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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】鋼製内外装下地材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20221208BHJP
   E04B 1/19 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
E04B1/58 507R
E04B1/19 G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018194923
(22)【出願日】2018-10-16
(65)【公開番号】P2020063576
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】510114664
【氏名又は名称】株式会社ロブテックスファスニングシステム
(73)【特許権者】
【識別番号】517144547
【氏名又は名称】株式会社カナヤマ
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100195006
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 勇蔵
(72)【発明者】
【氏名】川邉 裕一
(72)【発明者】
【氏名】星山 守
【審査官】沖原 有里奈
(56)【参考文献】
【文献】特許第5314501(JP,B2)
【文献】特開平08-061345(JP,A)
【文献】特開2015-068040(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/38-1/61
E04B 1/00-1/36
E04B 2/56-2/70
E04F 13/00-13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付け側の他の部材に固定される接合部材と、
閉鎖断面を有するとともに、前記接合部材を介して他の部材に接続される鋼製下地部材と、
前記鋼製下地部材の前記閉鎖断面及び前記接合部材を貫通する固定部材とを備え、
前記固定部材は、前記鋼製下地部材の前記閉鎖断面を横断して延びる円筒部と、ネジ山が形成されるネジ部とを有するボルトであり、
前記固定部材は段付ボルトであり、前記段付ボルトの前記円筒部の外径は前記ネジ部の外径よりも大きく、
前記接合部材は、前記鋼製下地部材を挟んで互いに対向するように配置される第一接合板及び第二接合板を有し、
前記第一接合板には、前記段付ボルトの前記円筒部の外径よりも大きい径を有する挿入側ボルト孔が形成され、
前記第二接合板には、前記段付ボルトの前記円筒部の外径よりも小さい径を有する締結側ボルト孔が形成され
前記挿入側ボルト孔には前記段付ボルトの円筒部が挿通されており、前記締結側ボルト孔には前記段付ボルトのネジ部が挿通されている鋼製内外装下地材。
【請求項2】
取付け側の他の部材に固定される接合部材と、
閉鎖断面を有するとともに、前記接合部材を介して他の部材に接続される鋼製下地部材と、
前記鋼製下地部材の前記閉鎖断面及び前記接合部材を貫通する固定部材とを備え、
前記固定部材は、前記鋼製下地部材の前記閉鎖断面を横断して延びる円筒部と、ネジ山が形成されるネジ部とを有するボルトであり、
前記固定部材は段付ボルトであり、前記段付ボルトの前記円筒部の外径は前記ネジ部の外径よりも大きく、
前記接合部材は1枚の接合板からなり、前記接合板には前記段付ボルトの前記円筒部の外径よりも小さい径を有する締結側ボルト孔が形成され、前記締結側ボルト孔には前記段付ボルトのネジ部が螺合された状態で挿通されている鋼製内外装下地材。
【請求項3】
前記鋼製下地部材は溶融亜鉛-アルミニウム-マグネシウム系合金めっき鋼板により形成される、請求項1又は2に記載の鋼製内外装下地材。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の鋼製内外装下地材の製造方法であって、前記段付ボルトはタッピング型の片側施工ボルトであり、前記段付ボルトを回転させることにより、前記ネジ部が挿通する前記締結側ボルト孔の内周面には塑性変形により雌ねじ部が形成され、前記鋼製下地部材が前記接合部材に締結される鋼製内外装下地材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鋼製内外装下地材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
胴縁等の複数の部材を互いに接続させて内外装下地材を組み立てる際は、特許文献1に記載されるように、角形鋼管からなる胴縁を一対の取付け金物を介して取付け側の部材に取り付ける。この時、特許文献1の図1に示すように、一対の取付け金物は、取付けられる側の胴縁を間に挟んで互いに対向するように配置される。そして、胴縁と取付け金物とは、胴縁の閉鎖断面を横断するように設けられる通しボルトによって締結され、胴縁は取付け金物を介して取付け側の部材に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】第5314501号特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示す胴縁の取付け構造では、図8に示すように、ナット123を通しボルト120に対して矢印が示す方向に締め込む際、強く締め込みすぎて胴縁102が一点鎖線Bのように塑性変形してしまうおそれがあった。このように胴縁が塑性変形すると、胴縁の寿命が短くなってしまう可能性がある。一方、胴縁の変形を防止するためにナットの締付けトルクを抑えると、通しボルトにかかる軸力が小さくなり、取付け側の部材に対する胴縁の締結の度合いが弱くなってしまうという問題もあった。
【0005】
この発明は、このような問題を解決するためになされ、鋼製下地部材が接合部材を介して他の部材に堅固に締結されるとともに、鋼製下地部材の塑性変形が防止される鋼製内外装下地材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、この発明に係る鋼製内外装下地材は、取付け側の他の部材に固定される接合部材と、閉鎖断面を有するとともに、接合部材を介して他の部材に接続される鋼製下地部材と、鋼製下地部材の閉鎖断面及び接合部材を貫通する固定部材とを備え、固定部材は、鋼製下地部材の閉鎖断面を横断して延びる円筒部と、ネジ山が形成されるネジ部とを有するボルトであり、固定部材は段付ボルトであり、段付ボルトの円筒部の外径はネジ部の外径よりも大きく、接合部材は、鋼製下地部材を挟んで互いに対向するように配置される第一接合板及び第二接合板を有し、第一接合板には、段付ボルトの円筒部の外径よりも大きい径を有する挿入側ボルト孔が形成され、第二接合板には、段付ボルトの円筒部の外径よりも小さい径を有する締結側ボルト孔が形成され、挿入側ボルト孔には段付ボルトの円筒部が挿通されており、締結側ボルト孔には段付ボルトのネジ部が挿通されている。
【0007】
この発明に係る鋼製内外装下地材の鋼製下地部材は溶融亜鉛-アルミニウム-マグネシウム系合金めっき鋼板により形成されてもよい。
【0008】
固定部材は段付ボルトであり、段付ボルトの円筒部の外径はネジ部の外径よりも大きくてよい。
【0009】
また、接合部材は、鋼製下地部材を挟んで互いに対向するように配置される第一接合板及び第二接合板を有し、第一接合板には、段付ボルトの円筒部の外径よりも大きい径を有する挿入側ボルト孔が形成され、第二接合板には、段付ボルトの円筒部の外径よりも小さい径を有する締結側ボルト孔が形成され、挿入側ボルト孔には段付ボルトの円筒部が挿通されており、締結側ボルト孔には段付ボルトのネジ部が挿通されていてもよい。
【0010】
さらに、接合部材は1枚の接合板からなり、接合板には段付ボルトの円筒部の外径よりも大きい径を有する挿入側ボルト孔が形成され、挿入側ボルト孔には段付ボルトの円筒部が挿通されており、段付ボルトのネジ部にはナットが螺合されていてもよい。
【0011】
また、上記の課題を解決するために、この発明に係る鋼製内外装下地材は、取付け側の他の部材に固定される接合部材と、閉鎖断面を有するとともに、接合部材を介して他の部材に接続される鋼製下地部材と、鋼製下地部材の閉鎖断面及び接合部材を貫通する固定部材とを備え、固定部材は、鋼製下地部材の閉鎖断面を横断して延びる円筒部と、ネジ山が形成されるネジ部とを有するボルトであり、固定部材は段付ボルトであり、段付ボルトの円筒部の外径はネジ部の外径よりも大きく、接合部材は1枚の接合板からなり、接合板には段付ボルトの円筒部の外径よりも小さい径を有する締結側ボルト孔が形成され、締結側ボルト孔には段付ボルトのネジ部が螺合された状態で挿通されている。
【0012】
またさらに、この発明にかかる鋼製内外装下地材の製造方法において、段付ボルトはタッピング型の片側施工ボルトであり、段付ボルトを回転させることにより、ネジ部が挿通する締結側ボルト孔の内周面には塑性変形により雌ねじ部が形成され、鋼製下地部材が接合部材に締結されてもよい。
【発明の効果】
【0013】
この発明に係る鋼製内外装下地材によれば、鋼製下地部材が接合部材を介して他の部材に堅固に締結されるとともに、鋼製下地部材の塑性変形が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】この発明の実施の形態1に係る鋼製内外装下地材を示す斜視図である。
図2図1に示す鋼製内外装下地材の段付ボルトを示す斜視図である。
図3図3(a)は、図1に示す鋼製内外装下地材を示す模式的な断面側面図であり、図3(b)は、図3(a)に示す鋼製内外装下地材に固定部材として半ネジボルトを用いた例を示す断面側面図である。
図4】この発明の実施の形態2に係る鋼製内外装下地材を示す模式的な断面側面図である。
図5】この発明の実施の形態3に係る鋼製内外装下地材を示す模式的な断面側面図である。
図6】この発明の実施の形態4に係る鋼製内外装下地材を示す模式的な断面側面図である。
図7】この発明の実施の形態5に係る鋼製内外装下地材を示す模式的な断面側面図である。
図8】従来の例に係る鋼製内外装下地材の胴縁の変形の様子を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態に係る鋼製内外装下地材100~500について添付図面に基づいて説明する。
なお、鋼製内外装下地材100~500は、鋼製胴縁の他、鋼製母屋又は建造物の間仕切りとしても使用されるものとする。
【0016】
実施の形態1.
図1に示すように、鋼製内外装下地材100は、取付け側の部材である第一胴縁1に接続される第二胴縁2を有する。また、鋼製内外装下地材100は、この第二胴縁2を第一胴縁1に接続させる第一接合板30及び第二接合板40と、第二胴縁2を第一接合板30及び第二接合板40に締結させる段付ボルト20とを備えている。第一胴縁1はC形鋼である。また、第二胴縁2は、略正方形状の閉鎖断面S1を有する角形鋼管である。また、第一接合板30及び第二接合板40は、各々が略L字形状の断面を有する板状の部材であり、間に第二胴縁2を挟んで互いに対向している。また、第一接合板30及び第二接合板40は、各々、2本ずつ設けられた締結ボルト4によって第一胴縁1に締結されている。さらに、第二胴縁2は、第二胴縁2の閉鎖断面S1と第一接合板30及び第二接合板40とを貫通する段付ボルト20によって、第一接合板30及び第二接合板40に対して締結される。
ここで、第二胴縁2は鋼製下地部材を構成する。そして、第一胴縁1は、鋼製下地部材としての第二胴縁2が接続される他の部材である。
また、段付ボルト20は固定部材を構成する。
また、第一接合板30及び第二接合板40は接合部材を構成する。
また、第一胴縁1、第二胴縁2、第一接合板30及び第二接合板40は、溶融亜鉛-アルミニウム-マグネシウム系合金めっき鋼板により形成される。
【0017】
図2に示すように、段付ボルト20は、ネジ山が形成されるネジ部22と、ボルト頭24と、ネジ部22とボルト頭24との間に設けられる円筒部21とを有する。円筒部21にはネジ山は形成されていない。ここで、ネジ部22の外径R2は、ネジ部22に隣接する円筒部21の外径R1よりも小さい。また、ネジ部22の長さをL1とし、円筒部21の長さをL2とする。さらに、図3に示すようにネジ部22にはナット23が螺合され、第二接合板40とナット23との間にはワッシャ25が設けられる。さらに、段付ボルト20の円筒部21の長さL2は第二胴縁2の幅L3に応じて決定される。具体的には、第二胴縁2が段付ボルト20とナット23との締め付けによって圧縮された際に、塑性変形せず、一方で段付ボルト20に十分な軸力がかかる程度の幅L3を第二胴縁2が維持できるよう、円筒部21の長さL2が決定される。従って、段付ボルト20が第二胴縁2の閉鎖断面S1、第一接合板30及び第二接合板40を貫通する際、円筒部21は第二胴縁2の閉鎖断面S1を横断して延びるように設けられている。
【0018】
また、図3(a)に示すように、第一接合板30には挿入側ボルト孔31が形成される。また、第二接合板40にも、挿入側ボルト孔31に対向する位置に締結側ボルト孔41が形成される。さらに、第二胴縁2には、挿入側ボルト孔31及び締結側ボルト孔41に各々対応する位置にボルト孔2a,2bが形成される。挿入側ボルト孔31の径D1は、段付ボルト20の円筒部21の外径R1よりも大きい。また、締結側ボルト孔41の径D2は段付ボルト20の円筒部21の外径R1よりも小さく、ネジ部22の外径R2よりも大きい。また、第二胴縁2のボルト孔2a,2bの径D3は、段付ボルト20の円筒部21の外径R1よりも大きい。これにより、第一接合板30の挿入側ボルト孔31から挿入される段付ボルト20は、第二胴縁2のボルト孔2a,2bを貫通して閉鎖断面S1を横断するように延びる。そして、段付ボルト20の円筒部21は第二接合板40に当接するとともに、ネジ部22が第二接合板40の締結側ボルト孔41に挿入され、突出する。すなわち、挿入側ボルト孔31には段付ボルト20の円筒部21が挿通され、締結側ボルト孔41にはネジ部22が挿通された状態となる。そして、第二接合板40から突出するネジ部22にはナット23が螺合される。また、第二接合板40とナット23との間にはワッシャ25が設けられる。
なお、第一接合板30には、段付ボルト20の挿入側であることを示す表示が、プレス加工で刻印されていてもよい。
【0019】
以上より、この実施の形態1に係る鋼製内外装下地材100は、閉鎖断面S1を有する第二胴縁2と、第二胴縁2の閉鎖断面S1、第一接合板30及び第二接合板40を貫通する段付ボルト20とを備える。また、段付ボルト20の円筒部21の外径R1はネジ部22の外径R2よりも大きくなるように形成されている。これにより、ナット23を段付ボルト20に対して締め込む場合でも、ナット23はネジ部22が形成されている範囲までしか締め込むことはできず、ナット23の締め込み過ぎによる第二胴縁2の変形が防止される。一方で、ナット23を段付ボルト20のネジ部22に締め込むことで、段付ボルト20に充分な軸力が作用し、第二胴縁2は第一接合板30及び第二接合板40に堅固に固定される。
【0020】
さらに、第一接合板30の挿入側ボルト孔31は、段付ボルト20の円筒部21の外径R1よりも大きい径D1を有する。第二接合板40の締結側ボルト孔41は、段付ボルト20の円筒部21の外径R1よりも小さく、かつ、ネジ部22の外径R2よりも大きい径D2を有する。これにより、締結側ボルト孔41にはネジ部22のみが挿入可能であり、円筒部21は挿入することができない。従って、ナット23を段付ボルト20に締め込む際、円筒部21は第二接合板40に当接し、それ以上は締め込むことができなくなるため、第二胴縁2の塑性変形が確実に防止されるとともに、軸力が入り緩み難くすることができる。
【0021】
また、第一胴縁1、第二胴縁2、第一接合板30及び第二接合板40が溶融亜鉛-アルミニウム-マグネシウム系合金めっき鋼板により形成されることにより、鋼製内外装下地材100の耐食性が向上する。
【0022】
なお、鋼製内外装下地材100に用いられる固定部材は段付ボルト20に限定されず、図3(b)に示すような半ネジボルト20’であってもよい。半ネジボルト20’は、ネジ山が形成されていない円筒部21’と、ネジ山が形成されるネジ部22’とを有する。半ネジボルト20’の円筒部21’の外径はネジ部22’の外径とほぼ同一か、又は僅かに円筒部21’の外径の方が大きい。さらに、半ネジボルト20’が第二胴縁2の閉鎖断面S1、第一接合板30及び第二接合板40を貫通する際は、円筒部21’は第二胴縁2の閉鎖断面S1を横断して延びる。これにより、ナット23’を半ネジボルト20’に対して締め込む場合、段付ボルト20を用いる場合と同様に、ナット23’はネジ部22’が形成されている範囲までしか締め込むことができない。従って、ナット23’の締め込み過ぎが防止されて第二胴縁2の変形が防止されるとともに、半ネジボルト20’に十分な軸力を作用させることができる。また、固定部材として半ネジボルト20’を使用することにより、段付ボルト20を用いる場合と比べて鋼製内外装下地材100にかかるコストを削減することができる。また、第二接合板40の締結側ボルト孔41に、あらかじめタッピングによりネジ部22’に係合する雌ねじ部を設けておいてもよい。これにより、半ネジボルト20’の締付け具合を調整することで、第二胴縁2の閉鎖断面S1の変形を防止することができるとともに、ナット23’のゆるみ防止の効果を得ることができる。また、ナット23’及びワッシャ25を用いずに、第二接合板40’の締結側ボルト孔41にバーリング加工を施した上で、半ネジボルト20’のネジ部22’に係合する雌ねじ部を形成してもよい。
【0023】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係る鋼製内外装下地材200の構成を図4に示す。なお、以下の説明において、図1~3の参照符号と同一の符号は同一又は同様の構成要素であるので、その詳細な説明は省略する。
図4に示すように、鋼製内外装下地材200は、接合部材として第一接合板30のみを有している。従って、第二胴縁2は第一接合板30を介して第一胴縁1に接続される。ここで、段付ボルト20は第一接合板30の挿入側ボルト孔31から挿入され、第二胴縁2のボルト孔2a,2bを貫通して閉鎖断面S1を横断するように延びる。そして、第二胴縁2のボルト孔2bから突出した段付ボルト20のネジ部22にはナット23が螺合される。また、第二胴縁2とナット23との間にはワッシャ25が設けられる。ここで、ワッシャ25の内周面25aの径は、段付ボルト20の円筒部21の外径R1より小さく、ネジ部22の外径R2よりも大きい。
【0024】
以上より、この実施の形態2に係る鋼製内外装下地材200では、接合部材は1枚の第一接合板30からなる。そして、第一接合板30の挿入側ボルト孔31には段付ボルト20の円筒部21が挿通され、段付ボルト20のネジ部22にはナット23が螺合される。従って、ナット23は段付ボルト20のネジ部22が形成されている範囲までしか締め込むことができず、鋼製内外装下地材100と同様、第二胴縁2の変形が防止される。また、ナット23を段付ボルト20のネジ部22に締め込むことで、段付ボルト20に充分な軸力が作用し、第二胴縁2と第一接合板30とが堅固に締結され、緩み難くすることができる。
【0025】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3に係る鋼製内外装下地材300の構成を図5に示す。鋼製内外装下地材300は、取付け側の他の部材である柱Pに取付けられている。
図5に示すように、鋼製内外装下地材300は、柱Pに固定される接合部材としての接合板130と、段付ボルト20によって接合板130に締結される鋼製下地部材110とを有する。鋼製下地部材110は、閉鎖断面S2を有する角形鋼管である。また、接合板130には挿入側ボルト孔131が形成される。また、鋼製下地部材110にはボルト孔110a,110bが形成される。挿入側ボルト孔131の径D4及びボルト孔110a,110bの径D5は、各々、段付ボルト20の円筒部21の外径R1よりも大きい。段付ボルト20は接合板130の挿入側ボルト孔131から挿入され、鋼製下地部材110のボルト孔110a,110bを貫通して閉鎖断面S2を横断するように延びる。そして、鋼製下地部材110のボルト孔110bから突出した段付ボルト20のネジ部22にナット23が螺合される。なお、鋼製下地部材110とナット23との間にはワッシャ25が設けられる。
また、鋼製下地部材110は、溶融亜鉛-アルミニウム-マグネシウム系合金めっき鋼板により形成される。
【0026】
以上より、この実施の形態3に係る鋼製内外装下地材300では、接合部材は1枚の接合板130からなる。そして、接合板130の挿入側ボルト孔131には段付ボルト20の円筒部21が挿通され、段付ボルト20のネジ部22にはナット23が螺合される。従って、ナット23は段付ボルト20のネジ部22が形成されている範囲までしか締め込むことができず、鋼製下地部材110の変形が防止される。また、ナット23を段付ボルト20のネジ部22に締め込むことで、段付ボルト20に充分な軸力が作用して鋼製下地部材110と接合板130とが堅固に締結され、鋼製下地部材110は柱Pに確実に取付けられることができる。
【0027】
また、鋼製下地部材110が、溶融亜鉛-アルミニウム-マグネシウム系合金めっき鋼板により形成されることにより、鋼製内外装下地材300は、鋼製内外装下地材100,200と同様に高い耐食性が有することができる。
【0028】
なお、実施の形態1~3において、ナット23は、締め込みの効果をより高めるために緩み止め機能付きのナットであってもよい。
また、段付ボルト20のナット23のサイズをボルト頭24のサイズと同一のものとすることにより、現場作業性を向上させることができる。
【0029】
実施の形態4.
この発明の実施の形態4に係る鋼製内外装下地材400の構成を図6に示す。
鋼製内外装下地材400は、第二胴縁2を第一胴縁1に接続させる第一接合板60及び第二接合板70と、第二胴縁2を第一接合板60及び第二接合板70に締結させる段付ボルト50とを備えている。
【0030】
段付ボルト50はタッピング型の片側施工ボルトである。段付ボルト50は、ネジ山が形成されるネジ部52と、ボルト頭54と、ネジ部52とボルト頭54との間に設けられる円筒部51とを有する。ネジ部52の外径R4は円筒部51の外径R3よりも小さい。
なお、片側施工ボルトとは、一方向側からの締付作業のみで部材を連結することができるボルトをいう。
【0031】
また、第一接合板60及び第二接合板70は、各々が略L字形状の断面を有する板状の部材であり、間に第二胴縁2を挟んで互いに対向している。また、第一接合板60及び第二接合板70は、各々、2本ずつ設けられた締結ボルト4によって第一胴縁1に締結されている。第一接合板60には挿入側ボルト孔61が形成される。挿入側ボルト孔61の径D6は段付ボルト50の円筒部51の外径R3よりも大きい。また、第二接合板70には締結側ボルト孔71が形成される。この締結側ボルト孔71はバーリング加工によって形成され、締結側ボルト孔71の周縁部には外側に突出したフランジが設けられる。ここで、段付ボルト50の挿入前において、締結側ボルト孔71の内径D7は、ネジ部52の外径R4よりもやや小さく、かつ、ネジ部52のネジ山の谷径よりも大きくなるように形成されている。
また、第一接合板60及び第二接合板70は溶融亜鉛-アルミニウム-マグネシウム系合金めっき鋼板により形成される。
【0032】
次に、第一胴縁1に第二胴縁2を接続させて鋼製内外装下地材400を施工するための鋼製内外装下地材400の製造方法について説明する。
第二胴縁2を第一接合板60及び第二接合板70を介して第一胴縁1に接続させる際は、まず、段付ボルト50を第一接合板60の挿入側ボルト孔61から挿入する。そして、段付ボルト50は、第二胴縁2のボルト孔2a,2bを通り第二胴縁2の閉鎖断面S2を貫通する。そしてさらに、段付ボルト50のネジ部52を第二接合板70の締結側ボルト孔71に挿入する際は、矢印Aに示すように段付ボルト50を回転させ、ネジ部52のネジ山によって締結側ボルト孔71の内周面に塑性変形により雌ねじ部が形成される。これにより、挿入側ボルト孔61には段付ボルト50の円筒部51が挿通されるとともに、締結側ボルト孔71にはネジ部52が螺合された状態で挿通されることとなる。
【0033】
以上より、この実施の形態4に係る鋼製内外装下地材400の製造方法において、段付ボルト50はタッピング型の片側施工ボルトであり、段付ボルト50を回転させることにより、ネジ部52が挿通する締結側ボルト孔71の内周面に塑性変形により雌ねじ部が形成される。これにより、締結側ボルト孔71には段付ボルト50のネジ部52が螺合された状態で挿通され、第二胴縁2は第一接合板60及び第二接合板70に締結されるとともに第一胴縁1に接続される。ここで、段付ボルト50を締め込もうとする場合には、円筒部51の端部が第二接合板70に当接する。従って、第二胴縁2の塑性変形が防止される。また、締結側ボルト孔71に段付ボルト50のネジ部52が螺合されることにより、段付ボルト50に充分な軸力が作用し、第二胴縁2を第一胴縁1に堅固に固定させることができる。また、段付ボルト50はタッピング型の片側施工ボルトであるため、ナットやワッシャが不要となり、部品点数が削減される。
【0034】
また、第二胴縁2だけでなく、第一接合板60及び第二接合板70も溶融亜鉛-アルミニウム-マグネシウム系合金めっき鋼板により形成されているため、鋼製内外装下地材400は高い耐食性を有することができる。
【0035】
また、段付ボルト50によって、締結側ボルト孔71の内周面に塑性変形により雌ねじ部が形成されるため、施工時に切粉が発生せず、もらい錆が生じるおそれがない。
また、締結側ボルト孔71がバーリング加工によって形成されていることにより、段付ボルト50により充分な軸力を作用させることができ、ナットやワッシャがなくとも、第二胴縁2の変形を防止するとともに段付ボルト50を緩みにくくすることができる。
なお、この実施の形態において、固定部材は、段付ボルト50に限定されず、半ネジボルトの片側施工ボルトであってもよい。固定部材として、半ネジボルトの片側施工ボルトを使用することにより、段付ボルト50を用いる場合と比べて、鋼製内外装下地材400の施工に係るコストを削減することができる。
【0036】
実施の形態5.
この発明の実施の形態5に係る鋼製内外装下地材500の構成を図7に示す。なお、以下の説明において、図1~6の参照符号と同一の符号は同一又は同様の構成要素であるので、その詳細な説明は省略する。
図7に示すように、鋼製内外装下地材500は、タッピング型の片側施工ボルトである段付ボルト50を有するとともに、接合部材として第二接合板70のみを有している。従って、第二胴縁2は第二接合板70を介して第一胴縁1に接続される。ここで、段付ボルト50は第二胴縁2のボルト孔2aから挿入され、第二胴縁2の閉鎖断面S1を貫通する。そして、段付ボルト50を回転させることにより、ネジ部52は第二接合板70の締結側ボルト孔71の内周面に塑性変形により雌ねじ部を形成するとともに締結側ボルト孔71に螺合された状態で挿通される。
なお、段付ボルト50は固定部材を構成する。
【0037】
以上より、この実施の形態2に係る鋼製内外装下地材500では、接合部材は1枚の第二接合板70からなる。そして、第二接合板70の締結側ボルト孔71には段付ボルト50のネジ部52が螺合された状態で挿通される。従って、鋼製内外装下地材400と同様に、段付ボルト50の円筒部51は第二接合板70に当接するため、第二胴縁2の塑性変形が防止される。また、段付ボルト50のネジ部52をバーリング加工によって形成された締結側ボルト孔71に締め込むことで、段付ボルト50に充分な軸力が作用し、第二胴縁2を第一胴縁1に堅固に固定させることができる。また、段付ボルト50はタッピング型の片側施工ボルトであるため、部品点数が削減される。
なお、この実施の形態において、固定部材は、段付ボルト50に限定されず、半ネジボルトの片側施工ボルトであってもよい。固定部材として、半ネジボルトの片側施工ボルトを使用することにより、段付ボルト50を用いる場合と比べて、鋼製内外装下地材500の施工に係るコストを削減することができる。
【0038】
なお、実施の形態1~5では、鋼製下地部材及び接合部材は溶融亜鉛-アルミニウム-マグネシウム系合金めっき鋼板により形成されているが、これに限定されず、鋼製下地部材、すなわち第二胴縁2のみが溶融亜鉛-アルミニウム-マグネシウム系合金めっき鋼板により形成されていてもよい。
【0039】
また、第二胴縁2のボルト孔2a,2bも各々、同じ径D3を有するものに限定されず、異なる径を有し、ボルトの締結側のボルト孔2bの径は段付ボルト20の円筒部21の外径R1よりも小さく、ネジ部22の外径R2よりも大きくてもよい。なお、鋼製内外装下地材300の鋼製下地部材110におけるボルト孔110a,110bも同様である。
【0040】
また、実施の形態2及び3では、実施の形態1と同様に、段付ボルト20の代わりに図3(b)に示す半ネジボルト20’を固定部材として用いてもよい。また、上述のように、実施の形態4及び5では、段付ボルト50の代わりに、タッピング型の片側施工ボルトである半ネジボルトが用いられてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 第一胴縁(他の部材)、2 第二胴縁(鋼製下地部材)、20,50 段付ボルト(固定部材)、20’ 半ネジボルト(固定部材)、21,51 円筒部、22,52 ネジ部、30,60 第一接合板(接合部材)、31,61,131 挿入側ボルト孔、40,70 第二接合板(接合部材)、41,71 締結側ボルト孔、110 鋼製下地部材、130 接合板(接合部材)、100,200,300,400,500 鋼製内外装下地材、P 柱(他の部材)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8