(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】駐車場監視装置、駐車場管理システム及び駐車場管理プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20221208BHJP
G07B 15/00 20110101ALI20221208BHJP
【FI】
H04N7/18 D
G07B15/00 L
H04N7/18 K
(21)【出願番号】P 2017190867
(22)【出願日】2017-09-29
【審査請求日】2020-09-24
(73)【特許権者】
【識別番号】517147261
【氏名又は名称】伊豆 智幸
(73)【特許権者】
【識別番号】516176866
【氏名又は名称】顔 開
【氏名又は名称原語表記】YAN KAI
(74)【代理人】
【識別番号】100127328
【氏名又は名称】八木澤 史彦
(74)【代理人】
【識別番号】100140866
【氏名又は名称】佐藤 武史
(73)【特許権者】
【識別番号】519009149
【氏名又は名称】株式会社アトラックラボ
(74)【代理人】
【識別番号】100127328
【氏名又は名称】八木澤 史彦
(72)【発明者】
【氏名】伊豆 智幸
(72)【発明者】
【氏名】顔 開
【審査官】佐野 潤一
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-201741(JP,A)
【文献】特開2009-267679(JP,A)
【文献】特開2014-123303(JP,A)
【文献】特開2014-119827(JP,A)
【文献】特開2006-338479(JP,A)
【文献】特開2005-222159(JP,A)
【文献】特開2007-048174(JP,A)
【文献】特開2003-302234(JP,A)
【文献】国際公開第2009/090695(WO,A1)
【文献】特開2005-227965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
G07B 15/00
G08B 13/00-31/00
G08G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場内において、画像を取得する画像取得手段と、
前記画像に基づいて、前記駐車場に含まれる複数の駐車枠を認識する駐車枠認識手段と、
前記画像に基づいて、前記駐車枠内に存在する自動車を認識する自動車認識手段と、
前記自動車認識手段によって認識した前記自動車に関する情報をテキストデータとして、複数の前記駐車場を管理する統括装置に送信するテキストデータ送信手段と、
前記画像に基づいて、前記駐車場内における異常状態の有無を判断する異常状態判断手段と、
前記異常状態判断手段によって判断した前記異常状態に関する情報を画像データとして前記統括装置に送信する画像データ送信手段と、
を有し、
前記テキストデータは、前記駐車枠内における前記自動車の存否を示す情報に限定されず、前記自動車の種類及び登録番号を含み、
前記画像データは、前記自動車の運転者以外の人間が前記自動車の近距離に所定時間以上存在する場合に
おける、所定時間範囲の過去分の画像データ及び現在の画像(動画)である、
駐車場監視装置。
【請求項2】
前記駐車枠認識手段及び前記自動車認識手段は、深層学習(ディープラーニング)によって生成された特徴データを参照するように構成されている、
請求項1に記載の駐車場監視装置。
【請求項3】
前記異常状態判断手段は、前記自動車と人間との関係が所定の異常条件を満たすときに、前記異常状態であると判断する、
請求項1に記載の駐車場監視装置。
【請求項4】
前記統括装置から駐車の予約を希望する予約情報を受信する予約情報受信手段を有し、
前記駐車場内に実際に存在する前記自動車と前記予約情報に基づいて、利用可能な前記駐車枠があるか否かを外部に表示する表示装置を制御する表示制御手段を有する、
請求項1に記載の駐車場監視装置。
【請求項5】
前記画像中の人物を検知し、自動車の運転者を特定する運転者特定手段と、
前記運転者を示す画像データを送信する運転者画像データ送信手段を有する、請求項1に記載の駐車場監視装置。
【請求項6】
駐車場内に進入してきた進入自動車の画像を取得する進入自動車画像取得手段と、
前記進入自動車の外形を算出する外形算出手段と、
前記外形算出手段によって算出した前記進入自動車の外形に基づいて、前記進入自動車が駐車可能な駐車枠を判断する駐車枠判断手段と、
前記駐車枠判断手段によって判断した前記駐車枠に前記進入自動車を導くナビゲート手段と、
を有する、
請求項1に記載の駐車場監視装置。
【請求項7】
駐車場に配置される駐車場監視装置と、
複数の前記駐車場監視装置と通信可能な統括装置と、
前記統括装置と通信可能なユーザー装置と、
を有する駐車場システムであって、
前記駐車場監視装置は、
前記駐車場内において、画像を取得する画像取得手段と、
前記画像に基づいて、前記駐車場に含まれる複数の駐車枠を認識する駐車枠認識手段と、
前記画像に基づいて、前記駐車枠内に存在する自動車を認識する自動車認識手段と、
前記自動車認識手段によって認識した前記自動車に関する情報をテキストデータとして、複数の前記駐車場を管理する統括装置に送信するテキストデータ送信手段と、
前記画像に基づいて、前記駐車場内における異常状態の有無を判断する異常状態判断手段と、
前記異常状態判断手段によって判断した前記異常状態に関する情報を画像データとして前記統括装置に送信する画像データ送信手段と、
を有し、
前記統括装置は、
前記ユーザー装置からの問い合わせに応じて、駐車可能な前記駐車枠を有する前記駐車場に関する情報を前記ユーザー装置に送信する情報提供手段を有し、
前記テキストデータは、前記駐車枠内における前記自動車の存否を示す情報に限定されず、前記自動車の種類及び登録番号を含み、
前記画像データは、前記自動車の運転者以外の人間が前記自動車の近距離に所定時間以上存在する場合に
おける、所定時間範囲の過去分の画像データ及び現在の画像(動画)である、
駐車場管理システム。
【請求項8】
前記統括装置は、前記ユーザー装置から位置情報を受信し、
前記情報提供手段は、前記ユーザー装置の位置に近い前記駐車場に関する情報を前記ユーザー装置に送信するように構成されており、
さらに、
前記ユーザー装置から特定の前記駐車場の利用を希望する予約情報を受け付ける予約情報受付手段と、
前記予約情報を前記駐車場監視装置に送信する予約情報送信手段と、
を有する請求項7に記載の駐車場管理システム。
【請求項9】
駐車場を管理する駐車場監視装置を制御するコンピュータを、
駐車場内において、画像を取得する画像取得手段、
前記画像に基づいて、前記駐車場に含まれる複数の駐車枠を認識する駐車枠認識手段、
前記画像に基づいて、前記駐車枠内に存在する自動車を認識する自動車認識手段、
前記自動車認識手段によって認識した前記自動車に関する情報をテキストデータとして、複数の前記駐車場を管理する統括装置に送信するテキストデータ送信手段、
前記画像に基づいて、前記駐車場内における異常状態の有無を判断する異常状態判断手段、及び、
前記異常状態判断手段によって認識した前記異常状態に関する情報を画像データとして前記統括装置に送信する画像データ送信手段、
として、機能させるための駐車場管理プログラムであって、
前記テキストデータは、前記駐車枠内における前記自動車の存否を示す情報に限定されず、前記自動車の種類及び登録番号を含み、
前記画像データは、前記自動車の運転者以外の人間が前記自動車の近距離に所定時間以上存在する場合に
おける、所定時間範囲の過去分の画像データ及び現在の画像(動画)である、
駐車場管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場監視装置、駐車場管理システム及び駐車場管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駐車場を監視カメラによって監視する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特に都市部においては、小規模の駐車場が多く、監視カメラで取得した画像を確認するために多くの人手が必要となる。また、パークロックなどの機械設置の負担も必要となる。
【0005】
本発明はかかる問題の解決を試みたものであり、少人数で、もしくは無人で、多くの駐車場を管理することを可能にする駐車場監視装置、駐車場管理システム及び駐車場管理プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一の発明は、駐車場内において、画像を取得する画像取得手段と、前記画像に基づいて、前記駐車場に含まれる複数の駐車枠を認識する駐車枠認識手段と、前記画像に基づいて、前記駐車枠内に存在する自動車を認識する自動車認識手段と、前記自動車認識手段によって認識した前記自動車に関する情報をテキストデータとして、複数の前記駐車場を管理する統括装置に送信するテキストデータ送信手段と、前記画像に基づいて、前記駐車場内における異常状態の有無を判断する異常状態判断手段と、前記異常状態判断手段によって認識した前記異常状態に関する情報を画像データとして前記統括装置に送信する画像データ送信手段と、を有する駐車場監視装置である。
【0007】
第一の発明の構成によれば、駐車場監視装置は、駐車枠内に存在する自動車に関する情報をテキストデータとして統括装置に送信し、異常状態情報は画像データとして統括装置に送信する。自動車に関する情報はテキストデータであり、画像データに比べて容量が小さなデータである。異常状態情報は画像データであり、テキストデータに比べて容量は大きいが、異常状態が生じた場合にのみ送信される。すなわち、駐車場監視装置は、異常状態情報のみを画像データとして統括装置に送信するから、すべての画像でデータを統括装置に送信する場合に比べて、通信回線の容量は小さくてもよい。また、統括装置を管理する管理者は、異常状態情報のみを画像で目視して適宜の対応をとれば足りるから、一人の管理者で数多くの駐車場監視装置を管理することができる。これにより、少人数で、多くの駐車場を管理することができる。
【0008】
第二の発明は、第一の発明の構成において、前記駐車枠認識手段及び前記自動車認識手段は、深層学習(ディープラーニング)によって生成された特徴データを参照するように構成されており、前記テキストデータには、前記自動車の種類及び登録番号を含む、駐車場監視装置である。
【0009】
第三の発明は、第一の発明の構成において、前記異常状態判断手段は、前記自動車と人間との関係が所定の異常条件を満たすときに、前記異常状態であると判断する、駐車場監視装置である。
【0010】
第四の発明は、第一の発明の構成において、前記統括装置から駐車の予約を希望する予約情報を受信する予約情報受信手段を有し、前記駐車場内に実際に存在する前記自動車と前記予約情報に基づいて、利用可能な前記駐車枠があるか否かを外部に表示する表示装置を制御する表示制御手段を有する、駐車場監視装置である。
【0011】
第五の発明は、第一の発明の構成において、前記画像中の人物を検知し、自動車の運転者を特定する運転者特定手段と、前記運転者を示す画像データを送信する運転者画像データ送信手段を有する、駐車場監視装置である。
【0012】
第六の発明は、第一の発明の構成において、駐車場内に進入してきた進入自動車の画像を取得する進入自動車画像取得手段と、前記進入自動車の外形を算出する外形算出手段と、前記外形算出手段によって算出した前記進入自動車の外形に基づいて、前記進入自動車が駐車可能な駐車枠を判断する駐車枠判断手段と、前記駐車枠判断手段によって判断した前記駐車枠に前記進入自動車を導くナビゲート手段と、を有する、駐車場監視装置である。
【0013】
第七の発明は、駐車場に配置される駐車場監視装置と、複数の前記駐車場監視装置と通信可能な統括装置と、前記統括装置と通信可能なユーザー装置と、を有する駐車場システムであって、前記駐車場監視装置は、前記駐車場内において、画像を取得する画像取得手段と、前記画像に基づいて、前記駐車場に含まれる複数の駐車枠を認識する駐車枠認識手段と、前記画像に基づいて、前記駐車枠内に存在する自動車を認識する自動車認識手段と、前記自動車認識手段によって認識した前記自動車に関する情報をテキストデータとして、複数の前記駐車場を管理する統括装置に送信するテキストデータ送信手段と、を有し、前記統括装置は、前記ユーザー装置からの問い合わせに応じて、駐車可能な前記駐車枠を有する前記駐車場に関する情報を前記ユーザー装置に送信する情報提供手段を有する、駐車場管理システムである。
【0014】
第八の発明は、第七の発明の構成において、前記統括装置は、前記ユーザー装置から位置情報を受信し、前記情報提供手段は、前記ユーザー装置の位置に近い前記駐車場に関する情報を前記ユーザー装置に送信するように構成されており、さらに、前記ユーザー装置から特定の前記駐車場の利用を希望する予約情報を受け付ける予約情報受付手段と、前記予約情報を前記駐車場監視装置に送信する予約情報送信手段と、を有する、駐車場管理システムである。
【0015】
第九の発明は、駐車場を管理する駐車場監視装置を制御するコンピュータを、駐車場内において、画像を取得する画像取得手段、前記画像に基づいて、前記駐車場に含まれる複数の駐車枠を認識する駐車枠認識手段、前記画像に基づいて、前記駐車枠内に存在する自動車を認識する自動車認識手段、前記自動車認識手段によって認識した前記自動車に関する情報をテキストデータとして、複数の前記駐車場を管理する統括装置に送信するテキストデータ送信手段、前記画像に基づいて、前記駐車場内における異常状態の有無を判断する異常状態判断手段、及び、前記異常状態判断手段によって認識した前記異常状態に関する情報を画像データとして前記統括装置に送信する画像データ送信手段、として、機能させるための駐車場管理プログラムである。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、少人数で、多くの駐車場を管理することができる駐車場監視装置、駐車場管理システム及び駐車場管理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図3】通信されるデータの経路等を示す概略図である。
【
図4】駐車場監視装置の機能ブロックを示す概略図である。
【
図5】駐車場監視装置が有するデータを示す概略図である。
【
図6】統括装置の機能ブロックを示す概略図である。
【
図7】統括装置が有するデータを示す概略図である。
【
図8】ユーザー装置の機能ブロックを示す概略図である。
【
図9】駐車場監視装置の動作を示す概略フローチャートである。
【
図10】駐車場監視装置の動作を示す概略フローチャートである。
【
図11】駐車場監視装置の動作を示す概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、当業者が適宜実施できる構成については説明を省略し、本発明の基本的な構成についてのみ説明する。
【0019】
図1は、駐車場1Aを上空から見た概略平面図である。駐車場監視装置10(以下、「監視装置10」という。)は、駐車場1Aを監視するための構成であり、駐車場1A内に配置される。監視装置10は、筐体10a、及び、筐体10aに配置された可視光カメラ10b及び赤外線カメラ10cを備える。可視光カメラ10bによって可視光画像を取得し、赤外線カメラ10cによってサーモグラフィー(熱分布を示す画像:thermography)を取得する。監視装置10は、回転軸10dを軸として水平方向(矢印X1方向)に回動可能であり、回転軸10eを軸として上下方向(矢印Z1方向)に回動可能である。監視装置10は、駐車場1Aの領域内全体の画像を取得することができる。監視装置10は、また、スピーカー10fを備える。
【0020】
駐車場1Aは、矢印G1に示す方向へ、自動車が移動するように構成されている。駐車場1Aには、駐車枠S1乃至S10がある。現在、駐車枠S2には自動車20Aが存在し、駐車枠S5には自動車20Bが存在し、駐車枠S6には自動車20Cが存在し、駐車枠S8には自動車20Dが存在し、駐車枠S9には自動車20Eが存在する。駐車場1Aの入口には表示装置12が配置されており、駐車場1A内に、利用可能な駐車枠が存在するか否かを示す。現在、駐車枠S1乃至S10のうち、5つの駐車枠が空いているから、表示装置12は、利用可能な駐車枠があることを示す「空き」の表示をしている。表示装置12は、利用可能な駐車枠がない場合には「満車」の表示を行う。
【0021】
図2に示すように、駐車場管理システム300は、多数の監視装置10、多数のユーザー装置200A等、及び、統括装置100で構成される。駐車場管理システム300は、多数の駐車場1A等を管理するシステムであり、駐車場1Aごとに監視装置10が配置される。
図2では、駐車場1A乃至1Dのみを示しているが、実際には、例えば、100~1000という、多数の監視装置10が存在し得る。多数の監視装置10はインターネット120を介して、統括装置100と通信可能になっている。統括装置100は、インターネット120を介して、ユーザー装置200A乃至200E(ユーザー装置200A等を総括して、以下、「ユーザー装置200」という。)と通信可能になっている。ユーザー装置200等は、実際には、例えば、10000~100000という、非常に多くの数が存在し得る。監視装置10及び統括装置100は、種々のコンピュータプログラムを格納しているが、いわゆる、クラウドコンピューティングを利用するようにしてもよい。
【0022】
監視装置10は、可視光カメラ10b及び赤外線カメラ10cで取得した画像に含まれる物体について、画像認識を行う。監視装置10は、深層学習(ディープラーニング)によって生成された特徴データを参照するようになっており、取得した画像に含まれる物体の特徴を識別して、物体を画像認識できるようになっている。なお、深層学習(ディープラーニング)とは、多層構造のニューラルネットワークの機械学習であり、画像認識の分野が有力な活用分野の一つである。
【0023】
監視装置10は、カテゴリーごとの多数の特徴情報に基づいて、可視光カメラ10b等によって取得した画像に含まれる物体の特徴を識別して、物体のカテゴリーを認識できるようになっている。ここで、カテゴリーとは、駐車枠、各種の自動車、自動車の登録番号、人間等を意味する。カテゴリーは、細分化されており、自動車の登録番号を構成する具体的な文字(例えば、漢字、ひらがな及び数字というだけではなく、数字であれば、「1123」など、具体的な文字)を認識することができる。人間等は、その特徴である、顔の造作、服の色等を認識することができる。これにより、例えば、過去に認識した人間と、現在に認識した人間の異同を判断することもできる。
【0024】
具体的には、監視装置10は、取得した画像について、例えば、輪郭や個々の構成の方向といった特徴を多数抽出し、ディープラーニングで取得した各カテゴリーの特徴データと対比して、相関性(相関度)を判断する。相関度が高いほど、取得した画像中の物体が特定のカテゴリーに属する可能性が高い。例えば、相関度が0の場合には、特定のカテゴリーに属する可能性(以下、「カテゴリー共通確率」と呼ぶ。)は0%として、相関度が最大値を示すときに、カテゴリー共通確率が100%であると定義する。監視装置10は、カテゴリー共通確率が所定の基準値である、例えば、95%以上であるときに、取得した画像中の物体のカテゴリーが、特定のカテゴリーに属すると判断する。監視装置10は、可視光画像を使用してディープラーニングして得た特徴データと、サーモグラフィーを使用してディープラーニングして得た特徴データを有する。監視装置10は、可視光カメラ10bで得た画像中の物体の画像認識は可視光画像に基づく特徴データを参照し、赤外線カメラ10cで得た画像中の物体の画像認識はサーモグラフィーに基づく特徴データを参照するように構成されている。
【0025】
監視装置10は、駐車場の領域の境界を示す特徴データ、駐車枠を示す特徴データ、各種の自動車を示す特徴データ、自動車のナンバープレートを示す特徴データ、人間を示す特徴データ等の特徴データを有しており、画像認識によって、駐車枠、自動車の種類や登録番号、人間等を認識することができるようになっている。さらに、監視装置10は、画像認識した結果に基づいて、不自然な状態(異常状態)を判断することができる。
【0026】
図3に示すように、監視装置10は、統括装置100とインターネット120を介して、テキストデータの送受信(矢印R1及びR5)、及び、画像データの送信(矢印R2)を行う。統括装置100は、インターネット120を介して、監視装置10及びユーザー装置200とデータを送受信(矢印R3及びR4)できる。ユーザー装置200は、インターネット120を介して、統括装置100とデータを送受信(矢印R6及びR7)できる。
【0027】
監視装置10は、駐車場領域、駐車枠、自動車の車種、自動車の登録番号、人間等を画像認識する。そして、監視装置10自体の識別番号(配置される駐車場の識別番号)、住所(所在地)、駐車枠数、駐車場内に駐車されている自動車の車種、自動車の登録番号から構成される基本情報をテキストデータとして統括装置100に送信する。基本情報は、テキストデータであるから、画像データを送信する場合に比べて、通信速度は速く、また、通信回線の容量も比較的小さくてもよい。また、統括装置100を管理する担当者は、基本情報を目視して確認する必要はない。
【0028】
監視装置10は、画像認識に基づいて、異常状態の有無を判断する。異常状態は、例えば、普通の状態以外の状態と定義する。駐車場1A(
図1参照)に、自動車20Aが入ってきて、駐車枠S2が空いていれば、他の自動車20B等に接触することなく、駐車枠S2に駐車するのは普通の状態である。そして、運転者30Aが、数分以内に自動車20Aから出て、駐車場1Aを出るのは普通の状態である。これに対して、自動車20Aが他の自動車20B等に接触するのは普通の状態ではないから異常状態である。また、運転者30Aが、他の自動車20B等に近づいて、所定時間以上(例えば、5分間以上)、近距離(例えば、1メートル(m)以内)を維持するのは普通の状態ではないから異常状態である。また、運転者30Aが自動車20Aを出たにもかかわらず、自動車20Aの内部に子供等の人間が存在し、所定時間以上(例えば、20分以上)経過する状態は普通の状態ではないから異常状態である。あるいは、駐車場1Aに存在した記録のない人物が、自動車20A等に所定時間以上(例えば、5分間以上)、近距離(例えば、1メートル(m)以内)を維持するのは普通の状態ではないから異常状態である。監視装置10は、「異常状態」の存在を判断した場合には、その異常状態に関する画像データをインターネット120経由にて統括装置100に送信する。画像データは、例えば、自動車20Aの運転者30A以外の人間が自動車20Aの近距離に所定時間以上存在する場合には、過去5分間の画像データ及び現在の画像(動画)である。異常状態に関する画像データは、異常状態が生じた場合以外には統括装置100に送信されないから、やはり、通信回線の容量は比較的小さくてもよい。また、統括装置100を管理する担当者は、異常状態が生じた場合にのみ、受信した画像データを目視で確認すればよいから、少人数で、多数の監視装置10(駐車場1A等)を管理することができる。
【0029】
統括装置100は、ユーザー装置200から、利用可能な駐車場の問い合わせを受けた場合には、ユーザー装置200に対して、利用可能な駐車場に関するデータを送信する。統括装置100は、ユーザー装置200から予約希望を示すデータを受信した場合には、予約希望を示す駐車予約情報を対象となる監視装置10に送信する。監視装置10は、統括装置100から予約希望を示すデータを受信すると、
【0030】
図4に示すように、監視装置10は、CPU(Central Processing Unit)50、記憶部52、通信部54、画像処理部56、表示制御部58、及び、電源部60を有する。
【0031】
通信部54によって、監視装置10は統括装置100と通信可能になっている。
【0032】
画像処理部56によって、監視装置10は、可視光カメラ10b等を作動させて、可視光画像等を取得することができる。
【0033】
電源部60は、例えば、交流電源と接続されており、監視装置10の各部に電力を供給するようになっている。
【0034】
記憶部52には、筐体10aを回動させるプログラムや可視光カメラ10b等を作動させるプログラム等の基本的なプログラムのほか、以下の各プログラムが格納されている。
【0035】
記憶部52には、駐車場領域認識プログラム、駐車枠認識プログラム、自動車認識プログラム、予約情報受信プログラム、表示制御プログラム、テキストデータ送信プログラム、異常状態判断プログラム、画像データ送信プログラム、運転者特定プログラム、運転者画像データ送信プログラム、侵入自動車画像取得プログラム、外形算出プログラム、駐車枠判断プログラム、及び、ナビゲートプログラムが格納されている。
【0036】
CPU50及び駐車場領域認識プログラムは、駐車場1Aの領域を認識する駐車場領域認識手段の一例である。CPU50及び駐車枠認識プログラムは、駐車枠認識手段の一例である。CPU50及び自動車認識プログラムは、自動車認識手段の一例である。CPU50及び予約情報受信プログラムは、予約情報受信手段の一例である。CPU50及び表示制御プログラムは、表示制御手段の一例である。CPU50及びテキストデータ送信プログラムは、テキストデータ送信手段の一例である。CPU50及び異常状態判断プログラムは、異常状態判断手段の一例である。CPU50及び画像データ送信プログラムは、画像データ送信手段の一例である。CPU50及び運転者特定プログラムは運転者特定手段の一例である。CPU50及び運転者画像データ送信プログラムは運転者画像データ送信手段の一例である。CPU50及び侵入自動車画像プログラムは侵入自動車画像取得手段の一例である。CPU50及び外形算出プログラムは外形算出手段の一例である。CPU50及び駐車枠判断プログラムは駐車枠判断手段の一例である。CPU50及びナビゲートプログラムはナビゲート手段の一例である。
【0037】
監視装置10は、特定の駐車場である、例えば、駐車場1Aに配置されると、駐車場領域認識プログラムによって、駐車場1Aの境界を画像認識し、駐車場1Aの外部と内部を識別する。このため、監視装置10を特定の駐車場に配置するときには、その駐車場の識別番号及び住所を登録しておけば足り、駐車場の境界や駐車枠の情報を入力する必要はない。
【0038】
また、監視装置10は、駐車場1Aに配置されると、駐車枠認識プログラムによって、駐車枠の数、駐車枠の配置、駐車枠の位置を画像認識する。このため、監視装置10を設定するときに、特定の駐車場の構造を入力しておく必要はない。
【0039】
監視装置10は、自動車認識プログラムによって、各駐車枠S1等に自動車が存在するか否かを認識する。監視装置10は、自動車の車種も認識する。また、監視装置10は、自動車のナンバープレートを画像認識し、そこに記載されている登録番号も認識する。監視装置10は、例えば、
図5に示す駐車場データを作成して保持している。
【0040】
監視装置10は、表示制御プログラムによって、駐車場1Aの駐車枠数と、各駐車枠S1等に存在する自動車の数を対比する。監視装置10は、自動車の数が駐車枠数よりも少ない場合には、表示装置12に「空き」を表示し、自動車の数が駐車場と同一である場合には、表示装置12に「満車」を表示する。
【0041】
監視装置10は、予約情報受信プログラムによって、統括装置100から予約情報を受信する。監視装置10は、統括装置100から、駐車予約情報を受信した場合には、駐車予約情報を踏まえて、上述の表示制御プログラムによる処理を実施する。例えば、駐車枠S1乃至10の10枠に、自動車が現実に9台存在する場合において、1台分の駐車予約情報を受信した場合には、合計で10台であるから、自動車の数が駐車場と同一であるとみなし、表示装置12に「満車」を表示する。予約番号は、例えば、登録番号の下4桁など、自動車の登録番号の一部でよい。また、駐車場1Aの各駐車枠S1等に、せり上がり式のロック板(バー)が配置されている場合には、例えば、「満車」を表示するに至らない場合(駐車枠が実際の駐車数と予約分の合計よりも多い場合)であっても、駐車予約情報を受信した場合に、駐車枠S1等のいずれかのロック板を上げておいて駐車できないようにしておき、予約番号に対応する自動車が駐車場1Aに入ってきた場合に、ロック板を下げるようにしてもよい。
【0042】
監視装置10は、駐車予約情報に示される予約番号を有する自動車が現実に駐車場1Aに入ってきて駐車した場合には、
図5の駐車場データの「予約番号」を消去して、「登録番号」に書き換える。
【0043】
監視装置10は、テキストデータ送信プログラムによって、基本情報(
図3参照)をテキストデータとして、統括装置100に送信する。
【0044】
監視装置10は、異常状態判断プログラムによって異常状態が発生していると判断すると、画像データ送信プログラムによって、その異常状態に関する画像データを統括装置100に送信する。
【0045】
監視装置10は、上述の異常状態に関する画像において、運転者特定プログラムによって、画像中の人物を検知し、自動車の運転者を特定する。監視装置10は、人間を画像認識できるから、その人間が自動車のハンドルの後ろに位置する場合に、運転者であると特定する。監視装置10は、例えば、駐車場1Aに進入してきた自動車20Fの運転者M(
図1参照)を特定することができる。
【0046】
監視装置10は、運転者画像データ送信プログラムによって、運転者を示す画像データを統括装置100に送信する。これにより、統括装置100は、異常状態に関連する運転者の画像データを取得し、例えば、直近の警察署に送信するなどの利用を行うことができる。なお、本実施形態とは異なり、監視装置10は、駐車場1Aに駐車している自動車や進入してきた自動車の運転者を常に特定し、その画像データを統括装置100に送信するようにしてもよい。
【0047】
監視装置10は、進入自動車画像取得プログラムによって、駐車場1A内に進入してきた自動車(進入自動車)の画像を取得する。例えば、自動車20F(
図1参照)が進入してきた場合には、自動車20Fの画像を取得する。
【0048】
監視装置10は、外形算出プログラムによって、駐車場1A内に進入してきた進入自動車20Fの外形を算出する。監視装置10は、自動車20Fの画像のピクセル数に基づいて、自動車の横長さL1及び縦長さL2を算出する。ここで、監視装置10は、その設置時に、駐車場1A内の複数の位置において基準物(例えば、長さ1メートル(m)の棒状のもの)を認識し、その位置における1メートルのものが占めるピクセル数(以下、「基準ピクセル数」という。)を記憶する。複数の位置は、例えば、入口に配置された表示装置12の位置、駐車枠S1等の各入口の位置である。これにより、監視装置10は、駐車場1A内に侵入してきた自動車20Fが画像に占めるピクセル数によって、その外形を算出することができる。
【0049】
監視装置10は、駐車枠判断プログラムによって、自動車20Fの外形を踏まえて、自動車20Fが駐車枠を判断する。監視装置10は、基準ピクセル数に基づいて、各駐車枠S1等の外形も算出し、自動車20Fが駐車可能な駐車枠を、例えば、駐車枠S1であると判断する。
【0050】
監視装置10は、ナビゲートプログラムによって、自動車20Fが駐車可能な駐車枠に自動車20Fを導く。具体的には、監視装置10は、スピーカー10fから、例えば、「今進入してきた登録番号○○の自動車は、駐車枠S1へ駐車してください。」という音声を発する。
【0051】
図6に示すように、統括装置100は、CPU110、記憶部112、通信部114、及び、電源部120を有する。
【0052】
通信部114によって、総括装置100は、監視装置10及びユーザー装置200と通信可能になっている。
【0053】
電源部120は、例えば、交流電源と接続されており、統括装置100の各部に電力を供給するようになっている。
【0054】
記憶部112には、統括装置100のディスプレイ装置(図示せず)やスピーカー(図示せず)を作動させる等の基本的なプログラムのほか、情報提供プログラム及び予約情報受付プログラムが格納されている。CPU110と情報提供プログラムは、情報提供手段の一例である。CPU110と予約情報受付プログラムは、予約情報受付手段の一例である。
【0055】
統括装置100は、情報提供プログラムによって、ユーザー装置200からの問い合わせに応じて、駐車可能な駐車枠を有する駐車場に関する駐車情報をユーザー装置200に送信する。駐車情報には、特定の駐車場の住所、名称及び空いている駐車枠数を含む。統括装置100は、ユーザー装置200の現在位置を示す情報も受信し、ユーザー装置200の現在位置に近い順に、一または複数の駐車場に関する駐車情報をユーザー装置200に送信する。
【0056】
また、統括装置100は、予約情報受付プログラムによって、ユーザー装置200から、特定の駐車場の予約を希望する予約希望情報を受信した場合には、対象となる駐車場1A等の監視装置10に対して、駐車予約情報を送信する。
【0057】
統括装置100は、複数の監視装置10及びユーザー装置200から受信したデータを、例えば、
図7に示す統括装置データとして記憶している。
【0058】
図8に示すように、ユーザー装置200は、CPU210、記憶部212、無線通信部214、測位部216及び、電源部220を有する。
【0059】
無線通信部214によって、ユーザー装置200は、統括装置100と通信可能になっている。
【0060】
電源部220は、例えば、充電可能な可充電電池である。
【0061】
以下、
図9乃至
図11を参照して、監視装置10の動作を概括する。監視装置10は、特定の駐車場である、例えば、駐車場1Aに配置されて、作動を開始すると、駐車場1A内の画像を取得する(
図9のステップST1)。そして、監視装置10は、駐車場1Aの領域及び駐車枠を画像認識する(ステップST2)。
【0062】
監視装置10は、駐車場1Aへの自動車の出入りを認識し(ステップST3)、自動車が入ってきた場合には、車種及び登録番号を画像認識し(ステップST4)、基本情報をテキストデータとして統括装置100へ送信する(ステップST5)。続いて、監視装置10は、駐車枠管理処理を実施する(ステップST6)。
【0063】
図10を参照して、駐車枠管理処理の詳細を説明する。監視装置10は、直近に駐車枠の空があるか否かを判断し(ステップST61)、駐車場の空があれば、表示装置12(
図1参照)に「空き」を表示し、空きがなければ、表示装置12に「満車」を表示する。監視装置10は、予約情報を受信すると(ステップST62)、予約情報に示される自動車の台数を加味して駐車枠の空があるか否かを判断する(ステップST61)。また、監視装置10は、予約情報を受信して(ステップST62)、所定時間内に予約した自動車が到着しない場合には(ステップST63)、駐車場データ(
図5参照)の予約を取り消し、取消情報を統括装置100へ送信し(ステップST64)、予約の取り消しを踏まえて、駐車枠の空があるか否かを判断する(ステップST61)。
【0064】
監視装置10は、
図9及び
図10の処理と平行して、
図11に示す異常状態の判断及び画像データの送信を行う。監視装置10は、異常状態が存在すると判断すると(
図11のステップST101)、統括装置100に画像データを送信する(ステップST102)。
【0065】
なお、本発明は、上記実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0066】
10 駐車場監視装置
100 統括装置
200 ユーザー装置