(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド、およびそれを用いた記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20221207BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
B41J2/14
B41J2/14 209
B41J2/01 123
B41J2/14 611
(21)【出願番号】P 2021535389
(86)(22)【出願日】2020-07-29
(86)【国際出願番号】 JP2020029071
(87)【国際公開番号】W WO2021020448
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-01-21
(31)【優先権主張番号】P 2019139889
(32)【優先日】2019-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135828
【氏名又は名称】飯島 康弘
(72)【発明者】
【氏名】水谷 祐司
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-056920(JP,A)
【文献】国際公開第2014/104109(WO,A1)
【文献】特開2015-139939(JP,A)
【文献】特開2010-227759(JP,A)
【文献】特開2010-232300(JP,A)
【文献】国際公開第2018/181024(WO,A1)
【文献】特開2000-015857(JP,A)
【文献】特開2016-098993(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0046836(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出孔、および前記吐出孔に繋がっている加圧室を有する第1流路部材と、
前記第1流路部材上に位置しており、前記第1流路部材に液体を供給する第2流路部材と、
前記第1流路部材上に位置しており、前記加圧室を加圧する加圧部と、
前記吐出孔の吐出を制御する駆動ICと、
前記駆動ICと前記加圧部とを電気的に接続するフレキシブル配線板と、を備え、
前記第2流路部材は、
第1貫通孔
と、
前記第1流路部材上に位置するフレームと、
前記フレーム上に位置するリザーバプレートと、を有しており、
前記フレームは、該フレームを前記第1流路部材側からその反対側へ貫通し、前記加圧部を収容する第2貫通孔を有しており、
前記リザーバプレートは、
前記加圧部に対向している対向領域と、
平面視で前記対向領域の外側に位置しており、該リザーバプレートを前記第1流路部材側からその反対側へ貫通している第3貫通孔と、を有しており、
前記第2貫通孔と前記第3貫通孔とは互いに連通されて前記第1貫通孔を構成しており、
前記フレキシブル配線板は、前記
第1貫通孔
に挿通されており、
前記
第1貫通孔は、内壁に
複数の第1凸部を有
しており、
前記複数の第1凸部は、
前記第2貫通孔の第1内壁において、前記フレームの厚さ方向中央側に位置する第1凸部と、
前記第3貫通孔の前記対向領域側の第2内壁において、前記リザーバプレートの厚さ方向中央側に位置する第1凸部と、
前記第3貫通孔の前記対向領域とは反対側の第3内壁において、前記リザーバプレートの厚さ方向中央側に位置する第1凸部と、を含んでいる
液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記第1内壁
、前記第2内壁及び前記第3内壁それぞれは、第2凸部を有し、
前記第1内壁、前記第2内壁及び前記第3内壁それぞれにおいて、前記第2凸部は、前記第1凸部よりも前記
第1流路部材側に位置する、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記第1内壁、前記第2内壁及び前記第3内壁それぞれにおいて、前記第2凸部の突出長さは、前記第1凸部の突出長さよりも小さい、請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記第1内壁
、前記第2内壁及び前記第3内壁それぞれは、第3凸部を有し、
前記第1内壁、前記第2内壁及び前記第3内壁それぞれにおいて、前記第3凸部は、前記第1凸部よりも前記
第1流路部材とは反対側に位置する、請求項1~3のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記第1内壁、前記第2内壁及び前記第3内壁それぞれにおいて、前記第3凸部の突出長さは、前記第1凸部の突出長さよりも小さい、請求項4に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記第1内壁
、前記第2内壁及び前記第3内壁それぞれは、各内壁の高さ方向の中央部から前記加圧部の反対側に向かうにつれて
各内壁の前記第1凸部が突出する側とは反対側へ位置している、
請求項1~5のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記第1内壁
、前記第2内壁及び前記第3内壁それぞれは、各内壁の高さ方向の中央部から前記加圧部に向かうにつれて
各内壁の前記第1凸部が突出する側とは反対側へ位置している、請求項
1~6のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
断面視したとき、
前記第1内壁、前記第2内壁及び前記第3内壁それぞれにおいて、前記第1凸部の曲率半径が0.06~0.23mmである、請求項7に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の液体吐出ヘッドと、
記録媒体を前記液体吐出ヘッドに搬送する搬送部と、
前記液体吐出ヘッドの前記駆動ICを制御する制御部と、を備える記録装置。
【請求項10】
請求項1~8のいずれかに記載の液体吐出ヘッドと、
記録媒体にコーティング剤を塗布する塗布機と、を備える記録装置。
【請求項11】
請求項1~8のいずれかに記載の液体吐出ヘッドと、
記録媒体を乾燥させる乾燥機と、を備える記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
液体吐出ヘッドおよびそれを用いた記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置として、インクジェット記録方式を利用したインクジェットプリンタやインクジェットプロッタが知られている。このようなインクジェット方式の印刷装置には、液体を吐出させるための液体吐出ヘッドが搭載されている。
【0003】
かかる液体吐出ヘッドは、加圧部に接続されたフレキシブル配線板が、第2流路部材の貫通孔を挿通するように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本開示の液体吐出ヘッドは、第1流路部材と、第2流路部材と、加圧部と、駆動ICと、フレキシブル配線板と、を備える。第1流路部材は、吐出孔、および吐出孔に繋がっている加圧室を有する。第2流路部材は、第1流路部材に液体を供給する。加圧部は、加圧室を加圧する。駆動ICは、吐出孔の吐出を制御する。フレキシブル配線板は、駆動ICと加圧部とを電気的に接続する。第2流路部材は、貫通孔を有している。フレキシブル配線板は、貫通孔を挿通されている。貫通孔は、内壁に第1凸部を有する。
【0006】
また、本開示の記録装置は、上記に記載の液体吐出ヘッドと、搬送部と、制御部と、を備えている。搬送部は、記録媒体を液体吐出ヘッドに搬送する。制御部は、液体吐出ヘッドのドライバICを制御する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施形態に係る記録装置であるカラーインクジェットプリンタの概略構成図である。
【
図2】第1の実施形態に係る液体吐出ヘッドの概略を示す斜視図である。
【
図3】
図2の液体吐出ヘッドを拡大して示す平面図である。
【
図4】
図3の一点鎖線に囲まれた領域の拡大図である。
【
図6】フレキシブル配線板の挿通状態を示す断面図である。
【
図7】第2の実施形態に係る液体吐出ヘッドのフレキシブル配線板の挿通状態を示す断面図である。
【
図9】第3の実施形態に係る液体吐出ヘッドの貫通孔近傍の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
従来の液体吐出ヘッドでは、フレキシブル配線板が、貫通孔の内壁に接触した際に、フレキシブル配線板と貫通孔の内壁とが面接触になってしまい、摩擦力が大きくなる。その結果、フレキシブル配線板にひっかき傷が生じ、フレキシブル配線板の配線不良が生じる場合がある。
【0009】
本開示の液体吐出ヘッドは、フレキシブル配線板に配線不良が生じにくい液体吐出ヘッドを提供するものである。以下、本開示の液体吐出ヘッドおよび記録装置について、詳細に説明する。
【0010】
図1(a)は、液体吐出ヘッド2を含む記録装置であるプリンタ1の概略の側面図である。
図1(b)は、概略の平面図である。なお、プリンタ1の構成として、カラーインクジェットプリンタを用いて説明する。
【0011】
プリンタ1は、印刷用紙Pをガイドローラ82Aから搬送ローラ82Bへと搬送する。印刷用紙Pは、液体吐出ヘッド2に対して相対的に移動する。制御部88は、画像や文字のデータに基づいて、液体吐出ヘッド2を制御し、印刷用紙Pに向けて液体を吐出させる。プリンタ1は、印刷用紙Pに液滴を着弾させて、印刷用紙Pに印刷などの記録を行なう。
【0012】
本形態では、液体吐出ヘッド2はプリンタ1に対して固定されている。プリンタ1は、いわゆるラインプリンタとなっている。プリンタ1の他の形態としては、液体吐出ヘッド2を、印刷用紙Pの搬送方向に交差する方向、例えば、ほぼ直交する方向に往復させるなどして移動させながら記録する動作と、印刷用紙Pの搬送とを交互に行なう、いわゆるシリアルプリンタが挙げられる。
【0013】
プリンタ1には、印刷用紙Pとほぼ平行となるように平板状のフレーム70が固定されている。フレーム70には図示しない複数の孔が設けられており、液体吐出ヘッド2がそれぞれの孔に搭載されている。液体吐出ヘッド2と印刷用紙Pとの間の距離は、例えば0.5~20mm程度とされる。フレーム70で固定された複数の液体吐出ヘッド2は、1つのヘッド群72を構成している。プリンタ1は、複数のヘッド群72を有している。
【0014】
液体吐出ヘッド2は、
図1(a)の手前から奥へ向かう方向、
図1(b)の上下方向に細長い長尺形状を有している。1つのヘッド群72内において、3つの液体吐出ヘッド2は、印刷用紙Pの搬送方向に交差する方向に沿って並んでいる。他の2つの液体吐出ヘッド2は搬送方向に沿ってずれた位置で、3つの液体吐出ヘッド2の間にそれぞれ一つずつ並んでいる。
【0015】
4つのヘッド群72は、印刷用紙Pの搬送方向に沿って配置されている。各液体吐出ヘッド2には、図示しない液体タンクから液体、例えば、インクが供給される。1つのヘッド群72に属する液体吐出ヘッド2には、同じ色のインクが供給されるようになっており、4つのヘッド群72で4色のインクが印刷できる。各ヘッド群72から吐出されるインクの色は、例えば、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)およびブラック(K)である。このようなインクを、制御部88で制御して印刷すれば、カラー画像が印刷できる。また、印刷用紙Pの表面処理をするために、コーティング剤などの液体を印刷してもよい。
【0016】
プリンタ1に搭載されている液体吐出ヘッド2の個数は、単色で、1つの液体吐出ヘッド2で印刷可能な範囲を印刷するのなら1つでもよい。ヘッド群72に含まれる液体吐出ヘッド2の個数や、ヘッド群72の個数は、印刷する対象や印刷条件により適宜変更できる。
【0017】
印刷用紙Pは、使用前において給紙ローラ80Aに巻かれた状態になっており、2つのガイドローラ82Aの間を通った後、複数のフレーム70の下側を通り、2つの搬送ローラ82C,82Dの間を通り、最終的に回収ローラ80Bに回収される。
【0018】
また、印刷対象としては、印刷用紙P以外に、ロール状の布などでもよい。また、プリンタ1は、印刷用紙Pを直接搬送する代わりに、搬送ベルト上に載せて搬送するものであってもよい。搬送ベルトを用いることで、プリンタ1は、枚葉紙や裁断された布、木材、タイルなどを印刷対象とすることができる。また、液体吐出ヘッド2から導電性の粒子を含む液体を吐出するようにして、電子機器の配線パターンなどを印刷してもよい。また、液体吐出ヘッド2から反応容器などに向けて所定量の液体の化学薬剤や化学薬剤を含んだ液体を吐出させて、化学薬品を作製してもよい。
【0019】
プリンタ1は塗布機83を有している。塗布機83は、制御部88により制御されており、コーディング剤を印刷用紙Pに一様に塗布する。その後、印刷用紙Pは、液体吐出ヘッド2の下へ搬送される。
【0020】
プリンタ1は、液体吐出ヘッド2を収納するヘッドケース85を有している。ヘッドケース85は、印刷用紙Pが出入りする部分などの一部において外部と繋がっているが、概略、外部と隔離された空間である。ヘッドケース85は、必要に応じて、制御部88等によって、温度、湿度、および気圧等の制御因子(少なくとも1つ)が制御される。
【0021】
プリンタ1は、乾燥機78を有している。ヘッドケース85から外に出た印刷用紙Pは、2つの搬送ローラ82Cの間を通り、乾燥機78の中を通る。乾燥機78が印刷用紙Pを乾燥することにより、回収ローラ80Bにおいて、重なって巻き取られる印刷用紙P同士が接着したり、未乾燥の液体が擦れることが生じにくい。
【0022】
プリンタ1は、センサ部77を有している。センサ部77は、位置センサ、速度センサ、温度センサなどにより構成される。制御部88が、センサ部77からの情報から、プリンタ1各部の状態を判断し、プリンタ1の各部を制御してもよい。
【0023】
プリンタ1は、液体吐出ヘッド2をクリーニングするクリーニング部を備えていてもよい。クリーニング部は、例えば、ワイピングや、キャッピングして洗浄を行なう。ワイピングは、例えば、柔軟性のあるワイパーで、液体が吐出される部位の面、例えば液体吐出ヘッド2の吐出孔面4-1を擦ることで、その面に付着していた液体を取り除く。キャッピングしての洗浄は、例えば、次のように行なう。まず、液体を吐出される部位、例えば吐出孔面4-1を覆うようにキャップを被せる(これをキャッピングと言う)ことで、吐出孔面4-1とキャップとで、ほぼ密閉されて空間が作られる。そのような状態で、液体の吐出を繰り返すことで、吐出孔8に詰まっていた、標準状態よりも粘度が高くなっていた液体や、異物等を取り除く。
【0024】
次に、第1の実施形態の液体吐出ヘッド2について説明する。
図2は、液体吐出ヘッド2の概略構成を示す斜視図である。
図3は、液体吐出ヘッド2の一部を拡大して示す平面図である。
図3は、右半分において、圧電アクチュエータ基板21を省略している。
図4は、
図3の一点鎖線で囲まれた領域の拡大図である。
図3、4は、説明のために一部の流路を省略しており、図面をわかりやすくするために、破線で書くべきマニホールド5等を実線で示している。
図5は、
図3で示すV-V線に沿った断面図である。
【0025】
図2を用いて、液体吐出ヘッド2の概略を説明する。液体吐出ヘッド2は、第1流路部材4と、圧電アクチュエータ基板21(
図3参照)と、第2流路部材40と、配線基板94と、筐体90とを含んでいる。第1流路部材4は、吐出孔面4-1と加圧室面4-2とを含んでいる。圧電アクチュエータ基板21は、第1流路部材4の加圧室面4-2上に位置する搭載領域Eに位置する。圧電アクチュエータ基板21には、2枚のフレキシブル配線板91が電気的に接続される。それぞれのフレキシブル配線板91は、複数のドライバIC55を含んでいる。なお、
図2では、フレキシブル配線板91の1枚を省略して示している。
【0026】
フレキシブル配線板91は、圧電アクチュエータ基板21と駆動IC11とを電気的に接続しており、圧電アクチュエータ基板21の各変位素子30(
図5参照)に信号を供給する。フレキシブル配線板91は、例えば、FPC(Flexible Printed Circuit)等により形成できる。
【0027】
駆動IC(Integrated Circuit)11は、フレキシブル配線板91に搭載されている。ドライバIC55は、圧電アクチュエータ基板21の各変位素子30の駆動を制御する。
【0028】
第2流路部材40は、搭載領域E以外の加圧室面4-2上に位置している。第2流路部材40は、内部に流路を有しており、外部から開口40aを介して液体が供給される。第2流路部材40は、第1流路部材4に液体を供給する機能、および液体を貯留する機能を有している。
【0029】
第2流路部材40は、複数の貫通孔40bを有している。複数の貫通孔40bは、それぞれ第2流路部材40の長手方向に長い。貫通孔40bのそれぞれには、フレキシブル配線板91が挿通されている。
【0030】
第2流路部材40上には、配線基板94が立設している。配線基板94の両面上には、複数のコネクタ95が位置する。それぞれのコネクタ95には、フレキシブル配線板91の端部が収容される。配線基板94の第2流路部材40と反対側の端面には、コネクタ96が位置する。配線基板94は、外部からコネクタ96を介して供給された電流を、コネクタ95に分配し、フレキシブル配線板91に電流を供給する。
【0031】
筐体90は、開口90aを含んでいる。筐体90は、第2流路部材40上に位置し、配線基板94を覆っている。それにより、筐体90は、配線基板94を封止している。配線基板94のコネクタ96は、開口90aから外部に露出するように挿通される。筐体90の側面には、ドライバIC55が押し当てられている。それにより、ドライバIC55に発生する熱を放熱できる。
【0032】
なお、液体吐出ヘッド2は、これらの部材を必ずしも含んでいなくてもよい。さらに他の部材を含んでいてもよい。
【0033】
図3~5を用いて、ヘッド本体2aについて説明する。
【0034】
ヘッド本体2aは、第1流路部材4と圧電アクチュエータ基板21とを含んでいる。圧電アクチュエータ基板21は、加圧室面4-2の搭載領域Eに位置している。
【0035】
第1流路部材4は、平板形状をなしており、内部に流路が形成されている。第1流路部材4は、マニホールド5と、複数の吐出孔8と、複数の加圧室10と、を含んでいる。複数の加圧室10は、マニホールド5と繋がっている。複数の吐出孔8は、複数の加圧室10とそれぞれ繋がっている。加圧室10は、第1流路部材4の上面に開口しており、第1流路部材4の上面が加圧室面4-2となっている。また、第1流路部材4の加圧室面4-2はマニホールド5と繋がる開口5aを有している。液体は、第2流路部材40(
図2参照)から開口5aを通って第1流路部材4の内部に供給される。
【0036】
第1流路部材4の内部には4つのマニホールド5が形成されている。マニホールド5は第1流路部材4の長手方向に沿って延びる細長い形状を有しており、その両端において、第1流路部材4の上面にマニホールド5の開口5aが形成されている。本実施例においては、マニホールド5は独立して4本設けられている。
【0037】
第1流路部材4は、複数の加圧室10が2次元的に広がって形成されている。加圧室10は、角部にアールが施されたほぼ菱形の平面形状を有する中空の領域である。加圧室10は第1流路部材4の上面である加圧室面4-2に開口している。
【0038】
各加圧室行11の加圧室10は、近接する2行の加圧室行11の間では、角部が位置するように千鳥状に配置されている。1つのマニホールド5に繋がっている4行の加圧室行11により加圧室群が構成されており、加圧室群は4つある。各加圧室群内における加圧室10の相対的な配置は同じになっており、各加圧室群は長手方向にわずかにずれて配置されている。各加圧室10の開口は、第1流路部材4の上面に圧電アクチュエータ基板21が接合されることで閉塞されている。
【0039】
加圧室10と、マニホールド5とは、個別供給流路14を介して繋がっている。個別供給流路14は、他の部分よりも幅の狭いしぼり6を含んでいる。しぼり6は、個別供給流路14の他の部分よりも幅が広いことから、流路抵抗が高くなっている。それにより、加圧室10に生じた圧力が、マニホールド5に流れ込みにくい。
【0040】
吐出孔8は、第1流路部材4のうちマニホールド5と対向する領域を避けた位置に配置されている。すなわち、第1流路部材4を加圧室面4-2から透過視して、吐出孔8は、マニホールド5と重なっていない。さらに、平面視して、吐出孔8は、搭載領域Eに収まるように配置されている。これらの吐出孔8は、1つの群として圧電アクチュエータ基板21とほぼ同一の大きさおよび形状の領域を占有しており、対応する圧電アクチュエータ基板21の変位素子30を変位させることにより吐出孔8から液滴が吐出できる。
【0041】
第1流路部材4は、複数のプレートが積層された積層構造を有している。これらのプレートは、第1流路部材4の上面から順に、キャビティプレート4a、ベースプレート4b、アパーチャ(しぼり)プレート4c、サプライプレート4d、マニホールドプレート4e~g、カバープレート4hおよびノズルプレート4iである。これらのプレートには多数の孔が形成されている。各プレートの厚さは10~300μm程度であることにより、形成する孔の形成精度を高くできる。各プレートは、これらの孔が互いに連通して個別流路12およびマニホールド5を構成するように、位置合わせして積層されている。ヘッド本体2aは、加圧室10は第1流路部材4の上面に、マニホールド5は内部の下面側に、吐出孔8は下面にと、個別流路12を構成する各部分が異なる位置に互いに近接して配設され、加圧室10を介してマニホールド5と吐出孔8とが繋がる構成を有している。
【0042】
図3,5に示すように、圧電アクチュエータ基板21は、圧電セラミック層21a、21bと、共通電極24と、個別電極25と、接続電極26と、ダミー電極27と、表面電極28とを含んでいる。圧電アクチュエータ基板21は、圧電セラミック層21a、共通電極24、圧電セラミック層21b、および個別電極25がこの順に積層されている。
【0043】
圧電セラミック層21a、21bはそれぞれ20μm程度の厚さを有している。圧電セラミック層21a、21bのいずれの層も複数の加圧室10を跨ぐように延在している。これらの圧電セラミック層21a、21bは、強誘電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系のセラミックス材料からなる。
【0044】
共通電極24は、圧電セラミック層21aと圧電セラミック層21bとの間の領域に面方向のほぼ全面にわたって形成されている。すなわち、共通電極24は、圧電アクチュエータ基板21に対向する領域内の全ての加圧室10と重なっている。共通電極24の厚さは2μm程度である。共通電極24は、例えば、Ag-Pd系などの金属材料により形成される。
【0045】
個別電極25は、個別電極本体25aと、引出電極25bとを含んでいる。個別電極本体25aは、圧電セラミック層21b上のうち加圧室10と対向する領域に位置している。個別電極本体25aは、加圧室10より一回り小さく、加圧室10とほぼ相似な形状である。引出電極25bは、個別電極本体25aから引き出されている。引出電極25bの一端の、加圧室10と対向する領域外に引き出された部分には接続電極26が形成されている。個別電極25は、例えば、Au系などの金属材料により形成される。
【0046】
接続電極26は、引出電極25b上に位置し、厚さが15μm程度で凸状に形成されている。また、接続電極26は、フレキシブル配線板91(
図2参照)に設けられた電極と電気的に接合されている。接続電極26は、例えばガラスフリットを含む銀-パラジウムにより形成される。
【0047】
ダミー電極27は、圧電セラミック層21b上に位置しており、個別電極25等の各種電極と重ならないように位置している。ダミー電極27は、圧電アクチュエータ基板21とフレキシブル配線板91とを接続し、接続強度を高めている。また、ダミー電極27は、圧電アクチュエータ基板21と、圧電アクチュエータ基板21との接触位置の分布を均一化し、電気的な接続を安定させる。ダミー電極27は、接続電極26と同等の材料、同等の工程により形成される。
【0048】
表面電極28は、圧電セラミック層21b上において、個別電極25を避ける位置に形成されている。表面電極28は、圧電セラミック層21bに形成されたビアホールを介して共通電極24と繋がっている。そのため、表面電極28は、接地され、グランド電位に保持されている。表面電極28は、個別電極25と同等の材料、同等の工程により形成される。
【0049】
複数の個別電極25は、個別に電位を制御することができるように、それぞれがフレキシブル配線板91および配線を介して、個別に制御部100(
図1参照)に電気的に接続されている。個別電極25と共通電極24とに狭持された圧電セラミック層21bは、個別電極25をと共通電極24とを異なる電位に保持されている。圧電セラミック層21bに対してその分極方向に電界を印加したとき、この電界が印加された部分が、圧電効果により歪む活性部として働く。そのため、加圧室10に対向する、個別電極25と、圧電セラミック層21bと、共通電極24とが変位素子30として機能し、圧電セラミック層21bがユニモルフ変形することにより、加圧室10を押圧し、吐出孔8から液体が吐出される。
【0050】
図6を用いて、液体吐出ヘッド2の第2流路部材40について詳細に説明する。なお、
図6に示す断面は、第2流路部材40の長手方向に直交する方向で切断したものである。
【0051】
第2流路部材40は、リザーバ本体41と、リザーバプレート42と、フレーム43とを有している。リザーバ本体41とリザーバプレート42とフレーム43とはこの順に積層されており、それぞれ接着剤により接合されている。フレーム43は、第1流路部材4上に接着剤により接合されている。
【0052】
リザーバ本体41は、内部に流路となる溝を有しており、この溝がリザーバプレート42により閉塞されて流路が形成される。リザーバ本体41は、貫通孔41bを有しており、貫通孔41bの内壁41cに、第1凸部45を有する。リザーバ本体41は、例えば、金属あるいは合金を切削加工して作製される。また、リザーバ本体41は、樹脂により作製してもよい。
【0053】
リザーバプレート42は、貫通孔42bを有しており、貫通孔42bの内壁42cに、第1凸部45を有している。フレーム43は、貫通孔43bを有している。貫通孔43bには、圧電アクチュエータ基板21が収容されている。貫通孔43bは、平面視して、圧電アクチュエータ基板21よりも大きい。フレーム43は、貫通孔43bの内壁43cに、第1凸部45を有している。リザーバプレート42およびフレーム43は、例えば、金属、合金あるいは樹脂の薄板を加工して作製される。
【0054】
第2流路部材40は、リザーバ本体41と、リザーバプレート42と、フレーム43とが積層されて、貫通孔41b、42b、43bが連通され、貫通孔40bが形成される。また、第2流路部材40は、フレーム43側に圧電アクチュエータ基板21を収容する空間が形成される。
【0055】
第1凸部45について、リザーバプレート42を用いて説明する。第1凸部45は、貫通孔42bの内壁42cに形成されている。断面視したとき、第1凸部45は、貫通孔42bの中央に向けて突出している。換言すると、貫通孔42bは、厚み方向の中央部に内径が小さい部分を有している。
【0056】
第1凸部45は、貫通孔42bにおいて、リザーバプレート42の厚み方向(以下、厚み方向と称する)の中央部に対応する部分が最も突出しており、厚み方向の両端部に向かうにつれて徐々に突出長さが短くなっている。換言すると、貫通孔42bは中央部が括れた形状になっており、貫通孔42bの内壁42cにはテーパが形成されている。
【0057】
第1凸部45の突出長さは、例えば、50~200μmである。なお、突出長さとは、貫通孔42bの内壁42cの平均位置を測定し、平均位置から第1凸部45の先端までの長さである。貫通孔42bの内壁42cの平均位置は、
図6に示すように、貫通孔42bを通るように厚み方向に切断した断面において、測定すればよい。
【0058】
第1凸部45は、例えば、以下の方法により作製することができる。
【0059】
切削加工で形成する場合は、第1凸部45が形成されるように切削すればよい。エッチング等の化学処理にて形成する場合は、マスク部分のレジストの形状を適宜調整して作製すればよい。また、複数回のエッチングにより作製してもよい。具体的には、第1凸部45のテーパ部分をエッチングにより作製し、その後、テーパ部分を覆うようにレジストを塗布してエッチングすればよい。
【0060】
ここで、フレキシブル配線板91は、一端が圧電アクチュエータ基板21に接続され、他端をコネクタ95(
図2参照)に接続するために、貫通孔41b、42b、43bを挿通される。その際に、フレキシブル配線板91は、貫通孔41b、42b、43bの内壁41c、42c、43cに接触すると、フレキシブル配線板91と内壁41c、42c、43cとが面接触となってしまい大きな摩擦力が生じることになる。その結果、フレキシブル配線板91にひっかき傷が生じ、配線不良が生じる場合があった。
【0061】
これに対して、液体吐出ヘッド2は、フレキシブル配線板91が、貫通孔41b、42b、43bを挿通されており、貫通孔41b、42b、43bは、内壁41c、42c、43cに第1凸部45を有している。それにより、フレキシブル配線板91は、第1凸部45と接することとなり、フレキシブル配線板91と貫通孔41b、42b、43bの内壁41c、42c、43cとが点接触することとなる。その結果、フレキシブル配線板91に生じる摩擦力が小さくなる。それゆえ、フレキシブル配線板91にひっかき傷が生じにくくなり、フレキシブル配線板91に配線不良が生じにくくなる。
【0062】
また、本実施形態においては、貫通孔41b、42b、43bの内壁41c、42c、43cが、中央部から圧電アクチュエータ基板21の反対側に向かうにつれて大きくなっていてもよい。このような構成により、圧電アクチュエータ基板21の反対側からフレキシブル配線板91を引き出しやすくなる。そのため、液体吐出ヘッド2の生産性が向上する。
【0063】
また、本実施形態においては、貫通孔41b、42b、43bの内壁41c、42c、43cが、中央部から圧電アクチュエータ基板21側に向かうにつれて大きくなっていてもよい。このような構成により、それぞれの貫通孔41b、42b、43bにフレキシブル配線板91を導入しやすくなる。そのため、液体吐出ヘッド2の生産性が向上する。
【0064】
なお、貫通孔41b、42b、43bにそれぞれ1つの第1凸部45を設けた例を示したがこれに限定されるものではない。貫通孔41b、42b、43bの内壁41c、42c、43cに複数の第1凸部45を設けてもよい。
【0065】
また、第1凸部45は、貫通孔41b、42b、43bの第2流路部材40の長手方向に直交する方向(
図6における左右方向)の両側に設けられた例を示したが、片側のみに設けてもよい。このような構成をとると、貫通孔41b、42b、43bの内径の大きさをある程度確保することができ、フレキシブル配線板91を挿通させやすい。
【0066】
また、液体吐出ヘッド2は、貫通孔41b、42b、43bの内壁41c、42c、43cに第1凸部45を設けた例を示したが、これに限定されるものではない。貫通孔40bを構成する貫通孔41b、42b、43bの内壁41c、42c、43cのいずれかに第1凸部45を有していればよい。
【0067】
図7,8を用いて第2の実施形態に係る液体吐出ヘッド202について説明する。
図8は。
図7の破線で囲った領域を拡大して示している。なお、第1の実施形態と共通する部位については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0068】
第2流路部材240は、リザーバ本体241と、リザーバプレート242と、フレーム243とを有している。リザーバ本体241は、貫通孔240bの内壁241cに第1凸部245を有していない。リザーバプレート242と、フレーム243とは、貫通孔240b、240bの内壁242c、243cに、第1凸部245、第2凸部246、および第3凸部247を有している。
【0069】
リザーバプレート242を用いて、第1凸部245、第2凸部246、および第3凸部247について詳細に説明する。
【0070】
第1凸部245は、貫通孔242bの内壁242cの厚み方向の中央部に設けられている。第2凸部246は、貫通孔242bの内壁242cの厚み方向において、圧電アクチュエータ基板21側の端部に設けられている。第2凸部246の突出長さは、第1凸部245の突出長さよりも小さい。第3凸部247は、貫通孔243bの内壁243cの厚み方向において、圧電アクチュエータ基板21と反対側の端部に設けられている。第3凸部247の突出長さは、第1凸部245の突出長さよりも小さい。第2凸部246の突出長さと、第3凸部247の突出長さはほぼ等しい。第2凸部246および第3凸部237の突出長さは、例えば、20~150μmである。
【0071】
第1凸部245と第2凸部246との間に位置する内壁242cは、第1凸部245の先端と、第2凸部246の先端とを結ぶ仮想線よりも窪んでいる。換言すると、第1凸部245と第2凸部246との間に位置する内壁242cに窪み部が形成されている。それにより、貫通孔242bの内径は、厚み方向の中央部から圧電アクチュエータ基板21側の端部に向けて徐々に大きくなった後に、端部近傍で小さくなっている。
【0072】
第1凸部245と第3凸部247との間に位置する内壁242cは、第1凸部245の先端と、第3凸部247の先端とを結ぶ仮想線よりも窪んでいる。換言すると、第1凸部245と第3凸部247との間に位置する内壁242cに窪み部が形成されている。それにより、貫通孔242bの内径は、厚み方向の中央部から圧電アクチュエータ基板21の反対側の端部に向けて徐々に大きくなった後に、端部近傍で小さくなっている。そのため、第1凸部245、第2凸部246、および第3凸部247は、断面視して鋭角になっている。
【0073】
第2凸部246および第3凸部247は、例えば、上述したような複数回のエッチングにより作製してもよい。具体的には、第2凸部246および第3凸部247を覆うようにレジスト塗布し、第1凸部245の第1凸部45のテーパ部分をエッチングにより作製し、その後、テーパ部分を覆うようにレジストを塗布してエッチングを行い、レジスト除去すればよい。
【0074】
本実施形態においては、貫通孔240bは、内壁242c、243cに、第2凸部246を有しており、第2凸部246は、第1凸部245よりも圧電アクチュエータ基板21側に位置している。このような構成により、フレキシブル配線板91は、第1凸部245に接触する前に、第2凸部246に接触することとなる。その結果、第1凸部245に強い力で押しあてられにくくなり、フレキシブル配線板91が破損しにくい。また、フレキシブル配線板91が、第1凸部245および第2凸部246に接触することとなり、2点で支持されることとなる。その結果、フレキシブル配線板91に生じる押圧力を分散することにより、フレキシブル配線板91が破損しにくい。
【0075】
また、本実施形態においては、第2凸部246の突出長さは、第1凸部245の突出長さよりも小さくてもよい。このような構成により、フレキシブル配線板91が、第2凸部246に接触した後に、貫通孔240b内に導入しやすくなる。それにより、液体吐出ヘッド202の生産性が向上する。
【0076】
また、本実施形態においては、貫通孔240bは、内壁242c、243cに、第3凸部247を有しており、第3凸部247は、第1凸部245よりも圧電アクチュエータ基板21と反対側に位置している。このような構成により、フレキシブル配線板91が、第1凸部245および第3凸部247に接触することとなり、2点で支持されることとなる。その結果、フレキシブル配線板91に生じる押圧力を分散することにより、フレキシブル配線板91が破損しにくい。
【0077】
また、本実施形態においては、第3凸部247の突出長さは、第1凸部245の突出長さよりも小さくてもよい。このような構成により、フレキシブル配線板91が、第3凸部247に接触しても、貫通孔240b内に導入しやすくなる。それにより、液体吐出ヘッド202の生産性が向上する。
【0078】
なお、液体吐出ヘッド202は、第2凸部246および第3凸部247を有する例を示したが、第2凸部246のみ、あるいは第3凸部247のみ設けてもよい。
【0079】
図9を用いて、第3の実施形態に係る液体吐出ヘッド302について説明する。
【0080】
第3流路部材340は、リザーバ本体341と、リザーバプレート342と、フレーム343とを有している。リザーバ本体341は、貫通孔340bの内壁241cに第1凸部345を有していない。リザーバプレート342と、フレーム343とは、貫通孔342b、342cの内壁342c、343cに、第1凸部345、第2凸部346、および第3凸部347を有している。
【0081】
第1凸部345、第2凸部346、および第3凸部347は、先端が尖っておらず丸みを帯びている。換言すると、第1凸部345および第2凸部346の間に位置する内壁342cと、第1凸部345および第3凸部347の間に位置する内壁342cとなす角が、鈍角になっている。
【0082】
このような構成により、フレキシブル配線板91が、第1凸部345、第2凸部346、および第3凸部347に接触したとしても、フレキシブル配線板91が破損しにくい。
【0083】
また、本実施形態においては、貫通孔342b、343bの内壁342c、343cが、中央部から圧電アクチュエータ基板21の反対側に向かうにつれて大きくなっている。このような構成により、圧電アクチュエータ基板21の反対側からフレキシブル配線板91を引き出しやすくなる。そのため、液体吐出ヘッド302の生産性が向上する。
【0084】
また、本実施形態においては、貫通孔342b、343bの内壁342c、343cが、中央部から圧電アクチュエータ基板21側に向かうにつれて大きくなっている。このような構成により、それぞれの貫通孔342b、343bにフレキシブル配線板91を導入しやすくなる。そのため、液体吐出ヘッド302の生産性が向上する。
【0085】
また、本実施形態においては、断面視したとき、第1凸部345の曲率半径が0.06~0.23mmであってもよい。このような構成により、フレキシブル配線板91と、内壁342c、343cとの摩擦力を小さくしつつ、内壁342c、343cが、フレキシブル配線板91を支持することができる。それにより、液体吐出ヘッドの信頼性が向上する。
【0086】
なお、第1凸部345の曲率半径は、例えば、下記の方法にて測定できる。
【0087】
まず、貫通孔342bの内壁342cの表面を、接触式あるいは非接触式の表面粗さ計を用いて測定する。次に、測定されたデータに基づいて、最小二乗法により、貫通孔342bの内壁342cにフィットする第1仮想円を求める。次に、求めた第1仮想円より突出している部分のうち、リザーバプレート342の厚み方向の中央部に位置する部分を第1凸部345とみなす。続いて、最小二乗法により、第1凸部345にフィットする第2仮想円を求め、第2仮想円の曲率半径を第1凸部345の曲率半径とする。
【0088】
第1凸部345、第2凸部346、および第3凸部347は、例えば、以下の方法により作製することができる。
【0089】
エッチング等の化学処理にて形成する場合は、マスク部分のレジストの形状を適宜調整して作製すればよい。また、第1凸部345、第2凸部346、および第3凸部347の先端形状を、丸みを帯びた形状にするためには、他の部位に比べてエッチングスピードを遅くすればよい。また、第1凸部345、第2凸部346、および第3凸部347を形成した後に、エッチングをおこなって作製してもよい。
【0090】
なお、本実施形態では、加圧部として圧電変形を用いた変位素子30を示したが、これに限られるものでなく、加圧室10中の液体を加圧できるものなら他のものでよい。例えば、加圧室10中の液体を加熱して沸騰させて圧力を生じさせるものや、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を用いたものでも良い。
【0091】
また、本実施形態では、フレキシブル配線板91が第1凸部45と離間している例を示したが、第1凸部45と接触していてもよい。このような構成の場合、液体吐出ヘッド2が、プリンタ1に搭載されてシャトル運動したとしても、フレキシブル配線板91が第1凸部45に支持されることとなり、フレキシブル配線板91が破損しにくい。また、駆動IC11の熱がフレキシブル配線板91に伝わったとしても、第1凸部45を介して、液体吐出ヘッド2に放熱しやすい。なお、フレキシブル配線板91は、第2凸部246および第3凸部247と接触していてもよい。この場合においても、フレキシブル配線板91が第2凸部246および第3凸部247に支持されることとなり、フレキシブル配線板91が破損しにくい。
【符号の説明】
【0092】
1・・・プリンタ
2・・・液体吐出ヘッド
2a・・・ヘッド本体
4・・・第1流路部材
5・・・マニホールド(共通流路)
6・・・しぼり
8・・・吐出孔
10・・・加圧室
12・・・個別流路
14・・・個別供給流路
21・・・圧電アクチュエータ基板
24・・・共通電極
25・・・個別電極
26・・・接続電極
27・・・ダミー接続電極
28・・・共通電極用表面電極
30・・・変位素子(加圧部)
40、240、340・・・第2流路部材
40b、240b、340b・・・貫通孔
41、241、341・・・リザーバ本体
42、242、342・・・リザーバプレート
43、243、343・・・フレーム
45、245、345・・・第1突出部
246、346・・・第2突出部
247、347・・・第3突出部