(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】工作機械の工具交換方法及び工具交換装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 3/155 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
B23Q3/155 F
(21)【出願番号】P 2020206874
(22)【出願日】2020-12-14
【審査請求日】2021-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】520493131
【氏名又は名称】徳大機械股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】黄世宗
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-337773(JP,A)
【文献】国際公開第2018/220771(WO,A1)
【文献】特開平06-063833(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0009698(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/155-3/157
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械で工具交換を実行するのに適用される工作機械の工具交換方法であって、
前記工作機械は主に主軸、アンクランプセット、アンクランプ検出器及び工具交換装置を含み、前記アンクランプセットはアンクランプ位置及びクランプ位置を有し、
前記アンクランプセットが前記アンクランプ位置にあるとき、前記主軸は工具を緩め、さらに前記アンクランプ検出器が前記アンクランプセット及び前記主軸のうちの1つを検出してアンクランプ信号を出力し;
前記アンクランプセットが前記クランプ位置にあるとき、前記主軸は工具を挟持することができ、さらに前記アンクランプ信号が消失し;
前記工作機械の工具交換方法は、まず前記アンクランプセットを前記アンクランプ位置に移動させ、さらに前記工具交換装置で前記主軸及び工具マガジンから工具を取り外し、工具の位置を交換してから工具を前記主軸に挿入し、さらに前記アンクランプセットを前記クランプ位置に移動させる方法であって、
工具を前記主軸に挿入し、さらに前記アンクランプセットを前記クランプ位置に移動させると、前記アンクランプ信号の消失に基づいて、前記工具交換装置が
工具からの離脱を起動することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記アンクランプセットを前記アンクランプ位置に移動させると、前記アンクランプ信号の出現に基づいて前記工具交換装置が起動する、請求項1に記載の工作機械の工具交換方法。
【請求項3】
前記アンクランプセットが前記アンクランプ位置に移動を開始する瞬間、前記工具交換装置は前記主軸に挿着された工具をまだ挟持していない、請求項1に記載の工作機械の工具交換方法。
【請求項4】
前記アンクランプセットが前記アンクランプ位置に移動を開始する瞬間、前記工具交換装置は前記主軸に挿着された工具をまだ挟持していない、請求項2に記載の工作機械の工具交換方法。
【請求項5】
工作機械で工具交換を実行するのに適用される工作機械の工具交換方法であって、
前記工作機械は主に主軸、アンクランプセット、アンクランプ検出器及び工具交換装置を含み、前記アンクランプセットはアンクランプ位置及びクランプ位置を有し、
前記アンクランプセットが前記アンクランプ位置にあるとき、前記アンクランプ検出器は前記アンクランプセットを検出してアンクランプ信号を出力し、前記主軸は工具を緩めることができ、
前記アンクランプセットが前記クランプ位置にあるとき、前記アンクランプ検出器から離れ、前記主軸は工具をしっかりとつかむことができ、
前記工作機械の工具交換方法は、前記アンクランプセットを前記アンクランプ位置に移動させ、さらに前記工具交換装置で前記主軸及び工具マガジンから工具を取り外し、工具の位置を交換してから工具を前記主軸に挿入し、さらに前記アンクランプセットを前記クランプ位置に移動させる方法であって、
前記アンクランプセットが前記アンクランプ位置に移動を開始する瞬間、前記工具交換装置は前記主軸に挿着された工具をまだ挟持して
おらず、
前記アンクランプセットを前記アンクランプ位置に移動させると、前記アンクランプ信号の出現に基づいて前記工具交換装置が工具の挟持及び前記主軸からの取り外しを起動することを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか1項に記載の工作機械の工具交換方法を実行し、
動力源と;
出力軸を有し、前記動力源の駆動により、前記出力軸を動作順序に基づいて繰り返し回転及び移動させる伝動機構と;
前記出力軸に設置され、前記出力軸に伴って回転及び移動するチェンジャーアームと;
前記動力源及び前記伝動機構のうちの1つに設置され、前記動作順序における前記出力軸の現在位置を感知するデコーダーと;を含む、工具交換装置。
【請求項7】
前記動力源が低慣性モータである、請求項
6に記載の工具交換装置。
【請求項8】
前記伝動機構がカムウォームセットである、請求項
6に記載の工具交換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械の操作において工具交換を行うのに用いられる工作機械の工具交換方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
工作機械は加工過程において、加工工程、加工品の材料、製品の外形及び工具の寿命の影響により、たびたび工具を取り換える必要があるため、工作機械には常に相応の工具交換装置が組み合わされる。例を挙げると、台湾特許第651155号公報は工作機械及び工具交換装置の関連構造及び技術を説明しており、次に、台湾特許第488709号公報及び台湾実用新案第458268号公報などは工作機械の工具交換工程も詳細に説明している。
【0003】
前記特許の説明に関して、工作機械の工具交換工程は主にアンクランプ(工具を押す又は緩めるともいう)、工具の引出、工具の交換、工具の挿入などのステップを含む。アンクランプステップでは、アンクランプ装置で主軸後端のプルロッドに衝突するか又はプルロッドを押す必要があり、これにより主軸は工具を前に解放する。工具引出ステップでは、主軸が解放した工具及び工具マガジン中の取り換えたい工具を工具交換装置で挟持する必要があり、工具を移動させて主軸及び工具マガジンから外す。工具交換ステップでは、工具交換装置で工具を旋回させて位置を交換する必要がある。工具挿入ステップでは、再び工具交換装置で工具を移動させ、主軸及び工具マガジンに挿入する。主軸及び工具マガジンが工具を挟持し、最後に工具交換装置は待機位置に戻り、工具交換工程が完了する。
【0004】
前記工具交換工程において、各装置の動作時間及び順序を相互に組み合わせて、機械への衝突又は工具の脱落を防止しなければならない。各装置間の連携する動作を確実に保証して正確に動作させるため、工具交換装置における伝動装置の入力軸又は出力軸の角度位置を感知する信号感知輪を工具交換装置に取り付けることができる。これによりアンクランプ装置の起動時間と相互に対照させ、工具交換工程のステップを実行するタイミングの基礎とする。関連技術は例えば台湾実用新案第518604号公報の
図7、
図8及び背景技術の一節、又は台湾特許第317312号公報及び台湾実用新案第458268号公報の詳細な説明を参考にすることができる。
【0005】
上記信号感知輪を利用して工具交換装置及びアンクランプ装置に対してタイミング制御を行う技術以外に、台湾実用新案第518604号公報は、エンコード装置が工具交換装置の出力軸の角度及び位置を検出する関連技術により、電子方式で工具交換装置の動作タイミングを制御することができることをさらに説明している。
【0006】
機械方式及び電子方式を使用して、工具交換装置の動作タイミングを制御するとき、工具交換装置の出力軸の角度、位置、工具交換装置中のモータの起動及びブレーキ、ならびにアンクランプ装置のアンクランプの起動及び復帰などの動作を制御する必要があるため、各動作の起動、到達時間は気圧又は油圧装置の遅延、各装置の部品の種類、公差、摩耗及び弾性疲労の影響により変動する可能性がある。動作タイミングにわずかに誤差がある場合、機械の重圧による摩耗、機械への衝突又は工具の脱落が容易に生じ、工作機械が停止する、頻繁にメンテナンスが必要である、又は工具が損傷するなどの問題が生じ、機械のコストが上昇する。
【0007】
図1を参照されたい。工具交換装置の動作タイミングに異常が生じるのを防止するため、工具交換装置及びアンクランプ装置の動作を制御するとき、信号感知輪によりタイミング制御を行うことができる。典型的な信号感知輪はブレーキ信号輪91、確認信号輪92及び原点信号輪93を含み、ブレーキ信号輪91は開始時にブレーキ信号を有し、工具交換装置はブレーキをかけて工具交換装置のモータを停止し、使用者が起動するのを待つ。起動信号を受信すると、工具交換装置はブレーキを解除してモータを起動し、工具交換装置の出力軸は所定の動作タイミングチャート94に基づいて動作する。その後ブレーキ信号輪91が2回目のブレーキ信号を感知すると、工具交換装置はブレーキをかけてモータを停止し、さらにアンクランプ装置に通知してアンクランプを行い、アンクランプ装置がアンクランプ完了の信号を返信するのを待つ。アンクランプが完了すると、工具交換装置は再度ブレーキを解除してモータを起動し、出力軸を続けて動作させる。その後ブレーキ信号輪91が3回目のブレーキ信号を感知すると、工具交換装置はブレーキをかけてモータを停止し、さらにアンクランプ装置に通知してクランプを行い、アンクランプ装置がクランプ完了の信号を返信するのを待つ。クランプが完了すると、工具交換装置は再度ブレーキを解除して工具交換装置のモータを起動し、出力軸を続けて動作させ、工具交換装置を離脱させて位置復帰させる。ブレーキ信号輪の2回目及び3回目のブレーキ信号時、工具交換装置は機械的慣性力の作用により前に滑る可能性があり、アンクランプ装置は部品の摩耗、劣化の影響により動作が遅れる可能性があり、工具交換装置が前に滑り、アンクランプ装置はまだアンクランプ又はクランプ動作を完了していない状態が引き起こされ、機械への衝突、工具の脱落などの問題が生じる。確認信号輪92にアンクランプ信号921を予め設定することができ、アンクランプ信号921の終了の瞬間をアンクランプ確認点922とする。アンクランプ信号921の期間内又はアンクランプ確認点922以前に、アンクランプ装置のアンクランプ完了の信号を受信していない場合、正常プログラム内にアンクランプが完了していないことを表し、すぐに機械を停止して警報を発する。工具交換装置はアンクランプ完了の信号を受信すれば、ブレーキを解除してモータを起動し、旋回して工具を交換する。工具交換装置が完全に工具を解放していない状態で、旋回して機械に衝突するのを防止することができる。次に、確認信号輪92にクランプ信号923を予め設定することができ、クランプ信号923の終了の瞬間をクランプ確認点924とする。クランプ信号923の期間内又はクランプ確認点924以前に、アンクランプ装置のクランプ完了の信号を受信していない場合、正常プログラム内にクランプが完了していないことを表し、すぐに機械を停止して警報を発する。工具交換装置はクランプ完了の信号を受信すれば、ブレーキを解除してモータを起動し、離脱して待機位置まで旋回する。主軸が完全に工具を締め付けていない状態で、工具交換装置が離脱して工具の脱落が生じるのを防止することができる。アンクランプ装置のアンクランプ完了の信号及びクランプ完了の信号は、それぞれ例えば台湾実用新案第458268号公報に記載の第1検知部及び第2検知部により判断することができる。アンクランプ装置の位置が比較的高いとき、アンクランプ装置はすでに上に位置復帰し、クランプが完了していることを表す。アンクランプ装置の位置が比較的低いとき、アンクランプ装置はすでに下に移動し、アンクランプが完了していることを表す。
【0008】
上記確認信号輪92に設けたアンクランプ確認点922及びクランプ確認点924について、主軸のバネ疲労、部品の摩耗で間隙が大きくなるか、またはアンクランプ装置の動作が遅延するとき、主軸がアンクランプ及びクランプの完了に費やす時間が長くなる可能性がある。工具交換装置が滑り、主軸のアンクランプ及びクランプが完了したとき、アンクランプ確認点及びクランプ確認点をすでに超えている場合、工作機械はすぐに警報を発し、機械を停止して点検、修理することができる。
【0009】
しかしながら、主軸のアンクランプ及びクランプに費やす時間の長さは異なるため、主軸のアンクランプ及びクランプの速度が比較的速いときも、工具交換装置は依然としてアンクランプ及びクランプ完了の信号を待たなければブレーキを解除してモータを起動することができず、工具交換時間が長くなると浪費が生じる。具体的に述べると、よく見られる達成可能な工具交換時間は、およそ2から2.5秒である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】台湾特許第651155号公報
【文献】台湾特許第488709号公報
【文献】台湾実用新案第458268号公報
【文献】台湾実用新案第518604号公報
【文献】台湾特許第317312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記に関して、工具交換装置は上記動作タイミングの制限により、最短の工具交換時間をさらに短縮することは難しい。従って、本発明の1つの目的は、機械の稼働を順調に維持することができ、重圧による摩耗が生じず、機械に衝突せず、工具が脱落しない前提で、工具交換時間をさらに短縮した工具交換方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明は、工作機械で工具交換を実行するのに適用される工作機械の工具交換方法を提供する。該工作機械は主に主軸、アンクランプセット、アンクランプ検出器及び工具交換装置を含み、該アンクランプセットはアンクランプ位置及びクランプ位置を有する。該アンクランプセットが該アンクランプ位置にあるとき、該アンクランプ検出器に接近し、該主軸は工具を緩めることができる。該アンクランプ検出器は、該アンクランプセット及び該主軸のうちの1つを検出してアンクランプ信号を出力する。該アンクランプセットが該クランプ位置にあるとき、該アンクランプ検出器から離れて、該主軸は工具を挟持することができる。該工作機械の工具交換方法は、まず該アンクランプセットを該アンクランプ位置に移動させ、さらに該工具交換装置が該主軸及び工具マガジンから工具を取り外し、工具の位置を交換してから工具を主軸に挿入し、さらに該アンクランプセットを該クランプ位置に移動させる。
【0013】
上記の工具交換方法において、工具を主軸に挿入し、さらに該アンクランプセットを該クランプ位置に移動させると、該アンクランプ信号の消失に基づいて、該工具交換装置が起動する。又は該アンクランプセットを該アンクランプ位置に移動させると、該アンクランプ信号の出現に基づいて、該工具交換装置が起動する。
【0014】
次に、本発明は上記工作機械の工具交換方法を実行する工具交換装置も提供し、工具交換装置は動力源、伝動機構、チェンジャーアーム及びデコーダーを含む。伝動機構は出力軸を有し、伝動機構は動力源の駆動により、出力軸を動作順序に基づいて繰り返し回転及び移動させる。チェンジャーアームは出力軸に設置され、出力軸に伴って回転及び移動する。デコーダーは動力源又は伝動機構に設置され、該動作順序における該出力軸の現在位置を感知する。
【0015】
上記工具交換装置において、動力源は低慣性モータでよく、伝動機構はカムウォームセットでよい。
【0016】
これにより、工作機械の工具交換過程において、工具交換装置はアンクランプ信号の出現及び消失に基づいて、ブレーキを解除して起動され、旋回して工具交換を行うか、又はチェンジャーアームを回転させて離脱させることができる。アンクランプ確認点又はクランプ確認点を待つ必要はなく、アンクランプ確認点及びクランプ確認点の前後を通り過ぎるのを待つ時間を節約することができ、工具交換速度を高める。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、従来の信号感知輪及びチェンジャーアームの動作タイミングに関する概要図である。
【
図2】
図2は、本発明の工作機械の工具交換方法を適用した工作機械の概要図である。
【
図3】
図3は、本発明の工作機械の工具交換方法におけるステップのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、工作機械で工具交換を実行するのに適用される工作機械の工具交換方法を提供する。
図2を参照されたい。工作機械は主に主軸1、アンクランプセット2、アンクランプ検出器3、クランプ検出器4及び工具交換装置5を含み、このほか、工具マガジン6をさらに含む。
【0019】
主軸1は工作機械の加工主軸であり、具体的に、例えば台湾特許第418424号公報に記載の主軸は本発明で使用することができる。主軸1はプルロッド11を有し、主軸1内部にプルロッド11を押して随時上に移動させることができるバネ又はその他の類似する位置復帰装置を有する。主軸1は加工に用いる工具7を挟持することができ、プルロッド11が衝突されるか、又は押されて下に移動する場合、主軸1は工具7を緩め、解放する。
【0020】
アンクランプセット2は主軸1の上方に設置され、アンクランプセット2は上下に移動することができるプッシュロッド21を有し、プッシュロッド21の位置は主軸1のプルロッド11と組み合わさる。プッシュロッド21がアンクランプ位置まで下に移動するとき、プッシュロッド21はプルロッド11に衝突するか、又はプルロッド11を押して下に移動させることができ、これにより主軸1は工具7を解放する。プッシュロッド21がクランプ位置まで上に移動して位置復帰するとき、プッシュロッド21はプルロッド11を解放して離れ、プルロッド11はすぐに位置復帰し、主軸1は工具7を挟持する。これにより主軸1が工具7を挟持するか、又は解放するかを制御することができる。具体的に、アンクランプセット2は例えば台湾実用新案第458268号公報、台湾公告公報第465421号及び台湾公告公報第375213号などに記載のアンクランプシリンダ又はアンクランプ機構である。アンクランプセット2はさらに検知ブロック22を有し、検知ブロック22はプッシュロッド21に設置して固定され、プッシュロッド21と共に上下に移動する。本発明のその他の可能な実施例において、検知ブロック22はプルロッド11又は主軸及びアンクランプセットのその他の位置に変えて設置することもでき、アンクランプ及びクランプ過程で上下に移動すると、本実施例に似た使用機能を得ることができる。
【0021】
アンクランプ検出器3及びクランプ検出器4は主軸1又はアンクランプセット2に設置され、アンクランプ検出器3及びクランプ検出器4はそれぞれ検知ブロック22のそばに位置し、さらに検知ブロック22に向く。プッシュロッド21がアンクランプ位置まで下に移動するとき、検知ブロック22は下に移動し、アンクランプ検出器3に接近してアンクランプ検出器3の前方にちょうど位置する。アンクランプ検出器3は該検知ブロック22を検出してアンクランプ信号を出力し、これは主軸が確実に工具を解放したことを表す。プッシュロッド21がクランプ位置まで上に移動するとき、検知ブロック22は上に移動してアンクランプ検出器3から離れ、クランプ検出器4に接近してクランプ検出器4の前方にちょうど位置する。アンクランプ検出器3はアンクランプ信号の出力を停止し、クランプ検出器4は該検知ブロック22を検出してクランプ信号を出力し、これは主軸が確実に位置復帰を完了して工具を挟持したことを表す。
【0022】
工具交換装置5は主軸1及び工具マガジン6から工具を取り外すことができ、2組の工具を旋回させて位置を交換してから、工具を主軸及び工具マガジンに挿入する。詳しく述べると、工具交換装置5は動力源51、伝動機構52、チェンジャーアーム53及びデコーダー54を含む。動力源51は例えばモータであり、比較的好ましくは低慣性モータであり、モータを起動及び停止させるとき、モータの慣性により位置が不正確になる現象を減少させることができる。伝動機構52は例えばカムウォームセットであり、直接又は減速機を経由して間接的に動力源51に接続される。伝動機構52は出力軸521を有し、チェンジャーアーム53は出力軸521に設置して固定され、伝動機構52が動力源51に駆動されることにより、出力軸521がチェンジャーアーム53を動かして主軸1及び工具マガジン6の間で工具7を交換するのに必要な回転及び移動動作を繰り返し実行させる。伝動機構52の具体的な構造は、例えば台湾特許第317312号公報、台湾公告公報第338014号及び台湾実用新案第458268号公報などの詳細な説明を参考にすることができる。デコーダー54は伝動機構52の出力軸521に接続されるか、又は伝動機構52のその他の部品に接続され、これにより直接又は間接的に出力軸521の現在位置を検出し、さらに出力軸521の位置に基づいて位置信号を出力する。動力源51は伝動機構52に接続されるため、動力源51の角度位置及び出力軸521の位置は一定の相対関係を有する。本発明のその他の可能な実施例において、デコーダー54を動力源に接続するように変えて設置することもでき、同様に出力軸の現在位置を間接的に検出して位置信号を出力することができる。
【0023】
工具マガジン6は例えば、工具を工具交換装置5に供給して工具交換を実行することができるディスクタイプ工具マガジンである。具体的に、台湾公告公報第445919号、台湾特許第310715号公報及び台湾実用新案第565626号公報などに記載の工具マガジンは、いずれも本発明の工具マガジン6として使用することができる。このほか、工具マガジンのサイズ及び設置位置が工具交換装置5と組み合わせることができる場合、ディスクタイプ工具マガジン以外のその他の形式の工具マガジンに変えて使用しても問題ない。
【0024】
本発明の工作機械の工具交換方法は、上記工作機械で活用することができる。
図2及び
図3を参照されたい。工作機械の工具交換方法は、主にアームの配置、アンクランプ、工具の引出、工具の交換、工具の挿入及びアームの離脱などのステップを含む。アームの配置ステップ81では、工具交換装置を起動し、チェンジャーアーム53を回転させて、その両端をそれぞれ工具マガジン6及び主軸1の下方に位置させる。その後、工具交換装置を停止してブレーキを起動すると、チェンジャーアーム53は工具マガジン6及び主軸1の下方にあり、その他の信号を待つ。アンクランプステップ82では、アンクランプセット2を起動し、プッシュロッド21を下に移動させて主軸のプルロッド11に衝突するか、又は主軸のプルロッド11を押すと、主軸1は工具7を前に解放する。プッシュロッド21が下に移動し終えると、アンクランプ検出器3が検知ブロック22を検出してアンクランプ信号を出力する。このうち、アンクランプセット2の起動について、チェンジャーアーム53が主軸1の下方に到達するのを待つ必要はなく、工具交換装置5のブレーキを起動してからアンクランプセット2を起動する必要はなく、アンクランプ装置5のブレーキの起動前に、予めアンクランプセット2を起動することもできる。これによりチェンジャーアーム53が主軸1の下方に到達すると、まもなくアンクランプセット2はアンクランプを完了する。工具引出ステップ83では、アンクランプ信号が出現すると、ブレーキを解除して工具交換装置5を起動し、工具交換装置5を駆動して、主軸1が解放した工具7及び工具マガジン6中の取り換えたい工具を挟持し、下に移動させて主軸1及び工具マガジン6から外す。このうち前記工具交換装置5の起動は、具体的に、工具交換装置5の動力源51の起動を指し、本実施例中ではモータの起動である。工具交換ステップ84では、工具交換装置は続けて工具7を回転させる。工具マガジン6からの工具及び主軸1が解放した工具7を旋回させて位置を交換させる。工具挿入ステップ85では、工具交換装置5は工具7を移動させて主軸1及び工具マガジン6に挿入し、工具交換装置を停止してブレーキを起動する。さらにアンクランプセット2を起動し、プッシュロッド21を上に移動させてプルロッド11から離脱させ、プルロッド11はただちに上に位置復帰し、主軸1は工具7を挟持する。プッシュロッド21が上に移動すると、検知ブロック22がアンクランプ検出器3から離れてアンクランプ信号は消失し、その後クランプ検出器4が検知ブロック22を検出してクランプ信号を出力する。アームの離脱ステップ86では、アンクランプ信号が消失するとブレーキを解除して工具交換装置5を起動し、工具交換装置5のチェンジャーアーム53を離脱させて待機位置に戻し、工具交換工程が完了する。
【0025】
上記ステップにおいて、アンクランプ信号の出現はアンクランプセットがすでにアンクランプ位置に移動したことを表す。プルロッドはすでに確実に下に移動し、主軸はすでに工具を解放している。工具引出ステップは、アンクランプ信号が出現してすぐにブレーキを解除して工具交換装置を起動するため、工具交換装置が工具を解放するのと同時に、工具を取り外して移動を開始する。待つ時間を省くことができ、さらに各部品は工具を伝達する過程で正確に連携することができる。工具交換速度を速めることができ、機械に衝突せず、工具は脱落しない。
【0026】
上記ステップにおいて、アンクランプ信号の消失はアンクランプセットがすでにアンクランプ位置から離れたことを表す。プルロッドは主軸内部の位置復帰装置の作用により、位置は確定されないが、すぐに上に位置復帰し、工具を挟持する。アームの離脱ステップは、アンクランプ信号が消失するとすぐにブレーキを解除して工具交換装置を起動するため、工具交換装置は主軸が工具を挟持すると同時に、チェンジャーアームを移動させて離脱させる。アンクランプセットがクランプ位置まで移動するのを待つ時間、及び主軸が工具を挟持するのを確認する時間を省くことができ、これにより工具交換速度を速くする。工具が主軸に進入すると、主軸が上に位置復帰して挟持する作用により、たとえ工具交換速度を高めたとしても、工具が脱落する不測の事態が生じることはない。
【0027】
このほか、上記アンクランプステップにおいて、チェンジャーアームが主軸下方に到達する前に、アンクランプセットを先に起動することができ、0.1から0.4秒早めてアンクランプセットを起動する。言い換えると、該アンクランプセットが該アンクランプ位置に移動を開始した瞬間、該工具交換装置はまだ工具を挟持しておらず、チェンジャーアームが主軸の下方に到達して、工具を挟持するのとほとんど同時にアンクランプを完了する。チェンジャーアームがアンクランプの完了を待つ時間を省くだけでなく、工具交換装置がブレーキをかけ、動力源を停止する時間も比較的短く、モータを停止してから起動して生じる慣性による遅延現象をさらに減少させることができ、工具交換速度を高める。
【0028】
追加で説明する必要があることとして、本実施例が言及する上、下方向は、本実施例の各部品、パーツの相対位置関係を記載するのに用いられる。本実施例の工作機械の工具交換方法及び工具交換装置の構造が変わらない状況で、単純に傾ける、反転させる、又は対応方向を変更することは、いずれも実行可能な具体的な実施形態に属する。
【0029】
これにより、本発明の工作機械の工具交換方法は、工作機械に利用することができる。アンクランプ信号の出現及び消失により、適時工具交換装置を起動するタイミングを早め、工具交換時間を短くする。達成可能な最短の工具交換時間はおよそ1.26から1.34秒であり、以前の信号感知輪を利用して工具交換の動作タイミングを管理するのに必要な2から2.5秒の工具交換時間と比較して、およそ33%から49%の工具交換時間を節約することができる。効果は最も高く、実際に加工業者及び加工機械設備の生産関連業者は切望している。ただ、以上の実施例は本発明の技術内容を説明して詳述したに過ぎず、本発明の範囲は後述する特許請求の範囲を基準とするべきである。
【符号の説明】
【0030】
1 主軸
11 プルロッド
2 アンクランプセット
21 プッシュロッド
22 検知ブロック
3 アンクランプ検出器
4 クランプ検出器
5 工具交換装置
51 動力源
52 伝動機構
521 出力軸
53 チェンジャーアーム
54 デコーダー
6 工具マガジン
7 工具
81 アーム配置ステップ
82 アンクランプステップ
83 工具引出ステップ
84 工具交換ステップ
85 工具挿入ステップ
86 アーム離脱ステップ
91 ブレーキ信号輪
92 確認信号輪
921 アンクランプ信号
922 アンクランプ確認点
923 クランプ信号
924 クランプ確認点
93 原点信号輪
94 動作タイミングチャート