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特許7190037プラグ、コネクタ、内視鏡装置及び内視鏡
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】プラグ、コネクタ、内視鏡装置及び内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/06 20060101AFI20221207BHJP
   A61B 1/04 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
A61B1/06 520
A61B1/04 520
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021525518
(86)(22)【出願日】2019-06-13
(86)【国際出願番号】 JP2019023559
(87)【国際公開番号】W WO2020250393
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2021-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉永 卓斗
(72)【発明者】
【氏名】金子 和真
(72)【発明者】
【氏名】住吉 正憲
(72)【発明者】
【氏名】大田 司
(72)【発明者】
【氏名】松浦 航
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-23605(JP,A)
【文献】特開2015-177902(JP,A)
【文献】特開2008-43763(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0077043(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療器具が備える1つまたは複数の光導波路を接続するコネクタのプラグであって、
前記コネクタのレセプタクル内に挿入される結合部と、
前記結合部の、当該結合部を前記レセプタクルに挿入する第1方向の端に形成された接続面と、
前記接続面において凹形状に設けられた開口部と
記開口部内に配置され、前記1つまたは複数の光導波路の端面が前記第1方向に向くように前記光導波路を保持する保持部と、
を備え、
前記保持部および前記光導波路は、前記接続面よりも前記第1方向とは反対の第2方向側に配置される
ことを特徴とするプラグ。
【請求項2】
前記結合部は、前記保持部に対して位置が固定される
ことを特徴とする請求項1に記載のプラグ。
【請求項3】
前記保持部は、前記第1方向に沿って延在する柱形状であり、前記保持部の外周面から突出し、前記第1方向に沿って延在する複数の突き出し部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のプラグ。
【請求項4】
前記保持部は、前記光導波路の端面近傍が挿通される1つの貫通孔が形成された口金と、全ての前記口金を保持する本体部と、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のプラグ。
【請求項5】
前記保持部は、前記結合部と別体に形成されたフローティング部品である
ことを特徴とする請求項1に記載のプラグ。
【請求項6】
前記保持部を前記第1方向に付勢する弾性部材を含むことを特徴とする請求項5に記載のプラグ。
【請求項7】
前記結合部は、外形が非円形であることを特徴とする請求項1に記載のプラグ。
【請求項8】
前記結合部は、外径がD字形状であることを特徴とする請求項7に記載のプラグ。
【請求項9】
前記接続面は、複数の電気接点を備えることを特徴とする請求項1に記載のプラグ。
【請求項10】
前記保持部は、前記第1方向に直交し、かつ前記第1方向に向く先端面を有し、
前記先端面において、複数の前記光導波路の端面が露出している
ことを特徴とする請求項1に記載のプラグ。
【請求項11】
医療器具が備える1つまたは複数の光導波路を接続するレセプタクルおよびプラグを備えるコネクタであって、
前記プラグは、
前記レセプタクル内に挿入される結合部、
前記結合部の、当該結合部を前記レセプタクルに挿入する第1方向の端に形成された接続面、
前記接続面において凹形状に設けられた開口部、および
記開口部内に配置され、前記光導波路の端面が前記第1方向に向くように前記光導波路を保持する保持部、
を備え、前記保持部および前記光導波路は、前記接続面よりも前記第1方向とは反対の第2方向側に配置されており、
前記レセプタクルは、前記結合部が挿入される凹部を備える
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項12】
前記レセプタクルは、
前記結合部が前記凹部内に嵌合した状態において、前記保持部が嵌合する穴を有する案内部と、
前記案内部内に前記保持部が嵌合した状態において、前記穴内の前記1つまたは複数の光導波路の端面に対向する位置に形成された1つまたは複数の出射孔と、
を含むことを特徴とする請求項11に記載のコネクタ。
【請求項13】
プラグを有する内視鏡およびレセプタクルを有する内視鏡プロセッサを備え、前記プラグが前記レセプタクル内に挿入された状態において前記内視鏡が備える1つまたは複数の光導波路を接続する内視鏡装置であって、
前記内視鏡は、
前記レセプタクル内に挿入される結合部、
前記結合部の、当該結合部を前記レセプタクルに挿入する第1方向の端に形成された接続面、
前記接続面において凹形状に設けられた開口部、および
記開口部内に配置され、前記光導波路の端面が前記第1方向に向くように前記光導波路を保持する保持部、
を備え、前記保持部および前記光導波路が、前記接続面よりも前記第1方向とは反対の第2方向側に配置されるプラグ、
を有し、
前記内視鏡プロセッサは、
前記結合部が挿入される凹部、および
前記凹部内に前記結合部が嵌合した状態において、前記1つまたは複数の光導波路の端面に対向する位置に形成された1つまたは複数の出射孔、
を備えるレセプタクルと、
前記凹部内に前記結合部が嵌合した状態において、前記1つまたは複数の出射孔に向けて光を出射する光源装置と、
を有する
ことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項14】
1つまたは複数の光導波路を接続するコネクタのプラグを有する内視鏡であって、
前記プラグは、
前記コネクタのレセプタクル内に挿入される結合部と、
前記結合部の、当該結合部を前記レセプタクルに挿入する第1方向の端に形成された接続面と、
前記接続面において凹形状に設けられた開口部と、
前記開口部内に配置され、前記1つまたは複数の光導波路の端面が前記第1方向に向くように前記光導波路を保持する保持部と、
を備え、
前記保持部および前記光導波路は、前記接続面よりも前記第1方向とは反対の第2方向側に配置されることを特徴とする内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡の光導波路を接続するプラグ、コネクタ、内視鏡装置及び内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば日本国特開2010-131192号公報に開示されているように、内視鏡は、使用時にプロセッサにコネクタを介して接続される。内視鏡は、プロセッサに設けられたレセプタクルに挿入されるプラグを備える。プラグおよびレセプタクルは、接続された状態において、光源装置が出射する照明光を内視鏡に伝達したり、内視鏡とプロセッサとの間の電力や信号の伝達を行う。プラグおよびレセプタクルが接続された状態では、照明光は、内視鏡が備える光ファイバ等の光導波路に入射される。
【0003】
内視鏡の使用時には、光源装置が発する熱が内視鏡のプラグに伝達されるため、特に光導波路の照明光が入射する部位の近傍の温度が上昇する。このため、内視鏡の使用直後にプラグをレセプタクルから抜去する際には、使用者は、プラグの高温となる部分が他の物に触れないように内視鏡を扱わなければならず、取り扱いが煩雑であった。
【0004】
本発明は、上述した課題を解決するものであって、使用直後の内視鏡の取り扱いが容易なプラグ、コネクタ、内視鏡装置及び内視鏡を提供することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によるプラグは、医療器具が備える1つまたは複数の光導波路を接続するコネクタのプラグであって、前記コネクタのレセプタクル内に挿入される結合部と、前記結合部の、当該結合部を前記レセプタクルに挿入する第1方向の端に形成された接続面と、前記接続面において凹形状に設けられた開口部と、前記開口部内に配置され、前記1つまたは複数の光導波路の端面が前記第1方向に向くように前記光導波路を保持する保持部と、を備え、前記保持部および前記光導波路は、前記接続面よりも前記第1方向とは反対の第2方向側に配置される。
【0006】
また、本発明の一態様によるコネクタは、医療器具が備える1つまたは複数の光導波路を接続するレセプタクルおよびプラグを備えるコネクタであって、前記プラグは、前記レセプタクル内に挿入される結合部、前記結合部の、当該結合部を前記レセプタクルに挿入する第1方向の端に形成された接続面、前記接続面において凹形状に設けられた開口部、および前記開口部内に配置され、前記光導波路の端面が前記第1方向に向くように前記光導波路を保持する保持部、を備え、前記保持部および前記光導波路は、前記接続面よりも前記第1方向とは反対の第2方向側に配置されており、前記レセプタクルは、前記結合部が挿入される凹部を備える。
【0007】
また、本発明の一態様による内視鏡装置は、プラグを有する内視鏡およびレセプタクルを有する内視鏡プロセッサを備え、前記プラグが前記レセプタクル内に挿入された状態において前記内視鏡が備える1つまたは複数の光導波路を接続する内視鏡装置であって、前記内視鏡は、前記レセプタクル内に挿入される結合部、前記結合部の、当該結合部を前記レセプタクルに挿入する第1方向の端に形成された接続面、前記接続面において凹形状に設けられた開口部、および前記開口部内に配置され、前記光導波路の端面が前記第1方向に向くように前記光導波路を保持する保持部、を備え、前記保持部および前記光導波路が、前記接続面よりも前記第1方向とは反対の第2方向側に配置されるプラグを有し、前記内視鏡プロセッサは、前記結合部が挿入される凹部、および前記凹部内に前記結合部が嵌合した状態において、前記1つまたは複数の光導波路の端面に対向する位置に形成された1つまたは複数の出射孔、を備えるレセプタクルと、前記凹部内に前記結合部が嵌合した状態において、前記1つまたは複数の出射孔に向けて光を出射する光源装置と、を有する。
また、本発明の一態様による内視鏡は、1つまたは複数の光導波路を接続するコネクタのプラグを有する内視鏡であって、前記プラグは、前記コネクタのレセプタクル内に挿入される結合部と、前記結合部の、当該結合部を前記レセプタクルに挿入する第1方向の端に形成された接続面と、前記接続面において凹形状に設けられた開口部と、前記開口部内に配置され、前記1つまたは複数の光導波路の端面が前記第1方向に向くように前記光導波路を保持する保持部と、を備え、前記保持部および前記光導波路は、前記接続面よりも前記第1方向とは反対の第2方向側に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】コネクタを含む内視鏡装置の概略的構成を示す図である。
図2】分離状態のコネクタを示す斜視図である。
図3】プラグの接続面を示す斜視図である。
図4】レセプタクルを開口方向側から見た図である。
図5図4のV-V断面図である。
図6図4のVI-VI断面図である。
図7】プラグを第1方向側から見た図である。
図8図7のVIII-VIII断面図である。
図9図7のIX-IX断面図である。
図10】保持部単体の斜視図である。
図11図5および図8の断面において、接続状態であるプラグおよびレセプタクルを示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明の好ましい形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、構成要素毎に縮尺を異ならせている場合もあり、本発明は、これらの図に記載された構成要素の数量、構成要素の形状、構成要素の大きさの比率、及び各構成要素の相対的な位置関係のみに限定されるものではない。
【0010】
内視鏡装置100は、図1に示すように、医療器具である内視鏡1と、内視鏡プロセッサ2と、を含む。内視鏡1は、いわゆる電子内視鏡であり、画像を撮像する撮像装置を備える。内視鏡1と内視鏡プロセッサ2とは、後述するコネクタ4を介して接続される。
【0011】
コネクタ4は、内視鏡1に設けられたプラグ10と、内視鏡プロセッサ2に設けられたレセプタクル50と、を含む。プラグ10とレセプタクル50とは、着脱可能である。以下では、コネクタ4においてプラグ10とレセプタクル50との接続が確立された状態を接続状態と称する。また、プラグ10とレセプタクル50とが分離した状態のことを分離状態と称する。
【0012】
内視鏡1は、プラグ10、1つまたは複数の光導波路20および電気回路30を含む。電子内視鏡の構成は公知であるため詳細な説明は省略するが、内視鏡1は、人体や構造物等の内部に挿入可能な挿入部を備える。内視鏡1の挿入部は、曲げ変形可能な形態のものであってもよいし、曲げ変形不可能な形態のものであってもよい。
【0013】
内視鏡1は、挿入部に設けられた観察窓から画像を撮像する1つまたは複数の撮像装置を備える。撮像装置は、イメージセンサと、イメージセンサの受光面上に被写体像を結像する対物レンズとを具備して構成されている。イメージセンサは、イメージャまたは撮像素子とも称される。
【0014】
電気回路30は、撮像装置を構成する電気回路を含む。すなわち、電気回路30は、イメージセンサを含む。また図示しないが、本実施形態では、電気回路30は、イメージセンサの色バラツキの特性情報を記憶する記憶素子を含む。なお、内視鏡1が備える電気回路30の数や構成は特に限定されない。電気回路30は、例えば使用者が操作する電気スイッチを含んでいてもよい。電気回路30は、コネクタ4が接続状態である場合に、内視鏡プロセッサ2が備える電気回路2bと電気的に接続される。
【0015】
また、内視鏡1の挿入部には、撮像装置の被写体を照明する照明光を出射する照明窓が設けられている。照明光は、内視鏡プロセッサ2が備える光源装置2aから出射される。光源装置2aから出射された照明光は、コネクタ4が接続状態である場合に、光導波路20を経由して照明窓に伝達される。
【0016】
本実施形態では一例として、内視鏡1は、2つの光導波路20を備える。光導波路20は、本実施形態では一例として、光ファイバである。後述するが、図3に示すように、光導波路20の一方の端面20aは、プラグ10において露出している。光導波路20の端面20aは、コネクタ4が接続状態である場合に、光源装置2aから出射された照明光が光導波路20に入射する位置に保持される。なお、光導波路20は、端面20aに入射された光を照明窓に伝達する構成を有していればよく、光導波路20の構成は、光ファイバに限られない。例えば、光導波路20はリレーレンズであってもよい。
【0017】
内視鏡プロセッサ2は、レセプタクル50、光源装置2aおよび電気回路2bを含む。内視鏡プロセッサ2を駆動する電力は、商用電源等の外部から供給されてもよいし、内視鏡プロセッサ2が備える電池から供給されてもよい。
【0018】
光源装置2aは、光を出射する光源2cを含む。光源2cの種類は特に限定されないが、本実施形態では一例として、光源2cはLEDである。なお、光源2cは、レーザダイオードやハロゲンランプ等であってもよい。光源装置2aは、レンズ、プリズム、ミラー、フィルタ等の光学素子を含んでいてもよい。
【0019】
電気回路2bは、コネクタ4が接続状態である場合に、内視鏡1が備える電気回路30との間の通信と、電気回路30への電力供給を行う。電気回路2bは、画像処理装置を含む。画像処理装置は、内視鏡1が備える撮像装置から出力される映像信号を処理し、図示しない画像表示装置に表示可能な信号に変換する。
【0020】
また、画像処理装置は、電気回路30の記憶素子が記憶しているイメージセンサの色バラツキの特性情報に基づいて、画像表示装置に表示する画像の色のバラツキを補正する。この色のバラツキの補正は、一般にホワイトバランス補正と称される。
【0021】
次に、コネクタ4の構成の詳細を説明する。前述のように、コネクタ4は、内視鏡1が備えるプラグ10と、内視鏡プロセッサ2が備えるレセプタクル50と、を含む。
【0022】
図2図4図5および図6に示すように、レセプタクル50は、凹部51を備える。図2図3図7図8および図9プラグ10は、凹部51に挿入可能な柱形状の結合部11を備える。図11は、凹部51内に結合部11が挿入された接続状態を示している。
【0023】
凹部51は、所定の直線状の第1軸Aに沿う方向を深さ方向として、内視鏡プロセッサ2の外表面において開口している。結合部11は、凹部51に固定された所定の第1軸Aに沿って先端11a側から挿入可能である。凹部51の底面51aは、第1軸Aに直交する平面状である。
【0024】
コネクタ4の接続状態では、結合部11が凹部51内の所定の深さまで挿入される。結合部11の先端11aには、平面状の接続面12が形成されている。接続面12は、コネクタ4の接続状態において、凹部51の底面51aと対向する。
【0025】
以下の説明では、柱形状である結合部11の凹部51への挿入方向に沿う直線軸を第2軸Bと称する。なお、第2軸Bは、プラグ10に固定された仮想的な軸である。コネクタ4の接続状態では、第1軸Aと第2軸Bとが略平行となる。また、以下の説明では、プラグ10において、第2軸Bに沿って結合部11の先端11a側に向かう方向を第1方向D1と称し、第1方向D1とは反対の方向を第2方向D2と称する。分離状態から接続状態に移行する際における第1方向D1とは、プラグ10の結合部11をレセプタクル50に挿入する方向である。接続状態における第1方向D1とは、プラグ10に対して、直線軸である第2軸Bに沿ってレセプタクル50の底面51a側に向かう方向である。本実施形態では、接続面12は、第2軸Bに直交する平面状である。
【0026】
凹部51と結合部11は、所定の隙間を有して嵌合する、いわゆるすきま嵌めの関係にある穴と軸である。ここでの軸とは例えばシャフト状または棒状であり、穴内に嵌合する外形を有した部材のことである。また、凹部51と結合部11は、嵌合した状態において軸周りの相対回転を規制する構成を有する。
【0027】
具体的には、図4に示すように、凹部51は、第1軸Aに平行な方向から見た場合に、D字形状となる穴である。D字形状の穴とは、第1軸Aに平行な方向から見た場合に、第1軸Aを中心軸とした円形の穴の円筒面51bの一部に、第1軸Aに概ね平行かつ第1軸Aから離隔した平面部51cを設けた穴である。第1軸Aと平面部51cとの間の距離は、円筒面51bの半径よりも小さい。なお、本実施形態では一例として、凹部51の内周面は、第1軸Aに沿って底面51a側に向かうほど縮径するテーパ状である。
【0028】
また、図7に示すように、結合部11は、第2軸に平行な方向から見た場合に、凹部51の内周形状と略相似形のD字形状となる軸である。D字形状の軸とは、第2軸Bに平行な方向から見た場合に、第2軸Bを中心軸とした円筒面11bの一部に、第2軸Bに概ね平行かつ第2軸Bから離隔した平面部11cを設けた軸である。第2軸Bと平面部11cとの間の距離は、円筒面11bの半径よりも小さい。なお、本実施形態では一例として、結合部11の外周面は、第2軸Bに沿って先端11a側に向かうほど縮径するテーパ状である。
【0029】
分離状態からプラグ10をレセプタクル50内に挿入する際には、使用者は、結合部11の平面部11cを目視し、当該平面部11cの向きを凹部51の平面部51cに合わせることにより、プラグ10の第2軸B周りの回転方向の姿勢を定めることができる。
【0030】
接続状態では、凹部51の平面部51cと結合部11の平面部11cとが対向する。なお、凹部51と結合部11との相対回転を規制する構成は本実施形態に限られない。例えば、凹部51および結合部11を矩形や多角形等の非円形の穴と軸にすることで、凹部51と結合部11との相対回転を規制する構成であってもよい。
【0031】
また、レセプタクル50は、係止爪52、解除レバー53、複数の接続ピン54、案内部55および1つまたは複数の出射孔56を含む。プラグ10は、係止穴11d、複数の電気接点15、穴部13および保持部21を含む。
【0032】
係止爪52は、凹部51の内周面から径方向内側に向かって突出し、接続状態において結合部11と係合する。係止爪52は、接続状態において、結合部11が凹部51から抜け出す方向(第2方向D2)に移動することを規制する。すなわち、係止爪52は、接続状態であるコネクタ4において、レセプタクル50からのプラグ10の抜けを防止する。
【0033】
本実施形態では一例として、係止爪52は、凹部51の平面部51cから、第1軸Aに近づく方向に突出している。一方、結合部11の平面部11cには、凹形状の係止穴11dが形成されている。係止爪52は、接続状態において、係止穴11d内に陥入する。
【0034】
係止爪52は、解除レバー53の動きに応じて、結合部11との係合を解除する。本実施形態では、係止爪52は、バネ等により、第1軸Aに近づく方向に付勢されている。したがって、接続状態において使用者により解除レバー53に力が加えられていない場合には、係止爪52は係止穴11dとの係合した状態を維持する。そして、接続状態において使用者により解除レバー53に力が加えられた場合には、係止爪52は第1軸Aから遠ざかる方向に移動し、係止穴11dとの係合を解除する。なお、レセプタクル50からのプラグ10の抜けを防止する機構において、使用者が両者の係合を解除する操作を行う解除レバー53はプラグ10側に設けられていてもよい。
【0035】
以上に説明した、結合部11と凹部51との嵌合、および係止穴11dと係止爪52との係合により、プラグ10の結合部11は、接続状態においてレセプタクル50の凹部51内の所定の位置に保持される。
【0036】
次に、プラグ10とレセプタクル50との間で電気的な接続を行う構成について説明する。
【0037】
プラグ10の結合部11の接続面12には、複数の電気接点15が露出した状態で配置されている。複数の電気接点15は、内視鏡1の電気回路30に電気的に接続されている。個々の電気接点15の表面は、接続面12と略平行な平面状である。
【0038】
一方、レセプタクル50の凹部51の底面51aには、複数の接続ピン54が配置されている。複数の接続ピン54は、内視鏡プロセッサ2の電気回路2bに電気的に接続されている。個々の接続ピン54は、底面51aから第1軸Aに平行に、凹部51の開口方向に向かって突出している。個々の接続ピン54は、第1軸Aに平行な方向に伸縮する。接続ピン54は、一般に、ポゴピン、スプリングピン等と称される形態のものである。
【0039】
複数の接続ピン54は、接続状態において、プラグ10の複数の電気接点15に接触する位置に配置されている。複数の電気接点15と複数の接続ピン54の位置決めは、前述した結合部11と凹部51との嵌合、および係止穴11dと係止爪52との係合により行われる。
【0040】
プラグ10の複数の電気接点15と、レセプタクル50の複数の接続ピン54とが接触することにより、内視鏡1の電気回路30と内視鏡プロセッサ2の電気回路2bとが電気的に接続される。
【0041】
本実施形態では、分離状態において、複数の接続ピン54のうちの一部である1つまたは複数の電源ピンおよび1つまたは複数の接地ピンが、他のものよりも凹部51の開口方向に突出している。電源ピンは、電気回路2bのうちの、電源回路の所定の電位に電気的に接続されている。また、接地ピンは、接地電位に電気的に接続されている。すなわち、電源ピンおよび接地ピンは、電気回路2bから内視鏡1の電気回路30に電力を供給するためのものである。また、複数の接続ピン54のうちの電源ピンおよび接地ピンを除いた他のピンは、電気回路2bと内視鏡1の電気回路30との間の通信を行うためのものである。
【0042】
分離状態からプラグ10をレセプタクル50に挿入する際には、複数の接続ピン54のうちの電源ピンおよび接地ピンが、他のピンよりも先に内視鏡1の電気回路30に電気的に接続される。すなわち、プラグ10をレセプタクル50に挿入する際には、まず電気回路30への電力供給が行われた後に、電気回路2bと電気回路30との間の通信が確立される。また、接続状態からプラグ10をレセプタクル50から抜去する際には、電気回路2bと電気回路30との間の通信が解除された後に、電気回路30への電力供給が断たれる。
【0043】
このように、プラグ10の挿入時には、内視鏡1の電気回路30への電力供給を通信よりも先に確立し、プラグ10の抜去時には、内視鏡1の電気回路30への電力供給を止める前に通信を遮断することにより、内視鏡プロセッサ2の電源投入時にプラグ10の挿抜が行われる場合であっても、電気回路30の損傷を防止し、かつ電気回路30を確実に動作させることができる。
【0044】
次に、プラグ10とレセプタクル50との間で1つまたは複数の光導波路20を接続する構成について説明する。
【0045】
ここで、光導波路20の接続とは、光ファイバである光導波路20の端面20aを、所定の光路上に保持することである。具体的には、本実施形態における光導波路20の接続とは、プラグ10側に配置されている光導波路20の端面20aを、光源装置2aが出射する照明光が当該端面20aに入射する位置に保持することである。
【0046】
まず、プラグ10における光導波路20の接続に関する構成を説明する。
【0047】
プラグ10において、1つまたは複数の光導波路20は、保持部21により保持されている。保持部21は、1つまたは複数の光導波路20の端面20aが、第1方向D1に向くように光導波路20を保持する。
【0048】
1つまたは複数の光導波路20の端面20aは、接続面12よりも第2方向D2側に配置されている。すなわち、プラグ10の結合部11の先端11aは、1つまたは複数の光導波路20の端面20aよりも先端側(第1方向D1側)に突出している。
【0049】
本実施形態では一例として、内視鏡1は、2つの光導波路20と、当該2つの導波路20を保持する1つの保持部21を含む。
【0050】
保持部21は、接続面12に開口する凹形状の穴部13内に配置されている。前述のように、接続面12は、第2軸Bに直交する平面である。穴部13は、接続面12において開口し、第2方向D2を深さ方向とする穴である。
【0051】
保持部21は、第2軸Bに沿って延在する柱形状である。保持部21は、穴部13の底面13bから、第1方向D1に向かって突出している。保持部21の第1方向D1側の端の面を先端面21aと称する。保持部21の先端面21aは、第2軸Bに直交する平面である。先端面21aは、プラグ10において、第1方向D1に向かって露出している。
【0052】
保持部21は、穴部13の内側側面13aから離隔している。すなわち、第2軸Bに沿って第1方向D1側から見た場合に、保持部21の周囲には隙間が形成されている。先端面21aは、接続面12よりも第2方向D2側に配置されている。すなわち、先端面21aは、穴部13の開口よりも奥側に配置されている。
【0053】
保持部21には、保持部21を第2軸Bに平行に貫通する2つの貫通孔21bが形成されている。貫通孔21bの一方の端は、先端面21aにおいて開口し、他方の端は、プラグ10の内部空間において開口している。プラグ10の内部空間は、光導波路20が挿通される内視鏡1の内部空間と連通している。
【0054】
貫通孔21b内には、光導波路20が挿通されている。光導波路20は、保持部21に対して、端面20aが先端面21aと略一致する位置に固定されている。
【0055】
また、保持部21は、複数の突き出し部21dを含む。複数の突き出し部21dは、保持部21の外周面21cから突出し、第2軸Bに沿って延在している。
【0056】
具体的に、本実施形態の保持部21は、第2軸Bに沿って第1方向D1側から見た場合に、略矩形状の外形を有する。複数の突き出し部21dは、矩形状である保持部21の四隅のそれぞれに設けられている。また、本実施形態では、保持部21は、第1方向D1に向かうほど細くなるテーパ状の外形を有する。2つの貫通孔21bは、第2軸Bに沿って第1方向D1側から見た場合に、先端面21aにおいて矩形である保持部21の長手方向に沿って配列されている。
【0057】
なお、保持部21は、単一の部材からなり、当該単一の部材により1つまたは複数の光導波路20を保持する形態であってもよいし、複数の部材からなり、1つまたは複数の光導波路20を保持する形態であってもよい。
【0058】
本実施形態では一例として、保持部21は、2つの口金22と1つの本体部23とによって構成されている。個々の口金22は、第2軸Bに平行な軸を中心軸とした略円柱形状であり、1つ貫通孔21bが形成されている。すなわち、1つの口金22は、1つの光導波路20を保持する。本体部23は、2つの口金22を保持する。本体部23は、外形が第2軸Bに沿って延在する柱形状であり、前述の複数の突き出し部21dを備える。
【0059】
本実施形態では、保持部21は、結合部11に対して所定の範囲内での相対移動が許容された、いわゆるフローティング部品である。詳しくは後述するが、保持部21がフローティング部品であることにより、結合部11とレセプタクル50の凹部51との嵌合の状態によらず、2つの光導波路20の端面20aを所定の位置に正確に保持することができる。また、結合部11と凹部51との嵌合と、保持部21と案内部55との嵌合とが、二重嵌合の関係となることを防止することができる。
【0060】
保持部21の結合部11に対する相対移動を許容する構成について説明する。保持部21と結合部11とは、分離した異なる部材からなる。図10は、保持部21単体を示している。結合部11には、前述のように接続面12および穴部13が形成されている。穴部13の底面13bには、貫通孔13cが形成されている。貫通孔13cの一方の端は、底面13bにおいて開口し、他方の端は、プラグ10の内壁面11eにおいて開口している。内壁面11eは、第2方向D2に面し、第2軸Bに直交する平面である。
【0061】
保持部21は、貫通孔13c内に、第2方向D2側から第1方向D1側に向かって挿通されている。保持部21の外周面21cと貫通孔13cとの間には、所定の幅の隙間が形成されている。
【0062】
保持部21の外周面21cの第2方向D2の端には、凸部21eが形成されている。凸部21eの外形は、貫通孔13cよりも大きい。また、プラグ10は、保持部21を第1方向D1に向かって付勢する弾性部材24を含む。図示する本実施形態では一例として、弾性部材24は圧縮コイルバネである。弾性部材24は、板バネや引張コイルバネ等であってもよい。また、弾性部材24は、ゴムやウレタンフォーム等であってもよい。
【0063】
保持部21に外力が加えられていない場合、弾性部材24の付勢力により、凸部21eが内壁面11eに当接した状態が維持される。凸部21eが内壁面11eに当接した状態では、保持部21の先端面21aは、第2軸Bに直交する。保持部21に外力が加えられた場合、保持部21は結合部11に対して移動する。保持部21の結合部11に対する移動は、第2軸Bに直交する方向の移動だけではなく、第2方向D2への移動と、第2軸B周りの回動と、第2軸Bに対する傾きが変化する回動を含む。
【0064】
レセプタクル50における光導波路20の接続に関する構成を説明する。
【0065】
レセプタクル50の凹部51内には、案内部55および1つまたは複数の出射孔56が設けられている。
【0066】
案内部55は、凹部51の底面51aから、第1軸Aに沿って開口方向に突出している。案内部55は、第1軸Aに平行な穴55aを有する筒形状である。案内部55の穴55aは、凹部51の開口方向に向かって開口している。言い換えれば、案内部55は、凹部51の底面51aから突出し、穴55aの周囲に沿って配置された凸壁部である。
【0067】
穴55aの底面55bは、第1軸Aに直交する平面である。穴55aの底面55bは、凹部51の底面51aよりも開口方向側に位置している。本実施形態では一例として、穴55aは、第1軸Aに沿って底面55b側に向かうほど縮径するテーパ状である。
【0068】
接続状態において、プラグ10の保持部21は、案内部55の穴55a内に所定の隙間を有して嵌合する。また、接続状態において、保持部21の先端面21aは、穴55aの底面55bに当接する。
【0069】
接続状態において、保持部21が、案内部55の穴55a内に嵌合し、かつ底面55bに当接することにより、保持部21がレセプタクル50の凹部51に対して所定の位置に位置決めされる。すなわち、保持部21と案内部55との嵌合により、1つまたは複数の光導波路20の端面20aが、レセプタクル50内の所定の位置に位置決めされる。
【0070】
案内部55の穴55aの底面55bには、1つまたは複数の出射孔56が形成されている。個々の出射孔56の一方の端は、底面55bにおいて開口し、他方の端は、内視鏡プロセッサ2の内部空間において開口している。
【0071】
出射孔56の他方の端には、光源装置2aが配置されている。光源装置2aから出射された照明光は、出射孔56に入射される。すなわち、出射孔56は、照明光を出射する窓である。
【0072】
1つまたは複数の出射孔56は、接続状態において、光導波路20の端面20aに対向する位置に配置されている。本実施形態では、2つの出射孔56が、底面55bにおいて開口している。
【0073】
接続状態において、光源装置2aから出射された照明光は、出射孔56を通って光導波路20の端面20aに入射される。このように、案内部55は、プラグ10がレセプタクル50に挿入される際に、光導波路20の端面20aを出射孔56に対向する位置に導く。光導波路20の端面20aが出射孔56に対向する位置に保持されることにより、光導波路20の接続が確立される。
【0074】
前述のように、本実施形態では、プラグ10において、2つの光導波路20の端面20aが、1つの保持部21により保持されている。そして、保持部21は、レセプタクル50に挿入される結合部11に対して所定の範囲内での移動が許容されたフローティング部品である。接続状態において、結合部11が凹部51に対して多少移動したとしても、保持部21の先端面21aは、弾性部材24の付勢力により底面55bに押し付けられた状態が維持される。このため、本実施形態のコネクタ4では、2つの光導波路20の端面20aの双方を、2つの出射孔56に対向する位置に安定して保持することができ、光源装置2aから光導波路20への照明光の伝達効率の変動を低減することができる。
【0075】
内視鏡1の使用時においては、光源装置2aが発する熱が、2つの光導波路20の端面20aおよび保持部21の先端面21aに伝達されるため、2つの光導波路20の端面20aおよび保持部21が高温となる。
【0076】
ここで、本実施形態のプラグ10では、保持部21は、接続面12に開口する穴部13内に配置されており、先端面21aのみが第1方向D1に向かって露出している。また、保持部21の先端面21aは、接続面12よりも第1方向D1とは反対の第2方向D2に位置している。すなわち、保持部21の外周面21cの周囲は、保持部21から離隔した穴部13の内側側面13aによって囲まれている。穴部13の内側側面13aは、結合部11の一部である。結合部11は、内視鏡の使用時において光源装置2aとは空間を挟んで隔てているため光源装置2aから伝達される熱量は比較的小さく、またレセプタクル50の凹部51と接しているため放熱されやすい。よって、内視鏡の使用時において、結合部11の温度は、2つの光導波路20の端面20aおよび保持部21よりも低い。
【0077】
このように、本実施形態のプラグ10では、使用後に高温となる保持部21および2つの光導波路20の端面20aの周囲が、低温である結合部11により囲まれている。よって、本実施形態では、内視鏡1の使用後にプラグ10をレセプタクル50から抜去した際に、高温である保持部21および2つの光導波路20の端面20aの他の物との接触が防止される。
【0078】
以上に説明したように、本実施形態のプラグ10、コネクタ4および内視鏡装置100は、プラグ10の高温となる部位の他の物との接触を防止することができるため、使用直後の内視鏡の取り扱いを容易にすることができる。
【0079】
本発明は、前述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うプラグ、コネクタ、内視鏡装置及び内視鏡もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0080】
前述した実施形態では、光導波路を備える医療器具の一例として内視鏡を挙げているが、医療器具は内視鏡に限られない。例えば、医療器具は、コネクタにより接続された光源装置から出射される光を出射する処置具であってもよい。また、医療器具が出射する光は、撮像装置の被写体を照明するためのものに限られない。例えば光源装置が出射する光は、殺菌や加熱等を行うためのものであってもよい。
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