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特許7190070切替え可能なフィード端子を有する電子デバイス用アンテナ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-06
(45)【発行日】2022-12-14
(54)【発明の名称】切替え可能なフィード端子を有する電子デバイス用アンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/24 20060101AFI20221207BHJP
   H01Q 9/14 20060101ALI20221207BHJP
   H04B 1/3827 20150101ALI20221207BHJP
【FI】
H01Q1/24 Z
H01Q9/14
H04B1/3827 110
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022027964
(22)【出願日】2022-02-25
(62)【分割の表示】P 2019100986の分割
【原出願日】2019-05-30
(65)【公開番号】P2022069484
(43)【公開日】2022-05-11
【審査請求日】2022-04-27
(31)【優先権主張番号】16/019,322
(32)【優先日】2018-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Apple Inc.
【住所又は居所原語表記】One Apple Park Way,Cupertino, California 95014, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100121979
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 吉信
(72)【発明者】
【氏名】エンリケ アヤラ ヴァスケス
(72)【発明者】
【氏名】ホンフェイ フー
(72)【発明者】
【氏名】マッティア パスコリーニ
(72)【発明者】
【氏名】ナンボー ジン
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン エム フローゼ
(72)【発明者】
【氏名】エリカ ジェイ トン
(72)【発明者】
【氏名】シュー ハン
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3213873(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0034135(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0048363(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0244149(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/24
H01Q 9/14
H04B 1/3827
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性周囲筐体構造体を有する筐体と、
接地構造体であって、前記導電性周囲筐体構造体のセグメントが、スロットによって前記接地構造体から分離された、接地構造体と、
前記接地構造体と、前記セグメントから形成された共振素子アームと、前記接地構造体に結合された接地アンテナフィード端子と、前記セグメントに結合された第1及び第2の正のアンテナフィード端子と、を含むアンテナと、
前記筐体内の無線周波数送受信機回路と、
前記無線周波数送受信機回路に結合された無線周波数伝送線路であって、前記無線周波数伝送線路が、前記接地アンテナフィード端子に結合された接地導体と、前記第1の正のアンテナフィード端子に結合された信号導体と、を含む、無線周波数伝送線路と、
前記信号導体上に介在するスイッチと、
前記スロットにわたり、前記信号導体上のノードと前記第2の正のアンテナフィード端子との間に結合された導電トレースと、
を備え、前記ノードが、前記スイッチと前記無線周波数送受信機回路との間の前記信号導体上に介在する、電子デバイス。
【請求項2】
前記導電トレースが、第1の距離だけ前記接地構造体から分離されており、前記第1の距離未満の第2の距離だけ前記セグメントから分離された、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記導電トレースが、前記ノードに結合された第1の端部と、前記第2の正のアンテナフィード端子に結合された反対側にある第2の端部と、前記第1の端部から前記第2の端部まで延びる長さと、幅と、を有し、前記長さが、前記幅の2~10倍である、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記導電トレースの前記第2の端部と前記接地構造体との間に結合された調整可能なインダクタを更に備える、請求項3に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記導電性周囲筐体構造体の追加セグメントから前記共振素子アームを分離する、前記導電性周囲筐体構造体内の誘電体充填ギャップを更に備え、前記アンテナが、前記追加セグメントに結合された第3の正のアンテナフィード端子と、前記第2の正のアンテナフィード端子と前記第3の正のアンテナフィード端子との間に結合された導電経路と、を更に含む、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記導電経路上に介在する調整可能構成要素を更に備え、前記スロットの一部分が、前記追加セグメントと前記接地構造体との間に延び、前記調整可能構成要素が、前記共振素子アームが近接場電磁結合を介して前記追加セグメントに無線周波数信号を間接的に供給するように構成された第1の状態、及び前記第3の正のアンテナフィード端子が前記信号導体から前記追加セグメントに伝達されるアンテナ電流を伝達する第2の状態を有する、請求項5に記載の電子デバイス。
【請求項7】
前記スイッチが、開放状態及び閉鎖状態を有し、前記スイッチが前記開放状態にある間、前記セグメント及び前記第2の正のアンテナフィード端子が、第1の周波数帯域において無線周波数信号を伝達するように構成されており、前記スイッチが前記閉鎖状態にある間、前記セグメント及び前記第1の正のアンテナフィード端子が、前記第1の周波数帯域及び前記第1の周波数帯域よりも高い第2の周波数帯域において無線周波数信号を伝達するように構成されており、前記スイッチが前記閉鎖状態にある間、前記追加セグメント及び前記第3の正のアンテナフィード端子が、前記第2の周波数帯域よりも高い第3の周波数帯域において無線周波数信号を伝達するように構成された、請求項5に記載の電子デバイス。
【請求項8】
信号導体を有する無線周波数伝送線路から無線周波数信号を受信するように構成されたアンテナであって、前記アンテナが、
接地構造体と、
スロットによって前記接地構造体から分離された共振素子アームであって、前記スロットが、前記接地構造体と導電性構造体との間に延びる部分を含み、前記導電性構造体が、誘電体充填ギャップによって前記共振素子アームから分離された、共振素子アームと、
前記無線周波数伝送線路から受信した前記無線周波数信号を伝達するように構成されたアンテナフィードであって、前記アンテナフィードが、前記接地構造体に結合された接地アンテナフィード端子と、前記アンテナ共振素子アームに結合された第1及び第2の正のアンテナフィード端子と、前記導電性構造体に結合された第3の正のアンテナフィード端子と、を有する、アンテナフィードと、
を備える、アンテナ。
【請求項9】
前記スロットにわたり、前記信号導体上のノードと前記第2の正のアンテナフィード端子との間に結合された導電トレースと、
前記ノードと前記第1の正のアンテナフィード端子との間に結合されたスイッチと、
を更に備える、請求項8に記載のアンテナ。
【請求項10】
前記第1の正のアンテナフィード端子と前記第3の正のアンテナフィード端子との間に結合された導電経路と、
前記導電経路上に介在する調整可能構成要素と、
を更に備え、前記スイッチが、開放状態及び閉鎖状態を有し、前記調整可能構成要素が、第1及び第2の状態を有し、前記スイッチが前記開放状態にある間、前記共振素子アームが第1の周波数帯域における放射を行うように構成されており、前記スイッチが前記閉鎖状態にある間、前記共振素子アームが前記第1の周波数帯域及び前記第1の周波数帯域よりも高い第2の周波数帯域における放射を行うように構成されており、前記スイッチが前記閉鎖状態にあり、かつ前記調整可能構成要素が前記第1の状態にある間、前記導電性構造体が前記第2の周波数帯域よりも高い第3の周波数帯域における放射を行うように構成されており、前記スイッチが前記閉鎖状態にあり、かつ前記調整可能構成要素が前記第2の状態にある間、前記スロットの前記部分が前記第3の周波数帯域における放射を行うように構成された、請求項9に記載のアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
これは、電子デバイスに関し、特に、無線通信回路を有する電子デバイスについてのアンテナに関する。
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年6月26日に出願された米国特許出願第16/019,322号の優先権を主張するものであり、本明細書によりその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスは、無線通信回路を含むことが多い。例えば、セルラー電話、コンピュータ、及び他のデバイスは、無線通信をサポートするためのアンテナ及び無線送受信機を含むことが多い。
【0003】
小型無線デバイスについての消費者の需要を満たすために、製造者は、コンパクトな構造体を使用してアンテナ構成要素などの無線通信回路を実装することを絶えず模索している。同時に、無線デバイスが増大する通信帯域をカバーする要望が存在する。例えば、無線デバイスが異なる周波数で異なる多くのセルラー電話通信帯域をカバーすることが望ましい場合がある。
【0004】
アンテナが相互に、及び無線デバイスにおける他の構成要素と潜在的に干渉することを理由に、アンテナを電子デバイスに組み込むときに注意が払われる必要がある。更に、デバイスのアンテナ及び無線回路が動作周波数の所望の範囲にわたって満足する性能を示すことができることを保証するために注意が払われる必要がある。加えて、特に、無線デバイスによって実行されるソフトウェアアプリケーションがますますデータを必要とするにつれて、満足するデータレート(データスループット)で無線通信を実行することが困難であることが多い。
【0005】
従って、無線電子デバイスについての改善された無線通信回路を提供することが可能であることが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
電子デバイスは、無線回路及び導電性周囲筐体構造体を有する筐体が備えられてもよい。無線回路は、アンテナ、無線周波数送受信機回路、及び無線周波数伝送線路を含むことができる。伝送線路は、接地導体及び信号導体を含んでもよい。アンテナは、スロットによって接地構造体から分離された、導電性周囲筐体構造体の第1のセグメントから形成された共振素子アームを含むことができる。導電性周囲筐体構造体内の誘電体充填ギャップは、第1のセグメントを導電性周囲筐体構造体の第2のセグメントから分離することができる。接地構造体と第2のセグメントとの間には、スロットの垂直部分が延びてもよい。
【0007】
アンテナには、無線周波数伝送線路に対して無線周波数信号を伝達するアンテナフィードを使用して給電することができる。アンテナフィードは、接地構造体に結合された接地アンテナフィード端子と、第1のセグメントに結合された第1及び第2の正のアンテナフィード端子と、第3のセグメントに結合された第3の正のアンテナフィード端子とを含むことができる。導電経路は、第1の正のアンテナフィード端子と第3の正のアンテナフィード端子との間に結合されてもよい。導電経路上には、第1の調整可能構成要素が介在してもよい。第1の調整可能構成要素は、セルラー高帯域において第1のセグメントが第2のセグメントに無線周波数信号を間接的に供給する、第1の状態を有してもよい。調整可能構成要素は、アンテナ電流が第3の正のアンテナフィード端子を介して第2のセグメントに直接供給され、スロットの垂直部分がセルラー高帯域における放射を行う、第2の状態を有してもよい。第2の調整可能構成要素は、アンテナの周波数応答を同調させることができ、信号導体に結合された第1の端子、第1のセグメントに結合された第2の端子、及び接地構造体に結合された第3の端子を有することができる。
【0008】
信号端子上のノードと第2の正のアンテナフィード端子との間には導電トレースが結合されてもよい。導電トレースは、アンテナ用の低インダクタンスフィード結合器として機能することができる。導電トレースは、信号導体と第2の正のアンテナフィード端子との間のインダクタンスを最適化するために、ある幅とその幅の2~10倍の長さを有してもよい。ノードと第1の正のアンテナフィード端子との間の信号導体上には、スイッチを介在させることができる。スイッチと第1の正のアンテナフィード端子との間の信号導体上には、第2の調整可能構成要素の第1の端子を介在させることができる。
【0009】
スイッチが開放状態にあるとき、第2の正のアンテナフィード端子及び第1のセグメントは、セルラー低帯域において無線周波数信号を伝達することができる。スイッチが閉鎖状態にあるとき、第1の正のアンテナフィード端子及び第1のセグメントは、セルラー低帯域、セルラー低中帯域、セルラー中帯域、及び/又はセルラー超高帯域において無線周波数信号を伝達することができる。第3のアンテナフィード端子及びスロットの垂直部分又は第2のセグメントは、スイッチが閉鎖状態にある間に、セルラー高帯域において無線周波数信号を伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る、例示的な電子デバイスの斜視図である。
図2】一実施形態に係る、電子デバイスの例示的な回路の模式図である。
図3】一実施形態に係る、例示的な無線通信回路の概略図である。
図4】実施形態に従った、多入力・多出力(MIMO)通信を実行するための複数のアンテナを含む例示的な無線回路の図である。
図5】一実施形態に係る、例示的な逆Fアンテナの概略図である。
図6】実施形態に従った、例示的なスロットアンテナの概略図である。
図7】一実施形態に係る、電子デバイスの筐体構造体から形成された例示的なアンテナの上面図である。
図8】一実施形態に係る、異なる複数の通信帯域にわたる無線周波数性能を最適化するための、複数の切替可能な信号フィード端子を有する例示的なアンテナの上面図である。
図9A】一実施形態に係る、図8に示すタイプのアンテナ内に形成することができる例示的な調整可能構成要素の回路図である。
図9B】一実施形態に係る、図8に示すタイプのアンテナ内に形成することができる例示的な調整可能構成要素の回路図である。
図9C】一実施形態に係る、図8に示すタイプのアンテナ内に形成することができる例示的な調整可能構成要素の回路図である。
図9D】一実施形態に係る、図8に示すタイプのアンテナ内に形成することができる例示的な調整可能構成要素の回路図である。
図10】一実施形態に係る、図8に示すタイプのアンテナを調整することに伴い得る、例示的なステップのフローチャートである。
図11】一実施形態に係る、図8に示すタイプの例示的なアンテナのアンテナ性能(アンテナ効率)のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1の電子デバイス10などの電子デバイスは、無線通信回路を設けられてもよい。無線通信回路は、複数の無線通信帯域における無線通信をサポートするために使用され得る。
【0012】
この無線通信回路は、1つ以上のアンテナを含むことができる。無線通信回路のアンテナは、ループアンテナ、逆Fアンテナ、ストリップアンテナ、平面逆Fアンテナ、スロットアンテナ、2つ以上のタイプのアンテナ構造体を含むハイブリッドアンテナ、又は他の好適なアンテナを含むことができる。アンテナ用の導電性構造体は、所望であれば、導電性電子デバイス構造体から形成され得る。
【0013】
導電性電子デバイス構造体は、導電性筐体構造体を含むことができる。筐体構造体は、電子デバイスの周囲を周回する導電性周囲構造体などの周囲構造体を含んでもよい。導電性周囲構造体は、ディスプレイなどの平面構造体のベゼルとして機能することができ、デバイス筐体用の側壁構造体として機能することができ、一体の後部平面筐体から上方に延びる部分を(例えば、垂直な平面側壁又は湾曲した側壁を形成するために)有することができ、かつ/又は他の筐体構造体を形成することができる。
【0014】
導電性周囲構造体にギャップを形成して、導電性周囲構造体を周囲セグメントに分割することができる。1つ以上のセグメントが、電子デバイス10用の1つ以上のアンテナを形成するのに使用されてもよい。アンテナは、導電性筐体構造体(例えば、内部及び/又は外部構造体、支持プレート構造体、など)から形成されるアンテナ接地板及び/又はアンテナ共振素子を使用しても形成され得る。
【0015】
電子デバイス10は、ポータブル電子デバイス又は他の好適な電子デバイスであってもよい。例えば、電子デバイス10は、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、腕時計デバイスなどの幾分小さなデバイス、ペンダントデバイス、ヘッドフォンデバイス、イヤピースデバイス、又は他のウェアラブル若しくはミニチュアデバイス、セルラー電話などのハンドヘルドデバイス、メディアプレーヤ、又は他の小型ポータブルデバイスであってもよい。デバイス10はまた、セットトップボックス、デスクトップコンピュータ、それにコンピュータ若しくは他の処理回路が統合されたディスプレイ、統合されたコンピュータを有しないディスプレイ、キオスク、ビル、若しくは車両に組み込まれた無線アクセスポイント、無線基地局、電子デバイス、又は他の好適な電子機器であってもよい。
【0016】
デバイス10は、筐体12などの筐体を含むことができる。ケースと呼ばれることもある筐体12は、プラスチック、ガラス、セラミック、繊維複合材、金属(例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、など)、他の好適な材料、又はこれらの材料の組み合わせから形成され得る。いくつかの状況では、筐体12の一部は、誘電体又は他の低導電性材料(例えば、ガラス、セラミック、プラスチック、サファイア、など)から形成され得る。他の状況では筐体12、又は筐体12を構成する構造体の少なくとも一部は、金属素子から形成され得る。
【0017】
所望であれば、デバイス10はディスプレイ14などのディスプレイを有することができる。ディスプレイ14はデバイス10の前面に搭載され得る。ディスプレイ14は、静電容量式タッチ電極を組み込んだタッチスクリーンであってもよく、又はタッチ非感知であってもよい。筐体12の後面(すなわち、デバイス10の前面と反対のデバイス10の面)は、筐体後部壁(例えば、平面筐体壁)を有してもよい。後筐体壁は、後筐体壁を完全に通り、よって、筐体12の筐体壁の部分(後筐体壁の部分及び/又は側壁の部分)を相互に分離するスロットを有してもよい。後部筐体壁は、導電性部分及び/又は誘電部分を含むことができる。所望であれば、後部筐体壁は、薄い層で覆われた平面金属層、又はガラス、プラスチック、サファイア若しくはセラミックなどの誘電体のコーティングを含むことができる。筐体12(例えば、後部筐体壁、側壁など)は、筐体12を完全に貫通しない浅い溝も有することができる。スロット及び溝は、プラスチック又は他の誘電体で充填され得る。所望であれば、(例えば、全体を通るスロットによって)互いに離れている筐体12の一部分は、内部導電性構造体(例えば、スロットを橋渡しする金属薄板又は他の金属部材)によって接合されてもよい。
【0018】
ディスプレイ14は、発光ダイオード(LED)、有機LED(OLED)、プラズマセル、エレクトロウェッティング画素、電気泳動画素、液晶ディスプレイ(LCD)構成要素、又は他の好適な画素構造体から形成された画素を含むことができる。透明なガラス又はプラスチックの層などのディスプレイカバー層は、ディスプレイ14の表面を覆ってもよく、又はディスプレイ14の最外層は、カラーフィルタ層、薄膜トランジスタ層、又は他のディスプレイ層から形成されてもよい。所望であれば、ボタンが、カバー層の開口部を貫通することができる。カバー層は、スピーカポート8用の開口部などの他の開口部も有することができる。
【0019】
筐体12は、構造体16などの周囲筐体構造体を含んでもよい。構造体16は、デバイス10及びディスプレイ14の首位を囲むことができる。デバイス10及びディスプレイ14が4つの縁部を有する矩形形状を有する構成では、構造体16は、4つの対応する縁部(一例として)を有する長方形リング形状を有する周囲筐体構造体を使用して実装され得る。周囲構造体16又は周囲構造体16の一部は、ディスプレイ14のベゼル(例えば、ディスプレイ14の4つの側部全てを囲み、及び/又はディスプレイ14をデバイス10に保持するのに役立つ装飾用トリム)として機能することができる。所望であれば、周囲構造体16は、(例えば、垂直側壁、湾曲側壁、などを有する金属バンドを形成することにより)デバイス10の側壁構造体も形成することができる。
【0020】
周囲筐体構造体16は、金属などの導電材料から形成されてもよく、従って、導電性周囲筐体構造体、導電性筐体構造体、周囲金属構造体、導電性周囲筐体側壁構造体、導電性周囲筐体側壁、導電性周囲側壁、又は導電性周囲筐体部材と称される場合があってもよい(例として)。導電性周囲筐体構造体16は、ステンレス鋼、アルミニウム、又は他の好適な材料などの金属から形成されてもよい。1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又は6つよりも多い別個の構造体が、導電性周囲筐体構造体16を形成する際に使用されてもよい。
【0021】
導電性周囲筐体構造体16が均一な断面を有する必要はない。例えば、導電性周囲筐体構造体16の最上部は、所望ならば、ディスプレイ14を適切に保持することを支援する内側に突出するリップを有してもよい。導電性周囲筐体構造体16の底部はまた、拡大したリップを有してもよい(例えば、デバイス10の後面の位置に)。導電性周囲筐体構造体16は、実質的に直線状の垂直な側壁を有してもよく、湾曲した側壁を有してもよく、又は他の好適な形状を有してもよい。いくつかの構成では(例えば、導電性周囲筐体構造体16がディスプレイ14についてのベゼルとしての役割を果たすとき)、導電性周囲筐体構造体16は、筐体12のリップを周回してもよい(すなわち、導電性周囲筐体構造体16は、ディスプレイ14を囲む筐体12の縁のみを覆うことができ、筐体12の側壁の残りを覆わない)。
【0022】
所望であれば、筐体12は導電性後面又は後壁を有してもよい。例えば、筐体12は、ステンレス鋼又はアルミニウムなどの金属から形成されてもよい。筐体12の後面は、ディスプレイ14に対して平行な平面内にあり得る。筐体12の後面が金属から形成されているデバイス10の構成では、導電性周囲筐体構造体16の部分を、筐体12の後面を形成する筐体構造体の一体的部分として形成することが望ましい可能性がある。例えば、デバイス10の導電性筐体後部壁は、平面金属構造体から形成されてもよく、筐体12の側面上の導電性周囲筐体構造体16の部分は、平面金属構造体の平坦な又は湾曲した垂直に延在する完全な金属部分として形成されてもよい。このような筐体構造体は、所望であれば、金属のブロックから機械加工されてもよく、及び/又は一緒に組み立てられて筐体12を形成する複数の金属片を含んでもよい。筐体12の導電性後壁は、1つ以上の、2つ以上の、又は3つ以上の部分を有してもよい。筐体12の導電性周囲筐体構造体16及び/又は導電性後壁は、デバイス10の1つ以上の外部面(例えば、デバイス10のユーザに可視的な面)を形成してもよく、並びに/或いはデバイス10の外部面を形成しない内部構造体(例えば、ガラス、セラミック、プラスチックなどの誘電材料を含むことができる薄型コスメティック層、保護被膜、及び/若しくは他の被膜層などの層で覆われた導電性構造体、又はデバイス10の外部面を形成し、及び/若しくは筐体12の構造体16及び/若しくは導電性後壁をユーザの視界から隠す役割を果たす他の構造体など、デバイス10のユーザに可視的でない導電性筐体構造体)を使用して実装されてもよい。
【0023】
ディスプレイ14は、デバイス10のユーザのために画像を表示するアクティブエリアAAを形成する画素のアレイを有することができる。非アクティブエリアIAなどの非アクティブ境界領域は、アクティブエリアAAの1つ以上の周縁部に沿って延びてもよい。
【0024】
ディスプレイ14は、タッチセンサ用の容量性電極のアレイ、画素をアドレス指定するための導電性ライン、駆動回路、などの導電性構造体を含むことができる。筐体12は、筐体12の壁(すなわち、部材16の反対側の側部の間に溶接されるか、又は他の方法で接続された1つ以上の金属部品から形成された実質的に矩形のシート)に広がる、金属フレーム部材及び平面導電性筐体部材(バックプレートと呼ばれることもある)などの内部導電性構造体を含むことができる。バックプレートは、デバイス10の外部後面を形成してもよく、又はガラス、セラミック、プラスチック、若しくはガラスなどの誘電材料を含み得る薄い装飾層、保護コーティング、及び/若しくは他のコーティングなどの層、又はデバイス10の外面を形成し、バックプレートをユーザの視界から隠すように機能する他の構造体によって覆われてもよい。デバイス10は、プリント回路基板、プリント回路基板上に搭載された構成要素、及び他の内部導電性構造体などの導電性構造体も含むことができる。デバイス10内で接地板を形成する際に使用され得るこれらの導電性構造体は、例えば、ディスプレイ14のアクティブエリアAAの下に延びることができる。
【0025】
領域22及び20では、開口がデバイス10の導電性構造体内で形成されてもよい(例えば、導電性周囲筐体構造体16と、筐体12の後壁の導電部分、プリント回路基板上の導電トレース、ディスプレイ14における導電性構成要素などの反対の導電接地構造体との間で)。ギャップと呼ばれることがあり得るこれらの開口部は、空気、プラスチック、及び/又は他の誘電体で満たされてもよく、所望であれば、デバイス10内の1つ以上のアンテナのスロットアンテナ共振素子の形成に使用されてもよい。
【0026】
デバイス10内の導電性筐体構造体及び他の導電性構造体は、デバイス10内のアンテナのための接地板として機能することができる。領域20及び22内の開口部は、オープン又はクローズドスロットアンテナ内のスロットとして機能することができ、ループアンテナ内の材料の導電経路によって囲まれた中央誘電領域として機能することができ、ストリップアンテナ共振素子又は逆Fアンテナ共振素子などのアンテナ共振素子を接地板から分離するスペースとして機能することができ、寄生アンテナ共振素子の性能に寄与することができ、又は領域20及び22内に形成されたアンテナ構造体の一部として他の方法で機能することができる。所望であれば、ディスプレイ14のアクティブエリアAA及び/又はデバイス10内の他の金属構造体の下にある接地板は、デバイス10の端部の一部に延びる部分を有してもよく(例えば、接地が領域20及び22内の誘電体充填開口部に向かって延びてもよい)、したがって領域20及び22内のスロットが狭められる。
【0027】
一般に、デバイス10は、任意の好適な数のアンテナ(例えば、1つ以上、2つ以上、3つ以上、4つ以上、など)を含むことができる。デバイス10内のアンテナは、細長いデバイス筐体の反対側にある第1及び第2の端部に(例えば、図1のデバイス10の端部20及び22に)、デバイス筐体の1つ以上の縁部に沿って、デバイス筐体の中心に、他の好適な場所に、又はこれらの場所の1つ以上に、配置され得る。図1の構成は、単なる例示である。
【0028】
導電性周囲筐体構造体16の部分は、周囲ギャップ構造体が備えられてもよい。例えば、導電性周囲筐体構造体16は、図1に示されるように、ギャップ18などの1つ以上のギャップが備えられてもよい。導電性周囲筐体構造体16におけるギャップは、ポリマー、セラミック、ガラス、空気、他の誘電材料、又はそれらの材料の組み合わせなどの誘電体で充填されてもよい。ギャップ18は、導電性周囲筐体構造体16を1つ以上の導電性周囲セグメントに分割してもよい。例えば、導電性周囲筐体構造体16において2つの導電性周囲セグメント(ギャップ18の2つを有する構成において)、3つの導電性周囲セグメント(例えば、ギャップ18の3つを有する構成において)、4つの導電性周囲セグメント(例えば、ギャップ18の4つを有する構成において)、6つの導電性周囲セグメント(例えば、ギャップ18の6つ有する構成において)などが存在してもよい。このようにして、形成された導電性周囲筐体構造体16のセグメントは、デバイス10におけるアンテナの部分を形成することができる。
【0029】
所望であれば、筐体12を部分的に又は完全に貫通して延びる溝などの筐体12内の開口部は、筐体12の後壁の幅を横切って延び、筐体12の後壁を貫通して、後壁を異なる部分に分割することができる。それらの溝はまた、導電性周囲筐体構造体16に延在してもよく、デバイス10においてアンテナスロット、ギャップ18、及び他の構造体を形成してもよい。ポリマー又は他の誘電体が、これらの溝及び他の筐体開口部を充填することができる。いくつかの状況では、アンテナスロット及び他の構造体を形成する筐体開口部は、空気などの誘電体を充填されてもよい。
【0030】
典型的なシナリオでは、デバイス10は1つ以上の上部アンテナ及び1つ以上の下部アンテナを有することができる(例として)。上部アンテナは、例えば、領域22においてデバイス10の上端部に形成することができる。下部アンテナは、例えば、領域20においてデバイス10の下端部に形成することができる。これらのアンテナは、同一の通信帯域、重なり合う通信帯域、又は別個の通信帯域をカバーするために別々に使用され得る。これらのアンテナは、アンテナダイバーシティ方式又は多重入力多重出力(MIMO)アンテナ方式を実施するために使用され得る。
【0031】
デバイス10のアンテナは、対象とする任意の通信帯域をサポートするのに使用され得る。例えば、デバイス10は、ローカルエリアネットワーク通信、音声及びデータ用セルラー電話通信、全地球測位システム(global positioning system)(GPS)通信又は他の衛星航法システム通信、Bluetooth(登録商標)通信、近距離通信などをサポートするためのアンテナ構造体を含むことができる。
【0032】
図1のデバイス10内で使用され得る例示的構成要素を示す概略図を、図2に示す。図2に示すように、デバイス10は、記憶及び処理回路28などの制御回路を含むことができる。記憶及び処理回路28は、ハードディスクドライブ記憶装置、不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリ、又はソリッドステートドライブを形成するように構成された他の電気的にプログラム可能な読み出し専用メモリ)、揮発性メモリ(例えば、静的又は動的ランダムアクセスメモリ)などの、記憶装置を含み得る。記憶及び処理回路28内の処理回路は、デバイス10の動作を制御するために使用され得る。この処理回路は、1つ以上のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、特定用途向け集積回路などに基づくものであってもよい。
【0033】
記憶及び処理回路28(本明細書で制御回路28と呼ばれる場合がある)は、インターネットブラウジングアプリケーション、ボイスオーバーインターネットプロトコル(voice-over-internet-protocol)(VOIP)通話アプリケーション、電子メールアプリケーション、メディア再生アプリケーション、オペレーティングシステム機能などのソフトウェアを、デバイス10上で実行するために使用される場合がある。外部機器との相互作用をサポートするために、通信プロトコルを実施する際に制御回路28が使用される場合がある。制御回路28を用いて実施できる通信プロトコルとしては、インターネットプロトコル、無線ローカルエリアネットワークプロトコル(例えば、IEEE802.11プロトコル(WiFi(登録商標)と呼ばれることもある))、Bluetooth(登録商標)プロトコルなどの他の近距離無線通信リンク用プロトコル、セルラー電話プロトコル、マルチインプットマルチアウトプット(multiple-input and multiple-output)(MIMO)プロトコル、アンテナダイバーシティプロトコル、近距離通信(near-field communications)(NFC)プロトコルなどが挙げられる。
【0034】
入出力回路30は、入出力デバイス32を含むことができる。入出力デバイス32を使用して、デバイス10にデータを供給することを可能にし、デバイス10から外部デバイスにデータを提供することを可能にすることができる。入出力デバイス32は、ユーザインターフェースデバイス、データポートデバイス、及び他の入出力構成要素を含み得る。例えば、入出力デバイス32は、タッチスクリーン、タッチセンサ機能なしのディスプレイ、ボタン、ジョイスティック、スクロールホイール、タッチパッド、キーパッド、キーボード、マイクロフォン、カメラ、ボタン、スピーカ、ステータスインジケータ、光源、オーディオジャック及び他のオーディオポート構成要素、デジタルデータポートデバイス、光センサ、位置及び方位センサ(例えば、加速度計、ジャイロスコープ、及びコンパスなどのセンサ)、キャパシタンスセンサ、近接センサ(例えば、容量性近接センサ、光ベース近接センサ、など)、指紋センサなどを含むことができる。
【0035】
入出力回路30は、外部機器と無線で通信するための無線通信回路34を含むことができる。無線通信回路34は、1つ以上の集積回路から形成される無線周波数(RF)送受信回路、電力増幅器回路、低雑音入力増幅器、受動RF構成要素、1つ以上のアンテナ、送信ライン、及びRF無線信号を取り扱うための他の回路を含むことができる。無線信号は、光を使用して(例えば、赤外線通信を使用して)も送信され得る。
【0036】
無線通信回路34は、様々な無線周波数通信帯域を扱うための無線周波数送受信機回路26を含むことができる。例えば、回路34は、送受信機回路36、38、及び24を含むことができる。送受信機回路36は、WiFi(登録商標)(IEEE802.11)通信又は他の無線ローカルエリアネットワーク(wireless local area network)(WLAN)帯域の通信のための2.4GHz及び5GHzの帯域に対応することができ、2.4GHzのBluetooth(登録商標)通信帯域又は他の無線パーソナルエリアネットワーク(wireless personal area network)(WPAN)帯域に対応することができる。回路34は(例として)、600~960MHzのセルラー低帯域(low band)(LB)、1410~1510MHzのセルラー低中帯域(low-midband)(LMB)、1710~2170MHzのセルラー中帯域(midband)(MB)、2300~2700MHzのセルラー高帯域(high band)(HB)、3400~3600MHzのセルラー超高帯域(ultra-high band)(UHB)、又は600MHz~4000MHz若しくは他の好適な周波数の他の通信帯域、などの周波数範囲で無線通信を取り扱うための、セルラー電話送受信機回路38を使用することができる。
【0037】
回路38は、音声データ及び非音声データを処理することができる。無線通信回路34は、所望であれば、他の短距離及び長距離無線リンク用の回路を含み得る。例えば、無線通信回路34は、60GHz送受信回路(例えば、ミリ波送受信機回路)、テレビ及びラジオ信号を受信するための回路、ページングシステム送受信機、近距離通信(NFC)回路などを含むことができる。無線通信回路34は、1575MHzでGPS信号を受信するための、又は他の衛星測位データを取り扱うためのGPS受信機回路24などの、全地球測位システム(GPS)受信機機器を含むことができる。Wi-Fi(登録商標)及びBluetooth(登録商標)リンク並びに他の短距離無線リンクでは、無線信号は典型的には、数十又は数百フィートにわたってデータを伝達するために使用される。セルラー電話リンク及び他の遠距離リンクでは、無線信号は、典型的には、数千フィート又は数マイルにわたってデータを伝達するために使用される。
【0038】
無線通信回路34は、アンテナ40を含むことができる。アンテナ40は、任意の好適なアンテナタイプを使用して形成され得る。例えば、アンテナ40としては、ループアンテナ構造体、パッチアンテナ構造体、逆Fアンテナ構造体、スロットアンテナ構造体、平板逆Fアンテナ構造体、ヘリカルアンテナ構造体、ダイポールアンテナ構造体、モノポールアンテナ構造体、これらの設計のハイブリッドなどから形成された共振素子を有するアンテナが挙げられ得る。異なる帯域及び帯域の組み合わせに対して、異なるタイプのアンテナが使用されてもよい。例えば、1つのタイプのアンテナをローカル無線リンクアンテナの形成に使用しもよく、別のタイプのアンテナをリモート無線リンクアンテナの形成に使用してもよい。
【0039】
図3に示すように、無線通信回路34内の送受信機回路26は、経路50などの経路を使用して、所与のアンテナ40などのアンテナ構造体に結合することができる。無線通信回路34は、制御回路28に結合されてもよい。制御回路28は、入出力デバイス32に結合されてもよい。入出力デバイス32はデバイス10からの出力を供給することができ、及びデバイス10の外部に存在するソースからの入力を受信することができる。
【0040】
対象とする通信周波数をカバーする能力をアンテナ40などのアンテナ構造体に提供するために、アンテナ40は、フィルタ回路(例えば、1つ以上のパッシブフィルタ及び/又は1つ以上の同調可能フィルタ回路)などの回路を備えてもよい。キャパシタ、インダクタ、及び抵抗器などの個別構成要素が、このフィルタ回路内に組み込まれてもよい。容量性構造体、誘導性構造体、及び抵抗性構造体も、パターニングされた金属構造体(例えば、アンテナの一部)から形成されてもよい。所望であれば、アンテナ40は、同調可能構成要素42などの調整可能な回路を備えて、対象とする通信帯域に対してアンテナを同調させることができる。同調可能構成要素42は、同調可能フィルタ又は同調可能インピーダンス整合ネットワークの一部であってもよく、アンテナ共振素子の一部であってもよく、アンテナ共振素子とアンテナ接地の間のギャップにまたがるものなどであってもよい。
【0041】
同調可能構成要素42は、同調可能インダクタ、同調可能キャパシタ、又は他の同調可能構成要素を含んでもよい。これらのような同調可能構成要素は、固定構成要素のスイッチ及びネットワーク、関連付けられた分布キャパシタンス及びインダクタンスを生じさせる分布金属構造体、可変キャパンシタンス及びインダクタンス値を生じさせるための可変ソリッドステートデバイス、同調フィルタ、又は他の好適な同調構造体に基づいてもよい。デバイス10の動作中、制御回路28は、制御信号を、インダクタンス値、キャパシタンス値、又は、同調可能構成要素42に関連付けられた他のパラメータを調整する経路56などの1つ以上の経路上で発し、それによって、アンテナ40を所望の通信帯域をカバーするように同調させることができる。同調可能構成要素42などのアンテナ40の周波数応答を調整するために使用されるアンテナ同調構成要素は、本明細書で時には、アンテナ同調構成要素、同調構成要素、アンテナ同調素子、同調素子、調整可能な同調構成要素、調整可能な同調素子、又は調整可能構成要素と呼ばれることがある。
【0042】
経路50は、1つ以上の伝送線路を含んでもよい。一例として、図3の経路50は、ライン52などの正の信号導体及びライン54などの接地信号導体を有する伝送線路であってもよい。経路50は、本明細書で時には伝送線路50又は無線周波数伝送線路50と呼ばれる場合がある。ライン52は、本明細書で時には、伝送線路50の、正の信号導体52、信号導体52、信号ライン導体52、信号ライン52、正の信号ライン52、信号経路52、又は正の信号経路52と呼ばれることがある。ライン54は、本明細書で時には、伝送線路50の、接地信号導体54、接地導体54、接地ライン導体54、接地ライン54、接地信号線54、接地経路54、又は接地信号経路54と呼ばれることがある。
【0043】
伝送線路50としては、例えば、同軸ケーブル伝送線路(例えば、接地導体54は、その長さに沿って信号導体52を取り囲む接地された導電性ブレードとして実装されてもよい)、ストリップライン伝送線路、マイクロストリップ伝送線路、金属化ビアによって実現される同軸プローブ、エッジ結合されたマイクロストリップ伝送線路、エッジ結合されたストリップライン伝送線路、導波路構造体(例えば、共平面導波路又は接地共平面導波路)、これらの種類の伝送線路及び/又は他の伝送線路構造体の組み合わせなどが挙げられる。
【0044】
伝送線路50などのデバイス10内の伝送線路は、リジッドプリント回路基板及び/又はフレキシブルプリント回路基板に一体化されてもよい。1つの好適な構成では、伝送線路50などの伝送線路はまた、多層積層構造体(例えば、介在する接着剤なしに一体に積層された銅などの導電材料及び樹脂などの誘電材料の層)内に組み込まれた伝送線路導体(例えば、信号導体52及び接地導体54)を含んでもよい。多層積層構造体は、所望であれば、複数の次元(例えば、二次元又は三次元)に折り畳まれ、又は曲げられてもよく、折り曲げ後に曲げられた又は折り畳まれた形状を維持してもよい(例えば、多層積層構造体は、他のデバイス構成要素を回り込む特定の三次元形状に折り畳まれてもよく、折り畳み後に補強材又は他の構造体により保持されることなくその形状を保持するのに十分な剛性であってもよい)。積層構造体の複数の層の全ては、接着剤なしで(例えば、接着剤で共に複数の層を積層する複数のプレス工程を実行することとは反対に)共に1回で積層されてもよい(例えば、単一のプレス工程で)。
【0045】
整合ネットワーク(例えば、同調可能構成要素42を使用して形成された調整可能な整合ネットワーク)は、アンテナ40のインピーダンスを伝送線路50のインピーダンスに整合させるのに使用されるインダクタ、抵抗器、及びキャパシタなどの構成要素を含むことができる。整合ネットワーク構成要素は、個別構成要素(例えば、表面実装技術構成要素)として設けられてもよく、又は、筐体構造体、プリント回路基板構造体、プラスチック支持体上のトレースなどから形成されてもよい。これらなどの構成要素は、アンテナ(複数可)40内のフィルタ回路を形成するのにも使用されてもよく、同調可能及び/又は固定構成要素であってもよい。
【0046】
伝送線路50は、アンテナ40に関連付けられたアンテナフィード構造体に結合されてもよい。一例として、アンテナ40は、端子46などの正のアンテナフィード端子及び接地アンテナフィード端子48などの接地アンテナフィード端子を備えるアンテナフィード44を有する、逆Fアンテナ、スロットアンテナ、ハイブリッド逆Fスロットアンテナ、又は他のアンテナを形成することができる。信号導体52は、正のアンテナフィード端子46に結合されてもよく、接地導体54は、接地アンテナフィード端子48に結合されてもよい。所望であれば、他のタイプのアンテナフィード構成が使用されてもよい。例えば、アンテナ40は、それぞれが対応する伝送線路を介して送受信機回路26のそれぞれのポートに結合された複数のフィードを使用して給電されてもよい。所望であれば、信号導体52は、アンテナ40上の複数の位置に結合することができる(例えば、アンテナ40は、同じ伝送線路50の信号導体52に結合された複数の正のアンテナフィード端子を含むことができる)。所望であれば、(例えば、任意の所与の時間に1つ以上の正のアンテナフィード端子を選択的に作動させるために)スイッチを送受信機回路26と正のアンテナフィード端子との間の信号導体上に介在させることができる。図3の例示的なフィード構成は、単なる例示である。
【0047】
制御回路28は、近接センサからの情報、受信した信号強度情報などの無線性能メトリックデータ、方位センサからのデバイス方位情報、加速度計又は他の動き検出センサからのデバイス動きデータ、デバイス10の使用シナリオに関する情報、オーディオがスピーカポート8(図1)を介して再生されているか否かに関する情報、1つ以上のアンテナインピーダンスセンサからの情報、通信に使用する所望の周波数帯域に関する情報、及び/又は、アンテナ40が、近傍の外部物体の存在によって影響を受けている、若しくは他の理由で同調の必要がある場合を判定する際の他の情報、を使用することができる。それに応じて、制御回路28は、アンテナ40が所望のように動作することを確実とするために、同調可能構成要素42などの調整可能なインダクタ、調整可能なキャパシタ、スイッチ、又は他の同調可能構成要素を調整してもよい。同調可能構成要素42に対する調整はまた、(例えば、アンテナ40が同調なしにカバーするよりも広い周波数範囲にわたって広がる所望の通信帯域をカバーするために)アンテナ40の周波数カバレッジを拡張するように行われてもよい。
【0048】
アンテナ40は、共振素子構造体(本明細書で、放射素子構造体と呼ばれる場合がある)、アンテナ接地板構造体(本明細書で、接地板構造体、接地構造体、又はアンテナ接地構造体と呼ばれる場合がある)、フィード44などのアンテナフィード、及び他の構成要素(例えば、同調可能構成要素42)を含んでもよい。アンテナ40は、任意の好適なタイプのアンテナを形成するように構成されてもよい。例として本明細書で説明される場合がある1つの好適な構成で、アンテナ40は、逆F及びスロットアンテナ共振素子の両方を含むハイブリッド逆Fスロットアンテナを実装するために使用される。
【0049】
所望ならば、複数のアンテナ40は、デバイス10において形成されてもよい。各アンテナ40は、伝送線路50などのそれぞれの伝送線路を介して、送受信機回路26などの送受信機回路に結合することができる。所望ならば、2つ以上のアンテナ40は、同一の伝送線路50を共有してもよい。図4は、デバイス10が無線通信を実行するための複数のアンテナ40をどのように含むことができるかを示す図である。
【0050】
図4に示されるように、デバイス10は、第1のアンテナ40-1、第2のアンテナ40-2、第3のアンテナ40-3、及び第4のアンテナ40-4などの2つ以上のアンテナ40を含んでもよい。アンテナ40は、デバイス10の筐体12内の異なる位置において設けられてもよい。例えば、アンテナ40-1及び40-2は、筐体12の第1の(上)端部における領域22内で形成されてもよく、アンテナ40-3及び40-4は、筐体12の反対の第2の(下)端部における領域20内で形成される。図3の例では、筐体12は、矩形の周囲(例えば、4つの角を有する周囲)を有し、各々のアンテナ40は、筐体12のそれぞれの角において形成される。この例は例示にすぎず、概して、アンテナ40は、筐体12内の任意の所望の位置に形成されてもよい。
【0051】
無線通信回路34は、制御回路(例えば、図2の記憶及び処理回路28)内のデジタルデータ回路とインターフェースするためのポート60などの入出力ポートを含んでもよい。無線通信回路34は、ベースバンド(baseband)(BB)プロセッサ62などのベースバンド回路、及び送受信機回路26などの無線周波数送受信機回路を含むことができる。
【0052】
ポート60は、送受信機回路26によって送信されることになる、制御回路からのデジタルデータを受信することができる。送受信機回路26及びベースバンドプロセッサ62によって受信された入力データは、ポート60を介して制御回路に供給されてもよい。
【0053】
送受信機回路26は、1つ以上の送信機及び1つ以上の受信機を含むことができる。例えば、送受信機回路26は、第1の送受信機38-1、第2の送受信機38-2、第3の送受信機38-3、及び第4の送受信機38-4(例えば、セルラー電話通信帯域におけるボイス及び非ボイスセルラー電話通信を処理するための送受信機回路)などの複数のリモート無線送受信機38を含んでもよい。各々の送受信機38は、対応する伝送線路50(例えば、第1の伝送線路50-1、第2の伝送線路50-2、第3の伝送線路50-3、及び第4の伝送線路50-4)を介してそれぞれのアンテナ40に結合されてもよい。例えば、第1の送受信機38-1は、伝送線路50-1を介してアンテナ40-1に結合されてもよく、第2の送受信機38-2は、伝送線路50-2を介してアンテナ40-2に結合されてもよく、第3の送受信機38-3は、伝送線路50-3を介してアンテナ40-3に結合されてもよく、第4の送受信機38-4は、伝送線路50-4を介してアンテナ40-4に結合されてもよい。
【0054】
無線周波数フロントエンド回路58は、各々の伝送線路50上に介在してもよい(例えば、第1のフロントエンド回路58-1は、伝送線路50-1上に介在してもよく、第2のフロントエンド回路58-2は、伝送線路50-2上に介在してもよく、第3のフロントエンド回路58-3は、伝送線路50-3上に介在してもよい、など)。フロントエンド回路58は各々、スイッチング回路、フィルタ回路(例えば、デュープレクサ及び/若しくはダイプレクサ回路、ノッチフィルタ回路、ロウパスフィルタ回路、ハイパスフィルタ回路、バンドパスフィルタ回路など)、伝送線路50のインピーダンスを対応するアンテナ40に整合させるためのインピーダンス整合回路、図3の同調可能構成要素42などの能動的及び/若しくは受動的構成要素のネットワーク、アンテナインピーダンス測定値を収集するための無線周波数カプラ回路、増幅器回路(例えば、低ノイズ増幅器及び/若しくは電力増幅器)、又は任意の他の所望の無線周波数回路を含んでもよい。所望ならば、フロントエンド回路58は、アンテナ40-1、40-2、40-3、及び40-4を異なるそれぞれの送受信機38-1、38-2、38-3、及び38-4に選択的に結合するように(例えば、各々のアンテナがフロントエンド回路58内のスイッチング回路の状態に基づいて異なる送受信機38に対する通信を時間の経過によって処理することができるように)構成されたスイッチング回路を含んでもよい。
【0055】
所望ならば、フロントエンド回路58は、対応するアンテナ40が無線周波数信号を同時に送信及び受信することを可能にする(例えば、周波数領域複信(frequency domain duplexing)(FDD)方式を使用して)フィルタリング回路(例えば、デュープレクサ及び/又はダイプレクサ)を含んでもよい。アンテナ40-1、40-2、40-3、及び40-4は、無線周波数信号をそれぞれのタイムスロットで送信及び/若しくは受信してもよく、又はアンテナ40-1、40-2、40-3、及び40-4のうちの2つ以上は、無線周波数信号を同時に送信及び/若しくは受信してもよい。概して、送受信機38-1、38-2、38-3、及び38-4のいずれかの所望の組み合わせは、所与の時間に対応するアンテナ40を使用して無線周波数信号を送信及び/又は受信してもよい。1つの好適な構成では、送受信機38-1、38-2、38-3、及び38-4の各々は、無線周波数信号を受信してもよく、送受信機38-1、38-2、38-3、及び38-4のうちの所与の1つは、所与の時間に無線周波数信号を送信する。
【0056】
1つ以上の電力増幅器などの増幅器回路を、アンテナ40を介して送信する前に送受信機38によって出力された無線周波数信号を増幅するために、伝送線路50上に介在させる、及び/又は送受信機回路26内に形成することができる。1つ以上の低ノイズ増幅器などの増幅器回路を、受信した信号を送受信機38に伝達する前にアンテナ40によって受信した無線周波数信号を増幅するために、伝送線路50上に介在させる、及び/又は送受信機回路26内に形成することができる。
【0057】
図4の例では、別個のフロントエンド回路58が、各々の伝送線路50上に形成される。これは例示にすぎない。所望ならば、2つ以上の伝送線路50は、同一のフロントエンド回路58を共有してもよい(例えば、フロントエンド回路58は、同一の基板、モジュール、又は集積回路上に形成されてもよい)。
【0058】
送受信機38の各々は、例えば、経路63を介してベースバンドプロセッサ62から受信されたベースバンド信号を対応する無線周波数信号に変換するための回路を含んでもよい。例えば、送受信機38は各々、アンテナ40を通じた送信の前にベースバンド信号を無線周波数にアップコンバートするためのミキサ回路を含んでもよい。送受信機38は、デジタル領域とアナログ領域との間で信号を変換するためのデジタル-アナログ変換器(DAC)及び/又はアナログ-デジタル変換器(ADC)回路を含んでもよい。送受信機38の各々は、伝送線路50を介してアンテナ40から受信された無線周波数信号を対応するベースバンド信号に変換するための回路を含んでもよい。例えば、送受信機38は各々、経路63を介してベースバンド信号をベースバンドプロセッサ62に伝達する前に、無線周波数信号をベースバンド周波数にダウンコンバートするためのミキサ回路を含んでもよい。
【0059】
各送受信機38は、同じ基板、集積回路、若しくはモジュール上に形成されてもよい(例えば、送受信機回路26は、送受信機38の各々が形成される基板又は集積回路を有する送受信機モジュールであってもよい)、又は2つ以上の送受信機38は、別個の基板、集積回路、若しくはモジュール上に形成されてもよい。ベースバンドプロセッサ62及びフロントエンド回路58は、送受信機38として同一の基板、集積回路、若しくはモジュール上に形成されてもよい、又は送受信機38とは別個の基板、集積回路、若しくはモジュール上に形成されてもよい。別の好適な構成では、送受信機回路26は、4つのポートを有する単一の送受信機38を含むことができ、所望であれば、ポートのそれぞれは、それぞれの伝送線路50に結合されることができる。各々の送受信機38は、無線周波数信号を送信及び受信することの両方のための送信機及び受信機回路を含んでもよい。別の好適な構成では、1つ以上の送受信機38は、信号送信又は信号受信の一方を実行してもよい(例えば、回路38のうちの1つ以上は、専用送信機又は専用受信機であってもよい)。
【0060】
図4の例では、アンテナ40-1及び40-4は、アンテナ40-2及び40-3よりも大きな空間を占有してもよい(例えば、デバイス10内のより大きな領域又は体積)。これは、アンテナ40-1及び40-4がアンテナ40-2及び40-3よりも長い波長(すなわち、より低い周波数)における通信をサポートすることを可能にすることができる。これは例示にすぎず、所望ならば、アンテナ40-1、40-2、40-3、及び40-4の各々は、同一の体積を占有してもよく、又は異なる体積を占有してもよい。アンテナ40-1、40-2、40-3、及び40-4は、少なくとも1つの共通周波数帯域において無線周波数信号を伝達するように構成されてもよい。所望ならば、アンテナ40-1、40-2、40-3、及び40-4のうちの1つ以上は、デバイス10における他のアンテナのうちの1つ以上によってカバーされない少なくとも1つの周波数帯域において無線周波数信号を処理してもよい。
【0061】
所望ならば、各々のアンテナ40及び各々の送受信機38は、複数の周波数帯域(例えば、複数のセルラー電話通信帯域)において無線周波数通信を処理してもよい。例えば、送受信機38-1、アンテナ40-1、送受信機38-4、及びアンテナ40-4は、600~960MHzのセルラー低帯域などの第1の周波数帯域、1410~1510MHzのセルラー低中帯域などの第2の周波数帯域、1700~2200MHzのセルラー中帯域などの第3の周波数帯域、2300~2700MHzのセルラー高帯域などの第4の周波数帯域、及び/又は3400~3600MHzのセルラー超高帯域などの第5の周波数帯域において無線周波数信号を処理してもよい。送受信機38-2、アンテナ40-2、送受信機38-3、及びアンテナ40-3は、(例えば、アンテナ40-3及び40-2の体積が低帯域における周波数をサポートするのに十分大きいシナリオにおいて)これらの帯域の一部又は全てにおいて無線周波数信号を処理することができる。
【0062】
図4の例は、単なる例示にすぎない。概して、アンテナ40は、いずれかの所望の周波数帯域をカバーすることができる。送受信機回路26は、1つ以上のアンテナ40に結合された図2の1つ以上の回路36又は24などの他の送受信回路を含むことができる。筐体12は、いずれかの所望の形状を有してもよい。アンテナ40は、筐体12内の任意の所望の位置に形成することができる。筐体12の異なる角にアンテナ40-1~40-4の各々を形成することにより、例えば、無線通信回路34に関する全体的なデータスループットを最適化するために、アンテナ40によって伝達される無線データのマルチパス伝播を最大化することができる。
【0063】
単一のアンテナ40を使用して動作しているとき、無線データの単一のストリームは、デバイス10と外部通信機器(例えば、無線基地局、アクセスポイント、セルラー電話、コンピュータなどの1つ以上の他の無線デバイス)との間で伝達されてもよい。これは、外部通信機器と通信する際に無線通信回路34によって取得可能なデータレート(データスループット)に上限を課すことがある。ソフトウェアアプリケーション及び他のデバイスの動作が経時的に複雑度を増大させるにつれて、デバイス10と外部通信機器との間で伝達される必要があるデータの量は典型的には増大し、その結果、単一のアンテナ40が所望のデバイスの動作を処理するための十分なデータスループットを提供する能力を有することができないようになる。
【0064】
無線通信回路34の全体的なデータスループットを増大させるために、複数のアンテナ40は、多入力・多出力(MIMO)方式を使用して動作してもよい。MIMO方式を使用して動作しているとき、デバイス10上の2つ以上のアンテナ40は、同一の周波数において無線データの複数の独立したストリームを伝達するために使用されてもよい。これは、単一のアンテナ40が使用されるシナリオと比較して、デバイス10と外部通信機器との間の全体的なデータスループットを著しく増大させることができる。概して、MIMO方式の下で無線データを伝達するために使用されるアンテナ40の数が多いほど、無線通信回路34の全体的なスループットが大きくなる。
【0065】
MIMO方式の下で無線通信を実行するために、アンテナ40は、同一の周波数においてデータを伝達する必要がある。所望ならば、無線通信回路34は、2つのアンテナ40が同一の周波数において無線周波数信号の2つの独立したストリームを伝達するために使用される、いわゆる2ストリーム(2X)MIMO動作(本明細書で、2X MIMO通信又は2X MIMO方式を使用した通信と呼ばれる場合がある)を実行してもよい。無線通信回路34は、4つのアンテナ40が同一の周波数において無線周波数信号の4つの独立したストリームを伝達するために使用される、いわゆる4ストリーム(4X)MIMO動作(本明細書で、4X MIMO通信又は4X MIMO方式を使用した通信と呼ばれる場合がある)を実行してもよい。4X MIMO動作を実行することは、4X MIMO動作が4つの独立した無線データストリームを伴うのに対し、2X MIMO動作が2つの独立した無線データストリームのみを伴うことを理由に、2X MIMO動作よりも高い全体的なデータスループットをサポートすることができる。所望ならば、アンテナ40-1、40-2、40-3、及び40-4は、或る周波数帯域において2X MIMO動作を実行してもよく、他の周波数帯域において4X MIMO動作を実行してもよい(例えば、どの帯域がどのアンテナによって処理されるかに応じて)。アンテナ40-1、40-2、40-3、及び40-4は、例えば、或る周波数帯域において2X MIMO動作を、他の帯域において4X MIMO動作を実行するのと同時に実行してもよい。
【0066】
1つの例として、アンテナ40-1及び40-4(及び、対応する送受信機38-1及び38-4)は、600MHzと960MHzの間のセルラー低帯域における同一の周波数において無線周波数信号を伝達することによって、2X MIMO動作を実行してもよい。同時に、アンテナ40-1、40-2、40-3、及び40-4は、1700~2200MHzのセルラー中帯域における同一の周波数において、及び/又は2300~2700MHzのセルラー高帯域(HB)における同一の周波数において無線周波数信号を伝達することによって、4X MIMO動作を共同で実行してもよい(例えば、アンテナ40-1及び40-4は、中帯域及び/又は高帯域において4X MIMO動作を実行するのと同時に、低帯域において2X MIMO動作を実行してもよい)。この例は単なる例示にすぎず、一般的に、任意の所望の周波数帯域において任意の所望のMIMO動作を実行するために、任意の所望の数のアンテナを使用することができる。
【0067】
所望ならば、アンテナ40-1及び40-2は、制御回路(例えば、図3の制御回路28)によって調節されるスイッチング回路を含んでもよい。制御回路28は、デバイス10の領域22において単一のアンテナ40Uを形成するようにアンテナ40-1及び40-2においてアンテナ構造体を構成するために、アンテナ40-1及び40-2においてスイッチング回路を制御してもよい。同様に、アンテナ40-3及び40-4は、制御回路28によって調節されるスイッチング回路を含んでもよい。制御回路28は、デバイス10の領域20において単一のアンテナ40L(例えば、アンテナ40-3及び40-4からのアンテナ構造体を含むアンテナ40L)を形成するように、アンテナ40-3及び40-4においてスイッチング回路を制御してもよい。アンテナ40Uは、例えば、筐体12の上端部において形成されてもよく、従って、本明細書で、上部アンテナ40Uと称される場合がある。アンテナ40Lは、筐体12の反対の下端部において形成されてもよく、従って、本明細書で、下部アンテナ40Lと称される場合がある。アンテナ40-1及び40-2が上部アンテナ40Uを形成するように構成されており、アンテナ40-3及び40-4が下部アンテナ40Lを形成するように構成されたとき、無線通信回路34は、任意の所望の周波数帯域においてアンテナ40U及び40Lを使用して2X MIMO動作を実行してもよい。所望ならば、制御回路28は、アンテナ40-1、40-2、40-3、及び40-4が任意の所望の周波数帯域において2X MIMO動作を実行し、任意の所望の周波数帯域において4X MIMO動作を実行する第1のモードと、アンテナ40-1、40-2、40-3、及び40-4が任意の所望の周波数帯域において2X MIMO動作を実行するアンテナ40U及び40Lを形成するように構成された第2のモードとの間で無線通信回路34を切り替えるよう、時間の経過に伴うスイッチング回路のトグルを行ってもよい。
【0068】
所望ならば、無線通信回路34は、キャリアアグリゲーションと称される場合がある方式において、1つ以上の外部デバイス(例えば、複数の無線基地局)上の複数のアンテナで無線データを伝達してもよい。キャリアアグリゲーション方式を使用して動作しているとき、同一のアンテナ40は、異なるそれぞれの周波数(本明細書で、搬送波周波数、チャネル、搬送波チャネル、又は搬送波と称される場合がある)において複数のアンテナ(例えば、異なる無線基地局上のアンテナ)で無線周波数信号を伝達してもよい。例えば、アンテナ40-1は、第1の周波数において第1の無線基地局から、第2の周波数において第2の無線基地局から、及び第3の周波数において第3の基地局から無線周波数信号を受信してもよい。異なる周波数において受信された信号は、送受信機38-1の通信帯域幅を増大させるために同時に処理されてもよく(例えば、送受信機38-1によって)、それによって、送受信機38-1のデータレートを増大させる。同様に、アンテナ40-1、40-2、40-3、及び40-4は、任意の所望の周波数帯域内の2つ、3つ、又は3つを超える周波数でキャリアアグリゲーションを実行することができる。これは、キャリアアグリゲーションが実行されないシナリオと比較して、無線通信回路34の全体的なデータスループットを更に増大させるように機能することができる。例えば、回路34のデータスループットは、使用される(例えば、アンテナ40-1、40-2、40-3、及び40-4の各々と通信する各々の無線基地局に対して)各々の搬送波周波数に対して増大することができる。
【0069】
MIMO方式及びキャリアアグリゲーション方式の両方を使用して通信を実行することによって、無線通信回路34のデータスループットは、MIMO方式又はキャリアアグリゲーション方式のいずれかが使用されるシナリオにおけるデータスループットよりも更に高くなることができる。回路34のデータスループットは、例えば、アンテナ40によって使用される各々の搬送波周波数に対して増大することができる(例えば、各々の搬送波周波数は、毎秒40メガビット(Mb/s)又はなんらかの他のスループットを無線通信回路34の総スループットに寄与させることができる)。1つの例として、アンテナ40-1及び40-4は、セルラー低帯域、中帯域、及び高帯域の各々のうち3つの周波数にわたってキャリアアグリゲーションを実行してもよく、アンテナ40-3及び40-4は、セルラー中帯域及び高帯域の各々のうち3つの周波数にわたってキャリアアグリゲーションを実行してもよい。同時に、アンテナ40-1及び40-4は、セルラー低帯域において2X MIMO動作を実行してもよく、アンテナ40-1、40-2、40-3、及び40-4は、セルラー中帯域及びセルラー高帯域のうちの1つにおいて4X MIMO動作を実行してもよい。このシナリオでは、搬送波周波数当たり40Mb/sの例示的なスループットで、無線通信回路34は、約960Mb/sのスループットを示すことができる。4X MIMO動作がアンテナ40-1、40-2、40-3、及び40-4によってセルラー中帯域及びセルラー高帯域の両方において実行される場合、無線通信回路34は、約1200Mb/sの更に高いスループットを示すことができる。言い換えると、無線通信回路34のデータスループットは、4つのアンテナ40-1、40-2、40-3、及び40-4を使用したMIMO及びキャリアアグリゲーション方式を使用して通信を実行することによって、単一のアンテナでの単一の周波数において信号を伝達することと関連付けられた40Mb/sから毎秒約1ギガビット(Gb/s)まで増大することができる。
【0070】
それらの例は例示にすぎず、所望ならば、キャリアアグリゲーションは、帯域ごとに3つよりも少ない搬送波において実行されてもよく、異なる帯域にわたって実行されてもよく、又はアンテナ40-1~40-4のうちの1つ以上に対して省略されてもよい。図4の例は、単なる例示にすぎない。所望ならば、アンテナ40は、いずれかの所望の周波数においていずれかの所望の数の周波数帯域をカバーすることができる。4つを超えるアンテナ40又は4つ未満のアンテナ40は、所望であれば、非近距離通信周波数でMIMO及び/又はキャリアアグリゲーション動作を実行することができる。
【0071】
アンテナ40は、スロットアンテナ構造体、逆Fアンテナ構造体(例えば、平面及び非平面逆Fアンテナ構造体)、ループアンテナ構造体、これらの組み合わせ、又は他のアンテナ構造体を含むことができる。例示的な逆Fアンテナ構造体を図5に示す。
【0072】
図5に示すような逆Fアンテナ構造体を使用する場合、アンテナ40は、アンテナ共振素子64(本明細書で、アンテナ放射素子64と呼ばれる場合がある)及びアンテナ接地74(本明細書で、接地板74又は接地74と呼ばれる場合がある)を含むことができる。アンテナ共振素子64は、共振素子アーム66などの主共振素子アームを有することができる。共振素子アーム66の長さは、アンテナ40が所望の動作周波数で共振するように、選択することができる。例えば、共振素子アーム66(又は共振素子アーム66の分岐)の長さは、アンテナ40の所望の動作周波数に対応する波長の、約4分の1とすることができる。アンテナ40はまた、高調波周波数での共振も呈し得る。所望であれば、(例えば、1つ以上の通信帯域におけるアンテナ応答を向上させるために)スロットアンテナ構造体又は他のアンテナ構造体を、図5のアンテナ40などの逆Fアンテナに組み込むことができる。
【0073】
共振素子アーム66は、リターン経路68によってアンテナ接地74に結合することができる。アンテナフィード44は、正のアンテナフィード端子46及び接地アンテナフィード端子48を含むことができ、共振素子アーム66とアンテナ接地74との間でリターン経路68と平行に延びてもよい。所望であれば、アンテナ40は、2つ以上の共振素子アーム分岐を(例えば、複数の通信帯域での動作をサポートするように複数の周波数共振を作り出すために)有することができ、又は、他のアンテナ構造体(例えば、寄生アンテナ共振素子、アンテナの同調をサポートするための同調可能構成要素など)を有することができる。例えば、共振素子アーム66は、アンテナフィード44及びリターン経路68から外側に延びる左及び右の分岐を有してもよい。所望であれば、複数のフィードが、アンテナ40などのアンテナに給電するために使用されてもよい。共振素子アーム66は、任意の所望の形状を有する任意の所望の経路(例えば、湾曲した、及び/又は直線状の経路、蛇行した経路など)に従ってもよい。
【0074】
所望であれば、アンテナ40は、共振素子アーム66に結合された1つ以上の調整可能な回路(例えば、図3の同調可能構成要素42)を含むことができる。図5に示すように、例えば、調整可能なインダクタ70などの同調可能構成要素は、共振素子アーム66などのアンテナ40のアンテナ共振素子構造体とアンテナ接地74との間に結合されてもよい(すなわち、調整可能なインダクタ70が、共振素子アーム66とアンテナ接地74との間のギャップを橋渡しすることができる)。調整可能なインダクタ70は、制御回路28(図3)から調整可能なインダクタ70に提供される制御信号72に応じて調整されるインダクタンス値を示すことができる。
【0075】
アンテナ40は、1つ以上のスロット素子を含むハイブリッドアンテナであってもよい。図6に示すように、例えば、アンテナ40は、アンテナ接地74などの導電性構造体内に形成されたスロット76などの開口部を有するスロットアンテナ構成に基づいてもよい。スロット76は、空気、プラスチック、及び/又は他の誘電体で充填されてもよい。スロット76の形状は、直線状であってもよく、又は1つ以上の屈曲部を有してもよい(すなわち、スロット76は、蛇行経路に従った細長い形状を有してもよい)。フィード端子48及び46は、例えば、スロット76の対向する側面上(例えば、対向する長い側面上)に位置してもよい。スロット76は、本明細書で時には、スロット素子76、スロットアンテナ共振素子76、スロットアンテナ放射素子76、又はスロット放射素子76と呼ばれる場合がある。図6のスロット76などのスロットに基づく放射素子は、アンテナ信号の波長がスロットの周囲長におおよそ等しい周波数においてアンテナ共振を引き起こすことができる。狭いスロットでは、スロット76の共振周波数は、スロット長が動作の波長の半分とほぼ等しい信号周波数に関連付けられる。
【0076】
アンテナ40の周波数応答は、1つ以上の同調構成要素(例えば、図3の同調可能構成要素42)を使用して同調されてもよい。これらの構成要素は、スロット76の対向する側面に結合された端子を有してもよい(すなわち、同調可能構成要素は、スロット76を橋渡ししてもよい)。所望ならば、同調可能構成要素は、スロット76の側面のうちの1つの長さに沿ったそれぞれの位置に結合された端子を有してもよい。それらの構成の組み合わせも使用されてもよい。所望ならば、アンテナ40は、(例えば、図5の共振素子アーム66などの共振素子アーム及び図6のスロット76などのスロットの両方によって与えられる共振を有する)図5及び図6の両方に示すタイプの共振素子を含むハイブリッドスロット逆Fアンテナであってもよい。
【0077】
図6の例は、単なる例示にすぎない。概して、スロット76は、任意の所望の形状(例えば、直線状及び/又は湾曲した縁部を有する形状)を有してもよく、蛇行した経路などに従ってもよい。所望ならば、スロット76は、(例えば、スロット76がアンテナ接地74の1つ以上の側面を通って延びる)導電材料が存在しない1つ以上の端部を有する開放スロットであってもよい。スロット76は、例えば、これらのシナリオにおける動作の波長の4分の1にほぼ等しい長さを有してもよい。
【0078】
図4のアンテナ40-4及び40-3を含むデバイス10の例示的な部分の上面内面図を図7に示す。図7の例では、アンテナ40-3及び40-4はそれぞれ、図5及び図6に示すタイプの共振素子を含むハイブリッドスロット逆Fアンテナ構造体を使用して形成される。
【0079】
図7に示すように、導電性周囲筐体構造体16は、第1のギャップ18-1、第2のギャップ18-2、及び第3のギャップ18-3などの誘電体充填ギャップ18(例えば、プラスチックギャップ)によってセグメント化(分割)されてもよい。ギャップ18-1、18-2、及び18-3の各々は、デバイス10のそれぞれの側面に沿って周囲構造体16内で形成されてもよい。例えば、ギャップ18-1は、デバイス10の第1の側面に形成されてもよく、導電性周囲筐体構造体16の第1のセグメント16-1を導電性周囲筐体構造体16の第2のセグメント16-2から分離してもよい。ギャップ18-3は、デバイス10の第2の側面に形成されてもよく、第2のセグメント16-2を導電性周囲筐体構造体16の第3のセグメント16-3から分離してもよい。ギャップ18-2は、デバイス10の第3の側面に形成されてもよく、第3のセグメント16-3を導電性周囲筐体構造体16の第4のセグメントから分離してもよい。
【0080】
アンテナ40-4の共振素子は、セグメント16-3から形成された逆Fアンテナ共振素子アーム(例えば、図5の共振素子アーム66)を含むことができる。アンテナ40-3の共振素子は、セグメント16-2から形成された逆Fアンテナ共振素子アームを含むことができる。空気及び/又は他の誘電体が、アームセグメント16-2及び16-3と接地構造体78との間のスロット76を充填することができる。
【0081】
接地構造体78は、デバイス10のための筐体後壁部を形成するために使用される金属層、デバイス10のための内部支持構造体を形成する金属層、プリント回路基板上の導電トレース、及び/又はデバイス10内の任意の他の所望の導電層などの、1つ以上の平面金属層を含むことができる。接地構造体78は、セグメント16-1から導電性周囲筐体構造体16のセグメント16-4まで延びてもよい。接地構造体78は、導電性接着剤、はんだ、溶接、導電性ねじ、導電性ピン、及び/又は任意の他の所望の導電性相互接続構造体を使用して、セグメント16-1及び16-4に結合することができる。所望であれば、接地構造体78並びにセグメント16-1及び16-4は、単一の一体型導電性構造体(例えば、デバイス10用の導電性筐体)の異なる部分から形成されてもよい。
【0082】
接地構造体78は、単一平面に限定される必要はなく、所望であれば、異なる平面又は非平面構造体内に位置する複数の層を含んでもよい。接地構造体78は、デバイス10内の他の電気構成要素の導電性(例えば、接地された)部分を含むことができる。例えば、接地構造体78は、ディスプレイ14(図1)の導電性部分を含むことができる。ディスプレイ14の導電性部分は、ディスプレイ14用の金属フレーム、ディスプレイ14用の金属バックプレート、ディスプレイ14用のシールド層若しくはシールド缶、ディスプレイ14内の画素回路、ディスプレイ14用のタッチセンサ回路(例えば、タッチセンサ電極)、及び/又は、ディスプレイ14内の、若しくはデバイス10用の筐体にディスプレイ14を取り付けるために使用される、任意の他の所望の導電性構造体を含むことができる。
【0083】
接地構造体78並びにセグメント16-1及び16-4は、アンテナ40-3及び40-40のためのアンテナ接地74(図5及び図6)の部分を形成することができる。所望により、スロット76は、アンテナ40-3及び/又は40-4の全体的な性能に寄与するスロットアンテナ共振素子構造体を形成するように構成してもよい。スロット76は、ギャップ18-1からギャップ18-2に延びてもよい(例えば、時には開放端部と呼ばれる場合があるスロット76の端部は、ギャップ18-1及び18-2によって形成されてもよい)。スロット76は、任意の好適な長さ(例えば、約4~20cm、2cmよりも長い、4cmよりも長い、8cmよりも長い、12cmよりも長い、25cm未満、10cm未満など)、及び任意の好適な幅(例えば、約2mm、2mm未満、3mm未満、4mm未満、1~3mmなど)を有する細長い形状を有してもよい。ギャップ18-3は、スロット76の最も長い部分の長手方向軸に沿ったスロット76の一部分(例えば、図7のX軸に平行に延びるスロット76の部分)に連続して、それに垂直に延びてもよい。所望であれば、スロット76は、長手方向軸82(例えば、図7のY軸)に平行に、かつギャップ18-1及び18-2を越えて延びる垂直部分を含んでもよい。
【0084】
図7に示すように、接地構造体78の一部分80は、セグメント16-3に向かってスロット76内に突出してもよい。接地構造体78の一部分80(本明細書では、突出部80、接地突出部80、延長部分80、又は接地延長部分80と呼ばれることもある)は、接地構造体78の他の部分よりもセグメント16-3に近接して配置されてもよい(例えば、接地延長部分80は、セグメント16-3に向かって長手方向軸82に平行に延びることができる)。接地延長部分80は、例えば、図1のディスプレイ14用の構成要素(例えば、ディスプレイ14のアクティブエリアAAが、デバイス10の前面の実質的に全てにわたって延びることを可能にする構成要素)を支持することができる。所望であれば、接地延長部分80は、セグメント16-3とともにアンテナ40-4の周波数応答を同調する分布キャパシタンスを形成することができる。
【0085】
スロット76は、空気、プラスチック、セラミック、又はガラスなどの誘電体で充填されてもよい。例えば、プラスチックを、スロット76の部分に挿入してもよく、このプラスチックは、デバイス10の筐体の外面と同一平面であってもよい。スロット76内の誘電材料は、所望ならば、筐体12の外面でギャップ18-1、18-2、及び18-3内の誘電材料と同一平面に存在してもよい。スロット76がU字形状を有する図7の例は、単なる例示にすぎない。所望であれば、スロット76は、任意の他の所望の形状(例えば、矩形形状、湾曲した及び/又は直線状の縁部を有する蛇行形状など)を有してもよい。
【0086】
一般的に、アンテナ40-4を使用して複数の周波数帯域をサポートする(例えば、デバイス10内の他のアンテナとともにMIMO方式を使用して、図2の無線通信回路34のデータレートを最大化する)ことが望ましい場合がある。例えば、アンテナ40-4は、セルラー低帯域、セルラー低中帯域、セルラー高帯域、及び/又はセルラー超高帯域での通信をサポートすることができる。良好なアンテナ効率で複数の周波数帯域における動作をサポートするために、アンテナ40-4に、図3図5、及び図6の正のアンテナフィード端子46などの複数の正のアンテナフィード端子を設けることができる。正のアンテナフィード端子は、例えば、セグメント16-3に沿って異なる点に配置されてもよい。
【0087】
いくつかのシナリオでは、それぞれの正のアンテナフィード端子は、異なるそれぞれの無線周波数伝送線路に結合される(例えば、図3の伝送線路50などの複数の無線周波数伝送線路を使用して、アンテナ40-4に給電することができる)。これらのシナリオでは、スイッチング回路は、必要に応じて伝送線路を送受信機回路26(図4)に選択的に結合するために使用される。しかしながら、実際には、それぞれの正のアンテナフィード端子用の異なる伝送線路及び対応するスイッチング回路を使用してアンテナ40-4に給電することは、望ましくない損失及び減衰を無線周波数信号にもたらす場合がある。これらの損失は、対象とする1つ以上の周波数帯域にわたってアンテナ40-4のアンテナ効率を制限することがある。加えて、注意が払われない場合、接地延長部分80又は他の導電性ディスプレイ構造体(例えば、図1のディスプレイ14のアクティブエリアAAを最大化する導電性構造体)の存在は、セルラー低帯域内の周波数などの比較的低い周波数でのアンテナ40-4のアンテナ効率を制限することがある。したがって、対象とする各周波数帯域にわたって十分なアンテナ効率をアンテナ40-4に提供できることが望ましいであろう。
【0088】
図8は、アンテナ40-4を含むデバイス10の例示的な部分の上面内面図である。図8のアンテナ40-4は、例えば、対象とする複数の周波数帯域にわたって十分なアンテナ効率で無線通信をサポートすることができる。
【0089】
図8に示すように、アンテナ40-4は、デバイス10の角部に形成することができ、導電性周囲構造体16のセグメント16-3から形成されたアンテナ共振素子アーム66を含むことができる。アンテナ40-4は、伝送線路50-4を使用して給電することができる。伝送線路50-4は、接地導体54及び信号導体52を含むことができる。1つの好適な例では、伝送線路50-4は、接地導体54を形成する導電性外側ブレードを有し、かつ導電性外側ブレードによって囲まれた信号導体52を有する同軸ケーブルである。これは単なる例示にすぎず、一般的に、信号導体52及び接地導体54を有する任意の所望の伝送線路構造体を使用することができる。
【0090】
伝送線路50-4は、アンテナ40-4用のアンテナフィード(例えば、図3図5、及び図6のアンテナフィード44)に結合することができる。アンテナフィードは、スロット76の縁部で接地構造体78に結合された接地アンテナフィード端子48を含むことができる。接地アンテナフィード端子48は、伝送線路50-4の接地導体54に結合することができる。アンテナフィードは、複数の周波数帯域にわたる通信をサポートするのに役立つ、導電性周囲筐体構造体16に結合された複数の正のアンテナフィード端子46を含むことができる。
【0091】
図8の例では、アンテナ40-4は、第1の正のアンテナフィード端子46Aと、第2の正のアンテナフィード端子46Bと、第3の正のアンテナフィード端子46Cとを含む。正のアンテナフィード端子46A及び46Bは、導電性周囲筐体構造体16のセグメント16-3(例えば、アンテナ共振素子アーム66)に結合することができる。正のアンテナフィード端子46Cは、導電性周囲筐体構造体16のセグメント16-4に結合することができる。
【0092】
接地構造体78は、デバイス10内で任意の所望の形状を有することができる。例えば、接地構造体78の下縁部(例えば、スロット76の上縁部を画定する接地構造体78の縁部)は、導電性周囲筐体構造体16内のギャップ18-2と位置合わせされてもよい(例えば、ギャップ18-2の上縁部112又は下縁部110は、ギャップ18-2に隣接するスロット76の部分を画定する接地構造体78の縁部と位置合わせされてもよい)。所望であれば、図8の例に示すように、接地構造体78は、ギャップ18-2の上縁部112の上に(例えば、図7のY軸の方向に)延びるギャップ18-2に隣接する垂直スロット120などのスロットを含むことができる。垂直スロット120は、例えば、接地構造体78によって画定される2つ以上の縁部及び導電性周囲筐体構造体16のセグメント16-4によって画定される1つの縁部を有することができる。垂直スロット120は、ギャップ18-2におけるスロット76の開放端部によって画定される開放端部、及び接地構造体78によって画定される反対側の閉鎖端部118を有することができる。したがって、垂直スロット120は、本明細書で時には、スロット76の連続部分、スロット76の垂直部分、又はスロット76の垂直延長部分と呼ばれる場合がある。
【0093】
垂直スロット120は、導電性周囲構造体16のセグメント16-4から(例えば、図8のX軸方向に)接地構造体78を分離する幅116を有してもよい。セグメント16-4は接地構造体78に短絡している(したがってアンテナ40-4用のアンテナ接地の一部を形成する)ため、垂直スロット120は、アンテナ40-4用のアンテナ接地によって画定される3つの側面を有する開放スロットを事実上形成することができる。
【0094】
垂直スロット120は、任意の所望の幅116(例えば、約2mm、4mm未満、3mm未満、2mm未満、1mm未満、0.5mm超、1.5mm超、2.5mm超、1~3mm、など)を有することができる。垂直スロット120は、(例えば、幅116に対して垂直な)細長い長さ114を有することができる。長さ114は、例えば、10~15mm、5mm超、10mm超、15mm超、30mm超、30mm未満、20mm未満、15mm未満、10mm未満、5~20mm、などとすることができる。
【0095】
垂直スロット120の部分は、所望であれば、1つ以上の周波数帯域でアンテナ40-4に対するスロットアンテナ共振に寄与することができる。例えば、垂直スロット120の長さ114及び幅116(例えば、破線の経路122によって示す垂直スロット120の周辺部)は、アンテナ40-4が所望の動作周波数で共振するように選択することができる。所望であれば、スロット76及び120の全長は、アンテナ40-4が所望の動作周波数で共振するように選択することができる。
【0096】
アンテナ40-4は、スロット76にわたって結合された第1の調整可能構成要素102A、第2の調整可能構成要素102B、第3の調整可能構成要素102C、第4の調整可能構成要素102D、及び第5の調整可能構成要素102Eなどの、調整可能構成要素102(例えば、図3の同調可能構成要素42)を含むことができる。図5のリターン経路68などのアンテナ40-4のリターン経路は、調整可能構成要素102A、102B、及び/又は102Dによって形成されてもよい。
【0097】
調整可能構成要素102は、導電性周囲筐体構造体16と接地構造体78との間の、調整可能な量のインダクタンスを提供するためのインダクタ、短絡経路、及び/又は開放回路などの固定構成要素に結合されたスイッチを含んでもよい。所望であれば、調整可能構成要素102はまた、或いは代わりに、スイッチに結合されていない固定構成要素、又はスイッチに結合された構成要素とスイッチに結合されていない構成要素の組み合わせを含むことができる。これらの例は単なる例示にすぎず、一般的に、構成要素102は、調整可能なリターン経路スイッチ、キャパシタに結合されたスイッチ、又は任意の他の所望の構成要素などの他の構成要素を含んでもよい。
【0098】
図8の例では、調整可能構成要素102Aは、スロット76に沿った第1の位置でスロット76を橋渡しすることができる(例えば、構成要素102Aは、接地構造体78上の端子132とセグメント16-3上の端子134との間に結合することができる)。調整可能構成要素102Cは、信号導体52上に介在してもよい。
【0099】
調整可能構成要素102Dは、スロット76を橋渡しすることができ、第1の端子104、第2の端子108、及び第3の端子124を有する3端子構成要素であってもよい。調整可能構成要素102Dの第1の端子104は、調整可能構成要素102Cと正のアンテナフィード端子46Bとの間の信号導体52上に介在してもよい。第2の端子108は、正のアンテナフィード端子46Bとギャップ18-2との間に介在する位置でセグメント16-3に結合されてもよい。第3の端子124は、接地構造体78に結合することができる。第3の端子124は、接地構造体78上の接地アンテナフィード端子48とギャップ18-2との間に介在することができる。所望であれば、第3の端子124は、垂直スロット120の縁部に沿って位置してもよい。
【0100】
信号導体52は、経路106を介して正のアンテナフィード端子46Cに結合することができる。経路106は、正のアンテナフィード端子46Bに、又は調整可能構成要素102Dの端子104と正のアンテナフィード端子46Bとの間の任意の他の所望の位置に結合することができる。調整可能構成要素102Eは、正のアンテナフィード端子46Bと正のアンテナフィード端子46Cとの間の経路106上に介在することができる。
【0101】
調整可能構成要素102Bは、接地構造体78上の端子126と正のアンテナフィード端子46Aとの間でスロット76を橋渡しすることができる。正のアンテナフィード端子46Aは、端子134と正のアンテナフィード端子46Bとの間のセグメント16-3上に介在することができる。端子134は、ギャップ18-3と正のアンテナフィード端子46Aとの間のセグメント16-3上に介在してもよい。端子126は、端子132と接地アンテナフィード端子48との間の接地構造体78上に介在することができる。経路128は、調整可能構成要素102Bを正のアンテナフィード端子46Aに結合することができる。ノード130などの経路128上のノードは、導電トレース90などの導電性構造体を介して信号導体52上のノード100に結合することができる。ノード100は、調整可能構成要素102Cと送受信機回路26(図4)との間の信号導体52上に介在してもよい。
【0102】
共振素子アーム66の長さ(及び垂直スロット120の周囲長)は、セルラー低帯域(例えば、約600MHz~960MHzの周波数帯域)、セルラー低中帯域(例えば、約1410MHz~1510MHzの間の周波数帯域)、セルラー中帯域(例えば、約1710MHz~2170MHzの周波数帯域)、及び/又はセルラー超高帯域(例えば、約3400MHz~3600MHzの周波数帯域)内の周波数などの所望の動作周波数でアンテナ40-4による放射がなされるように、選択することができる。
【0103】
正のアンテナフィード端子46A及び/又は46Bは、セルラー低帯域における無線周波数信号、並びにセルラー低帯域よりも高い周波数の信号を伝達するために使用することができる。例えば、正のアンテナフィード端子46Bからギャップ18-2まで延びる共振素子アーム66の長さは、セルラー低中帯域及び/又はセルラー中帯域の周波数をカバーするように選択されてもよい。この長さは、セルラー中帯域内の周波数に対応する波長(例えば、波長は、スロット76内の誘電体材料による誘電体負荷を考慮する有効波長である)の4分の1にほぼ等しくてもよい。セルラー低中帯域及びセルラー中帯域におけるアンテナ40-4の応答は、この長さの基本モードによってサポートされてもよい。セルラー超高帯域におけるアンテナ40-4の応答は、この長さの高調波モードによってサポートされてもよい。
【0104】
導電性周囲筐体構造体16のセグメント16-4は、セルラー高帯域におけるアンテナ40-4の周波数応答に寄与することができる。例えば、ギャップ18-2の下縁部110(例えば、ギャップ18-2における共振素子アーム66の端部)は、近接場電磁結合を介して(例えば、ギャップ18-2にわたって)セグメント16-4に間接的に給電することができる。共振素子アーム16-3上のアンテナ電流は、近接場電磁結合を介してセグメント16-4上に対応するアンテナ電流を誘導することができる。
【0105】
長さ114は、セルラー高帯域におけるアンテナ40-4の周波数応答をサポートするように選択されてもよい(例えば、長さ114は、セルラー高帯域内の周波数に対応する有効波長の約4分の1であってもよい)。セグメント16-4がこのように間接的に給電される場合、セグメント16-4は、アンテナ40-4用の寄生アンテナ共振素子(例えば、信号導体52を使用して直接給電されない放射素子)を形成することができる。調整可能構成要素102Eは、セグメント16-4が近接場電磁結合を介して間接的に給電されるときに、信号導体52(正のアンテナフィード端子46B)と正のアンテナフィード端子46Cとの間に開放回路を形成するように構成することができる。
【0106】
実際には、セグメント16-4に間接的に給電することにより、アンテナ40-4が、十分なアンテナ効率でセルラー高帯域の全てではないが一部をカバーすることを可能にすることができる。所望であれば、セルラー高帯域におけるアンテナ40-4の周波数応答は、垂直スロット120に直接給電することによって最適化することができる。垂直スロット120に直接給電するために、信号導体52を介して伝達されるアンテナ電流は、垂直スロット120に直接給電する(例えば、正のアンテナフィード端子46C及び経路106を介して)ことができ、(破線の経路122によって示すように)垂直スロット120の周辺部を回って流れることができる。調整可能構成要素102Eは、垂直スロット120が直接給電されるときに、信号導体52(正のアンテナフィード端子46B)と正のアンテナフィード端子46Cとの間に短絡経路又はもうひとつの非開放回路インピーダンスを形成するように構成することができる。このようにして、経路106は、信号導体52の分岐を形成することができ、アンテナ40-4に、(例えば、ギャップ18-2の両側の)正のアンテナフィード端子46B及び46Cの両方を使用して同時に給電することができる。
【0107】
経路122に沿って流れるアンテナ電流は、アンテナ40-4のセルラー高帯域内のスロットアンテナ共振に寄与することができる。垂直スロット120の周囲長(すなわち、長さ114、幅116であり、したがって経路122の長さである)は、垂直スロット120が、アンテナ40-4のセルラー高帯域内の所望の周波数における周波数応答に寄与するように選択されてもよい。例えば、垂直スロット120の周囲長(例えば、経路122の長さ)は、セルラー高帯域内の周波数に対応する有効波長の約半分であってもよい。
【0108】
垂直スロット120にこのように直接給電することにより、セグメント16-4が共振素子アーム66の端部によって間接的にのみ給電されるシナリオに比較して、(例えば、垂直スロット120が、セルラー高帯域をカバーするための、セグメント16-4より大きなアンテナ面積/開口を提供するため)セルラー高帯域におけるアンテナ40-4の周波数応答を最適化することができる。例えば、垂直スロット120に直接給電することにより、アンテナ40-4の全体的な周波数応答をセルラー高帯域内のより高い周波数に引き寄せることができ、セグメント16-4が間接的にのみ給電される場合よりも、セルラー高帯域内のアンテナ40-4の全体的なアンテナ効率を増大させることができる。
【0109】
同調構成要素102Eの状態は、(例えば、垂直スロット120への直接給電と、セグメント16-4への間接的な給電との間でアンテナ40-4をトグルすることによって)セルラー高帯域内のアンテナ40-4の周波数応答を調整するようにトグルされてもよい。しかしながら、注意が払われない場合、垂直スロット120にこのように直接給電することにより、セルラー低中帯域内などの他の周波数におけるアンテナ40-4の周波数応答が低下する場合がある。
【0110】
調整可能構成要素102Dは、(例えば、正のアンテナフィード端子46B及び46Cがアクティブである場合)セルラー低中帯域及び/又はセルラー中帯域内のアンテナ40-4の周波数応答を同調するように調整することができる。一例として、調整可能構成要素102Dは、第1、第2、及び第3の同調状態を有してもよい。第1の同調状態では、調整可能構成要素102Dは、セグメント16-3上の端子108と接地構造体78上の端子124との間にリターン経路(例えば、図5のリターン経路68)を形成することができる。第1の同調状態では、端子104と端子124との間、並びに端子104と端子108との間に開放回路が形成されてもよい。第2の同調状態では、端子104と端子124との間にキャパシタンスが介在してもよい。第3の同調状態では、端子104と端子124との間にインダクタンスが介在してもよい。第2及び第3の同調状態では、端子108と端子104との間、並びに端子108と端子124との間に開放回路が形成されてもよい。調整可能構成要素102Dは、アンテナ40-4のセルラー低中帯域及び/又はセルラー中帯域内の周波数応答を同調するために(例えば、垂直スロット120が直接給電される場合のこれらの周波数におけるアンテナ効率の潜在的劣化を補償するために)、第1、第2、及び第3の同調状態のうちの選択された1つの同調状態に置かれてもよい。
【0111】
正のアンテナフィード端子46A及び/又は46Bがアクティブであるとき、共振素子アーム66は、正のアンテナフィード端子46Aとギャップ18-2との間の長さ、及び/又は、正のアンテナフィード端子46Bとギャップ18-3との間の長さにより、セルラー低帯域内の周波数などの比較的低い周波数を処理することができる。例えば、この長さは、セルラー低帯域内の周波数に対応する有効波長の4分の1にほぼ等しいように選択されてもよい。アンテナ40-4のセルラー低帯域における周波数応答を同調するために調整可能構成要素102A及び/又は102Bを調整することができる。例えば、調整可能構成要素102A及び102Bは、セルラー低帯域におけるアンテナ40-4の周波数応答を同調するために、使用又は不使用を選択的に切り替えられる1つ以上のインダクタ、キャパシタ、及び/又は抵抗器を含んでもよい。
【0112】
正のアンテナフィード端子46Bを使用してアンテナ40-4に給電することにより、セルラー低帯域をカバーするために利用可能な共振素子アーム66の長さを制限することができる。加えて、セルラー低帯域内の周波数などの比較的低い周波数での動作は、接地構造体78及びユーザの手又は身体などの外部物体による負荷を特に受けやすい場合がある。正のアンテナフィード端子46Bからギャップ18-3まで延びる共振素子アーム66の長さが、セルラー低帯域における通信をサポートするために使用されるシナリオでは、接地延長部分80及びディスプレイ14(図1)に関連付けられた他の構造体は、セルラー低帯域で共振素子アーム66に不所望に負荷をかける場合がある。これにより、セルラー低帯域内の周波数でのアンテナ効率が制限される場合がある。そのような望ましくない負荷は、接地延長部分80及びギャップ18-3からより遠くに位置する共振素子アーム66の部分を使用して、セルラー低帯域をカバーすることによって、軽減することができる。
【0113】
セルラー低帯域内での性能を最適化するために、正のアンテナフィード端子46B及び46Cが非アクティブ(無効)である間に、正のアンテナフィード端子46Aを使用することができる。調整可能構成要素102Cは、ノード100と調整可能構成要素102Dの端子104との間に開放回路が形成される第1の状態と、ノード100が端子104に短絡される第2の状態を有することができる。調整可能構成要素102Cは、第1の状態に置かれることにより、正のアンテナフィード端子46B及び46Cを非アクティブ化(無効化)しつつ、正のアンテナフィード端子46Aをアクティブ化(有効化)することができる。
【0114】
端子134からギャップ18-2まで延びる共振素子アーム66の長さは、セルラー低帯域内の周波数をカバーするように選択されてもよい。例えば、この長さは、セルラー低帯域内の周波数に対応する有効波長の4分の1にほぼ等しいように選択されてもよい。正のアンテナフィード端子46B及び46Cを非アクティブ化しつつ正のアンテナフィード端子46Aをアクティブ化することは、セルラー低帯域における電磁ホットスポットをギャップ18-3及び接地延長部分80から離し、ギャップ18-2に向けてシフトさせる役割を果たし得る。このことにより、接地延長部分80及び図1のディスプレイ14の他の導電性部分、並びにユーザの身体などの外部物体によるセルラー低帯域における負荷を最小化し、それにより、セルラー低帯域におけるアンテナ効率を最大化する役割を果たすことができる。正のアンテナフィード端子46Aがアクティブであり、かつ正のアンテナフィード端子46B及び46Cが非アクティブである場合、調整可能構成要素102A及び/又は102Bは、セルラー低帯域におけるアンテナ40-4の周波数応答を同調するように調整することができる。
【0115】
いくつかのシナリオでは、正のアンテナフィード端子46Aには、伝送線路50-4以外の専用伝送線路を使用して給電される。スイッチング回路は、それぞれの伝送線路を送受信機回路26(図4)に選択的に結合するために使用される。しかしながら、別個の伝送線路及び対応するスイッチング回路の使用は、正のアンテナフィード端子46Aによって伝達される無線周波数信号を不所望に減衰させることがある。この減衰は、正のアンテナフィード端子46A、46B、及び46Cのそれぞれに信号を伝達するために、同じ無線周波数伝送線路50-4を使用することによって除去し得る。同時に、正のアンテナフィード端子46Aは、伝送線路50-4から比較的遠くに配置される。注意が払われない場合、信号導体52から正のアンテナフィード端子46Aまでの比較的長い導電経路長は、信号導体52と正のアンテナフィード端子46Aとの間に過剰なインダクタンスをもたらすことがある。このインダクタンスは、正のアンテナフィード端子46Aがアクティブであるときに、セルラー低帯域におけるアンテナ40-4のアンテナ効率を不所望に制限することがある。
【0116】
導電トレース90は、信号導体52と正のアンテナフィード端子46Aとの間の比較的長い導電経路長に関連付けられたインダクタンスを最小化するように構成することができる。導電トレース90は、信号導体52上のノード100に結合された第1の端部98と、経路128上のノード130に結合された反対側にある第2の端部96とを有することができる。ノード130は、調整可能構成要素102Bと正のアンテナフィード端子46Aとの間の経路128上に介在してもよい。導電トレース90は、端部96から端部98まで延びる長さ(例えば、矩形の最長寸法又は長手方向軸)を有することができる。導電トレース90は、幅94(例えば、矩形最短寸法又は長手方向軸に垂直な寸法)を有してもよい。
【0117】
正のアンテナフィード端子46Aと信号導体52との間のインダクタンスを最小化するために、導電トレース90は、比較的大きい幅94を有することができる。一般的に、より大きい(より広い)幅94は、より短い(より狭い)幅94よりも、信号導体52と正のアンテナフィード端子46Aとの間のインダクタンスをより低減することができる。同時に、幅94は、接地構造体78とセグメント16-3との間の利用可能なスペースの量(例えば、スロット76の幅)によって制限されることがある。例として、幅94は、2.0mm~2.3mm、2.5mm~2.9mm、約2.7mm、1mm~4mm、又はスロット76内の利用可能なスペースの量とインダクタンスの低減のバランスをとる任意の他の所望の幅であってもよい。導電トレース90の長さ(例えば、幅94に垂直に測定した場合、又は端部96から端部98まで)は、約20mm、15mm~25mm、10mm~20mm、又は任意の他の所望の長さとすることができる。導電トレース90の長さと幅94との比は、例として、3~10、2~10、5~15、6~10、5~9、又は任意の他の所望の比であってもよい。
【0118】
導電トレース90は、セグメント16-3から距離88、及び接地構造体78から距離92に位置してもよい(例えば、導電トレース90は、スロット76の部分84によって接地構造体78から分離されてもよく、スロット76の部分86によってセグメント16-3から分離されてもよい)。距離88(例えば、スロット76の部分86の幅)は、距離92(例えば、スロット76の部分84の幅)より短くてもよい。距離88は、導電トレース90がセグメント16-3と分布キャパシタンスを形成し、それにより、正のアンテナフィード端子46Bがアクティブであるとき(例えば、ノード100が調整可能構成要素102Dの端子104に短絡されたとき)に、導電トレース90が、セグメント16-3と単一の一体型導体を電気的に形成することを可能にするように選択されてもよい。正のアンテナフィード端子46Bが非アクティブであるとき(例えば、調整可能構成要素102Cが、ノード100と調整可能構成要素102Dの端子104との間に開放回路を形成するとき)に、導電トレース90は、ノード100とノード130との間に直列に結合されており、かつノード100をノード130に接続するために導電性ライン又はワイヤが使用されるシナリオよりも低いインダクタンスを有する、インダクタを電気的に形成する。例として、距離92は、約1.0mm、0.8mm~1.2mm、0.6~1.4mm、又は任意の他の所望の距離であってもよい。距離88は、約0.5mm、0.3mm~0.7mm、0.2mm~0.8mm、0.6mm~0.1mm、又は距離92未満の任意の他の所望の距離であってもよい。
【0119】
導電トレース90は、スロット76(例えば、デバイス10の外面の一部を形成する誘電材料)を充填するために使用される誘電材料上に形成されてもよく、又はスロット76内に搭載された誘電体基板(例えば、プラスチックブロック、フレキシブルプリント回路、リジッドプリント回路基板、他のデバイス構成要素の誘電体部分など)上に形成することができる。導電トレース90は、スタンピングされた金属薄板、金属箔、デバイス10用の筐体の一体部分、及び/又は任意の他の所望の導電性構造体などの他の導電性構造体を使用して形成することができる。図8の例は、単なる例示にすぎない。所望であれば、導電トレース90は、他の形状(例えば、直線状又は蛇行経路に従い、湾曲した及び/又は直線状の縁部を有する形状)を有してもよい。より少ない又は追加の調整可能構成要素102を、アンテナ40-4上の任意の所望の位置(複数)の間に結合することができる。
【0120】
このようにして構成されていると、導電トレース90は、端子が比較的遠く離れて配置されていてもアンテナ効率を犠牲にすることなく、正のアンテナフィード端子46A及び46Bが同じ信号導体52を共有することを可能にする、比較的低インダクタンスのフィードライン結合器を形成することができる。導電トレース90は、本明細書では時には、フィード結合器トレース90、低インダクタンストレース90、低インダクタンスフィード結合器トレース90、低インダクタンスフィードライン結合器トレース90、太いトレース90、厚いトレース90、幅広いトレース90、低インダクタンス経路90、低インダクタンスフィード結合器構造体90、又はフィードラインインダクタンス制限構造体90と呼ばれることがある。
【0121】
調整可能構成要素102A~102Eは、スロット76と重なり合ってもよい。所望であれば、調整可能構成要素102A~102Eは、導電性周囲筐体構造体16と接地構造体78の間に結合されるフレキシブルプリント回路基板などの1つ以上のプリント回路上に形成されてもよい。接地構造体78は、ディスプレイ14(図1)の導電性部分、デバイス10用の導電性筐体層、及び/又は他の導電層を含むことができる。所望であれば、垂直導電性相互接続構造体(例えば、ブラケット、クリップ、バネ、ピン、ねじ、はんだ、溶接、導電性接着剤、ワイヤ、金属ストリップなど)などの導電性構造体を使用して、ディスプレイ14(図1)の導電性部分を(例えば、端子132、126、48、及び/又は124の位置で)導電性筐体層及び/又は接地構造体78の他の部分に短絡することができる。垂直導電性相互接続構造体を使用して接地構造体78内の異なる構成要素を電気的に接続することにより、共振素子アーム66に最も近い位置にある導電性構造体が接地電位に保持され、アンテナ40-4用のアンテナ接地の一部を形成することを確実にすることができる。これは、例えば、アンテナ40-4のアンテナ効率を最適化するように機能することができる。ブラケット、クリップ、バネ、ピン、ねじ、はんだ、溶接、導電性接着剤などの導電性相互接続構造体を使用して、端子134、46A、46B、108、及び/又は46Cを導電性周囲筐体構造体16に結合することができる。図8の例は、アンテナ40-4をデバイス10内に実装するためのアンテナ構造体を示すが、これらの構造体は、アンテナ40-1、40-2、40-3、若しくは40-4(図4)のうちの任意の1つをデバイス10に実装するために使用することができ、かつ/又は任意の所望のアンテナ40をデバイス10内に実装するために使用することができる。
【0122】
所望であれば、制御回路28(図3)は、調整可能構成要素102を制御して、アンテナ40-4を第1又は第2の動作モード(状態)のうちの1つに置くことができる。第1の動作モードでは、制御回路28は、調整可能構成要素102Cを制御して、正のアンテナフィード端子46Bがアクティブであるように、ノード100を調整可能構成要素102Dの端子104に結合する。導電トレース90及びセグメント16-3は、単一の一体型導体を電気的に形成することができる。これにより、正のアンテナフィード端子46Aを事実上非アクティブにすることができる(例えば、アンテナ電流は、正のアンテナフィード端子46Aからセグメント16-3に流入しないことになる)。
【0123】
第1の動作モードでは、正のアンテナフィード端子46Bとギャップ18-2との間の共振素子アーム66の長さは、セルラー中帯域及びセルラー低中帯域における通信をサポートする基本モードを呈することができる。この長さは、セルラー超高帯域における通信をサポートする高調波モードを呈することができる。正のアンテナフィード端子46Bとギャップ18-3との間の共振素子アーム66の長さは、セルラー低帯域における通信をサポートすることができる。
【0124】
第1の動作モードでは、制御回路28は、調整可能構成要素102Eを制御して、開放回路を形成してもよく、それにより、共振素子アーム66は、セグメント16-4に間接的に給電して、セルラー高帯域をカバーすることができる。これにより、正のアンテナフィード端子46Cを事実上非アクティブにすることができる。所望であれば、制御回路28は、調整可能構成要素102Eを制御して、信号導体52を正のアンテナフィード端子46Cに結合することができる。これにより、(例えば、調整可能構成要素102Eが開放回路を形成する場合よりも高い周波数で)セルラー高帯域をカバーするために垂直スロット120が直接給電されるように、正のアンテナフィード端子46Cを事実上アクティブにすることができる。制御回路28は、所望であればアンテナ40-4の周波数応答を更に微調整するために、調整可能構成要素102Eを制御して、信号導体52と正のアンテナフィード端子46Cとの間のインダクタンスを調整することができる。
【0125】
第2の動作モードでは、制御回路28は、調整可能構成要素102Cを制御して、ノード100と調整可能構成要素102Dの端子104との間に開放回路を形成する。これは、正のアンテナフィード端子46Aを事実上アクティブにし(例えば、アンテナ電流は、導電トレース90及び正のアンテナフィード端子46Aを介してセグメント16-3に流れ込む)、正のアンテナフィード端子46B及び46Cを非アクティブにする(例えば、アンテナ電流は、正のアンテナフィード端子46Bを介してセグメント16-3に流れ込まず、又、正のアンテナフィード端子46Cを介してセグメント16-4に流れ込まない)。
【0126】
制御回路28(図3)は、デバイス10の必要性及び/又は動作環境に基づいて、アンテナ40-4を第1の動作モード又は第2の動作モードに置くことができる。例えば、制御回路28は、アンテナ40-4がセルラー低帯域内の周波数を割り当てられたとき、又はその他の理由でセルラー低帯域での通信が他の帯域における通信に対して優先されるとき(例えば、デバイス10上で稼働するソフトウェアによって、又はセルラー基地局などの外部機器によって)、アンテナ40-4を第2の動作モード(本明細書で低帯域動作モードと呼ばれる場合がある)に置くことができる。同様に、制御回路28は、アンテナ40-4がセルラー低帯域の外側の周波数を割り当てられたときに、アンテナ40-4を第1の動作モード(本明細書ではマルチバンド動作モード又は高帯域動作モードと呼ばれることがある)に置くことができる。制御回路28は、第1又は第2の動作モードのいずれかにおいて、調整可能構成要素102A及び/又は102Bの状態を調整して、セルラー低帯域における周波数応答を同調することができる。制御回路28は、第1の動作モードで、調整可能構成要素102D及び/又は102Eの状態を調整して、セルラー低中帯域、セルラー中帯域、セルラー高帯域、及び/又はセルラー超高帯域における周波数応答を同調することができる。
【0127】
図9A図9Dは、図8の調整可能構成要素102のいずれかを形成するために使用することができる例示的な回路の回路図である。
【0128】
図9Aに示すように、調整可能構成要素136は、端子138と140との間に直列に結合されたスイッチSW1を含んでもよい。スイッチSW1は、例えば、単極単投(single-pole single-throw)(SPST)スイッチとすることができる。スイッチSW1が開放(オフ)状態に置かれると、端子138と140との間に開放回路が形成される。スイッチSW1が閉鎖(オン)状態に置かれると、端子138と140との間に短絡経路が形成される。所望であれば、1つ以上の抵抗器、キャパシタ、及び/又はインダクタが、端子138と140との間に直列に結合されてもよい。
【0129】
1つの好適な構成では、調整可能構成要素136を使用して、図8の調整可能構成要素102Cを形成することができる(例えば、端子138は、図8のノード100に結合されており、一方、端子140は、図8の端子104に結合されてもよい)。所望であれば、調整可能構成要素136を使用して、図8の調整可能構成要素102Eを形成することもできる(例えば、端子140は、図8の正のアンテナフィード端子46Bに結合されており、一方、端子138は、図8の正のアンテナフィード端子46Cに結合されてもよい)。
【0130】
図9Bに示すように、調整可能構成要素142は、調整可能な量のインダクタンスをアンテナ40-4に提供するために使用される複数のインダクタを含む(例えば、構成要素142は、時には調整可能なインダクタ又は調整可能なインダクタ回路と呼ばれてもよい)。制御回路28(図3)は、スイッチSW2及びSW3などのスイッチング回路の状態を制御することによって、端子144と端子146との間に異なる量のインダクタンスを生成するように、図9Bの回路142を調整することができる。スイッチSW2及びSW3は、2つのSPSTスイッチとして、1つの単極双投(single-pole double-throw)(SP2T)スイッチとして、又は任意の他の所望の回路を使用して実装されてもよい。
【0131】
例えば、制御信号を使用して、端子144と146との間でインダクタL1を使用可能に切り替えインダクタL2は使用不能に切り替えることができ、端子144と146との間でインダクタL2を使用可能に切り替えインダクタL1は使用不能に切り替えることができ、端子144と146との間でインダクタL1及びL2を共に並列に使用可能に切り替え、又はインダクタL1及びL2を共に使用不能に切り替えることができる。したがって、図9Bのスイッチング回路構成は、異なる1つ以上のインダクタンス値、異なる2つ以上のインダクタンス値、異なる3つ以上のインダクタンス値、又は所望により、異なる4つのインダクタンス値(例えば、L1、L2、L1及びL2並列、又はL1及びL2を同時に不使用に切り替えたときの無限インダクタンス)を生成することができる。
【0132】
1つの好適な構成では、調整可能構成要素142を使用して、図8の調整可能構成要素102Bを形成することができる(例えば、端子146は、図8のノード130に結合されており、一方、端子144は、図8の端子126に結合されてもよい)。このシナリオでは、調整可能構成要素142のインダクタンスは、アンテナ40-4のセルラー低帯域応答を同調するようにトグルすることができる。所望であれば、調整可能構成要素142を使用して、図8の調整可能構成要素102Eを形成することができる(例えば、端子144は、図8の正のアンテナフィード端子46Bに結合されており、一方、端子146は、図8の正のアンテナフィード端子46Cに結合されてもよい)。このシナリオでは、調整可能構成要素142のインダクタンスは、アンテナ40-4のセルラー高帯域応答を同調するようにトグルすることができる。
【0133】
図9Cに示すように、調整可能構成要素148は、スイッチSW4と直列に結合されたインダクタL3、スイッチSW5と直列に結合されたインダクタL4、スイッチSW6と直列に結合されたインダクタL5、スイッチSW7と直列に結合されたインダクタL6、及び端子150と端子152との間に並列に結合されたインダクタL7を含むことができる。インダクタL3~L7は、調整可能な量のインダクタンスをアンテナ40-4に提供する際に使用することができる。制御回路28は、構成要素148内のスイッチの状態を制御することによって、構成要素148を調整し、端子150と端子152との間に異なる量のインダクタンスを生成することができる。スイッチのそれぞれは、例えば、単極単投(SPST)スイッチであってもよく、スイッチは、単極4投(single-pole four-throw)(SP4T)スイッチを使用して実装されてもよく、又は任意の他の所望のスイッチング回路が使用されてもよい。
【0134】
1つの好適な構成では、調整可能構成要素148を使用して、図8の調整可能構成要素102Aを形成することができる(例えば、端子150は、図8の端子132に結合されており、一方、端子152は、図8の端子134に結合されてもよい)。このシナリオでは、調整可能構成要素148のインダクタンスは、アンテナ40-4のセルラー低帯域応答を同調するようにトグルすることができる。
【0135】
図9Dに示すように、調整可能構成要素154は、端子158、156、及び160を有する3端子構成要素であってもよい。調整可能構成要素154は、端子158と156との間に並列に、スイッチSW9と直列に結合されたインダクタL8と、スイッチSW8と直列に結合されたキャパシタCとを含むことができる。調整可能構成要素154は、端子160と156との間に直列に結合されたインダクタL9を含むことができる。制御回路28は、構成要素154を調整して、端子158と、156と、160との間のインピーダンスを調整するために、任意の所与の時間に、スイッチSW8、SW9、及びSW10のうちの、ゼロ、1つ、又は1つより多くを閉じることができる。
【0136】
1つの好適な構成では、調整可能構成要素154を使用して、図8の調整可能構成要素102Dを形成することができる(例えば、端子158は、図8の端子104に結合されてもよく、端子160は、図8の端子108に結合されてもよく、端子156は、図8の端子124に結合されてもよい)。このシナリオでは、制御回路28は、構成要素154を調整して、(例えば、アンテナ40-4が、正のアンテナフィード端子46Bがアクティブである第1の動作モードにある間に)セルラー低中帯域、セルラー中帯域、セルラー高帯域、及び/又はセルラー超高帯域におけるアンテナ40-4の周波数応答を同調することができる。
【0137】
図9A図9Dの例は、単なる例示にすぎない。一般的に、調整可能構成要素136、142、148、及び154はそれぞれ、任意の所望の方法(例えば、直列、並列、シャント構成など)で配置された任意の所望の数の誘導素子、容量素子、抵抗素子、及びスイッチング素子を含むことができる。これらの構成要素は、図8の調整可能構成要素102A、102B、102C、102D、又は102Eのいずれかを形成するために使用されてもよい。
【0138】
図10は、対象とする所望の周波数帯域全てにおける図8のアンテナ40-4に対する十分な性能を確実にするようにデバイス10を動作させることに伴う、例示的なステップのフローチャートである。
【0139】
図10のステップ162では、制御回路28は、デバイス10の動作環境及び/又は無線通信を実行するために使用する周波数を監視することができる。使用する周波数は、制御回路28上で動作するソフトウェア(例えば、デバイス10の無線通信を制御するソフトウェア)に基づいて、及び/又は無線基地局のような外部機器から受信した割り当てに基づいて判定することができる。
【0140】
制御回路28は、一般に、任意の好適なタイプのセンサ測定値、無線信号測定値、動作情報又はアンテナ測定値を使用して、デバイス10がどのように使用されているかを判定する(例えば、デバイス10の動作環境を判定する)ことができる。例えば、制御回路28は、温度センサ、容量性近接センサ、光ベースの近接センサ、抵抗センサ、力センサ、タッチセンサ、コネクタポートのコネクタの存在を感知する若しくはコネクタポートを介したデータ伝送の有無を検出するコネクタセンサ、有線若しくは無線ヘッドフォンがデバイス10とともに使用されているか否かを検出するセンサ、デバイス10とともに使用されているヘッドフォン若しくはアクセサリデバイスの種類を識別するセンサ(例えば、デバイス10とともに使用されているアクセサリを識別するアクセサリ識別子を識別するセンサ)、又はデバイス10がどのように使用されているかを判定する他のセンサなどのセンサを使用してもよい。制御回路28はまた、デバイス10内の加速度計などの方位センサからの情報を使用して、デバイス10が右手使用又は左手使用に特徴的な位置に保持されているか(又は自由空間で動作しているか)の判定を支援することができる。制御回路28はまた、デバイス10がどのように使用されているかを判定する際にデバイス10の使用シナリオに関する情報(例えば、図1のイヤスピーカ8を介してオーディオデータが伝送されているか否かを識別する情報、通話中であるか否かを識別する情報、デバイス10上のマイクロフォンが音声信号を受信しているか否かを識別する情報等)を使用することができる。
【0141】
所望であれば、アンテナ40-4又はアンテナ40-4の一部のインピーダンスを監視する際に、インピーダンスセンサ又は他のセンサを使用することができる。異なるアンテナ負荷シナリオにより、アンテナ40-4に異なるように負荷をかけることがあり、そのため、インピーダンス測定は、デバイス10がユーザの左手若しくは右手によって把持されているか、又は自由空間で動作しているかを判定するのに役立つことができる。制御回路28がアンテナ負荷状態を監視することができる別の方法は、アンテナ40-4で受信されている無線周波数信号に対する受信信号強度測定を行うことを伴う。この例では、アンテナ40-4の調整可能な回路は、異なる設定の間でトグルすることができ、アンテナ40-4の最適設定は、受信信号強度を最大化する設定を選択することによって特定することができる。一般的に、これらの測定値又は他の測定値のうちの1つ以上の任意の所望の組み合わせを制御回路28によって処理して、デバイス10がどのように使用されているかを識別する(すなわち、デバイス10の動作環境を識別する)ことができる。
【0142】
ステップ164では、制御回路28は、デバイス10の現在の動作環境及び/又は通信に使用する周波数に基づいて(例えば、処理ステップ162の間に収集されたデータ又は情報に基づいて)、アンテナ40-4の構成(例えば、アンテナ40-4のアンテナ設定)を調整することができる。制御回路28は、図8の調整可能構成要素102Cを使用して、第1及び第2の動作モードのうちの1つにアンテナ40-4を置くことができ、構成要素102A、102B、102D、及び/又は102Eを調整して、図10の処理ステップ162の間に収集された情報に基づいて、アンテナ40-4の周波数応答を更に調整することができる。
【0143】
ステップ166では、アンテナ40-4を使用して、ステップ164で選択されたアンテナ設定を使用して無線データを送受信することができる。このプロセスは、経路168によって示すように連続的に実行されてもよい。このようにして、アンテナ40-4は、デバイス10の動作環境及び必要性に基づいて、リアルタイムで動的に調整することができる。所望であれば、同様のステップを使用して、アンテナ40-1、40-2、40-3、及び/又はデバイス10内の他のアンテナ40を調整することができる。
【0144】
図11は、アンテナ性能(アンテナ効率)を図8のアンテナ40-4の動作周波数の関数としてプロットしたグラフである。図11に示すように、曲線170は、アンテナ40-4が第1の動作モードにあり、かつ調整可能構成要素102Eが開放回路を形成している間(例えば、正のアンテナフィード端子46Bがアクティブであり、かつ正のアンテナフィード端子46A及び46Cが非アクティブである間)の、アンテナ40-4の例示的なアンテナ効率をプロットしている。
【0145】
この構成に置かれると、正のアンテナフィード端子46Aとギャップ18-2との間の共振素子アーム66の長さ(図8)は、セルラー低帯域LB(例えば、約600MHz~960MHzの周波数帯域)などの第1の周波数帯域における応答ピークをサポートすることができる。正のアンテナフィード端子46Bとギャップ18-2との間の共振素子アーム66の長さは、セルラー低中帯域LMB(例えば、約1410MHz~1510MHzの周波数帯域)などの第2の周波数帯域、及びセルラー中帯域MB(例えば、約1710MHz~2170MHzの周波数帯域)などの第3の周波数帯域にわたって延びる応答ピークをサポートすることができる。共振素子アーム66の端部(先端)は、導電性周囲筐体構造体16のセグメント16-4に間接的に給電して、セルラー高帯域HB(例えば、約2300MHz~2700MHzの周波数帯域)などの第4の周波数帯域における応答ピークをサポートすることができる。正のアンテナフィード端子46Bとギャップ18-2との間の共振素子アーム66の部分の高調波モードは、セルラー超高帯域UHB(例えば、約3400MHz~3600MHzの周波数帯域)などの第5の周波数帯域における応答ピークをサポートすることができる。制御回路28は、構成要素102A及び/又は102Bを調整して、セルラー低帯域LBにおける周波数応答を調整してもよく、構成要素102Dを調整して、セルラー中帯域MB、セルラー高帯域HB、及び/又はセルラー超高帯域UHBにおける周波数応答を調整することができる。
【0146】
図11の曲線170によって示すように、セルラー高帯域HBにおける応答ピークは、セルラー高帯域HBにおけるより高い周波数で十分な効率を提供することなく、セルラー高帯域HBにおける比較的低い周波数のみをカバーすることができる。良好な効率でセルラー高帯域HBの全体をカバーするために、制御回路28は、調整可能構成要素102Eを制御して、(例えば、垂直スロット120に直接給電するため)正のアンテナフィード端子46Cをアクティブ化してもよい。
【0147】
曲線172は、アンテナ40-4が第1の動作モードにあり、かつ正のアンテナフィード端子46Cがアクティブである間の、アンテナ40-4の例示的なアンテナ効率をプロットしている。この構成に置かれると、垂直スロット120は、図8の正のアンテナフィード端子46C及び経路106を介して直接給電される。これは、セルラー高帯域HBにおけるアンテナ40-4のカバレッジをより高い周波数に引き寄せ、並びに、セルラー高帯域HB内のアンテナ40-4の全体的な効率を増大させることに役立つことができる。
【0148】
図11の曲線172によって示すように垂直スロット120に直接給電することは、また、第2の周波数帯域内の(例えば、セルラー低中帯域LMB内の)アンテナ効率を低減させ得る。所望であれば、制御回路28は、図8の構成要素102Dを調整して、アンテナ40-4の周波数応答を下方に引き寄せて、セルラー高帯域HBにおけるカバレッジに大幅に影響を及ぼすことなく、セルラー低中帯域LMBもカバーすることができる。制御回路28は、構成要素102A及び/又は102Bを調整して、セルラー低帯域LBにおける周波数応答を調整してもよく、構成要素102Dを調整して、セルラー低中帯域LMB、セルラー中帯域MB、セルラー高帯域HB、及び/又はセルラー超高帯域UHBにおける周波数応答を調整することができる。
【0149】
図11の曲線174は、正のアンテナフィード端子46Aが専用の伝送線路を使用して給電されるシナリオ、又は、不十分な幅を有するワイヤ又は他の細い導電性ラインによってノード100がノード130(図8)に結合されるシナリオにおけるアンテナ40-4のアンテナ効率をプロットしている。正のアンテナフィード端子46Aが専用の伝送線路を使用して給電されるシナリオでは、専用伝送線路及び関連付けられた追加のスイッチング回路からの減衰が、セルラー低帯域LBにおけるピークアンテナ効率を制限する。不十分な幅を有するワイヤ又は他の細い導電性ラインによってノード100がノード130に結合されるシナリオでは、信号導体52から正のアンテナフィード端子46Aまでの比較的長い電気経路長に関連付けられたインダクタンスは、セルラー低帯域LBにおけるピークアンテナ効率を制限する。
【0150】
図11の曲線176は、アンテナ40-4が第2の動作モードに置かれている間(例えば、正のアンテナフィード端子46Aがアクティブであり、かつ正のアンテナフィード端子46B及び46Cが非アクティブであるとき)のアンテナ40-4の例示的なアンテナ効率をプロットしている。この構成に置かれると、セルラー低帯域LBにおける電磁ホットスポットは、専用伝送線路及びそのスイッチング回路に関連付けられた減衰をもたらすことなく、かつ信号導体52と正のアンテナフィード端子46Aとの間の過剰なインダクタンスをもたらすことなく、接地延長部分80(図8)から離れて移動する。このことは、矢印178によって示すように、セルラー低帯域LB内のアンテナ40-4のピークアンテナ効率及び/又は帯域幅を増加させるために役立ち得る。
【0151】
図11の例は、単なる例示にすぎない。一般的に、アンテナ40-4は、任意の所望の周波数における任意の所望の帯域をカバーすることができる(例えば、アンテナ40-4は、任意の所望の周波数帯域にわたって延びる任意の所望の数の効率ピークを呈することができる)。曲線170、172、174、及び176は、所望であれば他の形状を有してもよい。
【0152】
このようにして、デバイス10は、デバイス10の前面の実質的に全てにわたって延びるアクティブエリアAAを有するディスプレイ14(図1)を備えることができる。アンテナ40-4は、ディスプレイ14のためのそのような大きなアクティブエリアAAを支持するために使用される導電性ディスプレイ構造体の存在にもかかわらず、対象とする複数の周波数帯域にわたって良好なアンテナ効率を備えることができる。アンテナ40-4は、これらの周波数帯域のうちの1つ以上にわたるキャリアアグリゲーション方式を使用して、かつデバイス10内の他のアンテナとともにMIMO方式を使用して、動作し、デバイス10に対する無線データスループットを最大化することができる。
【0153】
一実施形態によれば、導電性周囲筐体構造体を有する筐体と、接地構造体と、スロットによって接地構造体から分離された導電性周囲筐体構造体のセグメントから形成された共振素子アームを有するアンテナと、接地構造体に結合された接地導体を有し、セグメントに結合された信号導体を有する、無線周波数伝送線路と、アンテナの周波数応答を同調するように構成されており、かつ、信号導体に結合された第1の端子、セグメントに結合された第2の端子、及び接地構造体に結合された第3の端子を有する調整可能構成要素と、を含む電子デバイスが提供される。
【0154】
別の実施形態によれば、電子デバイスは、導電性周囲筐体構造体の追加セグメントから共振素子アームを分離する、導電性周囲筐体構造体内の誘電体充填ギャップを含む。
【0155】
別の実施形態によれば、接地導体は、接地アンテナフィード端子で接地構造体に結合されており、信号導体は、セグメント上の第1の正のアンテナフィード端子に結合されており、電子デバイスは、第1の正のアンテナフィード端子と追加セグメント上の第2の正のアンテナフィード端子との間に結合された導電経路を含む。
【0156】
別の実施形態によれば、電子デバイスは、導電経路上に介在する追加の調整可能構成要素を含み、追加の調整可能構成要素は、共振素子アームが近接場電磁結合を介して追加セグメントに無線周波数信号を間接的に供給するように構成された第1の状態を有し、追加の調整可能構成要素は、第2の正のアンテナフィード端子が信号導体から追加セグメントにアンテナ電流を伝達する第2の状態を有する。
【0157】
別の実施形態によれば、追加の調整可能構成要素は、信号導体と第2の正のアンテナフィード端子との間での選択されたインダクタンスによる結合によって、アンテナの周波数応答を同調するように構成された。
【0158】
別の実施形態によれば、電子デバイスは、無線周波数伝送線路に結合された無線周波数送受信機回路と、信号導体上に介在するスイッチとを含み、スイッチは、無線周波数送受信機回路と調整可能構成要素の第1の端子との間に結合される。
【0159】
別の実施形態によれば、電子デバイスは、セグメント上の第3の正のアンテナフィード端子と、スロットにわたり、信号導体上のノードと第3の正のアンテナフィード端子との間に結合された導電トレースと、を含み、ノードは、無線周波数送受信機回路とスイッチとの間に介在する。
【0160】
別の実施形態によれば、スイッチは、第3の正のアンテナフィード端子がアクティブであり、かつ第1及び第2の正のアンテナフィード端子が非アクティブである第1の状態を有し、第1の正のアンテナフィード端子がアクティブであり、かつ第3の正のアンテナフィード端子が非アクティブである第2の状態を有する。
【0161】
別の実施形態によれば、共振素子アームは、スイッチが第1の状態にある間、第1の周波数帯域において無線周波数信号を伝達するように構成されており、スイッチが第2の状態にある間、第1の周波数帯域、第2の周波数帯域、及び第3の周波数帯域において無線周波数信号を伝達するように構成されており、スイッチが第2の状態にある間、追加セグメントは、第4の周波数帯域において無線周波数信号を伝達するように構成されており、第2の周波数帯域は第1の周波数帯域よりも高く、第4の周波数帯域は第2の周波数帯域よりも高く、第3の周波数帯域は第4の周波数帯域よりも高い。
【0162】
別の実施形態によれば、導電トレースは、長さ及び幅を有し、長さは、幅の2~10倍である。
【0163】
一実施形態によれば、導電性周囲筐体構造体を有する筐体と、接地構造体であって、導電性周囲筐体構造体のセグメントがスロットによって接地構造体から分離された、接地構造体と、接地構造体と、セグメントから形成された共振素子アームと、接地構造体に結合された接地アンテナフィード端子と、セグメントに結合された第1及び第2の正のアンテナフィード端子と、を含むアンテナと、筐体内の無線周波数送受信機回路と、無線周波数送受信機回路に結合された無線周波数伝送線路であって、無線周波数伝送線路が、接地アンテナフィード端子に結合された接地導体と、第1の正のアンテナフィード端子に結合された信号導体と、を含む、無線周波数伝送線路と、信号導体上に介在するスイッチと、スロットにわたり、信号導体上のノードと第2の正のアンテナフィード端子との間に結合された導電トレースと、を含み、ノードが、スイッチと無線周波数送受信機回路との間の信号導体上に介在する、電子デバイスが提供される。
【0164】
別の実施形態によれば、導電トレースは、第1の距離だけ接地構造体から分離されており、第1の距離未満の第2の距離だけセグメントから分離される。
【0165】
別の実施形態によれば、導電トレースは、ノードに結合された第1の端部と、第2の正のアンテナフィード端子に結合された反対側にある第2の端部と、第1の端部から第2の端部まで延びる長さと、幅と、を有し、長さは、幅の2~10倍である。
【0166】
別の実施形態によれば、電子デバイスは、導電トレースの第2の端部と接地構造体との間に結合された調整可能なインダクタを含む。
【0167】
別の実施形態によれば、電子デバイスは、導電性周囲筐体構造体の追加セグメントから共振素子アームを分離する、導電性周囲筐体構造体内の誘電体充填ギャップを含み、アンテナは、追加セグメントに結合された第3の正のアンテナフィード端子と、第2の正のアンテナフィード端子と第3の正のアンテナフィード端子との間に結合された導電経路とを含む。
【0168】
別の実施形態によれば、電子デバイスは、導電経路上に介在する調整可能構成要素を含み、スロットの一部分は、追加セグメントと接地構造体との間に延び、調整可能構成要素は、共振素子アームが近接場電磁結合を介して追加セグメントに無線周波数信号を間接的に供給するように構成された第1の状態、及び第3の正のアンテナフィード端子が信号導体から追加セグメントに伝達されるアンテナ電流を伝達する第2の状態を有する。
【0169】
別の実施形態によれば、スイッチは、開放状態及び閉鎖状態を有し、スイッチが開放状態にある間、セグメント及び第2の正のアンテナフィード端子は、第1の周波数帯域において無線周波数信号を伝達するように構成されており、スイッチが閉鎖状態にある間、セグメント及び第1の正のアンテナフィード端子は、第1の周波数帯域及び第1の周波数帯域よりも高い第2の周波数帯域において無線周波数信号を伝達するように構成されており、スイッチが閉鎖状態にある間、追加セグメント及び第3の正のアンテナフィード端子は、第2の周波数帯域よりも高い第3の周波数帯域において無線周波数信号を伝達するように構成された。
【0170】
一実施形態によれば、信号導体を有する無線周波数伝送線路から無線周波数信号を受信するように構成されたアンテナが提供され、アンテナは、接地構造体と、スロットによって接地構造体から分離された共振素子アームであって、スロットが、接地構造体と導電性構造体との間に延びる部分を含み、導電性構造体が、誘電体充填ギャップによって共振素子アームから分離された、共振素子アームと、無線周波数伝送線路から受信した無線周波数信号を伝達するように構成されたアンテナフィードであって、アンテナフィードが、接地構造体に結合された接地アンテナフィード端子と、アンテナ共振素子アームに結合された第1及び第2の正のアンテナフィード端子と、導電性構造体に結合された第3の正のアンテナフィード端子とを有する、アンテナフィードと、を含む。
【0171】
別の実施形態によれば、アンテナは、スロットにわたり、信号導体上のノードと第2の正のアンテナフィード端子との間に結合された導電トレースと、ノードと第1の正のアンテナフィード端子との間に結合されたスイッチと、を含む。
【0172】
別の実施形態によれば、アンテナは、第1の正のアンテナフィード端子と第3の正のアンテナフィード端子との間に結合された導電経路と、導電経路上に介在する調整可能構成要素と、を含み、スイッチは、開放状態及び閉鎖状態を有し、調整可能構成要素は、第1及び第2の状態を有し、スイッチが開放状態にある間、共振素子アームは第1の周波数帯域における放射を行うように構成されており、スイッチが閉鎖状態にある間、共振素子アームは、第1の周波数帯域及び第1の周波数帯域よりも高い第2の周波数帯域における放射を行うように構成されており、スイッチが閉鎖状態にあり、かつ調整可能構成要素が第1の状態にある間、導電性構造体は第2の周波数帯域よりも高い第3の周波数帯域における放射を行うように構成されており、スイッチが閉鎖状態にあり、かつ調整可能構成要素が第2の状態にある間、スロットの部分は第3の周波数帯域における放射を行うように構成された。
【0173】
前述は単なる例示であり、当業者は、記載された実施形態の範囲及び精神から逸脱することなく、様々な修正を行うことができる。前述の実施形態は、個別に又は任意の組み合わせで実施され得る。
図1
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図9A
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図9D
図10
図11