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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】車載部品の下部カバー組付構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 7/04 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
B60R7/04 C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020033902
(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2021133901
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107238
【弁理士】
【氏名又は名称】米山 尚志
(72)【発明者】
【氏名】中井 勇太
(72)【発明者】
【氏名】阿部 清弘
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-193009(JP,A)
【文献】特開2010-221843(JP,A)
【文献】特開2006-021608(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両側の被取付面に車載部品を固定した部品取付状態で前記車載部品に下部カバーを組付ける下部カバー組付構造であって、
前記車載部品の下部に設けられ、前記部品取付状態で前記被取付面から上方に離間して起立し、第1方向に沿って延びる第1部品側板部と、
前記車載部品の下部に設けられ、前記部品取付状態で前記被取付面から上方に離間して起立し、前記第1部品側板部の一端から前記第1方向と交叉する第2方向に沿って延びる第2部品側板部と、
前記下部カバーに設けられ、前記部品取付状態の前記車載部品に前記下部カバーを組付けたカバー組付状態で、前記第1部品側板部から下方へ連続して延び、前記車載部品の下方を前記第2方向の一側から覆う第1カバー側板部と、
前記下部カバーに設けられ、前記カバー組付状態で、前記第2部品側板部から下方へ連続して延び、前記車載部品の下方を前記第1方向の一側から覆う第2カバー側板部と、を備え、
前記第1部品側板部の下端縁部及び前記第1カバー側板部の上端縁部の一方の端面は、前記第1方向に沿って延びる第1係合溝を有する第1係合端面を構成し、
前記第1部品側板部の下端縁部及び前記第1カバー側板部の上端縁部の他方は、前記第1係合溝に挿入されて係合可能な第1係合端縁部を構成し、
前記第1係合溝と前記第1係合端縁部との係合は、前記第1部品側板部に対する前記第1カバー側板部の前記第2方向への移動を規制し、
前記第2部品側板部の下端縁部及び前記第2カバー側板部の上端縁部の一方の端面は、前記第2方向に沿って延びる第2係合溝を有する第2係合端面を構成し、
前記第2部品側板部の下端縁部及び前記第2カバー側板部の上端縁部の他方は、前記第2係合溝に挿入されて係合可能な第2係合端縁部を構成し、
前記第2係合溝と前記第2係合端縁部との係合は、前記第2部品側板部に対する前記第2カバー側板部の前記第1方向への移動を規制し、
前記カバー組付状態では、前記第1係合溝と前記第1係合端縁部とが係合し、且つ前記第2係合溝と前記第2係合端縁部とが係合し、
前記第1係合端面には、前記第1係合溝の前記第2方向の他側を区画するように前記第1方向に沿って延びる第1内側突起が形成され、
前記第1内側突起は、前記第1係合溝の溝底からの突出高さを前記第2方向の他側に向かって徐々に減少させる第1傾斜面を有する
ことを特徴とする車載部品の下部カバー組付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の下部カバー組付構造であって、
前記第2係合端面には、前記第2係合溝の前記第1方向の他側を区画するように前記第2方向に沿って延びる第2内側突起が形成され、
前記第2内側突起は、前記第2係合端面の溝底からの突出高さを前記第1方向の他側に向かって徐々に減少させる第2傾斜面を有する
ことを特徴とする車載部品の下部カバー組付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載部品の下部カバー組付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電力供給を受けて容器内の温度を調節可能な容器(例えば加熱冷却ボックス等)を車室内のフロアに固定し、電気配線を容器の下方で結線し、電気配線を覆うカバー(下部カバー)を容器の下部に組付ける場合がある。この場合、フロア側に容器を固定する前に電気配線の結線作業を行い、容器に下部カバーを組付けた後、容器及び下部カバーをフロアに固定することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-257124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
容器(車載部品)の結線作業を効率良く行うためには、車載部品をフロア側に固定した後、下部カバーを組付ける前に結線作業を行い、結線後に下部カバーを車載部品に組付ける方が好ましい場合がある。
【0005】
しかし、車載部品を先に固定した後に下部カバーを組付けようとした場合、車載部品に対する下部カバーの位置合わせが難しく、下部カバーの組付作業が煩雑となり、作業性が低下するおそれがある。
【0006】
そこで開示は、車両側に固定された車載部品に対し、下部カバーを所定位置に容易に且つ確実に組付けることが可能な車載部品の下部カバー組付構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく、本開示の第1の態様は、車両側の被取付面に車載部品を固定した部品取付状態で車載部品に下部カバーを組付ける下部カバー組付構造であって、車載部品の下部に設けられる第1部品側板部及び第2部品側板部と、下部カバーに設けられる第1カバー側板部及び第2カバー側板部とを備える。第1部品側板部は、部品取付状態で被取付面から上方に離間して起立し、第1方向に沿って延びる。第2部品側板部は、部品取付状態で被取付面から上方に離間して起立し、第1部品側板部の一端から第1方向と交叉する第2方向に沿って延びる。第1カバー側板部は、部品取付状態の車載部品に下部カバーを組付けたカバー組付状態で、第1部品側板部から下方へ連続して延び、車載部品の下方を第2方向の一側から覆う。第2カバー側板部は、カバー組付状態で、第2部品側板部から下方へ連続して延び、車載部品の下方を第1方向の一側から覆う。
【0008】
第1部品側板部の下端縁部及び第1カバー側板部の上端縁部の一方の端面は、第1方向に沿って延びる第1係合溝を有する第1係合端面を構成する。第1部品側板部の下端縁部及び第1カバー側板部の上端縁部の他方は、第1係合溝に挿入されて係合可能な第1係合端縁部を構成する。第1係合溝と第1係合端縁部との係合は、第1部品側板部に対する第1カバー側板部の第2方向への移動を規制する。
【0009】
第2部品側板部の下端縁部及び第2カバー側板部の上端縁部の一方の端面は、第2方向に沿って延びる第2係合溝を有する第2係合端面を構成する。第2部品側板部の下端縁部及び第2カバー側板部の上端縁部の他方は、第2係合溝に挿入されて係合可能な第2係合端縁部を構成する。第2係合溝と第2係合端縁部との係合は、第2部品側板部に対する第2カバー側板部の第1方向への移動を規制する。カバー組付状態では、第1係合溝と第1係合端縁部とが係合し、且つ第2係合溝と第2係合端縁部とが係合する。
【0010】
第1係合端面には、第1係合溝の第2方向の他側を区画するように第1方向に沿って延びる第1内側突起が形成される。第1内側突起は、第1係合溝の溝底からの突出高さを第2方向の他側に向かって徐々に減少させる第1傾斜面を有する。
【0011】
上記構成では、部品取付状態の車載部品に下部カバーを組付ける場合、第1カバー側板部を第1部品側板部から第2方向の一側に外れるように位置させ、第2部品側板部の下端縁部の端面(下面)に第2カバー側板部の端面(上面)を合わせた状態で、第2カバー側板部の上端縁部が第2部品側板部の下端縁部に沿って移動して第1カバー側板部の上端縁部が第1部品側板部の下端縁部に達するように、下部カバーを第2方向の他側へスライド移動させる。第2方向の他側への下部カバーのスライド移動に際し、少なくとも第1カバー側板部の上端縁部が第1部品側板部の下端縁部に達するまでに、第2係合溝と第2係合端縁部とを係合させることが好ましい。第2係合溝と第2係合端縁部とが係合した状態で下部カバーをスライド移動させることにより、下部カバーの移動方向を規制することができる。
【0012】
カバー組付状態では、第1係合溝と第1係合端縁部とが係合し、第2係合溝と第2係合端縁部とが係合する。第1係合溝と第1係合端縁部との係合は、第1部品側板部に対する第1カバー側板部の第2方向への移動を規制し、第2係合溝と第2係合端縁部との係合は、第2部品側板部に対する第2カバー側板部の第1方向への移動を規制する。これらの係合により、車載部品に対する下部カバーの位置決めを容易に且つ確実に行うことができる。
【0013】
第2係合溝と第2係合端縁部とが係合した状態で第1カバー側板部の上端縁部が第1部品側板部の下端縁部に達する場合、第1係合端縁部が第1内側突起に第2方向の他側から当接する。第1内側突起は、第1係合溝の溝底からの突出高さを第2方向の他側に向かって徐々に減少させる第1傾斜面を有しているので、第1係合端縁部は、下部カバーの移動に伴って第1傾斜面に乗り上げ、第1係合溝に向かって移動する。第1係合溝へ向かう第1係合端縁部の第1傾斜面上の移動は、第1部品側板部の下端縁部及び第1カバー側板部の上端縁部の少なくとも一方の弾性変形によって許容され、第1傾斜面を乗り越えた第1係合端縁部は第1係合溝に係合する。このように第1内側突起に第1傾斜面を設けたので、第1係合端縁部を第1係合溝に容易に且つ確実に係合させることができる。
【0014】
本開示の第2の態様は、第1の態様の下部カバー組付構造であって、第2係合端面には、第2係合溝の第1方向の他側を区画するように第2方向に沿って延びる第2内側突起が形成される。第2内側突起は、第2係合端面の溝底からの突出高さを第1方向の他側に向かって徐々に減少させる第2傾斜面を有する。
【0015】
上記構成では、第1カバー側板部の上端縁部が第1部品側板部の下端縁部に達した状態で、第2係合端縁部の一部または全部が第2係合溝から外れ、第2内側突起が第2傾斜面上またはその近傍に位置する場合には、第2傾斜面上を第2係合端縁部が第2係合溝に向かって移動するように、第2部品側板部または第2カバー側板部を押込む。第2部品側板部または第2カバー側板部を押込むことにより、第2係合端縁部を第2係合溝に係合させることができる。第2係合溝へ向かう第2係合端縁部の第1傾斜面上の移動は、第2部品側板部の下端縁部及び第2カバー側板部の上端縁部の少なくとも一方の弾性変形によって許容される。このように第2内側突起に第2傾斜面を設けたので、第2係合端縁部を第2係合溝に容易に且つ確実に係合させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、車両側に固定された車載部品に対し、下部カバーを所定位置に容易に且つ確実に組付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る下部カバー組付構造のカバー組付状態を示す斜視図である。
図2】車載部品をフロアに固定する前の状態を示す斜視図である。
図3】下部カバーを組付ける前の部品取付状態を示す斜視図である。
図4】下部カバーと部品固定ブラケットとを示す斜視図である。
図5】第1係合端縁部が第1内側突起に到達する前であって、第2係合端縁部が第2係合溝に係合してスライド移動している途中の状態を示す平断面図である。
図6図5のVI-VI矢視断面図である。
図7】第2係合溝と第2係合端縁部との係合状態を示す図5のVII-VII矢視断面図である。
図8】第1係合端縁部が第1内側突起の第1傾斜面上に位置する状態を示す断面図である。
図9】第1係合溝と第1係合端縁部との係合状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。以下の説明における左右方向は、車両前方を向いた状態での左右方向を意味し、図中の矢印FRは車両前方を、矢印UPは車両上方を、矢印Lは左方向をそれぞれ示す。容器1に関する方向は、容器1をフロア3に固定した部品取付状態での方向であり、下部カバー15に関する方向は、部品取付状態の容器1に下部カバー15を組付けたカバー組付状態での方向である。本実施形態では、第1方向には前後方向が、第1方向の一側には前側が、第1方向の他側には後側が、第2方向には車幅方向(左右方向)が、第2方向の一側には左側が、第2方向の他側には右側がそれぞれ対応するが、第1方向及び第2方向は任意に設定可能である。
【0019】
本実施形態に係る車載部品は、電力供給を受けて内部の温度を調節して収納物を加熱及び冷却可能な加熱冷却ボックス(以下、容器と称する)1であり、図1及び図2に示すように、車室2内のフロア(車両側の被取付面)3の所定位置(本実施形態では運転席と助手席の間)に載置され、フロア3に固定された容器取付ブラケット4に複数のボルト(スタッドボルト)5及びナット8(図4参照)によって締結固定される。図4には、複数のボルト5及びナット8の一部として、容器取付ブラケット4に固定されたスタッドボルト5と、スタッドボルト5に螺合するナット8とを、容器1を省略して例示している。容器1の上部は、蓋6によって開閉可能に閉止され、電力供給等のための電気配線7は、容器1の下方で車両側の電気配線(図示省略)と結線される。容器1には、電源のオン/オフや加熱/冷却の切替えの際に操作されるスイッチ(図示省略)が設けられる。
【0020】
容器1は、前後左右の外面が容器前板部10(図7参照)と容器後板部11と容器左板部12と容器右板部(図示省略)とによって形成される矩形箱体状である。容器左板部12の下部(容器左板下部)13は、部品取付状態でフロア3から上方に離間して起立し、前後方向(第1方向)に沿って延びる第1部品側板部を構成する。容器前板部10の下部(容器前板下部)14は、部品取付状態でフロア3から上方に離間して起立し、車幅方向(第2方向)に沿って延びる第2部品側板部を構成する(図7参照)。
【0021】
図1図3及び図4に示すように、容器1の下部には下部カバー15が組付けられる。容器1の下部に組付けられた下部カバー15は、クリップや爪部(図示省略)の係合等によって容器1及びフロア3(容器取付ブラケット4)に固定される。
【0022】
下部カバー15の上部には、カバー左板部16と、カバー左板部16の前端縁から略直角に曲折して右側(第2方向の他側)へ延びるカバー前板部17と、カバー左板部16の後端縁から略直角に曲折して右側へ延びるカバー後板部18とが一体形成されている。カバー後板部18の車幅方向の長さは、カバー前板部17の車幅方向の長さよりも短い。
【0023】
カバー左板部16は、カバー組付状態で容器左板下部13から下方へ連続して延び、容器1の下方を左側(第2方向の一側)から覆う第1カバー側板部を構成する。カバー前板部17は、カバー組付状態で、容器前板下部14から下方へ連続して延び、容器1の下方を前側(第1方向の一側)から覆う第2カバー側板部を構成する。カバー後板部18は、カバー組付状態で、容器後板部11の下部から下方へ連続して延び、容器1の下方を後側(第1方向の他側)から覆う。
【0024】
図4図9に示すように、カバー左板部16の上端縁部(カバー左板上縁部)19と、カバー前板部17の上端縁部(カバー前板上縁部)20と、カバー後板部18の上端縁部(カバー後板上縁部)21とは、それぞれ容器1の内側へL状に曲折して幅広な上面(端面)を形成する。これらの板上縁部19,20,21の上面には、カバー左板上縁部19からカバー前板上縁部20を経てカバー後板上縁部21まで連続して延びる線状の外側突起22が、板上縁部19,20,21の上面の外縁に沿って突設されている。
【0025】
カバー左板上縁部19の上面(第1係合端面)には、第1内側突起23が突設され、第1内側突起23と外側突起22との間には、上方に開口して前後方向に延びる第1係合溝24が区画形成される。第1内側突起23は、外側突起22の右側で前後方向に延び、第1係合溝24の右側を区画する。第1係合溝24には、容器左板下部13の下端縁部(第1係合端縁部)25が挿入されて係合可能であり、第1内側突起23は、カバー左板上縁部19のうち前後両端の所定領域を除く中間領域に設けられる。第1係合溝24と第1係合端縁部25との係合は、容器左板下部13に対するカバー左板部16の車幅方向への移動を規制する。
【0026】
第1内側突起23には、右下方へ傾斜する第1傾斜面26が形成される。第1傾斜面26は、第1係合溝24の溝底からの第1内側突起23の突出高さを右側に向かって徐々に減少させる。
【0027】
カバー前板上縁部20の上面(第2係合端面)には、第2内側突起27が突設され、第2内側突起27と外側突起22との間には、上方に開口して車幅方向に延びる第2係合溝28が区画形成される。第2内側突起27は、外側突起22の後側で車幅方向に延び、第2係合溝28の後側を区画する。第2係合溝28には、容器前板下部14の下端縁部(第2係合端縁部)29が挿入されて係合可能であり、第2内側突起27は、カバー前板上縁部20のうち左右両端の所定領域を除く中間領域に設けられる。第2係合溝28と第2係合端縁部29との係合は、容器前板下部14に対するカバー前板部17の前後方向への移動を規制する。
【0028】
第2内側突起27には、後下方へ傾斜する第2傾斜面30が形成される。第2傾斜面30は、第2係合溝28の溝底からの第2内側突起27の突出高さを後側に向かって徐々に減少させる。
【0029】
なお、本実施形態では、カバー左板上縁部19の上面に、容器左板下部13の下端縁部25が係合可能な第1係合溝24を設け、カバー前板上縁部20の上面に、容器前板下部14の下端縁部29が係合可能な第2係合溝28を設けたが、容器左板下部の下端縁部の下面に、カバー左板上縁部が係合可能な第1係合溝を設けてもよく、容器前板下部の下端縁部の下面に、カバー前板上縁部が係合可能な第2係合溝を設けてもよい。
【0030】
容器1を車室2に取付ける場合、下部カバー15を組付けていない容器1をフロア3(容器取付ブラケット4)に固定し(部品取付状態)、電気配線7の結線作業を行う(図2及び図3参照)。
【0031】
次に、部品取付状態の容器1に下部カバー15を組付ける。下部カバー15の組付けでは、カバー左板部16を容器左板下部13から左側に外れるように位置させ、容器前板下部14の下端縁部(第2係合端縁部)29の下面にカバー前板上縁部20の上面を合わせた状態で、カバー前板上縁部20が容器前板下部14の下端縁部29に沿って移動してカバー左板上縁部19が容器左板下部13の下端縁部25に達するように、下部カバー15を右側へスライド移動させる。下部カバー15のスライド移動の過程において、第2内側突起27が容器左板下部13の下端縁部25(容器左板下部13の前端の曲折部の下端縁部を含む)に下方から対向または接触している間は、容器左板下部13の下端縁部25により第2係合溝28と容器前板下部14の下端縁部(第2係合端縁部)29との係合が阻害されるため、第2係合溝28と第2係合端縁部29とを部分的に係合させた状態(不完全係合状態)で、下部カバー15をスライド移動させる。
【0032】
第2内側突起27の左端が容器左板下部13の下端縁部25の右側に達した後は、下部カバー15を押上げることにより、第2係合溝28と第2係合端縁部29とを係合させることができるので、第2係合溝28と第2係合端縁部29との係合(完全係合状態)を維持しながら下部カバー15をスライド移動させる(図5及び図7参照)。第2係合溝28と第2係合端縁部29とが係合した状態で下部カバー15をスライド移動させることにより、下部カバー15の移動方向を規制(ガイド)することができる。
【0033】
カバー左板部16の上端縁部(カバー左板上縁部)19が容器左板下部13の下端縁部(第1係合端縁部)25に達すると、第1係合端縁部25がカバー左板上縁部19の第1内側突起23に右側から当接する(図8参照)。第1内側突起23は、第1係合溝24の溝底からの突出高さを右側に向かって徐々に減少させる第1傾斜面26を有しているので、第1係合端縁部25は、下部カバー15の移動に伴って第1傾斜面26に乗り上げ、第1係合溝24に向かって移動する。第1係合溝24へ向かう第1係合端縁部25の第1傾斜面26上の移動は、容器左板下部13の下端縁部25及びカバー左板部16の上端縁部(カバー左板上縁部)19の少なくとも一方の弾性変形によって許容され、第1傾斜面26を乗り越えた第1係合端縁部25は第1係合溝24に係合する(図9参照)。
【0034】
第1係合溝24と第1係合端縁部25とが係合し、第2係合溝28と第2係合端縁部29とが係合した後、下部カバー15を容器1及びフロア3に固定することにより、容器1の取付けが完了する。容器取付ブラケット4や電気配線7は、下部カバー15によって覆い隠される。
【0035】
本実施形態によれば、第2係合溝28と第2係合端縁部29とが係合した状態で下部カバー15をスライド移動させることにより、下部カバー15の移動方向を規制することができるとともに、第1内側突起23の第1傾斜面26により、第1係合端縁部25を第1係合溝24に容易に且つ確実に係合させることができ、下部カバー15の組付作業性が向上する。
【0036】
カバー組付状態では、第1係合溝24と第1係合端縁部25とが係合し、且つ第2係合溝28と第2係合端縁部29とが係合する。第1係合溝24と第1係合端縁部25との係合は、容器左板下部13に対するカバー左板部16の車幅方向の移動を規制し、第2係合溝28と第2係合端縁部29との係合は、容器前板下部14に対するカバー前板部17の前後方向への移動を規制する。これらの係合により、容器1に対する下部カバー15の位置決めを容易に且つ確実に行うことができる。
【0037】
また、カバー左板部16の上端縁部19が容器左板下部13の下端縁部25に達した状態で、第2係合端縁部29の一部または全部が第2係合溝28から後側に外れ、第2係合端縁部29が第2傾斜面30上またはその近傍に位置する場合には、第2傾斜面30上を第2係合端縁部29が第2係合溝28に向かって移動するように、カバー前板部17を軽く叩く等によってカバー前板部17を後側へ押込む。カバー前板部17を押込むことにより、第2係合端縁部29を第2係合溝28に係合させることができる。第2係合溝28へ向かう第2係合端縁部29の第2傾斜面30上の移動は、容器前板下部14の下端縁部29及びカバー前板部17の上端縁部20の少なくとも一方の弾性変形によって許容される。このように第2内側突起27に第2傾斜面30を設けたので、第2係合端縁部29を第2係合溝28に容易に且つ確実に係合させることができる。
【0038】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【0039】
例えば、上記実施形態では容器1に下部カバー15を組付ける場合について説明したが、他の車載部品に下部カバーを取付ける場合に上記実施形態の構成を適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、下部カバーが組付けられる車載部品を備えた車両に適用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1:容器(加熱冷却ボックス、車載部品)
2:車室
3:フロア(被取付面)
4:容器取付ブラケット
7:電気配線
10:容器前板部
11:容器後板部
12:容器左板部
13:容器左板下部(第1部品側板部)
14:容器前板下部(第2部品側板部)
15:下部カバー
16:カバー左板部(第1カバー側板部)
17:カバー前板部(第2カバー側板部)
18:カバー後板部
19:カバー左板上縁部(カバー左板部の上端縁部)
20:カバー前板上縁部(カバー前板部の上端縁部)
21:カバー後板上縁部(カバー後板部の上端縁部)
22:外側突起
23:第1内側突起
24:第1係合溝
25:第1係合端縁部(容器左板下部の下端縁部)
26:第1傾斜面
27:第2内側突起
28:第2係合溝
29:第2係合端縁部(容器前板下部の下端縁部)
30:第2傾斜面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9