(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】表示灯
(51)【国際特許分類】
F21L 4/00 20060101AFI20221208BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20221208BHJP
【FI】
F21L4/00 416
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2018156424
(22)【出願日】2018-08-23
【審査請求日】2021-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000002462
【氏名又は名称】積水樹脂株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】594067025
【氏名又は名称】嶋田プレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(72)【発明者】
【氏名】田村 真紀
(72)【発明者】
【氏名】関 克彦
(72)【発明者】
【氏名】二俣 圭吾
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-068897(JP,A)
【文献】登録実用新案第3107498(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2007/0159815(US,A1)
【文献】実公昭28-000628(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21L 4/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手で握るための把持部と、発光体からの光を外方に投光する投光部を有する投光本体部とを備えた表示灯であって、
前記把持部は長尺状に形成されており、且つ前記投光部は上下方向に長い形状に形成されており、
前記投光本体部は、前記把持部の先端側に設けられ、前記発光体からの光が前記投光部を通して前方に投射されるように構成されており、
前記投光本体部には、前記発光体を備えたLED基板が設けられ、前記発光体に対応して前記LED基板に反射部材が取り付けられ、前記反射部材の反射部の前面側には、レンズ部を有する前面投光カバーが設けられており、
前記反射部材の前記反射部は、前記発光体に対して前記前面投光カバーとは反対側に配設された楕円弧状反射部と、前記楕円弧状反射部の両端部に配設された一対の平面状反射部とを有し、前記反射部材の前記反射部及び前記前面投光カバーの前記レンズ部が配光部を構成しており、
前記投光部からの投射光は、
前記反射部材の前記反射部における反射及び前記前面投光カバーの前記レンズ部における屈折による配光調整により、前記投光部の上下方向の拡がりがその幅方向の拡がりよりも大きく
なるように投射されることを特徴とする表示灯。
【請求項2】
前記発光体は、前記投光本体部内に前記投光部の前記上下方向に間隔をおいて
複数配設され、複数の発光体の各々に対応して前記反射部材の前記反射部が配設されていることを特徴とする
請求項1に記載の表示灯。
【請求項3】
前記投光本体部の前記投光部から投射される光は、前記幅方向にはほとんど拡がらずにほぼ平行に投射され、前記上下方向上方への上拡がり角度は20~45度であり、前記上下方向下方への下拡がり角度は5~40度であり、前記上拡がり角度は前記下拡がり角度よりも5~15度大きいこと特徴とする請求項
1又は2に記載の表示灯。
【請求項4】
前記投光部は、前記投光本体部の対向する外面に180度の間隔をおいて設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の表示灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路や鉄道などで実施される夜間の工事、点検などを行っていることを知らせるために用いる表示灯に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、誘導灯として、手で握るための把持部及びこの把持部の先端側に設けられた投光本体部を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この誘導灯では、把持部は長い円筒状に形成され、投光本体部はその長手方向に配設された複数の投光部を有している。各投光部内には、LEDから構成される発光体及び円錐状鏡面を有する光分散手段が内蔵されており、この発光体からの光は、光分散手段により全周方向に拡散された後に、対応する投光部の全周から外方に投射される。
【0003】
また、表示灯として、点灯用光源と、点灯用光源からの光を反射するリフレクタと、リフレクタの開口部を被う前面レンズとを備え、この前面レンズにシリンドリカルレンズを用いたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。この表示灯においては、前面レンズが投光部として機能し、点灯用光源からの光は、リフレクタによりその開口部に反射され、前面レンズ(シリンドリカルレンズ)を通過する際に表示灯の横方向に拡がるように拡散され、この前面レンズ(投光部)から横方向に拡がった状態で外方に投射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-222901号公報
【文献】実願平1-13084号(実開平2-104503号)のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、軌道工事などにおいては、工事中の安全性を確保するために、電車の運転手に工事中であることを知らせる必要あり、そのために、例えば800m程度の遠方からでも視認できる表示灯が強く望まれている。
【0006】
しかし、上述した従来の誘導灯では、発光体(LED)からの光が投光本体部の投光部の全周から外方に投射されるために、発光体からの光が全周方向に分散され、遠方まで投光しようとすると、発光体(LED)自体の出力を大きくする、又は発光体(LED)の個数を多くする必要があり、またこのように構成した場合、消費電力が大きくなり、電源として容量の大きい電池が必要となり、その結果、これらのことに関連して、製造コストも高くなる。
【0007】
また、上述した従来の表示灯では、投光部からの光が横方向に拡がった状態(換言すると、上下方向に収束した状態)で投射されるために、作業者が表示灯を持って横方向に振る際に、手に持った状態の表示灯が例えば上方向(又は下方向)に傾いていると、表示灯の投光部からの光は、水平方向前方に投射されず、この水平方向から幾分上方(又は幾分下方)に向けて投射され、遠方から近づいてくる電車の運転手は、この表示灯からの投射光を視認することができず、充分な安全性を確保することができない。
【0008】
本発明の目的は、発光体からの光を投光部から効果的に投射し、作業者が手で持った状態で横方向に振ったときに遠方から視認することができる表示灯を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の表示灯は、手で握るための把持部と、発光体からの光を外方に投光する投光部を有する投光本体部とを備えた表示灯であって、
前記把持部は長尺状に形成されており、且つ前記投光部は上下方向に長い形状に形成されており、
前記投光本体部は、前記把持部の先端側に設けられ、前記発光体からの光が前記投光部を通して前方に投射されるように構成されており、
前記投光本体部には、前記発光体を備えたLED基板が設けられ、前記発光体に対応して前記LED基板に反射部材が取り付けられ、前記反射部材の反射部の前面側には、レンズ部を有する前面投光カバーが設けられており、
前記反射部材の前記反射部は、前記発光体に対して前記前面投光カバーとは反対側に配設された楕円弧状反射部と、前記楕円弧状反射部の両端部に配設された一対の平面状反射部とを有し、前記反射部材の前記反射部及び前記前面投光カバーの前記レンズ部が配光部を構成しており、
前記投光部からの投射光は、前記反射部材の前記反射部における反射及び前記前面投光カバーの前記レンズ部における屈折による配光調整により、前記投光部の上下方向の拡がりがその幅方向の拡がりよりも大きくなるように投射されることを特徴とする表示灯である。
【0010】
この表示灯においては、投光本体部は、発光体からの光が入射する配光部を備えており、配光部は、その屈折及び/又は反射によって、発光体から配光部を通して投光部から投射される光を投光部の幅方向の拡がりがその上下方向の拡がりよりも収束した状態となるように構成することが好ましく、このように構成することにより、投光部からの投射光をこの投光部の上下方向に拡がり且つその幅方向に収束した状態とすることができる。
【0011】
また、前記発光体を投光本体部内に投光部の上下方向に間隔をおいて複数配設し、複数の発光体の各々に対応して前記反射部材の前記反射部が配置されていることが好ましく、且つ、上述したように投光部を上下方向に長い形状に形成しているので、このように構成することにより、表示灯からの投射光を強くして遠方からの視認をより容易にすることができるとともに、この投射光を上下方向に拡がったものとすることができる。
【0012】
更に、投光本体部の投光部から投射される光を幅方向にはほとんど拡がらずにほぼ平行に投射し、上下方向上方への上拡がり角度を20~45度とし、上下方向下方への下拡がり角度を5~40度とし、上拡がり角度を下拡がり角度よりも5~15度大きくすることにより、作業者が表示灯を手で持って普通に横方向に振った場合、水平方向前方の遠くから見たときに上下方向に細長い投射光として容易に視認することができる。
【0013】
更にまた、投光部を投光本体部の対向する外面に180度の間隔をおいて設けることにより、水平方向前方及び後方(例えば、前方から近づく電車の運転手及び後方から近づく電車の運転手)の遠くからこの表示灯の投射光を視認することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る表示灯によれば、投光本体部の投光部からの投射光は、投光部の上下方向の拡がりがその幅方向の拡がりよりも大きくなるように構成されているので、作業者が表示灯を手で持って横方向に振ったとき、水平方向前方の遠くからでもこの投射光を容易に視認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に従う表示灯の一実施形態を示す正面図。
【
図3】
図1の表示灯の投光部の一部を切り欠いて示す斜視図。
【
図4】
図1の表示灯における反射部材及びそれに関連する構成を示す斜視図。
【
図5】
図1の表示灯における回路基板、反射部材及び前面投光カバーを分解して示す分解断面図。
【
図6】
図1の表示灯における投射光のX方向の拡がりを説明するための図。
【
図7】
図1の表示灯における投射光のY方向の拡がりを説明するための図。
【
図8】
図1の表示灯における投射光の上下方向の拡がりを説明するための図。
【
図9】
図9(a)は、
図1の表示灯における投射光の明るさを示す図、
図9(b)は、この投射光のY方向の配光分布を示す配光分布図、
図9(c)は、この投射光のX方向の配光分布を示す配光分布図。
【
図10】
図10(a)は、従来の表示灯における投射光の明るさを示す図、
図10(b)は、この投射光のY方向の配光分布を示す配光分布図、
図10(c)は、この投射光のX方向の配光分布を示す配光分布図。
【
図11】本発明に従う表示灯の他の実施形態における投射光の上下方向の拡がりを説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う表示灯の一実施形態について説明する。
図1及び
図2において、図示の表示灯2は、全体の軸方向(
図1及び
図2において左右方向)に延びており、その一端部(基部)に、手で握るための把持部4が設けられ、この把持部4の先端側に投光本体部6が設けられている。把持部4は長尺状に形成され、その裏面の一部領域8を除き、長手方向に間隔をおいて多数のC字状突部10が設けられ、これら突部10を設けることにより、作業者が把持しやすくなっている。
【0017】
投光本体部6の前面には、そのほぼ全長にわたって投光部12が設けられ、この投光部12は、上記軸方向(即ち、その長手方向)に長く延びている。投光部12及びそれに関連する構成については、後述する。この表示灯2の背面には、電源スイッチ14、パワーモードスイッチ16及び充電端子部(図示せず)が設けられ、充電端子部は、端子カバー18により覆われている。
【0018】
次に、
図1とともに
図3~
図5を参照して、投光本体部6及びそれに関連する構成について説明する。投光本体部6は中空筒状の投光ハウジング20を備え、この投光ハウジング20の前面側に略矩形状の投光開口が設けられ、この投光開口を覆うように前面投光カバー22が一対の取付ねじ24により取り付けられている。また、投光ハウジング20の裏面には矩形状の裏面開口が設けられ、この裏面開口に裏面カバー26が複数の取付ねじ28により取り付けられている。
【0019】
この投光ハウジング20内には、発光体としてのLED30が投光本体部6(投光ハウジング20)の長手方向に間隔をおいて複数(この実施形態では、8個)配設されている。更に説明すると、裏面カバー26の内面にはLED基板32が取り付けられ、このLED基板32の表面に実質上等間隔をおいて複数のLED30が取り付けられ、これらLED30は、表示灯2内に内蔵される電源電池(図示せず)からの電力により点灯される。
【0020】
このLED基板32には反射部材34が取り付けられ、この反射部材34は、LED30からの光を配光する配光部の一部として機能する。図示の反射部材34は、投光部12に対応して細長く、複数のLED30の各々に対応する8つ反射部36A~36Hを有している(
図4参照)。これら反射部36A~36Hが長手方向に連続的に設けられ、各反射部36A(36B~36H)に対応してLED30が配設されている(
図3参照)。
【0021】
反射部36A(36B~36H)は、対応するLED30の背面側(前面投光カバー22とは反対側)に配設された楕円弧状反射部38と、この楕円弧状反射部38の両端部に配設された一対の平面状反射部40とを有し、これら楕円弧状反射部38及び一対の平面状反射部40の内表面がLED30からの光を反射する反射面として機能する。
【0022】
このような反射部材34では、
図5から理解されるように、反射部材34の前面側においては、平面状反射部40の下端部に設けられた取付突部43をLED基板32の取付スリット(図示せず)に挿入することにより取り付けられる。また、この反射部材34の背面側においては、LED基板32と反射部材34との間にスペーサ42を介在させ、これらを通して取付用ねじ41を挿通した後、その雄ねじ部44に雌ねじ部(図示せず)を有する固定用部材46を螺着することにより取り付けられ、このようにして反射部材34がLED基板32に取外し可能に取り付けられる。
【0023】
このように構成することにより、複数(この形態では、8個)のLED30に対して一つの反射部材34で対応することができ、反射部材34に関連する構成を簡単に、またその組付作業も容易にすることができる。このような反射部材34は、合成樹脂の一体成形により形成し、その表面に鏡面処理を施すことにより形成することができる。
【0024】
この前面投光カバー22は、投光部12の投光開口を覆う前面カバー部48と、この前面カバー部48の内面側に配設されたレンズ部50とを有し、このレンズ部50は、反射部36A(36B~36H)とともに配光部を構成している。この形態では、前面カバー部48及びレンズ部50が一体的に構成され、このように構成することにより、その構成の簡略化及び取付作業の容易化を図っており、このような前面投光カバー22は、合成樹脂の一体成形により形成することができる。
【0025】
この形態では、レンズ部50は、多数のシリンドリカルレンズから構成され、これらシリンドリカルレンズは、前面投光カバー22の長手方向(
図1及び
図3において左右方向、
図5及び
図6において紙面に対して垂直な方向、
図7において上下方向であるY方向)に連続的に設けられ、前面投光カバー22の幅方向(X方向)に直線状に延びている。尚、前面投光カバー22の前面カバー部48とレンズ部50とを別体に構成し、このレンズ部50を前面カバー部48の内側に近接乃至接触して配設するようにしてもよい。
【0026】
この実施形態では、LED30からの光は、上述の配光部(反射部36A~36H及びレンズ部50)によって、次のように投光されるように配光調整される。即ち、LED30からの光は、反射部材34(反射部36A~36H)による反射及びレンズ部50による屈折を利用して、投光本体部6の投光部12の幅方向(
図3においてX方向)において、
図6に示すように、外側にほとんど拡がらずに前面投光カバー22の略全幅でもってほぼ直線状に投光されるように配光調整され、またこの投光部12の長手方向(
図3においてY方向)において、
図7に示すように、外側に幾分拡がって前面投光カバー22の全長幅から斜め方向両側(即ち、上下方向上側及び下側)に直線状に拡がるように配光調整され、このように構成することより、投光部12からの光は、この投光部12の長手方向(換言すると、使用状態において上下方向であって、
図3のY方向)の拡がりがその幅方向(換言すると、使用状態において横方向であって、
図3のX方向)の拡がりよりも大きくなるように投射される。
【0027】
尚、投光本体部6の投光部12からの投射光の上述した配光は、反射部材34の反射部36A~36H(楕円弧状の反射部38及び一対の平面状の反射部40)の形状を適宜に変更することにより、またレンズ部50の形状を適宜に変更することにより、所望の通りに調整することができる。
【0028】
反射部材34の反射部36A~36H及び前面投光カバー22のレンズ部50により配光調整された光は、表示灯2の前面(投光部12)から
図8に示すように投光される。例えば、作業者は、この表示灯2を使用する際に、投光本体部6が上となるように把持部4を握って横方向に振るようにして用い、このように用いる場合、表示灯2(投光本体部6)からの投射光を前方から目視できるようにするためには、
図8に示すように、前方に向けて投射する使用状態において、上下方向(投光本体部6の長手方向)に幾分拡がるように配光調整するのが望ましい。
【0029】
この実施形態では、表示灯2からの投射光の上下方向上方への上拡がり角度α1(
図8参照)は、例えば25度に配光調整され、また上下方向下方への下拡がり角度α2(
図8参照)は、例えば25度に配光調整されている。尚、この上拡がり角度α1及び下拡がり角度α2は、表示灯2の使用目的などに応じて、5~45度の適宜の角度に配光調整される。
【0030】
このように配光調整された表示灯2では、投光本体部6からの投射光の配光分布は、
図9に示すようになり、Y方向(投光本体部6の長手方向)の幅は、
図9(a)及び
図9(b)に示すように広く、またX方向(投光本体部6の幅方向)の幅は、
図9(a)及び
図9(c)に示すように狭く、全体として投光本体部6の長手方向に細長い光となって投射される。
【0031】
これに対して、従来の表示灯(反射部材しか用いていないもの)の配光分布は、Y方向の幅は、
図10(a)及び
図10(b)に示すように狭く、またX方向の幅は、
図10(a)及び
図10(c)に示すように狭く、全体として点状の光となって投射され、その明るさのピークは、上述の表示灯2よりも大きくなる。
【0032】
このような配光分布の表示灯2は、例えば、軌道工事(線路工事)の現場において前方から近づいてくる電車の運転手に工事中であることを知らせるために用いられ、このような用途に用いる場合、例えば、投射場所(表示灯2を振る位置)から約800m前方において、この表示灯2(投光本体部6)からの投射光の上下方向の幅が広いが、その横方向の幅がこの上下方向の幅よりも狭くなるように配光調整され、表示灯2からの投射光をこのように配光調整することにより、作業者が表示灯2を手で持って横方向に振った場合、約800mの前方からでもこの表示灯2の投射光を視認することができるようになり、軌道工事現場の安全を確保することができる。
【0033】
この表示灯2においては、複数のLED30は二つのグループに分けられ、例えば、投光本体部6の先端側の4つのLED30が第1グループを構成し、その基部側(把持部4側)の4つのLED30が第2グループを構成する。この表示灯2において、電源スイッチ14(
図2参照)を一度押圧すると、電源がオンとなって表示灯2は通常の点灯状態となり、第1グループのLED30と第2グループのLEDとが交互に点滅するようになる。尚、この電源スイッチ14を再度押圧すると、電源がオフとなって第1及び第2グループのLED30の交互点滅の状態が終了する。
【0034】
また、パワーモードスイッチ16(
図2参照)を押圧してこの押圧状態を保持したときには、電源がオンとなって表示灯2はパワーモードの点灯状態となり、第1及び第2グループのLED30が同じ点滅状態となる。尚、このパワーモードスイッチ16の押圧状態を解除すると、電源がオフとなって第1及び第2グループのLED30の同時点滅の状態が終了する。尚、複数のLED30の点滅パターンについては、上述した2つのパターンに限定されず、種々のパターンに設定することができる。
【0035】
このような表示灯を手で持って横方向に振る場合、作業者は無意識のうちに投光本体部を上方向よりも下方向に傾けて振る傾向にある。従って、表示灯(投光本体部)からの投射光を前方からより確実に目視できるようにするためには、
図11に示すように配光調整するのが望ましい。
【0036】
図11を参照して、この実施形態の表示灯2Aでは、LED30(
図5参照)からの投射光は、上下方向上方への上拡がり角度α11(
図11参照)が20~45度となるように配光調整され、このような拡がり角度α11となるように調整することにより、この表示灯2Aを無意識に下側に傾けて振ったとしても、表示灯2A(投光本体部6A)からの投射光を前方から確実に視認することができる。この拡がり角度α11が45度よりも大きくなると、表示灯2Aからの投射光が上下方向上方に無駄に拡がるようになり、またこの拡がり角度α11が20度よりも小さくなると、無意識に下側に大きく傾いたときに、表示灯2Aからの投射光を前方から視認することができなくなる。
【0037】
また、この表示灯2からの投射光の上下方向下方への下拡がり角度α21は、5~40度であって、上述の上拡がり角度α11よりも5~15度小さい角度に配光調整され、このような下拡がり角度α21とすることにより、この表示灯2を無意識に上側に傾けて振ったとしても、表示灯2A(投光本体部6A)からの投射光を前方から確実に視認することができる。この下拡がり角度α21が40度よりも大きくなると、表示灯2A(投光本体部6A)からの投射光が上下方向下方に無駄に拡がるようになり、またこの下拡がり角度α21が5度よりも小さくなると、無意識に上側に大きく傾いたときに、表示灯2Aからの投射光を前方から視認することができなくなる。
【0038】
以上、本発明に従う表示灯の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0039】
例えば、図示の実施形態では、発光体としてのLED30を投光本体部6の長手方向に8個並べて用いているが、この発光体(LED30)は一つ又は2つ以上の適宜の数を配設することができる。また、この実施形態では、複数(8個)のLED30の各々に対応して反射部36A~36Hを設けているが、このような構成に代えて、2つ、3つ又は4つのLED30に対応して反射部を設けるようにしてもよい。
【0040】
また、上述した実施形態では、光の反射を利用する反射部材34(反射部36A~36H)及び光の屈折を利用するレンズ部50の組合せから配光部を構成しているが、例えば反射部材34により所望の配光を得ることができる場合には、レンズ部を省略するようにしてもよく、或いはレンズ部50により所望の配光を得ることができる場合には、反射部材34を省略するようにしてもよい。
【0041】
また、上述した実施形態では、投光本体部6の前面側に投光部12を設けているが、この前面側の投光部12(前面側投光部)に加えて裏面側にも裏面側投光部(図示せず)を設けるようにしてもよい。この場合、投光本体部12の対向する外面に180度の間隔をおいて一対の投光部12(前面側投光部及び裏面側投光部)が配置され、一方の投光部12(例えば、前面側投光部)からの投射光は、例えば前方から近づく電車の運転者に知らせるために用いられ、また他方の投光部12(例えば、後面側投光部)からの投射光は、例えば後方から近づく電車の運転者に知らせるために用いられる。
【0042】
更に、上述した実施形態では、この表示灯2を夜間の軌道工事中であることを知らせるための例に適用して説明しているが、このような適用例に限定されず、例えば、夜間の踏切などにおいて事故が発生したことを知らせるため、夜間の道路工事中であることを知らせるため、夜間の高速道路などにおいて車両が故障したことを知らせるためなどに広く適用することができる。
【符号の説明】
【0043】
2,2A 表示灯
4 把持部
6,6A 投光本体部
12 投光部
22 前面投光カバー
30 LED(発光体)
34 反射部材
36A~36H 反射部
50 レンズ部