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特許7190094超疎水性ナノ-マイクロスケールパターンを有するフィルムを調製するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】超疎水性ナノ-マイクロスケールパターンを有するフィルムを調製するための方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 21/064 20060101AFI20221208BHJP
   C01B 32/158 20170101ALI20221208BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20221208BHJP
   B82Y 30/00 20110101ALI20221208BHJP
【FI】
C01B21/064 M
C01B32/158
B82Y40/00
B82Y30/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019568014
(86)(22)【出願日】2018-07-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-27
(86)【国際出願番号】 CA2018050817
(87)【国際公開番号】W WO2019006549
(87)【国際公開日】2019-01-10
【審査請求日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】62/528,579
(32)【優先日】2017-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595006223
【氏名又は名称】ナショナル リサーチ カウンシル オブ カナダ
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】マルティネス-ルビー, ヤディエンカ
(72)【発明者】
【氏名】デノメ, ステファン
(72)【発明者】
【氏名】チェン, フヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム, クン ス
(72)【発明者】
【氏名】シマード, ブノワ
【審査官】神野 将志
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-292801(JP,A)
【文献】Chan Luo et al.,Nano Lett,2008年,8(12),pp.4454-4458, supporting information,https://doi.org/10.1021/nl802411d
【文献】Li W, Wang X, Chen Z, Waje M, Yan Y.,Carbon nanotube film by filtration as cathode catalyst support for proton-exchange membrane fuel cell,Langmuir,2005年, Oct 11;21(21),pp.9386-8389,doi: 10.1021/la051124y
【文献】Zou, Jianhua & Chen, Hui & Chunder, Anindarupa & Yu, Yixin & Huo, Qun & Zhai, Lei,Preparation of a Superhydrophobic and Conductive Nanocomposite Coating from a Carbon‐Nanotube‐Conjugated Block Copolymer Dispersion,Advanced Materials,2008年,20,pp.3337 - 3341, supportino information,doi: 10.1002/adma.200703094
【文献】Tang, M., Hong, M.H., Choo, Y.S. et al. ,Super-hydrophobic transparent surface by femtosecond laser micro-patterned catalyst thin film for carbon nanotube cluster growth,Appl. Phys. A,2010年,101,pp.503-508,https://doi.org/10.1007/s00339-010-5887-6
【文献】Z. Wangand, N. Koratkar et al.,Appl. Phys. Lett.,2007年,90,143117,https://doi.org/10.1063/1.2720761
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 21/064
C01B 32/158
B82Y 40/00
B82Y 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超疎水性ナノ-マイクロスケールパターンを有するフィルムを調製するための方法であって、
所望のマイクロスケール表面形態を有する膜を通して、有機溶媒中でアルキル側鎖を担持する共役ポリマーで非共有結合的に官能化された高アスペクト比ナノ粒子を含む少なくとも1つの懸濁液をろ過して、湿潤フィルムを得るステップであり、膜のマイクロスケール表面形態が、湿潤フィルムの表面にテンプレート化される、ステップ;及び
前記フィルムを乾燥させて、前記ナノ-マイクロスケールパターンを有する超疎水性フィルムを得るステップを含む、方法であって、
有機溶媒中でアルキル側鎖を担持する共役ポリマーで非共有結合的に官能化された高アスペクト比ナノ粒子を含む2つの懸濁液が、所望のマイクロスケール表面形態を有する前記膜を通して逐次的にろ過され、
第1の懸濁液の前記高アスペクト比ナノ粒子がCNTであり、第2の懸濁液の前記高アスペクト比ナノ粒子がBNNTである、又は、第1の懸濁液の前記高アスペクト比ナノ粒子がBNNTであり、第2の懸濁液の前記高アスペクト比ナノ粒子がCNTである、方法。
【請求項2】
前記共役ポリマーが、アルキル側鎖を担持するポリチオフェン、アルキル側鎖を担持するポリフルオレン、アルキル側鎖を担持するポリ(フルオレン-co-ピリジン)、又はアルキル側鎖を担持するポリ(チオフェン-co-フルオレン)である、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記共役ポリマーが、
(a)式I:
【化1】

(式中、Rは、C4~24アルキルであり、nは、式Iの溶解性ポリチオフェンの範囲にある)
のポリチオフェン;
(b)式II:
【化2】

(式中、各Rは、独立にC6~24アルキルであり、mは、式IIの溶解性ポリフルオレンの範囲にある)
のポリフルオレン;及び
(c)式III:
【化3】

(式中、各Rは、独立にC6~24アルキルであり、qは、式IIIの溶解性ポリ(フルオレン-co-ピリジン)の範囲にある)
のポリ(フルオレン-co-ピリジン)
から選択される、
請求項に記載の方法。
【請求項4】
nが、10~200の整数であり、mが、10~100の整数であり、qが、10~100の整数である、請求項に記載の方法。
【請求項5】
が、n-ヘキシル又はn-オクタデシルであり;各Rが、n-オクチル又はn-オクタデシルであり;及び各Rが、n-オクタデシルである、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記高アスペクト比ナノ粒子と前記共役ポリマーとの重量比が、約1:0.05~約1:1である、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記膜が、約0.2μm~約20μmのポアサイズを有する、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記懸濁液をろ過する前記ステップで、前記膜が、ろ過アセンブリに設けられ、前記方法が、乾燥させるステップの前に、前記湿潤フィルムが付着した前記膜を前記ろ過アセンブリから除去することをさらに含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
乾燥させる前記ステップが、周囲温度及び圧力で平坦な表面で膜に付着した湿潤フィルムを乾燥させること、続いて前記膜から半乾きのフィルムを剥がすこと、並びに高温及び減圧でさらに乾燥させることを含む、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願の相互参照]
[0001]本出願は、2017年7月5日に出願された同時係属中の米国特許仮出願第62/528,579号からの優先権の利益を主張し、本出願の内容は、全体的に参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
[0002]本出願は、超疎水性ナノ-マイクロスケールパターンを有するフィルムを調製するための方法、そのような方法から調製されたフィルム、及び超疎水性コーティングとしてのそのようなフィルムの使用に関する。
【0003】
[背景技術]
[0003]限定されないが、防水剤、自己洗浄、曇り止め、氷結防止、生物付着防止、脱塩、低摩擦及び/又は防食表面としての使用のためなど様々な用途のために超疎水性表面を使用することに非常に興味がもたれる。現在、湿潤性の原理の理解と、小規模及び/又は大規模での超疎水性表面を製作するための方法論を定義することの両方を解決するための努力が依然として必要である。
【0004】
[0004]超疎水性表面を達成することは、例えば、2つの主要な特徴:表面の化学組成(例えば、低い表面エネルギー物質の使用)及びその形態学的構造(例えば、大まかな階層的マイクロ/ナノ構造の使用を通して)に依存する。フッ素化化合物が、一般に使用されるが、これらの物質の毒性について懸念されている。表面粗さは、限定されないがCVD及びリソグラフィーなどの技術を使用して作り出されてきた。しかし、そのようなプロセスは、費用がかかり、例えば、拡大するのが難しい場合がある。公知の疎水性表面に関する他の問題としては、例えば、接着性、透明性、耐久性、ナノ構造安定性及び/又は熱安定性が挙げられる。安定なマイクロ及びナノトポグラフィーはまた、ポリマー鎖が容易に艶消し(matted down)される傾向があり、従って、それらの超疎水性の挙動を急速に失うため、容易に達成できなかった。さらに、いくつかの超疎水性表面は、水をはじくが、水蒸気をはじかない場合があり、それによって、実質的な表面湿潤性を生じ得る凝縮を起こさせる。
【0005】
[0005]Boinovichらは、短い及び長い窒化ホウ素ナノチューブ(BNNT)のコーティングが、シリコン基板で成長する、超疎水性表面を開示している。垂直に位置合わせしたカーボンナノチューブ(CNT)アレイも、用いられている。例えば、米国特許第9,115,424号は、超疎水性CNTアレイを製造するための方法であって、垂直に位置合わせしたCNTアレイを準備し、そのアレイに真空熱分解を起こさせて超疎水性CNTアレイを製造する、方法を開示している。
【0006】
[0006]他の方法は、超疎水性CNTフィルムを製造していない。例えば、De Nicolaらは、混合セルロースエステルフィルターを通して水性分散液を真空ろ過し、次いでインスタントレタリング印刷法によってそのようなフィルムを沈着させることにより、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)フィルムを調製することを開示している。そのようなフィルムについてDe Nicolaらにより報告された最大接触角は、109.4°であり、これは、疎水性の挙動にのみ対応する。
【0007】
[0007]Gaoら(2013)は、水溶性合成ポリマーで官能化されたBNNTの水性分散液を開示している。ポリ(p-キシリレンテトラヒドロチオフェニウムクロリド)(PXT)で官能化されたBNNTの分散液を、シリコンウエハーに滴下した後、6時間、240℃で処理して、PXTをポリ(フェニレンビニレン)(PPV)に化学的に変換した。熱処理前、接触角は、わずか137±1°であると測定された。熱処理後、接触角は、依然としてわずか151±1°であると測定された。これらの研究は、Gaoら(2014)による総説でも参照される。
【0008】
[概要]
[0008]BNNTなどの高アスペクト比ナノ粒子の特性、例えば、BNNTの場合には、際立った機械的特性、可視領域での透明性、高い熱安定性及び/又は伝導性を含む特性は、例えば、超疎水性物質で有用であり得る。以下に本明細書により詳細に記載される研究では、有機溶媒中の懸濁液を、BNNT及びCNTの表面エネルギーを修飾するアルキル鎖を担持する共役ポリマーでのBNNT又はCNTの非共有結合的官能化により得た。次いで、懸濁液を、それにより生じたフィルムの表面粗さをテンプレート化した、定義したマイクロスケール形態を有する膜を用いてろ過した。表面の質感又は粗さは、表面の固有の疎水性化学を強化し、高度に非湿潤性の表面を生じる。この方法は、表面のミクロ/ナノ構造及び低表面エネルギー要件の設計を可能にし、超疎水性表面を調製するために使用されている。乾燥したフィルムは、150~170°の水接触角を示し、ポリカーボネート及びガラスなどの様々な基材にも転写することができた。
【0009】
[0009]従って、本出願は、超疎水性ナノ-マイクロスケールパターンを有するフィルムを調製するための方法であって、
所望のマイクロスケール表面形態を有する膜を通して、有機溶媒中でアルキル側鎖を担持する共役ポリマーで非共有結合的に官能化された高アスペクト比ナノ粒子を含む懸濁液をろ過して、湿潤フィルムを得るステップであり、膜のマイクロスケール表面形態が、湿潤フィルムの表面にテンプレート化される、ステップ;及び
フィルムを乾燥させて、ナノ-マイクロスケールパターンを有する超疎水性フィルムを得るステップ
を含む、方法を含む。
【0010】
[0010]本出願は、超疎水性ナノ-マイクロスケールパターンを有するフィルムを調製するための方法であって、
所望のマイクロスケール表面形態を有する膜を通して、有機溶媒中でアルキル側鎖を担持する共役ポリマーで非共有結合的に官能化された高アスペクト比ナノ粒子を含む少なくとも1つの懸濁液をろ過して、湿潤フィルムを得るステップであり、膜のマイクロスケール表面形態が、湿潤フィルムの表面にテンプレート化される、ステップ;及び
フィルムを乾燥させて、ナノ-マイクロスケールパターンを有する超疎水性フィルムを得るステップを含む、方法も含む。
【0011】
[0011]本出願は、150°より大きい静的接触角を有する、高アスペクト比ナノ粒子を含む超疎水性ナノ-マイクロスケールパターンを有するフィルムも含む。いくつかの実施形態では、超疎水性フィルムは、本出願の超疎水性ナノ-マイクロスケールパターンを有するフィルムを調製するための方法から調製される。
【0012】
[0012]本出願のいくつかの実施形態では、高アスペクト比ナノ粒子は、窒化ホウ素ナノチューブ(BNNT)である。本出願のいくつかの実施形態では、高アスペクト比ナノ粒子は、カーボンナノチューブ(CNT)である。本出願のいくつかの実施形態では、高アスペクト比ナノ粒子は、窒化ホウ素ナノ粒子(BNNT)及びカーボンナノチューブ(CNT)の混合物である。
【0013】
[0013]本出願は、本出願の超疎水性ナノ-マイクロスケールパターンを有するフィルムを含むコーティングをさらに含む。
【0014】
[0014]本出願は、防水剤、自己洗浄、曇り止め、氷結防止、生物付着防止、脱塩、低摩擦及び/又は防食表面を調製するための方法であって、表面に本出願の超疎水性ナノ-マイクロスケールパターンを有するフィルムを適用するステップを含む、方法並びに防水剤、自己洗浄、曇り止め、氷結防止、生物付着防止、脱塩、低摩擦及び/又は防食表面を調製するための本出願の超疎水性BNNTナノ-マイクロスケールパターンを有するフィルムの使用をその上さらに含む。
【0015】
[0015]本出願の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかし、本出願の精神及び範囲内の種々の変更及び修正が、この詳細な説明から当業者に明らかになるので、詳細な説明及び特定の実施例が、本出願の実施形態を示しながら、例としてのみ示されることが理解されるべきである。
【0016】
[0016]本出願は、ここで、図面を参照して、より詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】[0017]クロロホルム中の窒化ホウ素ナノチューブ(BNNT)懸濁液(下部左)、クロロホルム中の溶液中の共役ポリマー(CP)(下部中央)、及び本出願の代表的な実施形態での共役ポリマー(BNNT/CP)で非共有結合的に官能化された窒化ホウ素ナノチューブのクロロホルム中の懸濁液(下部右);並びに代表的なBNNTを示す対応する概略図(上部左);コイル状の立体構造での代表的なCP(上部中央);及びBNNTに沿って平面状態にあるCPにより非共有結合的に官能化された代表的なBNNT(上部右)の写真を示す。
図2】[0018]本出願の実施形態で使用されるテフロン(Teflon)(商標)フィルター膜の平らな側(左)及びパターンを有する側(右)の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。スケールバーは、20.0μmを示す。
図3】[0019]本出願の方法の実施形態によるBNNT/CPフィルムの調製を示す概略図、並びにBNNT/CP懸濁液(左端)、BNNT/ポリフルオレンフィルム(上部右)及びBNNT/ポリチオフェンフィルム(右下)の曲げの写真である。
図4】[0020]本出願の実施形態によるCNT/CPフィルムのSEM画像を示す。スケールバーは、50.0μmを示す。
図5】[0021]本出願の実施形態で使用されるフィルター膜(左)及びテンプレートとしてフィルター膜を使用して調製されたBNNT/CPフィルム(右)のSEM画像を示し、膜パターンにより作り出されるミクロンスケールの粗さを示す(白線)。スケールバーは、10.0μmを示す。
図6】[0022]高倍率での代表的なBNNT/CPフィルムのSEM画像であり、膜パターン(白色線)及び個別のナノチューブ(黒色矢印)により作り出されるミクロンスケールの粗さを示す。スケールバーは、2.0μmを示す。
図7】[0023]膜によりテンプレート化されていない側の水接触角(下部)に比較して、代表的なBNNT/CPフィルムの膜側の水接触角(上部)の写真を示す。
図8】[0024]ポリカーボネート(上部)及びガラス(下部)に転写される代表的なBNNT/ポリフルオレンフィルムの写真を示す。
図9】[0025]本出願の代表的な実施形態によるポリフルオレンC18共役ポリマーでの官能化の前後のBNNTの水分吸着等温線を示すプロットである。
【0018】
[詳細な説明]
I.定義
[0026]他に指示されない限り、この及び他のセクションで記載される定義及び実施形態は、それらが、当業者により理解されるであろう場合に適切である、本明細書に記載される本出願の全ての実施形態及び態様に適用できることが意図される。
【0019】
[0027]本出願の範囲を理解する上で、本明細書で使用される場合、用語「含む(comprising)」及びその派生語は、規定された特徴、要素、成分、群、整数及び/又はステップの存在を特定するが、他の規定されていない特徴、要素、成分、群、整数及び/又はステップの存在を排除しない、オープンエンドな用語であることが意図される。先述のものは、用語「含む(including)」、「有する(having)」及びそれらの派生語などの類似の意味を有する単語にも適用する。本明細書で使用される場合、用語「からなる」及びその派生語は、規定された特徴、要素、成分、群、整数及び/又はステップの存在を特定するクローズドな用語であることが意図されるが、他の規定されていない特徴、要素、成分、群、整数及び/又はステップの存在を排除する。本明細書で使用される場合、用語「本質的に~からなる」は、規定された特徴、要素、成分、群、整数及び/又はステップ、並びに特徴、要素、成分、群、整数及び/又はステップの基本の及び新規の特性(複数可)に物質的に影響を及ぼさないものの存在を特定することが意図される。
【0020】
[0028]本明細書で使用される場合、「実質的に」、「約」及び「およそ」などの程度の用語は、最終結果が、大幅に変化しないように修飾された用語の妥当な量の偏差を意味する。これらの程度の用語は、この偏差が、それが修飾する単語の意味を否定しないであろう場合、修飾された用語の少なくとも±5%の偏差を含むと解釈されるべきである。
【0021】
[0029]本明細書で使用される場合、用語「及び/又は」は、列挙された項目が、個別に又は組合せで存在又は使用されることを意味する。実際には、この用語は、列挙されている項目のうちの「少なくとも1つ」又は「1つ又は複数」が、使用される又は存在することを意味する。
【0022】
[0030]本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、内容が、特に明らかに指示しない限り、複数の参照対象を含む。例えば、「共役ポリマー」を含む実施形態は、1つの共役ポリマー又は2つ若しくは複数の追加の共役ポリマーを有する特定の態様を示すことが理解されるべきである。追加の又は第2の共役ポリマーなどの「追加の」又は「第2の」成分を含む実施形態では、明細書に使用される場合、第2の成分は、他の成分又は第1の成分と化学的に異なる。「第3」の成分は、他の、第1の及び第2の成分と異なり、さらに列挙される又は「追加の」成分は、同様に異なる。
【0023】
[0031]本明細書で使用される場合、用語「適切な」は、特定の化合物、物質又は条件の選択が、行われるべき特定の操作、及び変換されるべき化合物又は物質の同一性に依存するが、選択は、当業者の十分に技術の範囲内であろうことを意味する。本明細書に記載される全てのプロセス/方法のステップは、示される製品を提供するために十分な条件下で行われるべきである。当業者は、例えば、反応溶媒、反応時間、反応温度、反応圧力、反応体比、及び反応が無水又は不活性雰囲気下で行われるかどうかを含む全ての反応条件は、所望の製品の収率を最適化するために変動でき、そうすることは、当業者の技術の範囲内であることを理解するであろう。
【0024】
[0032]表面に関連して本明細書で使用される場合、用語「疎水性」は、90°より大きい水滴の静的接触角を有する物質を指す。
【0025】
[0033]表面に関連して本明細書で使用される場合、用語「超疎水性」は、150°より大きい水滴の静的接触角を有する物質を指す。
【0026】
[0034]本明細書で使用される場合、用語「静的接触角」は、表面の静滴の接触角を指す。例えば、表面の水滴の接触角を、アテンションシータオプティカルテンシオメーター(Attension Theta Optical Tensiometer)を使用して本明細書で測定する。
【0027】
[0035]本明細書で使用される場合、用語「アルキル」は、単独で又は別の基の一部として使用されるかどうかにかかわらず、直鎖又は分岐鎖の飽和アルキル基を意味する。参照されるアルキル基で可能である炭素原子の数は、数的な接頭辞「Cn1~n2」によって示される。例えば、用語C16~24アルキルは、16、17、18、19、20、21、22、23又は24個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。
【0028】
[0036]ナノ粒子に関連して本明細書で使用される場合、用語「アスペクト比」は、ナノ粒子の長さと直径との比を指す。
【0029】
[0037]本明細書で使用される場合、用語「高アスペクト比ナノ粒子」は、ナノメートルスケール(例えば、約1nm~約100nm)に対する平均直径、及び大幅に大きい平均長さ、例えば、典型的にはアスペクト比が、例えば、約1000より大きくてもよいようにマイクロメートルスケール(例えば、約0.5μm~約3mm)を有する粒子を指す。その用語が、本明細書に使用される場合、「高アスペクト比ナノ粒子」の例としては、窒化ホウ素ナノチューブ(BNNT)、カーボンナノチューブ(CNT)、並びに金属ジカルコゲン化物(例えば、WS、MoS)、ハロゲン化物(例えば、NiCl)、酸化物(例えば、TiO、ZnO)及び窒化物(例えば、AlN、GaN)の他の適切な無機ナノチューブが挙げられる。
【0030】
[0038]本明細書で使用される場合、用語「窒化ホウ素ナノチューブ」及び略語「BNNT」は、単層、二重層又は多層であってもよく、層が、グラフェン様立体配置で一緒に接続した、交互に並んだホウ素及び窒素原子の6員環で構成され、直線的壁面(straight-walled)及びバンブー構造の両方を含む、高アスペクト比中空ナノチューブの形態にある窒化ホウ素の多形を指す。
【0031】
[0039]本明細書で使用される場合、用語「カーボンナノチューブ」及び「CNT」は、単層、二重層又は多層であってもよく、層が、グラフェン様立体配置で一緒に接続した6員炭素環で構成された、中空ナノチューブの形態にある炭素の多形を指す。
【0032】
[0040]そのようなパターンを有する超疎水性フィルムに関連して本明細書で使用される場合、用語「ナノ-マイクロスケールパターンを有する」は、マイクロメートルスケールの少なくとも1つの寸法を有する特徴、及びナノメートルスケールの少なくとも1つの寸法を有する特徴を有するパターンを指す。本出願の方法では、マイクロメートルスケールの少なくとも1つの寸法を有する特徴が、所望のマイクロスケール表面形態、すなわち、マイクロメートルスケールの少なくとも1つの寸法を有する表面形態を有する膜を使用してフィルムの表面にテンプレート化される。ナノメートルスケールの少なくとも1つの寸法を有する特徴は、アルキル側鎖を担持する共役ポリマーに埋設される高アスペクト比ナノ粒子から生じる;すなわち、高アスペクト比ナノ粒子は、アルキル側鎖を担持する共役ポリマーでコーティング(又は非共有結合的に官能化)される。
【0033】
II.方法
[0041]BNNT又はCNTの表面エネルギーを修飾するアルキル鎖を担持する共役ポリマーでの、BNNT又はCNTなどの高アスペクト比ナノ粒子の非共有結合的官能化により調製された有機溶媒中の懸濁液を、定義したマイクロスケール表面形態を有する膜を使用してろ過して、フィルム上に表面粗さをテンプレート化し、それにより生成した。表面の質感、又は粗さは、表面の固有の疎水性化学を強化し、高度に非湿潤性の表面を生じた。この方法は、表面のマイクロ/ナノ構造の設計及び低表面エネルギー要件を可能にし、超疎水性表面を調製するために使用されてきた。
【0034】
[0042]従って、本出願は、超疎水性ナノ-マイクロスケールパターンを有するフィルムを調製するための方法であって、
所望のマイクロスケール表面形態を有する膜を通して、有機溶媒中でアルキル側鎖を担持する共役ポリマーで非共有結合的に官能化された高アスペクト比ナノ粒子を含む懸濁液をろ過して、湿潤フィルムを得るステップであり、膜のマイクロスケール表面形態が、湿潤フィルムの表面にテンプレート化される、ステップ;及び
フィルムを乾燥させて、超疎水性ナノ-マイクロスケールパターンを有するフィルムを得るステップを含む
方法を含む。
【0035】
[0043]本出願は、超疎水性ナノ-マイクロスケールパターンを有するフィルムを調製するための方法であって、
所望のマイクロスケール表面形態を有する膜を通して、有機溶媒中でアルキル側鎖を担持する共役ポリマーで非共有結合的に官能化された高アスペクト比ナノ粒子を含む少なくとも1つの懸濁液をろ過して、湿潤フィルムを得るステップであり、膜のマイクロスケール表面形態が、湿潤フィルムの表面にテンプレート化される、ステップ;及び
フィルムを乾燥させて、超疎水性ナノ-マイクロスケールパターンを有するフィルムを得るステップ
を含む方法も含む。
【0036】
[0044]一実施形態では、有機溶媒中でアルキル側鎖を担持する共役ポリマーで非共有結合的に官能化された高アスペクト比ナノ粒子を含む1つの懸濁液を、所望のマイクロスケール表面形態を有する膜を通してろ過して、湿潤フィルムを得る。
【0037】
[0045]別の実施形態では、有機溶媒中でアルキル側鎖を担持する共役ポリマーで非共有結合的に官能化された高アスペクト比ナノ粒子を含む2つ以上の懸濁液を、所望のマイクロスケール表面形態を有する膜を通してろ過して、湿潤フィルムを得る。そのような実施形態では、高アスペクト比ナノ粒子及び/又は各懸濁液中にアルキル側鎖を担持する共役ポリマーの同一性が、変動することは、当業者によって認識される。
【0038】
[0046]いくつかの実施形態では、懸濁液は、同時にろ過される。いくつかの実施形態では、懸濁液は、逐次的にろ過される。例えば、懸濁液が逐次的にろ過される実施形態では、全ての懸濁液が膜を通してろ過されるまで、第1の懸濁液が、実質的に全ての有機溶媒が通過するまで、膜を通してろ過され得(すなわち、第1の湿潤フィルム層が、膜に沈着している)、次いで、第2の懸濁液が、実質的に全ての有機溶媒が通過するまで、膜を通してろ過され得る(すなわち、第2の湿潤フィルム層が、第1の湿潤フィルム層に沈着している)などは、当業者に認識される。そのような実施形態では、従って、湿潤フィルムは、湿潤フィルム層、懸濁液に対応する各湿潤フィルム層から構成される。
【0039】
[0047]いくつかの実施形態では、有機溶媒中でアルキル側鎖を担持する共役ポリマーで非共有結合的に官能化された高アスペクト比ナノ粒子を含む2つの懸濁液を、所望のマイクロスケール表面形態を有する膜を通してろ過して、湿潤フィルムを得る。
【0040】
[0048]一実施形態では、懸濁液は、アルキル側鎖を担持する共役ポリマーを含む溶液を、高アスペクト比ナノ粒子を含む懸濁液と混合することによって調製される。一実施形態では、共役ポリマーで非共有結合的に官能化された高アスペクト比ナノ粒子の懸濁液の混合は、懸濁液が得られるまでの時間、例えば、約10分~約12時間又は約30分の時間、アルキル側鎖を担持する共役ポリマーと高アスペクト比ナノ粒子の懸濁液との混合物を超音波処理することを含む。いくつかの実施形態では、懸濁液は、少なくとも2時間の期間の間、可視の高アスペクト比ナノ粒子凝集体及び/又は可視の沈殿を欠いている。
【0041】
[0049]高アスペクト比ナノ粒子は、任意の適切な高アスペクト比ナノ粒子であり得る。
本出願のいくつかの実施形態では、高アスペクト比ナノ粒子は、窒化ホウ素ナノチューブ(BNNT)である。本出願のいくつかの実施形態では、高アスペクト比ナノ粒子は、カーボンナノチューブ(CNT)である。本出願のいくつかの実施形態では、高アスペクト比ナノ粒子は、金属ジカルコゲン化物(例えば、WS、MoS)、ハロゲン化物(例えば、NiCl)、酸化物(例えば、TiO、ZnO)又は窒化物(例えば、AlN、GaN)の無機ナノチューブである。
【0042】
[0050]有機溶媒中でアルキル側鎖を担持する共役ポリマーで非共有結合的に官能化された高アスペクト比ナノ粒子を含む2つの懸濁液を、所望のマイクロスケール表面形態を有する膜を通して逐次的にろ過して、湿潤フィルムを得る一実施形態では、第1の懸濁液の高アスペクト比ナノ粒子は、CNTであり、第2の懸濁液の高アスペクト比ナノ粒子は、BNNTである。有機溶媒中でアルキル側鎖を担持する共役ポリマーで非共有結合的に官能化された高アスペクト比ナノ粒子を含む2つの懸濁液を、所望のマイクロスケール表面形態を有する膜を通して逐次的にろ過して、湿潤フィルムを得る別の実施形態では、第1の懸濁液の高アスペクト比ナノ粒子は、BNNTであり、第2の懸濁液の高アスペクト比ナノ粒子は、CNTである。
【0043】
[0051]BNNTは、誘導熱プラズマ、アーク放電、レーザー気化、化学蒸着(例えば、供給原料としてボラジン又はホウ素粉末及び金属酸化物の混合物を使用すること)、ボールミル及び加圧蒸気/コンデンサーを含むものを含むが、それらに限定されない、当技術分野で公知の種々の方法により調製することができる。例えば、本出願の実施形態で使用するための適切なBNNTは、Kim, K. S.;Kingston, C. T. ;Hrdina, A. ;Jakubinek, M. B. ;Guan, J. ;Plunkett, M. ;Simard, B、「Hydrogen-Catalyzed, Pilot-Scale Production of Small-Diameter Boron Nitride Nanotubes and Their Macroscopic Assemblies」ACS Nano 2014;8;6211~6220に記載される通り調製することができる。
【0044】
[0052]CNTは、当技術分野で公知の標準的な方法によっても調製することができる、又は代わりに商業的供給源から得ることができる。一実施形態では、CNTは、多層カーボンナノチューブ(MWCNT)である。
【0045】
[0053]金属ジカルコゲン化物(例えば、WS、MoS)、ハロゲン化物(例えば、NiCl)、酸化物(例えば、TiO、ZnO)又は窒化物(例えば、AlN、GaN)の無機ナノチューブは、当業者に公知の標準的な方法によっても調製することができる。
【0046】
[0054]有機溶媒は、任意の適切な有機溶媒である。有機溶媒は、例えば、アルキル側鎖を担持する共役ポリマーの性質に依存し、本出願の方法のための適切な有機溶媒は、当業者によって選択され得る。例えば、共役ポリマーが、少なくとも実質的には溶解性、好ましくは、有機溶媒中で溶解性であるべきであることは、当業者には認識される。一実施形態では、溶媒は、クロロホルム(CHCl)又はテトラヒドロフラン(THF)である。別の実施形態では、共役ポリマーは、アルキル側鎖を担持するポリチオフェンであり、溶媒は、クロロホルムである。さらなる実施形態では、共役ポリマーは、アルキル側鎖を担持するポリフルオレン、又はアルキル側鎖を担持するポリ(フルオレン-coーピリジン)であり、溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)である。
【0047】
[0055]共役ポリマーは、共役ポリマーで非共有結合的に官能化された高アスペクト比ナノ粒子が、非共有結合的官能化の前に高アスペクト比ナノ粒子と比較して、低下した表面エネルギー及び増大した疎水性を有するようにアルキル側鎖を担持する任意の適切な共役ポリマーであり得る。アルキル側鎖を担持する適切な共役ポリマーの選択は、当業者によって行うことができ、例えば、高アスペクト比ナノ粒子の性質(例えば、ファンデルワールス力、双極子-双極子、疎水性-疎水性及び/又は静電気相互作用によるモディファイヤーとの相互作用の可能性)に依存する。一実施形態では、共役ポリマーは、アルキル側鎖を担持するポリチオフェン、ポリフルオレン、ポリ(フルオレン-co-ピリジン)又はポリ(チオフェン-co-フルオレン)である。本出願の別の実施形態では、共役ポリマーは、アルキル側鎖を担持するポリチオフェン、ポリフルオレン又はポリ(フルオレン-co-ピリジン)である。さらなる実施形態では、共役ポリマーは、
(a)式I:
【化1】

(式中、Rは、C4~24アルキルであり、nは、式Iの溶解性ポリチオフェンの範囲にある)
のポリチオフェン;
(b)式II:
【化2】

(式中、各Rは、独立にC6~24アルキルであり、mは、式IIの溶解性ポリフルオレンの範囲にある)
のポリフルオレン;及び
(c)式III:
【化3】

(式中、各Rは、独立にC6~24アルキルであり、qは、式IIIの溶解性ポリ(フルオレン-co-ピリジン)の範囲にある)
のポリ(フルオレン-co-ピリジン)
から選択される。
【0048】
[0056]当業者は、それぞれ、特定の溶解性の式Iのポリチオフェン、式IIのポリフルオレン及び式IIIのポリ(フルオレン-co-ピリジン)を得るためにn、m及びqの適切な値を容易に選択できる。本出願の一実施形態では、nは、10~200の整数であり、mは、10~100の整数であり、qは、10~100の整数である。
【0049】
[0057]さらなる実施形態では、Rは、C6~18アルキルであり;各Rは、独立にC8~18アルキルであり;各Rは、C8~18アルキルである。なおさらなる実施形態では、Rは、n-ヘキシル又はn-オクタデシルであり;各Rは、n-オクチル又はn-オクタデシルであり;各Rは、n-オクタデシルである。それは、共役ポリマーが、式I(式中、Rは、n-ヘキシル又はn-オクタデシルである)のポリチオフェンである実施形態である。本出願の別の実施形態では、共役ポリマーは、式II(式中、各Rは、n-オクチル又はn-オクタデシルである)のポリフルオレンである。さらなる実施形態では、共役ポリマーは、式III(式中、各Rは、n-オクタデシルである)のポリ(フルオレン-co-ピリジン)である。
【0050】
[0058]高アスペクト比ナノ粒子(例えば、BNNT)と共役ポリマーとの重量比は、高アスペクト比ナノ粒子表面の実質的に全てが、アルキル側鎖を担持する共役ポリマーにより覆われるように任意の適切な比であり、例えば、高アスペクト比ナノ粒子の同一性、共役ポリマーの同一性及び/又は高アスペクト比ナノ粒子の純度に依存し得るが、当業者によって容易に決定され得る。例えば、Martinez-Rubiら、J. Phys. Chem. C 2015、119、26605~26610は、窒化ホウ素ナノチューブ(BNNT)の特定のサンプルについての被覆を概算した。CNTについての値は、BNNTについての値に類似していると概算される。一実施形態では、BNNTと共役ポリマーとの重量比は、約1:0.05~約1:1である。別の実施形態では、BNNTと共役ポリマーとの重量比は、約1:0.12である。さらに別の実施形態では、BNNTと共役ポリマーとの重量比は、約1:0.15である。一実施形態では、CNTと共役ポリマーとの重量比は、約1:0.05~約1:1である。別の実施形態では、CNTと共役ポリマーとの重量比は、約1:0.12である。さらに別の実施形態では、CNTと共役ポリマーとの重量比は、約1:0.15である。
【0051】
[0059]一実施形態では、懸濁液をろ過するステップは、膜を通した真空ろ過を含む。膜を通した懸濁液の真空ろ過についての適切な条件は、当業者によって選択され得る。
【0052】
[0060]膜物質は、任意の適切な膜物質である。適切な膜は、例えば、使用される有機溶媒と適合性があり(すなわち、膜が、例えば、溶解及び/又は膨張しないという点で、膜は、ろ過条件下で有機膜に対して実質的に不活性である)、フィルムが、乾燥後そこから容易に除去されないように超疎水性ナノ-マイクロスケールパターンを有するフィルムに接着しないことは当業者によって認識される。一実施形態では、膜は、ポリ(1,1,2,2-テトラフルオロエチレン)を含む、又はそれから本質的になる。
【0053】
[0061]膜ポアサイズは、任意の適切なサイズである。例えば、ポアサイズは、ナノチューブが、ろ過の間にろ液を通過することが防止されるように十分に小さい。一実施形態では、膜は、約0.2μm~約20μm、約0.2μm~約5μm又は約1.2μmのポアサイズを有する。
【0054】
[0062]この下により詳細に記載される実験では、超疎水性ナノ-マイクロスケールパターンを有するフィルムが得られるように表面をテンプレート化するための適切なマイクロスケール表面形態を有する、既存の膜が選択された。しかし、本出願の方法は、差圧(例えば、真空)がろ過ステップの間に適用される場合、高アスペクト比ナノ粒子が表面形態の凹領域に浸透できる限り、及び膜がマイクロメートルスケールの少なくとも1つの寸法を有するフィルムでのパターンをテンプレート化する限り、例えば、広範な表面形態を有する膜に適用され得る。差圧(例えば、真空)の適用が表面形態の凹領域に浸透するナノ粒子を生じるように、膜内のポアが適切な位置に置かれることも、当業者によって認識される。適切な膜は、商業的供給源から利用可能であり得る。代わりに、いくつかの実施形態では、所望のサイズ及びマイクロスケール表面形態の膜は、本出願の方法により調製された超疎水性ナノ-スケールパターンを有するフィルムの特定の最終使用のために設計され得る。
【0055】
[0063]一実施形態では、凹領域は、約2μm~約30μm又は約5μm~約15μmの幅、及び約0.1cm~約2cm又は約0.5cm~約1.3cmの長さを有する。別の実施形態では、凹領域は、約2μm~約30μm又は約5μm~約15μmの幅、及び膜のその寸法と実質的に同じ長さである長さを有する。凹領域の間の空間が、例えば、超疎水性の領域及びより小さい疎水性である領域を有するフィルムを調製するために変動し得ることも、当業者によって認識される。
【0056】
[0064]一実施形態では、懸濁液をろ過するステップで、膜が、ろ過アセンブリに設けられ、方法は、乾燥させるステップの前に、湿潤フィルムが付着した膜をろ過アセンブリから除去することをさらに含む。一実施形態では、乾燥させるステップは、周囲温度及び圧力(すなわち、フィルムを平坦に保つのに十分な圧力)で平坦な表面で膜に付着した湿潤フィルムを乾燥させること、続いて膜から半乾きのフィルムを剥がすこと、並びに高温及び減圧でさらに乾燥させることを含む。一実施形態では、湿潤フィルムは、約12時間~約15時間の時間、約15℃~約40℃又は約20℃~約25℃の温度で最初に乾燥され、任意選択で、パーチメント紙及びセルロースフィルター紙の間などの適切な物質の間に置かれ、次いで、半乾きのフィルムが、約1時間~約24時間、又は約2時間の時間、約60℃~約90℃又は約75℃の温度でさらに乾燥され、任意選択でフィルムは、ポリ(1,1,2,2-テトラフルオロエチレン)フィルムなどの非付着性の表面に置かれる。
【0057】
III.フィルム、コーティング及び使用
[0065]本出願の方法により調製された乾燥したフィルムは、150~170°の水接触角を示し、ポリカーボネート及びガラスなどの様々な基材にも転写することができた。
【0058】
[0066]従って、本出願は、150°より大きい静的接触角を有する超疎水性ナノ-マイクロスケールパターンを有するフィルムを含む。いくつかの実施形態では、超疎水性ナノ-マイクロスケールパターンを有するフィルムは、アルキル側鎖を担持する共役ポリマーで非共有結合的に官能化された高アスペクト比ナノ粒子を含む。いくつかの実施形態では、超疎水性ナノ-マイクロスケールパターンを有するフィルムの表面にテンプレート化されたマイクロスケール形態は、所望のマイクロスケール表面形態を有する膜を使用して得られる。アルキル側鎖を担持する共役ポリマー、高アスペクト比ナノ粒子、及び所望のマイクロスケール表面形態を有する膜は、本出願の超疎水性ナノ-マイクロスケールパターンを有するフィルムを調製するための方法についての実施形態で本明細書に詳述される通り変動できる。例えば、いくつかの実施形態では、高アスペクト比ナノ粒子は、窒化ホウ素ナノチューブ(BNNT)である。いくつかの実施形態では、高アスペクト比ナノ粒子は、カーボンナノチューブ(CNT)である。いくつかの実施形態では、高アスペクト比ナノ粒子は、窒化ホウ素ナノチューブ(BNNT)及びカーボンナノチューブ(CNT)の混合物である。
【0059】
[0067]高アスペクト比ナノ粒子が、BNNT及びCNTの混合物である実施形態では、ナノスケールの特徴は、BNNTから生じる。例えば、本願の超疎水性ナノ-マイクロスケールパターンを有するフィルムを調製するための方法について本明細書に詳述される実施形態により、そのようなフィルムが、BNNTを含む懸濁液、続いて、CNTを含む懸濁液を逐次的にろ過することにより調製され得ることは、当業者によって認識される。高アスペクト比ナノ粒子がBNNT及びCNTの混合物である別の実施形態では、ナノスケールの特徴は、CNTから生じる。例えば、本出願の超疎水性ナノ-マイクロスケールパターンを有するフィルムを調製するための方法について本明細書に詳述される実施形態により、そのようなフィルムが、CNTを含む懸濁液、続いてBNNTを含む懸濁液を逐次的にろ過することにより調製され得ることは、当業者によって認識される。
【0060】
[0068]いくつかの実施形態では、超疎水性ナノ-マイクロスケールパターンを有するフィルムは、本出願の超疎水性ナノ-マイクロスケールパターンを有するフィルムを調製するための方法から調製される。一実施形態では、超疎水性ナノ-マイクロスケールパターンを有するフィルムは、152°より大きい静的水接触角を有する。一実施形態では、超疎水性ナノ-マイクロスケールパターンを有するフィルムは、155°より大きい静的水接触角を有する。別の実施形態では、超疎水性ナノ-マイクロスケールパターンを有するフィルムは、160°より大きい静的水接触角を有する。さらなる実施形態では、超疎水性ナノ-マイクロスケールパターンを有するフィルムは、165°より大きい静的水接触角を有する。なおさらなる実施形態では、超疎水性ナノ-マイクロスケールパターンを有するフィルムは、170°より小さい静的水接触角を有する。それは、超疎水性ナノ-マイクロスケールパターンを有するフィルムが、約150°~約170°又は約152°~約170°である静的水接触角を有する一実施形態である。別の実施形態では、超疎水性ナノ-マイクロスケールパターンを有するフィルムは、約155°~約170°である静的水接触角を有する。さらなる実施形態では、超疎水性ナノ-マイクロスケールパターンを有するフィルムは、約160°~約170°である静的水接触角を有する。なおさらなる実施形態では、超疎水性ナノ-マイクロスケールパターンを有するフィルムは、約165°~約170°である静的水接触角を有する。
【0061】
[0069]本出願は、本出願の超疎水性ナノ-マイクロスケールパターンを有するフィルムを含むコーティングも含む。一実施形態では、超疎水性ナノ-マイクロスケールパターンを有するフィルムを含むコーティングは、任意の適切な熱可塑性ポリマー(限定されないがポリカーボネートなど)又はガラスを含む表面にある。
【0062】
[0070]本出願は、本出願の超疎水性ナノ-マイクロスケールパターンを有するフィルムを表面に適用するステップを含む防水剤、自己洗浄、曇り止め、氷結防止、生物付着防止、脱塩、低摩擦及び/又は防食表面を調製するための方法も含む。本出願は、防水剤、自己洗浄、曇り止め、氷結防止、生物付着防止、脱塩、低摩擦及び/又は防食表面を調製するための本出願の超疎水性ナノ-マイクロスケールパターンを有するフィルムの使用も含む。
【0063】
[0071]以下の非限定的な実施例は、本出願の例示である。
【実施例
【0064】
実施例1:超疎水性窒化ホウ素ナノチューブ含有フィルム及びコーティングを調製するための方法
[0072]共役ポリマー(CP):BNNTを用いて官能化されたナノチューブ(NT)懸濁液の一般的調製は、Kim, K. S.;Kingston, C. T. ;Hrdina, A. ;Jakubinek, M. B. ;Guan, J. ;Plunkett, M. ;Simard, B.「Hydrogen-Catalyzed, Pilot-Scale Production of Small-Diameter Boron Nitride Nanotubes and Their Macroscopic Assemblies」ACS Nano 2014、8、6211~6220に記載される通りに調製した。CNT:NC7000(商標)工業用グレードMWCNTは、ナノシル(Nanocyl)SA(Belgium)から得た。NT(窒化ホウ素ナノチューブ又はカーボンナノチューブ)を、30分間、室温での超音波浴処理を用いて、クロロホルム(CHCl)又はテトラヒドロフラン(THF)中で懸濁した。次いで、CHCl又はTHF(0.5mg/mL)中のCPの溶液を、1:0.12のNT:CP重量比でNT懸濁液に添加した後、安定なNT/CP懸濁液が得られるまで、30分間にわたり超音波浴処理した。図1は、クロロホルム中の代表的な窒化ホウ素ナノチューブ(BNNT)懸濁液(下部左)、クロロホルム中の溶液中の代表的な共役ポリマー(CP)(下部中央)及び共役ポリマー(BNNT/CP)で非共有結合的に官能化された窒化ホウ素ナノチューブのクロロホルム中の代表的な懸濁液(下部右)の写真並びに対応する概略図(上部)を示す。
【0065】
[0073]スキーム1は、この研究で使用されるポリチオフェン(PT)、ポリフルオレン(PF)及びポリフルオレン-ピリジン(PFPy)共役ポリマーの一般的構造を示す。表1は、これらの共役ポリマーについての追加の詳細を提供する。
【化4】
【0066】
[0074]NT/CP超疎水性フィルムの一般的調製:真空ろ過によりNT/CPフィルムを調製した。NT/CP懸濁液を、ミリポア(Millipore)(商標)真空ろ過アセンブリ中のサルトリウス(Sartorius)(商標)(11803--47------N、ポアサイズ:1.2μm)からのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜フィルターを使用して真空ろ過した。PTFE膜の粗い側(図2;右手の画像)を、NT/CP懸濁液と接触させて置いた。言い換えれば、膜を、NT/CP懸濁液と接触させて平らな側(図2;左手の画像)に置くことになるであろう真空ろ過アセンブリでのその標準的な使用と比較して反転させた。テフロン(Teflon)膜の粗い側のPTFEファイバーは、表面に密集して分布する空洞(長さ約5~20μm及び幅約0.2~1μm)のパターンを作り出す。溶液中の個別化されたナノチューブは、任意の差圧(例えば、真空)がろ過の間に適用される場合、これらの空洞/開口部に浸透することができ、フィルムの平面から突き出たナノチューブエリアの組織化されたマイクロスケールアーキテクチャ(長さ約5~20μm及び幅約0.5~2μm)を生成し、これは膜の空洞/孔構造のネガコピーである。このように、PTFE膜を、組立てられたNT/CPフィルムを回収すること、及びNT/CPフィルム表面形態をテンプレート化することの両方に使用した(図3)。対照的に、膜の平らな側を使用した真空ろ過は、フィルムを回収するために使用され得るが、所望のマイクロスケールフィルム表面形態をテンプレート化しないであろう。
【0067】
[0075]図3の概略図を参照して、BNNT/CP懸濁液(左端の写真)を、PTFEフィルム膜を通して真空ろ過(ステップ1)し、次いで、膜及びそれに付着したBNNT/CPフィルムを、フィルター装置から除去する(ステップ2)。懸濁液のろ過が完了した後、NT/CPフィルムを、CHCl又はTHFですすぎ、PTFE膜と共に除去し、15時間、室温でパーチメント及びセルロースフィルター紙の間で、平坦に乾燥した。微量の溶媒を除去するために、NT/CPフィルムを、フィルター膜から剥がし、テフロン商標フィルムに転写し、2時間、真空オーブンで、75℃で乾燥させた。図3は、BNNT/ポリフルオレンC18フィルム(上部右の写真;他のポリフルオレンフィルムは類似して見える)及び折り曲げることができるBNNT/ポリチオフェンC6(P3HT)(右下の写真;紫ライラック色)の例も示す。図4は、ポリフルオレンC18/CNTフィルムのSEM画像を示す。図4では、ナノチューブフィルムでのナノ/マイクロスケールの粗さは、はっきりと観察することができる;すなわち、ナノチューブは、膜の粗い側で空洞に浸透し(図2;右手の画像)、テンプレート化したフィルムからここで突き出ている。
【0068】
[0076]図5は、フィルター膜の追加のSEM画像(左)、テンプレートとしてフィルター膜を使用して調製された代表的なBNNT/ポリフルオレンC18フィルム(右)を示し、膜パターンにより作り出されるミクロンスケールの粗さを示す(白線)。
【0069】
[0077]図6は、マイクロスケールの粗さの部位に突き出ている個別のナノチューブを示す高倍率でのSEM画像である。
【0070】
[0078]接触角測定:静的水接触角は、アテンションシータオプティカルテンシオメーター(Attension Theta Optical Tensiometer)で取得された。脱イオン水(10~12μL)を、マイクロピペットを使用してフィルムに載せ、サンプルの様々な位置で接触角を測定し、少なくとも5つのデータ点を平均することによって、平均接触角を得た。測定された接触角を、表2で提供する。
【0071】
[0079]図7は、BNNT/CPポリフルオレン-C18-ピリジンフィルムの膜側の水接触角(平均=165°)及び膜によってテンプレート化されていない側の水接触角(平均=約144°)の比較を提供する。テンプレート化された側は超疎水性である一方、テンプレート化されていない側は、顕著に低い接触角を有し、疎水性であるのみである。
【0072】
[0080]様々な基材へのフィルム転写:得られた自立型フィルムを、様々な基材(例えば、ガラス及び熱可塑性物質)に転写することができる。例えば、図8の写真で示すように、BNNT/ポリフルオレンC18フィルムを、ポリカーボネート(上部画像)及びガラス(下部画像)に転写した。
【0073】
[0081]水蒸気吸着:実験は、自動化多重蒸気収着分析装置(DVSアドバンテージ(Advantage)1、サーフェースメジャーメントシステム(Surface Measurement Systems)製、SMS)を使用して行った。図9は、初期のBNNT及びポリフルオレンC18で官能化したBNNTについて得られた水分収着等温線を示す。官能化後、水蒸気取込みは、官能化後の表面エネルギーの低減の結果として大幅に減少する(例えば、95%相対湿度で約15%~約7%)。
【0074】
[0082]追加の超疎水性及び自己洗浄特性が、それらの従来の官能性、例えば、限定されないが、熱伝導性電気絶縁体、中性子遮断材、透明接着剤及びコーティング、生物医学的複合材及び/又は圧電性エネルギーハーベスティングを強化するために望ましい場合があるBNNTの多くの適用がある。超疎水性BNNTフィルムは、例えば、自己洗浄式の、非付着性の表面(例えば、ソーラーパネル用)を作製するための保護コーティングとしても利用され得る。
【0075】
[0083]本出願を、好ましい実施例であると現在考えられるものに関連して記載してきたが、本出願が、開示される実施例に限定されないことを理解されたい。対照的に、本出願は、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内に含まれる種々の改変及び等価の配置を網羅することが意図される。
【0076】
[0084]全ての刊行物、特許及び特許出願は、各個別の刊行物、特許又は特許出願が、その全体で参照により組み込まれることが具体的及び個別に示されるのと同程度に、それらの全体で参照により本明細書に組み込まれる。本出願での用語が、参照により本明細書に組み込まれる文書で異なって定義されていることが判明した場合、本明細書に提供される定義は、用語についての定義として役割を果たすものである。
【0077】
[本明細書で参照された引用文献一覧]
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3 Z. Gao, K. Fujioka, T. Sawada, C.Zhi, Y. Bando, D. Golberg, M. Aizawa and T. Serizawa, “Noncovalentfunctionalization of boron nitride nanotubes using water-soluble syntheticpolymers and the subsequent preparation of superhydrophobic surfaces” PolymerJournal 2013, 45, 567-570.
4 Z. Gao, C. Zhi, Y. Bando, D. Golbergand T. Serizawa, “Noncovalent functionalization of boron nitride nanotubes inaqueous media opens application roads in nanobiomedicine” Nanobiomedicine,2014, 1:7, doi: 10.5772/60000.
5 (a) J. Ding, Z. Li, J. Lefebvre, F.Cheng, G. Dubey, S. Zou, P. Finnie, A. Hrdina, L. Scoles, G.P. Lopinski, C.T.Kingston, B. Simard and P.R.L. Malenfant, “Enrichment of large-diametersemiconducting SWCNTs by polyfluorene extraction for high network density thin filmtransistors” Nanoscale, 2014, 6, 2328-2339; (b) J. Ding, M. Day, G. Robertsonand J. Roovers, “Synthesis and characterization of alternating copolymers offluorene and oxadiazole” Macromolecules 2002, 35, 3474-3483; (c) Y. Li, J.Ding, M. Day, Y. Tao, J. Lu and M. D'iorio, “Synthesis and properties of randomand alternating fluorene/carbazole copolymers for use in blue light-emittingdevices. Chem. Mater., 2004, 16, 2165-2173.
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9