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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】建築材料、及び、施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/80 20060101AFI20221208BHJP
   E04F 15/18 20060101ALI20221208BHJP
   E04B 1/76 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
E04B1/80 100A
E04F15/18 F
E04B1/76 400J
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017207823
(22)【出願日】2017-10-27
(65)【公開番号】P2019078125
(43)【公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】595102248
【氏名又は名称】住建システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137394
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】竹森 秀介
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-176342(JP,A)
【文献】登録実用新案第3152730(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/62-1/99
E04F 15/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既定の空間に嵌め込まれる建築材料であって、
発泡した合成樹脂で形成された断熱板と、
長手方向に連続して形成され、長手方向と直交する方向の断面視において、接続部と、当該接続部の両端から互いに反対方向に突出して設けた2つの突出片とを含む固定具と
を有し、
前記固定具は、一方の突出片を固定端とし他方の突出片を自由端とした各突出片のうち、一方の突出片を前記断熱板の側壁面に差し込んで配置され、
前記固定具は、弾性変形できる合成樹脂により形成され、0.3mm以上1mm以下の厚さに形成れてなり、
前記断熱板の側壁面に差し込まれた前記固定具は、一方の突出片と接続部との接続部分が前記断熱板の側壁面に接触し、かつ、一方の突出片から他方の突出片の方向に向かって、当該断熱板の側壁面と当該接続部との離間間隔が大きくなるよう差し込まれてなる
建築材料。
【請求項2】
前記固定具は、0.3mm以上0.5mm以下の厚さに形成され、一方の突出片と接続部との間の角度が鈍角となっている
請求項1に記載の建築材料。
【請求項3】
前記断熱板は、向かい合う一対の側壁面それぞれに前記固定具が配置され、
前記固定具の長手方向の長さは、前記断熱板の側壁面における長手寸法以下に形成されてなる
請求項2に記載の建築材料。
【請求項4】
前記断熱板は、隣り合うそれぞれの側壁面に前記固定具を配置され、
前記断熱板の隣り合う側壁面それぞれに配置された各前記固定具は、当該断熱板に差し込む位置を、当該断熱板の板厚方向に重ならない位置に配置している
請求項3に記載の建築材料。
【請求項5】
既定の空間に嵌め込まれる建築材料の施工方法であって、
発泡した合成樹脂で形成された断熱板の側壁面に溝を形成する工程と、
長手方向に連続して形成され、長手方向と直交する方向の断面視において、接続部と、当該接続部の両端から互いに反対方向に突出して設けた2つの突出片とを含む固定具のうち、一方の突出片を断熱板に形成した溝に差し込む工程と、
前記固定具を差し込んだ前記断熱板を既定の空間に嵌め込む工程と
を有し、
前記差し込む工程において、一方の突出片と接続部との接続部分が前記断熱板の側壁面に接触し、かつ、一方の突出片から他方の突出片の方向に向かって、当該断熱板の側壁面と当該接続部との離間間隔が大きくなるように差し込む
施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築材料、及び、施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、軸組間に板状断熱材を固定する断熱材固定具であって、軸組側面に密着させる垂直片と、この垂直片の下端に延設され板状断熱材の厚み方向中間に差し込まれる差込み片と、前記垂直片の上端に延設され軸組上面に載置支持される上部片とを備えて略Z字状に構成したことを特徴とする断熱材固定具が開示されている。
【0003】
また、例えば、特許文献2には、支持片の一端に上方に突出する垂直片を設けると共に垂直片の上端に支持片と反対側に突出する係止片を延設して端材を形成し、支持片を対向させて一対の端材を配置し、各支持片に桟材の端部をそれぞれ回動自在に取り付けて端材を連結すると共に各端材を互いに平行にスライド移動することによって端材の間隔を調整自在にして断熱材受け具を形成し、係止片を根太の上面に係止して隣接する根太間に断熱材受け具を配設すると共に断熱材受け具の両支持片で断熱材の下面端部をそれぞれ支持して成ることを特徴とする断熱材の取り付け構造が開示されている。
【0004】
また、例えば、特許文献3には、屋根の断熱構造に用いられる断熱材であって、設置状態では屋根部の隣接する母屋同士の間に渡され、前記母屋のうち軒側に位置する軒側母屋の側面に沿うように形成された平面部を有する軒側端面と、前記母屋のうち棟側に位置する棟側母屋の側面に接触するように形成された平面部を有する棟側端面と、を有する板状の断熱板部と、 前記断熱板部の前記軒側端面に設けられ設置状態で前記軒側母屋に引っ掛かる爪部と、を備え、前記爪部は、前記軒側端面に向かって圧縮変形可能であることを特徴とする断熱材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-5588号公報
【文献】特開平7-54474号公報
【文献】特開2012-41771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、既定の空間との密着性を高める建築材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る建築材料は、既定の空間に嵌め込まれる建築材料であって、発泡した合成樹脂で形成された断熱板と、Z字型の断面形状であり、長手方向に連続した固定具とを有し、前記断熱板は、向かい合う一対の側壁面それぞれに前記固定具が配置され、前記固定具は、一方の端部を固定端とし他方の端部を自由端とした突出片を、前記断熱板の側壁面に差し込んで配置されている。
【0008】
好適には、前記固定具は、合成樹脂により形成され、1mm以下の厚さに形成されてなる。
【0009】
好適には、前記固定具の長手方向の長さは、前記断熱板の側壁面における長手寸法以下に形成されてなる。
【0010】
好適には、前記断熱板は、隣り合うそれぞれの側壁面に前記固定具を配置され、前記断熱板の隣り合う側壁面それぞれに配置された前記固定具は、当該断熱板に差し込む位置を、当該断熱板の板厚方向に重ならない位置に配置している
【0011】
また、本発明に係る施工方法は、既定の空間に嵌め込まれる建築材料の施工方法であって、発泡した合成樹脂で形成された断熱板の側壁面に溝を形成する工程と、断熱板に形成した溝に、断面形状がZ字型であり長手方向に連続した固定具を差し込む工程と、固定具を差し込んだ断熱板を既定の空間に嵌め込む工程とを有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、既定の空間との密着性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施形態における断熱パネル1の構成を説明する斜視図である。
図2図1における断熱パネル1の六面図である。
図3】固定具20をより詳細に説明する断面図である。
図4】第1の実施形態における断熱パネル1の施工方法(S10)を説明するフローチャートである。
図5】パネル本体10に固定具20を取り付ける工程を説明する図である。
図6】断熱パネル1の嵌め込み工程を説明する図である。
図7】第2の実施形態における断熱パネル2の構成を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照して説明する。ただし、本発明の範囲は、図示例に限定されるものではない。
【0015】
[第1の実施形態]
まず、第1の実施形態における概要を説明する。
図1は、実施例1における断熱パネル1の構成を説明する斜視図である。
図2は、図1における断熱パネル1の六面図であり、図2(A)は正面図であり、図2(B)は背面図であり、図2(C)は左側面図であり、図2(D)は右側面図であり、図2(E)は平面図であり、図2(E)は底面図であり、図2(G)はA-A断面図である。
【0016】
第1の実施形態の断熱パネル1は、建築物の既定の空間に嵌め込み配置する断熱用のパネル材である。建築物の既定の空間とは、床、壁、梁など建物の構造を支える骨組み(いわゆる躯体)の間の空間であり、例えば、梁と梁との間の空間、柱と柱との間の空間、母屋と母屋との間の空間、根太と根太との間の空間、又は、垂木と垂木との間の空間等を含む概念である。つまり、断熱パネル1は、建築物の屋根、天井、壁、または、床に配置することができる。
なお、本実施形態の断熱パネル1は、屋根に配置された垂木と垂木との間の空間(垂木間)に配置するものとして説明する。なお、本実施形態の断熱パネル1は、本発明に係る建築材料の一例である。
図1及び図2に例示するように、断熱パネル1は、パネル本体10と、固定具20とを有する。断熱パネル1は、パネル本体10の向かい合う一対の側壁面それぞれに固定具20が取り付けれている。なお、本実施形態の断熱パネル1では、パネル本体10と、固定具20とにより構成され、パネル本体10の全ての側壁面に固定具20が取り付けれている。
【0017】
パネル本体10は、熱伝導率の低い合成樹脂で形成された板材である。熱伝導率の低い合成樹脂とは、例えば、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、又は、ポリスチレン樹脂等である。なお、本実施形態のパネル本体10は、ウレタン樹脂、又は、フェノール樹脂で形成した発泡系の断熱用板材であり、具体的には、ウレタンフォーム、又は、フェノールフォームである。パネル本体10は、ウレタンフォームである場合、防水性に優れている。また、パネル本体10は、フェノールフォームである場合、難燃性に優れている。また、パネル本体10は、発泡系合成樹脂の断熱用板材であるため、内部に微細な空隙が複数含まれる。これによりパネル本体10は、適度な弾性性質を備えている。なお、本第1の実施形態のパネル本体10は、本発明に係る断熱板の一例である。
【0018】
固定具20は、Z字型の断面形状であり、長手方向に連続した金属製又は合成樹脂製の厚みが薄い型材である。なお、本実施形態の固定具20は、合成樹脂製の型材である。固定具20は、合成樹脂により形成することにより、金属に比べて熱伝導率が低いため断熱性を保持することができる。さらに、固定具20は、弾力性を保持する観点からも合成樹脂製であることが好ましい。
また、固定具20の厚さは、例えば1mm以下の厚さに形成され、具体的には0.3mm以上0.5mm以下の厚さに形成されている。なお、本実施形態の固定具20は、0.4mmの厚さに形成されている。固定具20は、厚さが0.2mm以下である場合弾力性や強度を保持することが難しくなる。また、固定具20は、厚さが0.5mm以上である場合、弾力性や強度をより保持することが可能となるが、一方で垂木と、垂木上面に取り付ける合板との隙間を生じさせる原因となる。よって、固定具20は、0.4mmの厚さに形成することにより、弾力性や強度を保持すると共に、垂木と合板との隙間を小さくすることができる。
また、固定具20の長手方向の長さは、パネル本体10の側壁面における長手寸法以下の長さに形成されている。なお、本実施形態の固定具20の長さは、パネル本体10の側壁面における長手寸法と略同じ長さである。具体的には、固定具20Aの長さは、パネル本体10の側壁面10Aの長手寸法10Wと略同じ長さであり、固定具20Bの長さは、パネル本体10の側壁面10Bの長手寸法10Dと略同じ長さである。例えば、パネル本体10の側壁面における長手寸法の長さが2mである場合、固定具20の長手方向の長さは2mとなり、パネル本体10の長手寸法の長さが3mである場合、固定具20の長手方向の長さは3mとなる。なお、本願の目的を達する範囲での若干の誤差は充分に許容されるものである。
【0019】
図3は、固定具20をより詳細に説明する断面図であり、図3(A)は、パネル本体10に取り付ける前の固定具20を説明する断面図であり、図3(B)は、パネル本体10に取り付けた状態の固定具20を説明する断面図である。
図3に例示するように、固定具20は、接続部22、係止片23、及び、差込片24を含み一体的に形成されている。
接続部22は、係止片23、及び、差込片24を接続する長手方向に連続した接続片である。
係止片23は、接続部22の厚み方向と異なる厚み方向に、接続部22の一方の端部から連続して設けられた突出片であり、垂木に載置して係止しパネル本体10を支持する。
差込片24は、接続部22の厚み方向と異なる厚み方向に、接続部22の他方の端部から連続して設けられた突出片であり、パネル本体10の側壁面に差し込まれる。
係止片23、及び、差込片24は、一方の端部を接続部22に固定した固定端とし、他方の端部を自由端とした突出片であり、例えば片持ち梁のような構造としている。
固定具20は、接続部22の一方の端部から連続して係止片23を設け、接続部22の他方の端部に連続して差込片24を設け、係止片23、及び、差込片24を互いに反対方向に突出させている。これにより、固定具20は、Z字型の断面形状となっている。
なお、固定具20は、断面形状がZ字型である長手方向に連続した型材となるならば、シート材を折り曲げて成形してもよいし、射出成形または押出成形してもよいが、射出成形または押出成形の方が好ましい。射出成形または押出成形の場合、断面形状がZ字型の状態で成形できるため、接続部22と係止片23との接続部分、及び、接続部22と差込片24との接続部分において弾性力を備えることができる。一方、シート材を折り曲げて成形する場合、接続部22と係止片23との接続部分、及び、接続部22と差込片24との接続部分において弾性力を備えることができない。よって、固定具20は、射出成形または押出成形にて成形することが好ましい。
このように、固定具20は、接続部22、係止片23、及び、差込片24により形成されている。
【0020】
図3(A)に例示するように、パネル本体10に取り付ける前の固定具20は、接続部22と係止片23とが垂直(いわゆる角度Aが直角)に接続し、かつ、接続部22と差込片24とが垂直(いわゆる角度Bが直角)に接続している。なお、垂直および直角は、本願の目的を達する範囲での若干の誤差、ズレは充分に許容されるものである。
【0021】
また、図3(B)に例示するように、固定具20は、パネル本体10の側壁面に差込片24を差し込んで、パネル本体10の側壁面に配置している。
固定具20を差し込み位置は、パネル本体10の表面と、固定具20の係止片23の平面とが略平らとなるような位置である。なお、略平らとは、本願の目的を達する範囲での若干の段差、誤差、ズレは充分に許容されるものである。具体的には、固定具20の差し込み位置は、パネル本体10の板厚方向において、パネル本体10の表面から差し込み位置までの距離が、取り付け前の固定具20の高さHと同じの長さとなる位置である。ここで、固定具20の高さHとは、2cm以上4cm以下の寸法であるため、固定具20の差し込み位置は、パネル本体10の表面から2cm以上4cm以下の位置となる。なお、本実施形態の固定具20は、固定具20の高さHが3cmであるため、固定具20を差し込み位置は、パネル本体10の表面から3cmの位置となる。
パネル本体10に差し込み取り付けた後の固定具20は、取り付ける前の角度と同様に接続部22と係止片23とが垂直(いわゆる角度Aが直角)に接続し、かつ、取り付ける前の角度と異なり接続部22と差込片24とが鈍角(いわゆる角度Cが鈍角)に接続している。つまり、パネル本体10の側壁面に取り付けた固定具20は、接続部22と差込片24との接続する接続部分が変形(弾性変形)した状態で、パネル本体10の側壁面に配置される。具体的には、固定具20は、差込片24の差込方向と対向する方向(いわゆる押圧方向)に、パネル本体10の側壁面が接続部22を押圧し、押圧された接続部22と差込片24との接続部分が変形する。これにより、接続部22と差込片24との接続する角度は直角から鈍角となる。このように、固定具20は、接続部22と差込片24との接続部分の角度が変形した状態で、パネル本体10の側壁面に配置される。
このように、断熱パネル1は、パネル本体10と、固定具20とにより構成されている。
【0022】
次に、断熱パネル1の施工方法を説明する。
図4は、第1の実施形態における断熱パネル1の施工方法(S10)を説明するフローチャートである。
図5は、パネル本体10に固定具20を取り付ける工程を説明する図である。
図6は、断熱パネル1の嵌め込み工程を説明する図である。
図4に例示するように、ステップ100(S100)において、作業者は、垂木間に嵌る既定の大きさに、発泡系合成樹脂の断熱用板材(ウレタンフォーム、又は、フェノールフォーム)を切断する(いわゆるパネル本体10の製作)
【0023】
ステップ105(S105)において、作業者は、切断したパネル本体10の側壁面に溝12を形成する。具体的には、作業者は、図5(A)に例示するように、刃物(又は、掘り用工具)を用いて、固定具20を取り付けるパネル本体10の側壁面の長手方向に溝12を形成する。本実施形態の作業者は、パネル本体10の全ての側壁面に固定具20を取り付けるため全ての側壁面に溝12を形成する。なお、固定具20を取り付けないパネル本体10の側壁面がある場合、固定具20を取り付けないパネル本体10の側壁面に対して溝12の形成を行わない。
作業者は、パネル本体10の表面から3cmの位置を固定具20の差し込み位置として、溝12を形成する。予め溝12を形成することにより、固定具20の差し込み位置を明確にすると共に、差し込むためのガイドとなるため差し込み易くなる。
【0024】
ステップ110(S110)において、作業者は、溝12を形成したパネル本体10に、固定具20を配置する。具体的には、作業者は、図5(B)及び図5(C)に例示するように、パネル本体10の側壁面のうち、一方の向かい合う一対の側壁面10Aに固定具20Aを配置し、他方の向かい合う一対の側壁面10Bに固定具20Bを配置する。これにより、作業者は、断熱パネル1を製作する。
作業者は、パネル本体10の側壁面に形成した溝12に固定具20の差込片24を差し込んで固定具20を配置する。配置された固定具20は、パネル本体10の側壁面の長手方向と略同じ長さの差込片24を差し込んでいるため、差し込んだ部分の面積を長手方向に大きく確保している。これにより固定具20は、摩擦抵抗を増加させ、パネル本体10の側壁面から抜けにくくすることができる。
加えて、作業者は、パネル本体10の隣り合う側壁面それぞれに配置された固定具20A及び固定具20Bの差し込み位置において、パネル本体10の板厚方向に重ならない位置に配置する。つまり、固定具20A及び固定具20Bは、パネル本体10の内部において、固定具20A及び固定具20Bの差込片23が互いに接触せず離間している。作業者は、互いに重ならないよう各固定具20の差込片23を差し込み位置を僅かにズラすことにより、パネル本体10内部において、固定具20同士が接触し、破損することを防ぐことができる。
【0025】
ステップ115(S115)において、作業者は、製作した断熱パネル1を垂木間に嵌め込む。具体的には、作業者は、図6に例示するように、作業者は、嵌め込む位置となる垂木間に断熱パネル1を仮置きし(図6(A))、仮置きした断熱パネル1を垂木のある下方方向に押圧し、断熱パネル1を垂木間に移動させる(図6(B))。このとき、固定具20は、垂木により接続部22が押圧方向に押圧されながら、下方方向に移動する。さらに、作業者は、固定具20の係止片23と垂木とが接触するまで断熱パネル1を押圧し、係止片23と垂木とが接触したことにより、垂木間への嵌め込みを完了する(図6(C))。このとき、固定具20は、垂木により接続部22と係止片23との接続部分が押圧方向に押圧されて弾性変形し、かつ、予めパネル本体10により押圧されて変形していた接続部22と差込片24との接続部分が弾性変形している。作業者は、これらの固定具20の弾性変形により、断熱パネル1を垂木間から脱落しないよう固定することができる。
さらに、作業者は、気密性向上の観点から、垂木間への嵌め込みを完了後に、気密性向上用に使用するテープを用いて、垂木と係止片23との隙間を塞いでもよい。
このように、作業者は、断熱パネル1を垂木間へ嵌め込むことができる。
また、上記S105の工程において、作業者は、手作業にて溝12を形成する場合を説明したが、溝掘り用装置を用いた機械作業にて行ってもよい。
【0026】
以上説明したように、第1の実施形態の断熱パネル1は、パネル本体10の全ての側壁面に固定具20を配置することにより、パネル本体10と垂木との隙間を減らすことができるため、垂木との密着性を高めることができる。これにより、建築物の屋根に適した断熱パネル1とすることができる。
また、断熱パネル1は、製作した断熱パネル1を垂木間へ嵌め込むだけであるため、現場での施工負担の軽減、及び、施工時間の削減をすることができる。
また、断熱パネル1は、パネル本体10に固定具20を差し込む差し込み位置を予め設定しているため、どのような厚みのパネル本体10にも対応することができる。
【0027】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態における概要を説明する。
第2の実施形態において、第1の実施形態と実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、第1の実施形態と異なる部分のみを説明する。
第2の実施形態の断熱パネル2は、上記第1の実施形態の断熱パネル1と同様に、建築物の既定の空間に嵌め込み配置する断熱用のパネル材である。建築物の既定の空間とは、床、壁、梁など建物の構造を支える骨組み(いわゆる躯体)の間の空間であり、例えば、梁と梁との間の空間、柱と柱との間の空間、母屋と母屋との間の空間、根太と根太との間の空間、又は、垂木と垂木との間の空間等を意味する。なお、第2の実施形態の断熱パネル2は、床に配置された根太間に配置するものとして説明する。なお、本第2の実施形態の断熱パネル2は、本発明に係る建築材料の一例である。
【0028】
図7は、第2の実施形態における断熱パネル2の構成を説明する斜視図である。
図7に例示するように、断熱パネル2は、パネル本体10と、固定具20とを有する。断熱パネル2は、パネル本体10の向かい合う一対の側壁面に固定具20が取り付けれている。なお、本第2の実施形態の断熱パネル2は、パネル本体10と、固定具20とにより構成され、パネル本体10の向かい合う一対の側壁面のみに固定具20が取り付けれている。
固定具20は、Z字型の断面形状であり、長手方向に連続した金属製又は合成樹脂製の型材であり、本実施形態の固定具20は、合成樹脂製の型材である。
また、固定具20の長手方向の長さは、パネル本体10の側壁面における長手寸法以下の長さに形成されている。具体的には、固定具20の長さは、5cm以上、かつ、パネル本体10の側壁面における長手寸法の1/2以下の長さである。より具体的には、固定具20の長さは、5cm以上、パネル本体10の側壁面における長手寸法の1/3以下の長さである。なお、本実施形態の固定具20の長さ20Lは、パネル本体10の側壁面10Aにおける長手寸法10Wの1/3の長さである。
また、固定具20は、パネル本体10の1つの側壁面に複数配置され、互いに間隔をあけて配置されている。本実施形態の固定具20は、パネル本体10の1つの側壁面に2つ配置され、互いに間隔をあけて配置されている。
このように、断熱パネル2は、パネル本体10と、固定具20とにより構成されている。
【0029】
以上説明したように、第2の実施形態の断熱パネル2は、パネル本体10の側壁面に複数の固定具20を互いに離間させて配置し、根太との隙間を適度に設けることにより、建築物における床上の空気と床下の空気との循環を行うことができる。これにより、適度な気密性を保持すると共に、床上と床下との温度差を少なくすことができるため、室内空間の急激な温度変化を抑えることができる。
【0030】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、これらに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、追加等が可能である。
【符号の説明】
【0031】
1、2…断熱パネル
10…パネル本体
12…溝
20…固定具
22…接続部
23…差込片
24…係止片

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7