(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】電動補助車両、駆動システム、及び表示装置
(51)【国際特許分類】
B62J 45/00 20200101AFI20221207BHJP
B62M 6/40 20100101ALI20221207BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20221207BHJP
G04G 5/00 20130101ALI20221207BHJP
G04G 21/00 20100101ALI20221207BHJP
【FI】
B62J45/00
B62M6/40
B60K35/00 Z
G04G5/00 J
G04G21/00 D
(21)【出願番号】P 2021527523
(86)(22)【出願日】2020-05-28
(86)【国際出願番号】 JP2020021207
(87)【国際公開番号】W WO2020255671
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2021-12-13
(31)【優先権主張番号】P 2019113803
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000191858
【氏名又は名称】ヤマハモーターエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩井 隆平
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-128301(JP,A)
【文献】特開2015-174539(JP,A)
【文献】特開2018-103797(JP,A)
【文献】特開2013-180691(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0252297(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 45/00
B62M 6/40
B60K 35/00
G04G 5/00
G04G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部との通信が可能な通信装置から時刻情報を受信する通信部と、前記時刻情報を表示する表示部
と、電動補助車両にバッテリーが搭載された後、前記バッテリーからの電力を受け、前記通信装置から前記時刻情報を受信して前記時刻情報を前記表示部に表示させる制御部
とを有している表示装置、
モータ、及び、
前記モータからのトルクを動力に変換する駆動装置
を有し、
前記制御部は、前記駆動装置を介さずに、前記電動補助車両の前記バッテリーから電力を受け、
前記バッテリーの残量が第1の所定の量を下回ったとき、前記電動補助車両の補助機能を中止し、前記表示装置の表示をオフにし、
前記制御部は、前記時刻情報の受信時からの経過時間を前記時刻情報に加算する加算処理を実行し、
前記バッテリーの残量が前記第1の所定の量よりも小さな第2の所定の量を下回ったとき、前記表示装置は、前記時刻情報の受信、及び、前記加算処理を終了する
電動補助車両用駆動システム。
【請求項2】
請求項
1に記載の
電動補助車両用駆動システムであって、前記制御部は、前記バッテリーが前記電動補助車両から取り外された場合に、前記時刻情報の受信、及び、前記加算処理を終了する、
駆動システム。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載の
電動補助車両用駆動システムであって、前記通信装置から時刻情報を受信できないときにエラーメッセージを表示する、
駆動システム。
【請求項4】
請求項
1乃至
3のいずれか一項に記載の電動補助車両用駆動システム、及び、脱着可能な前記バッテリーを有する電動補助車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電動補助車両、駆動システム、及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動補助自転車などの電動補助車両に実装される表示装置(メータ)は、時刻を表示する機能を有する。従来技術に係るメーターは、メインクロックと、時刻を計数するためのサブクロックと、バッテリーの残量が少なくなったとき(バッテリーから供給される電圧が低くなるとき)又はバッテリーが電動補助車両から取り外されたときに前記サブクロックを動作させるためのボタン電池と、メインクロックとサブクロックとを切り替える監視回路を有する。
【0003】
特許文献1は、ユーザの嗜好に合わせたユーザ設定時刻と正確な時刻とを適宜に表示するため、外部の通信装置から時刻情報を受信して表示する機能を有する時刻表示装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の表示装置は、時計機能を有し、バッテリーの残量が少なくなったとき(バッテリーから供給される電圧が低くなるとき)又はバッテリーが電動補助車両から取り外されたときのバックアップ用電源をボタン電池で対応している。そのためボタン電池切れの際のボタン電池交換の手間やボタン電池交換時のトラブル(カバー締め忘れ、電池逆挿入)などの懸念がある。また表示装置のような小型端末は内部の部品レイアウト上の制約が厳しいため、できるだけ部品点数を少なくする必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本願の電動補助車両で用いられる表示装置は、外部との通信が可能な通信装置から時刻情報を受信する通信部、前記時刻情報を表示する表示部、及び、前記電動補助車両にバッテリーが搭載された後、前記バッテリーからの電力を受け、前記通信装置から前記時刻情報を受信して前記時刻情報を前記表示部に表示させる制御部、を有する。当該表示装置は、表示装置自身で時刻の計数を行わずに時刻情報を外部との通信が可能な通信装置から受信して表示する。そのため当該表示装置は、時計用のサブクロック、及びバックアップ電源としてのボタン電池を不要にする。サブクロックが不要になることで、メインクロックとサブクロックとを切り替える監視回路も不要となる。その結果、当該表示装置の部品点数は減少し、小型化及びコスト削減が実現される。
【0007】
(2) 上記(1)の表示装置において、前記制御部は、前記時刻情報の受信時からの経過時間を前記時刻情報に加算する加算処理を実行してよい。これにより本願の表示装置は、前記通信装置から時刻情報を受け取ることに失敗した場合において、時計機能を有していなくても現在の時刻情報を表示することが可能となる。
【0008】
(3) 上記(2)に記載の表示装置において、前記制御部は、前記バッテリーが前記電動補助車両から取り外された場合に、前記時刻情報の受信、及び、前記加算処理を終了してよい。
【0009】
(4) 上記(1)乃至(3)のいずれか一に記載の表示装置において、前記通信装置から時刻情報を受信できないときにエラーメッセージを表示してよい。
【0010】
(5) 本願の電動補助車両用駆動システムは、上記(1)乃至(4)のいずれか一に記載の表示装置、モータ、及び、該モータからのトルクを動力に変換する駆動装置を備えてよい。
【0011】
(6) 上記(5)に記載の駆動システムにおいて、前記制御部は、前記駆動装置を介して、前記電動補助車両のバッテリーから電力を受けてよい。
【0012】
(7) 上記(5)に記載の駆動システムにおいて、前記制御部は、前記駆動装置を介さずに、前記電動補助車両のバッテリーから電力を受けてよい。
【0013】
(8) 上記(6)に記載の駆動システムにおいて、前記バッテリーの残量が所定の量を下回ったとき、前記電動補助車両の補助機能と当該表示装置への電力供給を中止してよい。
【0014】
(9) 上記(7)に記載の駆動システムにおいて、前記バッテリーの残量が、第1の所定の量を下回ったとき、前記電動補助車両の補助機能を中止し、当該表示装置の表示をオフにしてよい。
【0015】
(10) 上記(9)に記載の駆動システムにおいて、前記制御部は、前記時刻情報の受信時からの経過時間を前記時刻情報に加算する加算処理を実行し、前記バッテリーの残量が、前記第1の所定の量よりも小さな第2の所定の量を下回ったとき、当該表示装置は、前記時刻情報の受信、及び、前記加算処理を終了してよい。
【0016】
(11) 本願の電動補助車両は、上記(5)乃至(10)のいずれか一に記載の駆動システム、及び、脱着可能な前記バッテリーを有してよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本願の実施形態による電動補助車両の例を表す。
【
図3】本願の実施形態による表示装置と、電動補助車両のモータ駆動ユニットと、モータと、及び脱着可能なバッテリーの例のブロック図を表す。
【
図4】本願の実施形態による表示装置の例の機能ブロック図を表す。
【
図5】本願の実施形態による表示装置が外部との通信が可能な通信装置から時刻情報を受信して表示する方法の例を表すフローチャートである。
【
図6】供給電圧が低くなったときの電動補助車両のモータ駆動ユニットの動作を表すフローチャートの例である。
【
図7】本願の実施形態による表示装置と電動補助車両のモータ駆動ユニットの他の例のブロック図を表す。
【
図8】本願の実施形態による表示装置が外部との通信が可能な通信装置から時刻情報を受信して表示する方法の他の例を表すフローチャートである。
【
図9】供給電圧が低くなったときの電動補助車両のモータ駆動ユニットの動作の他の例を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、実施形態1に係る電動補助自転車1の概略構成を示している。電動補助自転車1は、運転者がペダル33,34(
図1参照)を踏み込むことにより得られるペダル踏力を、電動モータ(不図示)から出力される駆動力によって補助する。すなわち、電動補助自転車1は、一般的な自転車の構成に加えて、ペダル踏力を補助するための駆動ユニットを有する。なお、本発明は、電動補助自転車に限られず、電動モータと人力とで動くことのできる電動補助車椅子に適用されてもよい。
【0019】
図1に示されているように、電動補助自転車1は、前後方向に延びる車体フレーム11を有する。また、電動補助自転車1は、前輪21、後輪22、ハンドル23、シート24及び後述するモータ駆動ユニット110を有する。
【0020】
車体フレーム11は、ヘッドパイプ12、ダウンチューブ13、シートチューブ14、一対のチェーンステイ16及び一対のシートステイ17を有する。
図1に示されているように、ヘッドパイプ12は、電動補助自転車1の前部に配置される。ヘッドパイプ12には、後方に延びるダウンチューブ13の前方側が接続されている。シートチューブ14は、ダウンチューブ13の後方側に接続されていて、該ダウンチューブ13の後端部から上方且つ斜め後方に向かって延びている。
【0021】
ヘッドパイプ12には、ハンドルステム25が回転自在に挿入されている。ハンドルステム25の上端部には、ハンドル23が固定される。このハンドル23には、アシスト制御に関する情報を運転者に対して表示するための表示装置100が取り付けられている。ハンドルステム25の下端部には、フロントフォーク26が固定される。フロントフォーク26の下端部には、前輪21が車軸27によって回転可能に支持されている。円筒状のシートチューブ14の内方には、シートパイプ28が挿入されている。シートパイプ28の上端部には、シート24が設けられている。
【0022】
図1に示されているように、一対のチェーンステイ16の後端部には、後輪22が車軸29によって回転可能に支持されている。後輪22の右側には、車軸29と同軸に従動スプロケット45が設けられている。
【0023】
図1に示されているように、モータ駆動ユニット110の駆動スプロケット42と後輪22に設けられた従動スプロケット45とには、無端状のチェーン46が巻き掛けられている。
【0024】
図1に示されているように、モータ駆動ユニット110のクランク軸41の両端部には、クランクアーム31,32が取り付けられている。クランクアーム31,32の先端部には、それぞれ、ペダル33,34が取り付けられている。
【0025】
図1に示されているように、シートチューブ14の後方には、モータ駆動ユニット110を介して電動モータ(不図示)に電力を供給するためのバッテリー120が配置されている。バッテリー120は、電池制御部(不図示)を含む。バッテリー120は、充放電可能な充電池であってよい。バッテリー120は、着脱可能であり、取り外して充電され得る。バッテリー120は、充電後に再搭載され得る。電池制御部は、バッテリー120の充放電を制御するとともに、バッテリー120の出力電流及び残容量等を監視する。
【0026】
図2は、本願の実施形態による表示装置100の正面図の例を表す。
図3は、本願の実施形態による表示装置100と、電動補助自転車1のモータ駆動ユニット110と、モータ130と、脱着可能なバッテリー120を有する電動補助自転車1のブロック図の例を表す。
図3の実施形態では、表示装置100は、モータ駆動ユニット110から電力の供給を受けている。図中、本願実施形態の基本概念が曖昧になることを避けるため、当業者にとって周知の構成要素は省略されている。
【0027】
表示装置100は、表示部101、操作部102、通信部103、電源スイッチ104、電源回路105、及び制御部106を有する。表示部101は、液晶ディスプレイ、ランプ等の当業者に既知の表示技術を利用したものであってよいが、これらに限定されない。
図2の例では、操作部102は、補助機能調節ボタン102a、切り替えボタン102b、及び点灯ボタン102cを含むが、これ以外のボタンを含んでもよい。制御部106は、中央演算処理装置(CPU)及びメモリ(不図示)を有してよい。制御部106は、表示部101、操作部102、通信部103、及び電源回路105と電気的に接続する。
【0028】
モータ駆動ユニット110は、モータ駆動回路114、電源回路115、及び制御部116を有する。モータ駆動ユニット110の制御部116は、モータ130を制御する信号を電源回路115へ送信する。電源回路115は、バッテリー120から電力の供給を受ける。モータ駆動ユニット110のモータ駆動回路114は、制御部116からの制御信号に応じてモータ130へ電流を供給する。モータ130は、モータ駆動回路114からの電流供給によってトルクを発生させる。モータ130は、トルクを発生させることで運転者の踏力を補助する。
【0029】
表示装置100は、モータ駆動ユニット110と電気的に接続する。より詳細には、表示装置100の制御部106とモータ駆動ユニット110の制御部116とは電気的に接続し、モータ駆動ユニット110の電源回路115は、表示装置100の電源回路105と電気的に接続する。モータ駆動ユニット110は、バッテリー120と電気的に接続する。より詳細には、電源回路115は、バッテリー120と電気的に接続する。モータ駆動ユニット110は、モータ130と電気的に接続する。より詳細には、モータ駆動回路114は、モータ130と電気的に接続する。
【0030】
表示部101は、制御部106から信号を受信して、所定の情報を表示する。所定の情報とはたとえば、時刻情報、電動補助自転車1のバッテリー残量、電動補助自転車1の速度を含んでよい。操作部102は、ユーザーによる入力に相当する信号を制御部106へ送信する。通信部103は、外部との通信が可能な通信装置(不図示、以降、「通信装置」と指称する。)と通信して通信装置から時刻情報を受信する。通信装置はたとえば、スマートフォン、携帯電話、パソコン、タブレットを含んでよいが、これらに限定されない。通信部103と通信装置との通信に利用されるプロトコルはBLE(Bluetooth Low Energy)(登録商標)であることが好ましいが、これに限定されない。電源スイッチ104は、モータ駆動ユニット110の主電源のオン/オフに用いられる。表示装置100の電源回路105は、モータ駆動ユニット110の電源回路115と接続して、制御部106に電力を供給する。
【0031】
表示装置100の制御部106は、モータ130の駆動を制御する信号をモータ駆動ユニット110の制御部116へ送信する。モータ130の駆動を制御する信号とはたとえば、電動補助自転車1の補助機能のモード(例えば、強補助モード、中補助モード、弱補助モード)を制御する信号であってもよい。制御部116は、モータ130の駆動に関する情報を送信する。モータ130の駆動に関する情報とはたとえば、電動補助自転車1の速度、バッテリー120の残量を含んでよいが、これらに限定されない。
【0032】
図4は、本願の実施形態による表示装置100の機能ブロック図の例を表す。
図4は、トリガ検知部401、接続確立部402、時刻情報受信部403、時刻情報表示部404、及び終了判定部405を示す。
【0033】
トリガ検知部401は、表示装置100の動作を誘発するトリガを検知する。ここで表示装置100の動作は、具体的には、外部の通信装置に対して時刻情報を要求する処理である。トリガは、例えば、電動補助自転車1へのバッテリー120の装着及び表示装置100の電源スイッチ104がオンにされたことである。トリガ検知部401がそれらを検知したときに、表示装置100の制御部106は外部の通信装置に対して時刻情報を要求する。バッテリー120が車体に装着されると、バッテリー120の信号端子とモータ駆動ユニット110の制御部116とが電気的に接続し、制御部116がバッテリー120の装着を検知する。その後、表示装置100の電源スイッチ104がオンされると、モータ駆動ユニット110の制御部116と表示装置100の制御部106とが通信を開始し、モータ駆動ユニット110の制御部116は表示装置100の制御部106にバッテリー120が搭載されていることを通知する。これによって、トリガ検知部401は、バッテリー120が装着され且つ電源スイッチ104がオンされたと判断する。
【0034】
外部の通信装置に対して時刻情報を要求する処理のトリガは、上述の例に限られない。例えば、バッテリー120と表示装置100とが直接的に接続されている形態(例えば、後述する
図7で示す形態)においては、電源スイッチ104がオフ状態にあり表示部101が消えている状態にあっても、表示装置100の制御部106はバッテリー120から受ける電力で駆動し得る。したがって、このような形態においては、トリガに電源スイッチ104のオンは含まれていなくてもよい。すなわち、電源スイッチ104がオフ状態にあり表示部101が消えている状態にあっても、トリガ検知部401が電動補助自転車1へのバッテリー120の装着を検知したときには、表示装置100の制御部106は外部の通信装置に対して時刻情報を要求してもよい。バッテリー120が車体に装着されると、バッテリー120の信号端子と表示装置100の制御部106とが電気的に接続し、トリガ検知部401はバッテリー120の装着を検知する。
【0035】
接続確立部402は、電動補助自転車1にバッテリー120が搭載された後、表示装置100の周辺の通信装置へ向けて時刻情報を受信するための応答要求信号を送信し、応答要求信号を検知した通信装置からの接続要求信号を受信し、通信装置と表示装置100との接続を確立させる。時刻情報受信部403は、表示装置100との接続が確立された通信装置から時刻情報を受信する。通信装置は、通信装置上で事前にインストールされた専用のアプリケーションを利用して接続要求信号を表示装置100へ送信してもよいし、あるいは他の技術を利用して接続要求信号を表示装置100へ送信してもよい。
【0036】
時刻情報表示部404は、外部の通信装置から受信した現在の時刻情報を表示部101に出力する。時刻情報表示部404は、外部の通信装置から受信した時刻情報に基づいて現在の時刻情報を算出し、算出した時刻情報を表示部101に表示する。
【0037】
上述したように、バッテリー120と表示装置100とが直接的に接続されている形態(例えば、後述する
図7で示す形態)においては、電源スイッチ104がオフ状態にあり表示部101が消えている状態にあっても、表示装置100の制御部106はバッテリー120から受ける電力で駆動し得る。電源スイッチ104がオフ状態にあり表示部101が消えているとき、時刻情報表示部404は、外部の通信装置から受信した現在の時刻情報を、表示装置100の制御部106のメモリに記録してもよい。時刻情報表示部404は、メモリに記録されている時刻情報を時間の経過にしたがって更新してもよい。そして、電源スイッチ104がオンされたときに、時刻情報表示部404は、メモリに記録されている現在の時刻情報を表示部101に表示してよい。
【0038】
終了判定部405は、表示装置100の動作を終了させるか否かを判断する。具体的には終了判定部405は、バッテリー120が取り外されたことおよび表示装置100の電源スイッチ104がオフにされたことを検知する。
【0039】
図5は、本願の実施形態による表示装置100が外部との通信が可能な装置から時刻情報を受信して表示する処理を表すフローチャートの例を表している。
図5のフローチャートは、バッテリー120が取り付けられ、かつ、表示装置100の電源スイッチ104がオンの状態での処理を表している。
図5では、本願の実施形態による表示装置100は、
図3に示すようにモータ駆動ユニット110から電力の供給を受けている。
【0040】
図5の処理は、電動補助自転車1へのバッテリー120の取り付け及び表示装置100の電源スイッチ104がオンにされたことによって開始される。電動補助自転車1へのバッテリー120の取り付け及び電源スイッチ104のオンは、トリガ検知部401によって検知される。開始後、表示装置100は、モータ駆動ユニット110から電力の供給を受ける(S502)。その後、表示装置100は、表示装置100の初期設定を行い(S504)、表示装置100の周辺の通信装置へ向けて時刻情報を受信するための応答要求信号を送信する(S506)。
【0041】
表示装置100は、S506での応答要求信号を検知した通信装置によって送信された接続要求信号を受信したのか否かを判断する(S508)。表示装置100が接続要求信号を受信した場合、表示装置100と通信装置との接続が確立される(S510)。表示装置100が接続要求信号を受信しなかった場合、表示装置100と通信装置との接続は確立されず、表示装置100は再度応答要求信号を送信する(S506)。応答要求信号の送信及び接続要求信号の受信は、接続確立部402によって行われる。
【0042】
次に表示装置100は、通信装置から時刻情報を受信したのか否かを判断する(S512)。表示装置100が時刻情報を受信した場合、表示装置100は、受信した時刻情報を表示部101に表示する(S516)。表示装置100が時刻情報の受信に失敗した場合、表示装置100は、時刻情報の受信に失敗したことを示すエラーメッセージを表示部101に表示して(S514)、再度通信装置から時刻情報を受信したのか否かを判断する(S512)。時刻情報の受信は、時刻情報受信部403によって行われる。
【0043】
表示装置100は、S512での時刻情報受信後から所定期間経過後、最初に受信した時刻情報に続く次の時刻情報を通信装置から受信したのか否かを判断する(S518)。表示装置100が次の時刻情報を受信した場合、表示装置100は、受信した時刻情報を表示する(S522)。表示装置100が時刻情報の受信に失敗した場合、表示装置100は、S512で受信した時刻情報に、S512で時刻情報を受信してから経過した時間を加えた新たな時刻情報を表示部101に表示する(S520)。時刻情報の表示は、時刻情報表示部404によって行われる。これにより本願の表示装置100は、通信装置から時刻情報を受信することに失敗した場合において、時計機能を有していなくても現在の時刻情報を表示することが可能となる。また本願の表示装置100は、所定の期間経過後に次の時刻情報を受信することで、時計機能を有していなくてもより正確な時刻表示を可能にする。
【0044】
続いて表示装置100の電源がオフにされたのか否かが判断される(S524)。バッテリー120が取り外された場合または電源スイッチ104がオフにされた場合、処理は終了する。バッテリー120が取り外されない場合および電源スイッチ104がオフにされない場合、表示装置100は、通信装置からの次の時刻情報を受信したのか否かを判断する(S518)。バッテリー120の取り外し及び表示装置100の電源スイッチ104がオフにされたのか否かの判断は、終了判定部405によって行われる。
【0045】
図5のフローチャートからわかるように、本願の実施形態による表示装置100は、時刻情報を外部との通信が可能な装置から受信して表示する。そのため表示装置100は、表示装置100自身で時刻の計数を行うことを要しない。その結果、表示装置100は、
図3に図示されているように、従来技術にかかる表示装置が必要としていた時刻計数用のサブクロック、及びバックアップ電源としてのボタン電池を不要にする。サブクロックが不要になることで、メインクロックとサブクロックとを切り替える監視回路も不要となる。その結果、表示装置100の部品点数は減少し、小型化及びコスト削減が実現される。本願の実施形態による表示装置100は、2回以上通信装置から時刻情報を受信することで、より正確な時刻表示を実現しているが、1回だけ時刻情報を受信し、その後受信時からの経過時間を前回受信した時刻に加えてもよい。
【0046】
図6は、供給電圧が低くなったときの電動補助自転車1のモータ駆動ユニット110の動作を表すフローチャートの例である。
図6のフローチャートは、本願の実施形態による表示装置100が、モータ駆動ユニット110から電力の供給を受ける場合での処理を表している。
【0047】
モータ駆動ユニット110の制御部116は、バッテリー120の残量が所定の量を下回ったか否かを判断する(S602)。バッテリー120の残量が所定の量を下回ったとき、モータ駆動ユニット110は、モータ駆動ユニット110の補助機能と表示装置100への電力供給を中止する(S604)。その結果、表示装置100の制御部106は、時刻情報の受信、及び、時刻情報の受信時からの経過時間の時刻情報への加算を終了する。ここでバッテリー120の残量を示す量は、電圧であってもよいし、あるいは電力消費量であってもよい。
【0048】
図7は、本願の実施形態による表示装置のブロック図の他の例を表す。本実施形態では、電源スイッチ104が、表示装置100の電源回路105及びモータ駆動ユニット110の電源回路115に接続される代わりに、表示装置100の制御部106に接続されている。より詳細には、表示装置100の電源回路105及びモータ駆動ユニット110の電源回路115はバッテリー120に接続され、表示装置100の電源回路105は、バッテリー120から供給される電力によって制御部106を駆動する。
図7に示された実施形態では、電源スイッチ104は表示装置100の制御部106に接続されているが、制御部106の代わりに表示装置100の電源回路105に接続されてもよい。
【0049】
図8は、本願の実施形態による表示装置100が外部との通信が可能な装置から時刻情報を受信して表示する処理を表すフローチャートの他の例を表している。
図8のフローチャートは、バッテリー120が取り付けられた状態での処理を表している。
図8では、本願の実施形態による表示装置100は、
図7に示すようにバッテリー120から直接電力の供給を受ける。
【0050】
図8の処理は、電動補助自転車1へバッテリー120が取り付けられたことによって開始される。なお開始時、表示装置100の電源スイッチ104はオフになっている。電動補助自転車1へのバッテリー120の取り付けは、トリガ検知部401によって検知される。開始後、表示装置100は、バッテリー120から電力の供給を受ける(S802)。その後、表示装置100は、開始前の時刻情報、接続情報の初期設定を行い(S804)、表示装置100の周辺の通信装置へ応答要求信号を送信する(S806)。
【0051】
表示装置100は、応答要求信号を検知した通信装置によって送信された接続要求信号を受信したのか否かを判断する(S808)。表示装置100が接続要求信号を受信した場合、表示装置100と通信装置との接続が成立する(S810)。表示装置100が接続要求信号を受信しなかった場合、表示装置100と通信装置との接続は成立せず、表示装置100は再度応答要求信号を送信する(S806)。応答要求信号の送信及び接続要求信号の受信は、接続確立部402によって行われる。
【0052】
表示装置100は、通信装置から時刻情報を受信したのか否かを判断する(S812)。表示装置100が時刻情報を受信した場合、表示装置100は、受信した時刻情報を制御部106に記録する(S816)。表示装置100が時刻情報を受信しなかった場合、表示装置100は、時刻情報の受信に失敗したことを示すエラーメッセージを表示して(S814)、再度、通信装置から時刻情報を受信したのか否かを判断する(S812)。時刻情報の受信は、時刻情報受信部403によって行われる。
【0053】
表示装置100は、最初に受信した時刻情報に続く次の時刻情報を通信装置から受信したのか否かを判断する(S818)。表示装置100が次の時刻情報を受信した場合、表示装置100は、受信した時刻情報を制御部106に記録する(S820)。表示装置100が時刻情報を受信しなかった場合、表示装置100は、S812で受信した時刻情報に、S812で時刻情報を受信してから経過した時間を加えた新たな時刻情報を制御部106に記録する(S822)。時刻情報の記録は、時刻情報表示部404によって行われる。これにより本願の表示装置100は、通信装置からの時刻情報の受信に失敗した場合において、時計機能を有していなくても現在の時刻情報を記録することが可能となる。
【0054】
続いて表示装置100の電源スイッチ104がオンにされたのか否かが判断される(S824)。表示装置100の電源スイッチ104がオンにされた場合、表示装置100は、記録された時刻情報を表示部101に表示する(S826)。時刻情報の表示は、時刻情報表示部404によって行われる。表示装置100の電源スイッチ104がオンにされない場合、次の時刻情報を通信装置から受信したのか否かが判断される(S818)。続いてバッテリー120が電動補助自転車1から取り外されたのか否かが判断される(S828)。バッテリー120が電動補助自転車1から取り外された場合、処理は終了する。バッテリー120が電動補助自転車1から取り外されたのか否かの判断は、終了判定部405によって行われる。バッテリー120が電動補助自転車1から取り外されていない場合、表示装置100は、通信装置からの次の時刻情報を受信したのか否かを判断する(S818)。
【0055】
図8のフローチャートからわかるように、本願の実施形態による表示装置100は、時刻情報を外部との通信が可能な通信装置から受信して表示する。そのため表示装置100は、表示装置100自身で時刻の計数を行うことを要しない。その結果、表示装置100は、
図7からわかるように、従来技術にかかる表示装置が必要としていた時刻計数用のサブクロック、及びバックアップ電源としてのボタン電池を不要にする。サブクロックが不要になることで、メインクロックとサブクロックとを切り替える監視回路も不要となる。その結果、表示装置100の部品点数は減少し、小型化及びコスト削減が実現される。また表示装置100の電源スイッチ104がオフでありながら時刻情報の受信が可能となることで、表示装置100の電源スイッチ104をオンにすると、表示装置100はすぐに時刻情報を表示することができる。また表示装置100は、電源スイッチ104がオフの場合でも、S822に記載されているように、時刻情報を受信してからの経過時間を時刻情報に加算することができる。そのため表示装置100は、外部との通信が可能な通信装置から時刻情報の受信に失敗した場合にも、現在の時刻を表示することができる。通信装置から時刻情報の受信に失敗する場合には、通信装置のバッテリーが切れた場合、又は、通信装置と表示装置100との接続が成立しなくなった場合が含まれる。
【0056】
図9は、供給電圧が低くなったとき又はバッテリー120が取り外されたときの電動補助自転車1のモータ駆動ユニット110の動作を表すフローチャートの例である。
図9のフローチャートは、本願の実施形態による表示装置100が、
図7に示すようにバッテリー120から直接電力の供給を受ける場合での処理を表している。
【0057】
モータ駆動ユニット110の制御部116は、バッテリー120の残量が第1の所定の量を下回ったか否かを判断する(S902)。バッテリー120の残量が第1の所定の量を下回ったとき、モータ駆動ユニット110は、モータ駆動ユニット110の補助機能を中止し、かつ、表示装置100の表示をオフにする(S904)。その結果、表示部101の表示は中止されるが、時刻情報を受信すること、及び、時刻情報の受信時からの経過時間を時刻情報に加算することは継続される。
【0058】
その後、モータ駆動ユニット110の制御部116は、バッテリー120の残量が第2の所定の量を下回ったか否かを判断する(S906)。バッテリー120の残量が、第1の所定の量よりも低い第2の所定の量を下回ったとき、表示装置100は、時刻情報の受信、及び、時刻情報の受信時からの経過時間の時刻情報への加算を終了する(S908)。
【0059】
[まとめ]
(1)以上説明したように、本願の電動補助自転車1で用いられる表示装置100は、外部との通信が可能な装置から時刻情報を受信する通信部103、前記時刻情報を表示する表示部101、及び、前記電動補助自転車1にバッテリー120が搭載された後、前記バッテリー120からの電力を受け、前記時刻情報を受信して前記時刻情報を前記表示部101に表示させる制御部106を有する。
【0060】
(2) 前記制御部106は、前記時刻情報の受信時からの経過時間を前記時刻情報に加算してよい。
(3) 前記制御部106は、前記バッテリー120が前記電動補助自転車1から取り外された場合に、前記時刻情報の受信、及び、前記時刻情報の受信時からの経過時間の前記時刻情報への加算を終了してよい。
【0061】
(4) 当該表示装置100は、外部との通信が可能な通信装置から時刻情報を受信できないときにエラーメッセージを表示してよい。
【0062】
(5) 本願の電動補助車両用駆動システムは、当該表示装置100、モータ130、及び、該モータ130からのトルクを動力に変換する駆動ユニット110を備えてよい。
【0063】
(6) 前記制御部106は、前記電動補助自転車1のバッテリー120から前記駆動ユニット110を介して電力を受けてよい。
【0064】
(7) 前記制御部106は、前記電動補助自転車1のバッテリー120から前記駆動ユニット110を介さずに電力を受けてよい。
【0065】
(8) 前記駆動システムは、前記バッテリー120の残量が所定の量を下回ったとき、前記電動補助自転車1の補助機能と当該表示装置100への電力供給を中止してよい。
【0066】
(9) 前記駆動システムは、前記バッテリー120の残量が、第1の所定の量を下回ったとき、前記電動補助車両1の補助機能を中止し、当該表示装置100の表示をオフにしてよい。
【0067】
(10) 前記駆動システムは、前記制御部は、前記時刻情報の受信時からの経過時間を前記時刻情報に加算する加算処理を実行し、前記バッテリー120の残量が、前記第1の所定の量よりも小さな第2の所定の量を下回ったとき、当該表示装置100は、前記時刻情報の受信、及び、前記加算処理を終了してよい。
【0068】
(11) 本願の電動補助自転車1は、前記電動補助車両用駆動システム、及び、脱着可能な前記バッテリー120を有してよい。