう構成されている。
【0007】
本発明の一態様は、物品供給装置であって、上記物品収容装置であって、収容された物品を外部に送出する送出部を備える物品収容装置と、物品の代価の支払いを受け付ける受付部と、代価の支払いを検出する検出部と、物品収容装置に収容された物品を送出するための操作を、代価の支払いを検出したことに応じて受け付ける操作部と、操作による動力を送出部に伝達して、物品を送出させる動力伝達部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
シートやケース等を物品として供給することが可能な構造を有し、かつ、物品供給装置に装着可能な物品収容装置、及び、当該物品収容装置を装着した物品供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る物品供給装置10の外観の一例を示す図、及び、物品供給装置10のハードウェア構成の一例を示す図。
【
図2】実施形態に係る物品収容部11の外観の一例を示す図。
【
図3】実施形態に係るガイド部206及び支持部材305の構造を説明するための図。
【
図4】実施形態に係るガイド部206及び支持部材305の構造を説明するための図。
【
図5】実施形態に係るガイド部206周辺の構造を物品収容部11の右側面側から観察した様子を示す図。
【
図6】実施形態に係る押圧部205とレール208の構成を説明するための図。
【
図7】実施形態に係る第1保持部202と第2保持部203の構成を説明するための図。
【
図8】実施形態に係るスイッチ204における物品の存在の検知と通知部108における通知との連動構造を説明するための図。
【
図9】実施形態に係るローラ207の構成を説明するための図。
【
図10】実施形態に係る載置部201の開口部201Aとローラ207との関係を説明するための図。
【
図11】実施形態に係る、ハンドル104に対する操作に応じた動力を伝達するための、本体13側の動力伝達機構を説明するための図。
【
図12】実施形態に係る、ハンドル104に対する操作に応じた動力を伝達するための、物品収容部11側の動力伝達機構を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴うち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
まず、
図1(A)を参照して、物品供給装置10の外観構成について説明する。
図1(A)は、実施形態に対応する物品供給装置10の正面の外観の一例を示す図である。
図1(A)において、物品供給装置10の本体は、前壁、後壁、及び側壁から構成され、物品収容部(物品収容装置、或いは、物品保持装置ともいう)11は、物品供給装置10よりユーザに供給される物品が収容される収容器(或いは、バケツ、ケース等)であり、物品供給装置10に装着される。物品供給装置10への装着は、カバー部12の内部に配置された所定のレールなどに沿って、物品収容部11を物品供給装置10の前側から後側に向かってスライドさせて装着させるようにしてもよい。また、物品収容部11を物品供給装置10からレールに沿って手前に引き出すことにより、物品収容部11を物品供給装置10から取り外すこともできる。装着時において、物品収容部11の後壁と物品供給装置10の後壁とが接触しないようにしてもよい。
【0012】
物品収容部11は、プラスチック製で、前面には、供給する物品に関する情報を提示可能に構成された領域101が設けられている。物品収容部11は、内部に収容されている物品を外部から視認可能に構成されてもよいし、視認可能でなくてもよい。物品は、例えば、シート、印刷物、カード、CDROMケース等の、物品収容部11内に積層して収容可能な物品とすることができる。物品収容部11には、物品の供給口102が設けられており、供給口にはシャッター(開閉扉)103が設置され、供給口102から物品収容部11内に不正にアクセスできないように構成されている。
【0013】
物品収容部11は、本体13の上側に設置されており、本体13の前面部には、ハンドル104、現金投入口105、現金返却口106、現金返却ボタン107、物品収容部11内に物品が存在しない場合にその旨を通知する通知部108が配置されている。
【0014】
ハンドル104は、代価の支払いに応じて矢印方向に回転可能に構成された操作部材であって、ユーザがハンドル104を回転させることにより、シャッター103が開き、物品収容部11内に収容された物品のうち、最も下に位置する物品が供給口102より供給される。ハンドル104は、代価の支払いが確認できない状態ではロック機構により回転が抑制されており、代価の支払いが確認されるとロック機構が解除されて回転可能となる。
【0015】
現金投入口105は、代価を現金で支払う場合に、硬貨を投入するのに用いられ、現金の大きさに応じて、複数種類の投入口があってもよい。例えば、一例として500円玉と100円玉とをそれぞれに挿入可能な大きさの投入口を用意することができる。但し、
図1では、500円玉と100円玉との投入口を共通化しており、100円玉のサイズに対応する投入口は封止(閉塞)されている。
【0016】
現金投入口105は、内部の機構を制御することにより現金の投入を受け付ける状態と、受け付けない状態とを切り替えることができる。具体的に、物品収容部11は、物品の存在を検知する機構を有し、物品の存在を検知しない場合には投入口を閉じて硬貨の投入を受け付けないようにしてもよい。これにより、物品収容部11の内部を外部から視認可能でない場合に、物品が内部に存在していないのにもかかわらず誤って硬貨を投入してしまうことがなくなる。
【0017】
現金投入口105には、曲面からなる凹部が形成され、凹部の底(最深部)付近に投入口が設けられている。これにより小さい子供であっても、曲面をスライドさせて辿ることで、現金投入口105から現金を投入することが容易に行えるようになる。現金返却口106は、現金返却ボタン107の操作に応じて投入した硬貨が返却され、装置から返却された硬貨を取り出し可能に構成されている。
【0018】
図1(B)は、物品供給装置10内のハードウェア機構(一部にソフトウェアを含んでいてもよい)をブロック機能図として示したものである。現金投入口105から投入された硬貨は、現金保持部111に保持され、代価支払検出部112により所定の金額に達したかどうかが判定される。所定の金額に達したと判定されるとハンドル104と接続している回転部113のロックが解除され、ハンドル104が回転可能となる。これによりハンドル104を回転することができる。回転部113が回転すると、それに伴って現金保持部111に保持されていた硬貨が硬貨収容部114に排出され、再び回転部113がロックされる。また、現金返却ボタン107が操作されると、現金保持部111に保持された現金が現金返却口106から返却される。
【0019】
通知部108は、物品収容部11内に物品が存在しない場合にその旨を通知する通知部である。通知部108は、物品収容部11内の物品の有無を検知する検知部による検知結果に応じて、物品が存在しない場合にはその旨を外部に視認可能に通知する。
【0020】
本明細書においては、各部材の位置関係を説明するのに際して、前(前方)、後(後方)、左(左側方)、右(右側方)、上(上方)、下(下方)等と記載する場合があるが、これらの表現は
図1の物品供給装置10を基準とした相対的なものである。例えば、前は物品供給装置10の正面側に対応し、後は物品供給装置10の背面側に対応する。また、上下左右は、
図1の物品供給装置10に対する上下左右とする。
【0021】
次に、
図2を参照して、本実施形態に対応する、物品収容部11の構造を説明する。物品収容部11は、物品収容部11の外周を形成する外壁部200と物品が載置される載置部201とを有する、略直方体形状の本体部を有する。載置部201の上面は、供給口102の下端面と同一平面を構成する。また、載置部201は、物品収容部11内の空間を載置部201の上側に位置する第1空間と、載置部201の下側に位置する第2空間とに隔てている。第1空間内で載置部201に載置される物品は、様々な大きさを有することができる。物品の形状も略直方体であり幅×長さ×高さで大きさを特定することができる。このとき、物品の幅、長さ、高さはそれぞれ、
図2(A)の座標系に示したX軸、Y軸、Z軸の各方向における大きさに対応する。物品は、例えば、名刺サイズからA4サイズのシート或いはカードの他、また、厚みのあるものについては例えばCDROMケースやDVDケースとすることもできる。
【0022】
様々なサイズの物品を排出可能とするため、第1空間内には第1保持部202L,202Rと、第2保持部203とが配置されている。第1保持部202L、202Rは、物品の幅方向において該物品を側方から支持する保持部材であって、載置部201に形成されたレールに沿って幅方向(X軸)方向に移動させることが可能であり、これにより、第1保持部202Lと202Rとの間の間隔(W1)を物品の幅に対応した大きさとすることができる。第1保持部202L、202Rは押圧部205の幅方向に沿ってレール上を移動可能であり、かつ、第1保持部202Lと202Rとは互いに接近する方向、又は、離間する方向に移動可能に構成されている。第2保持部203は、物品の奥行方向において該物品を側方から支持する保持部材であって、載置部201に形成されたレールに沿って奥行方向(Y軸)方向に移動させることが可能であり、これにより、第2保持部203と物品の供給口102側の先頭部分の配置される位置との間隔(L1)を物品の長さに対応した大きさとすることができる。なお、第2保持部203のレール上における移動範囲は、第1保持部202のレール上における移動範囲よりも大きくなっている。
【0023】
次に、スイッチ204は、物品が物品収容部11内に存在しているかどうかを検知する検知部である。物品が存在している場合、物品により下向きに押下されるので検知することができる。なお、物品は押圧部205により下方向に押圧されて保持されており、物品が1枚しか残っていなくても、当該押圧部205による押圧力は物品を介してスイッチ204に伝達されるので、物品の存在を検知することができる。一方で、スイッチ204は押圧部205により直接に押圧されることがないため、物品が存在していない場合にはスイッチ204は押圧されることなく、物品の不存在を検知することができる。
【0024】
押圧部205は、自重により下方向に移動が可能であり、第1保持部202および第2保持部203により保持されている物品の供給口102側の先端部分(前方部分)を下方向に押圧する。押圧部205は本体部に対し、後述するレール208を介して着脱可能に構成されている。ガイド部206は、物品収容部11に収容されている物品が外部に送出される際に物品をガイドする機能を果たす。ガイド部206は、単一の物品の高さに応じて載置部201からの高さを調整し、単一の物品のみが物品の排出経路を通過して供給口102から排出されるように、排出経路の高さを調節する。
【0025】
図2(B)は、
図2(A)のA-A'断面による、物品収容部11の断面構成の一例を示す図である。構成要素201から206は
図2(A)において説明したものと同様である。
図2(B)において第1保持部202と第2保持部203とは、高さがほぼ一致しており、第1保持部202と第2保持部203とで特定される容積により、物品収容部11内に収容可能な物品の積層量が定まる。物品収容部11には、物品を外部に排出するためのローラ207及びローラ207にハンドル104の回転力を伝達するための伝達機構の一部が、物品を載置する載置部201の下側の第2空間に配置されている。
【0026】
ローラ207は物品収容部11(或いは、押圧部205)の幅方向の中央付近に設けられており、ハンドル104と連動しており、ハンドルが1回転するとローラ207も1回転する。ローラ207の表面には、例えばゴムなどの滑り止めが形成されている。ローラ207の断面は切り欠きのある円柱形状を有しており、当該切り欠きによりハンドルが1回転することにより1つの物品のみを排出することができる。ローラ207を完全な円柱形状としてしまうと、物品が連続して排出されるおそれがあるため、このような切り欠きを設けて単一物品のみが排出されるようにしている。また、ローラ207の回転に応じて、シャッター103が物品収容部11の外側に向かって開くように動作する。これによりローラ207が回転した場合にのみシャッター103を開いて物品を供給することができる。
【0027】
また、シャッター103は、物品収容部11の幅方向に複数の開閉扉が配列されて構成され、物品供給時には少なくともいずれかの開閉扉が開く。本実施形態では、シャッター103を第1から第3の3枚の開閉扉により構成することができ、物品の幅に応じて中央の第2開閉扉だけを開けてもよいし、3枚の全ての開閉扉を開けてもよい。レール208Lは、押圧部205の上下の移動方向を規制するためのレール部材であり、押圧部205が正確に物品を押圧するようにしている。
【0028】
動作部209は、ハンドル104の回転力をローラ207に伝達するための機構であって、物品収容部11の下側に位置する本体13に設けられたハンドル104の回転力の伝達機構と接続するために、物品収容部11の底部よりも下側に少なくとも一部が突出している。
【0029】
次に
図3を参照してガイド部206の構成を説明する。
図3(A)はガイド部206の外観構成の一例を示す図である。ガイド部206は幅方向に延びる主部材301に補強部材302が取り付けられると共に、
図3(B)に示す支持部材305と係合し、ガイド部206の載置部201からの高さを決定する。ガイド部206は、支持部材305を介して物品収容部11に着脱可能に配置される。主部材301のほぼ中央にはガイド部206を把持可能とするための把持部301Aが設けられており、把持部301の端部にはガイド部206の位置を特定可能とするための指示部301Bが設けられている。当該指示部301Bは、物品収容部11内に配置されたガイド部206の位置を示す目盛部に対して、ガイド部206の現在位置を示すように機能する。支持部材305と係合するための第1係合部304Aはガイド部206の一方の端部近傍に配置され、同第2係合部304Bはガイド部206の他方の端部近傍に配置されている。
【0030】
ガイド部206の底面は主部材301の底面と一致し、ガイド部206が物品収容部11内に配置された場合に、当該底面は載置部201の上面とほぼ平行となる。ガイド部206は例えばプラスチック製であってもよいが、その場合、補強部材302を金属製(例えば、鉄、その他の金属製)とすることができる。把持部302A及び302Bは補強部材302の一部を構成しており、ガイド部206の高さを調整する際に把持するのに用いられる。
【0031】
部材303A、303Bは、第1係合部304A、第2係合部304Bをそれぞれ主部材301に取り付けるために用いられ、第1係合部304A、第2係合部304Bは、主部材301と部材303A、303Bとの間に形成された空間内を矢印方向(ガイド部206の長手方向、及び、物品収容部11の幅方向)にスライド可能に配置される。第1係合部304A、第2係合部304Bはスライド方向(左右方向)に突起を有しており、当該突起により支持部材305に形成された複数段の溝(被係合部、或いは、凹部)と係合して、ガイド部206を所定の高さで支持する。
【0032】
図3(B)は、支持部材305の構成の一例を示す図である。支持部材305は、第1支持部305Aと第2支持部305Bとを有するように構成される。第1支持部305Aと第2支持部305Bとは、それぞれ左右両端の正面に溝が形成されている。それぞれの溝から支持部材305の底面までの距離、ひいては物品収容部11内に収容された際の載置部201の上面までの距離は異なっている。支持部材305は、物品収容部11内に収容された場合に、物品収容部11の領域101或いは供給口102の側を向く第1の面と、その反対側の第2の面とがあるが、第1支持部305Aと第2支持部305Bの溝は、第2の面に形成されている。即ち、
図3(B)は主に支持部材305の第2の面側の構成を示しており、
図3(A)に示すガイド部206も同様に第2の面側からの構成を示している。
【0033】
第1支持部305Aは、複数段の溝からなる第1被係合部と第2被係合部とを有し、第2支持部305Bは、第3被係合部と第4被係合部を有する。第1被係合部から第4被係合部は、それぞれ同一段数(例として4段)の溝で構成されており、第1被係合部と第4被係合部の各溝の(支持部材305の底面306、或いは、物品収容部11内に設置された場合は載置部201の上面からの)高さが一致し、第2被係合部と第3被係合部の各溝の高さが一致する。即ち、第1被係合部の最下段と第4被係合部の最下段の溝の高さ位置が一致し、同様に、2段目、3段目、最上段の高さ位置がそれぞれ一致する。また、第2被係合部の最下段と第3被係合部の最下段の溝の高さ位置が一致し、同様に、2段目、3段目、最上段の高さ位置がそれぞれ一致する。
【0034】
図3(B)では、第1係合部304A、第2係合部304Bの配置の一例を更に示している。ここでは第1係合部304Aが第1被係合部の最下段と係合し、第2係合部304Bが第4被係合部の最下段と係合しているので、これによりガイド部206の底面位置が最も低くなっており、物品単体の厚さが最も薄い場合に対応している。また、それぞれ対となる段数が決まっているので、ある段数において一方の係合部が第1被係合部(又は第4被係合部)と係合すれば、他方の係合部も対応する段数において第4被係合部(又は第1係合部)と係合する。同様に、ある段数において一方の係合部が第2被係合部(又は第3被係合部)と係合すれば、他方の係合部も対応する段数において第3被係合部(又は第2係合部)と係合する。これにより第1被係合部と第4被係合部だけを設けた場合(又は第2被係合部と第3被係合部だけを設けた場合)に比して、第2被係合部と第3被係合部も設けることで(又は第1被係合部と第4被係合部も設けることで)、より細かに高さ位置の設定をすることができる。
【0035】
このようにして、第1係合部304A、第2係合部304Bを物品収容部11の幅方向(ガイド部206の長手方向、物品の幅方向)に、例えば第1係合部304Aを第1の長手方向(左方向)にスライドさせて第1被係合部と係合させ、第2係合部304Bを第1の長手方向とは逆方向の第2の長手方向(右方向)にスライドさせて第4被係合部と係合させるか、又は、第1係合部304Aを第2の長手方向(右方向)にスライドさせて第2被係合部と係合させ、第2係合部304Bを第1の長手方向(左方向)にスライドさせて第3被係合部と係合させることで、任意の高さの物品に対応することができる。また、第1係合部304Aは、スライドさせることにより第1被係合部と第2被係合部とのいずれかの被係合部と係合することができ、第2係合部304Aは、スライドさせることにより第3被係合部と第4被係合部とのいずれかの被係合部と係合することができる。
【0036】
図4(A)は、第1係合部304Aと第1支持部305Aとが係合している様子を示す。物品収容部11は、ガイド部206が支持部材305と当接した状態において、各係合部と各支持部とが係合可能に構成されている。
図4(A)では、第1係合部304Aが、第1被係合部の最下段の溝と係合していることが分かる。また、
図4(B)は、第1係合部304Aと第1支持部305Aの係合の様子を拡大して示す図である。
図4(B)に示すように、第1係合部304Aは左右に円柱形状の突起401、402を有しており、また、頂部に凸状の操作部403が形成されている。第1係合部304A及び第2係合部304Bの形状は、少なくとも一部において円柱形状を有する形状であれば、
図4(B)に示す形状に限定されない。ユーザは操作部403を操作して各係合部をスライドさせることができる。第1支持部305Aに形成された個々の被係合部(溝)404は、C字形状、或いは、傾いたU字形状を有し、支持部材305の第2の面側が開放された構造を有している。
【0037】
図4(C)は、主部材301の把持部301Aに設けられた指示部301Bと、目盛部404との関係を示す図である。目盛部404には、第1被係合部から第4被係合部との各段数に対応するガイド部206の位置に対応する目盛りが振られており、指示部301Bの指す位置に従って、現在の被係合部の段数を特定することができる。なお、目盛部404には、指示位置を示す線分の他に、段数を示す数値が関連付けて付与されていてもよい。或いは、ガイド部206の高さを示す値、或いは、物品の高さや大きさを示す値が目盛部404に付与されていてもよい。
【0038】
次に、
図5はガイド部206周辺の構造を物品収容部11の右側面側から観察した様子を示す図である。ガイド部206は、主部材301の端部とレール208Rとの間の隙間に固定部材501の先端部501aを挿入することにより、その位置が固定される。ガイド部206の載置部201上面からの高さを調整する場合には、固定部材501を取り外してから行う必要がある。固定部材501は、先端部501aの付け根側に傾斜が設けられており、主部材301の端部が外れるのを防止している。
図5は、右側面の構造のみを示しているが、主部材301の左側端部も同様の構造により位置が固定される。
【0039】
図5の点線円で囲った部分は、ガイド部206(主部材301)の載置部201上面からの距離dを示しており、当該距離dは、係合部が係合する被係合部(溝)の位置に応じて変化する。例えば、溝が一段上がるごとに等しい距離(α)だけ増えるとすると、距離dは、一段目(最下段)に対応する初期値をdiとするとd=di+α(n-1)となる(但し、nは1から8のいずれかの段数に対応する値)。なお、αの値は可変としてもよい。例えば上の段に上がるほど、増加量を小さくしてもよいし、或いは、大きくしてもよい。なお、シャッター103の下端部の位置は、載置部201の上面の位置とほぼ一致している。
【0040】
次に
図6を参照して押圧部205とレール208の構成について説明する。
図6(A)は押圧部205の外観の一例を示し、
図6(B)はレール208の外観の一例を示し、
図6(C)は押圧部205周辺における物品収容部11の断面構造の一例を示す。
【0041】
押圧部205は、物品収容部11内に配置された物品の幅方向(或いは、物品収容部11の幅方向)に沿って延在する部材であって、物品を物品収容部11内に配置した際に供給口102側に位置する物品の前方部分を物品の上面側から押圧する。押圧部205は、ローラ207が配置された真上となる前方部分を上面側から押圧することで、ローラ207に向かって物品を押し付け、ローラ207の回転力を正確に物品に伝えることができる。押圧部205は、押圧部205の左右両端に配置されたレール208L、208Rに沿って上下方向に移動可能に構成されている。押圧部205は、上部の突起部601を操作してレール208から取り外しが可能である。また、押圧部205の両端部には係合部602が設けられており、当該係合部602がレール208の切り欠き部611と係合することにより、押圧部205が位置決めされる。切り欠き部611は上側に開放端611A、下側に端部611Bを有しており、開放端611Aから係合部602を挿入し、切り欠き部611に沿って自重により押圧部205を自然落下させることができる。押圧部205は、係合部602が当該端部611Bに到達した場合に最下点に位置することになる。
【0042】
押圧部205は、下部にスイッチ204を保護するための保護部材604を備える。保護部材604は、物品が物品収容部11内に存在せずスイッチ204が上側に突出している場合に、供給口102を介した外部からの操作を防止するよう機能する。保護部材604は保持部605を有しており、当該保持部605内にスイッチ204が配置され、スイッチ204を保持する。これにより外部からスイッチ204が操作されスイッチ204が壊れるのを防止することができる。突起部603はレール部208と当接し、係合部602にかかる、物品収容部11の前後方向の負荷を軽減し、係合部602の破損を防止する。
【0043】
また、
図6(C)に示すように、押圧部205の底面は、ローラ207の回転を妨げないように凹部606が形成されている。凹部606の形状は、ローラ606の回転を妨げない限りは特に限定されないが、物品の排出を妨げないように、例えばローラの回転に沿った円周状のくぼみとすることができる。また、凹部606は、ローラ606が配置された部分にのみ形成されていればよい。また凹部606の表面は、載置部201に設けられた開口部201Aと連続する面を形成している。
【0044】
次に、
図7を参照して、載置部201上に配置された物品を保持するための第1保持部202と第2保持部203との機構を説明する。
図7(A)は、載置部201上に配置された第1保持部202L、202Rと、第2保持部203の様子を示す。第1保持部202L、202Rは、載置部201に形成された開口701L、701R、及びレール702L、702Rに沿って物品収容部11の幅方向に移動することができる。また、第2保持部203は、載置部201に形成された開口703及びレール704に沿って物品収容部11の奥行方向に移動することができる。
【0045】
第1保持部202L、202R、第2保持部203は、それぞれ所定の位置で停止できるようにロック機構を備えており、物品のサイズに応じた停止位置を予め割り当てておくことができる。載置部201に形成された開口705は、第2保持部203を位置決めするために用いられ、当該開口を介して第2保持部203のロック部材を第2保持部203に装着することにより、第2保持部203を載置部201に対して固定的に支持することができる。開口705は、開口703の長辺に沿って物品の奥行方向の長さに応じた位置に複数配置することができる。これにより、ロック部材を用いてそれぞれの開口703を介して第2保持部203を載置部201に固定することができる。突起部203Dはロック部材によるロック状態を解除するための部材であって、突起部203Dを押し込むと開口705等と係合しているロック部材を下側に押し下げてロックを解除することができる。ロック部材はバネ等により第2保持部203の方向に付勢されており、載置部201上の開口が形成されている位置において突起部203Dの押し込みを解除すると、付勢力に従ってロック部材が開口と係合し、第2保持部203の停止位置を固定することができる。このようなロック部材と突起部203D等からなるロック機構は、第1保持部202においても同様に採用することができる。
【0046】
図7(A)において、第2保持部203の頂部には張り出し部203Aが配置されている。張り出し部203Aは、第2保持部203に形成された開口203Bに沿って、上下方向に移動可能に構成されている。開口203Bは、第2保持部203の上端からほぼ中間の高さまで形成されており、張り出し部203Aはそれより下側には移動することができない。また、第2保持部203の裏側には弾性体203Cが取り付けられており、弾性体による弾性力が張り出し部203Aを下方向に押し下げるように作用している。当該弾性力は、張り出し部203Aを介して、載置部201に積層された物品の上面を下側に押圧するように作用する。当該弾性力は、開口203B内を第2保持部203が移動する範囲において働いてもよいし、或いは、当該範囲の一部において働いてもよい。その際、積層された物品の高さが一定以上の場合、例えば開口203Bの下側の端部よりも高くある場合において、張り出し部203Aにより下側に押圧される。張り出し部203Aが積層された商品を後方から押圧することにより、押圧部205が商品の前方を押圧するのとバランスを取りつつ、ローラ207の回転力を正確に物品に伝えることができる。弾性体は、弾性力を発生させるものであれば、例えばゴム、バネのいずれにより形成されていてもよい。
【0047】
張り出し部203Aは、例えば、矩形形状において、物品収容部11の前面側の頂点部分を切り欠いた、略6角形形状とすることができる。或いは、楕円形状、半円形状、半楕円形状であってもよいし、それ以外の形状でもよい。また、張り出し部203Aは、奥行方向の長さよりも幅方向の長さの方が長い形状を有し、かつ、載置部201に積層された物品の後方の少なくとも一部を押圧するように構成されている。
【0048】
図7(B)は第1保持部202及び第2保持部203の、載置部201上での移動可能範囲を説明するための図である。第1保持部202の移動可能な範囲は矢印D1で示す範囲であり、第2保持部203の移動可能な範囲は矢印D2で示す範囲である。このとき、D2>D1が成立する。
【0049】
次に、
図8を参照してスイッチ204における物品の存在の検知と通知部108における通知との連動構造を説明する。
図8(A)は、物品収容部11内に物品が存在している場合の物品収容部11内の状態を示している。このとき、スイッチ204は上側に付勢されているものの、物品800により下方向に押圧されているため、通知表示部801は通知部108において外部から視認可能な状態にない。このとき、スイッチ204の先端部204Aは載置部201と同一平面上に位置する。通知表示部801は、回転軸を介してスイッチ204の突起部204Bと当接するL字部材802と接続されており、当該L字部材802は
図8(A)では時計回りの方向に回転するようバネなどにより付勢されている。当該付勢力によるL字部材802及びそれと連動する通知表示部801の回転は、スイッチ204の突起部204Bにより抑制されている。
【0050】
これに対して、
図8(B)に示すように、物品800が存在しなくなり、物品による下方向への押圧が解除されると、スイッチ204は上向きの付勢力に従って先端部204Aが載置部201よりも上側に突出し、その結果としてL字部材802の回転を抑制していた突起部204Bも上側に移動する。これによりL字部材802は矢印の方向に回転し、それに伴って通知表示部801も下方向に回転する。これにより、
図8(C)に示す通知表示部801のメッセージ領域801Aが、通知部108を介して外部から視認可能となる。通知部108は透明なプラスチック或いはガラス等の部材により構成されており、ユーザは当該部材を介して外部からメッセージ領域801Aを視認することができる。
【0051】
次に、
図9を参照してローラ207の構造について説明する。ローラ207は、物品収容部11内に収容された物品を供給口102に送出可能な送出部として機能する。
図9(A)から
図9(C)は、ローラ207の外観構成の一例を示す。
図9(A)はローラ207の正面を示すが、ここに示すようにローラ207の側方から回転軸901が左右に突出しており、当該回転軸901を基準として回転することができる。回転軸は所定の機構を介してハンドル104と連携しており、ハンドル104を1回転させると、ローラ207も回転軸901を中心として1回転する。ローラ207の表面には回転軸901に沿って平面部902が形成されており、平面部902はローラ207が回転する際には送出対象の物品と接触しない。
【0052】
図9(B)は、ローラ207の側面を示すがローラ207の平面部902の裏側には、曲面部903が形成されている。ローラ207は、円柱の外面を切り落とすことにより一部が欠けたような形状であって、切り落とした部分が平面部902に対応し、残りの半円柱状部分が曲面部903に対応する。なお、切り落とした部分と円柱の残りの部分とでは、残り部分の割合の方が大きい。また、平面部902の面積よりも曲面部903の面積の方が大きい。
【0053】
図9(C)は、ローラ207の裏面を示すが、ローラ207の曲面部903は、物品と接触して物品を供給口102へ送り出す機能を果たす。曲面部903は物品と接触した際に、物品に回転力を伝達するため、表面が滑りにくい素材、例えばゴム等の軟質部材、或いは、滑り止め部材で覆われていることが望ましい。但し、曲面部903の全体が軟質部材で覆われていなくてもよく、少なくとも一部において覆われていればよい。少なくとも一部の範囲については、曲面部903の円周方向を全体として網羅しつつ、幅方向については断続的に網羅するようにしてもよい。また、円周方向を連続的に網羅しなくてもよく、複数の軟質部材により全体として円周方向を網羅するようにしてもよい。
【0054】
また、
図6(C)に示すように、載置部201には、供給口102の近傍に開口部が設けられており、当該開口部を介してローラ207と物品とを接触させることにより、ローラ207の回転力を物品に伝達して、物品を供給口102へ送り出すことができる。
図10は当該開口部とローラ207との関係を説明するための図である。
【0055】
図10は、ローラ207のそれぞれ回転位置と載置部201との関係を状態遷移図として示す。状態1は、ローラ207の回転を開始させる際の初期位置を示している。初期位置の状態では、載置部201の開口部201Aからローラ207は突出していない。この後、ローラ207は回転軸901を中心として
図10では反時計回りに回転し、開口部201Aからローラ207の少なくとも一部が突出して、載置部201上に載置された物品にローラ207の右側の端部から接触することで、物品を物品収容部11の前方に押し出すように動作する。このようにして、ローラ207の曲面部903が開口部201Aから突出した状態2から状態3を経て状態4まで進む。この間、開口部201Aから突出した曲面部903が物品と接触して、物品を前方に押し出すように力が作用する。状態2から状態4において、ローラ207は「送出可能状態」にある。状態4においてローラ207の左側の端部が接触した後、状態5のようになると、ローラ207と物品とは接触しなくなる。すなわち、開口部201Aから突出して物品と接触するのは曲面部903のみであって、平面部902は突出しないので物品とは接触しない。このような状態5から状態1までにおいて、ローラ207は「送出不可能状態」にある。この状態においては、物品の位置は移動しないが、供給口102からは物品を引き抜くのに十分な範囲だけ物品が外側に露出している。ユーザは、供給口102から露出している物品の部分を引っ張って、物品を物品収容部11から取り出すことができる。
【0056】
次に、
図11を参照して、ハンドル104に対する操作に応じた動力を伝達する動力伝達機構について説明する。
図11は、当該動力の伝達機構を説明するための概略図である。
図11において、ハンドル104の回転中心軸にギア連動機構の一部を構成する主軸体1101の一端が取り付けられている。この主軸体1101は他端に平歯車1102を固定している。平歯車1102の上方には平歯車1102と噛み合う小歯車1103が回転可能に軸支されている。さらに、小歯車1103の上方には、小歯車1103と噛み合う平歯車1104が、物品収容部11の背面の下端において軸支されており、ハンドル104に対する操作に応じた動力を小歯車1103を介して物品収容部11に伝達することができる。
【0057】
従って、ハンドル104を手動で矢印T1方向に回転させると、主軸体1101を介して回転力が平歯車1102に伝えられ、これに噛合している小歯車1103を介して矢印T2方向の回転力が平歯車1104に伝達される。そして、ハンドル104の操作を続けることにより平歯車1104が1回転する。
【0058】
また、平歯車1102の斜め下方には、この平歯車1102と噛み合う平歯車1106が回転自在に軸支されている。この平歯車1106の下方には、この平歯車1106と噛み合う小歯車1107が一端に取り付けられた中間軸1108が、回転可能に軸支されている。また、中間軸1108の端部には、傘歯車1109が取り付けられている。ユーザがハンドル104を回転させると、主軸体1101が回転して平歯車1102を回転させる。これにより、一方では、小歯車1103及び平歯車1104を回転させる。また、他方では、平歯車1102の回転により、平歯車1106および小歯車1107を介して中間軸1108を回転させて、傘歯車1109を回転させる。このため、傘歯車1109の回転を阻止すると、ハンドル104の回転および平歯車1104の回転も阻止されることになる。
【0059】
傘歯車1109には、傘歯車1110が噛合している。従って、ハンドル104の回転に伴い、傘歯車1109を回転させようとすると、傘歯車1110も回転することとなるが、傘歯車1110は上述の回転部113と一体化されている。ここで、回転部113は上述のように、所定金額に相当する硬貨の投入を代価支払検出部112が検出したのに応じてハンドル104のロックを解除する機構であり、所定の金額が投入されていない場合には回転部113はロックされている。この場合、傘歯車1110及び傘歯車1109は回転できず、結果としてハンドル104の回転が阻止される。このように、回転部113のロック状態においては傘歯車1109および傘歯車1110も回転を阻止され、ハンドル104が回転できないので、平歯車1104は回転せず、物品を取り出すことができない。一方、所定の金額が投入されたことが代価支払検出部112により検出された場合には回転部113のロックが解除され、ハンドル104の操作が許容されるので、ハンドル104の操作に応じて傘歯車1110及び傘歯車1109が回転し、平歯車1104が回転する。
【0060】
図11においては、ハンドル104に直接に接続されている主軸体1101と、回転部と連携する傘歯車1109が取り付けられている中間軸1108が別体となっているが、傘歯車1109を主軸体1101に設けるようにしてもよい。
【0061】
次に
図12を参照して、ハンドル104に対する操作に応じた動力を伝達する、物品収容部11内の動力伝達機構について説明する。
図12(A)は、伝達機構の外観の一例を示す図である。当該伝達機構では、物品収容部11の後壁に設けられた平歯車1104が、スイッチ1201によるロックが解除されて回転すると、当該回転力が平歯車1202、主軸体1203、傘歯車1204、1205、中間軸1206を介してローラ207に伝達される。
【0062】
図12(A)に示す伝達機構において、スイッチ1201は、
図11に示した平歯車1104の回転の可否を制御するロック部として機能する。物品収容部11が物品供給装置10に装着されると、物品供給装置10の後壁に接触することにより突起1201Cが押圧され、スイッチ1201の先端部の突起(
図12(C)の1201D)と平歯車1104との係合状態(接触状態)が解除されて、平歯車1104が回転可能となる。なお、平歯車1104には、
図12(D)に示すように、スイッチ1201の先端部の突起1201Dと係合する凹部1104Bが、歯形が形成されていない側面の部位に形成されている。スイッチ1201は、軸1201Aを中心として揺動可能となっており、また、付勢部1201Bにより矢印で示す第1方向に付勢されており、当該付勢力により、軸1201Aを介してスイッチ1201の先端部の突起1201Dを、平歯車1104をロックする方向に作動させることができる。従って、物品供給装置10の後壁と接触していない場合には、付勢部1201Bによる付勢力により、突起1201Dが平歯車1104と係合して、平歯車1104の回転動作が抑制される。なお、スイッチ1201の突起1201Cの突出方向も上記の第1方向である。スイッチ1201の突起1201Dは、第1の方向と反対側の第2の方向に突出している。
【0063】
平歯車1104は、平歯車1202と噛み合って、ハンドル104からの動力を主軸体1203に伝達する。
図12(A)においては、主軸体1203の長さは途中を省略して示している。主軸体1203の回転は、傘歯車1204、1205及び中間軸1206を介してローラ20に伝達される。このようにして、ハンドル104の回転をローラ207にまで伝達させることが可能となる。平歯車1104と1202とはカバー1207により被覆されているが、平歯車1104が小歯車1103と噛み合うために、平歯車1104の一部はカバー1207の外に露出している。カバー1207は、平歯車1104と1202とが物品供給装置10の後壁の内側に接触して、回転が妨げられることがないよう、平歯車1104と1202とを防護する。
【0064】
次に
図12(B)は、平歯車1104と平歯車1202とが噛み合った状態を示す図であり、このとき平歯車1104に示されたマーク1104Aと、平歯車1202に示されたマーク1202Aとが互いに対応する位置で向かい合っている。本実施形態では、
図9や
図10で説明したようにローラ207の形状が、円柱の一部が欠けたような形状をしているため、ローラ207を回転させた際に物品と曲面部903とが正しく接触するようにローラ207の回転開始位置を正しく定める必要がある。もし、曲面部903が物品と正しく接触しないと、物品が供給口102から排出されないといった問題が発生するおそれがある。そこで、本実施形態では、マーク1104Aとマーク1202Aとが向き合った状態と、ローラ207の回転開始位置とを対応付けておき、
図12(B)に示す状態、即ち、スイッチ1201により平歯車1104の回転がロックされた状態で物品供給装置10に物品収容部11を装着することとしている。スイッチ1201は、ローラ207の回転開始位置を固定する役割を果たす一方で、装着時に平歯車1104との係合状態は解除されるので、その後の動作を妨げることもない。
【0065】
なお、平歯車1104の回転位置は、物品収容部11を物品供給装置10に装着していない状態であれば、任意に手動で平歯車1104を回転させることで変更が可能である。従って、物品収容部11を物品供給装置10から取り外した後、再度装着する場合には、平歯車1104を手動で回転させて、平歯車1104と1202の回転位置をマーク1104Aとマーク1202Aとが向かい合う位置に直すことで、物品供給装置10から物品を確実に誤動作なく排出可能とすることができる。
【0066】
スイッチ1201は、平歯車1104が
図12(B)に示す位置(第1の位置)にある場合に、平歯車1104の凹部1104Bと係合可能に配置されている。凹部1104Bは、スイッチ1201の突起1201Dと係合するのに十分な深さの凹部を有する。平歯車1104が第1の位置にある場合はスイッチ1201によりロック可能となるが、第1の位置以外の他の位置(第2の位置)では、平歯車1104の凹部1104Bとスイッチ1201とが係合しないため、ロック不可能となる。
【0067】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。