(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】高スループット光トモグラフィ三次元イメージングシステム
(51)【国際特許分類】
G02B 21/36 20060101AFI20221207BHJP
G01N 21/17 20060101ALI20221207BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20221207BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
G02B21/36
G01N21/17 620
H04N5/225 600
H04N5/225 100
H04N5/232 290
(21)【出願番号】P 2021523973
(86)(22)【出願日】2019-07-30
(86)【国際出願番号】 CN2019098367
(87)【国際公開番号】W WO2020088014
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】201811296073.4
(32)【優先日】2018-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521182700
【氏名又は名称】華中科技大学蘇州脳空間信息研究院
【氏名又は名称原語表記】HUST-SUZHOU INSTITUTE FOR BRAINSMATICS
【住所又は居所原語表記】Building C, No. 388 Ruoshui Road, Suzhou Industrial Park Suzhou, Jiangsu 215125, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】駱 清銘
(72)【発明者】
【氏名】袁 菁
(72)【発明者】
【氏名】鍾 秋園
(72)【発明者】
【氏名】金 鋭
(72)【発明者】
【氏名】▲ぐん▼ 輝
【審査官】殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/094290(WO,A1)
【文献】特表2004-515780(JP,A)
【文献】特開平07-120681(JP,A)
【文献】特表2005-525551(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101661159(CN,A)
【文献】特表2000-506634(JP,A)
【文献】特開2004-109348(JP,A)
【文献】Vincent Poher ET AL,"Improved sectioning in a slit scanning confocal microscope",OPTICS LETTERS,2008年08月15日,Vol. 33, No. 16,pages 1813-1815
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 21/00 - 21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高スループット光トモグラフィ三次元イメージングシステムであって、ビーム変調モジュールと、イメージングモジュールと、切除モジュールと、復調モジュールとを含み、
前記ビーム変調モジュールは、ビームを、対物レンズの焦点面に焦点を合わせ、対物レンズの焦点ぼけ面で発散することができる変調ビームに変調するために使用され、
前記イメージングモジュールは、カメラを使用して、変調ビームの照明下での同一のサンプルの少なくとも1つの表層の少なくとも1つのサンプルストリップを異なる画素でイメージング
し、複数のサンプル画像を形成するために使用され、前記変調ビームは、
異なる行画素の配置方向において異なる変調強度を有し、
イメージング時に、前記異なる行画素の前記配置方向に沿ってサンプルストライプが移動し、これにより前記異なる行の各行の画素が、前記配置方向に沿って複数のストライプ画像ブロックを順次形成し、前記異なる行の各行の画素により形成された前記複数のストライプ画像ブロックは、同一のサンプルの前記複数のサンプル画像のうちの対応する一つのサンプル画像をスプライスするために使用され、
前記切除モジュールは、サンプルのイメージングされた表層を切除するために使用され、
前記復調モジュールは、一つの表層の一つのサンプルストリップのサンプル画像を復調して光トモグラフィ画像を形成し、各表層の各サンプルストリップの光トモグラフィ画像を再構成して三次元画像を形成するために使用され
、複数のサンプル画像を形成することを特徴とする高スループット光トモグラフィ三次元イメージングシステム。
【請求項2】
前記イメージングモジュールでは、形成されたサンプルストリップのサンプル画像の計算式は次のとおりであり、
I(i)=I
inf(i)+I
out
I(i)は、
第i画素で形成されたサンプル画像であり、f(i)は、サンプル画像I(i)に対応する変調強度であり、I
inは、サンプル画像の焦点面画像であり、I
outはサンプル画像の焦点ぼけ面画像であり、
前記復調モジュールでは、復調式は、
I
in=c×|βI
1-αI
2|
であり、
α、βは正の整数であり、cは0より大きい定数であり、I
1はα
行の画素で取得されたサンプル画像の累積合計であり、I
2はβ
行の画素で取得されたサンプル画像の累積合計であり、
β×(α
行の画素でのサンプル画像に対応する変調強度の累積値
)は、
α×(β
行の画素でのサンプル画像に対応する変調強度の累積値
)とは異なる、ことを特徴とする請求項1に記載の高スループット光トモグラフィ三次元イメージングシステム。
【請求項3】
前記イメージングモジュールは、ビーム変調モジュールとサンプルを駆動して、互いに垂直な3つの方向に相対的に移動させるための駆動ユニットと、サンプルストリップの長さ方向に沿って連続的なイメージングを行うイメージングユニットとを含み、前記サンプルストリップの長さ方向は、ビーム変調モジュールとサンプルのうちの1つの相対的な移動方向と同じである、ことを特徴とする請求項2に記載の高スループット光トモグラフィ三次元イメージングシステム。
【請求項4】
前記イメージングモジュールにおけるカメラのイメージング領域はN行の画素であり、N≧2であり、サンプルのイメージング平面に平行な平面上に互いに垂直なX方向とY方向である2つの方向を形成し、前記変調ビームは、X方向とY方向にそれぞれ次の特性を持ち、前記変調ビームは、前記N行の画素でX方向に沿って
異なる変調強度を有し、前記変調ビームは、前記N行の画素の各行の画素でY方向に沿って同じ変調強度を有し、前記画素は行画素であり、前記サンプル画像はストライプ画像である、ことを特徴とする請求項3に記載の高スループット光トモグラフィ三次元イメージングシステム。
【請求項5】
【請求項6】
【請求項7】
前記イメージング
モジュールによるイメージングの単一フレームの露光時間は、ビーム変調モジュールとサンプルがサンプルストリップの長さ方向に沿って1つの行の画素を相対的に移動する時間と同じであり、前記N行の画素の分布方向及び幅は、それぞれ、変調ビームの分布方向及び幅と同じであり、互いに物体画像共役関係にある、ことを特徴とする請求項6に記載の高スループット光トモグラフィ三次元イメージングシステム。
【請求項8】
前記ビーム変調モジュールは、線状を呈する線状ビームに照明光線を整形するための整形光路と、線状ビームを線状照明変調ビームに変調するための変調光路とを含む、ことを特徴とする請求項7に記載の高スループット光トモグラフィ三次元イメージングシステム。
【請求項9】
前記整形光路は、照明光線の伝送方向に沿って順次配置されたレーザ光源と、第1レンズと、第2レンズと、柱レンズとを含み、前記変調光路は、線状ビームの発散光線を平行光線に変調するための第3レンズと、線状ビームの入射方向を変調するダイクロイックミラーと、入射方向を変調した線状ビームと同軸に配置された対物レンズとを含む、ことを特徴とする請求項8に記載の高スループット光トモグラフィ三次元イメージングシステム。
【請求項10】
前記駆動ユニットは、サンプルを駆動して、互いに垂直な3つの方向に移動させるための平行移動ステージであり、前記平行移動ステージは、前記対物レンズのダイクロイックミラーから離れた側に位置し、前記変調ビームの光軸に垂直であり、前記切除モジュールは、振動スライスカッタ、ダイヤモンドカッタ、及び硬質合金カッタのうちの1つ又は複数を含む、ことを特徴とする請求項9に記載の高スループット光トモグラフィ三次元イメージングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、イメージング技術に関し、特に、高スループット光トモグラフィ三次元イメージングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
光学イメージング技術の分野において、従来の広域顕微鏡の焦点ぼけのバックグラウンド干渉により、焦点面の鮮明な画像を取得することができない。一般に、組織を薄いスライスに切断することで、バックグラウンド干渉が回避される。光学スライスとも呼ばれる光トモグラフィは、光学イメージング方法により、組織切片と類似のイメージング効果を実現する。共焦点顕微鏡イメージング技術は、カメラの前にピンホール(pinhole)を配置して、焦点ぼけのバックグラウンド干渉をブロックし、焦点面からの有効な信号のみを通過させることによって、光トモグラフィの効果を実現する。多光子励起顕微鏡イメージング技術は、非線形効果を利用して、理想的な光トモグラフィの効果を実現するために、サンプルの蛍光信号を励起するのに十分なエネルギーが焦点にある。しかしながら、これらの2つの光トモグラフィ技術はいずれもポイントバイポイント走査のイメージング方式を採用し、広域イメージング方式と比較して、イメージングスループットに明らかな欠点がある。
【0003】
構造化照明顕微鏡イメージング技術は、広域照明に高周波周期性パターン変調を重ね合わせて、焦点面信号の変調を実現する。一方、このような高周波変調の急速な減衰により焦点ぼけ信号が抑制され、光トモグラフィが実現される。このプロセスの実現には、少なくとも3つの異なる変調位相の元の画像が必要となる。構造化照明顕微鏡イメージングの再構成アルゴリズムによって、焦点面信号が復調され、光トモグラフィ画像が得られる。同様に光トモグラフィ機能を有する共焦点と多光子励起顕微鏡イメージング技術とを比較して、構造化照明顕微鏡イメージングは、広域イメージング方式を使用するため、高いイメージングスループットと高速の利点を有する。大きなサイズのサンプルをイメージングする必要があるとき、構造化照明顕微鏡イメージング技術では、通常、イメージングの視野を拡大するためにモザイクスプライス方式を使用する。これにより、大きなサイズのサンプルのイメージングにかかる時間のほとんどは、モザイクとモザイクとの間のサンプルの移動に費やされ、全体的なイメージング速度が制限される。過度のモザイクスプライスを回避するために、中国特許出願第201310131718.X号は、ラインスキャンストライプイメージングを使用してイメージング速度を向上させ、構造化照明を使用してバックグラウンド干渉を抑制し、大きなサイズのサンプルの光トモグラフィ画像を迅速に取得する構造化光高速走査イメージング方法を開示した。しかしながら、この方法では、構造化照明顕微鏡イメージングのアルゴリズム再構成に必要な元のデータを取得するために、サンプルのイメージング領域を三回往復スキャンする必要がある。それにより、イメージング速度が犠牲になるとともに、このイメージング方法は、照明光フィールドの変調を達成するためにストライプイメージングシステムでビーム変調部品を使用する必要があるため、システムの複雑さを増やす。同時に、従来の構造化照明顕微鏡イメージング方法を使用するため、イメージングの品質は、変調パターンのコントラストに大きく依存する。また、既存のイメージング方式では、三次元イメージングができないため、簡単かつ効率的な高スループット光トモグラフィ三次元イメージングシステムの開発が必要となる。
【発明の概要】
【0004】
本開示の目的は、上記の技術的欠点を克服し、従来技術における三次元イメージングの速度が遅いという技術的問題を解決するための、高スループット光トモグラフィ三次元イメージングシステムを提出することである。
【0005】
上記の技術的目的を達成するために、本開示の技術的解決策は、ビーム変調モジュールと、イメージングモジュールと、切除モジュールと、復調モジュールとを含む高スループット光トモグラフィ三次元イメージングシステムを提供する。
前記ビーム変調モジュールは、ビームを、対物レンズの焦点面に焦点を合わせ、対物レンズの焦点ぼけ面で発散することができる変調ビームに変調するために使用され、前記変調ビームは、対物レンズの焦点面で完全に同じでない変調強度を有する。
前記イメージングモジュールは、変調ビームの照明下でのサンプルの少なくとも1つの表層の少なくとも1つのサンプルストリップを異なる画素でイメージングするために使用される。
前記切除モジュールは、サンプルのイメージングされた表層を切除するために使用される。
前記復調モジュールは、一つの表層の一つのサンプルストリップのサンプル画像を復調して光トモグラフィ画像を形成し、各表層の各サンプルストリップの光トモグラフィ画像を再構成して三次元画像を形成するために使用される。
【0006】
従来技術と比較して、本開示は、サンプルを分割して少なくとも1つの表層を形成し、少なくとも1つの表層を分割して少なくとも1つのサンプルストリップを形成することによって、各サンプルストリップに対するイメージングによりサンプル全体に対するイメージングを実現することができ、マルチレベルイメージングが不可能な場合、イメージングされた部分を切除モジュールで切断して、サンプルの任意の層のイメージングを実現することができ、イメージング速度が速く、効率が高い。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の高スループット光トモグラフィ三次元イメージングシステムの光学構造の模式図である。
【
図2】本開示の高スループット光トモグラフィ三次元イメージングシステムの接続ブロック図である。
【
図3】本開示のサンプルイメージングの模式図である。
【
図4】本開示の実施例1の光トモグラフィ画像の再構成原理図である。
【
図5】本開示の実施例2の光トモグラフィ画像の再構成原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の目的、技術的手段及び利点をさらに明らかにするために、以下は図面及び実施例を参照しながら、本開示をさらに詳細に説明する。ここで述べた具体的な実施例は本開示の解釈のために用いられ、本開示を限定するためのものではないことを理解するべきである。
【0009】
図1、
図2、
図3に示すように、本開示は、ビーム変調モジュール11と、イメージングモジュール12と、切除モジュール13と、復調モジュール14とを含む高スループット光トモグラフィ三次元イメージングシステム10を提供する。
【0010】
前記ビーム変調モジュール11は、ビームを、対物レンズ17の焦点面に焦点を合わせ、対物レンズ117の焦点ぼけ面で発散することができる変調ビーム11bに変調するために使用される。前記変調ビーム11bは、対物レンズ117の焦点面で完全に同じではない変調強度を有する。前記ビーム変調モジュール11は、線状を呈する線状ビーム11aに照明光線を整形するための整形光路と、線状ビーム11aを線状照明変調ビーム11bに変調するための変調光路とを含む。
【0011】
ビーム変調モジュール11は、光線方向に沿って順次配置されたレーザ光源111、第1レンズ112、第2レンズ113、柱レンズ114、第3レンズ115、ダイクロイックミラー116及び対物レンズ117から構成され得る。レーザ光源111、第1レンズ112、第2レンズ113、及び柱レンズ114は、整形光路を形成する。第3レンズ115、ダイクロイックミラー116、及び対物レンズ117は、変調光路を形成する。光線を整形するとき、レーザ光源111から照明光線が放出され、第1レンズ112及び第2レンズ113によって順次処理された後、ビーム拡張にされる。ビーム拡張後のビームは、柱レンズ114で変調されて、線状を呈する線状ビーム11aを形成する。この線状ビーム11aは、発散光線であるため、第3レンズ115によって変調されて平行光線の線状ビーム11aを形成し、ダイクロイックミラー116によってその入射方向が変調された後に、対物レンズ117に進入して、対物レンズ117の焦点面に焦点を合わせ、且つ対物レンズ117の焦点ぼけ面で発散する線状照明変調ビーム11bを形成する。後続のイメージングを容易にするために、変調ビーム11bの光軸は、照明光線及び反射されていない線状ビーム11aの光軸に垂直に配置される。即ち、第1レンズ112、第2レンズ113、柱レンズ114、第3レンズ115は同軸に配置され、第1レンズ112、第2レンズ113、柱レンズ114、第3レンズ115の中軸線は、対物レンズ117の中軸線に垂直に配置される。また、ダイクロイックミラー116と変調ビーム11bの光軸との間の角は45°である。これは、ダイクロイックミラー116によって反射された線状ビーム11aの幅が変化しないことを保証することができる。
【0012】
本実施例では、まず、照明光線は、線状を呈する線状ビーム11aに整形され、次に、線状ビーム11aは、線状照明され得る変調ビーム11bに変調される。本実施例は、対物レンズ117の焦点面に焦点を合わせることができるとともに、対物レンズ117の焦点ぼけ面で発散することができる変調ビーム11bによって、サンプル30を線状に照明する。これは、サンプル30が蛍光を励起するのを容易にするので、後続のイメージングを容易にする。
【0013】
具体的には、上記の変調ビーム11bは、対物レンズの焦点面で、完全に同じではない変調強度によって、例えば、ガウス変調、正弦変調、三角変調などの完全に同じではない変調強度を有する波形によって変調される。本実施例の照明ビームはガウスビームを採用するので、本実施例で形成される変調ビーム11bはガウス変調である。本実施例はまた、必要に応じて、完全に同じではない変調強度を有する他の波形を採用して変調を行うこともできる。
【0014】
イメージングモジュール12は、変調ビーム11bの照明下でのサンプル20の少なくとも1つの表層の少なくとも1つのサンプルストリップを異なる画素でイメージングするために使用される。それは、駆動ユニット121、イメージングユニット122、画像ブロック取得ユニット123、及びスプライスユニット124を含む。駆動ユニット121は、ビーム変調モジュール11とサンプル20を駆動して、互いに垂直な3つの方向に相対的に移動させるために使用される。イメージングユニット122は、サンプルストリップの長さ方向に沿って連続的なイメージングを行うために使用される。前記サンプルストリップの長さ方向は、ビーム変調モジュール11とサンプル20のうちの1つの相対的な移動方向と同じである。
【0015】
上記のビーム変調モジュール11と協力するために、本実施例の駆動ユニット121は、三次元電動平行移動ステージを採用することができる。サンプル20は、この三次元電動平行移動ステージ上に配置することができる。三次元電動平行移動ステージは、サンプル20を駆動して、水平面で横方向、縦方向に移動させることができるとともに、サンプル20を駆動して垂直面で上下移動させることができるので、ビーム変調モジュール11とサンプル20を駆動して、互いに垂直な3つの方向に相対的に移動させることができる。本実施例の駆動ユニット121は、サンプル20を駆動して3つの垂直な方向に移動させることに限定されず、ビーム変調モジュール11を駆動して3つの垂直な方向に移動させることもできることを理解されたい。
【0016】
具体的な配置では、三次元電動平行移動ステージは、対物レンズ117の真下に配置され、三次元電動平行移動ステージの上面は水平状態にあり、対物レンズ117の中軸線は、三次元電動平行移動ステージの上面に垂直である。
【0017】
イメージングユニット122は、イメージング光路によって構成され、対物レンズ117の真上に位置する発射フィルター122a、シリンダレンズ122b及びイメージングカメラ122cによって構成される。変調ビーム11bの作用下で励起されたサンプル20によって放出された蛍光は、対物レンズ117、ダイクロイックミラー116、発射フィルター122a及びシリンダレンズ122bを順次通過し、イメージングカメラ122cによって検出されイメージングされる。本実施例のイメージングカメラ122cは、サブアレイ(Sub-array)又はROI(Region of interest、関心領域)機能を有するエリアアレイCCD(Charge-coupled device、電荷結合素子)又はエリアアレイCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor、相補型金属酸化膜半導体)カメラであるが、面モード機能を有するリニアアレイCCD又はリニアアレイCMOSカメラを採用してもよい。後続の光トモグラフィ画像の再構成を容易にするために、本実施例のイメージングカメラ122cのイメージング領域は、N行の画素、N≧2であり、イメージングカメラ122cのイメージング方向及びイメージング領域の幅は、それぞれ、線状照明変調ビーム11bの方向及び幅と同じである。
【0018】
イメージングを容易にするために、本実施例のサンプル20は、矩形のブロック状にすることができるため、三次元イメージングの場合、サンプル20は、サンプル本体と、サンプル本体をカバーしている固体媒体とにより構成するように設定され得る。固体媒体は一般的に寒天、パラフィン、又は樹脂である。サンプル20は分割されて、上から下に順次均一に配置された複数の表層、即ち、第1表層、第2表層、第3表層などを形成することができる。各表層は、縦方向に沿って均一に分割されて、複数のサンプルストリップ、即ち、第1サンプルストリップ、第2サンプルストリップ、第3サンプルストリップなどを形成することができる。サンプルストリップの幅は、イメージングカメラ122cのN行の画素の幅と同じになるように設定することができる。
【0019】
図3に示すように、イメージングの場合、サンプルは8つの表層に設定され、各表層は4つのサンプルストリップを形成するように分割される。駆動ユニット121は、サンプル20を駆動して、横方向に連続的に等速で移動させると、イメージングカメラ122cは、第1表層21の第1サンプルストリップ211をイメージングする。第1サンプル211のイメージングが完了した後、サンプル20は横方向に沿って戻る。第2表層22の第1サンプルストリップ221をイメージングすることができる。その後、第3表層23の第1サンプルストリップ231、第4表層24の第1サンプルストリップ241を順次イメージングすることができる。イメージングカメラ122cは、垂直方向に限られた数のイメージングの層を有するので、設定された数のイメージング層に達すると、例えば、第4表層24の第1サンプルストリップ241のイメージングが完了した後、サンプル20を駆動して、縦方向に沿って1つのサンプルストリップの幅で移動させ、第1表層21の第2サンプルストリップ212、第2表層22の第2サンプルストリップ222、第3表層23の第2サンプルストリップ232、第4表層24の第2サンプルストリップ242をイメージングすることができる。次に、上記の方式で、第1表層21~第4表層24の他のサンプルストリップをイメージングする。イメージングが完了した後、切除モジュール13によってイメージングされた第1表層21~第4表層24を切除することができる。切除後、サンプル20を駆動して、4つの表層の厚さの距離で移動させ、次に、第5表層~第8表層のイメージングを続ける。
【0020】
各サンプルストリップのイメージングプロセスでは、異なる画素で形成されたサンプル画像の計算式は次のとおりである。
イメージングカメラ122cのN行の画素は、サンプルストリップの移動方向と同じ横方向に沿って配置される。それにより、サンプル20のサンプルストリップは、異なる画素でイメージングされやすくなる。1つのサンプルストリップをイメージングする場合、イメージングカメラ122cの単一フレームの露光時間は、サンプル20が1行の画素を移動する時間と同じである。1フレームの画像における任意の1行の画素に対応する画像が1つのストライプ画像ブロックとして設定される場合、複数フレームの画像における任意の1行の画素に対応する複数のストライプ画像ブロックは、このサンプル20の各部分の順次連続的なイメージングである。この連続的なイメージングをスプライスしてストライプ画像を形成することができる。N行の画素は、N個のストライプ画像を形成することができる。
図4(a)に示すように、前記サンプル20のイメージング平面に平行な平面上に互いに垂直なX方向とY方向である2つの方向を形成し、前記変調ビーム11bは、X方向とY方向にそれぞれ次の特性を持ち、前記変調ビーム11bは、前記N行の画素でX方向に沿って完全に同じではない変調強度を有し、前記変調ビーム11bは、前記N行の画素の各行の画素でY方向に沿って同じ変調強度を有する。具体的には、X方向は横方向であり、Y方向は縦方向である。また、N行の画素の分布方向及び幅は、それぞれ、線状照明変調ビーム11bの分布方向及び幅と同じであり、互いに物体画像共役関係にある。それにより、イメージング領域は、線状照明変調ビーム11bに対応することが容易になる。本実施例の画素は行画素であり、サンプル画像はストライプ画像である。
【0021】
図4(a)に示すように、イメージングの場合、サンプル20は、イメージング画素の配置方向に沿って移動する。イメージングの単一フレームの露光時間は、サンプル20が1行の画素を移動する時間と同じであるため、各行の画素がサンプル20の長さ方向に沿って複数のストライプ画像ブロックを順次形成する。前記複数のストライプ画像ブロックは、サンプル20に対する連続的なイメージングである。
【0022】
本実施例の画像ブロック取得ユニット123は、時系列で得られた1つのサンプルストリップの各フレームの画像における第i行の画素のストライプ画像ブロックを取得するために使用される。ストライプ画像ブロックの計算式は次のとおりである。
【0023】
なお、上記のストライプ画像は、1行の画素に対応する複数のストライプ画像をシフトしスプライスして形成される。それは、上述したストライプ画像である。即ち、N行の画素をそれぞれスプライスしてN個のストライプ画像を形成することができる。
【0024】
前記復調モジュール14は、一つの表層の一つのサンプルストリップのストライプ画像を復調して光トモグラフィ画像を形成し、各表層の各サンプルストリップの光トモグラフィ画像を再構成して三次元画像を形成するために使用される。
【0025】
前記復調モジュール14は、画像累積ユニット141と、復調ユニット142と、トモグラフィユニット143とを含む。前記画像累積ユニット141は、1つのサンプルストリップの少なくとも1行の画素のストライプ画像を累積して第1ストライプ画像を形成し、このサンプルストリップの少なくとも1行の画素のストライプ画像を累積して第2ストライプ画像を形成するために使用される。前記復調ユニット142は、第1ストライプ画像と第2ストライプ画像を光トモグラフィ画像に復調するために使用される。前記トモグラフィユニット143は、複数のサンプルストリップの光トモグラフィ画像を再構成して三次元画像を形成するために使用される。
【0026】
上記のN個のストライプ画像を取得する場合、そのうちの1つ、2つ又は複数のストライプ画像を任意に選択して累積し、第1ストライプ画像を形成し、次に同じ方式で累積して第2ストライプ画像を取得することができる。上記の復調アルゴリズムにより取得されて光トモグラフィ画像がゼロになるのを防止するために、本実施例では、α個の画素でのストライプ画像に対応する変調強度の累積値が、β個の画素でのストライプ画像に対応する変調強度の累積値とは異なるように設定することができる
【0027】
累積後、復調ユニット142によって、次の復調アルゴリズムに従って、対応するサンプルストリップの焦点面画像、即ち、光トモグラフィ画像を取得することができる。前記復調ユニット142で採用される復調アルゴリズムの復調式は、
Iin=c×|βI1-αI2|
である。
α、βは正の整数であり、cは0より大きい定数であり、I1はα個の画素で取得されたストライプ画像の累積合計であり、I2はβ個の画素で取得されたサンプル画像の累積合計である。α個の画素でのサンプル画像に対応する変調強度の累積値が、β個の画素でのサンプル画像に対応する変調強度の累積値とは異なる。
【0028】
【0029】
本実施例のストライプ画像の取得プロセスの説明を容易にするために、説明は、次に実施例に従って行われる。
【0030】
<実施例1>
図4(a)に示すように、サンプルがN行の画素の配置方向に沿って移動すると、時間t
1~時間t
N+M-1の間にN+M-1フレームの画像(Mは、完全なストライプ画像に対応するストライプ画像ブロックの数であり、この実施例では、Nは8であり、Mは9である)を取得することができる。N+M-1フレームの画像における各行の画素は、1つのストライプ画像ブロックに対応する。例えば、第1フレームの画像の第1行の画素のストライプ画像ブロックI
1(1)、第2フレームの画像の第1行の画素のストライプ画像ブロックI
2(1)、第Nフレームの画像の第1行の画素のストライプ画像ブロックI
N(1)、及び第N+M-1フレームの画像の第1行の画素のストライプ画像ブロックI
(N+M-1)(1)を取得することができる。上記のストライプ画像ブロックI
1(1)、ストライプ画像ブロックI
2(1)からストライプ画像ブロックI
(N+M-1)(1)を順次スプライスして、ストライプ画像を形成することができる。対応する第2行の画素~第N行の画素をスプライスして、対応するストライプ画像を形成することができる。
【0031】
【0032】
【0033】
上記の復調アルゴリズムによって、各サンプルストリップの光トモグラフィ画像を順次取得することができる。トモグラフィユニット143は、すべての光トモグラフィ画像をスプライスして、立体三次元画像を形成することができる。
【0034】
なお、サンプル20の縦方向の幅が、イメージングカメラ122cのN行の画素のイメージング領域の幅よりも小さい場合、各表層に1つのサンプルストリップのみがあり、サンプル20は、イメージング中に縦方向に移動する必要がない。サンプル20の縦方向の幅が、イメージングカメラ122cのN行の画素のイメージング領域の幅よりも小さく、その厚さが、イメージングカメラ122cがイメージングできる深さよりも小さい場合、例えば、表層が2つだけある場合、サンプル20は、横方向のみに往復移動すればよく、切除モジュール13によって表層切除を行う必要がない。サンプル20の幅が、イメージングカメラ122cのN行の画素イメージング領域の幅よりも小さく、その厚さが、設定された1つの表層の厚さよりも小さい場合、このサンプル20を1回のみスキャンしてイメージングすればよい。それは、二次元イメージングと見なすことができる。以上のことから、本実施例では、複数の二次元画像を重ね合わせて三次元画像を形成することがわかる。
【0035】
上述した本開示の具体的な実施形態は、本開示の保護範囲に対する制限を構成するものではない。本開示の技術的概念に従って行われた他の対応する変更及び修正は、本開示の特許請求の範囲の保護範囲に含まれるべきである。