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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 11/00 20060101AFI20221208BHJP
   F25D 17/08 20060101ALI20221208BHJP
   F25D 19/00 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
F25D11/00 102F
F25D17/08 302
F25D19/00 522F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018191073
(22)【出願日】2018-10-09
(65)【公開番号】P2020060312
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】片桐 賢宏
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-023035(JP,A)
【文献】特開2014-179224(JP,A)
【文献】特開2015-190723(JP,A)
【文献】実開昭52-044459(JP,U)
【文献】特開2006-145151(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 11/00 ~ 16/00
F25D 17/04 ~ 17/08
F25D 19/00
F25D 23/00
F25D 27/00 ~ 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部が貯蔵室となる内箱と、
前記内箱の外面に接触した蒸発器パイプと、
前記貯蔵室の内部であって、前記内箱の前記蒸発器パイプが接触した領域の内面に沿って配置された仕切り板と、
前記内面及び前記仕切り板の間に形成された流路に気体を送るファンと、を備え、
前記流路は、前記気体が蛇行して流れるように形成され、
前記内箱の内面に対向する前記仕切り板の流路面にリブが設けられ、
前記前記仕切り板の左右両端に、外側壁を有し、
前記リブの一端が前記仕切り板の一方の前記外側壁につながり、
前記リブの他端が前記仕切り板の他方の前記外側壁につながる前に終端しており、
前記リブの他端の高さが前記リブの一端の高さより低く配置され、
前記気体は下から上へ流れる、冷蔵庫。
【請求項2】
前記リブが、前記仕切り板の前記一方の外側壁から延びた第1のリブと、前記仕切り板の前記他方の外側壁から延びた第2のリブとを含み、
前記第1のリブ及び前記第2のリブが上下方向で交互に配置され、
前記第1のリブの終端部が、前記第2のリブの終端部よりも前記一方の外側壁に近接して配置されている、請求項に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記貯蔵室と前記仕切り板が対向する方向において、前記リブの先端部と前記内面の間は4.0mmから6.0mmの間隔を有している、請求項またはに記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記仕切り板の流路面の平面視において、
前記ファンは、前記仕切り板の下方の中央に設けられ、
前記ファンの上方には、前記仕切り板の前記一方及び他方の外側壁につながらない水平なひさしが設けられ、
前記リブが、前記ひさしの上方に配置されている、請求項乃至のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内箱に蒸発器が接して設けられ、蒸発器が接する内箱の内面と、対向する仕切り板によって形成された気体の流路を備える冷蔵庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ワインセラなどの、大きな容量を備えた一室を、一定の温度に保温する冷蔵庫がある。この様な冷蔵庫は、大量の対象物を冷やすため、冷却効率を上げて消費電力を下げる開発がなされている。
【0003】
そのため、冷却用の蒸発器を内箱に接して設け、気体の流路(風路)を仕切り板により画定する冷蔵庫が考え出されている。気体は、ファンにより強制対流させられ、流路を通る際に蒸発器により冷やされる。
【0004】
特許文献1には、気体が熱交換に必要とする冷却面と接する面積を大きくするため、蒸発器が接する内壁に対向して、風路を画定する熱伝導性の高い仕切り板が設けられ、気体は、流路を通っている最中に仕切り板と蒸発器により冷やされる冷蔵庫が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-82846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の冷蔵庫は、上から下への気体の流れに対して平行に直線状に仕切り板が設けられているため、ファンから出る風が直線的に流れ、気体が蒸発器や仕切り板で冷却される時間が短かった。そのため、十分に気体を冷却することができなかった。
【0007】
そこで本発明は、蒸発器に接する気体の流路長さを増加させ、流れを乱すことで、気体の冷却時間を延ばし、熱交換量を増加させる冷蔵庫を提供することを課題とする。また、本発明は、冷却効率を上げて消費電力を下げる冷蔵庫を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の冷蔵庫は、
内部が貯蔵室となる内箱と、
前記内箱の外面に接触した蒸発器パイプと、
前記貯蔵室の内部であって、前記内箱の前記蒸発器パイプが接触した領域の内面に沿って配置された仕切り板と、
前記内面及び前記仕切り板の間に形成された流路に気体を送るファンと、を備え、
前記流路は、前記気体が蛇行して流れるように形成されている、ことを特徴としている。
【0009】
本発明の冷蔵庫は、気体が蛇行して流れるように、気体の流路が形成されることで、流路長さを増加させ、気体の流れを乱すことができる。本発明の冷蔵庫は、気体の流路長さを増加させ、流れを乱すことにより、冷却時間を延ばし、熱交換量を増加させることができる。また、本発明の冷蔵庫は、熱交換量を増加させることで、冷蔵庫を効率よく冷却し、消費電力を下げることができる。
【0010】
また、本発明は、
前記内箱の内面に対向する前記仕切り板の流路面にリブが設けられ、
前記前記仕切り板の左右両端に、外側壁を有し、
前記リブの一端が前記仕切り板の一方の前記外側壁につながり、
前記リブの他端が前記仕切り板の他方の前記外側壁につながる前に終端しており、
前記リブの他端の高さが前記リブの一端の高さより低く配置され、
前記気体は下から上へ流れる、ことを特徴とする。
【0011】
本発明の冷蔵庫は、仕切り板の内箱に対向する平面視で横に大きく蛇行させ、流路長を大幅に増加することができる。蒸発器で冷却された気体からリブに霜または露が発生する場合があるが、本発明の冷蔵庫は、リブに傾斜をつけることで、霜取り時に、リブの傾斜を使って水滴の落下を促進することができる。
【0012】
また、本発明は、
前記リブが、前記仕切り板の前記一方の外側壁から延びた第1のリブと、前記仕切り板の前記他方の外側壁から延びた第2のリブとを含み、
前記第1のリブ及び前記第2のリブが上下方向で交互に配置され、
前記第1のリブの終端部が、前記第2のリブの終端部よりも前記一方の外側壁に近接して配置されている、ことを特徴とする。
【0013】
本発明の冷蔵庫は、リブを上下方向で重ならないようにすることで、ファンからの風がリブにより必要以上に妨げられないようにできる。本発明の冷蔵庫は、気体の圧力損失を防ぎ、効率よく気体を流すことができる。
【0014】
また、本発明は、
前記貯蔵室と前記仕切り板が対向する方向において、前記リブの先端部と前記内面の間は4.0mmから6.0mmの間隔を有している、ことを特徴としている。
【0015】
本発明の冷蔵庫は、仮に多少の寸法のばらつきがあったとしても、仕切り板を内箱に組立てる際に、リブが内箱に当たって、内箱を傷つけることがない。また、この間隔は、冷却中に霜ですぐ埋まるため、本発明の冷蔵庫は、気体の流れを妨げることができる。
【0016】
また、本発明は、
前記仕切り板の流路面の平面視において、
前記ファンは、前記仕切り板の下方の中央に設けられ、
前記ファンの上方には、前記仕切り板の前記一方及び他方の外側壁につながらない水平なひさしが設けられ、
前記リブが、前記ひさしの上方に配置されている、ことを特徴とする。
【0017】
本発明の冷蔵庫は、下方のファンから出た気体は蛇行して上方に向かう。リブで発生した水滴はひさしに向かって落ちるが、ひさしによりファンに水がかからないため、本発明の冷蔵庫は、ファンを水滴から守ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の1つの実施形態における冷蔵庫の概観図である。
図2】本発明の1つの実施形態における貯蔵室の断面図である。
図3】蒸発器パイプの配置例を示す冷蔵庫の内箱の外面を示す斜視図である。
図4】本発明の1つの実施形態におけるリブの配置図である。
図5】本発明の仕切り板の具体例を示す図である。
図6】本発明の1つの実施形態における気体の流路のイメージ図である。
図7】仕切り板の正面から見た、比較例のリブの配置図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための実施形態を説明する。各図面中、同一の機能を有する対応する部材については、説明を省略することがある。
【0020】
(冷蔵庫の全体構造について)
図1は、本発明の1つの実施形態における冷蔵庫の概観図である。図2は、本発明の1つの実施形態における貯蔵室の断面図である。図3は、蒸発器パイプの配置例を示す冷蔵庫の内箱の外面を示す斜視図である。図1乃至図3を参照して本発明の冷蔵庫の全体構造について説明する。
【0021】
図1に示すように本発明の1つの実施形態に係る冷蔵庫101は、その内部に食品等が貯蔵できる貯蔵室103を備える。貯蔵室103は、その前方の開口を開閉する回転式の断熱扉105を備える。
【0022】
図2に示すように、貯蔵室201は、断熱扉を除いて、内箱203で画定されている。貯蔵室201の背面にあたる内箱203の外面は、冷却用の蒸発器パイプ205と接触している。
【0023】
図3を用いて、蒸発器パイプの配置の一例を説明する。図3に示すように、貯蔵室を画定する内箱301が設けられている。蒸発器パイプ303は、内箱301の外面に接触して設けられている。
【0024】
蒸発器パイプ303は、接触面積を増加するように熱伝導性の板305にぴったりくっつけられ、往復して設けられる。凝縮器によって常温・高圧になった液体冷媒は、管径の細い毛細管307(キャピラリーチューブ)を通過させることで、蒸発器に入って蒸発しやすいように圧力が下げられている。
【0025】
蒸発器パイプ(エバポレータ)に送られた低温・低圧の液体冷媒は、内箱及び内箱に接する気体を冷やし、蒸発する。このようにすることで、本発明の一例の冷蔵庫は、内箱を冷却し、冷媒を循環させることができる。
【0026】
図2に戻って、仕切り板207は、貯蔵室201の内部であって、蒸発器パイプ205が接触した領域の内面に沿って配置されている。気体の流路209は、内箱203の内面とそれに対向する仕切り板207との間に形成される。
【0027】
ファン211は、仕切り板207に取り付けられ、流路209に気体の流れを起こす。仕切り板の下方からファン211により取り込まれた気体は、流路209を通る際に蒸発器パイプ205が接する内箱203の内面で冷やされ、仕切り板の上方から送り出される。
【0028】
流路209は、気体の流路長が増加し、気体の流れが乱れるように、蛇行している。本実施形態の冷蔵庫は、流路長を増加し、気体の流れを乱すことで、気体の冷却時間を延ばし、熱交換量を増加させることができる。また本実施形態の冷蔵庫は、熱交換量を増加させることで、効率よく気体を冷却し、冷蔵庫の消費電力を下げることができる。
【0029】
排水口213は、仕切り板207と内箱203の間の流路209の下方にあり、霜取りの際の排水を流すことできる。
【0030】
本実施形態では、ファン211が冷蔵庫の下方にある例を示したが、ファンが冷蔵庫の上方にあってもよい。ファンが冷蔵庫の上方にある場合は、暖められた気体を冷却しながら下方に流すことができるため、自然に流れが起こる。
【0031】
(リブの構成)
図4は、本発明の1つの実施形態におけるリブの配置図である。図5は、本発明の仕切り板の具体例である。図4及び5を参照しながら、本発明の気体の流路を形成するためのリブの構成について説明する。
【0032】
図4に示すように、内箱の内面に対向する仕切り板401の流路面は、リブ403と407を含んで設けられている。仕切り板は、左右両端に外側壁405、409を備え、ファン411から出た気体は、内箱の内面に対向する仕切り板401の流路面と内箱の内面の間を流れる。
【0033】
リブ403は、一端が仕切り板の一方の外側壁405につながり、他端が仕切り板の他方の外側壁409につながる前に終端しており、他端の高さが一端の高さより低くなっている。
【0034】
また、リブ407は、一端が仕切り板の他方の外側壁409につながり、他端が他方の仕切り板の外側壁405につながる前に終端しており、他端の高さが一端の高さより低くなっている。
【0035】
具体的には、図5に示すようにリブ503は、仕切り板501に外側壁505と一体に、垂直に立つように形成されている。また、リブ507は、同様に外側壁509と一体に形成されている。
【0036】
図4に戻って、外側壁405につながるリブ403と外側壁409につながるリブ407は、上下方向で交互に配置されている。リブ403及び407のこのような配置は、気体をリブ403、407を避けるように流し、気体を仕切り板に対して平行に蛇行させることができる。
【0037】
霜または露が蒸発器パイプで冷却された気体からリブに発生する場合がある。図4で示すように、リブ403、407の他端の高さが一端の高さより低くして傾斜させることで、本実施形態の冷蔵庫は、霜取り時に、水滴がリブ403、407の傾斜を使って落下することを促進することができる。
【0038】
リブ403、407は、外側壁405、409から下方に向けて水平方向に対し5°以上の角度で傾斜している。傾斜は、小さくなると水滴を落下させる効果がなくなる。
【0039】
図5の具体例を参照すると、リブ503、507は、外側壁505、509から下方に向けて水平方向に対し10°で傾斜している。リブの傾斜は、大きくなると風路を蛇行させる効果がなくなる。
【0040】
図4を参照して、リブの配置について考察する。リブ403の終端部は、リブ407の終端部よりも一方の外側壁405に近接して配置されている。同様に、リブ407の終端部は、リブ403の終端部よりも他方の外側壁409に近接して配置されている。
【0041】
すなわち、リブ403とリブ407は、上下方向において重ならないようにされている。本実施形態の冷蔵庫は、このようにすることでファンからの風がリブにより必要以上に妨げられないようにできる。したがって、本実施形態の冷蔵庫は、ファンからの風の圧損を防ぎ、効率よく気体を流すことができる。
【0042】
また、リブ403とリブ407の距離a、リブ407と外側壁405の距離b、及びリブ403と外側壁409との距離cは、流路の最大幅の50%を下回らないように設定する。流路の最大幅は、ファン及び仕切り板の外側壁により構成される最大流路面積を有する幅であり、例えば、リブ407の傾斜方向に引いた線分であって、リブ407から外側壁405までの距離dをいう。
【0043】
本実施形態の冷蔵庫は、流路の末端部(部分E)にリブが形成されることがあるが、このような部分のリブは、上記50%を下回らないとの設定には該当しない。
【0044】
リブとリブの距離及びリブと外側壁の距離(ここでは距離a、b、c)の最小距離は、リブとリブの距離及びリブと外側壁の距離の最大距離の80%を下回らないように設定する。ただし、流路の末端部(部分E)にリブが形成される場合、この部分のリブは、この設定に該当しない。
【0045】
リブ403、407の高さは、貯蔵室と仕切り板が対向する方向(ここでは、貯蔵室の前後方向)において、リブ403、407の先端部と内箱の内面の間が4.0mmから6.0mmの間隔を有するように設けられている。
【0046】
本実施形態の冷蔵庫は、リブの先端部と内箱の間に間隔があることにより、仕切り板を内箱に組立てる際、リブの先端が内箱に、誤って当接し、傷をつけることを防ぐ。
【0047】
リブと内箱の間隔は、冷却中に霜ですぐ埋まるため、結果として気体の流れを妨げることができる。本実施形態の冷蔵庫は、仮に内箱とリブの間に4.0mmから6.0mmの間隔が開いていたとしても、仕切り板に対して垂直方向の気体の流れが乱れるため熱交換性能は損なわれない。
【0048】
図5を参照すると、仕切り板の具体例は、外側壁と内箱の間を埋めるように外側壁505、509及びその下を含む側部の外周にはスポンジが付される(図示せず)。側面の風路は、このスポンジにより画定される。
【0049】
また、本発明の仕切り板の具体例は、外側壁と内箱の間を埋めるようにスポンジを設けることにより、仕切り板を内箱に組立てる際に、リブが内箱に当たって、内箱を傷つけることを防ぐ。
【0050】
図4に示すように、ファン411は、仕切り板の下方に設けられる。排水口419は、ファン411の側方下の傾斜の中に設けられ、霜取りの際の排水を流すことできる。仕切り板の一方及び他方の外側壁につながらない水平なひさし413は、ファン411の上方に設けられる。
【0051】
リブ403、407は、ひさし413の上方に配置され、リブ403、407は、ひさし413に向かって傾斜して互い違いに複数あるため、ひさし413はリブ403、407から滴る水滴をファンに入らないようにすることができる。
【0052】
図5の具体例を参照すると、ファンは、仕切り板の下方の空間511に設置される。ひさし513は、ファンの上部に設けられる。ひさしはリブよりもやや高めに突出している。ひさしは水平に設けられているが、下方へ傾斜をつけて水を落とす構造としてもよい。
【0053】
また、図5の具体例において、ファン等を動かす電気を流す配線515は、仕切り板501の各所に這わせられている。配線515は、リブを含む仕切り板に設けられた各突出部を通すように設けられている。また、その接続部及び配線は、ビニル等で水から保護されている。
【0054】
(流路の詳細)
図6は、本発明の1つの実施形態における流路のイメージ図である。図6を用いて、本発明の流路のイメージを示す。
【0055】
図6で示すように、ファン611は、仕切り板の流路面の平面視において仕切り板601の下方の中央に設けられる。ファンは、中央下方から上方に向けて流路に流れを起こす。ここでファン611は、左回りに回転している。
【0056】
ファンに最も近い、平面視で左外側壁609から出ているリブ607は、仕切り板601の中央下方に傾斜して設けられている。すなわち、すなわちリブ607は、ファン611が起こす流れの方向に向かって傾斜している。
【0057】
このように、本実施形態の冷蔵庫は、外側壁からファンの回転方向に向かって傾斜するリブをファンの最も近くに配置することにより、効率よく気体を対流させることができる。本発明の冷蔵庫は、仮にファンが右回りに回転するのであれば、ファンに最も近いリブは右側の外側壁からでて、中央付近で終端するようにする。
【0058】
ファン611から出た気体615は、ひさし613を避け、リブ607に向かう。リブ607に当たって乱された気体615は、リブ607を避けるように右上方に向かい、さらにリブ603を避けるように左上方に向かう。
【0059】
同様に、ファン611から出た気体617は、ひさし613を避け、リブ607を避けるように右上方に向かい、リブ603に向かう。リブ603に当たって乱された気体617は、リブ603を避けるように左上方に向かう。
【0060】
このように、ファンから出た気体の流れ615、617は共に蛇行しながら上方に向かうため、流路は蛇行したものとなる。本実施形態の冷蔵庫は、流路が蛇行することにより、流路長さを増加し、また、流れを乱すことで熱交換量を増加させ、冷却時間を延ばすことができる。また、本実施形態の冷蔵庫は、冷却時間を延ばすことにより、効率よく気体を冷却し、消費電力を下げることができる。
【0061】
また、流路は、仕切り板の流路の平面視において平行方向に大きく蛇行するものを示したが、垂直方向への蛇行と組み合わせてもよい。
【0062】
(比較例のリブの配置図)
図7に仕切り板の正面から見た比較例のリブの配置図を示す。図7を参照して、風路を蛇行させ、流れを乱す比較例のリブの配置図について説明する。図7(a)は大きめの円柱状のリブ701を風の流れの垂直方向に複数並べ、この複数のリブの間を埋めるように風の流れの平行方向に上記風の流れの垂直方向に複数並んだ円柱状のリブを配置し、それを繰り返す例を示す。
【0063】
図7(a)の比較例は、円柱状のリブとリブの隙間に風を通すことにより風路を蛇行させることができる。しかしながら、この比較例は、円柱部分が熱交換に寄与しないため、熱交換効率が悪くなる。また、この比較例は、流れを全体的に均一にすることが難しく、流れは左右どちらかに偏りやすくなる。さらに、この比較例は、着霜時に流れが変わる可能性がある。
【0064】
図7(b)は、ピン状のリブを設置する例を示す。図7(b)の比較例は、複数のピン703の間に風を通すことで、風路を細かく蛇行させることができる。しかしながら、この比較例も流れを全体的に均一にすることが難しく、流れは左右どちらかに偏りやすくなる。また、この比較例は、着霜により流れが変わる可能性がある。さらにこの比較例は、ピンが細くなると折れやすくなり、流れを蛇行する効果がなくなる。
【0065】
図7(c)は、水平に延びた短いリブ705を風の流れの垂直方向に複数並べ、この複数のリブの間を埋めるように風の流れの平行方向に上記風の流れの垂直方向に複数並んだ短いリブを配置し、それを繰り返す例を示す。
【0066】
図7(c)の比較例は、屋根のようなリブに風をながすことで、風路を蛇行させることができる。しかしながら、この比較例は、流れを全体的に均一にするのは難しく、流れは左右どちらかに偏りやすくなる。また、この比較例は、Aで示される部分に、熱交換に寄与しない淀みが形成されてしまう。さらに、この比較例は、着霜時に流れが変わる可能性がある。
【0067】
図7(d)は、屋根のように風の進行方向に尖った短いリブ707を風の流れの垂直方向に複数並べ、この複数のリブの間を埋めるように風の流れの平行方向に上記風の流れの垂直方向に複数並んだ短いリブを配置し、それを繰り返す例を示す。
【0068】
図7(d)の比較例は、屋根のようなリブに風をながすことで、風路を蛇行させることができる。しかしながら、この比較例は、流れを全体的に均一にするのは難しく、流れは左右どちらかに偏りやすくなる。また、この比較例は、Bで示される部分に、熱交換に寄与しない淀みが形成されてしまう。さらに、この比較例は、着霜時に流れが変わる可能性がある。
【0069】
図7(e)は、風の進行方向の逆方向に尖った短いリブ709を風の流れの垂直方向に複数並べ、この複数のリブの間を埋めるように風の流れの平行方向に上記風の流れの垂直方向に複数並んだ短いリブを配置し、それを繰り返す例を示す。
【0070】
図7(e)は、リブに風をながすことで、風路を蛇行させることができる。しかしながら、この比較例は、流れを全体的に均一にするのは難しく、流れは左右どちらかに偏りやすくなる。また、この比較例は、着霜時に流れが変わる可能性がある。さらに、この比較例は、Cで示される部分に、霜取り時の水がたまってしまう。
【0071】
このように図7(a)乃至(e)の比較例でも風路を蛇行させることができるが、本発明の風路を蛇行させるリブは、冷気が左右に大きく蛇行するように配置されたものである。したがって、本発明は、図7(a)乃至(e)で示されるような、短いリブではない。
【0072】
本発明の風路を蛇行させるリブは、図7(a)乃至(e)の比較例と比較して(1)最も流路長さを長くできる、(2)意図通りの冷気流れを形成でき、着霜しても流れがほぼ変わらない、(3)熱交換に寄与しない部分が形成されにくい、(4)量産時の作業性が損なわれない、(5)仕切り板の部品強度が損なわれず、むしろ強化される、(6)コストが変わらない、などの利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、おもにワインセラなどの大量のものを1室で均一に冷やす冷蔵庫に特に有効である。
【符号の説明】
【0074】
101 冷蔵庫
103 貯蔵室
105断熱扉
201 貯蔵室
203 内箱
205 蒸発器パイプ
207 仕切り板
209 流路
211 ファン
213 排水口
301 内箱
303 蒸発器パイプ
305 熱伝導性の板
307 キャプラリーチューブ
401 仕切り板
403 リブ
405 外側壁
407 リブ
409 外側壁
411 ファン
413 ひさし
419 排水口
501 仕切り板
503 リブ
505 外側壁
507 リブ
509 外側壁
511 空間
513 ひさし
515 配線
601 仕切り板
603 リブ
605 外側壁
607 リブ
609 外側壁
611 ファン
613 ひさし
615 気体の流れ
617 気体の流れ
619 排水口
701 円柱状のリブ
703 ピン
705 水平に延びた短いリブ
707 風の進行方向に尖った短いリブ
709 風の進行方向の逆方向に尖った短いリブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7