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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
A63F7/02 304D
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020111329
(22)【出願日】2020-06-29
(65)【公開番号】P2022010647
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2021-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】森 圭史
(72)【発明者】
【氏名】林 孝政
(72)【発明者】
【氏名】近藤 美穂
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-200347(JP,A)
【文献】特開2006-288693(JP,A)
【文献】特開2012-239554(JP,A)
【文献】特開2007-068646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性を有する材料によって形成された曲面を備える演出部材と、
前記演出部材の外部に配置されて前記演出部材に対して一方向から光を照射する発光手段と、
前記演出部材の内部に前記光の照射方向に対して傾斜して配置されるとともに、前記発光手段から照射された光を遊技者の方向へ反射する反射手段と、を有し、
前記反射手段によって反射した光は、前記演出部材の前記反射手段と対向する内側面から入射して前記演出部材を通過し、
前記内側面の内、前記反射手段によって反射した光が透過する領域は固定された一部領域のみであって、
前記演出部材は、前記内側面の前記反射手段によって反射した光が透過する領域の上端に段差を有することを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば遊技機の一つであるパチンコ遊技機では、始動入賞口にパチンコ球が入賞すると画像表示装置に表示された図柄が変動を開始するとともに、一定時間後に停止され、停止した図柄が特定の組み合わせに揃うと大入賞口が開放され、遊技者が多くのパチンコ球を獲得できる構成となっている。また、図柄が変動している間、並びに図柄の変動終了後においても、遊技者を飽きさせないように画像、音、LED等の光源、役物を用いて様々な演出を行っている。
【0003】
特に光源を用いた演出においては、光源であるLED等を直接遊技者に視認させるのではなく、光透過性を有する部材(以下、演出部材という)に対して光を照射し、光が照射されて発光した状態にある演出部材を遊技者に視認させることが行われている。このような演出では光源であるLEDの発光色を変えたり点灯させることによって、演出部材の発光色を変えたり点灯させることが可能であり、それらを用いて大当たりの信頼度を示唆すること等も行われている。例えば特開2015-10043号公報には、板形状を有する透明部材の断面(側面)からLEDで光を照射することによって、透明部材の全体を発光させる技術について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-100436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、演出部材としては上記特許文献1のような平面の板状形状以外に曲面形状を有するものも考えられる。しかしながら、曲面形状を有する演出部材については上記特許文献1のように断面からLEDで光を照射したとしても演出部材を適切に発光させることができない問題があった。
【0006】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、曲面形状を有する演出部材について発光手段を用いて適切に発光させることができ、より効果的な演出を行うことを可能にした遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため本発明に係る遊技機は、光透過性を有する材料によって形成された曲面を備える演出部材と、前記演出部材の外部に配置されて前記演出部材に対して一方向から光を照射する発光手段と、前記演出部材の内部に前記光の照射方向に対して傾斜して配置されるとともに、前記発光手段から照射された光を遊技者の方向へ反射する反射手段と、を有し、前記反射手段によって反射した光は、前記演出部材の前記反射手段と対向する内側面から入射して前記演出部材を通過し、前記内側面の内、前記反射手段によって反射した光が透過する領域は固定された一部領域のみであって、前記演出部材は、前記内側面の前記反射手段によって反射した光が透過する領域の上端に段差を有する。
【発明の効果】
【0008】
前記構成を有する本発明に係る遊技機によれば、演出部材の内部に配置した反射手段によって外部の発光手段から入射された光を遊技者の方向へ反射させることによって、曲面形状を有する演出部材について発光手段を用いて適切に発光させることが可能となる。また、段差を設けることによって演出部材の一部領域のみを発光させることが可能となり、より効果的な演出を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係るパチンコ遊技機の正面図である。
図2図1に示すパチンコ遊技機に設けられた表示器類を拡大して示す説明図である。
図3図1に示すパチンコ遊技機に設けられた主制御基板および周辺機器の電気的構成をブロックで示す説明図である。
図4図1に示すパチンコ遊技機に設けられたサブ制御基板および周辺機器の電気的構成をブロックで示す説明図である。
図5】第1特図保留記憶部の記憶内容を示す説明図である。
図6】第2特図保留記憶部の記憶内容を示す説明図である。
図7】第1特図保留演出記憶部の説明図である。
図8】第2特図保留演出記憶部の説明図である。
図9】保留演出装置を示した図である。
図10】保留演出装置の特に演出部材を拡大して示した図である。
図11】演出部材の断面図である。
図12】LEDによる演出部材の発光を説明した図である。
図13】保留に対応した演出部材の発光態様を示した図である。
図14】演出部材の発光パターンを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態に係る遊技機について図を参照しつつ説明する。本実施形態では、本発明の実施形態に係る遊技機としてパチンコ遊技機について説明する。なお、以下の説明において、パチンコ遊技機の各部の方向を説明する場合は、そのパチンコ遊技機と対向して遊技を行う遊技者から見た方向を基準とする。具体的には、パチンコ遊技機の各部の左右方向および上下方向は、遊技者から見た左右方向および上下方向とする。また、遊技者に近づく方向を前方とし、遊技者から遠ざかる方向を後方とする。
【0011】
[パチンコ遊技機の主要構成]
図1に示すように、パチンコ遊技機1は、遊技機枠16を備える。遊技機枠16は、前方側から順に、前面枠18、内枠(図示せず)、外枠(図示せず)によって構成される。前面枠18は、ハンドル4と、打球供給皿(上皿ともいう)24と、余剰球受皿(下皿ともいう)25と、演出ボタン9と、演出レバー6と、スピーカ8と、左サイドランプ23aと、右サイドランプ23bとを備えている。
【0012】
ハンドル4は、前面枠18のうち右下、つまり、パチンコ遊技機1と対向して遊技を行う遊技者が右手で握ることができる位置に設けられている。ハンドル4は、タッチスイッチ92(図3)と、発射レバー4aと、発射停止ボタン4bとを備えている。タッチスイッチ92は、遊技者がハンドル4に触れたことを示す信号を出力するものであり、ハンドル4を握った遊技者の右手が触れる部分に配置されている。発射レバー4aは、遊技球の発射強度を調整するためのものであり、ハンドル4に回動可能に設けられている。発射停止ボタン4bは、遊技球が発射されているときに遊技球の発射を停止するためのものであり、ハンドル4を握った右手の親指により操作可能な位置に設けられている。打球供給皿(上皿ともいう)24は、前面枠18のうち中央下側に設けられている。打球供給皿24は、発射装置90(図3)に供給する遊技球を貯留するためのものである。打球供給皿24は、貸球払出装置80(図3)および賞球払出装置400(図3)から払出された遊技球を貯留する。余剰球受皿(下皿ともいう)25は、前面枠18のうち打球供給皿24の下方に設けられている。余剰球受皿25は、打球供給皿24の貯留可能数を超えた遊技球を貯留する。
【0013】
演出ボタン9は、前面枠18のうち打球供給皿24の上方を覆う部分に設けられている。換言すると、演出ボタン9は、前面枠18のうち、パチンコ遊技機1と対向する遊技者が右手または左手で押圧操作可能な位置に設けられている。本実施形態では、演出ボタン9はプッシュオン式のボタンスイッチである。演出ボタン9には、演出ボタンランプ9c(図4)と、演出ボタン振動モータ9b(図4)とが内蔵されている。演出ボタンランプ9cは、演出ボタン9の押圧操作が有効な期間に演出ボタン9が押圧操作されたときに点灯または点滅する。演出ボタン9の表面は透光性材料によって形成されており、演出ボタンランプ9cが発した光を遊技者が視認できるように工夫されている。演出ボタン振動モータ9bは、演出ボタン9を振動させるものであり、演出ボタン9の押圧操作が有効な期間において所定のタイミングで振動する。本実施形態では、演出ボタンランプ9cはLEDである。
演出ボタン9には、押圧操作された演出ボタン9を押圧操作前の位置に復帰させるためのバネなどの弾性部材(図示せず)が内蔵されており、演出ボタン9は、押圧操作状態が解除されると、上記弾性部材の復元力によって押圧操作前の状態に復帰する。遊技者が、演出ボタン9の押圧操作が有効な期間に演出ボタン9を押圧操作すると、特定の演出が行われる。以下、演出ボタン9の操作を契機として行われる特定の演出のことをボタン演出という。
【0014】
前面枠18のうち余剰球受皿25の左方、つまり、前面枠18のうち下側の左端寄りには、演出レバー6が設けられている。換言すると、演出レバー6は、前面枠18のうち、パチンコ遊技機1と対向した遊技者が左手で操作可能な位置に設けられている。つまり、演出レバー6は、前面枠18のうち、パチンコ遊技機1と対向した遊技者が左手で操作可能な位置に設けられており、演出ボタン9は、前面枠18のうち、遊技者が左手で演出レバー6を操作している状態で、右手で押圧操作可能な位置に設けられている。
演出レバー6は、左手で掴むことができる棒状に形成されており、右回転または左回転の回転操作の他、後方への押し込み操作が可能である。また、演出レバー6には、演出レバー振動モータ6d(図4)が設けられている。演出レバー振動モータ6dは、演出レバー6を振動させるものであり、演出レバー6の操作が有効な期間において所定のタイミングで振動する。遊技者が、演出レバー6の操作が有効な期間に演出レバー6を操作すると、特定の演出が行われる。以下、演出レバー6の操作を契機として行われる特定の演出のことをレバー演出という。
【0015】
前面枠18のうち、左側には左サイドランプ23aが設けられており、右側には右サイドランプ23bが設けられている。左サイドランプ23aおよび右サイドランプ23bが設けられている部分の前面枠18は透光性を有し、その透光性を有する部分の内側には複数のLEDが配置されている。各LEDは、それぞれ複数色を発光可能であり、演出内容に応じて点灯または点滅し、さらに発光色を変化させる。スピーカ8は、前面枠18のうち上部の左右の隅部にそれぞれ設けられており、音楽、効果音および報知音などの音を演出内容に応じて出力する。
【0016】
また、パチンコ遊技機1は、遊技盤2と、ガラス板5と、演出表示装置7とを備える。遊技盤2は、遊技盤2の略中央、つまり、遊技者の顔と略正対する位置に配置されている。演出表示装置7は、遊技盤2の後側に配置されており、その画面が遊技盤2の略中央から露出している。遊技盤2は、固定入賞装置10と、大入賞装置30と、ゲート12と、普通可変入賞装置(電チューともいう)20と、一般入賞口13と、表示器類50と、センター装飾体14と、レール部材17とを備える。
【0017】
遊技盤2の盤面には、遊技球が流下(転動)する遊技領域3が形成されている。遊技領域3は、演出表示装置7の画面の左方に形成された左遊技領域3aと、演出表示装置7の画面の右方に形成された右遊技領域3bとを有する。遊技盤2の盤面には、遊技球の流下方向を変化させるための複数の遊技釘(図示せず)が打ち込まれている。遊技盤2の盤面の前方は、透明のガラス板5によって覆われている。また、図1には示さないが、遊技盤2の複数箇所には、LEDが設けられている。それら各LEDを総称して盤ランプ(図4において符号2aで示す)という。盤ランプ2aを構成する各LEDは、複数色を発光可能であり、演出内容に応じて点灯または点滅し、さらに発光色を変化させる。つまり、パチンコ遊技機1は、遊技制御中に演出内容に応じて左サイドランプ23a、右サイドランプ23bおよび盤ランプ2aを点灯または点滅させ、各スピーカ8から音を出力する。
【0018】
固定入賞装置10は、遊技盤2のうち下側の略中央に配置されている。固定入賞装置10は、遊技球が1個ずつ入賞(入球)可能な第1始動口11を有する。第1始動口11は常時開口しており、遊技球が第1始動口11に入賞する確率は略変動しない。ゲート12は、右遊技領域3bに配置されており、右遊技領域3bを流下する遊技球が通過可能に構成されている。普通可変入賞装置20は、右遊技領域3bのうちゲート12の下方に配置されている。普通可変入賞装置20は、可動部材(電動チューリップ)21を備える。可動部材21は、基端を回動軸にして回動可能に構成されており、可動部材21が開閉動作することにより、第2始動口22が開閉する。可動部材21が開作動すると、第2始動口22が開口され、遊技球が第2始動口22に1個ずつ入賞(入球)し易い状態になる。また、可動部材21が閉作動すると、第2始動口22が閉口され、遊技球が第2始動口22に入賞することができない状態になる。
尚、図1に示す例では普通可変入賞装置20は遊技領域3の右側に配置されているが、遊技領域3の下側に配置しても良い。
【0019】
大入賞装置30は、遊技盤2のうち固定入賞装置10の右方に配置されている。大入賞装置30は、大入賞口32を開閉する開閉部材31を備える。大入賞口32は、複数の遊技球が入賞(入球)可能な大きさに形成されている。本実施形態では、開閉部材31は、左右方向に長い板状に形成されており、左右の下端を回動軸にして回動可能に構成されている。
【0020】
表示器類50は、遊技盤2のうち遊技領域3の外側であって大入賞装置30の下方に設けられている。図2に示すように、表示器類50は、第1特別図柄(第1特図ともいう)を変動表示する第1特別図柄表示器51と、第2特別図柄(第2特図ともいう)を変動表示する第2特別図柄表示器52と、普通図柄(普図ともいう)を変動表示する普通図柄表示器53とを備える。さらに、表示器類50は、第1特別図柄表示器51の作動保留の記憶数を表示する第1特図保留表示器51aと、第2特別図柄表示器52の作動保留の記憶数を表示する第2特図保留表示器52aと、普通図柄表示器53の作動保留の記憶数を表示する普図保留表示器53aとを備える。以下、第1特別図柄および第2特別図柄に共通の事項を説明する場合は、単に特別図柄という。また、第1特別図柄表示器51および第2特別図柄表示器52に共通の事項を説明する場合は、単に特別図柄表示器という。
【0021】
本実施形態では、第1特別図柄表示器51および第2特別図柄表示器52は、それぞれ4個のLEDから構成されている。点灯したLED(□)および消灯したLED(■)がそれぞれ特別図柄を表しており、LEDの点灯箇所が所定方向(たとえば、左から右)へ流れる状態が特別図柄の変動表示を表している。以下、特別図柄が変動表示を開始してから特別図柄が確定表示されるまでの特別図柄の変動パターンを特図変動パターンという。
また、本実施形態では、普通図柄表示器53は、2個のLEDから構成されている。点灯したLED(□)および消灯したLED(■)が普通図柄を表しており、各LEDが交互に点灯する状態が普通図柄の変動表示を表している。また、遊技球がゲート12を通過すると、当たりか否かを判定する普通図柄の抽選が実行され、普通図柄表示器53が普通図柄を変動表示する。そして、普通図柄表示器53は、普通図柄の変動表示を開始してから所定時間経過後に、普通図柄の抽選結果に対応する普通図柄を確定表示する。普通図柄表示器53が確定表示した普通図柄が、当たりを示す普通図柄であった場合は、普通可変入賞装置20が作動して可動部材21が開閉し、第2始動口22が開閉する。
【0022】
遊技球が第1始動口11に入賞すると大当たりか否かを判定する大当たり判定(大当たり抽選ともいう)が実行され、第1特別図柄表示器51が第1特別図柄を変動表示する。そして、第1特別図柄表示器51は、第1特別図柄の変動表示を開始してから所定時間経過後に、大当たり判定の結果に対応する第1特別図柄を確定表示する。ここで、確定表示された第1特別図柄が、大当たりを示す特別図柄であった場合は、大当たりが発生し、大入賞装置30が作動して開閉部材31が開閉し、大入賞口32が開閉する。第1特別図柄表示器51が第1特別図柄を変動表示しているときに遊技球が第1始動口11に入賞したときは、その入賞を契機とする第1特別図柄表示器51の作動が保留され、その作動保留の数を示す記憶数が第1特図保留表示器51aによって表示される。以下、第1特別図柄表示器51の作動保留の記憶数を第1特図保留数という。尚、本実施形態では通常状態において第1特別図柄表示器51の作動保留の記憶数は、第1特図保留表示器51aに加えて演出表示装置7の右下方に設けられた保留演出装置55に対しても表示される。
【0023】
また、遊技球が第2始動口22に入賞すると大当たり判定(大当たり抽選ともいう)が実行され、第2特別図柄表示器52が第2特別図柄を変動表示する。そして、第2特別図柄表示器52は、第2特別図柄の変動表示を開始してから所定時間経過後に、大当たり判定の結果に対応する第2特別図柄を確定表示する。ここで、確定表示された第2特別図柄が、大当たりを示す特別図柄であった場合は、大当たりが発生し、大入賞装置30が作動して開閉部材31が開閉し、大入賞口32が開閉する。第2特別図柄表示器52が第2特別図柄を変動表示しているときに遊技球が第2始動口22に入賞したときは、その入賞を契機とする第2特別図柄表示器52の作動が保留され、その作動保留の数を示す記憶数が第2特図保留表示器52aによって表示される。以下、第2特別図柄表示器52の作動保留の記憶数を第2特図保留数という。尚、本実施形態では時短状態(高確率時短状態も含む)において第2特別図柄表示器52の作動保留の記憶数は、第2特図保留表示器52aに加えて演出表示装置7の右下方に設けられた保留演出装置55に対しても表示される。また、第1特図保留数および第2特図保留数に共通の事項を説明する場合は、単に特図保留数という。
【0024】
以下、特別図柄表示器が特別図柄の変動表示を開始してから特別図柄を確定表示するまでを特別図柄の1回の変動という。また、特別図柄が1回変動される毎に特図保留数が1個ずつ減少することを特図保留数の消化という。また、大入賞口が開口してから閉口するまでに要する期間を大入賞口の開口期間といい、大入賞口が開口してから次回開口するまでの期間をラウンドという。また、最初のラウンド開始から最終ラウンドが終了するまでの遊技を大当たり遊技という。また、大当たり判定において大当たりと判定された場合は、大当たりの種類が抽選により決定される。大当たりの種類によって、大入賞口の開口期間、実行可能な最大ラウンド数などが異なる。
【0025】
パチンコ遊技機1には、大当たり判定において大当たりと判定される確率(以下、大当たり確率という)として、通常の確率(以下、通常確率という)と、通常確率よりも高い確率(以下、高確率という)とが設定されている。以下、大当たり確率が通常確率に設定されている遊技状態を通常確率状態といい、大当たり確率が高確率に設定されている遊技状態を高確率状態という。尚、上記高確率状態と通常確率状態のどちらに移行するかは、大当たり時の抽選によって基本的に決定される。本実施形態のパチンコ遊技機1は、いわゆる確変機と呼ばれる機種である。
【0026】
一般入賞口13は、遊技盤2のうち固定入賞装置10の左方に配置されている。レール部材17は、遊技盤2の周囲に沿って配置されている。レール部材17は、発射装置90(図3)によって発射された遊技球を遊技領域3に案内する。遊技盤2の下部中央には、どこにも入賞しなかった遊技球を排出するためのアウト口19が開口している。センター装飾体14は、遊技盤2のうち上部に配置されている。センター装飾体14は透光性を有し、その内側には、演出内容に応じて点灯・点滅する複数のLEDが設けられている。
また、パチンコ遊技機1は、可動体15を備える。可動体15は、センター装飾体14の後方に配置されている。図1は、可動体15がセンター装飾体14に略隠れた状態を示す。可動体15は、演出内容に応じて所定のタイミングで下方に降下し、遊技者から視認可能な状態に変位する。
【0027】
演出表示装置7は、演出画像、メッセージ画像、デモンストレーション画像などの動画像および静止画像を表示する。遊技者は、それらの画像をパチンコ遊技機1の前方から見ながら遊技を行う。演出表示装置7は、演出画像として、演出(装飾)図柄を特別図柄の変動表示と同期させて変動表示する。本実施形態では、演出図柄は、1~10の算用数字を表した図柄である。なお、演出図柄には、アルファベットや特別なキャラクタなど、数字以外を表した図柄を含めてもよいし、数字以外を表した図柄と組み合わせてもよい。本実施形態では、演出表示装置7が演出図柄を変動表示する領域として、左から順に、左演出図柄表示領域、中演出図柄表示領域、右演出図柄表示領域が設定されている。左演出図柄表示領域では左演出図柄9Lが、中演出図柄表示領域では中演出図柄9Cが、右演出図柄表示領域では右演出図柄9Rがそれぞれ変動表示される。以下、左演出図柄表示領域、中演出図柄表示領域および右演出図柄表示領域に共通の事項を説明する場合は、単に演出図柄表示領域という。
【0028】
本実施形態では、各演出図柄の主な変動パターン(変動態様)は、演出図柄が表す数字が昇順となるように画面の上から下に移動する変動パターン、つまり、縦方向にスクロールする変動パターンである。なお、変動パターンとして、演出図柄が画面の左右の一方から他方へ移動する横スクロール方式、演出図柄が同じ表示位置にて数字の昇順に順番に表示される方式などを用いることもできる。また、演出表示装置7は、演出画像として各演出図柄の背景に背景画像を表示する。たとえば、背景画像は、テレビドラマや映画などの動画像、その動画像をアニメ化した動画像、アニメーション、パチンコ遊技機メーカーオリジナルの動画像などである。本実施形態では、演出表示装置7は、液晶表示装置である。なお、演出表示装置7として、有機EL表示装置、ドットマトリクスLEDを使った表示装置などを用いることもできる。
演出表示装置7は、各演出図柄を特別図柄の変動表示と同期させて変動表示し、特別図柄が確定表示されると同時に各演出図柄を確定表示し、大当たり判定結果を表示する。ここで、確定表示とは、演出図柄が上下に揺れたり、再変動したりすることなく、完全に停止した停止表示状態のことである。
【0029】
以下、大当たり判定の結果が大当たりであったことを表す演出図柄を大当たり演出図柄といい、大当たり判定の結果がハズレであったことを表す演出図柄をハズレ演出図柄という。本実施形態では、大当たり演出図柄は、各演出図柄が同じ数字を表す演出図柄で揃った状態、いわゆる、ぞろ目の状態である。たとえば、図1に示すように、確定表示された左演出図柄9L、中演出図柄9Cおよび右演出図柄9Rがそれぞれ「7」で揃った状態である。また、ハズレ演出図柄は、各演出図柄が同じ数字を表す演出図柄で揃っていない状態、つまり、ぞろ目ではない状態の図柄である。たとえば、確定表示された左演出図柄9Lが「7」、中演出図柄9Cが「6」、右演出図柄9Rが「7」の状態である。
以下、演出表示装置7が特別図柄と同期させて変動表示する演出図柄を演出図柄変動パターンといい、その演出図柄変動パターンの背景に表示される画像を背景画像という。背景画像は、静止画像または動画像である。
【0030】
演出図柄変動パターンは、特図変動パターンの変動表示と同期して変動表示され、特別図柄表示器の作動保留が発生した場合は、演出表示装置7の作動も保留される。つまり、特別図柄表示器の作動保留数と、演出表示装置7の作動保留数とは一致する。尚、第1特図保留数に対応する演出表示装置7の作動保留数、及び第2特図保留数に対応する演出表示装置7の作動保留数は、演出表示装置7の右下方に配置された保留演出装置55においても表示される。特に本実施形態では、通常状態では第1特図保留数に対応する演出表示装置7の作動保留数が保留演出装置55において表示され、時短状態(高確率時短状態も含む)では第2特図保留数に対応する演出表示装置7の作動保留数が保留演出装置55において表示される。
【0031】
ここで、保留演出装置55は台座56と台座56上に配置されたワイングラス型の演出部材57を有する。台座56内部には上方のワイングラス型の演出部材57に対して光を照射する為のLED(発光手段)が配置されており、LEDの点灯を制御することによって演出部材57を任意の色に発光させることが可能である。そして、発光させている演出部材57の数によって第1特図保留数や第2特図保留数に対応する演出表示装置7の作動保留数を遊技者に報知する。また、発光色によって保留の信頼度を遊技者に報知することについても行う。保留演出装置55の詳細については後述する。
【0032】
また、パチンコ遊技機1では、上記演出図柄による大当たり判定の結果の報知に加えて、演出表示装置7に表示される背景画像、スピーカ8から出力される音、盤ランプ2aの点灯、役物の動作等を複合的に用いて、大当たり判定の結果の報知を行う。具体的には、予告演出、リーチ演出等の各種演出が該当する。
【0033】
[パチンコ遊技機の主な電気的構成]
次に、パチンコ遊技機1の主な電気的構成について図3および図4を参照しつつ説明する。
パチンコ遊技機1は、主制御基板60(図3)と、払出制御基板73(図3)と、サブ制御基板100(図4)と、画像制御基板200(図4)と、ランプ制御基板79(図4)と、音声制御基板78(図4)とを備えている。
【0034】
図3に示すように、主制御基板60には、遊技制御用ワンチップマイコン(以下、遊技制御用マイコンという)61が実装されている。遊技制御用マイコン61は、CPU62と、ROM63と、RAM64と、入出力回路65とを備えている。CPU62は、入賞の検出、大当たり判定、各種乱数の更新などを実行する。ROM63には、CPU62が実行するコンピュータプログラム、大当たり判定テーブルTa1、大当たり種別判定テーブルTa2、リーチ判定テーブルTa3、特図変動パターン選択テーブルTa4、などの各種のテーブルが記憶されている。遊技制御用マイコン61は、大当たり乱数、大当たり種別乱数、リーチ乱数、変動パターン乱数など、各種の判定(抽選)にて使用する乱数を発生する。
【0035】
RAM64は、CPU62がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリなどとして使用される。また、RAM64には、第1特図保留記憶部64aと、第2特図保留記憶部64bと、普図保留記憶部64cとが設けられている。図5に示すように、第1特図保留記憶部64aは、第1ないし第4記憶領域を備えている。つまり、記憶可能な第1特図保留数は最大4個である。各記憶領域には、遊技球が第1始動口11(図1)に入賞したことに起因して遊技制御用マイコン61が取得した大当たり乱数、大当たり種別乱数、リーチ乱数および変動パターン乱数が記憶される。第1特別図柄表示器51(図2)が第1特別図柄を変動表示しているときに遊技球が第1始動口11(図1)に入賞したときは、その入賞に起因する第1特別図柄の変動表示は一旦保留(作動保留)され、その入賞に起因して取得された大当たり乱数などは第1特図保留記憶部64aに記憶される。
【0036】
一方、図6に示すように、第2特図保留記憶部64bは、第1ないし第4記憶領域を備えている。つまり、記憶可能な第2特図保留数は最大4個である。各記憶領域には、遊技球が第2始動口22(図1)に入賞したことに起因して遊技制御用マイコン61が取得した大当たり乱数、大当たり種別乱数、リーチ乱数および変動パターン乱数が記憶される。第2特別図柄表示器52(図2)が第2特別図柄を変動表示しているときに遊技球が第2始動口22(図1)に入賞したときは、その入賞に起因する第2特別図柄の変動表示は一旦保留(作動保留)され、その入賞に起因して取得された大当たり乱数などは第2特図保留記憶部64bに記憶される。
【0037】
大当たり乱数などは作動保留の発生順、つまり、遊技制御用マイコン61による取得順に第1特図保留記憶部64aおよび第2特図保留記憶部64bの各第1記憶領域から順番に記憶される。このため、大当たり乱数などが第1ないし第4記憶領域まで記憶されている場合は、第4記憶領域に記憶されている大当たり乱数などが時間的に最も新しい情報であり、第1記憶領域に記憶されている大当たり乱数などが時間的に最も古い情報である。各記憶領域に記憶されている大当たり乱数などは、特別図柄の変動表示が1回終了する毎に、記憶の順番が古い方の記憶領域に1つずつシフトする。たとえば、第2記憶領域に記憶されていた大当たり乱数などは第1記憶領域にシフトする。また、第1記憶領域に記憶されている大当たり乱数などに基づく判定(抽選)は、特別図柄表示器による特別図柄の当該変動表示が終了し、次の変動表示が始まる前に実行される。
【0038】
普図保留記憶部64c(図3)は、遊技球がゲート12(図1)を通過したことに起因して遊技制御用マイコン61が取得した普通当たり乱数(普通図柄が当たりか否かを判定(抽選)するための乱数)が記憶される。普通図柄表示器53が普通図柄を変動表示しているときに遊技球がゲート12を通過したときは、その通過に起因する普通図柄表示器53の作動は一旦保留(作動保留)され、その通過に起因して取得された普通当たり乱数は普図保留記憶部64cに記憶される。普通図柄の保留された変動表示は、現在行われている普通図柄の変動表示が終了した次に行われる。本実施形態では、普図保留記憶部64cは、計4個の保留を行うための記憶領域を有し、普通図柄表示器53の作動保留の記憶数は最大4個である。以下、普通図柄表示器53の作動保留の記憶数を普図保留数という。
【0039】
また、主制御基板60には、RAMクリアスイッチ66が搭載されている。パチンコ遊技機1は、RAMクリアスイッチ66が押下された状態で起動すると、RAM64およびサブ制御基板100のRAM120(図4)を初期化する。また、主制御基板60には、表示器類50が電気的に接続されている。さらに、主制御基板60には、中継基板74を介して第1始動口センサ11aと、第2始動口センサ22aと、ゲートセンサ12aと、大入賞口センサ32aと、一般入賞口センサ13aと、電チューソレノイド20aと、大入賞口ソレノイド30aとが電気的に接続されている。
【0040】
第1始動口センサ11aは、第1始動口11(図1)の直下に設けられており、遊技球が第1始動口11に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。第2始動口センサ22aは、第2始動口22(図1)の直下に設けられており、遊技球が第2始動口22に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。ゲートセンサ12aは、ゲート12(図1)のうち遊技球の通過領域に設けられており、遊技球がゲート12を通過したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。大入賞口センサ32aは、大入賞口32(図1)の直下に設けられており、遊技球が大入賞口32に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。一般入賞口センサ13aは、一般入賞口13(図1)の直下に設けられており、遊技球が一般入賞口13に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。
【0041】
電チューソレノイド20aは、普通可変入賞装置20の可動部材21(図1)を開閉駆動する。大入賞口ソレノイド30aは、大入賞装置30の開閉部材31(図1)を開閉駆動する。
また、主制御基板60には、払出制御基板73を介して貸球払出装置80と、カードユニット76と、賞球払出装置400とが電気的に接続されている。カードユニット76は、パチンコ遊技機1に隣接して設けられており、プリペイドカードに対して残高の読取りや書き込みなどを行う。貸球払出装置80は、球貸モータ81と、球貸センサ82とを備えている。球貸モータ81は、貸球としての遊技球を払出す部材を駆動し、球貸センサ82は、その部材によって遊技球が払出されたことを示す信号を払出制御基板73を介して主制御基板60へ出力する。遊技制御用マイコン61は、払出制御基板73から出力される信号に基づいて、貸球払出装置80が払出した貸球数を計数する。カードユニット76に挿入されたプリペイドカードに、払出可能な最小残高以上の残高が記録されているときに、球貸ボタン(図示せず)が操作されると、貸球払出装置80が作動し、最小単位個数の貸球が打球供給皿24に払出される。
【0042】
賞球払出装置400は、賞球モータ401と、賞球センサ402とを備えている。賞球モータ401は、賞球としての遊技球を払出す部材を駆動し、賞球センサ402は、その部材によって遊技球が払出されたことを示す信号を払出制御基板73を介して主制御基板60へ出力する。遊技制御用マイコン61は、払出制御基板73から出力される信号に基づいて、賞球払出装置400が払出した賞球数を計数する。
また、主制御基板60には、発射制御回路75を介して発射装置90が電気的に接続されている。発射装置90は、発射モータ91と、タッチスイッチ92と、発射ボリューム93とを備えている。発射モータ91は、遊技球を打撃して発射する打撃槌(図示せず)を駆動する。タッチスイッチ92は、遊技者がハンドル4に触れたことを示す信号を出力する。発射ボリューム93は、発射レバー4a(図1)の回転量に応じて、上記打撃槌が遊技球を打撃する強度を調節する。
【0043】
また、パチンコ遊技機1は、電源基板70を備えている。電源基板70は、主制御基板60および払出制御基板73に電力を供給する。また、電源基板70は、払出制御基板73に電気的に接続された各装置に対して、払出制御基板73を介して電力を供給する。また、電源基板70は、中継基板74に電気的に接続された各センサおよびソレノイドに対して、主制御基板60から中継基板74を介して電力を供給する。また、電源基板70は、主制御基板60に電気的に接続された表示器類50に対して、主制御基板60を介して電力を供給する。
電源基板70には、バックアップ電源回路71が設けられている。バックアップ電源回路71は、パチンコ遊技機1に対して外部から電力が供給されていない場合に、主制御基板60のRAM64などに対して情報の保持に必要な電力を供給する。電源基板70には、電源基板70へ電力を供給する主電源をオンオフするための電源スイッチ72が電気的に接続されている。
【0044】
主制御基板60は、サブ制御基板100(図4)に対して各種コマンドを送信する。主制御基板60は、コマンドをサブ制御基板100へ送信することはできるが、サブ制御基板100は、主制御基板60へコマンドを送信することができない。つまり、主制御基板60とサブ制御基板100との通信は、主制御基板60からサブ制御基板100へ送信することのみが可能な単方向通信となっている。
【0045】
図4に示すように、サブ制御基板100には、演出制御用ワンチップマイコン(以下、演出制御用マイコンという)101が実装されている。演出制御用マイコン101は、CPU102と、ROM110と、RAM120と、入出力回路103とを備えている。CPU102は、遊技に伴って演出を制御する。ROM110には、CPU102が演出を制御するためのコンピュータプログラムの他、演出選択テーブルTa5などの各種のテーブルが記憶されている。RAM120は、CPU102がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリとして使用される。また、RAM120には、第1特図保留演出記憶部121と、第2特図保留演出記憶部122と、当該変動用演出記憶部123とが設けられている。
【0046】
図7に示すように、第1特図保留演出記憶部121は、第1ないし第4記憶領域から成る4つの記憶領域を有し、各記憶領域は、主制御基板60から出力される第1始動入賞コマンドなどを記憶する。第1始動入賞コマンドは、遊技球が第1始動口11に入賞したことを契機として、遊技制御用マイコン61が取得した大当たり乱数、大当たり種別乱数、変動パターン乱数およびリーチ乱数を含むコマンドである。
一方、図8に示すように、第2特図保留演出記憶部122は、第1ないし第4記憶領域から成る4つの記憶領域を有し、各記憶領域は、主制御基板60から出力される第2始動入賞コマンドなどを記憶する。第2始動入賞コマンドは、遊技球が第2始動口22に入賞したことを契機として、遊技制御用マイコン61が取得した大当たり乱数、大当たり種別乱数、変動パターン乱数およびリーチ乱数を含むコマンドである。
当該変動用演出記憶部123は、変動演出パターンの当該変動に用いる第1始動入賞コマンドまたは第2始動入賞コマンドを記憶する。
入出力回路103は、サブ制御基板100に接続された各基板などとの間でデータの送信または受信を行う。
【0047】
サブ制御基板100には、画像制御基板200が電気的に接続されている。画像制御基板200には、画像制御用CPU202と、VDP201(Video Display Processor)と、制御用ROM203と、制御用RAM204と、CGROM(Character Generator Read Only Memory)205と、VRAM(Video Random Access Memory)206とが実装されている。画像制御用CPU202は、変動演出パターン、ボタン演出画像、レバー演出画像および予告画像などの演出画像を表示するよう演出表示装置7を制御する。制御用ROM203には、画像制御用CPU202が演出表示装置7を制御するためのコンピュータプログラムが記憶されている。制御用RAM204は、画像制御用CPU202がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリとして使用される。CGROM205には、演出表示装置7が演出画像を表示するための画像データが記憶されている。VDP201は、画像制御用CPU202によって作成されるディスプレイリストに従って、CGROM205から画像データを読み出し、その読出した画像データをVRAM206内の展開領域に展開する。そして、VDP201は、VRAM206内に展開した画像データを合成し、その合成した画像データをVRAM206内のフレームバッファに記憶する。そして、VDP201は、VRAM206内のフレームバッファに記憶した画像データをRGB信号に変換して演出表示装置7に出力する。これにより、演出表示装置7は演出画像を表示する。
【0048】
サブ制御基板100には、ランプ制御基板79を介して左サイドランプ23a、右サイドランプ23bおよび盤ランプ2aが電気的に接続されている。演出制御用マイコン101は、ROM110に記憶されているデータを用いて各ランプの発光態様を決める発光パターンデータを作成し、その発光パターンデータをランプ制御基板79に送信する。そして、ランプ制御基板79は、受信した発光パターンデータに従って各ランプの発光制御を行う。
ランプ制御基板79には、中継基板77を介して可動体15と保留演出装置55が電気的に接続されている。可動体15は、可動体15を動作させるための装置(図示せず)が接続されており、その装置には、その装置を駆動するための可動体モータ(図示せず)が接続されている。演出制御用マイコン101は、ROM110に記憶されているデータを用いて可動体15の動作パターンを決める動作パターンデータを作成し、その動作パターンデータをランプ制御基板79に送信する。そして、動作パターンデータを受信したランプ制御基板79は、その動作パターンに従って中継基板77を介して上記可動体モータを駆動し、可動体15の動作制御を行う。一方、保留演出装置55は保留ランプの発光手段としてLEDを備える。演出制御用マイコン101は、ROM110に記憶されているデータを用いてLEDの発光パターンを決める動作パターンデータを作成し、その動作パターンデータをランプ制御基板79に送信する。そして、動作パターンデータを受信したランプ制御基板79は、その動作パターンに従って中継基板77を介して上記LEDの発光制御を行う。
【0049】
サブ制御基板100には、音声制御基板78を介して各スピーカ8が電気的に接続されている。音声制御基板78には、音声制御用CPU(図示せず)と、音声データROM(図示せず)と、音声合成回路(図示せず)と、アンプ(図示せず)とが搭載されている。音声データROMには、各スピーカ8が音楽や効果音などの音を出力するための音声データが記憶されている。音声制御用CPUは、サブ制御基板100から受信したコマンドに基づいて音声データROMから音声データを読出し、その読出した音声データを音声合成回路に出力する。音声合成回路は、入力した音声データを合成するとともに、その合成した合成音声データをアナログの音声信号に変換してアンプに出力する。アンプは、入力した音声信号を増幅して各スピーカ8に出力する。そして、各スピーカ8は、入力した音声信号により示される音を出力する。
【0050】
また、サブ制御基板100には、演出ボタン検出スイッチ9aと、演出レバー押込検出スイッチ6gと、演出レバー回転検出スイッチ6hと、演出ボタン振動モータ9bと、演出レバー振動モータ6dとが電気的に接続されている。演出ボタン検出スイッチ9aは、演出ボタン9が押圧操作されたことを示す信号をサブ制御基板100に出力し、演出制御用マイコン101は、演出ボタン検出スイッチ9aから入力した信号に基づいて、ボタン演出を実行する。演出レバー押込検出スイッチ6gは、演出レバー6が押込操作されたことを示す信号をサブ制御基板100に出力し、演出制御用マイコン101は、演出レバー押込検出スイッチ6gから入力した信号に基づいて、演出レバー6が押込操作されたときに行うレバー演出を実行する。演出レバー回転検出スイッチ6hは、演出レバー6が回転操作されたことを示す信号をサブ制御基板100に出力し、演出制御用マイコン101は、演出レバー回転検出スイッチ6hから入力した信号に基づいて、演出レバー6が回転操作されたときに行うレバー演出を実行する。
【0051】
演出ボタン振動モータ9bは、演出ボタン9を振動させる部材であり、演出ボタン9の内部に収容されている。演出レバー振動モータ6dは、演出レバー6を振動させる部材であり、演出レバー6と接する部位または演出レバー6の内部に設けられている。ROM110には、演出ボタン振動モータ9bの動作パターンを決める動作パターンデータと、演出レバー振動モータ6dの動作パターンを決める動作パターンデータとが記憶されている。演出制御用マイコン101は、演出ボタン9を振動させる演出タイミングになったときに、ROM110から動作パターンデータを読出し、その読出した動作パターンデータに基づいて演出ボタン振動モータ9bを駆動制御する。また、演出制御用マイコン101は、演出レバー6を振動させる演出タイミングになったときに、ROM110から動作パターンデータを読出し、その読出した動作パターンデータに基づいて演出レバー振動モータ6dを駆動制御する。
【0052】
[保留演出装置の構成]
続いて、保留演出装置55の詳細について以下に説明する。保留演出装置55は図1に示すように遊技者から視認可能なパチンコ遊技機1の前面の特に演出表示装置7の右下方に配置され、第1特図保留数や第2特図保留数に対応する演出表示装置7の作動保留数を遊技者に報知する為の装置である。以下では特にパチンコ遊技機1が通常状態であって第1特図保留数に対応する演出表示装置7の作動保留数を保留演出装置55を用いて遊技者に報知する場合について説明する。
【0053】
ここで、図9は保留演出装置55を正面側(遊技者側)から示した図である。保留演出装置55は基本的に台座56と台座56上に配置されたワイングラスの外観形状を備えた演出部材57a~57dとを有する。演出部材57a~57dが現在の保留数を示す保留ランプに相当する部材であり、光透過性を有する材料(例えば透明樹脂等)によって成形されている。
【0054】
以下に、演出部材57a~57dについて図10及び図11を用いてより詳細に説明する。図10は保留演出装置55が有する演出部材57a~57dの内、特に演出部材57aを拡大して示した図であり、図11は演出部材57aを遊技盤2に対して直行する鉛直方向に切断した際の断面図である。尚、図10及び図11は特に演出部材57aを示した図であるが、他の演出部材57b~57dについても演出部材57aと同様の構成を有する。
【0055】
演出部材57a~57dはワイングラスの形状を模しているので、上から順にボウル153、ステム(脚)154、プレート(台)155に該当する各部が連続した曲面形状となる。特にボウル153は略球面形状を有し、ステム154が球面に連続するくびれ部分となる。また、上端から所定距離下方のボウル153の内側面には、上端から所定距離下方の位置に段差156が形成されている。尚、本実施形態では図11に示すようにワイングラスの一部(遊技台の裏側に位置する部分)を鉛直方向に切断した形状となっているが、切断の無いワイングラスの形状としても良い。更に、本実施形態では演出部材57a~57dの上面(ボウル153の飲み口に該当)と底面(プレート155の下面)が開口した略円筒形状となっているが、上面と底面は閉口していても良い。また、本実施形態では演出部材57a~57dの数は第1特図の最大保留数に対応する4個としているが8個としても良い。その場合には、第1特図と第2特図の合計の保留数を示すことも可能である。
【0056】
一方、台座56の内部であって各演出部材57a~57dの鉛直下方には、演出部材57a~57dを発光させる為の発光手段としてLED151a~151dが配置されている。LED151a~151dは台座56によって被覆されているので基本的に遊技者が直接視認することはできない。また、LED151a~151dの光の照射方向は鉛直上方、即ち演出部材57a~57dの方向となるように配置されており、更に台座56と演出部材57a~57dの接続する部分は開口されている。即ち、LED151a~151dと演出部材57a~57dの間には光を遮蔽する遮蔽物がなく、LED151a~151dから照射された光は遮られることなく演出部材57a~57dの内部に到達することとなる。また、LED151a~151dは前述のランプ制御基板79に接続されており、現在の保留数や演出内容に応じて各LED151a~151dの点灯は制御される。
【0057】
更に、演出部材57a~57dの特に略球面形状を有するボウル153の内部には、LED151a~151dから照射された光を反射する反射手段として反射板152a~152dが配置されている。反射板152a~152dは例えば反射率の高い白色の樹脂等により成形されており、演出部材57a~57dの内部形状に合わせた円形の平板形状を有する。また、図11に示すように反射板152a~152dは、水平方向に対して約45度傾斜して配置されており、LED151a~151dから照射された光を正面側、即ち遊技者の方向へ反射する。
【0058】
上記構成を有する保留演出装置55によれば、図10及び図11に示すようにLED151a~151dが発光すると、LED151a~151dから照射された光は、演出部材57a~57dに到達すると先ずプレート155を通過し、更にくびれ部分となるステム154を通過する。そして、ボウル153の内部に配置された反射板152a~152dによって反射され遊技者へと到る。従って、LED151aが発光されると遊技者からは演出部材57aが発光しているように視認される。同じく、LED151bが発光されると遊技者からは演出部材57bが発光しているように視認される。また、LED151cが発光されると遊技者からは演出部材57cが発光しているように視認される。また、LED151dが発光されると遊技者からは演出部材57dが発光しているように視認される。
【0059】
更に、図12に示すように反射板152a~152dの上端は演出部材57a~57dの上端より距離Dだけ下方に位置するように配置されている。その結果、反射板152a~152dによって反射した光を透過させる演出部材57a~57dの領域を、演出部材57a~57dの上端(ワイングラスの飲み口)から所定距離X下方までの領域を除いた領域(図12のハッチングを行った領域)とすることが可能となる。また、反射板152a~152dはボウル153の内部に配置されているので、ステム154やプレート155(演出部材57a~57dの下端から所定距離上方までの領域)についても基本的に反射した光を透過させる領域からは除かれる。従って、遊技者が発光状態にある演出部材57a~57dを視認した際には、演出部材57a~57dの全体ではなく、ボウル153内で且つ上端(ワイングラスの飲み口)から所定距離X下方までの領域を除いた領域(図12のハッチングを行った領域)のみが発光しているように視認される。例えばLED151a~151dの発光色を赤色にすれば赤色の飲料がワイングラスに注がれた状態を演出部材57a~57dによって再現でき、LED151a~151dの発光色を青色にすれば青色の飲料がワイングラスに注がれた状態を演出部材57a~57dによって再現できる。
【0060】
ここで、演出部材57a~57dの反射板152a~152dと対向する内側面には上述したように段差156が形成されているが、段差156の位置は演出部材57a~57dの上端から所定距離X下方となる位置、即ち反射板152a~152dによって反射した光が透過する領域の上端付近とする。その結果、発光する領域が段差156の下方に限定され、発光する領域と発光しない領域とを段差156を境界にして明確に区分することが可能となる。段差156を設けないと、発光する領域と発光しない領域との境界が曖昧いになり、上述したような飲料がワイングラスに注がれた状態を表現することが難しいが、段差156を設けることによってそのような表現を適切に行うことが可能となる。
【0061】
続いて、上述した構成を有する保留演出装置55による第1特図の保留数の表示態様について図13を用いて説明する。前述したように第1始動口11にパチンコ球が入球した際に取得された遊技情報(大当たり乱数など)は、パチンコ遊技機1による判定結果の報知に供されるまで(消化されるまで)最大4個を上限として時系列順に保留として記憶される。そして、報知が終わった段階で最も古く記憶された保留を新たに消化するという処理を繰り返し行う。保留演出装置55は、LED151a~151dから照射された光によって上記保留を時系列順に示す。
【0062】
最も左側にある演出部材57aは最も古く記憶された保留に対応し、演出部材57bは2番目に古く記憶された保留に対応し、演出部材57cは3番目に古く記憶された保留に対応し、演出部材57dは最も新しく記憶された保留に対応する。発光状態にある演出部材57a~57dが保留の存在を示すこととなる。例えば図13の上段に示すように保留が存在しない状態では演出部材57a~57dはいずれも発光しない(LED151a~151dは消灯する)。そして、保留が新たに1追加されると、図13の中段に示すように最も左に位置する演出部材57aのみが発光し(LED151aのみが発光する)、保留が1個存在することを遊技者に報知する。更に、保留が新たに1追加されると、図13の下段に示すように隣にある演出部材57bが新たに発光し(LED151aとLED151bが発光する)、保留が2個存在することを遊技者に報知する。
【0063】
また、演出部材57a~57dの発光態様には複数の態様が有る。例えばLED151a~151dを点滅させれば演出部材57a~57dについても点滅する。また、LED151a~151dの発光色を変えれば演出部材57a~57dの発光色も変化する。そこで、演出部材57a~57dの発光態様によって保留の信頼度を遊技者に報知することについても行う。
【0064】
例えば図14に示すように演出部材57a~57dを点滅させる場合には、点滅する演出部材57a~57dに対応する保留の大当たりの信頼度が約10%であることを示す。また、演出部材57a~57dを青色で発光させる場合には、青色で発光する演出部材57a~57dに対応する保留の大当たりの信頼度が約15%であることを示す。また、演出部材57a~57dを緑色で発光させる場合には、緑色で発光する演出部材57a~57dに対応する保留の大当たりの信頼度が約20%であることを示す。また、演出部材57a~57dを赤色で発光させる場合には、赤色で発光する演出部材57a~57dに対応する保留の大当たりの信頼度が約50%であることを示す。また、演出部材57a~57dを虹色で発光させる場合には、虹色で発光する演出部材57a~57dに対応する保留の大当たりの信頼度が実践上100%であることを示す。尚、演出部材57a~57dの発光態様は図柄の変動開始時或いは図柄の変動中に変化するようにしても良い。
【0065】
[実施形態の効果]
(1)上述した実施形態のパチンコ遊技機1を実施すれば、光透過性を有する材料によって形成された曲面を備える演出部材と、演出部材の外部に配置されて演出部材に対して一方向から光を照射する発光手段と、演出部材の内部に光の照射方向に対して傾斜して配置されるとともに、発光手段から照射された光を遊技者の方向へ反射する反射手段と、を有する。その結果、演出部材の内部に配置した反射手段によって外部の発光手段から入射された光を遊技者の方向へ反射させることによって、曲面形状を有する演出部材について発光手段を用いて適切に発光させることが可能となる。そして、より効果的な演出を行うことが可能な遊技機を提供する。
(2)また、曲面は球面の一部であって、演出部材は、球面と連続する位置にくびれ部分を備え、発光手段は、くびれ部分を透過して球面の内部にある反射手段へと光を照射する。その結果、球面やくびれを有する特殊な形状の演出部材についても、発光手段を用いて適切に発光させることが可能となる。
(3)また、演出部材は台座上に配置され、発光手段は台座の内部の遊技者から視認できない位置に配置される。その結果、遊技者から視認できない位置にある発光手段によって演出部材を発光することが可能であり、あたかも演出部材自身が光源であるように認識させることが可能となる。
(4)また、演出部材は器の外観形状を有することを特徴とする。その結果、器の形状を有する特殊な形状の演出部材についても、発光手段を用いて適切に発光させることが可能となる。また、器を用いた多様な演出を行うことが可能となる。
(5)また、反射手段は、反射した光を透過させる演出部材の領域を、演出部材の上端から所定距離下方までの領域を除いた領域とする。その結果、演出部材の一部領域のみを発光させることが可能となり、より効果的な演出を行うことが可能となる。特に演出部材が器の外観形状を有する場合には、器に液体が注がれたように演出部材を発光させることが可能となり、より効果的な演出を行うことが可能となる。
(6)また、演出部材は、反射手段と対向する内側面で上端から所定距離下方の位置に段差を有する。その結果、発光する領域と発光しない領域とを段差を境界にして明確に区分することが可能となる。特に演出部材が器の外観形状を有する場合には、段差部分まで器に液体が注がれたように演出部材を発光させることが可能となり、より効果的な演出を行うことが可能となる。
(7)また、始動条件が成立したことに基づいて遊技情報を取得する遊技情報取得手段と、遊技情報に基づいて特典を付与するか否かを判断する特典付与判断手段と、図柄の変動を用いて特典付与判断手段の判断結果を報知する報知手段と、遊技情報取得手段を介して取得した遊技情報を、報知手段の報知に供されるまで、所定の最大保留記憶個数を上限として時系列順に保留として記憶するとともに、報知手段による報知が終わった段階で最も古く記憶された保留を新たに消化する保留記憶手段と、を備えた遊技機において、演出部材は、発光手段から照射された光によって保留記憶手段に保留として記憶されている遊技情報に対応する保留を時系列順に示す。その結果、保留を演出部材の発光によって報知することが可能となる。
(8)また、発光手段による光の照射には複数種類の照射形態があって、発光手段による光の照射形態によって対応する保留の特典付与の信頼度を示す。その結果、現時点までに消化されていない保留のいずれかにおいて特典付与となる信頼度を演出部材の発光態様によって遊技者に示すことが可能となる。
【0066】
〈他の実施形態〉
(1)前述した実施形態では、保留演出装置55は第1特図や第2特図の保留数や保留の信頼度を示す装置であるが、保留以外の演出に用いるようにしても良い。例えば、リーチ演出や予告を行う際の発光役物として用いることも可能である。その場合には、例えば演出部材57a~57dの発光態様によって変動中のリーチの信頼度を示すこと等が可能である。
(2)また、前述した実施形態では、演出部材57a~57dは計4個設けられているが、その数は任意に変更しても良い。また、演出部材57a~57dをワイングラス形状以外の形状としても良く、例えば球形状や瓢箪形状としても良い。また、コップやジョッキ等の他の器の形状としても良い。その場合であっても、LEDを点灯させることによって器に対して液体が注がれたように演出部材57a~57dを発光させることが可能となる。
(3)本発明は、パチンコ遊技機以外の遊技機、たとえば、回胴式遊技機(スロットマシンまたはパチスロともいう)にも適用することができる。本発明を回胴式遊技機に適用した場合には、回胴式遊技機に対して保留演出装置55に相当する装置を配置するようにする。
【符号の説明】
【0067】
1 パチンコ遊技機
2a 盤ランプ
7 演出表示装置
55 保留演出装置
56 台座
57(57a~57d) 演出部材
79 ランプ制御基板
101 演出制御用マイコン
151a~151d LED
152a~152d 反射板
156 段差
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