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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 12/00 20060101AFI20221208BHJP
   G11C 5/04 20060101ALI20221208BHJP
   G11C 7/10 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
G06F12/00 564D
G06F12/00 560B
G11C5/04 200
G11C7/10 405
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022560919
(86)(22)【出願日】2022-07-05
(86)【国際出願番号】 JP2022026682
【審査請求日】2022-10-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515225518
【氏名又は名称】ウルトラメモリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100190621
【弁理士】
【氏名又は名称】崎間 伸洋
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】瀧澤 明彦
(72)【発明者】
【氏名】中原 茂
(72)【発明者】
【氏名】元山 裕二
(72)【発明者】
【氏名】余公 秀之
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-186598(JP,A)
【文献】特開2013-232152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 12/00
G11C 5/04
G11C 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストローブ信号が入力されるストローブ入力端子、前記ストローブ信号を遅延させるストローブ遅延回路および前記ストローブ信号を出力するストローブ出力端子をこの順番に有し、前記ストローブ信号を伝送するストローブ信号伝送路と、
前記ストローブ信号伝送路の前記ストローブ遅延回路の下流側に接続され、それぞれデータを記憶し、前記ストローブ信号が入力されたときに前記データを出力する複数のデータ出力回路と、
前記複数のデータ出力回路に接続され、前記データを外部出力するデータ出力端子を有するデータ出力バスと、
をそれぞれ有する複数のメモリと、
前記ストローブ入力端子に前記ストローブ信号を入力するストローブ回路と、
前記データ出力端子から出力される前記データを受信し、受信した前記データを一次的に記憶し、前記ストローブ出力端子から出力される前記ストローブ信号に応じて前記データを出力するデータバッファ回路と、
前記ストローブ出力端子から出力される前記ストローブ信号の前記ストローブ回路から出力される前記ストローブ信号に対する遅れの前記メモリの間での差を低減するよう前記ストローブ遅延回路の遅延量を調整する遅延調整回路と、
を有するコントローラと、
を備える、半導体装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記ストローブ回路から出力される前記ストローブ信号を遅延させる制御遅延回路をさらに有し、
前記遅延調整回路は、前記制御遅延回路から出力される前記ストローブ信号と前記ストローブ出力端子から出力される前記ストローブ信号との位相差に基づいて前記ストローブ遅延回路の遅延量を調整する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記遅延調整回路は、前記ストローブ回路から出力される単一の前記ストローブ信号に対して2つの前記メモリの前記ストローブ出力端子から出力される前記ストローブ信号の間の位相差に基づいて、前記ストローブ遅延回路の遅延量を調整する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記遅延調整回路は、前記ストローブ回路が前記ストローブ信号を出力してから前記ストローブ出力端子から前記ストローブ信号が出力されるまでの時間を測定する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記メモリは、前記ストローブ入力端子と前記ストローブ出力端子との間を接続し、前記ストローブ信号伝送路とともに発振回路を形成する帰還回路をさらに有し、
前記遅延調整回路は、前記ストローブ出力端子から出力される信号の周期に基づいて前記ストローブ遅延回路の遅延量を調整する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記遅延調整回路は、当該半導体装置の動作条件が変化した場合に前記ストローブ遅延回路の遅延量を調整する、請求項1に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、記憶装置としてDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性メモリ(RAM)が知られている。DRAMには、演算装置(以下、論理チップあるいはロジックチップという)の高性能化やデータ量の増大に耐えうる大容量化が求められている。そこで、メモリ(メモリセルアレイ、メモリ)の微細化およびセルの平面的な増設による大容量化が図られてきた。一方で、微細化によるノイズへの惰弱性や、チップ面積の増加等により、この種の大容量化は限界に達してきている。
【0003】
そこで、昨今では、平面的なメモリを複数積層して3次元化(3D化)して大容量化を実現する技術が開発されている。また、データ量の増大に伴い、チップ(ロジックチップおよびメモリ)間のデータ通信の高速化が図られている(例えば、特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2011-528837号公報
【文献】特開2011-081731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、積層メモリデバイスダイスにおいて、全てのメモリデバイスダイス(メモリ)からの読み出しデータまたは他の信号が同じ時刻に受信されるように、読み出しストロボ(ストローブ)信号のタイミングを調整することが開示されている。このような構成では、メモリの数だけタイミングを補正するための回路が必要となり、半導体装置の大型化、コスト増大といった問題が生じ得る。また、複数のデータ出力回路を設ける場合には、対応がより困難となる。また、特許文献1は、メモリ間でデータの受信時刻を合わせる方法を提供しておらず、運用が難しい。
【0006】
また、特許文献2には、複数のコアチップ(メモリ)の夫々に、リードコマンド(ストローブ信号)に応答してインターフェースチップにリードデータを出力するデータ出力回路と、リードコマンドを受け付けてからデータ出力回路によってリードデータが出力されるまでの時間を複数のコアチップ間において一致させる出力タイミング調整回路とを設けることが開示されている。各メモリに複雑な出力タイミング調整回路を設けると、メモリが大型化したり、コストが大幅に増大したりするおそれがある。また、特許文献2も、メモリ間で出力タイミングを合わせるためのキャリブレーションの方法を提供しておらず、運用が難しい。
【0007】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、比較的安価でありながらデータを高速に出力できる半導体装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る半導体装置は、ストローブ信号が入力されるストローブ入力端子、前記ストローブ信号を遅延させるストローブ遅延回路および前記ストローブ信号を出力するストローブ出力端子をこの順番に有し、前記ストローブ信号を伝送するストローブ信号伝送路と、前記ストローブ信号伝送路の前記ストローブ遅延回路の下流側に接続され、それぞれデータを記憶し、前記ストローブ信号が入力されたときに前記データを出力する複数のデータ出力回路と、前記複数のデータ出力回路に接続され、前記データを外部出力するデータ出力端子を有するデータ出力バスと、をそれぞれ有する複数のメモリと、前記ストローブ入力端子に前記ストローブ信号を入力するストローブ回路と、前記データ出力端子から出力される前記データを受信し、受信した前記データを一次的に記憶し、前記ストローブ出力端子から出力される前記ストローブ信号に応じて前記データを出力するデータバッファ回路と、前記ストローブ出力端子から出力される前記ストローブ信号の前記ストローブ回路から出力される前記ストローブ信号に対する遅れの前記メモリの間での差を低減するよう前記ストローブ遅延回路の遅延量を調整する遅延調整回路と、を有するコントローラと、を備える。
【0009】
上述の半導体装置において、前記コントローラは、前記ストローブ回路から出力される前記ストローブ信号を遅延させる制御遅延回路をさらに有し、前記遅延調整回路は、前記制御遅延回路から出力される前記ストローブ信号と前記ストローブ出力端子から出力される前記ストローブ信号との位相差に基づいて前記ストローブ遅延回路の遅延量を調整してもよい。
【0010】
上述の半導体装置において、前記遅延調整回路は、前記ストローブ回路から出力される単一の前記ストローブ信号に対して2つの前記メモリの前記ストローブ出力端子から出力される前記ストローブ信号の間の位相差に基づいて、前記ストローブ遅延回路の遅延量を調整してもよい。
【0011】
前記遅延調整回路は、前記ストローブ回路が前記ストローブ信号を出力してから前記ストローブ出力端子から前記ストローブ信号が出力されるまでの時間を測定してもよい。
【0012】
上述の半導体装置において、前記メモリは、前記ストローブ入力端子と前記ストローブ出力端子との間を接続し、前記ストローブ信号伝送路とともに発振回路を形成する帰還回路をさらに有し、前記遅延調整回路は、前記ストローブ出力端子から出力される信号の周期に基づいて前記ストローブ遅延回路の遅延量を調整してもよい。
【0013】
上述の半導体装置において、前記遅延調整回路は、当該半導体装置の動作条件が変化した場合に前記ストローブ遅延回路の遅延量を調整してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、比較的安価でありながらデータを高速に出力できる半導体装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の構成を示す模式図である。
図2図1の半導体装置の主要な回路構成を示す簡略回路図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る半導体装置の構成を示す模式図である。
図4図3の半導体装置の主要な回路構成を示す簡略回路図である。
図5】本発明の第3実施形態に係る半導体装置の主要な回路構成を示す簡略回路図である。
図6】本発明の第4実施形態に係る半導体装置の主要な回路構成を示す簡略回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置1の構成を示す模式図である。図2は、半導体装置1の回路構成を示す簡略回路図である。
【0017】
本発明の第1実施形態に係る半導体装置1は、パッケージ基板10と、それぞれ1つのチップ上に構成される複数のメモリ20と、1つのチップ上に構成される単一のコントローラ30と、を備える。半導体装置1において、パッケージ基板10の上にコントローラ30が実装され、このコントローラ30が構成されたチップの上にそれぞれメモリ20が構成された複数のチップが重ねて実装されている。
【0018】
パッケージ基板10は、給電および外部との接続のための電路を提供する。パッケージ基板10は、周知技術に基づいて設計され得る。
【0019】
メモリ20は、コントローラ30から入力されるストローブ信号を伝送するストローブ信号伝送路21と、ストローブ信号伝送路21に接続され、それぞれデータを記憶し、ストローブ信号伝送路21からストローブ信号が入力されたときにデータを出力する複数のデータ出力回路22と、複数のデータ出力回路22に接続され、各データ出力回路22から出力されるデータを外部出力するための共通のデータ出力バス23と、をそれぞれ有する。なお、それぞれのデータ出力回路22には、対応する図示しない複数のメモリバンクがそれぞれ接続され得る。データ出力回路22はそれぞれに接続されているメモリバンクから読み出されたデータを出力するように構成され得る。
【0020】
ストローブ信号伝送路21は、ストローブ信号が入力されるストローブ入力端子211、ストローブ信号を遅延させるストローブ遅延回路212およびストローブ信号(フィードバック信号)を外部出力するストローブ出力端子213をこの順番に有する。ストローブ遅延回路212は、外部から遅延量を調節可能な可変遅延回路とされる。例として、ストローブ遅延回路212は6ビットのレジスタを有し、このレジスタに設定される値に応じて64段階に遅延量を調整できるように構成され得る。
【0021】
データ出力回路22は、上流側の端部でストローブ信号伝送路21のストローブ遅延回路の下流側に接続され、下流側の端部でデータ出力バス23に接続される。データ出力回路22は、それぞれデータを記憶し、ストローブ信号伝送路21からストローブ信号が入力されたときにデータ出力バス23に記憶しているデータを出力する。このようなデータ出力回路22は、周知の構成とされ得る。なお、データ出力回路22は、それぞれデータ幅を有し、多ビットのデータを出力ための多数の出力配線を有する。
【0022】
データ出力バス23は、データ出力回路22から出力されるデータを外部出力するデータ出力端子231を有する。データ出力バス23は、データ出力回路22のデータ幅に対応する複数の配線を有する。ストローブ信号伝送路21、複数のデータ出力回路22およびデータ出力バス23は、ストローブ入力端子211からデータ出力端子231までの経路長が、経由するデータ出力回路22にかかわらず一定となるよう配置される。典型的には、ストローブ信号伝送路21は、ストローブ入力端子211から所定方向一方側に延び、途中で折り返して、折り返した後の部分が前記所定方向他方側に延びてストローブ出力端子213に至る。複数のデータ出力回路22は、ストローブ信号伝送路21のストローブ遅延回路212の下流側で前記所定方向他方側に延びる部分に接続され、データ出力バス23は、少なくともデータ出力回路22が接続される部分において、ストローブ信号伝送路21の末端部分と平行に前記所定方向他方側に延びる。
【0023】
このような構成により、メモリ20は、ストローブ入力端子211にストローブ信号が入力されてから少し遅れて、ストローブ出力端子213から遅延したストローブ信号を出力し、略同時にデータ出力端子231からデータを出力する。
【0024】
コントローラ30は、ストローブ入力端子211にストローブ信号を入力するストローブ回路31と、データ出力端子231から出力されるデータを受信し、受信したデータを一次的に記憶し、ストローブ信号と同じ周期でデータを出力するデータバッファ回路32と、ストローブ回路31から出力されるストローブ信号を遅延させる制御遅延回路33と、ストローブ出力端子213から出力されるストローブ信号のストローブ回路31から出力されるストローブ信号に対する遅れのメモリ20の間での差を低減するようストローブ遅延回路212の遅延量を調整する遅延調整回路34と、を有する。
【0025】
ストローブ回路31は、メモリ20とコントローラ30との間でのデータの送受信のタイミングを指定する周期的な矩形波状の信号を出力する周知の回路である。
【0026】
データバッファ回路32は、メモリ20から受信するデータを一次的に記憶し、制御遅延回路33から出力されるストローブ信号に応じて先入れ先出しで出力するFIFO回路321と、データを受信するタイミングを指定するストローブ信号を選択するデータセレクタ322と、を有する構成とされ得る。
【0027】
FIFO回路321は、それぞれ1組のデータを記憶する複数のバンク323と、メモリ20からデータが入力されるバッファ入力部324と、データをコントローラ30の外部に出力するためのバッファ出力部325と、データを記憶するタイミングを指定する信号が入力される入力ポインタ326と、データを出力するタイミングを指定する信号が入力される出力ポインタ327と、を有する。
【0028】
FIFO回路321は、入力ポインタ326に信号が入力されたときにバッファ入力部324に入力されているデータをバンク323に記憶し、出力ポインタ327に信号が入力されたときに記憶しているうちで最も古いデータを出力してバンク323から消去する周知の回路である。バッファ入力部324には、不図示の選択回路により選択されたメモリ20から出力されるデータのみが入力されるよう構成される。本実施形態において、ストローブ回路31からのストローブ信号の出力からバッファ入力部324へのデータ入力までの遅延は、基本的には制御遅延回路33によって調整されるため、FIFO回路321は、ストローブ回路31からのストローブ信号の出力からバッファ入力部324へのデータの入力までの遅延時間のバラツキを吸収できる数のバンク323を有する。したがって、FIFO回路321は、[バンク323の数]>[{(データ入力の最大遅延時間)-(データ入力の最小遅延時間)}/(ストローブ信号の周期)]となるよう設計される。
【0029】
データセレクタ322は、各メモリ20のストローブ出力端子213から出力されるストローブ信号のいずれかを入力ポインタ326に入力する。データセレクタ322は、データを読み出すべきメモリ20を選択する不図示の選択回路からの指令信号に従って、バッファ入力部324に入力されるデータを出力するメモリ20から出力されるストローブ信号を入力ポインタ326に入力する。
【0030】
制御遅延回路33は、ストローブ回路31がストローブ信号を送出してから、そのストローブ信号によりメモリ20から出力されるデータがFIFO回路321に記憶される時間として予め設定される時間だけストローブ信号を遅延させて出力ポインタ327に入力する。
【0031】
遅延調整回路34は、FIFO回路321の入力ポインタ326に入力される信号と出力ポインタ327に入力される信号との位相差、つまり制御遅延回路33から出力されるストローブ信号とメモリ20のストローブ出力端子213から出力されるストローブ信号との位相差に基づいてストローブ遅延回路212の遅延量を調整するよう構成される。具体的には、遅延調整回路34は、入力セレクタ341と、位相差検出器342と、遅延量演算装置343と、出力セレクタ344と、を有する構成とされ得る。
【0032】
このような遅延調整回路34は、制御遅延回路33から出力されるストローブ信号とストローブ出力端子213から出力されるストローブ信号との位相差を予め定められる値以下に保つよう、ストローブ遅延回路212の遅延量を設定するレジスタの値を修正する。このように、制御遅延回路33から出力されるストローブ信号と各メモリ20のストローブ出力端子213から出力されるストローブ信号との位相差を一定に保つように構成することで、メモリ20における遅延時間を比較的容易かつ確実に略等しくすることができる。位相差によって確実に遅延時間の差を確認できるよう、遅延調整回路34による調整を行う際に、ストローブ回路31に長周期のストローブ信号を出力させるようにしてもよい。
【0033】
遅延調整回路34は、常時、ストローブ遅延回路212の遅延量を調整するよう構成されてもよいが、半導体装置1の動作条件が変化した場合にストローブ遅延回路212の遅延量を調整するよう構成され得る。具体的には、半導体装置1の電源投入時、リセット時、前回の調整時から電圧が一定値以上変化したとき、半導体装置1の温度が一定値以上変化したとき等の所定の条件を満たす場合にのみ、ストローブ遅延回路212の遅延量を調整するよう構成され得る。これにより、ストローブ信号の周期にストローブ遅延回路212の遅延量の調整のための余裕を持たせる必要がないため、メモリ20からのデータの読み出し速度を向上できる。また、遅延調整回路34は、各メモリ20のストローブ遅延回路212の遅延量を順番に調整するよう構成されてもよく、メモリ20が選択されたときにそのメモリ20の遅延量を調整または調整の要否判定を行うよう構成されてもよい。
【0034】
以上のように、半導体装置1は、遅延調整回路34を備えるため、各メモリ20のデータ出力の遅延時間を略等しくすることができる。このため、データバッファ回路32のバンク323の数を小さくすることができる。メモリ20から出力されるデータの幅(ビット数)が大きくなると、バンク323の数は、コントローラ30ひいては半導体装置1のコストおよびサイズに大きな影響を及ぼし得る。したがって、遅延調整回路34を備える半導体装置1は、比較的安価でありながら、データを高速に出力できる。
【0035】
続いて、本発明の異なる実施形態について説明する。なお、以降の実施形態の説明において、先に説明した実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付して重複する説明を省略することがある。図3は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置1Aの構成を示す模式図である。図4は、半導体装置1Aの回路構成を示す簡略回路図である。
【0036】
本発明の第2実施形態に係る半導体装置1Aは、パッケージ基板10と、複数のメモリ20と、単一のコントローラ30Aと、を備える。半導体装置1Aにおいて、1つのメモリ20とコントローラ30Aとは同じチップ上に構成されている。コントローラ30Aは比較的省スペースであるため、メモリ20とコントローラ30Aが構成されたチップは、メモリ20のみが構成されたチップとほぼ同じ面積になるよう形成され得る。このため、図3の半導体装置1Aは、図1の半導体装置1に対して、フットプリントを大きくすることなく、メモリの積層数を増やしている。
【0037】
コントローラ30Aは、ストローブ入力端子211にストローブ信号を入力するストローブ回路31と、データ出力端子231から出力されるデータを受信し、受信したデータを一次的に記憶し、ストローブ出力端子213から出力されるストローブ信号に同期してデータを出力するデータバッファ回路32Aと、ストローブ出力端子213から出力されるストローブ信号のストローブ回路31から出力されるストローブ信号に対する遅れのメモリ20の間での差を低減するようストローブ遅延回路212の遅延量を調整する遅延調整回路34Aと、を有する。
【0038】
本実施形態のデータバッファ回路32Aは、図2のデータバッファ回路32と同様に。FIFO回路321と、データを受信するタイミングを指定するストローブ信号を選択するデータセレクタ322と、を有するが、データセレクタ322で選択されたストローブ信号が、入力ポインタ326および出力ポインタ327に入力される点が異なる。この構成によれば、起動直後にはデータを記憶していないバンク323の値が出力されるが、最初にバンク323の値を全てゼロにリセットすることで、問題は生じない。
【0039】
遅延調整回路34Aは、ストローブ回路31から出力される単一のストローブ信号に対して2つのメモリ20(基準となるメモリ20と調整対象となるメモリ20)のストローブ出力端子から出力されるストローブ信号の間の位相差に基づいて、ストローブ遅延回路212の遅延量を調整するよう構成され得る。つまり、遅延調整回路34Aは、基準となるメモリ20を設定し、遅延調整回路34Aによって他のメモリ20の遅延時間を1つずつ基準となるメモリ20に合わせる作業を繰り返すよう構成され得る。具体的には、遅延調整回路34Aは、調整対象となるメモリ20からフィードバックされるストローブ信号を選択する入力セレクタ341と、基準となるメモリ20のフィードバック信号と調整対象となるメモリ20のフィードバック信号とを検出する位相差検出器342と、遅延量演算装置343と、出力セレクタ344と、を有する構成とされ得る。このように、同一のストローブ信号で2つのメモリ20のストローブ信号伝送路21における遅延時間の差を確認することで、メモリ20間の遅延時間の差をより正確に低減できる。
【0040】
本実施形態では、基準となるメモリ20のストローブ遅延回路212の遅延量の設定値は、他のメモリ20のストローブ遅延回路212を調整可能とできるよう設定される。例えば、コントローラ30Aと同じチップ上のメモリ20を基準とする場合、伝送距離が長くなる他のメモリ20のストローブ遅延回路212の設定値を基準となるメモリ20のストローブ遅延回路212の設定値よりも小さくすることができるよう、基準となるメモリ20のストローブ遅延回路212の設定値を十分に大きい値に設定することが好ましい。逆に、コントローラ30Aから最も遠いメモリ20を基準とする場合、そのストローブ遅延回路212の設定値は比較小さい値とされることが好ましい。
【0041】
以上のような構成を有する本発明の第2実施形態に係る半導体装置1Aも、第1実施形態に係る半導体装置1と同様に、比較的安価でありながら、データを高速に出力できる。
【0042】
図5は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置1Bの回路構成を示す簡略回路図である。本実施形態に係る半導体装置1Bは、パッケージ基板10と、複数のメモリ20と、単一のコントローラ30Bと、を備える。
【0043】
コントローラ30Bは、ストローブ入力端子211にストローブ信号を入力するストローブ回路31と、データ出力端子231から出力されるデータを受信し、受信したデータを一次的に記憶し、ストローブ出力端子213から出力されるストローブ信号に同期してデータを出力するデータバッファ回路32Aと、ストローブ出力端子213から出力されるストローブ信号のストローブ回路31から出力されるストローブ信号に対する遅れのメモリ20の間での差を低減するようストローブ遅延回路212の遅延量を調整する遅延調整回路34Bと、を有する。
【0044】
遅延調整回路34Bは、各メモリ20からフィードバックされるストローブ信号のストローブ回路31から出力されるストローブ信号に対する遅延時間をそれぞれ測定し、各メモリ20における遅延時間が略等しくなるよう、各メモリ20のストローブ遅延回路212の遅延量の設定値を調整する。この調整は、2つのメモリ20の間での調整を繰り返すことによって行ってもよく、全てのメモリ20のフィードバックの遅延時間を測定してから各メモリ20のストローブ遅延回路212の設定値を決定することによって行ってもよく、個々のメモリ20における遅延時間を予め設定される設定値に近付けるよう個別にストローブ遅延回路212の設定値を調整してもよい。
【0045】
具体的には、遅延調整回路34Bは、測定対象となるメモリ20からのフィードバック信号を選択する入力セレクタ341と、ストローブ回路31から出力されるストローブ信号に対するフィードバック信号の遅延時間を測定する遅延検出タイマ345と、遅延量演算装置343Bと、出力セレクタ344と、を有する構成とされ得る。
【0046】
以上のような構成を有する本発明の第3実施形態に係る半導体装置1Bも、比較的安価でありながら、データを高速に出力できる。
【0047】
図6は、本発明の第4実施形態に係る半導体装置1Cの回路構成を示す簡略回路図である。本実施形態に係る半導体装置1Cは、パッケージ基板10と、複数のメモリ20Cと、単一のコントローラ30Cと、を備える。
【0048】
メモリ20Cは、コントローラ30から入力されるストローブ信号を伝送するストローブ信号伝送路21と、ストローブ信号伝送路21に接続され、それぞれデータを記憶し、ストローブ信号伝送路21からストローブ信号が入力されたときにデータを出力する複数のデータ出力回路22と、複数のデータ出力回路22に接続され、各データ出力回路22から出力されるデータを外部出力するための共通のデータ出力バス23と、ストローブ入力端子211とストローブ出力端子213との間(ストローブ信号伝送路21の上流部分と下流部分との間)を接続し、ストローブ信号伝送路21を含む発振回路(リングオシレータ)を構成する帰還回路24と、を有する。
【0049】
ストローブ信号伝送路21の上流部には、ストローブ入力端子211に入力される信号と、帰還回路24から帰還される信号とのいずれかを選択し、ストローブ信号伝送路21の上流側に出力する帰還セレクタ241が配設される。帰還回路24は、NAND(否定論理積)素子242を有する。NAND素子242には、ストローブ出力端子213から出力される信号と、発振を開始する際に入力される発振トリガ信号と、が入力される。発振トリガ信号は、帰還セレクタ241にも帰還回路24から帰還される信号を選択させる信号として入力される。
【0050】
コントローラ30Cは、ストローブ入力端子211にストローブ信号を入力するストローブ回路31と、データ出力端子231から出力されるデータを受信し、受信したデータを一次的に記憶し、ストローブ出力端子213から出力されるストローブ信号に同期してデータを出力するデータバッファ回路32Aと、ストローブ出力端子213から出力される信号の周期に基づいて前記ストローブ遅延回路の遅延量を調整する遅延調整回路34Cと、を有する。
【0051】
遅延調整回路34Cは、ストローブ信号伝送路21および帰還回路24から形成される発振回路の発振周波数を、ストローブ出力端子213から出力される信号の周波数として観測し、メモリ20の間での発振周波数の差が小さいくなるよう、ストローブ遅延回路212の遅延量を調整する。このように、各メモリ20のストローブ信号伝送路21および帰還回路24から形成される発振回路の発振周波数を略等しくすることによっても、各メモリ20における遅延時間の差を小さくできる。
【0052】
具体的には、遅延調整回路34Cは、測定対象となるメモリ20のストローブ出力端子213から出力される信号を選択する入力セレクタ341と、測定対象となるメモリ20の発振によりストローブ出力端子213から出力される信号の周波数を測定する周波数測定器346と、周波数測定器346が測定した周波数のメモリ20の間での差を小さくできるストローブ遅延回路212の遅延量の設定値を算出する遅延量演算装置343Cと、ストローブ遅延回路212の遅延量を設定するメモリ20を選択する出力セレクタ344と、を有する構成とされ得る。
【0053】
以上のような構成を有する本発明の第4実施形態に係る半導体装置1Cも、比較的安価でありながら、データを高速に出力できる。
【0054】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の変更および変形が可能である。例として本発明に係る半導体装置において、バッファ回路は、FIFO回路を有するものに限定されず、メモリ20から出力されるデータを安定して外部出力できるものであれば、どのような構成を有してもよい。また、コントローラ30,30A,30B,30Cは図1に示す構造と図3に示す構造のどちらにも適用可能である。また、制御遅延回路33は、コントローラ30A,30B,30Cにも適用可能である。この場合FIFO回路321の出力ポインタ327の入力信号として、制御遅延回路33の出力信号を用いることができる。
【符号の説明】
【0055】
1,1A,1B,1C 半導体装置
10 パッケージ基板
20,20C メモリ
21 ストローブ信号伝送路
211 ストローブ入力端子
212 ストローブ遅延回路
213 ストローブ出力端子
22 データ出力回路
23 データ出力バス
231 データ出力端子
24 帰還回路
241 帰還セレクタ
242 NAND素子
30,30A,30B,30C コントローラ
31 ストローブ回路
32,32A データバッファ回路
321 FIFO回路
322 データセレクタ
323 バンク
324 バッファ入力部
325 バッファ出力部
326 入力ポインタ
327 出力ポインタ
33 制御遅延回路
34,34A,34B,34C 遅延調整回路
341 入力セレクタ
342 位相差検出器
343,343B,343C 遅延量演算装置
344 出力セレクタ
345 遅延検出タイマ
346 周波数測定器
【要約】
比較的安価でありながらデータを高速に出力できる本発明の一態様に係る半導体装置は、ストローブ入力端子、ストローブ遅延回路およびストローブ出力端子をこの順番に有するストローブ信号伝送路と、前記ストローブ信号伝送路の前記ストローブ遅延回路の下流側に接続される複数のデータ出力回路と、前記複数のデータ出力回路に接続されるデータ出力バスと、をそれぞれ有する複数のメモリと、前記ストローブ入力端子に前記ストローブ信号を入力するストローブ回路と、前記データ出力端子から出力される前記データを一次的に記憶するデータバッファ回路と、前記ストローブ出力端子から出力される前記ストローブ信号の前記ストローブ回路から出力される前記ストローブ信号に対する遅れの前記メモリの間での差を低減するよう前記ストローブ遅延回路の遅延量を調整する遅延調整回路と、を有するコントローラと、を備える。
図1
図2
図3
図4
図5
図6