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特許7190029アリピプラゾール徐放性マイクロスフェアおよびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】アリピプラゾール徐放性マイクロスフェアおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/497 20060101AFI20221207BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20221207BHJP
   A61K 9/50 20060101ALI20221207BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20221207BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20221207BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
A61K31/497
A61K47/34
A61K9/50
A61K47/32
A61K9/10
A61P25/18
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021514460
(86)(22)【出願日】2018-06-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-09
(86)【国際出願番号】 CN2018090345
(87)【国際公開番号】W WO2019218409
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2021-03-16
(31)【優先権主張番号】201810468934.6
(32)【優先日】2018-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520446012
【氏名又は名称】リブゾン ファーマシューティカル グループ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】チェン ビン
(72)【発明者】
【氏名】イン シア
(72)【発明者】
【氏名】ワン ヤンチン
(72)【発明者】
【氏名】シュ ペン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ユダ
(72)【発明者】
【氏名】チェン ミャオリー
(72)【発明者】
【氏名】イェ ウェイルン
(72)【発明者】
【氏名】リヴ リンヤン
(72)【発明者】
【氏名】シュ ホイファン
(72)【発明者】
【氏名】リュー ウェンチー
(72)【発明者】
【氏名】コン シャンシェン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン シャオマン
【審査官】石井 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106727358(CN,A)
【文献】特表2010-531303(JP,A)
【文献】特表2012-508731(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61P 1/00-43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アリピプラゾールまたはその塩とポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体とを含むアリピプラゾール徐放性マイクロスフェアであって、
マイクロスフェアが球状網状骨格構造であり、網状小孔が該スフェア中に分散しており;アリピプラゾールまたはその塩が該孔中に充填されており;
該マイクロスフェアが20μm未満の平均粒径を有し;アリピプラゾールまたはその塩が該マイクロスフェアの総重量の70%~75%の含有量を有し、
ポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体が、0.2~0.55dL/gの固有粘度、1.0~3.0の多分散指数、および15000~60000の重量平均分子量を有し、
ポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体中のポリラクチド:グリコリドのモル比が、50:50~75:25である、
前記アリピプラゾール徐放性マイクロスフェア。
【請求項2】
10~13μmの平均粒径を有する、請求項1載のマイクロスフェア。
【請求項3】
アリピプラゾールまたはその塩が、マイクロスフェアの総重量の71%の含有量を有する、請求項1または2記載のマイクロスフェア。
【請求項4】
ポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体が、マイクロスフェアの総重量の20%~35%の含有量を有する、請求項1~3のいずれか一項記載のマイクロスフェア。
【請求項5】
ポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体が、マイクロスフェアの総重量の25%~30%の含有量を有する、請求項1~4のいずれか一項記載のマイクロスフェア。
【請求項6】
ポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体が、マイクロスフェアの総重量の29%の含有量を有する、請求項1~5のいずれか一項記載のマイクロスフェア。
【請求項7】
ポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体が、0.2~0.35dL/gの固有粘度を有する、請求項1~6のいずれか一項記載のマイクロスフェア。
【請求項8】
ポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体が、1.0~2.0の多分散指数を有する、請求項1~7のいずれか一項記載のマイクロスフェア。
【請求項9】
ポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体が、20000~40000の重量平均分子量を有する、請求項1~8のいずれか一項記載のマイクロスフェア。
【請求項10】
ポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体中のポリラクチド:グリコリドのモル比が、50:50である、請求項1~9のいずれか一項記載のマイクロスフェア。
【請求項11】
以下の工程を含む、請求項1~10のいずれか一項記載のアリピプラゾール徐放性マイクロスフェアを製造するための方法:
(1)アリピプラゾールまたはその塩をポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体と混合し、有機溶媒Aを添加し、次いである温度へ加熱し、溶解のために振盪する工程;
(2)有機溶媒Aの蒸発を制御する条件下で、工程(1)から得られた溶液をポリビニルアルコール(PVA)溶液と混合し、pHを調節し、次いである温度下で混合物を撹拌して乳濁液を得る工程;
(3)工程(2)から得られた乳濁液を固化させ、ある期間にわたって有機溶媒Aを蒸発させてマイクロスフェアを形成させ、遠心分離および凍結乾燥し、20μm未満の平均粒径を有するマイクロスフェアを得る工程;
ここで、工程(1)において、有機溶媒Aはジクロロメタンであり、かつ有機溶媒A:アリピプラゾールまたはその塩の重量比が、4:1~10:1であり、
工程(1)における、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体が、0.2~0.55dL/gの固有粘度を有し、
工程(1)における、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体が、1.0~3.0の多分散指数を有し、
工程(1)における、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)が、15000~60000の重量平均分子量を有し、
工程(1)における、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体中のポリラクチド:グリコリドのモル比が、50:50~75:25であり、
工程(1)における、アリピプラゾールまたはその塩、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)および有機溶媒Aの総重量に対するアリピプラゾールまたはその塩およびポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体の重量の比率が、9%~25% (w/w)であり、
工程(1)における、ある温度が40~65℃であり、
工程(2)における、PVA溶液が、0.1%~1% (w/v)の濃度を有し、
工程(2)における、PVA溶液の体積(L):アリピプラゾールまたはその塩の重量(g)の比が、0.5~1.5:1であり、
工程(2)における、pHが9~14である。
【請求項12】
工程(1)において、振盪が、40~65℃へ加熱する条件下で行われる、請求項11記載の方法。
【請求項13】
工程(2)において、工程(1)において添加された有機溶媒A:PVA溶液の体積比が、1:40~1:250である、請求項11記載の方法。
【請求項14】
工程(2)において、pHが10である、請求項11記載の方法。
【請求項15】
請求項1~10のいずれか一項記載のアリピプラゾール徐放性マイクロスフェアと、薬学的に許容される担体とを含む、懸濁製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬学的調製物の分野、特に、アリピプラゾール徐放性マイクロスフェアおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アリピプラゾールは、新しい非定型抗統合失調症薬であり、神経系に対してデュアル方向調節効果を有する神経伝達物質安定剤である。D2、D3、5-HT1Aおよび5-HT2A受容体について高親和性を有するアリピプラゾールは、D2および5-HT1A受容体で部分アゴニスト作用ならびに5-HT2A受容体でアンタゴニスト作用を発揮し、それによって種々のタイプの統合失調症を処置することすることによって、抗統合失調症効果を発揮する。外国の臨床試験によれば、アリピプラゾールは、統合失調症の陽性および陰性症状に対して著しい効果を有し、さらに、付随する情動性症状を改善し、統合失調症の再発率を低下させることができる。しかし、統合失調症を有する患者の特殊性、即ち、薬を服用することの顕著な拒絶および長期投薬療法の要求に起因して、改善されたコンプライアンスおよび長時間作用性を有する製剤を開発する必要性が依然として存在する。注射用の長時間作用型徐放性マイクロスフェアは、患者への薬物投与の頻度の減少、好都合な投与、よりよいバイオアベイラビリティ、安定した血中濃度、肝臓中における初回通過効果がないこと、および高いコンプライアンスによって特徴付けられ、この点で、長時間作用型アリピプラゾール徐放性マイクロスフェアは、臨床において非常に価値がある。
【0003】
現在、市販の長時間作用型アリピプラゾール徐放性製剤は、日本のOtsukaおよび米国のALkermesによってそれぞれ開発および製造される、Abilify MaintenaおよびAristaである。しかし、それら2つの列挙される製品は同じ欠点を有し、即ち、有効な薬物濃度が、低い放出濃度に起因して薬物投与の初期段階で達成され得ず、治療効果は、投与後14日間錠剤を経口的に服用することによって達成されるべきである。この投与様式は、臨床において短時間作用薬を投与する場合に生じる不都合を依然として保持し、大きな副作用をもたらし得る明らかなピーク-バレイ現象、および初期投与プロセスにおける過剰摂取が観察され得る。
【0004】
ALKERMESによって出願された特許公報第CN102133171A号は、アリピプラゾールマイクロスフェア以外の、微粉化結晶化状態で供給されたアリピプラゾールを開示している。その上、その出願によって開示される微結晶性アリピプラゾールは、約30~80ミクロンの平均直径を有し、これは、販売されるマイクロスフェア製品のサイズに対応する注射針に従って7または8ゲージ針(18~21G)を用いて注射されるべきである。しかし、そのサイズを有する注射針は0.5~0.8 mmの直径を有し、患者は、注射のためにそれらを使用する場合、明らかな痛みを感じ得る。加えて、薬物の大きな粒径に起因して、懸濁液中にそれを維持するために増加した粘度が必要とされ、これは、次に、懸濁液を注射する際に困難を引き起こす。さらに、懸濁製剤は注射前に沈殿する傾向があるため、操作は徐々にかつ連続的でなければならず、薬物は、懸濁製剤を注射器中へ吸引する際に懸濁されていなければならず、そうでなければ注射針が詰まる場合がある。同様に、複雑な操作が懸濁製剤の注射中にまた行われるべきであり、不適切な操作は容易に注射針を詰まらせ、従って、注射に失敗する場合がある。薬物投与の全プロセスが、特別な訓練を受けた医療従事者によって完了されなければならず、このため、薬物を一般的な医療機関に広く適用することができず、薬物使用の促進に不都合をもたらすことが理解され得る。
【0005】
OtsukaおよびShogo Hiraokaらによって出願された特許第CN101742989B号(Preparation and Characterization of High-Content Aripiprazole-Loaded Core - Shell Structure Microsphere for Long-Release Injectable Formulation)は、コア/シェル構造を有するマイクロスフェアに関する。しかし、開示されるマイクロスフェアもまた、過度に大きな粒径を有し、従って、マイクロスフェアを注射する場合にいくつかの問題、例えば、5ゲージ針を使用することができないこと、注射操作についての高い要件、および患者の高い痛覚が依然としてある。加えて、その特許に開示される方法に従って調製されたマイクロスフェアは、投与の1日目に10%薬物を放出し得、これは、過度の薬物濃度に起因して副作用の高い危険性を生じさせ;その上、それらの大部分が2ヶ月間を超えて放出されたサンプルであるその特許に言及されたマイクロスフェアと比較して、以前の統合失調症薬の深刻な副作用に起因して開発されている1ヶ月放出製品が、安全性およびリスク管理の適時性の点でより有利である。一方、コア/シェル構造を有する開発されたマイクロスフェアの放出様式は、コアの組成により依存する。前記放出様式は、薬物放出の制御について比較的単純であり、シェルの急速分解に起因する集中放出、またはシェルの遅延分解に起因する遅延薬物放出、または不連続放出をもたらし得る。
【0006】
特許第CN1870980B号は、無菌注射アリピプラゾール製剤の調製方法を開示している。しかし、この特許に関与する無菌注射アリピプラゾール製剤の調製プロセスは粉砕プロセスなどを必要とし、長い調製サイクルを生じさせる。同時に、調製プロセスにおいて必要とされる無菌状態は、破壊されるのが容易であり、従って、調製方法は産業的大規模生産に適していない。
【0007】
特許公報第CN105078898A号および第CN105310997A号に開示されるマイクロスフェアは、過度に低い薬物ローディングを有し、特許/特許出願第CN102525915B号、第CN103301461A号および第CN105012236A号に開示されるアリピプラゾールの長時間作用型注射製剤は注射用油を含有し、これは注射中の患者の痛みを増加させ、臨床的意義が低い。
【0008】
特許公報第CN106727358A号に開示されるマイクロスフェアの粒径は、20μm以内に制御することができず、5ゲージ針で注射することができないマイクロスフェアを生じさせる。その上、前記マイクロスフェアの放出サイクルは2ヶ月である。
【0009】
Tushar NahataおよびTulsi Ram Sainiによって開示される「D-Optimal Designing and Optimization of Long ActingMicrosphere-Based Injectable Formulation of Aripiprazole」において、30%以内の薬物ローディングを有するアリピプラゾールマイクロスフェアが開示されており、長期間持続放出の臨床的要求を満たすことができない。
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、同時に錠剤を服用することなく投与の初期段階で有効な薬物濃度に迅速に達して治療効果を達成することができる、アリピプラゾール徐放性マイクロスフェアを提供することである。さらに、本発明のマイクロスフェアは突然の放出を示さない。加えて、本発明のマイクロスフェアの平均粒径は20μm未満であるため、それを5ゲージ針で注射することができ、それによって注射中の患者の痛みを減少させることができる。最後に、本発明によって提供されるアリピプラゾール徐放性マイクロスフェアは、その小さな粒径によってだけでなく、高い薬物ローディング、高収率、良好な球形化、および大規模生産に適合するその能力によっても特徴付けられる。
【0011】
従って、本発明の一つの目的は、アリピプラゾール徐放性マイクロスフェアを提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、アリピプラゾール徐放性マイクロスフェアを製造するための方法を提供することである。
【0013】
本発明のさらに別の目的は、上記アリピプラゾール徐放性マイクロスフェアを含む懸濁製剤を提供することである。
【0014】
本発明によって提供される技術的解決法は以下の通りである。
【0015】
一局面において、本発明は、アリピプラゾールまたはその塩とポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体とを含むアリピプラゾール徐放性マイクロスフェアを提供し;ここで、溶媒B中に溶解された後、マイクロスフェアが球状網状骨格構造であり、網状小孔がスフェア中に分散しており;アリピプラゾールまたはその塩が孔中に充填されている。
【0016】
マイクロスフェアは、20μm未満の平均粒径を有し;アリピプラゾールまたはその塩は、マイクロスフェアの総重量の65%~80%の含有量を有する。
【0017】
好ましくは、溶媒Bは、アリピプラゾールまたはその塩を溶解することができる任意の溶媒であり;より好ましくは、溶媒Bは、10%酢酸、20%酢酸または10%酢酸エチルである。
【0018】
好ましくは、マイクロスフェアは10~13μmの平均粒径を有する。
【0019】
好ましくは、アリピプラゾールまたはその塩は、マイクロスフェアの総重量の70%~75%、より好ましくは71%の含有量を有する。
【0020】
好ましくは、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体は、0.2~0.55dL/g、より好ましくは0.2~0.35dL/g、最も好ましくは0.2dL/gの固有粘度を有する。
【0021】
好ましくは、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体は、1.03.0より好ましくは1.02.0最も好ましくは1.5多分散指数を有する。
【0022】
好ましくは、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体は、マイクロスフェアの総重量の20%~35%、より好ましくは25%~30%、最も好ましくは29%の含有量を有する。
【0023】
好ましくは、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体は、15000~60000、より好ましくは20000~40000、さらに好ましくは20000~30000、最も好ましくは25000の重量平均分子量を有する。
【0024】
好ましくは、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体中のポリラクチド:グリコリドのモル比は、50:50~75:25、より好ましくは50:50である。
【0025】
別の局面において、本発明は、アリピプラゾール徐放性マイクロスフェアを製造するための方法を提供し、方法は、以下の工程を含む:
(1)アリピプラゾールまたはその塩をポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体と混合し、有機溶媒Aを添加し、次いである温度へ加熱し、溶解のために振盪する工程;
(2)有機溶媒Aの蒸発を制御する条件下で、工程(1)から得られた溶液をポリビニルアルコール(PVA)溶液と混合し、pHを調節し、次いである温度下で混合物を撹拌して乳濁液を得る工程;
(3)工程(2)から得られた乳濁液を固化させ、ある期間にわたって有機溶媒Aを蒸発させてマイクロスフェアを形成させ、遠心分離および凍結乾燥し、20μm未満の平均粒径を有するマイクロスフェアを得る工程。
【0026】
好ましくは、工程(1)において、アリピプラゾールまたはその塩、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体および有機溶媒Aの総重量に対するアリピプラゾールまたはその塩およびポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体の重量の比率は、9%~25% (w/w)である。
【0027】
好ましくは、工程(1)において、有機溶媒A:アリピプラゾールまたはその塩の重量比は、4:1~10:1、より好ましくは8:1である。
【0028】
好ましくは、工程(1)において、アリピプラゾールまたはその塩:ポリ(ラクチド-co-グリコリド)の重量比は、5:2であり、好ましくは、工程(1)において、有機溶媒Aはジクロロメタンである。
【0029】
好ましくは、工程(1)において、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体は、0.2~0.55dL/g、より好ましくは0.2~0.35dL/g、最も好ましくは0.2dL/gの固有粘度を有する。
【0030】
好ましくは、工程(1)において、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体は、1.03.0より好ましくは1.02.0最も好ましくは1.5多分散指数を有する。
【0031】
好ましくは、工程(1)において、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体は、15000~60000、より好ましくは20000~40000、さらに好ましくは20000~30000、最も好ましくは25000の重量平均分子量を有する。
【0032】
好ましくは、工程(1)において、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体中のポリラクチド:グリコリドのモル比は、50:50~75:25、より好ましくは50:50である。
【0033】
好ましくは、工程(1)において、ある温度は40~65℃、より好ましくは55℃であり;いくつかの態様において、温度が40℃未満である場合、混合物は溶解するのが困難であり;一方、温度が高すぎる場合、実験プロセスの制御が影響され得、潜在的な安全上の危険が容易に引き起こされ得る。
【0034】
好ましくは、工程(1)において、振盪は、40~65℃へ加熱する条件下で行われる。
【0035】
好ましくは、工程(2)において、PVA溶液は、0.1%~1% (w/v)、より好ましくは0.5%~1% (w/v)、最も好ましくは1% (w/v)の濃度を有する。
【0036】
好ましくは、工程(2)において、PVA溶液の体積(L):アリピプラゾールまたはその塩の重量(g)の比は、0.5~1.5:1、より好ましくは1.24:1である。
【0037】
好ましくは、工程(2)において、工程(1)において添加された有機溶媒A:PVA溶液の体積比は、1:40~1:250、より好ましくは1:205である。
【0038】
好ましくは、工程(2)において、pHは9~14であり、より好ましくは、pHは10である。
【0039】
好ましくは、工程(2)において、「ある温度下で」の操作を以下のように行う:工程(2)の最初の1時間は15℃未満に温度を制御し、次いで約2時間温度を維持するかまたは15~30℃へ温度を上げ;より好ましくは、工程(2)の最初の1時間は12℃に温度を制御する。
【0040】
好ましくは、工程(2)において、撹拌は3000 rpmの撹拌速度を有する。
【0041】
好ましくは、工程(3)において、固化操作を3時間行う。
【0042】
好ましくは、工程(3)において、マイクロスフェアは10~13μmの平均粒径を有する。
【0043】
さらに別の局面において、本発明は、本発明のアリピプラゾール徐放性マイクロスフェアと薬学的に許容される担体とを含む懸濁製剤を提供する。
【0044】
好ましくは、薬学的に許容される担体は、懸濁化剤、pH調整剤、等張剤、界面活性剤、水および生理食塩水からなる群より選択され;ここで、懸濁化剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、およびグリセリンからなる群より選択され;等張剤は、塩化ナトリウム、グルコース、マンニトール、およびソルビトールからなる群より選択され;界面活性剤は非イオン性界面活性剤であり、好ましくは、ポリソルベートおよびポロキサマーからなる群より選択される。
【0045】
いくつかの他の態様において、本発明に記載されるアリピプラゾール徐放性マイクロスフェアは(注射用)懸濁製剤として製剤化され得、ここで、懸濁製剤は、本発明のアリピプラゾール徐放性マイクロスフェアと薬学的に許容される担体とを含み、薬学的に許容される担体は重量パーセントで以下の成分:マンニトール0~10%;カルボキシメチルセルロースナトリウム0~5%を含み;懸濁製剤のpHは6.5~7.5へ調節される。
【0046】
本発明のアリピプラゾール徐放性マイクロスフェアは、20%酢酸溶液中に溶解され、自然乾燥され、金がスプレーされた後、走査型電子顕微鏡によって観察される。図5および図6に示されるように、本発明のマイクロスフェアは球状網状骨格構造である。
【0047】
本発明に記載されるアリピプラゾールは、アリピプラゾールの結晶、非結晶、アモルファスアリピプラゾール、アリピプラゾール水和物、またはアリピプラゾールの他の多形体であり得る。
【0048】
その上、本発明はまた、その必要がある対象への本発明のアリピプラゾール徐放性マイクロスフェアの投与に関し、投与されるマイクロスフェアは、少なくとも7日間、14日間または1ヶ月間の期間にわたって対象の身体中にアリピプラゾールを持続的に放出し得る。
【0049】
本発明は以下の利点を有する。
【0050】
1.注射すると、本発明のアリピプラゾール徐放性マイクロスフェアは、少なくとも1ヶ月の期間にわたってアリピプラゾールを放出し、注射後14日間、治療濃度を達成するためにアリピプラゾール錠剤を経口的に服用する必要はない。その上、マイクロスフェアは、後期段階においてアリピプラゾールを絶え間なく放出し、放出は30日以内に完了することができる。
【0051】
2.マイクロスフェア中の薬物の突然の放出は、短期間中に人体中の薬物の濃度の急上昇をもたらし、薬物の有効期間を短縮し得、これは、マイクロスフェアの広い適用を制限する重要な問題である。一般に、粒径が小さくかつマイクロスフェアの薬物ローディングが大きいほど、突然の放出は深刻となる。しかし、上記の欠点は、特定の原材料およびその比率をスクリーニングすることを通して本発明のアリピプラゾール徐放性マイクロスフェアによって全く克服される。具体的には、本発明のマイクロスフェア中の活性薬物は高分子ポリマーと十分に適合性であり、それらのマイクロスフェアの多孔性は高く、それによって、10μmの平均粒径および68%~75%の薬物ローディングを有する場合でさえ突然の放出の欠点を解決する。
【0052】
3.20~100μmの粒径を有する以前のマイクロスフェアは7または8-ゲージ針(0.51~0.84mmの内径を有する)でのみ投与することができ、患者は、注射されると明らかな痛みを感じ得る。対照的に、本発明のマイクロスフェアはより狭い粒径分布、良好な均一性を有し、それらの平均粒径は20μm以内に制御され、従って、5-ゲージ針で注射することができる。一般的な注射溶液との本マイクロスフェアの注射溶液のコンプライアンスの一貫性を考慮して、患者の痛みを減少させることができる。注射針タイプを以下の表1に示す。
【0053】
(表1)
【0054】
4.既存のマイクロスフェアにおいて使用される懸濁液は、マイクロスフェアを懸濁状態に維持するために、増加した粘度を必要とし、それによって、懸濁製剤を注射するのを困難にする。さらに、懸濁製剤は注射前に沈殿する傾向があるため、操作は徐々にかつ連続的でなければならず、薬物は、懸濁製剤を注射器中へ吸引する際に懸濁されていなければならず、そうでなければ注射針が詰まる場合がある。同様に、複雑な操作が懸濁製剤の注射中にまた行われるべきであり、不適切な操作は容易に注射針を詰まらせ、従って、注射に失敗する場合がある。薬物投与の全プロセスが、特別な訓練を受けた医療従事者によって完了されなければならず、このため、薬物を一般的な医療機関に広く適用することができず、薬物使用の促進に不都合をもたらすことが理解され得る。
【0055】
実験は、懸濁化剤中に20μm未満の平均粒径を有するマイクロスフェアを溶解させると、マイクロスフェアの粒子は、移動または凝集することなく長期間、懸濁化剤中に十分に分散および懸濁され得ることを証明した。その一方で、マイクロスフェアの十分に分散された懸濁製剤は、5-ゲージ針で滑らかに吸引および注射することができる。しかし、マイクロスフェアの平均粒径が20μmを超える場合、沈殿、移動、凝集および注射針の目詰まりが容易に生じ得る。
【0056】
具体的には、20μm未満の平均粒径を有する、本発明のマイクロスフェアは、低粘度を有する懸濁化剤中に容易にかつ十分に懸濁することができ、従って、マイクロスフェアのこの種の懸濁製剤は、沈殿するのが容易ではなく、注射に好都合であり、医療関係者が注射するのに好都合であり、また、5-ゲージ針で注射することができるため、患者の痛みを大幅に減少させることができる。
【0057】
加えて、本発明のマイクロスフェアは、1~2μm以内の粒径範囲、安定した品質を有し、容易に懸濁することができ、沈殿したりまたは注射時に注射針を詰まらせたりすることができない。従って、単純な操作だけが必要であり、特別な訓練が医療従事者によって受けられるべきではなく、一般的な医療機関における医療従事者がそれらの操作を行うことができる。
【0058】
5.小さな粒径を保証することを前提として、本発明に記載されるアリピプラゾール徐放性マイクロスフェアの薬物ローディングは65~80%を達成することができる。また、マイクロスフェアの調製中、より少ないジクロロメタンが使用され、高固形分および高収率をもたらす。3 g/Lの収率が本発明の調製方法によって達成することができ、一方、1 g/Lの収率しか先行技術の調製方法によって達成することができない。
【0059】
6.アリピプラゾール徐放性マイクロスフェアは球状網状骨格構造であり、これは、アリピプラゾール徐放性マイクロスフェアの薬物ローディングを増加させるために有利である。
【0060】
7.本発明の発明者らは大量の実験によってポリ(ラクチド-co-グリコリド)に対するアリピプラゾールの最適な比率をスクリーニングし、比率が高すぎても低すぎても、均一な薬物放出に影響があり得る。さらに、本発明者らはまた、本発明の方法の工程(2)の時間および温度の制御は実験結果に非常に重要であることを見出した。工程(2)の最初の1時間で、温度が低すぎる場合、APIは、急速に結晶化および固化して多くの小さな結晶を形成するのが容易であり;一方、高すぎる温度下では、APIは、マイクロスフェアを破壊し得る大きな結晶を形成し、不規則な固形粒子の形成をもたらすのが容易である。
【0061】
8.本発明によって提供されるアリピプラゾール徐放性マイクロスフェアを製造するための方法は、単純なプロセス、安定した再現可能な結果によって特徴付けられ、産業的大規模生産において使用することができる。その一方で、コア/シェル構造を有するマイクロスフェアと比較して、本方法によって得られかつ球状網状骨格構造である徐放性マイクロスフェアは、明らかにより小さい粒径および有意により良い薬力学を有する。
[本発明1001]
アリピプラゾールまたはその塩とポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体とを含むアリピプラゾール徐放性マイクロスフェアであって、
溶媒B中に溶解された後、該マイクロスフェアが球状網状骨格構造であり、網状小孔が該スフェア中に分散しており;アリピプラゾールまたはその塩が該孔中に充填されており;
該マイクロスフェアが20μm未満の平均粒径を有し;アリピプラゾールまたはその塩が該マイクロスフェアの総重量の65%~80%の含有量を有する、
前記アリピプラゾール徐放性マイクロスフェア。
[本発明1002]
溶媒Bが、アリピプラゾールまたはその塩を溶解することができる任意の溶媒であり;好ましくは、溶媒Bが、10%酢酸、20%酢酸または10%酢酸エチルであり;
好ましくは、マイクロスフェアが10~13μmの平均粒径を有する、
本発明1001のマイクロスフェア。
[本発明1003]
アリピプラゾールまたはその塩が、マイクロスフェアの総重量の70%~75%、より好ましくは71%の含有量を有し;
好ましくは、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体が、マイクロスフェアの総重量の20%~35%、より好ましくは25%~30%、最も好ましくは29%の含有量を有する、
本発明1001または1002のマイクロスフェア。
[本発明1004]
ポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体が、0.2~0.55dL/g、より好ましくは0.2~0.35dL/gの固有粘度を有し;
好ましくは、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体が、1.0~3.0、より好ましくは1.0~2.0の多分散指数を有し;
好ましくは、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体が、15000~60000、より好ましくは20000~40000の重量平均分子量を有し;
好ましくは、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体中のポリラクチド:グリコリドのモル比が、50:50~75:25、より好ましくは50:50である、
本発明1001~1003のいずれかのマイクロスフェア。
[本発明1005]
以下の工程を含む、アリピプラゾール徐放性マイクロスフェアを製造するための方法:
(1)アリピプラゾールまたはその塩をポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体と混合し、有機溶媒Aを添加し、次いである温度へ加熱し、溶解のために振盪する工程;
(2)有機溶媒Aの蒸発を制御する条件下で、工程(1)から得られた溶液をポリビニルアルコール(PVA)溶液と混合し、pHを調節し、次いである温度下で混合物を撹拌して乳濁液を得る工程;
(3)工程(2)から得られた乳濁液を固化させ、ある期間にわたって有機溶媒Aを蒸発させてマイクロスフェアを形成させ、遠心分離および凍結乾燥し、20μm未満の平均粒径を有するマイクロスフェアを得る工程。
[本発明1006]
工程(1)において、アリピプラゾールまたはその塩、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)および有機溶媒Aの総重量に対するアリピプラゾールまたはその塩およびポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体の重量の比率が、9%~25% (w/w)であり;
好ましくは、工程(1)において、有機溶媒A:アリピプラゾールまたはその塩の重量比が、4:1~10:1、より好ましくは8:1であり;
好ましくは、工程(1)において、アリピプラゾールまたはその塩:ポリ(ラクチド-co-グリコリド)の重量比が、5:2であり;
好ましくは、工程(1)において、有機溶媒Aがジクロロメタンであり;
好ましくは、工程(1)において、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体が、0.2~0.55dL/g、より好ましくは0.2~0.35dL/gの固有粘度を有し;
好ましくは、工程(1)において、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体が、1.0~3.0、より好ましくは1.0~2.0の多分散指数を有し;
好ましくは、工程(1)において、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)が、15000~60000、より好ましくは20000~40000の重量平均分子量を有し;
好ましくは、工程(1)において、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体中のポリラクチド:グリコリドのモル比が、50:50~75:25、より好ましくは50:50であり;
好ましくは、工程(1)において、ある温度が40~65℃、より好ましくは55℃であり;
好ましくは、工程(1)において、振盪が、40~65℃へ加熱する条件下で行われる、
本発明1005の方法。
[本発明1007]
工程(2)において、PVA溶液が、0.1%~1% (w/v)、より好ましくは0.5%~1% (w/v)、最も好ましくは1% (w/v)の濃度を有し;
好ましくは、工程(2)において、PVA溶液の体積(L):アリピプラゾールまたはその塩の重量(g)の比が、0.5~1.5:1、より好ましくは1.24:1であり;
好ましくは、工程(2)において、工程(1)において添加された有機溶媒A:PVA溶液の体積比が、1:40~1:250であり;
好ましくは、工程(2)において、pHが9~14であり、より好ましくは、pHが10であり;
好ましくは、工程(2)において、「ある温度下で」の操作を以下のように行う:
工程(2)の最初の1時間は15℃未満に温度を制御し、次いで約2時間温度を維持するかまたは15~30℃へ温度を上げ、より好ましくは、工程(2)の最初の1時間は12℃に温度を制御し;
好ましくは、工程(2)において、撹拌が3000 rpmの撹拌速度を有する、
本発明1005または1006の方法。
[本発明1008]
工程(3)において、固化操作を3時間行い;
好ましくは、工程(3)において、マイクロスフェアが10~13μmの平均粒径を有する、
本発明1005~1007のいずれかの方法。
[本発明1009]
本発明1001~1004のいずれかのアリピプラゾール徐放性マイクロスフェアまたは本発明1005~1008のいずれかの方法によって製造されたアリピプラゾール徐放性マイクロスフェアと、薬学的に許容される担体とを含む、懸濁製剤。
[本発明1010]
薬学的に許容される担体が、懸濁化剤、pH調整剤、等張剤、界面活性剤、水および生理食塩水からなる群より選択され;
該懸濁化剤が、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、およびグリセリンからなる群より選択され;
該等張剤が、塩化ナトリウム、グルコース、マンニトール、およびソルビトールからなる群より選択され;
該界面活性剤が、非イオン性界面活性剤であり、好ましくは、ポリソルベートおよびポロキサマーからなる群より選択される、
本発明1009の懸濁製剤。
【図面の簡単な説明】
【0062】
本明細書以下において、添付の図面を参照して本発明の態様を詳細に説明する。
図1】実施例1において調製されたマイクロスフェアサンプルの電子顕微鏡画像を示す。
図2】実施例2において調製されたマイクロスフェアサンプルの電子顕微鏡画像を示す。
図3】実施例3において調製されたマイクロスフェアサンプルの電子顕微鏡画像を示す。
図4】実施例4において調製されたマイクロスフェアサンプルの電子顕微鏡画像を示す。
図5】実施例1において調製されたマイクロスフェアサンプルを10%酢酸エチルで溶解することによって得られたサンプルの電子顕微鏡画像を示す。
図6】実施例2において調製されたマイクロスフェアサンプルを10%酢酸で溶解することによって得られたサンプルの電子顕微鏡画像を示す。
図7】実施例1において調製されたマイクロスフェアサンプルの粒径分布のグラフを示す。
図8】実施例13のラットから得られた薬物血漿濃度時間曲線を示す。
図9】実施例14のラットから得られた薬物血漿濃度時間曲線を示す。
図10】実施例15のラットから得られた薬物血漿濃度時間曲線を示す。
図11】マイクロスフェアサンプルの電子顕微鏡画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0063】
好ましい態様の詳細な説明
本発明を本明細書以下において態様と組み合わせて詳細にさらに説明する。提供される態様は、いかなる方法によっても本発明の範囲を限定せず、本発明を説明するために使用されるに過ぎないことが、当業者によって認識されるだろう。
【0064】
以下の態様における実験方法は、特別の定めのない限り、全て従来の方法である。以下の実施例において使用される原材料、試薬および他の材料は、特別の定めのない限り、市販されているものであり得る。
【実施例
【0065】
実施例1:
50 gのアリピプラゾールと、固有粘度0.2dL/g、多分散指数1.5重量平均分子量25000およびポリラクチド対グリコリドのモル比50:50を有する20 gのポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体とを混合し、次いで400 g (301.9ml)のジクロロメタンをそれへ添加し、得られた混合物を次いで55℃へ加熱し、振盪して溶解させ、ジクロロメタン溶液を得た。その間、62 Lの1% PVA溶液を調製し、PVA溶液のpHを水酸化ナトリウムの添加によって10へ調節し、温度を12℃で制御した。その後、3000 rpmの撹拌速度で高速乳化機または静的ミキサーを使用することによって、ジクロロメタン溶液をPVA溶液中に分散させた。結果として生じた乳濁液を3時間固化させ、遠心分離および凍結乾燥し、マイクロスフェアを採取した。
【0066】
結論:得られたマイクロスフェアは、71%の薬物ローディングおよび92%の収率を有した。マイクロスフェアサンプルの電子顕微鏡画像を図1に示し、ここから、それらのマイクロスフェアが良好な球形成性および滑らかで完全な表面を有したことが理解され得る。その上、結果は、マイクロスフェアは、10%酢酸エチル中に溶解された後、球状網状骨格構造(図5)であったことを示した。マイクロスフェア中のアリピプラゾールは、初期段階で迅速に放出され、従って、有効な薬物濃度が可能な限り早く達成されることを保証し、後期段階において、それは滑らかにかつ1ヶ月以内に完全に放出された。
【0067】
実施例2:
50 gのアリピプラゾールと、固有粘度0.55dL/g、多分散指数3.0重量平均分子量35000、ポリラクチド対グリコリドのモル比50:50を有する20 gのポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体とを混合し、次いで400 gのジクロロメタンをそれへ添加し、得られた混合物を次いで55℃へ加熱し、振盪して溶解させ、ジクロロメタン溶液を得た。その間、62 Lの1% PVA溶液を調製し、PVA溶液のpHを水酸化ナトリウムの添加によって10へ調節し、温度を12℃で制御した。その後、3000 rpmの撹拌速度で高速乳化機または静的ミキサーを使用することによって、ジクロロメタン溶液をPVA溶液中に分散させた。結果として生じた乳濁液を3時間固化させ、遠心分離および凍結乾燥し、マイクロスフェアを採取した。
【0068】
結論:得られたマイクロスフェアは、70%の薬物ローディングおよび87%の収率を有した。マイクロスフェアサンプルの電子顕微鏡画像を図2に示し、ここから、それらのマイクロスフェアが良好な球形成性および滑らかで完全な表面を有したことが理解され得る。その上、結果は、マイクロスフェアは、10%酢酸中に溶解された後、球状網状骨格構造(図6)であったことを示した。マイクロスフェア中のアリピプラゾールは、初期段階で迅速に放出され、従って、有効な薬物濃度が可能な限り早く達成されることを保証し、後期段階において、それは滑らかにかつ1ヶ月以内に完全に放出された。
【0069】
実施例3:
50 gのアリピプラゾールと、固有粘度0.6dL/g、多分散指数2.0重量平均分子量75000、ポリラクチド対グリコリドのモル比75:25を有する20 gのポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体とを混合し、次いで400 gのジクロロメタンをそれへ添加し、得られた混合物を次いで55℃へ加熱し、振盪して溶解させ、ジクロロメタン溶液を得た。その間、62 Lの1% PVA溶液を調製し、PVA溶液のpHを水酸化ナトリウムの添加によって10へ調節し、温度を12℃で制御した。その後、3000 rpmの撹拌速度で高速乳化機または静的ミキサーを使用することによって、ジクロロメタン溶液をPVA溶液中に分散させた。結果として生じた乳濁液を3時間固化させ、遠心分離および凍結乾燥し、マイクロスフェアを採取した。

【0070】
結論:得られたマイクロスフェアは、68%の薬物ローディングおよび80%の収率を有した。マイクロスフェアサンプルの電子顕微鏡画像を図3に示し、ここから、採取されたサンプルのごく少数しか球を形成せず、サンプルの大部分が不十分な流動性を有する不規則な粒子であることが理解され得る。
【0071】
実施例4:
50 gのアリピプラゾールと、固有粘度0.35dL/g、多分散指数1.0重量平均分子量40000、ポリラクチド対グリコリドのモル比65:35を有する20 gのポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体とを混合し、次いで400 gのジクロロメタンをそれへ添加し、得られた混合物を次いで55℃へ加熱し、振盪して溶解させ、ジクロロメタン溶液を得た。その間、62 Lの1% PVA溶液を調製し、PVA溶液のpHを水酸化ナトリウムの添加によって10へ調節し、温度を12℃で制御した。その後、3000 rpmの撹拌速度で高速乳化機または静的ミキサーを使用することによって、ジクロロメタン溶液をPVA溶液中に分散させた。結果として生じた乳濁液を3時間固化させ、遠心分離および凍結乾燥し、マイクロスフェアを採取した。
【0072】
結論:得られたマイクロスフェアは、72%の薬物ローディングおよび89.2%の収率を有した。マイクロスフェアサンプルの電子顕微鏡画像を図4に示し、ここから、それらのマイクロスフェアが良好な球形成性および滑らかで完全な表面を有したことが理解され得る。
【0073】
実施例5:
50 gのアリピプラゾールと、固有粘度0.3dL/g、多分散指数1.5重量平均分子量20000、ポリラクチド対グリコリドのモル比75:25を有する20 gのポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体とを混合し、次いで400 gのジクロロメタンをそれへ添加し、得られた混合物を次いで55℃へ加熱し、振盪して溶解させ、ジクロロメタン溶液を得た。その間、62 Lの1% PVA溶液を調製し、PVA溶液のpHを水酸化ナトリウムの添加によって10へ調節し、温度を12℃で制御した。その後、3000 rpmの撹拌速度で高速乳化機または静的ミキサーを使用することによって、ジクロロメタン溶液をPVA溶液中に分散させた。結果として生じた乳濁液を3時間固化させ、遠心分離および凍結乾燥し、マイクロスフェアを採取した。
【0074】
結論:得られたマイクロスフェアは、71.6%の薬物ローディングおよび93.2%の収率を有した。結果は、それらのマイクロスフェアが良好な球形成性および滑らかで完全な表面を有したことを示した。
【0075】
実施例6:
50 gのアリピプラゾールと、固有粘度0.2dL/g、多分散指数1.5重量平均分子量40000、ポリラクチド対グリコリドのモル比85:15を有する20 gのポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体とを混合し、次いで400 gのジクロロメタンをそれへ添加し、得られた混合物を次いで55℃へ加熱し、振盪して溶解させ、ジクロロメタン溶液を得た。その間、62 Lの1% PVA溶液を調製し、PVA溶液のpHを水酸化ナトリウムの添加によって10へ調節し、その温度を12℃で制御した。その後、3000 rpmの撹拌速度で高速乳化機または静的ミキサーを使用することによって、ジクロロメタン溶液をPVA溶液中に分散させた。結果として生じた乳濁液を3時間固化させ、遠心分離および凍結乾燥し、マイクロスフェアを採取した。
【0076】
結論:得られたマイクロスフェアは、65.3%の薬物ローディングおよび56%の収率を有した。結果は、それらのマイクロスフェアは球形成性が悪く、不規則な粒子および不十分な流動性を伴って多数のサンプルが互いに付着したことを示した。
【0077】
実施例7:
50 gのアリピプラゾールと、固有粘度0.6dL/g、多分散指数1.5重量平均分子量80000、ポリラクチド対グリコリドのモル比100:0を有する20 gのポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体とを混合し、次いで400 gのジクロロメタンをそれへ添加し、得られた混合物を次いで55℃へ加熱し、振盪して溶解させ、ジクロロメタン溶液を得た。その間、62 Lの1% PVA溶液を調製し、PVA溶液のpHを水酸化ナトリウムの添加によって10へ調節し、温度を12℃で制御した。その後、3000 rpmの撹拌速度で高速乳化機または静的ミキサーを使用することによって、ジクロロメタン溶液をPVA溶液中に分散させた。結果として生じた乳濁液を3時間固化させ、遠心分離および凍結乾燥し、マイクロスフェアを採取した。
【0078】
結論:得られたマイクロスフェアは、53%の薬物ローディングおよび61%の収率を有した。結果は、マイクロスフェアが形成されず、不十分な流動性を有する大量の不規則な粒子および砕片が存在したことを示した。
【0079】
実施例8:
32 gのアリピプラゾール(ここで、アリピプラゾールの含有量は、アリピプラゾールおよびポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体の総重量の65%である)および17 gのポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体(ここで、固有粘度は0.35dL/gであり、多分散指数は2.0あり、重量平均分子量は25000であり、ポリラクチド対グリコリドのモル比は50:50である)を混合し、次いで500 gのジクロロメタン(9% w/w)をそれへ添加し、得られた混合物を次いで40℃へ加熱し、振盪して溶解させ、ジクロロメタン溶液を得た。その間、20 Lの0.1% PVA溶液を調製し、PVA溶液のpHを水酸化ナトリウムの添加によって9へ調節し、温度を15℃で制御した。その後、3000 rpmの撹拌速度で高速乳化機または静的ミキサーを使用することによって、ジクロロメタン溶液をPVA溶液中に分散させた。結果として生じた乳濁液を3時間固化させ、遠心分離および凍結乾燥し、マイクロスフェアを採取した。
【0080】
結論:得られたマイクロスフェアは、61%の薬物ローディングおよび86%の収率を有した。結果は、それらのマイクロスフェアが、良好な球形成性、規則的で、丸く滑らかな表面、および十分な流動性を有したことを示した。
【0081】
実施例9:
50 gのアリピプラゾール(ここで、アリピプラゾールの含有量は、アリピプラゾールおよびポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体の総重量の80%である)および12 gのポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体(ここで、固有粘度は0.2dL/gであり、多分散指数は1.5あり、重量平均分子量は30000であり、ポリラクチド対グリコリドのモル比は75:25である)を混合し、次いで200 gのジクロロメタン(24% w/w)をそれへ添加し、得られた混合物を次いで65℃へ加熱し、振盪して溶解させ、ジクロロメタン溶液を得た。その間、50 Lの1% PVA溶液を調製し、PVA溶液のpHを水酸化ナトリウムの添加によって12へ調節し、温度を12℃で制御した。その後、3000 rpmの撹拌速度で高速乳化機または静的ミキサーを使用することによって、ジクロロメタン溶液をPVA溶液中に分散させた。結果として生じた乳濁液を3時間固化させ、遠心分離および凍結乾燥し、マイクロスフェアを採取した。
【0082】
結論:得られたマイクロスフェアは、73%の薬物ローディングおよび91%の収率を有した。結果は、それらのマイクロスフェアが、良好な球形成性、規則的な粒子、丸く滑らかな表面および十分な流動性を有したことを示した。
【0083】
実施例10:
50 gのアリピプラゾール(ここで、アリピプラゾールの含有量は80%である)および12 gのポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体(ここで、固有粘度は0.3dL/gであり、多分散指数は2.0あり、重量平均分子量は60000であり、ポリラクチド対グリコリドのモル比は75:25である)を混合し、次いで250 gのジクロロメタン(20% w/w)をそれへ添加し、得られた混合物を次いで65℃へ加熱し、振盪して溶解させ、ジクロロメタン溶液を得た。その間、62 Lの1% PVA溶液を調製し、PVA溶液のpHを水酸化ナトリウムの添加によって13へ調節し、温度を12℃で制御した。その後、3000 rpmの撹拌速度で高速乳化機または静的ミキサーを使用することによって、ジクロロメタン溶液をPVA溶液中に分散させた。結果として生じた乳濁液を3時間固化させ、遠心分離および凍結乾燥し、マイクロスフェアを採取した。
【0084】
結論:得られたマイクロスフェアは、76%の薬物ローディングおよび86%の収率を有した。結果は、それらのマイクロスフェアが、良好な球形成性、規則的な粒子、丸く滑らかな表面および十分な流動性を有したことを示した。
【0085】
実施例11:
32 gのアリピプラゾール(ここで、アリピプラゾールの含有量は65%である)および17 gのポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体(ここで、固有粘度は0.2dL/gであり、多分散指数は1.0あり、重量平均分子量は15000であり、ポリラクチド対グリコリドのモル比は65:35である)を混合し、次いで500 gのジクロロメタン(9% w/w)をそれへ添加し、得られた混合物を次いで65℃へ加熱し、振盪して溶解させ、ジクロロメタン溶液を得た。その間、120 Lの1% PVA溶液を調製し、PVA溶液のpHを水酸化ナトリウムの添加によって14へ調節し、その温度を12℃で制御した。その後、3000 rpmの撹拌速度で高速乳化機または静的ミキサーを使用することによって、ジクロロメタン溶液をPVA溶液中に分散させた。結果として生じた乳濁液を3時間固化させ、遠心分離および凍結乾燥し、マイクロスフェアを採取した。
【0086】
結論:得られたマイクロスフェアは、63%の薬物ローディングおよび93%の収率を有した。結果は、それらのマイクロスフェアが、良好な球形成性、規則的な粒子、丸く滑らかな表面および十分な流動性を有したことを示した。
【0087】
実施例12:
アリピプラゾール徐放性マイクロスフェアを、それらの粒径を決定するために調製し、結果を以下の表2に示した。表において、群1~11のサンプルは、それぞれ、実施例1~11において調製されたアリピプラゾール徐放性マイクロスフェアであり、群12のサンプルは、特許出願第CN201710052728号の実施例9に開示される方法に従って調製されたアリピプラゾール徐放性マイクロスフェアであり、群13のサンプルは、特許出願第CN200880021585.8号の実施例7に開示される方法に従って調製されたアリピプラゾール徐放性マイクロスフェアであった。図7は、本発明の実施例1において調製されたマイクロスフェアサンプルの粒径分布のグラフを示す。
【0088】
サンプルの決定:約25 mg(約20 mgアリピプラゾールと等価)サンプルを計量し、10 mlペニシリン瓶中へ置き、5 ml精製水をピペットで添加した。サンプルをデュプリケートで並行して調製した。光学モデルをFraunhofer rfdとして設定し、精製水を分散媒として設定し、回転速度を2200 rmpとして設定した。サンプルを決定前に5分間超音波によって懸濁させた。サンプルを取り出し、振り混ぜ、次いで、遮光率が5%~10%となるまで、スポイトでサンプルセル中へ徐々に滴下し、サンプルの滴下を停止し、決定を行い、結果を記録した(各サンプルを並行して3回決定し、次いで結果を平均化した)。
【0089】
(表2)アリピプラゾール徐放性マイクロスフェアの粒径の決定
【0090】
結論:群3、6、7、12および13のマイクロスフェアは20μmを超える平均粒径を有し、5ゲージ針で注射することができない。
【0091】
実施例13:単回用量筋肉内(I.M.)注射後のSDラット中の長期間効果についての研究
本発明の実施例1において得られた長時間作用型アリピプラゾールマイクロスフェアを、以下の方法に従って製剤へ調製した:いくつかのマイクロスフェアを計量し、予め調製された懸濁液によって分散させ(懸濁液は7%マンニトール、5%カルボキシメチルセルロースナトリウムを含み、懸濁液のpHは6.8である)、次いで、15% (w/v)の固体対液体比を有する薬学的製剤を調製した。群Aに投与された製剤は、実施例1の方法に従って調製されたマイクロスフェアの製剤であり;群Bに投与された製剤は、上記と同じ懸濁液と、特許出願第CN200880021585.8号の実施例7の方法に従って調製されたマイクロスフェアとで調製された製剤であり;群Cに投与された製剤は、経口アリピプラゾール錠剤(2 mg/kg/日)を同時に加えて、群Bに投与された製剤であった。
【0092】
上記3つの群の製剤を、それぞれ、25mg/kgの用量でラットの大腿筋中へ注射した。その間、群Cのラットに、注射後最初の14日間、2 mg/kg/日の用量で経口投与した。血液サンプルを1(注射の6時間後)、2、4、7、10、14、21、28、および35日目に収集した。ラットの薬物血漿濃度時間曲線を、確立しているLC-MS法によって決定された血漿中の薬物の濃度に従ってプロットし、血漿濃度と時間との関係を評価した。
【0093】
具体的な結果を図8に示した。
【0094】
結果は、群Aについての曲線が比較的平らであり、血漿薬物濃度が投与中に有効範囲内に維持され、次いで30日後に減少したことを示し、これは、薬物が完全に放出されたことを示している。群Bについての曲線は、薬物徐放時間がより長く、これは1ヶ月を超え、薬物濃度は初期段階において徐々に増加し、遅延放出現象が観察された。群Cにおいて、薬物は経口投与され、明らかな「ピーク-バレイ」現象の発生を伴う薬物血漿濃度の著しい変動がある。
【0095】
実施例14:
本発明の実施例1、2、4、5、8および9において得られたアリピプラゾール徐放性マイクロスフェアを、以下の方法に従って製剤へ調製した:いくつかのマイクロスフェアを計量し、予め調製された懸濁液によって分散させ(懸濁液は7%マンニトール、5%カルボキシメチルセルロースナトリウムを含み、懸濁液のpHは6.8である)、次いで、15% (w/v)の固体対液体比を有する薬学的製剤を調製した。各群において使用したマイクロスフェアは、対応する実施例に従って調製した。
【0096】
(表3)群と実施例との対応関係
【0097】
上記の群の製剤を、それぞれ、25mg/kgの用量でラットの大腿筋中へ注射した。血液サンプルを1(注射の6時間後)、2、4、7、10、14、21、28、および35日目に収集した。ラットの薬物血漿濃度時間曲線を、確立しているLC-MS法によって決定された血漿中の薬物の濃度に従ってプロットし、血漿濃度と時間との関係を評価した。
【0098】
具体的な結果を図9に示した。
【0099】
結果は、群Aについての曲線が平らであり、血漿薬物濃度が投与中に有効範囲内に維持され、次いで28日後に減少したことを示し、これは、薬物が完全に放出されたことを示している。群Bについての曲線は、群Aについてのそれと類似しており、ここで、血漿薬物濃度はまた、20日後に急速に減少したが、有効範囲内に維持され;群Cについての曲線は、群Bについてのそれと類似しており、ここで、血漿薬物濃度はまた、20日後に急速に減少したが、有効範囲内に維持され;群D、EおよびFについての曲線は投与中平らであり、ここで、血漿薬物濃度はまた、後期段階に急速に減少したが、有効範囲内に維持された。
【0100】
実施例15:
本発明の実施例1において得られた長時間作用型アリピプラゾールマイクロスフェアを、以下の方法に従って製剤へ調製した:いくつかのマイクロスフェアを計量し、予め調製された懸濁液によって分散させ(懸濁液は7%マンニトール、5%カルボキシメチルセルロースナトリウムを含み、懸濁液のpHは6.8である)、次いで、15% (w/v)の固体対液体比を有する薬学的製剤を調製した。群Aに投与された製剤は、実施例1の方法に従って調製されたマイクロスフェアの製剤であり;群Bに投与された製剤は、上記と同じ懸濁液と、特許出願第CN201710052728号の実施例9の方法に従って調製されたマイクロスフェアとで調製された製剤であり;群Cに投与された製剤は、上記と同じ懸濁液と、特許出願第CN201410219991号の実施例1の方法に従って調製されたマイクロスフェアとで調製された製剤であった。
【0101】
上記3つの群の製剤を、それぞれ、25mg/kgの用量でラットの大腿筋中へ注射した。血液サンプルを1(注射の6時間後)、2、4、7、10、14、21、28、および35日目に収集した。ラットの薬物血漿濃度時間曲線を、確立しているLC-MS法によって決定された血漿中の薬物の濃度に従ってプロットし、血漿濃度と時間との関係を評価した。
【0102】
具体的な結果を図10に示した。
【0103】
結果は、群Aについての曲線が平らであり、血漿薬物濃度が投与中に有効範囲内に維持され、次いで28日後に減少したことを示し、これは、薬物が完全に放出されたことを示している。群Bについての血漿薬物濃度は最初の5日で遅延放出現象を示し、これは、徐々に増加し、後期段階で有効濃度に達した。群Cにおける血漿薬物濃度は最初の7日で遅延放出現象を示し、これは、急速に増加し、後期段階で有効濃度に達した。
【0104】
実施例16:PVA濃度のスクリーニング
50 gのアリピプラゾールおよび20 gのポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体(ここで、固有粘度は0.3dL/gであり、多分散指数は1.5あり、重量平均分子量は25000であり、ポリラクチド対グリコリドのモル比は50:50である)を混合し、次いで400 gのジクロロメタンをそれへ添加し、得られた混合物を次いで55℃へ加熱し、振盪して溶解させ、ジクロロメタン溶液を得た。
【0105】
その間、62 LのPVA溶液を調製し、PVA溶液のpHを水酸化ナトリウムの添加によって10へ調節し、温度を12℃で制御した。その後、3000 rpmの撹拌速度で高速乳化機または静的ミキサーを使用することによって、ジクロロメタン溶液をPVA溶液中に分散させた。結果として生じた乳濁液を3時間固化させ、遠心分離および凍結乾燥し、マイクロスフェアを採取した。
【0106】
(表4)実験結果に対するPVA溶液の異なる濃度の効果
【0107】
結論:最適な実験結果は、PVA濃度が0.1%~1.0%であった場合に得ることができ、得られたマイクロスフェアは良好な球形成性および滑らかで完全な表面を有した。
【0108】
実施例17:実験結果に対する温度の効果
50 gのアリピプラゾールおよび20 gのポリ(ラクチド-co-グリコリド)ポリマー(固有粘度は0.3dL/gであり、多分散指数は1.5あり、重量平均分子量は25000であり、ポリラクチド対グリコリドのモル比は50:50である)を混合し、次いで400 gのジクロロメタンをそれへ添加し、得られた混合物を次いで55℃へ加熱し、振盪して溶解させ、ジクロロメタン溶液を得た。その間、62 Lの1% PVA溶液を調製し、PVA溶液のpHを水酸化ナトリウムの添加によって10へ調節し、温度をある温度で制御した。その後、3000 rpmの撹拌速度で高速乳化機または静的ミキサーを使用することによって、ジクロロメタン溶液をPVA溶液中に分散させた。結果として生じた乳濁液を3時間固化させ、遠心分離および凍結乾燥し、マイクロスフェアを採取した。
【0109】
(表5)実験結果に対する異なる温度の効果
【0110】
結論:アリピプラゾールは、温度が15℃未満であった場合、急速に結晶化し、小さな結晶を形成し、従って、良好な外観および最適な実験結果を有するマイクロスフェアが得られた。
【0111】
実施例18:実験結果に対するジクロロメタンの量の効果
50 gのアリピプラゾールおよび20 gのポリ(ラクチド-co-グリコリド)共重合体(ここで、固有粘度は0.3dL/gであり、多分散指数は1.5あり、重量平均分子量は25000であり、ポリラクチド対グリコリドのモル比は50:50である)を混合し、次いである量のジクロロメタンをそれへ添加し、得られた混合物を次いで55℃へ加熱し、振盪して溶解させ、ジクロロメタン溶液を得た。
【0112】
その間、62 Lの1% PVA溶液を調製し、PVA溶液のpHを水酸化ナトリウムの添加によって10へ調節し、温度を12℃で制御した。その後、3000 rpmの撹拌速度で高速乳化機または静的ミキサーを使用することによって、ジクロロメタン溶液をPVA溶液中に分散させた。結果として生じた乳濁液を3時間固化させ、遠心分離および凍結乾燥し、マイクロスフェアを採取した。
【0113】
(表6)実験結果に対するジクロロメタンの異なる量の効果
【0114】
結論:ジクロロメタン対アリピプラゾールの比が4:1~10:1であった場合、実験が円滑に進み、結果として生じたマイクロスフェアは適格とされ;最適な実験結果は、前記比が8:1であった場合に得られたことが、表6中の実験データから理解され得る。図11は、800gのジクロロメタンで調製されたマイクロスフェアの電子顕微鏡画像を示した。
【0115】
実施例19:実験結果に対するPVC溶液の量の効果
50 gのアリピプラゾールおよび20 gのポリ(ラクチド-co-グリコリド)ポリマー(固有粘度は0.3dL/gであり、多分散指数は1.5あり、重量平均分子量は25000であり、ポリラクチド対グリコリドのモル比は50:50である)を混合し、次いで400gのジクロロメタンをそれへ添加し、得られた混合物を次いで55℃へ加熱し、振盪して溶解させ、ジクロロメタン溶液を得た。
【0116】
その間、ある量の1% PVA溶液を調製し、PVA溶液のpHを水酸化ナトリウムの添加によって10へ調節し、温度を12℃で制御した。その後、3000 rpmの撹拌速度で高速乳化機または静的ミキサーを使用することによって、ジクロロメタン溶液をPVA溶液中に分散させた。結果として生じた乳濁液を3時間固化させ、遠心分離および凍結乾燥し、マイクロスフェアを採取した。
【0117】
(表7)実験結果に対するPVC溶液の異なる量の効果
【0118】
結論:PVA対アリピプラゾールの比が0.5:1未満であった場合、非常に不十分な実験結果が得られたことが、表7の実験結果から理解され得る。
【0119】
実施例20:実験結果に対するpHの効果
50 gのアリピプラゾールおよび20 gのポリ(ラクチド-co-グリコリド)ポリマー(固有粘度は0.3dL/gであり、多分散指数は1.5あり、重量平均分子量は25000であり、ポリラクチド対グリコリドのモル比は50:50である)を混合し、次いで400gのジクロロメタンをそれへ添加し、得られた混合物を次いで55℃へ加熱し、振盪して溶解させ、ジクロロメタン溶液を得た。
【0120】
その間、62Lの1% PVA溶液を調製し、PVA溶液のpHを水酸化ナトリウムの添加によって調節し、温度を12℃で制御した。その後、3000 rpmの撹拌速度で高速乳化機または静的ミキサーを使用することによって、ジクロロメタン溶液をPVA溶液中に分散させた。結果として生じた乳濁液を3時間固化させ、遠心分離および凍結乾燥し、マイクロスフェアを採取した。
【0121】
(表8)実験結果に対する異なるpHの効果
【0122】
結論:pHが9未満であった場合、不十分な実験結果が得られる場合がある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11