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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】折り畳み可能な椅子
(51)【国際特許分類】
   A47C 4/02 20060101AFI20221207BHJP
   A47C 9/10 20060101ALI20221207BHJP
   A47C 4/28 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
A47C4/02 B
A47C9/10 Z
A47C4/28 A
A47C4/28 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021092148
(22)【出願日】2021-06-01
(65)【公開番号】P2021194532
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2021-06-01
(31)【優先権主張番号】202010523625.1
(32)【優先日】2020-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520083389
【氏名又は名称】寧海興達旅遊用品有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100111187
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 秀忠
(74)【代理人】
【識別番号】100175617
【弁理士】
【氏名又は名称】三崎 正輝
(72)【発明者】
【氏名】胡 金学
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0374131(US,A1)
【文献】特表2020-506031(JP,A)
【文献】実開昭61-5154(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第105962676(CN,A)
【文献】特開2010-5308(JP,A)
【文献】特開2015-2963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 4/02
A47C 9/10
A47C 4/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X字型を呈する左支持フレームとX字型を呈する右支持フレームが横連結ロッドにより連結されて成る折り畳み可能な椅子フレームと、
柔軟性のある材料で作られたシートであって、その背面の上下両端の左右両側が連結部材により前記椅子フレームに連結されるシートと、
を含む、折り畳み可能な椅子であって、
前記左支持フレーム及び前記右支持フレームはそれぞれ、シャフトが分解可能である一本のトレッキングポールと、これに対応する支持パイプと、を有し、前記トレッキングポールは、後側上方から前側下方の方向に傾斜するように前記横連結ロッドの両側側部の挿通孔に差し込まれて固定され、前記支持パイプはそれぞれ、前記横連結ロッドの側部の貫通孔内に取り外し可能に連結されて固定されることによって、各前記トレッキングポールとともにX字形に交差する前記左支持フレーム及び前記右支持フレームを形成
前記支持パイプは、上支持パイプと下支持パイプとに分かれ、前記上支持パイプ及び前記下支持パイプはそれぞれ、前記横連結ロッドの側部の前記貫通孔内に取り外し可能に連結されて固定され、
前記横連結ロッド、前記上支持パイプ、及び前記下支持パイプはいずれも、金属製、複合材料製、及び/又はプラスチック製のパイプを使用したものであり、
前記横連結ロッドの外端は、前記トレッキングポールの中央下部の位置に外嵌して固定され、
前記貫通孔は、前記横連結ロッドの径方向に延びるように、前記横連結ロッドの外端に形成されており、
左右に配置された2組の前記上支持パイプ及び前記下支持パイプは、それぞれ、前記横連結ロッドの前記貫通孔の上側及び下側に差し込まれて、弾性ロープにより引き寄せられて連結され、前記上支持パイプと前記下支持パイプは、連結された後、各前記トレッキングポールとともにX字型に交差する前記左支持フレーム及び前記右支持フレームを形成し、
前記上支持パイプ及び前記下支持パイプの外径はいずれも前記横連結ロッドの前記貫通孔の直径よりも大きく、前記下支持パイプは、上端に前記横連結ロッドの前記貫通孔に適合する縮径部を有し、前記下支持パイプの前記縮径部と前記上支持パイプの内径は適合し、前記下支持パイプの上端は、前記縮径部により前記貫通孔を貫通し、前記上支持パイプの下端と挿入により連結し合い、
前記横連結ロッドの外端の前記貫通孔は、前記挿通孔の外側に形成されており、前記弾性ロープの一端は、前記上支持パイプの中空孔内に固定され、他端は前記貫通孔を通って前記下支持パイプの中空孔に固定されて繋がれており、
前記貫通孔は、中空スリーブ継手を前記横連結ロッド内に挿設して固定することによって形成される、
ことを特徴とする折り畳み可能な椅子。
【請求項2】
前記横連結ロッドは、左横連結ロッドと右横連結ロッドとに分かれ、前記左横連結ロッドと前記右横連結ロッドは、挿入又は螺合により取り外し可能に連結することができ、前記左横連結ロッドと前記右横連結ロッドとの間は、弾性ロープで繋がれている、
ことを特徴とする、請求項1に記載の椅子。
【請求項3】
前記貫通孔及び前記挿通孔は、いずれも、上から下にかけて内側に傾斜している、
ことを特徴とする、請求項1に記載の椅子。
【請求項4】
前記左支持フレーム及び右支持フレームの前記トレッキングポールは、同一構造で、シャフトの高さを調整可能であり、前記左支持フレーム及び右支持フレームは、同一構造であり、左右対称に配置されている、
ことを特徴とする、請求項1に記載の椅子。
【請求項5】
前記トレッキングポールは、グリップ部が上端に設けられた上シャフトと、脚挿入部が下端に連結される下シャフトとを、含み、前記上シャフトと前記下シャフトとは、ロックスリーブにより取り外し可能に連結され、前記下シャフトが前記脚挿入部に挿入されて連結された後、前記下シャフトと前記脚挿入部とは固定スリーブにより固定され、前記横連結ロッドの外端は、前記下シャフトに外嵌し、前記固定スリーブの上方に配置され、移動を制限される、
ことを特徴とする、請求項1に記載の椅子。
【請求項6】
前記トレッキングポールのシャフトの中央下部の位置に形成された挿入孔に、固定ピンを挿入することによって前記横連結ロッドの移動を制限して固定する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の椅子。
【請求項7】
前記シートの背面の前記連結部材は、柔軟性のある材料で作られた連結スリーブであり、このうち上端の2つの前記連結スリーブはそれぞれ、2つの前記トレッキングポールのグリップ部と適合して挿入により連結され、下端の2つの前記連結スリーブはそれぞれ、左右2つの前記支持パイプの上端と適合して挿入により連結される、
ことを特徴とする、請求項1に記載の椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日用品である椅子の技術分野に関し、具体的には、折り畳んで携帯可能な椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
椅子は、日常生活で使う家具の一つであり、背もたれを有する座るための道具である。既存の椅子には、竹製、木製、帆布製の椅子や、金属と木で作られた椅子等がある。帆布製の椅子は、一般には折り畳み椅子であり、軽く低コストで携帯しやすいという利点があり、旅行愛好者に非常に好まれている。既存の帆布製の椅子は、一般に、帆布のシート全体を後支持パイプに被せ、さらにバックル又は複雑な構造によって、後支持パイプに取り付けたものである。しかし、使用利便性のため、椅子を単に座るための道具とするだけではなく、より多くの機能を持たせて、さらに便利にすべきである。
【0003】
現在、中国実用新案登録第201320474349.X号には、超軽量の背もたれ付き折り畳み椅子が開示されており、これは主に、携帯性が悪く、遠くまで運びにくいという既存の背もたれ付き椅子の問題点を解決したもので、以下を特徴とする。この超軽量の背もたれ付き折り畳み椅子は、一対の装着コネクタを含み、この一対の装着コネクタの間には、天パイプに覆われた第1弾性紐が設けられている。また、装着コネクタの中には、第2弾性紐が設けられており、この第2弾性紐によって、装着コネクタは、前脚パイプ、後脚パイプ、前支持パイプ、及び後支持パイプと繋がっており、前脚パイプ、後脚パイプ、前支持パイプ、及び後支持パイプは、装着コネクタ内に嵌め込まれる。この超軽量の背もたれ付き折り畳み椅子は、天パイプ、前脚パイプ、後脚パイプ、前支持パイプ、及び後支持パイプを抜いて折り畳み、袋の中にしまうことができるので、携帯しやすく遠くまで運ぶことができ、特にアウトドア活動者に適している。これに類似した構造は、中国実用新案登録第201520878839.5号の折り畳み椅子フレーム、及び中国実用新案登録第201920155438.5号のロープ収納ロック機能を有する折り畳み椅子フレームにも開示されている。しかし、これらは、アウトドア活動の道具を十分に利用して、極力重量を減らし、コストを下げることができていないという欠点があるため、さらなる最適化設計の余地がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、上述の技術的現状に鑑み、アウトドア道具のトレッキングポールを合理的に利用して折り畳み椅子の構造をより合理的で簡単にし、組立や解体が迅速且つ容易であって、大変携帯しやすい折り畳み可能な椅子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が上述の技術的課題を解決するために採用した技術的手段は、X字型を呈する左支持フレームとX字型を呈する右支持フレームが横連結ロッドにより連結されて成る折り畳み可能な椅子フレームと、柔軟性のある材料で作られたシートであって、その背面の上下両端の左右両側が連結部材により椅子フレームに連結されるシートと、を含む折り畳み可能な椅子であって、以下を特徴とする。左支持フレーム及び右支持フレームはそれぞれ、シャフトが分解可能である一本のトレッキングポールを有し、トレッキングポールは、後側上方から前側下方の方向に傾斜するように横連結ロッドの両側側部の挿通孔に差し込まれて固定される。左支持フレーム及び右支持フレームはそれぞれ、トレッキングポールに対応して、支持パイプを有し、支持パイプはそれぞれ、横連結ロッドの側部の貫通孔内に取り外し可能に連結されて固定されることによって、各トレッキングポールとともにX字型に交差する左支持フレーム及び右支持フレームを形成する。
【0006】
好ましくは、支持パイプは、上支持パイプと下支持パイプとに分かれ、上支持パイプ及び下支持パイプはそれぞれ、横連結ロッドの側部の貫通孔内に取り外し可能に連結されて固定される。
【0007】
さらに、横連結ロッド、上支持パイプ、及び下支持パイプはいずれも、金属製、複合材料製、及び/又はプラスチック製のパイプを使用したものである。また、上支持パイプ及び下支持パイプは2組あって、左右に配置されている。横連結ロッドの外端は、トレッキングポールの中央下部の位置に外嵌して固定される。貫通孔は、径方向に延びるように、横連結ロッドの外端に形成されており、この横連結ロッドの貫通孔の上側及び下側に、上支持パイプ及び下支持パイプがそれぞれ差し込まれて、弾性ロープにより引き寄せられて連結される。上支持パイプ及び下支持パイプは、連結された後、各トレッキングポールとともにX字型に交差する左支持フレーム及び右支持フレームを形成する。
【0008】
またさらに、上支持パイプ及び下支持パイプの外径はいずれも横連結ロッドの貫通孔の直径よりも大きい。下支持パイプは、上端に横連結ロッドの貫通孔と適合する縮径部を有する。上支持パイプの内径は、この下支持パイプの縮径部と適合する。下支持パイプの上端は、縮径部により貫通孔を貫通し、上支持パイプの下端と挿入により連結し合う。
【0009】
またさらに、横連結ロッドの外端の貫通孔は、挿通孔の外側に形成されており、弾性ロープの一端は、上支持パイプの中空孔内に固定され、他端は、貫通孔を通って下支持パイプの中空孔に固定されて繋がれている。
【0010】
好ましくは、貫通孔は、中空スリーブ継手を横連結ロッド内に挿設して固定することによって形成される。
【0011】
さらに、横連結ロッド、上支持パイプ、及び下支持パイプはいずれも、金属製、複合材料製、及び/又はプラスチック製のパイプを使用したものである。上支持パイプ及び下支持パイプは2組あって、左右に配置されている。横連結ロッドの外端は、トレッキングポールの中央下部の位置に外嵌して固定される。貫通孔は、径方向に延びるように、横連結ロッドの外端に形成されており、上支持パイプ及び下支持パイプは、それぞれ、この横連結ロッドの貫通孔の上側及び下側に螺合し、弾性ロープによって連結される。上支持パイプ及び下支持パイプは、連結された後、各トレッキングポールとともにX字型に交差する左支持フレーム及び右支持フレームを形成する。
【0012】
さらに、横連結ロッドは、左横連結ロッドと右横連結ロッドとに分かれ、左横連結ロッドと右横連結ロッドは、挿入又は螺合により取り外し可能に連結することができ、左横連結ロッドと右横連結ロッドの間は弾性ロープで繋がれている。
【0013】
好ましくは、貫通孔及び挿通孔はいずれも、上から下にかけて内側に傾斜している。
【0014】
好ましくは、左支持フレーム及び右支持フレームのトレッキングポールは、同一構造で、シャフトの高さを調節可能であり、左支持フレーム及び右支持フレームは、同一構造で、左右対称に配置されている。
【0015】
さらに、トレッキングポールは、互いに取り外し可能に連結される上シャフトと下シャフトとを含み、上シャフトの上端にはグリップ部が設けられ、下シャフトの下端には脚挿入部が連結される。上シャフトと下シャフトとは、ロックスリーブによって取り外し可能に連結される。下シャフトは、脚挿入部に挿入されて連結された後、下シャフトと脚挿入部とは固定スリーブによって固定される。横連結ロッドの外端は、下シャフトに外嵌し、固定スリーブの上方に配置され、移動を制限される。
【0016】
さらに、トレッキングポールのシャフトの中央下部の位置に形成された挿入孔に、固定ピンを挿入することによって、横連結ロッドの移動を制限して固定する。
【0017】
さらに、シートの背面の連結部材には、柔軟性のある材料で作られた連結スリーブが使用され、このうち上端の2つの連結スリーブはそれぞれ、2つのトレッキングポールのグリップ部と適合して挿入により連結され、下端の2つの連結スリーブはそれぞれ、左右2つの上支持パイプの上端と適合して挿入により連結される。
【発明の効果】
【0018】
既存の技術と比べた本発明の特長は、以下である。まず、椅子フレームに2本のトレッキングポールを本体として使用し、横連結ロッド及び上下支持パイプから成る2組の支持フレームを組み合わせるので、組立と分解が迅速且つ簡単である上、トレッキングポールを登山に使用する以外に、椅子の支持フレームとしても使用することができる。また、トレッキングポールのシャフトの高さを調節することによって椅子の背面の高さを調節することができるので、身長の異なるグループでの使用に適しているほか、収納や携帯がしやすく、重量を減らし、コストを下げることができる。さらに、柔軟性のある材料をシートとして使用しているので、軽く、嵩も小さく、低コストである。本発明は、構造が簡単且つ合理的で組立や分解がしやすく、製作が簡単で低コストであり、特に旅行や外出での携帯に適している。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施例1の椅子の斜視構造模式図である。
図2図1の椅子の分解図である。
図3】本発明の実施例の椅子の背面構造を示す模式図である。
図4図3の椅子の背面構造の分解図である。
図5】本発明の実施例2の椅子の構造分解模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面と実施例とを結び付けながら、本発明についてさらに詳しく説明する。
【0021】
<実施例1>
図1~4に示すように、折り畳み可能な椅子は、折り畳み可能な椅子フレーム10とシート1とを含む。椅子フレーム10の左側、右側にはそれぞれ、取り外し可能且つX字型に交差する左支持フレーム101、右支持フレーム102を使用し、左支持フレーム101及び右支持フレーム102の各支持パイプが横連結ロッド3の両側側部に取り外し可能に連結されることによって椅子フレーム10が形成される。シート1は、帆布又は綿布や革などの柔軟性のある材料を使って作られたシートであり、シート1には、通常、略長方形の形状のものを使用する。シート1の背面の上下両端の左右両側には、椅子フレーム10の両端と挿入により連結し合う連結スリーブ11及び12が設けられている。なお、本実施例では、連結部材は、連結スリーブの形状に作られているが、これに限らず、連結部材に、結び紐の形を採用して、椅子フレーム10に結び付けたり、又は椅子フレーム10のパイプ固定孔によって連結し固定したりするものであってもよい。また、連結部材にフックの形を採用して、椅子フレーム10のパイプ固定孔に引っ掛けて連結し固定してもよい。連結部材には、このように様々な形があるが、ここに逐一列挙はしない。
【0022】
この発明の重要な点について、以下に述べる。左支持フレーム101、右支持フレーム102はそれぞれ、シャフトが分解可能である1本のトレッキングポール2を有し、トレッキングポール2は、後側上方から前側下方の方向に傾斜するように横連結ロッド3の両側側部の挿通孔34内に差し込まれて固定される。また、トレッキングポール2に対応して、各側の左支持フレーム101及び右支持フレーム102はそれぞれ支持パイプ100を有し、支持パイプ100はそれぞれ、横連結ロッド3の側部に取り外し可能に連結される。これによって、X字型に交差して左右対称に配置された、同一構造を有する左支持フレーム101及び右支持フレーム102が形成される。折り畳んだ時の嵩を小さくするために、支持パイプ100には、上支持パイプ4と下支持パイプ5を弾性ロープ6によって引き寄せ連結したものを使用することができる。このように、アウトドア道具のトレッキングポール2を十分に利用して、折り畳み可能な椅子フレームの支持パイプとすることができるので、収納や携帯に便利であり、重量が減り、コストが下がり、さらに椅子の強度も高まる。
【0023】
具体的な構造は、以下である。椅子フレーム10は、好ましくは、2本の同一構造のトレッキングポールを横連結ロッド3、上支持パイプ4及び下支持パイプ5と繋ぎ合わせて組み立てることによって形成される。横連結ロッド3、上支持パイプ4及び下支持パイプ5は全て、金属製、複合材料製、及び/又はプラスチック製のパイプを使用している。例えば金属製パイプはステンレス製又はアルミ製のパイプを使用してもよく、複合材料製パイプはカーボンファイバー製のパイプを使用してもよく、プラスチック製パイプは、エンジニアリングプラスチック製のパイプ等を使用してもよい。
【0024】
横連結ロッド3は、左右2本のロッド、すなわち左横連結ロッド31と右横連結ロッド32が取り外し可能に連結されたものであり、組立と分解がしやすいように、左横連結ロッド31と右横連結ロッド32は、挿入又は螺合により連結される。左横連結ロッド31と右横連結ロッド32が分解後に散らばらないように、左横連結ロッド31及び右横連結ロッド32に、その内部を通る弾性ロープ36を繋いでおくことができ、左横連結ロッド31と右横連結ロッド32を結び付けて、互いに離れないようにしてもよい。
【0025】
上支持パイプ4及び下支持パイプ5は2組あり、それぞれ左右に配置されている。
【0026】
横連結ロッド3の左側及び右側の外端にはそれぞれ挿通孔34が形成されている。通常、挿通孔34は、後側上方から前側下方へと傾斜し、且つ上から下にかけてさらに内側に傾斜して、最終的には、横連結ロッド3をトレッキングポール2の中央下部の位置に外嵌させて固定し、しっかりと止めることができる。挿通孔34の強度を高めるため、挿通孔34の上下側には、継手35が取り付けられている。横連結ロッド3の左側及び右側の外端には、さらに貫通孔33が径方向に延びるように形成されており、貫通孔33は、連結強度を高めるために、横連結ロッド3内に中空スリーブ継手を挿設して固定することによって形成されてもよいし、貫通孔33は単純な貫通孔でもよい。通常、貫通孔33は、前側上方から後側下方に傾斜して形成され、上から下にかけて内側にも傾斜しており、貫通孔33内には、弾性ロープ6が挿通している。各上支持パイプ4及び各下支持パイプ5はそれぞれ横連結ロッド3の貫通孔33の上側と下側に設けられ、弾性ロープ6によって引き寄せられて連結される。上支持パイプ4と下支持パイプ5を連結すると、支持パイプ100が構成され、両側のトレッキングポール2とともにそれぞれX字型に交差する左支持フレーム101及び右支持フレーム102を形成する(図1~2参照)。
【0027】
さらに、上述のトレッキングポール2は、互いに取り外し可能に連結される上シャフト21と下シャフト22とを含み、上シャフト21と下シャフト22とは、オートロック機構を有するロックスリーブ25によって取り外し可能に連結される。上シャフト21の上端にはグリップ部23が設けられ、下シャフト22の下端には脚挿入部24が連結される。下シャフト22と脚挿入部24とは、挿入により連結された後、オートロック機構を有する固定スリーブ26によって固定される。以上は、トレッキングポールの一般的な設計であり(図2参照)、発明された点は、以下である。横連結ロッド3の左側及び右側の外端には、挿通孔34が横連結ロッド3の径方向に延びるように形成され、この挿通孔34により、横連結ロッド3が下シャフト22の中央下部の位置に外嵌して固定され、横連結ロッド3は固定スリーブ26の上方に位置する。固定スリーブ26の直径は、通常、挿通孔34の直径よりも大きいので、横連結ロッド3を固定スリーブ26の上方に位置させて移動を制限することができる。これにより、椅子の堅牢性が保障され、崩れにくく、位置決めして使用しやすい。もちろん、固定スリーブによって連結されるトレッキングポールを使用しなくてもよく、上シャフト21と下シャフト22が取り外し可能に連結されて、寸法が良好に適合するものであれば、通常使用することができる。右横連結ロッド32の内端には、左横連結ロッド31の内端と挿入により連結し合う縮径の挿入連結部321が設けられている。また、左横連結ロッド31及び右横連結ロッド32の外端の貫通孔33は、挿通孔34の外側に形成されている。弾性ロープ6の一端は、上支持パイプ4の中空孔内に固定されており、弾性ロープ6の他端は、貫通孔33を通って下支持パイプ5の中空孔内に固定されて連結されている。通常、上支持パイプ4及び下支持パイプ5の外径はいずれも、横連結ロッド3の貫通孔33の直径よりも大きい。しかし、下支持パイプ5は、上端に、横連結ロッド3の貫通孔33と適合する縮径部51を有する。この下支持パイプ5の縮径部51は、上支持パイプ4の内径と適合する。よって、縮径部51により下支持パイプ5の上端が貫通孔33を貫通し、上支持パイプ4の下端と挿入により連結し合い固定される。もちろん、上支持パイプ4と下支持パイプ5も、挿入による連結に限らず、螺合により連結されてもよい。支持パイプの地面接触能力を高めるため、通常、下支持パイプ5の下端には支持脚が設けられている。
【0028】
シート1の背面の連結スリーブ11及び12には、帆布製又は綿布製や革製のスリーブを使用する。連結スリーブのうち、上端の2つの連結スリーブ11はそれぞれ、2つのトレッキングポール2のグリップ部23と適合して挿入により連結され、下端の2つの連結スリーブ12はそれぞれ、左右2本の上支持パイプ4の上端と適合して挿入により連結される。これにより、折り畳み可能で携帯しやすい椅子が構成される(図3参照)。
【0029】
具体的な組立手順は、以下である。支持パイプ100を構成する上支持パイプ4及び下支持パイプ5を弾性ロープ6によって連結した後、横連結ロッド3と組み合わせて一体にする。そして、トレッキングポール2の上シャフト21と下シャフト22を分離し、下シャフト22の上端を横連結ロッド3の挿通孔34に通して、横連結ロッド3を固定スリーブ26に載置させた後、上シャフト21を再び差し込んで位置を調節し、椅子フレーム10を形成する。脚挿入部24を調整して椅子フレームの適当な位置になるようにし、最後に、シート1を連結スリーブ11及び12を介して椅子フレーム10に被せればよい。
【0030】
普段使わない時は、シート1と椅子フレーム10を楽に外すことができ、トレッキングポール2を登山に使用することができる。上支持パイプ4と下支持パイプ5とを引き離した後、横連結ロッド3と一緒に折り畳むと、収納や携帯がしやすく、重さと嵩を大幅に減らすことができる。
【0031】
<実施例2>
図5に示すように、実施例2の折り畳み可能な椅子が実施例1と相違するのは、左横連結ロッド31と右横連結ロッド32とが螺合により連結されて、横連結ロッド3を構成する点であり、実施例1の挿入連結部をネジ山部に変更する必要がある。また、上支持パイプ4及び下支持パイプ5と横連結ロッド3との連結も螺合による連結を採用しており、上支持パイプ4及び下支持パイプ5に雄ネジ山部を使用し、これに対応するように、横連結ロッド3の貫通孔33に雌ネジ山孔を使用している。トレッキングポール2のシャフトの中央下部の位置には、挿入孔27が形成され、固定ピン28を挿入することによって横連結ロッド3の移動を制限して固定することができる。その他の点は実施例1と類似又は一致する。
【0032】
以上は本発明の好ましい実施形態にすぎず、当業者は、本発明の技術的原理を逸脱しない限り、若干の変更や追加を行うことができ、これらの変更や追加も本発明の保護範囲とみなされることを述べておかなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【文献】中国実用新案登録第201320474349.X号
【文献】中国実用新案登録第201520878839.5号
【文献】中国実用新案登録第201920155438.5号
図1
図2
図3
図4
図5