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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】導波路型フィルタ付き光学部品
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/369 20110101AFI20221207BHJP
   H04N 9/04 20060101ALI20221207BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
H04N5/369
H04N9/04 A
G02B5/20 101
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021159596
(22)【出願日】2021-09-29
(62)【分割の表示】P 2019555005の分割
【原出願日】2018-06-18
(65)【公開番号】P2022002407
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2021-09-29
(31)【優先権主張番号】17177092.8
(32)【優先日】2017-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519357235
【氏名又は名称】ライフ テクノロジーズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】ヴェーラー クリスチャン
【審査官】西谷 憲人
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-019958(JP,A)
【文献】特開2008-177191(JP,A)
【文献】特表2010-507281(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0308214(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第104025583(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/369
H04N 9/04
G02B 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮断周波数を下回る周波数を有する入射放射線を減衰させることによって放射線をフィルタリングするための第1の層(211)と、
透明素子(212)と
を備え、
前記第1の層(211)が、放射線を少なくとも1つの開口部(213)を通って伝搬させるために、前記第1の層(211)を通って前記透明素子(212)まで貫通する前記少なくとも1つの開口部(213)を備え、
前記遮断周波数を下回る周波数を有する放射線が前記少なくとも1つの開口部(231)の内側で減衰されかつ前記遮断周波数を上回る周波数を有する放射線が前記少なくとも1つの開口部(213)を通って伝搬するように前記遮断周波数を提供するように、前記少なくとも1つの開口部(213)の断面サイズが構成され
前記第1の層(211)は、前記少なくとも1つの開口部(213)を通って伝搬せずかつ前記少なくとも1つの開口部(213)の内側では減衰されない入射放射線に対して不透過性であり、前記透明素子(212)に、前記少なくとも1つの開口部(213)を通過した放射線のみ入射し、
前記遮断周波数を下回る周波数を有し、前記透明素子(212)に到達する入射放射線の強度は、前記第1の層(211)の厚さによって制御される、
光学素子(200)。
【請求項2】
前記遮断周波数を下回る周波数を有する前記放射線が、前記少なくとも1つの開口部(213)の内側で指数関数的に減衰する、請求項1に記載の光学素子(200)。
【請求項3】
前記遮断周波数を上回る周波数を有する放射線が、前記少なくとも1つの開口部(213)の内側の1つ以上の伝搬モードに結合することによって、前記少なくとも1つの開口部(213)を通って伝搬する、請求項1~2のいずれか一項に記載の光学素子(200)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの開口部(213)が前記第1の層(211)の平面に垂直であり、前記少なくとも1つの開口部(213)が前記少なくとも1つの開口部(213)の軸に沿って一定の断面を有し、前記断面が、対称であり、かつ任意選択的に正方形、長方形、円形、または六角形の断面である、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学素子(200)。
【請求項5】
前記第1の層(211)が金属であるか、または前記第1の層(211)が、金属層でコーティングされた非金属層を備え、これにより、両方の場合において、前記少なくとも1つの開口部が、1つ以上の金属壁(220)を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の光学素子(200)。
【請求項6】
前記第1の層(211)が、異なる断面サイズcsi(i=1..n)、cs1>cs2>cs3…のうちの2つ、3つ、またはそれよりも多い開口部を備え、
それぞれの遮断周波数w1、w2、w3、…を下回る周波数を有する光を減衰させるように、かつそれぞれの遮断周波数を上回る周波数を有する光を伝搬させるように、各開口部が構成されており、ここで、w1<w2<w3…である、
請求項1~5のいずれか一項に記載の光学素子(200)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの開口部が、透明材料で充填されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の光学素子(200)。
【請求項8】
前記透明材料が、前記第1の層上に追加の層を提供する、請求項7に記載の光学素子(200)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの開口部(213)が、n個の異なるサイズに対して一辺の長さ値ai(i=1...n)を有する一定の正方形の断面を有し、前記少なくとも1つの開口部が金属壁(220)を有し、前記遮断周波数が、対応する遮断波長λi,cut-off(i=1...n)を有し、これを上回ると、前記放射線が、前記少なくとも1つの開口部(213)の内側で指数関数的に減衰し、これを下回ると、前記放射線が、前記少なくとも1つの開口部を通って伝搬し、ここでaiはλi,cut-off/2(i=1...n)に等しい、請求項1~8のいずれか一項に記載の光学素子(200)。
【請求項10】
前記第1の層(211)の厚さlzまたは前記少なくとも1つの開口部(213)の深さdが、
であり、
ここで、a1は前記一辺の長さ値ai(i=1...n)の最大の一辺の長さ値であり、
λD,1は、遮断波長λ1,cut-off=2a1よりも大きくかつ少なくとも1つの開口部(213)の内側で少なくともe-2倍だけ強度が減衰される放射線の波長である、波長であり、
前記開口部内が真空である場合には、前記波長λD,1及びλ1,cut-offは入射した放射線の真空中の波長であり、前記開口部内に誘電率ε、透磁率μの物質がある場合には、前記波長λD,1及びλ1,cut-offは入射した放射線の物質中の波長である、請求項9に記載の光学素子(200)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの開口部が長尺であり、好ましくは断面が矩形であり、これにより、前記長尺の方向における前記少なくとも1つの開口部の長さが、前記長尺の方向に垂直に偏光される放射線に対する遮断周波数を規定し、かつ前記長尺の方向に垂直な方向の前記少なくとも1つの開口部の長さが、前記長尺の方向に垂直に偏光する放射線に対する遮断周波数よりも大きいさらなる遮断周波数を規定する、請求項1~8のいずれか一項に記載の光学素子(200)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの開口部が、前記透明素子に向かってまたは前記透明素子から離れる方に先細になっている、請求項4または9~10を参照しない場合の、請求項1~3、5~8、または11のいずれか一項に記載の光学素子(200)。
【請求項13】
前記少なくとも1つの開口部(213)を通って伝搬せずかつ前記少なくとも1つの開口部(213)の内側で減衰されない入射放射線に対して、前記第1の層(211)が不透過性であり、および/または
前記少なくとも1つの開口部(213)を通過する放射線のみが前記第1の層(211)を通過する、
請求項1~12のいずれか一項に記載の光学素子(200)。
【請求項14】
第1の遮断周波数と第2の遮断周波数との間の周波数を有する放射線を測定するための光学装置(300、305)であって、
請求項1~5および7~13のいずれか一項に記載の学素子(310)を第1の光学素子として備え
請求項1~5および7~13のいずれか一項に記載の学素子(320)を第2の光学素子として備え、さらに
放射線を検出するための第1の検出器(330)と、
放射線を検出するための第2の検出器(340)と、
放射線の一部を反射しかつ放射線のさらなる一部を透過する、ビームスプリッタ(350)と、
前記第1の検出器(330)および前記第2の検出器(340)によって検出された前記放射線に基づいて、第1の遮断周波数と第2の遮断周波数との間の周波数を有する前記放射線を計算するように構成された、処理ユニット(370)と
を備え、
前記第1の光学素子が、前記第1の遮断周波数を提供する第1の断面サイズの開口部を有し、前記第2の光学素子が、前記第2の遮断周波数を提供する第2の断面サイズの開口部を有し、前記第2の遮断周波数が前記第1の遮断周波数よりも大きく、
前記第1の光学素子および前記第2の光学素子ならびに前記ビームスプリッタが、
(i)放射線の入射ビーム(360)が最初に前記ビームスプリッタ(350)に衝突し、前記ビームスプリッタ(350)から到来する透過部分(362)および反射部分(364)が前記第1の光学素子(310)および前記第2の光学素子(320)に衝突するように、配置されており、前記第1の検出器(330)が、前記第1の光学素子(310)を通過する放射線を検出するように配置されており、前記第2の検出器(340)が、前記第2の光学素子(320)を通過する放射線を検出するように配置されており、または
(ii)放射線の入射ビーム(360)が最初に前記第1の光学素子(310)に衝突、前記第1の光学素子(310)を通過するフィルタリングされた放射線(366)が前記ビームスプリッタ(350)に衝突し、前記ビームスプリッタ(350)から到来する透過部分(362)および反射部分(364)が前記第1の検出器(330)および前記第2の光学素子(320)に衝突するように、配置されており、前記第2の検出器(340)が、前記第2の光学素子(320)を通過する放射線を検出するように配置されている、
光学装置(300、305)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、光学部品に関し、より具体的には、入射放射線に対して遮断周波数を提供する層を有する光学部品に関する。光学部品は、画像センサなどの能動光学部品、またはレンズなどの受動光学部品であり得る。
【背景技術】
【0002】
今日、重要な能動光学部品は画像センサ、すなわち、光センサのアレイを使用することにより異なる領域の光強度を測定して画像を記録する電子装置である。典型的な画像センサは、半導体電荷結合素子(CCD)および相補型金属酸化膜半導体(CMOS)チップである。これらのセンサは、画像センサに当たる異なる色の光を区別するために、例えばベイヤーパターンを使用した着色フィルタ素子を有するカラーフィルタアレイを大抵使用する。別の種類の画像センサは、光が記録される深さを識別することによって光の色を決定する色分離のFoveonの方式に基づいている。この方式は、より長い波長を有する光がセンサ内へのより大きな侵入深さを有するという状況に基づいている。
【0003】
赤外光は典型的なセンサによって測定されるが、この部分の光は可視光の色を汚染することから望ましくないため、既知の画像センサは追加の赤外フィルタを必要とする場合がある。
【0004】
さらに、小さな画素、高い光測定効率、および良好な色分離を有する画像センサを作製することが一般的に望まれている。カラーフィルタアレイを有する画像センサは、通常、カラーフィルタを通して50%以上の光強度を失う。カラーフィルタアレイを有するか、またはFoveonの方式に基づく画像センサでは、色分離が制限され得る。また、光が画像センサに当たる角度とは無関係に光を集めて測定する画素を有する画像センサを作製することが一般的に望まれている。
【0005】
効率的なフィルタリングは、レンズ、ファイバカプラなどの受動光学部品の間の関心事でもある。そのような光学部品は、レンズの場合の色収差のように、画像用途には望ましくない周波数依存の挙動をしばしば有する。したがって、改善された撮像挙動を有する受動光学素子を有することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0006】
1つの課題は、赤外光を除去するために従来の赤外カラーフィルタを必要としない画像センサを提供することであり得る。さらなる課題は、画像センサに当たる異なる色の光を効率的に分離して測定する画像センサを提供することであり得る。さらなる課題は、狭い角度(すなわち、表面に対して非常に非垂直)で画像センサに当たる光の近傍の画素への漏洩光量が減少するか、または光の角度にあまり依存しない収集および測定効率を有する画素を有する画像センサを提供することであり得る。さらなる課題は、そのような画像センサの製造を単純化することができる構造的に単純な方法で(例えば、従来のカラーフィルタアレイを必要とせずに)小さな画素の色分離を可能にする画像センサを提供することであり得る。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、入射放射線を記録するための画像センサは、入射放射線をフィルタリングする第1の層と、第1の層を通過する放射線を吸収する第2の感光層と、を含んでもよい。第1の層は、入射放射線に対して不透過性である1つ以上の材料から形成されてもよい。第1の層は入射放射線の伝搬方向において第2の感光層の前にあり、第1の層は、少なくとも1つの開口部を通って放射線を伝搬させるために、第1の層を通って、第2の層まで貫通する、少なくとも1つの開口部を含む。少なくとも1つの開口部の断面サイズは、遮断周波数を下回る周波数を有する入射放射線が少なくとも1つの開口部の内側で減衰されるように、かつ遮断周波数を上回る周波数を有する入射放射線が前記少なくとも1つの開口部を通って伝搬するように、遮断周波数を提供するように構成されてもよい。
【0008】
実施形態では、第1の層は、所定の数の異なる断面サイズ(例えば、1つのサイズまたは3つの異なるサイズ)を有する多くの開口部を有してもよく、これにより、第1の層は、第1の層の平面における異なる位置において、1つ以上の異なる遮断周波数を有するフィルタ機能を提供する。第2の感光層は、第1の層の異なる開口部を通過する放射線の強度および位置を記録してもよい。したがって、実施形態による画像センサは、異なる位置で特定の波長範囲の光強度を記録することができる。そのような画像センサは、例えばデジタルカメラまたは携帯電話に見られることがある従来の画像センサと同様に使用されてもよい。言い換えれば、第1の層を使用して1つ以上の光成分への色分離を提供し、画像センサの第2の感光層は、その1つ以上の光成分を従来の画像センサの感光層と同様に記録することができる。
【0009】
画像センサは、以下の理由で上述の1つ以上の課題に対処する。フィルタ層は、赤外光を除去するが、より高い周波数を有する光(例えば、赤色光、緑色光、および青色光)の伝搬を可能にする遮断周波数を提供する1つ以上の開口部を有してもよい。少なくとも1つの開口部はまた、可視光スペクトルの1つ以上の異なる色を測定するために異なる範囲の光スペクトルにある遮断周波数を提供してもよい。例えば、異なる遮断周波数を有する開口部を通って伝搬する測定された放射線を差し引くことによって、異なるサイズの開口部を組み合わせて、画像センサに当たる個々の色の光を測定し、分離してもよい。少なくとも1つの開口部を通って伝搬する入射放射線は、この放射線が屈折しないように少なくとも1つの開口部の内部の伝搬モードに結合することによって伝搬することが可能であり、これは近傍の画素への光の漏洩、および/またはセンサに当たる光の角度への集光および測定効率の依存性を減少させることが可能である。少なくとも1つの開口部を通って光を伝搬させる誘導はまた、光の漏出、ならびに/または集光および測定効率の光の角度への依存性を減少させることが可能である。開口部を有するフィルタ層を有する画像センサは、標準的なチップ製造技術によって製造することが可能であり、かつ例えば着色フィルタ素子を有する従来のカラーフィルタアレイの提供を必要としないことが可能であるため、構造的に単純であり得る。この特徴は、小さな画素(例えば、1μm未満の画素ピッチを有する画素)に関連し得る。色分離の程度、すなわち、(例えば、遮断周波数を下回る)ある範囲の光がどれだけ強く減衰されるかは、少なくとも1つの開口部の深さによって制御することができる。結果として、より強い色分離は、より深い開口部を使用することによって、または入射光をフィルタリングするより厚い第1の層を使用することによって、達成することができる。
【0010】
本明細書に開示される態様のうちの任意の1つに関して、少なくとも1つの開口部は光のための導波路と見なすことが可能であり、第1の層は導波路型フィルタと見なすことが可能である。導波路技術では、電磁波の導波路の幅が遮断周波数を課し、これを下回ると電磁波は導波路を通って伝搬するのではなく指数関数的に減衰することが知られている。
【0011】
本発明の第2の態様によれば、光学素子は放射線をフィルタリングする第1の層と透明素子とを含む。第1の層は、少なくとも1つの開口部を通って放射線を伝搬させるために、第1の層を通って、透明素子まで貫通する少なくとも1つの開口部を含む。少なくとも1つの開口部の断面サイズは、遮断周波数を下回る周波数を有する放射線が少なくとも1つの開口部の内側で減衰されるように、かつ遮断周波数を上回る周波数を有する放射線が少なくとも1つの開口部を通って伝搬するように、遮断周波数を提供するように構成されている。
【0012】
第2の態様は、レンズ、ファイバカプラ、または受動光学部品の一部である概して透明素子などの受動光学部品に効率的なフィルタリングを提供するという課題に対処する。さらなる課題は、受動光学部品の望ましくない周波数依存の挙動を減少させる特定のフィルタリング特性を有する光学素子を提供することによって、そのような光学部品の結像特性を改善することであってもよい。
【0013】
本発明の第1の態様および第2の態様は、1つ以上の特徴を共有してもよく、したがって、このような共有された特徴の実施形態は両方の態様について同一でもよい。一例では、放射線をフィルタリングする第1の層の実施形態は、画像センサに、そして光学素子にも使用することが可能である。したがって、画像センサの第1の層に関してなされた言及は、光学素子の第1の層についても当てはまり、その逆についても当てはまる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態による画像センサの切断面図である。
図2図2Aは、画像センサの感光層上に第1の層が設けられた実施形態による画像センサの画素の概略断面図である。図2Bは、画像センサの感光層上に第1の層が設けられ、かつ第1の層と感光層との間に透明層が介在する実施形態による画像センサの画素の概略断面図である。図2Cは、画像センサの感光層上に第1の層が設けられ、かつ第1の層の開口部に透明材料が充填され、透明材料が第1の層上に透明保護層をさらに提供する実施形態による画像センサの画素の概略断面図である。
図3A】空の開口部を有する実施形態による、画像センサと入射放射線との相互作用の概略断面図である。
図3B】充填された開口部を有する実施形態による、画像センサと入射放射線との相互作用の概略断面図である。
図3C】充填開口部および透明保護層を有する実施形態による、画像センサと入射放射線との相互作用の概略断面図である。
図4】4つの隣接する画素が示されており、かつ2つの隣接する画素の開口部が互いに垂直で長尺の矩形の断面を有する実施形態の概略上面図である。
図5】各画素が開口部グループを有する3×3配列の画素が示され、各画素の開口部が3つの異なる断面サイズを有する画像センサの実施形態の概略上面図である。
図6】実施形態による光学素子の切断面図である。
図7図7Aは、実施の形態による、ある範囲内の放射線を測定するための光学装置の概略図である。図7Bは、実施形態による、ある範囲内の放射線を測定するためのさらなる光学装置の概略図である。
図8】実施形態による画像センサを有する撮像装置のブロック図である。
図9】実施形態による、画像センサによって取り込まれた画像の表現を計算するための方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施形態の詳細な説明
本明細書で使用される入射放射線、すなわち本発明の態様および実施形態のいずれかまたは全ては電磁放射線であり、可視光、または赤外光および/または紫外(UV)光を伴う可視光を含み得る。
【0016】
好ましくは、第1の遮断周波数を下回る周波数を有する入射放射線は、少なくとも1つの開口部の内側で指数関数的に減衰する。したがって、「遮断周波数」という用語は、好ましくは、開口部の深さが増すにつれて電磁波が指数関数的に減衰する限界周波数として定義される。指数関数的減衰は導波路理論に従って使用される。もちろん、遮断周波数について異なる定義を採用することが可能であり、例えば、さらなる遮断周波数を定義することができ、これを下回ると透過強度が入射放射線の強度の例えば90%~0%の特定の値に減少する。
【0017】
第2の遮断周波数を上回る周波数を有する入射放射線は少なくとも1つの開口部を通って伝搬する、すなわち、開口部の内側には放射線の伝搬を可能にするモードがある。実世界の開口部では、伝搬する放射線の強度は依然として減少する可能性があるが、その減少は遮断周波数を下回る放射線の場合よりも測定可能なほどに小さいであろう。標準導波路理論では、遮断周波数は、1つの特定の値に等しくてもよいが、実施形態では、第1の遮断周波数(これを下回ると、放射線が少なくとも1つの開口部内で減衰され)と、第2の遮断周波数(これを上回ると、放射線が少なくとも1つの開口部を通って伝搬する)との間の遷移周波数範囲があってもよい。第1の遮断周波数と第2の遮断周波数との間の周波数範囲は、例えば、開口部または開口部の壁の不完全性または他の理想的でない状況によって、あるいは開口部の特定の形態によっても引き起こされ得る。
【0018】
一般に、任意のまたは全ての実施形態について本明細書で使用される遮断周波数は、遮断周波数範囲を下回る周波数を有する入射放射線が少なくとも1つの開口部の内側で減衰され、かつ遮断周波数範囲を上回る周波数を有する入射放射線が少なくとも1つの開口部を通って伝搬するように、遮断周波数範囲(例えば、第1の遮断周波数および第2の遮断周波数によって制限される)であってもよい。言い換えれば、本明細書で使用される遮断周波数という用語は遮断周波数範囲として定義されてもよく、遮断周波数範囲という用語で置き換えられてもよい。標準的な導波路理論によれば、導波路は最低の遮断周波数を有することがあり、これを下回ると、伝搬モードがないために入射放射線は少なくとも1つの開口部を通って伝搬することができない。一般に、任意のまたは全ての実施形態について本明細書で使用される遮断周波数は、そのような最低の遮断周波数を意味することが可能であり、最低の遮断周波数よりも大きい遮断周波数を含まなくてもよい。(ある範囲内で)同じ最低の遮断周波数を有する2つ以上の伝搬モードもあり得る。一例では、正方形の開口部(すなわち、辺の長さが等しい矩形の開口部)は、同じ最低の遮断周波数を有する2つの伝搬モードを有することが可能である。
【0019】
本明細書で使用される「等しい」および「より大きい」のような表現は、厳密な数学的意味ではなく、それぞれ「実質的に等しい」および「実質的により大きい」を意味すると理解されるべきである。どの値が「実質的に等しい」かについての可能な定義は、任意のまたは全ての実施形態での使用のために「製造公差によって引き起こされる偏差内で等しい」または「±10%以内で等しい」または「±5%以内で等しい」とすることができる。等しい値に対する別の定義は、それらが典型的な測定の精度の範囲内で等しいということであり得る。
【0020】
少なくとも1つの開口部は、その断面サイズによるその定義の代替として、少なくとも1つの開口部が少なくとも遮断周波数を提供するように、大きさを有するか、または十分に小さいか、またはその深さに垂直な2方向に拡がりを有することが可能であり、その結果、第1の遮断周波数を下回る周波数を有する入射放射線が少なくとも1つの開口部内で減衰され、かつ遮断周波数を上回る周波数を有する入射放射線が少なくとも1つの開口部を通って伝搬する。
【0021】
フィルタ層は、開口部を有する金属層または金属コーティングを有する開口部を有する非金属層から形成されてもよい。フィルタ層はまた、特定の波長または波長範囲を上回る光に対して十分なフィルタ効果または減衰効果がある限り、開口部を有する不透過性材料の層で形成されてもよい。一般に、フィルタ層は、特定の波長を上回る光を十分に除去するか、または減衰させるように構成され得る。フィルタまたは減衰効果は、100%に近い必要はなく、フィルタまたは減衰効果は、より低くてもよく、例えば、透過強度が0%から90%の間に減少するように、100%から10%の範囲内にあってもよい。一般に、フィルタ層は、例えば、入射放射線を開口部の伝搬モードに結合することによって、特定の周波数を上回る入射放射線の十分な伝搬を可能にするように構成され得る。伝搬する放射線が遮断周波数を下回る放射線よりも測定可能なほどに小さく減衰される場合、十分な伝搬が提供され得る。遮断周波数を上回る伝搬する放射線と遮断周波数を下回る減衰された放射線との間の差は、100%から10%の範囲の丸められた値を有し得る。これは、遮断周波数を上回る伝搬する放射線はまた、100%から10%の間の丸められた値に減衰され得るが、遮断周波数を下回る放射線よりも測定可能なほどに小さく減衰されることを意味し得る。
【0022】
一般に、フィルタ層および少なくとも1つの開口部は、フィルタ層に当たる光子を、少なくとも1つの開口部を通って伝搬する1つ以上のモードに効率的に結合するように構成され得る。
【0023】
以下では、開口部の例示的な実施形態を最初に説明する。
【0024】
開口部の2つの基本的なパラメータは、開口部のサイズを記述するパラメータと、開口部の深さ(または第1の層の厚さ)を記述するパラメータである。以下の計算は、追加の透明材料で充填されていない開口部に対して行われるが、そのような材料をその光学特性と共に考慮に入れることができる。
【0025】
空の導波路を通る電磁波の伝搬に関しては、以下の波動方程式(真空源がない場合のマクスウェル方程式から導出される)が出発点として採用される。
または異なる表記で
ここで、(x,y,z,t)は、電界および磁界を表す(下線は、ベクトルを表す)。
【0026】
一定の軸方向断面を有するz方向の一般的な導波路の場合、z方向に伝搬する波を記述する以下のf(x,y,z,t)に対する解が適切である。
【0027】
この解を用いる場合、(x,y,z,t)は、複雑な関数であり、E電界またはB磁界などの物理量は、この関数の実部として扱われる。
【0028】
波動方程式は、次のようになる。
または
【0029】
壁として完全導体を有する導波路から導き出された境界条件と共にこの式は、f(x,y)の固有値問題を定義する。
【0030】
境界条件は、壁面の法線ベクトルとしてのに対するものである。
=0(すなわち、B磁界は法線方向に壁面で消失する)
×=0(すなわち、E電界は接線方向に壁面上で消失する)。
【0031】
それぞれx方向およびy方向に幅aおよび高さbを有す矩形形状の導波路の場合、そのような幾何学的形状に適した平面波動関数を使用することが一般的である。
【0032】
波動方程式から次が得られる。
【0033】
境界条件から、波数に対する結果が得られる。
【0034】
これよりz方向の波数は次のようになる。
【0035】
これは、z方向に伝搬する波(例えば、指数関数的に減衰しない)の場合、周波数wは最小の遮断周波数
(これはa>b(およびn=1、m=0)に対して、
である)より大きくなければならないことを意味する。
【0036】
ここで伝搬モードは、2つの主なモードタイプに分類することができ、それは(i)E_z=0である横方向電気モード(TE_m,n)(すなわち、電界は常に伝搬方向に対して横方向を向いている)および(ii)B_z=0である横磁気モード(TM_m,n)(すなわち、磁界が常に伝搬方向に対して横方向に向いている)である。E_z=0およびB_z=0(すなわち、電界および磁界が常に伝搬方向に対して横方向に向いている)である横電磁モード(TEM)もあるが、これは少なくとも2つの電気絶縁された導電壁を有する導波路を必要とする。
正方形の断面(すなわち、a=b)を有する導波路については、次のようになる。
【0037】
J.D.Jackson著の教科書「Classical Electrodynamics」,第6版,1967年、に示されるように、TEモードは常に最低遮断周波数
を有する一方、TMモードはより高い遮断周波数を有する。
【0038】
正方形の断面を有する導波路は、同じ遮断周波数を有する2つの別々のTEモード、すなわちTE_1,0モードおよびTE_0,1モードを有する。結果として、そのような導波路はマルチモード導波路であり、これは、導波路が放射線または遮断周波数を上回る光に対してより透明であるように導波路の開口に当たる光子を導波路のモードにより効率的に結合させる、という利点をもたらし得る。
【0039】
ここで考慮される導波路の長さは非常に短い(例えば、10μm未満または1μm未満)ため、不完全導体で形成された壁に関連し得る他の影響はここでは無視され得る。
【0040】
正方形の導波路の場合、2つの最小モード(n=1、m=0とn=0、m=1)は次を与える。
【0041】
導波路の非伝搬モード、すなわち遮断周波数w<w_c=c(π/a)よりも小さい角周波数を有するモードの場合、k_zの解は純虚数であり、z方向での波動の指数関数的減衰につながる。
ここで、λ=2πc/wは電磁(em)波の波長であり、λ_c=2aは遮断波長である。式(*)は、em波の波長が遮断波長を上回ると、導波路方向の伝搬がk_zで示されるように指数関数的に減衰していくことを示す基本式である。
【0042】
k_zに関する上記の式は、空の導波路に対してほぼ当てはまる。例えば誘電体材料で充填された導波路の場合、それは例えば、

ここで、εは導波路内の誘電透明材料の誘電率であり、μは誘電透明材料の透磁率である。ε_0およびμ_0は真空の対応する定数である。
【0043】
式(*)は、ここでは、波長400nm~700nmの可視光が、青色光、緑色光、および赤色光を表す3つの成分に分離されるように例示的な開口部を設計するために使用される。
【0044】
最大の開口部は、全ての可視光を伝搬させるが700nmを上回る光(赤外光)を抑制するように構成される。この結果、a_1=350nmとなる。
【0045】
中サイズの開口部は、青色光および緑色光(および黄色光)の伝搬を許容するが600nmを上回る赤色光を抑制するように構成される。この結果、a_2=300nmとなる。
【0046】
最小の開口部は、青色光の伝搬を可能にするが500nmを上回る緑色光および赤色光を抑制するように構成される。この結果、a_3=250nmとなる。
【0047】
他の実施形態では、可視光を異なる成分に分離するために遮断周波数の値が異なってもよい。一例として、中サイズの開口部は、青色光および緑色光の伝搬を可能にし、かつ570nmを上回る黄色光および赤色光を抑制するように、選択されてもよい。この結果、a_2=285nmとなる。
【0048】
光強度Sは、em波の電界の2乗に比例する:S prop(Re f)**2。
【0049】
ここで、開口部は、例えば遮断波長よりも100nm大きい波長λ_Dを有する光(λ_D=λ_c+100nm)が少なくともexp(-2)≒0.135倍だけ減少するように、設計することができる。これは、電界がexp(-1)倍だけ減少することを意味する。これは開口の最小深さl_zを与える。
【0050】
これより、a=a_1=350nmを有する最大の開口部(第1の層の最小厚さを決定する)について次が得られる。
【0051】
波長λ_D(λ_D=λ_c+100nm)を有する光に対する光強度を少なくともexp(-4)≒0.018倍だけ減少させることが望ましい場合、これはa=a_1を有する最小深さl_z’を与える。
【0052】
計算されたl_z’値は、かなり強い色分離(これは、より短い波長の光ではさらに強まる)を提供する。
【0053】
l_zまたはl_z’によって特定されるような第1の層の厚さを有する実施形態は標準的なチップ製造プロセスを用いて容易に製造され、約1から10マイクロメートル(またはそれよりも小さい、もしくはそれよりも大きい)の画素ピッチを有する画素を有する従来型であり得る設計の裸の画像センサ(すなわち、カラーフィルタアレイを有しない画像センサ)の上に、例えば460nmの厚さを有する金属層を堆積することができる。次いで、第1の層の開口部が、例えばエッチングプロセスを使用することによって設けられてもよい。このようにして、画素は金属層の開口部に直接結合される。開口部は、350nm、300nm、および250nmのサイズを有してもよい。必要な製造工程の全てが、今日の技術ですぐに利用可能である。
【0054】
より厚い第1の層は、開口部サイズによって規定される遮断波長よりも大きい波長を有する光のより厳密な低減を可能にする。それゆえ、より厚い第1の層は色分離を増大させる。したがって、より薄い層は、異なる光成分間の色分離を低減する。用途に応じて、色分離は、より厳密な方法、またはそれほど厳密ではない方法で実施されてもよい。
【0055】
さらなる実施形態では、第1の層の厚さはまた、開口部ごとに異なってもよい。
【0056】
さらなる実施形態では、開口部の形状は、例えば円錐形または先細(すなわち、フィルタ層の一方側において他方側よりも大きい開口を有する)であってもよく、開口部の断面は、円形、六角形、またはその他の形状などの非矩形であってもよい。
【0057】
一般に、集光効率が増大するように、光測定に使用できる画像チップの表面を可能な限り増大させることが望ましい場合がある。結果として、可能な限り多くの開口部を感光層の感光領域に結合することが可能であり、開口部間の壁の厚さを可能な限り薄くすることが可能である。
【0058】
例えば、約1マイクロメートルの画素ピッチを有する画像センサの感光領域が800nm×800nmであると仮定すると、一実施形態は同じサイズの4つの開口部をグループ化して4つの開口部を1つの画素に直接結合してもよい。このようにして、光損失が減少する。同じサイズ(例えば、350nm)の4つの開口部が1つの画素に結合され、同じ(例えば、250nm)の9つのより小さい開口部が別の画素に結合されることも可能であり得る。
【0059】
一般に、1つの画素に結合される開口部の数は、画素サイズ、開口部サイズ、および壁厚に従って変化し得る。一例として、4μmのサイズの正方形の画素は、金属壁が約50nmの厚さを有する場合、以下の数の正方形の開口部を有することができ、a=350nmを有する正方形の開口部の場合、1画素当たり9×9または10×10個の開口部が存在することが可能であり、a=300nmでは、1画素当たり11×11個の開口部が存在することが可能であり、a=250nmでは、1画素当たり13×13個の開口部が存在することが可能である。さらなる例では、画素は1μm未満の一辺の長さを有してもよく、各画素について、画素に結合された単一の開口部が存在してもよい。
【0060】
実施形態では、開口部は、a1>a2>a3…>anであるn個の異なるサイズの一辺の長さ値ai(i=1..n)を有する一定の正方形の断面を有してもよい。開口部は金属壁を有してもよく、遮断周波数は対応する遮断波長λi,cut-offを有してもよく、これを上回ると、入射放射線が少なくとも1つの開口部の内側で指数関数的に減衰し、かつこれを下回ると、入射放射線が開口部の開口部を通って伝搬し、ここでaiはλi,cut-off/2に等しい。この例では開口部の深さdに対応する第1の層の厚さlzは、開口部内の真空に対するものであり、
または
であり、ここでa_1は一辺の長さ値ai(i=1..n)の最大の一辺の長さ値であり、λ_D,1=λD,1は、遮断波長λ1,cut-off=2a1よりも大きく、かつ強度が少なくともe-2倍だけ減衰される放射線の波長である。言い換えれば、フィルタ層が、上記の式に従う深さdを有する場合、波長λ_D,1を有する放射線の強度は少なくとも1つの開口部内で少なくともe-2倍だけ減衰される。λ_D,1とλ1,cut-offとの間の波長を有する放射線はより少なく減衰され、λ_D,1を下回る放射線はさらに減衰されることとなるが、上記の式を用いて、ある程度の減衰を与える深さを決定することが可能である。一例では、λ_D,1は、比較的低いレベルの減衰またはそれほど急峻でないフィルタリング特性に対して、λ1,cut-offよりも100nm大きくなるように選択されてもよい(上記の例を参照)。さらなる例では、λ_D,1は、比較的高いレベルの減衰またはより急峻なフィルタリング特性に対して、λ1,cut-offよりも25nm大きいように選択されてもよい。
【0061】
l_z、vac、またはd_vacに対する上記の式は、完全に空の開口部、真空が存在しない開口部、または誘電体材料または空気などの物質で満たされた開口部に対して有効である。
または
ここで、波長λ D,1 及びλ i,cut-off ,(i=1...n)は、物質中の放射線の波長である。
【0062】
したがって、第1の態様は、入射放射線を記録するための画像センサに関し得る。画像センサは、入射放射線をフィルタリングする第1の層と、第1の層を通過する放射線を吸収して記録する第2の感光層と、を含んでもよい。第1の層は、入射放射線に対して不透過性である1つ以上の材料から形成されてもよい。一例では、第1の層は、入射放射線が少なくとも1つの開口部によって提供される1つ以上のモードに結合し、入射放射線の周波数に応じて、入射放射線(もしくは入射放射線のエネルギー)の減衰または入射放射線(もしくは入射放射線のエネルギー)の伝搬をもたらすため、入射放射線に対して不透過性であると見なされ得る。第1の層(またはフィルタ層)は、入射放射線の伝搬方向において第2の感光層の前にあり、第1の層は、少なくとも1つの開口部を通って放射線を伝搬させるために、第1の層を通って第2の層まで貫通する少なくとも1つの開口部を含む。少なくとも1つの開口部の断面サイズは、遮断周波数を下回る周波数を有する入射放射線が少なくとも1つの開口部の内側で減衰され、かつ遮断周波数を上回る周波数を有する入射放射線が少なくとも1つの開口部を通って伝搬するように、遮断周波数を提供するように構成されてもよい。言い換えれば、少なくとも1つの開口部は遮断周波数を提供し、遮断周波数を下回る周波数を有する入射放射線は少なくとも1つの開口部の内側で減衰され、遮断周波数を上回る周波数を有する入射放射線は少なくとも1つの開口部を通って伝搬する。したがって、少なくとも1つの開口部は、少なくとも1つの開口部によって提供される遮断周波数を下回る周波数を有する入射放射線を減衰させることによって、かつ遮断周波数を上回る周波数を有する入射放射線を少なくとも1つの開口部を通って伝搬させることによって、入射放射線をフィルタリングする。遮断周波数、減衰されたまたは減衰する、および伝搬するという用語は、導波路の分野におけるように使用されてもよい。したがって、遮断周波数を下回る周波数を有する入射放射線は少なくとも1つの開口部の内側で指数関数的に減衰することが可能であり、遮断周波数を上回る周波数を有する入射放射線は、少なくとも1つの開口部内で1つ以上の伝搬モードに結合することによって少なくとも1つの開口部を通って伝搬し得る。実施形態では、遮断周波数を上回る周波数を有する入射放射線も指数関数的に減衰することが可能であるが、この減衰は導波路理論によっては予測されず、代わりに他の理由(例えば、壁などの非理想的導体または他の現実世界の影響)によって引き起こされ得る。前述のように、本明細書で使用される遮断周波数という用語は、(導波路理論によって予測される1つの遮断周波数値だけではなく)遮断周波数範囲を意味し得る。この場合、遮断周波数範囲を下回る周波数を有する入射放射線は少なくとも1つの開口部内で減衰され、遮断周波数範囲を上回る周波数を有する入射放射線は少なくとも1つの開口部を通って伝搬する。
【0063】
実施形態では、少なくとも1つの開口部は第1の層の平面に垂直であってもよく、少なくとも1つの開口部は開口部の軸に沿って一定の断面を有し、断面が、対称であり、任意選択的に正方形、長方形、円形、または六角形の断面である。第1の層は、金属であってもよく、または第1の層は、金属層でコーティングされた非金属層を含んでもよく、これにより、両方の場合において、少なくとも1つの開口部は、1つ以上の金属壁を有する。任意選択的に、少なくとも1つの開口部の全ての壁は金属であってもよい。
【0064】
実施形態では、第1の層は、cs1>cs2>cs3…>csnである異なる断面サイズcsi(i=1..n)の2つ、3つ、またはそれよりも多い開口部を含んでもよい。各開口部は、それぞれの遮断周波数w1、w2、w3、…、wnを下回る周波数を有する光を減衰させるように、かつそれぞれの遮断周波数を上回る周波数を有する光を伝搬させるように構成されてもよく、ここで、w1<w2<w3…<wnである。言い換えれば、断面サイズcs1は遮断周波数w1を提供するように構成され、断面サイズcs2は遮断周波数w2を提供するように構成されている、などである。
【0065】
実施形態では、少なくとも1つの開口部は透明材料で充填されてもよく、かつ任意選択的に、透明材料は第1の層上に追加の保護層を提供してもよい。
【0066】
実施形態では、少なくとも1つの開口部は、n個の異なるサイズの一辺の長さ値ai(i=1…n)を有する一定の正方形の断面を有してもよい。少なくとも1つの開口部は金属壁を有してもよく、遮断周波数は対応する遮断波長λi,cut-off(i=1…n)を有してもよく、これを上回ると、入射放射線が少なくとも1つの開口部の内側で指数関数的に減衰し、かつこれを下回ると、入射放射線が少なくとも1つの開口部を通って伝搬する。一辺の長さ値aiは、λi,cut-off/2(i=1…n)に等しくてもよい。任意選択的に、第1の層の厚さl_z、または少なくとも1つの開口部の深さdは、
であってもよく、ここで、a1は、ai(i=1..n)の最大の一辺の長さ値であり、λ_(D,1)は、遮断波長λ1,cut-off=2a1よりも大きく、かつ、第2の感光層に到達したときに少なくとも1つの開口部の内側で少なくともe**(-2)倍だけ強度が減衰される放射線の波長である波長である。波長λ_(D,1)及びλi,cut-off(i=1…n)は、開口部内が真空である場合には、入射放射線の真空中の波長であり、開口部内に誘電率ε、透磁率μの物質がある場合には、波長λ_(D,1)及びλi,cut-off(i=1…n)は、物質中の入射放射線の波長である。開口部内の物質は、例えば空気、誘電透明物質、あるいはまた真空でもよい(この場合、因子sqrt((μ_0ε_0)/(με))は1になる)。
【0067】
実施形態では、感光層は画素のアレイを含んでもよく、同じ断面サイズを有する各開口部または各複数の連設された開口部が、アレイの個々の画素に重なり、かつ個々の画素に結合されている。実施形態では、各画素が感光性領域を含んでもよく、画素に結合された開口部または複数の連設された開口部は、個々の画素の感光性領域以上の大きさでありかつ画素の全領域よりも小さい領域を被覆してもよい。
【0068】
画像センサは、異なる画素アレイを有してもよい。一例では、アレイは1つまたは非常に少数の画素を有してもよく、異なる例では、アレイは4000×6000画素、もしくは1億画素(またはそれよりも多い)などのはるかに多くの画素、またはそれらの間の任意の数の画素であってもよい。画像センサが例えば走査装置に使用される場合、アレイはまた、1×8000画素または3×8000画素を有してもよい。ここでも、画素数はもっと多くてももっと少なくてもよい。
【0069】
実施形態では、画像センサの感光層は、従来の画像センサの感光層と同様または同一であってもよい。実施形態による入射放射線を記録するための画像センサは、回路に関する限り、従来の画像センサと同様であってもよい。言い換えれば、実施形態による画像センサは、有色フィルタ素子を有する従来のカラーフィルタアレイが実施形態による第1の層によって置き換えられた従来の画像センサと同様であってもよい。
【0070】
実施形態では、第1の層と感光層との間に透明層が位置してもよい。任意選択的に、透明層は、個々の画素の境界の上方に位置する壁を含んでもよく、壁は、入射放射線に対して不透過性、好ましくは金属である。
【0071】
実施形態では、第1の層は、2つ以上の異なる断面サイズを有する開口部のアレイを含んでもよい。アレイの各開口部は、n個の異なるサイズの一辺の長さ値ai(i=1..n)を有する一定の正方形の断面を有してもよく、各開口部は金属壁を有してもよい。開口部は、グループ化されてもよく、これにより、各開口部グループが、1つの開口部、または連設されており、かつ同じ断面サイズを有する2つ以上の開口部を有し、かつ各開口部グループが感光層の1つのみの画素に重なっており、かつこの画素に結合されている。開口部グループは、第1の層に繰り返しパターンで配置されてもよい。
【0072】
実施形態では、開口部は、3つ以上の異なる断面サイズを有してもよく、第1のサイズが、赤外光を除去し、かつ赤色光、緑色光、および青色光の伝搬を可能にし、第2のサイズが、赤色光を除去し、かつ緑色光および青色光の伝搬を可能にし、第3のサイズが、赤色光および緑色光を除去し、かつ青色光の伝搬を可能にする。第1の層内の繰り返しパターンは、画素アレイの各画素について、赤色光、緑色光、および青色光についての測定または補間された値を提供するように構成されてもよい。任意選択的に、第1の断面サイズの遮断周波数に対応する遮断波長λ_(1)は、600nm~750nmの範囲内、任意選択的に650nmから730nmの範囲内にあり、第1の断面サイズの一辺の長さ値a1が、300nm~375nmの範囲内、任意選択的に325nm~365nmの範囲内にあり、第2の断面サイズの遮断周波数に対応する遮断波長λ_(2)が、495nm~590nmの範囲内、任意選択的に515nm~570nmの範囲内にあり、第2の断面サイズの一辺の長さ値a2が、247nm~295nmの範囲内、任意選択的に257nm~285nmの範囲内にあり、第3の断面サイズの遮断周波数に対応する遮断波長λ_(3)が、450nm~510nmの範囲内、任意選択的に465nm~495nmの範囲内にあり、第3の断面サイズの一辺の長さ値a3が、225nm~255nmの範囲内、任意選択的に233nm~248nmの範囲内にある。
【0073】
実施形態では、第1の層は、3つ以上の異なる断面サイズを有する開口部のアレイを含んでもよく、第1のサイズが、赤外光、赤色光、緑色光、および青色光の伝搬を可能にし、第2のサイズが、赤色光を除去し、かつ緑色光および青色光の伝搬を可能にし、第3のサイズが、赤色光および緑色光を除去し、かつ青色光の伝搬を可能にする。第1のサイズの各開口部は、画素以下の画素領域に重なってもよく、第1のサイズの各開口部は、赤外光を除去し、かつ赤外光よりも短い波長を有する光を透過するフィルタ材料で充填されてもよい。任意選択的に、全ての開口部がフィルタ材料で充填され、および/またはフィルタ材料が第1の層上に追加の層を提供する。この実施形態では、最大の開口部は非常に大きいため、最大の開口部は、例えば赤外光を除去することによるフィルタ機能を提供しない。代わりに、赤外光は、追加の着色フィルタ材料が従来の画像センサに使用され得るように、追加の着色フィルタ材料によって除去される。そのような実施形態は、最大の開口部に結合された画素に記録される全ての周波数の光を集めるためにより効果的であり得る。
【0074】
実施形態では、開口部のアレイは3つの異なる断面サイズを有してもよく、開口部のグループは2つの交互の画素行に配置されてもよい。1行目の画素は、1つの画素内の赤色光、緑色光、および青色光と次の画素内の緑色光および青色光とを交互に測定してもよく、2行目の画素は、1つの画素内の緑色光および青色光と次の画素内の青色光とを交互に測定してもよい。赤色光、緑色光、および青色光を測定している第1の行の画素は、緑色光および青色光を測定する第2行の隣接する画素を有してもよい。
【0075】
実施形態では、開口部は、以下のさらなるサイズ、すなわち、赤外光遮断周波数を下回る遠赤外光の一部を除去し、かつ赤外光遮断周波数を上回る近赤外光のさらなる一部の伝搬および赤色光、緑色光、および青色光の伝搬を可能にする第4のサイズと、赤色光および黄色光を除去し、かつ緑色光および青色光の伝搬を可能にする第5のサイズと、赤色光および緑色光遮断周波数を下回る緑色光の一部を除去し、かつ緑色光遮断周波数を上回る緑色光のさらなる一部の伝搬および青色光の伝搬を可能にする第6のサイズと、赤色光、緑色光、および青色光を除去し、かつ紫外光の伝搬を可能にする第7のサイズと、のうちのいずれか1つ、またはこれらのサイズの任意の組み合わせを有してもよい。
【0076】
実施形態では、開口部は、2つ以上の異なる断面サイズを有し、断面サイズが、低域遮断周波数を下回る光を除去し、かつ低域遮断周波数を上回る光の伝搬を可能にする1つのサイズと、高域遮断周波数を下回る光を除去し、かつ高域遮断周波数を上回る光の伝搬を可能にする別のサイズと、を有してもよく、これにより、低域遮断周波数と高域遮断周波数との間の範囲内の光量が、光の他の成分に加えて測定可能である。任意選択的に、低域遮断周波数と高域遮断周波数との間の範囲は、原子または分子の異なる状態間の遷移を識別する、1つ以上のスペクトル線、任意選択的に原子または分子の吸収線または発光線を含んでもよい。
【0077】
実施形態では、少なくとも1つの開口部は、長尺、好ましくは断面が矩形であってもよく、これにより、長尺の方向における少なくとも1つの開口部の長さが、長尺の方向に垂直に偏光される入射放射線に対する遮断周波数を規定し、かつ長尺の方向に垂直な方向の少なくとも1つの開口部の長さが、画像センサによって分析されることを所望する入射放射線の範囲の上限よりも大きいさらなる遮断周波数を規定する。任意選択的に、第1の層は、感光層の画素のアレイの第1の画素に重なる複数の第1の長尺の開口部と、隣接する第2の画素に重なり、かつ第1の長尺の開口部に対して第2の長尺の開口部の軸の周りに90°だけ回転した断面形状を有する、複数の第2の長尺の開口部と、を含んでもよい。
【0078】
実施形態では、少なくとも1つの開口部は、第2の層に向かって、または第2の層から離れる方に先細になっていてもよい。
【0079】
図1は、実施形態による画像センサ10の切断面図である。画像センサ10は、入射放射線をフィルタリングする第1の層11と、第1の層を通過する放射線を吸収する第2の感光層12と、を有する。第2の感光層12は、画素14n,mのみが示されている画素のアレイを含む。画素14n,mは5×5個の開口部13に結合されているが、画素、開口部、および壁のサイズに応じて、1画素当たり他の数の開口部も可能である。実施形態では、開口部13は、第1の層11の平面に垂直であり、かつ開口部の軸に沿って一定の正方形の断面を有し、かつ画素14n、mに対して1つの遮断周波数を提供するために全て同じサイズを有する。開口部13は、第1の層11を通って、第2の層12まで貫通し、これにより、開口部13によって提供される遮断周波数を上回る放射線が、開口部13を通って伝搬し、かつ感光性の第2の層12において測定されることが可能である。これとは対照的に、遮断周波数を下回る放射線は、開口部13の内側で減衰され、かつ第2の層12で測定される放射線に対して僅かな部分しか寄与しないであろう。第1の層11の厚さを変えることによって、第2の層に達する遮断周波数を下回る放射線の強度を、(実際にはゼロに達するまで)所望の程度に当該強度を小さくすることができるように制御することができる。開口部13は金属壁20を有し、導波路として機能する。遮断周波数を下回る入射放射線は、開口部13の内側で指数関数的に減衰することによって開口部13の内側で減衰される一方、遮断周波数を上回る入射放射線は、開口部13の内側の1つ以上の伝搬モードに結合することによって開口部13を通って伝搬する。この実施形態では、遮断周波数に対応する遮断波長は、開口部13の正方形の断面の一辺の長さの2倍である。
【0080】
図1では、同じ断面サイズを有する複数の5×5の隣接する開口部13がアレイの個々の画素14n,mに重なっており、かつ個々の画素に結合されている。アレイの他の画素は、正方形の断面を有するが異なる断面サイズを有するさらなる複数の連設された開口部に結合されてもよい。
【0081】
フィルタ層11は、従来の設計のものでもよい感光層12の上に製造されてもよい。フィルタ層11は、標準的なCMOS技術または他のチップ製造技術を使用して、十分な厚さの金属層を設けることによって製造されてもよく、フィルタ層11の中に開口部13が製造される。実施形態では、開口部は、例えば、単一分子配列決定に使用されるゼロモード導波路と同様の方法で製造されてもよい(参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第US2014/0175052A1号を参照)。フィルタ層11はまた、画像センサ上に誘電体層を設け、誘電体層の一部を除去して開口部13を形成し、次いで、側面のおよび上面上の壁20を金属層で被覆することによって製造されてもよい(例えば、参照により本明細書に組み入れられる国際公開公報第WO2013/109877号を参照)。
【0082】
図2Aは、貫通孔で入射放射線をフィルタリングする第1の層11が画像センサ10の第2の感光層12上に設けられた実施形態による画像センサ10の画素の概略断面図である。図示のように、第1の層11は、フィルタ層11を通過する放射線を吸収する第2の感光層12の上に接触して配置されている。フィルタ層11は、遮断周波数を上回る放射線を伝搬させる、壁20を有する開口部13を有する。第1の層11の厚さ、したがって開口部13の深さはdである。
【0083】
感光層12は画素14n、14n+1、…のアレイを備え、各開口部13はアレイの個々の画素に重なっており、かつ個々の画素に結合されている。各画素14は感光領域15を備え、開口部13は、非限定的に示されるように、画素の感光領域15の上のみにあってもよく、これにより、測定できない光が画像センサに到達するのを阻止される。これは、近傍の画素に到達し得る迷光を減少させることが可能であり、これにより、感光層内の画素間の遮光は全くまたはほとんど必要ない。
【0084】
図2Bは、貫通孔を有する第1の層11が画像センサの第2の感光層12上に設けられ、かつ第1の層11と第2の感光層12との間に透明層16が介在する実施形態による画像センサ10の画素の概略断面図である。本実施形態では、透明層16は感光層12とフィルタ層11との間に導入されて、測定される光を集める面積の増大を可能にする。画素14nに結合された第1の層11のフィルタ領域は、画素14nの感光領域15よりも大きく、当該フィルタ領域は画素14n自体の面積とほぼ同じ大きさである。壁17は、例えば隣接する画素間の境界の上など、画素の限界に対応して設けられてもよい。この実施形態では、開口部13は、集光を最大にするために感応領域よりも大きい領域を被覆する。実施形態では、1つの画素に結合された開口部は、開口部、壁、および画素のサイズを考慮して、可能な限り多くの画素領域を被覆してもよい。
【0085】
透明層16の壁17は、不透過性(すなわち、光に対して非透過)または金属であってもよく、かつある画素領域14nから別の画素領域14n+1への光のクロスオーバーを防ぐために画素限界を超えて配置される。壁17を有する透明層16は、最初に不透過層または金属層を設けて壁17のみが残るように画素領域上で不透過層または金属層を除去することによって、かつ次いで、透明層16の透明誘電材料を設けることによって、製造されてもよい。
【0086】
図2Cは、画像センサ10の感光層12上に貫通開口部を有する第1の層11が設けられ、かつフィルタ層11の開口部13内に透明材料18が充填されて透明材料18がフィルタ層11上に透明保護層19をさらに設ける実施形態による画像センサ10の画素の概略断面図である。この実施形態では、透明材料18は、開口部を有するフィルタ層の上に追加の層19を設けるために、フィルタ層11の厚さよりも大きい厚さを有する。追加層19は保護層であってもよい。さらなる実施形態では、フィルタ層11の開口部13は、フィルタ層11の厚さと同じ厚さを有する透明材料18で充填されてもよい。透明材料を有する実施形態では、遮断周波数に関する計算は、透明材料18の誘電特性を考慮に入れなければならない場合がある。
【0087】
図3A図3Cは、上述され図2Aおよび図2Cに示された場合についての、入射光子と個々の開口部13との相互作用を概略的に示す。これらの例における開口部13の各々は金属壁20を有する。
【0088】
図3Aは、空の開口部を有する実施形態による入射光子と画像センサとの相互作用の概略断面図である。図3Aでは、開口部13は空であり、すなわち、図2Aに示された例に対応する透明材料で充填されていない。入射光子は、例えば斜めの入射角で開口部13に衝突し、入射光子の周波数が開口部13のサイズに対して十分に大きい場合、開口部内に伝搬導波路モードが存在することになる。したがって、光子または光子のエネルギーは、画像センサ画素の下層の感光領域に到達することができる。
【0089】
図3Bは、充填された開口部を有する実施形態による、画像センサと入射放射線との相互作用の概略断面図である。図3Bでは、開口部は、透明材料18の厚さがフィルタ層11の厚さに等しい図2Cの例に対応する透明材料で充填されている。言い換えれば、フィルタ層の開口部は、開口部の壁の上端まで透明材料で充填されている。図3Aの場合のように、斜め、すなわち非垂直入射角で到達し得る入射光子が開口部に入るが、入射光子の周波数が開口部のサイズに対して十分に大きい場合にのみ、光子(または光子の一部)のエネルギーを画像センサの感光層へと下方に伝搬させる導波路モードが利用可能となる。
【0090】
図3Cは、充填された開口部および透明保護層19を有する実施形態による、画像センサと入射放射線との相互作用の概略断面図である。図3Cでは、開口部が透明材料で充填され、かつフィルタ層11の上に透明保護層19が存在するように、透明材料がフィルタ層11に被着される。この場合、入射光子は、入射光子が開口部に入る前に、最初に屈折する。ここでも、入射光子の周波数が十分に大きい場合にのみ、伝搬導波路モードが利用可能となり、これにより、光子のエネルギーは、実質的に減衰されることなく、画像センサの下層の感光層または領域に到達することができる。
【0091】
さらなる実施形態では、入射放射線が各開口部の中心に集束するように、フィルタ層11の各開口部の上に、マイクロレンズの形態(例えば、凸状の上面を有する)で透明材料が設けられてもよい。そのようなマイクロレンズは、開口部が充填されない実施形態と開口部が透明材料で充填された実施形態とに使用されてもよい。第2の場合、マイクロレンズの透明材料は、開口部が充填される透明材料と同じでもよく、または透明材料は異なってもよい。マイクロレンズを有する実施形態は、画像センサの記録効率が増大するように、入射放射線の伝搬モードへのより良好な結合を提供することが可能である
【0092】
さらに別の実施形態では、3つより多い異なるサイズを有する開口部を有するフィルタアレイを使用することによって、マルチスペクトル画像が提供されてもよい。一例では、また、350nmよりも大きい開口部を使用して、赤外光を測定し、赤外光を測定される他の色と区別してもよい。一例では、250nmより小さい開口部を使用して、UV光を測定し、UV光を測定される他の色と区別してもよい。さらに、250nm~350nmのサイズを有する開口部を使用して、より狭い周波数帯域内の光を測定してもよい。狭帯域の光を測定しようとする場合、例えば近傍の画素として、極近接して狭帯域の限界の上下の光を測定する画素を配置することが有利であり得る。これにより、狭帯域の光に対するシステムの空間分解能が増大し得る。一般に、そのような実施形態は、光のフィルタリングのために利用可能な染料に依存することなく、異なる遮断周波数を任意の値で定義することができるため、ベイヤーフィルタなどの標準のカラーフィルタアレイに対する利点を有し得る。また、遮断周波数は、フィルタ層の深さを調整することによって、測定されない光(例えば、遮断周波数を下回る光)とは対照的に、測定される光(例えば、遮断周波数を上回る光)の急峻な限界を提供してもよい。製造方法は常に同様であり、開口部を形成するためのマスクのみを変更すればよく、これは標準的なCMOS技術または他の標準的なチップ製造技術を使用して行うことができる。
【0093】
本発明のさらなる実施形態では、光の偏光は、非正方形の開口部、すなわち、他の方向よりも一方向に長い開口部を使用することによって測定されてもよい。実施形態では、長手方向の長さは、遮断周波数を定義することによってフィルタリング機能を提供するために使用されてもよい一方、短手方向の長さは、開口部の遮断周波数が、測定されることが望まれる放射線(例えば、青色光範囲を上回るUV周波数範囲内)より高いように小さく選択されてもよい。この実施形態では、より高い遮断周波数は、光成分または周波数範囲を分離するためではなく、測定されることが望まれ、かつ開口部の長辺に沿って偏光する全ての光を抑制するために使用される。この実施形態では、開口部によって提供される導波路は、実効的に単一のモードTE導波路であってもよく、開口部の長辺に垂直な(かつ開口部の軸に垂直な、すなわちフィルタ層の法線ベクトルに垂直な)電界ベクトルを有するモードのみが、開口部を通って伝搬し得る(この電界ベクトルであれば、開口部の長辺に沿って長さが変化する)。開口部の長辺は、開口部の長辺に垂直な電界ベクトルを有する光に対する異なる遮断周波数を定義するように変化させてもよく、したがって、そのような偏光を有する異なる色範囲が測定され区別されてもよい。そのような実施形態では、単一のTEモードと同じ方向に偏光する光であれば、唯一の伝搬モードに効率的に結合し、単一のTEモードに垂直な方向に偏光する光であれば、唯一の伝搬モードへの結合はずっと非効率的であり、したがって周波数に関わらず除去される(測定された光が短辺の遮断周波数を下回るように開口部の短辺が十分に小さいと仮定する)。実施形態では、開口部は、矩形であり、かつ金属壁を有してもよい。
【0094】
そのような長尺の開口部を有する画素は、同じサイズであるが90度回転した開口部を有する隣接する画素を有してもよい。例示的な実施形態では、2つの隣接する画素を使用して、同じ遮断周波数を上回り、かつ2つの偏光方向のそれぞれについての光の量を別々に測定してもよい。さらなる例示的実施形態では、第1の対の隣接する画素が、第1の対の異なる画素について第1のサイズであるが90度だけ回転した開口部を有してもよく、第2の対の画素が、第1の対に隣接し、かつ第2の対の異なる画素について第2のサイズであるがここでも90度だけ回転した開口部を有してもよい。そのような実施形態では、2つの異なる周波数範囲(したがって、2つの異なる遮断周波数間の範囲でもある)および異なる偏光の光が測定されてもよい。
【0095】
図4は、4つの隣接する画素が示されており、かつ2つの隣接する画素の開口部が互いに垂直で長尺の矩形の断面を有するセンサ30の実施形態の概略上面図である。この実施形態では、4つの隣接する画素を二対の2つの隣接する画素にグループ化することができ、その対の各画素は互いに垂直で長尺の矩形の断面を有する。2つの画素14nおよび14n+1からなる第1の対において、画素14nは、画素14nに重なる複数の第1の長尺の開口部13a1を有し、画素14n+1は、画素14n+1に重なり、かつ第1の長尺の開口部13a1の断面形状に等しいが第1の長尺の開口部13a1に対して90°だけ回転した断面形状を有する複数の第2の長尺の開口部13b1を有する。同様に、2つの画素14n+2および14n+3からなる第2の対は、それぞれ画素14n+2および画素14n+3に重なり、互いに対して90°だけ回転している以外は同じ断面形状を有する、長尺の開口部13a2および長尺の開口部13b2を有する。
【0096】
画素14n、14n+2に対応して、フィルタ層は、図の垂直方向においてより長い開口部13a1、13a2を有し、一方、画素14n+1、14n+3に対応する開口部13b1、13b2は、水平方向においてより長い。短辺に沿った開口部の長さは、装置の全ての開口部について等しくてもよく、センサ30によって測定されることが望まれる特定の方向に偏光された全ての放射線が除去されるように十分に小さくてもよい。しかしながら、画素14nの開口部13a1および画素14n+2の開口部13a2は、異なる遮断周波数を提供し、かつ異なる波長範囲の放射線を除去するために、長辺に沿って異なる長さを有する。同様に、画素グループ14n+1の開口部13b1と画素グループ14n+3の開口部13b2とは、長辺に沿って異なる長さを有してもよい。一対の隣接する画素14nおよび14n+1は、長辺に沿って等しい長さを有し、かつ例えば2つの異なる偏光における1つの色範囲を測定してもよい。したがって、画素14nおよび14n+1は、それぞれ11×5個の開口部13a1、13b1のアレイを利用する。他の対の次の2つの隣接する画素14n+2、14n+3も、長辺に沿って等しい長さを有し、かつそれぞれ11×6個の開口部13a2、13b2を利用することによって2つの異なる偏光における別の色範囲を測定する。
【0097】
実施形態では、開口部は特定のパターンで配置されてもよい。以下では、b開口部は青色光のみが伝搬する開口部を表し、gb開口部は緑色光および青色光のみが伝搬する開口部を表し、rgb開口部は赤色光、緑色光、および青色光が伝搬する開口部を表す。
【0098】
実施形態では、開口部を有するフィルタアレイは、各画素が同じサイズの開口部にのみ結合されるように配置されてもよい。開口部が正方形の開口部であり、かつ開口部が画素上の正方形の領域に配置されている場合、1画素当たりの開口部の数は、1、4、9、または16~2500の他の平方数であってもよい。例えば画素の感光性領域の形状に応じて、1画素当たりの開口部の数はまた、20(4×5個の開口部)または130(10×13個の開口部)などの非平方数であってもよい。
【0099】
パターン状に配置された開口部を有する実施形態の場合、以下の特徴が設けられてもよい。
【0100】
(i)赤色光、緑色光、および青色光を測定する画素用のrgb、(ii)緑色光および青色光を測定するgb画素、および(iii)青色光のみを測定するb画素の、3種類の画素を有する。
【0101】
赤色光成分Rは、画素について、R=rgb-gbによって計算され得る。
【0102】
緑色光成分Gは、画素について、G=gb-bによって計算され得る。
【0103】
青色光成分Bは、画素について、B=bによって計算され得る。
【0104】
ベイヤーカラーフィルタアレイと同様に、光範囲は、光範囲が測定されない画素について補間されなければならない場合がある。上記から分かるように、gb画素値は他の2つの光成分を計算するために使用されるため、これらの値を最高の精度で、かつ最高の周波数で有することが有利であり得る。
【0105】
この理由で、実施形態は以下の画素アレイを有してもよい。
点は、それぞれの行および列について示された一連の画素の繰り返しの連続を表す。一例では、rgb gb rgb gb…はrgbおよびgbの画素を繰り返すパターンを表す。
【0106】
可視波長で使用するための、そのような画素アレイを有する画像センサ100の例示的な実施形態を図5に示す。図5は、各画素が開口部のアレイを有する3×3の画素アレイが示されている画像センサ100の実施形態の概略上面図であり、画素の開口部の断面サイズは3つの異なるサイズを有する。分かるように、画素アレイは画素14n、m(n、m=1、2、3、…)を備え、各画素は特定の開口部アレイを有する。例えば、左上、右上、左下、および右下の画素は、それぞれ4×4個の正方形の形状の開口部13rgbを有する。これらの開口部13rgbのサイズは、赤外光および低周波数光が減衰される一方で、赤色光、緑色光、および青色光が開口部を通って伝搬するような周波数に遮断周波数が存在するようなものである。上側中央部、下側中央部、左中央部、および右中央部の画素は、順に、緑色光および青色光を通過させ、かつ赤色光を通過させないようにサイズ設定された5×5個の正方形の開口部13gbをそれぞれ有する。最後に、中央の画素は、青色光のみを通過させるようにサイズ設定された6×6個の正方形の開口部13bを有する。
【0107】
全ての画素について3つの全ての光成分を計算するために、
と書いてもよく、ここで、インデックスiは、値が測定値ではなく、画素に対する補間値であることを示し、P_m,nは、図5の3×3パターンの行mおよび列nの画素である。
【0108】
補間値の計算には、ベイヤーパターンと同様の方法を使用することができる(ここで、実施形態のgb画素は、rgb画素およびb画素の2倍の頻度であり、ベイヤーパターンの緑色画素に対応する)。ベイヤーパターンに使用される1つの簡単な標準的な技術は、各チャンネルについて各画素の全ての欠測値を別々に補間する双一次補間である。実施形態では、これは以下を意味し得る。
1.ここでP_2,2について行われたように、4つの近傍のgb画素からの全てのrgb画素およびb画素について、全てのgb_i値が以下の方法で計算される。
2.全てのrgb_i値は、異なる画素に対して次のように計算される。
3.全てのb_i値は、異なる画素に対して次のように計算される。
【0109】
したがって、実施形態では、まず直接測定または補間によって全ての関連周波数範囲が全ての画素について決定され、次いで、異なる周波数範囲の値を差し引くことによって異なる色成分が各画素について計算される。そのような手順はまた、それらがここに記載されているように3つよりも多い(または少ない)異なる周波数範囲に対して使用されてもよい。4つの異なる周波数範囲を有する異なる実施形態では、図5のアレイのgb画素のうちの各秒が、第4の周波数範囲を測定するために使用されてもよい。次いで、4つの異なる周波数範囲の値を測定するか、またはそれに近い画素から補間してそれぞれの周波数範囲を測定してもよい。全画素について4つ全ての周波数範囲を決定した後、各画素について減算することによって4つの異なる色成分が計算されてもよい。
【0110】
ベイヤーパターンの補間のための当該技術分野において知られている他の技術を対応する方法で適用することができる。そのような技術は、エッジ有向補間、一定色相ベース補間、メジアンベース補間またはフリーマン補間、勾配ベース補間またはラロシュ-プレスコット補間、加重和補間、補正として2次勾配を用いる補間、ベイズ補間、均一性有向補間、パターンマッチング補間、エイリアスキャンセル補間、POCSを含む。
【0111】
異なる実施形態では、rgb開口部、gb開口部、およびb開口部は、上述のパターンとは異なるパターンで配置されてもよい。また、rgb開口部(またはb開口部)およびgb開口部は、他の2つの開口部タイプ中のものよりも2倍多くのrgb開口部(またはb開口部)がパターン内に存在するように交換されてもよい。
【0112】
さらなる実施形態では、rgb開口部、gb開口部、およびb開口部は、以下のパターンで配置されてもよい。
【0113】
さらなる実施形態では、rgb開口部、gb開口部、およびb開口部の数は、以下のパターンを使用することによって実質的に等しくてもよい。
【0114】
さらなる態様によれば、導波路として機能する開口部を有するフィルタ層を有する実施形態はまた、画像センサとは異なる透明光学素子上の光学素子として提供されるときにフィルタとして使用されてもよい。そのような光学素子はレンズまたはガラス素子であってもよい。開口部は、層を通過する全ての光に対して1つの遮断周波数を提供するために全て同じサイズを有してもよく、または開口部は、特定の周波数分布を有する光を通過させるために異なるサイズを有してもよい(異なるサイズの開口部の分布が周波数分布を決定する)。そのような層は、他の光学フィルタの種類では利用できないフィルタ特性を提供し得る。フィルタ層はまた、特定の偏光を有する光を除去する長尺の開口部を有してもよい。
【0115】
図6は、実施形態に係る光学素子200の切断面図である。光学素子200は、放射線をフィルタリングする第1の層211と、透明光学素子であってもよい透明素子212と、を有する。透明素子212は、フィルタリングされることが望まれる放射線に対して透明であり、ガラスまたは透明プラスチックまたは他の任意の適切な材料から形成されてもよい。光学素子200は、2つの空気表面(一方は第1の層211の上にあり、他方は光学素子の下にある)、または他の光学素子に対して1つまたは2つの表面を有してもよい。表面は、平行平面、平面、または曲がっていてもよい。第1の層211は、第1の層211を通って、第2の層、すなわち透明素子212まで貫通する少なくとも1つの開口部213を有し、少なくとも1つの開口部213を通って放射線を伝搬させる。この実施形態では、光損失を可能な限り減少させるために、製造プロセスが許す限り互いに接近した複数の開口部213が存在する。開口部213の断面サイズは、遮断周波数を下回る周波数を有する放射線が開口部213の内側で減衰され、かつ遮断周波数を上回る周波数を有する放射線が213を通って伝搬するように、遮断周波数を提供するように構成されている。この実施形態では、遮断周波数を下回る周波数を有する放射線は開口部213の内側で指数関数的に減衰し、遮断周波数を上回る周波数を有する放射線は開口部213の内側の1つ以上の伝搬モードに結合することによって開口部213を通って伝搬する。
【0116】
図6では、開口部213は、第1の層211の平面に垂直であり、開口部213の軸に沿って一定の断面を有する。断面は、対称であり、かつ正方形の断面である。しかしながら、異なる実施形態では、断面は、長方形、円形、または六角形であってもよい。この実施形態では、第1の層211は金属であり、開口部213は金属壁220を有する。異なる実施形態では、第1の層211は、金属層でコーティングされた非金属層を含んでもよく、これにより開口部はやはり1つ以上の金属壁を有する。一般に、開口部213の深さまたは第1の層の厚さは、開口部によって提供される遮断周波数を下回る周波数を有するどれだけの放射線または光が開口部を通過できるかを決定する。第1の層は、遮断周波数を下回る光が任意の所望の量に減衰されるように十分に厚く作製されてもよい。
【0117】
異なる実施形態では、第1の層211は、cs1>cs2>cs3…である異なる断面サイズcsi(i=1..n)の2つ、3つ、またはそれよりも多い開口部を含んでもよい。同じサイズの各開口部または各開口グループは、それぞれの遮断周波数w1、w2、w3、…を下回る周波数を有する光を減衰させるように、かつそれぞれの遮断周波数を上回る周波数を有する光を伝搬させるように構成されてもよく、ここで、w1<w2<w3…である。異なる断面サイズを有する開口部を使用することによって、遮断周波数の分布に従って光を除去することが可能である。実施形態では、開口部の半分は、赤色光および緑色光を除去し、かつ青色光を通過させる遮断周波数を有してもよく、開口部の残りの半分は赤色光のみを除去してもよい。異なる断面サイズを有する開口部を使用することによって、従来のフィルタでは得ることができないフィルタ特性を得ることが可能であり得る。さらなる実施形態では、少しずつ変化する断面サイズを有する開口部が、光学レンズに使用されてもよい。この実施形態では、フィルタ層を使用して赤外光をフィルタ除去してもよいが、開口部がレンズの中心から離れるほど、断面サイズが小さくなり、レンズの周辺部では、レンズの中心と比較して、高い周波数を有するより多くの赤外光が除去される。これはレンズの光学特性を改善し得る。
【0118】
さらなる実施形態では、1つ以上の開口部は、第1の層上に追加の層をさらに提供し得る透明材料で充填されてもよい。そのような実施形態は、図2Cに示されているものと同様であるが、感光層12の代わりに透明素子212が存在する。
【0119】
図6では、開口部213は、単一のサイズの一辺の長さ値a1を有する一定の正方形の断面を有する。開口部213は金属壁を有し、遮断周波数は対応する遮断波長λ1,cut-offを有し、これを上回ると、放射線は開口部213の内側で指数関数的に減衰し、これを下回ると、放射線は開口部213を通って伝搬する。この実施形態では、a1はλ1,cut-off/2に等しい。
【0120】
さらなる実施形態では、開口部は、1つより多い一辺の長さの値を有してもよく、例えば、開口部は3つの値a1、a2、およびa3を有してもよい。そのような実施形態であれば、a1がλ1,cut-off/2に等しく、a2がλ2,cut-off/2に等しく、a3がλ3,cut-off/2に等しい、3つの遮断波長λ1,cut-off、λ2,cut-off、およびλ3,cut-offが存在する。
【0121】
実施では、第1の層211の厚さl_zまたは開口部213の深さdは、
であってもよく、ここで、a1は、一辺の長さ値ai(i=1...n)の最大の一辺の長さ値であり、λ_D,1は、遮断波長λ1,cut-off=2a1よりも大きく、かつ、第2の感光層に到達したときに少なくとも1つの開口部の内側で少なくともe-2倍だけ強度が減衰される放射線の波長である波長である。波長λ_(D,1)及びλi,cut-off(i=1…n)は、開口部内が真空である場合には、入射放射線の真空中の波長であり、開口部内に誘電率ε、透磁率μの物質がある場合には、波長λ_(D,1)及びλi,cut-off(i=1…n)は、物質中の入射放射線の波長である。開口部内の物質は、例えば空気、誘電透明物質、または真空であってもよい(この場合、因子sqrt((μ_0ε_0)/(με))は1になる)。
【0122】
さらなる実施形態において、開口部は長尺、好ましくは断面が矩形であってもよく、これにより、長尺の方向における少なくとも1つの開口部の長さが、長尺の方向に垂直に偏光する放射線に対する遮断周波数を定義し、かつ長尺の方向に垂直な方向の少なくとも1つの開口部の長さが、長尺の方向に垂直に偏光する放射線に対する遮断周波数よりも大きいさらなる遮断周波数を定義する。実施形態では、さらなる遮断周波数は、関連する全ての放射線よりも大きくてもよく、すなわち、光学素子が使用される用途には実際には関連しないような高い周波数を有する放射線のみが、当該放射線が除去すべきと考えられる偏光を有していても、光学素子を通過することができる。一例では、さらなる遮断周波数は、紫外光の周波数範囲内または紫外光を下回る周波数範囲内にあってもよい。
【0123】
さらなる実施形態では、開口部は、透明素子に向かってまたは透明素子から離れる方に先細になっていてもよい。これは、入射放射線に対して特定のフィルタ効果を達成するために行われてもよい。
【0124】
図7Aは、実施形態による、特定の範囲内の放射線を測定するための光学装置300の概略図である。特定の範囲は、第1の遮断周波数と第2の遮断周波数との間の周波数範囲として定義される。光学装置300は、第1の光学素子310と、第2の光学素子320と、放射線を検出する第1の検出器330と、放射線を検出する第2の検出器340と、ビームスプリッタ350と、処理ユニット370と、を含む。第1の光学素子310および第2の光学素子320は、上述の光学素子のうちの1つ、例えば図6に示す光学素子と一致してもよい。この実施形態では、第1の光学素子310は、第1の遮断周波数を提供する第1の断面サイズの開口部を有し、第2の光学素子320は第1の遮断周波数より大きい第2の遮断周波数を提供する第2の断面サイズの開口部を有する。検出器330および340は、関連する周波数範囲の放射線または光を検出または記録する任意の種類の検出器であってもよい。検出器は、空間的に分解された放射線の検出のための画素を有するCCDまたはCMOS画像センサを含んでもよく、または検出器は、放射線の空間分解能なしに放射線の総量を検出する光電子増倍管を含んでもよい。ビームスプリッタは、衝突する放射線の一部を反射し、かつ衝突する放射線のさらなる一部を透過するように構成されている。ビームスプリッタは好ましくはペリクルミラーであってもよいが、互いに接着された2つの三角プリズムを使用するビームスプリッタまたは二色性コーティングを使用するビームスプリッタなどの他の種類のビームスプリッタも使用してもよい。一例では、ビームスプリッタは、2つの遮断周波数の間の光量が第1の検出器と第2の検出器との間の測定値の差に等しいように、特定の範囲内の入射光の約50%を反射し、特定の範囲内の入射光の約50%を透過してもよい。この実施形態では、放射線の入射ビーム360が最初にビームスプリッタ350に衝突し、かつビームスプリッタ350から到来する透過部分362および反射部分364が第1の光学素子310および第2の光学素子320に衝突するように、第1の光学素子310および第2の光学素子320ならびにビームスプリッタ350が配置されている。図7Aでは、ビームスプリッタからの反射ビームは第1の光学素子310に衝突し、ビームスプリッタからの透過ビームは第2の光学素子320に衝突する。異なる実施形態では、第1の光学素子310と第2の光学素子320との位置が交換されてもよい、すなわち反射ビームが第2の光学素子に衝突し、透過ビームが第1の光学素子に衝突する。いずれの場合も、第1の検出器330は第1の光学素子310を通過する放射線を検出するように構成され、第2の検出器340は第2の光学素子320を通過する放射線を検出するように構成されている。処理ユニット370は、第1の検出器330および第2の検出器340によって検出された放射線に基づいて、第1の遮断周波数と第2の遮断周波数との間の周波数を有する放射線を計算するように構成されている。処理ユニット370は、検出器330および340によって検出された放射線の量を特定するデータを受信するように第1の検出器および第2の検出器に通信可能に結合されたコンピュータであってもよい。ビームスプリッタが入射光の約50%を反射し、かつ入射光の約50%を透過すると仮定すると、第1の遮断周波数と第2の遮断周波数との間の放射線の量は、第1の検出器によって検出された放射線の量から、第2の検出器によって検出された放射線の量を差し引くことによって計算できる。計算は、第1の検出器および第2の検出器(例えば、第1の検出器および第2の検出器が光電子増倍管である場合)によって検出された放射線の総量について行うことができる。しかしながら、第1の検出器および第2の検出器が検出された放射線を空間的に分解する場合(例えば、第1の検出器および第2の検出器が画素を有するCCDまたはCMOS画像センサである場合)、計算はまた、例えば第1の検出器および第2の検出器で使用される画像センサの対応する画素からの値を使用することによって、空間的に分解された放射線について行うことができる。
【0125】
図7Bは、実施形態による特定の範囲内の放射線を測定するためのさらなる光学装置305の概略図である。この実施形態では、光学装置305は、光学装置300と同じ素子、すなわち第1の光学素子310、第2の光学素子320、放射線を検出する第1の検出器330、放射線を検出する第2の検出器340、ビームスプリッタ350、および処理ユニット370を含む。しかしながら、放射線の入射ビーム360が最初に第1の光学素子310に衝突し、第1の光学素子310を通過するフィルタリングされた放射線366が、次いで、ビームスプリッタ350に衝突する。ビームスプリッタ350から到来する透過部分362および反射部分364は、第1の検出器330および第2の光学素子320に衝突する。図7Bでは、ビームスプリッタ350からの反射ビーム364は第1の検出器330に衝突し、ビームスプリッタ350からの透過ビーム362は第2の光学素子320に衝突する。異なる実施形態では、第1の検出器330と第2の光学素子320との位置が交換されてもよい、すなわち反射ビームが第2の光学素子に衝突し、透過ビームが第1の検出器に衝突する。いずれの場合も、第2の検出器340は、第2の光学素子320を通過する放射線を検出するように配置されている。ここでも、処理ユニット370は、第1の検出器330および第2の検出器340によって検出された放射線に基づいて、第1の遮断周波数と第2の遮断周波数との間の周波数を有する放射線を計算するように構成されている。ここでもビームスプリッタが入射光の約50%を反射し、かつ入射光の約50%を透過すると仮定すると、第1の遮断周波数と第2の遮断周波数との間の放射線の量は、第1の検出器330によって検出された放射線の量から第2の検出器340によって検出された放射線の量を差し引くことによって計算できる。図7Aの実施形態のように、第1の検出器および第2の検出器によって検出された放射線の総量について、または第1の検出器および第2の検出器によって検出された空間分解された放射線について、例えば第1の検出器および第2の検出器で使用される画像センサの対応する画素からの値を使用することによって、計算を行うことができるかどうかは、第1の検出器および第2の検出器に依存する。
【0126】
本明細書で開示されるような入射放射線は、紫外光を含んで紫外光から始まり、かつ赤外光を含んで赤外光で終わる範囲の光を含む、または当該光である。
【0127】
本明細書で開示されるような画像センサの実施形態では、第1の層は、少なくとも1つの開口部を通って伝搬せず、かつ少なくとも1つの開口部の内側では減衰されない入射放射線に対して不透過性であってもよく、および/または第2の感光層12は、少なくとも1つの開口部13を通過した放射線のみを吸収してもよい。言い換えれば、少なくとも1つの開口部を通って伝搬し、かつ少なくとも1つの開口部の内側で減衰される放射線のみが第1の層を通過する。第1の層は、少なくとも1つの開口部13を通過する放射線のみが第1の層11を通過するように、少なくとも1つの開口部を通過しない入射放射線に対して不透過性であるか、当該入射放射線を遮断すると見なしてもよい。また、第1の層は、少なくとも1つの開口部を通過する入射放射線を除いて、入射放射線に対して不透過性であると見なしてもよい。そのような実施形態では、第1の層は、入射放射線が第1の層を通過する唯一のモードとして、入射放射線が少なくとも1つの開口部を通過することを提供し、第1の層は、入射放射線が第1の層を通過するいかなる追加のモードも提供しない。特に、第1の層は、入射放射線が第1の層を通過することを可能にするプラズモンモードまたはいかなる種類のプラズマ励起モードも提供しない。複数の開口部13を有する第1の層11を有する実施形態の場合、第1の層11は、開口部13のうちの1つを通過しない入射放射線(すなわち、開口部13のうちの1つを通過せず、かつ開口部13のうちの1つの内側で減衰されない入射放射線)に対して不透過性であってもよい。その結果、第2の感光層12は、開口部13を通過した放射線のみを吸収する。同様に、本明細書で開示されるような光学素子200の場合、第1の層211は、少なくとも1つの開口部213を通って伝搬せず、かつ少なくとも1つの開口部213の内側で減衰されない入射放射線に対して不透過性であってもよく、および/または少なくとも1つの開口部213を通過する放射線のみが第1の層211を通過する。複数の開口部213を有する第1の層211を有する実施形態の場合、第1の層211は、開口部213を通過しない入射放射線(すなわち、開口部213を伝搬せず、かつ開口部の内側213で減衰されない入射放射線)に対して不透過性であってもよい。
【0128】
本明細書で開示されるような画素のアレイを有する画像センサの実施形態では、画素のアレイの各画素は、画素に結合された開口部グループの1つ以上の開口部を通って伝搬する放射線の強度の量を、開口部グループの1つ以上の開口部の内側で減衰された放射線の強度の量と共に記録してもよい。そのような実施形態では、画素のアレイの各画素はそれ以上の放射線を記録しなくてもよい。
【0129】
本明細書に開示されるような画素のアレイを有する画像センサの実施形態では、第1の層は、同じ画素に結合された開口部の断面サイズよりも薄い、同じ画素に結合された開口部間の壁を有してもよい。開口部の断面サイズは、正方形の開口部の一辺の長さに等しくてもよく、円形の開口部の直径に等しくてもよく、矩形または多角形の開口部の最大の対角線に等しくてもよい。
【0130】
図8は、本明細書に開示されるような画素のアレイを有する画像センサ100、データ記憶装置410、および処理ユニット420を有する撮像装置400のブロック図である。データ記憶ユニット410は、データ記憶ユニット410と画像センサ100とを結ぶ線によって表されるように、画像センサ100に通信可能に結合されてもよい。撮像装置400は、データ記憶ユニット410内に、画像センサの画素のアレイの画素によって測定された放射線強度値を記憶するように構成されてもよい。処理ユニット420は、画像センサ100および記憶ユニット410に通信可能に結合されてもよい。撮像装置400の構成要素間の通信可能な結合は、画像センサ100からデータ記憶ユニット410にデータを転送してそこに記憶させるように構成されてもよい。画像センサ100からのデータは、データ記憶ユニット410に直接転送されてもよく、または、処理ユニット420に転送され、そこで処理され、次いで、データ記憶ユニット410に記憶されてもよい。実施形態では、処理ユニット420は、データ記憶ユニット410からデータにアクセスし、またはデータ記憶ユニット410からデータを取り出し、それらを処理し、変換されたデータをデータ記憶ユニット410に記憶してもよい。さらなる実施形態では、撮像装置400は、本明細書に開示されるような画像センサ10または30に従う画像センサを有してもよい。
【0131】
撮像装置400は、スマートフォン、タブレット、またはラップトップなどのより大きな装置のデジタルカメラまたはデジタルカメラコンポーネントであってもよい。データ記憶ユニット410は、ランダムアクセスメモリ(RAM)などのメモリ装置、またはフラッシュメモリなどの不揮発性メモリ装置を含んでもよい。データは、撮像装置400から取り出せ、かつデータを読み取って処理することができる異なる装置で読み取れるメモリカードに記憶されてもよい。データ記憶ユニット410は、画像センサ100とは異なる筐体内に配置されてもよい。処理ユニット420は、デジタルカメラ、またはデジタルカメラ構成要素を有する他の装置において使用されるように、集積回路またはコンピュータ処理ユニットであってもよい。
【0132】
処理ユニット420は、画像センサ100によって取り込まれた画像の表現を計算するように構成されてもよい。表現は、画素のアレイの各画素について1つ以上の値のタプルを含んでもよく、各タプルは表現の画素についての色値を表してもよい。色値は、ここでは一般的な意味で使用される。全て同じ断面サイズを有する開口部を有する画像センサの場合、色値は、画素の輝度値を表す値であってもよい。2つ、3つ、4つ、またはそれよりも多い異なる断面サイズを有する開口部を有する画像センサの場合、色値は、画像センサの開口部によって提供される1つまたは2つの遮断周波数の間の範囲について光の成分を特徴付けることによって光を表してもよい。
【0133】
実施形態では、画像センサ100の第1の層は、2つ以上の異なる断面サイズを有する開口部のアレイを有してもよく、処理ユニット420は、波長範囲について画素によって測定された放射線値に基づいて、および/または1つ以上のさらなる波長範囲について画素に対して補間された放射線値に基づいて、画素のアレイの画素に対するタプルを計算するように構成されてもよい。処理ユニット420はまた、画素についての(測定または補間されていてもよい)1つ以上の放射線値を画素に対するタプルの各値に関連付ける較正行列を使用してタプルを計算するように構成されてもよい。
【0134】
実施形態では、画像センサ100の開口部は3つ以上の異なる断面サイズを有してもよく、各画素に対するタプルは、赤色成分を表す値R、緑色成分を表すさらなる値G、および青色成分を表すさらにさらなる値Bを含む。そのような実施形態では、表現は、色空間であるか、または色空間を含んでもよく、その色空間に従ってRGB値が解釈される。可能な色空間として、sRGB、Adobe RGB、およびProPhoto RGBが挙げられる。
【0135】
図5に開示されるように、3つの異なる波長範囲内の光を測定する画素についての3つの光成分R、G、およびB(赤色光および緑色光および青色光についてはrgb、緑色光および青色光についてはgb、青色光についてはb)は、次のように書ける。
【0136】
範囲の値が補間され測定されていないことを示すインデックスiを削除すると、方程式は行列で表せる。
ここで、ciは、i=1、2、および3に対する3つの色成分R、G、およびBをそれぞれ表し、vjは、j=1、2、および3に対する光範囲rgb、gb、およびbについての3つの測定または補間された放射値を表し、aijは、画素の測定または補間された放射線強度値を、その画素に対するタプルの1つ以上の値に関連付ける較正行列の要素である。タプルは、画素の位置における色または光の値の表現であってもよい。
【0137】
上記の行列方程式は、本明細書に開示されているような画像センサの画素によって測定される任意の数の異なる波長範囲、さらには異なる偏光にも一般化できる。この場合、実施形態によって提供される遮断周波数に関連する1つ以上の波長範囲についての測定値または補間値であるvjは、上記の行列方程式においてp個の異なる値(すなわち、j=1、…、p)を有することができる。上記の行列方程式は、画素位置での一般化された色値を表すタプルの任意の数の値にさらに一般化できる。この場合、画素のタプルの値であるciは、上記の行列方程式においてq個の異なる値(すなわち、i=1、…、q)を有することができる。一例では、画像センサは、繰り返しパターンで配置され、紫外光を上回り、かつ赤外光を下回る範囲の4つの遮断周波数を提供する、4つの異なる断面を有する開口部を有してもよい。そのような画像センサは、(従来の設計により、または本明細書で開示されるような実施形態により)3つの異なる波長範囲のみで光を測定する画像センサよりも、より正確に色を記録することができ、またより多くの色を記録し得る(すなわち、より大きい色域を提供する)。次いで、インデックスjは、1から4までの値について合計される。可視光範囲内の遮断周波数の数をさらに増加させると、可視光範囲内の色が測定される精度がさらに増加し、測定および識別することができる色の数がさらに増加し得る。一実施形態では、たとえ異なる遮断周波数、したがって波長範囲の数が3よりも大きい場合でも、タプルは依然として赤色、緑色、および青色の3つの成分のみを有してもよい。しかしながら、別の実施形態では、タプルは、異なる遮断周波数によって制限される4つの範囲に対応する4つの構成要素を有してもよい。さらなる実施形態では、画像センサは、6つの異なる断面サイズの開口部を有してもよく、そのうちの4つは可視光範囲内の遮断周波数を提供し、それらのうちの1つは赤外波長範囲以上の遮断周波数を提供し、それらのうちの1つは紫外波長範囲以下の遮断周波数を提供する。この場合、タプルは6つの値を有してもよく、1つは紫外範囲の光成分を特定する値、4つは可視光範囲用、もう1つは赤外範囲用である。異なる実施形態では、タプルは5つの値を有してもよく、1つは紫外範囲用、3つは可視光範囲用、もう1つは赤外範囲用である。さらなる実施形態では、赤外光範囲内の異なるスペクトル分布を区別するために、赤外光範囲内に2つ以上の遮断周波数が配置されてもよい。一例では、画像センサは、赤外範囲内の3つの異なる遮断周波数と、赤外光を可視光と区別するための1つと、を提供する開口部を有してもよい。この場合、4つの遮断周波数によって制限される3つの範囲について3つの成分を有する赤外光を特徴付けることが可能である。最低の遮断周波数に対応する最大の遮断波長を上回る波長範囲内の赤外成分を特徴付けるために第4の成分を使用することがさらに可能であってもよい。同様に、紫外光範囲内の2つ以上の遮断波長を使用して、紫外光範囲の部分範囲内で異なる成分を有する光を区別することが可能である。
【0138】
較正行列の要素aijは、実施形態によって得られるような既知の色の物体の取り込まれた画像の表現を物体の既知の値と比較することによって決定されてもよい。物体の既知の値は、他の較正済みカメラを通して得られたこれらの物体の表現から得られたものでもよい。次いで、較正行列の要素は、既知の色にできるだけ一致するように最適化されてもよい。最適化の結果は、画像センサの開口部によって提供される遮断周波数の値と、さらには遮断周波数を下回る光が開口部の内側でどれだけ減衰されるかに影響する第1の層の厚さと、に依存し得る。実施形態では、物体は、多くの異なる色パッチを有する紙のシートであってもよく、当該色パッチの表現は既知であるか、または測定されている。較正行列の要素aijが決定されると、当該要素は記憶および検索されて、上記の行列方程式に従って、色成分ci、すなわち各画素に対するタプルの値を計算するために使用されてもよい。
【0139】
図9は、画像センサ10、30、100によって取り込まれた画像の表現を計算するためのコンピュータ実装方法500のフロー図である。画像センサ10、30、100は、遮断周波数を下回る周波数を有する入射放射線を減衰させることによって入射放射線をフィルタリングする第1の層11と、第1の層11を通過する放射線を吸収する第2の感光層12と、を備えてもよい。第1の層11は、入射放射線の伝搬方向において第2の感光層12の前にあってもよい。感光層12は画素のアレイを備えてもよく、画像センサ10、30、100は同じ種類の画素を有し、または2つ以上の異なる種類の画素を有してもよい。画素の種類は以下のように定義されてもよく、すなわち、第1の層11が、第1の層11によって提供される第2の画素に対する遮断周波数とは異なる第1の画素に対する遮断周波数を提供する場合に限り、第1の画素が第2の画素とは異なる種類である。したがって、2つの異なる画素に対して第1の層によって提供される遮断周波数が同じである場合、2つの画素は同じ種類のものである。
【0140】
全てが同じ種類である画素を有する画像センサの場合、方法500は、直接測定された放射線値にのみ依存し、補間された放射線値には依存しない単純なバージョンの計算演算を含んでもよい。そのような場合、方法500は、タプル計算演算のために画素のアレイの画素を識別すること560と、画素によって測定された放射線値にアクセスすること570と、画素によって測定された放射値を使用して、画素に対する1つ以上の値のタプルの1つ以上の値を計算すること590と、を含んでもよい。実施形態では、タプルは、全てが同じ断面サイズを有する第1の層11の開口部を通過した放射線の量を表す唯一の値を有してもよい。タプルは、白黒表現の輝度値などの特定の表現に関して一般化された色値を表してもよい。方法500は、画素のアレイの全ての画素についてタプル計算演算を繰り返すこと600をさらに含んでもよい。これは、画素によって測定された放射線値にアクセスし570、画素のアレイの全ての画素について画素に対するタプルの1つ以上の値を計算する590こと、を繰り返すこと600を意味し得る。方法500の結果として、画像センサ10、30、100によって取り込まれた画像の表現が得られる。
【0141】
コンピュータ実装方法500は、任意の種類のコンピューティング装置によって実行されてもよい。そのようなコンピューティング装置は、本明細書に開示されるような撮像装置400によって、もしくは撮像装置400内に収容されることによって、または命令をロードしてそれらの命令を実行するように構成される一般的なコンピューティング装置によって提供されてもよい。命令は、方法500の動作がコンピューティング装置によって実行されるように、コンピューティング装置を制御してもよい。一般的なコンピューティング装置は、ラップトップ、パーソナルコンピュータ、サーバ、またはより大型のコンピューティング装置であってもよく、当該コンピューティング装置はまた、撮像装置400を構成要素として備えるタブレットまたはスマートフォンであってもよい。
【0142】
画像センサが2つ以上の異なる種類の画素を有する場合、方法500は補間演算をさらに含んでもよい。補間演算は、画素を識別すること560の前に、画素のアレイのさらなる画素を識別すること510と、さらなる画素によって放射線値が測定された遮断周波数とは異なるさらなる遮断周波数についてさらにさらなる画素によって測定された1つ以上の放射線値にアクセスすること520と、さらなる画素に対して、さらなる遮断周波数についての放射値を補間すること530と、を含んでもよい。画像センサが3つ以上の異なる種類の画素を有する場合、方法500は、1つ以上の放射線値にアクセスし520、さらなる画素に対して、さらなる画素の種類とは異なるアレイの全ての種類の画素に対する放射線値を補間する530こと、を繰り返すこと540をさらに含んでもよい。言い換えれば、この方法は、処理されている画素について画像センサによって提供されるそれぞれの異なる遮断周波数についての放射線値を補間することを含む。方法500は、アレイの全ての画素について以前の補間演算を繰り返すこと550をさらに含んでもよい。補間演算は、さらにさらなる画素によって測定された1つ以上の放射線値にアクセスすること520と、さらなる画素について放射線値を補間すること530と、1つ以上の放射線値にアクセスすること520と、さらなる画素について放射線値を補間すること530と、を繰り返すこと540と、を含んでもよい。これにより補間演算を完結させてもよいが、補間値を考慮に入れるためにタプル計算演算を拡張するために補間値が使用されてもよい。したがって、タプル計算演算のためにアレイの画素を識別した560後に、方法500は、画素について補間された1つ以上の放射線値にアクセスすること580と、画素によって測定された放射線値と画素について補間された1つ以上の放射線値とを使用して画素に対するタプルを計算すること590と、画素について補間された1つ以上の放射線値にアクセスし580、画素のアレイの全ての画素のうちの画素に対するタプルを計算する590ことを繰り返すこと600と、をさらに含んでもよい。
【0143】
方法500の実施形態では、画素に対するタプルを計算演算すること590は、画素についての測定または補間された各放射線値を画素に対するタプルの各値に関連付ける較正行列を使用することを含んでもよい。さらなる実施形態では、画像センサ10、30、100は、3つ以上の種類の画素を有してもよく、画素に対するタプルは、赤色成分を表す値、緑色成分を表すさらなる値、および青色成分を表すさらにさらなる値を有してもよい。
【0144】
方法500の実施形態では、画像センサ10、30、100の第1の層11は、少なくとも1つの開口部13を通って伝搬せず、かつ少なくとも1つの開口部13の内側では減衰されない入射放射線に対して不透過性であってもよく、および/または第2の感光層12は、少なくとも1つの開口部13を通過した放射線のみを吸収する。
なお、好ましい構成態様として、本発明を次のように構成することもできる。
1. 入射放射線を記録するための画像センサ(10、30、100)であって、
遮断周波数を下回る周波数を有する入射放射線を減衰させることによって前記入射放射線をフィルタリングするための第1の層(11)と、
前記第1の層(11)を通過する放射線を吸収するための第2の感光層(12)と
を備え、
前記第1の層(11)が、前記入射放射線の伝搬方向において前記第2の感光層(12)の前にあり、かつ前記第1の層(11)が、放射線を少なくとも1つの開口部(13)を通って伝搬させるために、前記第1の層(11)を通って前記第2の感光層(12)まで貫通する前記少なくとも1つの開口部(13)を備え、
前記遮断周波数を下回る周波数を有する入射放射線が前記少なくとも1つの開口部(13)の内側で減衰され、かつ前記遮断周波数を上回る周波数を有する入射放射線が前記少なくとも1つの開口部(13)を通って伝搬するように、前記遮断周波数を提供するように、前記少なくとも1つの開口部(13)の断面サイズが構成されている、
画像センサ(10、30、100)。
2. 前記遮断周波数を下回る周波数を有する入射放射線が、前記少なくとも1つの開口部(13)の内側で指数関数的に減衰する、上記1に記載の画像センサ(10、30、100)。
3. 前記遮断周波数を上回る周波数を有する入射放射線が、前記少なくとも1つの開口部(13)の内側で1つ以上の伝搬モードに結合することによって、前記少なくとも1つの開口部(13)を通って伝搬する、上記1~2のいずれか一項に記載の画像センサ(10、30、100)。
4. 前記少なくとも1つの開口部(13)が、前記第1の層(11)の平面に垂直であり、前記少なくとも1つの開口部(13)が、前記少なくとも1つの開口部(13)の軸に沿って一定の断面を有し、前記断面が、対称であり、かつ任意選択的に正方形、長方形、円形、または六角形の断面である、上記1~3のいずれか一項に記載の画像センサ(10、30、100)。
5. 前記第1の層(11)が金属であるか、または前記第1の層(11)が金属層でコーティングされた非金属層を備え、これにより、両方の場合において、前記少なくとも1つの開口部が1つ以上の金属壁(20)を有する、上記1~4のいずれか一項に記載の画像センサ(10、30、100)。
6. 前記第1の層(11)が、異なる断面サイズcsi(i=1..n)、cs1>cs2>cs3…>csnの2つ、3つ、またはそれよりも多い開口部(13)を備え、
それぞれの遮断周波数w1、w2、w3、…、wnを下回る周波数を有する光を減衰させるように、かつそれぞれの遮断周波数を上回る周波数を有する光を伝搬させるように、各断面サイズが構成されており、ここで、w1<w2<w3…<wnである、
上記1~5のいずれか一項に記載の画像センサ(100)。
7. 前記少なくとも1つの開口部(13)が、透明材料(18)で充填されている、上記1~6のいずれか一項に記載の画像センサ(10、30、100)。
8. 前記透明材料(18)が、前記第1の層(11)上に追加の層(19)を提供する、上記7に記載の画像センサ(10、30、100)。
9. 前記少なくとも1つの開口部(13)が、n個の異なるサイズの一辺の長さ値ai(i=1...n)を有する一定の正方形の断面を有し、前記少なくとも1つの開口部(13)が金属壁(20)を有し、かつ前記遮断周波数が対応する遮断波長λ i,cut-off (i=1...n)を有し、これを上回ると、前記入射放射線が、前記少なくとも1つの開口部(13)の内側で指数関数的に減衰し、これを下回ると、前記入射放射線が、前記少なくとも1つの開口部(13)を通って伝搬し、ここで、aiは、λ i,cut-off /2(i=1...n)に等しい、上記1~8のいずれか一項に記載の画像センサ(10、30、100)。
10. 前記第1の層(11)の厚さl z または前記少なくとも1つの開口部の深さdが、
であり、
ここで、a 1 は、前記一辺の長さ値ai(i=1...n)の最大の一辺の長さ値であり、
λ D,1 は、遮断波長λ 1,cut-off =2a 1 よりも大きくかつ前記少なくとも1つの開口部(13)の内側で少なくともe -2 倍だけ強度が減衰される放射線の波長である、波長であり、
εは、前記少なくとも1つの開口部内の物質の誘電率であり、μは、前記少なくとも1つの開口部内の前記物質の透磁率であり、ε_0は、真空の誘電率であり、μ_0は、真空の透磁率である、
上記9に記載の画像センサ(10、30、100)。
11. 前記感光層(12)が、画素のアレイを備え、同じ断面サイズを有する各開口部(13)または各複数の隣接する開口部(13)が、前記アレイの個々の画素に重なりかつ前記個々の画素に結合されている、上記1~10のいずれか一項に記載の画像センサ(10、30、100)。
12. 各画素が感光性領域を備え、前記画素に結合された前記開口部または前記複数の隣接する開口部が、前記個々の画素の前記感光性領域以上の大きさでありかつ前記画素の前記領域よりも小さい領域を被覆する、上記11に記載の画像センサ(10、30、100)。
13. 前記第1の層(11)と前記第2の感光層(12)との間に透明層(16)が位置している、上記11~12のいずれか一項に記載の画像センサ(10、30、100)。
14. 前記透明層(16)が、個々の画素の境界の上方に位置する壁(17)を備え、前記壁(17)が、前記入射放射線に対して不透過性であり、かつ任意選択的に金属である、上記13に記載の画像センサ(10、30、100)。
15. 前記第1の層(11)が、1つ以上の異なる断面サイズを有する開口部(13rgb、13gb、13b)のアレイを備え、
前記開口部がグループ化されており、これにより各開口部グループが、1つの開口部、または隣接しておりかつ同じ断面サイズを有する複数の開口部を有し、各開口部グループが、前記感光層の1つおよび1つのみの画素に重なっており、かつ前記画素に結合されており、前記開口部グループが、前記第1の層に繰り返しパターンで配置されている、
上記11~14のいずれか一項に記載の画像センサ(100)。
16. 前記開口部(13rgb、13gb、13b)が、3つ以上の異なる断面サイズを有し、第1のサイズが、赤外光を除去し、かつ赤色光、緑色光、および青色光の伝搬を可能にし、第2のサイズが、赤色光を除去し、かつ緑色光および青色光の伝搬を可能にし、第3のサイズが、赤色光および緑色光を除去し、かつ青色光の伝搬を可能にし、前記第1の層の前記繰り返しパターンが、画素の前記アレイの各画素に対する赤色光、緑色光、および青色光の測定値または補間値を提供するように構成されている、上記15に記載の画像センサ(100)。
17. 前記アレイの各開口部が、n個の異なるサイズの一辺の長さ値ai(i=1..n)を有する一定の正方形の断面を有し、各開口部が金属壁(20)を有し、前記第1の断面サイズの前記遮断周波数に対応する前記遮断波長λ 1 が、600nm~750nmの範囲内、任意選択的に650nmから730nmの範囲内にあり、前記第1の断面サイズの前記一辺の長さ値a1が、300nm~375nmの範囲内、任意選択的に325nm~365nmの範囲内にあり、前記第2の断面サイズの前記遮断周波数に対応する前記遮断波長λ 2 が、495nm~590nmの範囲内、任意選択的に515nm~570nmの範囲内にあり、前記第2の断面サイズの前記一辺の長さ値a2が、247nm~295nmの範囲内、任意選択的に257nm~285nmの範囲内にあり、前記第3の断面サイズの前記遮断周波数に対応する前記遮断波長λ 3 が、450nm~510nmの範囲内、任意選択的に465nm~495nmの範囲内にあり、前記第3の断面サイズの前記一辺の長さ値a3が、225nm~255nmの範囲内、任意選択的に232nm~247nmの範囲内にある、上記16に記載の画像センサ(100)。
18. 前記第1の層(11)が、3つ以上の異なる断面サイズを有する開口部のアレイを備え、第1のサイズが赤外光、赤色光、緑色光、および青色光の伝搬を可能にし、第2のサイズが赤色光を除去し、かつ緑色光および青色光の伝搬を可能にし、第3のサイズが赤色光および緑色光を除去し、かつ青色光の伝搬を可能にし、
前記第1のサイズの各開口部が、前記画素以下の大きさである画素領域に重なり、
赤外光を除去しかつ赤外光よりも短い波長の光を透過するフィルタ材料で、前記第1のサイズの各開口部が充填され、任意選択的に、全ての開口部が前記フィルタ材料で充填され、および/または前記フィルタ材料が前記第1の層上に追加の層を提供する、
上記15に記載の画像センサ(100)。
19. 開口部(13rgb、13gb、13b)の前記アレイが3つの異なる断面サイズを有し、開口部の前記グループが2つの交互の画素行に配置されており、画素の第1の行が、1つの画素内の赤色光、緑色光、および青色光と次の画素内の緑色光および青色光とを交互に測定し、画素の第2の行が、1つの画素内の緑色光および青色光と次の画素内の青色光とを交互に測定し、赤色光、緑色光、および青色光を測定している前記第1の行の画素が、緑色光および青色光を測定する前記第2の行内の隣接する画素を有する、上記16~18のいずれか一項に記載の画像センサ(100)。
20. 前記開口部が、以下のさらなるサイズ:
赤外光遮断周波数を下回る赤外光の一部を除去し、かつ前記赤外光遮断周波数を上回る赤外光のさらなる一部の伝搬ならびに赤色光、緑色光、および青色光の伝搬を可能にする第4のサイズ;赤色光および黄色光を除去し、かつ緑色光および青色光の伝搬を可能にする第5のサイズ;赤色光および緑色光遮断周波数を下回る緑色光の一部を除去し、かつ緑色光遮断周波数を上回る緑色光のさらなる一部の伝搬および青色光の伝搬を可能にする第6のサイズ;赤色光、緑色光、および青色光を除去し、かつ紫外光の伝搬を可能にする第7のサイズ
のうちのいずれか1つ、または前記サイズの任意の組み合わせを有する、上記15~18のいずれか一項に記載の画像センサ(100)。
21. 前記開口部が2つ以上の異なる断面サイズを有し、前記断面サイズが、低域遮断周波数を下回る光を除去しかつ前記低域遮断周波数を上回る光の伝搬を可能にする1つのサイズと、高域遮断周波数を下回る光を除去しかつ前記高域遮断周波数を上回る光の伝搬を可能にする別のサイズとを備え、これにより前記低域遮断周波数と前記高域遮断周波数との間の範囲内の光量が測定可能である、上記15に記載の画像センサ(100)。
22. 前記低域遮断周波数と前記高域遮断周波数との間の前記範囲は1つ以上のスペクトル線を含む、上記19に記載の画像センサ(100)。
23. 前記少なくとも1つの開口部(13a1、13a2;13b1、13b2)が、長尺であり、任意選択的に断面が矩形であり、これにより、前記長尺の方向における前記少なくとも1つの開口部の長さが、前記長尺の方向に垂直に偏光される入射放射線に対する遮断周波数を規定し、かつ前記長尺の方向に垂直な方向の前記少なくとも1つの開口部の長さが、前記画像センサによって分析される入射放射線の範囲の上限よりも大きいさらなる遮断周波数を規定する、上記1~8のいずれか一項に記載の画像センサ(30)。
24. 前記第1の層が、
前記第2の感光層の画素のアレイの第1の画素に重なる複数の第1の長尺の開口部(13a1)と、
前記アレイの隣接する第2の画素に重なりかつ前記第1の長尺の開口部(13a1)に対して90°だけ回転した断面形状を有する、複数の第2の長尺の開口部(13b1)とを備える、上記23に記載の画像センサ(30)。
25. 前記少なくとも1つの開口部が、前記第2の層に向かってまたは前記第2の層から離れる方に先細になっている、上記4、9、または10を参照しない場合の、上記1~3、5~8、または11~14のいずれか一項に記載の画像センサ(10、100)。
26. 前記少なくとも1つの開口部(13)を通って伝搬せずかつ前記少なくとも1つの開口部(13)の内側では減衰されない入射放射線に対して、前記第1の層(11)が不透過性であり、および/または
前記第2の感光層(12)が、前記少なくとも1つの開口部(13)を通過した放射線のみを吸収する、
上記1~25のいずれか一項に記載の画像センサ(10、30、100)。
27. 前記入射放射線が、紫外光を含んで紫外光から始まりかつ赤外光を含んで赤外光で終わる範囲の光を含む、上記1~26のいずれか一項に記載の画像センサ(10、30、100)。
28. 画素の前記アレイの各画素が、前記画素に結合された前記開口グループの前記1つ以上の開口部を通って伝搬する放射線の強度の量を、前記画素に結合された前記開口グループの前記1つ以上の開口部の内側で減衰された放射線の強度の量と共に記録する、上記15~27のいずれか一項に記載の画像センサ(10、30、100)。
29. 上記15~28のいずれか一項に記載の画像センサ(100)と、
前記画像センサ(100)に通信可能に結合されたデータ記憶ユニット(410)と
を備え、
前記データ記憶ユニット(410)内に、画素の前記アレイの画素によって測定された放射線値を記憶するように構成されている、
撮像装置(400)。
30. 前記画像センサ(100)および/または前記記憶ユニット(410)に通信可能に結合されており、かつ前記画像センサ(100)によって取り込まれた画像の表現を計算するように構成されている、処理ユニット(420)
をさらに備え、
前記表現が、画素の前記アレイの各画素に対する1つ以上の値のタプルを含み、前記タプルが前記表現の色値を表す、
上記29に記載の撮像装置(400)。
31. 前記画像センサ(100)の前記第1の層(11)が、2つ以上の異なる断面サイズを有する開口部(13rgb、13gb、13b)のアレイを備え、前記処理ユニット(420)が、波長範囲について前記画素によって測定された放射線値に基づいて、および1つ以上のさらなる波長範囲について前記画素について補間された1つ以上の放射線値に基づいて、画素の前記アレイの画素に対するタプルを計算するように構成されている、上記30に記載の撮像装置(400)。
32. 前記処理ユニット(420)が、前記画素についての測定または補間された各放射線値を前記画素に対する前記タプルの各値に関連付ける較正行列を使用して前記画素に対する前記タプルを計算するように構成されている、上記31に記載の撮像装置(400)。
33. 前記開口部(13rgb、13gb、13b)が3つ以上の異なる断面サイズを有し、前記画素に対する前記タプルが、赤色成分を表す値、緑色成分を表すさらなる値、および青色成分を表すさらにさらなる値を含む、上記29~32のいずれか一項に記載の撮像装置(400)。
34. 遮断周波数を下回る周波数を有する入射放射線を減衰させることによって入射放射線をフィルタリングするための第1の層(11)と、前記第1の層(11)を通過する放射線を吸収するための第2の感光層(12)とを備える、画像センサ(10、30、100)によって取り込まれた画像の表現を計算するためのコンピュータ実装方法(500)であって、
前記入射放射線の伝搬方向において前記第1の層(11)が前記第2の感光層(12)の前にあり、前記第2の感光層(12)が画素のアレイを備え、
前記方法(500)は、
画素の前記アレイの画素を識別すること(560)と、
前記画素によって測定された放射線値にアクセスすること(570)と、
前記画素によって測定された前記放射線値を使用して、前記画素に対する1つ以上の値のタプルの1つ以上の値を計算すること(590)であって、前記タプルが色値を表す、計算すること(590)と、
前記画素によって測定された放射線値にアクセスし(570)、画素の前記アレイの全ての画素に対するタプルの1つ以上の値を計算し(590)て、前記画像センサ(10、30、100)によって取り込まれた画像の表現を取得すること、を繰り返すこと(600)と
を含む、コンピュータ実装方法(500)。
35. 前記画像センサ(10、30、100)が2つ以上の異なる種類の画素を有し、
前記第1の層(11)が、前記第1の層(11)によって提供される第2の画素に対する遮断周波数とは異なる第1の画素に対する遮断周波数を提供する場合に限り、前記第1の画素が前記第2の画素とは異なる種類であり、
前記方法(500)は、
画素を識別すること(560)の前に、画素の前記アレイのさらなる画素を識別すること(510)と、
前記さらなる画素によって放射値が測定された前記遮断周波数とは異なるさらなる遮断周波数についてさらにさらなる画素によって測定された1つ以上の放射線値にアクセスすること(520)と、
前記さらなる画素について、前記さらなる遮断周波数に対する放射線値を補間すること(530)と、
1つ以上の放射線値にアクセスし(520)、前記さらなる画素について、前記さらなる画素の前記種類とは異なる前記アレイの全ての種類の画素に対する放射線値を補間すること(530)、を繰り返すこと(540)と、
前記アレイの全ての画素について以前の補間演算を繰り返すこと(550)と、
画素の前記アレイの前記画素を識別すること(560)に続いて、前記画素について補間された1つ以上の放射線値にアクセスすること(580)と、
前記画素によって測定された前記放射線値と、前記画素について補間された1つ以上の放射線値とを使用して、前記画素に対する前記タプルを計算すること(590)と、
前記画素について補間された1つ以上の放射線値にアクセスし(580)、画素の前記アレイの全ての画素に対する前記タプルを計算すること(590)、を繰り返すこと(600)と
をさらに含む、上記34に記載のコンピュータ実装方法(500)。
36. 前記画素に対する前記タプルを計算すること(590)が、前記画素についての測定または補間された各放射線値を前記画素に対する前記タプルの各値に関連付ける較正行列を使用することを含む、上記35に記載のコンピュータ実装方法(500)。
37. 前記画像センサ(10、30、100)が、3つ以上の種類の画素を有し、前記画素に対する前記タプルが、赤色成分を表す値、緑色成分を表すさらなる値、および青色成分を表すさらにさらなる値を含む、上記35~36のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法(500)。
38. 前記第1の層(11)が、放射線を少なくとも1つの開口部(13)を通って伝搬させるために、前記第1の層(11)を通って前記第2の感光層(12)まで貫通する前記少なくとも1つの開口部(13)を備え、
前記遮断周波数を下回る周波数を有する入射放射線が前記少なくとも1つの開口部(13)の内側で減衰されかつ前記遮断周波数を上回る周波数を有する入射放射線が前記少なくとも1つの開口部(13)を通って伝搬するように前記遮断周波数を提供するように、前記少なくとも1つの開口部(13)の前記断面サイズが構成されており、
前記少なくとも1つの開口部(13)を通って伝搬せずかつ前記少なくとも1つの開口部(13)の内側で減衰されない入射放射線に対して、前記第1の層(11)が不透過性であり、および/または
前記第2の感光層(12)が、前記少なくとも1つの開口部(13)を通過した放射線のみを吸収する、
上記34~37のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法(500)。
39. 遮断周波数を下回る周波数を有する入射放射線を減衰させることによって放射線をフィルタリングするための第1の層(211)と、
透明素子(212)と
を備え、
前記第1の層(211)が、放射線を少なくとも1つの開口部(213)を通って伝搬させるために、前記第1の層(211)を通って前記透明素子(212)まで貫通する前記少なくとも1つの開口部(213)を備え、
前記遮断周波数を下回る周波数を有する放射線が前記少なくとも1つの開口部(231)の内側で減衰されかつ前記遮断周波数を上回る周波数を有する放射線が前記少なくとも1つの開口部(213)を通って伝搬するように前記遮断周波数を提供するように、前記少なくとも1つの開口部(213)の前記断面サイズが構成されている、
光学素子(200)。
40. 前記遮断周波数を下回る周波数を有する前記放射線が、前記少なくとも1つの開口部(213)の内側で指数関数的に減衰する、上記39に記載の光学素子(200)。
41. 前記遮断周波数を上回る周波数を有する放射線が、前記少なくとも1つの開口部(213)の内側の1つ以上の伝搬モードに結合することによって、前記少なくとも1つの開口部(213)を通って伝搬する、上記39~40のいずれか一項に記載の光学素子(200)。
42. 前記少なくとも1つの開口部(213)が前記第1の層(211)の平面に垂直であり、前記少なくとも1つの開口部(213)が前記少なくとも1つの開口部(213)の軸に沿って一定の断面を有し、前記断面が、対称であり、かつ任意選択的に正方形、長方形、円形、または六角形の断面である、上記39~41のいずれか一項に記載の光学素子(200)。
43. 前記第1の層(211)が金属であるか、または前記第1の層(211)が、金属層でコーティングされた非金属層を備え、これにより、両方の場合において、前記少なくとも1つの開口部が、1つ以上の金属壁(220)を有する、上記39~42のいずれか一項に記載の光学素子(200)。
44. 前記第1の層(211)が、異なる断面サイズcsi(i=1..n)、cs1>cs2>cs3…のうちの2つ、3つ、またはそれよりも多い開口部を備え、
それぞれの遮断周波数w1、w2、w3、…を下回る周波数を有する光を減衰させるように、かつそれぞれの遮断周波数を上回る周波数を有する光を伝搬させるように、各開口部が構成されており、ここで、w1<w2<w3…である、
上記39~43のいずれか一項に記載の光学素子(200)。
45. 前記少なくとも1つの開口部が、透明材料で充填されている、上記39~44のいずれか一項に記載の光学素子(200)。
46. 前記透明材料が、前記第1の層上に追加の層を提供する、上記45に記載の光学素子(200)。
47. 前記少なくとも1つの開口部(213)が、n個の異なるサイズに対して一辺の長さ値ai(i=1...n)を有する一定の正方形の断面を有し、前記少なくとも1つの開口部が金属壁(220)を有し、前記遮断周波数が、対応する遮断波長λ i,cut-off (i=1...n)を有し、これを上回ると、前記放射線が、前記少なくとも1つの開口部(213)の内側で指数関数的に減衰し、これを下回ると、前記放射線が、前記少なくとも1つの開口部を通って伝搬し、ここでaiはλ i,cut-off /2(i=1...n)に等しい、上記39~46のいずれか一項に記載の光学素子(200)。
48. 前記第1の層(211)の厚さl z または前記少なくとも1つの開口部(213)の深さdが、
であり、
ここで、a 1 は前記一辺の長さ値a i (i=1...n)の最大の一辺の長さ値であり、 λ D,1 は、遮断波長λ 1,cut-off =2a 1 よりも大きくかつ少なくとも1つの開口部(213)の内側で少なくともe -2 倍だけ強度が減衰される放射線の波長である、波長であり、
εは、前記少なくとも1つの開口部(213)内の物質の誘電率であり、μは、前記少なくとも1つの開口部(213)内の前記物質の透磁率であり、ε_0は、真空の誘電率であり、μ_0は、真空の透磁率である、
上記47に記載の光学素子(200)。
49. 前記少なくとも1つの開口部が長尺であり、好ましくは断面が矩形であり、これにより、前記長尺の方向における前記少なくとも1つの開口部の長さが、前記長尺の方向に垂直に偏光される放射線に対する遮断周波数を規定し、かつ前記長尺の方向に垂直な方向の前記少なくとも1つの開口部の長さが、前記長尺の方向に垂直に偏光する放射線に対する遮断周波数よりも大きいさらなる遮断周波数を規定する、上記39~46のいずれか一項に記載の光学素子(200)。
50. 前記少なくとも1つの開口部が、前記透明素子に向かってまたは前記透明素子から離れる方に先細になっている、上記42または47~48を参照しない場合の、上記39~41、43~46、または49のいずれか一項に記載の光学素子(200)。
51. 前記少なくとも1つの開口部(213)を通って伝搬せずかつ前記少なくとも1つの開口部(213)の内側で減衰されない入射放射線に対して、前記第1の層(211)が不透過性であり、および/または
前記少なくとも1つの開口部(213)を通過する放射線のみが前記第1の層(211)を通過する、
上記39~50のいずれか一項に記載の光学素子(200)。
52. 第1の遮断周波数と第2の遮断周波数との間の周波数を有する放射線を測定するための光学装置(300、305)であって、
上記39~43および45~51のいずれか一項に記載の第1の光学素子(310)と、
上記39~43および45~51のいずれか一項に記載の第2の光学素子(320)と、
放射線を検出するための第1の検出器(330)と、
放射線を検出するための第2の検出器(340)と、
放射線の一部を反射しかつ放射線のさらなる一部を透過する、ビームスプリッタ(350)と、
前記第1の検出器(330)および前記第2の検出器(340)によって検出された前記放射線に基づいて、第1の遮断周波数と第2の遮断周波数との間の周波数を有する前記放射線を計算するように構成された、処理ユニット(370)と
を備え、
前記第1の光学素子が、前記第1の遮断周波数を提供する第1の断面サイズの開口部を有し、前記第2の光学素子が、前記第2の遮断周波数を提供する第2の断面サイズの開口部を有し、前記第2の遮断周波数が前記第1の遮断周波数よりも大きく、
前記第1の光学素子および前記第2の光学素子ならびに前記ビームスプリッタが、
(i)放射線の入射ビーム(360)が最初に前記ビームスプリッタ(350)に衝突し、前記ビームスプリッタ(350)から到来する透過部分(362)および反射部分(364)が前記第1の光学素子(310)および前記第2の光学素子(320)に衝突するように、配置されており、前記第1の検出器(330)が、前記第1の光学素子(310)を通過する放射線を検出するように配置されており、前記第2の検出器(340)が、前記第2の光学素子(320)を通過する放射線を検出するように配置されており、または
(ii)放射線の入射ビーム(360)が最初に前記第1の光学素子(310)に衝突、前記第1の光学素子(310)を通過するフィルタリングされた放射線(366)が前記ビームスプリッタ(350)に衝突し、前記ビームスプリッタ(350)から到来する透過部分(362)および反射部分(364)が前記第1の検出器(330)および前記第2の光学素子(320)に衝突するように、配置されており、前記第2の検出器(340)が、前記第2の光学素子(320)を通過する放射線を検出するように配置されている、
光学装置(300、305)。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9